JP2005345505A - 画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 摺擦ローラによる研磨摺擦力を維持しつつ、ジッターノイズやダッシュマークの発生を抑えることができる画像形成装置を提供する
【解決手段】 摺擦ローラ8の回転速度を感光体ドラム1の回転速度に対し周速比を100%以上に維持させることにより、ダッシュマークの発生を抑制する。また、非画像形成時には摺擦ローラ8の回転速度を画像形成時より速くなるように制御することにより、摺擦ローラ8による研磨摺擦効果を向上させ、画像流れなどの発生を抑制する。
【選択図】 図3
【解決手段】 摺擦ローラ8の回転速度を感光体ドラム1の回転速度に対し周速比を100%以上に維持させることにより、ダッシュマークの発生を抑制する。また、非画像形成時には摺擦ローラ8の回転速度を画像形成時より速くなるように制御することにより、摺擦ローラ8による研磨摺擦効果を向上させ、画像流れなどの発生を抑制する。
【選択図】 図3
Description
本発明は、画像形成装置、特に感光体ドラム上の付着物をトナーで研磨摺擦してクリーニングする摺擦装置を有する画像形成装置に関する。
電子写真方式による画像形成装置では、感光体ドラムの周辺に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段等が設けられている。そして、帯電手段によって感光体ドラムに帯電が行われた後、露光手段によって露光が行われて感光体ドラム表面に静電潜像が形成され、現像手段によって現像される。その後、現像されたトナー画像は転写手段により転写材上に転写され、さらに定着手段により定着され、画像形成された転写材が排出部に排出される。感光体ドラムに残留した残留現像剤は、クリーニング手段によりクリーニングされる。
このような画像形成過程において、帯電手段による放電過程でNOxやSOx等のイオン生成物が発生し、これらが感光体ドラム表面に付着する。また、記録紙の添加剤や紙粉などが感光体ドラム表面に付着する。これらのイオン生成物、紙粉等は、画像形成装置内の水分を吸着し、感光体ドラムの表面抵抗を低下させる場合がある。このため、電荷が感光体ドラムの表面を移動しやすくなり、いわゆる像流れ現象が発生して、形成画像の乱れが生じる。これらの感光体ドラムに付着した付着物を除去するため、クリーニング手段により感光体ドラムの表面を研磨清掃する方法が考案されている。クリーニング手段により感光体ドラムのクリーニングを行う際、有機感光体はその表面が比較的柔らかいため、クリーニング手段が表面を摺擦すると、有機感光体の表面が削れるとともにその表面に付着したイオン生成物や紙粉等も除去される。
しかし、a−Si系感光体は表面硬度が有機感光体より高く、クリーニング手段がa−Si系感光体表面を摺擦する際に、感光体の表面がほとんど削れることがないため、表面の微細な窪み等に付着したイオン生成物や紙粉等はクリーニング手段によって除去しがたい。したがって、a−Si系感光体では上述したイオン生成物などによる電荷が感光体ドラムの表面を移動する等の現象が特に発生しやすい。
このような電荷が感光体ドラムの表面を移動する現象による画像の乱れを防止するため、クリーニング装置に発泡合成ゴムなどの弾性体で構成された摺擦ローラを配設し、トナー表面に酸化チタンなどの研磨剤を付着させ、トナーを摺擦ローラに担持させ、感光体ドラムと同方向に回転駆動させながら感光体ドラムの表面を研磨剤で研磨摺擦する方法が提案されている。また、摺擦ローラを設けた場合の回転抵抗を抑えるために、画像形成時には摺擦ローラを従動にするまたは摺擦ローラの押圧力を弱めて、ジッターノイズの発生を抑制しようとする方法が提案されている。
特開昭61−34579号公報
実開平5−81861号公報
特開平4−73787号公報
特開平11−2996号公報
一般的に摺擦ローラによる感光体ドラム表面への研磨作用を強めるためには、摺擦ローラと感光体ドラムとの接触部において、摺擦ローラと感光体ドラムとの周速差を大きくさせることが有効であり、摺擦ローラと感光体ドラムの回転方向を摺擦部において逆方向にすることも考えられる。
しかし、特開昭61−34579号公報に記載した方法のように、画像形成時においても摺擦ローラの回転速度が感光体ドラムの回転速度の90%以下にすると、感光体ドラム上に残留されたトナーが摺擦ローラの回転方向の上流側に堰き止められ、感光体ドラム表面に押しつけられ、微少な流れ星状に付着(以下ダッシュマークと称す)し、画像に黒点となって現れる。
また、実開平5−81861号公報に記載のように、摺擦ローラと感光体ドラムとの接触部において、摺擦ローラと感光体ドラムとの周速差を大きくさせるため、摺擦ローラを感光体ドラムと逆方向に回転させた場合、摺擦ローラによる感光体ドラムへの研磨作用が強くなる。しかし、感光体ドラム上に転写後の残留トナーが存在する場合は、残留トナーが摺擦ローラにより感光体ドラム上に擦りつけられることとなり、残留トナーを感光体ドラム上に付着させることとなる。
また、特開平4−73787号公報に記載の方法のように、画像形成時には摺擦ローラを従動にした場合、ジッターノイズは軽減できるが、研磨摺擦作用が全くなくなってしまい、連続した画像形成が続く場合には、感光体の表面は十分に摺擦研磨されないという問題が発生する。
また、特開平11−2996号公報に記載の方法では、摺擦ローラと感光体ドラムの回転方向が摺擦部において同方向であって、かつ摺擦ローラの回転速度が感光体ドラムの回転速度より速い場合、摺擦ローラの回転により感光体ドラムが駆動されることになり、感光体ドラムの回転速度が不安定になり、転写材に転写された画像に横縞模様の画像ノイズ(ジッターノイズ)が発生する場合がある。
本発明の目的は、画像形成動作の有無によって摺擦ローラの回転速度を変更させることにより、摺擦ローラによる研磨摺擦力を維持しつつ、ジッターノイズやダッシュマークの発生を抑えることができる画像形成装置を提供することである。
請求項1に係る画像形成装置は、感光体ドラムを含む画像形成部と、摺擦ローラと、速度制御駆動部とを備えている。感光体ドラムは静電潜像が形成されるものであり、画像形成部は、感光体ドラムに形成された静電潜像をトナーで現像するためのものである。摺擦ローラは、感光体ドラムに対向するとともに感光体ドラムと摺擦部において同方向に回転可能に設けられ、感光体ドラム上の付着物を研磨摺擦してクリーニングするためのものである。速度制御駆動部は、画像形成時における摺擦ローラの回転速度を感光体ドラムの回転速度より高く設定するとともに、非画像形成時の摺擦ローラの回転速度が画像形成時の摺擦ローラの回転速度より高くなるように制御するものである。
画像形成時において、摺擦ローラの回転速度を感光体ドラムの回転速度に対して周速比が100%を下回るように制御すると、感光体ドラム上に残留されたトナーが摺擦ローラの回転方向の上流側に堰き止められ、ダッシュマークによる画像劣化が発生する。また、画像形成時には、摺擦ローラと感光体ドラムとの周速差が大きすぎると、感光体ドラムが摺擦ローラによって駆動されるような状態となり、感光体ドラムの回転が不安定になって回転ジッタが生じ、形成画像に乱れが生じる。一方、非画像形成時には、摺擦ローラと感光体ドラムとの周速差が大きく設定させ、摺擦ローラによる感光体ドラム表面への摺擦研磨力を高めることが可能である。
そこで、この装置では、画像形成時における摺擦ローラの回転速度を感光体ドラムの回転速度より大きく設定することにより、ダッシュマークの発生を抑制することができる。また、非画像形成時には摺擦ローラの回転速度を画像形成時より速くなるように制御することにより、摺擦ローラによる研磨摺擦効果を向上させつつ、クリーニング効果のアップを図ることができる。
請求項2に係る画像形成装置は、請求項1に記載の装置において、速度制御駆動部は、画像形成時は摺擦ローラの回転速度を感光体ドラムの回転速度の110%より低く制御する。
画像形成時には、摺擦ローラの回転速度が感光体ドラムの回転速度の110%以下の場合はジッターノイズによる大きな画像劣化は表れないが、摺擦ローラの回転速度が感光体ドラムの回転速度の110%以上となる場合は急激にジッターノイズによる画像劣化が目立ち始め、摺擦ローラの回転速度が感光体ドラムの回転速度の120%以上となる場合は、ジッターノイズによる画像劣化が顕著に表れている。
そこで、この装置において速度制御駆動部は、画像形成時の摺擦ローラの回転速度を感光体ドラムの回転速度の110%以下となるように制御する。必要な感光体ドラムの研磨効果が得られ、摺擦ローラの回転速度をジッターノイズによる画像劣化が現れない範囲内で制御することにより、画像の高品質を保持すると同時に、研磨摺擦能力を維持することができる。
請求項3に係る画像形成装置は、請求項1に記載の装置において、速度制御駆動部は、画像形成時の摺擦ローラの回転速度を感光体ドラムの回転速度の140%〜200%に制御する。
非画像形成時には、感光体ドラム上の残留トナーが存在しない状態となることから、摺擦ローラの回転速度と感光体ドラムの回転速度との周速比を高く設定することが可能である。実験によると、摺擦ローラの回転速度と感光体ドラムの回転速度との周速比が110%以上になると研磨効果が顕著に強くなり、周速比が140%に達すると研磨効果が横ばいの態様を示している。また、摺擦ローラの回転速度と感光体ドラムの回転速度との周速比が200%を超えると、摺擦ローラが感光体ドラムを摺擦する際の発熱でトナーが摺擦ローラに融着する現象が発生した。したがって、非画像形成時の周速比は140%〜200%の間に設定することが好ましい。
そこで、この装置において速度制御駆動部は、非画像形成時の摺擦ローラの回転速度を感光体ドラムの回転速度の140%〜200%に制御する。このように、摺擦ローラの回転速度を制御することにより、安定して高い研磨摺擦能力を維持することができる。
請求項4に係る画像形成装置は、請求項1から3のいずれかに記載の装置において、感光体ドラムはアモルファスシリコン系感光体である。一般に、有機感光体はその表面が比較的柔らかいため、クリーニングブレードなどで表面を摺擦する際に、その表面が削れるとともにその表面に付着したイオン生成物や紙粉等も除去されるが、a−Si系感光体は表面硬度が高いため、通常のクリーニングブレードでは表面の微細な窪み等に付着したイオン生成物や紙粉等を除去しがたい。そのためこの発明のような構造が必要となる。
本発明では、摺擦ローラの回転速度を感光体ドラムの回転速度に対し周速比を100%以上に維持させることにより、ダッシュマークの発生を抑制することができる。また、非画像形成時には摺擦ローラの回転速度を画像形成時より速くなるように制御することにより、摺擦ローラによる研磨摺擦効果を向上させつつ、クリーニング効果のアップを図ることができる。
図1は本発明の一実施形態が採用された画像形成装置の概略構成を示す図である。画像形成装置100の画像形成部10は、感光体ドラム1を備えるとともに、感光体ドラム1の周囲に配設されている帯電装置2、露光装置3、現像装置4、転写装置5、クリーニング装置6、除電装置9などを備えている。また、クリーニング装置6は、クリーニングブレード7,摺擦ローラ8などを備えている。
感光体ドラム1は、表面に静電潜像が形成されるものである。本実施例では、アモルファスシリコン感光体を用いており、その構成は導電性基体上にSi:H:B:Oなどからなるキャリア注入阻止層、Si:Hなどからなるキャリア励起・輸送層(光導電層)、SiC:Hなどからなる表面保護層が順次積層されている。ここで、表面保護層は、元素比率を組成式a−Si(1−x)Cx:Hで表したとき、0.95≦x<1.00になるように製造条件が設定されている。このように設定することで、感光体ドラム1の表面硬度が小さくなり、摺擦ローラ8により削れやすくなる。その結果、感光体ドラムの表面を鏡面化させ、フィルミングやイオン生成物の付着を抑制するためである。
帯電装置2は、感光体ドラム1の上方に設置されており、感光体ドラム1を一様に帯電させるための装置である。露光装置3は、図2に示す画像データ入力部60から読み取った原稿画像に基づいて、感光体ドラム1上に静電潜像を形成させるための装置であり、ミラーと、レンズと、レンズによって収束された光を受光して原稿画像に対応する画像データ信号を生成するCCDセンサなどの撮像素子とを備えている。
現像装置4は、静電潜像が形成された感光体ドラム1表面にトナーを供給してトナー像を形成させる装置である。また、本実施例で用いられるトナーは、トナー粒子の表面に研磨微粒子が固定されている。研磨微粒子として、硬度が大きな微粒子、例えばアルミナ、ジルコニア、チタニアなどの金属酸化物が適している。トナー粒子には研磨微粒子の他、流動性や耐電性を調整する目的でシリカなどの微量子を添加しても良い。転写装置5は、感光体ドラム1のトナー像を用紙に転写するための装置である。
クリーニング装置6は、感光体ドラム1に残留した残留現像剤などの付着物をクリーニングするための装置であって、本画像形成装置ではクリーニングブレード7が設けられていて、硬度77°のウレタンゴムを線圧48N/mで感光体ドラムに圧接している。
摺擦ローラ8は、感光体ドラム1の表面に当接して、画像形成過程で感光体ドラム1の表面に形成されたイオン生成物を摺擦研磨するためのものである。ここで、摺擦ローラ8は、直径10mmの金属シャフトの周りに、硬度50°の発泡ゴムを厚さ2mmで覆った構成となっており、スプリング81により片側1,000gfの力で感光体ドラム1に付勢されている。また、摺擦ローラの回転速度は回転ローラの軸端部に取り付けられているモータ(図示せず)により変更可能に制御されている。また、トナーには研磨剤である酸化チタンが添加されており、摺擦ローラ8を感光体ドラム1の表面に当接する際、この酸化チタンにより感光体ドラム1の表面が研磨される。
図2に画像形成装置の制御ブロックを示している。制御部90は、CPU、RAM、ROMなどを有するマイクロコンピュータによって構成されており、画像形成部10、給紙部20、排紙部30、画像データ入力部60、入力操作部70、摺擦ローラ8の速度制御駆動部80などが接続されている。ここで、画像データ入力部60は、ネットワークなどによって接続されたパーソナルコンピュータからの画像データを受け取るためのものである。ここで受け取られた画像データは、画像形成部10または制御部90に送られる。入力操作部70は、図示しないキー群及び表示パネルを有している。キー群は、テンキー、スタートキー、等を有している。スタートキーは、画像形成部10による画像形成を指示するためのキーである。制御部90は、画像形成部10における画像形成等の動作を制御したり、摺擦ローラ8の回転速度を制御したりするものでもある。速度制御駆動部80は、制御部90の制御を受けて、摺擦ローラの速度を制御駆動するものであり、図示しないモータ、ギヤなどから構成されている。
次に、画像形成の動作について説明する。画像形成時は、帯電装置2によって感光体ドラム1に帯電が行われた後、露光装置3によって露光が行われて感光体ドラム1の表面に静電潜像が形成され、現像装置4によってトナー画像が現像される。その後、現像されたトナー画像は転写装置5により転写材上に転写され、さらに図示しない定着手段により定着され、画像形成された転写材が図示しない排出部に排出される。感光体ドラム1に残留した残留トナーは、クリーニング装置6によりクリーニングされ、図示しない廃トナーコンテナに廃棄される。
このような画像形成過程において、帯電装置3の放電によりオゾンが発生し、このオゾンの酸化作用でNOxやSOx等のイオン生成物が発生して、感光体ドラム1の表面に付着する。感光体ドラム1はa−Si系感光体であるため、クリーニングブレード7のみではNOxやSOx等のイオン生成物を除去し難い。そこで、摺擦ローラ8により感光体ドラム1の表面を研磨摺擦する必要がある。
次に摺擦ローラ8により感光体ドラム1の表面を研磨摺擦する動作について図3のフローチャートに基づいて説明する。画像形成装置に電源が投入されると、各種パラメータが初期化され、定着部の温度設定を行うなどの初期設定を実行する。ステップS1では、画像データ入力部60により、ネットワークなどによって接続されたパーソナルコンピュータからの画像信号を受け取る。ステップS2では、画像形成スタートキーが押されか否かを判断する。画像形成スタートキーが押されなかった場合は、ステップS3に移行する。ステップS3では、摺擦ローラの回転速度と感光体ドラムの回転速度の周速比を140%以上に設定し、ステップ4に移行する。ステップS4では、感光体ドラム1が回転し、摺擦ローラ8は既定の速度で感光体ドラム1の表面を研磨摺擦する動作を行う。摺擦研磨動作が終了した後、ステップ2に戻る。
一方、画像形成スタートキーが押された場合、ステップ5に移行する。ステップS5では、摺擦ローラ8の回転速度を感光体ドラム1の回転速度の100%より大きく、感光体ドラム1の表面の研磨効果を画像形成時にも得るために、より好ましくは105%より大きく、且つ110%以下に設定し、ステップS6に移行する。ステップS6では、画像形成動作が開始され、摺擦ローラ8は既定の速度で感光体ドラム1の表面を研磨摺擦する動作を行う。画像形成動作が終了すると、ステップS1に戻る。
図4は、感光体ドラム1の表面に残留トナーがない状態で、摺擦ローラの回転速度が感光体ドラム表面の研磨摺擦効果に与える影響を示すものである。ここで、横軸は摺擦ローラ8と感光体ドラム1の回転速度の周速比を表し、縦軸は研磨摺擦効果を表す。ここでは、研磨摺擦効果の指標として、「感光体表面摩擦係数」を測定した。研磨摺擦力が強いと、感光体ドラムの表面に付着されたイオン生成物及びフィルミングが研磨・除去され、摩擦係数の測定値が小さくなる。一方、研磨摺擦力が低いと、感光体ドラムの表面に付着されたイオン生成物及びフィルミングが完全に研磨・除去されず、摩擦係数の測定値が大きくなる。そこで、まず、摺擦ローラ8を取り付けない状態で画像形成を1K毎行った後に摩擦係数を測定する。次に、摺擦ローラ8を取り付け、画像形成を行わない状態で摺擦ローラと感光体ドラムを回転させた後に再度摩擦係数を測定した。摺擦ローラ8を取り付けた後の摩擦係数の測定値が、摺擦ローラ8を取り付けていない状態での摩擦係数の測定値より小さければ感光体ドラム上の付着物が研磨されたこととなり、摩擦係数の測定値に変化がなければ研磨効果がないことを表す。図4において、感光体ドラム1の表面に残留トナーがない状態で、摺擦ローラが感光体ドラム表面を摺擦研磨する特性L1が示すように、摺擦ローラと感光体ドラムの回転速度が同速、すなわち周速比が100%の場合は研磨作用が全くないが、摺擦ローラの回転速度を感光体ドラムの回転速度より増速させるかまたは減速させると、研磨作用が急激に強化され、周速比が120%を超えるかまたは80%より低いと研磨作用の変化が鈍くなり、周速比が140%を超えるかまたは50%より低いと研磨作用は横ばいとなる。また、周速比が200%を超える部分の特性L1は点線で示されているが、その理由は、周速比が200%を超えると、感光体ドラム1と摺擦ローラ8との摺擦による発熱で、トナーが感光体ドラム1と摺擦ローラに融着してしまい、実用的ではないからである。
図5は、感光体ドラム1の表面に残留トナーがある状態で、摺擦ローラの回転速度が感光体ドラム表面の研磨摺擦効果に与える影響を示すものである。ここで、横軸は摺擦ローラ8と感光体ドラム1の回転速度の周速比を表し、縦軸は研磨摺擦効果を表す。ここでも、研磨摺擦効果の指標として、「感光体表面摩擦係数」を測定し、その測定方法は前記と同様である。図5において、感光体ドラム1の表面に残留トナーがある状態で、摺擦ローラが感光体ドラム表面を摺擦研磨する特性L2が示すように、摺擦ローラと感光体ドラムの回転速度が同速、すなわち周速比が100%の場合は研磨作用が全くないが、摺擦ローラの回転速度を感光体ドラムの回転速度より増速させると、研磨作用が急激に強化され、周速比が120%を超えると研磨作用の変化が鈍くなり、周速比が140%を超えると研磨作用は横ばいとなる。ここで、摺擦ローラの回転速度が感光体ドラム1の回転速度の周速比が100%以下の場合は、感光体ドラム1上に残留されたトナーが摺擦ローラ8の上流側に堰き止められ、摺擦ローラ8による研磨作用は極端に小さくなる。
図6は、摺擦ローラの回転速度がジッターノイズの発生に与える影響を表したものである。ここで、横軸は摺擦ローラ8と感光体ドラム1の回転速度の周速比を表し、縦軸はジッターノイズの影響を表す。図6の摺擦ローラの回転速度とジッターノイズの特性L3に示すように、画像形成時は、摺擦ローラの回転速度が感光体ドラムの回転速度の110%以下の場合はジッターノイズによる大きな画像劣化は表れないが、摺擦ローラの回転速度が感光体ドラムの回転速度の110%以上となる場合は急激にジッターノイズによる画像劣化が目立ち始め、摺擦ローラの回転速度が感光体ドラムの回転速度の120%以上となる場合は、ジッターノイズによる画像劣化が顕著に表れている。
上述したように、感光体ドラム1の表面に残留トナーがない状態では、摺擦ローラ8による研磨摺擦効力を高めるため、摺擦ローラ8の回転速度と感光体ドラム1の回転速度との速度差を大きくすることが必要である。一方、感光体ドラム1の表面に残留トナーがある状態では、摺擦ローラ8による研磨摺擦効力を高めるため、摺擦ローラ8の回転速度と感光体ドラム1の回転速度との周速比を100%以上にすることが必要である。さらに、画像形成中は、摺擦ローラ8の回転速度が感光体ドラム1の回転速度の110%以上となると急激にジッターノイズによる画像劣化が目立ち始まることから、摺擦ローラ8の回転速度を感光体ドラム1の回転速度の110%以下に制御することが望ましい。
そこで、京セラミタ製のプリンタLS−3800(感光体ドラムの回転周速147mm/sec)を改造し、画像形成時の摺擦ローラの回転速度と感光体ドラムの回転速度との周速比を110%、非画像形成時は当周速比を150%に設定して、100K枚のランニング評価実験1を行った。ジッターノイズが発生しないことを前提に、実験1との対比実験として、摺擦ローラの回転速度と感光体ドラムの回転速度との周速比を、画像形成時100%&非画像形成時150%に設定した実験2、画像形成時110%&非画像形成時110%に設定した実験3を行い、100K枚のランニング評価を行った。実験1、実験2、実験3の評価結果は表1に示している。
表1に示すように、実験1においては、画像形成時の摺擦ローラの回転速度と感光体ドラムの回転速度との周速比を110%に設定し、画像形成時に感光体ドラム上に残留されたトナーをジッターノイズが発生しない範囲内で研磨除去している。したがって、残留トナーが感光体ドラム表面に押しつけられ、微少な流れ星状に付着するダッシュマーク現象は発生しない。さらに、非画像形成時の摺擦ローラの回転速度と感光体ドラムの回転速度との周速比を150%であるため、摺擦ローラによる感光体ドラムへのクリーニングも充分に行われ、画像流れ、地肌かぶりやクリーニング不良も発生していない。
実験2においては、画像形成時の摺擦ローラの回転速度と感光体ドラムの回転速度との周速比を100%に設定しているため、画像形成時における感光体ドラムの研磨摺擦効果が全く作用していない。そこで、画像形成開始後の比較的早い段階である20K枚以降、残留トナーが感光体ドラム表面に押しつけられ、微少な流れ星状に付着するダッシュマーク現象が発生した。また、画像形成時の研磨摺擦が行われていないため、イオン生成物が感光体ドラムの表面上に存在し、画像形成が70K枚行われた後、画像流れが発生した。さらに、非画像形成時の摺擦ローラの回転速度と感光体ドラムの回転速度との周速比を150%に設定しても、画像形成時に感光体ドラム表面に押しつけられた残留トナーを完全にクリーニングできず、画像形成が100K枚行われた後、クリーニング不良が発生した。
実験3においては、画像形成時の摺擦ローラの回転速度と感光体ドラムの回転速度との周速比を110%に設定し、ジッターノイズが発生しない前提で、画像形成時に感光体ドラム上に残留されたトナーを研磨除去しているため、残留トナーが感光体ドラム表面に押しつけられ、微少な流れ星状に付着するダッシュマーク現象は発生しない。しかし、非画像形成時の摺擦ローラの回転速度と感光体ドラムの回転速度との周速比を110%に設定しているため、感光体ドラム表面に付着したイオン生成物及び残留トナーの摺擦研磨が充分に行われていない。そこで、画像形成時に感光体ドラム表面に押しつけられた残留トナーを完全にクリーニングできず、そこで、画像形成開始後の比較的早い段階である20K枚以降画像流れが発生し、画像形成が50K枚行われた後は、地肌かぶりが発生し、画像形成が80K枚行われた後は、クリーニング不良が発生した。
[本実施形態の効果]
本実施形態では、摺擦ローラ8の回転速度を感光体ドラム1の回転速度に対し周速比を100%以上に維持させることにより、ダッシュマークの発生を抑制することができる。また、非画像形成時には摺擦ローラ8の回転速度を画像形成時より速くなるように制御することにより、摺擦ローラ8による研磨摺擦効果を向上させ、画像流れなどの発生を抑制することができる。
[本実施形態の効果]
本実施形態では、摺擦ローラ8の回転速度を感光体ドラム1の回転速度に対し周速比を100%以上に維持させることにより、ダッシュマークの発生を抑制することができる。また、非画像形成時には摺擦ローラ8の回転速度を画像形成時より速くなるように制御することにより、摺擦ローラ8による研磨摺擦効果を向上させ、画像流れなどの発生を抑制することができる。
1 感光体ドラム
4 現像装置
8 摺擦ローラ
80 摺擦ローラ制御駆動部
90 制御部
100 画像形成装置
4 現像装置
8 摺擦ローラ
80 摺擦ローラ制御駆動部
90 制御部
100 画像形成装置
Claims (4)
- 表面にトナー画像が形成される感光体ドラムを含み、転写材に転写するための画像を形成する画像形成部と、
前記感光体ドラムに対向するとともに前記感光体ドラムと摺擦部において同方向に回転可能に設けられ、前記感光体ドラム上の付着物を研磨摺擦してクリーニングする摺擦ローラと、
画像形成時における摺擦ローラの回転速度を前記感光体ドラムの回転速度より大きく設定するとともに、非画像形成時の前記摺擦ローラの回転速度が画像形成時の前記摺擦ローラの回転速度より高くなるように制御駆動する速度制御駆動部と、
を備えている画像形成装置。 - 前記速度制御駆動部は、画像形成時は摺擦ローラの回転速度を感光体ドラムの回転速度の110%より低く制御駆動する、請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記速度制御駆動部は、非画像形成時は摺擦ローラの回転速度を感光体ドラムの回転速度の140%〜200%に制御駆動する、請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記感光体ドラムはアモルファスシリコン系感光体である、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011013350A (ja) * | 2009-06-30 | 2011-01-20 | Kyocera Mita Corp | クリーニング装置、画像形成装置 |
US10108133B1 (en) | 2017-05-26 | 2018-10-23 | Kyocera Document Solutions Inc. | Image forming apparatus |
-
2004
- 2004-05-31 JP JP2004161535A patent/JP2005345505A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011013350A (ja) * | 2009-06-30 | 2011-01-20 | Kyocera Mita Corp | クリーニング装置、画像形成装置 |
US10108133B1 (en) | 2017-05-26 | 2018-10-23 | Kyocera Document Solutions Inc. | Image forming apparatus |
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