JP2005344140A - 遮熱コーティング部材およびその取扱方法 - Google Patents

遮熱コーティング部材およびその取扱方法 Download PDF

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隆夫 犬飼
Yoshiyasu Ito
義康 伊藤
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裕 石渡
Kazuhiro Kitayama
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Abstract

【課題】金属製の基材とコーティング層とを一体に形成して遮熱性を付与した遮熱コーティング部材における膜厚比の最適値を計算する遮熱コーティング部材およびその取扱方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る遮熱コーティング部材の取扱方法は、部材の使用条件を設定する使用条件設定工程1と、基材およびコーティング層に使用する材料の物性値を入力する材料特性記憶工程2と、膜厚比を変化させて温度分布および応力分布の解析を行う膜厚比−応力関係解析工程3と、既知の熱疲労実験データおよび実測データより得られた膜厚と応力との関係からコーティング層に剥離を生じる限界応力値を算出する応力制限値設定工程4と、これらの工程から得られた解析結果をもとに膜厚を計算する膜厚決定工程5を備え、膜厚と基材厚さとの比である膜厚比の最適値を計算する。
【選択図】 図1

Description

本発明は金属製の基材表面にコーティング層を設けて遮熱性を向上させた遮熱コーティング部材およびその取扱方法に係り、特に、コーティング層の膜厚と基材厚さとの比である膜厚比と応力値との関係を計算し、膜厚比の最適値を算出する遮熱コーティング部材およびその取扱方法に関する。
近年、ガスタービン等のエネルギー機器においては、使用流体が高温化されており、それに伴ってタービンに使用する部材の使用条件も高温化する傾向にある。そのため、流体の温度が部材(金属)の使用可能温度を超える場合が増えている。その解決策として、金属の表面に耐熱性を持たせたコーティング(遮熱コーティング)を施して、基材を守る方法が取られている。
部材の耐熱性能の向上を目的として基材の表面にコーティング層を設ける方法は、コーティング層の遮熱性により、エネルギー機器内部を冷却して長期の使用を可能にする技術であり、実際に使用するエネルギー機器の部材に多く取り入れられている。その中でも、特にセラミックコーティングは優れた耐熱性および遮熱性から多くの実施例がある。
図8にタービンに使用される遮熱コーティング部材80を単純化したモデル図を示す。
図8に示すように、タービンに使用される遮熱コーティング部材80は金属製の基材81と、その表面に設けられたセラミック製のコーティング層82で形成されている。基材81の内部には冷却用キャビティ83が設けられており、この冷却用キャビティ83には、普通空気を冷却剤として流通させている。
タービンに使用される遮熱コーティング部材のようにエネルギー機器の内面と外面とで温度差を持つ環境で使用されるエネルギー機器には、温度勾配に応じた熱負荷が生じる。図8に示すような金属製の基材81とセラミックのコーティング層82から構成される遮熱コーティング部材80の場合、セラミックと金属のそれぞれの熱膨張率が違うため、熱負荷による応力の発生状況が複雑であり、特に界面近傍の応力の挙動の解析は煩雑である。
一般にセラミックは金属に比較して熱膨張率が非常に小さい。そのため、使用時には基材金属の膨張によりセラミック製のコーティング層に引張り方向の応力が発生する。この引張り応力によりコーティング層と基材との間に剥離が生じ、コーティング層の剥落が生じる場合があった。
すなわち、セラミック製のコーティング層を設けた遮熱コーティング部材では、コーティング層と基材との剥離やコーティング層の損耗、あるいはコーティング層表面の亀裂など解決すべき点が残されており、耐久性の向上が課題となっていた。
こうした課題に対しては、これまでにもいくつかの改善法が提案されている。例えば特開平4−214422号公報(特許文献1)には、残留応力を制御することによる熱応力の低減方法が開示されている。その他にも、コーティングの耐エロージョン性を高める方法等がこれまでに提案されている。
特開平4−214422号公報
遮熱コーティング部材を用いて実用エネルギー機器を設計する設計段階では、最適となる膜厚を詳細に決定する手法が必要である。タービン等の使用条件下で部材に作用する熱負荷と応力には相関関係があり、実機使用の部材の膜厚設計には、熱応力解析が必要である。
タービン等の使用環境のように厳しい温度条件で生じる熱負荷に対して十分な耐性を有する遮熱コーティング部材を設計するには、緻密な熱応力解析を必要とする。
しかしながら、タービン使用条件で遮熱コーティング部材に作用する応力分布の解析は、遮熱コーティング部材内外の温度条件や、金属製基材およびセラミック製コーティング層の熱膨張率の差をパラメータとする複雑な系を解析しなければならず、非常に複雑な現象の解析であり、誤差要因が大きかった。
また、これまでの解析方法では、既知である金属材料や、セラミック材料の熱膨張率や物性定数についての試験データは多く得られているものの、複合材としての物性について系統的にデータを収集して実設計に活用したケースは少なかった。
そのため、実用に供するタービン部材を設計するにあたっては、現状では技術者の経験に依存するところが大きく、また試行錯誤的に最適値を決定するため、効率的設計および標準化の観点からは好ましくなかった。
つまり、現行の応力解析による膜厚決定方法は遮熱コーティング部材について最適となる膜厚比を計算するものではなく、実用に供する部材について使用条件に応じて最適な膜厚を設定する方法や、コーティングの特性に応じた材料の選定方法、また、コーティング面に部分剥離が生じた場合の適切な補修方法について、応力解析をベースとして判定する方法を提供するものではなかった。
また、遮熱コーティング部材においては、セラミックと金属の熱膨張率の差によりコーティング層の表面に生じた亀裂や剥離により、コーティング層の剥落が生じる場合があり、対策が求められていた。
こうしたコーティング層の剥落を防止し、遮熱コーティング部材の長寿命化を実現するためには、遮熱コーティング部材の一部分でコーティング層の剥離が生じた場合でも、この剥離の進展を防止し、全体的な剥離への波及を抑制することが有効である。
しかしながら、これまでのところ、コーティング層の剥離の進展を防止するための有効かつ適切な防止方法については提案されておらず、解決すべき課題として認識されていた。
さらに、コーティング層を施工する際には、基材の表面粗さや施工誤差によりコーティング層厚さにばらつきが生じるが、このばらつきにより、設計時には考慮していなかった大きさの応力が生じる場合もある。そのため、膜厚比と応力との関係をより詳細に解析する方法が、エネルギー機器の安全性の向上のために求められていた。
本発明は上述したような事情を考慮してなされたものであって、金属製の基材とコーティング層とを一体に形成して遮熱性を付与した遮熱コーティング部材における膜厚比の最適値を計算する遮熱コーティング部材およびその取扱方法を提供することを目的とする。
また、本発明の他の目的は、コーティング層の一部分に剥離が生じた場合でも、この剥離の進行を防止し、構造部材を長寿命化を図ることが可能な遮熱コーティング部材およびその取扱方法を提供するにある。
本発明に係る遮熱コーティング部材は、上述した課題を解決するために、金属を主材料とする基材と遮熱性を有するコーティング層とを一体に形成した遮熱コーティング部材において、前記コーティング層に縦割れを設けたことを特徴とするものである。
本発明に係る遮熱コーティング部材の取扱方法は、上述した課題を解決するために、金属を主材料とする基材と遮熱性を有するコーティング層とを一体に形成する遮熱コーティング部材の取扱方法において、部材の使用条件を設定する使用条件設定工程と、基材およびコーティング層に使用する材料の物性値を入力する材料特性記憶工程と、膜厚比を変化させて温度分布および応力分布の解析を行う膜厚比−応力関係解析工程と、既知の熱疲労実験データおよび実測データより得られた膜厚と応力との関係からコーティング層に剥離を生じる限界応力値を算出する応力制限値設定工程と、これらの工程から得られた解析結果をもとに膜厚を計算する膜厚決定工程とを備え、膜厚と基材厚さとの比である膜厚比の最適値を計算することを特徴とするものである。
さらに、本発明に係る遮熱コーティング部材の取扱方法は、上述した課題を解決するために、金属を主材料とする基材と遮熱性を有するコーティング層とを一体に形成した遮熱コーティング部材の取扱方法であって、前記取扱方法はコーティング層に縦割れを設けることにより、コーティング層表面の引張り応力を低減し、剥離の進展を防止することを特徴とするものである。
本発明に係る遮熱コーティング部材およびその取扱方法によれば、金属を主材料とする基材と遮熱性を有するコーティング層とを一体に形成した遮熱コーティング部材における膜厚比の最適値を計算するので、より安全性を向上した遮熱コーティング部材を提供することが可能である。
以下に本発明に係る遮熱コーティング部材およびその取扱方法の好ましい実施の形態について図を参照して説明する。
図1は本発明に係る遮熱コーティング部材の取扱方法により、最適となる膜厚比を算出し、膜厚比を決定するフローチャートである。
本発明に係る遮熱コーティング部材の取扱方法は、以下に示す各工程から構成されている。
1.使用条件設定工程
2.材料特性記憶工程
3.膜厚比−応力関係解析工程
4.応力制限値設定工程
5.膜厚決定工程
本実施形態においては、これらの工程を図1に示すフローチャートのように組み合わせて取扱方法を構築している。以下に各工程と設計計算のフローを順次説明する。
使用条件設定工程1は、遮熱コーティング部材の使用環境における流体温度および熱伝達率の境界条件を入力、設定する工程である。
材料特性記憶工程2はコーティング層、基材、コーティング層と基材とを接合する目的で設けられるボンドコートのそれぞれ材質のヤング率、ポアソン比、熱伝導率、線膨張係数等の物性値を入力し、記憶する工程である。
膜厚比−応力関係解析工程3は、使用条件設定工程1と材料特性記憶工程2にそれぞれ入力されたデータを使用して、膜厚比を変化させて部材の温度分布解析を行い、次にこの温度分布解析結果をもとに応力分布解析を行い、膜厚比と応力の関係を導出する工程である。
応力制限値設定工程4は、試験片等を用いて熱サイクル試験または熱疲労試験を行って解析データを収集して記憶し、これらの解析データにおける膜厚と温度分布から膜厚比と応力との対応関係を解析し、コーティング層の剥離を生じる限界応力を算出する工程である。
膜厚決定工程5は、膜厚比−応力関係解析工程3と応力設定工程4とから得られたそれぞれの解析データをもとに最適となる膜厚比を算出する工程である。
例えば、ガスタービン動翼に用いられる遮熱コーティング部材の膜厚比の設計を行う場合は、以下の手順に従って最適となる膜厚比を算出する。
まず使用条件設定工程1にガスタービン動翼まわりの燃焼ガスおよび内部冷却空気の温度条件等のエネルギー機器の使用温度条件を入力する。次に材料特性記憶工程2によりエネルギー機器を構成する金属製の基材、セラミック製のコーティング層およびボンドコートの物性値を入力する。
次に膜厚比−応力関係解析工程3によって、使用条件設定工程1と材料特性記憶工程2に入力された各数値を使用して膜厚比と応力との関係を算出する。
同時に応力制限値設定工程4において、既知の熱疲労試験による膜厚と応力との関係よりコーティング層に剥離を生じる応力の制限値を算出する。
そして膜厚決定工程5において、膜厚比−応力関係解析工程3により得られた膜厚比と応力との関係と、応力制限値設定工程4により得られた応力の制限値とから、最適となる膜厚比を決定する。
具体的には、以上説明のような構成となるコンピュータプログラムを作成し、実機使用の部材についての設計計算を行う。
次に、本発明者らは、図1に示すフローに従って、図2に示す遮熱コーティング部材で形成されたタービン翼20について応力解析を行い、最適条件となるコーティング層の膜厚比を求めた。図2のようにタービン翼20は、金属製の基材21とセラミック製のコーティング層22とから形成されている。また、23は冷却用キャビティであり、24は基材厚さである。
図3は応力関係解析工程3により求められた膜厚比(遮熱コーティング膜厚/基材厚さ)と界面平行方向の応力の対応関係を示すグラフである。また、図3の応力制限値は応力制限値設定工程4により算出された応力値である。図3において、応力がマイナスであるとは、応力が圧縮応力であることを示しており、また応力の大きさは絶対値が0に近いほど応力が小さいことを示している。
図3に示す結果に明らかなように、膜厚比を増加すると応力の絶対値は0に接近するが、応力制限値を下回ったある値で極大値を取ると、緩やかに応力の絶対値が増加する方向に変化する傾向が見られた。この結果より本発明者らは、一定膜厚比を超えると膜厚比の多少の変化に対しても応力変化が急激でなく、応力制限値を超えることがない応力の安定領域が存在することを確認した。この応力の安定領域に膜厚比を設定することは遮熱コーティング部材を使用したタービンの実設計において、安全設計を考慮する上できわめて有効であると判断した。
遮熱コーティング部材を使用したタービン部材の製造時においては、コーティング層を形成する際に、基材の表面粗さや施工時のばらつきにより、設計厚さからの誤差を生じる。
本発明のコーティング部材の取扱方法によれば、あらかじめ膜厚比の変化による応力変化についてデータを収集しているため、膜厚比が応力の安定領域にあるように設計することにより、施工時のばらつきによっても応力の急激な変化が生じることがなく、安全性の高い遮熱コーティング部材製のタービンを提供することが可能である。
また、本発明の遮熱コーティング部材においては、コーティング層に縦割れを設けたことを特徴とする。コーティング層の表面に縦割れを設ける施工方法を図4に示す。
図4(A)はタービンに使用される遮熱コーティング部材の表面に施工されたコーティング層に縦割れを設ける方法を示す概念図である。
また図4(B)は、縦割れ42により遮熱コーティングの剥落の進展が防止された状態を図示したものである。
図4(A)に示すように、遮熱コーティング部材40のコーティング層41に縦割れ42を設ける局所的な部分に高周波コイル43を捲きつけ、この高周波コイル43により遮熱コーティング部材40を加熱する。同時に冷却空気を流通させコーティング層41に局所的な引張り応力を発生させる。この作用によりコーティング層41の表面に連続した縦割れ42を導入することができる。このようにして、図4(B)に示すように縦割れ42を設けることにより、遮熱コーティング部材40の表面の剥落44が進展することが防止される。
次に、遮熱コーティング部材に縦割れを施工することによる剥落の進展防止効果を調査した。
図5(A)は遮熱コーティング部材に設けた縦割れによる、部分剥落の進展の防止効果を調査する実験を示す概念図である。
また、図5(B)は、タービン翼前縁に衝突衝撃により生じた亀裂が進展しないように、タービン翼の翼高方向に縦割れを設けた状態を図示したものである。
まず、遮熱コーティング部材50に小球を衝突することによりコーティング層51の部分的な剥落52を生じさせた。次にこの遮熱コーティング部材50を熱疲労試験機53に装着してコーティング層51に縦割れ54を導入させ、さらに温度・ひずみを制御して熱疲労試験に供した。そして剥落52の寸法を赤外線法により観察し、のび計55を用いて剥落52の進展を測定した。
その結果、遮熱コーティング部材50では、小球の衝突や熱疲労試験による負荷が剥落52部に作用した場合でも剥落52の進展が縦割れ54部で効果的に防止されることが確認できた。従って、図5(B)に示すようなタービン翼の前縁に生じた剥落52の進展が縦割れ54によって防止される。
すなわち、遮熱コーティング部材において、コーティング層に縦割れを設けることにより、コーティング層の磨耗や衝突衝撃の付与により部分的な剥落が生じた場合でも、剥離部分の進展を防止し、機器の安全性を向上する効果を備えることが確認された。
次に、コーティング層のヤング率と線膨張係数との比と、応力との関係を調査した。
図6にコーティング材料のヤング率と線膨張係数との比と基材とコーティング層との界面方向の応力との対応関係を示す。
図6に明らかなように、ヤング率と線膨張係数との比が小さいほどコーティング層側の界面近傍に働く引っ張り応力および基材側の界面近傍に働く圧縮応力とも小さくなる傾向が見られた。
このことは、コーティング層のヤング率を低下させることにより、コーティング層および基材に働く応力を低減することが可能であることを示している。
本発明の遮熱コーティング部材においては、コーティング層に縦割れを設ける構成としてある。このような構成としたコーティング層は、引張り方向の応力に対してヤング率を大幅に低減することが可能である。
従って、熱負荷によってコーティング層に引張り応力が作用した場合でも、部分的にコーティング層が剥落することにより全体的な剥離が防止される。そのためコーティング層の剥離が全体的に波及することがなく、部材全体としての安全を確保することが可能である。
図7は遮熱コーティング部材70の補修方法を示す説明図である。
遮熱コーティング部材70は、基材71とコーティング層72とから形成されている。図7(A)はコーティング層72が剥落し、基材71表面が露出した状態を示している。このようにコーティング層72の剥落が生じた場合、まず基材71部分をグラインダー等により表面処理して図7(B)のように基材71を掘り下げる。次に図7(C)のように補修コーティング層73を再施工して補修する。
補修を行った補修コーティング層73部分については、基材71を掘り下げたことにより膜厚が変化するためコーティング層72と基材71との界面近傍に作用する応力値も変化する。従来の膜厚決定法においては、このような剥落の補修を行った補修コーティング層73部分の応力については十分な検討がなされていなかった。
本発明の遮熱コーティング部材の取扱方法は、補修部分についても速やかに解析し、最適設計することが可能である。すなわち、補修する際の基材の掘り下げ量は、応力解析により、高い応力を生じない膜厚比となるように決定する。
また、剥落が生じた部分は高い応力が作用した部分であると考えられるため、本発明に係る遮熱コーティング部材の取扱方法により最適膜厚比を計算することは安全設計の観点からも有効な取扱方法である。
さらに、本発明の遮熱コーティング部材の取扱方法においては、あらかじめこの補修による膜厚比の変化を想定し、補修時の安全設計を考慮した設計が可能である。従って、当初の設計段階から、遮熱コーティング部材に補修を行った場合でも、安全な応力となる膜厚比を取るように設計しておくことにより、より信頼性および安全性の高い機器を提供することが可能である。
本発明に係る遮熱コーティング部材の取扱方法により最適となる膜厚比を計算するフローチャート。 本発明に係る遮熱コーティング部材により形成したタービン翼の一例を示す断面模式図。 本発明に係る遮熱コーティング部材の取扱方法により算出した膜厚比と応力との対応関係を示すグラフと、応力制限値との関係を示すグラフ。 (A)は、本発明に係る遮熱コーティング部材のコーティング層の表面に縦割れを設ける施工方法を示す概念図、(B)は、縦割れにより遮熱コーティングの剥落進展が防止される機構を示す概念図。 (A)は、本発明に係る遮熱コーティング部材のコーティング層の表面に縦割れを設け、剥落の進展を防止する効果を調査する試験の概念図、(B)は、縦割れにより衝突衝撃による剥落の進展を防止する機構を示す概念図。 本発明に係る遮熱コーティング部材のコーティング層におけるヤング率と線膨張係数との比と、界面近傍に働く応力との対応関係を示すグラフ。 本発明に係る遮熱コーティング部材の補修方法を示す説明図。 金属を主材料とする基材と遮熱性を有するコーティング層とを一体に形成した遮熱コーティング部材により形成したタービン部材のモデル図。
符号の説明
1 使用条件設計工程
2 材料特性記憶工程
3 膜厚比−応力関係解析工程
4 応力制限値設定工程
5 膜厚決定工程
20 タービン部材
21 基材
22 コーティング層
23 冷却用キャビティ
40 遮熱コーティング部材
41 コーティング層
42 縦割れ
43 高周波コイル
50 遮熱コーティング部材
51 コーティング層
52 剥落
53 熱疲労試験機
54 縦割れ
55 のび計
70 遮熱コーティング部材
71 基材
72 コーティング層
73 補修コーティング層
80 タービン部材(モデル図)
81 基材
82 コーティング層
83 冷却用キャビティ

Claims (7)

  1. 金属を主材料とする基材と遮熱性を有するコーティング層とを一体に形成した遮熱コーティング部材において、前記コーティング層に縦割れを設けたことを特徴とする遮熱コーティング部材。
  2. 上記縦割れは遮熱コーティング部材に局所的な加熱冷却を施して形成したことを特徴とする請求項1記載の遮熱コーティング部材。
  3. 金属を主材料とする基材と遮熱性を有するコーティング層とを一体に形成する遮熱コーティング部材の取扱方法において、部材の使用条件を設定する使用条件設定工程と、基材およびコーティング層に使用する材料の物性値を入力する材料特性記憶工程と、膜厚比を変化させて温度分布および応力分布の解析を行う膜厚比−応力関係解析工程と、既知の熱疲労実験データおよび実測データより得られた膜厚と応力との関係からコーティング層に剥離を生じる限界応力値を算出する応力制限値設定工程と、これらの工程から得られた解析結果をもとに膜厚を計算する膜厚決定工程とを備え、膜厚と基材厚さとの比である膜厚比の最適値を計算することを特徴とする遮熱コーティング部材の取扱方法。
  4. 前記遮熱コーティング部材の取扱方法は、前記膜厚比−応力関係解析工程により算出された膜厚比と応力との対応関係における応力の安定領域に膜厚比を設定することにより、コーティング層の施工時の誤差により膜厚にばらつきを生じた場合であっても応力値に変動を生じない構成とすることを特徴とする請求項3記載の遮熱コーティング部材の取扱方法。
  5. 前記遮熱コーティング部材の取扱方法は、膜厚比の最適値を前記応力制限値設定工程により算出される限界応力値以下に設定することを特徴とする請求項3記載の遮熱コーティング部材の取扱方法。
  6. 前記遮熱コーティング部材の取扱方法は、コーティング層に剥離が生じた際に基材を研削する研削深さを、前記膜厚比−応力関係解析工程により算出される応力値により決定することを特徴とする請求項3記載の遮熱コーティング部材の取扱方法。
  7. 金属を主材料とする基材と遮熱性を有するコーティング層とを一体に形成した遮熱コーティング部材の取扱方法であって、前記取扱方法はコーティング層に縦割れを設けることにより、コーティング層表面の引張り応力を低減し、剥離の進展を防止することを特徴とする遮熱コーティング部材の取扱方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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