JP2019157832A - ガスタービン静翼の補修判定装置およびガスタービン静翼の補修判定方法 - Google Patents
ガスタービン静翼の補修判定装置およびガスタービン静翼の補修判定方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】ガスタービン静翼に残したき裂に起因する補修の要否を適切に判定するための環境を提供する。【解決手段】実施形態におけるガスタービン静翼の補修判定装置は、ガスタービン静翼を複数の部位に分割した各部位の現在の損傷を示す情報を入力する入力手段と、前記入力した情報をもとに、前記各部位の現在の剛性を補正する剛性補正係数を計算する補正係数計算手段と、前記計算した各部位の剛性補正係数をもとに、前記各部位に生じる応力を計算する応力計算手段と、前記計算した前記各部位に生じる応力と、前記入力した前記各部位の現在の損傷を示す情報と、ガスタービンの今後の運転条件とから、前記ガスタービン静翼の今後の損傷を計算する損傷計算手段とを有する。【選択図】 図1
Description
本発明の実施形態は、ガスタービン静翼の補修判定装置およびガスタービン静翼の補修判定方法に関する。
高温に晒されるガスタービン部品には様々な損傷が生じる。
近年は、高温化とともにガスタービンの運用中の起動停止回数が増加する傾向にあることから、ガスタービンの起動停止に伴う熱応力による疲労損傷が懸念される。
特に、ガスタービン部品の一種であるガスタービン静翼は、熱疲労による疲労き裂が生じやすい部品である。ガスタービン静翼は、多数の冷却孔や翼有効部とサイドウォールとの境界であるコーナー部など、応力集中が起こり易い箇所が多い。
また、ガスタービン静翼では、ガスパス面の高温部と、冷却される内面低温部との温度差によりかかる熱応力が高く、このような高い熱応力が生じる範囲が広い。
このように、ガスタービン静翼の損傷では、大小のき裂が複数の箇所で生じ、これらのき裂が成長および連結して大きなき裂に至るという特徴がある。
ガスタービンの定期検査において、これらのき裂が発見されると、補修基準にあわせて、き裂の補修が行なわれる。ここで、発電事業者は、ガスタービンの運用コストを最小にしたいという要求をもつ。しかし、ガスタービン部品、特にガスタービン静翼のき裂を補修するにあたって、このガスタービン静翼の形状が複雑であり、また、上記のようにガスタービン静翼に多数の大小のき裂が生じることから、き裂の補修のために多くの時間と費用がかかることが問題である。
近年は、高温化とともにガスタービンの運用中の起動停止回数が増加する傾向にあることから、ガスタービンの起動停止に伴う熱応力による疲労損傷が懸念される。
特に、ガスタービン部品の一種であるガスタービン静翼は、熱疲労による疲労き裂が生じやすい部品である。ガスタービン静翼は、多数の冷却孔や翼有効部とサイドウォールとの境界であるコーナー部など、応力集中が起こり易い箇所が多い。
また、ガスタービン静翼では、ガスパス面の高温部と、冷却される内面低温部との温度差によりかかる熱応力が高く、このような高い熱応力が生じる範囲が広い。
このように、ガスタービン静翼の損傷では、大小のき裂が複数の箇所で生じ、これらのき裂が成長および連結して大きなき裂に至るという特徴がある。
ガスタービンの定期検査において、これらのき裂が発見されると、補修基準にあわせて、き裂の補修が行なわれる。ここで、発電事業者は、ガスタービンの運用コストを最小にしたいという要求をもつ。しかし、ガスタービン部品、特にガスタービン静翼のき裂を補修するにあたって、このガスタービン静翼の形状が複雑であり、また、上記のようにガスタービン静翼に多数の大小のき裂が生じることから、き裂の補修のために多くの時間と費用がかかることが問題である。
そこで、ガスタービン静翼のき裂補修コストを抑えるための様々な方法が提案されている。
一つは、ガスタービンの運転条件をコントロールし、ガスタービン静翼のき裂発生そのものを抑止することを目的とする方法である。この方法は、ガスタービン静翼のき裂発生を抑止するための適切な補修内容の決定や、余寿命診断などを含む。ただし、ガスタービンの運用条件は過酷であり、ガスタービン静翼のき裂発生そのものを抑止することは困難である。
一つは、ガスタービンの運転条件をコントロールし、ガスタービン静翼のき裂発生そのものを抑止することを目的とする方法である。この方法は、ガスタービン静翼のき裂発生を抑止するための適切な補修内容の決定や、余寿命診断などを含む。ただし、ガスタービンの運用条件は過酷であり、ガスタービン静翼のき裂発生そのものを抑止することは困難である。
もう一つは、ガスタービン静翼に発生したき裂の補修費用を低減するためのもので、(1)ガスタービン静翼の低コスト補修、(2)ガスタービン静翼の損傷のリスク評価や損傷シミュレーションをもとにした補修内容の適正化、(3)ガスタービン静翼の異常監視によるリスク軽減、などを含む。
このうち、上記の(2)の補修内容の適正化は、ガスタービン静翼のき裂の補修の回数を減らすことで補修費用を低減しようとする方法である。
この方法を用いた場合、新しい補修装置の開発やモニタリング装置の追加が不要であることから、短期で運用コストを減らす効果が期待できる。現状でもガスタービン静翼では、部位、き裂性状によって補修判定基準が異なっており、補修内容のある程度の適正化が図られているといえる。
このうち、上記の(2)の補修内容の適正化は、ガスタービン静翼のき裂の補修の回数を減らすことで補修費用を低減しようとする方法である。
この方法を用いた場合、新しい補修装置の開発やモニタリング装置の追加が不要であることから、短期で運用コストを減らす効果が期待できる。現状でもガスタービン静翼では、部位、き裂性状によって補修判定基準が異なっており、補修内容のある程度の適正化が図られているといえる。
また、ガスタービン静翼の補修内容の更なる適正化を目的として、損傷データベースとの照合や、き裂進展シミュレーションなどを利用することで、ガスタービン静翼の将来の損傷予測を行い、き裂サイズや発生位置に応じて補修の要否を選定する技術がある。
このような技術に関連して、ガスタービンの検査者や検査方法によるき裂進展シミュレーションの誤差に着目し、この誤差を軽減するために、測定によって得られた値と実際の状態とを相関づける技術がある。
また、プラントの検査時に取得した対象部の画像情報と、これまでの点検情報とを照合して、点検の方針を決める技術がある。
また、発電設備の機器の損傷を正確に診断するため、センサから得られた情報をもとに、詳細に境界条件を決め、有限要素法による数値解析(FEM(Finite Element Method)解析と呼ぶこともある)をもとに損傷評価を行う技術がある。
また、発電設備の機器の損傷を正確に診断するため、センサから得られた情報をもとに、詳細に境界条件を決め、有限要素法による数値解析(FEM(Finite Element Method)解析と呼ぶこともある)をもとに損傷評価を行う技術がある。
上記の技術を用いて、ガスタービン静翼に生じたき裂の補修判定を行なおうとした場合には、ガスタービン静翼に特有の、多くの部位で多数生じるき裂について、き裂進展評価をしなくてはならない。
上記のように、測定によって得られた値や、これまでの点検情報に基づく技術では、評価対象とするき裂の発生状況と一致する損傷状況を特定することは困難であることが予想される。
仮に、評価対象とするき裂と非常に近い状況のき裂を特定したとしても、これまでの補修基準に達したき裂は補修されてしまっているため、現状では運転に問題がないとして、き裂を補修しなかった場合に、このき裂が次回の検査までにどの程度成長するかを判断することは困難である。
上記のように、測定によって得られた値や、これまでの点検情報に基づく技術では、評価対象とするき裂の発生状況と一致する損傷状況を特定することは困難であることが予想される。
仮に、評価対象とするき裂と非常に近い状況のき裂を特定したとしても、これまでの補修基準に達したき裂は補修されてしまっているため、現状では運転に問題がないとして、き裂を補修しなかった場合に、このき裂が次回の検査までにどの程度成長するかを判断することは困難である。
また、上記の有限要素法による数値解析を行う場合でも、精度が良い数値解析を行なったり、複数のき裂について数値解析を行なったりすることで、き裂の進展解析を行なうためには、多大な労力を要する。
即ち、現状の技術では、ガスタービン静翼に複数のき裂が生じている場合、これまでの補修基準に達したき裂を補修しなかったり、一部のき裂のみを補修したりしたために、運転中のき裂が残った場合に、このき裂が、今後の運転(例えば次回の点検までの間の運転)によりガスタービン静翼にどのような影響を与えるかを簡便に評価する方法がない。このため、現行のき裂の補修基準を変更して、き裂補修コストを抑えることができない。
本発明が解決しようとする課題は、ガスタービン静翼に残したき裂に起因する補修の要否を適切に判定するための環境を提供することが可能な、ガスタービン静翼の補修判定装置およびガスタービン静翼の補修判定方法を提供することである。
実施形態におけるガスタービン静翼の補修判定装置は、ガスタービン静翼を複数の部位に分割した各部位の現在の損傷を示す情報を入力する入力手段と、前記入力した情報をもとに、前記各部位の現在の剛性を補正する剛性補正係数を計算する補正係数計算手段と、前記計算した各部位の剛性補正係数をもとに、前記各部位に生じる応力を計算する応力計算手段と、前記計算した前記各部位に生じる応力と、前記入力した前記各部位の現在の損傷を示す情報と、ガスタービンの今後の運転条件とから、前記ガスタービン静翼の今後の損傷を計算する損傷計算手段とを有する。
本発明によれば、ガスタービン静翼に残したき裂に起因する補修の要否を適切に判定するための環境を提供することができる。
以下、実施形態について図面を用いて説明する。
まず、実施形態の理解を容易とするために、従来のガスタービン静翼の損傷判定について説明する。
図8は、従来のガスタービン静翼の損傷判定の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、従来のガスタービン静翼の損傷判定装置は、発電設備のセンサ情報を得て(S101)、発電設備の運転情報を得る(S102)。
センサ情報は、例えば、ガス温度、タービンのホイールスペース温度、圧縮機の吐出空気温度、吐出空気圧力、燃焼器の保炎器の温度、燃焼器の燃料流量、入口空気温度、入口空気圧力、入口空気湿度、入口可変翼開度、回転数、軸受振動、軸振動、軸受メタル温度などである。
また、運転情報は、例えば、起動停止回数、燃焼時間、トリップ回数(緊急停止回数)、負荷変動の回数、発電出力、発電効率、圧縮機効率などである。
まず、実施形態の理解を容易とするために、従来のガスタービン静翼の損傷判定について説明する。
図8は、従来のガスタービン静翼の損傷判定の手順の一例を示すフローチャートである。
まず、従来のガスタービン静翼の損傷判定装置は、発電設備のセンサ情報を得て(S101)、発電設備の運転情報を得る(S102)。
センサ情報は、例えば、ガス温度、タービンのホイールスペース温度、圧縮機の吐出空気温度、吐出空気圧力、燃焼器の保炎器の温度、燃焼器の燃料流量、入口空気温度、入口空気圧力、入口空気湿度、入口可変翼開度、回転数、軸受振動、軸振動、軸受メタル温度などである。
また、運転情報は、例えば、起動停止回数、燃焼時間、トリップ回数(緊急停止回数)、負荷変動の回数、発電出力、発電効率、圧縮機効率などである。
S102では、損傷判定装置は、発電設備のメンテナンス情報をさらに得てもよい。このメンテナンス情報は、定期検査時における損傷状況を数値化したデータで、例えば、損傷の寸法や面積や体積や重量およびその数、つまり、き裂長さや発生数、減肉の重量や体積や面積とその数、コーティングの剥離の面積とその数、腐食の面積とその数などである。
損傷判定装置は、S101、S102で得た情報をもとに、有限要素法による数値解析モデルの境界条件、例えば流体温度、熱伝達率、荷重条件を設定し(S103)、この境界条件を用いて、有限要素法により、ガスタービン静翼にかかる温度、応力、ひずみの数値解析を行ない(S104)、この解析結果を用いて、ガスタービン静翼の損傷解析を行ない(S105)、この解析結果である損傷結果、例えば疲労損傷率、クリープ損傷率、き裂長さ変形量を出力する(S106)。
境界条件の設定では、ガスタービン静翼の損傷解析結果と実機の損傷とを比較して、残差が最小となるような最適化を行うことで、境界条件を同定することができる。これにより、解析の精度は期待できるが、多数の変数を扱う最適化を要するため、多大な労力を要する。
境界条件の設定では、ガスタービン静翼の損傷解析結果と実機の損傷とを比較して、残差が最小となるような最適化を行うことで、境界条件を同定することができる。これにより、解析の精度は期待できるが、多数の変数を扱う最適化を要するため、多大な労力を要する。
この最適化を効率よく行うために、センサ情報と運転情報を変数として直交表に割り付けて損傷解析を実施する手法があるが、この手法では、外挿(Extrapolation)条件での評価精度が低下してしまう。
また、上記のメンテナンス情報変数として、き裂の長さや発生数、減肉量などを考慮して境界条件を設定する場合、これらの力学的取扱いが間接的になるため、外挿精度は低い。
よって、非常に労力を要する解析を経て損傷診断を行なっても、これまでは補修していた長さのき裂を残して、さらに運転した時の影響予測には適さない。
よって、非常に労力を要する解析を経て損傷診断を行なっても、これまでは補修していた長さのき裂を残して、さらに運転した時の影響予測には適さない。
そこで、本実施形態では、ガスタービン静翼のき裂を残した場合で、このき裂の長さや発生数が、今までに補修した実績がない長さや発生数であったときに、このき裂が、今後の運転においてガスタービン静翼にどのような影響を与えるかを、外挿による評価精度の低下を抑えて簡便に評価する環境を提供する。
図1は、第1の実施形態におけるガスタービン静翼の補修判定装置の機能構成例を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態における、ガスタービン静翼の補修判定装置10は、入力部11、補正係数計算部12、応力計算部13、損傷計算部14、補修要否判定部15を有する。
図1に示すように、第1の実施形態における、ガスタービン静翼の補修判定装置10は、入力部11、補正係数計算部12、応力計算部13、損傷計算部14、補修要否判定部15を有する。
この補修判定装置10は例えばコンピュータなどで実現でき、入力部11は例えばキーボード、マウスで実現できる。また、補修判定装置10は、図示しない表示装置を有する。また、補正係数計算部12、応力計算部13、損傷計算部14、補修要否判定部15の機能は、補修判定装置10内の図示しない不揮発性メモリなどの記憶装置に記憶される各種プログラムをCPU(中央処理装置)がワークメモリに読み出して実行することで実現できる。
図2は、第1の実施形態におけるガスタービン静翼の補修判定装置による動作手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、点検などで得られた、ガスタービン静翼のき裂情報を入力し、このき裂を補修せず、ガスタービンをある期間運転した場合に推定される損傷の結果をもとに、補修の要否を判定することについて説明する。
まず、入力部11は、点検などで得られた、ガスタービン静翼の現在の損傷状況、つまり損傷を示す情報を入力する(S1)。ここでは、損傷状況は、例えば、疲労損傷、クリープ損傷、クリープ疲労損傷、時効劣化特性などである。また、本実施形態では、補修判定の対象となる部品を幾つかの部位に予め分割(区分)しておき、入力部11は、これら分割した各部位について現在の損傷状況を入力する。
図3は、第1の実施形態におけるガスタービン静翼の補修判定装置による損傷状況の入力のための静翼の分割の一例を示す図である。図3(a)は、背側からみた、冷却孔29が開けられた翼有効部27を分割線30で区切った例を示し、図3(b)は、腹側からみた、冷却孔29が開けられた翼有効部28を分割線30で区切った例を示す。
本実施形態では、補修判定の対象となるガスタービン静翼を、翼前縁部、翼後縁部、翼背側、翼腹側という、翼有効部の翼コード(chord)方向の分割と、翼有効部の内周側から外周側にかけた分割とを組合せたマトリックスとして各部位に分割する。この分割の主な目的は、後述する計算に用いるためであり、特別な制約はない。
ただし、不必要に細かい分割になることを避けるためと、ガスタービン静翼を複数の部位に分割することを補助して損傷状況の入力を容易にするために、補修判定装置10は、ガスタービン静翼のこれまでの損傷データや、ガスタービン静翼の補修基準を図示しない表示装置に出力して発電事業者向けに表示しても良い。
また、本実施形態では、同様の分割は、図示しないサイドウォール部についても行われてもよい。
ただし、不必要に細かい分割になることを避けるためと、ガスタービン静翼を複数の部位に分割することを補助して損傷状況の入力を容易にするために、補修判定装置10は、ガスタービン静翼のこれまでの損傷データや、ガスタービン静翼の補修基準を図示しない表示装置に出力して発電事業者向けに表示しても良い。
また、本実施形態では、同様の分割は、図示しないサイドウォール部についても行われてもよい。
次に、補正係数計算部12は、各部位の損傷状況の入力データを用いて、各部位の損傷がない状態の剛性に対する各部位の損傷状態の剛性の比である、現在の剛性補正係数を計算する(S2)。
各部位を抜出して、き裂長さ、き裂深さ、き裂の数、減肉量などの損傷状況を模擬して解析すれば剛性補正係数を技術的に求めることは可能である。しかし、この方法は時間を要するので、短時間での判定が要求される補修判定には適さない。
また、見つかったき裂をモデル化し、破壊力学手法などを用いて、き裂進展解析(き裂進展推移の推定)を行うことは理論的には可能であるが、時間がかかるため上記の補修判定には、やはり適さない。
各部位を抜出して、き裂長さ、き裂深さ、き裂の数、減肉量などの損傷状況を模擬して解析すれば剛性補正係数を技術的に求めることは可能である。しかし、この方法は時間を要するので、短時間での判定が要求される補修判定には適さない。
また、見つかったき裂をモデル化し、破壊力学手法などを用いて、き裂進展解析(き裂進展推移の推定)を行うことは理論的には可能であるが、時間がかかるため上記の補修判定には、やはり適さない。
そこで、本実施形態では、補修要否の判定に必要な情報は、き裂進展過程の詳細な情報ではなく、このき裂が、まだ大きなき裂や多数のき裂が生じていない他の部位の今後の損傷にどう影響し得るかを示す情報であることに着目した。
さらに、本実施形態では、ガスタービン静翼の応力解析結果では、この静翼に生じる応力は、(1)燃焼ガスに接する表面部と、冷却される内部との温度差に起因する局所的な熱応力、(2)比較的狭い範囲、例えば静翼内での温度分布に起因する熱応力、および(3)静翼全体の熱応力とガス圧応力とのバランスに起因する応力、に分けて考えられることに着目した。
そして、これらの応力の中では、(1)表面部と内部との温度差に起因する局所的な熱応力と、(2)比較的狭い範囲での温度分布に起因する熱応力、が比較的大きい。また、前者の(1)の局所的な熱応力は、き裂進展への影響は非常に小さく、後者の(2)の熱応力は、き裂が浅い場合には、き裂進展にほとんど影響しない。
即ち、ガスタービン静翼に生じたき裂は、上記の(1)の局所的な熱応力により短期間で成長し、このき裂が十分に成長して貫通き裂としての長さが十分になると他の部位の応力に影響すると考えれば良く、上記のき裂進展解析を行わなくても分割した各部位でのき裂推移を推定できる。
つまり、S2では、FEM解析などによって損傷を詳細にモデル化して剛性を正確に求めることは不要であり、各部位ごとに、き裂長さについての閾値を設け、この閾値に達すると、この部位の剛性補正係数を1から0にするという作業をすれば、ガスタービン静翼のき裂進展解析を十分に行なえる。
なお、入力部11は、損傷状況のパラメータとして、ガスタービン静翼の上記のき裂長さに限らず、ガスタービン静翼のき裂深さ、き裂の数や密度、トータルき裂長さなどの少なくとも1つを入力し、補正係数計算部12は、この入力したパラメータと当該パラメータの閾値とをもとに剛性補正係数を計算しても良い。また、上記の閾値も1および0の2値ではなく、多段階の値であっても良い。また、き裂の発生方向を考慮して、剛性補正係数が異方性を有する複数の剛性補正係数であっても良い。
なお、入力部11は、損傷状況のパラメータとして、ガスタービン静翼の上記のき裂長さに限らず、ガスタービン静翼のき裂深さ、き裂の数や密度、トータルき裂長さなどの少なくとも1つを入力し、補正係数計算部12は、この入力したパラメータと当該パラメータの閾値とをもとに剛性補正係数を計算しても良い。また、上記の閾値も1および0の2値ではなく、多段階の値であっても良い。また、き裂の発生方向を考慮して、剛性補正係数が異方性を有する複数の剛性補正係数であっても良い。
次に、入力部11は、ガスタービンの運転情報を入力し、この運転情報を応力計算部13に送る(S3)。この運転情報は、ガスタービンのこれまでの運転時間と運転パターン(運転条件(例えば出力の時間特性))、およびガスタービンの今後の運転時間と運転パターンを含む。
次に、応力計算部13は、S2で求めた、各部位の現在の剛性補正係数、および、S3で入力した運転情報を用いて、各部位にかかる応力を計算する(S4)。
S4では、応力計算部13は、FEM解析により、ガスタービン静翼のこれまでの運転時間、これまでの運転パターンに基づく応力、つまり、現在までに各部位に発生する応力を計算する。
また、応力計算部13は、FEM解析により、ガスタービン静翼の今後の運転時間、今後の運転パターン、およびS2で計算した剛性補正係数に基づく応力、つまり、今後に各部位に発生する応力を計算する。
S4では、応力計算部13は、FEM解析により、ガスタービン静翼のこれまでの運転時間、これまでの運転パターンに基づく応力、つまり、現在までに各部位に発生する応力を計算する。
また、応力計算部13は、FEM解析により、ガスタービン静翼の今後の運転時間、今後の運転パターン、およびS2で計算した剛性補正係数に基づく応力、つまり、今後に各部位に発生する応力を計算する。
また、図示していないが、FEM解析にあたり、応力計算部13は、(1)ガスタービン静翼の寸法データ、(2)ガスタービン静翼の材料データ、(3)ガスタービン静翼の温度分布、(4)ガスタービンに静翼にかかるガス圧分布、(5)ガスタービン静翼の固定状況、などの条件を得る。なお、ガスタービン静翼の分割部位が多くない場合、もしくは分割部位が多くても損傷により剛性が変化する部位が多くない場合には、実験計画法などにより各部位の応力を予め求めておけば、応力計算部13は、短時間で応力を計算できる。
次に、損傷計算部14は、ガスタービン静翼のき裂進展、つまり分割された部位での損傷を計算する(S5)。この損傷値は、表示装置に出力することもできる。
具体的には、まず、応力計算部13が、ガスタービン静翼の現在までの運転時間およびこれまでの運転パターンから求めた、現在までに各部位に発生する応力をもとに、損傷計算部14は、各部位のこれまでの損傷量(現在までに発生した損傷量)を求める。
具体的には、まず、応力計算部13が、ガスタービン静翼の現在までの運転時間およびこれまでの運転パターンから求めた、現在までに各部位に発生する応力をもとに、損傷計算部14は、各部位のこれまでの損傷量(現在までに発生した損傷量)を求める。
そして、応力計算部13が、ガスタービン静翼の今後の運転時間、今後の運転パターン、剛性補正係数とから求めた、今後に各部位に発生する応力をもとに、損傷計算部14は、各部位の今後の損傷量(現在から今後にわたって発生する損傷量)を求める。
そして、損傷計算部14は、上記求めた、各部位のこれまでの損傷量と各部位の今後の損傷量との和から各部位の最終的な損傷量を算出する。これにより、ガスタービン静翼のき裂進展が計算できる。S5の損傷量の計算は、運用条件から決まる各部位の損傷形態としての、各部位の材料の疲労損傷、クリープ損傷、クリープ疲労損傷、時効劣化特性に合わせてなされる。
次に、補修要否判定部15は、S5で求められた各部位の最終的な損傷量と閾値との比較により、ガスタービン静翼の補修要否を判定する(S6)。例えば、S5で算出した各部位の最終的な損傷量が閾値を超えたときは、その部位にはき裂を伴う損傷が生じると判定できる。この判定結果は表示装置に表示できる。
また、補修要否判定部15は、損傷計算部14により計算した損傷の確率と、この損傷の補修にかかるコストとを用いて、損傷リスクを計算し、この損傷リスクをもとに、補修の要否を判定してもよい。
また、補修要否判定部15は、損傷計算部14により計算した損傷の確率と、この損傷の補修にかかるコストとを用いて、損傷リスクを計算し、この損傷リスクをもとに、補修の要否を判定してもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、ガスタービン静翼の損傷を補修しないで運用した場合の各部位の損傷状況と、各部位の損傷による剛性の変化とを用いて、ガスタービン静翼の応力を簡便に計算でき、また、計算したガスタービン静翼の応力から次回点検までのき裂進展の推定も簡便に行える。
これによって、補修の実績がない損傷についても、発電事業者は、ガスタービン静翼のき裂進展の計算結果をもとに、き裂の適切な補修計画を立案できる。
これによって、補修の実績がない損傷についても、発電事業者は、ガスタービン静翼のき裂進展の計算結果をもとに、き裂の適切な補修計画を立案できる。
(第1の実施形態の変形例)
ここで、第1の実施形態の変形例について説明する。
図4は、第1の実施形態におけるガスタービン静翼の補修判定装置の機能構成の変形例を示す図である。
図4に示した例では、補修判定装置10aは、図1に示した入力部11、補正係数計算部12、応力計算部13、補修要否判定部15を備え、また、図1に示した損傷計算部14に代えて、損傷計算部14aを有する。損傷計算部14aの機能は、補修判定装置10内の記憶装置に記憶されるプログラムをCPUがワークメモリに読み出して実行することで実現できる。
ここで、第1の実施形態の変形例について説明する。
図4は、第1の実施形態におけるガスタービン静翼の補修判定装置の機能構成の変形例を示す図である。
図4に示した例では、補修判定装置10aは、図1に示した入力部11、補正係数計算部12、応力計算部13、補修要否判定部15を備え、また、図1に示した損傷計算部14に代えて、損傷計算部14aを有する。損傷計算部14aの機能は、補修判定装置10内の記憶装置に記憶されるプログラムをCPUがワークメモリに読み出して実行することで実現できる。
図5は、第1の実施形態におけるガスタービン静翼の補修判定装置による動作手順の変形例を示すフローチャートである。
ガスタービンの今後の運転時間(次回点検までの運転時間)が長い場合は、多数の部位が新たなき裂発生部位となる可能性がある。この場合、新たなき裂発生による剛性の変化の影響がある。そこで、第1の実施形態の変形例では、上記のS1乃至S4の後で、損傷計算部14aは、S4で計算した応力とS3で入力した運転情報とをもとに、現在を起点とした、ガスタービン静翼のいずれかの部位に最初に新たな損傷が生じるまでの時間と、この生じる損傷の部位(損傷量を含む)とを計算する(S11)。
ガスタービンの今後の運転時間(次回点検までの運転時間)が長い場合は、多数の部位が新たなき裂発生部位となる可能性がある。この場合、新たなき裂発生による剛性の変化の影響がある。そこで、第1の実施形態の変形例では、上記のS1乃至S4の後で、損傷計算部14aは、S4で計算した応力とS3で入力した運転情報とをもとに、現在を起点とした、ガスタービン静翼のいずれかの部位に最初に新たな損傷が生じるまでの時間と、この生じる損傷の部位(損傷量を含む)とを計算する(S11)。
そして、この損傷が生じるまでの時間が、ガスタービンの今後の運転時間より長くない、つまり、今後の運転期間中に新たな損傷が生じる場合(S12のNo)、補正係数計算部12は、S11で計算した、最初に新たな損傷が生じる部位について、当該新たな損傷を反映した損傷状況をもとに、この損傷が発生した部位の剛性補正係数を再計算する(S13)。
そして、S13で再計算された、最初に新たな損傷が生じる部位の剛性補正係数と、S3で入力した運転情報における今後の運転時間をもとに、応力計算部13は、上記の最初に新たな損傷が生じる部位の応力を再計算する(S14)。
そして、損傷計算部14aは、S13で再計算された応力とS3で入力された運転情報とをもとに、上記の最初に新たな損傷が生じるタイミングを起点とした、ガスタービン静翼のいずれかの部位に、次に損傷が生じるまでの時間と、この生じる損傷の部位(損傷量を含む)とを計算し(S15)、S12に戻る。
また、S11またはS15で計算した、損傷が生じるまでの時間が、ガスタービンの今後の運転時間より長い、つまり、今後の運転期間中に新たな損傷が生じない場合(S12のYes)、上記で説明したS6に移る。
上記のように、第1の実施形態の変形例では、次回点検までの今後の運転期間中に新たな損傷が見込まれる場合に、この損傷を考慮して剛性補正係数および応力が再計算されるので、運転後の損傷をより適切に求めることができる。
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態における、第1の実施形態と同様の部分の詳細な説明は省略する。
第1の実施形態におけるS6では、補修要否判定部15は、ガスタービン静翼のき裂の発生状況と閾値との比較に応じて補修要否を判断している。
この閾値は、事業者による経験や補修に関する知識に基づいて決定されるものであるため、上記の補修判定の結果は、事業者による判断による影響を大きく受ける。
また、上記のように、損傷計算部14により計算した損傷の確率と、この損傷の補修にかかるコストとを用いて、損傷リスクを計算し、この損傷リスクをもとに、補修の要否を判定することは可能である。
しかし、上記の損傷リスクの評価で重要である、各種の機器の損傷確率は、ガスタービンの運用実績や補修実績をもとに計算される。
次に第2の実施形態について説明する。この第2の実施形態における、第1の実施形態と同様の部分の詳細な説明は省略する。
第1の実施形態におけるS6では、補修要否判定部15は、ガスタービン静翼のき裂の発生状況と閾値との比較に応じて補修要否を判断している。
この閾値は、事業者による経験や補修に関する知識に基づいて決定されるものであるため、上記の補修判定の結果は、事業者による判断による影響を大きく受ける。
また、上記のように、損傷計算部14により計算した損傷の確率と、この損傷の補修にかかるコストとを用いて、損傷リスクを計算し、この損傷リスクをもとに、補修の要否を判定することは可能である。
しかし、上記の損傷リスクの評価で重要である、各種の機器の損傷確率は、ガスタービンの運用実績や補修実績をもとに計算される。
このため、上記のリスク評価は、ガスタービン静翼のき裂を残した場合で、このき裂の長さや発生数が、今までに補修した実績がない長さや発生数であったときに、このき裂が、今後の運転においてガスタービン静翼にどのような影響を与えるかを、外挿による評価精度の低下を抑えて簡便に評価することには適さない。
図6は、第2の実施形態におけるガスタービン静翼の補修判定装置の機能構成例を示す図である。
図6に示すように、第2の実施形態におけるガスタービン静翼の補修判定装置10bは、第1の実施形態で説明した入力部11、補正係数計算部12、応力計算部13、損傷計算部14を備え、さらに、補修要否判定部15aと健全性判定部16を備える。補修要否判定部15aと健全性判定部16の機能は、補修判定装置10内の記憶装置に記憶されるプログラムをCPUがワークメモリに読み出して実行することで実現できる。
図6に示すように、第2の実施形態におけるガスタービン静翼の補修判定装置10bは、第1の実施形態で説明した入力部11、補正係数計算部12、応力計算部13、損傷計算部14を備え、さらに、補修要否判定部15aと健全性判定部16を備える。補修要否判定部15aと健全性判定部16の機能は、補修判定装置10内の記憶装置に記憶されるプログラムをCPUがワークメモリに読み出して実行することで実現できる。
図7は、第2の実施形態におけるガスタービン静翼の補修判定装置による動作手順の一例を示すフローチャートである。
この第2の実施形態では、第1の実施形態で説明したS1乃至S5の後で、補正係数計算部12は、S5において計算した損傷量である、今後の新たな損傷が生じる部位について発生する、今後の損傷量を反映した損傷状況をもとに、上記の新たな損傷が発生する部位の剛性補正係数を再計算する(S16)。
そして、応力計算部13は、S16で計算された剛性補正係数を用いて、ガスタービン静翼の運転における健全性(生じた損傷を次回点検まで補修せずとも運転に問題がないか否かを示す)を評価するための解析条件(例えば、上記の今後の損傷が生じたタイミングを起点とした、今後の運転時間と運転パターン)で、上記の新たな損傷が発生する部位にかかる応力を再計算する(S17)。
この第2の実施形態では、第1の実施形態で説明したS1乃至S5の後で、補正係数計算部12は、S5において計算した損傷量である、今後の新たな損傷が生じる部位について発生する、今後の損傷量を反映した損傷状況をもとに、上記の新たな損傷が発生する部位の剛性補正係数を再計算する(S16)。
そして、応力計算部13は、S16で計算された剛性補正係数を用いて、ガスタービン静翼の運転における健全性(生じた損傷を次回点検まで補修せずとも運転に問題がないか否かを示す)を評価するための解析条件(例えば、上記の今後の損傷が生じたタイミングを起点とした、今後の運転時間と運転パターン)で、上記の新たな損傷が発生する部位にかかる応力を再計算する(S17)。
そして、健全性判定部16は、S17で計算された各部位の応力と設定応力(応力の閾値)とを比較することで、ガスタービン静翼としての健全性を判定する(S18)。この判定結果は、表示装置に出力することができる。
上記の健全性は、複数の条件、例えば、(1)ガスタービン静翼の機能を維持する条件や(2)ガスタービンを停止させないために必要な条件を含む。よってS17とS18は、これらの条件に対応して、必要なだけ実行される。
健全性判定部16は、上記の(1)ガスタービン静翼の機能を維持する条件、(2)ガスタービンを停止させないために必要な条件の内、き裂の連結に伴う部位の脱落、遮熱コーティングの大規模な剥離などにかかる健全性を、対象部位の応力を閾値にして判定できる。一方、健全性判定部16は、対象部位の変形による性能低下、き裂開口による冷却異常などにかかる健全性を、この部位の変形を閾値にして判定できる。
S18での評価結果を用いて、補修要否判定部15aは、ガスタービン静翼の補修の要否を最終的に判定する(S19)。この判定結果は、表示装置に出力することができる。
上記の健全性は、複数の条件、例えば、(1)ガスタービン静翼の機能を維持する条件や(2)ガスタービンを停止させないために必要な条件を含む。よってS17とS18は、これらの条件に対応して、必要なだけ実行される。
健全性判定部16は、上記の(1)ガスタービン静翼の機能を維持する条件、(2)ガスタービンを停止させないために必要な条件の内、き裂の連結に伴う部位の脱落、遮熱コーティングの大規模な剥離などにかかる健全性を、対象部位の応力を閾値にして判定できる。一方、健全性判定部16は、対象部位の変形による性能低下、き裂開口による冷却異常などにかかる健全性を、この部位の変形を閾値にして判定できる。
S18での評価結果を用いて、補修要否判定部15aは、ガスタービン静翼の補修の要否を最終的に判定する(S19)。この判定結果は、表示装置に出力することができる。
以上説明した第2の実施形態では、新たに生ずるとして計算した損傷を考慮して、剛性補正係数と応力とを再計算し、この計算結果に応じて、ガスタービン静翼の健全性を判定するので、ガスタービン静翼のき裂を残した場合で、このき裂の長さや発生数が、今までに補修した実績がない長さや発生数であったときに、このき裂が、今後の運転においてガスタービン静翼にどのような影響を与えるかを、外挿による評価精度の低下を抑えて簡便に評価することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10,10a,10b…補修判定装置、11…入力部、12…補正係数計算部、13…応力計算部、14…損傷計算部、15,15a…補修要否判定部、16…健全性判定部。
Claims (12)
- ガスタービン静翼を複数の部位に分割した各部位の現在の損傷を示す情報を入力する入力手段と、
前記入力した情報をもとに、前記各部位の現在の剛性を補正する剛性補正係数を計算する補正係数計算手段と、
前記計算した各部位の剛性補正係数をもとに、前記各部位に生じる応力を計算する応力計算手段と、
前記計算した前記各部位に生じる応力と、前記入力した前記各部位の現在の損傷を示す情報と、ガスタービンの今後の運転条件とから、前記ガスタービン静翼の今後の損傷を計算する損傷計算手段と
を備えたガスタービン静翼の補修判定装置。 - 前記ガスタービン静翼を複数の部位に分割することを補助するための、前記ガスタービン静翼のこれまでの損傷データ、前記ガスタービン静翼の補修基準の少なくとも1つを出力する
請求項1に記載のガスタービン静翼の補修判定装置。 - 前記応力計算手段は、
前記ガスタービン静翼の寸法データ、前記ガスタービン静翼の材料データ、前記ガスタービン静翼の温度分布、前記ガスタービンに静翼にかかるガス圧分布、および前記ガスタービン静翼の固定状況の少なくとも1つと、前記計算した各部位の剛性補正係数とをもとに、前記各部位に生じる応力を計算する
請求項1に記載のガスタービン静翼の補修判定装置。 - 前記入力手段は、
前記ガスタービンの現在までの運転情報、および、前記ガスタービンの今後の運転情報を入力し、
前記応力計算手段は、
前記入力した、前記ガスタービンの現在までの運転情報をもとに、現在までに前記各部位に生じる応力を計算し、前記入力した、前記ガスタービンの今後の運転情報と前記各部位の剛性補正係数とをもとに、今後に前記各部位に生じる応力を計算し、
前記損傷計算手段は、
前記計算した、現在までに前記各部位に生じる応力と、前記入力した、前記ガスタービンの現在までの運転情報とをもとに、現在までの前記各部位の損傷量を計算し、前記計算した、今後に前記各部位に生じる応力と、前記入力した、前記ガスタービンの今後の運転情報とをもとに、今後の前記各部位の損傷量を計算する
請求項1に記載のガスタービン静翼の補修判定装置。 - 前記分割した各部位は、
翼有効部の翼コード方向の分割と、前記翼有効部の内周側から外周側の分割とを組合せたマトリックスからなる
請求項1に記載のガスタービン静翼の補修判定装置。 - 前記入力手段は、
前記各部位の損傷状況として、前記ガスタービン静翼のき裂長さ、き裂深さ、き裂の数、き裂の密度、トータルき裂長さの少なくとも1つのパラメータを入力し、
前記補正係数計算手段は、
前記入力したパラメータと当該パラメータの閾値とをもとに、前記剛性補正係数を計算する
請求項1に記載のガスタービン静翼の補修判定装置。 - 前記各部位の剛性補正係数は、異方性を有する複数の剛性補正係数である
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のガスタービン静翼の補修判定装置。 - 前記補正係数計算手段は、
前記損傷計算手段により計算した損傷が、前記ガスタービンの今後の運転時間内に新たに発生する損傷である場合は、この損傷を反映した損傷状況をもとに、この損傷が生じる部位の剛性補正係数を再計算し、
前記応力計算手段は、
前記損傷計算手段により計算した損傷が、前記ガスタービンの今後の運転時間内に新たに発生する損傷である場合は、前記再計算した剛性補正係数をもとに、この損傷が生じる部位に生じる応力を再計算し、
前記損傷計算手段は、
前記損傷計算手段により計算した損傷が、前記ガスタービンの今後の運転時間内に発生する損傷である場合は、前記再計算した応力をもとに、前記今後の損傷を再計算する
請求項1に記載のガスタービン静翼の補修判定装置。 - 前記補正係数計算手段は、
前記損傷計算手段により計算した損傷を反映した損傷状況をもとに、この損傷が生じる部位の剛性補正係数を再計算し、
前記応力計算手段は、
前記再計算された剛性補正係数を用いて、前記損傷が生じる部位の応力を再計算し、
前記再計算した応力と閾値とを比較して前記損傷が生じる部位の健全性を判定する健全性判定手段とをさらに備えた
請求項1に記載のガスタービン静翼の補修判定装置。 - 前記健全性は、前記ガスタービン静翼の機能を維持する条件を満たすか否か、および、前記ガスタービンを停止させない条件を満たすか否かのいずれかを示し、
前記応力計算手段は、
前記計算した応力がかかる部位の変形量を計算し、
前記健全性判定手段は、
前記健全性を、前記計算した応力または変形量のいずれかをもとに計算する
請求項9に記載のガスタービン静翼の補修判定装置。 - 前記損傷計算手段により計算した損傷と、前記計算した損傷の補修にかかるコストとを用いて、前記ガスタービンの損傷リスクを計算し、この損傷リスクをもとに、前記補修の要否を判定する補修要否判定部をさらに備える
請求項1乃至10のいずれか1項に記載のガスタービン静翼の補修判定装置。 - ガスタービン静翼を複数の部位に分割した各部位の現在の損傷を示す情報を入力し、
前記入力した情報をもとに、前記各部位の現在の剛性を補正する剛性補正係数を計算し、
前記計算した各部位の剛性補正係数をもとに、前記各部位に生じる応力を計算し、
前記計算した前記各部位に生じる応力と、前記入力した前記各部位の現在の損傷を示す情報と、ガスタービンの今後の運転条件とから、前記ガスタービン静翼の今後の損傷を計算する
ガスタービン静翼の補修判定方法。
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JP2018049571A JP2019157832A (ja) | 2018-03-16 | 2018-03-16 | ガスタービン静翼の補修判定装置およびガスタービン静翼の補修判定方法 |
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KR102201477B1 (ko) * | 2020-06-23 | 2021-01-13 | 한전케이피에스 주식회사 | 모델링 시스템 및 상기 모델링 시스템을 이용하여 터빈 로터를 수리하는 방법 |
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2018
- 2018-03-16 JP JP2018049571A patent/JP2019157832A/ja active Pending
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