JP2005338597A - 光学フイルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 支持体の上に液晶化合物を塗布し、空気側界面と支持体側界面とを有する液晶化合物層を形成する工程、そして、液晶化合物層の形成と同時または形成後に、液晶化合物層に磁場を印加し、液晶化合物層の空気側界面における液晶化合物の平均チルト角が、液晶化合物層の支持体側界面における液晶化合物の平均チルト角よりも大きく、それらの差が10度以上となるように液晶化合物をハイブリッド配向させる工程により光学フイルムを製造する。
【選択図】 図1
Description
例えば、円盤状液晶化合物を用いて、TNモードやOCBモードの液晶セルを光学的に補償する場合、円盤状液晶化合物の円盤面の傾斜角(平均チルト角)が液晶化合物層の厚み方向で変化するようにハイブリッド配向させることが好ましいとされている(例えば、特許文献2、4および5参照)。このような光学補償シートを製造するためには、液晶化合物の配向を制御する方法が重要である。
また、配向膜は、原則としてラビング処理を必要とする。ラビング処理を実施するために、光学フイルムの製造工程を一つ追加する必要がある。また、ラビング処理を実施すると、塵が発生する問題も指摘されている。
本発明は、配向膜を使用することなく、液晶化合物をハイブリッド配向させることも課題とする。
(1)支持体の上に(配向膜を設けることなく)液晶化合物を塗布し、空気側界面と支持体側界面とを有する液晶化合物層を形成する工程、そして、液晶化合物層の形成と同時または形成後に、液晶化合物層に磁場を印加し、液晶化合物層の空気側界面における液晶化合物の平均チルト角が、液晶化合物層の支持体側界面における液晶化合物の平均チルト角よりも大きく、それらの差が10度以上となるように液晶化合物をハイブリッド配向させる工程からなる光学フイルムの製造方法。
(3)液晶化合物が重合性基を有し、重合反応により液晶化合物の配向状態を固定する(2)に記載の光学フイルムの製造方法。
(4)液晶化合物の液晶転移温度よりも高い温度で磁場を印加する工程を実施し、磁場を印加しながら液晶転移温度よりも低い温度まで冷却することにより液晶化合物の配向状態を固定する(2)に記載の光学フイルムの製造方法。
(5)支持体の上に下塗り層を設け、下塗り層の上に液晶化合物を塗布する(1)に記載の光学フイルムの製造方法。
(6)液晶化合物が、円盤状液晶化合物である(1)に記載の光学フイルムの製造方法。
また、液晶化合物の方位角は、液晶化合物の光軸(円盤状液晶化合物では円盤面の法線方向、棒状液晶性化合物では長軸方向)を界面に投影して得られる直線の方向を意味する。磁場の方位角は、印加する磁場の方向を界面に投影して得られる直線の方向を意味する。
ただし、配向膜の機能の強弱で自然にハイブリッド配向させる方法では、ハイブリッド配向の状態になるまでに時間がかかり、シュリーレン欠陥も発生しやすい。また、配向膜は、原則としてラビング処理を必要とする。
磁場は、液晶化合物の方位角の決定については、液晶化合物層内で均一かつ充分に作用する。従って、磁場を印加すると、方位角については、液晶化合物は磁場の方位角とほぼ同じ方向で均一に配向する。ところが、液晶化合物の傾斜角については、支持体側界面と空気側界面との違いが大きく、磁場が均一に作用しても、傾斜角が変化しやすいことが判明した。すなわち、支持体側界面では、支持体側の物質(すなわち、支持体または下塗り層の構成成分)との相互作用で液晶化合物は相対的に水平に配向する傾向がある。一方、空気側界面では、空気との関係で液晶化合物は水平には配向しにくい(相対的に傾斜して配向しやすい)傾向がある。磁場を均一に作用させても、これらの傾向が残存し、その結果として、液晶化合物をハイブリッド配向させることができる。
図1は、本発明の基本的な概念を示す模式図である。
本発明の製造方法は、下記の工程1〜4で実施することが好ましい。なお、下記1〜4から選ばれる複数の工程を同時に実施してもよい。ただし、1から4までの順序が逆転することはない。
工程2:下塗り層(2)上に、液晶化合物層(3)を形成する。
工程3:液晶化合物層(3)に磁場(S(点線)N)を印加して、液晶化合物(d1、d2、d3)をハイブリッド配向させる。
工程4:液晶化合物層(3)における液晶化合物(d1、d2、d3)の配向状態を固定する。
一般に、液晶化合物層(3)の空気側界面(3a)における液晶化合物(d3)の平均チルト角(α)は、磁場のチルト角(θ)に近い角度になる。具体的には、αとθは、|α−θ|<10°であることが好ましく、|α−θ|<7°であることがより好ましく、|α−θ|<5°であることがさらに好ましく、|α−θ|<3°であることが最も好ましい。
支持体は、透明であることが好ましい。透明とは、具体的には、光透過率が80%以上であることが好ましい。ただし、本発明に従って、不透明支持体上に液晶化合物層を形成し、液晶の配向状態を固定してから、液晶化合物層を(不透明支持体とは別の)透明支持体に転写することもできる。
ロール状の光学補償フイルムを製造する場合は、円筒状に巻き取ることができるポリマーフイルムを支持体として用いることが好ましい。
ポリマーフイルムを構成するポリマーの例は、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースジアセテート)、ノルボルネン系ポリマーおよびポリオレフィン系ポリマー(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリエステル(例、ポリカーボネート)やポリスルホンを含む。市販のポリマー(ノルボルネン系ポリマーでは、ARTON(日本合成ゴム(株)製)およびゼオネックス(日本ゼオン(株)製))を用いてもよい。
ポリマーは、セルロースエステルが好ましく、セルロースの低級脂肪酸エステルがさらに好ましい。低級脂肪酸とは、炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。特に、炭素原子数が2(セルロースアセテート)、3(セルロースプロピオネート)または4(セルロースブチレート)が好ましい。セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートのようなセルロースの混合脂肪酸エステルを用いることもできる。
セルロースアセテートの酢化度は、55.0〜62.5%が好ましく、57.0〜62.0%がさらに好ましい。酢化度は、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算によって求められる。
セルロースアセテートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。セルロースアセテートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の分子量分布が狭いことが好ましい。Mw/Mnの値は、1.0〜4.0が好ましく、1.0〜1.65がさらに好ましく、1.0〜1.6が最も好ましい。
6位置換度が高いセルロースアセテートは、特開平11−5851号公報の合成例1(0043〜0044)、合成例2(0048〜0049)および合成例3(0051〜0052)を参照して合成することができる。
支持体のRthレターデーション値は、40〜400nmが好ましい。
支持体のReレターデーション値およびRthレターデーション値は、それぞれ、下記式(I)および(II)で定義される。
(I) Re=(nx−ny)×d
(II) Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
支持体にセルロースアセテートフイルムを用いる場合、セルロースアセテートフイルムの複屈折率(Δn:nx−ny)は、0.00025〜0.00088であることが好ましい。また、セルロースアセテートフイルムの厚み方向の複屈折率{(nx+ny)/2−nz}は、0.00088〜0.005であることが好ましい。
表面処理の例は、化学処理、機械処理、コロナ放電処理、火焔処理、UV処理、高周波処理、グロー放電処理、活性プラズマ処理およびオゾン酸化処理を含む。グロー放電処理が特に好ましい。
下塗り層を、透明支持体上に、透明支持体と光学異方性層との接着強度を増大させるために設けることが好ましい。
下塗り層は、ポリマーの塗布層である。ポリマーは、疎水性ポリマー、親水性ポリマー疎水性と親水性基とを有するポリマー、それら併用のいずれでもよい。
支持体を構成するポリマーを膨張させ、下塗り層を構成するポリマーと界面で混合することにより、密着性を改善することもできる。この方法は、支持体を構成するポリマーが疎水性で、下塗り層を構成するポリマーが親水性である場合に特に有効である。
セルロースの誘導体は、セルロースエステルおよびセルロースエーテル(例、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース)を含む。合成ポリマーは、ラテックスの状態で使用してもよい。
ゼラチンは、0.11〜20000ppmの範囲で不純物、例えば、金属(例、Na、K、Li、Rb、Ca、Mg、Ba、Ce、Fe、Sn、Pb、Al、Si、Ti、Au、Ag、Zn、Ni)、金属イオン、陰イオン(例、F−、Cl−、Br−、I−、硫酸イオン、硝酸イオン、酢酸イオン)、アンモニウムイオンを含有していてもよい。
石灰処理ゼラチンは、一般に、CaやMgのイオンを含有する。ただし、それらの含有量は、3000ppm以下であることが好ましく、1000ppm以下であることがさらに好ましく、500ppm以下であることが最も好ましい。
下塗り層をゼラチンで構成する場合、ゼラチン硬化剤を用いることができる。ゼラチン硬化剤の例は、クロム塩(例、クロム明ばん)、アルデヒド(例、ホルムアルデヒド、グルタールアルデヒド)、イソシアネート、エピクロルヒドリン樹脂、ポリアマイド−エピクロルヒドリン樹脂、シアヌルクロリド化合物、ビニルスルホン化合物、スルホニル系化合物、カルバモイルアンモニウム塩化合物、アミジニウム塩化合物、カルボジイミド化合物、ピリジニウム塩を含む。
無機微粒子を構成する無機材料は、シリカ(SiO2)、二酸化チタン(TiO2)、炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムを含む。
有機微粒子を構成する有機材料は、一般にポリマー(例、ポリメチルメタクリレート、セルロースアセテートプロピオネート、ポリスチレン)である。有機微粒子を構成するポリマーについては、米国特許第4142894号に記載がある。
微粒子の平均粒径は、0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmがさらに好ましい。
マット剤の添加量は、0.5乃至600mg/m2が好ましく、1乃至400mg/m2がさらに好ましい。
液晶化合物層は、液晶化合物から形成する。
液晶化合物は、棒状液晶化合物または円盤状液晶化合物が好ましく、円盤状液晶化合物がさらに好ましい。
液晶化合物は、通常の低分子液晶化合物に加えて、高分子液晶化合物(液晶ポリマー)を含む。また、本発明の方法において、液晶化合物を重合または架橋することにより、液晶性が失われてもよい。
棒状液晶化合物については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。
棒状液晶化合物は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、不飽和重合性基またはエポキシ基が好ましく、不飽和重合性基がさらに好ましく、エチレン性不飽和重合性基が最も好ましい。
円盤状液晶化合物から形成される液晶化合物層化合物は、円盤状液晶化合物と同じ化合物である必要はなく、液晶性を示す必要もない。例えば、熱または光で反応する基を有する低分子の円盤状液晶化合物を、熱または光により重合または架橋させ、高分子量化することによって層を形成する場合、液晶化合物層中に含まれる化合物は液晶性を失うことが普通である。円盤状液晶化合物については、特開平8−50206号公報に記載がある。円盤状液晶化合物の重合については、特開平8−27284号公報に記載がある。
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Qは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
L2:−AL−CO−O−AL−O−
L3:−AL−CO−O−AL−O−AL−
L4:−AL−CO−O−AL−O−CO−
L5:−CO−AR−O−AL−
L6:−CO−AR−O−AL−O−
L7:−CO−AR−O−AL−O−CO−
L8:−CO−NH−AL−
L9:−NH−AL−O−
L10:−NH−AL−O−CO−
L12:−O−AL−O−
L13:−O−AL−O−CO−
L14:−O−AL−O−CO−NH−AL−
L15:−O−AL−S−AL−
L16:−O−CO−AR−O−AL−CO−
L17:−O−CO−AR−O−AL−O−CO−
L18:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−CO−
L19:−O−CO−AR−O−AL−O−AL−O−AL−O−CO−
L20:−S−AL−
L21:−S−AL−O−
L22:−S−AL−O−CO−
L23:−S−AL−S−AL−
L24:−S−AR−AL−
式(III)において、nは4〜12の整数である。具体的な数字は、円盤状コア(D)の種類に応じて決定される。なお、複数のLとQの組み合わせは、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
ポリマーは、セルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテートブチレート)が好ましい。ポリマーの添加量は、円盤状液晶化合物の配向を阻害しないように調節することが好ましい。ポリマーの添加量は、円盤状液晶化合物に対して0.1〜10質量%が好ましく、0.1〜8質量%がさらに好ましく、0.1〜5質量%の範囲にあることが最も好ましい。
塗布液の表面張力を低下させるため、塗布液に、界面活性剤、フッ素化合物またはフッ素ポリマーを添加することが好ましい。フッ素化合物は、下記式(3)で表されるフルオロ脂肪族基含有モノマーが好ましい。
塗布液の配向膜への塗布は、公知の方法(例、ワイヤーバーコーティング法、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。塗布量は、液晶化合物層の所望の厚みに基づいて決定する。
液晶化合物層の粘度は、液晶化合物の分子構造によって適宜制御できる。また、前述した添加剤(特に、セルロースエステルのようなポリマーやゲル化剤)を適量使用することで、所望の粘度に調整することもできる。
本発明では、液晶セルの製造(二枚の配向膜の間に液晶を注入)とは、液晶化合物層を一つの配向膜の上に形成する。よって、形成される液晶化合物層は、空気側界面と配向膜側界面とを有する。
液晶化合物層の形成と同時または形成後に、磁場を印加して、液晶化合物をハイブリッド配向させる(配向工程)。液晶化合物層を乾燥する工程(乾燥工程)を実施する場合、配向工程は、乾燥工程と同時または乾燥工程後に実施できる。
乾燥工程の温度は、塗布液に用いた溶媒の沸点および支持体および配向膜の素材により決定する。
配向工程における加熱温度(配向温度)は、一般に、液晶化合物の液晶転移温度以上の温度である。
加熱は、所定の温度に調整した温風を、フイルムに送風することによって実施できる。また、所定の温度に維持された加熱室内で、フイルムを搬送してもよい。
前述したように、液晶化合物の方位角については、原則として磁場の方位角で決定できる。
チルト角の変化は、連続的増加、間欠的増加、連続的増加と連続的減少を含む変化、あるいは、増加および減少を含む間欠的変化が可能である。間欠的変化は、厚さ方向の途中で傾斜角が変化しない領域を含んでいる。
角度変化は、チルト角の変化しない領域を含んでいても、全体として増加または減少していればよい。ただし、チルト角は連続的に変化する方が好ましい。
磁場の方位角は、液晶化合物の方位角として想定している角度で印加することが好ましい。磁場の方位角と、液晶化合物の平均方位角との差は、10°未満が好ましく、7°未満がより好ましく、5°未満がさらに好ましく、3°未満が最も好ましい。
磁場強度は、0.1テスラ以上であることが好ましく、1.0テスラ以上であることがさらに好ましい。
複数の磁石を束にして用いて、広いフイルム面全体に対して同時に磁場を印加してもよい。また、一定方向に磁場を生じさせた領域内でフイルムを搬送することにより、磁場を印加することもできる。
磁場の印加と同時、または磁場の印加後に、液晶化合物の配向状態を固定することが好ましい。
例えば、液晶化合物の液晶転移温度よりも高い温度で磁場を印加する工程を実施し、磁場を印加しながら液晶転移温度よりも低い温度まで冷却することにより液晶化合物の配向状態を固定することができる。
ただし、重合性基を有する液晶化合物を用いて、重合反応により液晶化合物の配向状態を固定することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれる。光重合反応が好ましい。
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%の範囲にあることが好ましく、0.5〜5質量%の範囲にあることがさらに好ましい。
光重合反応を促進するため、加熱しながら光照射を実施してもよい。光照射は、フイルムを1以上の光源が上下および左右のいずれかの位置に配置された搬送路を通過させることによって実施することができる。
形成した液晶化合物層の光学特性を、連続的に測定することにより検査する検査工程を実施してもよい。
液晶化合物層の上に、保護層を設けることもできる。例えば、予め準備した保護層用フイルムを、液晶化合物層の表面に連続的にラミネートすることができる。
ロール状の光学フイルムを製造する場合、長尺状のフイルムを巻き取る工程を実施する。巻き取りは、例えば、連続的に搬送されるフイルムを、円筒状の芯に巻きつけることによって実施できる。ロール形態に巻き取ると、大量に製造する場合にもその取り扱いが容易であり、そのままの形態で保管・搬送できる。
その他の光学フイルムの製造工程および使用可能な装置については、特開平9−73081号公報に記載がある。
製造した光学フイルムは、光学補償フイルムとして特に有利に用いられる。
光学補償フイルムは、液晶表示装置、特にTN方式またはOCB方式の透過型液晶表示装置、あるいはECB方式の反射型液晶表示装置に有利に用いられる。
透過型液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。
光学補償フイルムは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。光学補償フイルムを偏光板の保護フイルムとして用いると、偏光板が光学補償フイルムの機能も兼ねるので、液晶表示装置の薄型・軽量化の点で好ましい。
(支持体の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液
────────────────────────────────────────
酢化度60.9%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 300質量部
メタノール(第2溶媒) 45質量部
染料(住化ファインケム(株)製、360FP) 0.0009質量部
────────────────────────────────────────
得られた支持体の幅は1340mmであり、厚さは92μmであった。
エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長590nmにおけるReレターデーション値を測定したところ、38nmであった。また、波長590nmにおけるRthレターデーション値を測定したところ、175nmであった。
支持体上に、下塗り層として厚さ0.1μmのゼラチン層を塗布により形成した。
102Kgのメチルエチルケトンに、下記の円盤状液晶化合物41.01Kg、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリアクリレート(V#360、大阪有機化学(株)製)4.06Kg、セルロースアセテートブチレート(CAB531−1、イーストマンケミカル社製)0.35Kg、光重合開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー社製)1.35Kg、増感剤(カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.45Kg、クエン酸エステル(三協化学製 AS3)0.45Kgを溶解した。溶液に、フルオロ脂肪族基含有共重合体(メガファックF780 大日本インキ(株)製)を0.1Kg加えて塗布液を調製した。
室温から100℃に連続的に加温する工程で溶媒を乾燥させた。
130℃の乾燥ゾーンで、磁場のチルト角(図1のθ)が62°磁場の強度が0.7テスラとなるように磁場を印加しながら、液晶化合物層を約90秒間加熱し、円盤状液晶化合物を配向させた。磁場の方位角は、光学フイルムの長手方向に対して、45°とした。
フイルムを25℃の乾燥ゾーンに搬送し、フイルムの表面温度が68℃の状態で、紫外線照射装置(紫外線ランプ:出力160W/cm、発光長1.6m)により、照度600mWの紫外線を4秒間照射し、重合反応を進行させて、円盤状液晶化合物をその配向に固定した。
その後、室温まで放冷し、円筒状に巻き取ってロール状の形態にした。このようにして、ロール状光学フイルムを作製した。
さらに、サンプルから液晶化合物層のみを剥離し、液晶化合物の方位角の平均方向を測定したところ、光学フイルムの長手方向に対して、45°であった。
さらに、偏光板をクロスニコル配置とし、得られた光学補償フイルムのムラを観察したところ、正面、および法線から60°まで傾けた方向から見ても、ムラは検出されなかった。
また、偏光顕微鏡下にて光学フイルムを観察したところ、シュリーレン欠陥は見られなかった。
平均重合度1700、ケン化度99.5mol%のポリビニルアルコールフイルム(厚み80μm、幅2500mm)を40℃の温水中で8倍に縦一軸延伸し、そのままヨウ素0.2g/l、ヨウ化カリウム60g/lの水溶液中に30℃にて5分間浸漬し、次いでホウ酸100g/l、ヨウ化カリウム30g/lの水溶液中に浸漬した。このときフイルム幅1300mm、厚みは17μmであった。
さらにこのフイルムを水洗層にて20℃、10秒間浸漬した後、ヨウ素0.1g/l、ヨウ化カリウム20g/lの水溶液中に30℃にて15秒間浸漬し、このフイルムを室温にて24時間乾燥してヨウ素系偏光膜を得た。
偏光膜の長手方向、支持体の長手方向、市販のトリアセチルセルロースフイルムの長手方向は、全て平行になるように配置した。このようにして片面に光学フイルム、他方の面に市販のトリアセチルセルロースフイルムを有する偏光板を作製した。
偏光子の長手方向、支持体の長手方向、反射防止機能付きフイルムの長手方向とが全て平行になるように配置した。このようにして、片面に光学フイルム、他方の面に市販の反射防止機能付きフイルムを有する偏光板を作製した。
ITO電極付きのガラス基板に、ポリイミド膜を配向膜として設け、配向膜にラビング処理を行った。得られた二枚のガラス基板をラビング方向が平行となる配置で向かい合わせ、セルギャップを4.5μmに設定した。セルギャップにΔnが0.1396の液晶化合物(ZLI1132、メルク社製)を注入し、ベンド配向液晶セルを作製した。液晶セルの大きさは20インチであった。
作製したベンド配向セルを挟むように、片面に光学フイルム、他方の面に市販の反射防止機能付きフイルムを有する偏光板を視認側に、片面に光学フイルム、他方の面に市販のトリアセチルセルロースフイルムを有する偏光板をバックライト側に各々貼り付けた。偏光板の液晶化合物層がセル基板に対面し、液晶セルのラビング方向とそれに対面する液晶化合物層のラビング方向とが反平行となるように配置した。
また、正面コントラスト(CR:白表示の輝度/黒表示の輝度)を求めたところ、500との高いコントラストが得られた。
液晶化合物層に磁場を印加せずに約90秒間加熱した以外は、実施例1と同様にし、光学フイルムを作製した。
偏光顕微鏡下にて光学フイルムを観察したところ、液晶化合物は全く配向していなかった。
2 下塗り層
3 液晶化合物層
3a 空気側界面
3b 支持体側界面
α 空気側界面における平均チルト角
β 支持体側界面における平均チルト角
θ 磁場のチルト角
d1、d2、d3 液晶化合物
S(点線)N 磁場方向
Claims (6)
- 支持体の上に液晶化合物を塗布し、空気側界面と支持体側界面とを有する液晶化合物層を形成する工程、そして、液晶化合物層の形成と同時または形成後に、液晶化合物層に磁場を印加し、液晶化合物層の空気側界面における液晶化合物の平均チルト角が、液晶化合物層の支持体側界面における液晶化合物の平均チルト角よりも大きく、それらの差が10度以上となるように液晶化合物をハイブリッド配向させる工程からなる光学フイルムの製造方法。
- 磁場の印加と同時または印加後に、液晶化合物の配向状態を固定する工程を実施する請求項1に記載の光学フイルムの製造方法。
- 液晶化合物が重合性基を有し、重合反応により液晶化合物の配向状態を固定する請求項2に記載の光学フイルムの製造方法。
- 液晶化合物の液晶転移温度よりも高い温度で磁場を印加する工程を実施し、磁場を印加しながら液晶転移温度よりも低い温度まで冷却することにより液晶化合物の配向状態を固定する請求項2に記載の光学フイルムの製造方法。
- 支持体の上に下塗り層を設け、下塗り層の上に液晶化合物を塗布する請求項1に記載の光学フイルムの製造方法。
- 液晶化合物が、円盤状液晶化合物である請求項1に記載の光学フイルムの製造方法。
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JP2004159436A Pending JP2005338597A (ja) | 2004-05-28 | 2004-05-28 | 光学フイルムの製造方法 |
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2004
- 2004-05-28 JP JP2004159436A patent/JP2005338597A/ja active Pending
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