JP2005337067A - 蒸気タービン配管異材溶接構造および同溶接構造部の熱処理方法 - Google Patents

蒸気タービン配管異材溶接構造および同溶接構造部の熱処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005337067A
JP2005337067A JP2004154978A JP2004154978A JP2005337067A JP 2005337067 A JP2005337067 A JP 2005337067A JP 2004154978 A JP2004154978 A JP 2004154978A JP 2004154978 A JP2004154978 A JP 2004154978A JP 2005337067 A JP2005337067 A JP 2005337067A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pipe
steel
welding
heat treatment
turbine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004154978A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuaki Ikeda
一昭 池田
Daisuke Asakura
大輔 朝倉
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP2004154978A priority Critical patent/JP2005337067A/ja
Publication of JP2005337067A publication Critical patent/JP2005337067A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Arc Welding In General (AREA)
  • Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)

Abstract

【課題】蒸気タービン配管にW入りの2Cr鋼管や9〜12Cr鋼管のような高強度材を用いた場合、配管肉厚の薄肉化を図るとともに、薄肉化による材料コストを大幅に低減することができるようにする。
【解決手段】蒸気タービン部材の鋳鋼品と短管の異材溶接において、両材料の材料特性を確保するために、熱処理方法として異材溶接部の両材料に対し、高周波コイル6,7,8により、それぞれの材料の熱処理条件になるように電流、電圧を調整する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、蒸気タービンプラントにおける2CrMoV鋳鋼等の低合金鋼製タービンケーシング等と、それに溶接接合される9〜12Cr鋼等からなる高合金鋼製配管等との異材溶接構造および熱処理技術に係り、特に溶接材料として9〜12Cr鋼またはW入りのCr鋼等の高合金鋼を適用した場合に、溶接材料および溶接部の材料強度等の特性を確保することができ、それにより配管等の薄肉化の実現が図れる蒸気タービン配管異材溶接構造および同溶接構造部の熱処理方法に関するものである。
一般に、蒸気タービンプラントのタービンケーシングには、1〜2重量%CrMo鋼等の低合金鋼が適用され、この鋳鋼製タービンケーシングには、エルボや短管が溶接にて接合される。
また、弁またはタービン部品のケーシングについても、タービンケーシングと同様に、1〜2重量%CrMo鋼からなる低合金鋼が適用され、これらのタービン部品に接続される短い配管(以下、「短管」という。)にも1〜2重量%CrMo鋼等の低合金鋼が用いられ、かつこれらの溶接材料についても同一組成の材料が適用されてきた。
従来、このようなタービンケーシングやタービン部品(以下、これらを「タービンケーシング等」という。)に溶接される配管の材料には、タービンケーシングと同様の1〜2重量%CrMo鋼等の低合金鋼が用いられ、かつこれらの溶接材料についても同一組成の材料が適用されてきた。
このように、従来の一般的な蒸気タービンにおいては、低合金製のケーシングと配管等の溶接に同一組成の材料が用いられ、溶接後の熱処理としては溶接部を含む接合部分の全体に対し同一温度で焼鈍等の処理が行われ、一定の材料特性の確保と残留応力の低減とが図られていた。
ところで近年においては、タービンケーシング等に従来と同様の1〜2重量%CrMo鋼等の低合金鋼を用い、これに接合される配管等の材料に高Cr鋼等の高合金鋼を適用し、これにより配管材料の薄肉化を図ることが検討されている。この場合には、ケーシング素材と熱処理温度が異なる高合金鋼等とを溶接する異材溶接部が形成される。
この異材溶接における、溶接材料の選択および溶接後の熱処理条件は、低合金鋼または高合金鋼のいずれかの材料の熱処理温度を基準にして行われることになる。
通常では溶接材料として低合金鋼が適用され、熱処理条件も低合金鋼である鋳鋼ケーシングの応力除去焼鈍温度(SR温度)に合わせることが多い。
また、溶接後の熱処理として、電気炉等により全体焼鈍を行うのが一般的であり、現地作業等では高周波誘導加熱により行うことも多々ある。
しかし、このような低合金鋼側を基準として溶接材料および熱処理温度を設定した場合には、配管材料に対する熱処理温度は特性確保のための所定温度よりも低くなることになる。このため、高合金鋼製の配管を適用する場合の溶接時における材料特性の低下だけでなく、熱処理温度が低い場合には、溶接部の特性、特に延性、靭性の低下が著しく、また残留応力も完全に除去されない等の問題があった。
なお、従来の技術として、蒸気タービンを用いた発電プラント等の配管系等において、異質材料の接続部分を構成する異材継手の溶接方法として、減厚の発生防止と熱応力の低下を図り、強度的にも安定して使用に耐える接合部の得られる技術が提案されている。
この提案では、例えば2.25CrMo鋼と9Cr鋼との溶接に関し、溶接材料としてNi基合金、2.25Cr−1Mo鋼、または9Cr鋼等を適用することが開示されている(特許文献1参照)。
ただし、どのような熱処理を行うかにより、実際の溶接品質および構造特性等に差が生じるにも拘らず、この従来技術においては、熱処理技術について明確な開示がない。
特開2000−220403号公報
上述したように、従来では、低合金鋼および高合金鋼の異材溶接部について、溶接材料として低合金材料が適用され、溶接後の熱処理条件も低合金である鋳鋼ケーシングの応力除去焼鈍温度(SR温度)に合わせており、この溶接後の熱処理は電気炉等により全体焼鈍を行うのが一般的であった。
このような低合金側を基準として溶接材料および熱処理温度を設定した場合には、高合金鋼からなる配管材料に対する熱処理温度が、特性確保のための所定温度よりも低くなり、高合金鋼配管材料の溶接時における溶接材料の特性低下だけでなく、熱処理温度が低い場合には、溶接部の材料特性、特に延性、靭性の低下が著しく、また残留応力も完全に除去されない問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、蒸気タービンの低合金鋼と高合金鋼との異材溶接部の材料特性を向上させ、溶接後の残留応力をも低減させることができ、特に衝撃靭性値の著しい改善、ひいては溶接部とともに機器の信頼性を向上させることができ、さらに配管肉厚の薄肉化およびそれによる材料コストの大幅な低減等が図れる蒸気タービン配管異材溶接構造および同溶接構造部の熱処理方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、既設の蒸気タービンプラントにおける蒸気配管の高強度化材料の適用による配管の薄肉化の検討、およびCrMoV鋳鋼等からなる低合金鋼と、9〜12Cr鋼を含む高合金鋼、その他各種合金からなる高合金鋼との異材溶接部の溶接材料の検討を行ってきた。さらに、溶接後の材料特性を確保するために望ましい熱処理方法についても検討を重ねてきた。
この結果、CrMoV鋳鋼からなる低合金鋼と、9〜12Cr鋼からなる高合金鋼またはWを含む高合金鋼等との異材溶接部の溶接材料については、高強度配管材料である9〜12Cr鋼の組成に合わせた材料を用いることにより、CrMoV鋳鋼からなる低合金側の溶接希釈に伴う材料特性の低下を有効に防止できることを見出した。
すなわち、本発明者らは、既設の蒸気タービンケーシングと溶接構造にて接合されている蒸気配管材料として9〜12重量%Cr鋼材を用いることにより配管の薄肉化を大幅に図ることができるとともに、溶接部の材料特性を低下させない溶接材料、溶接後の熱処理方法を発明するに至った。
まず、本発明者らは既設プラントの蒸気配管材料として高合金鋼を用いることにより配管肉厚を従来の2/3以下にできることを見出した。肉厚が薄くなると配管過熱時の内外面の温度差を従来材に比べて著しく小さくすることができ、溶接後の応力除去焼鈍等の熱処理において材料特性面から内外面の強度差をも小さくすることができる。
構造溶接ならびに補修溶接において使用する溶接材料としては、一般的に母材強度の弱い材料に合わせるが、異材継手となるため溶接部の強度を重視するとともに溶接時の希釈にともなう溶着金属の特性低下を抑制する。この時の溶接材料としては高強度の溶接材料を用い、高温特性を付与するため、W入りのCr鋼または高強度配管材料と同一成分系の溶接材料とすることが望ましい。
また、高周波誘導加熱またはニクロム線等を用いた加熱によって、低合金鋼側と高合金鋼側との間に軸方向に沿って傾斜的に温度差を設ける、いわゆる傾斜熱処理を行うことにより、溶接部の材料特性の確保と残留応力の低減が顕著であることが判明した。
すなわち、低合金と高合金との溶接施工終了後に、応力除去焼鈍を行うことになるが、この熱処理施工において両鋼種の母材強度と残留応力除去のために高合金側の熱処理温度を高く、低合金側の熱処理温度を低くし、両材料の間で温度勾配を設けることにより最適な熱処理施工を行うことができる。
具体的には、下記(1)〜(5)の事項が明確となった。
(1)低合金製の蒸気タービンケーシングとの配管材料として9〜12Cr鋼材を用いることにより、従来のSTPA24規格(JIS)に基づく配管の薄肉化が可能となり、材料コストを下げることが可能となる。
(2)低合金鋼と高合金鋼との異材溶接における溶接材料として、2.25Cr−0.5Mo−2W材または高強度配管材料の組成と同一組成材を用いることにより低合金側の溶接部の希釈量を低減させ、材料特性の低下を最小限とすることが可能となる。
(3)低合金鋼と高合金鋼との溶接施工終了後に、応力除去焼鈍を行うことになるが、この熱処理施工において両鋼種の母材強度と残留応力除去のために高合金鋼側の熱処理温度を高く、低合金鋼側の熱処理温度を低くし、両材料の間で温度勾配を設けることにより最適な熱処理施工を行うことができる。すなわち、低合金鋼と高合金鋼とのそれぞれの溶接後における応力除去焼鈍温度を満足するように高周波誘導加熱またはニクロム線等を溶接部近傍に設置し、中央の溶接金属部位を含んで温度勾配を作る傾斜熱処理を行うことにより、材料強度および延・靭性の確保、残留応力の低減を図ることが可能となる。
(4)誘導加熱範囲としては、溶接金属幅の1.5倍〜3倍とすることにより、溶接熱影響部の硬化域を軟化することが可能となる。
(5)高合金鋼を溶接材料として用いることにより、配管の薄肉化が図られるため、熱処理の際における加熱時の配管内外面の温度差を小さくすることができ、内外の温度差を約50℃程度にすることが可能となる。
本発明はかかる知見に基づいて成されたものであり、請求項1に係る発明では、CrMoV鋳鋼からなる低合金鋼製のタービンケーシングと、9〜12Cr鋼からなる高合金鋼製の配管とが、前記9〜12Cr鋼を溶接材料として溶接接合された蒸気タービン配管異材溶接構造であって、前記配管の肉厚が40〜60mm、前記溶接材料の衝撃靭性値が少なくとも35J、かつ前記タービンケーシングおよび前記配管における溶接熱影響部の衝撃靭性値が少なくとも50Jであることを特徴とする蒸気タービン配管異材溶接構造を提供する。なお、衝撃靭性値はシャルピー試験による計測値を示す。
請求項2に係る発明では、CrMoV鋳鋼からなる低合金鋼製のタービンケーシングと、Crを含む高合金鋼からなる配管とが、Wを0.9〜2.0重量%含むCr鋼を溶接材料として溶接接合された蒸気タービン配管異材溶接構造であって、前記配管の肉厚が40〜60mm、前記溶接材料の衝撃靭性値が少なくとも35J、かつ前記タービンケーシングおよび前記配管における溶接熱影響部の衝撃靭性値が少なくとも50Jであることを特徴とする蒸気タービン配管異材溶接構造を提供する。
請求項3に係る発明では、CrMoV鋳鋼からなる低合金鋼製タービン部品としての弁またはケーシングと、このタービン部品に接続される9〜12Cr鋼製またはCを含む高合金鋼製の短管とが、前記9〜12Cr鋼またはWを0.9〜2.0重量%含むCr鋼を溶接材料として溶接接合された蒸気タービン配管異材溶接構造であって、前記短管の肉厚が40〜60mm、前記溶接材料の衝撃靭性値が少なくとも35J、かつ前記タービン部品および前記短管における溶接熱影響部の衝撃靭性値が少なくとも50Jであることを特徴とする蒸気タービン配管異材溶接構造を提供する。計器類とは、圧力計、温度計、その他の各種計測機器を含む。
請求項4に係る発明では、CrMoV鋳鋼からなる低合金鋼製のタービンケーシングと、9〜12Cr鋼製またはCを含む高合金鋼製の配管とを、前記9〜12Cr鋼またはWを0.9〜2.0重量%含むCr鋼を溶接材料として溶接接合した後に、前記タービンケーシング側から溶接部を経て前記配管側に亘る一定の領域に熱処理として、前記タービンケーシング側を低温側、前記配管側を高温側とし、前記低温側を最低680℃、前記高温側を最高770℃でそれぞれ加熱し、かつそれらの中間領域である前記溶接材料部分に前記各温度を基点とする緩やかな勾配の傾斜的温度分布を与えて応力除去焼鈍処理を行うことを特徴とする蒸気タービン配管異材溶接構造部の熱処理方法を提供する。
請求項5に係る発明では、CrMoV鋳鋼からなる低合金鋼製タービン部品としての弁またはケーシングと、このタービン部品に接続される9〜12Cr鋼製またはCを含む高合金鋼製の短管とを、前記9〜12Cr鋼またはWを0.9〜2.0重量%含む入りのCr鋼を溶接材料として溶接接合した後、前記タービン部品側から溶接部を経て前記短管側に亘る一定の領域に熱処理として、前記タービン部品側を低温側、前記短管側を高温側とし、前記低温側を最低680℃、前記高温側を最高770℃でそれぞれ加熱し、かつそれらの中間領域である前記溶接材料部分に前記各温度を基点とする緩やかな勾配の傾斜的温度分布を与えて応力除去焼鈍処理を行うことを特徴とする蒸気タービン配管異材溶接構造部の熱処理方法を提供する。
請求項6に係る発明では、前記応力除去焼鈍処理における加熱領域は、前記溶接部の溶接材料部分を含み、かつ前記溶接部分における管軸方向に沿う全幅の1.5倍以上、3倍以下の範囲に設定する請求項4または5記載の蒸気タービン配管異材溶接構造部の熱処理方法を提供する。
請求項7に係る発明では、前記応力除去焼鈍処理における加熱手段として管外周側に巻装される高周波誘導コイルまたは電熱コイルを使用し、この高周波コイルまたは電熱コイルは、前記加熱領域に亘り、供給電流および電圧の少なくともいずれかが異なる複数種類のものを前記温度分布に対応して配置する請求項6記載の蒸気タービン配管異材溶接構造部の熱処理方法を提供する。
請求項8に係る発明では、前記応力除去焼鈍処理において、前記配管の内面と外表面との温度差が、前記配管内の非加熱状態下で50℃以内とされる請求項4から7までのいずれかに記載の蒸気タービン配管異材溶接構造部の熱処理方法を提供する。
本発明によれば、蒸気タービン配管にW入りの2Cr鋼管や9〜12Cr鋼管のような高強度材を用いた場合、配管肉厚の薄肉化を図るとともに、薄肉化による材料コストを大幅に低減することができる。
また、これらの鋼管をCrMoV鋳鋼のような低合金鋼と溶接する場合には、高強度配管材料と同一組成の溶接材料を用いて溶接し、両鋼種の応力除去焼鈍温度にて傾斜熱処理を行うことにより、溶接金属および溶接熱影響部の特に衝撃靭性値を著しく改善することができ、構造溶接部とともに機器の信頼性をも向上させることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、蒸気タービン配管異材溶接構造部を示す構成図であり、図2は、同溶接構造部の熱処理方法を示す説明図(図1のA部拡大図)である。
図1に示すように、タービンケーシング1は、胴部1aおよび配管接続用管部1bを一体に有している。このタービンケーシング1の胴部1aおよび管部1bは、低合金鋼であるCrMoV鋳鋼製とされている。
タービンケーシング1の管部1bには、配管2が溶接部3を介して溶接接合されている。この配管2は、高合金である9〜12Cr鋼製とされている。溶接部3の溶接材料には、9〜12Cr鋼またはWを0.9〜2.0重量%含むCr鋼が適用されている。
また、図1に示すように、配管2には、低合金鋼製タービン部品としての弁4または図示省略の計器類、例えば圧力計、温度計、その他の各種計測機器が短管を介して溶接接合されている。以下、タービン部品として代表的に弁4を掲げて説明するが、上記の各種計器類の内容についても同様である。
弁4のケーシング(弁ケーシング)は、低合金鋼であるCrMoV鋳鋼製とされており、弁4との間に接続される図示省略の短管は、9〜12Cr鋼製またはCを含むCr鋼製とされている。弁4と短管との溶接材料は、9〜12Cr鋼またはWを0.9〜2.0重量%含むCr鋼が適用されている。
タービンケーシング1の管部1bに接続される配管2および弁4に接続される配管の肉厚は、40〜60mmとされている(以下、これらの配管を代表して「配管2」として説明する。)。
また、配管2の溶接材料の衝撃靭性値は、少なくとも35Jとされ、かつタービンケーシング1の管部1bおよび配管2における溶接熱影響部の衝撃靭性値(シャルピー試験による計測値)は、少なくとも50Jとされている。
次に、図2によって配管異材溶接構造部の熱処理方法について説明する。
図2に示すように、CrMoV鋳鋼からなる低合金鋼製のタービンケーシング1の管部1bと、9〜12Cr鋼製またはCを含む高合金鋼製の配管2とを、9〜12Cr鋼またはWを0.9〜2.0重量%含むCr鋼を溶接材料として溶接接合し、溶接部3により接合した。
この溶接後に、タービンケーシング1側から溶接部3を経て配管2側に亘る一定の領域(加熱域)5に傾斜的温度分布を与えて熱処理を行った。
傾斜的温度分布を与える熱処理として、タービンケーシング1の管部1b側を低温側、配管2側を高温側とし、低温側を最低680℃で加熱し、高温側を最高770℃で加熱した。
この場合、本実施形態では、応力除去焼鈍処理における加熱手段には、配管2および管部1aの外周側に巻装される高周波誘導コイルまたは電熱コイル6,7,8を使用した。
この高周波コイルまたは電熱コイル6,7,8は、加熱領域に亘り、供給電流および電圧の少なくともいずれかが異なる複数種類のものを上述の温度分布に対応して配置した。
すなわち、加熱域5のうち、配管2側の端部の溶接熱影響9と、タービンケーシング1の管部1a端部の熱影響部10と、これら溶接熱影響9を除く中間領域11とに対し、電熱コイル6,7,8を対応させて配置し、加熱温度に温度差を与えた。
これにより、中間領域11である溶接部(溶接材料部分)3には、各温度(低温側680℃、高温側770℃)を基点とする緩やかな勾配の傾斜的温度分布を与えて、応力除去焼鈍処理を行った。すなわち、熱処理方法として異材溶接部の両材料に熱電対を設け、高周波コイル6,7,8により、それぞれの材料の熱処理条件になるように電流、電圧を調整した。
さらに、応力除去焼鈍処理においては、配管2の内面と外表面との温度差を、配管2内の非加熱状態下で50℃以内に設定した。
ここで、応力除去焼鈍処理における加熱領域の設定は、溶接部3の溶接材料部分を含み、かつ溶接材料部分における管軸方向に沿う全幅の1.5倍以上、3倍以下の範囲とした。これは溶接熱影響部も完全に加熱することにより、材料特性改善と残留応力を除去するものである。加熱温度は高強度配管(高合金)側で770℃、CrMoV鋳鋼(低合金)側で690℃とし、両側溶接金属幅の1.5倍の範囲を傾斜熱処理することにより、両鋼種とともに溶接金属、溶接熱影響部を一度の熱処理で終了させることができる。この時の加熱保持時間は板厚25mmに対し1時間とした。
なお、上述した弁4の短管溶接部についても、同様の溶接および熱処理を行った。
以上の熱処理の結果について、図3〜図8(表1〜表6)を参照して、具体的な実施例を従来例とともに対比して説明する。
[第1実施例(表1)]
表1は、従来の低合金配管を用いた場合と、本発明による高強度配管材料を用いた場合の溶接後における配管肉厚変化を示している。
Figure 2005337067
この第1実施例では、表1に示すように、従来の低合金配管によるSTPA24(CrMoV鋳鋼)の肉厚変化率を1とした場合、高強度配管材料である9Cr鋼製配管の肉厚変化率は0.8となり、12Cr鋼製配管の肉厚変化率は0.7となり、タングステン入りCr鋼(2Cr―W)製配管の肉厚変化率は0.87となった。
このように、本実施形態により、溶接後における配管の肉厚変化率が低減することが確認された。
[第2実施例(表2)]
表2は、従来の低合金配管を用いた場合の溶接後における割れ率と同様の割れ率を確保するために必要な予熱温度を対比して示したものである。
Figure 2005337067
この第2実施例では、表2に示すように、従来の低合金配管によるSTPA24(CrMoV鋳鋼)について一定の割れ率を確保するために必要な予熱温度が150℃であるのに対し、本発明による高強度配管材料の9Cr鋼製配管、12Cr鋼製配管、タングステン入りCr鋼(2Cr―W)製配管のいずれにおいても、一定の割れ率を確保するために必要な予熱温度が150℃であり、従来の予熱処理と同等で済み、余分な予熱処理を施す必要がないことが確認された。
[第3実施例(表3)]
表3は、従来の低合金配管を用いた場合の溶接材料の引張強さと、本発明による高強度配管材料を用いた場合の溶接材料における引張強さとを対比して示している。
Figure 2005337067
この第3実施例では、表3に示すように、CrMoV鋳鋼と高強度配管材料の異材溶接部における溶接後の応力除去焼鈍(SR)としての傾斜熱処理を行うことにより、材料特性の変化を最小限に抑制することができる。
すなわち、従来の低合金配管によるSTPA24(CrMoV鋳鋼)の引張強さは611MPaであるのに対し、本発明による高強度配管材料のタングステン入りCr鋼(2Cr―W)製配管の引張強さは735MPa、9Cr鋼製配管の引張強さは711MPa、12Cr鋼製配管の引張強さは818MPaと、従来材に比して向上することが確認された。
[第4実施例(表4,表5)]
表4は、従来の低合金溶接材料を適用した場合の溶接熱影響部の衝撃靭性値(シャルピー衝撃靭性値(J))の低下度合と、本発明による高強度材料を適用した場合の溶接熱影響部の衝撃靭性値(シャルピー衝撃靭性値(J))の低下度合とを対比して示している。
Figure 2005337067
この表4に示すように、従来材(2CrMo鋼)では、溶接金属のシャルピー衝撃靭性値が162Jであるのに対し、溶接熱影響部のシャルピー衝撃靭性値が110Jと大幅に低下した。
これに対し、本発明による高強度配管材料のタングステン入りCr鋼(2Cr―W)では、溶接金属のシャルピー衝撃靭性値が84Jであるのに対し、溶接熱影響部のシャルピー衝撃靭性値は129Jと高まった。また、9Cr鋼では、溶接金属のシャルピー衝撃靭性値が14Jであるのに対し、溶接熱影響部のシャルピー衝撃靭性値は87Jと高まった。12Cr鋼では、溶接金属のシャルピー衝撃靭性値が22J、溶接熱影響部のシャルピー衝撃靭性値が22と略同一であった。
この結果、溶接熱影響部に対し、本発明の場合は、溶接熱影響部の衝撃靭性値が高まり、従来材に比して材料特性が向上することが確認された。
すなわち、2Cr系ではSR温度がほぼ同等であるため、衝撃靭性値に顕著な相違は認められないが、高合金鋼ではSR温度が低すぎるために溶接金属、溶接熱影響部とも靭性値の低下が生じる。構造溶接部および補修溶接等を行った場合、これらの靭性値の低下が溶接部を中心としたクラック等の発生原因となる。
これに対し、溶接材料にWを添加するか、高合金とすることにより溶接金属の引張強度は高くなる。
なお、本実施例で説明した溶接材料は、具体的には、従来材としての2CrMo鋼が2.25Cr−1Mo鋼である。
また、実施例であるタングステン入りCr鋼(2Cr―W)は、2.25Cr−1Mo−0.25V−2W鋼である。9Cr鋼は、9Cr−1Mo−0.25V−Nb−N鋼である。12Cr鋼は、12Cr−1Mo−0.25V−Nb−N鋼である。
表5は、傾斜熱処理後の高強度配管材料の衝撃靭生値(シャルピー衝撃靭性値(J))を示したものである。
Figure 2005337067
この表5に示したように、配管材料および溶接材料に9Cr鋼を適用した場合、傾斜熱処理後の溶接金属のシャルピー衝撃靭性値が44Jであり、溶接熱影響部のシャルピー衝撃靭性値が206Jであった。また、配管材料および溶接材料に12Cr鋼を適用した場合には、傾斜熱処理後の溶接金属のシャルピー衝撃靭性値が440Jであり、溶接熱影響部のシャルピー衝撃靭性値が79Jであった。
このように、本発明では、傾斜熱処理を行うことにより、衝撃靭性値が著しく低下した溶接金属ならびに溶接熱影響部の回復が図られることが確認された。
[第5実施例(表6)]
表6は、本発明により配管の薄肉化が図られた場合における、配管の薄肉化に伴う誘導加熱時における管内・外表面の温度差を観察した結果についてのものである。
上述した表1により、高強度配管を適用することにより配管肉厚の薄肉化が図られることを示したが、本実施例では、高周波誘導加熱において管内面と外表面の温度差がどの程度生じるかを確認した。
Figure 2005337067
表6に示すように、従来適用された配管材(STPA24)の場合には誘導加熱時に管外表面温度が760℃、管内表面温度が660℃となり、内外表面温度差が100℃と高い。したがって、管内面側に温風を供給する等の手段を必要とした。
これに対し、本発明の9Cr鋼適用の場合には、薄肉化により、管外表面温度が767℃、管内表面温度が719℃となり、内外表面温度差は48℃と低下した。また、12Cr鋼の場合には、薄肉化により、管外表面温度が765℃、管内表面温度が711℃となり、内外表面温度差は54℃と低下した。
したがって、本発明の場合には管内面側に温風を供給する必要がなくなり、処理工程も容易、簡素化することができる。
なお、上述した弁4の短管溶接部についても、第1〜第5実施例と同様の結果が得られた。
以上の実施形態によれば、蒸気タービンの鋳鋼ケーシングと、それに溶接構造で接合される配管材料を9〜12Cr鋼材を用いることによる配管の薄肉化と、低合金鋼と高合金鋼異材溶接部の溶接材料ならびに溶接部の材料特性を確保するための熱処理に関し、蒸気タービン配管にW入りの2Cr鋼管や9〜12Cr鋼管のような高強度材を用いた場合、配管肉厚の薄肉化を図るとともに、薄肉化による材料コストを大幅に低減することができる。
また、これらの鋼管をCrMoV鋳鋼のような低合金鋼と溶接する場合には、高強度配管材料と同一組成の溶接材料を用いて溶接し、両鋼種の応力除去焼鈍温度にて傾斜熱処理を行うことにより、溶接金属および溶接熱影響部の特に衝撃靭性値を著しく改善することができ、構造溶接部とともに機器の信頼性をも向上させることができることも確認された。
本発明の一実施形態を示す構成図。 本発明の一実施形態を示す説明図。
符号の説明
1 タービンケーシング
1a 胴部
1b 配管接続用管部
2 配管
3 溶接部
4 弁
5 加熱域
6,7,8 高周波誘導コイルまたは電熱コイル
9,10 溶接熱影響
11 中間領域

Claims (8)

  1. CrMoV鋳鋼からなる低合金鋼製のタービンケーシングと、9〜12Cr鋼からなる高合金鋼製の配管とが、前記9〜12Cr鋼を溶接材料として溶接接合された蒸気タービン配管異材溶接構造であって、前記配管の肉厚が40〜60mm、前記溶接材料の衝撃靭性値が少なくとも35J、かつ前記タービンケーシングおよび前記配管における溶接熱影響部の衝撃靭性値が少なくとも50Jであることを特徴とする蒸気タービン配管異材溶接構造。
  2. CrMoV鋳鋼からなる低合金鋼製のタービンケーシングと、Crを含む高合金鋼からなる配管とが、Wを0.9〜2.0重量%含むCr鋼を溶接材料として溶接接合された蒸気タービン配管異材溶接構造であって、前記配管の肉厚が40〜60mm、前記溶接材料の衝撃靭性値が少なくとも35J、かつ前記タービンケーシングおよび前記配管における溶接熱影響部の衝撃靭性値が少なくとも50Jであることを特徴とする蒸気タービン配管異材溶接構造。
  3. CrMoV鋳鋼からなる低合金鋼製タービン部品としての弁またはケーシングと、このタービン部品に接続される9〜12Cr鋼からなる高合金鋼製の短管とが、前記9〜12Cr鋼またはWを0.9〜2.0重量%含むCr鋼を溶接材料として溶接接合された蒸気タービン配管異材溶接構造であって、前記短管の肉厚が40〜60mm、前記溶接材料の衝撃靭性値が少なくとも35J、かつ前記タービン部品および前記短管における溶接熱影響部の衝撃靭性値が少なくとも50Jであることを特徴とする蒸気タービン配管異材溶接構造。
  4. CrMoV鋳鋼からなる低合金鋼製のタービンケーシングと、9〜12Cr鋼からなる高合金鋼製の配管とを、前記9〜12Cr鋼またはWを0.9〜2.0重量%含むCr鋼を溶接材料として溶接接合した後に、前記タービンケーシング側から溶接部を経て前記配管側に亘る一定の領域に熱処理として、前記タービンケーシング側を低温側、前記配管側を高温側とし、前記低温側を最低680℃、前記高温側を最高770℃でそれぞれ加熱し、かつそれらの中間領域である前記溶接材料部分に前記各温度を基点とする緩やかな勾配の傾斜的温度分布を与えて応力除去焼鈍処理を行うことを特徴とする蒸気タービン配管異材溶接構造部の熱処理方法。
  5. CrMoV鋳鋼からなる低合金鋼製タービン部品としての弁またはケーシングと、このタービン部品に接続される9〜12Cr鋼からなる高合金鋼製の短管とを、前記9〜12Cr鋼またはWを0.9〜2.0重量%含むW入りのCr鋼を溶接材料として溶接接合した後、前記タービン部品側から溶接部を経て前記短管側に亘る一定の領域に熱処理として、前記タービン部品側を低温側、前記短管側を高温側とし、前記低温側を最低680℃、前記高温側を最高770℃でそれぞれ加熱し、かつそれらの中間領域である前記溶接材料部分に前記各温度を基点とする緩やかな勾配の傾斜的温度分布を与えて応力除去焼鈍処理を行うことを特徴とする蒸気タービン配管異材溶接構造部の熱処理方法。
  6. 前記応力除去焼鈍処理における加熱領域は、前記溶接部の溶接材料部分を含み、かつ前記溶接部分における管軸方向に沿う全幅の1.5倍以上、3倍以下の範囲に設定する請求項4または5記載の蒸気タービン配管異材溶接構造部の熱処理方法。
  7. 前記応力除去焼鈍処理における加熱手段として管外周側に巻装される高周波誘導コイルまたは電熱コイルを使用し、この高周波コイルまたは電熱コイルは、前記加熱領域に亘り、供給電流および電圧の少なくともいずれかが異なる複数種類のものを前記温度分布に対応して配置する請求項6記載の蒸気タービン配管異材溶接構造部の熱処理方法。
  8. 前記応力除去焼鈍処理において、前記配管の内面と外表面との温度差が、前記配管内の非加熱状態下で50℃以内とされる請求項4から7までのいずれかに記載の蒸気タービン配管異材溶接構造部の熱処理方法。
JP2004154978A 2004-05-25 2004-05-25 蒸気タービン配管異材溶接構造および同溶接構造部の熱処理方法 Pending JP2005337067A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004154978A JP2005337067A (ja) 2004-05-25 2004-05-25 蒸気タービン配管異材溶接構造および同溶接構造部の熱処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004154978A JP2005337067A (ja) 2004-05-25 2004-05-25 蒸気タービン配管異材溶接構造および同溶接構造部の熱処理方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005337067A true JP2005337067A (ja) 2005-12-08

Family

ID=35490918

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004154978A Pending JP2005337067A (ja) 2004-05-25 2004-05-25 蒸気タービン配管異材溶接構造および同溶接構造部の熱処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005337067A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7591410B2 (en) Methods for extending the life of alloy steel welded joints by elimination and reduction of the HAZ
JP6730927B2 (ja) 段付き設計の溶接継手用作製物
JP5955125B2 (ja) タービンロータ及びその製造方法及び当該タービンロータを用いた蒸気タービン
JP5006321B2 (ja) 溶接結合を製作する方法、ならびに溶接結合を補修する方法
JP2012006079A (ja) 合金鋼の異種溶接のための装置及び方法
US20130121868A1 (en) Method of manufacturing a weld-free apparatus for connection of dissimilar metals using functionally graded compositionally control powder metallurgy and hot isostatic processing methods
JPH11129078A (ja) 二相ステンレス鋼の接合方法
CN116174978A (zh) 用于焊接导管连接件以用于高温应用的工艺
US11738404B2 (en) Method to eliminate dissimilar metal welds
CN107810357A (zh) 用于生产管系布置的方法、管系布置和设置有这种管系布置的炉
EP2540963A2 (en) Turbine disk preform, welded turbine rotor made therewith and methods of making the same
JPH0724577A (ja) クラッド管の突合せ溶接方法
EP3381604B1 (en) Method and use of a fixture for counteracting tensile stress
JP2005337067A (ja) 蒸気タービン配管異材溶接構造および同溶接構造部の熱処理方法
CN105722630A (zh) 厚壁大径管的焊接接头结构和其焊接施工方法
JP4283380B2 (ja) 異種材料溶接型タービンロータ及びその製造方法
JP3740031B2 (ja) 開先充填材を用いた液相拡散接合方法およびその接合継手
JP6736941B2 (ja) 鋼部材の溶接方法、及び溶接材料
JP2022126989A (ja) 鍛接鋼管及びその製造方法
JPH10277773A (ja) ステンレス鋼管の溶接施工方法
Korinko Forge and Coextrusion Welding
JPH08311563A (ja) マルテンサイト系ステンレス鋼管の接合方法
KR20120131124A (ko) 일체형 헤더의 제조 동안 이종 금속 용접부(DMWs)를 제거하기 위한 기능적으로 분류된 조성 제어 방법
KR20120131118A (ko) 기능적으로 분류된 조성 제어 분말 야금학 및 고온 등압 성형법을 사용하여 이종 금속들의 연결을 위한 무용접 장치의 제조 방법
JPH0415384A (ja) 管溶接継手の形成方法