JP2005333115A - 薄膜集積回路とその作製方法、cpu、メモリ、電子カード及び電子機器 - Google Patents

薄膜集積回路とその作製方法、cpu、メモリ、電子カード及び電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 ガラス基板の損傷を懸念することなく、薄膜集積回路にサリサイドプロセスを行い、回路の高速動作を達成する。
【解決手段】 ガラス基板上に、下地金属膜、酸化物、下地絶縁膜を形成する。下地絶縁膜上にサイドウォールを有するTFTを形成し、該TFTを覆って金属膜を形成する。RTA等を用いて基板のシュリンクが問題とならない程度の温度でアニールを行い、ソース・ドレイン領域に高抵抗なメタルシリサイド層を形成する。未反応で残ったままの金属膜を除去した後、第2アニールとしてレーザー照射を行うことによりシリサイド化反応が進み、低抵抗なメタルシリサイド層が形成される。第2アニールにおいて下地金属膜がレーザー照射による熱を蓄積するので、半導体層にはレーザー照射に加え、下地金属膜からも熱供給が行われ、ソース・ドレイン領域のシリサイド化反応の効率を高めることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガラス等の絶縁基板上に形成される薄膜トランジスタ(以下、TFTとする)や複数のTFTで構成される薄膜集積回路、及びその作製方法に関係する。
回路の高速動作を実現する為に、Siウェハーを用いた大規模集積回路(以下、LSIともいう)では、ソース及びドレイン領域、ゲート電極にシリサイドを用いて、ソース及びドレイン領域の低抵抗化、コンタクト抵抗の低減が行われている。MOSトランジスタの拡散層と自己整合的にシリサイドを形成するプロセスとして、サリサイド(Self Align Silicide)が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。
図5A〜5Dに代表的なサリサイドプロセスを示す。このサリサイドプロセスは、2ステップアニール法を採用している。まず、シリコン基板501に形成された、拡散層502、フィールド酸化膜503、サイドウォール504、ゲート電極505からなるMOSトランジスタを覆って金属膜506を形成する(図5A)。金属膜506にはTi、CoあるいはNiが用いられる。金属膜506は、TiNを金属膜上面に形成し、酸化防止膜として用いてもよい。金属膜506を形成後、MOSトランジスタに1回目のアニールを行う(図5B)。1回目のアニールとして600〜750℃程度の温度で窒素中のRTAが用いられる場合が多い。1回目のアニールにおいて、Ti膜表面は窒化反応によりTiN(図示しない)となり、シリコンと金属膜506の界面では準安定なTiSi2層507が形成される。次に、H2SO4+H22+H2OあるいはNH4OH+H22+H2O溶液を用いて、TiN及び未反応の金属膜508を選択除去する(図5C)。この段階でのTiSi2層507は、60〜300μΩcm程度の比較的高い抵抗を持つため、800〜850℃程度の2回目のアニールを行うことによって、低抵抗(15〜25μΩcm)なTiSi2層509が得られる(図5D)。TiSi2ではシリサイド反応がSiの拡散で生じる為、1回目のアニール温度が高すぎると、サイドウォール上へのシリサイドのオーバーグロースが起こりやすく、ゲート電極とソース、ドレイン領域がショートしてしまう。従って、1回目の熱アニールは2回目よりも低温で行われ、先ず高抵抗相のTiSi2を形成し、未反応の金属膜を除去した後で2回目の熱アニールを行い,低抵抗相のTiSi2を形成する。
前口賢二、福間雅夫、浅井外寿編集、「ロジックLSI技術の革新」、サイエンスフォーラム、p.238〜241
ガラス基板上に形成されたCPUやメモリ等の薄膜集積回路の高速動作を目的に、前述のシリコンウェハー上のLSIで用いたサリサイドプロセスを、ガラス基板上の薄膜集積回路に適用すると、低抵抗なシリサイドを得るための第2アニールがガラス転移点よりも高温で行われる。その為、ガラス基板のシュリンクを引き起こしてしまい、アライメントエラーが問題となる。ガラス基板のシュリンクを避ける為、第2アニールは行わず第1アニールのみでサリサイドプロセスを行った場合、ガラス基板のシュリンクは問題にならない。しかし、高抵抗相のTiSi2で反応が終わってしまう為、ソース・ドレイン領域の寄生抵抗が十分に低減されない。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ガラス基板のシュリンクを防ぎ、ガラス基板上にサリサイドプロセスを用いてTFTを作製することを目的とする。また、ガラス基板上に形成されたTFTのソース及びドレイン領域の低抵抗化することを目的とする。
本発明はガラス基板上の薄膜集積回路に適用可能なシリサイド化プロセスを提供する。また、1回のアニールで効果的にシリサイド化を行うことが可能なプロセスを提供する。なお、本発明に開示される薄膜集積回路は、TFTにより構成されるものとする。
本発明は、ガラス基板上の薄膜集積回路にシリサイド化プロセスを行う際に、レーザーアニールを用いることを特徴とする。レーザーアニールによってガラス基板を局所的に加熱することができ、基板シュリンクの問題点が解決される。
また本発明は、透明なガラス基板へのレーザーの吸収効率を上げる為に、下地膜として金属膜(以下、下地金属膜とする)を形成することを特徴とする。
ガラス基板の局所加熱が可能なレーザーアニールをシリサイド化プロセスに用いることにより、基板のシュリンクが問題となることなく、ソース及びドレイン領域の寄生抵抗が低減され、ガラス基板上に形成された薄膜集積回路の高速動作が可能となる。また、下地金属膜がレーザー照射による熱を吸収するので、半導体層にはレーザー照射に加えて下地金属膜からも熱供給が行われ、ソース及びドレイン領域のシリサイド化の効率を高めることができる。半導体膜の温度変化は、下地金属膜を設けない場合よりも緩やかに起こる。半導体膜の温度が緩やかに変化することによって、ソース及びドレイン領域ではシリサイド化反応が進み、より低抵抗化が図られる。
また本発明は、シリコンウェハーに比べて安価で大型のガラス基板を用いることができるので、より低いコストで、なおかつ高いスループットで薄膜集積回路を大量生産することができ、生産コストを飛躍的に抑えることができる。また、ガラス基板からフレキシブル基板へ薄膜集積回路を固定するプロセスを採用する場合、基板を繰り返し使用することも可能である。よって、薄膜集積回路にかかるコストを削減することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の主旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
本実施形態では、薄膜集積回路の下地膜として金属を用いた場合のサリサイドプロセスを説明する。本発明者らは、先ず、2ステップアニールを用いたサリサイドプロセスにおいて、どの段階でレーザーアニールを用いるのが効果的か検討した。
低抵抗なシリサイドを得るための第2アニールを基板全面に同時に行うとすると、例えば800〜850℃のような高温でのアニールが必要なので、ガラス基板のシュリンクが問題となる。そこで、ガラス基板を局所的に加熱できるように第2アニールにレーザーを用いるとする。この場合、ガラス基板のシュリンクは問題とならないが、未反応の金属膜が選択除去された後にレーザーアニールが行われるので、熱の吸収層としての金属膜が第1アニール時よりも減少しており、レーザーの吸収効率が悪く、シリサイド反応が進行しづらいことが考えられる。しかし、第1アニールにレーザーを用いる場合、つまり、TFTを覆って金属膜を形成した直後にレーザーアニールを行う場合、シリサイドのオーバーグロースが起こる問題がある。これは、基板全面に形成されている金属膜が熱の吸収層となり、基板全体が効率よく昇温される一方で温度制御が難しく、シリサイド化反応が進みすぎてしまうからである。シリサイドのオーバーグロースの結果、ゲート電極とソース及びドレイン領域がショートする危険性がある。
従って、本発明者らは、サリサイドプロセスの第1アニールでは温度制御が容易な瞬間熱アニール(以下、RTAとする)等を用い、第2アニールにレーザーを用いるのが適切であると考えた。本実施の形態では、基板のシュリンクが問題とならない程度の温度でガラス基板全面を加熱して高抵抗なシリサイドを形成し、未反応の金属膜を選択除去した後、レーザー照射を行う。また、第2アニールにおいてレーザーの吸収効率を上げる為に、熱の吸収層として金属膜を用いる構成とする(以下、下地金属膜とする)。下地金属膜がレーザー照射による熱を吸収するので、TFTのソース及びドレイン領域にはレーザーからの熱吸収に加え、下地金属膜からも熱供給が行われる。
以下、図1を用いて本実施の形態を説明するが、説明の簡単の為に、図1Aに示されるようなサイドウォールを有するTFTにサリサイドプロセスを行う形態を説明する。
ガラス基板101上に、下地金属膜102を形成する。下地金属膜102の材料としては、Ti、Al、Ta、W、Mo、Cu、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を用いればよく、単層あるいは2層以上の積層であってもよい。また下地金属膜102の材料としては、珪素又は非晶質珪素を用いてもよい。
次いで、下地金属膜102上に下地絶縁膜103を形成する。下地絶縁膜としては、酸化シリコン、窒化シリコンまたは酸化窒化シリコン等の単層あるいは積層膜を用いればよい。
次いで、下地絶縁膜上に絶縁膜からなるサイドウォール108を有するTFT109を形成する(図1A)。TFT109は、半導体層104、ゲート絶縁膜105、第1の導電層106と第2の導電層107からなるゲート電極から構成されており、半導体層104はチャネル形成領域110、ソース領域111、ドレイン領域112、LDD領域113が含まれる。第2の導電層107上には酸化珪素などの絶縁膜114が形成されており、後の工程で形成される金属膜とゲート電極との接触を防ぐ。
次いで、TFT109を覆って金属膜115をスパッタ法にて形成する。金属膜115としては、高融点金属であるTi、Co、あるいはNiを用いればよく、本実施の形態ではTiを形成する。金属膜115上に酸化防止膜としてTiN(図示しない)を形成してもよい(図1B)。酸化防止膜を形成する場合、スパッタ法でTiを形成した後、連続で反応性スパッタ法にてTiNを形成すればよい。なお、金属膜及び酸化防止膜の形成にはCVD法を用いてもよい。
次いで、RTA等を用い、基板のシュリンクが問題とならない程度の温度(680℃以下、好ましくは650℃以下)で第1アニールを行い、高抵抗なTiSi2層116を形成する。アニール温度が高すぎると、シリサイド化反応が進み過ぎてシリサイドがサイドウォールを乗り越えてゲート電極とソース及びドレイン領域がショートしてしまう可能性があるので注意が必要である(図1C)。
第1アニール終了後、未反応で残ったままの金属膜117をアンモニア水過酸化水素水混合溶液等で除去し、第2アニールとしてレーザー照射を行う(図1D)。使用可能なレーザーとしては、エキシマレーザー、固体レーザー(基本波、好ましくは高調波。例えば、波長1064nm、好ましくは532nmのレーザー光)等がある。レーザーアニールにより、高抵抗なTiSi2層116においてシリサイド化反応が進み、低抵抗なTiSi2層118が形成される(図1E)。また、第2アニールにおいて下地金属膜102がレーザー照射による熱を吸収するので、半導体層104にはレーザー照射に加え、下地金属膜102からも熱供給が行われ、ソース・ドレイン領域111、112のシリサイド化反応の効率を高めることができる。金属は熱伝導率が高いため、下地金属膜の存在により半導体膜から熱が逃げるものの、下地金属膜自体が熱を吸収する為、下地金属膜から半導体膜へ熱供給が行われる。半導体膜の温度が緩やかに変化することによって、ソース及びドレイン領域ではシリサイド化反応が進み、より低抵抗化が図られる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明したサリサイドプロセスを、プラスチック等の可撓性基板に薄膜集積回路を固定するプロセスに適用する形態について説明する。
薄膜集積回路を含む被剥離層を形成する基板としては、ガラス基板、石英基板、半導体基板、セラミックス基板、金属基板等を用いることができるが、本実施の形態ではガラス基板を用いる。理由は、ガラス基板は他の基板に比べて安価である上、基板サイズの大型化が可能だからである。故に、1枚の大型ガラス基板に同時に複数の表示装置や薄膜集積回路を作製することができ、より低いコストで、かつ高いスループットで表示装置や薄膜集積回路を大量生産することができる。また、表示装置の画面サイズの大型化にも対応可能である。
以下、図2、図3を用いて本実施の形態を説明するが、説明の簡単の為に、図2Aに示されるようなサイドウォールを有するTFTにサリサイドプロセスを行い、剥離された薄膜集積回路をフレキシブル基板に固定する形態を説明する。
ガラス基板上に、剥離膜201を形成する。剥離膜201の材料としては、Ti、Al、Ta、W、Mo、Cu、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を用いればよく、単層あるいは2層以上の積層であってもよい。
次いで、剥離膜201上に酸化物膜202、下地絶縁膜103、サイドウォールを有するTFTを順に形成する。なお、酸化物膜202は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化金属材料からなる単層、またはこれらの積層を用いればよい。剥離膜201、酸化物膜202以外は実施の形態1と同じであるので、ここでは説明を省略し、同じ参照番号を用いる(図2A)。
次いで、TFT109を覆って金属膜203をスパッタ法にて形成する。金属膜203としては、高融点金属であるTi、Co、あるいはNiを用いればよく、本実施の形態ではTiを形成する。金属膜203上に酸化防止膜としてTiN(図示しない)を形成してもよい(図2B)。酸化防止膜を形成する場合、スパッタ法でTiを形成した後、連続で反応性スパッタ法にてTiNを形成すればよい。なお、金属膜、酸化防止膜の形成にはCVD法を用いてもよい。
次いで、RTA等を用い、基板のシュリンクが問題とならない程度の温度で第1アニールを行い、高抵抗なTiSi2層204を形成する。アニール温度が高すぎると、シリサイド化反応が進み過ぎてシリサイドがサイドウォールを乗り越えてゲート電極とソース及びドレイン領域がショートしてしまう可能性があるので注意が必要である(図2C)。
第1アニール終了後、未反応で残ったままの金属膜205をアンモニア水過酸化水素水混合溶液等で除去し、第2アニールとしてレーザー照射を行う(図2D)。使用可能なレーザーとしては、エキシマレーザー、固体レーザー(波長532nmあるいは1064nm)等がある。レーザーアニールにより、高抵抗なTiSi2層204においてシリサイド化反応が進み、低抵抗なTiSi2層206が形成される(図2E)。また、第2アニールにおいて剥離膜201がレーザー照射による熱を吸収するので、半導体層104にはレーザー照射に加え、剥離膜201からも熱供給が行われ、ソース・ドレイン領域111、112のシリサイド化反応の効率を高めることができる。金属は熱伝導率が高いため、下地金属膜の存在により半導体膜から熱が逃げるものの、下地金属膜自体が熱を吸収する為、下地金属膜から半導体膜へ熱供給が行われる。半導体膜の温度が緩やかに変化することによって、ソース及びドレイン領域ではシリサイド化反応が進み、より低抵抗化が図られる。
なおここで、ソース及びドレイン領域等の不純物領域の熱活性化を行ってもよい。例えば、TFTを覆って50nmのSiON膜(図示しない)を形成した後、550℃、4時間、窒素雰囲気下において加熱処理を行えばよい。また、水素を含むSiNx膜(図示しない)を100nmの膜厚で形成した後、410℃、1時間、窒素雰囲気下において、加熱処理を行うことにより、半導体膜の欠陥を改善することができる。これは、例えば、結晶性シリコン中に存在するダングリングボンドを終端させるものであり、水素化処理工程などと呼ばれる。さらに、この後、TFTを保護する層間絶縁膜として、膜厚600nmのSiON膜(図示しない)を形成してもよい。この場合、TFT上にはSiON、SiNx、SiONを順に積層した3層の絶縁膜が形成されることになるが、その構造や材料はこれらに限定されない。
次に、TFT109を覆って無機材料(酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンなど)、又は有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン、またはシロキサン(シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素、フッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも一種を有する材料))を主成分とする材料を用いて層間絶縁膜207を形成する。なおここで、層間絶縁膜207の上に、プラズマCVD法または大気圧プラズマ法等を用いて、保護膜(図示しない)としてDLC(ダイヤモンドライクカーボン)または酸化珪素膜、窒化珪素、窒化酸化珪素膜等を形成してもよい。
次に、層間絶縁膜207の所望の領域にコンタクトホールを形成し、該コンタクトホールを埋めるようにAl、Ti、Mo、W等の導電膜を形成し、該導電膜を所望の形状にエッチングしてソース電極及びドレイン電極208を形成する(図3A)。
次に、層間絶縁膜207、ソース電極、ドレイン電極208を覆ってパッシベーション膜209を形成し、被剥離膜210とする。その後、パッシベーション膜209上にエポキシ樹脂等の接着層211を用い、支持体212を貼り合わせる。パッシベーション膜としては、無機材料(酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコンなど)、又は有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン、またはシロキサン(シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素、フッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも一種を有する材料))を主成分とする材料を用いればよい。支持体としては、厚さ10(m以上の樹脂基板、例えばPES(ポリエーテルスルホン)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)もしくはPEN(ポリエチレンナフタレート)を用いればよい(図3B)。
次いで、剥離膜201が設けられている基板を、被剥離膜210から物理的手段あるいは化学的手段により引き剥がす(図3C)。剥離膜201の膜応力と酸化物膜202の膜応力が異なっている為、比較的小さな力で引き剥がすことができる。なお、フッ化ハロゲン(化学式XFn、Xはフッ素以外のハロゲン、nは整数)等を用いて、化学的手段により剥離膜の除去を行ってもよい。剥離膜に向けてフッ化ハロゲンを吹きつけて剥離する方法としては、高圧の水流をノズルから噴射して吹きつける方法(ウォータージェット法と呼ばれる)や、高圧のガス流を噴射して吹きつける方法を用いることができる。このとき、水の代わりに有機溶媒、酸性溶液もしくはアルカリ性溶液を用いても良い。また、ガスとしては空気、窒素ガス、炭酸ガスもしくは希ガスを用いても良いし、これらのガスをプラズマ化したものであっても良い。なお、剥離を助長させるために、加熱処理またはレーザー照射を行ってもよい。
次いで、エポキシ樹脂等の接着層213を用いて、PES(ポリエチレンサルファイル)、PC(ポリカーボネート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)もしくはPEN(ポリエチレンナフタレート)等のプラスチックからなる転写体214を被剥離膜210に貼り付ける(図3D)。なお、支持体と転写体は可撓性を有するものであればよく、上記材料に限定されない。
本実施の形態では、剥離膜が、レーザーの吸収層としての機能を兼ねていることが特徴である。つまり、本実施の形態の剥離膜は、サリサイドプロセスではレーザーの吸収層として機能し、薄膜集積回路をフレキシブル基板に固定するプロセスでは剥離膜として機能する。剥離膜を下地金属膜として利用することにより、新たな工程を追加することなく、サリサイドプロセスを行うことが可能である。
なお、支持体212と被剥離膜210の間に液晶やEL(Electroluminescence)等の表示素子が設けられる構成としてもよい。
なお、パッシベーション膜209の上、あるいはその代わりに層間絶縁膜を設け、該層間絶縁膜上に配線(図示しない)を設け、該配線が層間絶縁膜を介してソース電極あるいはドレイン電極と接続されるような構造にしてもよい。つまり、異なる層に形成された配線が絶縁膜を介して接続される構造(多層配線)としてもよい。
(実施形態の3)
本実施形態では、ガラス基板上の薄膜集積回路において、1回のアニールで効果的にシリサイド化を行うことが可能な形態について、図4を用いて説明する。なお、ガラス基板上にサイドウォールを有するTFTは実施の形態1と同じであるので、ここでは説明を省略し、同じ参照番号を用いる。
TFT109を覆って金属膜401を形成し、シリサイド化を行うソース・ドレイン領域の上部にレジスト402を形成する(図4A)。アンモニア水過酸化水素水混合溶液等を用いて金属膜401を選択的にエッチング除去することにより、図4Bで示すように、ソース・ドレイン領域の上部に金属膜403が部分的に残る。次いで、レーザーアニールによりソース・ドレイン領域のシリサイド化を行う(図4C)。使用可能なレーザーとしては、エキシマレーザー、固体レーザー(532nmあるいは1064nm)等があり、レーザー照射を行う方向は、TFT109が形成された面を基板の表側とすると、表側からでもいいし、裏側からでもよい。
レーザーアニールの際、下地金属膜102がレーザー照射による熱を吸収するので、半導体層104にはレーザー照射に加え、下地金属膜102からも熱供給が行われ、ソース及びドレイン領域111、112のシリサイド化反応の効率を高めることができる(図4D)。金属は熱伝導率が高いため、下地金属膜の存在により半導体膜から熱が逃げるものの、下地金属膜自体が熱を吸収する為、下地金属膜から半導体膜へ熱供給が行われる。半導体膜の温度が緩やかに変化することによって、ソース及びドレイン領域ではシリサイド化反応が進み、より低抵抗化が図られる。
なお、本実施の形態1〜3において、ソース及びドレイン領域をシリサイド化しない場合でも、金属の下地膜(実施の形態2では剥離膜)を用いたことで、ソース及びドレイン領域にドープされた不純物の熱活性化を効率よく行うことが可能である。シリサイド化しない場合は、基板全面にTFTを覆って金属膜を形成しない為に、ガラス基板は、本来ランプ加熱を用いたRTA処理等に対して熱の吸収効率が悪く、十分に昇温されない。しかしながら、本実施の形態1〜3のように下地膜として金属膜が形成されていると、効率よくランプによる短時間での急速昇温が可能となる。
本実施例では、図6、7を参照して、TFTを含む薄膜集積回路装置の具体的な作製方法について説明する。ここでは、簡単のため、n型TFTとp型TFTを用いたCPUとメモリ部分の断面構造を示すことによって、その作製方法について説明する。
ガラス基板601上に、下地金属膜602を形成する。ガラス基板には、例えばコーニング社製1737基板を用いる。下地金属膜602の材料としては、Ti、Al、Ta、W、Mo、Cu、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料を用いればよく、単層あるいは2層以上の積層であってもよい。
次いで、下地金属膜602上に酸化物膜603を形成する。酸化物膜603は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化金属材料からなる単層、またはこれらの積層を用いればよい。なお、酸化物膜603は、スパッタ法、プラズマCVD法、塗布法等いずれの成膜方法を用いてもよい。
次いで、酸化物膜603上に下地絶縁膜604a、604bを形成する。ここでは、プラズマCVD法で成膜温度400℃、原料ガスSiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%)を50nm(好ましくは10〜200nm)形成し、さらにプラズマCVD法で成膜温度400℃、原料ガスSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を100nm(好ましくは50〜200nm)形成して積層膜とする。下地絶縁膜はこれに限定されず、単層もしくは3層以上の積層であってもよい(図6A)。
次いで、下地絶縁膜604b上に、半導体膜を形成する。半導体膜の材料としては、シリコンまたはシリコンゲルマニウム(SixGe1-x(x=0.0001〜0.02))合金などを用い、公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により形成すればよい。
次いで、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩水溶液をスピナーで塗布し、加熱処理を行い、結晶構造を有する半導体膜を形成する。塗布の代わりにスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよいし、他の公知の結晶化技術、例えば固相成長法やレーザー結晶化法を用いてもよい。
ここで、結晶化率を高め、結晶粒内の欠陥を補修するために、レーザー照射を大気中または酸化雰囲気中で行ってもよい。レーザー光には、波長400nm以下のエキシマレーザー光や、YAGレーザーの第2高調波、第3高調波を用いる。
上記の方法により結晶性シリコン半導体膜を得る。その後、半導体膜に酸化膜を介してアモルファスシリコン膜を成膜して、500〜750℃の熱処理によって金属触媒のゲッタリングを行ってもよい。その後、レジストマスクを用いて半導体膜のエッチングを行うことにより、島状の半導体層605を形成する。
次いで、半導体層上にゲート絶縁膜606を形成する。ゲート絶縁膜はプラズマCVD法又はスパッタリング法等を用い、窒化珪素、酸化珪素、窒化酸化珪素又は酸化窒化珪素を含む膜を、単層又は積層で形成する(図6B)。
次いで、ゲート電極607を形成する。ここでは、Ta、W、Ti、Moから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料または化合物材料をスパッタ法により積層した後、レジスト608をマスクとしてエッチングを行うことにより、ゲート電極607を形成する。ゲート電極の材料、構造、作製方法はこれに限定されるものではなく、適宜選択することができる。ゲート電極は、単層または2層以上の積層であってもよい(図6C)。
次に、p型TFTとなる部分をレジスト609で覆い、ゲート電極をマスクとしてn型TFTの島状半導体層中にn型を付与する不純物元素(P(リン)又はAs(ヒ素))を低濃度にドーピングする(第1のドーピング工程)。第1のドーピング工程の条件は、5×1017〜5×1018/cm3の低濃度不純物領域が形成されるように、ドーズ量、加速電圧を適宜調節するものとする。例えば、ゲート絶縁膜が15〜20nmの場合、ドーズ量は1×1013〜6×1013/cm2、加速電圧は50〜70keVとする。この第1のドーピング工程によって、ゲート絶縁膜を介してスルードーピングがなされ、一対の低濃度不純物領域610が形成される(図6D)。
次に、レジストをアッシング等により除去した後、n型TFT領域を覆うレジスト611を新たに形成し、ゲート電極をマスクとして、p型TFTの島状半導体膜中に、p型を付与する不純物元素を高濃度にドーピングする(第2のドーピング工程)。第2のドーピング工程の条件は、1×1019〜5×1021/cm3のp型の不純物領域が形成されるように、ドーズ量、加速電圧を調節するものとする。例えば、ゲート絶縁膜が15〜20nmの場合、ドーズ量は1×1016〜3×1016/cm2、加速電圧は20〜40keVとする。この第2のドーピング工程によって、ゲート絶縁膜を介してp型の不純物がドーピングされ、一対のp型の高濃度不純物領域612が形成される(図6E)。
次に、レジストをアッシング等により除去した後、基板表面に、絶縁膜613を形成する(図7A)。絶縁膜613としては、膜厚200〜300nmのSiO2膜をプラズマCVD法によって形成すればよい。その後、エッチバック法により絶縁膜613、ゲート絶縁膜606を部分的に除去し、サイドウォール(側壁)615を自己整合的に形成する。エッチングガスとしては、CHF3とHeの混合ガスを用いればよい。なお、サイドウォールを形成する工程は、これらに限定されるものではない(図7B)。
次に、p型TFT領域を覆うレジスト616を新たに形成し、ゲート電極607及びサイドウォール615をマスクとして、n型を付与する不純物元素(PまたはAs等)を高濃度にドーピングする(第3のドーピング工程)。第3のドーピング工程の条件は、1×1018〜1×1020/cm3のn型の不純物領域が形成されるように、ドーズ量、加速電圧を調節するものとする。例えば、ドーズ量は1×1013〜5×1015/cm2、加速電圧:20〜50keVとする。この第3のドーピング工程によって、一対のn型の高濃度不純物領域617が形成される(図7C)。
なおここで、実施の形態1〜3で説明されたシリサイド化反応を行ってもよい。本実施例は実施の形態1〜3のいずれとも組合せ可能である。
上記のプロセスにより、ガラス基板601上に、CPUとメモリを構成するn型TFTとp型TFTが形成される。
本実施例では、同一基板上に、互いに異なる構造を持つ複数のTFT、抵抗、容量を混載し、それらのシリサイド化を行って寄生抵抗を低減する例を図8、図9を用いて説明する。具体的には、ソース及びドレイン領域にシリサイドが形成され、寄生抵抗が極力低減された高速TFT(CPUやメモリに用いる)、ホットキャリア注入によるオン電流値の劣化を防ぐための構造を持つTFT(画素TFT)、シリコンへの不純物ドープにより形成される抵抗、スタック型容量を混載する例を説明する。
図8Aに示されるように、ガラス基板801上に下地金属膜802、下地絶縁膜803、下地絶縁膜803上に互いに異なる構造を持つTFT804、805を形成する。図8Aにおいて、TFT804は半導体層806、ゲート絶縁膜807、第1導電層808と第2導電層809からなるゲート電極を有し、TFT805は半導体層810、ゲート絶縁膜811、第1導電層812と第2導電層813からなるゲート電極を有する。半導体層814は、後に形成される抵抗を構成し、半導体層806、810と同じ工程で形成される。容量815は、半導体層816、絶縁膜817、第1導電層818、第2導電層819を有しており、これらは、半導体層806、810、814、816、ゲート絶縁膜807、811、817、第1導電層808、812、818、第2導電層809、813、819とそれぞれ同じ工程で形成される。第2導電層809、813、819上の絶縁膜820(酸化珪素)も互いに同じ工程で形成される。なお、第1導電層812の形状は、第1導電層808と異なっているが、TFT805の作製方法は、例えば、特開2002−83805あるいは、特開2002−64107を参考にすればよく、TFT804の作製方法は実施例1と同様であるので、ここでは説明を省略する。半導体層、ゲート絶縁膜、導電層の材料および形成方法もまた実施例1と同じである。
次いで、TFT804、805のゲート電極および第1、2の導電層818、819をマスクとして、n型またはp型を付与する不純物元素を半導体層806、810、814、816に対して低濃度にドーピングする(第1のドーピング工程)。ドーピングの条件は、5×1017〜5×1018/cm3の低濃度不純物領域が形成されるように、ドーズ量、加速電圧を調節するものとする。例えば、ゲート絶縁膜が15〜20nmの場合、ドーズ量は1×1013〜6×1013/cm2、加速電圧は50〜70keVとする。第1のドーピングによって、半導体層806には一対の低濃度不純物領域821、半導体層810には一対の低濃度不純物領域822(n~またはp~ )、823(n~ ~またはp~ ~ )、半導体層814、815には低濃度不純物領域824、825が形成される。
次いで、図8Bに示すように絶縁膜826を形成する。絶縁膜826としては、膜厚200〜300nmのSiO2膜をプラズマCVD法によって形成すればよい。その後、エッチバック法により絶縁膜826を部分的に除去し、サイドウォール(側壁)827を自己整合的に形成する。エッチングガスとしては、CHF3とHeの混合ガスを用いればよい。なお、サイドウォールを形成する工程は、これに限定されるものではない。
次いで、TFT804、805のゲート電極、第1、2の導電層818、819及びサイドウォール827をマスクとして、半導体層806、810、814、816に対して、第1のドーピング工程と同じ不純物元素を高濃度にドーピングする(第2のドーピング工程)。ドーピングの条件は、1×1018〜1×1020/cm3の不純物領域が形成されるように、ドーズ量、加速電圧を調節するものとする。例えば、ドーズ量は1×1013〜5×1015/cm2、加速電圧:20〜50keVとする。第2のドーピング工程によって、一対の高濃度不純物領域828、829、高濃度不純物領域830、831が形成される(図8D)。
次いで、図9Aに示すようにTFT804、805、高濃度不純物領域830、容量815を覆って金属膜832を形成し、レジストマスク833を部分的に形成する。金属膜832としては、Ti、Co、あるいはNiを用いればよく、本実施例ではTiを形成する。金属膜832上に酸化防止膜としてTiN(図示しない)を形成してもよい。
次いで、図9Bに示すように、レジストマスク833、アンモニア水過酸化水素水混合溶液等を用いてエッチングにより金属膜832を選択的に除去する。この時、シリサイド化を行う領域だけでなく、容量815の絶縁膜820上にも金属膜を選択的に残す。容量815の絶縁膜820上の金属膜834は、スタック型容量の電極となる。
次いで、レーザーアニールによりシリサイド化を行う。使用可能なレーザーとしては、エキシマレーザー、固体レーザー(波長532nmあるいは1064nm)等があり、レーザー照射を行う方向は、TFTが形成された面を基板の表側とすると、表側からでもいいし、裏側からでもよい。レーザーアニールの際、下地金属膜802がレーザー照射による熱を吸収するので、半導体層806、810、814、816にはレーザー照射に加え、下地金属膜802からも熱供給が行われ、高濃度不純物領域828、829、830、831のシリサイド化反応の効率を高めることができる。こうして、低抵抗なTiSi2層835が形成される(図9C)。
本実施例では、実施の形態3のように半導体層上に金属膜を部分的に形成し、1回のアニールでシリサイド化を行う例を説明したが、本実施例はこれに限定されるものではなく、実施の形態1、2とも組合せ可能である。実施の形態1、2のように、2回のアニールによりシリサイド化を行ってもよい。
なおここで、ソース及びドレイン領域等の不純物領域の熱活性化を行ってもよい。例えば、TFTを覆って50nmのSiON膜(図示しない)を形成した後、550℃、4時間、窒素雰囲気下において加熱処理を行えばよい。また、水素を含むSiNx膜(図示しない)を100nmの膜厚で形成した後、410℃、1時間、窒素雰囲気下において、加熱処理を行うことにより、半導体膜の欠陥を改善することができる。これは、例えば、結晶性シリコン中に存在するダングリングボンドを終端させるものであり、水素化処理工程などと呼ばれる。さらに、この後、層間絶縁膜として、膜厚600nmのSiON膜(図示しない)を形成してもよい。この場合、TFT上にはSiON、SiNx、SiONを順に積層した3層の絶縁膜が形成されることになるが、その構造や材料はこれらに限定されない。
次いで、TFT804、805、高濃度不純物領域830、容量815を覆って無機材料(酸化シリコン、窒化シリコン、または酸化窒化シリコン等)、または有機材料(ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン、またはシロキサン(シリコンと酸素との結合で骨格構造が構成され、置換基に少なくとも水素、フッ素、アルキル基、または芳香族炭化水素のうち少なくとも一種を有する材料)等)を主成分とする材料を用いて層間絶縁膜836を形成する。なおここで、層間絶縁膜836の上に、プラズマCVD法または大気圧プラズマ法等を用いて、保護膜(図示しない)としてDLC(ダイヤモンドライクカーボン)または酸化珪素膜、窒化珪素、窒化酸化珪素膜等を形成してもよい。
次に、層間絶縁膜836の所望の領域にコンタクトホールを形成し、該コンタクトホールを埋めるようにAl、Ti、Mo、W等の導電膜を形成し、該導電膜を所望の形状にエッチングしてソース電極、ドレイン電極などの配線837を形成する(図9D)。配線形成により、半導体層814は抵抗となり、容量815はスタック型容量となる。半導体層816と、導電層818、819と、その間に挟まれた絶縁膜817により第1容量が形成され、導電層818、819と、金属膜834と、その間に挟まれた絶縁膜820により第2容量が形成される。
本実施例のように、構造が異なる複数のTFT、抵抗、容量が同じガラス基板上に混載される場合においても、半導体層の所望の領域にシリサイド化を行うことによって、ソース領域、ドレイン領域を低抵抗化し、コンタクト抵抗を改善することができる。
本実施例では、ガラス基板またはプラスチック基板上に実施の形態1〜3および実施例1、2で得られる薄膜集積回路を用い、CPUやメモリを形成する例を説明する。
図10において、基板901上に中央処理部(CPUとも呼ばれる)902、演算部903、制御部904、記憶部905(メモリとも呼ばれる)、入力部906、出力部(表示部等)907が形成される。本実施例では、同一基板上にCPU、記憶部、表示部を作り込む例を説明するが、この構成に限定されるものではない。
中央処理部902には、演算部903と制御部904が含まれる。演算部903には、加算、減算の算術演算やAND、OR、NOT等の論理演算を行う算術論理演算部(arithmetic logic unit,ALU)、演算のデータや結果を一時格納する種々のレジスタ、入力される1の個数を数え上げるカウンタ等が含まれる。演算部903を構成する回路、例えば、AND回路、OR回路、NOT回路、バッファ回路、またはレジスタ回路等は、本発明の薄膜集積回路で構成することができる。
また、制御部904には、プログラムカウンタ、命令レジスタ、制御信号生成部が含まれ、記憶部905に格納された命令を実行して、全体の動作を制御する役割を担っている。制御部904を構成する回路は、本発明の薄膜集積回路で構成することができる。
記憶部905は、計算を行うためのデータと命令を格納する場所であり、中央処理部902で実行されるデータやプログラムが格納されている。記憶部905は、主メモリ、アドレスレジスタ、データレジスタからなる。さらに主メモリに加えてキャッシュメモリを用いてもよい。これらのメモリは、SRAM、DRAM、フラッシュメモリ等を用いて形成すればよく、本発明の薄膜集積回路で構成することができる。
また、入力部906は、外部からデータやプログラムを取り込む装置である。出力部907は結果を表示するための装置、代表的には表示装置であり、本発明の薄膜集積回路で構成することができる。
本実施例では、ガラス基板またはプラスチック基板上に実施の形態1〜3および実施例1、2で得られる薄膜集積回路を用い、マイクロプロセッサ(CPU等)やメモリ等の薄膜集積回路を内蔵した電子カードを形成する例を説明する。なお、電子カードには、身分証明書の代わりになるようなIDカード、プラスチックカードのような可撓性を有するセミハードカード等が含まれる。
図11に電子カードの上面図を示す。電子カード1001には、カード周辺に設けられたアンテナ1002と、アンテナに接続される薄膜集積回路1003、電流回路1004とが実装されている。
電子カードの用途は多岐に渡っており、キャッシュカード、クレジットカード、プリペイドカード、診察券、学生証や社員証等の身分証明証、定期券、会員証等に用いられている。
本発明の薄膜集積回路を有する半導体装置を用いて作製された電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc:DVD)等が挙げられる。これらの電子機器の具体例を図12に示す。
図12Aは表示装置であり、筐体1201、表示部1202、スピーカー部1203等を含む。本発明で作製される薄膜集積回路は、表示部1202に適用することができる。また、図示されていないが、MPU、メモリ、I/Oインターフェースなどの機能回路にも適応することができる。本発明で作製される薄膜集積回路を用いることにより、高速動作が可能で、高精細で信頼性の高い表示装置が実現可能となる。また、フレキシブル基板上の薄膜集積回路を用いることにより、表示装置の小型化、薄型化及び軽量化が可能である。なお、表示装置には、パーソナルコンピューター用、TV放送受信用、広告表示用等、全ての情報表示用の表示装置が含まれる。
図12Bはデジタルカメラであり、本体1301、表示部1302、受像部1303、操作キー1304、外部接続ポート1305、シャッター1306等を含む。本発明で作製される薄膜集積回路は、表示部1302に適用することができる。また、図示されていないが、MPU、メモリ、I/Oインターフェースなどの機能回路にも適応することができる。本発明で作製される薄膜集積回路を用いることにより、高速動作が可能で、高精細で信頼性の高い表示装置が実現可能となる。また、フレキシブル基板上の薄膜集積回路を用いることにより、デジタルカメラの小型化、薄型化及び軽量化が可能である。
図12Cはコンピュータであり、本体1401、筐体1402、表示部1403、キーボード1404、外部接続ポート1405、ポインティングマウス1406等を含む。本発明で作製される薄膜集積回路は、表示部1403に適用することができる。また、図示されていないが、MPU、メモリ、I/Oインターフェースなどの機能回路にも適応することができる。本発明で作製される薄膜集積回路を用いることにより、高速動作が可能で、高精細で信頼性の高い表示装置が実現可能となる。また、フレキシブル基板上の薄膜集積回路を用いることにより、コンピュータの小型化、薄型化及び軽量化が可能である。
図12Dはモバイルコンピュータであり、本体1501、表示部1502、スイッチ1503、操作キー1504、赤外線ポート1505等を含む。本発明で作製される薄膜集積回路は、表示部1502に適用することができる。また、図示されていないが、筺体内部に設けられているMPU、メモリ、I/Oインターフェースなどの機能回路にも適応することができる。本発明で作製される薄膜集積回路を用いることにより、高速動作が可能で、高精細で信頼性の高い表示装置が実現可能となる。また、フレキシブル基板上の薄膜集積回路を用いることにより、モバイルコンピュータの小型化、薄型化及び軽量化が可能である。
図12Eは記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体1601、筐体1602、表示部A1603、表示部B1604、記録媒体(DVD等)読み込み部1605、操作キー1606、スピーカー部1607等を含む。表示部A1603は主として画像情報を表示し、表示部B1604は主として文字情報を表示する。本発明で作製される薄膜集積回路は、表示部A1603、表示部B1604に適用することができる。また、図示されていないが、筺体内部に設けられているMPU、メモリ、I/Oインターフェースなどの機能回路にも適応することができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。本発明で作製される薄膜集積回路を用いることにより、高速動作が可能で、高精細で信頼性の高い表示装置が実現可能となる。また、フレキシブル基板上の薄膜集積回路を用いることにより、画像再生装置の小型化、薄型化及び軽量化が可能である。
図12Fはゲーム機器であり、本体1701、表示部1703、操作スイッチ1702等を含む。本発明で作製される薄膜集積回路は、表示部1703に適用することができる。また図示されていないが、本発明で作製される薄膜集積回路は、筺体内部に設けられているMPU、メモリ、I/Oインターフェースなどの機能回路にも適応することができる。本発明で作製される薄膜集積回路を用いることにより、高速動作が可能で、高精細で信頼性の高い表示装置が実現可能となる。また、フレキシブル基板上の薄膜集積回路を用いることにより、ゲーム機器の小型化、薄型化及び軽量化が可能である。
図12Gはビデオカメラであり、本体1801、表示部1802、筐体1803、外部接続ポート1804、リモコン受信部1805、受像部1806、バッテリー1807、音声入力部1808、操作キー1809、接眼部1810等を含む。本発明で作製される薄膜集積回路は、表示部1802に適用することができる。また、図示されていないが、筺体内部に設けられているMPU、メモリ、I/Oインターフェースなどの機能回路にも適応することができる。本発明で作製される薄膜集積回路を用いることにより、高速動作が可能で、高精細で信頼性の高い表示装置が実現可能となる。また、フレキシブル基板上の薄膜集積回路を用いることにより、ビデオカメラの小型化、薄型化及び軽量化が可能である。
図12Hは携帯電話であり、本体1901、筐体1902、表示部1903、音声入力部1904、音声出力部1905、操作キー1906、外部接続ポート1907、アンテナ1908等を含む。本発明で作製される薄膜集積回路は、表示部1903に適用することができる。また、図示されていないが、筺体内部に設けられているMPU、メモリ、I/Oインターフェースなどの機能回路にも適応することができる。本発明で作製される薄膜集積回路を用いることにより、高速動作が可能で、高精細で信頼性の高い表示装置が実現可能となる。また、フレキシブル基板上の薄膜集積回路を用いることにより、携帯電話の小型化、薄型化及び軽量化が可能である。
以上の様に、実施の形態1〜5、実施例1〜4のいずれの構成を用いて作製された薄膜集積回路は、あらゆる電子機器の表示部や、MPU、メモリ、I/Oインターフェースなどの機能回路に適応することができる。
実施の形態1を示す工程図である。 実施の形態2を示す工程図である。 実施の形態2を示す工程図である。 実施の形態3を示す工程図である。 従来例を示す工程図である。 実施例1を示す図である。 実施例1を示す図である。 実施例2を示す図である。 実施例2を示す図である。 実施例3を示す図である。 実施例4を示す図である。 実施例5を示す図である。
符号の説明
101 ガラス基板
102 下地金属膜
103 下地絶縁膜
104 半導体層
105 ゲート絶縁膜
106 第1の導電層
107 第2の導電層
108 サイドウォール
109 TFT
110 チャネル形成領域
111 ソース領域
112 ドレイン領域
113 LDD領域
114 絶縁膜
201 剥離膜
202 酸化物膜
203 金属膜
204 TiSi2
205 金属膜
206 TiSi2
207 層間絶縁膜
208 ドレイン電極
209 パッシベーション膜
210 被剥離膜
211 接着層
212 支持体
213 接着層
214 転写体
401 金属膜
402 レジスト
403 金属膜
501 シリコン基板
502 拡散層
503 フィールド酸化膜
504 サイドウォール
505 ゲート電極
506 金属膜
507 TiSi2
508 金属膜
509 TiSi2
601 ガラス基板
602 下地金属膜
603 酸化物膜
604a 下地絶縁膜
604b 下地絶縁膜
605 島状の半導体層
606 ゲート絶縁膜
607 ゲート電極
608 レジスト
609 レジスト
610 低濃度不純物領域
611 レジスト
612 p型の高濃度不純物領域
613 絶縁膜
615 サイドウォール
616 レジスト
617 n型の高濃度不純物領域
801 ガラス基板
802 下地金属膜
803 下地絶縁膜
804 TFT
805 TFT
806 半導体層
807 ゲート絶縁膜
808 第1導電層
809 第2導電層
810 半導体層
811 ゲート絶縁膜
812 第1導電層
813 第2導電層
814 半導体層
815 容量
816 半導体層
817 絶縁膜
818 第1導電層
819 第2導電層
820 絶縁膜
821 低濃度不純物領域
822 低濃度不純物領域
823 低濃度不純物領域
824 低濃度不純物領域
825 低濃度不純物領域
826 絶縁膜
827 サイドウォール
828 高濃度不純物領域
829 高濃度不純物領域
830 高濃度不純物領域
831 高濃度不純物領域
832 金属膜
833 レジストマスク
834 金属膜
835 TiSi2
836 層間絶縁膜
901 基板
902 中央処理部
903 演算部
904 制御部
905 記憶部
906 入力部
907 出力部
1001 電子カード
1002 アンテナ
1003 薄膜集積回路
1004 電流回路
1201 筐体
1202 表示部
1203 スピーカー部
1301 本体
1302 表示部
1303 受像部
1304 操作キー
1305 外部接続ポート
1306 シャッター
1401 本体
1402 筐体
1403 表示部
1404 キーボード
1405 外部接続ポート
1406 ポインティングマウス
1501 本体
1502 表示部
1503 スイッチ
1504 操作キー
1505 赤外線ポート
1601 本体
1602 筐体
1603 表示部A
1604 表示部B
1605 記録媒体読み込み部
1606 操作キー
1607 スピーカー部
1701 本体
1702 操作スイッチ
1703 表示部
1801 本体
1802 表示部
1803 筐体
1804 外部接続ポート
1805 受信部
1806 受像部
1807 バッテリー
1808 音声入力部
1809 操作キー
1810 接眼部
1901 本体
1902 筐体
1903 表示部
1904 音声入力部
1905 音声出力部
1906 操作キー
1907 外部接続ポート
1908 アンテナ


Claims (20)

  1. ガラス基板と、
    前記ガラス基板上の金属膜と、
    前記金属膜上の絶縁膜と、
    前記絶縁膜上の薄膜トランジスタを有し、
    前記薄膜トランジスタの、少なくともソース領域又はドレイン領域のいずれかは、シリサイドを含むことを特徴とする薄膜集積回路。
  2. 請求項1において、前記薄膜トランジスタは、ゲート電極の側面にサイドウォールを有することを特徴とする薄膜集積回路。
  3. 請求項1または2において、前記金属膜は、Ti、Al、Ta、W、Mo、Cu、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料であることを特徴とする薄膜集積回路。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項において、前記金属膜は、前記ガラス基板と前記絶縁膜の接触を防ぐことを特徴とする薄膜集積回路。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項において、前記シリサイドはTiSi2であることを特徴とする薄膜集積回路。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の前記薄膜集積回路を含むCPUまたはメモリ。
  7. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の前記薄膜集積回路を含む電子カード。
  8. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の前記薄膜集積回路を含む電子機器。
  9. ガラス基板上に第1の金属膜を形成する工程と、
    前記第1の金属膜上に絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
    前記薄膜トランジスタ上に第2の金属膜を形成する工程と、
    熱処理により、前記薄膜トランジスタの少なくともソース領域又はドレイン領域のいずれかにシリサイドを形成する工程と、
    前記第2の金属膜を除去する工程と、
    前記シリサイドを低抵抗化するために、少なくとも前記薄膜トランジスタをレーザー照射する工程とを有する薄膜集積回路の作製方法。
  10. ガラス基板上に第1の金属膜を形成する工程と、
    前記第1の金属膜上に絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
    前記薄膜トランジスタ上に第2の金属膜を形成する工程と、
    熱処理により、前記薄膜トランジスタのソース領域またはドレイン領域にシリサイドを形成する工程と、
    前記第2の金属膜を除去する工程と、
    前記シリサイドを低抵抗化するために、少なくとも前記薄膜トランジスタをレーザー照射する工程と、
    前記薄膜トランジスタ上に層間絶縁膜を形成する工程と、
    前記層間絶縁膜上に接着層を介して第2の基板を接着する工程と、
    前記ガラス基板と前記第1の金属膜を、前記絶縁膜の膜内または前記第1の金属膜と前記絶縁膜の界面において剥離する工程を有する薄膜集積回路の作製方法。
  11. ガラス基板上に第1の金属膜を形成する工程と、
    前記第1の金属膜上に絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
    前記薄膜トランジスタ上に第2の金属膜を形成する工程と、
    少なくとも前記薄膜トランジスタに熱処理を行う工程と、
    前記第2の金属膜を除去する工程と、
    少なくとも前記薄膜トランジスタをレーザー照射する工程とを有する薄膜集積回路の作製方法。
  12. ガラス基板上に第1の金属膜を形成する工程と、
    前記第1の金属膜上に絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
    前記薄膜トランジスタ上に第2の金属膜を形成する工程と、
    少なくとも前記薄膜トランジスタに熱処理を行う工程と、
    前記第2の金属膜を除去する工程と、
    少なくとも前記薄膜トランジスタをレーザー照射する工程と、
    前記薄膜トランジスタ上に層間絶縁膜を形成する工程と、
    前記層間絶縁膜上に接着層を介して第2の基板を接着する工程と、
    前記ガラス基板と前記第1の金属膜を、前記絶縁膜の膜内または前記第1の金属膜と前記絶縁膜の界面において剥離する工程を有する薄膜集積回路の作製方法。
  13. ガラス基板上に第1の金属膜を形成する工程と、
    前記第1の金属膜上に絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜上に薄膜トランジスタを形成する工程と、
    前記薄膜トランジスタのソース領域またはドレイン領域の上に、第2の金属膜を選択的に形成する工程と、
    レーザー照射により、前記ソース領域または前記ドレイン領域にシリサイドを形成する工程とを有する薄膜集積回路の作製方法。
  14. 請求項9乃至13のいずれか一項において、前記熱処理は、前記ガラス基板のガラス転移点以下の温度で行われることを特徴とする薄膜集積回路の作製方法。
  15. 請求項9乃14のいずれか一項において、前記第1の金属膜は、Ti、Al、Ta、W、Mo、Cu、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選ばれた一種または複数種の元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料であることを特徴とする薄膜集積回路の作製方法。
  16. 請求項9乃至15のいずれか一項において、前記第2の金属膜は、Ti、Al、Ta、W、Mo、Cu、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料であることを特徴とする薄膜集積回路の作製方法。
  17. 請求項9乃至16のいずれか一項において、前記薄膜トランジスタを形成する工程において、ゲート電極の側面に、サイドウォールを形成することを特徴とする薄膜集積回路の作製方法。
  18. 請求項9乃至17のいずれか一項に記載の作製方法にて作製された薄膜集積回路を含むCPUまたはメモリ。
  19. 請求項9乃至17のいずれか一項に記載の作製方法にて作製された薄膜集積回路を含む電子カード。
  20. 請求項9乃至17のいずれか一項に記載の作製方法にて作製された薄膜集積回路を含む電子機器。


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