JP2005331992A - 波長変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】基本波を波長変換素子に入射するための精密な位置合わせが不要であり、平行ビーム化および回折限界の集光が可能で、且つ、波長の高効率変換が可能な波長変換装置の提供。
【解決手段】非光導波路型のバルク型の波長変換素子と、基本波光源としての半導体レーザとを具えた波長変換装置であって、非回折性光束発生手段を具えている。非回折性光束発生手段は、半導体レーザから出射された光から、波長変換素子に入射する基本波としての非回折性光束を発生させる。波長変換素子の出力側には、波長変換素子から出射する波長変換された出射光を円筒状の平行光束にするためのアキシコンレンズ66と、円筒状の平行光束を限界集光するための第1凸レンズ68とを具えている。
【選択図】図14
【解決手段】非光導波路型のバルク型の波長変換素子と、基本波光源としての半導体レーザとを具えた波長変換装置であって、非回折性光束発生手段を具えている。非回折性光束発生手段は、半導体レーザから出射された光から、波長変換素子に入射する基本波としての非回折性光束を発生させる。波長変換素子の出力側には、波長変換素子から出射する波長変換された出射光を円筒状の平行光束にするためのアキシコンレンズ66と、円筒状の平行光束を限界集光するための第1凸レンズ68とを具えている。
【選択図】図14
Description
この発明は、半導体レーザ(LD;Laser Diode)を光源とした基本波の波長を変換するための波長変換装置に関する。
従来の波長変換装置の一例として、下記の非特許文献1に、光導波路を具え、擬似位相整合(QPM;Quasi−Phase Matching)を利用した光第2高調波発生(SHG;Second−Harmonic Generation)素子を用いた例が記載されている。この非特許文献1に記載のQPMによるSHG素子(以下、QPM SHG素子とも略称する)の例によれば、光導波路中に基本波を伝播させることにより、高いエネルギー密度を保ったまま長い距離を基本波を波長変換素子(非線形光学結晶中)を伝播させることができる。その結果、高い変換効率を達成することができる。また、波長変換された光(例えば、光第2高調波(SH波))は、平行ビーム化および回折限界の集光が可能であるという優れた特性を有している。
特開平4−14512号公報
米国特許第5,247,528号明細書
特開平5−66440号公報
特開平5−11297号公報
特開平5−257184号公報
O plus E,1994年4月号,pp.60〜65
Physical Review Letters Volume 58,Number15 13 April 1987 pp.1499−1501
応用物理第59巻1990年 pp.746−750
O plus E,1992年9月号 pp.84−89
Applied Physics Letters,Vol.17,No.11(1970)pp.483−485
しかしながら、光導波路型の波長変換素子においては、基本波を光導波路に効率よく入射させるために、精密な位置合わせが必要となる。
一方、光導波路を設けないバルク型の波長変換素子においては、精密な位置合わせは不要であるが、基本波を長い距離、基本波のエネルギー密度を高く保ったまま、波長変換素子中(非線形光学結晶中)を伝播させることは困難である。その結果、バルク型の波長変換素子では、光導波路型の波長変換素子に比べて、変換効率が低くなってしまうという問題点があった。
このため、基本波を波長変換素子に入射するための精密な位置合わせが不要であり、且つ、波長の高効率変換ができる波長変換方法および波長変換装置の実現が望まれていた。
また、波長変換方法および波長変換装置に用いて好適な、より高い強度の非回折性光束を発生できる非回折性光束発生装置の実現が望まれていた。
<第1参考例>
この出願に係る第1参考例の波長変換方法によれば、バルク型の波長変換素子に基本波を入射して波長変換を行うにあたり、この基本波として非回折性光束を入射させることを特徴とする。
この出願に係る第1参考例の波長変換方法によれば、バルク型の波長変換素子に基本波を入射して波長変換を行うにあたり、この基本波として非回折性光束を入射させることを特徴とする。
また、第1参考例の波長変換方法において、波長変換素子として、光第2高調波発生(SHG)素子を用いることにより、光第2高調波を発生させることが望ましい。
また、第1参考例の波長変換方法において、波長変換素子として、和周波発生(SFG)素子を用いることにより、和周波を発生させることが望ましい。
また、第1参考例の波長変換方法において、波長変換素子として、差周波発生(DFG)素子を用いることにより、差周波を発生させることが望ましい。
また、第1参考例の波長変換方法において、好ましくは、波長変換素子として、擬似位相整合(QPM)による波長変換素子を用い、光軸に関して対称な形状を有する位相シフト板を用いて、基本波の一部分の位相を遅らせることにより、当該波長変換素子の擬似位相整合条件を緩和すると良い。
<本発明>
また、この出願に係る発明の波長変換装置によれば、非光導波路型のバルク型の波長変換素子と、基本波光源としての半導体レーザ(LD)とを具えた波長変換装置であって、
半導体レーザから出射された光から、波長変換素子に入射する基本波としての非回折性光束を発生させる非回折性光束発生手段を具えてなることを特徴とする。
また、この出願に係る発明の波長変換装置によれば、非光導波路型のバルク型の波長変換素子と、基本波光源としての半導体レーザ(LD)とを具えた波長変換装置であって、
半導体レーザから出射された光から、波長変換素子に入射する基本波としての非回折性光束を発生させる非回折性光束発生手段を具えてなることを特徴とする。
また、この発明の波長変換装置において、波長変換素子を第2高調波発生(SHG)素子とすることが望ましい。
また、この発明の波長変換装置において、波長変換素子を和周波発生(SFG)素子とすることが望ましい。
また、この発明の波長変換装置において、波長変換素子を差周波発生(DFG)素子とすることが望ましい。
また、この発明の波長変換装置において、波長変換素子を擬似位相整合(QPM)による波長変換素子とすることが望ましい。
また、より好ましくは、QPMを利用した波長変換素子を具えた波長変換装置において、非回折性光束発生手段の入力側に、波長変換素子の擬似位相整合(QPM)条件を満足する波長に対してブラッグ条件を満足する光学手段を具えてなると良い。
また、より好ましくは、QPMを利用した波長変換素子を具えた波長変換装置において、非回折性光束発生手段の入力側であって、該非回折性光束発生手段に入射する光のうちの一部分の光路上に、基本波の位相を遅らせるための、光軸に関して対称な形状を有する、位相シフト板を具えてなると良い。
また、この発明の波長変換装置において、波長変換素子の出力側に、当該波長変換素子によって波長変換された出射光を円筒状の平行光束にするためのアキシコンレンズと、この円筒状の平行光束を限界集光するための凸レンズと具えてなることが望ましい。
また、より好ましくは、限界集光された出射光を平行光束にするためのコリメータを具えてなると良い。
また、この発明の波長変換装置において、波長変換素子の出力側に、当該波長変換素子によって波長変換された出射光を円筒状の平行光束にするためのアキシコンレンズおよび該円筒状の平行光束を限界集光するための凸レンズと等価な作用を有する単一のゾーンプレートを具えてなることが望ましい。
また、より好ましくは、ゾーンプレートによって限界集光された出射光を平行光束にするためのコリメータを具えてなると良い。
また、この発明の波長変換装置において、非回折性光束発生手段として、半導体レーザから出射された平行光束を円環状のスポットに集光するための第1光学系と、当該スポットに集光された光から非回折性光束を発生させるための第2光学系とを具えた波長変換装置であって、第1光学系は、軸はずれの凸レンズを、当該凸レンズのメリディオナル面と当該凸レンズの外縁部との2つの交点のうちの当該凸レンズの焦点に近い方の交点を通り、かつ、当該凸レンズの光軸と平行な回転軸の周りに回転して得られる断面形状を有するトロイダルレンズを以って構成されていることが望ましい。
また、この発明の波長変換装置において、非回折性光束発生手段として、半導体レーザから出射された平行光束を円環状のスポットに集光するための第1光学系と、このスポットに集光された光から非回折性光束を発生させるための第2光学系とを具えた波長変換装置であって、第1光学系は、軸はずれの凸レンズを、当該凸レンズのメリディオナル面と当該凸レンズの外縁部との2つの交点のうちの当該凸レンズの焦点に近い方の交点を通り、かつ、当該凸レンズの光軸と平行な回転軸の周りに回転して得られる断面形状を有するトロイダルレンズと等価な作用を有するゾーンプレートを以って構成されていることが望ましい。
尚、軸はずれの凸レンズとは、当該凸レンズの光軸上からずれた位置に焦点を結ぶ凸レンズをいう。また、メリディオナル面とは、レンズの光軸と当該レンズの焦点とで決まる面をいう。
また、この発明の波長変換装置において、非回折性光束発生手段として、半導体レーザから出射された平行光束を円環状のスポットに集光するための第1光学系と、このスポットに集光された光から非回折性光束を発生させるための第2光学系とを具えた波長変換装置であって、この第2光学系は、スポットに集光された光を円筒状の平行光束にするための筒状光束コリメータと、この円筒状の平行光束を集光して非回折性光束を発生するアキシコン光学系とを以って構成されてなることが望ましい。
また、より好ましくは、第2光学系として筒状光束コリメータおよびアキシコン光学系を具えた波長変換装置において、第2光学系は、アキシコン光学系に入射する光のうちの一部分の光路上に、平行光束の位相を遅らせまたは進ませるための、光軸に関して対称な形状を有する位相シフト手段を具えてなると良い。
また、この発明の波長変換装置において、非回折性光束発生手段として、半導体レーザから出射された平行光束を円環状のスポットに集光するための第1光学系と、このスポットに集光された光から非回折性光束を発生させるための第2光学系とを具えた波長変換装置であって、この第2光学系は、スポットに集光された光を円筒状の平行光束にするための筒状光束コリメータおよびこの円筒状の平行光束を集光して非回折性光束を発生するアキシコン光学系と等価な作用を有する単一のゾーンプレートを以って構成されてなることが望ましい。
また、より好ましくは、第2光学系として単一のゾーンプレートを具えた波長変換装置において、ゾーンプレートは、アキシコン光学系に入射する光のうちの一部分の光路上に、平行光束の位相を遅らせまたは進ませるための光軸に関して対称な形状を有する位相シフト手段と等価な作用を有すると良い。
また、より好ましくは、第2光学系として単一のゾーンプレートを具えた波長変換装置において、ゾーンプレートは、下記の(6)式を満足する位相分布φ(ρ)を有すると良い。
φ(ρ)=(π/λ)ρ2 (A2 −B2 ){(z1 −z2 )ρ2 +(z2 A2 −z1 B2 )}-1・・・(6)
但し、ρは光軸に垂直な平面における光軸からの距離を表し、AおよびBはそれぞれ定数を表す。また、λは基本波の波長を表し、z1 およびz2 は、光軸上の非回折性光束の始点および終点の当該ゾーンプレートからの距離を表す。
但し、ρは光軸に垂直な平面における光軸からの距離を表し、AおよびBはそれぞれ定数を表す。また、λは基本波の波長を表し、z1 およびz2 は、光軸上の非回折性光束の始点および終点の当該ゾーンプレートからの距離を表す。
また、この発明の波長変換装置において、非回折性光束発生手段として、半導体レーザから出射された平行光束を円環状のスポットに集光するための第1光学系と、このスポットに集光された光から非回折性光束を発生させるための第2光学系とを具えた波長変換装置であって、第2光学系は、非回折性光束が発生する領域の長さを、波長変換素子の素子長とすることが望ましい。
<第2参考例>
また、この出願に係る第2参考例の波長変換装置によれば、非光導波路型のバルク型の波長変換素子と、基本波光源としての半導体レーザ(LD)とを具えた波長変換装置であって、半導体レーザから出射された光から、波長変換素子に入射する基本波としての非回折性光束を発生させる非回折性光束発生手段を具え、波長変換素子として、周期的分極反転構造を設けた擬似位相整合(QPM)による光第2高調波発生(SHG)素子を具え、非回折性光束発生手段として、アキシコンレンズを具え、この周期的分極反転構造の反転周期Λは、下記の式(1)を満足することを特徴とする。
また、この出願に係る第2参考例の波長変換装置によれば、非光導波路型のバルク型の波長変換素子と、基本波光源としての半導体レーザ(LD)とを具えた波長変換装置であって、半導体レーザから出射された光から、波長変換素子に入射する基本波としての非回折性光束を発生させる非回折性光束発生手段を具え、波長変換素子として、周期的分極反転構造を設けた擬似位相整合(QPM)による光第2高調波発生(SHG)素子を具え、非回折性光束発生手段として、アキシコンレンズを具え、この周期的分極反転構造の反転周期Λは、下記の式(1)を満足することを特徴とする。
Λ=2lC /cosθ・・・(1)
但し、lC は、擬似位相整合による光第2高調波発生素子のコヒーレンス長を表し、θは、非回折性光束発生手段から出射された波数kの光束が光軸となす角である。
但し、lC は、擬似位相整合による光第2高調波発生素子のコヒーレンス長を表し、θは、非回折性光束発生手段から出射された波数kの光束が光軸となす角である。
また、第2参考例の波長変換装置において、アキシコンレンズの入射端側に、波長変換素子の擬似位相整合(QPM)条件を満足する波長に対してブラッグ条件を満足する多層膜反射構造を具えてなることが望ましい。
また、第2参考例の波長変換装置において、アキシコンレンズの入射端側であって、当該アキシコンレンズに入射する光のうちの一部分の光路上に、基本波の位相を遅らせるための、光軸に関して対称な形状を有する位相シフト板を具えてなることが望ましい。
<第3参考例>
また、この出願に係る第3参考例の波長変換装置によれば、非光導波路型のバルク型の波長変換素子と、基本波光源としての半導体レーザ(LD)とを具えた波長変換装置であって、半導体レーザから出射された光から、波長変換素子に入射する基本波としての非回折性光束を発生させる非回折性光束発生手段を具え、波長変換素子として、周期的分極反転構造を設けた擬似位相整合(QPM)による和周波発生(SFG)素子を具え、非回折性光束発生手段として、アキシコンレンズを具え、この周期的分極反転構造の反転周期Λは、下記の式(2)を満足し、且つ、擬似位相整合による和周波発生素子の位相不整合Δkが下記の式(3)を満足することを特徴とする。
また、この出願に係る第3参考例の波長変換装置によれば、非光導波路型のバルク型の波長変換素子と、基本波光源としての半導体レーザ(LD)とを具えた波長変換装置であって、半導体レーザから出射された光から、波長変換素子に入射する基本波としての非回折性光束を発生させる非回折性光束発生手段を具え、波長変換素子として、周期的分極反転構造を設けた擬似位相整合(QPM)による和周波発生(SFG)素子を具え、非回折性光束発生手段として、アキシコンレンズを具え、この周期的分極反転構造の反転周期Λは、下記の式(2)を満足し、且つ、擬似位相整合による和周波発生素子の位相不整合Δkが下記の式(3)を満足することを特徴とする。
Λ=(2π/Δk)/cosθ・・・(2)
Δk=k3 −k2 −k1 ・・・(3)
但し、k1 は、第1の基本波の波数を表し、
k2 は、第2の基本波の波数を表し、
k3 は、和周波の波数を表す。
また、θは、k1 およびk2 が、光軸となす角度を表す。
Δk=k3 −k2 −k1 ・・・(3)
但し、k1 は、第1の基本波の波数を表し、
k2 は、第2の基本波の波数を表し、
k3 は、和周波の波数を表す。
また、θは、k1 およびk2 が、光軸となす角度を表す。
また、第3参考例の波長変換装置において、アキシコンレンズの入射端側に、波長変換素子の擬似位相整合(QPM)条件を満足する波長に対してブラッグ条件を満足する多層膜反射構造を具えてなることが望ましい。
また、第3参考例の波長変換装置において、アキシコンレンズの入射端側であって、当該アキシコンレンズに入射する光のうちの一部分の光路上に、基本波の位相を遅らせるための、光軸に関して対称な形状を有する位相シフト板を具えてなることが望ましい。
<第4参考例>
また、この出願に係る第4参考例の波長変換装置によれば、非光導波路型のバルク型の波長変換素子と、基本波光源としての半導体レーザ(LD)とを具えた波長変換装置であって、半導体レーザから出射された光から、波長変換素子に入射する基本波としての非回折性光束を発生させる非回折性光束発生手段を具え、波長変換素子として、周期的分極反転構造を設けた擬似位相整合(QPM)による差周波発生(DFG)素子を具え、非回折性光束発生手段として、アキシコンレンズを具え、この周期的分極反転構造の反転周期Λは、下記の式(4)を満足し、且つ、擬似位相整合による差周波発生素子の位相不整合Δkが下記の式(5)を満足することを特徴とする。
また、この出願に係る第4参考例の波長変換装置によれば、非光導波路型のバルク型の波長変換素子と、基本波光源としての半導体レーザ(LD)とを具えた波長変換装置であって、半導体レーザから出射された光から、波長変換素子に入射する基本波としての非回折性光束を発生させる非回折性光束発生手段を具え、波長変換素子として、周期的分極反転構造を設けた擬似位相整合(QPM)による差周波発生(DFG)素子を具え、非回折性光束発生手段として、アキシコンレンズを具え、この周期的分極反転構造の反転周期Λは、下記の式(4)を満足し、且つ、擬似位相整合による差周波発生素子の位相不整合Δkが下記の式(5)を満足することを特徴とする。
Λ=(2π/Δk)/cosθ・・・(4)
Δk=k1 −k2 −k3 ・・・(5)
但し、k1 は、第1の基本波の波数を表し、
k2 は、第2の基本波の波数を表し、
k3 は、差周波の波数を表す。
また、θは、k1 およびk2 が光軸となす角度を表す。
Δk=k1 −k2 −k3 ・・・(5)
但し、k1 は、第1の基本波の波数を表し、
k2 は、第2の基本波の波数を表し、
k3 は、差周波の波数を表す。
また、θは、k1 およびk2 が光軸となす角度を表す。
また、第4参考例の波長変換装置において、アキシコンレンズの入射端側に、波長変換素子の擬似位相整合(QPM)条件を満足する波長に対してブラッグ条件を満足する多層膜反射構造を具えてなることが望ましい。
また、第4参考例の波長変換装置において、アキシコンレンズの入射端側であって、当該アキシコンレンズに入射する光のうちの一部分の光路上に、基本波の位相を遅らせるための、光軸に関して対称な形状を有する位相シフト板を具えてなることが望ましい。
<第5参考例>
また、この出願に係る第5参考例の非回折性光束発生装置によれば、平行光束を円環状のスポットに集光するための第1光学系と、このスポットに集光された光から非回折性光束を発生させるための第2光学系とを具えた非回折性光束発生装置であって、第1光学系は、軸はずれの凸レンズを、当該凸レンズのメリディオナル面と当該凸レンズの外縁部との2つの交点のうちの当該凸レンズの焦点に近い方の交点を通り、かつ、当該凸レンズの光軸と平行な回転軸の周りに回転して得られる断面形状を有するトロイダルレンズを以って構成されてなることを特徴とする。
また、この出願に係る第5参考例の非回折性光束発生装置によれば、平行光束を円環状のスポットに集光するための第1光学系と、このスポットに集光された光から非回折性光束を発生させるための第2光学系とを具えた非回折性光束発生装置であって、第1光学系は、軸はずれの凸レンズを、当該凸レンズのメリディオナル面と当該凸レンズの外縁部との2つの交点のうちの当該凸レンズの焦点に近い方の交点を通り、かつ、当該凸レンズの光軸と平行な回転軸の周りに回転して得られる断面形状を有するトロイダルレンズを以って構成されてなることを特徴とする。
尚、軸はずれの凸レンズとは、当該凸レンズの光軸上からずれた位置に焦点を結ぶ凸レンズをいう。また、メリディオナル面とは、レンズの光軸と当該レンズの焦点とで決まる面をいう。
<第6参考例>
また、この出願に係る第6参考例の非回折性光束発生装置によれば、平行光束を円環状のスポットに集光するための第1光学系と、このスポットに集光された光から非回折性光束を発生させるための第2光学系とを具えた非回折性光束発生装置であって、第1光学系は、軸はずれの凸レンズを、当該凸レンズのメリディオナル面と当該凸レンズの外縁部との2つの交点のうちの当該凸レンズの焦点に近い方の交点を通り、かつ、当該凸レンズの光軸と平行な回転軸の周りに回転して得られる断面形状を有するトロイダルレンズと等価な作用を有するゾーンプレートを以って構成されてなることを特徴とする。
また、この出願に係る第6参考例の非回折性光束発生装置によれば、平行光束を円環状のスポットに集光するための第1光学系と、このスポットに集光された光から非回折性光束を発生させるための第2光学系とを具えた非回折性光束発生装置であって、第1光学系は、軸はずれの凸レンズを、当該凸レンズのメリディオナル面と当該凸レンズの外縁部との2つの交点のうちの当該凸レンズの焦点に近い方の交点を通り、かつ、当該凸レンズの光軸と平行な回転軸の周りに回転して得られる断面形状を有するトロイダルレンズと等価な作用を有するゾーンプレートを以って構成されてなることを特徴とする。
<第7参考例>
また、この出願に係る第7参考例の非回折性光束発生装置によれば、平行光束を円環状のスポットに集光するための第1光学系と、このスポットに集光された光から非回折性光束を発生させるための第2光学系とを具えた非回折性光束発生装置であって、この第2光学系は、スポットに集光された光を円筒状の平行光束にするための筒状光束コリメータと、この円筒状の平行光束を集光して非回折性光束を発生するアキシコン光学系とを以って構成されてなることを特徴とする。
また、この出願に係る第7参考例の非回折性光束発生装置によれば、平行光束を円環状のスポットに集光するための第1光学系と、このスポットに集光された光から非回折性光束を発生させるための第2光学系とを具えた非回折性光束発生装置であって、この第2光学系は、スポットに集光された光を円筒状の平行光束にするための筒状光束コリメータと、この円筒状の平行光束を集光して非回折性光束を発生するアキシコン光学系とを以って構成されてなることを特徴とする。
<第8参考例>
また、この出願に係る第8参考例の非回折性光束発生装置によれば、平行光束を円環状のスポットに集光するための第1光学系と、このスポットに集光された光から非回折性光束を発生させるための第2光学系とを具えた非回折性光束発生装置であって、この第2光学系は、スポットに集光された光を円筒状の平行光束にするための筒状光束コリメータおよびこの円筒状の平行光束を集光して非回折性光束を発生するアキシコン光学系と等価な作用を有する単一のゾーンプレートを以って構成されてなることを特徴とする。
また、この出願に係る第8参考例の非回折性光束発生装置によれば、平行光束を円環状のスポットに集光するための第1光学系と、このスポットに集光された光から非回折性光束を発生させるための第2光学系とを具えた非回折性光束発生装置であって、この第2光学系は、スポットに集光された光を円筒状の平行光束にするための筒状光束コリメータおよびこの円筒状の平行光束を集光して非回折性光束を発生するアキシコン光学系と等価な作用を有する単一のゾーンプレートを以って構成されてなることを特徴とする。
また、第8参考例の非回折性光束発生装置において、ゾーンプレートは、下記の(6)式を満足する位相分布φ(ρ)を有することが望ましい。
φ(ρ)=(π/λ)ρ2 (A2 −B2 ){(z1 −z2 )ρ2 +(z2 A2 −z1 B2 )}-1・・・(6)
但し、ρは光軸に垂直な平面における当該光軸からの距離を表し、AおよびBはそれぞれ定数を表す。また、λは基本波の波長を表し、z1 およびz2 は光軸上の非回折性光束の始点および終点の当該ゾーンプレートからの距離を表す。
但し、ρは光軸に垂直な平面における当該光軸からの距離を表し、AおよびBはそれぞれ定数を表す。また、λは基本波の波長を表し、z1 およびz2 は光軸上の非回折性光束の始点および終点の当該ゾーンプレートからの距離を表す。
この出願に係る第1参考例の波長変換方法によれば、バルク型の波長変換素子に基本波として非回折性光束を入射させる。また、この出願に係るこの発明の波長変換装置によれば、波長変換素子に入射する基本波としての非回折性光束を発生させる非回折性光束発生手段を具えている。また、この出願に係る第2〜4参考例の波長変換素子によれば、非回折性光束発生手段としてアキシコンレンズを具えている。
その結果、この出願に係る発明および各参考例においては、非回折性光束を基本波とすることにより、光導波路を用いずに、基本波を高いエネルギー密度を保ったまま、長い距離波長変換素子中(非線形光学結晶中)を伝播させることができる。このため、光導波路を用いずに、波長の高効率変換を実現することが可能となる。また、光導波路を用いないため、基本波を光導波路に効率よく入射させるための精密な位置合わせ技術が不要となる。
また、非回折性光束を基本波として波長変換素子に入射して波長変換された出射光を、アキシコンレンズおよび凸レンズを用いれば、限界集光させることができる。また、コリメータを用いれば、限界集光させた出射光を平行光束にして利用することもできる。
また、この出願に係る第5参考例の非回折性光束発生装置によれば、第1光学系として、軸はずれの凸レンズを回転させて得られる断面形状を有するトロイダルレンズを設ける。また、第6参考例の非回折性光束発生装置では、このトロイダルレンズと等価な単一のゾーンプレートを設ける。また、第7参考例の非回折性光束発生装置によれば、第2光学系として、アキシコン光学系の他に筒状光束コリメータを設ける。また、第8参考例の非回折性光束発生装置によれば、このアキシコン光学系および筒状光束コリメータと等価な単一のゾーンプレートを設ける。
このため、これら第5〜第8参考例によれば、非回折性光束の光強度をより強くすることができる。そして、これら第5〜第8参考例の非回折性光束発生装置を、単独でもしくは任意に組合せて、この発明の波長変換装置の非回折性光束発生手段として用いれば、非回折性光束の光強度を強くすることにより波長変換効率を向上させることができる。さらに、非回折性光束の発生する範囲を、波長変換素子の有効長に限定するように、非回折性光束発生手段を設けることにより、波長変換効率をより向上させることができる。
さらに、位相シフト手段を設けることにより、位相整合条件を緩和することができる。その結果、波長変換素子の素子長(有効長)をより長くすることができるので、波長変換効率をより高くすることができる。また、位相整合条件を緩和することにより、波長変換装置の長期信頼性の向上および環境変化に対する装置の動作の安定性の向上が期待できる。
従って、この出願に係る波長変換装置は、例えば、近年の光ディスクメモリの高密度化や画像処理技術といった多くの応用分野で用いて好適である。また、特に、波長変換装置としてSHG素子を用いれば、例えば光ディスク装置、レーザプリンタ、その他の光応用装置の光源の短波長化に用いて好適である。
<非回折性光束について>
以下、図2を参照して、非回折性光束(ベッセルビームとも称する)について説明する。
以下、図2を参照して、非回折性光束(ベッセルビームとも称する)について説明する。
従来、光導波路中では、光の強度分布が光の伝播方向に垂直な全ての面で等しくなるようにして光は伝播する。一方、非回折性光束は、光導波路中でなく、自由空間中を、光の強度分布が光の伝播方向に垂直な全ての面で等しくなるようにして伝播する。但し、このような光は数学的には厳密には存在しないが、レーザ光の様な可干渉性の強い光について、近似的に作り得ることが知られている。非回折性光束を発生させる方法の一例が、例えば、上記非特許文献2または非特許文献3に開示されている。
非回折性光束発生手段としては、例えばアキシコンレンズや円環状のスリットを用いることができる。アキシコンレンズを用いた光学系で非回折性光束が得られるということは、上記非特許文献4に説明されている。特に、非特許文献4の87頁に詳しい解説がある。この解説によれば、アキシコンレンズを用いることにより、100%近い効率で非回折性光束を得ることができる。さらに、条件を揃えれば、数ミリ程度の距離を直径1μmの光スポットを保ったまま伝播させることができる。
また、非回折性光束発生手段として、例えば、円環状のスリットを用いることもできる。この場合は、アキシコンレンズのような特殊なレンズを使うことなく通常のレンズと円環状のスリットを用いて容易に非回折性光束を得ることができる。但し、円環状のスリットを用いた場合は、非回折性光束の光強度を強くすることが困難である。そこで、様々な非回折性光束発生手段が提案されている。例えば、上記特許文献1にも非回折性光束発生手段の例が開示されている。この出願に係る発明では、従来の周知のいずれの非回折性光束発生手段を用いても良い。
ここでは、非回折性光束をアキシコンレンズを用いて発生させる場合について説明する。図2に示すように、アキシコンレンズとは、円錐形部分を有するレンズである。屈折率nのガラスからなる頂角2AのアキシコンレンズにLDの発振光(以下、単にレーザ光とも称する)であって、コリメートされた平行光が入射する。尚、コリメートに必要な光学系は、従来周知の光学系を用いることができる。アキシコンレンズを構成するガラスの屈折率nおよびアキシコンレンズの頂角2Aは、レーザ光の波長と共に(近似的)非回折性光束のビーム系や伝播長を決める因子となる。
ここで、図2の光軸上右向きにz軸をとり、このz軸と直交する面をxy面とすると、図2の破線の領域に分布する非回折性光束の電界は、定数項を省略して、下記の(11)式で表すことができる。
E(x,y,z,t)=exp[i(βz-ωt)] J0 ( αr)・・・(11)
但し、r=(x2 +y2 )1/2 、J0 ( αr)は第1種0次ベッセル関数、α2 +β2 =(ω/C)2 、ωは非回折性光束(ベッセルビーム)の角周波数、Cは真空中の光の速度をそれぞれ表す。
但し、r=(x2 +y2 )1/2 、J0 ( αr)は第1種0次ベッセル関数、α2 +β2 =(ω/C)2 、ωは非回折性光束(ベッセルビーム)の角周波数、Cは真空中の光の速度をそれぞれ表す。
さらに、非回折性光束の直感的な説明をすれば、非回折性光束は、波数ベクトルk1 の光ビームと波数ベクトルk2 の光ビームとの光軸(z軸)上の干渉によって生ずると考えられる。両光ビームの波数ベクトルk1 およびk2 の方向とz軸とのなす角度をθとすれば、波数ベクトルk1 は(2π/λ)(cosθ、sinθ)と表され、一方、波数ベクトルk2 は(2π/λ)(cosθ、−sinθ)と表すことができる。但し、λは波長を表す。
そこで、z軸上に形成される非回折性光束を、光軸(z軸)上についてその位相に注目して定数項および振幅項を無視して表現すれば、下記の(12)式で表すことができる。
E(z)=exp[i(ωt-kzcosθ)]・・・(12)
但し、ωは角周波数、k=2πn/λ、nは屈折率を表す。
(12)式は、位相速度がω/(kcosθ)である点を除き通常の平面波と同じである。従って、非回折性光束は、位相速度がω/(kcosθ)であって、ビーム径が細いままで拡がることなく伝播する平面波であると近似的に考えることができる。
但し、ωは角周波数、k=2πn/λ、nは屈折率を表す。
(12)式は、位相速度がω/(kcosθ)である点を除き通常の平面波と同じである。従って、非回折性光束は、位相速度がω/(kcosθ)であって、ビーム径が細いままで拡がることなく伝播する平面波であると近似的に考えることができる。
アキシコンレンズを用いた場合、アキシコンレンズを構成するガラスの屈折率をn、頂角の半値をAとすれば、n=cos(Θ−θ)/cosAであるから、θは下記の(13)式
θ=Θ−cos-1(ncosΘ)・・・(13)
で表すことができる。
θ=Θ−cos-1(ncosΘ)・・・(13)
で表すことができる。
そして、この非回折性光束を基本波として波長変換素子に入射した場合の波長変換効率は、非回折性光束の強度が強い程高くなる。
ここで、図8を参照して、非回折性光束の強度と非回折性光束発生手段(非回折性光束発生装置)との関係について説明する。図8は、非回折性光束発生手段の一例を示す。この光学系においては、先ず平行ビームは第1光学系によって円環状のスポットに集光される。集光された光は第2光学系の筒状光束コリメータによって円筒状の平行光束となって、第2光学系のアキシコン光学系に入射する。そして、アキシコン光学系は非回折性光束を発生させる。
ところで、非回折性光束の強度は、非回折性光束の存在範囲の長さZMAX に反比例する。また、この強度は、非回折性光束発生手段(または非回折性光束発生装置とも称する)に入射する平行ビームのビーム径D0 が大きい程強くなる。また、この強度は、非回折性光束発生手段の第2光学系によって集光された非回折性光束を含むエアリーディスクの直径Wが小さい程強くなる。従って、この強度は、D0 /Wに反比例する。また、非回折性光束の強度は、非回折性光束を含むエアリーディスクの光電場の平均エネルギーの(2π/λ)sinθに反比例する。即ち、平均エネルギーが大きい程、非回折性光束に集束する光エネルギーが小さくなる。
このビーム径D0 および波長λは、光源の半導体レーザによって決まる。このため、非回折性光束の強度を高くするには、存在範囲の長さZMAX を大きくすることなく、エアリーディスクの直径Wおよび、第2光学系で集束させた光ビーム(波数ベクトルk1 の光ビームと波数ベクトルk2 の光ビーム)との光軸(z軸)とのなす角度θの少なくとも一方を小さくすれば良いことになる。
<第1光学系について>
そこで、この発明の波長変換素子において、非回折性光束発生手段の第1光学系として、軸はずれの凸レンズを、当該凸レンズのメリディオナル面と当該凸レンズの外縁部との交点を通り、光軸と平行な回転軸の周りに回転して得られる断面形状を有するトロイダルレンズを以って構成することが望ましい。但し、この断面形状とは、回転軸を含む平面で切った場合の断面形状を指す。尚、この場合の非回折性光束発生手段は、第5参考例の非回折性光束発生装置に相当する。
そこで、この発明の波長変換素子において、非回折性光束発生手段の第1光学系として、軸はずれの凸レンズを、当該凸レンズのメリディオナル面と当該凸レンズの外縁部との交点を通り、光軸と平行な回転軸の周りに回転して得られる断面形状を有するトロイダルレンズを以って構成することが望ましい。但し、この断面形状とは、回転軸を含む平面で切った場合の断面形状を指す。尚、この場合の非回折性光束発生手段は、第5参考例の非回折性光束発生装置に相当する。
その結果、第1光学系によって焦点を結ぶ円環状のスポットの直径Df を第1光学系の有効口径の1/2よりも小さくすることができる。スポットの直径Df を小さくすることにより、直径Wおよび角度θを小さくすることができる。このため、光束のエネルギーを光軸近傍に集中させて、強度を高くすることができる。
また、この軸はずれの凸レンズを回転して得られる断面形状を有するトロイダルレンズと等価な作用を有するゾーンプレートを第1光学系として用いても、円環状のスポットの直径Df をゾーンプレートの有効口径D0 の1/2よりも小さくすることができる。尚、このゾーンプレートを具えた非回折性光束発生手段は、第6参考例の非回折性光束発生装置に相当する。また、ゾーンプレートを用いれば、原理的に球面収差の発生を無くすることができる。
この点、従来の非回折性光束発生装置においては、例えば、上述の特許文献1に開示されているように、円環状のスポットの直径は、第1光学系のトロイダルレンズの有効口径の1/2になる。これは、このトロイダルレンズが通常の凸レンズをその外縁の一点を回転軸として回転させて得られる断面形状を有しているからである。このため、この特許文献1に開示の技術では、スポットの直径を1/2よりも小さくすることができない。
<第2光学系について>
また、この発明の波長変換素子において、非回折性光束発生手段の第2光学系として、アキシコン光学系の他に、円環状のスポットに集光された光を円筒状の平行光束にするための筒状光束コリメータを設けることが望ましい。尚、この場合の非回折性光束発生手段の構成は、第7参考例の非回折性光束発生装置に相当する。その結果、平行光束のエネルギーを平行光束の周辺部の円筒状の狭い領域に集束させることができる。即ち、円筒の壁の厚さを薄くすることができる。このため、エネルギーを高くした光をアキシコン光学系に入射することができる。このため、直径Wおよび角度θを小さくすることができる。
また、この発明の波長変換素子において、非回折性光束発生手段の第2光学系として、アキシコン光学系の他に、円環状のスポットに集光された光を円筒状の平行光束にするための筒状光束コリメータを設けることが望ましい。尚、この場合の非回折性光束発生手段の構成は、第7参考例の非回折性光束発生装置に相当する。その結果、平行光束のエネルギーを平行光束の周辺部の円筒状の狭い領域に集束させることができる。即ち、円筒の壁の厚さを薄くすることができる。このため、エネルギーを高くした光をアキシコン光学系に入射することができる。このため、直径Wおよび角度θを小さくすることができる。
また、筒状光束コリメータとアキシコン光学系との間の筒状の平行光束では位相差が発生しない。従って、筒状光束コリメータとアキシコン光学系とは、原理的に一体化することができる。
そこで、この発明の波長変換素子において、非回折性光束発生手段の第2光学系として、筒状光束コリメータおよびアキシコン光学系と等価な作用を有する単一のゾーンプレートを設けることが望ましい。単一のゾーンプレートを設けることにより、バルクのレンズを設ける場合よりも第2光学系の構成を簡単にすることができる。尚、この場合の非回折性光束発生手段の構成は、第8参考例の非回折性光束発生装置に相当する。また、ゾーンプレート用いれば、原理的に球面収差の発生を無くすることができる。
<存在範囲について>
また、この発明および第1参考例の波長変換装置において、非回折性光束の発生する領域(存在範囲)の長さZMAX を、波長変換素子の素子長(有効長)と等しくすると良い。非回折性光束の強度は、この領域の長さが短い程強い。しかし、素子の有効長よりも領域の長さを短くすると、波長変換効率が低下する。従って、領域の長さを素子長とすれば、変換効率を最も高くすることができる。
また、この発明および第1参考例の波長変換装置において、非回折性光束の発生する領域(存在範囲)の長さZMAX を、波長変換素子の素子長(有効長)と等しくすると良い。非回折性光束の強度は、この領域の長さが短い程強い。しかし、素子の有効長よりも領域の長さを短くすると、波長変換効率が低下する。従って、領域の長さを素子長とすれば、変換効率を最も高くすることができる。
<位相整合について>
・SHGの場合
この出願に係る発明および第1参考例において、バルク型の波長変換素子であって、2次の非線形相互作用により実現する光第2高調波発生(SHG)素子に非回折性光束を入射すれば、高精度の位置合わせを行わずに、高効率の変換を行うことが可能となる。
・SHGの場合
この出願に係る発明および第1参考例において、バルク型の波長変換素子であって、2次の非線形相互作用により実現する光第2高調波発生(SHG)素子に非回折性光束を入射すれば、高精度の位置合わせを行わずに、高効率の変換を行うことが可能となる。
ここでは、特に、周期的分極反転構造を有し、擬似位相整合(PQM)を利用したSHGについて説明する。この場合は、第2参考例の波長変換装置に相当する。
基本波は、上述した(12)式で与えられる非回折性光束であり、これを実数表示すれば、下記の(14)式で表すことができる。
E(z)=Ecos(ωt−kf zcosθ)・・・(14)
但し、ωは基本波の角周波数、kf は基本波の波数ベクトルをそれぞれ表す。
E(z)=Ecos(ωt−kf zcosθ)・・・(14)
但し、ωは基本波の角周波数、kf は基本波の波数ベクトルをそれぞれ表す。
また、発生する光第2高調波(SH波)の電界は、下記の(15)式で表される。
Esh(z)=Eshcos(ωsht−kshzcosθ)・・・(15)
但し、ωshはSH波の角周波数、kshはSH波の波数ベクトルをそれぞれ表す。
Esh(z)=Eshcos(ωsht−kshzcosθ)・・・(15)
但し、ωshはSH波の角周波数、kshはSH波の波数ベクトルをそれぞれ表す。
そして、電場Eによって誘起される電気分極Pは、下記の(16)式で表される。 P=χ1 E+χ2 EE+χ3 EEE+…・・・(16)
但し、χ1 、χ2 、χ3 …は、それぞれ、1次、2次、3次…の電気感受率を表す。
但し、χ1 、χ2 、χ3 …は、それぞれ、1次、2次、3次…の電気感受率を表す。
従って、2次の非線形分極Pshは、下記の(17)式で表される。
Psh=(1/2) χ2 E2 cos(ωsht−2kf zcosθ)・・(17)
この2次の非線形分極成分を下記の(18)式の波動方程式の駆動成分として、着目する周波数(ここではωsh)について解くことによって非線形光学相互作用を解析することができる。
Psh=(1/2) χ2 E2 cos(ωsht−2kf zcosθ)・・(17)
この2次の非線形分極成分を下記の(18)式の波動方程式の駆動成分として、着目する周波数(ここではωsh)について解くことによって非線形光学相互作用を解析することができる。
従って、下記の(19)式を解くことになる。
▽×▽×Eshcos(ωsht−kshzcosθ)
+ωsh 2 εμEshcos(ωsht−kshzcosθ)
=−ωsh 2 μPsh・・・(19)
相互作用はコリニアに生じ、SH成分への変換が緩やかであるとすると(19)式は、下記の(20)式のように表せる。
▽×▽×Eshcos(ωsht−kshzcosθ)
+ωsh 2 εμEshcos(ωsht−kshzcosθ)
=−ωsh 2 μPsh・・・(19)
相互作用はコリニアに生じ、SH成分への変換が緩やかであるとすると(19)式は、下記の(20)式のように表せる。
SH波への変換が小さければ、基本波のエネルギーの減少分を無視することができる。その場合のSH波の出力は下記の(21)式のように表せる。
Psh=1/2(ε/μ0 )1/2 Esh 2 A
=2(ε0 /μ0 )3/2 {(ω2 χ2 2l2 )/(n2 nsh)}
{P2 /A}{(sin(Δkl/2))/(Δkl/2)2 }
・・・(21)
但し、Δkは、位相不整合成分を表し、Δk=kshcosθ−2kf cosθで表される。また、n、nshはそれぞれ基本波およびSH波の屈折率、Aはベッセルビームの断面積、lは相互作用長を表し、μ0は真空中の透磁率、また、ε、ε0 はそれぞれ結晶中および真空中の誘電率を表す。
Psh=1/2(ε/μ0 )1/2 Esh 2 A
=2(ε0 /μ0 )3/2 {(ω2 χ2 2l2 )/(n2 nsh)}
{P2 /A}{(sin(Δkl/2))/(Δkl/2)2 }
・・・(21)
但し、Δkは、位相不整合成分を表し、Δk=kshcosθ−2kf cosθで表される。また、n、nshはそれぞれ基本波およびSH波の屈折率、Aはベッセルビームの断面積、lは相互作用長を表し、μ0は真空中の透磁率、また、ε、ε0 はそれぞれ結晶中および真空中の誘電率を表す。
従って、位相不整合量Δkは、下記の(22)式のように表せる。
Δk=kshcosθ−2kf cosθ
=(4π/λ)nshcosθ−2(2π/λ)ncosθ
=(4π/λ)(nsh−n)cosθ・・・(22)
従って、擬似位相整合(QPM)条件を満たすための周期的分極反転構造の周期Λは、非線形光学結晶のコヒーレンス長をlC とすると、下記の(23)式のように表せる。
Δk=kshcosθ−2kf cosθ
=(4π/λ)nshcosθ−2(2π/λ)ncosθ
=(4π/λ)(nsh−n)cosθ・・・(22)
従って、擬似位相整合(QPM)条件を満たすための周期的分極反転構造の周期Λは、非線形光学結晶のコヒーレンス長をlC とすると、下記の(23)式のように表せる。
Λ=2lC (1/cosθ)
=(λ/2)/[(nsh−n)cosθ]・・・(23)
上記(23)式を通常のコリメート光を基本光とする擬似位相整合によるSHG(いわゆる従来のQPM SHG)と比較すると、非回折性光束を基本波とした場合は、従来のQPM SHGと周期Λが(1/cosθ)倍になる点が異なるだけであることが分かる。
=(λ/2)/[(nsh−n)cosθ]・・・(23)
上記(23)式を通常のコリメート光を基本光とする擬似位相整合によるSHG(いわゆる従来のQPM SHG)と比較すると、非回折性光束を基本波とした場合は、従来のQPM SHGと周期Λが(1/cosθ)倍になる点が異なるだけであることが分かる。
・SFGの場合
また、この出願に係る発明および第1参考例において、バルク型の波長変換素子であって、2次の非線形相互作用により実現する和周波発生(SFG)素子に非回折性光束を入射すれば、高精度の位置合わせを行わずに、高効率の変換を行うことが可能となる。
また、この出願に係る発明および第1参考例において、バルク型の波長変換素子であって、2次の非線形相互作用により実現する和周波発生(SFG)素子に非回折性光束を入射すれば、高精度の位置合わせを行わずに、高効率の変換を行うことが可能となる。
ここでは、特に、周期的分極反転構造を有し、擬似位相整合(PQM)を利用したSFGについて説明する。この場合は、第3参考例の波長変換装置に相当する。
上述したSHG素子を用いた説明において、上記の(22)式において、バルクの非線形光学結晶の位相不整合を表すΔk=ksh−2kf を、下記の(24)式のように表し、
Δk=ksh−kf −kf ・・・(24)
kf の代わりに、それぞれ和周波の第1の基本波(波長λ1 )の波数k1 と第2の基本波(波長λ2 )の波数k2 を代入すれば、SFGのための位相不整合は、下記の(25)式のように表せる。
Δk=ksh−kf −kf ・・・(24)
kf の代わりに、それぞれ和周波の第1の基本波(波長λ1 )の波数k1 と第2の基本波(波長λ2 )の波数k2 を代入すれば、SFGのための位相不整合は、下記の(25)式のように表せる。
ΔkS =k3 −k2 −k1 ・・・(25)
但し、k3 は和周波(波長λ3 )の波数を表す。
但し、k3 は和周波(波長λ3 )の波数を表す。
従って、SFGのための周期Λは、下記の(26)式
Λ=(2π/ΔkS )/cosθ・・・(26)
で表せる。
Λ=(2π/ΔkS )/cosθ・・・(26)
で表せる。
・DFGの場合
また、この出願に係る発明および第1参考例において、バルク型の波長変換素子であって、2次の非線形相互作用により実現する差周波発生(DFG)素子に非回折性光束を入射すれば、高精度の位置合わせを行わずに、高効率の変換を行うことが可能となる。
また、この出願に係る発明および第1参考例において、バルク型の波長変換素子であって、2次の非線形相互作用により実現する差周波発生(DFG)素子に非回折性光束を入射すれば、高精度の位置合わせを行わずに、高効率の変換を行うことが可能となる。
ここでは、特に、周期的分極反転構造を有し、擬似位相整合(QPM)を利用したDFGについて説明する。この場合は、第4参考例の波長変換装置に相当する。
この場合は、上記の(24)式中のkf の代わりに、それぞれ和周波の第1の基本波(波長λ1 )の波数−k1 と第2の基本波(波長λ2 )の波数k2 を代入すれば、SFGのための位相不整合は、下記の(27)式のように表せる。
ΔkD =k1 −k2 −k3 ・・・(27)
但し、k3 は、差周波(波長λ3 )の波数を表す。
ΔkD =k1 −k2 −k3 ・・・(27)
但し、k3 は、差周波(波長λ3 )の波数を表す。
従って、SFGのための周期Λは、下記の(27a)式
Λ=(2π/ΔkD )/cosθ・・・(27a)
で表せる。
Λ=(2π/ΔkD )/cosθ・・・(27a)
で表せる。
<ブラッグロッキングについて>
擬似位相整合(QPM)を利用した波長変換素子を用いる場合、周期的分極反転構造の周期がQPM条件を厳密に満足している限り、所定の変換効率が達成される。この周期Λは上記の(23)式に示すように波長λに依存する。ところで、基本波の光源としてLDを用いた場合、LDの発振波長は、周囲の温度や駆動電流により簡単に変動し、これをQPM条件を安定的にしかも正確に満足する値に規定することは一般的に困難である。そこで、光導波路を具えたQPM SHG素子を用いた波長変換装置において、LDの波長変動の問題を解決するための方法が、例えば、上記特許文献2〜5に種々提案されている。これらの特許文献に開示の技術は、いずれも波長変換素子から何らかの方法でブラッグ反射が起こって、その反射光をLDに帰還させることにより、LDの発振波長を安定化(ブラッグロッキング)するものである。
擬似位相整合(QPM)を利用した波長変換素子を用いる場合、周期的分極反転構造の周期がQPM条件を厳密に満足している限り、所定の変換効率が達成される。この周期Λは上記の(23)式に示すように波長λに依存する。ところで、基本波の光源としてLDを用いた場合、LDの発振波長は、周囲の温度や駆動電流により簡単に変動し、これをQPM条件を安定的にしかも正確に満足する値に規定することは一般的に困難である。そこで、光導波路を具えたQPM SHG素子を用いた波長変換装置において、LDの波長変動の問題を解決するための方法が、例えば、上記特許文献2〜5に種々提案されている。これらの特許文献に開示の技術は、いずれも波長変換素子から何らかの方法でブラッグ反射が起こって、その反射光をLDに帰還させることにより、LDの発振波長を安定化(ブラッグロッキング)するものである。
そこで、この出願に係る発明および各参考例では、非回折性光束発生手段の入力側に、波長変換素子の擬似位相整合(QPM)条件を満足する波長に対してブラッグ条件を満足する光学手段(例えば、多層膜反射構造や回折格子)を設ければ、バルク型の波長変換素子を用いた場合にも、LDの発振波長を安定化させて、変換効率の向上を図ることができる。
<位相シフト板について>
QPMを利用した場合の波長変換素子は、通常、規則正しい周期構造を有する。そのために、位相整合条件が厳しく、即ち波長変換する基本波光の波長許容幅が狭いために、実用上の障害の一つとなっていた。これは、以下に説明するように、波長変換素子の周期誤差Δτが生じ得るためである。
QPMを利用した場合の波長変換素子は、通常、規則正しい周期構造を有する。そのために、位相整合条件が厳しく、即ち波長変換する基本波光の波長許容幅が狭いために、実用上の障害の一つとなっていた。これは、以下に説明するように、波長変換素子の周期誤差Δτが生じ得るためである。
位相不整合をΔkと表すと、通常、周期的分極反転構造の周期Λは、下記の(28)式
Λ=4π/Δk・・・(28)
で表される。
Λ=4π/Δk・・・(28)
で表される。
しかし、通常上記の(28)式は厳密に満たされることは少なく、下記の(28a)式のように周期誤差Δτ(正、負いずれの場合もある)を持つ。
Λ=Λ+Δτ・・・(28a)
この原因は、波長変換素子の形成の時点で入り込む因子の他、素子の温度によってもその屈折率が変化するために生じ得るものである。
Λ=Λ+Δτ・・・(28a)
この原因は、波長変換素子の形成の時点で入り込む因子の他、素子の温度によってもその屈折率が変化するために生じ得るものである。
今、仮に、例えばSHG素子の素子長をLとし、Δk=(4π/λ)(nsh−n)cosθ)として、下記の(29)式即ち(30)式で与えられる範囲以上に素子長Lを長くしても変換効率は却って低下してしまう。
(L/λ)Δτ<(λ/4)/[(nsh−n)cosθ]・・・(29)
L<(λ/4)(Λ/Δτ)/[(nsh−n)cosθ]・・・(30)
なぜならば、Δτは、QPM条件を満足させるために設けられた周期構造1周期あたりの寸法誤差であり、L/Λは、全素子長にわたった周期の数であるから、(L/Λ)Δτは、全素子長にわたった寸法誤差となる。即ち、周期的分極反転構造を作りつけられた結晶(波長変換素子)内において、この寸法誤差が基本波と波長変換された発生波(例えば第2高調波)との相互コヒーレンス長を越えてしまうためである。
L<(λ/4)(Λ/Δτ)/[(nsh−n)cosθ]・・・(30)
なぜならば、Δτは、QPM条件を満足させるために設けられた周期構造1周期あたりの寸法誤差であり、L/Λは、全素子長にわたった周期の数であるから、(L/Λ)Δτは、全素子長にわたった寸法誤差となる。即ち、周期的分極反転構造を作りつけられた結晶(波長変換素子)内において、この寸法誤差が基本波と波長変換された発生波(例えば第2高調波)との相互コヒーレンス長を越えてしまうためである。
そこで、この出願に係る発明および各参考例において、非回折性光束発生手段の入力側であって、該非回折性光束発生手段に入射する光のうちの一部分の光路上に、基本波の位相を遅らせるための、光軸に関して対称な形状を有する、位相シフト板を設ければ、位相整合条件の緩和を図ることができる。位相シフト板としては、例えば、アキシコンレンズの入力端側に、一様な屈折率を持つ薄膜を形成すれば良い。薄膜の屈折率および膜厚を制御することにより、位相の遅れ量を適切に調節して位相整合条件の緩和を図ることができる。位相シフト板(薄膜)は、例えば、光軸を中心とした円形状としても良く、また、光軸から離れた周辺部に、光軸を中心とした同心円状に設けても良い。
位相シフト板により基本波の位相を遅らせれば、Δτによる位相ずれを補償して、QPM条件を緩和することが可能となる。その結果、素子長を長くすることができるので、より変換効率を向上させることが可能となる。
例えば、下記の(31)式に示す距離だけ、基本波がQPM SHG素子を伝播した場合、基本波の位相とSH波の位相との位相差が丁度πとなる。
L=(λ/4)(Λ/Δτ)/[(nsh−n)cosθ]・・・(31)
そこで、位相シフト板により、位相を例えばπだけ遅らせると、素子長を2倍程度にすることができる。変換効率は素子長の2乗に比例するので、この場合、変換効率は最大4倍とすることができる。
そこで、位相シフト板により、位相を例えばπだけ遅らせると、素子長を2倍程度にすることができる。変換効率は素子長の2乗に比例するので、この場合、変換効率は最大4倍とすることができる。
尚、SHG素子を用いた場合は、位相不整合Δkは、下記の(32)として表したが、SFGの場合は下記の(33)式、DFGの場合は下記の(34)式とすることにより、SHGと数学的に同様に扱うことができる。
Δk =ksh−kf −kf ・・・(32)
ΔkS =k3 −k2 −k1 ・・・(33)
ΔkD =k1 −k2 −k3 ・・・(34)
従って、SFGおよびDFGの場合においても、位相シフト板を設ければ、SHGと同様にQPM条件を緩和して変換効率の向上を図ることができる。
ΔkS =k3 −k2 −k1 ・・・(33)
ΔkD =k1 −k2 −k3 ・・・(34)
従って、SFGおよびDFGの場合においても、位相シフト板を設ければ、SHGと同様にQPM条件を緩和して変換効率の向上を図ることができる。
また、位相をシフトさせる手段としては、位相シフト板の他に、例えば、第2光学系を構成するゾーンプレートに位相シフト板と等価な作用を持たせることもできる。
<限界集光手段について>
この発明の波長変換装置において、波長変換素子によって波長変換された出射光を限界集光するための限界集光手段として、出射光を一旦筒状の平行光束にするためのコリメータと、円筒状の平行光束を集光するための集光手段を設けることが望ましい。
この発明の波長変換装置において、波長変換素子によって波長変換された出射光を限界集光するための限界集光手段として、出射光を一旦筒状の平行光束にするためのコリメータと、円筒状の平行光束を集光するための集光手段を設けることが望ましい。
波長変換素子からの出射光は、光軸に垂直な断面において円環状の光強度分布を有し、光軸上の光強度は0である。この出射光を一旦、アキシコンレンズを用いて平行光束にする。平行光束にすることにより、光強度分布を平行光束の周辺部に円筒状に集中させることができる。このため、出射光を光軸上の光強度を0にしたまま集光用の凸レンズに入射させることができる。その結果、光強度がガウス分布の光強度を有する通常の平行光束を集光した場合のスポットの半径よりも小さい超解像のスポットにこの出射光を限界集光することができる。
また、このアキシコンレンズと凸レンズとの間の筒状の平行光束には位相差が発生しない。このため、このアキシコンレンズと凸レンズとを原理的に一体化することができる。従って、このアキシコンレンズおよび凸レンズの組合せと等価な作用を有する単一のゾーンプレートを用いても限界集光を行なうことができる。また、ゾーンプレートを用いた場合は、球面収差が生じない。
さらに、好ましくは、アキシコンレンズと凸レンズとを組合せた限界集光光学系またはこのゾーンプレートを用いて限界集光を行なった光を平行光束にするためのコリメータを設ければ、ビーム半径が充分に小さい平行光束を得ることができる。この平行光束の断面強度のプロファイルは、回折効果のために、光軸上の光強度が0でない、ほぼ均一な光強度となる。
以下、図面を参照して、この出願に係る波長変換装置の実施例について説明する。尚、参照する図は、この発明が理解できる程度に各構成成分の大きさ、形状及び配置関係を概略的に示してあるにすぎない。従って、この発明は、図示例にのみ限定されるものでないことは明らかである。尚、図中、図面の理解を容易にするために、断面でない部分にハッチングを付することもある。
<第1実施例>
第1実施例においては、第1参考例の波長変換方法、この発明の波長変換装置の一例として、波長変換素子としてSHG素子を用いた例について説明する。また、この実施例は、第2参考例の波長変換装置の例にも相当する。
第1実施例においては、第1参考例の波長変換方法、この発明の波長変換装置の一例として、波長変換素子としてSHG素子を用いた例について説明する。また、この実施例は、第2参考例の波長変換装置の例にも相当する。
図1は、第1実施例の波長変換装置の説明に供する構成図である。
この実施例の波長変換装置は、基本波光源としての半導体レーザ(LD)(図示せず)を具えている。また、非光導波路型のバルク型の波長変換素子としてQPM SHG素子10を具えている。このQPM SHG素子は、分極反転領域(ドメイン)が薄膜状であって、この薄膜状のドメインを積層して周期的分極反転構造12を構成している。この周期的分極反転構造の反転周期Λは、下記の式(1)を満足する。
この実施例の波長変換装置は、基本波光源としての半導体レーザ(LD)(図示せず)を具えている。また、非光導波路型のバルク型の波長変換素子としてQPM SHG素子10を具えている。このQPM SHG素子は、分極反転領域(ドメイン)が薄膜状であって、この薄膜状のドメインを積層して周期的分極反転構造12を構成している。この周期的分極反転構造の反転周期Λは、下記の式(1)を満足する。
Λ=2lC /cosθ・・・(1)
但し、lC は、擬似位相整合による光第2高調波発生素子のコヒーレンス長を表し、θは、アキシコンレンズ14から出射された波数kの光束が光軸となす角である。
但し、lC は、擬似位相整合による光第2高調波発生素子のコヒーレンス長を表し、θは、アキシコンレンズ14から出射された波数kの光束が光軸となす角である。
そして、半導体レーザから出射された光から、波長変換素子に入射する基本波(半導体レーザ光であって、波長変換される光)としての非回折性光束を発生させる非回折性光束発生手段として、アキシコンレンズ14を具えている。
LDから出射したレーザ光は、コリメートされて、アキシコンレンズ14に、アキシコンレンズの入力端面16に垂直に入射する。そして、アキシコンレンズ14によって発生した非回折性光束18を含むようにSHG素子10を配置することにより、基本波としての非回折性光束18をSHG素子10に入射させる。
尚、非回折性光束は、分極反転構造の界面に必ずしも垂直に入射させなくとも良い。分極反転構造の界面への入射角度を調整することで、実質的に分極反転構造の周期を変えることができる。このことを利用して位相整合条件を整える手段とすることもできる。
<変形例>
また、第1実施例では、QPM SHG素子を用いた例について説明したが、SHG素子の代わりに、QPMによるSFG素子を用いることもできる。その場合、周期的分極反転構造の周期Λを下記の(2)式および(3)式を満足する値とすると良い(第3参考例に相当する。)。
また、第1実施例では、QPM SHG素子を用いた例について説明したが、SHG素子の代わりに、QPMによるSFG素子を用いることもできる。その場合、周期的分極反転構造の周期Λを下記の(2)式および(3)式を満足する値とすると良い(第3参考例に相当する。)。
Λ=(2π/Δk)/cosθ・・・(2)
Δk=k3 −k2 −k1 ・・・(3)
但し、k1 は、第1の基本波(波長λ1 )の波数を表し、
k2 は、第2の基本波(波長λ2 )の波数を表し、
k3 は、和周波の波数を表す。
また、θは、k1 およびk2 が、光軸となす角度を表す。
Δk=k3 −k2 −k1 ・・・(3)
但し、k1 は、第1の基本波(波長λ1 )の波数を表し、
k2 は、第2の基本波(波長λ2 )の波数を表し、
k3 は、和周波の波数を表す。
また、θは、k1 およびk2 が、光軸となす角度を表す。
図3に、変形例としてのSFG素子20を用いた波長変換装置の構成図を示す。図3に示すように、この変形例では、半透鏡(ハーフミラー)22を用いて第1および第2の基本波をアキシコンレンズ14に入射して、アキシコンレンズ14によって発生した非回折性光束をSFG素子20に入射することにより和周波を発生させる。
また、SHG素子の代わりに、QPMによるDFG素子を用いることもできる。その場合、周期的分極反転構造の周期Λを下記の(4)式および(5)式を満足する値とすると良い(第4参考例に相当する。)。
Λ=(2π/Δk)/cosθ・・・(4)
Δk=k1 −k2 −k3 ・・・(5)
DFG素子を用いた波長変化装置も、上記(4)式に示す周期Λの値の他は、図3に示した波長変換素子と同一の構成である。
Δk=k1 −k2 −k3 ・・・(5)
DFG素子を用いた波長変化装置も、上記(4)式に示す周期Λの値の他は、図3に示した波長変換素子と同一の構成である。
SFGおよびDFGにおいては、素子に入射させる光が2種類であるため、導波路型の場合は位置合わせに高精度が要求されていた。この点、この実施例では、半透鏡を用いて平行な2光束を素子に入射させることができる。従って、高精度の位置合わせは必要としない。
<第2実施例>
第2実施例の波長変換装置は、第1実施例の波長変換装置の、アキシコンレンズ14の入力端側に、波長変換素子の擬似位相整合(QPM)条件を満足する波長に対してブラッグ条件を満足する多層膜反射構造24を具えている。多層膜反射構造24により、LDの発振波長を安定化させて、変換効率の向上を図ることができる。
第2実施例の波長変換装置は、第1実施例の波長変換装置の、アキシコンレンズ14の入力端側に、波長変換素子の擬似位相整合(QPM)条件を満足する波長に対してブラッグ条件を満足する多層膜反射構造24を具えている。多層膜反射構造24により、LDの発振波長を安定化させて、変換効率の向上を図ることができる。
図4に第2実施例の波長変換装置の構成を示す。図4において、多層反射膜構造24以外の構成は、第1実施例と同一である。
尚、図3に示したSFG素子を用いた波長変換装置(またはDFG素子を用いた波長変換装置)おいても、第2実施例と同様に多層膜反射構造を設けることにより、LDの発振波長を安定化させて、変換効率の向上を図ることができる。
また、ブラッグ条件を満足させるための光学手段としては、多層膜反射構造の他に、例えば回折格子を用いても良い。
<第3実施例>
第3実施例の波長変換装置は、第1実施例の波長変換装置のアキシコンレンズ14に入射する光のうちの一部分の光路上に、基本波の位相を遅らせるための、光軸に関して対称な形状を有する、位相シフト板26を具えてなる。この位相シフト板を設けることにより、QPM条件を緩和して変換効率の向上を図ることができる。
第3実施例の波長変換装置は、第1実施例の波長変換装置のアキシコンレンズ14に入射する光のうちの一部分の光路上に、基本波の位相を遅らせるための、光軸に関して対称な形状を有する、位相シフト板26を具えてなる。この位相シフト板を設けることにより、QPM条件を緩和して変換効率の向上を図ることができる。
図5に第3実施例の波長変換装置の構成を示す。図5において、位相シフト板26以外の構成は、第1実施例と同一である。
位相シフト板26をアキシコンレンズ14の入射端側から見た様子を図6の(A)に示す。この実施例では、位相シフト板26の形状をアキシコンレンズ14の光軸を中心とした同心円状のものを、中心部付近に設けている。また、位相シフト板26は、例えば、図6の(B)に示すように、光軸30を中心とした同心円状であって、且つ、光軸30から離れた光路の周辺部にドーナツ状に設けることもできる。図6の(A)および(B)では、位相シフト板26および26aの部分にハッチングを施して示す。
LD(図示せず)からのレーザ光は、通常の凸レンズ(図示せず)により平行光束にされてアキシコンレンズ14に入射する。アキシコンレンズ14によって、入射光は光軸(z軸)を含み、この光軸に平行な断面で見て、波数ベクトルk1 およびk2 の両光束が光軸上で干渉して、領域1(ゾーン1)および領域2(ゾーン2)の光軸上に非回折性光束を形成する。
ここで、アキシコンレンズ14の入射面の光軸の近傍のみに入射光の位相を遅らせるための、薄膜からなる位相シフト板を設ける。その結果、位相シフト板を通過しない光が到達する領域1(ゾーン1)には、通常の位相による非回折性光束が形成される。一方、位相シフト板を通過した光が到達する領域2(ゾーン2)には、位相の遅れた非回折性光束が形成される。この位相の遅れの大きさδは、位相シフト板の屈折率とその厚さで決定される。この位相の遅れについて以下に説明する。
アキシコンレンズから出射した波数ベクトルk1 およびk2 の光束を下記の(35)式および(36)式で表し、光軸(z軸)上の位置ベクトルrを(37)式で表す。
k1 =k(sinθ、0、cosθ)・・・(35)
k2 =k(−sinθ、0、cosθ)・・・(36)
r=(0、0、z)・・・(37)
但し、k=2π/λ(λは波数k1 およびk2 の光束の波長)であり、θはk1 およびk2 の光束が光軸となす角度である。
k1 =k(sinθ、0、cosθ)・・・(35)
k2 =k(−sinθ、0、cosθ)・・・(36)
r=(0、0、z)・・・(37)
但し、k=2π/λ(λは波数k1 およびk2 の光束の波長)であり、θはk1 およびk2 の光束が光軸となす角度である。
そして、波数ベクトルk1 の光束のうちの、位相シフト板を通過しなかった光束の位相部分は、ωt−kcosθzと表せる。一方、位相シフト板を通過した光束の位相部分は、ωt−kcosθz−δと表せる。また、波数ベクトルk2 の光束についても、cos関数の偶関数としての性質から、k1 の光束と同一の式となる。
従って、位相シフト板を通過しなかった光束が到達する領域1(ゾーン1)に形成される非回折性光束は、光軸(z軸)上についてのみ着目して振幅部分を省略して書けば、下記の(38)式のように表せる。
exp[i(ωt-kcosθz)]+exp[i(ωt-kcosθz)]
=2exp[i ( ωt-kcosθz)] ・・・(38)
従って、位相部分はωt−kcosθzのままである。
exp[i(ωt-kcosθz)]+exp[i(ωt-kcosθz)]
=2exp[i ( ωt-kcosθz)] ・・・(38)
従って、位相部分はωt−kcosθzのままである。
一方、位相シフト板を通過した光が到達する領域2(ゾーン2)に形成される非回折性光束は、下記の(39)式のように表せる。
exp[i(ωt-kcosθz-δ)]+exp[i( ωt-kcosθz-δ)]
=2exp[i ( ωt-kcosθz-δ)]・・・(39)
従って、位相部分は、ωt−kcosθz−δと表せる。
exp[i(ωt-kcosθz-δ)]+exp[i( ωt-kcosθz-δ)]
=2exp[i ( ωt-kcosθz-δ)]・・・(39)
従って、位相部分は、ωt−kcosθz−δと表せる。
このように、領域2では、領域1に比べて位相がδだけ遅れるため、位相ずれΔτを補償してQPM条件を緩和することができる。
尚、図3に示したSFG素子を用いた波長変換装置(またはDFG素子を用いた波長変換装置)においても、第3実施例同様に位相シフト板を設ければ、QPM条件を緩和して変換効率の向上を図ることができる。
<第4実施例>
第4実施例においては、図8を参照して、第1参考例の波長変換方法およびこの発明の波長変換装置の一例について、特に、非回折性光束発生手段について説明する。また、この実施例における非回折性光束発生手段は、第5および第7参考例の波長変換装置の例にも相当する。
第4実施例においては、図8を参照して、第1参考例の波長変換方法およびこの発明の波長変換装置の一例について、特に、非回折性光束発生手段について説明する。また、この実施例における非回折性光束発生手段は、第5および第7参考例の波長変換装置の例にも相当する。
図8は、第4実施例の波長変換装置の非回折性光束発生手段の光軸に沿った断面での構成図を示す。但し、図8では、光学系および円環状のスポットを斜視図で示す。
この実施例における非回折性光束発生手段は、半導体レーザ(図示せず)から出射された平行光束40を円環状のスポット(集光像)44に集光するための第1光学系としての第1トロイダルレンズ42と、このスポット44に集光された光から非回折性光束18を発生させるための第2光学系46とを具えている。
この第1トロイダルレンズ42の断面形状は、軸はずれの凸レンズを、当該凸レンズのメリディオナル面と当該凸レンズの外縁部との2つの交点のうちの当該凸レンズの焦点に近い方の交点を通り、かつ、当該凸レンズの光軸と平行な回転軸の周りに回転して得られるものである。
ここで、図9を参照して、このトロイダルレンズ42と円環状スポットの直径について説明する。図9の(A)に示すように、このトロイダルレンズ42が形成する円環状のスポット44の直径Dfは、このトロイダルレンズ42の有効口径D0 の1/2以下にすることができる。また、図9の(B)に、従来のトロイダルレンズを示す。従来のトロイダルレンズは、通常の凸レンズ(光軸上に焦点を結ぶ凸レンズ)を当該凸レンズの外縁部の一点を通る回転軸の周りに回転させて得られる断面形状を有している。このため、この従来のトロイダルレンズが形成する円環状のスポットの直径r1 は、従来のトロイダルレンズの有効口径の1/2となる。円環状のスポットの直径が小さい程、図7に示した角度θを小さくすることができる。このため、この第1トロイダルレンズ42を用いることにより、従来のトロイダルレンズを用いた場合よりも強い強度の非回折性光束を得ることができる。
また、第2光学系は、円環状のスポットに集光された光を円筒状の平行光束50にするための筒状光束コリメータとしての第2トロイダルレンズ48、この円筒状の平行光束50を集光して非回折性光束18を発生するアキシコン光学系52としてのアキシコンレンズ52とを以って構成されている。
この第1トロイダルレンズ42と第2トロイダルレンズ48とは、互いに共焦点となるように配置する。従って、第2トロイダルレンズ48にとっては、円環状スポット44は円環状の光源とみなせる。このため、第2トロイダルレンズ48に入射した光は、円筒状の平行光束となる。その結果、光のエネルギーを平行光束の周辺部の円筒状の領域に収束させ、エネルギー密度を高くした上で、アキシコン光学系52に入射させることができる。その結果、アキシコン光学系52によって収束する光によって生じる非回折性光束の強度を強くすることができる。尚、第2トロイダルレンズ48の焦点距離はできるだけ短い方が望ましい。この焦点距離が短い程、円筒状の平行光束の円筒の厚みを薄くできるために、エネルギー密度をより高くすることができる。
<第5実施例>
第5実施例においては、図10を参照して、第1参考例の波長変換方法およびこの発明の波長変換装置の一例について、特に、非回折性光束発生手段について説明する。また、この実施例における非回折性光束発生手段は、第6および第7参考例の波長変換装置の例にも相当する。
第5実施例においては、図10を参照して、第1参考例の波長変換方法およびこの発明の波長変換装置の一例について、特に、非回折性光束発生手段について説明する。また、この実施例における非回折性光束発生手段は、第6および第7参考例の波長変換装置の例にも相当する。
図10は、第5実施例の波長変換装置の非回折性光束発生手段の光軸に沿った断面での構成図を示す。
この実施例における非回折性光束発生手段は、半導体レーザ(図示せず)から出射された平行光束40を円環状のスポット(集光像)44に集光するための第1光学系としての第1ゾーンプレート54と、このスポット44に集光された光から非回折性光束18を発生させるための第2光学系56とを具えている。そして、この第1ゾーンプレート54は、第4実施例の第1トロイダルレンズ42と等価な作用を有する。また、この第2光学系56は、第4実施例の第2トロイダルレンズ48と等価な作用を有する第2ゾーンプレート58と、アキシコン光学系としてのアキシコンレンズ52と以って構成されている。
また、この第1ゾーンプレート54の位相透過関数t(ρ)は、下記の(40)式で与えられる。
t(ρ)=exp{ikφ(ρ)}・・・(40)
但し、kは、k=2π/λを満たす波数であり、λは基本波の波長を表す。また、φは、位相差関数を表す。また、ρは、光軸からの距離を表す。また、第1ゾーンプレートの中心を原点として光軸をz軸とし、第1ゾーンプレートをxy平面とすると、ρ=(x2 +y2 )1/2 と表せる。
但し、kは、k=2π/λを満たす波数であり、λは基本波の波長を表す。また、φは、位相差関数を表す。また、ρは、光軸からの距離を表す。また、第1ゾーンプレートの中心を原点として光軸をz軸とし、第1ゾーンプレートをxy平面とすると、ρ=(x2 +y2 )1/2 と表せる。
この第1ゾーンプレート54によって、円環状のスポット(集光像)を得るためには、入射平面波の第1ゾーンプレートへの同一入射面(光軸および入射光線を含むように決定される平面)内の入射位置ρにかかわりなく、円環状のスポット上の1点までの光学的距離が等しくなるように位相遅れの関数ψ(ρ)を決めれば良い。この位相遅れの関数(位相分布関数とも称する)ψ(ρ)は、下記の(41)式で定義される。
ψ(ρ)=(2π/λ)φ(ρ)・・・(41)
そして、この光学距離を等しくするためには、下記の(42)即ち(43)式を満足する位相分布φ(ρ)にすれば良い。
そして、この光学距離を等しくするためには、下記の(42)即ち(43)式を満足する位相分布φ(ρ)にすれば良い。
{(R+r)2 +F2 }1/2 ={(ρ−r)2 +F2 }1/2 +φ(ρ)
・・・(42)
φ(ρ)={(R+r)2 +F2 }1/2 −{(ρ−r)2 +F2 }1/2
・・・(43)
但し、Rはゾーンプレートの有効半径を表し、rは円環状のスポットの半径を表し、また、Fはゾーンプレートの焦点距離を表す。
・・・(42)
φ(ρ)={(R+r)2 +F2 }1/2 −{(ρ−r)2 +F2 }1/2
・・・(43)
但し、Rはゾーンプレートの有効半径を表し、rは円環状のスポットの半径を表し、また、Fはゾーンプレートの焦点距離を表す。
また、{(R+r)2 +F2 }1/2 は、第1ゾーンプレートの外縁部を通って円環状のスポットに入射する光路における位相を表し、一方、{(ρ−r)2 +F2 }1/2 は、第1ゾーンプレートの中心からρ離れた点を通って、円環状のスポットに入射する光路における位相を表している。
この(43)式の位相差関数φ(ρ)を有するゾーンプレートに平行平面波を入射させれば、このゾーンプレートから距離Fの位置に半径rの円環状のスポット(集光像)が形成される。
また、一般に、F>>(R−r)かつF>>(ρ−r)であるので、(43)式は、下記の(44)式のように簡単化される。
φ(ρ)=(1/F){r2 −r(R+ρ)+(R2 +ρ2 )/2}
・・・(44)
(44)式を(41)式に代入すると、下記の(45)式が得られる。
・・・(44)
(44)式を(41)式に代入すると、下記の(45)式が得られる。
ψ(ρ)=(2π/λ)(1/F){r2 −r(R+ρ)+(R2 +ρ2 )/2} ・・・(45)
また、第1ゾーンプレート54の焦点距離をF、第2ゾーンプレート58の焦点距離をfとすると、第2ゾーンプレートの焦点距離は、第1ゾーンプレートの焦点距離に対して(F/f)となる。従って、第2ゾーンプレートは、下記の(46)式の位相遅れ関数で与えられる位相分布を有すれば良い。
また、第1ゾーンプレート54の焦点距離をF、第2ゾーンプレート58の焦点距離をfとすると、第2ゾーンプレートの焦点距離は、第1ゾーンプレートの焦点距離に対して(F/f)となる。従って、第2ゾーンプレートは、下記の(46)式の位相遅れ関数で与えられる位相分布を有すれば良い。
ψ2 (ρ)=(F/f)ψ(ρ)・・・(46)
上述した位相遅れ関数を有する第1および第2ゾーンプレートを形成するにあたっては、例えば、コンピュータによるホログラム作成法(以下、「CGH」とも称する)によるのが最も確実である。第5実施例におけるR>2rである条件を満たす第1ゾーンプレートは、CGHの設計のパラメータを変更することによって容易に実現することができる。
上述した位相遅れ関数を有する第1および第2ゾーンプレートを形成するにあたっては、例えば、コンピュータによるホログラム作成法(以下、「CGH」とも称する)によるのが最も確実である。第5実施例におけるR>2rである条件を満たす第1ゾーンプレートは、CGHの設計のパラメータを変更することによって容易に実現することができる。
<第6実施例>
第6実施例においては、図11を参照して、第1参考例の波長変換方法およびこの発明の波長変換装置の一例について、特に、非回折性光束発生手段について説明する。また、この実施例における非回折性光束発生手段は、第6および第7参考例の波長変換装置の例にも相当する。また、第6実施例では、非回折性光束の発生領域を特に制限する場合について説明する。
第6実施例においては、図11を参照して、第1参考例の波長変換方法およびこの発明の波長変換装置の一例について、特に、非回折性光束発生手段について説明する。また、この実施例における非回折性光束発生手段は、第6および第7参考例の波長変換装置の例にも相当する。また、第6実施例では、非回折性光束の発生領域を特に制限する場合について説明する。
図11は、第6実施例の波長変換装置の非回折性光束発生手段の光軸に沿った断面での構成図を示す。
この実施例における非回折性光束発生手段は、半導体レーザ(図示せず)から出射された平行光束40を円環状のスポット(集光像)44に集光するための第1光学系としての第1ゾーンプレート54と、このスポット44に集光された光から非回折性光束18を発生させるための第2光学系56とを具えている。そして、この第1ゾーンプレート54は、第5実施例で説明したものと同一のものである。また、この第2光学系56は、第4実施例の第2トロイダルレンズ48と同一の筒状光束コリメータ48を有し、また、アキシコン光学系としてのゾーンプレート60を以って構成されている。
そして、このゾーンプレート60には、第2トロイダルレンズ48から円筒状の平行光束を入射させた時に、非回折性光束の発生する範囲を限定するように位相分布を持たせてある。
以下、このゾーンプレート60の位相分布について説明する。この実施例では、このゾーンプレートの中心を座標の原点として、この中心を通る光軸上にz軸を対応させる。
先ず、アキシコン光学系の位相遅れ関数ψ(ρ)を、ゾーンプレートをCGHとして形成することを前提として導く。
先ず、一般の球面レンズについて検討する。一般の球面レンズの位相遅れ関数ψ(ρ)は、波長λの光に対して下記の(47)式で与えられる。
ψ(ρ)=(2π/λ)φ(ρ)
=(2π/λ){(ρ2 +f2 )}1/2
=(2π/λ)f{1−(1/2)(ρ/f)2 }1/2
・・・(47)
但し、ρは、球面レンズ上の点の中心からの距離を表し、fは球面レンズの焦点距離を表す。
=(2π/λ){(ρ2 +f2 )}1/2
=(2π/λ)f{1−(1/2)(ρ/f)2 }1/2
・・・(47)
但し、ρは、球面レンズ上の点の中心からの距離を表し、fは球面レンズの焦点距離を表す。
この(47)式の定数項を無視すると、下記の(48)式が得られる。
ψ(ρ)=(2π/λ)(ρ2 /2f)・・・(48)
この球面レンズによって集光されるエネルギーは、エアリーディスクの中心に全エネルギーの84%が集中する。このときのエアリーディスクの半径rD は、下記の(49)式で与えられる。
この球面レンズによって集光されるエネルギーは、エアリーディスクの中心に全エネルギーの84%が集中する。このときのエアリーディスクの半径rD は、下記の(49)式で与えられる。
rD =2.44λf/(2R)・・・(49)
但し、Rは球面レンズの半径を表す。
但し、Rは球面レンズの半径を表す。
一般の球面レンズの焦点深度dは、焦点距離fが球面レンズの半径方向(中心からの距離ρ)に依存しないので、下記の(50)式で与えられる。
d=λ(f/2R)2 ・・・(50)
一方、光学系の焦点距離が半径方向(中心からの距離ρ)に依存するゾーンプレートの場合、即ち、焦点距離がρの関数f(ρ)として表される場合には、この光学系の位相遅れ関数ψ(ρ)は、上記の(48)に代わって下記の(51)式で与えられる。
一方、光学系の焦点距離が半径方向(中心からの距離ρ)に依存するゾーンプレートの場合、即ち、焦点距離がρの関数f(ρ)として表される場合には、この光学系の位相遅れ関数ψ(ρ)は、上記の(48)に代わって下記の(51)式で与えられる。
ψ(ρ)=(2π/λ){ρ2 /2f(ρ)}・・・(51)
ここで、f(ρ)の簡単な例として、アキシコンレンズの場合のようにf(ρ)=aρ(但し、aは定数を表す)を代入すると、(51)式は、下記の(52)式で表される。
ここで、f(ρ)の簡単な例として、アキシコンレンズの場合のようにf(ρ)=aρ(但し、aは定数を表す)を代入すると、(51)式は、下記の(52)式で表される。
ψ(ρ)=(2π/λ)(ρ/a)・・・(52)
このゾーンプレートの焦点の範囲は、光軸(ゾーンプレートの中心を原点としたz軸)に沿って、0<z<aRの範囲となる。また、焦点の光強度のピークの半値幅は、aλである。そして、この光強度は全エネルギーのaλ/Rである。従って、f(ρ)=aρでは、焦点に集光できるエネルギーの強度は非常に小さな値であるといえる。
このゾーンプレートの焦点の範囲は、光軸(ゾーンプレートの中心を原点としたz軸)に沿って、0<z<aRの範囲となる。また、焦点の光強度のピークの半値幅は、aλである。そして、この光強度は全エネルギーのaλ/Rである。従って、f(ρ)=aρでは、焦点に集光できるエネルギーの強度は非常に小さな値であるといえる。
そこで、f(ρ)を下記の(53)式で与える場合を考える。
f(ρ)=f0 +aρb (但し、f0 、bは定数を表す)・・・(53)
aが正の定数の場合は、このゾーンプレートの焦点の範囲は、光軸に沿ってf0 <z<f0 +aRb の範囲となる。また、焦点深度はδz=aRb となる。
aが正の定数の場合は、このゾーンプレートの焦点の範囲は、光軸に沿ってf0 <z<f0 +aRb の範囲となる。また、焦点深度はδz=aRb となる。
また、定数bは、光線の中心部の光強度の強度分布を与えるパラメータである。例えば、中心部の強度分布を均一にするためには、エネルギー保存則により、焦点距離fおよびf+δfに対応するゾーンプレートの円環領域が均一に光軸上に集光できなければならない。
また、このゾーンプレートに均一強度P0 の平面波が入射する場合、z軸上に均一強度Pz で集光されるとすると、下記の(54)式が成り立つ。
Pz δz=2πP0 ρδρ・・・(54)
さらに、P0 =(a/π)Pz と定義して、(54)式に代入すると、下記の(55)式が得られる。
さらに、P0 =(a/π)Pz と定義して、(54)式に代入すると、下記の(55)式が得られる。
δz=2aρδρ・・・(55)
(55)式から下記の(56)式が得られる。
(55)式から下記の(56)式が得られる。
δf(ρ)=2aρδρ・・・(56)
次に、(56)式をz=z1 からz=z2 まで積分すると、f(A)=z1 、f(B)=z2 であるから、f(ρ)は、下記の(57)式で与えられる。但し、A=Fr/(2f+F)およびB=r(F+r)/Fであり、Fは第1光学系の焦点距離を表し、fは第2光学系の筒状光束コリメータの焦点距離を表し、rは第1光学系によって収束する円環状のスポットの半径を表す。
次に、(56)式をz=z1 からz=z2 まで積分すると、f(A)=z1 、f(B)=z2 であるから、f(ρ)は、下記の(57)式で与えられる。但し、A=Fr/(2f+F)およびB=r(F+r)/Fであり、Fは第1光学系の焦点距離を表し、fは第2光学系の筒状光束コリメータの焦点距離を表し、rは第1光学系によって収束する円環状のスポットの半径を表す。
f(ρ)=(z1 −z2 )ρ2 /(A2 −B2 )+(z2 A2 −z1 B2 )/(A2 −B2 )
={1/(A2 −B2 )}{(z1 −z2 )ρ2 +(z2 A2 −z1 B2 )}・・・(57)
即ち、上記の(53)式において、b=2とすれば、均一強度が得られることが分かる。
={1/(A2 −B2 )}{(z1 −z2 )ρ2 +(z2 A2 −z1 B2 )}・・・(57)
即ち、上記の(53)式において、b=2とすれば、均一強度が得られることが分かる。
次に、この(57)式を上記の(51)式に代入すると、下記の(58)式が得られる。
ψ(ρ)=(π/λ)(ρ2 /f(ρ))
=(π/λ)ρ2 (A2 −B2 ){(z1 −z2 )ρ2 +(z2 A2 −z1 B2 )}-1・・・(58)
従って、上記の(58)式で与えられる位相分布を有するゾーンプレートを第2光学系のアキシコン光学系として用いれば、所望の領域(z1 からz2 の間)に存在範囲が制限された非回折性光束を得ることができる。
=(π/λ)ρ2 (A2 −B2 ){(z1 −z2 )ρ2 +(z2 A2 −z1 B2 )}-1・・・(58)
従って、上記の(58)式で与えられる位相分布を有するゾーンプレートを第2光学系のアキシコン光学系として用いれば、所望の領域(z1 からz2 の間)に存在範囲が制限された非回折性光束を得ることができる。
特に、この存在範囲を、波長変換素子の有効長程度とした場合は、波長変換効率を極大にすることができる。これは、存在範囲が短い程、非回折性光束の光エネルギーが強くなり、一方、波長変換素子の有効長が長い程、波長変換効率を高くすることができるからである。
<第7実施例>
第7実施例においては、図12を参照して、第1参考例の波長変換方法およびこの発明の波長変換装置の一例について、特に、非回折性光束発生手段について説明する。また、この実施例における非回折性光束発生手段は、第6および第8参考例の波長変換装置の例にも相当する。また、第7実施例では、非回折性光束の発生領域を特に制限する場合について説明する。
第7実施例においては、図12を参照して、第1参考例の波長変換方法およびこの発明の波長変換装置の一例について、特に、非回折性光束発生手段について説明する。また、この実施例における非回折性光束発生手段は、第6および第8参考例の波長変換装置の例にも相当する。また、第7実施例では、非回折性光束の発生領域を特に制限する場合について説明する。
図12は、第7実施例の波長変換装置の非回折性光束発生手段の光軸に沿った断面での構成図を示す。
この実施例における非回折性光束発生手段は、半導体レーザ(図示せず)から出射された平行光束40を円環状のスポット(集光像)44に集光するための第1光学系としての第1ゾーンプレート54と、このスポット44に集光された光から非回折性光束18を発生させるための第2光学系62とを具えている。そして、この第1ゾーンプレート54は、第5実施例で説明したものと同一のものである。
そして、この実施例では、この第2光学系62を、筒状光束コリメータおよびアキシコン光学系と等価な作用を有する単一のゾーンプレート62を以って構成している。
この単一のゾーンプレート62は、上述した第5実施例において、位相差関数φ2 (ρ)の(46)式で与えられた位相分布と、上述した第6実施例において位相遅れ関数(位相分布関数)ψ(ρ)の(58)式で与えられた位相分布とを有する。このため、このゾーンプレート62の位相差関数Φ(ρ)は、下記の(59)式で与えられる。
Φ(ρ)=(2π/λ)φ2 (ρ)+ψ・・・(59)
(59)式に、(46)式および(58)式を代入すると、下記の(60)式が与えられる。
(59)式に、(46)式および(58)式を代入すると、下記の(60)式が与えられる。
Φ(ρ)=(2π/λ)(F/f)[(1/f){r2 −r(R−ρ)+(R2 +ρ2 )/2}]+ψ(ρ)・・・(60)
このように単一のゾーンプレートを用いて簡単な構成で、範囲を限定して非回折性光束を発生させることができる。
このように単一のゾーンプレートを用いて簡単な構成で、範囲を限定して非回折性光束を発生させることができる。
<第8実施例>
第8実施例においては、図13を参照して、第1参考例の波長変換方法およびこの発明の波長変換装置の一例について、特に、非回折性光束発生手段について説明する。また、この実施例における非回折性光束発生手段は、第6および第8参考例の波長変換装置の例にも相当する。また、第8実施例では、第2光学系に、位相シフト手段と等価な作用を付加した場合について説明する。
第8実施例においては、図13を参照して、第1参考例の波長変換方法およびこの発明の波長変換装置の一例について、特に、非回折性光束発生手段について説明する。また、この実施例における非回折性光束発生手段は、第6および第8参考例の波長変換装置の例にも相当する。また、第8実施例では、第2光学系に、位相シフト手段と等価な作用を付加した場合について説明する。
図13は、第8実施例の波長変換装置の非回折性光束発生手段の光軸に沿った断面での構成図を示す。
この実施例における非回折性光束発生手段は、半導体レーザ(図示せず)から出射された平行光束40を円環状のスポット(集光像)44に集光するための第1光学系としての第1ゾーンプレート54と、このスポット44に集光された光から非回折性光束18を発生させるための第2光学系64とを具えている。また、この第1ゾーンプレート54は、第5実施例で説明したものと同一のものである。
また、この第2光学系64は、単一のゾーンプレート64からなる。この単一のゾーンプレート64は、上記の(60)式で与えられる位相差関数Φ(ρ)に、位相をシフトする関数Δ(ρ)を付加した位相分布を有する。従って、このゾーンプレート64の位相差関数Ψ(ρ)は下記の(61)式で与えられる。
Ψ(ρ)=Φ(ρ)+Δ(ρ)
=(2π/λ)(F/f)[(1/f){r2 −r(R−ρ)+(R2 +ρ2 )/2}]+ψ(ρ)+Δ(ρ)・・・(61)
尚、Δ(ρ)は、下記の(62)式の場合と(63)式の場合の2通りの例が考えられる。この(62)式の場合は、上述した第3実施例の説明において用いた図6の(A)の位相シフト板の位相分布に相当する。一方、この(63)式の場合は、図6の(B)の位相シフト板の位相分布に相当する。また、Δ(ρ)は、位相を遅らす場合または位相を進ませる場合を含む。
=(2π/λ)(F/f)[(1/f){r2 −r(R−ρ)+(R2 +ρ2 )/2}]+ψ(ρ)+Δ(ρ)・・・(61)
尚、Δ(ρ)は、下記の(62)式の場合と(63)式の場合の2通りの例が考えられる。この(62)式の場合は、上述した第3実施例の説明において用いた図6の(A)の位相シフト板の位相分布に相当する。一方、この(63)式の場合は、図6の(B)の位相シフト板の位相分布に相当する。また、Δ(ρ)は、位相を遅らす場合または位相を進ませる場合を含む。
Δ(ρ)=(2π/λ)Δ(a<ρ<sの場合、sはa<s<b)
=0 (s<ρ<bの場合)
・・・(62)
Δ(ρ)=0 (a<ρ<sの場合、sはa<s<b)
=(2π/λ)Δ(s<ρ<bの場合)
・・・(63)
また、この実施例では、ゾーンプレートに位相シフト板と等価な作用も持たせたので、擬似位相整合条件を緩和することができる。その結果、波長変換素子の有効長(相互作用長)をより長くすることができる。このため、波長変換効率を向上させることができる。
=0 (s<ρ<bの場合)
・・・(62)
Δ(ρ)=0 (a<ρ<sの場合、sはa<s<b)
=(2π/λ)Δ(s<ρ<bの場合)
・・・(63)
また、この実施例では、ゾーンプレートに位相シフト板と等価な作用も持たせたので、擬似位相整合条件を緩和することができる。その結果、波長変換素子の有効長(相互作用長)をより長くすることができる。このため、波長変換効率を向上させることができる。
<第9実施例>
第9実施例においては、図14を参照して、第1参考例の波長変換方法およびこの発明の波長変換装置の一例について、特に、波長変換素子から出射した光を限界集光するための限界集光手段について説明する。
第9実施例においては、図14を参照して、第1参考例の波長変換方法およびこの発明の波長変換装置の一例について、特に、波長変換素子から出射した光を限界集光するための限界集光手段について説明する。
図14は、第9実施例の波長変換装置の非回折性光束発生手段の光軸に沿った断面での構成図を示す。但し、図14では、非回折性光束発生手段の図示を省略する。非回折性光束発生手段としては、例えば、前述の各実施例で用いたいずれの手段を用いも良い。
第9実施例の波長変換装置は、波長変換素子の出力端側に、当該波長変換素子によって波長変換された出射光を円筒状の平行光束にするためのアキシコンレンズ66および、この円筒状の平行光束を限界集光するための第1凸レンズ68を具えている。さらに、限界集光された出射光を平行光束にするためのコリメータとしての第2凸レンズ70を具えている。
第1凸レンズ68の焦点距離をf2 とすると、第1凸レンズ68に入射した平行光束は、第1凸レンズの後方f2 の距離に焦点を結ぶ。この実施例では、光軸上の光強度が0である円筒状の平行光束を集光するので、通常の平行光束(ガウス光束)を集光する場合よりも焦点の半径(エアリーディスク)を超解像によって小さくすることができる。尚、ガウス光束を集光する場合は、第1凸レンズの開口比(NA値)で決まる半径(エアリーディスクの半径)以下の大きさには集光することができる。
さらに、第2凸レンズ70の焦点距離f3 をf2 よりも充分小さな値とすると、半径の小さな平行光束を得ることができる。また、回折効果のため、平行光束の半径が小さい程、中心部分の光強度も0ではなくほぼ均一な断面強度のプロファイルを持つ平行光束を得ることができる。
<第10実施例>
第10実施例においては、図15を参照して、第1参考例の波長変換方法およびこの発明の波長変換装置の一例について、特に、波長変換素子から出射した光を限界集光するための限界集光手段について説明する。
第10実施例においては、図15を参照して、第1参考例の波長変換方法およびこの発明の波長変換装置の一例について、特に、波長変換素子から出射した光を限界集光するための限界集光手段について説明する。
図15は、第10実施例の波長変換装置の非回折性光束発生手段の光軸に沿った断面での構成図を示す。但し、図15では、非回折性光束発生手段の図示を省略する。非回折性光束発生手段としては、例えば、前述の各実施例で用いたいずれの手段を用いも良い。
第10実施例の波長変換装置は、波長変換素子(例えばSHG素子)の出力端側に、当該波長変換素子によって波長変換された出射光を円筒状の平行光束にするためのアキシコンレンズおよびこの円筒状の平行光束を限界集光するための第1凸レンズと等価な作用を有する単一のゾーンプレート72を具えている。このゾーンプレート72の位相分布は、例えば、上述した第7実施例に用いた単一のゾーンプレート62と同様の位相分布を有する。これは、第9実施例におけるアキシコンレンズ66と第1凸レンズ68との間の平行光束では位相の遅れが生じないため、アキシコンレンズと第1凸レンズとを光学的に一体化することができるためである。この実施例では、CGHによって作成した、単一のゾーンプレートを用いると良い。CGHDによるゾーンプレートを用いれば一体化を容易に行なうことができ、さらに、構成部品数を少なくすることができるので、装置全体の小型化および信頼性の向上を図ることができる。
上述した各実施例では、この出願に係る各発明を特定の材料を使用し、特定の条件で構成した例について説明したが、これらの発明を多くの変更および変形を行うことができる。例えば、上述した実施例では、周期構造を有する波長変換素子を用いたが、これらの発明においては、例えば、波長変換素子として、非線形光学結晶の複屈折を利用する角度位相整合型の波長変換素子を利用しても良い。
また、上述した各実施例では、QPMを利用した波長変換装置について説明したが、第1および第2の実施例においては、必ずしもQPMを利用しなくとも良い。
また、バルク型の波長変換素子(例えばSHG素子)の作成方法は、上記非特許文献1の第62〜63頁に記載されているように、LiNbO3 (ニオブ酸リチウム)やLiTaO3 (タンタル酸リチウム)を用いて既に確立されている。さらに、波長変換素子の材料は、LiNbO3 やLiTaO3 に限られず、例えば上記非特許文献5に開示されている半導体積層結晶を用いても良い。
10:波長変換素子(SHG素子)
12:周期的分極反転構造
14:アキシコンレンズ
16:入力端面
18:非回折性光束
20:SFG素子
22:半透鏡
24:多層膜反射構造
26、26a:位相シフト板
30:光軸
40:平行光束
42:第1トロイダルレンズ(第1光学系)
44:円環状スポット
46:第2光学系
48:第2トロイダルレンズ(筒状光束コリメータ)
50:円筒状の平行光束
52:アキシコンレンズ(アキシコン光学系)
54:第1ゾーンプレート(第1光学系)
56:第2光学系
58:第2ゾーンプレート(筒状光束コリメータ)
60:ゾーンプレート
62:ゾーンプレート(第2光学系)
64:ゾーンプレート(第2光学系)
66:アキシコンレンズ
68:第1凸レンズ
70:第2凸レンズ
72:ゾーンプレート
12:周期的分極反転構造
14:アキシコンレンズ
16:入力端面
18:非回折性光束
20:SFG素子
22:半透鏡
24:多層膜反射構造
26、26a:位相シフト板
30:光軸
40:平行光束
42:第1トロイダルレンズ(第1光学系)
44:円環状スポット
46:第2光学系
48:第2トロイダルレンズ(筒状光束コリメータ)
50:円筒状の平行光束
52:アキシコンレンズ(アキシコン光学系)
54:第1ゾーンプレート(第1光学系)
56:第2光学系
58:第2ゾーンプレート(筒状光束コリメータ)
60:ゾーンプレート
62:ゾーンプレート(第2光学系)
64:ゾーンプレート(第2光学系)
66:アキシコンレンズ
68:第1凸レンズ
70:第2凸レンズ
72:ゾーンプレート
Claims (4)
- 非光導波路型のバルク型の波長変換素子と、基本波光源としての半導体レーザ(LD)とを具えた波長変換装置であって、
前記半導体レーザから出射された光から、前記波長変換素子に入射する基本波としての非回折性光束を発生させる非回折性光束発生手段を具え、
前記波長変換素子の出力側に、当該波長変換素子によって波長変換された出射光を円筒状の平行光束にするためのアキシコンレンズと、該円筒状の平行光束を限界集光するための凸レンズとを具えてなる
ことを特徴とする波長変換装置。 - 請求項1に記載の波長変換装置において、
限界集光された出射光を平行光束にするためのコリメータを具えてなる
ことを特徴とする波長変換装置。 - 非光導波路型のバルク型の波長変換素子と、基本波光源としての半導体レーザ(LD)とを具えた波長変換装置であって、
前記半導体レーザから出射された光から、前記波長変換素子に入射する基本波としての非回折性光束を発生させる非回折性光束発生手段を具え、
前記波長変換素子の出力側に、当該波長変換素子によって波長変換された出射光を円筒状の平行光束にするためのアキシコンレンズおよび該円筒状の平行光束を限界集光するための凸レンズと等価な作用を有する単一のゾーンプレートを具えてなる
ことを特徴とする波長変換装置。 - 請求項3に記載の波長変換装置において、
限界集光された出射光を平行光束にするためのコリメータを具えてなる
ことを特徴とする波長変換装置。
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2005
- 2005-08-10 JP JP2005232007A patent/JP2005331992A/ja active Pending
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20070410 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20070807 |