JP2005330524A - 金属−セラミックス焼結積層体およびその製造方法 - Google Patents

金属−セラミックス焼結積層体およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 金属が銅である金属−セラミックス焼結積層体を、一般的な材料および粉末冶金法によって容易に製造することができ、かつ優れた特性を備えたものとすることができる金属−セラミックス焼結積層体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 銅粉末と酸化鉄粉末の2種、銅粉末と銅粉末および酸化鉄粉末の混合粉末の2種、または、銅粉末、銅粉末および酸化鉄粉末の混合粉末と酸化鉄粉末の3種のいずれかを、成形金型に積層充填して圧縮成形し、得られた圧縮成形体を焼結することにより、銅粉末による銅層3(3a,3b)、混合粉末による混合層21(21a,22a,23,23a)、酸化鉄粉末による酸化鉄層1が積層された金属−セラミックス焼結積層体5(5A〜5E)を得る。
【選択図】 図1

Description

本発明は、耐熱性と熱伝導性、あるいは電気絶縁性と電気伝導性および熱伝導性を兼ね備え、熱応力緩和作用を発揮する金属とセラミックスの積層体を、粉末冶金法によって製造する方法に関する。当該積層体は、例えば、熱電変換素子用熱応力緩和パッドとして好適に用いられる。
この種の金属−セラミックス積層体は、セラミックス層によって電気絶縁性を得るように用いられるが、そのセラミックス層は、化学的あるいは熱的な安定性に優れる点で、主にアルミナ(Al)が用いられている。一方、このアルミナに積層する金属層は、銅、ニッケル、タングステン等が用いられるが、電気伝導性や熱伝導性等に優れることから銅が多く用いられている。金属とセラミックス層とを積層して接合するには、例えば特許文献1に示されるように、板材からなる両者を、活性金属を有するろう材で接合する方法が挙げられる。また、特許文献2に示されるように、セラミックスに、金属を含む層を、溶射によって積層したり、ペーストを印刷して積層したりした後、ホットプレスやHIP(熱間静水圧圧縮)、あるいは成形体に直接電圧を印加して粒子間に放電プラズマを起こさせる通電加熱法等で焼結する粉末冶金法もある。
特開昭60−177634号公報 特開平5−286776号公報
ところで、電気伝導性を最重点においた金属−セラミックス積層体では、金属層には銀、金、銅等の金属が好ましく、とりわけ銅は、コスト的な観点からみて最も有望である。しかしながら銅は、熱膨張量や融点等の点でセラミックスとの間に隔たりが大きく、このため、セラミックスに銅を積層するには、特殊な材料や製法を用いる必要があった。
よって本発明は、金属が銅である金属−セラミックス焼結積層体を、一般的な材料および粉末冶金法によって容易に製造することができ、かつ優れた特性を備えたものとすることができる金属−セラミックス焼結積層体およびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明の金属−セラミックス焼結積層体は、銅層と酸化鉄層、銅層と銅−酸化鉄混合層、または、銅層、銅−酸化鉄混合層および酸化鉄層が積層されてなることを特徴としている。この金属−セラミックス焼結積層体は、酸化鉄層が焼結されることにより、電気絶縁性を有するセラミックス層を形成する。
次に、本発明の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法は、銅粉末と酸化鉄粉末の2種、銅粉末と銅粉末および酸化鉄粉末の混合粉末の2種、または、銅粉末、銅粉末および酸化鉄粉末の混合粉末と酸化鉄粉末の3種のいずれかを、成形金型に積層充填して圧縮成形し、得られた圧縮成形体を焼結することを特徴とする。
上記製造方法における焼結温度は、800〜900℃に設定することができる。また、焼結する際の雰囲気を不活性ガス雰囲気とすることにより、酸化鉄層を電気絶縁層に形成することができる。還元性雰囲気では、酸化鉄が鉄になるので、目的とする電気絶縁性を得ることができない。焼結温度を800〜900℃と著しく低くして焼結することができるため、熱膨張に伴う銅の変位量を抑えることができ、その結果、割れが発生せず健全な金属−セラミックス焼結積層体を得ることができる。
本発明の金属−セラミックス焼結積層体は、電熱ヒータを備えた粉末冶金用のメッシュベルト型あるいはプッシャ型といった通常の電熱焼結炉の他に、マイクロ波を照射するマイクロ波焼結炉を用いて行うことができる。マイクロ波焼結炉は、専らマイクロ波によりワークを加熱昇温する形式のもの、炉内を電熱ヒータ等の輻射熱で昇温し、適当な温度からマイクロ波をワークに照射する形式のもの、炉内に、マイクロ波が照射されることにより昇温する炭化珪素等でできた壁部を備え、その壁部からの輻射熱とマイクロ波の直接照射によりワークを加熱する形式のもの等が挙げられ、これらいずれのマイクロ波焼結炉を、本発明では用いることができる。必要に応じて焼結前に脱ろうのための加熱を行う場合には、酸素を含む雰囲気での加熱が望ましい。
本発明では、酸化鉄粉末または混合粉末が、酸化鉄粉末自体、あるいは酸化鉄粉末と銅粉末との混合物からなる造粒粉末であることを好ましい形態とする。
本発明で得られる金属−セラミックス焼結積層体の層構造は、適用される機器や求められる機能等によって適宜に選択される。特に、上記3種の粉末を積層させる場合、積層方向の一方の面から、少なくとも、銅粉末による銅層、混合粉末による混合層、酸化鉄粉末による酸化鉄層の層構成が一般的となる。これを基本とすると、中心層として酸化鉄層を配し、この両面に、中間層として混合層、最表層として銅層を配するサンドイッチ状の層構成が挙げられる。
このような層構成においては、混合層を複数有するものも含む。その場合の各混合層は、銅粉末と酸化鉄粉末との混合割合が、銅層側から酸化鉄層側に向かう積層順に、銅粉末の含有量が少なくなるように傾斜している構成が、熱応力緩和パッドに適用する際などには好適である。
次に、本発明において使用する個々の材料および製造方法の具体例について詳述する。
[1]銅粉末
銅粉末は、本発明の金属−セラミックス焼結積層体において、電気伝導性と熱伝導性とを兼ね備える最表層の銅層を形成する。銅粉末は圧縮性が良好であるが、成形金型への充填を容易とするために、100メッシュ篩を通過する程度の粒度のものが好適に用いられる。微粉末を用いる場合は、造粒によって粉末流動性を改善することができる。また、銅粉末は、電解銅粉末、アトマイズ銅粉末等を用いることができる。
[2]酸化鉄粉末
酸化鉄粉末は、本発明の金属−セラミックス焼結積層体において、電気絶縁性、熱伝導性に優れるセラミックス層を形成する。酸化鉄は、三二酸化鉄(Fe)が代表的に用いられ、ヘマタイト(弁柄)などを用いることができる。酸化鉄は、焼結によってセラミックス層を形成し、電気抵抗率が、例えば1×10〜10Ω・cm程度の電気絶縁性を有するものが望ましい。酸化鉄は、焼結温度が800〜900℃で、一般的なセラミックスと比べるとその温度は格段に低く、この点において、銅の熱膨張に伴う変位を大幅に低減することができ、このため、割れの発生を抑えることができる。
酸化鉄粉末は、圧縮成形によってできるだけ緻密化し、焼結性も良好であることが望ましいので、粒度が細かいものが好ましい。なお、粒度が細かい故に粉末流動性に劣る場合には、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の結着剤を用いて150μm以下、好ましくは30〜80μm程度に造粒すると、粉末の流動性が向上して成形金型への粉末充填が容易になり、かつ、成形体の強度が高くなるので好ましい。また、粒度の細かい粉末と比較して粗粉末を混合すると、焼結性と粉末流動性を改良することができる。酸化鉄粉末の粒径としては、平均粒径が0.8〜3μm程度のものが好適に用いられる。
[3]混合粉末
上記の銅粉末と酸化鉄粉末との混合粉末は、本発明の金属−セラミックス焼結積層体において混合層を形成する。混合層は、例えば、銅粉末による銅層と酸化鉄粉末による酸化鉄層との間の中間層に用いられる。混合層における銅粉末と酸化鉄粉末の混合比は、例えば焼結後の銅と酸化鉄の容積比で1:1の割合が挙げられる。中間層として混合層を複数形成する場合は、銅層側に向かって酸化鉄粉末の量が多い混合層と、酸化鉄層側に向かって酸化鉄粉末の量が多い混合層の組み合わせが望ましい。すなわち、銅層側から酸化鉄層側に向かう積層順に、銅粉末の含有量が少なくなるように傾斜している層構成である。
[4]酸化鉄粉末の結着剤
本発明では、上記のように酸化鉄粉末を造粒させる手段として、酸化鉄粉末に各種結着剤を混合させることが挙げられる。酸化鉄粉末の圧縮成形体は、酸化鉄粉末の粒度分布を調整することで取扱いができる強度を得ることができるが、メチルセルロース(MC)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸アンモニウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)のような結着剤を混合し、あるいは造粒の結着剤として添加すると、より強度が高いものとすることができる。これによって粉末成形および焼結工程で搬送する際に、割れや欠損を生じ難くすることができる。結着剤を用いなくても製造できるが、金型充填性を良くするために造粒して粉末流動性を改善することが望ましい。
結着剤は、焼結の際の加熱によって消失するが、多量の添加は、焼結後の焼結体の密度を低くし、かつ、熱伝導性を悪くするので、酸化鉄粉末に対して0.1〜0.3質量%程度の添加量が望ましい。結着剤による造粒方法としては、結着剤を水に混合させた水溶液に酸化鉄粉末を混合させた後、この混合液をスプレードライ(噴霧乾燥)法等によって造粒する方法が挙げられる。
[5]成形潤滑剤
酸化鉄粉末の結着剤がPVAの場合では、成形潤滑剤を使用しなくても成形することが可能であるが、圧縮成形体を成形金型から抜き出す際の離型をより容易にするために、成形潤滑剤を用いることができる。CMC等の結着剤は潤滑性が劣るので、成形潤滑剤が必要である。成形潤滑剤は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、エチレンビスステアロアマイド等が用いられ、混合粉末の中に混合するか、あるいは成形金型の内壁に必要に応じて塗布して用いる。成形潤滑剤を塗布するには、静電塗布あるいは液体分散させたものを塗布する方法がある。
[6]積層構造
積層構造は、積層方向の一方の面から順に、「銅層(銅粉末による)−酸化鉄層(酸化鉄粉末による)」、「銅層−混合層(銅粉末と酸化鉄粉末の混合粉末による)−酸化鉄層」、「銅層−混合層−酸化鉄層−混合層」、「銅層−混合層−酸化鉄層−混合層−銅層」等の形態が挙げられる。
混合層を含む場合、その混合層は複数形成される場合もある。混合層を複数有する場合は、上述したように、混合粉末における銅粉末と酸化鉄粉末との混合割合が、銅層側から酸化鉄層側に向かう積層順に、銅粉末の含有量が少なくなるように傾斜している構成が望ましい。
[7]粉末の積層充填
成形体の外形を造形するダイおよび上下のパンチで構成される成形金型に各粉末を充填するには、ダイキャビティに向かって進退する粉末フィーダを用いることができる。粉末フィーダは、進退方向に複数の粉末箱が結合され、例えば、積層構造が「銅層−混合層1層−酸化鉄層−混合層1層−銅層」の場合には、3個の粉末箱を有し、前方から銅粉末、銅粉末と酸化鉄粉末の混合粉末、酸化鉄粉末が装填される。下パンチをダイ上面と面一な状態で粉末フィーダを前進させて銅粉末の入った粉末箱を下パンチの上に停止させ、下パンチまたはダイを移動させてキャビティを形成すると、銅粉末が充填される。次に、混合粉末をダイキャビティ上に移動させ、同様に充填する。酸化鉄粉末も同様にして充填した後、粉末フィーダを順次後退させながら、5層の積層充填を行うことができる。
上記充填方法においては、複数の粉末箱間に空間を設けた粉末フィーダ構造とし、1種の粉末を充填した後、空間をキャビティ上に停止させた状態で、充填した粉末をダイ面から下降させてキャビティを形成するとともに、空間から上パンチ、あるいはフィーダに付設した簡易的なパンチによりダイキャビティの壁面に付着する充填粉末を掻き落とす操作を行うと、より区画された積層構造の圧縮成形体を得ることができる。
充填された各粉末の表面は、微視的には凹凸があるため、隣り合う粉末とは僅かの部分で混合された状態を形成する。混合層と酸化鉄層も同様であり、各層は画然と組成が分かれているわけではなく、層間は絡み合っているので、層間が剥離しにくいものとなる。
[8]粉末の圧縮成形
銅粉末は100〜300MPa程度の成形圧力で密度比が95%以上になり、電気伝導性および熱伝導性が良好になる。一方、酸化鉄粉末は、600MPa程度の成形圧力で密度比が約50%程度、700MPaで60%程度となり、これ以上の成形圧力では密度上昇が緩やかである。したがって、積層充填された粉末の成形圧力は600〜1000MPa程度が好ましい。
[9]焼結
・マイクロ波焼結炉を用いる場合
マイクロ波焼結炉としては、例えば、特開平6−345541号公報に記載のような加熱室の内壁部に電熱ヒータを備えているものが、予備加熱および冷却を制御できるので好ましく用いられる。また、加熱室の内壁部を炭化珪素のような常温で誘電率が高い物質で構成した輻射式のマイクロ波焼結炉も好ましく用いられる。この輻射式のマイクロ波焼結炉によると、昇温の過程で炭化珪素は誘電率が高く、発熱した炭化珪素からの輻射熱で酸化鉄を昇温させ、温度上昇に伴って炭化珪素の誘電率が低下し酸化鉄の誘電率が上昇するので、炭化珪素で吸収しきれないマイクロ波により、酸化鉄が加熱される。
焼結時の炉内雰囲気は、窒素等によって不活性雰囲気とし、焼結温度は800〜900℃に設定する。マイクロ波を、加熱された圧縮成形体に照射すると、電熱ヒータで加熱するよりも焼結が促進されるという利点がある。また、酸化鉄はマイクロ波を吸収しやすく、したがって形状が損壊しやすいため、このような輻射式のマイクロ波焼結炉がきわめて好適である。
・電熱焼結炉を用いる場合
電熱ヒータ等を備えた電熱焼結炉を用いた場合でも、炉内の雰囲気は、不活性雰囲気とし、焼結温度は、上記マイクロ波焼結炉の場合と同様に、800〜900℃に設定する。
焼結工程では、圧縮成形体に、粉末の積層方向に荷重をかけながら加熱しても良い。荷重をかけながら焼結を行うことにより、各層の剥離や割れといった不具合を抑えることができる。荷重は、例えば10〜200g/cm程度の範囲から適宜選択すればで良く、これ以上の過剰な荷重は潰れを招くので好ましくない。
焼結に際しては、加熱初期に圧縮成形体中の油分を除去する脱ろうが行われる場合がある。上記結着剤は、脱ろうを考慮すると添加量が少ない方が良く、また、PVA等の高分子成分も重合度の低いものが好ましい。これは、添加量が低いと、焼結時の脱ガスの膨張量が低減し、脱ろうから焼結までの昇温速度が速くても焼き割れが生じにくいからである。焼き割れに関しては、圧縮成形体の均熱性もかかわってくるので一概には言えないが、高分子量を1質量%以下に調整することで、脱ろう時の昇温温度は、通常の60倍程度である3℃/min以上でも問題を生じない。なお、脱ろうの過程では、炉内の雰囲気は酸素を含むことが望ましい。
本発明によれば、銅粉末と酸化鉄粉末の2種、銅粉末と銅粉末および酸化鉄粉末の混合粉末の2種、または、銅粉末、銅粉末および酸化鉄粉末の混合粉末と酸化鉄粉末の3種のいずれかを、成形金型に積層充填して圧縮成形し、得られた圧縮成形体を焼結することにより、銅層と酸化鉄層、銅層と銅−酸化鉄混合層、または、銅層、銅−酸化鉄混合層および酸化鉄層が積層されてなる金属−セラミックス焼結積層体を得る。絶縁性を有するセラミックス層を、焼結温度が格段に低く、かつ一般的な材料の酸化鉄を焼結することにより形成することができるので、優れた特性を備えた金属−セラミックス焼結積層体を、容易に製造することができといった効果を奏する。
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1(a)〜(e)は、それぞれ金属−セラミックス焼結積層体5A〜5Eを示す断面図であり、これらは、金属層が銅粉末、セラミックス層が酸化鉄粉末を主体として構成されている。
図1(a)に示す焼結積層体5Aは、金属層(以下、銅層と称する)3上にセラミックス層(以下、酸化鉄層と称する)1が積層された2層構造で、銅層3は電解銅粉末、酸化鉄層1は酸化鉄粉末を用いている。焼結積層体5Aを製造するには、まずこれら粉末を、成形金型内に所定の厚さで順に積層充填し、成形圧力700MPaで圧縮成形して圧縮成形体を得る。次いで、この圧縮成形体をマイクロ波焼結炉内に装入して炉内を窒素ガス雰囲気とし、マイクロ波を圧縮成形体に照射して酸化鉄層1を約900℃で5分間加熱した後に冷却する。
この焼結積層体5Aは、例えば放熱部材として用いられ、その場合には、昇温しているセラミックス製品あるいはセラミックス部材に酸化鉄層1を当接させ、銅層3に放熱フィンが付設される使用形態が採られる。また、銅層3に熱伝導性および電気伝導性が求められ、酸化鉄層1に電気絶縁性が求められる場合では、電気伝導性が求められる側に銅層3を当接させ、電気絶縁性が求められる側に酸化鉄層1を当接させて用いられる。この焼結積層体5Aの場合には、銅層3と酸化鉄層1とで構成されているので、高温で用いると熱膨張の差によって層間が剥離することになるので、このような現象が生じない程度の比較的低温で用いられる。
以下、図1(b)〜(e)に示す焼結積層体5B〜5Eを説明するが、これらの焼結方法は、上記焼結積層体5Aと同様である。なお、以下の混合層(中間層)は、銅粉末と酸化鉄粉末の混合粉末から構成されている。
図1(b)に示す焼結積層体5Bは、銅層3と酸化鉄層1の間に、組成が異なる2つの混合層21、23をサンドイッチして積層した構造である。銅層3側の混合層23は、酸化鉄粉末と銅粉末を質量比15:85(酸化鉄の容積比が約30%)で混合した混合粉末で形成され、酸化鉄層1側の混合層22は、酸化鉄粉末と銅粉末を質量比30:70(酸化鉄の容積比が約50%)で混合した混合粉末で形成されている。すなわち、銅層3側の混合層23は銅含有量が多く、酸化鉄層1側の混合層22は酸化鉄の含有量が多いものとなっている。この焼結積層体5Bは、図1(a)の焼結積層体5Aと比較すると、周囲の温度変化や繰り返し熱衝撃が加わるヒートサイクルによって生じる熱応力を緩和できる点で有利な構造を有している。
図1(c)に示す焼結積層体5Cは、2つの銅層3a,3bの間に酸化鉄層1をサンドイッチして積層した構造である。銅層3a,3bは熱伝導性および電気伝導性を有しており、中間の酸化鉄層1は電気絶縁性を有している。したがって、銅層3aと銅層3bは酸化鉄層1で電気絶縁されている。この焼結積層体5Cは、例えば、一方の銅層3a側が加熱され、他方の銅層3b側が放熱されて冷却を担うように用いられる。この焼結積層体5Cは、酸化鉄層1と銅層3a,3bが直接接していることから耐熱衝撃性が不足する場合があるので、比較的低温または温度差の少ない環境での使用が好ましい。
図1(d)に示す焼結積層体5Dは、上記焼結積層体5Cの構造において、酸化鉄層1と各銅層3a,3bの間に、さらに混合層22a,22bをそれぞれサンドイッチして積層した構造である。各混合層22a,22bは、酸化鉄の容積比が約50%とされている。
図1(e)に示す焼結積層体5Eは、上記焼結積層体5Dの構造において、混合層22a,22bと酸化鉄層1との間に、それぞれ混合層21a,21b(酸化鉄の容積比が約70%)をサンドイッチし、さらに、混合層22a,22bと銅層3a,3bとの間に、それぞれ混合層23a,23b(酸化鉄の容積比が約30%)をサンドイッチした構造で、酸化鉄層1と銅層3a,3b間の混合層が3層とされている。これら焼結積層体5D,5Eのように、酸化鉄層1と銅層3a,3bとの間に混合層を挟むことにより、熱応力が緩和されて耐熱衝撃性に優れたものとなる。
次に、図2(a),(b)を参照して上記焼結積層体5A〜5Eの具体的な使用例を説明する。なお、図2(a),(b)では、符号5によって焼結積層体5A〜5Eのいずれかであることを示している。
図2(a)は、N型素子とP型素子とが交互に複数配置され、それぞれの熱電素子8を焼結積層体5で直列に連結し、両端部に全体を固定する熱伝導性の良い金属板(例えば銅板、以下では銅板とする)7でサンドイッチした構造を有する熱電変換モジュール6Aの断面を示している。焼結積層体5は、熱応力緩和パッドとして用いられている。この熱電変換モジュール6Aによれば、一端に熱を与え、他端を冷却することにより、末端の熱電素子8に取り付けた端子から電力が得られる。このような熱電変換モジュール6Aは、炉などの放熱部とウォータージャケット等の冷却手段との間に挟み込んだ状態で取り付けられ、使用される。
図2(a)の熱電変換モジュール6Aでは、熱電素子8と焼結積層体5とが半田や黒鉛塗料によって接合されることにより、両者間の電気伝導性および熱伝導性が確保され、焼結積層体5と銅板7とは半田、黒鉛塗料、水ガラス、高融点ガラス等によって接合されることにより、熱伝導性が確保されている。図2(b)の熱電変換モジュール6Bは、上記熱電変換モジュール6Aと基本構成を同じくするものであるが、各部材が積層されて当接する状態が、2つの銅板7を締結するボルト10およびナット11によって保持されている。
これら熱電変換モジュール6A,6Bに使用される焼結積層体5として、上記焼結積層体5A〜5Eを用いることができるが、特に、焼結積層体5D,5Eが好適である。それは、銅層3a,3bは導電性および熱伝導性が良好でり、酸化鉄層1により銅層3a,3b間が電気絶縁され、混合層(21a,22a,23a)によって高温側と低温側の熱膨張差による熱応力やヒートサイクルによって生じる熱応力を緩和でき、発電性能および信頼性が向上することによる。
(a)〜(e)は本発明の実施形態に係る金属−セラミックス焼結積層体の積層構造の例を示す断面図である。 (a),(b)は実施形態の金属−セラミックス焼結積層体を熱電変換モジュールに適用した例を示す断面図である。
符号の説明
1…酸化鉄層
3,3a,3b…銅層
5(5A〜5E)…金属−セラミックス焼結積層体
21,21a,22a,23,23a…混合層

Claims (7)

  1. 銅層と酸化鉄層、銅層と銅−酸化鉄混合層、または、銅層、銅−酸化鉄混合層および酸化鉄層が積層されてなる金属−セラミックス焼結積層体。
  2. 銅粉末と酸化鉄粉末の2種、銅粉末と銅粉末および酸化鉄粉末の混合粉末の2種、または、銅粉末、銅粉末および酸化鉄粉末の混合粉末と酸化鉄粉末の3種のいずれかを、成形金型に積層充填して圧縮成形し、得られた圧縮成形体を焼結することを特徴とする金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
  3. 前記圧縮成形体の焼結温度を、800〜900℃に設定することを特徴とする請求項2に記載の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
  4. 前記圧縮成形体を焼結する際の雰囲気を、不活性ガス雰囲気とすることを特徴とする請求項2または3に記載の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
  5. 前記酸化鉄粉末または前記混合粉末が、酸化鉄粉末自体、あるいは酸化鉄粉末と銅粉末との混合物からなる造粒粉末であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
  6. 積層方向の一方の面から、少なくとも、前記銅粉末による銅層、前記混合粉末による混合層、前記酸化鉄粉末による酸化鉄層が形成されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
  7. 複数の前記混合層を有し、これら混合層における前記銅粉末と前記酸化鉄粉末との混合割合が、前記銅層側から前記酸化鉄層側に向かう積層順に、銅粉末の含有量が少なくなるように傾斜していることを特徴とする請求項6に記載の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
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