JP2005330524A - 金属−セラミックス焼結積層体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 銅粉末と酸化鉄粉末の2種、銅粉末と銅粉末および酸化鉄粉末の混合粉末の2種、または、銅粉末、銅粉末および酸化鉄粉末の混合粉末と酸化鉄粉末の3種のいずれかを、成形金型に積層充填して圧縮成形し、得られた圧縮成形体を焼結することにより、銅粉末による銅層3(3a,3b)、混合粉末による混合層21(21a,22a,23,23a)、酸化鉄粉末による酸化鉄層1が積層された金属−セラミックス焼結積層体5(5A〜5E)を得る。
【選択図】 図1
Description
[1]銅粉末
銅粉末は、本発明の金属−セラミックス焼結積層体において、電気伝導性と熱伝導性とを兼ね備える最表層の銅層を形成する。銅粉末は圧縮性が良好であるが、成形金型への充填を容易とするために、100メッシュ篩を通過する程度の粒度のものが好適に用いられる。微粉末を用いる場合は、造粒によって粉末流動性を改善することができる。また、銅粉末は、電解銅粉末、アトマイズ銅粉末等を用いることができる。
酸化鉄粉末は、本発明の金属−セラミックス焼結積層体において、電気絶縁性、熱伝導性に優れるセラミックス層を形成する。酸化鉄は、三二酸化鉄(Fe2O3)が代表的に用いられ、ヘマタイト(弁柄)などを用いることができる。酸化鉄は、焼結によってセラミックス層を形成し、電気抵抗率が、例えば1×104〜106Ω・cm程度の電気絶縁性を有するものが望ましい。酸化鉄は、焼結温度が800〜900℃で、一般的なセラミックスと比べるとその温度は格段に低く、この点において、銅の熱膨張に伴う変位を大幅に低減することができ、このため、割れの発生を抑えることができる。
上記の銅粉末と酸化鉄粉末との混合粉末は、本発明の金属−セラミックス焼結積層体において混合層を形成する。混合層は、例えば、銅粉末による銅層と酸化鉄粉末による酸化鉄層との間の中間層に用いられる。混合層における銅粉末と酸化鉄粉末の混合比は、例えば焼結後の銅と酸化鉄の容積比で1:1の割合が挙げられる。中間層として混合層を複数形成する場合は、銅層側に向かって酸化鉄粉末の量が多い混合層と、酸化鉄層側に向かって酸化鉄粉末の量が多い混合層の組み合わせが望ましい。すなわち、銅層側から酸化鉄層側に向かう積層順に、銅粉末の含有量が少なくなるように傾斜している層構成である。
本発明では、上記のように酸化鉄粉末を造粒させる手段として、酸化鉄粉末に各種結着剤を混合させることが挙げられる。酸化鉄粉末の圧縮成形体は、酸化鉄粉末の粒度分布を調整することで取扱いができる強度を得ることができるが、メチルセルロース(MC)、ポリビニルアルコール(PVA)、アルギン酸アンモニウム、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルピロリドン(PVP)のような結着剤を混合し、あるいは造粒の結着剤として添加すると、より強度が高いものとすることができる。これによって粉末成形および焼結工程で搬送する際に、割れや欠損を生じ難くすることができる。結着剤を用いなくても製造できるが、金型充填性を良くするために造粒して粉末流動性を改善することが望ましい。
酸化鉄粉末の結着剤がPVAの場合では、成形潤滑剤を使用しなくても成形することが可能であるが、圧縮成形体を成形金型から抜き出す際の離型をより容易にするために、成形潤滑剤を用いることができる。CMC等の結着剤は潤滑性が劣るので、成形潤滑剤が必要である。成形潤滑剤は、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、エチレンビスステアロアマイド等が用いられ、混合粉末の中に混合するか、あるいは成形金型の内壁に必要に応じて塗布して用いる。成形潤滑剤を塗布するには、静電塗布あるいは液体分散させたものを塗布する方法がある。
積層構造は、積層方向の一方の面から順に、「銅層(銅粉末による)−酸化鉄層(酸化鉄粉末による)」、「銅層−混合層(銅粉末と酸化鉄粉末の混合粉末による)−酸化鉄層」、「銅層−混合層−酸化鉄層−混合層」、「銅層−混合層−酸化鉄層−混合層−銅層」等の形態が挙げられる。
成形体の外形を造形するダイおよび上下のパンチで構成される成形金型に各粉末を充填するには、ダイキャビティに向かって進退する粉末フィーダを用いることができる。粉末フィーダは、進退方向に複数の粉末箱が結合され、例えば、積層構造が「銅層−混合層1層−酸化鉄層−混合層1層−銅層」の場合には、3個の粉末箱を有し、前方から銅粉末、銅粉末と酸化鉄粉末の混合粉末、酸化鉄粉末が装填される。下パンチをダイ上面と面一な状態で粉末フィーダを前進させて銅粉末の入った粉末箱を下パンチの上に停止させ、下パンチまたはダイを移動させてキャビティを形成すると、銅粉末が充填される。次に、混合粉末をダイキャビティ上に移動させ、同様に充填する。酸化鉄粉末も同様にして充填した後、粉末フィーダを順次後退させながら、5層の積層充填を行うことができる。
銅粉末は100〜300MPa程度の成形圧力で密度比が95%以上になり、電気伝導性および熱伝導性が良好になる。一方、酸化鉄粉末は、600MPa程度の成形圧力で密度比が約50%程度、700MPaで60%程度となり、これ以上の成形圧力では密度上昇が緩やかである。したがって、積層充填された粉末の成形圧力は600〜1000MPa程度が好ましい。
・マイクロ波焼結炉を用いる場合
マイクロ波焼結炉としては、例えば、特開平6−345541号公報に記載のような加熱室の内壁部に電熱ヒータを備えているものが、予備加熱および冷却を制御できるので好ましく用いられる。また、加熱室の内壁部を炭化珪素のような常温で誘電率が高い物質で構成した輻射式のマイクロ波焼結炉も好ましく用いられる。この輻射式のマイクロ波焼結炉によると、昇温の過程で炭化珪素は誘電率が高く、発熱した炭化珪素からの輻射熱で酸化鉄を昇温させ、温度上昇に伴って炭化珪素の誘電率が低下し酸化鉄の誘電率が上昇するので、炭化珪素で吸収しきれないマイクロ波により、酸化鉄が加熱される。
電熱ヒータ等を備えた電熱焼結炉を用いた場合でも、炉内の雰囲気は、不活性雰囲気とし、焼結温度は、上記マイクロ波焼結炉の場合と同様に、800〜900℃に設定する。
図1(a)〜(e)は、それぞれ金属−セラミックス焼結積層体5A〜5Eを示す断面図であり、これらは、金属層が銅粉末、セラミックス層が酸化鉄粉末を主体として構成されている。
3,3a,3b…銅層
5(5A〜5E)…金属−セラミックス焼結積層体
21,21a,22a,23,23a…混合層
Claims (7)
- 銅層と酸化鉄層、銅層と銅−酸化鉄混合層、または、銅層、銅−酸化鉄混合層および酸化鉄層が積層されてなる金属−セラミックス焼結積層体。
- 銅粉末と酸化鉄粉末の2種、銅粉末と銅粉末および酸化鉄粉末の混合粉末の2種、または、銅粉末、銅粉末および酸化鉄粉末の混合粉末と酸化鉄粉末の3種のいずれかを、成形金型に積層充填して圧縮成形し、得られた圧縮成形体を焼結することを特徴とする金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
- 前記圧縮成形体の焼結温度を、800〜900℃に設定することを特徴とする請求項2に記載の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
- 前記圧縮成形体を焼結する際の雰囲気を、不活性ガス雰囲気とすることを特徴とする請求項2または3に記載の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
- 前記酸化鉄粉末または前記混合粉末が、酸化鉄粉末自体、あるいは酸化鉄粉末と銅粉末との混合物からなる造粒粉末であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
- 積層方向の一方の面から、少なくとも、前記銅粉末による銅層、前記混合粉末による混合層、前記酸化鉄粉末による酸化鉄層が形成されていることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
- 複数の前記混合層を有し、これら混合層における前記銅粉末と前記酸化鉄粉末との混合割合が、前記銅層側から前記酸化鉄層側に向かう積層順に、銅粉末の含有量が少なくなるように傾斜していることを特徴とする請求項6に記載の金属−セラミックス焼結積層体の製造方法。
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