JP2005325077A - シュードモナス属細菌の固定化物及びその固定化方法、及びその固定化物から成る、植物の地上部病害防除剤の製剤化方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明者らは、真空凍結乾燥法にてスケールアップ時の低い真空度でも製造可能であって、固定化物として生菌回収率や生産性や乾燥後の保存性が良好である、シュードモナス属細菌の固定化物及びその固定化方法を課題とし、その固定化物をより有効に利用できる、植物の地上部病害防除剤の製剤化方法を課題とした。
【解決手段】本発明の、シュードモナス属細菌にトレハロースを混合し凍結後真空乾燥する方法により、50以上〜1000以下のミリトールの低真空度で、凍結前液高が1cm以上で、固定化物換算の糖含有率が40%以上〜60%以下という真空乾燥し難い条件下でも、物性が良く粉砕可能で、生菌回収率や保存性も良好である固定化物をより大量に提供できる。また、その固定化物を糖類で希釈増量することにより、防除活性をより増大できて且つ大量に製剤できる、植物の地上部病害防除剤の製剤化方法を提供できる。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の、シュードモナス属細菌にトレハロースを混合し凍結後真空乾燥する方法により、50以上〜1000以下のミリトールの低真空度で、凍結前液高が1cm以上で、固定化物換算の糖含有率が40%以上〜60%以下という真空乾燥し難い条件下でも、物性が良く粉砕可能で、生菌回収率や保存性も良好である固定化物をより大量に提供できる。また、その固定化物を糖類で希釈増量することにより、防除活性をより増大できて且つ大量に製剤できる、植物の地上部病害防除剤の製剤化方法を提供できる。
【選択図】なし
Description
本発明は、産業上で微生物から成る組成物を有効活用する際に、その有用な微生物をできるだけ効率的に大量生産できて、生産段階から流通・使用現場にいたるまで、できるだけ死滅させることが無く、保存性に優れた固定化物とそれを得る技術が必要である。本発明は、シュードモナス属細菌の生菌(生きている菌体)を有効活用する際に必要となる固定化物とその固定化物を得るための固定化方法に関すると共に、その固定化物を植物の地上部病害防除分野に有効に利用する際の防除剤の製剤化方法に関する。
微生物を利用した防除事例の多くは、化学農薬が難防除である土壌病害を対象に発展しており、その処理方法は土壌混和、土壌かん注、土壌散布等の土壌処理や、種子粉衣、種子浸漬、種子コーティング等の種子処理、移植前の植物根のディッピング処理(バクテリゼーション)が多く、いわゆる作物地下部への処理が殆どであり、植物の地上部病害を防除対象とした事例は少ない。
また、実際の農業場面を含む使用場面において、使用者が満足のゆく高い効果を発揮できる微生物による植物の地上部病害を対象とする防除剤はいまだ乏しく、現在もなお化学薬剤防除に頼らなければならないのが実状となっている。
しかしながら昨今、化学薬剤耐性菌出現の増加の危惧や、化学薬剤の環境への影響の危惧も払拭されておらず、薬剤耐性菌の出現頻度が最も顕著である植物地上部病害分野を対象とする、環境負荷の少ない防除剤が望まれている。
最近、シュードモナス・プチダ種細菌によって植物の地上部病害を防除することが可能であり、特許出願されている(特開2003−277211号公報)。また、シュードモナス・フロレッセンス種細菌により、化学薬剤耐性菌の出現が多い灰色かび病の防除例が特許出願されている(特願2003−145933号)。
しかしながら、産業上で微生物から成る組成物を有効活用する際に、その有用な微生物をできるだけ効率的に大量生産できて、生産段階から流通・使用現場にいたるまで、できるだけ死滅させることが無く、保存性に優れた固定化物とそれを得る技術が必要である。従来から、微生物をできるだけ長期間保存させることができる方法に関しては、古くから研究がなされ、(微生物の保存法、編者:根井外喜男、1985年、東京大学出版会)の中にまとめられている。その文献の中では、保護剤として低分子物質(アミノ酸、有機酸、糖類等)や、高分子物質(蛋白質、多糖類、合成ポリマー等)を添加しての真空凍結乾燥法により、保存性の改善が認められている。糖類の中ではグルコース、ラクトース、スクロース、ラフィノース、ソルビトール、キシリトール、イノシトールが一般的な凍結乾燥保護剤として上げられている。
しかしながら、シュードモナス属細菌の場合はグルコースやスクロースを利用している例があるが、トレハロースを利用した事例は見当たらない。また、何れも14%以下の低い糖濃度含有液の凍結乾燥事例に過ぎず、高濃度の糖含有液の利用例はない。また、シュードモナス・フロレッセンス種とシュードモナス・プチダ種に関しては、どれだけ保存可能かの保存期間や真空凍結乾燥直後の生存菌回収率や長期間保存後の生存菌回収率の記載もない。更に長期保存することだけが目的のために、スケールアップ時の生産性を考慮に入れた文献は見当たらない。
真空凍結乾燥法は基本的にバッチ仕込みとなるため、液高を高く仕込めるほどバッチあたりの生産量が上がり、生産性が向上することになる。ただし一方で、液高が高くなるにつれ、発泡等が発生しやすくなり、乾燥物の物性が悪化し(例えば飴状となり)、得られた乾燥固定化物は、解砕できず粉末化が不可能となり、実質的に微生物農薬としての製剤化に支障をきたすこととなる。そのような現象はスケールアップした実生産スケールにおいて更に顕著となることから、発泡等によって乾燥物物性を悪化させることのない、固定化方法(微生物組成物の製造方法)が求められる。
また本発明者らは、シュードモナス属細菌の真空乾燥固定化物において、その固定化物の保存性が、固定化物に含有される糖濃度が多いほど保存性が向上することを見出しているが、糖濃度が多くなるほど真空凍結乾燥後の乾燥固定化物の物性が悪化し、粉末化が困難となり微生物農薬としての製剤化ができなくなることを、経験している。
さらに、真空凍結乾燥により固定化物を得て、これをそのまま、微生物農薬とした場合に、真空凍結乾燥の製造コストが割高のために、使用者が満足できる価格で購入できる微生物農薬を提供できない状況に直面している。この状況を打開する為には、この固定化物をできるだけ少ない利用でも、微生物農薬として有効に機能できる防除剤の製剤化方法が必要である。
本発明者らは、真空凍結乾燥法において、スケールアップ時の低い真空度においても製造可能であり、固定化物として生菌回収率や生産性(固定化物の物性と生産量)が良好で且つ保存性も良好である、シュードモナス属細菌の固定化物とそれを得るための固定化方法を提供することを課題とし、また植物の地上部病害防除剤として、その固定化物をできるだけ有効に利用できる、防除剤の製剤化方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するための手段を鋭意検討した。その結果、本発明者らは、シュードモナス属細菌に保護剤を混合し凍結後、凍結物を真空乾燥して得られる固定化物であって、保護剤がトレハロースであり、真空乾燥時の真空度が50ミリトール以上〜1000ミリトール以下であり且つ、固定化物が40重量%以上〜60%重量以下のトレハロースを含有することを特徴とする固定化物とこれを得るための固定化方法によって、大量実生産想定の低い真空度の場合であり、凍結物の凍結前の液高が1cm以上と高く、凍結物中に仕上がり固定化物換算の含有率で40重量%以上〜60重量%以下の糖が含まれるという真空乾燥し難い条件下においても、物性が良く粉砕可能であり、乾燥後の生菌回収率や保存性が良好である固定化物をより大量に提供できることが判明した。
また本発明の、その固定化物を糖類で希釈増量して製剤化することを特徴とする、植物の地上部病害に有効な防除剤の製剤化方法によって、防除剤の活性をより増大できて且つ、防除剤をより大量に提供できることが判明した。
すなわち、本発明は、以下に示す、シュードモナス属細菌の固定化物及びその固定化方法、及びその固定化物から成る、植物の地上部病害防除剤の製剤化方法である。
〔1〕シュードモナス属細菌に保護剤を混合し凍結後、凍結物を真空乾燥して得られる固定化物であって、(1)〜(3)の全ての特徴を有するもの。(1)保護剤がトレハロースである。(2)真空乾燥時の真空度が50ミリトール以上〜1000ミリトール以下である。(3)固定化物が40重量%以上〜60重量%以下のトレハロースを含有する。
〔2〕シュードモナス属細菌がシュードモナス・フロレッセンス種に属する細菌である〔1〕に記載の固定化物。
〔3〕シュードモナス・フロレッセンス種に属する細菌が、MCIB−9(FERM P−19144)、MCIB−10(FERM P−19145)菌株である〔2〕に記載の固定化物。
〔4〕シュードモナス属細菌がシュードモナス・プチダ種に属する細菌である〔1〕に記載の固定化物。
〔5〕シュードモナス・プチダ種に属する細菌が、MCIB−182(FERM P−18725)、MCIB−4(FERM P−18721)菌株である〔4〕に記載の固定化物。
〔6〕シュードモナス属細菌に保護剤を混合し凍結後、凍結物を真空乾燥して固定化物を得る為の固定化方法であって、(1)〜(3)の全ての特徴を有する。(1)保護剤がトレハロースである。(2)真空乾燥時の真空度が50ミリトール以上〜1000ミリトール以下である。(3)固定化物が40重量%以上〜60重量%以下のトレハロースを含有する。
〔7〕〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の固定化物を得る為の、〔6〕に記載の固定化方法。
〔8〕〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の固定化物を糖類で希釈増量して製剤化することを特徴とする、植物の地上部病害に有効な防除剤の製剤化方法。
〔2〕シュードモナス属細菌がシュードモナス・フロレッセンス種に属する細菌である〔1〕に記載の固定化物。
〔3〕シュードモナス・フロレッセンス種に属する細菌が、MCIB−9(FERM P−19144)、MCIB−10(FERM P−19145)菌株である〔2〕に記載の固定化物。
〔4〕シュードモナス属細菌がシュードモナス・プチダ種に属する細菌である〔1〕に記載の固定化物。
〔5〕シュードモナス・プチダ種に属する細菌が、MCIB−182(FERM P−18725)、MCIB−4(FERM P−18721)菌株である〔4〕に記載の固定化物。
〔6〕シュードモナス属細菌に保護剤を混合し凍結後、凍結物を真空乾燥して固定化物を得る為の固定化方法であって、(1)〜(3)の全ての特徴を有する。(1)保護剤がトレハロースである。(2)真空乾燥時の真空度が50ミリトール以上〜1000ミリトール以下である。(3)固定化物が40重量%以上〜60重量%以下のトレハロースを含有する。
〔7〕〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の固定化物を得る為の、〔6〕に記載の固定化方法。
〔8〕〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の固定化物を糖類で希釈増量して製剤化することを特徴とする、植物の地上部病害に有効な防除剤の製剤化方法。
シュードモナス属細菌に保護剤としてトレハロースを混合し凍結後真空乾燥することにより、大量実生産想定の50ミリトール以上〜1000ミリトール以下の低い真空度で且つ凍結物の凍結前の液高が1cm以上であり、凍結物中に仕上がり固定化物換算の含有率で40%以上〜60%以下の糖が含まれる、という真空乾燥し難い条件下においても、物性が良く粉砕可能であり、高いトレハロース含有率のため生菌回収率や保存性が良好である固定化物をより大量に提供できることが可能となった。
また、その固定化物から植物の地上部病害防除剤を製造する場合に、その固定化物を糖類で希釈増量して製剤化することにより、防除剤の活性をより増大できて且つ、防除剤をより大量に提供できることが可能となった。
以下、本発明を詳細に説明する。
<1>本発明に用いる微生物
先ず本発明において対象とされる微生物はシュードモナス属に属する細菌である。その中で種としては例えばシュードモナス・フロレッセンス種とシュードモナス・プチダ種に属する細菌が上げられる。その中で実施例として用いた菌株として、シュードモナス・フロレッセンス(Pseudomonas fluorescens)種に属する細菌の菌株は、MCIB−9、MCIB−10菌株であり、シュードモナス・プチダ種に属する細菌の菌株は、MCIB-182、MCIB-4菌株である。これらの菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番1 中央第6)に、各々、FERM P−19144、FERM P−19145、FERM P−18725、FERM P−18721の受託番号で寄託されている。これらの菌株の分類学的な諸性質を(表1)、(表2)に示す。
先ず本発明において対象とされる微生物はシュードモナス属に属する細菌である。その中で種としては例えばシュードモナス・フロレッセンス種とシュードモナス・プチダ種に属する細菌が上げられる。その中で実施例として用いた菌株として、シュードモナス・フロレッセンス(Pseudomonas fluorescens)種に属する細菌の菌株は、MCIB−9、MCIB−10菌株であり、シュードモナス・プチダ種に属する細菌の菌株は、MCIB-182、MCIB-4菌株である。これらの菌株は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨城県つくば市東1丁目1番1 中央第6)に、各々、FERM P−19144、FERM P−19145、FERM P−18725、FERM P−18721の受託番号で寄託されている。これらの菌株の分類学的な諸性質を(表1)、(表2)に示す。
<2>本発明に使用する微生物の培養方法
本発明の細菌の培養は、例えば、往復式振盪培養、ロータリー式振盪培養、ミニジャーファメンター培養、培養タンク培養等の液体培養やシュードモナスに属する細菌の通常の培養方法に準じて行うことができる。
本発明の細菌の培養は、例えば、往復式振盪培養、ロータリー式振盪培養、ミニジャーファメンター培養、培養タンク培養等の液体培養やシュードモナスに属する細菌の通常の培養方法に準じて行うことができる。
培養に用いる培地は、菌が生育しやすいものであれば特に限定されるものではない。必要な炭素源としては、グルコース、デンプン、デキストリン、シュークロース、糖蜜等の糖類、窒素源としては酵母エキス、コーン・スティープ・リーカー、肉エキス、小麦胚芽、ペプトン類、バレイショエキス、大豆粉等の有機窒素源が好ましいが、塩安、硝安、硫安等の無機窒素源も利用できる。また、無機塩としてリン酸、カリウム、カルシウム、マンガン、マグネシウム、鉄等の塩類、例えば、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸マンガン、硫酸マグネシウム、硫酸第一鉄などを配合することができる。また、必要に応じて消泡剤、バッファー等の種々の添加剤を用いることも可能である。
培養の条件は特に限定されるものではないが、培養は液体培養では通気撹拌や振盪培養等の好気的条件下で行うことが好ましく、温度は15〜35℃、好ましくは25〜30℃、pHは5〜9、好ましくは6〜8の範囲で行う。
<3>本発明の微生物の固定化物及びその固定化方法、及びその固定化物から成る、本発明の植物地上部病害防除剤の製剤化方法
本発明の、微生物の固定化物及びその固定化方法について先ず述べる。
本発明の、微生物の固定化物及びその固定化方法について先ず述べる。
先述したような培養方法で増殖させた培養液から、遠心分離もしくは限外ろ過膜等による集菌をおこない、菌体濃縮物を得る。この操作後の菌体濃度は、通常、乾菌体換算で、5〜35重量%程度に濃縮される。ついで、この菌体濃縮物の乾燥菌体重を測定したのち、保護剤としてトレハロースを加え、混合(溶解)させ菌体懸濁濃縮物とした後、乾燥させる。乾燥方法としては、真空凍結乾燥、真空乾燥、噴霧乾燥などがある。ただ、トレハロースを混合(溶解)した菌体混合物を真空乾燥前に予備凍結し、凍結したまま真空乾燥する真空凍結乾燥法が、高い菌の生存率を確保するためには好ましい。
トレハロースの添加量は、(濃縮物中の乾菌体重量+添加糖重量)に対する(添加糖重量)が30重量%〜80重量%、好ましくは、40重量%〜60重量%となるようにするのが高い菌の生存率を確保するためにはよい。すなわち、仕上がりの固定化物の状態で40重量%〜60重量%の糖を含有されることが好ましいということである。また、トレハロースを保護剤として添加混合する際に、例えば、スクロース、グルコース等のトレハロースを含む2種類以上の糖類を保護剤として、添加混合して使用することもできるが、少なくとも40重量%〜60重量%以上のトレハロースが含まれた固定化物が得られるように添加混合するのが良い。
というのは、乾燥に真空凍結乾燥法を採用した際、真空乾燥の実規模生産レベルで見られるような、真空度が50ミリトール以上〜1000ミリトール以下である低い真空度において、生産性を上げる為に凍結物の凍結前の液高を1cm以上に高くしても、真空乾燥時に発泡等が発生しにくく、乾燥固定化物の物性が悪化しにくい(例えば飴状となりにくい)糖の代表はトレハロースであったため、実規模生産時の生産性を考慮すると、トレハロースをベースに糖を選択することが好ましいからである。また、乾燥後の固定化物の糖含有率が高いほど、生菌回収率が高く、保存性も良好な乾燥固定化物が得られるが、一方では糖含有率が高いほど、真空乾燥時に、先述の物性悪化がおこり、得られる固定化物は粉砕できずに粉末化できなくなるためである。
なお、糖は固体のまま菌体濃縮物に混合してもよく、また、水溶液とした後に混合してもよい。
次に、本発明の固定化物から成る、本発明の植物地上部病害防除剤の製剤化方法について述べる。
前記で述べたように乾燥して得られた固定化物を粉砕し、粉砕後に得られた粉末を糖類と混合し希釈増量して製剤化することができる。糖類で希釈増量して製剤化することが本発明の製剤化方法の特徴である。
この際の希釈増量に用いる糖類としては、トレハロース、スクロース、グルコース、フラクトース、ラクトース、ラフィノース、ソルビトール、キシリトール、イノシトール等の糖類を上げることができる。そのなかでも好ましいのはトレハロース、スクロースである。なお、粉砕や、混合には農薬製剤に一般に使用されている種々の粉砕機や混合機を使用することができる。
糖類で希釈増量して製剤化する理由であるが、本発明の固定化物を本発明の糖類により希釈増量して製剤化することを特徴とする製剤化方法によって得られた防除剤は、植物の地上部病害に対する防除活性が他の物で希釈した製剤に比べ顕著に防除活性が高く、希釈したにもかかわらず希釈前よりも防除活性が向上されるためである。また、その結果として防除剤の生産性も上がり、本発明の固定化物を有効に利用できるためである。(固定化物そのままでも、防除活性は良好であるが。)
このように製剤化された防除剤は、植物の地上部病害防除剤として、そのまま粉剤、水和剤として使用できるし、また、顆粒水和剤、乳剤、液剤、フロアブル、塗布剤等にさらに製剤加工しても使用できる。
このように製剤化された防除剤は、植物の地上部病害防除剤として、そのまま粉剤、水和剤として使用できるし、また、顆粒水和剤、乳剤、液剤、フロアブル、塗布剤等にさらに製剤加工しても使用できる。
<4>本発明の製剤化方法、により製剤化された植物の地上部病害防除剤の防除対象病害
本発明の製剤化方法、により製剤化される防除剤が適用される地上部病害とは、病害であれば主に胞子をつくるカビによる空気伝染性病害を意味するが、植物同士の接触や雨水による地上で遊走子により伝染蔓延するべと病や疫病の病害をも含む意味で使用した。すなわち地上部での伝染が主の病害であり、地上部(茎部や葉部や花部)への薬剤処理という簡便な処理で効果的にその蔓延を防除されうる病害という意味である。また、防除の対象が細菌病害の場合は、本発明の製剤化方法では十分に防除効果を発揮できないので除外する。以下に、具体的病害およびその病原菌例を示す。
本発明の製剤化方法、により製剤化される防除剤が適用される地上部病害とは、病害であれば主に胞子をつくるカビによる空気伝染性病害を意味するが、植物同士の接触や雨水による地上で遊走子により伝染蔓延するべと病や疫病の病害をも含む意味で使用した。すなわち地上部での伝染が主の病害であり、地上部(茎部や葉部や花部)への薬剤処理という簡便な処理で効果的にその蔓延を防除されうる病害という意味である。また、防除の対象が細菌病害の場合は、本発明の製剤化方法では十分に防除効果を発揮できないので除外する。以下に、具体的病害およびその病原菌例を示す。
<イネ>
イネのいもち病菌ピリキュラリア・ オリゼー(Pyricularia oryzae)、ごま葉枯れ病菌コクリオボラス・ミヤベアヌス(Cochliovolus miyabeanus)、
イネのいもち病菌ピリキュラリア・ オリゼー(Pyricularia oryzae)、ごま葉枯れ病菌コクリオボラス・ミヤベアヌス(Cochliovolus miyabeanus)、
<野菜>
野菜類、例えば、ナス科野菜、ウリ科野菜、イチゴ、レタス、タマネギ等の灰色かび病菌ボトリチス・ シネレア(Botrytis cinerea)や菌核病菌スクレロチニア・ スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)、トマトの疫病菌フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)トマトの葉かび病菌クラドスポリウム・フラバム(Cladosporium fulvum)、輪紋病菌アルタナリア・ソラニ(Alternaria salani)、ウリ科野菜の炭そ病菌コレトトリカム・ラゲナリウム(Colletotrichum lagenarium)、つる枯れ病菌ミコスフェレラ・メロニス(Mycosphaerella melonis)、うどんこ病菌スフェロテカ・フリジネア(Sphaerotheca fuliginea)、ウリ科野菜べと病菌シュードペロノスポラ・キュベンシス(Pseudoperonospora cubensis)、ハクサイの黒斑病菌アルタナリア・ブラシケ(Alternaria brassicae)、ニンジンの黒葉枯病菌アルタナリア・ダウシ(Alternaria dauci)、イチゴのうどんこ病菌スファエロテカ・フムリ(Sphaerotheca humuli)、炭そ病菌コレトトリカム・フラガリエ(Colletotrichum fragariae)、キャベツの黒すす病菌アルタナリア・ブラッシコーラ(Alternaria brassicicola)、蔬菜類、ダイコンのべと病菌ペロノスポラ・ブラシケ(Peronospora brassicae)、ホウレンソウのべと病菌ペロノスポラ・スピナシエ(Peronospora spinaciae)、タバコのべと病菌ペロノスポラ・タバシナ(Peronospora tabacina)、セリ科植物のべと病菌プラズモパーラ・ニベア(Plasmopala nivea)、
野菜類、例えば、ナス科野菜、ウリ科野菜、イチゴ、レタス、タマネギ等の灰色かび病菌ボトリチス・ シネレア(Botrytis cinerea)や菌核病菌スクレロチニア・ スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)、トマトの疫病菌フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)トマトの葉かび病菌クラドスポリウム・フラバム(Cladosporium fulvum)、輪紋病菌アルタナリア・ソラニ(Alternaria salani)、ウリ科野菜の炭そ病菌コレトトリカム・ラゲナリウム(Colletotrichum lagenarium)、つる枯れ病菌ミコスフェレラ・メロニス(Mycosphaerella melonis)、うどんこ病菌スフェロテカ・フリジネア(Sphaerotheca fuliginea)、ウリ科野菜べと病菌シュードペロノスポラ・キュベンシス(Pseudoperonospora cubensis)、ハクサイの黒斑病菌アルタナリア・ブラシケ(Alternaria brassicae)、ニンジンの黒葉枯病菌アルタナリア・ダウシ(Alternaria dauci)、イチゴのうどんこ病菌スファエロテカ・フムリ(Sphaerotheca humuli)、炭そ病菌コレトトリカム・フラガリエ(Colletotrichum fragariae)、キャベツの黒すす病菌アルタナリア・ブラッシコーラ(Alternaria brassicicola)、蔬菜類、ダイコンのべと病菌ペロノスポラ・ブラシケ(Peronospora brassicae)、ホウレンソウのべと病菌ペロノスポラ・スピナシエ(Peronospora spinaciae)、タバコのべと病菌ペロノスポラ・タバシナ(Peronospora tabacina)、セリ科植物のべと病菌プラズモパーラ・ニベア(Plasmopala nivea)、
<果樹>
カンキツ類の青かび病菌ペニシリウム・イタリカム(Penicillium italicum)、黒点病菌ディアポルテ・シトリ(Diaporthe citri)、緑かび病菌ペニシリウム・ディジタツム(Penicillium digitatum)、青かび病菌ペニシリウム・イタリクム(Penicillium italicum)、ナシの赤星病菌ジムノスポランジウム・アシアチカム(Gymnosporangium asiaticum)、黒斑病菌アルタナリア・キクチアナ(Alternaria kikuchiana)、黒星病菌ベンチュリア・ナシコーラ(Venturia nashicola)、リンゴの黒星病菌ベンチュリア・イネクアリス(Venturia inaequalis)、斑点落葉病菌アルタナリア・マリ(Alternaria mali)、モモの灰星病菌モニリニア・フルクチコーラ(Monilinia fructicola)、ブドウの灰色かび病菌ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)、晩腐病菌グロメレラ・シンギュラータ(Glomerella cingulata)、
カンキツ類の青かび病菌ペニシリウム・イタリカム(Penicillium italicum)、黒点病菌ディアポルテ・シトリ(Diaporthe citri)、緑かび病菌ペニシリウム・ディジタツム(Penicillium digitatum)、青かび病菌ペニシリウム・イタリクム(Penicillium italicum)、ナシの赤星病菌ジムノスポランジウム・アシアチカム(Gymnosporangium asiaticum)、黒斑病菌アルタナリア・キクチアナ(Alternaria kikuchiana)、黒星病菌ベンチュリア・ナシコーラ(Venturia nashicola)、リンゴの黒星病菌ベンチュリア・イネクアリス(Venturia inaequalis)、斑点落葉病菌アルタナリア・マリ(Alternaria mali)、モモの灰星病菌モニリニア・フルクチコーラ(Monilinia fructicola)、ブドウの灰色かび病菌ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)、晩腐病菌グロメレラ・シンギュラータ(Glomerella cingulata)、
<豆類>
ラッカセイの褐斑病菌サーコスポーラ・アラキディコーラ(Cercospora arachidicola)、ダイズの紫斑病菌サーコスポーラ・キクチ(Cercospora kikuchii)、エンドウの褐斑病菌アスコキタ・ピシ(Ascochyta pisi)、ソラマメの赤色斑点病菌ボトリチス・ファバエ(Botrytis fabae)、豆類の灰色かび病菌ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)や菌核病菌スクレロチニア・スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)、
ラッカセイの褐斑病菌サーコスポーラ・アラキディコーラ(Cercospora arachidicola)、ダイズの紫斑病菌サーコスポーラ・キクチ(Cercospora kikuchii)、エンドウの褐斑病菌アスコキタ・ピシ(Ascochyta pisi)、ソラマメの赤色斑点病菌ボトリチス・ファバエ(Botrytis fabae)、豆類の灰色かび病菌ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)や菌核病菌スクレロチニア・スクレロチオラム(Sclerotinia sclerotiorum)、
<イモ類と特用作物>
ジャガイモの疫病菌フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)や夏疫病菌アルタナリア・ソラニ(Alternaria salani)、テンサイの褐斑病菌サーコスポーラ・ベティコーラ(Cercospora beticola)、
ジャガイモの疫病菌フィトフトラ・インフェスタンス(Phytophthora infestans)や夏疫病菌アルタナリア・ソラニ(Alternaria salani)、テンサイの褐斑病菌サーコスポーラ・ベティコーラ(Cercospora beticola)、
<花卉類>
花卉類、例えば、シクラメン、キク、バラ、スターチス、アスター、スミレ等の灰色かび病菌ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)、バラのうどんこ病菌スファエロテカ・パンノーサ(Sphaerotheca pannosa)等が挙げられる。
花卉類、例えば、シクラメン、キク、バラ、スターチス、アスター、スミレ等の灰色かび病菌ボトリチス・シネレア(Botrytis cinerea)、バラのうどんこ病菌スファエロテカ・パンノーサ(Sphaerotheca pannosa)等が挙げられる。
以下実施例により、本発明を更に具体的に説明する。但し、本発明は実施例にのみ限定されるものではない。なお、実施例に用いた培地の組成を次に示す。
基本培地:グルコース(和光純薬工業)10g、ポリペプトン(日本製薬社)10g、硫酸マグネシウム七水和物(和光純薬工業)1.5g、リン酸水素ニカリウム(和光純薬工業)1.5g、蒸留水1L、(PH7.0前後)
<実施例1>
基本培地500mLの入った2L容の三角フラスコに、MCIB−9、MCIB−10、MCIB−182、MCIB−4菌株の種菌を植菌し、好気的条件下、30℃で40時間培養した。得られた培養液を遠心分離し、菌体濃縮物(約5g、乾菌体重20%)を得た。適宜三角フラスコを増やして、必要量を確保した。
基本培地500mLの入った2L容の三角フラスコに、MCIB−9、MCIB−10、MCIB−182、MCIB−4菌株の種菌を植菌し、好気的条件下、30℃で40時間培養した。得られた培養液を遠心分離し、菌体濃縮物(約5g、乾菌体重20%)を得た。適宜三角フラスコを増やして、必要量を確保した。
<実施例2>
実施例1で得られた少量の菌体濃縮物1gに、(表3)に示した各糖を仕上がりの固定化物重量(乾燥菌体重量+糖重量)に対して糖重量%が20%〜50%になるように各糖を添加混合し溶解させた。これを−80℃の冷凍庫中で凍結した後、真空乾燥機で10ミリトールの強い真空度で24時間真空乾燥した。これを粉砕した後、生菌濃度を測定し、真空凍結乾燥前後の生存菌数の測定を行い、真空凍結乾燥後の生存菌回収率を調べた。その結果を(表3)に示す。また、同サンプルをアルミラミネート袋に包装し、冷蔵庫(5℃)で保管した時の、乾燥直後に対する2ヵ月後の生存菌回収率の経時変化を調べた。その結果を(表4)に示す。
実施例1で得られた少量の菌体濃縮物1gに、(表3)に示した各糖を仕上がりの固定化物重量(乾燥菌体重量+糖重量)に対して糖重量%が20%〜50%になるように各糖を添加混合し溶解させた。これを−80℃の冷凍庫中で凍結した後、真空乾燥機で10ミリトールの強い真空度で24時間真空乾燥した。これを粉砕した後、生菌濃度を測定し、真空凍結乾燥前後の生存菌数の測定を行い、真空凍結乾燥後の生存菌回収率を調べた。その結果を(表3)に示す。また、同サンプルをアルミラミネート袋に包装し、冷蔵庫(5℃)で保管した時の、乾燥直後に対する2ヵ月後の生存菌回収率の経時変化を調べた。その結果を(表4)に示す。
<実施例3>
基本培地5Lの入った10L容の発酵槽にMCIB−9、182菌株の種菌を植菌し、好気的条件下、30℃で40時間培養した。培養の間、常法に従って適宜グルコース溶液を添加し培養した。得られた培養液を遠心分離し、菌体濃縮物(約500g、乾菌体20%)を得た。
基本培地5Lの入った10L容の発酵槽にMCIB−9、182菌株の種菌を植菌し、好気的条件下、30℃で40時間培養した。培養の間、常法に従って適宜グルコース溶液を添加し培養した。得られた培養液を遠心分離し、菌体濃縮物(約500g、乾菌体20%)を得た。
<実施例4>
実施例3で得られた菌体濃縮物に対し、仕上がりの固定化物重量(乾燥菌体重量+糖重量)に対して糖重量%が50%になるように、トレハロース、スクロースをそれぞれ添加し溶解させ、凍結乾燥前液を調製した。これを径23mmのサンプルビンに液高がそれぞれ7、9、11、13、15mmとなるように分注し、水平に保ったまま−80℃の冷凍庫中で凍結後、スケールアップ時を想定し、100ミリトールの弱い真空度の条件下、真空凍結乾燥機で24時間真空乾燥した。得られた乾燥物の物性を観察した結果を(表5)に示す。
実施例3で得られた菌体濃縮物に対し、仕上がりの固定化物重量(乾燥菌体重量+糖重量)に対して糖重量%が50%になるように、トレハロース、スクロースをそれぞれ添加し溶解させ、凍結乾燥前液を調製した。これを径23mmのサンプルビンに液高がそれぞれ7、9、11、13、15mmとなるように分注し、水平に保ったまま−80℃の冷凍庫中で凍結後、スケールアップ時を想定し、100ミリトールの弱い真空度の条件下、真空凍結乾燥機で24時間真空乾燥した。得られた乾燥物の物性を観察した結果を(表5)に示す。
凍結乾燥は基本的にバッチ仕込みとなるため、液高を高く仕込めるほどバッチあたりの生産性があがるが、スクロースの場合、液高が高くなるにつれ、発泡が発生し、乾燥物の物性が悪化して飴状となり、粉末化不可能となった。
<実施例5>
実施例4の約40倍の真空凍結乾燥スケールアップ試験を実施した。実施例3で得られたMCIB−9の菌体濃縮物に対し、仕上がりの固定化物重量(乾燥菌体重量+糖重量)に対して糖重量%が50%になるように、トレハロースまたはスクロースをそれぞれ添加し溶解させ、凍結乾燥前液を調製した。これを縦110×横170mmのアルミ製バットに液高が15mmとなるように分注し、水平に保ったまま−80℃の冷凍庫中で凍結後、凍結したまま棚冷却式の真空凍結乾燥機内に並べ、スケールアップ時を想定し、100ミリトールの弱い真空度の条件下、24時間真空乾燥した。得られた乾燥物の物性を観察した結果を(表6)に示す。
実施例4の約40倍の真空凍結乾燥スケールアップ試験を実施した。実施例3で得られたMCIB−9の菌体濃縮物に対し、仕上がりの固定化物重量(乾燥菌体重量+糖重量)に対して糖重量%が50%になるように、トレハロースまたはスクロースをそれぞれ添加し溶解させ、凍結乾燥前液を調製した。これを縦110×横170mmのアルミ製バットに液高が15mmとなるように分注し、水平に保ったまま−80℃の冷凍庫中で凍結後、凍結したまま棚冷却式の真空凍結乾燥機内に並べ、スケールアップ時を想定し、100ミリトールの弱い真空度の条件下、24時間真空乾燥した。得られた乾燥物の物性を観察した結果を(表6)に示す。
トレハロースを用いた凍結乾燥品は粉砕、製剤化可能であったが、スクロースを用いたときは、乾燥はしたものの、発泡が発生し、乾燥物の物性が悪化して飴状となり、粉末化(製剤化)不可能となった。
<実施例6>
実施例4のトレハロースを保護剤として用いたMCIB−9、MCIB−182の真空凍結乾燥固定化物をミキサーで粉砕し、等倍量、2倍量のスクロース、トレハロースと各混合後、篩い処理を行い、植物地上部病害の防除に有効な防除剤の製剤(水和剤)を調製した。また、比較対照として、化学農薬のキャリアー(担体)として通常使用される鉱物質担体のラジオライト(焼成珪藻土)で等倍量及び2倍量に希釈した製剤も調製した。
実施例4のトレハロースを保護剤として用いたMCIB−9、MCIB−182の真空凍結乾燥固定化物をミキサーで粉砕し、等倍量、2倍量のスクロース、トレハロースと各混合後、篩い処理を行い、植物地上部病害の防除に有効な防除剤の製剤(水和剤)を調製した。また、比較対照として、化学農薬のキャリアー(担体)として通常使用される鉱物質担体のラジオライト(焼成珪藻土)で等倍量及び2倍量に希釈した製剤も調製した。
<実施例7>トマト開花期灰色かび病防除試験
実施例3で得られたMCIB−9及びMCIB−182の菌体濃縮物2種類と実施例6で得られた両菌株の固定化物2種類、及び各製剤12種類について、空気伝染性病害であり、化学薬剤耐性菌の出現頻度が高い灰色かび病防除試験を実施した。温室内にて1/5000aのワグネルポットに開花期まで生育させたトマト(品種:ハウス桃太郎)に、固定化物と各製剤の合計14種類のサンプルについては水で2000倍に希釈し、菌体濃縮物2種類に関しては固定化物と同様の生菌密度になるように水で希釈し、全ての希釈液に展着剤(グラミンS、三共株式会社)を10000倍希釈となるように添加し、5ポットあたり150mlづつスプレーガンにて散布した。トマトが乾燥した後に夜間湿度90%以上の温室内湿室(15〜30℃)に入れた。薬剤処理3日後に、予めPDA培地上で培養した灰色かび病菌(MBC耐性・ジカルボキシイミド系耐性・ジエトフェンカルブ感受性:RRS菌)から調整した分生胞子懸濁液(1×105cfu/ml)を、花部を中心に計2回噴霧接種し、15〜30℃、夜間湿度90%以上の温室内湿室に最終接種後から7日間保った後、調査を実施した。調査は各ポットの発病果率(トマト幼果総数に占める発病幼果率)を調査し、各処理区の平均発病果率を求め、以下の様に防除価を算出した。結果を(表7)に示した。
防除価=[1−(各処理区の発病果率/無処理区の発病果率)]×100
実施例3で得られたMCIB−9及びMCIB−182の菌体濃縮物2種類と実施例6で得られた両菌株の固定化物2種類、及び各製剤12種類について、空気伝染性病害であり、化学薬剤耐性菌の出現頻度が高い灰色かび病防除試験を実施した。温室内にて1/5000aのワグネルポットに開花期まで生育させたトマト(品種:ハウス桃太郎)に、固定化物と各製剤の合計14種類のサンプルについては水で2000倍に希釈し、菌体濃縮物2種類に関しては固定化物と同様の生菌密度になるように水で希釈し、全ての希釈液に展着剤(グラミンS、三共株式会社)を10000倍希釈となるように添加し、5ポットあたり150mlづつスプレーガンにて散布した。トマトが乾燥した後に夜間湿度90%以上の温室内湿室(15〜30℃)に入れた。薬剤処理3日後に、予めPDA培地上で培養した灰色かび病菌(MBC耐性・ジカルボキシイミド系耐性・ジエトフェンカルブ感受性:RRS菌)から調整した分生胞子懸濁液(1×105cfu/ml)を、花部を中心に計2回噴霧接種し、15〜30℃、夜間湿度90%以上の温室内湿室に最終接種後から7日間保った後、調査を実施した。調査は各ポットの発病果率(トマト幼果総数に占める発病幼果率)を調査し、各処理区の平均発病果率を求め、以下の様に防除価を算出した。結果を(表7)に示した。
防除価=[1−(各処理区の発病果率/無処理区の発病果率)]×100
Claims (8)
- シュードモナス属細菌に保護剤を混合し凍結後、凍結物を真空乾燥して得られる固定化物であって、(1)〜(3)の全ての特徴を有するもの。
(1)保護剤がトレハロースである。
(2)真空乾燥時の真空度が50ミリトール以上〜1000ミリトール以下である。
(3)固定化物が40重量%以上〜60重量%以下のトレハロースを含有する。 - シュードモナス属細菌がシュードモナス・フロレッセンス種に属する細菌である請求項1に記載の固定化物。
- シュードモナス・フロレッセンス種に属する細菌が、MCIB−9(FERM P−19144)、MCIB−10(FERM P−19145)菌株である請求項2に記載の固定化物。
- シュードモナス属細菌がシュードモナス・プチダ種に属する細菌である請求項1に記載の固定化物。
- シュードモナス・プチダ種に属する細菌が、MCIB−182(FERM P−18725)、MCIB−4(FERM P−18721)菌株である請求項4に記載の固定化物。
- シュードモナス属細菌に保護剤を混合し凍結後、凍結物を真空乾燥して固定化物を得る為の固定化方法であって、(1)〜(3)の全ての特徴を有する。
(1)保護剤がトレハロースである。
(2)空乾燥時の真空度が50ミリトール以上〜1000ミリトール以下である。
(3)固定化物が40重量%以上〜60重量%以下のトレハロースを含有する。 - 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の固定化物を得る為の、請求項6に記載の固定化方法。
- 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の固定化物を糖類で希釈増量して製剤化することを特徴とする、植物の地上部病害に有効な防除剤の製剤化方法。
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JP2004145831A JP2005325077A (ja) | 2004-05-17 | 2004-05-17 | シュードモナス属細菌の固定化物及びその固定化方法、及びその固定化物から成る、植物の地上部病害防除剤の製剤化方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008056653A1 (fr) * | 2006-11-08 | 2008-05-15 | Nippon Soda Co., Ltd. | Microorganisme capable de lutter contre les maladies des plantes et agent de lutte contre les maladies des plantes utilisant le microorganisme |
CN103497896A (zh) * | 2013-10-16 | 2014-01-08 | 济南瑞丰生物工程有限公司 | 一种脱水窖泥功能菌保护剂及其应用 |
KR20160122848A (ko) | 2014-04-09 | 2016-10-24 | 가부시키가이샤 에스디에스 바이오텍크 | 미생물 농약 조성물, 그 제조 방법 및 미생물 농약의 안정화 방법 |
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-
2004
- 2004-05-17 JP JP2004145831A patent/JP2005325077A/ja not_active Withdrawn
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