JP2005324179A - 有機物発酵処理装置および該装置を用いた発酵処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 均質な一次発酵物を短時間にかつ繰り返し生成可能とするような、作業性が極めて良く、低価格でしかもランニングコストが不要な、特に酪農業者の蓄糞尿の肥料化処理に極めて利便性の高い、有機物発酵処理装置および発酵処理方法を提供することである。
【解決手段】 該発酵槽が外部空気が自然流入するための開口部を有し、かつ該発酵槽を構成する壁部の少なくとも一部は、間に空間部が形成された2枚の剛性平面部材からなる二重構造体であって、該剛性平面部材のうち被処理物に接するものには小孔が設けられ、該開口部と該空間部と該小孔とによって通気路を形成し、発酵熱によって発生する上昇気流の吸引力が該開口部からの外部の空気の自然流入を誘導して、該空間部を通して該小孔から該発酵槽内に該空気を供給し、供給された空気と該二重構造体の保温性とによって該被処理物の発酵を促進するようにしたことを特徴とする有機物発酵処理装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機物を発酵させて発酵物を生成するための発酵処理装置(以後、単に発酵処理装置とも言う)、特に、畜糞尿あるいは生ゴミを発酵させて肥料あるいは餌料を生成するのに適した発酵処理装置およびそれを用いた発酵処理方法に関する。
従来から、酪農業者にとっては発生する多量の蓄糞尿の処理が日常作業として行われ、発酵させて肥料化して再利用するのが一般的であり、また、飲食業者にとっても残飯などの生ゴミについて同様な作業を抱えており、近年発酵による飼料化が検討され、畜糞尿及び/又は生ゴミ発酵処理装置として既に実用化されている。
一般的に現在、発酵は、好気性発酵と嫌気性発酵とに大別され、肥料あるいは飼料を生成するための有機物の発酵は、主として前者によって行われるものと考えられている。
好気性発酵は、各種の有機物、例えば、畜糞尿あるいは生ゴミ等(以後、発酵被処理物又は単に被処理物と言う)内に含まれる発酵菌(好気性微生物)が被処理物の有機物を、酸素を媒介にして酸化分解して行われ、酸化分解の際には、炭酸ガス等のガスと水が生成される。発酵によって生成される肥料あるいは飼料は、主として、この酸化分解によって生成されたものと考えられている。
嫌気性発酵は、このような好気性発酵による酸化分解によって酸素が消費され、酸素が無くなった状態で、未発酵の有機物が存在する場合に起こるものと考えられており、有機酸発酵や硫酸還元反応やメタン発酵等によって、有機物は無機化され、その際低級脂肪酸や硫化水素による悪臭が発生する。
被処理物が畜糞尿の場合には、それ自体に好気性発酵を起こす発酵菌が含まれているが、残飯等の生ゴミの場合には、それ自体に発酵に供する発酵菌が含まれていない、又は含まれていても畜糞尿ほど多くないために、通常、発酵菌を添加して発酵が行なわれる。
しかしながら、発酵菌を添加すること以外は、畜糞尿の発酵と生ゴミの発酵には共通点が多いので、以後、生ゴミの発酵に特有の内容がある場合を除いて、畜糞尿の発酵の場合を中心に説明する。
好気性発酵による畜糞尿の発酵は、炭酸ガス等のガスを発生させながら行われ、酸素の存在状態で該ガスなどの発生がほぼ終了すると、未発酵の有機物が残ってはいるものの、悪臭がほとんどなく、肥料として使用可能な状態となるので、通常、発酵槽から取出して肥料として使用される。炭酸ガス等のガスの発生がほぼ終了した状態を一次発酵と称している。
一次発酵物をさらに発酵を継続させると、未発酵の有機物がない、あるいは残っていてもわずかで、大半が無機質からなる発酵物となり、これを一括して完熟肥料と一般的に称している。一般的に、完熟肥料に含まれる有機物の許容量は、目的とする肥料によって多少左右される。
従来の発酵装置を用いた場合には、一次発酵後3ヶ月程度放置しないと、無機質の完熟肥料を得るのは難しい。
好気性発酵においては、水分量、温度及び空気量の調整が、発酵がうまく行くかどうかの重要な要素である。
空気が入り過ぎると、空気が発酵によって発生する熱を排出して、発酵装置内部の温度は下がって発酵が進行しないことになり、中でも、空気量の調整は極めて重要であるが、難しい課題として認識されている。
従来から、畜糞尿あるいは生ゴミ等(以後、発酵被処理物又は単に被処理物と言う)を発酵させて肥料あるいは飼料として再利用するための種々の技術が検討され、既に畜糞尿及び/又は生ゴミ発酵処理装置として実用化されている。
従来から実用化されているこの種の発酵処理方式としては、開放型と密閉型があり、古くから農家等で行われていた堆肥造りは、開放型であり、この開放型を時間の短縮と臭気の問題を解決すべく行われているのが密閉型である。
該密閉型発酵処理方式は、(1)被処理物(予め水分調整を行なっておくことも可)を堆肥舎内に投入放置し時々パワーシャベル等で切り返して行なう静置方式(2)現在酪農家で最も良く見かられビニールシートのかまぼこ型ドームの中で、攪拌機を移動させながら被処理物の切り返しと移動を行なう切り返し方式、(3)該装置の底部面と水平方向に設置された駆動軸に直角に攪拌羽根が装着された横型攪拌方式、及び(4)該装置の底部面と垂直方向に設置された駆動軸に直角に攪拌羽根が装着された縦型攪拌方式に大別される。
(1)の方式は、広い面積を必要として作業環境に問題があり、また切り返すタイミングの見極めが難しい方式である。
また、(2)の方式は、水分調整が気温と湿度等の環境条件に左右されてうまく行かないために、十分な発酵が進まず、通常、後からファン等を用いて乾燥をさせることが行われるが、出来あがりの発酵物は堆肥に見えても、水分が含んで未発酵の生の匂いがする場合がある。
(3)と(4)の攪拌方式は、従来最も多く提案されあるいは実用化されているものであり、以下に該攪拌方式について説明する。
該攪拌方式は、該発酵処理装置内で攪拌機を稼働させながら、先ず、該被処理物に含まれる水分を所定量に調整した後、発酵槽内を該発酵菌が活動するのに適した予測される温度(発酵適性温度)に常時セットし、かつブロア等によって装置内に常時空気が流れている状態にして、常時間欠的に攪拌しながら発酵を進め、被処理物の水分量が所定量に減った時点で、その一部(2割程度)を装置から取り出し、大半(8割程度)を装置内に残留させ、この残留被処理物を水分調整材として、水分が多量に含まれる水分未調整の新たな被処理物を追加投入して水分量を調整してから、発酵を再開させるように、一部を取り出し大半を残す工程と、水分未調整の新たな被処理物を追加投入する工程とを繰り返し行なうことを特徴とするものである。
この攪拌方式は、被処理物の水分量が所定量に減った時点で、多量の水分を含む水分未調整の被処理物を新たに投入して、全体として発酵に必要な水分量に調整して発酵を行なうため、残留被処理物の水分量の調整がポイントであり、最初から発酵槽内の温度をヒータ等によって発酵適性温度にセットし、かつブロア等によって強制通風状態をつくって置く理由は、水分を蒸発させ排気して水分調整を行なうためである。
水分調整がうまく行けば問題ないが、上記の一連の工程を繰り返し行なう中で、強制通風によって発酵熱が奪われ、ヒータ等で加熱状態にしておいても効き目が低下して、全体として温度が下がって発酵の進みが悪くなるといった悪循環が生じるなど、所期の水分調整を常時安定に行なうことが極めて難しく、装置から取り出す被処理物の発酵状態にバラツキが発生すると言った問題がある。
水分調整が安定でなく、乾き過ぎると発酵が止まり、水分が多すぎると空気との接触が少なくなって嫌気性発酵が起こって悪臭が発生しやすくなる。
攪拌方式のうち横型攪拌装置の一例について、その側断面図を図8−1に、その正面断面図を図8−2に示す。
発酵槽(50)内に水分調整材を投入し、攪拌機(51)によって攪拌しながら、所定量の被処理物を投入し所定の水分量に調整した後、ヒータ(52)を予測発酵適性温度にセットしかつブロワ(53)による強制通風を行ない、発酵を開始する。
発酵中、攪拌機(51)とブロワ(不図示)を常時稼働させ、また予測最高温度になるようにヒータ(52)を常時セットしておいて、発酵ガスと水蒸気を排気口(53)から排気する。
24〜48時間経過後に、当初調整された含水率が所定量(45〜50%程度)に低下していたら、前述のように、発酵物の一部を取り出し大半を残した後、水分未調整の新たな被処理物(含水率が90%程度)を追加投入して発酵を再開し、この一連の工程を繰り返し行なう。
該横型攪拌装置は、処理量の割には大きな駆動機構が必要になって大掛かりな装置となり、強制通風によって排気される悪臭を除去するための脱臭筒が必要となり、また、攪拌機、ヒータ、ブロワ等の動力を使うためランニングコストがかかり、さらに、水分調整を失敗するなど発酵作業を一度狂わすと、再度の立ち上げが難しいため、全量を取り出して新たなスタートとすることが多い等の問題を有している。
縦型攪拌方式の発酵装置については図示しないが、大掛かりな装置となること、ランニングコストがかかること、安定な水分調整を行なうことが難しいなど横型攪拌方式以上に多くの問題を有するものである。
さらに、攪拌方式等によって機械的に発酵を促進するのではなく、自然発酵方式による処理装置が従来から提案されているので、例を挙げて説明する。
その1つは、それまでの技術の問題点の、外気を蓄糞内全体に均一に流入させることが困難であることを課題として捉え、堆肥舎である発酵処理装置の床面上に小孔を有する横パイプを多数配設すると共に、該各横パイプに連通するように複数本の小孔を有する縦パイプが垂直に突設固定され、横パイプの一端から外気を流入させる方式の畜糞尿処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この提案技術によれば、被処理物全体に空気を行き渡らせるには不十分であり、その上、通常コンクリートからなる堆肥舎の周囲壁部分に被処理物が接触して発酵熱が奪われるために、発酵槽内の被処理物に部分的な温度差が生じるため、全体的に均一に発酵することが難しく、発酵が起きない部分が発生する等、発酵が妨げられて、さらに、特に床面上に配設された横パイプ同士の隙間に被処理物が入り込んでしまい、縦パイプが林立した構成であることも加わって、発酵後に畜糞尿処理装置から被処理物を取出すのが極めて難しくて手間がかかることになり、作業効率が低下する問題がある。
特に、外気を被処理物に浸透させるのに多数の横パイプと縦パイプを用いる構成にすれば、なおさらこの被処理物の取出しが困難になる。
最近、畜糞尿の堆肥化施設の設置義務が酪農業者に課せられており、そのために簡易かつ低価格の堆肥化装置を提供することを目的とした提案がなされている(例えば、特許文献2参照。)。
特許文献2に記載されている堆肥化装置およびそのシステムは、発酵袋と発酵槽と保温槽とから構成され、消耗品としてのフレキシブルな通気性発酵袋に家畜排泄物が投入されたものを、周囲壁と床面が通気性多孔板からなる上部開放型の発酵槽内に装着し、該発酵袋が装着された該発酵槽を保温槽内に取り付けて、全体の保温性を高めて一次発酵させた後、該発酵袋を取出した後放置熟成させて堆肥化するものであり、密閉構造の保温槽の外壁下部に設けた通気穴と、発酵槽の周囲と床面を構成する通気性多孔板と、発酵袋を構成する通気性シートによって、外気を発酵袋内の排泄物まで流入させて発酵させる方式である。
しかしながら、この堆肥化装置及びシステムは、発酵袋は消耗品であり、堆肥化が完了した後には発酵袋を廃棄するものであるために、装置の洗浄作業を省略できる点で都合が良いものであるが、堆肥化作業毎に新しい発酵袋を使用しなければならない点においてコスト高となるばかりでなく、発酵槽と保温槽の2つを準備する必要があるためにコスト高となる上に、家畜排泄物の発酵袋への投入作業、その発酵袋の発酵槽内への装着作業、その発酵槽に保温槽内への取り付け作業、及び該発酵袋の取出し放置作業の4つの一連作業を行なう必要があって、作業性が極めて悪いと言う問題があり、簡易化と低価格化と言った上記目的に対して到底応え得るものではない。
また、該システムで行なわれる家畜排泄物の調湿、すなわち水分調整が機械的な方法であるため、常時一定の水分量に調整することは難しく、その結果発酵袋毎に発酵状態にバラツキがあり、時には発酵が起きないものも出てくると言った問題がある。
さらに、外気が保温槽と発酵槽を容易に通過できるとしても、発酵袋を構成する通気性シートは、排泄物に含まれる多量の水によって表面に密着すると微小孔であるがために塞ぎやすく通気性が低下して、発酵槽から発酵袋内への空気の流入を妨げ、かつ空気量の調整が難しくなるものと考えられ、十分な一次発酵が得られないという問題を有するものである。
特公平2−56319号公報(特許請求の範囲、第2図、第3図) 特開2003−176190号公報(特許請求の範囲、図2)
本発明は、上記従来技術の実情に鑑みてなされたものであって、その課題は、低価格でしかもランニングコストが不要な、特に、畜糞尿の堆肥化施設の設置義務が課せられている酪農業者にとって極めて有用な、有機物、特に蓄糞尿・生ゴミの発酵処理装置を提供することである。
本発明の課題は、水分調整された被処理物を発酵槽に投入する単純作業を行ない放置さえすれば一次発酵物が生成され、また発酵後の被処理物の取り出しが簡易にできるような、作業性が極めて高い、有機物、特に蓄糞尿・生ゴミの発酵処理装置を提供することである。
また、本発明の課題は、同じ発酵槽を用いて被処理物の発酵作業を繰り返し行なっても、同じ発酵状態、すなわち均質な一次発酵物を短時間にかつ繰り返し生成可能とするような、有機物、特に蓄糞尿・生ゴミの発酵処理装置および発酵処理方法を提供することである。
また、本発明の課題は、被処理物中に含まれる雑菌及び/又は雑草の種を死滅させ得る程の高温の発酵熱が発生可能とする有機物、特に蓄糞尿・生ゴミの発酵処理装置を提供することである。
さらに、本発明の課題は、雑菌及び/又は雑草の種が死滅された蓄糞尿の一次発酵物を提供することである。
先述したように、従来の攪拌方式によると、発酵槽内の被処理物中に空気を安定して流入させることが難しく、その上一次発酵に必要な適度な水分量と温度を安定に確保するが難かしいために、同じ発酵槽を用いて繰り返し発酵作業を行なって得られる発酵物は、発酵作業によってその発酵状態が変わり均質なものを常に得るのができないと言う問題が認識されているので、本発明者等は、上記課題を解決するために、発酵槽内への空気の流入を、攪拌方式あるいは送風方式のような機械的人為的なやり方ではなく自然にあるいは自動的に行なうことができ、しかも発酵槽に被処理物を投入する単純作業を行ないさえすれば一次発酵物が生成され、その上発酵後の被処理物を簡易に取出しできるような、作業性が極めて高くシンプルな発酵処理装置を創出すべく検討した。
そのために、本発明者等は、被処理物が一次発酵して発酵熱によって生成されるガスが外部に排気するに伴って、発酵槽内で上昇気流が発生していることに着目し、該上昇気流による吸引力を活用して、自然に外気が流入しその空気が発酵槽内の被処理物全体に行き渡らせることができしかも発酵熱を保温維持できて、その作業性が極めて高くかつシンプルな構造について鋭意検討を重ねて、本発明の発酵処理装置を創出するに至ったものである。
即ち、上記課題は、本発明の(1)「被処理物を発酵させるための密閉構造の発酵槽を有する畜糞尿・生ゴミ発酵処理装置において、該発酵槽は外部空気が自然流入するための開口部を有し、かつ該発酵槽を構成する壁部の少なくとも一部は、間に空間部が形成された二重構造体であって、該壁部のうち被処理物に接する面に小孔が設けられた剛性材料から構成され、該開口部と該空間部と該小孔とによって通気路を形成し、発酵熱によって発生する上昇気流の吸引力が該開口部からの外部の空気の自然流入を誘導して、該空間部を通して該小孔から該発酵槽内に該空気を供給し、供給された空気と該二重構造体の保温性とによって該被処理物の発酵を促進するようにしたことを特徴とする有機物発酵処理装置」(2)「発酵槽が底部、天井部及び側壁部から構成され、該側壁部が該二重構造体であって外壁と内壁とからなり、両者の間に空間部が形成されるように固定されたものであって、該外壁に該開口部が設けられ、該内壁が小孔を有する剛性部材からなるものであることを特徴とする前記第(1)項記載の有機物醗酵処理装置」、(3)「該発酵槽が直方体形状であって、該側壁部の内壁を構成する材料が剛性平面部材であることを特徴とする前記第(1)項又は(2)項に記載の有機物発酵処理装置」、(4)「該発酵槽が底部、天井部及び側壁部から構成された直方体形状であって、対面する2つの該側壁部の間にほぼ平行に少なくとも1つの隔壁部が設けられたものであり、該隔壁部が二重構造体であって、小孔を有する2枚の剛性平面部材によって両者の間に空間部が形成されるように固定されたものであり、該外壁に該開口部が設けられ、該開口部と該空間部と該小孔とによって通気路が形成されたものであることを特徴とする前記第(1)項に記載の有機物発酵処理装置」、(5)「該側壁部が小孔を有する剛性平面部材からなる一重構造体であることを特徴とする前記第(4)項に記載の有機物発酵処理装置」、(6)「該側壁部が、外壁と内壁とからなり両者の間に空間部が形成されるように固定された二重構造体であり、該外壁に該開口部が設けられ、該内壁が小孔を有する剛性部材で形成され、該開口部と該空間部と該小孔とによって通気路が形成されたものであることを特徴とする前記第(4)項又は(5)項に記載の有機物発酵処理装置」、(7)「該側壁部に発酵後の被処置物の取り出し口、及び該天井部には発酵前の被処置物の投入口及び発酵ガスの排気口が設けられたものであることを特徴とする前記第(2)乃至第(6)項に記載の有機物発酵処理装置」、(8)「該開口部が、該側壁部の下部に設けられることを特徴とする前記第(2)乃至第(7)の何れか1に記載の有機物発酵処理装置」、(9)「該側壁部の高さが1420mm以下であることを特徴とする前記第(2)項乃至第(8)項の何れか1に記載の有機物発酵処理装置」、(10)「該排出口が高さ200mm以下及び直径100mm以下の筒状体からなることを特徴とする前記第(7)項乃至第(9)項の何れか1に記載の有機物発酵処理装置」によって解決される。
また上記課題は、本発明の(11)「底部が2枚の平面部材からなり両者の間に空間部が形成されるように固定してなる構造体からなり、該底部構造体と側壁部とが両者の該空間部内の空気が連通するように接合固定されたものであることを特徴とする前記第(2)項乃至第(10)項の何れか1に記載の有機物発酵処理装置」、(12)「該隔壁部の空間部と底部の空間部が連通するように接合固定されたものであることを特徴とする前記第(11)項に記載の有機物発酵処理装置」、(13)「該底部が断熱性剛性部材からなる一重構造体であることを特徴とする前記第(2)項乃至第(10)項の何れか1に記載の有機物発酵処理装置」、(14)「4つの側壁部の1つに空気を流入させるための開口部が設けられ、該開口部が設けられた該側壁部に対置する側壁部に、発酵後の被処置物の開閉可能な取りだし口が設けられたものであることを特徴とする前記第(2)項乃至第(13)項の何れか1に記載の有機物発酵処理装置」、(15)「該隔壁部と該側壁部との間隔が35〜45cm及び該隔壁部が2つ以上設けられる場合には2つの該隔壁部の間隔が35〜45cmになるように設置されることを特徴とする前記第(4)項乃至第(14)項の何れか1に記載の有機物発酵処理装置」、(16)「該側壁部が該隔壁部より高いことを特徴とする前記第(4)項乃至第(16)項の何れか1に記載の有機物発酵処理装置」、(17)「隔壁部が、底部の面積がほぼ均等に分割されるように、少なくとも1つ設けられたことを特徴とする前記第(4)項乃至第(16)項の何れか1に記載の有機物発酵処理装置」によって解決される。
また上記課題は、本発明の、(18)「外気を流入させるための開口部に、空気の量及び/又は温度を調節機構が設けられていることを特徴とする前記第(1)項乃至第(17)項の何れか1に記載の有機物発酵処理装置」、(19)「該発酵槽が架台上に設置固定され、該発酵槽が該架台に着脱可能とする機構が設けられていることを特徴とする前記第(1)項乃至第(18)項の何れか1に記載の有機物発酵処理装置」、(20)「該架台に、発酵後の被処理物を取り出すために該発酵槽を傾斜させる機構が設けられたことを特徴とする第(19)項に記載の有機物発酵処理装置」、(21)「該傾斜機構に油圧ジャッキ又は油圧シリンダが設けられたことを特徴とする前記第(20)項に記載の有機物発酵処理装置」、(22)「該架台が、移動手段との連結部と車輪とが設けられものであって、該装置を移動可能としたことを特徴とする前記第(19)項乃至第(21)項の何れか1に記載の有機物発酵処理装置」、によって解決される。
また上記課題は、本発明の(23)「予め準備され含水量が調整された被処理物を、前記第(1)項乃至第(22)項の何れか1に記載の有機物発酵処理装置の発酵槽内に投入後、放置し一次発酵を行なうことを特徴とする有機物発酵処理方法」、(24)「該被処理物が発酵菌を混合されたものであることを特徴とする前記第(23)項に記載の有機物発酵処理方法」、(25)「含水量が水分調整材によって60〜65%に調整されたものであることを特徴とする前記第(23)項又は第(24)項に記載の有機物発酵処理方法」、(26)「発酵槽を構成する底部からの被処理物の高さが平均値で1420mm以下になるように被処理物を発酵槽内に投入すること特徴とする前記第(23)項又は第(25)の何れか1に記載の有機物発酵処理方法」、(27)「発酵槽内に被処理物を投入後、24〜35時間放置し一次醗酵を完了すること特徴とする前記第(23)項乃至第(26)項の何れか1に記載の有機物発酵処理方法」、(28)「発酵槽に設けられた開口部の大きさを調製して、流入する空気量を調節すること特徴とする前記第(23)項乃至第(27)項の何れか1に記載の有機物発酵処理方法」、(29)「開口部に温度調節機構が設けられた発酵槽を用い、流入空気の温度を発酵開始温度程度になるように調節すること特徴とする前記第(23)項乃至第(28)項の何れか1に記載の有機物発酵処理方法」、(30)「一次発酵の完了後に、発酵物を含む全ての被処理物を発酵槽から取出すことを特徴とする前記第(23)項乃至第(29)項の何れか1に記載の有機物発酵処理方法」、(31)「発酵槽から取出した全ての被処理物を、約60日間放置しあるいは約60日間に放置と攪拌を行なって、完熟発酵物を生成することを特徴とする前記第(30)項に記載の有機物発酵処理方法」、(32)「前記第(23)項乃至第(30)項の何れか1に記載の方法によって処理し得られた発酵物」、及び(33)「前記第(31)項に記載の方法によって生成された完熟発酵物」によって解決される。
本発明の有機物、特に畜糞尿・生ゴミの発酵処理装置は、構造がシンプルで、従来の攪拌方式の発酵処理装置に比べて極めて低価格であり、攪拌、通風、ヒータ等を用いる必要がないため、ランニングコストを不要とするものであるために、特に畜糞尿の堆肥化施設の設置義務が課せられている酪農業者にとっては利便性が高く有用なものである。
また、本発明の該発酵処理装置は、その発酵槽が発酵時に実質的に密閉される構造であって、その発酵槽の壁部の少なくとも一部を、間に空間部が形成された二重構造体とすることを特徴とするものであるが、この特殊な構造が、発酵槽内への空気の自然流入を誘導させ、その空間部によって得られる保温性とが加わって、発酵中に必要な適度な空気量、水分量及び温度が確保され、人為的な攪拌、加温及び強制通風を行なわずして、被処理物が十分に一次発酵して、発酵作業を繰り返し行なっても1次発酵物の発酵状態にバラツキのない均質なものが生成されるため、肥料としてもあるいは飼料としても優れたものである。
しかも、本発明の該発酵処理装置は、水分調整された被処理物を発酵槽に投入し放置すると言った単純作業を行ないさえすれば一次発酵物が生成され、その上発酵後の被処理物の取出しを簡易にできる構造であるので、利用者にとって作業性の良い取扱い利便性に優れたものである。
さらに、本発明の該発酵処理装置によって得られた一次発酵物は、発酵に伴って発生する発酵熱が、最終的には従来方式では得られない程度の高温になって雑菌とか雑草種を死滅させるため、肥料としてもあるいは飼料としても極めて有用なものが得られる。
本発明の該発酵処理装置を構成する発酵槽は、該発酵槽を構成する壁部の少なくとも一部に空間部を有する二重構造体を用い、該二重構造体を構成する部材として小孔を有するものを用いたことを特徴とする密閉構造のものである。
本発明における発酵槽が密閉構造であると言う意味は、外部から空気が流入する機能を有する開口部あるいは孔、外部に空気、ガスが排出する機能を有する排気口を有することを除いて、発酵槽内部が外部から実質上隔絶していることである。
本発明においては二重構造体を壁部の少なくとも一部に用いることが、発酵を継続的に行なわせるのに必要な空気量、水分量及び温度を発酵槽内および被処理物に確保させることになって、十分な一次発酵が行なわれて、発酵作業を繰り返し行なってもその都度得られる発酵物の発酵状態にバラツキのない均質なものを生成させているものと考えられる。
本発明の該発酵処理装置を構成する発酵槽は、後述するように、この二重構造体を壁部とする代表例として、(1)発酵槽の外枠を構成する側壁部に用いるもの、(2)発酵槽が直方体形状である場合に、対面する2つの該側壁部の間に設ける隔壁部に用いるもの、(3)(1)と(2)を併用したものを挙げることができる。
特に隔壁部を設けた場合には、発酵が早く進んで本発明の所期の効果をより一層高めることができる。
本発明の発酵槽における発酵は、被処理物の投入当初に発酵槽内に存在していた空気、及び水分調整材を使用する場合には、それと混合する際に被処理物に混入された空気によって開始されるが、その後の発酵はその後に流入する空気によって促進し継続される。
含水率が調整され発酵槽内に投入された被処理物には、それ自体及び内壁との間に、凹凸、窪み等のような空気が入り込む大小の隙間が無数に形成され、さらに、後述するような水分調整剤が混合された被処理物の場合には、該水分調整剤の形状によってより多くの該隙間が形成されている。
本発明における発酵槽において、自然流入した空気が十分に一次発酵を促進させ、かつ同じ発酵槽を用いて発酵作業を繰り返し行なっても1次発酵物間に発酵状態にバラツキのない均質なものを得ることができるのは、発酵槽内に投入された被処理物全体に自然流入した空気が行き渡り、かつ発酵槽の高い保温性を有することに起因するものと考えられる。
さらに、該二重構造体の該空間部が、該発酵槽に設けられた開口部から流入する空気の通気路となって小孔から該発酵槽内に該空気が供給されているが、本発明者等によって検証されている、発酵熱によって発生する上昇気流の吸引力によって、該開口部からの空気の自然流入を誘導していることが、被処理物全体に空気が行き渡らせる大きな要因になっているものと考えられる。
発酵槽が上記例(1)の場合の、側壁部の小孔から発酵槽内に排出する空気のその後の流れについて検討すると、該小孔付近にある被処理物に直接流れ込む他に、内壁を構成する剛性部材の表面と被処理物との間に通気路が形成されて、該小孔から空気が該通気路を流れ壁面に沿って拡散されていることが推察され、このような流れは、小孔を有する部材が剛性であること、特に、発酵槽が直方体形状の場合には、小孔を有する部材が剛性でかつ平面であることによってもたらされるものと考えられる。
被処理物に達した空気は、前記隙間に入り込んで発酵に作用して、その発酵熱によって発生する上昇気流による吸引力が、再び、開口部から空気の流入、小孔からの空気の流出および小孔から流出された空気のその後の上記流れを誘導するようなサイクルの形成に寄与しているものと考えられる。
本発明の発酵槽においては、上記例(2)のように、2つの該側壁部の間に、2枚の平面部材からなる剛性の隔壁部を設ける場合にも、その小孔から排出される空気の被処理物への流れ方は、側壁部の場合と同様であり、被処理物全体に空気が行き渡らせているものと考えられる。
また、本発明においては、該二重構造体は、該空間部によって高い保温性を確保できるものであるために、発酵槽内の被処理物の温度を高温に維持して発酵を促進させる効果をもたらすものと考えられる。
本発明においては、該二重構造体を構成する部材として、保温性を確保するために、断熱性のものに限らず、後述のように、ステンレスとか鉄のような熱伝導性の高いものでも使用することができる。
熱伝導性の高いものでも使用できる理由は、本発明の発酵槽自体が実質密閉構造であるために全体として保温性の高いものである上に、高温の発酵熱を発生するため、被処理物に直接接し該二重構造体を構成する熱伝導性の高い壁部材が該発酵熱によって加熱されて、その熱が該壁部材の空間部側に伝わって空間部の空気を加熱するために、たとえ、側壁部を構成する外壁が熱伝導性の高い部材で形成されて、外気温に影響を受ける可能性のある場合においても、保温性が確保されるものと考えられる。
壁部材として断熱性のものを使用する場合には、それ自体で保温効果をもたらすことは言うまでもないことである。
熱伝導性の高い壁部材を使用する場合に、空間部側に伝わった熱によって、外部から流入する空気が空間部内で加熱されるために、その加熱空気が小孔から発酵槽内に流入して発酵の促進効果を高める効果をもたらし、さらに、空間部内で空気の対流が形成されて、この対流が小孔から発酵槽内へ空気の流出状態に影響をもたらして、発酵槽全体に空気を行き渡らせる要因になっていることも推察される。
先述のような隔壁部を設けた場合には、側壁部の場合に比べて、特に、発酵が早く進んで本発明の所期の効果をより一層高めることができるが、その理由は、該隔壁部が2枚の平面部材によって構成され、かつ該2枚の平面部材が直接被処理物と接触していることに起因し、2枚の平面部材が熱伝導性の高いものである場合には、空間部内の空気が一層高温となりやすいためであると考えられる。
本発明の該発酵処理装置は、牛、馬、豚、鶏を含むあらゆる蓄糞尿、生ゴミ、残飯あるいは汚物等の有機廃棄物ばかりでなく、発酵菌の作用で発酵するようなあらゆる有機物を被処理物として、発酵処理に用いることができる。
該被処理物には、蓄糞尿のようにそれ自体に発酵菌を含むものと、生ゴミ等の発酵菌を含まない、含まれていても蓄糞尿ほど多くないものとがあり、前者の場合には必要に応じて発酵菌を添加するが、後者の場合には被処理物の種類に応じて選択される発酵菌を添加して発酵を行なうのが一般的である。
本発明において用いられる該発酵菌としては、特に限定的ではなく市販品が使用可能であるが、例えば、BIO−SYSTEMS CORPORATION製の「B800(製品名)」を使用することができる。
発酵槽に投入する前の被処理物には、蓄糞尿、生ゴミ等のように、通常、多量の水分が含まれており、また、投入後発酵中には酸化分解によって水が生成され、好気性発酵においては、処理対象物が発酵菌の作用で発酵反応可能な適量の水分が含まれることが必要であるものの、水分量が多過ぎても少な過ぎても発酵は満足なものとはならず、先述したとおり、水分の調整が重要な要素となる。
本発明の発酵処理方法においては、発酵槽に投入する被処理物として、放置してあるいは乾燥装置などによって乾燥するか、水分調整材を混合する等して、含水量を予め所定値に可能な限り精確に調整処理したものを用いることが必要であり、本発明の所期の効果を得るためには、含水率として55〜70%が好ましく、特に60〜65%が好ましい。
水分調整は、水分調整材を混合して行なう場合には、例えば、その混合後の被処理物の所定含水率を設定した上で、別途測定した被処理物と水分調整材の含水率の値から、予定する被処理物の処理量(重量)に対する水分調整材の混合量(重量)を算出し、また、作業都合上容積値が必要な場合には、両者の見かけ比重を測定した上で投入容積値を算出した後、被処理物と水分調整材とをパワーシャベル等で混合して行なわれる。
また、該水分調整材として、前述のように、被処理物と混合して隙間を形成可能とするような、大きさ及び粒状のような形状のものが好ましく、また、発酵を妨げないものであることが必要であり、また被処理物と共に発酵するものであることが好ましく、例えば、おが屑、籾殻、乾燥おから等を用いることができ、被処理物が生ゴミ、残飯のような発酵後に飼料の生成を目的とする場合には、乾燥おから等を用いることが好ましい。
しかしながら、発酵後の被処理物を肥料として用いる場合には、パーライト、乾燥土等のような被処理物と共に発酵しないものも用いることができる。
水分の含水量が予め調整された被処理物を、本発明の該発酵処理装置の発酵槽に投入すると、気温とか湿度のような環境条件によって多少影響を受けるものの、遅くとも1乃至2時間程経つと発酵が開始して昇熱し、次第に当初水分が蒸発して2〜6%程度減じるが、発酵が進み酸化分解によって生成される水によって、当初の含水率を回復し維持できるものと考えられる。
換言すれば、先述のように、本発明の該発酵処理装置においては、空気の流入を攪拌方式のように過度に行なうのではなく自然流入方式であるために、発酵に伴う臭気が極めて少ないばかりでなく、適量の空気が徐々にかつ全体に供給されて、むしろ発酵が早く進んで確実に60〜73℃程度の最高温度に達して、この発酵熱がバランス良く水の生成と水の蒸発とを行わせて、適度な含水量に調整されるものと考えられる。最高温度に達するまでに要する時間は、環境の温度と湿度等の条件によって多少左右されるものの、24〜35時間程度と極めて早いものである。
本発明の発酵槽を用いて発生する発酵熱の最高温度は、被処理物の種類によって異なり、例えば、牛糞であれば62〜66℃程度、時には70℃に達し、鶏糞であれば66〜73℃程度、生ゴミであれば65〜68℃程度になることが多い。
このように、本発明の該発酵槽を用いた発酵処理方法においては、発酵中、適量の空気の供給が継続して行なわれ水分量が適度にほぼ一定に維持できることが、従来方式と明確に相違するところであり、そのために、従来の攪拌方式よりむしろ発酵が早く進みやすく、発酵槽内の温度は発酵後最終的に60〜73℃程度の高温まで上昇し続けるため、投入されたほぼ全ての被処理物は、24〜35時間程度放置しておきさえすれば、一次発酵がほぼ完了し、本発明においては、投入され発酵させたすべての被処理物を発酵槽から取出して、肥料あるいは飼料として使用することができる。
投入後一次発酵が完了したら、取出して一次発酵物として肥料あるいは飼料として使用しても良いし、取出して放置しあるいは放置と攪拌を行なえば、一旦温度が下がるが発酵が再開されて前記の高温前後まで温度上昇し、発酵が終了近くになると温度は低下して、最終的に完熟発酵物とすることができる。
取出した一次発酵物を該完熟発酵物にするには、約60日間程度かけることが好ましく、本発明においては、取り出された1次発酵物が約60日間程度で該完熟発酵物にできることは1つの利点である。
すなわち、従来の攪拌方式では3ヶ月程度かかっていたのに対して、本発明の発酵槽を用いた場合には、2ヶ月程度であり、時間を大幅に短縮することができる。
しかしながら、発酵槽から一次発酵物を取出さないでそのままにしておくと、発酵槽内の前記の高温が維持されているために、発酵槽から取出す場合に比べて、発酵の進み方が早く15〜20日程度の短期間で完熟発酵物を得ることができる。
また、一次発酵後、発酵槽に一部の発酵物を残し、水分調整された新たな被処理物を追加して、同様に発酵処理を行なうことも可能である。
さらに、このように発酵中に得られ、しかも継続して維持される「高温」は従来方式では得られないものであるが、この「高温」によって、被処理物中に存在する雑菌とか雑草の種等を死滅させる効果をもたらすので、得られた発酵物は肥料あるいは飼料として極めて有効であり、従来の攪拌方式には得ることができない利点である。
次に、本発明の発酵処理装置について説明する。
本発明の発酵処理装置は、その発酵槽が底部、側壁部、天上部から少なくとも構成され、必要に応じて後述するような隔壁部が設けられ、さらに、外部空気が自然流入するための開口部を有し、該発酵槽を構成する壁部の少なくとも一部に、小孔を有する剛性部材が使用された空間部を有する二重構造体を用いたことを特徴とし、発酵時に実質密閉構造を形成するものであり、また、該発酵槽を架台に固定したものも該発酵処理装置に包含されるものとする。
本発明における発酵槽は、壁部の少なくとも一部がこのような二重構造体から構成され、かつ発酵時に実質密閉構造を形成するものであり、発酵熱によって、発酵ガスの排出と水分の蒸発に伴い発生する上昇気流の吸引力が、外気を該開口部から自然流入し該小孔から流出し発酵槽内部全体に行き渡らせて、該二重構造体が持つ保温性と相俟って、該被処理物の一次醗酵を促進させ、しかも、投入する被処理物の水分量を適正に調整しておきさえすれば、発酵作業を繰り返し行なっても発酵状態にバラツキのない均質なものを得ることを可能とするので、発酵槽の形状は特に限定されず、例えば、円筒体形状でも直方体形状でも良い。
また、該発酵槽には、発酵後の被処置物を取り出すための口(取り出し口と言う)、発酵前の被処置物を投入するための投入口および炭酸ガス等のような発酵によって発生するガス(発酵ガスと言う)を排気するための排気口が設けられ、例えば、該取り出し口と該投入口とを兼ねるような構成とすることもできるが、いずれにしてもそれらを設ける箇所は任意であり、該取り出し口は該側壁部に、該投入口と該排気口は該天井部にそれぞれ設けることにすると、その機能を発揮させかつ取扱いやすさの面から好ましい。
先ず、側壁部が該二重構造体でかつ直方体形状の発酵槽ついて説明する。
直方体形状の発酵槽を構成する4つの側壁部は、間に空間部が形成されるように固定された外壁と内壁からなり、該外壁と該内壁とはいずれも剛性平面部材から構成され、両者の端辺部間がメクラ板で接合固定された実質的に密閉構造である。
4つの側壁部うちの1つを構成する外壁には、外気(空気)を流入させる開口部が設けられ、また、4つの側壁部を構成する各内壁は小孔が設けられた剛性平面部材から形成される。
後述の隔壁部を設けない発酵槽の場合に、側壁部を構成する内壁に設ける小孔を外壁には設けない理由は、例えば、特に外壁に複数の小孔を設けた場合には、該小孔を通して直接発酵熱が逃げて内部の温度を下げてしまい、また、前記上昇気流による吸引力によって、空気を流入させ発酵槽全体に行き渡らせる効果を低下させてしまうからである。
図1は、本発明の発酵処理装置の一例としての、直方体形状の外観図であり、発酵槽(1)が架台(2)上に設置された状態の該発酵処理装置を示したものである。
該発酵槽(1)は、3つの側壁部(3)、取り出し口となる2枚の扉(4)、底部(5)及び天上部(6)から構成されており、図示されていないが、3つの側壁部は、間に空間部が形成された外壁と内壁とからなっている。
該天上部(6)には2つの排気口(7)が設けられ、該天上部(6)は側壁部(3)の上端部で蝶番(8)によって開閉可能となるように固定され、また、該扉(4)は側壁部(3)の側端部で蝶番(9)によって開閉可能に固定されかつ開閉用の取っ手(10)が設けられている。
また、図示されていないが、側壁部該扉(4)に対面する側壁部には外気流入用の開口部は設けられ、さらに、該架台(2)は移動可能なように車輪(11)が設けられたものである。
この側壁部の外壁と内壁を構成する平面部材の材質としては、特に限定されるものではないが、剛性の板状のもの、例えば、ステンレス、鉄などの金属製のもの、ベニヤ板、合板などの木材が用いられた板(木材板と言う)、FRPのような合成樹脂板などを使用することができる。
このように、側壁部の外壁と内壁を構成する平面部材として、保温性を確保するために、少なくとも内壁用部材としては、断熱性のものに限らず、熱伝導性の高いものでも使用することができる。
その理由は、先述のように、本発明の発酵槽が、主として外壁と内壁をの間に形成される空間部の作用によって、全体として保温性の高いものである上に、高温の発酵熱を発生するため、被処理物に接し該二重構造体を構成する壁部材が熱伝導性の高いものであれば該発酵熱によって加熱されて、その熱が該壁部材の空間部側に伝わって空間部内の空気が加熱されるために、外壁用部材がたとえ熱伝導性の高いものであっても保温性が確保され、一方、壁部材として断熱性のものを使用する場合には、それ自体で保温効果をもたらすことができる。
熱伝導性の高い部材については、必要に応じて、表面にあるいは空間部に接する面に断熱性塗料を塗布したり断熱材を貼り付けるなどして、断熱性を高めたものを用いることができる。
また、被処理物が接触する内壁には非腐食性の材料を使用すること好ましく、例えば、ステンレス、表面に耐腐食性処理が施された木材板のようなものを用いることができる。
また、外壁と内壁を構成する平面部材としては、当初から1枚に成型されたものに限ることなく、複数枚を結合させあるいは繋ぎ合わせて1枚にしたものを用いることもできる。
平面部材の厚さは、特に限定されるものではないが、発酵槽の強度を確保するために、外壁の方が内壁よりも厚いものを使用することが好ましい。
外壁用部材の厚さとしては、金属のような熱伝導性の高い部材を用いる場合には、強度および重量を考量して、2.5〜3.5mm程度のものが好ましく、また、木材板のような熱伝導性の低い部材の場合には、10〜30mm程度のものが好ましい。
また、内壁用の平面部材の厚さについては、熱伝導性の高い部材の場合には、発酵熱を空間部側に伝える熱伝導性と強度および重量を考量して、0.8〜2.0mm程度のものを使用することが好ましく、また、木材板のような熱伝導性の低い部材の場合には、被処理物の保温効果を高めるために、10〜30mm程度のものが好ましい。
また、側壁部を構成する内壁と外壁との2枚の平面材料の間隔は、特に限定されるものではないが、発酵に必要な空気が流れるための空間部として35〜60mm程度であることが好ましく、特に40〜50mm程度であることが好ましい。
側壁部の内壁を構成する平面部材に設けられる小孔の径は、被処理物が小孔から空間部に入り込まないような大きさでありさえすれば、特に限定されるものではなく、平面部材の厚さと水分調整材との混合状態をも考量して決めることが好ましい。
例えば、金属性の場合には、2.5〜3.5mm程度が好ましく、特に2.8〜3.2mm程度であることが好ましく、また、木材の場合には、5.0〜12mm程度であることが好ましい。
また、該小孔の数は、特に限定されるものではなく、発酵槽の容量、投入可能な被処理物量及びそれに伴い必要な空気量を考量して決めることが好ましい。
例えば、金属性の場合には、全面に複数個分散し設けられたものを用いることができ、小孔中心間距離(ピッチ)が均一になるように設けられているものが好ましく使用でき、ピッチが好ましくは3〜9mm、より好ましくは4〜7mmになるような数の小孔が全面に設けられたものを用いることができる。
さらに、底部近く存在する被処理物の発酵を促すことを考慮して、場合によっては、内壁を構成する該平面部材の小孔は、底部に近づくに従がって該小孔の数が多くなるように存在勾配が設けられたもの、あるいは主として底部に近くのみに存在させたものを用いることができる。
逆に、被処理物は底部近くになるほど重力がかかるために、小孔に被処理物が入り込みやすくなるので、このような存在勾配を設ける場合には、その数と大きさを調整することが必要である。
また、本発明のおける「小孔」には、上記のような径の小孔が直接設けられた平面部材の代わりに、あるいは併用して、例えば、四角形あるいは円形の開口部を適当箇所に設け、それをメッシュ材、金網等で覆ったものも包含される。
従がって、底部近く存在する被処理物の発酵を促すために上記のやり方には、このメッシュ材、金網等で覆ったものも適用可能である。
本発明における発酵槽の大きさについては、以下に示す条件のものが、流入する空気を発酵に十分かつ効果的に活かすために有効である。
この条件は、側壁部のみを有するものに限らず、隔壁部が設けられ直方体形状の発酵槽、さらに例えば円形体のような、他の型の発酵槽についても当て嵌まるものである。
先ず、側壁部の高さについて言えば、1420mm以下であることが好ましく、特に1200mm〜1350mm程度であることが好ましい。
本発明者等の検証によると、発酵槽に投入する被処理物の量が多過ぎると、その重量によって、発酵槽の底部に近くなるほど、被処理物の前記隙間が潰れて少なくなり空気が入り込みにくくなって発酵が不十分となり、投入した被処理物の底部面からの高さの平均値が1750mm以上になると、繰り返し行なう発酵作業では、その都度被処理物の中に発酵部分と未発酵部分が必ず生成され、1500mm前後では、未発酵部分が生成される場合と生成されない場合とがあり、1420mm以下になると、未発酵部分はほとんど生成されず、被処理物の種類の如何に拘わらず、蓄糞尿でも生ゴミでも同じ傾向があることが確認された。
従がって、側壁部の高さについての上記の好ましい条件は、この検証結果に基づき、発酵状態が好ましい結果をもたらしている、投入した被処理物の底部面からの高さによって設定されたものである。
この場合、側壁部の小孔は、発酵槽が満杯になるように投入された被処理物によってほぼ全ての小孔が覆われるように設けられることが好ましい。
一方、側壁部の高さの下限については、発酵槽内での被処理物の底部からの高さがあまりなく薄いと、発酵しにくく発酵してもその温度を維持しにくくなるために、500mm程度あることが好ましい。
さらに別な条件として、直方体形状の発酵槽の場合について言えば、取り出し口が設けられる側壁部に直交し対面する2つの側壁部の奥行きの寸法は、特に限定的ではなく、任意であるが、一方、2つの側壁部の間隔は、後述の隔壁部を設けない発酵槽の場合には、内壁の小孔から流出される空気を被処理物内に浸透して有効に発酵に作用させるには、投入された被処理物の横方向の全体の厚みとの関係から、420mm以下であることが好ましく、特に400mm以下であることが好ましい。
一方、2つの側壁部の間隔に下限は特にないが、あまり薄くなると、発酵しにくく発酵してもその温度を維持しにくくなるために、300mm程度あることが好ましい。
この2つの側壁部の間隔の「420mm以下であることが好ましい」条件は、円筒体の発酵槽の場合の直径についても当て嵌まることである。
2つの側壁部の間隔あるいは円筒体の直径が、小さなサイズの発酵槽は小型で、例えば、家庭用の発酵処理装置として有効なものである。
しかしながら、例えば、多量の蓄糞尿を扱う酪農家の場合には、このような小型の発酵処理装置では不十分である。
そのために本発明においては、側壁部が該二重構造体を用いられた発酵槽に限らず、取り出し口が設けられる側壁部に直交し対面する2つの側壁部の間に、隔壁部を少なくとも1つ設けて、容量のより大きな発酵槽とすることができる。
これらの各隔壁部は、2枚の小孔を有する平面部材を間に空間部が形成されるように、両者の端辺部間がメクラ板で接合固定された実質的に密閉構造の二重構造体であり、該隔壁部用構造体の端面部を、取りだし口が設けられた側壁部面にほぼ直行にかつ底部にほぼ垂直に接合固定し、かつ該側壁部の空間部と連通するように接合固定されたものである。
この隔壁部は、より大きな容量の発酵槽を作製できる利点ばかりでなく、隔壁部を構成する2枚の平面部材が双方共に発酵した被処理物の高温を受けて、特に、双方が熱伝導性の部材を用いる場合には、部材の空間部側に熱が伝わりやすいために、空間部内の空気が両面から加熱されて昇温しやすく、片面から加熱される側壁部に比べて、発酵を一層促進させる効果をもたらすものである。
一方、2枚の平面部材として断熱性の部材を用いる場合には、それ自体保温性が高いために、被処理物の高温を維持し発酵促進効果をもたらすことができる。
隔壁部を構成する2枚の剛性平面部材の間隔は、特に限定されるものではないが、発酵に必要な空気が流れるための空間部が形成されるように、50〜90mmであることが好ましく、特に60〜80mmであることが好ましい。
また、該隔壁部用の小孔を有する平面部材としては、上述のような、側壁部の内壁を構成する部材と同じ材質及び条件のものを用いることができ、目的に応じて熱伝導率の異なる部材を適宜選択することが好ましい。
該隔壁部は、その空間部を底部の空間部と連通するように接合固定すると、空気を発酵槽全体に行き渡らせるのに効果的である。
また該隔壁部は、被処理物の容積に応じてその数を増加させることができるが、少なくとも1つ設けられ、また、底部の面積がほぼ均等に分割されるように設けることが好ましい。
さらに、該隔壁部と該側壁部との間隔(図2ではaと表示)、および該隔壁部を2つ以上設ける場合には、2つの該隔壁部の間隔(図2ではbと表示)として、小孔から流出される空気を、被処理物内に浸透して有効に発酵に作用させることができさえすれば、特に限定されないが、被処理物トータルの横方向の厚さとの関係から、420mm以下であることが好ましく、特に400mm以下であることが好ましい。
一方、該隔壁部と該側壁部との間隔(a)、および2つの該隔壁部の間隔(b)に下限は特にないが、あまり薄くなると、発酵しにくく発酵してもその温度を維持しにくくなるために、300mm程度あることが好ましい。
また、該隔壁部の高さは該側壁部の高さより低くしておくと、該隔壁部の上部末端部より上に位置する被処理物部分が、該隔壁部で離間されずに空気と熱とを連通させることになるため、むらのない発酵を促進するのに有効である。
この場合、特に限定されるものではないが、該隔壁部の高さと側壁部の高さとの差(図3ではhと表示)として、少なくとも250mm、特に少なくとも150mm低いことが好ましい。
次に発酵槽を構成する底部について説明する。
該底部にも2枚の平面部材からなる二重構造体と1枚の平面部材からなる一重構造体がある。
二重構造体からなる底部は、2枚の平面部材が両者の間に空間部が形成されるように、両者の端辺部間がメクラ板で接合固定された実質的に密閉構造であり、二重構造体の側壁部及び隔壁部と、両者の該空間部内の空気が連通するように固定される構成であることが好ましく、また、2枚の平面部材の間隔は、60mm〜100mm程度が好ましい。
二重構造体の底部を構成する材料としては、二重構造体の側壁部を構成するものと同じものが用いられ、被処理物が接触する内側の面には、ステンレス、防腐処理した木材板のような非腐食性の材料が好ましく用いられ、また、その厚さについては、補強材を用いることを前提にすると、熱伝導性の高いものの場合には、1.8〜2.3mm程度のものを、断熱性の高いものについては10〜35mm程度のものを使用することが好ましい。
また、底部の外側を構成する部材には、ステンレスの他にプラスチック、鉄、FRP、木材板などの材料が好ましく用いられ、熱伝導性の高いものの場合には、厚さ2.5〜3.5mm程度のものを使用することが好ましく、また、断熱性の高いものについては10〜35mm程度のものを使用することが好ましい。
一重構造体の底部は、1枚の平面部材からなり、保温性あるいは断熱性の高い材料を用いることが好ましく、特に木材板を用いる場合には、防腐処理したものを用いることが特に好ましい。
また、底部が二重構造体か一重構造体の如何に拘わらず、被処理物と接触する面は小孔を設けないものである方が、被処理物は小孔が入り込むことがないために、発酵後の被処理物の取り出しやすいために好ましい。
また、底部は一部又は全部を取り出し口に向けて傾斜させた構成にすると、発酵後の被処理物を取り出しやすくなるために好ましく、特に20〜30°の傾斜を持たせることが実用的で好ましい。
なお、該底部を構成する平面材料とは、単独に1枚のものに限らず、複数のものを結合させて1枚にしたものを用いることができる。
発酵槽の側壁部に設けられる空気流入用の開口部について説明すると、その大きさは発酵槽の容量に応じて選択され、また、発酵槽を構成する壁部に用いられる全ての平面部材の小孔の総面積より多少大きい方が流入する空気量の関係で好ましく、さらに、複数設けても良い。
また、該開口部には空気量調整機構を設けることができ、例えば、側壁部の該開口部を覆うように立体形状体を装着し、該立体形状体の中に該開口部の大きさを調整するための上下稼働性の空気量調整板を設けられ、立体形状体と空気量調整板によって該空気量調整機構を構成させることができる。
さらに、該開口部には流入させる空気の温度を調整する機構を設けることができ、例えば、冷寒期あるいは冷寒地においては、加熱装置あるい蝋燭等のような加熱手段を用い、さらに、発酵槽の規模が大きい場合のような、必要に応じて送風機等の送風手段を組み合わせて用いて、短時間に発酵温度に達しあるいはその温度を維持し、逆に、必要に応じて冷却手段を装着させることもできる。
また、先に、側壁部の高さとして1420mm以下が好ましい旨述べたが、この条件に反してこれ以上の高さのもので容量が大きく多量の被処理物を投入可能な発酵槽とする場合には、その高さはせいぜい1800mmまでとして、例えば、厚さが4〜10mmで幅が50〜100mm程度の板状部材、例えばL字鋼を、側壁部及び/又は隔壁部上に底部に平行になるように固定し設けると、底部近くの被処理物に隙間が形成されて、被処理物に空気が流れやすくなって、良好な発酵状態をもたらすのに効果的である。
図2は、該隔壁部が3つ設けられた本発明の発酵槽の一例を示す模式図であり、図1における天井部と取り出し部分を除外し内部が示された発酵槽(1)が架台(2)上に設置されたものである。
図2中、(20−1)、(20−2)及び(20−3)が3つの側壁部を、(5)が底部を示し、(21−1)、(21−2)及び(21−3)が3つの隔壁部を示し、また、側壁部と隔壁部を構成し被処理物に接する平面部材全面に多数の小孔(35)が設けられていることを示している。
図3−1は、図2中に表示されたA−A線の断面図であり、図3−2は、図2中に表示されたB−B線の断面図である。
図3−1において、側壁部(20−1)及び(20−3)が、間に空間部(25)が形成された外壁(23)と内壁(24)とからなるものであり、図3−2によると、側壁部(20−2)も同じ構成であることがわかる。
また、図3−1では、底部(5)が2枚の平面部材(26)(27)で構成され、2枚の該平面部材の間が空間部(28)形成されるように補強材(29)を介して固定されていることが示されている。
また、図3−1及び図3−2においては、3つの隔壁部(21−1)、(21−2)及び(21−3)が示されており、それぞれの隔壁部は2枚の平面部材(30)(31)で構成され、2枚の該平面部材の間には空間部(32)が形成されていることが示されている。
また、それぞれの隔壁部は、図3−1においては通気穴(33)が設けられた側壁部(20−2)に、図3−2においては通気穴(34)が設けられた底部(5)の平面部材(26)に固定されていることが示されている。
さらに、図4は、図2、図3−1及び図3−2に示される3つの隔壁部を固定する前の状態を示すものであり、平面部材全面に多数の小孔(35)が設けられていることが示している。
また、図5は、図4の隔壁部(21−2)の外壁部後方からの外観図であり、隔壁部(21−2)の外壁には所定の大きさの2つの開口部(36)が設けられ、該開口部が空気量調整板(37)を装着した箱形状構造体(38)で覆われ溶接固定した状態を示している。
本発明の発酵槽においては、このように保温性の高い二重構造体によって該隔壁部を構成する場合には、側壁部も同様に二重構造体で構成することが無論有効であるが、隔壁部が二重構造体で、側壁部を二重構造ではなく一重構造(1枚の平面部材)の構成にしても、本発明の効果を得ることが可能である。
先述したように、隔壁部を設けない発酵槽の場合には、側壁部を二重構造であって内壁に小孔を設けたものであることが必要であり、そうでないと、該小孔を通して直接発酵熱が逃げて内部の温度を下げてしまって、十分に発酵が進まない問題がある。
しかしながら、保温性が極めて高い二重構造体の隔壁部を設ける場合には、このような問題を解消し補填することが可能であり、例えば、側壁部を小孔を有する木材板からなる一重構造とし、隔壁部を小孔を有する2枚の木材板からなる二重構造とした発酵槽は、本発明の効果を得ることができる。
この場合、側壁部を構成する木材板は、隔壁部を構成する木材板より厚いものである方が保温性の面で好ましく、両者の木材板の厚さとして10〜35mm程度の範囲で選択することが好ましい。
無論、側壁部も隔壁部も2枚の木材板からなる発酵槽の場合には、隔壁部が2枚の木材板からなり側壁部が1枚の木材板からなる発酵槽の場合よりも、保温性が高く発酵により効果的である。
なお、、側壁部を一重構造とし隔壁部を二重構造とする場合には、側壁部の設ける開口部から流入する空気が隔壁部を構成する空間部に直接流れるような機構とすることができる。
前述のように、前記取り出し口を4つの側壁部のうちの1つに設ける場合について説明する。
側壁部の1つに設けられる取りだし口は、発酵後の被処置物を簡易に取りだし可能とするために、該側壁部全面を使用することが好ましく、また、閉じた状態で密閉されることが必要である。
さらに、側壁部全面を使用する場合、図1の(4)に示されるように、ほぼ真中で左右に開閉可能な2枚の扉とすることが、取扱やすさの面で好ましい。
また、この扉についても、側壁部と同様に、二重構造と一重構造の両者の場合が可能であり、前者の場合には、間に空間部が形成された外壁と内壁からなり、両者の端辺部間がメクラ板で接合固定された実質的に密閉構造であり、その外壁下部に空気取り入れ用の開口部を設けて、流入する空気を空間部を通って内壁の小孔から発酵槽内に排出されるようにすることが好ましく、一方後者の一重構造の場合には、小孔を有する平面部材、特に木材板を用いることが好ましい。
この場合の扉を構成する部材の材質及びその他の条件については、側壁部について記載した前記内容と同じである。
取りだし口は、開口部から流入する空気がなるべく側壁部と隔壁部の空間部全体に行き渡るためには、図1に示されるように、該開口部が設けられた該側壁部に対面する位置に設けることが好ましいが、限定されるわけではない。
また、取りだし口を構成する扉は、閉じた際に発酵槽が密閉状態になるように、密閉手段を施すことが好ましい。
発酵槽を構成する天井部について説明する。
通常、発酵槽内の被処理物を、多くても側壁部の高さ程度まで投入することが好ましいが、被処理物が発酵するとかなりの量のガスとか水蒸気が発生するが、そのガス等が排気口に至るまでの空間を必要とするので、天上部はこの空間が確保されるように設けられる。
本発明の発酵槽においては、発生する多量のガス等が留まって内部圧を高めて不所望の好ましくない結果をもたらさずに、スムースに排気口から排気して、外気を自然流入させる吸引力となる適度な上昇気流を形成するためには、該空間を形成する天上部の高さは重要な要素であり、側壁部の上端部と天上部の最上部との高さの差は特に限定的でないが、100〜200mmが好ましく、特に135〜165mmがより好ましい。
該天上部は、このような空間を形成するものであれば特に限定的でなく、例えば、図1の(6)に示されるような立体形状のものでも良い。
該天上部を構成する部材の材質としては、耐錆性、耐腐食性のものが好ましく、例えば、側壁部の外壁を構成する材料を用いることもできる。
発酵槽を構成する天井部は、その形状の一例として図1の(6)に示されるような、4つの側壁部の各上端辺に対して所定角度を持たせた4つの傾斜面と、この各傾斜面に繋がる長方形平面が設けられ、該傾斜面と該長方形平面は平板部材で形成されたものである。
該天上部は、発酵槽の大きさ応じて、平板部材を一枚のまま、あるいは大きさに応じて分割されたものでも良く、側壁部の上端部に開閉可能に固定し、図1の(6)に示されるように4つに分割し蝶番(8)によって固定したもので良く、開閉可能な被処理物の投入口として使用され、かつ発酵ガス等の排出口が設けられる。
また、該天上部の保温性を高めるために、保温性を施した部材あるいは二重構造にすることもでき、その場合には密閉構造とすることが好ましい。
発酵槽の該天上部に設けられる発酵ガス用の排気口は、発酵ガスの排出に伴って発生する上昇気流による吸引力が、外気を流入させ発酵槽内の全体に行き渡らせる機能を高めるために重要であり、排気口が高さ200mm以下及び直径100mm以下の筒状体(煙突状)であるものであることが好ましく、また、天井部の中央部に設けられることが好ましく、その数は限定的でなく発酵槽の容量に応じて適宜選択可能である。
図1の場合には、4つに分割された立体形状の天上部のうち、対角線状に位置する2つに、それぞれ筒状排気口(7)が設けられている。
また、発酵作業中に発酵槽内の温度を測定して、被処理物の発酵進捗状態を確認するために、被処理物内に挿入する温度計の取り付け口を該天上部に設けることもできる。
さらに、該排気口には脱臭機を、直接あるいはフレキシブルな管で繋げて設けることができる。
以上、本発明の発酵槽を構成する各部分の条件について説明したが、次に、これらの各構成部分を組みたてて発酵槽を作製するやり方について説明する。
この場合、可能な限り発酵槽が少なくとも発酵時に可能な限り密閉状態となるように、組み立て作製することが重要である。
以下に、直方体形状の発酵槽を例に取って、作製する方法を説明するが、ここに記載する方法及びそれに用いる組立て用各種部材に限定されるわけではなく、公知のものが適宜選択使用可能である。
いずれの場合にも、側壁部の内壁と外壁を構成する平面部材とは、その間に空間部が形成されるようにほぼ平行に、かつ密閉されるように端辺部で固定される。
先ず、隔壁部を有しない発酵槽の組立て方法について、2つの方法を例に挙げてその概略を説明する。
第一の方法は、各側壁部を構成する3つの外壁と底部とを一体化してなる外側箱体と、3つの内壁のみを一体化してなる内側箱体とを準備し、該外側箱体の中に該内側箱体を、外壁と内壁間に所定の該空間部が形成されるように設置固定し、その後取り出し口を設置固定するやり方である。
第二の方法は、間に空間部が形成され内壁と外壁とが固定された3つの側壁部用構造体と、間に空間部が形成されるように2枚の平面部材が固定されてなる底部用構造体を準備し、これらの該構造体を接合固定し、その後取り出し口を設置固定するやり方である。
次に、第三の方法として、側壁部と隔壁部を有する発酵槽の組立て方法について、その一例を記載する。
該第三の方法は、発酵槽を構成する各部材が固定可能とする発酵槽の外枠(フレーム)を予め準備し、該外枠に、底部用平面部材を固定した後に内壁用平面部材と外壁用平部材を順次固定して3つの側壁部を形成し、次に、底部用と内壁用のそれぞれの平面部材に予め形成された溝に、側壁部用の2枚の平面部材を勘合固定して隔壁部を形成するやり方である。
この第三の方法は、外枠として好ましくは鉄骨材が使用され、特に、各平面部材として木材板を用いる場合に、例えば、部材が腐食した際に容易に交換することができるために有用であり、しかも、低価格でかつ軽量であるため取扱い性が優れたものである。
図2の隔壁部を有する発酵槽を前記第一の方法によって組立てることについて、その一例を図6−1、図6−2及び図6−3を用いて説明する。
先ず、3つの側壁部(20−1)、(20−2)及び(20−3)を構成する3つの外壁(23)が一体となって繋がった所定の大きさのもの(外側箱体)を予め作製し、また、これら3つの側壁部を構成する3つの内壁(24)が一体となって繋がった所定の大きさのもの(内側箱体)を予め作製しておく。それぞれの一体物の2箇所の角部分は当然ほぼ直角であるが、多少の弧が形成されるようにものでも構わない。
また、2枚の平面剛性部材からなり空間部を有する底部用二重構造体(5)を準備する。該底部用二重構造体(5)は、図示していないが、2枚の平面剛性部材がリップ溝型柱型補強材を介してボルトで固定し作製され、2枚の平面剛性部材のその周辺の間隙がメクラ板(40)を溶接固定して密閉構造とし、内側平面部材には下記隔壁部材用二重構造体と通気させるための穴が設けられたものである。
同様にして、隔壁部用の3つの二重構造体(21−1)、(21−2)及び(21−3)として、2枚の平面剛性部材からなり空間部を有し、2枚の平面剛性部材がリップ溝型柱型補強材(39)を介してボルトで固定し作製され、2枚の平面剛性部材の天上部側と取り出し口側に面する周辺の間隙がメクラ板(40)を溶接固定して密閉構造としたものを準備する。
次に、図6−2のように、外側箱体の外壁(23)が前記底部用二重構造体(5)を囲むようにして溶接固定する。
その後に、図6−1のように、該外壁と内側箱体の内壁とを、所定の間隔を空けて、その間に所定本数のリップ溝型柱型補強材(39)を設置し、該補強材に該外壁と内壁とをボルトで固定し、また、図6−2のように、内壁用平面部材(24)と底部を構成する内側平面部材(26)とが接する角部分を留め付け部材(41)で固定し、さらにする。
次に、予め準備した前記の3つの隔壁部用の二重構造体(21−1)、(21−2)及び(21−3)を、側壁部と底部の所定位置に固定する。この固定は、図6−3のように、隔壁部用二重構造体と、側壁部及び底部のそれぞれを構成する内側平面部材とが接する角部分を留め付け部材(41)で固定する。
その後、図1のように、取り出し口となる前記の2つの扉(4)を側壁部の側端部に蝶番(9)で固定し、また、天上部に開閉可能な投入口(6)となる立体形状体4つを側壁部の上端部に蝶番(8)で固定する。
上記の各リップ溝型柱型補強材としては、側壁部及び隔壁部の高さ、並びに底部の奥行きに合わせた長さを有し、長さ方向に複数の通気用の穴が設けられたものが用いられ、鋼鉄製、プラスチック製、木製など適宜選択使用可能である。
図7−1は、図2中に表示されたB−B線の断面図であり、図7−2は、同様にC−C線の断面図であり、図2に示される3つの隔壁部が設けられた発酵槽について、外部から流入する空気の発酵槽における流れを説明するためのものである。
図7−1においては、側壁部(20−2)に設けられた開口部(36)から流入する空気が発酵槽内に流れるルートとして、側壁部(20−2)の空間部(25)を通って、側壁部(20−2)の内壁に設けられた小孔から発酵槽内に流れるルートc、側壁部(20−2)から側壁部(20−1)及び(20−3)に設けられた小孔から発酵槽内に流れるルートd、側壁部(20−2)から隔壁部(21−1)、(21−2)及び(21−3)に設けられた小孔から発酵槽内に流れるルートeがあり、また、取り出し口となる扉(4)に設けられた開口部(43)から流入する空気が、空間部(42)を通って内壁()に設けられた小孔から発酵槽内に流れるルートfがある。
図7−2においては、側壁部(20−2)に設けられた開口部(36)から流入する空気が、側壁部(20−2)の空間部(25)から底部(5)の空間部(28)、次に隔壁部(21−2)の空間部(不図示)を通って小孔から発酵槽内に流れるルートgがあることが示されている。なお、該ルートgは必須とするものではない。
また、図7−2には、側壁部と隔壁部との高さの差によって空間部(Z)が形成されるが、該空間部(Z)に溜まる発酵ガス等が天上部(6)に設けられた排出口(7)がら排出される状態が示されている。
本発明においては、発酵処理装置として、発酵槽自体を単独で用いることができるが、該発酵槽を着脱可能とする該架台を用い、該発酵槽を架台に設置したものも包含される。
該架台は、図1の(2)に示されるような、該発酵槽の底部に合わせた形状で、かつ該発酵槽のずり落ち止め材(不図示)を設けたものが好ましく、また、それを構成する部材としては、該発酵槽を支持できるものであれば、特に限定されないが、例えば鉄骨材を用いることができる。
また、該架台には、該発酵槽を傾斜させるための機構(傾斜機構と言う)を設けることができ、該傾斜機構を稼働させて発酵槽を傾けて、取りだし口から発酵後の被処理物を取り出すのに有効である。
さらに、該傾斜機構には手動型あるいは電動型のジャッキ又はシリンダを設けて、転倒しやすい傾斜機構とすることができ、該ジャッキ又はシリンダとして油圧型、空気圧型、ネジ型等の公知のものが適用可能である。
また、該架台(2)には車輪(11)を設けて、該発酵処理装置を移動可能とすることができる。
さらに、該ジャッキ又はシリンダの動力として、該発酵処理装置の移動に牽引車を使用する場合、その牽引車から取ることもできる。
本発明の該発酵処理装置を用いて発酵処理を行なう場合には、被処理物が畜糞尿の場合には、含水量が調整された被処理物を予め準備しておいて、これを発酵槽内に投入して一次発酵させることが極めて効果的であり、重要である。
また、本発明の該発酵処理装置は、被処理物が生ゴミの場合には、含水量が調整され発酵菌が混合された被処理物を予め準備しておいて、同様に、該被処理物を発酵槽内に投入して一次発酵をさせることにすると、有効である。
該発酵菌を混合し生ゴミを発酵させて肥料を生成する場合には、必要に応じて畜糞尿を用いることもできる。
被処理物の含水量の調整は、水分調整材によって行なうのが好ましく、特に60〜65%程度に調整すると、一次発酵をより早く完了させることができるので好ましい。
また、本発明の発酵槽を用いた場合、被処理物を発酵槽に投入後24〜35時間放置しておけば、一次発酵が自然と完了して所望の一次発酵物を得ることができる。
この一次発酵の完了は、発酵によって生成される炭酸ガスの量を測定して、確認することができる。
また、本発明における一次発酵を、発酵槽に設けられた開口部の大きさを調製して、流入する空気量を調節できるような構成にすることも可能である。
また、本発明における一次発酵完了後に、発酵物を含む全ての被処理物を発酵槽から取出して、肥料あるいは飼料として用いることができる。
さらに、前述のように、取り出したものを直ぐに使用せずに、放置しあるいは放置と攪拌を行なって、完熟発酵物にして使用することもできる。該完熟発酵物は、約60日間程度で生成することができるが、その期間についてはその目的に応じて適宜選択することができる。
しかしながら、本発明においては、一次発酵完了時点に発酵槽内の温度が60〜72℃程度の高温に達しているので、一次発酵完了後被処理物を取出さないでそのまま発酵を継続させれば、この高温が維持されて約15〜20日間程度で完熟発酵物を生成することもできるので、完熟発酵物の生成時間の短縮に極めて有効である。
また、一次発酵後、発酵槽に一部の発酵物を残し、新たな処理対象物を追加して、同様に発酵処理を行なうことも可能である。
本発明の発酵処理装置及びそれを用いた発酵処理方法によると、同じ発酵槽を用いて繰り返し発酵作業を行なっても、一回毎に生成される一次発酵物同士を比較しても、その発酵状態にバラツキがほとんどなく、すなわち、例えば、酪農業者は水分調整した蓄糞尿を発酵槽に投入し放置しておきさえすれば、その後特に手をかける必要もなく、毎日繰り返し行なってもバラツキがほとんどない所望の同じ一次発酵物を確実に生成することができるため、日々発生する蓄糞尿の発酵処理を能率的効率的に行なうことができ酪農作業を安心して進めることができる。
この繰り返し行なわれる被処理物の発酵処理作業は、環境温度の程度によって被処理物の投入後発酵が開始するまでにかかる時間に多少変わりがあるものの、発酵状態にバラツキがほとんどない所望の一次発酵物を繰り返し得ることができる。
以上、本発明の発酵処理装置及びそれを用いた発酵処理方法について、形状が直方体のものを用い、かつ被処理物として蓄糞尿の場合を中心にして説明したが、形状として直方体のものに限らず、例えば、円筒体形状のものについても適用可能であり、さらに、被処理物として蓄糞尿に限らず、残飯のような生ゴミばかりでなく、発酵菌の作用で発酵するようなあらゆる有機物に対しても応用することができ、例えば、焼酎、ワイン等の飲用アルコール類等の生成後に出る発酵粕の処理あるいは酒、味噌等に用いる各種こうじの生成にも応用することができる。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
発酵処理装置の作製例1
図3に示されるような、3つの隔壁部(21−1)、(21−2)及び(21−3)が設けられた発酵槽を作製したが、その作製手順を説明する。
3つの側壁部(3−1)、(3−2)及び(3−3)の外壁は、最終的に作製される発酵槽における寸法が何れも縦1250mm、横1410mmになるように、3枚の平面部材を溶接固定して側壁部の外壁用一体物として予め作製しておく。
同様にして、3つの側壁部(3−1)、(3−2)及び(3−3)の内壁は、最終的に作製される発酵槽における寸法が何れも縦1250mmとなり、及び内壁と外壁とがほぼ平行にかつ外壁との間隔が70mmになるような、大きさの3枚の平面部材を溶接固定して3つの側壁部の内壁用一体物として予め作製しておく。
また、各隔壁部は、寸法が縦900mm、横1350mmの2枚の平面部材からなり、空間部が70mmの間隔で形成され、2枚の平面部材の天上部側と取り出し口側の端辺部間をメクラ板で接合固定された実質的に密閉構造の二重構造体である。
各側壁部を構成する外壁用の平面部材として厚さ3.2mmの鉄板(新日鉄(社)製)を用い、また、内壁用の平面部材及び隔壁部用の2枚の平面部材として、ピッチが5mmで径3mmの小孔が全面に均一に設けられた厚さ1mmのステンレス板(SUS.304 日本ステンレス工業(社)製)を用いる。
また、底部(7)は、寸法が縦横とも1410mmの2枚の小孔のない平面部材からなり、被処理物が接触する内側用平面部材としてステンレス板(SUS.304 日本ステンレス工業(社)製)を、外側用平面部材として鉄板(新日鉄(社)製)を用いて、空間部が45mmの間隔になるように形成された二重構造体である。
底部用の該二重構造体は、幅が約45mm、長さが1410mm及び径が35mmの穴が7個設けられた4本のリップ溝型鋼鉄製補強材(新日鉄(社)製)を、2枚の平面部材の間ほぼ等間隔で挟んで、2枚の平面部材を該補強材にボルトで固定した後、2枚の平面部材の端辺部の間隙を埋めるように、小孔のないステンレス製メクラ板(SUS.304 日本ステンレス工業(社)製)を溶接して密閉したものである。
また、3つの隔壁用の二重構造体は、幅が約70mm、長さが900mm及び径が35mmの穴が4個が設けられた3本のリップ溝型鋼鉄製補強材(新日鉄(社)製)を用い、底部用の上記二重構造体と同様にして、2枚の平面部材を該補強材にボルトで固定した後、扉が設けられる側と天井部側の、2枚の平面部材の端辺部の間隙を埋めるように、小孔のないステンレス製メクラ板(SUS.304 日本ステンレス工業(社)製)を溶接して密閉したものである。
発酵槽の該未完成構造体の、3つの側壁部のうち間に位置する側壁部の外壁を構成する鉄板(新日鉄(社)製)に、中央部の最下端から100mmの位置に縦200mm、横150mmの開口部を設け、該開口部を縦300mm、横250mm及び奥行50mmの鉄板(新日鉄(社)製)製の箱形状体が覆うように溶接固定し、該箱形状体は該開口部の大きさを調整するための上下稼働性の鉄板(新日鉄(社)製)製の空気量調整板が設けられている。
また、側壁部の該開口部が設けられる外壁に対面する内壁用ステンレス板には、隔壁用二重構造体が固定される位置とほぼ同じ位置に、通気用の40mm径の4個の穴が4個予め設けられている。
さらにまた、底部の内側ステンレス板には、隔壁用二重構造体が固定される面の位置に、通気用の40mm径の4個の穴が設けられている。
一方、発酵槽を構成する取り出し口として、左右に開閉可能な同じ面積の扉型のものを2つ準備した。
扉は、それぞれ縦1250mm、横750mmの大きさであり、リップ溝型鋼鉄製補強材を3つ用い、また、中央部の最下端部に直径30mmの円形の開口部、及び取っ手が設けられているところを除いて、前記側壁部と同じ二重構造体から構成されたものを予め作製しておく。2つの扉は、それぞれ側壁部端部に2つの蝶番で開閉可能に固定され、かつ密閉するためのパッキング材が装着されている。
また、天上部(屋根部分)は、図1に示されるような形状の鉄板(新日鉄(社)製)からなる4つの構造体からなり、それぞれの縦横の寸法は355mm程度であり、いずれも蝶番で左右に開閉可能としたもので、天上部全体が投入口として機能するものである。
4つの投入口のうち、対角線上に位置する2つには、それぞれに発酵ガス排気用の排気口が設けられ、他の1つには温度計取り付け口が設けられ、該排気口は、鉄(新日鉄(社)製)製の高さ180mmで直径80mmの筒状体から構成されたものである。
以上説明した、外壁用一体物、内壁用一体物、底部用二重構造体、隔壁部用二重構造体及び扉を予め準備した後、次のようにこれらを組み合わせて、本発明の密閉構造の発酵槽を作製した。
先ず、底部用の前記二重構造体に、前記外壁用一体物の下端部を溶接固定し、次に、幅が約70mm、長さが1250mm及び径が35mmの穴が4個設けられたリップ溝型鋼鉄製補強材を、前記外壁用一体物と前記内壁用一体物との間に挟むようにして、2つの一体物をボルトで該補強材に固定した後、外壁と内壁との端辺部間を、小孔のないステンレス板(SUS.304 日本ステンレス工業(社)製)をメクラ板にして溶接して密閉した。
次に、先に説明した3つの隔壁用二重構造体を、底部と側壁部の所定位置に溶接固定した。
さらに、前記の取り出し口用扉を側壁部の側端部に蝶番で開閉可能に固定し、パッキング材を装着して密閉し、また、前記の天上部を構成する4つの構造体を側壁部の上端部に蝶番で開閉可能に固定し、パッキング材を装着して密閉した。
こうして、内容積が約4.20立方米の本発明の密閉構造の発酵槽を完成した。
また別途、図1の(2)に示されるような構成の、鉄骨材からなり2つの車が取り付けられ、さらに手動型油圧ジャッキを具備する架台を準備し、該架台に前記発酵槽を取り付けた。
このようにして発酵処理装置1を作製した。
発酵処理装置の作製例2
側壁部が高さ1200mm、横1200mm、奥行1800mmで、該隔壁部を2つ設けること以外、作製例1と同様にして、内容積が約2.7立方米の発酵槽を作製し、該発酵槽を発酵処理装置1に用いたものと同じ架台上に搭載して、発酵処理装置2を作製した。
発酵処理装置の作製例3
4つの側壁部が高さ1000mm、横2000mm、奥行2000mmで、該隔壁部は高さ900mmで等間隔に3つ設け、側壁部及び底部が厚さ10mmの合板(西北(株)製)1枚からなり、隔壁部が50mmの間隔を空けた2枚の合板(西北(株)製)からなるもので、側壁部と隔壁部を構成する合板には底部と接する端辺から50mmのところに横一列に及びさらに50mmのところに横一列に、それぞれ等間隔に直径10mmの小孔を6つ設けたものである。
二重構造体の隔壁部は、底部に設けた空気取り入れ口を覆うように固定され、外気が隔壁部から小孔を通って発酵層内に流入するような構成にした。
さらに、天上部は、投入口と取り出し口とを兼ねた2枚の合板(西北(株)製)からなり、それぞれに排気口が設けられたものである。該天上部は、該側壁部上端部に開閉可能とするために蝶番で固定され、パッキング材を装着して密閉したものである。
メクラ板として合板(西北(株)製)を用い、側壁部、底部及び隔壁部を相互に木ビスで固定した。
以上記載したこと以外、作製例1の発酵処理装置1と同様な条件にして、内容積が約3.5立方米の発酵槽を実験装置として作製した。これを発酵処理装置3と称する。
実施例1(乳牛糞の発酵処理)
該発酵処理は、滋賀県近江八幡市内の某乳牛酪農場内で行なった。
含水率が90%、見かけ比重が1.00の乳牛糞約2トンを発酵処理するために、該乳牛糞に対して水分調整材として、含水率が20%、見かけ比重が0.5のおが屑約1.5トン(容積3000リットル)をパワーシャベルで混合して、含水率が60〜62%の被処理物を予め準備した。
作製例1の発酵処理装置1を用い、発酵槽の取出し用の扉を閉め、発酵槽の4つの投入口を開いて、該被処理物を投入後、投入口を閉じ、感温部が長さ90cm、メーター部が直径10cmのバイメタル式温度計(丸型)を、感温部の先端部を被処理物内に挿入するようにして、天上部の温度計取り付け穴に装着した。その際、側壁部に設けられた開口部の半分が覆われるように空気量調整板を調整した。
気温6℃の環境下で該被処理物を発酵槽内に投入した後、25時間放置し、その間内部の温度を前記バイメタル式温度計で、また水分量を加温式水分計で確認した。
投入時11℃であった被処理物は、1.5時間後に温度が上昇し始めて発酵が開始され、その後温度が上昇し続け、16時間で内部温度が46℃、さらに24時間で60℃に達した内部温度は25時間では62℃に達し、その間6時間経過時点では水分含有量が57%に低下したが、その後の発酵により生成される水によって59%の水分含有量に戻って、25時間経過時点まで59%の水分含有量と62℃の内部温度が維持されていることを確認した。
発酵槽内で25時間放置後、架台に設けた油圧ジャッキを作動させて発酵槽を42°に傾けて、取出し用の扉を開放すると、発酵後の全ての被処理物は発酵槽の側壁部、隔壁部及び底部の平面に沿って滑り落ちて簡易に取出すことができた。
取り出した発酵物は、臭気がほとんど感じられないものであった。
発酵槽から取り出された該被処理物を放置した結果、55日間程度で完熟飼料が生成されることを確認した。
次に、一切の風塵が入り込まないように建てられたビニールハウス内に、一切雑草種が含まれていない畑を準備した後、発酵槽から取り出された前記被処理物を該畑に蒔いて14日間放置したところ、雑草の芽は一切出てこないことが確認された。これは、最終的に達する62℃の高温が雑草種を死滅させているものと考えられる。
実施例2(乳牛糞の発酵処理)
該発酵処理は、滋賀県近江八幡市内の某乳牛酪農場内で行なった。
実施例1と同様にして、発酵槽内に被処理物を投入後25時間から35時間の内部の水分量と温度を確認したところ、59%の水分含有量と62℃の内部温度が維持されていることを確認した。
実施例3〜10(乳牛糞の発酵処理)
該発酵処理は、滋賀県近江八幡市内の某乳牛酪農場内で行なった。
実施例1において、スタート時の環境温度が4℃、7℃、9℃、12℃、14℃、17℃、18℃、20℃である以外、実施例1と同じ発酵処理を8回繰り返し行なったところ、いずれも発酵槽内で達する最高温度は62℃以上になり、環境温度が高くなるに従って、発酵槽内で最高温度に達する時間が短くなり、例えば環境温度が20℃の場合には22時間で最高温度に達した。
最高温度に達した時点で発酵槽から取り出した発酵物の発酵状態を確認したところ、いずれも実施例1とほぼ同じ結果が得られた。
実施例11(乳牛糞の発酵処理)
該発酵処理は、滋賀県近江八幡市内の某乳牛酪農場内で行なった。
乳牛糞約1トンと籾殻約0.8トンとからなる含水率60〜65%の被処理物を使用し、発酵処理装置3を用いる以外、実施例1と同様にして、発酵処理を行なった。
気温6℃の環境下で該被処理物を発酵槽内に投入し、投入時8℃であった被処理物は、1時間後に温度が上昇し始めて発酵が開始され、その後温度が上昇し続け、24時間で72℃に達した。
発酵槽内で25時間放置され発酵した被処理物を、実施例1と同様にして取り出して確認したところ、臭気がほとんど感じられないものであった。
実施例12〜14(乳牛糞の発酵処理)
該発酵処理は、滋賀県近江八幡市内の某乳牛酪農場内で行なった。
実施例11において、スタート時の環境温度が9℃、14℃、18℃であること以外、実施例11と同じ発酵処理を3回繰り返し行なったところ、いずれも発酵槽内で達する最高温度は72℃以上となり、環境温度が高くなるに従って、発酵槽内で最高温度に達する時間が短くなり、例えば環境温度が18℃の場合には20時間で最高温度に達した。
最高温度に達した時点で発酵槽から取り出した発酵物の発酵状態を確認したところ、いずれも実施例11とほぼ同じ結果が得られた。
実施例15(鶏糞の発酵処理)
該発酵処理は、大分県内の某養鶏農場内で行なった。
被処理物として、鶏糞約1トンとおが屑約1.0トン(容積1000リットル)をコンクリートミキサーで混合して得られた含水率が58〜60%のもの、及び発酵処理装置2を使用する以外、実施例1と同様にして、発酵処理を行なった。
気温8℃の環境下で該被処理物を発酵槽内に投入し、投入時10℃であった被処理物は、直ぐに温度が上昇し始めて、内部温度が、5時間で30℃、10時間で46℃、15時間で59℃、さらに20時間で70℃に達し、その後21.5時間で達した72℃の温度は、30時間経過しても維持されていることを確認した。
発酵槽内で72℃に達した発酵した被処理物を、実施例1と同様にして取り出して確認したところ、悪臭が感じられないものであった。
さらに、発酵槽から取り出された該被処理物を放置した結果、63日間程度で完熟飼料が生成されることを確認した。
実施例16〜18(鶏糞の発酵処理)
該発酵処理は、大分県内の某養鶏農場内で行なった。
実施例11において、スタート時の環境温度が13℃、19℃であること以外、実施例15と同じ発酵処理を2回繰り返し行なったところ、いずれも発酵槽内で達する最高温度は72℃以上となり、環境温度が高くなるに従って、発酵槽内で最高温度に達する時間が短くなり、例えば環境温度が19℃の場合には18時間で最高温度に達した。
本発明の畜糞尿・生ゴミ発酵処理装置の一例を示す外観図である。 本発明の畜糞尿・生ゴミ発酵処理装置の一例であって、隔壁部が設けられた発酵槽の内部を示す概念図である。 図2に示される発酵槽の断面図である。 図2に示される発酵槽の他の断面図である。 図2に示される発酵槽から隔壁部を除いた状態を示す図である。 図4に示される発酵槽の開口部が設けられた隔壁部側から観た図である。 側壁部及び隔壁部が補強材によって補強されていることを示す図である。 側壁部及び隔壁部を底部に留め付け部材で固定することを示す図である。 隔壁部を側壁部に留め付け部材で固定することを示す図である。 外部から流入する空気の発酵槽内における流れを示す図である。 外部から流入する空気の発酵槽内における流れを示す他の図である。 横型攪拌方式の発酵装置の側断面図である。 横型攪拌方式の発酵装置の正面断面図である。
符号の説明
1、50発酵槽
2 架台
3 側壁部
4 扉
5 底部
6 天上部
7、54 排気口
8、9 蝶番
10 取っ手
20−1、20−2、20−3 側壁部
21−1、21−2、21−3 隔壁部
35 小孔
23 外壁
24 内壁
25、28、32、42 空間部
26、27、30,31 平面部材
29、39 補強材
33、34 通気穴
36 開口部
37 空気量調整板
38 箱形状構造体
40 メクラ板
41 留め付け部材
43 扉に設けられた開口部
51 攪拌機
52 ヒータ
53 排気口
a 隔壁部と側壁部との間隔
b 2つの隔壁部の間隔
c、e、f、g 外部から流入し発酵槽内に流れる空気の流れルート
h 隔壁部の高さと側壁部の高さとの差
Z 側壁部と隔壁部との高さの差によって形成される空間部

Claims (33)

  1. 被処理物を発酵させるための密閉構造の発酵槽を有する有機物発酵処理装置において、該発酵槽は外部空気が自然流入するための開口部を有し、かつ該発酵槽を構成する壁部の少なくとも一部は、間に空間部が形成された二重構造体であって、該壁部のうち該被処理物に接する面に小孔が設けられた剛性材料から構成され、該開口部と該空間部と該小孔とによって通気路を形成し、発酵熱によって発生する上昇気流の吸引力が該開口部からの外部の空気の自然流入を誘導して、該空間部を通して該小孔から該発酵槽内に該空気を供給し、供給された空気と該二重構造体の保温性とによって該被処理物の発酵を促進するようにしたことを特徴とする有機物発酵処理装置。
  2. 発酵槽が底部、天井部及び側壁部から構成され、該側壁部が該二重構造体であって外壁と内壁とからなり、両者の間に空間部が形成されるように固定されたものであって、該外壁に該開口部が設けられ、該内壁が小孔を有する剛性部材からなるものであることを特徴とする請求項1に記載の有機物発酵処理装置。
  3. 該発酵槽が直方体形状であって、該側壁部の内壁を構成する材料が剛性平面部材であることを特徴とする請求項2に記載の有機物発酵処理装置。
  4. 該発酵槽が底部、天井部及び側壁部から構成された直方体形状であって、対面する2つの該側壁部の間にほぼ平行に少なくとも1つの隔壁部が設けられたものであり、該隔壁部が二重構造体であって、小孔を有する2枚の剛性平面部材によって両者の間に空間部が形成されるように固定されたものであり、該外壁に該開口部が設けられ、該開口部と該空間部と該小孔とによって通気路が形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載の有機物発酵処理装置。
  5. 該側壁部が小孔を有する剛性平面部材からなる一重構造体であることを特徴とする請求項4に記載の有機物発酵処理装置。
  6. 該側壁部が、外壁と内壁とからなり両者の間に空間部が形成されるように固定された二重構造体であり、該外壁に該開口部が設けられ、該内壁が小孔を有する剛性部材で形成され、該開口部と該空間部と該小孔とによって通気路が形成されたものであることを特徴とする請求項4に記載の有機物発酵処理装置。
  7. 該側壁部に発酵後の被処置物の取り出し口、及び該天井部には発酵前の被処置物の投入口及び発酵ガスの排気口が設けられたものであることを特徴とする請求項2乃至6の何れか1に記載の有機物発酵処理装置。
  8. 該開口部が、該側壁部の下部に設けられることを特徴とする請求項2乃至7の何れか1に記載の有機物発酵処理装置。
  9. 該側壁部の高さが1420mm以下であることを特徴とする請求項2乃至8の何れか1に記載の有機物発酵処理装置。
  10. 該排気口が高さ200mm以下及び直径100m以下の筒状体からなることを特徴とする請求項7乃至9の何れか1に記載の有機物発酵処理装置。
  11. 底部が2枚の平面部材からなり両者の間に空間部が形成されるように固定してなる二重構造体からなり、該底部構造体と側壁部とが両者の該空間部内の空気が連通するように接合固定されたものであることを特徴とする請求項2乃至10の何れか1に記載の有機物発酵処理装置。
  12. 該隔壁部の空間部と底部の空間部が連通するように接合固定されたものであることを特徴とする請求項11に記載の有機物発酵処理装置。
  13. 該底部が断熱性平面部材からなる一重構造であることを特徴とする請求項2乃至10の何れか1に記載の有機物発酵処理装置。
  14. 4つの側壁部の1つに空気を流入させるための開口部が設けられ、該開口部が設けられた該側壁部に対置する側壁部に、発酵後の被処理物の開閉可能な取りだし口が設けられたものであることを特徴とする請求項2乃至13の何れか1に記載の有機物発酵処理装置。
  15. 該隔壁部と該側壁部との間隔が350〜450mm及び該隔壁部が2つ以上設けられる場合には2つの該隔壁部の間隔が350〜450mmになるように設置されることを特徴とする請求項4乃至14に何れかに記載の有機物発酵処理装置。
  16. 該側壁部が該隔壁部より高いことを特徴とする請求項4乃至16の何れか1に記載の有機物発酵処理装置。
  17. 該隔壁部が、底部の面積がほぼ均等に分割されるように、少なくとも1つ設けられたことを特徴とする請求項4乃至16の何れか1に記載の有機物発酵処理装置。
  18. 外気を流入させるための開口部に、空気の量及び/又は温度の調節機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至17の何れか1に記載の有機物発酵処理装置。
  19. 該発酵槽が架台上に設置固定され、該発酵槽が架台に着脱可能とする機構が設けられていることを特徴とする請求項1乃至18の何れか1に記載の有機物発酵処理装置。
  20. 該架台に、発酵後の被処理物を取り出すために該発酵槽を転倒させる機構が設けられたことを特徴とする請求項19に記載の有機物発酵処理装置。
  21. 該転倒機構にジャッキ又はシリンダが設けられたことを特徴とする請求項20に記載の有機物発酵処理装置。
  22. 該架台が、移動手段との連結部と車輪とが設けられものであって、該装置を移動可能としたことを特徴とする請求項19乃至21の何れか1に記載の有機物発酵処理装置。
  23. 予め含水量が調整された被処理物を、請求項1乃至22の何れか1に記載の有機物発酵処理装置の発酵槽内に投入後、放置し一次発酵を行なうことを特徴とする有機物発酵処理方法。
  24. 該被処理物が発酵菌を混合されたものであることを特徴とする請求項23に記載の有機物発酵処理方法。
  25. 含水量が水分調整材によって60〜65%に調整されたものであることを特徴とする請求項23又は24に記載の有機物発酵処理方法。
  26. 発酵槽を構成する底部からの被処理物の高さが平均値で1420mm以下になるように被処理物を発酵槽内に投入すること特徴とする請求項23乃至25の何れか1に記載の有機物発酵処理方法。
  27. 発酵槽内に被処理物を投入後、24〜35時間放置し一次醗酵を完了すること特徴とする請求項23乃至26の何れか1に記載の有機物発酵処理方法。
  28. 発酵槽に設けられた開口部の大きさを調製して、流入する空気量を調節すること特徴とする請求項23乃至27の何れか1に記載の有機物発酵処理方法。
  29. 開口部に温度調節機構が設けられた発酵槽を用い、流入空気の温度を発酵開始温度程度になるように調節すること特徴とする請求項23乃至28の何れか1に記載の有機物発酵処理方法。
  30. 一次発酵の完了後に、発酵物を含む全ての被処理物を発酵槽から取出すことを特徴とする請求項23乃至29の何れか1に記載の有機物発酵処理方法。
  31. 発酵槽から取出した全ての被処理物を、約60日間放置しあるいは約60日間に放置と攪拌を行なって、完熟発酵物を生成することを特徴とする請求項30に記載の有機物発酵処理方法。
  32. 請求項23乃至29の何れか1に記載の方法によって処理し得られた発酵物。
  33. 請求項31に記載の方法によって生成された完熟発酵物。
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