以下、図面に基づき本発明を代表する実施の形態を説明する。
図1〜図21は本発明の一実施の形態に係る遊技機を示している。
本実施の形態に係る遊技機は、遊技盤2上に遊技球(以下「球」とも称する。)を打ち出す遊技を実行する遊技機本体1と、これに付設され有価価値カードの挿入により球を貸し出すカードユニット(CR球貸機)bから成る。
先ず、遊技機本体1全体の概要を説明する。
図1は、遊技機本体1とカードユニットbを示す正面図である。遊技機本体1は、特別遊技状態を点灯によって報知する遊技機状態ランプ422と、額縁状に形成され正面のガラスを固定するガラス枠11と、該ガラス枠11の開放を検出するためのガラス枠開放検出スイッチ132と、遊技者によって発射された遊技球が移動しゲームを進行させるための部品が取り付けられて着脱自在な遊技盤2を有している。
ガラス枠11の下部表面には、貸球や賞球を貯留する上受け皿3と、該上受け皿3から溢れた球を貯留する下受け皿4と、前記上受け皿3に貯留した球を抜き出すための上受け皿球抜きレバー7と、前記下受け皿4に貯留した球を抜き出すための下受け皿球抜きレバー8と、遊技者が打球操作するためのハンドル5とが設けられている。また、ハンドル5には、球の発射を停止するための発射停止スイッチ652が設けられている。
また、遊技者が自らの意思で所定の操作が可能な操作手段として、押ボタン式の外部入力スイッチ137が上受け皿3の縁に設けられている。この外部入力スイッチ137の押し下げ操作により、後述する可変表示装置310の画面上に、装飾可変表示の表示過程を省略した表示結果を一度にまとめて表示させることができるようになっている。なお、下受け皿4の傍らには、喫煙者用の灰皿6も設けられている。
さらに、カードユニットbの操作を遊技者が行うための装置として、有価価値カードの残余度数を表示し確認するための度数表示部12と、遊技球の貸出指示を行うための貸出ボタン9と、有価価値カードの返却指示を行うための返却ボタン10が上受け皿3の近傍に設けられており、これらの出力端子は遊技機背面の操作パネル基板aにそれぞれ接続されている。
図2は、遊技機本体1とカードユニットbを示す背面図である。遊技機本体1の背面には各種機能別の制御基板と部品等が配設されている。ここで制御基板として、遊技全体の動作を管理し制御する主基板100と、該主基板100からの指示情報をパラレル通信により受信し賞球の払出動作の制御、およびカードユニット接続基板900を介してカードユニット通信を行うことにより貸球動作の制御を行う払出制御基板200が設けられている。
さらに制御基板として、球の発射を制御する発射制御基板600と、該発射制御基板600によって制御される発射モータ653と各基板に所定の電力を供給する電源基板700と、主基板100からの賞球情報、払出制御基板200からの球貸情報、賞球タンク球有無スイッチ801の検出情報をそれぞれ外部出力するための枠用外部端子板800と、カードユニットbと接続するためのカードユニット接続基板900も設けられている。
また、保護カバー93内には、表示器制御基板300、ランプ制御基板400、音声制御基板500等が遊技盤2の背面側に取り付けられるようにして設けられている。それぞれの制御基板は専用のケースに納められ、外部からのゴミや他の設備機器からのこぼれ球、さらには静電気、電気ノイズからも保護されるように設定されている。中でも主基板100のケースは、専用のネジを使用し所定の回数だけ開閉できる構造となっている。
次に、パチンコ球補給装置から受ける球の流路について説明する。
図2において、パチンコ球補給装置(図示せず)から補給された球は、遊技機上部のタンクユニット90に貯留され、賞球の払出動作および貸出動作が行われる度に、球はシュートユニット91、払出ユニット92を通過し上受け皿3へ送出される。
タンクユニット90は、遊技球補給装置から補給される球を貯留するものであり、該タンクユニット90の底面には、賞球タンク球有無スイッチ801と球ならし94が設けられている。賞球タンク球有無スイッチ801は、タンクユニット90に貯留される球の有無を検出するスイッチであり、貯留する球の重みによってスイッチが入力され、その検出信号は枠用外部端子板800を経由し外部へ出力される。
球ならし94は、シュートユニット91のレーンを流れる球が球圧により隆起しないように球を均すためのものである。タンクユニット90の底面は傾斜しており、シュートユニット91と接合する部分に球が集合し落下する構造になっている。シュートユニット91は、前記タンクユニット90から流下してくる球を2つのレーンに分けて整列させる。球が払出ユニット92に向かう途中では、前記球ならし94によって球圧による隆起が抑えられるが、さらに球ならし95によってより効果的に球を均すようにし、払出ユニット92へ送り込むように設定されている。
また、シュートユニット91の球通路上には、シュート球切れスイッチ131が設けられている。シュート球切れスイッチ131は、払出ユニット92までの球の有無を検出するスイッチであり、その検出信号は主基板100に入力され球の有無が監視される。このシュート球切れスイッチ131は、前記賞球タンク球有無スイッチ801と用途は類似するが、主基板100との接続有無が大きな違いとなる。
払出ユニット92は、前記上受け皿3までの球通路を形成すると共に、球通路上に、球を送り出すための払出モータ222と、球の流れ(落下)を抑制する払出停止ソレノイド223と、貸球と賞球の経路を切り換える経路切換ソレノイド224と、賞球を検出するための賞球検出スイッチ130と、貸球を検出するための球貸し検出スイッチ220等が設けられている。
前記払出モータ222と払出停止ソレノイド223は、前記払出制御基板200と接続され制御される。主基板100から払出制御基板200に所定の球の払出要求があると、払出制御基板200は、前記経路切換ソレノイド224を作動させ、球の経路を賞球側へとし、払出モータ222と払出停止ソレノイド223によって球を上受け皿3へ送出する。
また、遊技者の操作により、カードユニットbからカードユニット接続基板900を介して、払出制御基板200に所定の球の貸出要求信号が入力されると、払出制御基板200は前記経路切換ソレノイド224を作動させ、球の経路を貸球側へ設定し、払出モータ222と払出停止ソレノイド223によって球を上受け皿3へ送出する。
また、要求の内容によって球経路を可変としているのは、賞球検出スイッチ130と前記球貸し検出スイッチ220によって区別し、それぞれ払い出した球数の計数を確実にするためである。さらに、賞球検出スイッチ130は主基板100にも接続され、払出制御基板200と同様に払出し球数の計数を行い、より正確に払出が行われたことを確認している。
前記上受け皿3からの溢れ球が下受け皿4へ流下するように形成された球通路上には、オーバーフロースイッチ133が設けられている。前記下受け皿4に貯留した球が一杯になり、該オーバーフロースイッチ133の設置位置まで球が達すると、その貯留した球の球圧によってスイッチが入力され、その検出信号は主基板100へ入力される。主基板100は前記オーバーフロースイッチ133の入力を検出すると、払出制御基板200に対して球の払い出しを停止するように指示情報を出力する。
図3は、遊技盤2を示す正面図である。遊技盤2の正面には、発射された球を遊技領域17へ導くための誘導レール16と、遊技領域17に導かれた遊技球の流れに変化を与えるための釘(図示省略)や風車15と、各入賞口と、普通図柄作動ゲート26a、26bと、装飾装置であるランプ、LEDと、識別情報の可変表示を行う可変表示装置310および普通図柄表示装置140等が設けられている。
また、遊技盤2の最下部には、遊技球が遊技領域17内の各入賞口の何れにも入らず落下した球を、遊技機外に排出するためのアウト口29が設けられている。アウト口29に球が入った場合には、遊技者に何らの特典も与えられず、賞球の払い出しも行われない。さらに装飾ランプとして、可変表示装置310で可変表示遊技を実行させる権利である始動記憶情報の保留数を遊技者に報知するための特別図柄保留LED420、普通図柄表示装置140を作動させるための保留球を遊技者に報知するための普通図柄保留LED421、サイドケースランプ423、遊技枠状態ランプ424、センターLED425、ゲートLED426、アタッカーLED427、サイドLED428等が設けられている。
前記各入賞口には、始動口21、右袖入賞口22a、左袖入賞口22b、右落とし入賞口23a、左落とし入賞口23b、大入賞口24等がある。遊技球が各入賞口に入賞すると、各入賞口に付設されたスイッチにより入賞球が検出され、入賞球が検出される度に各入賞口に割り当てられた所定数の賞球が払い出される。なお、右左の普通図柄作動ゲート26a、26bは通過口であり、遊技球が通過しても賞球の払い出しは行われない。
このうち始動口21は、前述したように可変表示装置310で実行される可変表示遊技の権利を獲得するための入賞口であり、また大入賞口24は、所定の遊技価値を遊技者に付与可能な特別遊技状態を生成するものである。また、右普通図柄作動ゲート26aと左普通図柄作動ゲート26bは、普通図柄表示装置140上で実行される可変表示の実行権を確保するための通過口である。なお、始動口21や大入賞口24等の主要な構成要素について詳しくは後述する。
図4は、遊技盤2を示す背面図である。遊技盤2の背面には、既に図2で示したものと同様に、各種の制御基板やその関連部品等が組み付けられている。制御基板としては、可変表示装置310の制御を行う表示器制御基板300、前記装飾ランプの制御を行うランプ制御基板400、音声の制御を行う音声制御基板500、外部機器と接続し盤用外部情報(大当たり1信号、大当たり2信号、図柄確定回数信号)を出力するための盤用外部端子板850等が設けられている。また、各入賞口に入賞した遊技球および各ゲートを通過した遊技球を検出する近接センサ等から成るスイッチが設けられている。
各入賞口の入賞球を検出するためのスイッチとして、始動口スイッチ121、右袖入賞口スイッチ122a、左袖入賞口スイッチ122b、右落とし入賞口スイッチ123a、左落とし入賞口スイッチ123b等が各入賞口付近に設置されている。また、大入賞口24付近には、役物連続作動装置スイッチ124とカウントスイッチ125が設けられている。各入賞口のスイッチは、それぞれの入賞口付近に設けられているが、入賞球が遊技機外に排出されるまでの通路上に配置することもできる。
各入賞口に球が入賞すると、各入賞口スイッチにより検知され、検知される度に、各入賞口ごとに割り当てられた次の所定の賞球の払出が行われる。始動口21には5個、右袖入賞口22a、左袖入賞口22b、右落とし入賞口23a、左落とし入賞口23bには8個、大入賞口24(役物連続作動装置スイッチ124とカウントスイッチ125による入賞球の検出に対して)には15個と割り当てられている。
また、普通図柄表示装置140を作動させるための球を検出するスイッチとして、右普通図柄表示装置作動ゲートスイッチ126aは、右普通図柄作動ゲート26a内に設けられ、左普通図柄表示装置作動ゲートスイッチ126bは、左普通図柄作動ゲート26b内に設けられており、それぞれ遊技球の通過を検出する。これら左右の普通図柄表示装置作動ゲートスイッチ126a,126bは通過口として設けられている。
役物を可変動作させる関連装置には、大入賞口24の扉を開閉させるための大入賞口ソレノイド134、大入賞口24に入賞した球の流れを前記役物連続作動装置スイッチ124とカウントスイッチ125の何れかの方向を切り換えるための方向切換ソレノイド135、普通電動役物である始動口21を拡縮動作するための普通電動役物ソレノイド136が設けられている。
次に遊技盤2上の主要な構成要素について、図3,4を参照しさらに詳細に説明する。 先ず始動口21は、一般に始動チャッカーと称されるものであり、その入賞口の左右両端に一対の可動片が回動可能に設けられている。この各可動片を普通電動役物ソレノイド136から成る駆動源で拡縮できるようになっている。始動口21は、各可動片の拡縮動作により、球が入賞し難い通常の縮状態と入賞し易い拡状態に変化する、いわゆる電動チューリップ役物として構成されている。なお、各可動片が縮状態であっても、始動口21の入賞口は球が入賞し難い程度に開いている。
始動口21の各可動片は、前記普通図柄表示装置140における可変表示での表示結果に基づいて動作する。前記普通図柄表示装置140は、左右に設けたLED2灯の点灯によって可変表示を行い、左右に設けたLEDにはそれぞれ「当たり」と「外れ」が割り当てられており、表示結果が「当たり」になると、前記始動口21の各可動片が、球が入賞し難い通常の縮状態から入賞し易い拡状態に一時的に作動する。このLED2灯以外にも普通図柄の可変表示としては、7セグメント表示器を使用することや、可変表示装置310の表示領域の一部に表示する場合もある。
普通図柄表示装置140では、左右の普通図柄表示装置作動ゲートスイッチ126a,126bにより球の通過が検出されると、可変表示の権利が獲得され、この権利に基づいて可変表示が行われる。普通図柄表示装置140の左右のLEDの交互点滅によって可変表示は開始され、所定の時間可変表示を行い停止すると左右どちらか一方の点灯表示となり、遊技者は表示結果として判定の結果を目視し確認することができる。左右の普通図柄表示装置作動ゲートスイッチ126a,126bは、例えば、光センサ、近接センサ、あるいは磁気センサ等の各種センサにより構成すればよい。
普通図柄表示装置140が可変表示中に、左右の普通図柄表示装置作動ゲートスイッチ126a,126bによって通過球の検出があった場合は、普通図柄表示装置140における可変表示の権利を獲得するが保留とされ、現在進行中の可変表示(普通図柄ゲーム)が消化された後、保留にされた権利が順次消化される。普通図柄ゲームの保留数は例えば上限値4つとし、前記普通図柄保留LED421によって報知される。
始動口21に球が入賞することが、次述する可変表示装置310で可変表示遊技が実行されるための可変表示条件として設定されている。図5,図6に示すように、始動口21は、球の入賞を検知する始動口スイッチ121を内部に備え、始動口スイッチ121によって入賞球が検出されると、可変表示装置310において可変表示遊技を実行する権利が獲得される。始動口スイッチ121は、例えば光センサ、近接センサ、あるいは磁気センサ等の各種センサにより構成すればよい。
可変表示装置310は、その画面中に複数種類の識別情報を可変表示可能な表示領域を備えるものであり、液晶ユニットにより構成されているが、CRT(陰極線管)表示器、ドラムユニット、7セグメント表示器、LED、有機ELディスプレー表示器等を採用することも可能である。また、可変表示装置310の表示領域には、前記識別情報とは別に判定用図柄を表示する表示部311(図16参照)が形成されるようになっている。
前記始動口21に球が入賞して始動口スイッチ121により入賞球が検出されると、可変表示装置310で可変表示遊技を実行する権利が獲得され、この権利である始動記憶情報に基づき可変表示遊技が実行されるように設定されている。可変表示遊技の実行中あるいは後述する特別遊技状態の発生中に始動口21に球が入賞した場合、前記始動記憶情報は保留されて、現在進行中の可変表示遊技等が終了した後、保留されていた始動記憶情報が順次消化される。ここで始動記憶情報が保留される所定数は、上限値が例えば4つと定められており、その数は始動保留表示装置である前記特別図柄保留LED420によって報知される。
可変表示遊技は、その開始から表示結果の確定に至る表示過程を識別情報の経時的な変動により演出する装飾可変表示のほか、前記可変表示遊技の表示結果のみを識別可能に表示する実体可変表示によって行われる。装飾可変表示で用いられる識別情報は、本実施の形態では「0」〜「9」の数字図柄で構成されている。また、実体可変表示で用いられる判定用図柄は、本実施の形態では大当たりを示す「○」と外れを示す「×」とで構成されている。
本実施の形態における装飾可変表示では、可変表示装置310の表示領域に横一列に左、中、右と3つの識別情報が並ぶように表示され、各列ごとに識別情報は縦方向にスクロール変動する。そして、所定時間が経過すると、各列ごとに1つずつ任意の識別情報が停止するように表示される。なお、装飾可変表示中には、識別情報の変動表示に合わせて、演出画像であるキャラクタ画像や背景画像等も、可変表示装置310の表示領域に適宜表示されるようになっている。
前記装飾可変表示が停止確定した際の表示結果として、可変表示装置310の表示領域に停止した3つの識別情報が、予め定めた特定の組み合わせ(例えば「555」と3つとも全て同一に揃った場合等)となった場合が「大当たり」と定められている。かかる大当たりが確定する前に、最後に停止する中央の識別情報を1つ残し、既に停止した左右の識別情報が一致した表示態様が「リーチ表示」に該当する。
可変表示遊技の表示結果が最終的に大当たりに確定すると、次述する大入賞口24が所定回数を限度に繰り返し開閉する特別遊技状態が発生され得るように設定されている。一方、可変表示遊技の表示結果が、最終的に前記大当たりに確定しなかった場合は「外れ表示結果」に該当し、特別遊技状態は発生せず遊技者に遊技価値が付与されることはない。なお、装飾可変表示に用いる識別情報は、0〜9の数字や記号等の単純な図柄に限定されるものではなく、他に例えばキャラクタ等を模したものを用いてもよい。
また、装飾可変表示の表示結果が、前記識別情報のうち確変図柄(例えば、奇数図柄「1」、「3」、「5」、「7」、「9」)の何れかで揃った大当たり(確変大当たり)に確定した場合には、確率変動状態を伴う特別遊技状態が発生することになる。すなわち、確変図柄で揃った大当たり(確変大当たり)が確定すると、これに基づき発生した特別遊技状態が終了した後、次回の特別遊技状態が発生するまで、可変表示遊技の表示結果が大当たりに確定する確率が高確率に変化する。
このように、通常の遊技状態(低確率状態)に比べて、大当たりに確定する確率が高まった遊技状態が、確率変動状態(または「確変状態」、「確変モード」とも言う。)である。さらに、確率変動状態中には、可変表示遊技の変動時間が短縮される時間短縮状態(または「時短状態」、「時短モード」とも言う。)も併せて発生するように設定されている。
一方、装飾可変表示の表示結果が、前記識別情報のうち非確変図柄(例えば、偶数図柄「0」、「2」、「4」、「6」、「8」)の何れかで揃った大当たり(非確変大当たり)に確定した場合には、確率変動状態を伴わずに時間短縮状態だけを伴う特別遊技状態が発生することになる。すなわち、非確変図柄で揃った大当たり(非確変大当たり)が確定すると、これに基づき発生した特別遊技状態が終了した後、所定の時短変動回数を限度に、次回以降の可変表示遊技における変動時間が短縮されることになる。
さらに、本実施の形態における実体可変表示では、可変表示装置310の表示領域の片隅に小さな矩形の表示部311(図16参照)が形成されて、この表示部311に1回の可変表示遊技につき、大当たりを示す判定用図柄「○」または外れを示す判定用図柄「×」の何れか一方が表示されるようになっている。ここで大当たりを示す判定用図柄「○」が、前記装飾可変表示の表示結果である大当たりに対応している。なお、装飾可変表示と実体可変表示との関係や具体的な表示内容については後述する。
前記大入賞口24は、一般にはアタッカーと称されるものであり、ソレノイド(大入賞口ソレノイド134、方向切換ソレノイド135)等の駆動源の作動により、その入賞口が球の入賞しない通常の閉状態と入賞容易な開状態とに変化し得るように構成されている。大入賞口24の入賞口を開閉する扉は、その下端を揺動中心として前方に傾倒することで開くようになっている。
大入賞口ソレノイド134は、前記特別遊技状態が成立した際に所定の回数(例えば15回)だけ大入賞口24の扉の開閉動作を行うために作動する。方向切換ソレノイド135は、大入賞口24の扉が開放された状態において、前記役物連続作動装置スイッチ124側に入賞球を導くように通路部具を作動させ、役物連続作動装置スイッチ124によって入賞球が検出されると、次は前記カウントスイッチ125側に入賞球を導くように通路部具を作動させる。
すなわち、大入賞口24は、前記可変表示遊技で大当たりとなった際に、特別遊技状態となるように開閉制御される。ここで特別遊技状態とは、開状態に所定時間維持された後、閉状態に短時間戻るという開閉動作が、所定回数(例えば15回)を限度に繰り返し実行される状態である。所定の球数(例えば10個)が大入賞口24に入賞するか、または、所定の時間(例えば30秒)が経過すると大入賞口24の扉は閉状態となる。そして前記所定の回数だけ一連の動作が終了すると、前記特別遊技状態は終了となる。ここで、特別遊技状態での大入賞口24の開閉回数をラウンドと言う。
また、大入賞口24の内部には特定領域が設けられており、この特定領域に前記各ラウンドごとに少なくとも1個の球が入賞し、該特定領域にある前記役物連続作動装置スイッチ124によって入賞球が検出されることが、次ラウンドに移行するための継続条件となっている。すなわち、前記各ラウンドごとに役物連続作動装置スイッチ124によって球が検出されないと、前記特別遊技状態は途中で終了となる。
次に、遊技機本体1の制御に用いられる各種制御基板について説明する。
図5は、遊技機本体1の制御に用いられる各種制御基板およびそれに関連する構成要素を示すブロック図である。図5には、制御基板として、主基板100、払出制御基板200、表示器制御基板300、ランプ制御基板400、音声制御基板500、発射制御基板600、電源基板700等が示されている。主基板100は、遊技機の制御を掌る制御基板であり、表示器制御基板300やランプ制御基板400と組み合わされて表示制御手段を構成する。
また、主基板100は始動制御手段の機能を実現するものである。始動制御手段は、所定の可変表示条件の成立に基づき、すなわち、始動口21に球が入賞して始動口スイッチ121により入賞球が検出されると、可変表示遊技を実行するための権利を獲得して、該権利を始動記憶情報として所定数まで保留する機能である。前述したように、始動記憶情報を保留する上限値は最大4個と定められており、その数は前記特別図柄保留LED420によって個別に表示されるように設定されている。
始動記憶情報には、可変表示遊技の表示結果を予め定めるための大当たり判定用乱数が含まれており、保留中の始動記憶情報が大当たりに相当するものであるか否かを判別できるようになっている。また、始動記憶情報には、大当たり判定用乱数に対応して装飾可変表示の表示結果を構成する識別情報(停止図柄)に関する停止図柄情報や、さらに停止図柄情報に対応する判定用図柄情報が含まれている。
表示制御手段は、可変表示装置310や特別図柄保留LED420の表示制御を行う機能であり、前記始動記憶情報に基づいて、可変表示装置310において可変表示遊技を実行したり、始動記憶情報を特別図柄保留LED420によって個別に表示する制御を行うものである。
可変表示装置310や特別図柄保留LED420における詳しい表示内容については後述するが、表示制御手段は、通常の遊技時には、始動記憶情報に基づく可変表示遊技として装飾可変表示を順次実行する一方、遊技者が前記外部入力スイッチ137を操作した場合には、現在実行中ないし始動記憶情報に係る可変表示遊技に関して、装飾可変表示の表示過程を省略した表示結果をまとめて表示し、該表示結果ごとに対応する実体可変表示を順次実行するように設定されている。
図6は主基板100の詳細を示している。
主基板100は、主基板内部のクロック回路108が生成するクロックを基準に動作する。またクロック回路108が生成したクロックを内部タイマー107で分周して得た一定時間間隔の割り込み信号をCPU102に入力することで、一定時間ごとに当該CPU102でタイマー割り込み処理を実行する。CPU102は、タイマー設定時間の間隔よりも短い時間で終了するように分割した処理を割り込みごとに実行することで一連の動作を遂行する。
始動口スイッチ121、右普通図柄表示装置作動ゲートスイッチ126a、左普通図柄表示装置作動ゲートスイッチ126b、右袖入賞口スイッチ122a、左袖入賞口スイッチ122b、右落とし入賞口スイッチ123a、左落とし入賞口スイッチ123bは、それぞれ球の入賞を検知するためのスイッチであり、これらのスイッチからの入力信号は、ゲート回路110に供給される。
役物連続作動装置スイッチ124、カウントスイッチ125、右賞球検出スイッチ130a、左賞球検出スイッチ130b、シュート球切れスイッチ131、ガラス枠開放検出スイッチ132、オーバーフロースイッチ133からの各入力信号は、ゲート回路111に入力される。
ゲート回路110,111のアドレスは、CPU102のアドレス空間にメモリマップドI/O方式で設定されている。CPU102が出力するアドレス信号およびライト/リードの制御信号を、CPU102が出力するシステムクロックに従って、アドレスデコード回路113でデコードすることによりチップセレクト信号を生成する。
このチップセレクト信号にてゲート回路110,111がセレクトされると、始動口スイッチ121等からの各入力信号がゲート回路110,111を通じてデータバスに出力される。データバス上の各入力信号は、一定時間ごとに発生する割り込み信号によって、次の割り込み処理が実行されるまでの間に複数回検出されてチャタリング防止処理が行われた後、入力信号ごとに指定されたRAM領域に記憶される。
始動口スイッチ121からの入力信号は5個賞球の賞球信号として、また右袖入賞口スイッチ122a、左袖入賞口スイッチ122b、右落とし入賞口スイッチ123a、左落とし入賞口スイッチ123bからの入力信号はそれぞれ8個賞球の賞球信号として、さらに役物連続作動装置スイッチ124、カウントスイッチ125からの入力信号は15個賞球の賞球信号として扱われ、それぞれのスイッチで検出された入賞個数が指定された各RAM領域に記憶される。またこれと同時に、賞球総数がCPU102で演算処理され、指定のRAM領域に記憶される。なお、各入賞口に設けられたスイッチの賞球払出しは、固定となっているが、遊技機の仕様により払出し個数を変更することができる。
その他、始動口スイッチ121、右普通図柄表示装置作動ゲートスイッチ126a、左普通図柄表示装置作動ゲートスイッチ126bからの入力信号に対してそれぞれ乱数値を取得し、これらの値がRAM領域の各乱数値記憶領域に記憶され、このデータを基にして、遊技機本体1の遊技状態や遊技演出等が設定され、各制御基板に遊技状態や遊技演出等のデータが順次出力される。
各制御基板への出力データは、データバスの途中に設けたバッファ114を通り、さらに出力データバスを通してラッチ回路112a〜112gに出力される。出力用のラッチ回路とCPU102とを結ぶデータバスの途中にバッファ114を配置することでバス信号が一方向の流れになり、不正防止の対策となる。
始動口スイッチ5個賞球RAM領域、左右袖入賞口スイッチ、左右落とし入賞口スイッチ8個賞球RAM領域、役物連続作動装置スイッチ、カウントスイッチ15個賞球RAM領域にデータがあることにより、CPU102は、各賞球数に設定された8ビット賞球データを順次、データバス、出力データバスを通じてラッチ回路112aに出力する。これと同調するように払出制御基板200に対する割り込み信号、ストローブ信号の制御信号をデータバス、出力データバスを通じてラッチ回路112eに出力する。
メモリマップドI/Oで制御されたアドレスデコード回路113でデコードして得たチップセレクト信号がラッチ回路112a、ラッチ回路112eに順次出力されると、8ビット賞球データがラッチ回路112aに、割り込み信号、ストローブ信号の制御信号がラッチ回路112eにそれぞれラッチされ、8ビットパラレル賞球出力信号と割り込み信号、ストローブ信号の2ビットの制御信号で構成された出力信号が、払出制御基板200に賞球データとして出力される。
賞球データが入力された払出制御基板200は、球排出機構を制御して、入力された賞球データに対応した数の賞球排出を行うものである。詳しくは後述する。排出した賞球の検出を、右賞球検出スイッチ130a、左賞球検出スイッチ130bで行い、ゲート回路111に入力されCPU102に取り込まれ、賞球数を管理する。またその検出信号は払出制御基板200にも出力されている。
これらの検出信号に基づいて、実際に払い出した賞球総数がCPU102で演算処理され、その値がRAM領域の記憶データから減算処理され、リアルタイムに賞球総数のデータが更新される。また排出賞球数の設定数ごとに出力信号がラッチ回路112fに出力され、アドレスデコード回路113のチップセレクト信号に同期して外部へパルス出力され、枠用外部出力端子板800を介して管理用コンピュータ等に出力される。
始動口スイッチ121、右普通図柄表示装置作動ゲートスイッチ126a、左普通図柄表示装置作動ゲートスイッチ126bの入力信号に対応した乱数値が格納されているRAM領域に乱数値が記憶されている場合は、各表示装置140,310の可変表示の開始直前に遊技演出の種類(制御パターン)が決定され、決定された制御パターンを演出に係わる各基板に送信するとともに、生成されたデータをRAM領域に記憶する。
普通図柄に係わる乱数値が記憶されている場合は、普通図柄表示装置140の可変表示を実行するための表示制御データが生成され、表示制御データがCPU102からデータバスを通じてラッチ回路112gに出力される。そしてアドレスデコード回路113からチップセレクト信号が出力されるごとに普通図柄LED表示が一定時間行われる。
普通図柄に係わる乱数値の取得結果が当たりの場合には、前記始動口21の各可動片を拡開動作させる普通電動役物ソレノイド136の制動データが、CPU102からラッチ回路112gに出力されると共に、アドレスデコード回路113からのチップセレクト信号に応じてラッチ回路112gから一定時間出力されて普通電動役物ソレノイド136が制御される。それにより、始動口21が拡状態となり、球が入賞し易い状態が発生する。
始動口21に係わる乱数値が記憶されている場合は、可変表示装置310の可変表示を行わせるために表示器制御基板300に、前記制御パターンとそれに対応した停止図柄を定める左図柄データ、中図柄データ、右図柄データが時系列に表示演出データとして出力される。すなわち、CPU102から表示器制御基板300に、表示状態演出データが、データバスを通じてラッチ回路112bに順次出力されると、これらと同調するように割り込み信号、ストローブ信号の2ビット制御信号がラッチ回路112eへ出力され、表示器制御基板300を制御し可変表示演出を実行する。
表示器制御基板300への制御パターン送信に同調して、ランプ制御基板400に制御パターンを出力する。CPU102からランプ制御基板400にランプ演出データが、データバスを通じてラッチ回路112cに出力されると、これらと同調するように割り込み信号、ストローブ信号の2ビット制御信号がラッチ回路112eへ出力され、ランプ制御基板400を制御しランプ演出を実行する。
上記と同様に、音声制御基板500に対しても制御パターンを出力する。CPU102から音声制御基板500に音声演出データが、データバスを通じてラッチ回路112dに出力されると、これらと同調するように割り込み信号、ストローブ信号の2ビット制御信号がラッチ回路112eへ出力され、音声制御基板500を制御し音声演出を実行する。これらの信号は、メモリマップドI/Oで制御されたアドレスデコード回路113からデコードされて出力されるチップセレクト信号に基づくタイミングで、順次ラッチ回路にラッチされ、各制御基板へとパラレル出力される。
遊技状態が特別遊技状態の場合、遊技状態演出データに同調して大入賞口ソレノイド134の制御データがラッチ回路112gに出力され、かつアドレスデコード回路113からのチップセレクト信号がラッチ回路112gに入力される。これによりラッチ回路112gから大入賞口ソレノイド134の制御データが出力され、大入賞口ソレノイド134が駆動され、大入賞口24が開閉状態になって球を大入賞口24に誘導可能となる。
大入賞口24内部の特定領域に配置された役物連続作動装置スイッチ124が球を検知すると球検出信号が出力され、この信号がゲート回路111を介してデータバスに出力されCPU102に取り込まれる。役物連続作動装置スイッチ124から出力された球検出信号に基づく検出処理の結果、方向切換ソレノイド135の制御データがラッチ回路112gに出力され、方向切換ソレノイド135が制動される。同時に役物連続作動装置スイッチ124から出力された球検出信号に基づき、大当たり状態を次回のラウンドへ継続するか否かを示すラウンド継続データがRAM領域に記憶される。
方向切換ソレノイド135が制動されることにより、大入賞口24内に配置されたカウントスイッチ125で球が計数される。カウントスイッチ125で計数されたデータの総合計数が所定の数量に到達するとラッチ回路112gの出力データが変更され、大入賞口ソレノイド134、方向切換ソレノイド135が非能動状態になり、1回の大当たりラウンドが終了する。所定時間後、ラウンド継続データがラウンドの継続を示している場合には、前述した制御方法により大当たり状態ラウンドがさらに継続する。
主基板100に電源が供給されると、電源基板700よりリセット信号が供給され主基板100の各デバイスはリセット状態になる。その後システムリセット信号が非能動状態となり、各デバイスは能動状態に遷移する。システムリセット信号が非能動状態に信号変化すると、クロック同期・遅延回路109による遅延処理により一定時間の経過後にワンチップマイコン101へのリセット信号が非能動となる。これによりワンチップマイコン101が稼動状態になり、主基板100の動作状態が保たれる。その後、ワンチップマイコン101の初期設定が行われる。
遊技機外部供給の電源が不安定な場合には、電源基板700から停電検出信号がワンチップマイコン101のNMI(ノンマスカブルインターラプト)105に供給され、ワンチップマイコン101において各記憶領域の退避動作が行われる。具体的には、一定時間にわたって賞球検出データの検知を行った後、RAM領域に停電処理判定のデータを保存し、RAM104の保護を行う。すなわち、電源電圧が低下することで、電源基板700からRAM104にバックアップ電源DC5VBBが供給され、RAM104の記憶状態が保持される。
電源が次に供給された時、停電処理判定のデータの有無に基づき停電処理のあったことを認識すると、ワンチップマイコン101は停電復旧処理を行う。初期設定の時、RAM初期化信号が能動状態であれば、CPU102はI/Oポート106のデータを検出してRAM領域の初期化を行う。
シュート球切れスイッチ131で球切れを検出した信号、およびオーバーフロースイッチ133で遊技盤面の下受け皿4にて賞球の球詰まりを検出した信号は、ゲート回路111に入力され、データバスを通じてワンチップマイコン101に取り込まれる。これらの信号は、データ変換後、ラッチ回路112aから賞球出力データと同じ構成にて払出制御基板200へ出力される。該ラッチ回路112a〜112gの出力は、一方向であり、不可逆性の出力形態をとる。
次に、図7に示す払出制御基盤200について説明する。
払出制御基板200は、主基板100からの受信のみの一方向通信を行い、8ビットパラレル賞球データ、割り込み信号、ストローブ信号で構成された通信データを受信する。割り込み信号が、ワンチップマイコン201のカウンタ回路202に入力されると、当該カウンタ回路202からCPU203に内部割り込み信号が出力される。
CPU203は、主基板100からの賞球データを入力するための準備として割り込み処理を行う。これにより、ストローブ信号は、CPU203に対して賞球データの取り込みとするトリガー信号となる。CPU203は、アドレスデコード回路213を通じてチップセレクト信号をゲート回路212、ゲート回路211に出力し、ゲート回路212,211に入力されている賞球データや各種の信号をゲート回路およびデータバスを介して取り込み、RAM205に保存する。そして、取り込んだ賞球データに対応する賞球数で順次、払出動作を行う。
CPU203は、賞球経路切換信号を、データバスを通じてラッチ回路215に出力し、これと同時にアドレスデコード回路213からチップセレクト信号を出力させる。これにより賞球経路切換信号が経路切換ソレノイド224に出力され、払出動作の賞球経路確保が行われる。その後、ラッチ回路214に払出停止ソレノイド信号の停止解除信号を出力し、払出モータ222に払出モータ制御信号1,2,3,4を順次出力し、チップセレクト信号の出力タイミングによりモータ回転の制御をしながら賞球払出動作を行う。
クロック回路209のクロックを基準に、内部タイマー208で一定時間間隔の割り込み信号をCPU203に対して生成し、この割り込みタイミングで賞球の検出信号をデータバスに取り込み、所定の賞球数を検出した時、払出停止ソレノイド223、払出モータ222の駆動を停止する。なお、賞球の検出は、球貸し経路に設置された右賞球検出スイッチ130a、左賞球検出スイッチ130bで行われ、これらの検出信号はゲート回路211にチップセレクト信号を出力することでデータバスに取り込まれる。また、賞球検出信号は、前述したように主基板100に対しても入力され、より正確な賞球払出しを行っている。
球貸し動作は、カードユニット(CR球貸機)bとの間で球貸し信号を、ゲート回路211、ラッチ回路215を通して送受信することにより行われる。球貸し動作時、CPU203はラッチ回路215を通して球貸し経路切換信号を経路切換ソレノイド224に出力して球貸し経路を確保し、球貸し経路に設置された右貸し球検出スイッチ220a、左貸し球検出スイッチ220bで貸し球の検出を行い、払出動作を行う。
球貸し動作において、一定数ごとにラッチ回路215から外部へアドレスデコード回路213のチップセレクト信号に同期してパルス出力され、枠用外部出力端子板800を介して管理用コンピュータ等に出力される。また、球貸し信号の送受信が正常な状態において、ラッチ回路215から、発射制御基板600に対して発射許可信号が能動状態で出力される。また球貸し信号の送受信に異常が発生すると、発射許可信号は非能動状態に変化し、球発射不可能な状態になる。しかし、球貸し信号の送受信が正常な状態に復帰することで、発射可能となる。
その他、払出動作においては、主基板100から、賞球データにシュート球切れスイッチ131のシュート球切れ信号、および遊技機本体1の下受け皿4に設置されたオーバーフロースイッチ133のオーバーフロー信号が送信されると、払出制御基板200は払出動作を停止する。また、賞球データに各解除信号が送信されることにより払出動作を再開する。払出制御基板200に電源が供給されると、電源基板700よりシステムリセット信号が供給され、払出制御基板200の各デバイスはリセット状態になる。その後、リセット信号が非能動状態で、各デバイスは能動状態に遷移する。
クロック同期・遅延回路210の遅延処理により、ワンチップマイコン201へのリセット信号は、元のリセット信号が非能動状態に信号変化してから一定時間の経過後に非能動になる。こうして元のリセット信号が非能動状態になってから一定時間の経過後に、ワンチップマイコン201は稼動状態になり、払出制御基板200の動作状態が保たれる。その後、ワンチップマイコン201の初期設定が行われる。
遊技機外部供給の電源が不安定な場合には、電源基板700からワンチップマイコン201のNMI(ノンマスカブルインターラプト)206に停電検出信号が供給され、ワンチップマイコン201において各記憶領域の退避動作が行われる。具体的には、一定時間にわたって賞球検出データの検知を行った後、RAM領域に停電処理判定のデータを保存し、RAM205の保護を行う。
電源電圧が低下した場合や遮断された場合は、電源基板700からRAM205にバックアップ電源としてDC5VBBが供給され、RAM205の記憶状態が保持される。再度電源供給がされた時、停電処理判定のデータの存在を認識することで、ワンチップマイコン201は停電復旧処理を行う。初期設定の時、RAM初期化信号が能動状態であれば、CPU203はI/Oポート106のデータを検出して、RAM領域の初期化を行う。
次に、図8に示す表示器制御基板300について説明する。
表示器制御基板300は、主に遊技盤2上に設置された可変表示装置310の制御を行う。表示器制御基板300は、所定の画像処理手順(プログラム)や画像制御データを記憶している表示器制御ROM302と、所定の画像処理手順を読み取り実行する表示器制御CPU301を有している。
また、表示器制御基板300は、前記表示器制御CPU301によって画像処理手順を実行することで取得した情報を記憶するための表示器制御RAM303と、主基板100からの指示情報や表示器制御基板300内の各制御IC等と入出力を行うための入出力インターフェース306と、表示器制御CPU301によって、入出力インターフェース306を介して制御指示情報を取得し、具体的な画像を生成する画像制御IC304を有している。
さらに表示器制御基板300は、画像制御IC304に管理され、多種多様な画像をデータ化し記憶している画像データROM305と、前記表示器制御CPU301が正常に動作し画像が表示されていることを確認するための信号を外部に出力するための試射試験信号端子307等を有している。
表示器制御CPU301には、入出力インターフェース306を介して、主基板100からパラレル通信によって指示情報が入力される。表示器制御CPU301は、入力された指示情報の内容を、表示器制御ROM302に記憶されている画像処理手順に従って実行し、表示器制御RAM303に情報を整理して格納しながら、画像制御IC304へ具体的な指示を行う。
画像制御IC304は、表示器制御CPU301の指示に従い、画像データROM305を参照して、具体的な映像信号を生成し、可変表示装置310へ出力する。なお図8のブロック図では、画像制御IC304が生成した画像データやパレット(色)情報等を一時的に記憶しておく領域であるVRAMが図示されていないが、画像制御IC304の内部にVRAMを内蔵した画像制御IC304で構成している。このほか、画像制御IC304の外部にVRAMを備えるようにしてもよい。
電源基板700からのリセット信号は、遊技機本体1に電源が投入されると、電源基板700から表示器制御CPU301に入力される。その後、表示器制御CPU301は、表示器制御ROM302に記憶されている画像制御手順に従って、表示器制御基板300内の各制御回路の初期化を行う。
次に、図9に示すランプ制御基板400について説明する。
ランプ制御基板400は、遊技機本体1の前面や遊技盤2上に設置された遊技機状態ランプ422、サイドケースランプ423、各種LED424〜428,420,421等の点灯制御を行うものである。
ランプ制御基板400は、所定のランプ制御処理手順(プログラム)や制御データを記憶しているランプ制御ROM402と、所定のランプ制御処理手順を読み取り実行するランプ制御CPU401と、ランプ制御CPU401によってランプ制御処理手順を実行することで取得した情報を記憶するランプ制御RAM403と、主基板100からの指示情報やランプ制御基板400内の各制御回路等と入出力を行うための入出力インターフェース404と、ランプ制御CPU401によって入出力インターフェース404を介してランプ制御基板400と接続している各ランプ・LEDの点灯信号を、駆動させるためのドライバー回路405等で構成されている。
ランプ制御CPU401には、入出力インターフェース404を介して、主基板100からパラレル通信により指示情報が入力される。ランプ制御CPU401は、入力された指示情報の内容をランプ制御ROM402に記憶されているランプ制御処理手順に従って実行し、ランプ制御RAM403に情報を整理して格納しながら、ドライバー回路405を動作させ、接続されている各ランプ・LEDの点灯・消灯を行う。
電源基板700からのリセット信号は、遊技機本体1に電源が投入されると、電源基板700からランプ制御CPU401に入力される。そして、ランプ制御CPU401は、ランプ制御ROM402に記憶されている制御手順に従って、ランプ制御基板400内の各制御回路の初期化を行う。
次に、図10に示す音声制御基板500について説明する。
音声制御基板500は、遊技機本体1が遊技状態にある時、ゲーム演出による効果音や音声等の制御を行うものである。また、遊技状態でない場合は、遊技機本体1の異常状態を知らせるための警告音等の制御を行う。
音声制御基板500は、所定の音声処理手順(プログラム)や制御データを記憶している音声制御ROM502と、所定の音声制御手順を読み取り実行する音声制御CPU501と、音声制御CPU501により音声処理手順を実行して取得した情報を記憶する音声制御RAM503と、主基板100からの指示情報や音声制御基板500内の各制御IC等と入出力を行うための入出力インターフェース506と、音声制御CPU501により入出力インターフェース506を介し制御指示情報を取得して具体的な音声を生成する音声制御IC504と、音声制御IC504に管理され、多種多様な音声をデータ化し記憶している音声データROM505と、音声制御IC501から生成された音声信号を増幅するアンプ回路507から構成される。
音声制御CPU501は、入出力インターフェース506を介して、主基板100からのパラレル通信により指示情報が入力される。音声制御CPU501は、入力された指示情報の内容を音声制御ROM502に記憶されている音声制御手順に従って実行し、音声制御RAM503に情報を整理して格納しながら、音声制御IC504へ具体的な指示を行う。
音声制御IC504は、音声制御CPU501の指示に従い、音声データROM505を参照し、具体的な音声の信号を生成しアンプ回路507へ出力する。電源基板700からのリセット信号は、遊技機本体1に電源が投入されると、該電源基板700から音声制御CPU501に入力され、音声制御CPU501は音声制御ROM503に記憶されている音声制御手順に従い、音声制御基板500内の各制御回路の初期化を行う。
次に、図11に示す発射制御基板600について説明する。
発射制御基板600は、発射モータ653に使用されているパルスモータの回転数を、所定の回転数にするためのパルスを発生させる回路である発振回路601と、分周回路602と、ハンドル部650内のタッチセンサ651からの信号、発射停止スイッチ652からの信号、電源基板700からのリセット信号、そして前記払出制御基板200からの発射許可信号を判断し、発射モータ駆動信号を生成するモータ駆動信号制御回路603と、発射モータ653の各コイルに励磁させるためのドライバー回路604等から構成されている。
前記ハンドル部650は、遊技者がハンドル5に触れているか否かを検出するタッチセンサ651、遊技者が任意に球の発射を停止できるようにする発射停止スイッチ652、球を発射させるためのパルスモータから成る発射モータ653等で構成されている。電源基板700からのリセット信号は、遊技機本体1に電源が投入されると、電源基板700からモータ駆動信号制御回路603へ入力され、発射制御基板600の各回路を初期化する。
ハンドル部650内のタッチセンサ651は、遊技者がハンドル5に触れている状態か触れていない状態かを検出し、検出した信号をモータ駆動信号制御回路603に出力し、モータ駆動信号制御回路603は、検出信号に基づいて発射制御を行う。遊技者がハンドル5に触れている状態の時は、球の発射が可能となり、触れていない時は、球の発射が不可能となるよう制御する。
発射停止スイッチ652は、遊技者が任意に球の発射を停止することができるように設けたスイッチであり、発射停止スイッチ信号は、モータ駆動信号制御回路603に入力され、モータ駆動信号制御回路603は、発射停止スイッチ信号に基づいて発射制御を行う。遊技者が発射停止スイッチ652を操作した場合、発射不可能となり、操作がない場合は、発射可能となる。
また、発射停止スイッチ652は、遊技者から何ら発射停止スイッチ652に対し操作がなく、ハンドル5を回転させた状態にない場合には、発射停止スイッチ652から入力がされた状態と同じ信号を出力する。すなわち、ハンドル5内部の構造上、ハンドル5の操作がない場合では、発射停止スイッチ652からの信号が入力されている状態となる。つまり、前述したタッチセンサ651が遊技者がハンドル5に触れていることを検出せず、かつハンドル5の操作がない場合は、遊技者がいないとみなし、発射停止制御を行っている。
次に、図12に示す電源基板700について説明する。
外部から供給されるAC24Vをダイオードブリッジ整流器で全波整流を行い、直流電源DC24Vを生成する。DC24V電源にダイオードを通してコンデンサーで平滑を行い、DC32V電源を生成する。DC24V、DC32Vは非安定電源である。
DC24Vを電源回路701に供給して、安定電源DC18V、DC12V、DC5Vの定電圧電源が生成され、前記主基板100、前記払出制御基板200、前記ランプ制御基板400、前記音声制御基板500、前記表示器制御基板300、前記発射制御基板600に供給される。
生成されたDC5Vの定電圧電源を、ダイオードを通してバックアップ回路702のコンデンサーに接続して、DC5VBBのバックアップ電源を生成し、DC5VBBが主基板100、前記払出制御基板200に供給される。前記AC24Vはカードユニット接続基板900に供給され、前記払出制御基板200とカードユニットbの通信用電源、操作パネル基板aの電源に使用される。
DC24V電源の電圧レベルを電圧検出回路708で検出して遅延回路707に出力する。遅延回路707は内部時定数500ミリsecの遅延時間をもち、電圧検出回路708の連続出力時間が遅延回路707の時定数より大きくないと遅延回路707は出力信号を出力しない。このため、DC24V電源の電圧レベルが遅延回路707の時定数より小さい時間の電圧変動および電源停止は無視され、停電検出信号は電源基板700より外部に出力されない。
遅延回路707に時定数より大きな入力信号があると、遅延回路707は停電検出信号を前記主基板100、前記払出制御基板200、シフトレジスタ704のシリアル入力端子に出力する。8ビットシフトレジスタ704は、クロック回路706より周期20ミリsecのクロックが常時入力されている。
ここで8ビットのデータ入力端子はゼロに固定している。このため、停電検出信号が8ビットシフトレジスタ704に入力すると、8クロック(約160ミリsec)後8ビットシフトレジスタ704からリセット信号が前記主基板100、前記払出制御基板200、前記発射制御基板600、前記表示器制御基板300、前記ランプ制御基板400、前記音声制御基板500に出力される。
電源立ち上げ時および停電復帰後、周辺回路電源立ち上げ時より遅延回路707の時定数の時間、停電検出信号およびリセット信号は能動状態で出力している。遅延回路707の時定数の時間後、停電検出信号は非能動状態になり、リセット信号は、8ビットシフトレジスタ704の8クロック後非能動状態で出力される。RAM初期化信号は、RAM初期化スイッチ705を手動で押すことにより能動状態で前記主基板100、前記払出制御基板200に出力される。
以下に、前述した遊技機本体1の動作について説明する。
最初に、図13〜図15のフローチャートに沿って遊技全体の制御の詳細を説明する。 図13は、可変表示条件の成立に伴う大当たり用判定乱数の格納に関する処理を示している。遊技者がハンドル5を回転操作すると、遊技球が1個ずつ遊技盤2上の遊技領域17に打ち込まれる。始動口21に遊技球が入賞して始動スイッチ121に入力があると(ステップS101;Y)、可変表示遊技が停止中であれば(ステップS102;Y)、主基板100は大当たり用判定乱数を抽出し(ステップS103)、抽出した大当たり用判定乱数を格納する(ステップS104)。
可変表示遊技が実行中であれば(ステップS102;N)、始動記憶情報の格納状況を判断し(ステップS105)、始動記憶情報の保留数が上限値未満であれば(ステップS105;Y)、始動記憶情報に係る保留数のインクリメントを行い(ステップS106)、大当たり用判定乱数を抽出し(ステップS103)、抽出した大当たり用判定乱数を格納する(ステップS104)。始動記憶情報の保留数が上限値であれば(ステップS105;N)、大当たり用判定乱数を抽出することなく本処理は終了する。
図14,図15は、可変表示遊技の実行に関するフローチャートである。
先ず図14において、可変表示遊技が実行中でないことを条件として(ステップS201;Y)、始動記憶情報の有無を判断し(ステップS202)、始動記憶情報がなければ(ステップS202;N)、そのまま本処理は終了する。
始動記憶情報がある場合には(ステップS202;Y)、遊技者による外部入力スイッチ137の押し下げ操作の有無を判断する(ステップS203)。遊技者が外部入力スイッチ137を押し下げ操作すると、該外部入力スイッチ137から出力される操作信号は、図6に示すゲート回路111から主基板100に入力され、これに基づき主基板100は、外部入力スイッチ137の押し下げ操作の有無を判断する。
遊技者による外部入力スイッチ137の押し下げ操作がない場合には(ステップS203;N)、表示制御手段の制御によって、通常の可変表示遊技として装飾可変表示が実行される(ステップS209)。装飾可変表示が開始されると、可変表示装置310の表示領域に横一列に左、中、右と3つの識別情報が並ぶように表示され、各列ごとに識別情報が縦方向にスクロール変動する。そして所定時間が経過すると、各列ごとに1つずつ任意の識別情報が停止した後、装飾可変表示の表示結果が停止確定して本処理は終了する。
このように遊技者が外部入力スイッチ137の押し下げ操作を行わなければ、表示制御手段は、通常の遊技時における可変表示遊技として、始動記憶情報をその獲得順に順次消化しつつ、各始動記憶情報ごとに対応した装飾可変表示を1つずつ順番に実行することになる。これにより、遊技者は外部入力スイッチ137を操作しないという自らの意思によって、可変表示遊技の開始から表示結果の確定に至る表示過程を識別情報の経時的な変動により演出する装飾可変表示を充分に楽しむことができる。
一方、遊技者により外部入力スイッチ137の押し下げ操作がなされた場合には(ステップS203;Y)、先ず表示制御手段によって、外部入力スイッチ137の押し下げ操作が停止され、遊技者による外部入力スイッチ137の新たな操作が無効となる(ステップS204)。次に表示制御手段によって、現在実行中ないし始動記憶情報に係る可変表示遊技に関して装飾可変表示の表示過程が省略されて(ステップS205)、装飾可変表示の表示結果がまとめて表示される(ステップS206)。
ここで表示制御手段は、複数の装飾可変表示の表示過程を省略して表示結果をまとめて表示する際、後述するが図16(b)に示すように、可変表示装置310の表示領域を前記表示結果の数だけ分割し、該分割した各区分ごとに前記表示結果をそれぞれ表示させる。これにより、複数の表示結果の一覧を一画面上で容易に把握することが可能となる。それに加えて、どのような識別情報で表示結果が確定しているのかが一目で分かり、表示上の興趣をいっそう高めることができる。
続いて表示制御手段により、前記表示結果ごとに対応する実体可変表示が順次実行されるが、表示結果の一覧中に大当たりに相当するもの、詳しくは3つの識別情報が全て同一種類で揃った組み合わせがあるか否かが判断される(ステップS207)。ここで表示結果の中に大当たりに相当するものが含まれている場合には(ステップS207;Y)、表示結果がまとめて表示されている期間に、大当たりに相当する分までの表示結果ごとに対応する実体可変表示が順次実行される(ステップS208)。
そして主基板100により、前記大当たりに相当する特別遊技状態の実行処理が行われる(ステップS301)。すなわち、大入賞口ソレノイド134の駆動制御により、大入賞口24が所定回数である15ラウンドを限度に繰り返し開閉することになる。特別遊技状態の終了時に、未だ実行していない実体可変表示が残っている場合には(ステップS302;Y)、残りの表示結果ごとに対応する実体可変表示は、特別遊技状態の終了を示唆する大当たり終了表示中に順次実行される(ステップS303)。
残りの表示結果にも大当たりに相当するものがある場合には、これに対応する実体可変表示の表示結果は大当たりを示す判定用図柄「○」となるが、残りの表示結果に大当たりに相当するものがない場合には(ステップS304;N)、全ての実体可変表示がそのまま順次実行される。一方、残りの表示結果に大当たりに相当するものが未だあった場合には(ステップS304;Y)、これに基づき再び特別遊技状態の実行処理が行われ(ステップS301)、残りの実体可変表示が全ての消化されるまで実体可変表示が順次実行される。
全ての実体可変表示が終了すると(ステップS302;N)、装飾可変表示の表示結果が一覧として表示されていた分の一連の可変表示遊技は終了する。すると、表示制御手段によって、外部入力スイッチ137の押し下げ操作の停止が解除され、遊技者による外部入力スイッチ137の新たな操作が可能となる(ステップS305)。これにより、外部入力スイッチ137の1回の操作によって、一度にまとめて表示された表示結果の範囲が明確に区切られることになり、遊技者は随時所定数まで累積的に保留される始動記憶情報のうち、どこまでが前記操作により既に表示結果が明らかなものであるかを明確に理解しながら遊技を行うことができる。
また、装飾可変表示の表示結果の一覧中に大当たりに相当するものが含まれていない場合には(ステップS207;N)、表示結果がまとめて表示されている期間に、各表示結果ごとに対応する実体可変表示がそのまま順次実行される(ステップS210)。そして全ての実体可変表示が終了すると、外部入力スイッチ137の押し下げ操作の停止が解除され(ステップS305)、これにより、遊技者による外部入力スイッチ137の新たな押し下げ操作が可能となる。
以上のように、遊技者が外部入力スイッチ137の押し下げ操作を積極的に行った場合に、表示制御手段は、現在実行中ないし始動記憶情報に係る可変表示遊技に関して、装飾可変表示の表示過程を省略した表示結果を一度にまとめて表示し、該表示結果ごとに対応する実体可変表示を順次実行する。従って、遊技者は装飾可変表示の表示過程が省略された表示結果のみまとめて一度に見ることができ、また同時に実体可変表示により、表示結果を改めて再度識別できるので、遊技を楽しむ十分な時間がない遊技者にとって、可変表示遊技の煩わしさがなくなると共に、確実に表示結果を把握することが可能となる。
また、まとめて表示された表示結果の中に大当たりに相当するものが含まれていた場合には、表示結果がまとめて表示されている期間に、大当たりに相当する分までの表示結果ごとに対応する実体可変表示が順次実行される。そして、残りの表示結果ごとに対応する実体可変表示は、大当たりに基づき発生した特別遊技状態の終了を示唆する大当たり終了表示中に順次実行される。
それにより、大当たりに基づく特別遊技状態の発生に伴って前記可変表示遊技に関する表示を一旦中断しても、特別遊技状態が終了すれば大当たり終了表示中に、一旦中断していた実体可変表示の残り分だけを再び効率良く表示することになり、遊技を楽しむ十分な時間がない遊技者にとって、よりいっそうと可変表示遊技に対する煩わしさを解消することができる。
次に、図16〜図21に沿って可変表示装置310で実行される可変表示遊技の具体的な表示内容について説明する。図16,図17は、装飾可変表示が現在実行中であり、始動記憶情報が上限4個まで保留されている状態であって、現在実行中ないし始動記憶情報に係る可変表示遊技に大当たりが含まれていない場合の表示内容の一例を示している。
図16(a)では、可変表示装置310の表示領域で装飾可変表示が現在実行中で、横一列に並ぶ3つの列ごとに識別情報が縦方向にスクロール変動している。また、表示領域の右側下方の片隅には表示部311が形成されており、現在実行中の装飾可変表示に対応する実体可変表示も表示部311で同時に実行されている。さらに、始動記憶情報の保留数は4個であり、この数は特別図柄保留LED420にある4個のランプの点灯(図中に薄墨色で示す)によって表示されている。
このような遊技状況下において、遊技者が図1に示す外部入力スイッチ137を押し下げ操作すると、図16(b)に示すように、可変表示装置310の表示領域は、現在実行中ないし始動記憶情報に係る可変表示遊技の合計数である5つに対応して5分割され、分割された各区分ごとに、それぞれ装飾可変表示の表示過程が省略されて、一度に全ての表示結果が一覧表示される。
詳しく言えば可変表示装置310の表示領域は、上下に3段に分割され、さらに上段と中段が左右に2分割されて、上から順に、上段左側区分には、現在実行中であった装飾可変表示の表示結果が表示され、上段右側区分には、最も古い1番目の始動記憶情報に係る装飾可変表示の表示結果が表示される。
また、中段左側区分には、2番目の始動記憶情報に係る装飾可変表示の表示結果が表示され、中段右側区分には、3番目の始動記憶情報に係る装飾可変表示の表示結果が表示される。さらに、下段区分には、4番目の始動記憶情報に係る装飾可変表示の表示結果が表示される。なお、上段左側区分を除く各区分には、それぞれ左上隅に始動記憶情報が記憶された順番を示す数字が表示される。
図16の表示例では、現在実行中ないし始動記憶情報に係る可変表示遊技の表示結果が元々全て外れであるため、前記各区分には外れ表示態様に相当する3つの識別情報の組み合わせが表示される。図中では全て「123」の組み合わせであるが、もちろん停止図柄の種類はこれに限定されるものではない。また、全ての表示結果は外れ表示態様であるため、前記外部入力スイッチ137を押し下げ操作した時に、特別図柄保留LED420による保留表示は全て消灯する。これに対して、表示結果の一覧中に大当たりがある場合の特別図柄保留LED420による保留表示に関しては後述する。
また、下段区分の右下隅に形成された表示部311では、一覧表示された各表示結果ごとに対応する実体可変表示が順次実行される。先ず図16(b)では、実行中であった装飾可変表示に対応した実体可変表示が実行され、外れを示す判定用図柄「×」が表示される。続いて図16(c)に示すように、表示部311における表示が消去された後、直ぐに図16(d)に示すように、1番目の始動記憶情報に係る実体可変表示が実行され、同じく外れを示す判定用図柄「×」が表示される。
さらに図16(e)に示すように、表示部311における表示が消去された後、図16(f)に示すように、2番目の始動記憶情報に係る実体可変表示が実行され、外れを示す判定用図柄「×」が表示される。続いて図17(g)に示すように、表示部311における表示が消去された後、図17(h)に示すように、3番目の始動記憶情報に係る実体可変表示が実行され、外れを示す判定用図柄「×」が表示される。最後に図17(i)に示すように、表示部311における表示が消去された後、図17(j)に示すように、4番目の始動記憶情報に係る実体可変表示が実行され、外れを示す判定用図柄「×」が表示される。
このように、表示制御手段は、実体可変表示を実行する際に可変表示装置310の表示領域の一部に専用の表示部311を形成し、該表示部311内に可変表示遊技の表示結果のみを表す判定用図柄を表示することで実体可変表示を実行する。このような実体可変表示によって、前記装飾可変表示とは全く別に、可変表示遊技の表示結果のみを順次迅速かつ容易に把握することが可能となる。
図18は、遊技機本体1において可変表示遊技に関連して出力される信号に関するタイミングチャートであり、図16,図17で説明した遊技状態に対応している。外部入力スイッチ137が押し下げ操作される前は、始動記憶情報が上限4個まで保留されている状態で、通常の遊技時における可変表示遊技として、装飾可変表示と実体可変表示とが同時に実行されているが(信号b,g)、その途中で遊技者が外部入力スイッチ137を押し下げ操作すると、操作信号がONとなる(信号a)。
操作信号がONになると、現在実行中の可変表示遊技のみならず、保留されている始動記憶情報に係る可変表示遊技に関しても、装飾可変表示の表示結果を表示する旨の信号が一斉にONとなり(信号b〜f)、全ての装飾可変表示の表示結果が一度にまとめて表示される。また、前記操作信号がONになると、現在実行中の可変表示遊技に関して実体可変表示が終了し、外れを示す判定用図柄「×」が表示されると共に(信号g)、始動記憶情報に係る可変表示遊技に関しても、実体可変表示を実行する旨の信号が短時間に順次ONとなり(信号h〜k)、記憶された時期の古い順番で始動記憶情報1〜4に係る実体可変表示が順次実行されて、それぞれ外れを示す判定用図柄「×」が表示される。
図19,図20は、装飾可変表示が現在実行中であり、始動記憶情報が上限4個まで保留されている状態であって、現在実行中ないし始動記憶情報に係る可変表示遊技に大当たりが含まれている場合の表示内容の一例を示している。かかる例では、2番目と3番目の始動記憶情報が、それぞれ大当たりに相当するものとなっている。
図19(a)では、可変表示装置310の表示領域で装飾可変表示が現在実行中で、横一列に並ぶ3つの列ごとに識別情報が縦方向にスクロール変動している。また、表示領域の右側下方の片隅には表示部311が形成されており、現在実行中の装飾可変表示に対応する実体可変表示も表示部311で同時に実行されている。さらに、始動記憶情報の保留数は4個であり、この数は特別図柄保留LED420にある4個のランプの点灯(図中に薄墨色で示す)によって一律に表示されている。
このような遊技状況下において、遊技者が図1に示す外部入力スイッチ137を押し下げ操作すると、図19(b)に示すように、可変表示装置310の表示領域は、現在実行中ないし始動記憶情報に係る可変表示遊技の合計数である5つに対応して5分割され、分割された各区分ごとに、それぞれ装飾可変表示の表示過程が省略されて、一度に全ての表示結果が一覧表示される。
図19の表示例では、2番目と3番目の始動記憶情報がそれぞれ大当たりに相当しており、中段左側区分には、2番目の始動記憶情報に係る装飾可変表示の表示結果として大当たりに相当する「777」の組み合わせが表示され、中段右側区分には、3番目の始動記憶情報に係る装飾可変表示の表示結果として、同様に大当たりに相当する「777」の組み合わせが表示されている。なお、大当たりである識別情報の組み合わせは、「777」に限定されるものではなく、また、他の外れ表示態様である識別情報の組み合わせも、「123」に限定されるものではない。
また、外部入力スイッチ137が押し下げ操作された際、図19(b)に示すように、まとめて表示された装飾可変表示の表示結果の中に、大当たりに相当するものが2つ以上含まれていた場合には、最初の大当たりに相当する始動記憶情報より前の始動記憶情報に対応する始動保留表示装置420の表示は消去される。そして、最初の大当たりに相当する始動記憶情報以降の始動記憶情報に対応する始動保留表示装置420の表示は、大当たりに相当するか否かを識別可能な表示となる。
すなわち、図19(b)において、始動保留表示装置420のランプは左端から順に、最初の大当たりに相当する2番目の始動記憶情報が大当たりを示す色(図中では黒色で塗り潰して示す)で点灯し、3番目の始動記憶情報も大当たりを示す色(図中では黒色で塗り潰して示す)で点灯し、4番目の始動記憶情報は外れを示す色(図中では薄墨色で示す)で点灯して表示されている。ここで、最初の大当たりに相当する2番目の始動記憶情報より前の1番目の始動記憶情報に対応する始動保留表示装置420の表示は、既に消去されている。
このように、まとめて表示された装飾可変表示の表示結果の中に大当たりに相当するものが2つ以上含まれていた場合には、始動保留表示装置420による表示は、遊技者にとって興味がある最初の大当たりに相当する始動記憶情報以降の始動記憶情報に対応する表示のみが、それぞれ大当たりに相当するか否かを識別可能な状態となる。それにより、遊技者は装飾可変表示の表示結果や、実体可変表示の実行と相俟って、始動保留表示装置420による表示によっても、最初の大当たりに続いて直ぐにまた大当たりがあることが容易に分かるので、早期に大当たりへの期待感を遊技者に抱かせると共に、遊技者の期待感を持続させることが可能となる。
また、下段区分の右下隅に形成された表示部311では、一覧表示された各表示結果ごとに対応する実体可変表示が順次実行される。先ず図19(b)では、実行中であった装飾可変表示に対応した実体可変表示が実行され、外れを示す判定用図柄「×」が表示される。続いて図19(c)に示すように、表示部311における表示が消去された後、直ぐに図19(d)に示すように、1番目の始動記憶情報に係る実体可変表示が実行され、同じく外れを示す判定用図柄「×」が表示される。
さらに図19(e)に示すように、表示部311における表示が消去された後、図19(f)に示すように、2番目の始動記憶情報に係る実体可変表示が実行されて、大当たりを示す判定用図柄「○」が表示される。この時、2番目の始動記憶情報は消化されたことになり、図19(e)において、始動保留表示装置420で2番目の始動記憶情報に対応する大当たりを示していた左端のランプ点灯(図中では黒色で塗り潰して示す)は消灯する。
次に、図20(g)に示すように、表示部311に2番目の始動記憶情報に係る実体可変表示の表示結果である判定用図柄「○」が表示されたままの状態で、該大当たりに基づく特別遊技状態の実行処理が開始され、可変表示装置310の表示領域では、前記表示結果の一覧に代わって特別遊技状態の開始を示唆する大当たり開始表示が行われる。その後特別遊技状態が終了すると、図20(h)に示すように、表示部311において表示されていた2番目の始動記憶情報に係る実体可変表示の表示結果である判定用図柄「○」が消去された後、残りの表示結果ごとに対応する実体可変表示が、大当たり終了表示中に順次実行される。
図20(i)に示すように、3番目の始動記憶情報に係る実体可変表示が続いて実行されるが、この3番目の始動記憶情報に係る表示結果も大当たりであるため、表示部311には、3番目の始動記憶情報に係る実体可変表示の表示結果として判定用図柄「○」が新たに表示される。この時、3番目の始動記憶情報は消化されたことになり、図20(h)において、始動保留表示装置420で3番目の始動記憶情報に対応する大当たりを示していた左端のランプ点灯(図中では黒色で塗り潰して示す)は消灯する。
続いて、図20(j)に示すように、表示部311に3番目の始動記憶情報に係る実体可変表示の表示結果である判定用図柄「○」が表示されたままの状態で、該大当たりに基づく特別遊技状態の実行処理が開始され、可変表示装置310の表示領域では、再び特別遊技状態の開始を示唆する大当たり開始表示が行われる。その後、特別遊技状態が終了すると、図20(k)に示すように、表示部311において表示されていた3番目の始動記憶情報に係る実体可変表示の表示結果である判定用図柄「○」が消去された後、残りの表示結果ごとに対応する実体可変表示が大当たり終了表示中に順次実行される。
図20(l)に示すように、4番目の始動記憶情報に係る実体可変表示が続いて実行されるが、この4番目の始動記憶情報に係る表示結果は外れに相当するため、表示部311には、4番目の始動記憶情報に係る実体可変表示の表示結果として判定用図柄「×」が表示される。この時、最後である4番目の始動記憶情報も消化されたことになり、図20(k)において、始動保留表示装置420で4番目の始動記憶情報に対応する外れを示していた左端のランプ点灯(図中で薄墨色で示す)は消灯する。以上により、遊技者が外部入力スイッチ137を押し下げ操作した時点で存在していた全ての可変表示遊技は終了する。
図21は、遊技機本体1において可変表示遊技に関連して出力される信号に関するタイミングチャートであり、図19,図20で説明した遊技状態に対応している。外部入力スイッチ137が押し下げ操作される前は、始動記憶情報が上限4個まで保留されている状態で、通常の遊技時における可変表示遊技として、装飾可変表示と実体可変表示とが同時に実行されているが(信号b,g)、その途中で遊技者が外部入力スイッチ137を押し下げ操作すると、操作信号がONとなる(信号a)。
操作信号がONになると、現在実行中の可変表示遊技のみならず、保留されている始動記憶情報に係る可変表示遊技に関しても、装飾可変表示の表示結果を表示する旨の信号が一斉にONとなり(信号b〜f)、全ての装飾可変表示の表示結果が一度にまとめて表示される。ここで2番目と3番目の始動記憶情報に係る装飾可変表示の表示結果は、大当たりに相当するものである(信号d,e)。
また、前記操作信号がONになると、現在実行中の可変表示遊技に関して実体可変表示が終了し、外れを示す判定用図柄「×」が表示されると共に(信号g)、始動記憶情報に係る可変表示遊技に関しても、実体可変表示を実行する旨の信号が短時間に順次ONとなり(信号h〜k)、記憶された時期の古い順番で始動記憶情報1〜4に係る実体可変表示が順次実行される。
ところが、2番目の始動記憶情報2は大当たりに相当するものであるので(信号i)、3番目の始動記憶情報3に係る実体可変表示(信号j)は、2番目の始動記憶情報2に基づく特別遊技状態(信号l)の終了後、その大当たり終了表示中に実行される。さらに、3番目の始動記憶情報3も大当たりに相当するものであるので(信号j)、4番目の始動記憶情報4に係る実体可変表示は(信号k)、3番目の始動記憶情報3に基づく特別遊技状態(信号l)の終了後、その大当たり終了表示中に実行される。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。また、前述した実施の形態では、本発明に係る遊技機をパチンコ機に適用した場合について説明したが、遊技機はパチンコ機に限られず、プログラム制御されるスマートボールゲーム機、アレンジボールゲーム機といった他の遊技機にも同様に本発明を適用することができる。また、可変表示装置310はスロットマシンに適用することができる。
また、前記実施の形態では、前記表示制御手段は、装飾可変表示の表示過程を省略した表示結果が表示されてから実体可変表示の実行が全て終了するまでの間は、遊技者による外部入力スイッチ137の新たな操作を無効とするが、別の実施の形態として、表示制御手段は、実体可変表示の実行中に遊技者が操作手段を操作した場合には、装飾可変表示の表示過程を省略した表示結果の表示、および実体可変表示の実行を中止するように設定してもよい。
これにより、例えば、操作手段である外部入力スイッチ137を誤って操作してしまった場合や、外部入力スイッチ137の操作後に、大当たりに相当する装飾可変表示の表示過程を楽しみたくなった等、途中で遊技者の気持ちが変わったような場合には、通常の遊技時の可変表示遊技に戻すことができる。
また、前記実施の形態では、可変表示遊技は、複数の識別情報をスクロールさせ識別情報の組み合わせから成る表示結果を導出するものとしたが、他に例えば、キャラクタ等によるストーリー性のある表示遊技を行い、ストーリーの結果を表示結果とするように設定してもよい。このようにした場合、ストーリーの表示結果として「大当たり」に相当する表示場面を用意するとよい。
また、前記実施の形態では、操作手段を外部入力スイッチ137として構成したが、操作手段はスイッチに限られるものではなく、可変表示装置310の画面やガラス枠11内のガラス面上にタッチパネルとして構成してもよい。また、外部入力スイッチ137を主基板100に接続したが、他に例えば、外部入力スイッチ137を表示器制御基板300に接続して、外部入力スイッチ137の操作信号が表示器制御基板300に入力されるように構成してもよい。また、遊技領域17に設けられた入賞口へ球を入賞させることや、遊技盤2の誘導レール16上や遊技領域17の特定部位等に球を通過させることで、遊技者の意思を入力できるように構成してもよい。
さらにまた、前記実施の形態では、主基板100に対して、表示器制御基板300、ランプ制御基板400、音声制御基板500を、それぞれ別々の基板として構成したが、各種制御基板の構成として他に例えば、表示器制御基板300と音声制御基板500の機能を同一基板上に設けて遊技演出制御基板として、これにランプ制御基板400を組み合わせてもよく、あるいは、ランプ制御基板400と音声制御基板500の機能を同一基板上に設けて音・ランプ制御基板として、これに表示器制御基板300を組み合わせてもよい。このように、前述した表示制御手段等を実現する具体的な構成は、図5および図6に具体的に示した各種制御基板に限定されるものではない。