JP2005315133A - ヒートポンプ給湯機 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、CO2冷媒下おいて高信頼性の圧縮機及びヒートポンプ給湯機を提供することにある。
【解決手段】本発明によれば、ヒートポンプ給湯機の冷媒としてCO2冷媒を選定し、CO2冷媒下における超臨界状態での圧縮機モータの絶縁材にPPS及びLCPのようなエンプラ材を加工したインシュレータを介して巻線した集中巻モータを搭載した圧縮機を採用することにより、圧縮機の小型化及び超臨界状態での高信頼性を確保することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明はヒートポンプ回路を利用したCO2冷媒用給湯機に関する。
従来の給湯機には貯湯槽を持たずにガス等を燃焼させて、その強力な燃焼熱で瞬間的に水を沸き上げて湯を供給する燃焼式給湯機や、大容量の貯湯槽を持ち夜間割引の安い深夜電力を利用して、夜の間に電気ヒータで加熱した大量の湯を貯湯槽に貯蔵し、日中に貯湯槽に貯蔵した湯を使う電気温水器等があった。
しかし、最近では電気温水器に比較してエネルギー効率が300〜500%も良いと云われるヒートポンプ給湯機が普及し始めてきた。ヒートポンプ給湯機は熱源に冷媒の状態変化を利用しているので、電気ヒータ加熱の数倍エネルギー効率が良く、またガス等を燃焼しないのでCO2を排出せず環境にやさしい給湯機と云われている。しかし、ガス等を燃焼したときのように強力な熱量がないため、電気温水器と同様に大容量の貯湯槽を設け、夜間の安価な電力を使って夜中にヒートポンプ回路で湯を沸き上げて貯湯槽に貯蔵し、日中は貯蔵した湯を使うと云う方法が一般的であった。したがって、従来のヒートポンプ給湯機ではヒートポンプ回路と、ヒートポンプ回路で沸かした湯を大量に貯蔵しておく貯湯槽をそれぞれ別個の装置として設け、配管等で接続して給湯機として機能させていた。
この例として特開平9−126547号公報に記載されたヒートポンプ給湯機が知られている。圧縮機、凝縮器、減圧装置、蒸発器から構成されたヒートポンプ回路と、大容量の貯湯槽を備え、貯湯槽の下部から循環ポンプを介してヒートポンプ回路の凝縮器となる水熱交換器に水配管を接続し、水熱交換器の出口と貯湯槽の上部に温水配管を接続して沸上げ回路を設けている。
そして、夜間の安価な電力を利用してエネルギー効率の良いヒートポンプ回路を運転し、貯湯槽内の水を循環ポンプで循環させながら水熱交換器で所定の湯温になるまで徐々に温め、所定の湯温に達したことを温度検知器で検知してヒートポンプ回路の運転を停止している。
日中、使用端末で湯を使用する際には貯湯槽上部から取り出した湯と水道水とをミキシングバルブで混合することで適当な温度にして供給する。
また、CO2の冷媒を用いた場合、超臨界状態となるために、従来使用されてきたPETフィルム等では劣化してしまい適用できない可能性が有る。さらにサイクル内に水分が存在すると劣化が促進される。
特開平9−126547号公報
大量の湯を沸き上げるためには大量のエネルギーが必要になり、また、高温の湯として貯蔵することは外気温度との差が大きくなり、放熱による熱損失が大きくなるため更に余分なエネルギーを使用することになっていた。
また、従来のヒートポンプ給湯機は夜間の安い電気料金を利用して、夜中にヒートポンプ回路を運転して高温の湯にして貯湯槽に貯え、日中はヒートポンプ回路を運転しないで貯湯槽に貯まっている湯を使用するという使い方を基本的に行っているため、時には貯湯槽の湯を使いきってしまい、直ぐに沸き上げることができず湯切れを起こすことがあった。
また、外気温度より温度の高い大量の湯を貯蔵するため貯湯槽の表面から熱が放射されてエネルギーの無駄使いになり、それによって温度が下がる分、夜の間に余裕を持って温めておく必要があった。
本発明の目的は、エネルギー効率の良く、コンパクトな給湯機を提供することである。
本発明の第2の目的は、CO2冷媒に対応した圧縮機材料を提供し、材料の劣化等を回避することに有る。
CO2冷媒を用いることによりエネルギー効率の良い給湯機を提供することができ、圧縮機モータとして集中巻モータを採用することにより圧縮機の小型化が図れる。また、CO2冷媒との適合性の良い絶縁材料を選定し超臨界状態においても実用可能である圧縮機を提供する。さらに、サイクル内にドライヤを設置することによりサイクル内水分を低減させ、材料劣化の促進を回避する。
本発明によれば、CO2冷媒を用いることによりエネルギー効率の良い給湯機を提供することができ、圧縮機モータとして集中巻モータを採用することにより圧縮機の小型化が図れる。また、CO2冷媒との適合性の良い絶縁材料を選定し超臨界状態においても実用可能である圧縮機を提供する。さらに、サイクル内にドライヤを設置することによりサイクル内水分を低減させ、材料劣化の促進を回避することができる。
以下、本発明の実施例を図1〜図7を参照して説明する。
図1は本発明のヒートポンプ給湯機の1実施例である。
まず、冷凍サイクルから説明する。それぞれの機器は冷媒配管で接続されていて、その中に冷媒を封入して密封し、ヒートポンプ回路10を構成しており、給湯に必要な大能力を実現させるため、さらにもう1つのヒートポンプ回路10aを追加した2つのヒートポンプ回路からなる。なお、本実施例においては、2つのヒートポンプ回路により給湯器を構成したが、圧縮機や熱交換器の性能、給湯能力によって1つの回路でも3つ以上の回路を用いても良い。
圧縮機1及び圧縮機1aにより圧縮された冷媒(CO2)は、熱交換器2に流入される。熱交換器2は、冷媒を凝縮させる凝縮器3、3aと湯水を沸き上げる水熱交換器11さらに浴槽水熱交換器44が一体に組込まれている。熱交換器2から流れ出た冷媒は減圧装置5、減圧装置5aの作用によって減圧され低温低圧の冷媒となる。そして、蒸発器6、蒸発器6aにおいて、送風機9及び送風機9aによって送風される外気から熱を吸収して、アキュムレーター7、アキュムレーター7aを介して再び圧縮機1及び圧縮機1aに吸入される。
8及び8aはバイパス弁で、これを開くことによって圧縮機1及び圧縮機1aから吐出される高温高圧の冷媒を蒸発器6及び6aに通流させることで、蒸発器6及び6aに付着した霜を融解させる(除霜制御)。この除霜制御のタイミングは、2つの冷媒回路同時であっても良いし、ずらしても良い。ずらした場合は、能力が多少低下するが間断無く給湯ができるという効果がある。
次に、水道管16から水を取り入れ、熱交換器2を介して直接利用側に給湯し、または後述するように内部で水を循環させることで所定の温度に沸かし上げる水循環回路22の給湯回路について説明する。
この水循環回路22には、熱交換器2、減圧逆止弁17、流量センサー21、逆止弁48、49、給湯タンク13、循環ポンプ15、給湯タンク13からの湯と水熱交換器11からの出湯を混合するミキシングバルブ61、ミキシングバルブ61からの湯と水を混合するミキシングバルブ62、湯の流量を調整する流量調整弁63を水配管で接続して構成している。
また、浴槽水回路は熱交換器2と、注湯電磁弁51、逆止弁50、水位センサー60、浴槽用の循環ポンプ46で構成されている。
本実施例に係るヒートポンプ給湯機は、従来のように大型の貯湯槽を用いることなく小型軽量な給湯機とする。すなわち、ヒートポンプ回路10の高温の冷媒と水循環回路22の水を水熱交換器11にて熱交換することで湯を沸かす給湯機において、給水管16から導入された水を水熱交換器11によって昇温してそのまま使用端末27に給湯する瞬間式とすることで、従来の大型の貯湯タンクを不要とすることができる。また、ヒートポンプ回路10の運転開始直後の圧力条件が安定するまでは水を温めるのに充分な凝縮熱を発生させることができないので、その立ち上がりの短時間は給湯タンク13に貯蔵している湯と水熱交換器11からの水を混合して給湯することで、設定温度を保ちつつ給湯タンク13の小型化を図ることができる。そして、ヒートポンプ回路10の運転が安定し、設定温度の湯を沸かし上げる状態になったとき、給湯タンク13に貯湯されている湯の使用を止めて直接給湯するようにした。以下、詳細に説明する。
ヒートポンプ給湯機への水の供給を説明する。給水管16から供給された水は、減圧逆止弁17に流入し、この先一方は給水管19を介して給湯タンク13に、もう一方は水熱交換器11との間に接続された水配管を介して熱交換器2に分流する。また、使用端末27への給湯はミキシングバルブ61、62、流量調整弁63を通り設定温度にされ供給される。
本実施例に示すヒートポンプ給湯機は、基本的に給水管16から供給された水を熱交換器2によって使用者が設定した温度に上昇させ、使用端末27に給湯する瞬間湯沸し器を想定している。このため、冷凍サイクルの能力が高い場合や水熱交換器11の性能が高ければ、給湯タンク13を設ける必要がない。このため、重量や設置スペースを取っていた従来の電気温水器よりも飛躍的にコンパクトな給湯機になる可能性がある。
しかし、給水される水の温度が低い、冷凍サイクルが安定してなく熱交換器2が十分に温まっていないといった理由から、給湯温度が設定温度に達しない場合がある。
そこで、本実施例では、必要最小限の給湯タンク13を設置し、熱交換器2から出力される水の温度が設定温度に達するまで、補助的に給湯タンク13に貯められた湯を使用して使用端末27における給湯温度を確保するものである。
場合によってはいつまでも熱交換器2から出力される湯の温度が上昇しない場合も考えられる。この場合、使用端末27での湯の使用が中断したときに、給湯タンク13内に所定の高い温度の湯を貯湯することで、次の湯の使用時に設定温度の湯の給湯を確保することができる。各部の動作については、以下の説明により次第に明らかになる。
ミキシングバルブ61は、前述したようにヒートポンプ回路運転開始直後、熱交換器2(水熱交換器11)から出てくる湯の温度が充分に上がりきらないときに、補助的に給湯タンク13の湯を混合して設定温度となった湯を使用端末27に供給するためのバルブである。なお、ミキシングバルブ61と給湯タンク13とは給湯管20によって接続されている。
また、ミキシングバルブ62は、ミキシングバルブ61から供給される湯の温度が設定温度よりも高い場合、給水管16から供給される水と混合することで湯温を低下させ設定温度にする機能を有している。
さらに、流量調整弁63は、給湯量が予定の総量を超えないように流量を規制する機能を有する弁である。
また各部には、給水温度センサー52、水熱交換器出口水温センサー53、混合された給湯タンクの湯と水熱交換器出口水の温度を測る水温センサー54、最終的な出湯水温を測定する出湯温度センサー55、給湯タンク13の残湯量を測定するためのタンク温度センサー56(a、b、c)が、また冷凍サイクル側には、蒸発器6、6aの中間温度を測定する蒸発器温度センサー58、58aが、圧縮機1の吸込み温度を感知する吸込み温度センサー59、59aが配置されている。
そしてヒートポンプ回路10、10a、給湯タンク13を含めた水循環回路22およびその他の機器が後述する箱体23の中に収納されている。
使用端末27として、キッチン等の蛇口24、浴室のシャワー25、また注湯電磁弁51と逆止弁50で区切られた浴槽26等が設けられている。この逆止弁50は、給水管16から供給された湯水に浴槽26の湯水が衛生上混ざらないようにするための弁である。なお、本実施例では特に明記していないが必要に応じて水用の端末がそれぞれの端末に付設されることになる。
本実施例に係るヒートポンプ給湯機はこのような構成を備え、以下説明するような動作を行う。ヒートポンプ給湯機は電気温水器に比較してエネルギー効率が300〜500%良いと云われている。このヒートポンプ回路10を利用して、瞬間湯沸器のように直接、使用端末に湯を供給しようとするものである。しかし、前にも説明したようにヒートポンプ回路10は運転開始直後からヒートポンプ回路が安定するまでの間は、水熱交換器11で水を温めるのに必要な凝縮熱を充分に供給することができず、使用端末27に温かな湯を直接供給することができない。本実施例のヒートポンプ給湯機ではその立ち上がりの数分間を、小容量の給湯タンク13内に貯蔵している高温の湯を補助的に供給して使用するものである。
すなわち、給湯タンク13を、主な構成要素である圧縮機1、室外熱交換器6、水熱交換器11及び減圧装置5と共に一つの筐体内に収納することができる。
ところで、HFC系フロン冷媒を用いた冷凍サイクルでは、60℃がほぼ最高に沸き上げた場合の温度となるが、冷媒として二酸化炭素(CO2)を用いるとさらに湯温を上昇させることができ、これを上昇させた分だけ、給湯タンク13の貯湯容量を少なくしても良い。
運転が継続するとヒートポンプ回路10は徐々に安定し始め、水熱交換器11から出湯される湯の温度も高温となり、給湯タンク13からの湯と水熱交換器11からの出湯を混合するミキシングバルブ61は、徐々に給湯タンク13からの出湯を絞り込んでゆき、水冷媒熱交換器11からの出湯温度が設定温度となった場合に、給湯タンク13からの出湯を全閉しヒートポンプ回路10より加熱された水熱交換器11を通過した湯のみで端末に湯を供給できるようになる(瞬間湯沸しモード)。
この時設定された温度で端末に湯を供給するために、温度センサー55で温度を感知し、水熱交換器11から出湯しミキシングバルブ61を通過した湯と、バイパスされた水を混合するミキシングバルブ62で、設定された湯を端末に供給する。特に夏場など給水管16から供給される水の温度が高い場合、水熱交換器11から出力される油の温度が設定温度より高くなる。このとき設定温度になるようにミキシングバルブ61を調節することで適宜水を混合して端末に湯を供給する(水混合モード)。
なお、冷凍サイクル10を圧縮機1の回転数を制御できるインバータ制御とすれば、水熱交換器11の出湯温度を温度センサー53で感知し、圧縮機1の回転数を制御し設定された水温になるようにすることができる。
さらに、冷凍サイクル10自身は、蒸発器6の中間に配置された温度センサー58と圧縮機吸込み温度センサーの差が一定になるように膨張弁5が調整される。
そして使用端末が閉められた場合、流量センサー21がそれを感知し、給湯タンク13の湯温が設定値以下である場合、給湯タンク13の追炊き運転に移行する。
給湯タンクの追炊き運転は、冷凍サイクル10を運転させたまま、水熱交換器出口温度が高温(貯湯温度)になるのを待ち、ポンプ15を運転させる。これにより給湯タンク13の下部にたまった水は、水熱交換器11に至り高温の湯となり、逆止弁49を介して給湯タンク13の上部に戻される。この逆止弁49は上記通常給湯時でタンクよりの出湯がミキシングバルブ61で全閉となった時の給湯タンク13からの出湯を防ぐ役割を果たす。
また、この時の水熱交換器出口温度は圧縮機1の回転数、循環ポンプ15の流量を変化させることにより行い、タンク温度センサー56により給湯タンク沸上げ完了を感知し、給湯タンク13の追炊きを終了し、待機状態となる。
なお、給湯タンク13から端末への出湯は、給水管16からの水の供給により行われるため、満タン状態が保たれ、給油タンク13内の湯量が減少することは原則的にない。据付完了時や長期間使用しないときに給湯タンク13内の湯を抜いた後の使用開始時は給湯タンク13内に湯がないので給水(給湯)する必要がある。この場合、使用端末27のシャワー25や蛇口24を開放すると、給水管16からの水は、水熱交換器11を介して使用端末11に流れる。このとき、出湯温度センサー55の検出値は低温を検出するため、ミキシングバルブ62は、湯側のみとなる(給水管16からの水は混合されない)。また、出湯温度センサー54の検出値も低温となるため、ミキシングバルブ61は水熱交換器11からの湯と給湯タンク20からの水とが混合されるように開く。しかし、給湯タンク13内には未だ水が張られていないので水がミキシングバルブ61を介して給湯タンク13から出力されない。そして、ミキシングバルブ61が給湯タンク13側も開いたことにより、空気が抜けるようになったため、給水管16からの水は水熱交換器11に流れると共に給湯タンク13にも流れ込む。そして、満タンになったときに使用側端末27の栓を止めると先に説明した給湯タンク13の追炊きが開始される。
また、冷凍サイクル10の圧縮機1をインバータ化したとしても冷凍サイクルには、最低能力と最高能力が存在してしまう。給湯に必要とされる能力は、給水温度センサー52、流量センサー21、設定出湯温度で推測することができる。
もし、必要給湯能力が冷凍サイクルの最低能力以下の場合、冷凍サイクル10は運転することなく、通常給湯時と同様の回路(水熱交換器11からの湯(水)と給湯タンク13からの湯とを混合する運転回路)を使用し給湯タンク13のみで設定温度で出湯させる。タンク内の残湯量(湯温が低くなった)が少なくなった場合にタンク追炊き運転を行いタンクに湯を補給する運転とする。
ガス給湯機のような瞬間湯沸し機は、補助タンクを持ち合わせていないため、最低能力以下では給湯することができない(使用側端末の混合栓で温度調整する)が、本実施例では、給湯タンク13を持っているためこのような場合でも端末に設定温度で給湯することができる。
また、給湯能力が、冷凍サイクル10の最大能力を超えてしまった場合は、流量調整弁63を絞り流量を調整することで設定出湯温度にして出湯させる構造とする。
通常ヒートポンプ式の給湯機は深夜電力を利用し、300リットル以上の大型タンクに70℃〜90℃に水を沸上げ貯湯することになり、高温で沸き上げなくてはいけないため熱効率は低下するが、本発明によれば、端末で必要とする湯の温度(例えば一般に使用される42℃)で湯を沸き上げるため、他のヒートポンプ式給湯機と比較し熱効率は非常に良くなる。
図2に代表的な冷媒圧縮機として集中巻モータ搭載縦形スクロール圧縮機の断面図を示す。また、図3に分布巻モータ搭載縦形スクロール圧縮機の断面図を示す。ヒートポンプ用冷凍サイクルに用いる冷媒圧縮機にはロータリ形圧縮機、スクロール形圧縮機等があるが、中でもスクロール形圧縮機は摺動部が面接触となるため瞬時に温度上昇が起こりにくい。この冷媒圧縮機は、油溜めを兼ねた密閉ケース65内に圧縮機部66と電動機部67とが収納されている。圧縮機部66は旋回スクロール68、固定スクロール69、フレーム70、クランク軸71、オルダムリング72を主要構成要素としている。密閉容器65には外部サイクルと連通する吸入パイプ73が密封接続されている。電動機部は回転子74と固定子75からなり、回転子74には鋳鉄製のクランク軸71が嵌着されている。クランク軸71は偏心部76を有し、一端側に中空状に軸穴77が形成されている。固定子74の内部のティース部に合わせて絶縁材成形品79を上下部に介して巻線を巻付けることにより、従来の分布巻モータと比較して30〜50%の小型化が図れる。また、フレーム70の外周部は密閉容器65に固定されており、クランク軸71の回転を受ける軸受を具備している。クランク軸71の偏心部76には旋回スクロール68が回転自在に取付けられ、フレーム70に設けられた溝と旋回スクロール68の反ラップ側の台板に設けられた溝にはオルダムリング72が摺動自在に配設され、旋回スクロールは自転することなく公転する。また、底部には冷凍機油78が貯溜されており、この冷凍機油は、摺動部へと給油される。
上記圧縮機がヒートポンプ用冷凍サイクルに使用される冷媒はHFCのR410AやR407C及びCO2等であり、この場合の冷凍機油はHFC系冷媒では相溶性の良いポリオールエステル油であり、CO2冷媒系ではポリオールエステル油、ポリアルキレングリコール油、ポリアルファオレフィン油、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油等がある。冷凍機油としては、40℃の時の粘度が20〜180cStのものとする。モータに使用する絶縁体はCO2共存下における超臨界状態で構造的に安定なPPS(ポリフェニレンサルファイド)若しくはLCP(液晶ポリマー)を使用する。これらの絶縁体はオリゴマの抽出量が殆どみられす、従来モータに使用しているPETフィルムと比較してもオリゴマの抽出量は大幅に低減されている。PPSについてはリニアタイプと架橋タイプが存在するが、架橋タイプではオリゴマの抽出が多いためヒートポンプ絶縁体としてはガラス繊維なしのものが好ましいが、強度保持のためにガラス繊維を10〜40%添加した場合でも問題ない。PBT(ポリブチレンテレフタレート)やPET(ポリエチレンテレフタレート)の一般グレードではオリゴマの抽出が高く、摺動部摩耗やキャピラリ閉塞による冷却不良をおこす懸念があるため、末端の活性基(‐OH、−COOH)を封鎖した低オリゴマグレードの仕様は必要である。
また、CO2冷媒サイクル内に水分が共存すると炭酸を精製するため、この炭酸が冷凍機油の劣化及び摺動部、配管等の腐食損傷を加速させる要因となる。そのため、サイクル内にドライヤを設置し、サイクル内水分を50ppm以下にする必要がある。ドライヤとしては水分(2.8A)を吸着し、CO2冷媒(3.9A)を吸着しないものとして細孔径3.3A以下のケイ酸、アルミン酸アルカリ金属複合塩からなる合成ゼオライトが好ましい。
ヒートポンプ給湯機のヒートポンプ回路及び水回路の一実施例を示す図。 集中巻モータを搭載したスクロール圧縮機の断面図。 分布巻モータを搭載したスクロール圧縮機の断面図。
符号の説明
1…圧縮機、2…熱交換器、3…凝縮器、5…減圧装置、6…蒸発器(室外熱交換器)、7…アキュムレータ、8…バイパス弁、9…送風機、10…ヒートポンプ回路、11…水熱交換器、13…給湯タンク、15…循環ポンプ、16…給水管、17…減圧弁、19…給水管、20…給湯管、21…流量計、22…水循環回路23…外箱、24…蛇口、25…シャワー、26…浴槽、27…使用端末、30…制御回路、53…水熱交換器出口温度センサ、56…給湯タンク温度センサー、61、62、63…ミキシングバルブ、65…ケース、66…圧縮機部、67…電動機、68…旋回スクロール、69…固定スクロール、70…フレーム、71…クランク軸、72…オルダムリング、73…吸入パイプ、74…固定子、75…回転子、76…偏心部、77…軸穴、78…冷凍機油、79…絶縁材成形品。

Claims (3)

  1. 給湯機に用いる冷媒圧縮機であって、冷凍機油を貯溜する密閉容器内に回転子と固定子からなるモータと前記回転子に嵌着された回転軸と、この回転軸を介して前記モータに連結された圧縮機部とを収納してなる冷媒圧縮機において、固定子の両端に絶縁体を設置したままコイルを巻きつける構造を有するモータを搭載し、冷媒としてCO2を用い、冷凍機油として粘度が40℃で20〜180mm2/sのポリアルキレングリコール油、ポリオールエステル油、ポリアルファオレフィン油、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油をいずれか1種類または2種類以上を使用し、上記モータに使用する絶縁体は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、LCP(液晶ポリマー)のいずれかにおけるガラス繊維入り若しくはガラス繊維なしの材料からなる、または、PBT(ポリブチレンテレフタレート)若しくはPET(ポリエチレンテレフタレート)の末端の活性基(‐OH、−COOH)を封鎖した材料のいずれかにおけるガラス繊維入り若しくはガラス繊維なしの材料からなることを特徴とする圧縮機。
  2. 上記圧縮機と、この圧縮機から吐出されるCO2冷媒と水とを熱交換する第1熱交換器と、この第1熱交換器からの冷媒を減圧する減圧装置と、この減圧装置と前記圧縮機の間に設けられた第2の熱交換器と、前記第1熱交換器によって暖められた水を貯める給湯タンクと、この給湯タンク内の水を前記第1熱交換器を介してこの給湯タンクに戻す水循環経路とを備えたヒートポンプ給湯機において、給水管から導入した水を前記第1熱交換器を介して使用側端末に供給する運転モード及び前記給湯タンクの水とを混合して使用側端末に供給するモードを備えたヒートポンプ給湯機。
  3. 冷凍サイクル内にCO2を吸着にくいケイ酸、アルミン酸アルカリ金属複合塩からなる合成ゼオライトを設置し、サイクル内水分を50ppm以下にすることを特徴とするヒートポンプ給湯機。
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