JP2005309999A - 旋回流評価装置及び旋回流の評価方法 - Google Patents
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Abstract
他の流れや複数の旋回流が存在する場合でも、各節点(座標点)における速度ベクトルを用いて、旋回流を的確に同定できる旋回流評価装置を提供する。
【解決手段】
固有方程式計算部3と、旋回軸算出部4とを具備する旋回流評価装置を用いる。固有方程式計算部3は、座標点における流体の速度データに基づいて、座標点と速度データとに関する固有方程式から固有値を計算する。旋回軸算出部4は、固有値が複素数である場合、複素数の虚数部を旋回関数として、旋回関数における極大値を与える座標点を算出し、極大値を与える座標点をその流体における旋回流の旋回軸の位置とする。
【選択図】 図3
Description
ここでは、座標点(x)における速度データ(v)に基づいて、評価対象座標点(x)の速度にて移動する移動座標系において速度のテイラー展開を行い、2次以降の高次項を無視することにより得られる速度勾配テンソルを求め、その固有方程式を用いている
明確な旋回軸が無いとは、旋回流の中心が軸ではなく、有限な領域の周りを旋回しているものである。
旋回線計算部6は、固有ベクトルξと旋回関数φとに基づいて、その旋回流を示す旋回線Sを計算する。計算結果は表示部7へ出力される。表示部7は、計算結果に基づいて、旋回線Sをディスプレイ上に表示する。
速度データ取得部2は、所定の流体について、数値流体力学(Computational Fluid Dynamics)による数値解析を行う。数値解析により、流体内における位置を示す複数の座標点x(3次元:x1、x2、x3)の各々において、当該流体の速度データv(3次元ベクトル:v1、v2、v3)を算出する。算出されたデータを固有方程式計算部3へ出力する。
既に実行された数値解析の結果を他の記憶装置(図示されず)から受信して、固有方程式計算部3へ出力しても良い。
固有方程式計算部3は、流体中の複数の座標点xの各々に関する流体の速度データvを取得する。その複数の座標点xの各々において、以下のような固有方程式(1)を立て、その計算を実行する。ただし、計算の実行に際し、式(2)の流体の連続条件を加えている。
vi:速度データvの速度成分(i=1、2、3)
xj:座標点xの座標成分(j=1、2、3)
λ:固有値
δij:クロネッカーデルタ(Kronecker Delta、i=jのとき1、その他のとき0)
である。
x=(x1、x2、x3)
cj∈R:定数(j=1、2、3)
λj:算出された固有値λ(j=1、2、3)
ξ(j)=(ξ(j) 1、ξ(j) 2、ξ(j) 3):算出された固有ベクトルξ(j=1、2、3)
である。
式(3)において、3つの固有値λ(λj(j=1、2、3))には、(i)全て実数、及び、(ii)一つが実数で他の二つが複素数、の二つの場合がありうる。
流体中の複数の座標点xの各々について、(i)の場合、その座標点近傍の流体の関わる旋回流がないと判定する。(ii)の場合、旋回流があると判定する。
そして、複数の座標点xの全てが(i)の場合(ステップS03:No)、ステップS08へ進む。その他の場合(ステップS03:Yes)、(ii)となった座標点xについて、以下のステップ04へ進む。
明確な極大値が無い場合、明確な旋回軸(渦軸)を有していない旋回流(強制的に旋回させている流れ)と判断する。ここで、明確な極大値とは、所定の基準を満たす極大値である。所定の基準としては、例えば、極大値と平均値のとの差が所定の大きさ以上であることに例示される。明確な極大値が無い場合(ステップS05:No)、ステップS08へ進む。その他の場合(ステップS05:Yes)、以下のステップ06へ進む。
旋回軸算出部4は、更に、旋回関数φにおける極大値φ0を算出する。例えば、座標点x0を旋回関数φを微分した関数の変化から求めた場合、座標点X0の値を旋回関数φに代入すれば極大値φ0を算出できる。座標点x0を旋回関数φの最大値から求めた場合、その最大値が極大値φ0である。その極大値φ0を旋回軸Pでの角速度と定義する。複数の旋回軸P1、P2…がある場合には、それらについても同様に極大値を求め角速度を定義する。
これらの固有値λ、固有ベクトルξ、旋回関数φ、極大値φ0=角速度、旋回軸Pの位置x0は、結果データベース9に格納される。
旋回線計算部6は、固有ベクトルξと旋回関数φとに基づいて、その旋回流を示す旋回線Sを計算する。
固有値λ1及びλ2が複素数(式(4))の場合、固有値λ1及びλ2に対応する固有ベクトルξ(1)及びξ(2)もまた複素数となる。固有ベクトルξは、以下のように表現される。
表示部7は、ステップS07の計算結果に基づいて、旋回線S(S1,S2…)をディスプレイ15上に表示する。又は、ステップS03で複数の座標点xの全てが(i)の場合、旋回流が無い旨を表示する。あるいは、ステップS05で明確な旋回軸(渦軸)を有していない旋回流場合、旋回軸が無い旨を表示する。
この場合、r=r0の位置でφが極大値φ0となっている。すなわち、すなわち、r=r0の位置が旋回軸Pの位置であり、φ=φ0が旋回軸Pにおける角速度となる。すなわち、本発明では、旋回流Pの位置をr0、その角速度をφ0と定義する。この位置及び角速度は、数学的な厳密解で得られたバーガーズ(Burgers)渦の値と一致することを確認した。
図9は、図2で示した所定の旋回平面における旋回流と一様流れとが合わさった状態にある流体の流れの一例を、本発明の旋回流評価装置で評価した結果を示す図である。この図は、図1の旋回流に、図における左から右への横方向の一様流れが加わっている場合における、複数の節点(座標点)の各々での速度ベクトルを示している。そして、それらに加えて、図1に示す旋回流における旋回軸P0の位置及び旋回線Sが示されている。この旋回軸P0の位置及び旋回線Sは、従来知られた他の方法で得られた場合と一致している。
2 速度データ取得部
3 固有方程式計算部
4 旋回軸算出部
6 旋回線計算部
7 表示部
8 速度データベース
9 結果データベース
11 CPU
12 第1メモリ
13 第2メモリ
14 入出力部
15 ディスプレイ
Claims (16)
- 座標点における流体の速度データに基づいて、前記座標点と前記速度データとに関する固有方程式から固有値を計算する固有方程式計算部と、
前記固有値が複素数である場合、前記複素数の虚数部を旋回関数として、前記旋回関数における極大値を与える座標点を算出し、前記極大値を与える座標点を前記流体における旋回流の旋回軸の位置とする旋回軸算出部と
を具備する
旋回流評価装置。 - 請求項1に記載の旋回流評価装置において、
前記旋回軸算出部は、更に、前記旋回関数における前記極大値を算出し、前記極大値を前記旋回軸での角速度とする
旋回流評価装置。 - 請求項2に記載の旋回流評価装置において、
前記固有方程式から計算される固有ベクトルと前記旋回関数とに基づいて、前記旋回流を示す旋回線を計算する旋回線計算部と
前記旋回線を表示する表示部と
を更に具備する
旋回流評価装置。 - 請求項1に記載の旋回流評価装置において、
前記旋回軸算出部は、更に、前記固有値が複素数で無い場合、前記流体には旋回流が無いと判定する
旋回流評価装置。 - 請求項1に記載の旋回流評価装置において、
前記旋回軸算出部は、更に、所定の条件を満たす前記極大値が無い場合、前記流体には明確な旋回軸が無いと判定する
旋回流評価装置。 - 流体に関するデータの入力に基づいて、流体内の位置を示す複数の座標点の各々における速度データを算出する解析装置と、
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の旋回流評価装置と
を具備する
流体シミュレーション装置。 - 固有方程式計算部と旋回軸算出部とを備える旋回流評価装置で実行する旋回流の評価方法であって、
(a)前記固有方程式計算部が、座標点における流体の速度データに基づいて、前記座標点と前記速度データとに関する固有方程式から固有値を計算するステップと、
(b)前記旋回軸算出部が、前記固有値が複素数である場合、前記複素数の虚数部を旋回関数として、前記旋回関数における極大値を与える座標点を計算し、前記極大値を与える座標点を前記流体における旋回流の旋回軸の位置とするステップと
を具備する
旋回流の評価方法。 - 請求項7に記載の旋回流の評価方法において、
(c)前記旋回軸算出部が、前記旋回関数における前記極大値を計算し、前記極大値を前記旋回軸での角速度とするステップを更に具備する
旋回流の評価方法。 - 請求項7又は8に記載の旋回流の評価方法において、
(d)前記固有方程式から計算される固有ベクトルと前記旋回関数とに基づいて、前記旋回流を示す旋回線を計算するステップと、
(e)前記旋回線を表示するステップと
を更に具備する
旋回流の評価方法。 - 固有方程式計算部と旋回軸算出部とを備える旋回流評価装置に実行させるコンピュータプログラムであって、
(a)前記固有方程式計算部が、通信回線又は記憶装置から出力された座標点における流体の速度データに基づいて、前記座標点と前記速度データとに関する固有方程式から固有値を計算するステップと、
(b)前記旋回軸算出部が、前記固有値が複素数である場合、前記複素数の虚数部を旋回関数として、前記旋回関数における極大値を与える座標点を計算し、前記極大値を与える座標点を前記流体における旋回流の旋回軸の位置とするステップと
を具備する
旋回流の評価方法を前記旋回流評価装置に実行させるコンピュータプログラム。 - 請求項10に記載のコンピュータプログラムにおいて、
前記座標点は複数の座標点であり、
前記(a)ステップは、
(a1)前記複数の座標点の各々について、前記固有方程式計算部が、前記座標点と前記速度データに基づいて、前記座標点と前記速度データとに関する固有方程式から固有値を計算するステップを備え、
前記(b)ステップは、
(b1)前記複数の座標点の各々について、前記固有値が複素数である場合、前記旋回軸算出部が、前記複素数の虚数部を旋回関数として、前記旋回関数における極大値を与える座標点を計算するステップと、
(b2)前記極大値を与える座標点が複数ある場合、前記極大値を与える複数の座標点の各々を前記流体における旋回流の旋回軸の位置とするステップと
を備える
コンピュータプログラム。 - 請求項10又は11に記載のコンピュータプログラムにおいて、
(c)前記旋回軸算出部が、前記旋回関数における前記極大値を計算し、前記極大値を前記旋回軸での角速度とするステップを更に具備する
コンピュータプログラム。 - 請求項12に記載のコンピュータプログラムにおいて、
(d)前記固有方程式から計算される固有ベクトルと前記旋回関数とに基づいて、前記旋回流を示す旋回線を計算するステップと、
(e)前記旋回線を表示するステップと
を更に具備する
コンピュータプログラム。 - 請求項10に記載のコンピュータプログラムにおいて、
前記(b)ステップは、
(b3)前記旋回軸算出部が、前記固有値が複素数で無い場合、前記流体には旋回流が無いと判定するステップを備える
コンピュータプログラム。 - 請求項10に記載のコンピュータプログラムにおいて、
前記(b)ステップにおいて、
(b4)前記旋回軸算出部が、所定の条件を満たす前記極大値が無い場合、前記流体には明確な旋回軸が無いと判定するステップを備える
コンピュータプログラム。 - 解析装置と旋回流評価装置とを備えるシミュレーション装置に実行させるコンピュータプログラムであって、
(f)前記解析装置が、流体に関するデータの入力に基づいて、流体内の位置を示す座標点における速度データを算出するステップと、
(g)前記旋回流評価装置が、請求項10乃至15のいずれか一項に記載のコンピュータプログラムを実行するステップと
を具備する
流体シミュレーション方法を前記シミュレーション装置に実行させるコンピュータプログラム。
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