JP2005308292A - フィンアンドチューブ型熱交換器とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】冷蔵庫等に用いられるフィンアンドチューブ型熱交換器の塗装において、高腐食環境下に置かれた場合でも優れた防食効果を発揮することができる。
【解決手段】一定間隔をおいて平行に配置する多数のフィン13と、フィン13に直角に挿入された内部を流体が流動するU字状のチューブ12と、U字状のチューブ12を接続するリターンベンド14とを備え、U字状のチューブ12とリターンベンド14を溶接する時に発生する酸化スケールを除去した箇所に塗装を施したことで、高腐食環境下に置かれた場合でも、酸化スケールが起点となり腐食が促進されることがないので優れた防食効果を発揮することができ、冷凍システムとして長期間運転が維持できる。
【選択図】図2
【解決手段】一定間隔をおいて平行に配置する多数のフィン13と、フィン13に直角に挿入された内部を流体が流動するU字状のチューブ12と、U字状のチューブ12を接続するリターンベンド14とを備え、U字状のチューブ12とリターンベンド14を溶接する時に発生する酸化スケールを除去した箇所に塗装を施したことで、高腐食環境下に置かれた場合でも、酸化スケールが起点となり腐食が促進されることがないので優れた防食効果を発揮することができ、冷凍システムとして長期間運転が維持できる。
【選択図】図2
Description
本発明は冷蔵庫等に用いられるフィンアンドチューブ型熱交換器に関するものである。
一般に冷蔵庫用のフィンアンドチューブ型熱交換器(エバポレータ)は庫内雰囲気環境に曝された状態にあり、特に業務用冷蔵庫は庫内に腐食性の強いガスが発生するような食品を多量に保存し、家庭用冷蔵庫と比べると食品にラップなどをしていない場合が多いため腐食性の強いガスが発生しやすい。例えば、タマゴ、マヨネーズ、チーズ、魚介類などから硫黄系ガスが発生し、マヨネーズ、ソース、パン酵母菌などからカルボン酸(酢酸、蟻酸などの有機酸)が発生する。また食品が腐敗するとき、食品そのものがもつタンパク質及び脂肪質などの有機物が酸化分解や加水分解を起こし、硫黄系ガス、カルボン酸、アンモニアガス、エチレンガスが発生する。
最近では病原性大腸菌O−157の問題より漂白剤、殺菌剤または消毒用アルコールが使用される頻度が高くなってきている。漂白剤、殺菌剤は次亜塩素酸ナトリウムなどが使われ、塩素系ガスが発生する。消毒用アルコールは酸化分解よりカルボン酸が発生する。このように庫外から冷蔵庫の扉の開け閉めより庫内に腐食性ガスが進入してくる。
以上のような腐食環境下に庫内が曝されると冷蔵庫を冷却するときに発生する結露水に腐食媒である硫黄、蟻酸や酢酸などのカルボン酸、塩素などが溶け込み、さらにデフロストなどをすることにより乾湿の繰り返しが起こり、フィンやチューブ腐食が始まる。腐食が始まると白錆、黒錆、緑青などの腐食生成物が発生する。このような腐食生成物が発生するとファンからの風により腐食生成物が剥離して飛ばされ、庫内にある食品に付着して商品価値がなくなるという問題が起こる。さらに腐食が促進されるとチューブが腐食電池作用によって孔食され、ついには冷媒ガスリークに至り、冷えなくなるという致命的な欠陥に繋がるという問題があった。
従来、以上のようなフィンアンドチューブ型熱交換器の腐食を防止する技術としては熱交換器組立て後に熱交換器全面に防錆塗料を塗装することが主体で行われる(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら従来の技術を説明する。
図3は従来のフィンアンドチューブ型熱交換器の概略構成図、図4は従来のフィンアンドチューブ型熱交換器の要部断面図である。
図3に示すように、従来のフィンアンドチューブ型熱交換器1は、一定間隔をおいて平行に配置する多数のフィン3と、フィン3に直角に挿入された内部を流体が流動するU字状のチューブ2と、U字状のチューブ2同士を接続するリターンベンド4と、を備え、U字状のチューブ2を拡管することにより、U字状のチューブ2とフィン3を密着させ、さらにU字状のチューブ2の先端とリターンベンド4を接続するために溶接し、流体が流動する回路を形成する。
そして、このフィンアンドチューブ型熱交換器1全面に防錆塗料を浸漬塗装方式またはスプレー塗装方式などの塗装方式で焼付け塗装することによって塗膜層6を形成する。
この塗膜層6の膜厚は、一般的には5〜25μm、1コート1ベークまたは2コート2ベークで焼付け塗装が行われる。
通常、フィン3や、フィン3が挿入されているU字状チューブ2については、溶接時の熱影響は少なく、良好な塗膜層が形成される。
一方、図4に示すように、リターンベンド4の表面は、U字状のチューブ2の先端とリターンベンド4を溶接するときに発生する酸化スケール(酸化皮膜)5を含んだまま防錆塗料を塗装した塗膜層6となる。この酸化スケール5は塗膜層6の内部に含有するとともに、一部は表面上につきでたものもある。
特開2003−139485号公報
しかしながら、リターンベンドに塗装した塗膜層に酸化スケールが含有したり、塗膜層の表面上につきでたりすると、一般の環境下では酸化スケールが起点となり腐食が促進されることはないが、硫黄系やカルボン酸などの高腐食環境下では酸化スケールが起点となり、塗膜層内部に硫黄系やカルボン酸などの腐食性物質が侵入してきて、塗膜層を破壊し、リターンベンドまで腐食性物質が到達し、リターンベンドを腐食させて孔食に至るという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、リターンベンド上の酸化スケールを除去した箇所に、防錆塗料を塗装した塗膜層を施すことで、高腐食環境下に置かれた場合でも、酸化スケールが起点となり腐食が促進されることがない優れた防食効果を発揮することができるフィンアンドチューブ型熱交換器を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明のフィンアンドチューブ型熱交換器は、前記U字状のチューブと前記リターンベンドを溶接する時に発生する酸化スケールを除去した箇所に塗装を施したものである。
これによって、高腐食環境下に置かれた場合でも、酸化スケールが起点となり腐食が促進されることがない。
本発明のフィンアンドチューブ型熱交換器は、酸化スケールを除去した箇所に塗装を施したことで、塗膜層に酸化スケールが含有したり、塗膜表面上につきでたりすることがなくなり、高腐食環境下に置かれた場合でも、酸化スケールが起点となり腐食が促進されることがないので優れた防食効果を発揮することができ、冷凍システムとして長期間運転が維持できる。
請求項1に記載の発明は、一定間隔をおいて平行に配置する多数のフィンと、前記フィンに直角に挿入された内部を流体が流動するU字状のチューブと、前記U字状のチューブを接続するリターンベンドとを備え、前記U字状のチューブと前記リターンベンドを溶接する時に発生する酸化スケールを除去した箇所に塗装を施したものであり、高腐食環境下に置かれた場合でも、酸化スケールが起点となり腐食が促進されることがないので優れた防食効果を発揮することができる。
請求項2に記載の発明は、一定間隔をおいて平行に配置する多数のフィンと、前記フィンに直角に挿入された内部を流体が流動するU字状のチューブと、前記U字状のチューブを接続するリターンベンドとを備え、前記フィン、前記U字状のチューブ、前記リターンベンドの表面に塗装を行う前に、前記U字状のチューブと前記リターンベンドを溶接する時に発生する酸化スケールを除去したフィンアンドチューブ型熱交換器の製造方法であり、高腐食環境下に置かれた場合でも、酸化スケールが起点となり腐食が促進されることがないので優れた防食効果を発揮することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記酸化スケールの除去方法は、エアーブロー法で除去したものであり、簡易で短時間で除去することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記酸化スケールの除去方法は、ハケ、ブラシなどの機械的摩擦により除去したものであり、直接リターンベンドと接する機械的な摩擦作用により酸化スケールが殆ど除去できる。また、機械的な摩擦作用によりリターンベンド表面が凹凸になるので、リターンベンドと塗膜層との密着性を向上することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記酸化スケールの除去方法は、エアーブラスト装置など自動装置で除去したものであり、酸化スケールをブラスト剤を使用してエアーで自動噴射させることで、作業者の削減ができ、コスト削減が可能となる。また、ブラスト剤効果で機械的な摩擦作用が顕著に表れ、酸化スケールの除去率が高くなる。さらにリターンベンド表面が凹凸になるのでリターンベンドと塗膜層との密着性を向上することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5記載の発明において、前記エアーブラスト装置のブラスト剤を塗装する塗料樹脂の固形分粉末にしたものであり、ブラスト剤がフィンアンドチューブ型熱交換器表面に残渣しても、焼き付け塗装時、塗膜化することができ、塗膜層に悪影響を及ぼさなく、本来の防食効果を発揮することができる。
以下、本発明によるフィンアンドチューブ型熱交換器の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1のフィンアンドチューブ型熱交換器の概略構成図、図2は、同実施の形態のフィンアンドチューブ型熱交換器の要部断面図である。
図1は、本発明の実施の形態1のフィンアンドチューブ型熱交換器の概略構成図、図2は、同実施の形態のフィンアンドチューブ型熱交換器の要部断面図である。
図1に示すように、フィンアンドチューブ型熱交換器11は、一定間隔をおいて平行に配置する多数のフィン13と、フィン13に直角に挿入された内部を流体が流動するU字状のチューブ12と、U字状のチューブ12同士を接続するリターンベンド14とを備え、U字状のチューブ12を拡管することにより、U字状のチューブ12とフィン13を密着させ、さらにU字状のチューブ12の先端とリターンベンド14を接続するために溶接し、流体が流動する回路を形成する。
そして、このフィンアンドチューブ型熱交換器11全面に防錆塗料を浸漬塗装方式またはスプレー塗装方式などの塗装方式で焼付け塗装することによって塗膜層16を形成する。
この塗膜層16の膜厚は、一般的には5〜25μm、1コート1ベークまたは2コート2ベークで焼付け塗装が行われる。
図2に示すように、リターンベンド14の表面は、U字状のチューブ12の先端とリターンベンド14を溶接するときに発生する酸化スケールを除去した箇所に防錆塗料を塗装した塗膜層16を施した構造を有している。
以上のように、本実施の形態においては、U字状のチューブとリターンベンドを溶接する時に発生する酸化スケールを除去した箇所に塗装を施したことにより、高腐食環境下に置かれた場合でも、酸化スケールが起点となり腐食が促進されることがないので優れた防食効果を発揮することができ、冷凍システムとして長期間運転が維持できる。
この酸化スケール除去方法はエアーブロー法であり、高圧もしくは低圧のエアーで酸化スケールが発生した箇所に一気に吹き付けることで簡易かつ短時間で除去することができる。
また、酸化スケール除去方法はハケ、ブラシなどの機械的摩擦により除去したことにより、直接リターンベンド14と接する機械的な摩擦作用が働き、酸化スケールが殆ど除去でき、また機械的な摩擦作用によりリターンベンド14表面が凹凸になるので、リターンベンド14と塗膜層16との密着性を向上することができる。このハケやブラシはリターンベンド14に傷や打痕が付かないようにプラスチックなどの軟らかい材質が好ましい。
さらに、酸化スケールの除去方法はエアーブラスト装置などの自動装置で除去したことにより、酸化スケールをブラスト剤を使用してエアーとともに自動噴射させることで、安定した除去作業が行われ、ハケやブラシなどで除去しにくかった箇所にもブラスト剤が行き渡り、均一な除去が可能となる。自動装置で行うことで作業者の削減ができ、コスト削減が可能となる。このブラスト剤効果で機械的な摩擦作用が顕著に表れ、酸化スケールの除去率が高くなる。さらにリターンベンド14表面が凹凸になるのでリターンベンド14と塗膜層16との密着性を向上することができる。
このエアーブラスト装置はブラスト剤を使用して自動噴射させるので、酸化スケールを除去するために吹き付けたブラスト剤がフィンアンドチューブ型熱交換器11表面に残渣する。これを自動の高圧もしくは低圧エアーで除去しているが一部ブラスト剤が残渣する場合がある。そこで、このブラスト剤の材料を塗装する塗料樹脂の固形分粉末にしたことにより、ブラスト剤がフィンアンドチューブ型熱交換器11表面に残渣しても、焼き付け塗装時、塗膜化することができ、塗膜層13に悪影響を及ぼさなく、本来の防食効果を発揮することができる。
尚、本実施の形態では、U字状のチューブとリターンベンドの溶接の時に発生する酸化スケールを除去するとしたが、U字状のチューブとフィンアンドチューブ型熱交換器の出入り口管として用いる直管状のパイプの溶接の時に発生する酸化スケールを除去しても、同等の効果が得られることはいうまでもない。
以上のように、本発明のフィンアンドチューブ型熱交換器は、U字状のチューブとリターンベンドを溶接する時に発生する酸化スケールを除去した箇所に塗装を施したことで、高腐食環境下に置かれた場合でも、酸化スケールが起点となり腐食が促進されることがないので優れた防食効果を発揮することができ、冷凍システムとして長期間運転が維持できるので、冷凍冷蔵庫用、ショーケース等のフィンアンドチューブ型熱交換器として適用できる。
11 フィンアンドチューブ型熱交換器
12 U字状のチューブ
13 フィン
14 リターンベンド
16 塗膜層
12 U字状のチューブ
13 フィン
14 リターンベンド
16 塗膜層
Claims (6)
- 一定間隔をおいて平行に配置する多数のフィンと、前記フィンに直角に挿入された内部を流体が流動するU字状のチューブと、前記U字状のチューブを接続するリターンベンドとを備え、前記U字状のチューブと前記リターンベンドを溶接する時に発生する酸化スケールを除去した箇所に塗装を施したことを特徴するフィンアンドチューブ型熱交換器。
- 一定間隔をおいて平行に配置する多数のフィンと、前記フィンに直角に挿入された内部を流体が流動するU字状のチューブと、前記U字状のチューブを接続するリターンベンドとを備え、前記フィン、前記U字状のチューブ、前記リターンベンドの表面に塗装を行う前に、前記U字状のチューブと前記リターンベンドを溶接する時に発生する酸化スケールを除去したフィンアンドチューブ型熱交換器の製造方法。
- 前記酸化スケールの除去方法は、エアーブロー法で除去したことを特徴とする請求項2記載のフィンアンドチューブ型熱交換器の製造方法。
- 前記酸化スケールの除去方法は、ハケ、ブラシなどの機械的摩擦により除去したことを特徴とする請求項2記載のフィンアンドチューブ型熱交換器の製造方法。
- 前記酸化スケールの除去方法は、エアーブラスト装置など自動装置で除去したことを特徴とする請求項2記載のフィンアンドチューブ型熱交換器の製造方法。
- 前記エアーブラスト装置のブラスト剤を塗装する塗料樹脂の固形分粉末にしたことを特徴とする請求項5記載のフィンアンドチューブ型熱交換器の製造方法。
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JP2010217083A (ja) * | 2009-03-18 | 2010-09-30 | Honda Motor Co Ltd | 非接触形状測定装置 |
JP7133076B1 (ja) | 2021-09-30 | 2022-09-07 | ダイキン工業株式会社 | 熱交換ユニットおよび空気調和機 |
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2004
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