JP2005302676A - 高圧放電ランプおよび照明装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】
寿命中の光量低下が少なくて、しかも構造が簡単な画像を拡大投影する装置用として好適な高圧放電ランプおよびこれを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】
高圧放電ランプは、内部に放電空間1aを有する耐火性で透光性の気密容器1と、断面積S(mm2)の電極軸2aを備え、気密容器1内に封装された一対の電極2、2と、水銀、ハロゲンおよび希ガスを含んで気密容器1の放電空間1a内に封入されるとともに、点灯時の水銀蒸気圧が少なくとも10MPa以上になる放電媒体と、を具備し、安定点灯時のランプ電流をI(A)としたとき、数式6.5<I/S<15.5を満足する。
【選択図】
図1
寿命中の光量低下が少なくて、しかも構造が簡単な画像を拡大投影する装置用として好適な高圧放電ランプおよびこれを用いた照明装置を提供する。
【解決手段】
高圧放電ランプは、内部に放電空間1aを有する耐火性で透光性の気密容器1と、断面積S(mm2)の電極軸2aを備え、気密容器1内に封装された一対の電極2、2と、水銀、ハロゲンおよび希ガスを含んで気密容器1の放電空間1a内に封入されるとともに、点灯時の水銀蒸気圧が少なくとも10MPa以上になる放電媒体と、を具備し、安定点灯時のランプ電流をI(A)としたとき、数式6.5<I/S<15.5を満足する。
【選択図】
図1
Description
本発明は、超高圧水銀蒸気放電により可視光が発生する高圧放電ランプおよびこれを用いた照明装置に関する。
液晶プロジェクタやオーバーヘッドプロジェクタなどのような画像を拡大投影する装置においては、その光源として高圧放電ランプが採用されている。これらの装置の中でも特に液晶プロジェクタは、静止画はもちろんのこと動画においても投影することができる装置である。そして、ビデオ信号またはパソコンの画像信号を入力することにより、様々な画像を投影することができることから、プレゼンテーションのツール用、シアター用または大画面テレビ用などとして様々な分野で使用されている。
このような装置において、光源は、点光源に近いこと、および寿命が長いことが要求される。この要求に対して、超高圧水銀蒸気放電により可視光が発生する高圧放電ランプが貢献するとして多用されている。この高圧放電ランプとして、水銀の蒸気圧を200barと超高圧にし、かつ、ハロゲンを封入した高圧放電ランプが知られている(例えば、特許文献1参照。)。この高圧放電ランプは、封入したハロゲンによって、点灯時の電極温度により電極を形成しているタングステンが蒸発し、透光性放電容器の内壁面で凝固することによって生じる黒化を抑制することができる旨記載されている。さらに加えて、点灯スペクトルが580〜780nmの波長範囲にあるハロゲン化金属を封入することにより、赤色成分が増加して演色性に優れた発光が得られることも特許文献1に記載されている。
また、上述した超高圧水銀蒸気放電により可視光が発生する高圧放電ランプの寿命改善に関しては、ハロゲン量を適量封入することによって、スクリーン照度の照度維持率が優れることなどが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特許第2829339号公報
特開平06−052830号公報
しかし、この種の高圧放電ランプは、寿命中に光量が低下しやすいという課題がある。また、画像を拡大投影する装置においては、その始動スイッチを投入してからスクリーンの照度が立ち上がるまでの時間が短い方が満足できる。反対に、照度の立ち上がりが遅いと不満を感じる。
本発明は、寿命中の光量低下が少なくて、しかも構造が簡単な画像を拡大投影する装置用として好適な高圧放電ランプおよびこれを用いた照明装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、加えて照度立ち上がり特性が良好で、しかも構造が簡単な画像を拡大投影する装置用として好適な高圧放電ランプおよびこれを用いた照明装置を提供することを他の目的とする。
請求項1の高圧放電ランプは、内部に放電空間を有する耐火性で透光性の気密容器と;断面積S(mm2)の電極軸を備え、気密容器内に封装された一対の電極と;水銀、ハロゲンおよび希ガスを含んで気密容器の放電空間内に封入されるとともに、点灯時の水銀蒸気圧が少なくとも10MPa以上になる放電媒体と;を具備し、安定点灯時のランプ電流をI(A)としたとき、数式6.5<I/S<15.5を満足することを特徴としている。
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
<気密容器について> 気密容器は、その内部に生起する放電を外部に対して包囲する手段であり、耐火性で、かつ、透光性であるとともに、内部に放電空間を有している。「耐火性」とは、高圧放電ランプにおける通常の高温の作動温度に十分耐える意味である。したがって、気密容器は、耐火性を備える材料であればよい。また、「透光性」とは、放電によって発生した所望波長域の可視光を少なくとも一部から外部に導出することができることを意味している。したがって、本発明において、気密容器は、上記の条件を満足すれば、どのようなもので作られていてもよいが、好適には石英ガラス、透光性セラミックスなどを用いて形成することができる。なお、必要に応じて、気密容器の内面に耐ハロゲン性または耐ハロゲン化物性の透明性被膜を形成するか、気密容器の内面を改質することが許容される。
また、気密容器内部の放電空間は、外気に対して気密に封止されていて、放電空間内には、後述するように一対の電極が所定の間隔で対向した状態で放電空間に臨んで封装される。また、放電空間は、適当な形状であることを許容するものであるが、好適には球体または回転楕円球体のような形状に形成することができる。さらに、放電空間を包囲部により外部に対して気密に包囲するために、包囲部に連結する封止部が形成されていることを許容する。
気密容器が石英ガラスにより製作される場合、封止部は、第1および第2の封止部によって構成することができる。そして、第1および第2の封止部は、包囲部の両端に形成されている。また、第1および第2の封止部は、包囲部の両端から棒状に延在し、内部に後述する電極軸を支持するとともに、気密容器の包囲部の両端を封止し、さらに電極軸に導入導体を接続している。このために、封着金属箔を第1および第2の封止部の中間に介在させて電極軸と導入導体との間を接続するとともに、封着金属箔に封止部の石英ガラスを気密に密着させて気密容器を封止することができる。この場合の封止には、減圧封止法を用いることにより、気密容器の耐圧性を高めることができる。すなわち、本発明において、第1および第2の封止部は、減圧封止部を構成しているのが好ましい。
<一対の電極について> 本発明において、一対の電極は、それぞれ電極軸および電極主部を含んで構成されている。電極軸は気密容器に封装され、電極主部は電極軸の先端側に配設されている。また、電極軸は、その気密容器内に露出している部分の断面積がS(mm2)であり、この断面積S(mm2)は後述するように寿命中の光量低下を抑制するために安定時のランプ電流Iとの相互関係において所定の大きさに規制されている。また、照度立ち上がり特性を良好にするためには始動時のランプ電流ISとの相互関係において所定の大きさに規制するころができる。なお、電極は、純タングステン(W)、トリウムタングステンまたはドープドタングステンによって形成することができる。
また、一対の電極は、交流点灯および直流点灯のいずれで点灯するように構成されていてもよい。交流点灯の場合、一対の電極は同一構造に構成することができる。各電極は、一般的には、電極軸と、その先端近傍に形成した電極主部とで構成される。しかし、要すれば、削り出し構造の凸部からなる電極主部を備えた構造に代えることができ、または電極軸の先端部のみからなる電極主部を構成することができる。
これに対して、直流点灯の場合、一対の電極はその一方が陽極となり、他方が陰極になる。陽極は、ランプ電流の大部分を占める電子の流入による発熱で高温になるので、放熱面積を大きくするために、電極主部を電極軸より相対的に径大に形成するのが一般的である。タングステンの相対的に大径の棒を削り出して陽極の電極主部を形成したり、タングステンの電極軸の先端にタングステン細線からなるコイルを巻装してなる電極主部を形成して陽極としたりすることができる。一方、陰極は、熱電子放出を行い、かつ、ランプ電流のわずかな部分を占めるイオンが流入するので、その電極主部を相対的に小径のタングステンからなる電極軸の先端部のみによって構成される。
本発明においては、電極間の距離は、いわゆる短アーク形の放電が生起するような関係に封装される。短アーク形は、気密容器内に形成される電極間距離が小さく構成されているという特徴があり、したがって発光部を形成するアーク放電領域を小さくすることができる。このため、高圧放電ランプの発光をなるべく点光源に近付けることができるので、反射鏡またはレンズなどの光学系による集光を効率よく行うことができる。液晶プロジェクタなどの投射用においては、小形の短アーク形の高圧放電ランプを用いるが、その電極間距離は、3mm以下が好適である。電極間距離が4mmを超えると、点光源から離れてしまって、光学系の焦点特性が悪くなり、液晶プロジェクタ用として用いた場合に、スクリーン照度が低下してしまう。なお、最適には0.5〜2.0mmである。
なお、電極軸の中間部が封止部の石英ガラスに溶着すると、両者の熱膨張係数の相違によって石英ガラスにクラックが生じやすくなるので、封止部の石英ガラス部分は、電極の振れを防止する程度に緩く支持するだけで、溶着しないように留意すべきである。なお、石英ガラスが電極軸に溶着しにくくする手段として、例えば電極軸の封止部内に埋設される部位にタングステンの細線を大きなピッチで巻き付けてくわえ込みコイルを形成し、その上から石英ガラスが緩く当接するように構成することができる。
<放電媒体について> 本発明において、気密容器内に封入される放電媒体は、水銀、希ガスおよびハロゲンを含んで構成されている。また、加えて安定点灯時に水銀蒸気圧が少なくとも10MPa以上、好ましくは15MPa以上になるように所要量の水銀が封入され、かつ、高圧放電ランプが所要に作動される。
(水銀について) 水銀(Hg)は、その蒸気が放電により高圧放電ランプが発生する可視光の発光金属として作用し、気密容器の放電空間の単位内容積(1mm3)当たり例えば0.2〜0.35mg封入することができる。水銀の封入量が上記の範囲内であれば、発光中の赤色成分が増加して演色性が向上する。また、併せて気密容器の点灯中の破裂を抑制することができる。
(希ガスについて) 希ガスは、高圧放電ランプの始動ガスおよび緩衝ガスとして作用する。また、希ガスは、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)およびキセノン(Xe)などの一種または複数種を混合して用いることができる。
(ハロゲンについて) ハロゲンは、高圧放電ランプの点灯中に気密容器の内面に付着した電極材料の蒸着などの付着物を清浄化して、気密容器の黒化を抑制するように作用する。また、ハロゲンは、それ単体またはハロゲン化物として封入することができる。さらに、ハロゲンは、ヨウ素(I)、臭素(Br)および塩素(Cl)のいずれか一種または複数種、好適には臭素(B)のハロゲン化物または臭素単体からなる。さらにまた、ハロゲンを気密容器の放電空間の内容積に対して1.0×10−4μmol/mm3以上封入することにより、放電のアークが安定する。なお、ハロゲンの封入量は、5.0×10−4μmol/mm3程度を目安にすれば、電極の腐食などの不都合が生じにくくなる。そうして、ハロゲンの封入量は、1.0×10−4〜5.0×10−4μmol/mm3の範囲であり、2.0×10−4μmol/mm3前後が特に好適である。
(アルカリ金属について) ナトリウム(Na)およびリチウム(Li)などのアルカリ金属は、放電により波長580〜780nmの範囲に発光スペクトルを生じる物質である。ところが、既述のようにこれらの金属またはそのハロゲン化物は、これが気密容器の内部に存在すると、アルカリ金属が気密容器の内壁の失透核となり、その核から失透が広がってしまうので、いわゆる放電媒体として意識的に封入されていると否(例えば、不純物として封入されている場合。)とにかかわらず、高圧放電ランプの発光スペクトル分布の中に影響を与える、換言すればピークを有するような量が封入されていないことが望ましい。
<電極軸の電流密度について> 本発明において、ランプ電流は、その安定時の値をI(A)とすれば、電極軸の断面積S(mm2)との相互関係において数式6.5<I/S<15.5を満足するように規制するものとする。I/Sは、安定時における電極軸を流れる電流密度を表している。本発明者の調査によれば、ランプ寿命中の光量の低下は、気密容器の内壁面に黒化が発生して気密容器の透明度が低下することによる原因が支配的である。気密容器の黒化は、電極物質のスパッタにより発生する。電極物質のスパッタは、電極軸の太さと、主として安定時にそこを流れるランプ電流Iの大きさにより大きな影響を受け、上記数式を満足させることにより所定レベルの照度が得られるとともにランプ寿命中の光量低下が著しく低減することが分かった。しかし、I/Sが6.5以下であると、照度が不足し、反対にI/Sが15.5以上になると、光量低下が顕著に増加するので、不可である。
一方、始動時のランプ電流をISとしたとき、数式IS/S>25を満足するように規制することにより、照度立ち上がり特性が良好になることが分かった。なお、「始動時のランプ電流IS」とは、始動時に流れるピーク電流を意味している。ただし、始動時に高電圧パルスを印加した時点に流れる電流を除外して、その後に流れる比較的大きな電流におけるピーク電流を求めるものとする。照度立ち上がり特性は、電極温度が所定値に到達して電子放射が活発に行われるようになるまでの時間が早いほど良好になる。始動時おける電極温度は、主として電極の熱容量とそこに流れるランプ電流との相互関係において決まる。なお、IS/Sが25以下になると、照度立ち上がり時間が長くなるので、不可である。
したがって、ランプ寿命中の光量低下が少なくて、かつ、始動時の照度立ち上がり特性が良好なためには、数式6.5<I/S<15.5および数式IS/S>25をともに満足するように構成すべきである。しかし、ランプ寿命中の光量低下を抑制することのみを目的とする場合には前者の数式を満足するように構成すればよく、また始動時の照度立ち上がり特性を良好にすることのみを目的とする場合には後者の数式を満足するように構成すればよい。
安定時および/または始動時において、ランプ電流を所望に制御するには、点灯回路を制御することによって、これを容易に行うことができる。点灯回路は、既知の構成を採用することができる。
<本発明の作用について> 本発明は、上記の構成を具備していることにより、電極温度の過昇を防止されるので、電極物質のスパッタによる気密容器の内壁面の黒化が抑制され、その結果ランプ寿命中の光量低下が抑制される。また、電極時の断面積と安定時のランプ電流を数式6.5<I/S<15.5を満足させればよいので、構造はすこぶる簡単である。
また、数式IS/S>25を満足するように構成すれば、電極温度が早く所定値まで上昇するので、照度立ち上がり特性が良好になる。
<本発明のその他の構成について> 本発明の必須構成要件ではないが、以下の構成を必要に応じて選択的に付加することにより、本発明の高圧放電ランプの性能が向上したり、機能が追加されたりする。
1.(ランプ電力について) 本発明において、高圧放電ランプの安定点灯時のランプ電力は、30〜150Wの範囲内に設定することができる。また、各種の照明装置用として好適な高圧放電ランプは、安定点灯時のランプ電力が上記の範囲内にあればよい。しかし、液晶プロジェクタなどの画像を拡大投影する装置用として好適な高圧放電ランプとしては、80〜150Wである。
2.(凹形反射鏡について) 高圧放電ランプからの発光を集光するために、凹形反射鏡を高圧放電ランプに固定的に付加することができる。凹形反射鏡は、口金セメントのような無機質接着剤などの固着手段によって高圧放電ランプに対して所定の位置関係に固着するのが適当である。しかし要すれば、両者を着脱可能な形態で一体に固定することもできる。
また、高圧放電ランプを凹形反射鏡に固定するために、透光性放電容器の封止部に固着した口金を利用することができる。なお、高圧放電ランプは、その全体が凹形反射鏡の中に完全に収納されるように配置されてもよいし、一部が反射鏡から外部へ突出してもよい。
さらに、凹形反射鏡は、ガラスまたは金属を基体として構成しているものを用いることができる。いずれの構成においても、反射面に可視光反射・熱線透過性能を備えるたとえばダイクロイックミラーを採用することにより、熱線が被照面に投射されるのを低減することができる。
さらにまた、凹形反射鏡の前面開口に透光性前面カバーを配設することができる。この場合、凹形反射鏡と透光性前面カバーとの間を気密に構成することができる。しかし、気密に構成しなくてもよい。そして、透光性前面カバーを凹形反射鏡に固定するには、シリコーン接着剤や低融点ガラスなどによって接着してもよいし、金属枠によって機械的に固着してもよい。なお、透光性前面カバーの内面または外面に可視光透過・熱線反射膜を形成することにより、被照面に投射される熱線をより一層良好に遮断することができる。また、要すれば、透光性前面カバーに可視光に対して特定波長域の光を良好に透過する色フィルタの機能を付与することもできる。
3.(外管について) 本発明の高圧放電ランプを外管内に収納することができる。この場合、外管を高圧放電ランプの機械的保護、紫外線遮断や温度管理などを目的とするその目的は限定されない。また、外管内の雰囲気をどのようにするかは、その目的に照らして適当に構成することができる。例えば、機械的保護や紫外線遮断を目的とする場合には、外管内を外気に対して封止する必要がない。また、高圧放電ランプの温度管理を目的とする場合には、内部を排気して真空雰囲気や不活性ガスの減圧雰囲気などの構成にすることができる。
請求項2の発明の照明装置は、照明装置本体と;照明装置本体に配設された請求項1記載の高圧放電ランプと;を具備していることを特徴としている。
本発明において、照明装置とは、高圧放電ランプの発光を利用するあらゆる装置を含む広い概念であり、したがって液晶プロジェクタ、オーバーヘッドプロジェクタなどの光投射装置、自動車用前照灯、照明器具、表示装置および光ファイバー照明装置などであることを許容する。もちろん、照明器具は屋内用および屋外用のいずれであってもよい。
そうして、本発明においては、集光効率および発光効率が低下することなしに色特性すなわち演色性が改善された照明装置を得ることができる。
請求項1の発明によれば、安定点灯時におけるランプ電流をIR(A)としたとき、数式6.5<I/S<15.5を満足することにより、寿命中の光量低下が少なくて、しかも構造が簡単な高圧放電ランプを提供することができる。
請求項2の発明によれば、請求項1の効果を有する特に液晶プロジェクタなどの投光装置に好適な照明装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本発明の高圧放電ランプを実施するための第1の形態を示す正面図である。各図において、1は気密容器、2、2は一対の電極、3は封着金属箔、4は導入導体、5は口金、6は接続導体である。気密容器1の内部には、放電媒体が封入されている。
<気密容器1> 気密容器1は、石英ガラスからなり、中央の包囲部1aおよび両端の第1および第2の封止部1b、1cからなる。包囲部1aは、外形がほぼ球体に近い回転楕円体形状をなしているが、内部が管軸方向に長い細長い回転楕円体形状をなした放電空間1a1が形成されている。第1および第2の封止部1b、1cは、包囲部1aの両端に減圧封止構造により一体に接続して形成されている。
<電極2> 電極2は、電極軸2a、電極主部2bおよびくわえ込みコイル2cを備えている。電極軸2aは、純タングステン棒からなる。そして、基端が後述する封着金属箔3に溶接され、中間部が第1および第2の封止部1b、1cに緩く支持され、かつ、先端部が気密容器1の包囲部1aの内部に突出している。電極主部2bは、純タングステン線を電極軸2aの先端に数回密巻により2重に巻装することによって形成されている。くわえ込みコイル2cは、純タングステン細線を電極軸の中間部の少なくとも第1および第2の封止部1b、1cの石英ガラスによるくわえ込み部分に対向する部位に適当なピッチで巻装されている。
<封着金属箔3> 封着金属箔3は、モリブデンからなる。そして、封着金属箔3は、その先端部に電極軸2aの基端を、基端部に導入導体4の先端を、それぞれ溶接して電極マウントを形成した状態で、気密容器1の両端の第1および第2の封止部1b、1cの内部に気密に埋設されている。
<放電媒体> 放電媒体は、水銀、希ガスおよびハロゲンからなる。希ガスは、アルゴン(Ar)などからなる。ハロゲンは、CH2Br2などからなる。
<導入導体4> 導入導体4は、モリブデン(Mo)線からなり、封着金属箔3の基端に先端が溶接し、基端が第1の封止部1bから外部に露出している。なお、導入導体4は、図において左右対称構造であるが、右側の導入導体は後述する口金5内に位置しているため外部から見えない。
<口金5> 口金5は、筒状の口金本体5aおよびねじ端子5bを備えている。口金本体5aは、黄銅などの金属からなり、その一端部が第1の封止部1bの端部に口金セメントすなわち無機質接着剤によって固着されている。ねじ端子5bは、外囲にねじ溝が形成され、口金本体5aと一体に形成されて口金本体5aの中心部から管軸に沿って外方へ突出しているとともに、その中心部に形成された貫通孔に導入導体を挿通し、かつ、溶接することによって導入導体と接続している。そして、ねじ端子5bは、そこに図示していないランププラグがねじ込まれて高圧放電ランプを所定の位置に固定するとともに、点灯回路の一方の出力端子に接続することによって給電を行うのに寄与することができる。
<接続導体6> 接続導体6は、その先端が第2の封止部1cから外部へ突出している導入導体4に先端が溶接している。そして、点灯回路の他方の出力端子が接続導体6を経由して接続することによって給電を行うのに寄与することができる。
放電容器1 :石英ガラス製、最大外径9.0mm、最大内径4.0mm、
内容積50mm3、第1および第2の封止部の直径5.6mm、
長さ21mm、封着金属の封止長17mm
電極1b :直径0.15mmの純タングステン線、電極主部のコイル線径
0.15mm、電極間距離1.4mm、くわえ込みコイルの線径
0.075mm、ピッチ150%
放電媒体
水銀 :11.5mg
ハロゲン :1.0μg
希ガス :Ar0.15気圧
ランプ電圧 :80V
ランプ電力 :100W
次に、図2および図3を参照して、安定時における電極軸の電流密度と黒化発生率との関係および始動時における電極軸の電流密度と照度立ち上がり時間との関係についての試験結果を説明する。なお、試験に供した高圧放電ランプは、100灯であり、いずれも図1に示した既述の形態である。
内容積50mm3、第1および第2の封止部の直径5.6mm、
長さ21mm、封着金属の封止長17mm
電極1b :直径0.15mmの純タングステン線、電極主部のコイル線径
0.15mm、電極間距離1.4mm、くわえ込みコイルの線径
0.075mm、ピッチ150%
放電媒体
水銀 :11.5mg
ハロゲン :1.0μg
希ガス :Ar0.15気圧
ランプ電圧 :80V
ランプ電力 :100W
次に、図2および図3を参照して、安定時における電極軸の電流密度と黒化発生率との関係および始動時における電極軸の電流密度と照度立ち上がり時間との関係についての試験結果を説明する。なお、試験に供した高圧放電ランプは、100灯であり、いずれも図1に示した既述の形態である。
図2は、安定時における電極軸の電流密度と黒化発生率との関係についての試験結果を示すグラフである。図において、横軸はI/S(A/mm2)(I:安定時のランプ電流(A)、S:電極軸の断面積(mm2))を、縦軸は黒化発生率(%)を、それぞれ示す。黒化発生率は、試験に供した高圧放電ランプ100灯中に占める点灯100時間および1000時間内における黒化発生ランプ灯数のパーセントである。図中、曲線Aは点灯100時間内の、曲線Bは点灯1000時間内の、それぞれ黒化発生率を示す。なお、黒化は、目視観察により、その有無を判定した。
図から理解できるように、曲線Aおよび曲線BのいずれにおいてもI/S(A/mm2)が15.5未満であれば、黒化発生率が著しく低かった。
図3は、始動時における電極軸の電流密度と照度立ち上がり時間との関係についての試験結果を示すグラフである。図において、横軸はIS/S(A/mm2)(IS:始動時のランプ電流(A)、S:電極軸の断面積(mm2))を、縦軸は照度立ち上がり時間(秒)を、それぞれ示す。図中、曲線Cは50%立ち上がり特性、曲線Dは80%立ち上がり特性を、それぞれ示す。
図から理解できるように、IS/Sが25以下においては、照度立ち上がり時間が急速に長くなる傾向を示す。これに対して、IS/Sが25超であれば、照度立ち上がり時間が短い値に安定する。
図4は、本発明の高圧放電ランプを実施するための第2の形態を示す一部断面正面図である。本形態は、凹形反射鏡を一体に備えている点において異なる。なお、図1と同一部分については同一符号を付して説明は省略する。図において、11は高圧放電ランプ、12は凹形反射鏡、13は無機質接着剤、14は中継端子、15はワイヤハーネス、16は前面カバーである。
高圧放電ランプ11は、図1に示すのと同一構造である。
凹形反射鏡12は、内面が凹形をなすガラス基体12a、可視光反射・熱線透過膜12bおよび筒状部12cからなる。ガラス基体12aは、内面の凹形部が回転放物面を基本とする曲面に形成され、頂部の外側に筒部12cが一体に突出して形成されている。可視光反射・熱線透過膜12bは、ダイクロイック反射膜からなる。
高圧放電ランプ11を凹形反射鏡12に取り付けるには、口金5を筒状部12cに挿入し、高圧放電ランプ11の発光中心を凹形反射鏡12の焦点に合致させて口金5と筒状部12cとの間に無機質接着剤13を介在させて両者を固着する。
高圧放電ランプ11の一方の電極2側の導入導体4に接続導体6を溶接して凹形反射鏡12の背面側へ導出させている。すなわち、接続導体6は、鏡面の一部に形成した通孔12dを通って凹形反射鏡12の背面側へ導出されている。
中継端子14は、凹形反射鏡12の外面において通孔12dの近傍に固着されている。そして、高圧放電ランプ11に接続している接続導体6とワイヤハーネス15との接続を中継している。
ワイヤハーネス15は、コネクタ15aおよび一対の絶縁被覆導線15b、15cからなる。コネクタ15は、図示を省略している点灯装置の出力端のコネクタに着脱可能に結合して接続するとともに、絶縁被覆導線15b、15cの一端に接続している。絶縁被覆導線15bは、その他端が中継端子14に接続している。絶縁被覆導線15cは、その他端が口金5のねじ端子5bにローレット付きナット5cによって締め付けられて接続している。
前面カバー16は、透明ガラス板からなり、凹形反射鏡12の前面開口端に接着されている。
そうして、ワイヤハーネス15のコネクタ15aを点灯装置に接続して、高圧放電ランプ11を点灯すると、高圧放電ランプ11から発生した光線は、凹形反射鏡12の可視光反射・熱線反射膜12bに入射し、そのうち可視光は反射して光軸と平行に出射し、前面カバー16を通過して照明に利用される。これに対して、熱線は可視光反射・熱線透過膜12bを透過し、さらにガラス基体12aを透過して凹形反射鏡12の背面側へ放散されるので、液晶表示体などの温度上昇を抑制することができる。
図5は、本発明の照明装置を実施するための一形態としての液晶プロジェクタを示す概念的断面図である。図において、21は高圧放電ランプ、22は液晶表示手段、23は画像制御手段、24は光学系、25は高圧放電ランプ点灯装置、26は本体ケース、27はスクリーンである。
高圧放電ランプ21は、図4に示す本発明を実施するための第2の形態のものと同一である。
液晶表示手段22は、投射すべき画像を液晶によって表示するもので、その背面から高圧放電ランプ装置21によって照明される。
画像制御手段23は、液晶表示手段22を駆動および制御するもので、要すればテレビジョン受信機能をも備えることができる。
光学系24は、液晶表示手段22を通過した光をスクリーン27に投射する。
高圧放電ランプ点灯装置25は、高圧放電ランプ21を点灯する。
本体ケース26は、以上の各要素21〜26を収納する。
1…気密容器、1a…包囲部、1a1…放電空間、1b…第1の封止部、1c…第2の封止部、2…電極、2a…電極軸、2b…電極主部、3…封着金属箔、4…導入導体、5…口金、5a…口金本体、5b…ねじ端子、6…接続導体
Claims (2)
- 内部に放電空間を有する耐火性で透光性の気密容器と;
断面積S(mm2)の電極軸を備え、気密容器内に封装された一対の電極と;
水銀、ハロゲンおよび希ガスを含んで気密容器の放電空間内に封入されるとともに、点灯時の水銀蒸気圧が少なくとも10MPa以上になる放電媒体と;
を具備し、安定点灯時のランプ電流をI(A)としたとき、数式6.5<I/S<15.5を満足することを特徴とする高圧放電ランプ。 - 照明装置本体と;
照明装置本体に配設された請求項1記載の高圧放電ランプと;
を具備していることを特徴とする照明装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004121297A JP2005302676A (ja) | 2004-04-16 | 2004-04-16 | 高圧放電ランプおよび照明装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US9500874B2 (en) | 2012-04-26 | 2016-11-22 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Liquid crystal optical element and image display apparatus including the same |
-
2004
- 2004-04-16 JP JP2004121297A patent/JP2005302676A/ja active Pending
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