JP2005302268A - ソリッドイマージョンレンズ、集光レンズ、光学ピックアップ装置及び光記録再生装置 - Google Patents
ソリッドイマージョンレンズ、集光レンズ、光学ピックアップ装置及び光記録再生装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】ソリッドイマージョンレンズ11の対物側に、その光軸cに沿う断面において傾斜部3または段差部を有する凸状部2を形成して、この凸状部2を、少なくとも光軸からソリッドイマージョンレンズ11への入射角θiまでの範囲の入射光を集光する形状として構成する。
【選択図】図9
Description
そこで、これらに対応するため、光記録再生装置では、その光源の例えば半導体レーザの短波長化や、集光レンズの開口数の増大化が図られ、集光レンズを介して収束する光スポットの小径化が図られている。
したがって、光記録媒体との傾きに対する余裕度は殆どゼロとなり、レンズもしくは光記録媒体が何らかの理由で傾いたときには、レンズと光記録光媒体とが接触してしまい、レンズと光記録媒体の双方に傷や磨耗などの損傷を生じてしまう。
また、単にソリッドイマージョンレンズの対物面を円錐状等に加工するのみでは、高い開口数を得るために入射角が大とされるソリッドイマージョンレンズでは、入射光の一部を遮る形状となってしまう場合があり、高効率で集光できない恐れがある。
またこの場合、図31の概略構成図に入射光の集光軌跡を矢印Liで示すように、従来のソリッドイマージョンレンズは、その集光部分が対物面9の1点でしか許容されないため、背後の光学レンズからの入射光の光軸がずれて入射角度がばらついた場合、そのレンズ厚さr又はr(1+1/n)が変化してしまい、入射光の角度ばらつきに対するマージンはゼロであるという問題がある。
しかしながら、光学レンズが1mm未満程度の小径とされる場合、光学ピックアップ装置の組み立て精度を高くすることは難しい。
しかしながら、ソリッドイマージョンレンズの曲率半径を極めて小さく、例えば半径0.5mm以下の曲率半径とする場合は、上述のニアフィールド光記録再生を実現するのに十分な集光レンズの組み立て精度は得られていないのが現状である。
更にまた本発明は、入射レーザ光の傾きに対するマージンを大として、組み立て精度のマージンを従来に比して大とし得るソリッドイマージョンレンズ及びこれを用いた集光レンズ、光学ピックアップ装置及び光記録再生装置を提供する。
また、本発明は、上述のソリッドイマージョンレンズにおいて、その球状部が曲率半径rの超半球状とされ、上記凸状部の集光位置における先端部は、屈折率をnとすると、半径が略r/nの球に略外接する形状とされたことを特徴とする。
更に、本発明は、上述のソリッドイマージョンレンズにおいて、上記凸状部が段差部を有する形状とされ、上記ソリッドイマージョンレンズと該ソリッドイマージョンレンズの対象物との間隔をdとし、上記段差部の高さをhとし、その光軸から上記段差部の縁部までの長さをyとしたとき、
tan−1(h/y)<90°−θi ・・・(1)
かつ
tan−1(d/y)>0.05° ・・・(2)
かつ
tan−1{(d+h)/x}>0.05° ・・・(3)
(ただし、x=√〔r2−{(r/n)−h}2〕
の関係とされたことを特徴とする。
更に、本発明は、上述のソリッドイマージョンレンズにおいて、上記凸状部が段差部を有する形状とされ、上記ソリッドイマージョンレンズと該ソリッドイマージョンレンズの対象物との間隔をdとし、上記段差部の高さをhとし、その光軸から上記段差部の縁部までの長さをyとしたとき、
tan−1(h/y)<90°−θi ・・・(4)
かつ
tan−1(d/y)>0.05° ・・・(5)
かつ
tan−1{(d+h)/x}>0.05° ・・・(6)
(ただし、x=√(r2−h2)
の関係とされたことを特徴とする。
更に、本発明による光学ピックアップ装置は、上述の本発明構成によるソリッドイマージョンレンズレンズと、このソリッドイマージョンレンズと光軸を合致させて対物側とは反対側に配置された光学レンズと、光源とが少なくとも設けられ、ソリッドイマージョンレンズ及び光学レンズから成る集光レンズによって光源からの出射光を収束させて光スポットを形成する構成とすることを特徴とする。
また、本発明による光記録再生装置は、上述の本発明構成によるソリッドイマージョンレンズを用いた集光レンズを具備する光学ピックアップ装置を有し、集光レンズを光記録媒体のフォーカシング方向及び/又はトラッキング方向に制御駆動する制御駆動手段を設ける構成とすることを特徴とする。
本発明は、ソリッドイマージョンレンズと、このソリッドイマージョンレンズと光軸を合致させ、対物側とは反対側に配置された光学レンズとで構成された集光レンズ、更にこの集光レンズを有し、いわゆるニアフィールド光記録再生方式を採用する光学ピックアップ装置と、この光学ピックアップ装置を有する光記録再生装置に適用することができる。
この手段としては、例えば一般的な光学ピックアップに用いられる2軸アクチュエータや、磁気ヘッド装置等に用いられるスライダ等が挙げられる。
これら集光レンズ13の制御駆動手段の形態を次に示す。
図3に示すように、2軸アクチュエータ16は、集光レンズ13をトラッキング方向に制御駆動させるトラッキング用コイル17と、フォーカシング方向に制御駆動させるフォーカシング用コイル17とより構成される。
また、この2軸アクチュエータ16において、トラッキング方向に戻り光量をモニタし、その位置情報をフィードバックすることにより、集光スポットを所望の記録トラックに移動させることが可能である。
図4に示すように、集光レンズ13を、トラッキング方向に制御駆動されるスライダ21に固着して構成することもできる。このスライダ21は、例えば光記録媒体30の面触れ方向にのみ弾性を有するジンバル22等の弾性体、または図示を省略する他の弾性体を介し、トラッキング方向に移動する可動光学部(図示せず)に支持される。そしてこの可動光学部を、リニアモータ等で構成された制御駆動手段によりトラッキング方向に制御駆動することによって、所定のトラック上に集光レンズ13を対向させることができる。
そして、光記録媒体30の回転に伴い発生する気体流が光記録媒体30とスライダ21との間に流れ込むとともに、弾性体の光記録媒体30側への押圧力と釣り合う気体薄膜が形成され、スライダ21が光記録媒体30に対して一定の距離、例えば50nmの距離を保ちつつ浮上するように構成される。すなわち、光記録媒体30を所定の回転数で回転させて光記録媒体30からの情報の再生時あるいは、光記録媒体30への情報の記録時において、集光レンズ13を構成するソリッドイマージョンレンズ11と光記録媒体30との距離を、スライダ32によりほぼ一定距離に保たれた状態とすることができる。
図6は、本発明によるソリッドイマージョンレンズの光軸に沿う断面構成の一例の概略構成図である。図6に示すように、この場合球状部1を曲率半径rの超半球状とする例で、屈折率をnとすると、光軸に沿う厚さはr(1+1/n)とされる。なお、図示しないが球状部1を半球状とする場合は光軸に沿う厚さはrとされる。
そして本発明においては、このソリッドイマージョンレンズの対物側に、ソリッドイマージョンレンズの光軸cに沿う断面において傾斜部または段差部を有する凸状部2を形成し、この凸状部2を、少なくとも光軸からソリッドイマージョンレンズ11への入射角θiまでの範囲の入射光を集光する形状として構成する。
なお、図6においては、入射光が、球状部1の光軸cに直交する断面において直径が2rとなる破線Rで示す位置から入射する例を示しているが、この場合は、斜線を付して示す領域Sが光軸cを回転軸として回転された立体領域を少なくとも包含する凸状部2を設ける構成とするものである。
0°<θi<90°
の範囲である。
これについて説明すると、ソリッドイマージョンレンズを利用した集光レンズの開口数は、図7にその一例の概略構成図を示すように、ソリッドイマージョンレンズ11の対物面とは反対側に配置する光学レンズ12からソリッドイマージョンレンズ11への入射光の光軸からの入射角をθi0、ソリッドイマージョンレンズ11内の入射角をθiとし、光学レンズ12の開口数をNA、ソリッドイマージョンレンズ11の屈折率をnとすると、
sinθi0=NA
nsinθi0=sinθi
となるので、ソリッドイマージョンレンズ11を有する集光レンズの実効的な開口数NA(SIL)は、
NA(SIL) =n2sinθi0
=nsinθi
と表され、θiが略90°のときソリッドイマージョンレンズ11を有する集光レンズの実効的な開口数は、NA(SIL) =nで最大となる。
すなわち、入射角度θiを大とするほうが高い開口数を得るためには望ましいが、製造マージンは入射角度θiを大とするほど小さくなり、歩留まりを高めることが難しくなる。
このため、製造マージンをある程度確保するためには、破線Rで示す位置近傍から入射させる構成が望ましく、すなわち実用的には入射角θiをtan−1(n)近傍とすることが望ましい。
θ≧θi
として構成する。なお、傾斜角度を光軸と直交する断面からの角度θsとして示すと、
θs≦90°−θi
となる。
またソリッドイマージョンレンズの材料としては、例えば用いられる光記録再生装置の装備するレーザ光源など、入射光の波長に対して屈折率が大きく、また透過率が大きくかつ光吸収が小さい材料が好適である。例えば、高屈折率ガラスであるオハラ株式会社製のS−LAH79や、高屈折率セラミックス、高屈折率単結晶材料であるBi4Ge3O12、SrTiO3、ZrO2、HfO2、SiC、ダイヤモンドなどが好適である。
また、これらのレンズ材料は、アモルファス構造、もしくは単結晶の場合には立方晶構造であることが望ましい。光学レンズ材料がアモルファス構造、もしくは立方晶構造である場合、その方位を精度良く合わせる必要がなく、従来のボール研磨方法や研磨装置が利用可能である。また、材料の方位を気にすることなく、光学レンズ作製のためのエッチングプロセスやポリッシングプロセスを容易に適用できるという利点がある。
次に、第1の実施の形態例として、図9〜図11の概略構成図に示すソリッドイマージョンレンズ11について、その構成及び入射光の経路とともに詳細に説明する。図9においてはこのソリッドイマージョンレンズ11の形状の理解を容易にするために、概略側面図及び対物側からみた概略平面図を並置して示す。この場合、ソリッドイマージョンレンズ11は、その球状部1を超半球状とするもので、球状部1の曲率半径をr、屈折率をn、光軸に沿う方向の厚さをr(1+1/n)として、その対物側に傾斜部3を有する凸状部2を設けた場合を示す。
そしてこの例においては、この凸状部2の集光位置の先端部5を、破線bで示す半径が略r/nの球に略外接する形状として形成した場合を示す。
図9において、破線Rは、球状部1の光軸cに直交する断面において、直径が2rとなる断面を示す。この破線Rで示す断面から、先端部5までの光軸に沿う厚さが略r/nとなる。すなわち、破線bで示す半径r/nの球は、その中心位置を、球状部1の中心位置と略同一とした球であることが望ましい。
更にこの場合は、対物面9が平坦な平面形状であり、媒体との傾きマージンがゼロであるため、レンズ、もしくは媒体が傾いたときに、レンズと媒体が接触し、レンズと媒体の双方に傷や磨耗などの損傷を受けてしまうという問題がある。
また、従来のソリッドイマージョンレンズでは限界であった微小曲率半径のソリッドイマージョンレンズと、他の光学レンズとの組み立て精度のマージンを従来に比して大とすることができ、より容易に高開口数の集光レンズを組み立て、保持することが可能となる。
更に、ソリッドイマージョンレンズの小型化が可能となることから、光記録媒体のフォーカス方向及び/又はトラッキング方向に制御駆動される集光レンズの重量が小となり、フォーカスサーボやトラッキングサーボのシーク時間等のサーボ特性の向上を図ることができ、光学ピックアップ装置および光記録再生装置の小型化薄型化を図ることが可能となる。
この場合においても、図9に示す例と同様に、その傾斜部3の傾斜角度を適切に選定することによって、入射光を妨げることなく、良好に光記録媒体との傾きマージンを大とすることができ、また入射光の光軸ずれに対して同様に許容範囲を有することから、組み立て工程、製造の容易化を図り、ソリッドイマージョンレンズの小型化、軽量化、これを用いた光学ピックアップ装置及び光記録再生装置の小型薄型化を図ることが可能となる。
次に、本発明による第2の実施の形態の一例の概略構成を図13〜図15を参照して詳細に説明する。図13〜図15において、図9〜図11に対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。
この例においては、図13に示すように、ソリッドイマージョンレンズ11の球状部1は超半球状とし、凸状部2に傾斜部3を設け、その先端部5を、破線bで示す球状部1と中心位置を略同一とした半径が略r/nの球に略外接する形状とする。そしてこの場合、傾斜部3は超半球状の球状部1の縁部まで延長することなく、傾斜部3の周囲に、光軸と直交する平面と略平行な平面部6を設ける構成とするものである。
この場合においても、上述の第1の実施の形態の例と同様に、凸状部2を設けることによって、光記録媒体30との傾きマージンを大とすることができる。
この場合においても、図9〜図11において説明した例と同様に、凸状部2の形状を適切に選定することにより、すなわち具体的には、傾斜部3の傾斜角度θs、先端部5から平面部6までの高さ等を適切に選定して、例えば図6において斜線を付して示す領域Sを包含する形状として構成することにより、少なくとも光軸からの角度が0°からθiの範囲の入射光を妨げることなく、確実に集光位置に集光させることができ、したがって所定の開口数の得られる構成とすることができる。
更に、上述したように凸状部2の先端部5を、半径略r/nの球に略外接する形状とすることから、図15に示すように、破線矢印a1からa2の範囲の入射光の光軸のずれに対して確実に入射光を先端部5の集光位置に集光させることができ、光軸のずれに対して従来に比してマージンが大なるソリッドイマージョンレンズ、集光レンズを提供することができる。
また、従来のソリッドイマージョンレンズでは限界であった微小曲率半径のソリッドイマージョンレンズと、他の光学レンズとの組み立て精度のマージンを従来に比して大とすることができ、より容易に高開口数の集光レンズを組み立て、保持することが可能となる。
更に、ソリッドイマージョンレンズの小型化が可能となることから、光記録媒体のフォーカス方向及び/又はトラッキング方向に制御駆動される集光レンズの重量が小となり、フォーカスサーボやトラッキングサーボのシーク時間等のサーボ特性の向上を図ることができ、光学ピックアップ装置および光記録再生装置の小型化薄型化を図ることが可能となる。
この場合においても、図13に示す例と同様に、その傾斜部3の傾斜角度を適切に選定することによって、入射光を妨げることなく、良好に光記録媒体との傾きマージンを大とすることができ、また入射光の光軸ずれに対して同様に許容範囲を有することから、組み立て工程、製造の容易化を図り、ソリッドイマージョンレンズの小型化、軽量化、これを用いた光学ピックアップ装置及び光記録再生装置の小型薄型化を図ることが可能となる。
次に、本発明による第3の実施の形態の例を図17〜図19を参照して説明する。図17〜図19において、図9〜図11に対応する部分には、同一符号を付して重複説明を省略する。
この例においても、図17に示すように、ソリッドイマージョンレンズ11の球状部1は超半球状とし、凸状部2には、破線bで示す球状部1と中心位置を略同一とした半径が略r/nの球に略外接する曲面形状の段差部4を構成し、その周囲に、光軸と直交する平面と略平行な平面部6を設ける構成とするものである。
更に、上述したように凸状部2の先端部5を半径略r/nの球に略外接する形状とすることから、図19に示すように、破線矢印a1からa2の範囲の入射光の光軸のずれに対して確実に入射光を先端部5の集光位置に集光させることができ、光軸のずれに対して従来に比してマージンが大なるソリッドイマージョンレンズ、集光レンズを提供することができる。
また、従来のソリッドイマージョンレンズでは限界であった微小曲率半径のソリッドイマージョンレンズと、他の光学レンズとの組み立て精度のマージンを従来に比して大とすることができ、より容易に高開口数の集光レンズを組み立て、保持することが可能となる。
そしてこの場合においても、図19に示すように、入射光Liの光軸がずれた場合においても、レンズ11の厚さを実質的に変化しない構成とすることができることから、第1及び第2の実施の形態の例と同様に、光記録媒体30に対して傾斜マージンを有し、かつ入射光の光軸のずれに対してマージンが大なるソリッドイマージョンレンズ、集光レンズを提供することができる。
この場合においても、図17に示す例と同様に、その段差部4の縁部の光軸cからの長さ及び高さを適切に選定することによって、入射光を妨げることなく、良好に光記録媒体との傾きマージンを大とすることができ、また入射光の光軸ずれに対して同様に許容範囲を有することから、組み立て工程、製造の容易化を図り、ソリッドイマージョンレンズの小型化、軽量化、これを用いた光学ピックアップ装置及び光記録再生装置の小型薄型化を図ることが可能となる。
次に、本発明による第4の実施の形態の例について図21〜図23を参照して説明する。図21〜図23において、図9〜図11に対応する部分には、同一符号を付して重複説明を省略する。
この例においても、図21に示すように、ソリッドイマージョンレンズ11の球状部1は超半球状とし、凸状部2には、破線bで示す球状部1と中心位置を略同一とした半径が略r/nの球に略外接する先端部5を有する段差部4を設け、その周囲に、光軸と直交する平面と略平行な平面部6を設ける構成とするものである。
またこの場合においても、凸状部2の先端部5を半径が略r/nの球に略外接する形状とすることから、図23に示すように、破線矢印a1からa2の範囲の入射光の光軸のずれに対して確実に入射光を先端部5の集光位置に集光させることができ、光軸のずれに対して従来に比してマージンが大なるソリッドイマージョンレンズ、集光レンズを提供することができる。
また、従来のソリッドイマージョンレンズでは限界であった微小曲率半径のソリッドイマージョンレンズと、他の光学レンズとの組み立て精度のマージンを従来に比して大とすることができ、より容易に高開口数の集光レンズを組み立て、保持することが可能となる。
そしてこの場合においても、図23に示すように、入射光Liの光軸がずれた場合においても、レンズ11の厚さを実質的に変化しない構成とすることができることから、第1及び第2の実施の形態の例と同様に、光記録媒体30に対して傾斜マージンを有し、かつ入射光の光軸のずれに対してマージンが大なるソリッドイマージョンレンズ、集光レンズを提供することができる。
この場合においても、図21に示す例と同様に、その段差部4の縁部の光軸cからの長さと高さを適切に選定することによって、入射光を妨げることなく、良好に光記録媒体との傾きマージンを大とすることができ、また入射光の光軸ずれに対して同様に許容範囲を有することから、組み立て工程、製造の容易化を図り、ソリッドイマージョンレンズの小型化、軽量化、これを用いた光学ピックアップ装置及び光記録再生装置の小型薄型化を図ることが可能となる。
次に、本発明による第5の実施の形態の例について図25及び図26を参照して詳細に説明する。図25及び図26において、図9〜図11と対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この例においては、ソリッドイマージョンレンズ11の球状部1を超半球状とし、対物面の凸状部2に段差部4を設け、その先端部5を平面状とし、また段差部4の周囲は、光軸cと直交する平面と略平行な平面部6として構成した場合を示す。この先端部5は円筒形状でもよく、また角柱状、或いはその光軸と直交する断面が楕円状となる凸形状などとすることができる。凸状部2の周囲は、光軸cと直交する平面と略平行な面が形成される。
すなわちこの場合、図26に示すように、ソリッドイマージョンレンズ11とその対象物との間隔をd、段差部の高さをh、その光軸から段差部の縁部までの長さをyとしたとき、上記式(1)〜(3)、すなわち
tan−1(h/y)<90°−θi ・・・(1)
かつ
tan−1(d/y)>0.05° ・・・(2)
かつ
tan−1{(d+h)/x}>0.05°
(ただし、x=√〔r2−{(r/n)−h}2〕 ・・・(3)
の関係として構成する。
θ4=90°−tan−1(n)
=90°―θi
とする。
凸状部1の段差部4の球状部1側の縁部4Aの集光位置からの傾斜角度θ3は、
θ3=tan−1(h/y)
である。
すなわち、この場合入射光を遮らない形状を有する条件は、θ3<θ4であるから、上記式(1)の関係を満たすことによって、入射光を最大限有効に利用することができる。
θ2=tan−1(d/y)
で表される。一方、ソリッドイマージョンレンズの端面、すなわち球状部1の縁部が光記録媒体30と接触する角度θ1は、
θ1=tan−1{(d+h)/x}
(ただし、x=√〔r2−{(r/n)−h}2〕
である。
ソリッドイマージョンレンズと光記録媒体との傾きマージンは、これらθ1及びθ2のうち小さいほうの角度に依存する。したがって、θ1=θ2となる形状の凸状部2を、対物面に加工、形成することによって、ソリッドイマージョンレンズと光記録媒体との傾きマージンを最大にすることができる。
或いは、これらの角度θ1及びθ2が共に、少なくとも0.05°を超える角度であれば、従来に比して組み立て精度のマージンを大とすることが可能なソリッドイマージョンレンズを提供することができることがわかる。
tan−1(h/y)<90°−θi ・・・(4)
かつ
tan−1(d/y)>0.05° ・・・(5)
かつ
tan−1{(d+h)/x}>0.05° ・・・(6)
(ただし、x=√(r2−h2))
の関係として構成する。
θ4=90°−θi
となる。
凸状部1の段差部4の球状部1側の縁部4Aの集光位置からの傾斜角度θ3は、
θ3=tan−1(h/y)
である。
すなわち、この場合入射光を遮らない形状を有する条件は、θ3<θ4であるから、上記式(1)の関係を満たすことによって、入射光を最大限有効に利用することができる。
θ2=tan−1(d/y)
で表される。一方、ソリッドイマージョンレンズの端面、すなわち球状部1の縁部が光記録媒体30と接触する角度θ1は、
θ1=tan−1{(d+h)/x}
(ただし、x=√(r2−h2))
である。
これらの角度θ1及びθ2が共に、少なくとも0.05°を超える角度であれば、従来に比して組み立て精度のマージンを大とすることが可能なソリッドイマージョンレンズを提供することができることがわかる。
以上述べたように、本発明のソリッドイマージョンレンズの形状を用いれば、入射光の光路を遮ることなく、所定の開口数を得ることができ、かつ、ソリッドイマージョンレンズと光記録媒体との傾きマージンを大とするソリッドイマージョンレンズを得ることができる。
[1]実施例1
例えば、第5の実施の形態で説明した形状のソリッドイマージョンレンズにおいて、その半径rを1.0mm、屈折率を2.213、レンズと媒体の間隔を25nmとしたとき、円筒部分の光軸から縁部までの長さyを8μm、高さhを2.8μmとして、エッチングプロセスにより凸状部2を形成した。この場合、入射光の光路を遮ることなく、開口数2.02を実現し、ソリッドイマージョンレンズと光記録媒体との傾きマージンを、+/−0.179°とすることができた。この場合の段差部4の縁部4Aの角度θ3、段差部と入射光との傾きマージン、段差部4の対物側の縁部4Bと光記録媒体との傾きマージン、そしてソリッドイマージョンレンズ自体と光記録媒体との傾きマージンを以下の表1にそれぞれ示す。
この場合、従来は殆どマージンが0であったソリッドイマージョンレンズにおいて、傾きマージン+/−0.179°を得ている。
以下の実施例2及び3、比較例1においては、ソリッドイマージョンレンズの半径rを0.45mmとした場合について説明する。この例においても同様に、凸状部2の円筒形状をエッチングプロセスにて加工した。この例においてはソリッドイマージョンレンズの屈折率を2.213、レンズと光記録媒体の間隔を25nmとしたときの実施例を示す。実施例2では、凸状部2の光軸から縁部までの長さyを5.15μmとし、その高さhを1.92μmとした。このソリッドイマージョンレンズにおいて、入射光角度24.3°に対して、+3.87度のマージンを持って凸状部2を形成することができ、すなわち、入射光を遮ることなく、所定の開口数である2.02を得ることが可能となった。また、凸状部2の端部4Bと光記録媒体30との傾きマージンを測定すると、+/−0.278°が得られ、ソリッドイマージョンレンズの端部と光記録媒体の傾きマージンを測定すると、+/−0.277°が得られた。凸状部2の端部と光記録媒体との傾きマージンと、レンズの端部と光記録媒体との傾きマージンとを略等しくして、ソリッドイマージョンレンズと光記録媒体との傾きマージンを最大とすることができたことがわかる。
次に、ソリッドイマージョンレンズの半径rを0.45mm、屈折率を2.213、レンズと媒体の間隔dを25nmとしたときの実施例を示す。この場合も、凸状部2の円筒形状をエッチングプロセスにて加工した。そしてこの凸状部2の光軸から縁部までの長さyを10.9μmとし、高さhを3.35μmとした。この構成によるソリッドイマージョンレンズの場合、レーザの入射角度24.3度に対して、+7.23°のマージンを有する。すなわち、入射光を遮ることなく、所定の開口数である2.02を得ることが可能である。
一方この場合は、凸状部2の縁部4Bと光記録媒体との傾きマージンを測定すると、+/−0.131°が得られ、レンズの縁部と光記録媒体との傾きマージンを測定すると、+/−0.480°が得られた。すなわちこの場合前述の角度θ1とθ2とが等しくなく、ソリッドイマージョンレンズと光記録媒体との傾きマージンを最大とはしていないが、レンズ自体と光記録媒体との傾きマージンとしては+/−0.131°が得られ、十分実用に供し得る形状とすることができる。
次に、比較例1として、ソリッドイマージョンレンズの半径rを0.45mm、屈折率を2.213、レンズと媒体との間隔を25nmとしたときの例を示す。比較例1でも同様に、その凸状部2の円筒形状をエッチングプロセスにて加工した。なお、凸状部2の光軸から縁部までの長さyは、4.55μmとし、高さhを2.29μmとした。この場合、入射光角度24.3°に対して、−2.4度のマージンとなってしまう。すなわち、比較例1の形状特徴を有するソリッドイマージョンレンズの場合、入射光を遮ってしまい、所定の開口数である2.02を得ることはできなかった。
なお、凸状部2の縁部4Bと光記録媒体30との傾きマージンを測定すると、+/−0.315°が得られ、レンズの縁部と光記録媒体との傾きマージンを測定すると、+/−0.329°が得られたが、先に述べたように、入射光を遮っているので、ソリッドイマージョンレンズとしての機能を有していないことは明らかである。
従来のソリッドイマージョンレンズでは、レンズと光記録媒体との傾きマージンが非常に狭く、レンズもしくは光記録媒体のどちらかが傾いた場合には、レンズと媒体が衝突していたものであるが、本発明による形状のソリッドイマージョンレンズでは、凸状部の集光部を球状部が超半球状の場合は上記式(1)〜(3)、また球状部が半球状の場合は上記式(4)〜(6)に示す形状とすることによって、レンズと光記録媒体との傾きマージンが従来に比して大で、かつ、その開口数を所定の値とし得るソリッドイマージョンレンズを提供することができる。
また、傾きマージンを大とすることができて、組み立て精度のマージンをも大とすることができることから、ソリッドイマージョンレンズの小径化が可能となる。したがって、ソリッドイマージョンレンズを有する集光レンズ部分の小型軽量化が可能となり、したがって、これら集光レンズ部分の形状及び、重量が縮小できるので、従来のそれに比べて、小型軽量で、フォーカスサーボ特性、トラッキングサーボ特性、シーク特性に優れた光ピックアップ装置を実現できる。そしてこのように、フォーカスサーボやトラッキングサーボやシーク時間等のサーボ特性の向上を図ることによって、ニアフィールド記録再生方式を採用して光記録媒体の高密度化高容量化に対応することが可能となる。
また、ソリッドイマージョンレンズを小径化することができることから、高価な材料を用いる場合においても、レンズ材料の使用量が少なくなるので、比較的安価になり、これを用いた集光レンズや、光学ピックアップ装置及び光記録再生装置のコストの低減化を図ることも可能となる。
なお、上述の各例においては、凸状部の断面形状のみを示したものであるが、これらは、光軸cを回転軸として回転させた回転対称形状としてもよく、またその他の非対称な形状とすることもできる。
特にディスク状の光記録媒体を対象とする集光レンズ、光学ピックアップ装置、光記録再生装置に適用する場合は、ディスク状媒体が傾き易い方向、すなわち半径方向の傾きマージンをより大とする形状を採用することが望ましい。具体的には、例えば円筒状の凸状部2を設ける場合に、その光軸と直行する断面において正方形、長方形、楕円形等とすることができる。例えば楕円形とする場合において、その短軸方向をディスクの半径方向とし、ディスクの記録トラックの接線方向であるいわゆるタンジェンシャル方向と比較して、半径方向のいわゆるラジアル方向において、より傾きマージンを大とする構成とすることもできる。
また、先端部の形状を、球状部が超半球状の場合は半径が略r/nの球に略外接する形状、また球状部が半球状の場合は半径が略r/2の球に略外接する形状とする場合において、例えば半径が僅かにr/n又はr/2からずれるとか、半径r/n又は半径r/2の球に対して僅かにずらして外接する形状とする場合においても、このずれによる集光位置の補正を入射光の入射側において光学系により補正することができる範囲であれば、本発明と同様の効果が得られるものである。
また、本発明は、その他の先端形状について、本発明構成を逸脱しない範囲において、各種選択することができることはいうまでもなく、その段差部、傾斜部の角度や長さを選定することによって、所定の開口数を得る入射光を妨げない形状とすることができる。
またその他の部分を含め、ソリッドイマージョンレンズの材料構成において、本発明は、上述の例に限定されることなく、種々の変形、変更が可能であることはいうまでもない。
Claims (8)
- ソリッドイマージョンレンズの対物側に、光軸に沿う断面において傾斜部または段差部を有する凸状部が形成され、
上記凸状部は、少なくとも光軸から上記ソリッドイマージョンレンズへの入射角θiまでの範囲の入射光を集光する形状とされて成る
ことを特徴とするソリッドイマージョンレンズ。 - 上記ソリッドイマージョンレンズの球状部が曲率半径rの超半球状とされ、
上記凸状部の集光位置における先端部は、屈折率をnとすると、半径が略r/nの球に略外接する形状とされた
ことを特徴とする請求項1記載のソリッドイマージョンレンズ。 - 上記凸状部が段差部を有する形状とされ、
上記ソリッドイマージョンレンズと該ソリッドイマージョンレンズの対象物との間隔をdとし、上記段差部の高さをhとし、その光軸から上記段差部の縁部までの長さをyとしたとき、
tan−1(h/y)<90°−θi
かつ
tan−1(d/y)>0.05°
かつ
tan−1{(d+h)/x}>0.05°
(ただし、x=√〔r2−{(r/n)−h}2〕
の関係とされた
ことを特徴とする請求項1記載のソリッドイマージョンレンズ。 - 上記ソリッドイマージョンレンズの球状部が曲率半径rの半球状とされ、
上記凸状部の集光位置における先端部は、半径が略r/2の球に略外接する形状とされた
ことを特徴とする請求項1記載のソリッドイマージョンレンズ。 - 上記凸状部が段差部を有する形状とされ、
上記ソリッドイマージョンレンズと該ソリッドイマージョンレンズの対象物との間隔をdとし、上記段差部の高さをhとし、その光軸から上記段差部の縁部までの長さをyとしたとき、
tan−1(h/y)<90°−θi
かつ
tan−1(d/y)>0.05°
かつ
tan−1{(d+h)/x}>0.05°
(ただし、x=√(r2−h2)
の関係とされた
ことを特徴とする請求項1記載のソリッドイマージョンレンズ。 - ソリッドイマージョンレンズと、該ソリッドイマージョンレンズと光軸を合致させ、対物側とは反対側に配置された光学レンズとより構成された集光レンズにおいて、
上記ソリッドイマージョンレンズの対物側に、上記ソリッドイマージョンレンズの光軸に沿う断面において傾斜部または段差部を有する凸状部が形成され、
上記凸状部は、少なくとも光軸から上記ソリッドイマージョンレンズへの入射角θiまでの範囲の入射光を集光する形状とされて成る
ことを特徴とする集光レンズ。 - ソリッドイマージョンレンズレンズと、該ソリッドイマージョンレンズと光軸を合致させて対物側とは反対側に配置された光学レンズと、光源とが少なくとも設けられ、上記ソリッドイマージョンレンズ及び光学レンズから成る集光レンズによって上記光源からの出射光を収束させて光スポットを形成する光学ピックアップ装置において、
上記ソリッドイマージョンレンズの対物側に、上記ソリッドイマージョンレンズの光軸に沿う断面において傾斜部または段差部を有する凸状部が形成され、
上記凸状部は、少なくとも光軸から上記ソリッドイマージョンレンズへの入射角θiまでの範囲の入射光を集光する形状とされて成る
ことを特徴とする光学ピックアップ装置。 - ソリッドイマージョンレンズレンズと、該ソリッドイマージョンレンズと光軸を合致させて対物側とは反対側に配置された光学レンズと、光源とが少なくとも設けられ、上記ソリッドイマージョンレンズ及び光学レンズから成る集光レンズによって上記光源からの出射光を収束させて光スポットを形成する光学ピックアップ装置を有し、上記集光レンズを光記録媒体のフォーカシング方向及び/又はトラッキング方向に制御駆動する制御駆動手段が設けられて成る光記録再生装置において、
上記ソリッドイマージョンレンズの対物側に、上記ソリッドイマージョンレンズの光軸に沿う断面において傾斜部または段差部を有する凸状部が形成され、
上記凸状部は、少なくとも光軸から上記ソリッドイマージョンレンズへの入射角θiまでの範囲の入射光を集光する形状とされて成る
ことを特徴とする光記録再生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005034884A JP2005302268A (ja) | 2004-03-15 | 2005-02-10 | ソリッドイマージョンレンズ、集光レンズ、光学ピックアップ装置及び光記録再生装置 |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004073161 | 2004-03-15 | ||
JP2005034884A JP2005302268A (ja) | 2004-03-15 | 2005-02-10 | ソリッドイマージョンレンズ、集光レンズ、光学ピックアップ装置及び光記録再生装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005302268A true JP2005302268A (ja) | 2005-10-27 |
JP2005302268A5 JP2005302268A5 (ja) | 2008-02-14 |
Family
ID=35333547
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005034884A Pending JP2005302268A (ja) | 2004-03-15 | 2005-02-10 | ソリッドイマージョンレンズ、集光レンズ、光学ピックアップ装置及び光記録再生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2005302268A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009532729A (ja) * | 2006-04-04 | 2009-09-10 | コミツサリア タ レネルジー アトミーク | 収束能力を高めた固体浸漬レンズ |
-
2005
- 2005-02-10 JP JP2005034884A patent/JP2005302268A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009532729A (ja) * | 2006-04-04 | 2009-09-10 | コミツサリア タ レネルジー アトミーク | 収束能力を高めた固体浸漬レンズ |
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