JP2005301204A - 平版印刷版処理装置及びその方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】FMスクリーンまたは高精細AMスクリーンで画像形成する感光材料が塗設された平版印刷版を少なくとも現像プロセス、水洗プロセスを順に処理する処理装置において、水洗プロセス10の入口にある一対の入口ローラ62の下ローラ62Bに凹凸部または溝を設けた。
【選択図】 図1
Description
また、これまで、感光性平版印刷版としては、コンベンショナルタイプのネガ、ポジの印刷版が主として用いられてきたが、近年のCTP化に伴って、フォトポリマー版、サーマル版を用いたシステムが多用されるようになっている。とりわけ、ヒートモードで露光されるサーマル版の進展は著しい。
水洗部入口上部ローラには、回り込む液をきるために、通常液きり部材を配備しており、例えば金属バーを設けることが知られている。ところが、下部ローラにはこれまで液きり部材がなく、下部ローラからの洗浄液の回り込みが液だれに大きく影響していた。
特に、サーマル版では現像進行の度合いによって、網点面積が変化し易いため、前述した画像ムラが発生しやすかった。従って、均一な現像処理を施す対策が必要であった。
本発明は、均一な現像処理を狙った現像システムにおいて発生した水洗部からの液だれによる画像ムラを防止することを目的とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の平版印刷版処理装置において、前記凸部が周囲を凹部に囲まれた島状になっていることを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の平版印刷版処理装置において、前記凹部がローラ周方向で前記凸部に分断されないことを特徴としている。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の平版印刷版処理装置において、前記凹部が溝であることを特徴としている。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の平版印刷版処理装置において、前記溝がリング状又はらせん状になっていることを特徴としている。
請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の平版印刷版処理装置において、前記溝の深さおよび溝の幅が100μm以上、溝の密度が1本以上/ローラ長さ方向100mmであることを特徴としている。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項記載平版印刷版処理装置において、前記平版印刷版が、FMスクリーンまたは高精細AMスクリーンで画像形成する感光材料が塗設された材料であることを特徴としている。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項記載平版印刷版処理装置において、前記平版印刷版が光熱変換剤を含有し、レーザによりヒートモードで露光されることを特徴としている。
請求項9記載の平版印刷版処理方法の発明は、250線以上である高精細AMスクリーンまたは網点を構成する最小画素のサイズが50μm以下である高精細FMスクリーンで、感光層又は感熱層を有する平版印刷版をレーザー露光し、該平版印刷版を現像液中に浸漬させながら搬送して現像し、水洗し、フィニッシングして成る平版印刷版処理方法であって、前記現像を終えた後、出口ローラから排出された平版印刷版を挟持・搬送する一対の入口ローラのうち下ローラに凹凸部を形成し、水洗液を当該溝内に入り込ませることを特徴としている。
本発明は、感光材料が塗設された平版印刷版の現像処理装置であり、高精細AMスクリーン、FMスクリーンにて画像露光される平版印刷版の処理装置に関する。とりわけ、平版印刷版中に光熱変換剤を有し、ヒートモードにてレーザ露光が行なわれる平版印刷版処理において効果が大きい。本発明は、水洗部からの液だれによる画像ムラを防止することを特徴としている。
図1に示す印刷版プロセッサー10は、図示されない露光装置によって高精細AMスクリーン、FMスクリーン、ハイブリッドスクリーンにて露光が施された感光性平版印刷版の現像処理を行なう。ここで、露光装置はシステムによって異なり、CTP製版システムの場合は、半導体レーザ、気体レーザ、固体レーザ等を用いて、画像データを、媒体を介さずに直接感光性平版印刷版に露光する。露光に先立って、RIP処理が行なわれ、露光に必要な画像パタ−ンが形成される。ここでは、画像パターンには250線以上のAMスクリーン、FMスクリーン、また両者を合わせ持ったハイブリッドスクリーンが用いられることがある。特に、FMスクリーン、ハイブリッドスクリーンは近年、急速に市場導入されている。例えば、FMスクリーンでは、CREO製のstaccato10、20、25、35、36が多用されている他、大日本スクリーン製のRandot、RandotX(X=10,15,20)、Heidelbelg製のStainscreening、Agfa製のCristalRasterが市場に適用されている。他方、ハイブリッドスクリーンでは、大日本スクリーン製のFairdot、Agfa製のSublimaが市場で用いられている。AMスクリーンでは、従来からある網点画像に加えて、富士フイルム製のCo-Re SCREENなど、高精細化に対応したものも適用される。
印刷版プロセッサー10は、印刷版12を現像液によって処理するための現像部14と、現像液によって処理された印刷版12に水洗水を供給しながら版面をブラッシングし水洗する水洗部16と、水洗後の印刷版12に版面保護用のガム液を塗布して不感脂化処理するフィニッシング処理部18と、印刷版12を乾燥させる乾燥部20と、が配設されている。すなわち、印刷版プロセッサーには、印刷版12の搬送方向(図1の矢印A)方向に沿って、現像工程、水洗工程、フィニッシング処理工程及び乾燥工程が順に配置されている。
搬送ローラ対42は、回転駆動されることにより、この印刷版12を挿入口32から引き入れながら、水平方向に対して約15°から31°の範囲の角度で現像部14へ送り込む。片面タイプの印刷版12(12、12C)の処理に用いる印刷版プロセッサーでは、感光層(感光面)が上方へ向けられた状態で挿入口32から挿入される。すなわち、印刷版12は、感光面を上方へ向けられた状態で印刷版プロセッサーによって処理される。
この現像槽24内には、印刷版12の搬送路の上流部となる挿入部34側に搬送ローラ48が配置されている。また、現像槽24内には、印刷版の搬送路の中央部に搬送ローラ対50が配置され、下流部となる水洗部16側に搬送ローラ対52が配置されている。
また、搬送ローラ対52は、例えば外周部がゴム製のローラによって形成されており、 印刷版12を挟持して現像槽24から引き出しながら、水洗部16へ送り込む。
また、現像部には図示しない補充ポンプによって、一定量の補充液が補充されるようになっている。補充は、挿入部にあるセンサーで印刷版の版長を測定し、予め入力されている版幅から面積を計算し補充することができる。さらに、一定時間間隔に補充しても良い。
更に又、図示しない電導度センサーが現像槽に組み入れられていて、その変化から補充しても良い。
搬送ローラ対52によって現像槽24から引き出された印刷版12は、この搬送ローラ対52によって表面に付着している現像液が絞り落とされながら水洗部16へ送り込まれる。
水洗部16には2組のローラ対62、64及びスプレ66,68が配設されている。水洗部16に送り込まれた印刷版12は入り口ローラ対62に挟持されながら、水洗部に入る。ここで、水洗入口上ローラ62Aは平滑ローラであるが、下ローラ62Bは凹凸部つきローラ、即ち、ローラ表面上に凹凸が設けられたローラとなっている。
一方、本発明装置(a)においては、水洗部スプレ配管66から吐出された洗浄水は水洗入口の上下ローラ62A、62Bに当たって、下ローラ62Bに付着した水(W1)はそのまま現像部側に回り込もうとするが、洗浄水は下ローラ62Bに形成した凹凸部間に入り込み、大部分は最下部で脱落し(W2)結局入口ローラの現像部側にはあまり回り込まず(W3)、メニスカスM部にはわずかの洗浄水しか蓄えられないこととなる。したがって現像部から平版印刷版12が持ち込まれても、版上に洗浄水が持ち出されることはなく、液だれは生じない。
水洗部16には、水洗槽26の上方に配設された搬送ローラ対62、64によって印刷版12を略水平状態で搬送する搬送路が形成されており、印刷版12は、搬送ローラ対62、64に挟持されて水洗槽26の上方を水平搬送される。
搬送ローラ対62,64の間には印刷版12の搬送経路を挟んでスプレパイプ66、68が対で配置されている。搬送ローラ対62の上部ローラ62Aには、液きりのための金属製ロッド棒67が接触するように配設されている。
更に水垢、かびなどの繁殖を抑制するために防腐剤を自動添加してもよい。水垢防止剤としては、富士写真フイルム(株)社製BK−3が好適に用いられる。
フィニッシング処理部18には、印刷版12の搬送路の上方側にスプレーパイプ72が設けられ、搬送路の下方側にスプレーパイプ74が設けられている。スプレーパイプ72、74は、長手方向(軸線方向)が印刷版12の幅方向に沿い、印刷版12の搬送路を挟んで上下に配置されている。また、スプレーパイプ72、74には、サーマルポジ印刷版12の幅方向に沿って複数の吐出孔が形成されている。
支持ローラ86と搬送ローラ対90との間、及び搬送ローラ対90と搬送ローラ対92との間には、印刷版12の搬送路を挟んで対でダクト94、96が配設されている。ダクト94、96は、長手方向がサーマルポジ印刷版12の幅方向に沿って配設されており、印刷版12の搬送路に対向する面にスリット孔98が設けられている。
搬送ローラ対50と搬送ローラ対52には、ガイド板46が配置される。このガイド板48は、搬送ローラ対50によって送り出されるサーマルポジ印刷版12を、現像槽24の底面に沿って搬送ローラ対52へ向けて案内する。
本発明のアルカリ現像処理液を適用することができる感光性平版印刷版は、特に限定されるものではなく、支持体上に感光層、感熱層などの画像記録層を設けた種々の平版印刷版原版を挙げることができる。画像記録層としては、例えば、特開平7−285275号公報及び特願2002−154279号明細書に記載されたサーマルポジタイプ、特開平7−20625号公報又は特開平11−218903号明細書に記載されたサーマルネガタイプ及び特開2001−100412号、特開2002−169282号明細書に記載されたフォトポリネガタイプ等が挙げられる。
更に好ましいアルカリ剤としては弱酸と強塩基からなる緩衝液が挙げられる。かかる緩衝液として用いられる弱酸としては、酸解離定数(pKa)10.0〜13.3を有するものが好ましく、特にpKaが11.0〜13.1のものが好ましい。また、例えばスルホサリチル酸の場合、第3解離定数は11.7であり、本発明に好適に使用できる。即ち、多塩基酸の場合、少なくとも一つの酸解離定数が上記範囲内にあれば本発明に使用できる。
本発明に用いられる現像液および補充液には、現像性の促進や現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々界面活性剤や有機溶剤を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が挙げられる。
本発明に用いられる現像液および補充液には、種々現像安定化剤が用いられる。それらの好ましい例として、特開平6−282079号公報記載の糖アルコールのポリエチレングリコール付加物、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩およびジフェニルヨードニウムクロライドなどのヨードニウム塩が好ましい例として挙げられる。
現像液および現像補充液には更に必要により有機溶剤が加えられる。かかる有機溶剤としては、水に対する溶解度が約10重量%以下のものが適しており、好ましくは5重量%以下のものから選ばれる。例えば、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニル−1−プロパノール、4−フェニル−1−ブタノール、4−フェニル−2−ブタノール、2−フェニル−1−ブタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノールおよび4−メチルシクロヘキサノール、N−フェニルエタノールアミンおよびN−フェニルジエタノールアミンなどを挙げることができる。有機溶剤の含有量は使用液の総重量に対して0.1〜5重量%である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があり、有機溶剤の量が増すにつれ、界面活性剤の量は増加させることが好ましい。これは界面活性剤の量が少なく、有機溶剤の量を多く用いると有機溶剤が完全に溶解せず、従って、良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
本発明に用いられる現像液および補充液には更に還元剤が加えられる。これは印刷版の汚れを防止するものであり、特に感光性ジアゾニウム塩化合物を含むネガ型感光性平版印刷版を現像する際に有効である。好ましい有機還元剤としては、チオサリチル酸、ハイドロキノン、メトール、メトキシキノン、レゾルシン、2−メチルレゾルシンなどのフェノール化合物、フェニレンジアミン、フェニルヒドラジンなどのアミン化合物が挙げられる。更に好ましい無機の還元剤としては、亜硫酸、亜硫酸水素酸、亜リン酸、亜リン酸水素酸、亜リン酸二水素酸、チオ硫酸および亜ジチオン酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などを挙げることができる。これらの還元剤のうち汚れ防止効果が特に優れているのは亜硫酸塩である。これらの還元剤は使用時の現像液に対して好ましくは、0.05〜5重量%の範囲で含有される。
本発明に用いられる現像液および補充液には更に有機カルボン酸を加えることもできる。好ましい有機カルボン酸は炭素原子数6〜20の脂肪酸カルボン酸および芳香族カルボン酸である。添加量は使用時の現像液に対して0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.5〜4重量%である。
本発明で用いられる現像液および補充液には、更に必要に応じて、消泡剤および硬水軟化剤などを含有させることもできる。硬水軟化剤としては例えば、ポリリン酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサン酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸および1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸などのアミノポリカルボン酸およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ(メチレンホスホン酸)および1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸やそれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩を挙げることができる。このような硬水軟化剤はそのキレート化力と使用される硬水の硬度および硬水の量によって最適値が変化するが、一般的な使用量を示せば、使用時の現像液に0.01〜5重量%、より好ましくは0.01〜0.5重量%の範囲である。この範囲より少ない添加量では所期の目的が十分に達成されず、添加量がこの範囲より多い場合は、色抜けなど、画像部への悪影響がでてくる。
本発明において以上のような現像液を用いることで、画像欠陥等の発生を一層顕著に抑制することができる。
下ローラ62B上につけられる凹凸部については種々の形状が考えられるが、ここでは、(1)第1の実施の形態として、まず、溝つきローラについて説明し、(2)第2の実施の形態として、溝を含む上位概念の凹凸部の具体例について説明することとする。
[第1の実施の形態]
下ローラ62B上につけられる溝としては、ここではリング状のものを設けているが、溝についてはこれに限定されるものではなく、ローラ円周に沿ってスパイラル(らせん)状にした溝を設けても良い。
図において、62Bはリング状の溝m1を周方向に複数個切った円筒ローラである。62B1はラセン状の溝m2を表面に切った円筒ローラを表している。
ここで用いる溝きりローラ62B、62B1は、メニスカス部に多量の水洗水が蓄積するのを抑制する効果があればよく、溝の深さ、幅、溝の本数(密度)についても、水洗水の蓄積を抑制できればよい。
溝の幅についても100μm以上必要である。ここで記載する溝の幅とは、ローラ山部と溝部の中間の高さとなる溝の幅を意味する。溝の幅は100μm以上であれば効果が得られるが、400μm以上でより大きな効果が得られる。また、溝の幅を際限なく広げるとローラの山部の割合が小さくなってくる。山部は1本/200mmの割合で必要であり、山部の間隔が1本/200mm以上広がると山と山の間で薄版が通版する際に撓み、効果が弱くなる。更に山部を1本/100mm以上の割合で設けるとより効果的である。効果を発揮する溝の本数についてはローラの長さによるため、溝の密度として規定すると、ローラ長さ方向100mmに1本以上10本の割合で、スパイラル状、もしくはリング状の溝が、設けられることが望ましい。より望ましくは、50mmに1本以上の割合で溝を設けることと効果が大きい。すなわち溝の部分を前記割合以上に多く設けないと効果が出ない。溝の密度を多くした場合、必然的に溝及び山部の幅が狭くなってくる。溝部幅、山部が狭くなった場合には効果が得られないので、1000本/100mm(ローラ長さ方向)以下にすることが好ましい。より好ましくは300本/100mm以下である。一般的に溝は加工簡易性から周期的に設けられるが、溝は周期的であるは必要なく、周期性のない溝でも十分に効果を発現することができる。
溝の形は特に限定されないが、断面が矩形、山形、SINカーブ状の断面をもつ溝も多用される。また、溝きりローラに使用する材料は、一般の印刷版プロセッサーに用いるローラに使用されるゴム等の材料であり、この材料を用いて適宜加工が施される。ゴム以外にも、金属、プラスチック等の材料も使用することができる。
図1に示す印刷版プロセッサー10は、一般的に感光性平版印刷版を現像液によって処理するための現像部14、水洗処理する水洗部16、水洗後の平版印刷版にガム液を塗布して不感脂化処理するフィニッシャー部18とフィニッシャー部から出てきた平版印刷版を乾燥させる乾燥部20が配設されている。
上述したように、現像槽内出口ローラにより排出された平版印刷版12は、水洗部に搬送される。
現像部から排出された平版印刷版上には、現像出口ローラにより現像液を絞られた後も、現像液が薄膜状態で残存し、水洗部に挿入されるまで、僅かながら現像が進行する。水洗部スプレ配管からは既に洗浄水が吐出され、水洗部入口ローラにも平版印刷版が通過する前から、洗浄水がかけられている。水洗入口上部ローラには、金属製のロッドバー67が設けられており、スプレ配管から吐出された洗浄水を液きりし、洗浄水の水洗ローラ現像部側メニスカス部への回り込みを抑制している。しかしながら、抑制を施しても、上部ローラからの洗浄水の回り込みが若干ある他、水洗入口下ローラに平滑ローラを用いた場合には、下ローラからの洗浄水の回り込みにより、水洗部入口ローラメニスカス部に洗浄水が蓄えられる。印刷版が通版される際には、このローラメニスカスの中、または、下側に突入するため、版上には水洗水が流出し、液だれとなる。メニスカス内に版材が突入する位置を変化させても、液だまりは変動しやすいため、安定した性能を得ることが困難である。版先端部にパンチ穴があった場合には、液だれ発生の程度はより悪化する。切り欠いたパンチ穴部分から水洗水が大量に流出し、液だれとなる。液だれが著しく生ずるケースは、特に現像出口ローラの位置に対して、水洗入口ローラの位置が高いケースである。
(実施例1〜3、比較例1〜3)
平版印刷版用原版HP−S(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ重層版材)を、Creo社製TrendsetterVXにてビーム強度8W、ドラム回転速度150rpmでFMスクリーンStaccato20および比較としてAMスクリーン175lpiで、50%平網を描画したあと、図1で詳細に記述した自現機で、初期投入現像液DT−2(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ用現像液)を1:8に水で希釈し投入した。現像液温を30度に保ち、現像時間12秒で現像処理を行った。水洗部には水を投入した。フィニッシング部には、富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG−1(1:1で希釈したもの)を投入し、フィニッシング処理した。
下ローラの溝の状態としては、
(1)実施例1が、溝深さ0.6mm、溝幅0.6mmのスパイラル状溝。
(2)実施例2が、 〃 〃 、 〃 〃 のリング状溝。
(3)実施例3が、 〃 0.1 、 〃0.5 のスパイラル状溝。
(4)実施例4が、 〃 0.5 、 〃0.1 のスパイラル状溝。
(5)比較例1が、 〃0.08 、 〃0.5 のスパイラル状溝。
(6)比較例2が、 〃 0.5、 、 〃0.08 のスパイラル状溝。
(7)比較例3が、溝なしの平滑ローラ。
また、露光方法としては、
(a)Co−Re スクリーン250lpi
(b)FM Staccato20
(c)Randot20
(d)ハイブリッドスクリーンFairdot
(e)AMスクリーン175lpi
を実施した。
(2)しかし、溝深さおよび溝幅のどちらかが0.1mmを下回わる(比較例1は溝深さ0.08mm、比較例2は溝幅0.08mm)と、常に液だれが生じるというわけではないが、少なくとも通版時には生じてしまい(△×)、したがってどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラが若干見られた。
(3)また、溝のまったくない平滑ローラだと常に液だれが生じ、したがってどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラが見られた(×)。
(4)なお、従来の(e)のAMスクリーン175lpiでは、溝の有無に関係なく液だれは見られなかった(○)。ということは、高精細露光でない従来のAMスクリーン175lpi等では、液だれによる画像ムラは全く気にする必要がないということになる。この画像ムラは高精細露光で初めて発生する特有の現象であり、液だれは高精細露光で初めて解決しなければならない課題ということが判る。
(実施例5〜7、比較例4)
平版印刷版用原版LH−PD(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ重層版材)を、富士フイルム製LUXEL T9000HSにてビーム強度をフルパワーの70%、ドラム回転速度900rpmでFMスクリーンRandotX20およびハイブリットスクリーンFairdot、および比較としてAMスクリーンで175lpiで50%平網を描画したあと、図1で詳細に記述した自現機で、初期投入現像液DT−2(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ用現像液)を1:8に水で希釈し投入した。現像液温を30度に保ち、現像時間12秒で現像処理を行った。水洗部には水を投入した。フィニッシング部には、富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG−1(1:1で希釈したもの)を投入した。
下ローラの溝の状態としては、
(1)実施例5が、溝深さ0.5mm、溝幅0.5mmのリング状溝。
(2)実施例6が、 〃 〃 、 〃0.1 のリング状溝。
(3)実施例7が、 〃 0.1 、 〃0.5 のリング状溝。
(4)比較例4が、 〃0.08 、 〃0.5 のリング状溝。
露光方法としては、同じく、
(a)Co−Re スクリーン300lpi
(b)FM Staccato10
(c)Randot20
(d)ハイブリッドスクリーンFairdot
(e)AMスクリーン175lpi
を実施した。
(2)しかし、溝幅が広くても、溝深さが0.1mmといった場合(実施例6)には、パンチ穴を有する版の通版時に低頻度ながら液だれは生じたが、しかしどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラは許容レベルであった(△○)。
(3)そして、溝深さが0.1mmを下回わる(比較例4)と液だれが生じ、したがってどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラが見られた(×)。
(4)なお、従来の(e)のAMスクリーン175lpiでは、溝の有無に関係なく液だれは見られなかった(○)。ということは、高精細露光でない従来のAMスクリーン175lpi等では、液だれによる画像ムラは全く気にする必要がないということになる。この液だれは高精細露光で初めて発生する特有の現象であり、液だれは高精細露光で初めて解決しなければならない課題ということが判る。
[第2の実施の形態]
第2実施の形態で用いる凹凸部つきローラは、メニスカス部に多量の水洗水が蓄積するのを抑制する効果があればよく、深さおよび形状について必ずしも第1の実施の形態のような溝に限定されなくてもよい場合があることが判明して、これに基づいて、下ローラ上に凹凸部を設けるようにしたものである。
凹凸部としては、凸部が周囲を凹部に囲まれた島状にすること、また凹部がローラ周方向で凸部に分断されないことが好ましい。
図において、62B2は凹凸部つきローラで、表面には多数の凸部D1がそれぞれ凹部B1〜B4で四方を囲まれているようにしている。
ここで用いる凹凸部つきローラ62B2は、メニスカス部に多量の水洗水が蓄積するのを抑制する効果があればよく、凹部の深さ、凹部の幅、凹凸部の数(密度)についても、水洗水の蓄積を抑制できればよい。
一方、溝きりローラは、溝を形成する方向が一方向のみなので、ローラを加工し易く、安価なローラを提供できるというメリットがあり、また、溝きりローラの凹部の洗浄のし難さは、許容の範囲内で溝部の深さをなるべく浅く、溝部の幅をなるべく広くとることで大幅に解消できる。
(実施例1〜3、比較例1〜3)
平版印刷版用原版HP−S(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ重層版材)を、Creo社製TrendsetterVXにてビーム強度8W、ドラム回転速度150rpmでFMスクリーンStaccato20および比較としてAMスクリーン1751piで、50%平網を描画したあと、図1で詳細に記述した自現機で、初期投入現像液DT−2(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ用現像液)を1:8に水で希釈し投入した。現像液温を30度に保ち、現像時間12秒で現像処理を行った。水洗部には水を投入した。フィニッシング部には、富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG−1(1:1で希釈したもの)を投入し、フィニッシング処理した。
下ローラの溝の状態としては、
(1)実施例1が、凹部深さ0.6mm、凹部幅0.6mmの凹凸部つきローラ。
(2)実施例2が、 〃 0.8mm、 〃 5mmの凹凸部つきローラ。
(3)実施例3が、 〃 0.1mm、 〃 0.2mmの凹凸部つきローラ。
(4)比較例1が、 〃 0.09mm、 〃 0.3mmの凹凸部つきローラ。
(5)比較例2が、 〃 0.3mm、〃 0.98mmの凹凸部つきローラ。
(6)比較例3が、 〃 0mm、 〃 0mmの凹凸なしの平滑ローラ。
(7)比較例4が、溝深さ0.6mm、溝幅0.6mmの溝きり(スパイラル状溝)ローラ。
また、露光方法としては、
(a)Co−Re スクリーン250lpi
(b)FM Staccato20
(c)Randot20
(d)ハイブリッドスクリーンFairdot
(e)AMスクリーン175lpi
を実施した。
ローラの洗い易さといった洗浄性についても調べた。
(2)しかし、凹部深さおよび凹部幅のどちらかが0.1mmを下回わる(比較例1は凹部深さ0.09mm、比較例2は凹部幅0.08mm)と、通版時に常に液だれが生じるというわけではないが、頻繁に生じ(△×)た。液だれが生じると、どの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラが若干見られた。
(3)また、凹凸のまったくない平滑ローラだと常に液だれが生じ、したがってどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラが見られた(×)。
(4)なお、従来の(e)のAMスクリーン175lpiでは、溝の有無に関係なく液だれは見られなかった(○)。ということは、高精細露光でない従来のAMスクリーン175lpi等では、液だれによる画像ムラは全く気にする必要がないということになる。この画像ムラは高精細露光で初めて発生する特有の現象であり、液だれは高精細露光で初めて解決しなければならない課題ということが判る。
(5)ローラの洗浄性については、平滑ローラが優れていることは当然であるが、凹凸部つきローラも許容できるものであった。溝きり(スパイラル状溝)ローラは最も洗浄し難かった。
(実施例4〜6、比較例4、5)
平版印刷版用原版LH−PD(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ重層版材)を、富士フイルム製LUXEL T9000HSにてビーム強度をフルパワーの70%、ドラム回転速度900rpmでFMスクリーンRandotX20およびハイブリットスクリーンFairdot、および比較としてAMスクリーンで1751piで50%平網を描画したあと、図1で詳細に記述した自現機で、初期投入現像液DT−2(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ用現像液)を1:8に水で希釈し投入した。現像液温を30度に保ち、現像時間12秒で現像処理を行った。水洗部には水を投入した。フィニッシング部には、富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG−1(1:1で希釈したもの)を投入した。
下ローラの溝の状態としては、
(1)実施例4が、凹部深さ0.5mm、凹部幅0.5mmの凹凸部つきローラ。
(2)実施例5が、 〃 0.5mm、 〃 0.1mmの凹凸部つきローラ。
(3)実施例6が、 〃 0.1mm、 〃 0.1mmの凹凸部つきローラ。
(4)比較例4が、 〃 0.08mm、 〃 0.3mmの凹凸部つきローラ。
(5)比較例5が、 〃 0.4mm、 〃 0.09mmの凹凸部つきローラ。
また、露光方法としては、
(a)Co−Re スクリーン250lpi
(b)FM Staccato20
(c)Randot20
(d)ハイブリッドスクリーンFairdot
(e)AMスクリーン175lpi
を実施した。
(2)しかし、凹部深さおよび凹部幅のどちらかが0.1mmを下回わる(比較例4は凹部深さ0.08mm、比較例5は凹部幅0.09mm)と、液だれが生じ、したがってどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラが見られた(×)。
(3)凹部深さおよび凹部幅が共に0.1mm程度だと、パンチ穴を有する版の通版時には低頻度であるが画像ムラが発生した。しかしそのムラは許容できるレベルのものであった。
(4)なお、従来の(e)のAMスクリーン175lpiでは、溝の有無に関係なく液だれは見られなかった(○)。ということは、高精細露光でない従来のAMスクリーン175lpi等では、液だれによる画像ムラは全く気にする必要がないということになる。この画像ムラは高精細露光で初めて発生する特有の現象であり、液だれは高精細露光で初めて解決しなければならない課題ということが判る。
12 印刷版
14 現像部
16 水洗部
18 フィニッシング(不感脂化)処理部
20 乾燥部
22 処理タンク
24 現像槽
26 水洗槽
28 フィニッシング処理槽
30 外板パネル
32 挿入口
34 挿入部
36 挿入口側カバー
38 乾燥部側カバー
40 リエントリー用挿入口(副挿入口)
42、48、50、52 搬送ローラ対
60 搬送ローラ
62A 平滑ローラ
62B,62B2 凹凸部つきローラ
62B1 溝きりローラ
64 搬送ローラ対
66、68 スプレパイプ
M メニスカス
D1 凸部
B1〜B4 凹部
Claims (9)
- 少なくとも現像プロセス、水洗プロセスを順に有し、平版印刷版をこの順に処理する処理装置において、前記水洗プロセス入口には印刷版を挟持・搬送する一対の入口ローラを有し、前記一対の入口ローラの下ローラ上に凹凸部を設けたことを特徴とする平版印刷版処理装置。
- 前記凸部が周囲を凹部に囲まれた島状になっていることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版処理装置。
- 前記凹部がローラ周方向で前記凸部に分断されないことを特徴とする請求項1記載の平版印刷版処理装置。
- 前記凹部が溝であることを特徴とする請求項3記載の平版印刷版処理装置。
- 前記溝がリング状又はらせん状になっていることを特徴とする請求項4記載の平版印刷版処理装置。
- 前記溝の深さおよび溝の幅は100μm以上、溝の密度は1本以上/ローラ長さ方向100mmであることを特徴とする請求項4又は5記載の平版印刷版処理装置。
- 前記平版印刷版が、FMスクリーンまたは高精細AMスクリーンで画像形成する感光材料が塗設された材料であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の平版印刷版処理装置。
- 前記平版印刷版が光熱変換剤を含有し、レーザによりヒートモードで露光されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の平版印刷版処理装置。
- 250線以上である高精細AMスクリーンまたは網点を構成する最小画素のサイズが50μm以下である高精細FMスクリーンで、感光層又は感熱層を有する平版印刷版をレーザー露光し、該平版印刷版を現像液中に浸漬させながら搬送して現像し、水洗し、フィニッシングして成る平版印刷版処理方法であって、前記現像を終えた後、出口ローラから排出された平版印刷版を挟持・搬送する一対の入口ローラのうち下ローラに凹凸部を形成し、水洗液を当該溝内に入り込ませることを特徴とする平版印刷版処理方法。
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