JP2005301204A - 平版印刷版処理装置及びその方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 AMスクリーンでは発生しなかったが高精細露光で初めて発生した液だれに起因する画像ムラを防止した平版印刷版処理装置を提供する。
【解決手段】FMスクリーンまたは高精細AMスクリーンで画像形成する感光材料が塗設された平版印刷版を少なくとも現像プロセス、水洗プロセスを順に処理する処理装置において、水洗プロセス10の入口にある一対の入口ローラ62の下ローラ62Bに凹凸部または溝を設けた。
【選択図】 図1

Description

本発明は平版印刷版の処理装置の中で有効で、特に高精細AMスクリーン、FMスクリーンにて画像形成された平版印刷版の処理装置に関する。とりわけ、平版印刷版中に光熱変換剤を有し、ヒートモードにてレーザ露光が行なわれる平版印刷版の処理装置に関する。
一般に、感光性平版印刷版は、感光性平版処理装置(以下印刷版プロセッサーという)によって、現像処理される。この印刷版プロセッサーにおいて現像処理は、画像が記録された感光性平版印刷版を現像槽内に搬送しながら現像槽に貯留された現像液に浸漬し、現像液中に設けた回転ブラシローラ等の擦り手段を用いて感光性平版印刷版の非画像形成領域分の感光層を除去することによりなされる。この印刷版プロセッサーでは、現像液による処理が終了した感光性平版印刷版は、水洗部で洗浄水によって水洗いされた後(水洗処理)、不感脂化処理部でガム液が塗布されることにより不感脂化処理が施される。ここで、水洗部は、入口/出口ローラ、スプレ配管から構成され、入口ローラ通過後にスプレ配管から平版印刷版上に洗浄水が吐出されることによって、平版印刷版の洗浄が行なわれる。
近年、サーマル版を始めとする製版システムでは、出力画像の高精細化傾向が進み、AMスクリーンでは網点線数の大きい高精細画像、FMスクリーン等の最小画素サイズの小さい画像パターンが市場に導入されるようになってきた。
また、これまで、感光性平版印刷版としては、コンベンショナルタイプのネガ、ポジの印刷版が主として用いられてきたが、近年のCTP化に伴って、フォトポリマー版、サーマル版を用いたシステムが多用されるようになっている。とりわけ、ヒートモードで露光されるサーマル版の進展は著しい。
特開2003−5379号公報 特開2003−107684号公報
しかしながら、水洗部スプレ配管から吐出された洗浄水は水洗入口上下ローラ当たり、ローラに付着したまま現像部側に回り込み、入口ローラのメニスカス部現像部側には、洗浄水が蓄えられている。現像部から平版印刷版が持ち込まれた際に、版上に洗浄水が持ち出され、液だれとなることがあった。
水洗部入口上部ローラには、回り込む液をきるために、通常液きり部材を配備しており、例えば金属バーを設けることが知られている。ところが、下部ローラにはこれまで液きり部材がなく、下部ローラからの洗浄液の回り込みが液だれに大きく影響していた。
他方、平版印刷版上では現像部出口で絞りローラによって現像液が絞られたに関わらず、水洗部に搬送されるまで現像が僅かに進行している。水洗部入口ローラから現像部側へ、平版印刷版上に液だれが生じた場合、液だれ部では僅かに進行していた現像が抑制される。結果、液だれ部では周囲と異なる濃度となり、画像ムラが生ずることとなる。例えば、サーマルポジ版を用いた場合には、液だれ部の濃度が上昇する。さらに、画像部周長の大きい高精細AMスクリーン画像、FMスクリーン画像であれば、現像進行による濃度変化が大きいため、画像ムラの程度が悪化する。
特に、サーマル版では現像進行の度合いによって、網点面積が変化し易いため、前述した画像ムラが発生しやすかった。従って、均一な現像処理を施す対策が必要であった。
本発明は、均一な現像処理を狙った現像システムにおいて発生した水洗部からの液だれによる画像ムラを防止することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の平版印刷版処理装置の発明は、少なくとも現像プロセス、水洗プロセスを順に有し、平版印刷版をこの順に処理する処理装置において、前記水洗プロセス入口には印刷版を挟持・搬送する一対の入口ローラを有し、前記一対の入口ローラの下ローラ上に凹凸部を設けたことを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の平版印刷版処理装置において、前記凸部が周囲を凹部に囲まれた島状になっていることを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1記載の平版印刷版処理装置において、前記凹部がローラ周方向で前記凸部に分断されないことを特徴としている。
請求項4記載の発明は、請求項3記載の平版印刷版処理装置において、前記凹部が溝であることを特徴としている。
請求項5記載の発明は、請求項4記載の平版印刷版処理装置において、前記溝がリング状又はらせん状になっていることを特徴としている。
請求項6記載の発明は、請求項4又は5記載の平版印刷版処理装置において、前記溝の深さおよび溝の幅が100μm以上、溝の密度が1本以上/ローラ長さ方向100mmであることを特徴としている。
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項記載平版印刷版処理装置において、前記平版印刷版が、FMスクリーンまたは高精細AMスクリーンで画像形成する感光材料が塗設された材料であることを特徴としている。
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項記載平版印刷版処理装置において、前記平版印刷版が光熱変換剤を含有し、レーザによりヒートモードで露光されることを特徴としている。
請求項9記載の平版印刷版処理方法の発明は、250線以上である高精細AMスクリーンまたは網点を構成する最小画素のサイズが50μm以下である高精細FMスクリーンで、感光層又は感熱層を有する平版印刷版をレーザー露光し、該平版印刷版を現像液中に浸漬させながら搬送して現像し、水洗し、フィニッシングして成る平版印刷版処理方法であって、前記現像を終えた後、出口ローラから排出された平版印刷版を挟持・搬送する一対の入口ローラのうち下ローラに凹凸部を形成し、水洗液を当該溝内に入り込ませることを特徴としている。
以上に説明したように、本発明によれば、印刷版プロセッサーの水洗部入口ローラ対の下ローラに凹凸部つきローラ用いることで、水洗部入口ローラから版上への液だれを防止し、高精細画像製版時に問題となる画像ムラを防止することができる。また、この他、現像槽に水洗水が流入することもなくなり、現像液が希釈され、感度が低下する等の処理が変化する問題が生じることはない。本発明により、印刷版プロセッサーでは、平版印刷版の画像ムラを発生させることなく、処理を行なうことができる。
以下、発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明は、感光材料が塗設された平版印刷版の現像処理装置であり、高精細AMスクリーン、FMスクリーンにて画像露光される平版印刷版の処理装置に関する。とりわけ、平版印刷版中に光熱変換剤を有し、ヒートモードにてレーザ露光が行なわれる平版印刷版処理において効果が大きい。本発明は、水洗部からの液だれによる画像ムラを防止することを特徴としている。
本発明の実施形態の一例を図1に示す。
図1に示す印刷版プロセッサー10は、図示されない露光装置によって高精細AMスクリーン、FMスクリーン、ハイブリッドスクリーンにて露光が施された感光性平版印刷版の現像処理を行なう。ここで、露光装置はシステムによって異なり、CTP製版システムの場合は、半導体レーザ、気体レーザ、固体レーザ等を用いて、画像データを、媒体を介さずに直接感光性平版印刷版に露光する。露光に先立って、RIP処理が行なわれ、露光に必要な画像パタ−ンが形成される。ここでは、画像パターンには250線以上のAMスクリーン、FMスクリーン、また両者を合わせ持ったハイブリッドスクリーンが用いられることがある。特に、FMスクリーン、ハイブリッドスクリーンは近年、急速に市場導入されている。例えば、FMスクリーンでは、CREO製のstaccato10、20、25、35、36が多用されている他、大日本スクリーン製のRandot、RandotX(X=10,15,20)、Heidelbelg製のStainscreening、Agfa製のCristalRasterが市場に適用されている。他方、ハイブリッドスクリーンでは、大日本スクリーン製のFairdot、Agfa製のSublimaが市場で用いられている。AMスクリーンでは、従来からある網点画像に加えて、富士フイルム製のCo-Re SCREENなど、高精細化に対応したものも適用される。
印刷版プロセッサー10は、一般的に感光性平版印刷版を現像液によって処理するための現像部、水洗処理する水洗部、水洗後の平版印刷版にガム液を塗布して不感脂化処理するフィニッシャー部とフィニッシャー部から出てきた平版印刷版を乾燥させる乾燥部が配設されている。本発明は、前記一般的構造に限定されることなく、少なくとも、現像部、水洗部の現像処理機構を有するものであれば適用することができる。
印刷版プロセッサー10は、印刷版12を現像液によって処理するための現像部14と、現像液によって処理された印刷版12に水洗水を供給しながら版面をブラッシングし水洗する水洗部16と、水洗後の印刷版12に版面保護用のガム液を塗布して不感脂化処理するフィニッシング処理部18と、印刷版12を乾燥させる乾燥部20と、が配設されている。すなわち、印刷版プロセッサーには、印刷版12の搬送方向(図1の矢印A)方向に沿って、現像工程、水洗工程、フィニッシング処理工程及び乾燥工程が順に配置されている。
印刷版プロセッサー10内には、処理タンク22が設けられている。この処理タンク22には、処理槽として現像部14となる位置に現像槽24が形成され、水洗部16及び不感脂化処理部18となる位置に水洗槽26及びフィニッシング処理槽28が形成されている。また、処理タンク22には、現像槽24の上流側(印刷版12の搬送方向の上流側)に挿入部34のスペースが設けられ、フィニッシング処理槽28の下流側に乾燥部20のスペースが形成されている。
処理タンク22の周囲を覆う外板パネル30には、印刷版プロセッサーへの印刷版12の挿入側(図1の紙面左側)にスリット状の挿入口32が形成され、処理タンク22には、現像部14の挿入口32側に挿入部34が形成されている。
印刷版プロセッサーには、処理タンク22の上部及び乾燥部20の上部を覆うカバー36、38が設けられている。挿入口32側のカバー36は、処理タンク22の挿入部34から水洗部16の上部を覆い、カバー38は、水洗部16の上部から乾燥部20の上部の間を覆うように配置される。
また、カバー36には、現像部14と水洗部16との間に印刷版12を挿入するためのリエントリー用の挿入口(副挿入口)40が設けられている。その副挿入口40は、現像部14での処理を除く印刷版プロセッサー10での処理を行うためのサーマルポジ印刷版12の挿入用となっている。
挿入口40に隣接する挿入部34には、ゴム製の搬送ローラ対42が配設されている。画像が焼付けられた印刷版12は、挿入口32から矢印A方向に沿って挿入されることにより、搬送ローラ対42の間に送り込まれる。
搬送ローラ対42は、回転駆動されることにより、この印刷版12を挿入口32から引き入れながら、水平方向に対して約15°から31°の範囲の角度で現像部14へ送り込む。片面タイプの印刷版12(12、12C)の処理に用いる印刷版プロセッサーでは、感光層(感光面)が上方へ向けられた状態で挿入口32から挿入される。すなわち、印刷版12は、感光面を上方へ向けられた状態で印刷版プロセッサーによって処理される。
処理タンク22に形成されている現像槽24は、底部中央が下方へ向けて突出された略山形状となっており、印刷版12の現像処理を行うための現像液を貯留する。
この現像槽24内には、印刷版12の搬送路の上流部となる挿入部34側に搬送ローラ48が配置されている。また、現像槽24内には、印刷版の搬送路の中央部に搬送ローラ対50が配置され、下流部となる水洗部16側に搬送ローラ対52が配置されている。
また、現像槽24には、搬送ローラ48と搬送ローラ対50の間及び搬送ローラ対50と搬送ローラ対52の間に、処理する印刷版12の種類に応じたガイド板、搬送ローラ等の搬送部品や、擦り部材として用いるブラシローラ及びバックアップ用のローラないしガイド板が設けられることにより、印刷版12を現像槽24内の現像液に浸漬しながら搬送するための略U字状の搬送路が形成される。なお、現像槽24内の搬送路の構成は後述する。
一方、現像槽24内には、搬送ローラ対50、52の間に、ブラシローラ142と搬送ローラ60が配置されている。ブラシローラ142は、擦り部材の一例として用いられており、ブラシローラ142及び搬送ローラ60は、搬送ローラ対50、52の間を搬送される印刷版12の上面側に対向するように取り付けられている。ブラシローラ142は、所定方向及び所定の回転方向に回転しながら印刷版12の上面に接触することにより、印刷版12の上面側の感光層をブラッシングして、現像液によって不要な感光層の除去を促進するようになっている。
搬送ローラ対42によって挿入口32から引き入れられた印刷版12は、搬送ローラ48の下方を通過して搬送ローラ対50の間へ送り込まれ、さらに、搬送ローラ50によって現像槽24の底面に沿うように搬送ローラ対52へ向けて斜め上方へ案内する。このとき、印刷版12の上面側がブラシローラ142によってブラッシングされる。
また、搬送ローラ対52は、例えば外周部がゴム製のローラによって形成されており、 印刷版12を挟持して現像槽24から引き出しながら、水洗部16へ送り込む。
現像槽24内には、搬送ローラ48と搬送ローラ対50の間及び、搬送ローラ対50と搬送ローラ対52の間の底面近傍にスプレーパイプ54、56が設けられている。このスプレーパイプ54、56には、図示しないポンプによって吸引した現像槽24内の現像液が供給されるようになっており、スプレーパイプ54、56からこの現像液を噴出する。これにより、現像槽24内の現像液が攪拌されて、印刷版12の均一な処理が可能となるようにしている。このとき、スプレーパイプ54から印刷版12の搬送方向と直交する方向である幅方向に沿って現像液を噴出することにより、スプレーパイプ54から噴出された現像液が現像槽24内を搬送される印刷版12の表裏面の近傍に回り込んで、印刷版12の迅速な現像処理と処理ムラの発生を防止するようにしている。
また、現像部には図示しない補充ポンプによって、一定量の補充液が補充されるようになっている。補充は、挿入部にあるセンサーで印刷版の版長を測定し、予め入力されている版幅から面積を計算し補充することができる。さらに、一定時間間隔に補充しても良い。
更に又、図示しない電導度センサーが現像槽に組み入れられていて、その変化から補充しても良い。
搬送ローラ対52によって現像槽24から引き出された印刷版12は、この搬送ローラ対52によって表面に付着している現像液が絞り落とされながら水洗部16へ送り込まれる。
水洗部16には2組のローラ対62、64及びスプレ66,68が配設されている。水洗部16に送り込まれた印刷版12は入り口ローラ対62に挟持されながら、水洗部に入る。ここで、水洗入口上ローラ62Aは平滑ローラであるが、下ローラ62Bは凹凸部つきローラ、即ち、ローラ表面上に凹凸が設けられたローラとなっている。
印刷版12が水洗部内に入る前に予めスプレからは、水洗水が吐出されており、水洗入り口ローラにも水洗水がかけられる。水洗入り口ローラに付着した水洗水は現部側まで回りこむが、水洗したローラに凹凸部つきローラを用いた場合には、水洗入り口ローラメニスカス部現像部側に蓄積される水洗水量はフラットローラを用いた場合よりも大きく減少する。このため、液だれを生じることがない。
図2は水洗入口上下ローラの洗浄の様子を説明する概略正面図で、本発明に係る水洗入口上下ローラ(a)と従来装置の水洗入口上下ローラ(b)とを対比した図である。従来装置(b)においては、水洗部スプレ配管66から吐出された洗浄水は水洗入口の上下ローラ62A、62B’に当たり、下ローラ62B’裏側に回り込み、その表面に付着して(W1’)、通常は最下部で脱落するが(W2’)、一部は脱落せずに、現像部側に回り込み(W3’)、入口ローラの現像部側メニスカスM’部には相当量の洗浄水が蓄えられている。したがって現像部から平版印刷版12が持ち込まれた際に、版上に洗浄水が持ち出され、液だれとなった。
一方、本発明装置(a)においては、水洗部スプレ配管66から吐出された洗浄水は水洗入口の上下ローラ62A、62Bに当たって、下ローラ62Bに付着した水(W1)はそのまま現像部側に回り込もうとするが、洗浄水は下ローラ62Bに形成した凹凸部間に入り込み、大部分は最下部で脱落し(W2)結局入口ローラの現像部側にはあまり回り込まず(W3)、メニスカスM部にはわずかの洗浄水しか蓄えられないこととなる。したがって現像部から平版印刷版12が持ち込まれても、版上に洗浄水が持ち出されることはなく、液だれは生じない。
水洗入り口ローラから水洗部に入った印刷版12は、スプレ66により水洗水がかけられ、ローラ対64により、水洗部から排出される。
水洗部16には、水洗槽26の上方に配設された搬送ローラ対62、64によって印刷版12を略水平状態で搬送する搬送路が形成されており、印刷版12は、搬送ローラ対62、64に挟持されて水洗槽26の上方を水平搬送される。
搬送ローラ対62,64の間には印刷版12の搬送経路を挟んでスプレパイプ66、68が対で配置されている。搬送ローラ対62の上部ローラ62Aには、液きりのための金属製ロッド棒67が接触するように配設されている。
水洗槽26には、例えば洗浄剤として洗浄水(以下「水洗水」とする)が貯留されており、自動現像装置10では、図示しない給水ポンプによって、印刷版12の搬送に同期させて、スプレーパイプ66、68に水洗槽26内の水洗水を供給する。これにより、水洗水が、スプレーパイプ66、68から印刷版12へ向けて噴出されて、印刷版12の表面に付着している現像液を洗い流す。
印刷版12に供給された水洗水は、印刷版12が搬送ローラ対64に挟持されて送り出されることにより、印刷版12表裏面に付着していた現像液等と共に印刷版12の表裏面から絞り落とされ、水洗槽26内に回収される。なお、スプレーパイプ66、68からの水洗水の噴出方向は、スプレーパイプ66が印刷版12の搬送方向上流側で、スプレーパイプ68は印刷版12の搬送方向下流側としているが、これに限定されず他の方向であっても良い。また、水洗水の新液は、印刷版12の処理量に応じて図示しない手段によって水洗槽26に供給される。
更に水垢、かびなどの繁殖を抑制するために防腐剤を自動添加してもよい。水垢防止剤としては、富士写真フイルム(株)社製BK−3が好適に用いられる。
フィニッシング処理部18には、フィニッシング処理槽28の上方に搬送ローラ対70が設けられ、印刷版12は、搬送ローラ対64によって搬送ローラ対70へ向けて搬送されることにより、フィニッシング処理部18内を搬送された後に、搬送ローラ対70によって挟持されて乾燥部20へ向けて送られる。
フィニッシング処理部18には、印刷版12の搬送路の上方側にスプレーパイプ72が設けられ、搬送路の下方側にスプレーパイプ74が設けられている。スプレーパイプ72、74は、長手方向(軸線方向)が印刷版12の幅方向に沿い、印刷版12の搬送路を挟んで上下に配置されている。また、スプレーパイプ72、74には、サーマルポジ印刷版12の幅方向に沿って複数の吐出孔が形成されている。
フィニッシング処理槽28には、印刷版12の版面保護に用いるガム液が貯留されており、このガム液が印刷版12の搬送に同期してスプレーパイプ72、74に供給される。スプレーパイプ72は、このガム液を印刷版12へ向けて滴下して印刷版12の表面に広げて塗布する。また、スプレーパイプ74は、吐出孔から印刷版12の裏面へ向けてガム液を吐出して、印刷版12の裏面にガム液を塗布する。
印刷版12は、表裏面に塗布されるガム液によって保護膜が形成される。なお、スプレーパイプ72からのガム液の吐出方向は、印刷版12の搬送方向下流側に限らず、他の方向であっても良く、また、整流板を設け、この整流板へ向けて噴出したガム液を、整流板で印刷版12の幅方向に沿って均一に拡散させながら、印刷版12の表面に流し落として塗布するようにしてもよい。また、スプレーパイプ74に換えて、吐出したガム液に印刷版12が接触しながら移動することにより印刷版12の裏面にガム液を塗布する吐出ユニット等を用いても良い。
なお、フィニッシング処理部18には、搬送ローラ対70の上方に洗浄スプレー76が設けられ、搬送ローラ対70の上方のローラに接触しながら回転する洗浄ローラ78が設けられており、予め設定している所定のタイミングで、この洗浄スプレー76から搬送ローラ対70の上方のローラと洗浄ローラ78の接触位置に、整流板80を介して洗浄水を滴下することにより、洗浄水を搬送ローラ対70の上方のローラの周面に均一に拡散させて、搬送ローラ対70の上下のローラの周面からガム液を洗い流し、ローラの周面にガム液が固着してサーマルポジ印刷版12を損傷させてしまうのを防止するようにしている。フィニッシング処理部18でガム液が塗布された印刷版12は、搬送ローラ対70に挟持されて、表裏面にガム液が若干残った状態(ガム液が薄膜として残った状態)で乾燥部20へ送られる。
印刷版プロセッサー10には、フィニッシング処理部18と乾燥部20の間に、仕切り板82が設けられている。この仕切り板82は、印刷版12の搬送路の上方に、処理タンク22の上端と対向するように配置されており、これにより、フィニッシング処理部18と乾燥部20の間にスリット状の挿通口84が形成されている。なお、仕切り板82は、二重構造となっており、これにより、挿通口84の乾燥部20側に溝状の通気路が形成され、乾燥部20内の空気がこの通気路内に入り込むことにより、乾燥部20内の空気が挿通口84から不感脂化処理部18内に入り込んでしまうのを防止している。
乾燥部20内には、挿通口84の近傍に、印刷版12を支持する支持ローラ86が配設され、また、サーマルポジ印刷版12の搬送方向の中央部及び、排出口88の近傍には、搬送ローラ対90及び搬送ローラ対92が配設されている。サーマルポジ印刷版12は、支持ローラ86及び搬送ローラ対90、92によって乾燥部20内を搬送される。
支持ローラ86と搬送ローラ対90との間、及び搬送ローラ対90と搬送ローラ対92との間には、印刷版12の搬送路を挟んで対でダクト94、96が配設されている。ダクト94、96は、長手方向がサーマルポジ印刷版12の幅方向に沿って配設されており、印刷版12の搬送路に対向する面にスリット孔98が設けられている。
ダクト94、96は、図示しない乾燥風発生手段によって発生された乾燥風が、長手方向の一端側から供給されると、この乾燥風をスリット孔98から印刷版12の搬送路へ向けて吐出し、印刷版12に吹き付ける。これにより、印刷版12は、表裏面に塗布されているガム液が乾燥され、保護膜が形成される。
一方、現像部14には、下面が現像槽24に貯留される現像液の液面より下方となるように遮蔽蓋100が配置され、現像槽24内の現像液の液面が空気と接触する面積を狭めている。また、カバー36の副挿入口(リエントリー用の挿入口)40には、図示しない遮蔽部材によって閉塞されており、この遮蔽部材によって外気が現像部14内に入り込むのを防止している。
この遮蔽蓋100には、現像液の液面から突出するブラシローラ142及び搬送ローラ60が入り込む凹部100Aと、搬送ローラ対52の上方側のローラと共に、後述する選択部品を配置したときにこの選択部品が入り込む凹部100Bが形成されている。
自動現像装置10では、現像槽24内に液面蓋100を配置することにより、現像槽24内の現像液が空気中の炭酸ガス等と接触してしまうことによる劣化や水分の蒸発を防止するようにしている。なお、遮蔽蓋100及び処理タンク22と搬送ローラ48や搬送ローラ対52等の間にシリコンゴム等によって形成したブレード状の遮蔽部材(図示省略)を設けて、現像槽24内の現像液が新鮮な外気と接触したり、現像液中の水分が蒸発してしまうのを防止してもよく、より好ましい。
自動現像装置10の現像槽24には、搬送ローラ48に対向して、搬送ローラ48の下方に搬送ローラ48Aが配置される。これにより、印刷版12は、挿入部34の搬送ローラ対42によって搬送ローラ48、48Aの間へ挿入される。搬送ローラ48Aは、搬送ローラ48が回転駆動されることにより追従回転して、搬送ローラ48との間に挿入された印刷版12を挟持して現像槽24内に引き入れる。
また、現像槽24には、搬送ローラ48と搬送ローラ対50の間にガイド板44が配置される。このガイド板44は、搬送ローラ48、48Aによって引き入れた印刷版12を、搬送ローラ対50の間に所定の角度で挿入されるように案内する。
搬送ローラ対50と搬送ローラ対52には、ガイド板46が配置される。このガイド板48は、搬送ローラ対50によって送り出されるサーマルポジ印刷版12を、現像槽24の底面に沿って搬送ローラ対52へ向けて案内する。
また、ブラシローラ142及び搬送ローラ60には、このガイド板46が対向するようになっている。ブラシローラ142は、ガイド板46の上面を搬送される印刷版12を所定のブラシ圧でガイド板46との間で挟持する。この状態でブラシローラ142が所定方向に回転駆動することにより、印刷版12の表面をブラッシングして、現像液に浸漬されることにより感光層の除去を促進するようにしている。なお、搬送ローラ60は、ブラシローラ142によってブラッシングされながらガイド板46上を搬送される印刷版12が、ガイド板46から浮き上がってしまうのを防止して、印刷版12がガイド板46上を、搬送ローラ対52へ向けて確実に案内されるようにしている。
次に前記現像システムに使用する材料について説明する。
本発明のアルカリ現像処理液を適用することができる感光性平版印刷版は、特に限定されるものではなく、支持体上に感光層、感熱層などの画像記録層を設けた種々の平版印刷版原版を挙げることができる。画像記録層としては、例えば、特開平7−285275号公報及び特願2002−154279号明細書に記載されたサーマルポジタイプ、特開平7−20625号公報又は特開平11−218903号明細書に記載されたサーマルネガタイプ及び特開2001−100412号、特開2002−169282号明細書に記載されたフォトポリネガタイプ等が挙げられる。
特に好ましくは、特開平11−218914号、特願2002−499707号、特願2003−189095号、特願2003−181121号明細書に記載された重層のサーマルポジタイプが挙げられる。重層のサーマルポジタイプは、少なくとも2層以上の重層構成であってもよい。
本発明において使用される現像液は、以下の成分を含んでいる。現像液(アルカリ剤)本発明の現像方法に用いられる現像液及び現像補充液は、pH10.0〜13.5、より好ましくは11.0〜13.3のアルカリ水溶液である。かかる現像液および現像補充液としては従来より知られているアルカリ水溶液が使用できる。例えば、ケイ酸ナトリウム、同カリウム、第3リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、第二リン酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、重炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、ほう酸ナトリウム、同カリウム、同アンモニウム、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウム、などの無機アルカリ剤が挙げられる。また、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジアミン、ピリジンなどの有機アルカリ剤も用いられる。
これらのアルカリ剤の中で好ましいのはケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ酸塩水溶液である。その理由はケイ酸塩の成分である酸化ケイ素SiO2とアルカリ金属酸化物M2Oの比率(一般に[SiO2 ]/[M2 O]のモル比で表す)と濃度によってpHや現像性の調節が可能とされるためである。例えば、SiO2 /Na2 Oのモル比が1.5〜2.5(即ち[SiO2 ]/[Na2O]が1.5〜2.5)であって、SiO2 の含有量が1〜4重量%のケイ酸ナトリウムの水溶液からなるアルカリ金属ケイ酸塩が本発明に好適に用いられる。
更に好ましいアルカリ剤としては弱酸と強塩基からなる緩衝液が挙げられる。かかる緩衝液として用いられる弱酸としては、酸解離定数(pKa)10.0〜13.3を有するものが好ましく、特にpKaが11.0〜13.1のものが好ましい。また、例えばスルホサリチル酸の場合、第3解離定数は11.7であり、本発明に好適に使用できる。即ち、多塩基酸の場合、少なくとも一つの酸解離定数が上記範囲内にあれば本発明に使用できる。
このような弱酸としては、Pergamon Press社発行のIONISATION CONSTANTS OF ORGANIC ACIDS INAQUEOUS SOLUTIONなどに記載されているものから選ばれ、例えば2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール−1(pKa12.74)、トリフルオロエタノール(同12.37)、トリクロロエタノール(同12.24)などのアルコール類、ピリジン−2−アルデヒド(同12.68)、ピリジン−4−アルデヒド(同12.05)などのアルデヒド類、ソルビトール(同13.0)、サッカロース(同12.7)、2−デオキシリボース(同12.61)、2−デオキシグルコース(同12.51)、グルコース(同12.46)、ガラクトース(同12.35)、アラビノース(同12.34)、キシロース(同12.29)、フラクトース(同12.27)、リポース(同12.22)、マンノース(同12.08)、L−アスコルビン酸(同11.34)などの糖類、サリチル酸(同13.0)、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸(同12.84)、カテコール(同12.6)、没食子酸(同12.4)、スルホサリチル酸(同11.7)、3,4−ジヒドロキシスルホン酸(同12.2)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(同11.94)、1,2,4−トリヒドロキシベンゼン(同11.82)、ハイドロキノン(同11.56)、ピロガロール(同11.34)およびレゾルシノール(同11.27)などのフェノール性水酸基を有する化合物、2−ブタノンオキシム(同12.45)、アセトキシム(同12.42)、1,2−シクロヘプタンジオンジオキシム(同12.3)、2−ヒドロキシベンズアルデヒドオキシム(同12.10)、ジメチルグリオキシム(同11.9)、エタンジアミドジオキシム(同11.37)、アセトフェノンオキシム(同11.35)などのオキシム類、2−キノロン(同11.76)、2−ピリドン(同11.65)、4−キノロン(同11.28)、4−ピリドン(同11.12)、5−アミノ吉草酸(同10.77)、2−メルカプトキノリン(同10.25)、3−アミノプロピオン酸(同10.24)などのアミノ酸類、フルオロウラシル(同13.0)、グアノシン(同12.6)、ウリジン(同12.6)、アデノシン(同12.56)、イノシン(同12.5)、グアニン(同12.3)、シティジン(同12.2)、シトシン(同12.2)、トポキサンチン(同12.1)、キサンチン(同11.9)などの核酸関連物質、他に、ジエチルアミノメチルホスホン酸(同12.32)、1−アミノ−3,3,3−トリフルオロ安息香酸(同12.29)、イソプロピリデンジホスホン酸(同12.10)、1,1−エチリデンジホスホン酸(同11.54)、1,1−エチリデンジホスホン酸1−ヒドロキシ(同11.52)、ベンズイミダゾール(同12.86)、チオベンズアミド(同12.8)、ピコリンチオアミド(同12.55)、バルビツル酸(同12.5)などの弱酸が挙げられる。これらの弱酸に組み合わせる強塩基としては、水酸化ナトリウム、同アンモニウム、同カリウムおよび同リチウムが用いられる。
これらのアルカリ剤は単独もしくは二種以上を組み合わせて用いられる。これらのアルカリ緩衝剤の中で好ましいのは、スルホサリチル酸、サリチル酸、サッカロースおよびソルビトールと水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムを組み合わせたものである。中でも好ましい組み合わせはソルビトールと水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウムである。上記の各種アルカリ剤は濃度および組み合わせによりpHを好ましい範囲内に調整して使用される。
(界面活性剤)
本発明に用いられる現像液および補充液には、現像性の促進や現像カスの分散および印刷版画像部の親インキ性を高める目的で必要に応じて種々界面活性剤や有機溶剤を添加できる。好ましい界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系および両性界面活性剤が挙げられる。
(現像安定化剤)
本発明に用いられる現像液および補充液には、種々現像安定化剤が用いられる。それらの好ましい例として、特開平6−282079号公報記載の糖アルコールのポリエチレングリコール付加物、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどのテトラアルキルアンモニウム塩、テトラブチルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩およびジフェニルヨードニウムクロライドなどのヨードニウム塩が好ましい例として挙げられる。
(有機溶剤)
現像液および現像補充液には更に必要により有機溶剤が加えられる。かかる有機溶剤としては、水に対する溶解度が約10重量%以下のものが適しており、好ましくは5重量%以下のものから選ばれる。例えば、1−フェニルエタノール、2−フェニルエタノール、3−フェニル−1−プロパノール、4−フェニル−1−ブタノール、4−フェニル−2−ブタノール、2−フェニル−1−ブタノール、2−フェノキシエタノール、2−ベンジルオキシエタノール、o−メトキシベンジルアルコール、m−メトキシベンジルアルコール、p−メトキシベンジルアルコール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノールおよび4−メチルシクロヘキサノール、N−フェニルエタノールアミンおよびN−フェニルジエタノールアミンなどを挙げることができる。有機溶剤の含有量は使用液の総重量に対して0.1〜5重量%である。その使用量は界面活性剤の使用量と密接な関係があり、有機溶剤の量が増すにつれ、界面活性剤の量は増加させることが好ましい。これは界面活性剤の量が少なく、有機溶剤の量を多く用いると有機溶剤が完全に溶解せず、従って、良好な現像性の確保が期待できなくなるからである。
(還元剤)
本発明に用いられる現像液および補充液には更に還元剤が加えられる。これは印刷版の汚れを防止するものであり、特に感光性ジアゾニウム塩化合物を含むネガ型感光性平版印刷版を現像する際に有効である。好ましい有機還元剤としては、チオサリチル酸、ハイドロキノン、メトール、メトキシキノン、レゾルシン、2−メチルレゾルシンなどのフェノール化合物、フェニレンジアミン、フェニルヒドラジンなどのアミン化合物が挙げられる。更に好ましい無機の還元剤としては、亜硫酸、亜硫酸水素酸、亜リン酸、亜リン酸水素酸、亜リン酸二水素酸、チオ硫酸および亜ジチオン酸などの無機酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などを挙げることができる。これらの還元剤のうち汚れ防止効果が特に優れているのは亜硫酸塩である。これらの還元剤は使用時の現像液に対して好ましくは、0.05〜5重量%の範囲で含有される。
(有機カルボン酸)
本発明に用いられる現像液および補充液には更に有機カルボン酸を加えることもできる。好ましい有機カルボン酸は炭素原子数6〜20の脂肪酸カルボン酸および芳香族カルボン酸である。添加量は使用時の現像液に対して0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.5〜4重量%である。
(その他)
本発明で用いられる現像液および補充液には、更に必要に応じて、消泡剤および硬水軟化剤などを含有させることもできる。硬水軟化剤としては例えば、ポリリン酸およびそのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミンペンタ酢酸、トリエチレンテトラミンヘキサン酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ酢酸、ニトリロトリ酢酸、1,2−ジアミノシクロヘキサンテトラ酢酸および1,3−ジアミノ−2−プロパノールテトラ酢酸などのアミノポリカルボン酸およびそれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)、トリエチレンテトラミンヘキサ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシエチルエチレンジアミントリ(メチレンホスホン酸)および1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸やそれらのナトリウム塩、カリウム塩およびアンモニウム塩を挙げることができる。このような硬水軟化剤はそのキレート化力と使用される硬水の硬度および硬水の量によって最適値が変化するが、一般的な使用量を示せば、使用時の現像液に0.01〜5重量%、より好ましくは0.01〜0.5重量%の範囲である。この範囲より少ない添加量では所期の目的が十分に達成されず、添加量がこの範囲より多い場合は、色抜けなど、画像部への悪影響がでてくる。
現像液および補充液の残余の成分は水であるが、更に必要に応じて当業界で知られた種々の添加剤を含有させることができる。本発明に用いられる現像液および補充液は使用時よりも水の含有量を少なくした濃縮液としておき、使用時に水で希釈するようにしておくことが運搬上有利である。この場合の濃縮度は各成分が分離や析出を起こさない程度が適当である。
本発明において以上のような現像液を用いることで、画像欠陥等の発生を一層顕著に抑制することができる。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
下ローラ62B上につけられる凹凸部については種々の形状が考えられるが、ここでは、(1)第1の実施の形態として、まず、溝つきローラについて説明し、(2)第2の実施の形態として、溝を含む上位概念の凹凸部の具体例について説明することとする。
[第1の実施の形態]
<溝つきローラ>
下ローラ62B上につけられる溝としては、ここではリング状のものを設けているが、溝についてはこれに限定されるものではなく、ローラ円周に沿ってスパイラル(らせん)状にした溝を設けても良い。
図3は本発明に係る2種類の溝つきローラの斜視図で、(a)はリング状、(b)はラセン状である。
図において、62Bはリング状の溝m1を周方向に複数個切った円筒ローラである。62B1はラセン状の溝m2を表面に切った円筒ローラを表している。
ここで用いる溝きりローラ62B、62B1は、メニスカス部に多量の水洗水が蓄積するのを抑制する効果があればよく、溝の深さ、幅、溝の本数(密度)についても、水洗水の蓄積を抑制できればよい。
ここで、設ける溝m1、m2について補足しておくと、深さについては、100μm以上ないと効果が得られず、溝の深さ、幅、設ける溝の密度については、それぞれが影響しあうため、適宜条件が設定される。深さについては、100μm以上ないと効果が得らないが、より効果を得るためには400μm以上の深さが必要である。上限は特にないが、溝の深さを深くすると、溝部の洗浄がしにくくなる。従って、溝の深さは15mm以内であることが望ましく、より望ましくは5mm以内である。
溝の幅についても100μm以上必要である。ここで記載する溝の幅とは、ローラ山部と溝部の中間の高さとなる溝の幅を意味する。溝の幅は100μm以上であれば効果が得られるが、400μm以上でより大きな効果が得られる。また、溝の幅を際限なく広げるとローラの山部の割合が小さくなってくる。山部は1本/200mmの割合で必要であり、山部の間隔が1本/200mm以上広がると山と山の間で薄版が通版する際に撓み、効果が弱くなる。更に山部を1本/100mm以上の割合で設けるとより効果的である。効果を発揮する溝の本数についてはローラの長さによるため、溝の密度として規定すると、ローラ長さ方向100mmに1本以上10本の割合で、スパイラル状、もしくはリング状の溝が、設けられることが望ましい。より望ましくは、50mmに1本以上の割合で溝を設けることと効果が大きい。すなわち溝の部分を前記割合以上に多く設けないと効果が出ない。溝の密度を多くした場合、必然的に溝及び山部の幅が狭くなってくる。溝部幅、山部が狭くなった場合には効果が得られないので、1000本/100mm(ローラ長さ方向)以下にすることが好ましい。より好ましくは300本/100mm以下である。一般的に溝は加工簡易性から周期的に設けられるが、溝は周期的であるは必要なく、周期性のない溝でも十分に効果を発現することができる。
溝の形は特に限定されないが、断面が矩形、山形、SINカーブ状の断面をもつ溝も多用される。また、溝きりローラに使用する材料は、一般の印刷版プロセッサーに用いるローラに使用されるゴム等の材料であり、この材料を用いて適宜加工が施される。ゴム以外にも、金属、プラスチック等の材料も使用することができる。
図1に示す印刷版プロセッサー10は、一般的に感光性平版印刷版を現像液によって処理するための現像部14、水洗処理する水洗部16、水洗後の平版印刷版にガム液を塗布して不感脂化処理するフィニッシャー部18とフィニッシャー部から出てきた平版印刷版を乾燥させる乾燥部20が配設されている。
上述したように、現像槽内出口ローラにより排出された平版印刷版12は、水洗部に搬送される。
現像部から排出された平版印刷版上には、現像出口ローラにより現像液を絞られた後も、現像液が薄膜状態で残存し、水洗部に挿入されるまで、僅かながら現像が進行する。水洗部スプレ配管からは既に洗浄水が吐出され、水洗部入口ローラにも平版印刷版が通過する前から、洗浄水がかけられている。水洗入口上部ローラには、金属製のロッドバー67が設けられており、スプレ配管から吐出された洗浄水を液きりし、洗浄水の水洗ローラ現像部側メニスカス部への回り込みを抑制している。しかしながら、抑制を施しても、上部ローラからの洗浄水の回り込みが若干ある他、水洗入口下ローラに平滑ローラを用いた場合には、下ローラからの洗浄水の回り込みにより、水洗部入口ローラメニスカス部に洗浄水が蓄えられる。印刷版が通版される際には、このローラメニスカスの中、または、下側に突入するため、版上には水洗水が流出し、液だれとなる。メニスカス内に版材が突入する位置を変化させても、液だまりは変動しやすいため、安定した性能を得ることが困難である。版先端部にパンチ穴があった場合には、液だれ発生の程度はより悪化する。切り欠いたパンチ穴部分から水洗水が大量に流出し、液だれとなる。液だれが著しく生ずるケースは、特に現像出口ローラの位置に対して、水洗入口ローラの位置が高いケースである。
液だれが発生した場合、液だれ発生箇所では洗浄水により、残存現像液による僅かな現像進行が停止され、液だれ未発生箇所に比較して、現像進行が遅くなる。網点画像は現像進行と共に画線が細る傾向にあり、現像進行が遅くなる液だれ部では、画線の細り方が小さくなるので、網点面積率が若干大きくなる傾向にある。これが、画像ムラの発生原因であり、印刷においても、この画像ムラは視認できる。高精細画像では、画像部周長が長くなるため、残存現像液による僅かな現像進行が及ぼす網点面積率への影響が大きいため、画像ムラが生じやすく、水洗入口ローラの液きりによる効果は大きい。以上のように、効果の大きく現れる高精細画像として、具体的には、250線以上のAMスクリーン、前述したFMスクリーン、ハイブリッドスクリーンがある。FMスクリーン、ハイブリッドスクリーンでは、網点を構成する最小画素のサイズが50μm以下、特に30μm以下のものでは、画像ムラが生じやすく、本発明が有効である。
図4は、本発明でいう最小画素のサイズを説明する図で、(a)はハイライト側で見られる最小画素、(b)は中間調で見られる最小画素をそれぞれ示している。ここでいう最小画素のサイズとは、画像を構成する最小画素の一辺の長さを表している。図に示すように、最小画素は(a)のハイライト側で見られる他、(b)の中間調や、シャドー部側でもその一部に視認することができる。
また、サーマルポジ版では画線が細りやすく、液だれ発生部と未発生部の網点面積率の差が大きくなる傾向にある。サーマルポジ版には、単層構造のものと積層構造のものがあるが、とりわけ、感光層が積層に構成された版では、前記画像ムラが発生し易い。積層型のサーマルポジ版では、未露光部の溶出防止機能を上層に負わせ、下層は現像液に溶解しやすく設計されているため、画像部のサイドから現像液による溶出が生じやすく、現像槽から排出された後にも残存現像液による画線細りの程度が大きい。このため、液だれ発生により現像を停止された箇所との濃度差が生じやすい。このようなシステムでは、本発明の効果は特に大きい。
水洗部下ローラを溝きりローラに変更した際には、水洗スプレから吐出された水洗水が、入口側に回り込んだ際にも水洗入り口下ローラ上に設けられた溝を伝って水洗水が流れ落ち、メニスカス部に水洗水が蓄積される量は平滑ローラ対を用いた場合よりも少なくなる。メニスカス部に蓄積される量が少なくなることに加えて、水洗水は溝の中にはあるものの、印刷版12はローラ上の凸部にあるため、印刷版上にのる水洗水の量は極僅かとなる。従って、印刷版上には液だれは見られず、得られた画像上にムラが発生することはない。
以下、実施例に基づいて、本発明の顕著な効果を説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されない。
(1)平版印刷版用原版HP−Sを使用:
(実施例1〜3、比較例1〜3)
平版印刷版用原版HP−S(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ重層版材)を、Creo社製TrendsetterVXにてビーム強度8W、ドラム回転速度150rpmでFMスクリーンStaccato20および比較としてAMスクリーン175lpiで、50%平網を描画したあと、図1で詳細に記述した自現機で、初期投入現像液DT−2(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ用現像液)を1:8に水で希釈し投入した。現像液温を30度に保ち、現像時間12秒で現像処理を行った。水洗部には水を投入した。フィニッシング部には、富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG−1(1:1で希釈したもの)を投入し、フィニッシング処理した。
Figure 2005301204
表1は、下ローラの溝の状態と液だれの有無(したがって画像ムラの有無)の実験結果を示している。実験は約80本/100mmの溝でのデータである。
下ローラの溝の状態としては、
(1)実施例1が、溝深さ0.6mm、溝幅0.6mmのスパイラル状溝。
(2)実施例2が、 〃 〃 、 〃 〃 のリング状溝。
(3)実施例3が、 〃 0.1 、 〃0.5 のスパイラル状溝。
(4)実施例4が、 〃 0.5 、 〃0.1 のスパイラル状溝。
(5)比較例1が、 〃0.08 、 〃0.5 のスパイラル状溝。
(6)比較例2が、 〃 0.5、 、 〃0.08 のスパイラル状溝。
(7)比較例3が、溝なしの平滑ローラ。
また、露光方法としては、
(a)Co−Re スクリーン250lpi
(b)FM Staccato20
(c)Randot20
(d)ハイブリッドスクリーンFairdot
(e)AMスクリーン175lpi
を実施した。
表1から判ることは、(1)溝深さおよび溝幅が0.1mmを下回らなければ、スパイラル状溝(実施例1、実施例3)およびリング状溝(実施例2、)に関係なく液だれは生じなく、したがってどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラは見られなかった(○)。
(2)しかし、溝深さおよび溝幅のどちらかが0.1mmを下回わる(比較例1は溝深さ0.08mm、比較例2は溝幅0.08mm)と、常に液だれが生じるというわけではないが、少なくとも通版時には生じてしまい(△×)、したがってどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラが若干見られた。
(3)また、溝のまったくない平滑ローラだと常に液だれが生じ、したがってどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラが見られた(×)。
(4)なお、従来の(e)のAMスクリーン175lpiでは、溝の有無に関係なく液だれは見られなかった(○)。ということは、高精細露光でない従来のAMスクリーン175lpi等では、液だれによる画像ムラは全く気にする必要がないということになる。この画像ムラは高精細露光で初めて発生する特有の現象であり、液だれは高精細露光で初めて解決しなければならない課題ということが判る。
(2)平版印刷版用原版LH−PDを使用:
(実施例5〜7、比較例4)
平版印刷版用原版LH−PD(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ重層版材)を、富士フイルム製LUXEL T9000HSにてビーム強度をフルパワーの70%、ドラム回転速度900rpmでFMスクリーンRandotX20およびハイブリットスクリーンFairdot、および比較としてAMスクリーンで175lpiで50%平網を描画したあと、図1で詳細に記述した自現機で、初期投入現像液DT−2(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ用現像液)を1:8に水で希釈し投入した。現像液温を30度に保ち、現像時間12秒で現像処理を行った。水洗部には水を投入した。フィニッシング部には、富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG−1(1:1で希釈したもの)を投入した。
Figure 2005301204
表2は、同じく、下ローラの溝の状態と液だれの有無(したがって画像ムラの有無)の実験結果を示している。実験は約80本/100mmの溝でのデータである。
下ローラの溝の状態としては、
(1)実施例5が、溝深さ0.5mm、溝幅0.5mmのリング状溝。
(2)実施例6が、 〃 〃 、 〃0.1 のリング状溝。
(3)実施例7が、 〃 0.1 、 〃0.5 のリング状溝。
(4)比較例4が、 〃0.08 、 〃0.5 のリング状溝。
露光方法としては、同じく、
(a)Co−Re スクリーン300lpi
(b)FM Staccato10
(c)Randot20
(d)ハイブリッドスクリーンFairdot
(e)AMスクリーン175lpi
を実施した。
表2から判ることは、(1)溝深さが0.5mm程度の大きさであれば、(実施例5)、例え溝幅が狭くても(実施例6=0.1mm)液だれは生じなく、したがってどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラは見られなかった(○)。
(2)しかし、溝幅が広くても、溝深さが0.1mmといった場合(実施例6)には、パンチ穴を有する版の通版時に低頻度ながら液だれは生じたが、しかしどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラは許容レベルであった(△○)。
(3)そして、溝深さが0.1mmを下回わる(比較例4)と液だれが生じ、したがってどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラが見られた(×)。
(4)なお、従来の(e)のAMスクリーン175lpiでは、溝の有無に関係なく液だれは見られなかった(○)。ということは、高精細露光でない従来のAMスクリーン175lpi等では、液だれによる画像ムラは全く気にする必要がないということになる。この液だれは高精細露光で初めて発生する特有の現象であり、液だれは高精細露光で初めて解決しなければならない課題ということが判る。
以上に説明したように、本発明によれば、印刷版プロセッサーの水洗部入口ローラ対の下ローラに溝きりローラ用いることで、水洗部入口ローラから版上への液だれを防止し、高精細画像製版時に問題となる画像ムラを防止することができる。また、この他、現像槽に水洗水が流入することもなくなる。本発明により、印刷版プロセッサーでは、平版印刷版の画像ムラを発生させることなく、処理を行なうことができる。
[第2の実施の形態]
<凹凸部つきローラ>
第2実施の形態で用いる凹凸部つきローラは、メニスカス部に多量の水洗水が蓄積するのを抑制する効果があればよく、深さおよび形状について必ずしも第1の実施の形態のような溝に限定されなくてもよい場合があることが判明して、これに基づいて、下ローラ上に凹凸部を設けるようにしたものである。
凹凸部としては、凸部が周囲を凹部に囲まれた島状にすること、また凹部がローラ周方向で凸部に分断されないことが好ましい。
図5は本発明に係る凹凸部つきローラの1例の斜視図である。
図において、62B2は凹凸部つきローラで、表面には多数の凸部D1がそれぞれ凹部B1〜B4で四方を囲まれているようにしている。
ここで用いる凹凸部つきローラ62B2は、メニスカス部に多量の水洗水が蓄積するのを抑制する効果があればよく、凹部の深さ、凹部の幅、凹凸部の数(密度)についても、水洗水の蓄積を抑制できればよい。
凹部について補足する。凹部の深さについては、100μm以上ないと効果が小さくなる、凹部の幅についても100μm以上必要である。ここで記載する幅とは、ローラ上の凸部と凹部の中間の高さとなる幅を意味する。凹部、凸部を均一に仕上げる必要はなく、効果の発現する凹部、凸部の形状を満たせばよい。
効果を発揮する凹部を設ける場合については、ローラ長さ方向100mmに1本以上の割合で、凹部が設けられることが望ましい。より望ましくは、50mmに1本以上の割合で凹部を設けることと効果が大きい。すなわち凹の部分を前記割合以上に多く設けないと効果が出ない。凹部の形は特に限定されないが、断面が矩形、山形、SINカーブ状の断面をもつ溝が多用される。また、凹凸部つきローラに使用する材料は、一般の印刷版プロセッサーに用いるローラに使用されるゴム等の材料であり、この材料を用いて適宜加工が施される。ゴム以外にも、金属、プラスチック等の材料も使用することができる。
第1の実施形態では溝きりローラを提案したが、溝きりローラでは、水洗スプレ管に異物が詰まり、水洗水吐出方向が入口上ローラと下ローラの接点方向よりも下になった場合、溝の凹部から水が抜け出し、水洗ローラの現像部側メニスカス部に液だまりが生じ、結果液だれが発生することがあった。このため、水洗水の流れがローラ周方向の1方向のみにならないように、水洗水の流れる方向を分散させ、この点を改良したのが第2の実施の形態である。また、一方向のみに溝をきる溝きりローラでは、ローラ洗浄の際、凹部の洗浄を行ないにくく、ローラ洗浄に時間を要するデメリットがあったが、ここに提案する凹凸部つきローラでは、ブラシ状の部材を洗浄に用いれば、凹部にブラシの毛先が入りやすく、簡単に洗浄を行なえる。
一方、溝きりローラは、溝を形成する方向が一方向のみなので、ローラを加工し易く、安価なローラを提供できるというメリットがあり、また、溝きりローラの凹部の洗浄のし難さは、許容の範囲内で溝部の深さをなるべく浅く、溝部の幅をなるべく広くとることで大幅に解消できる。
以下、第2の実施形態に基づいて、本発明の顕著な効果を説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
(1)平版印刷版用原版HP−Sを使用:
(実施例1〜3、比較例1〜3)
平版印刷版用原版HP−S(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ重層版材)を、Creo社製TrendsetterVXにてビーム強度8W、ドラム回転速度150rpmでFMスクリーンStaccato20および比較としてAMスクリーン1751piで、50%平網を描画したあと、図1で詳細に記述した自現機で、初期投入現像液DT−2(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ用現像液)を1:8に水で希釈し投入した。現像液温を30度に保ち、現像時間12秒で現像処理を行った。水洗部には水を投入した。フィニッシング部には、富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG−1(1:1で希釈したもの)を投入し、フィニッシング処理した。
Figure 2005301204
表3は、下ローラの凹凸部の凹部深さと凹部幅の状態と液だれの有無(したがって画像ムラの有無)の実験結果を示している。
下ローラの溝の状態としては、
(1)実施例1が、凹部深さ0.6mm、凹部幅0.6mmの凹凸部つきローラ。
(2)実施例2が、 〃 0.8mm、 〃 5mmの凹凸部つきローラ。
(3)実施例3が、 〃 0.1mm、 〃 0.2mmの凹凸部つきローラ。
(4)比較例1が、 〃 0.09mm、 〃 0.3mmの凹凸部つきローラ。
(5)比較例2が、 〃 0.3mm、〃 0.98mmの凹凸部つきローラ。
(6)比較例3が、 〃 0mm、 〃 0mmの凹凸なしの平滑ローラ。
(7)比較例4が、溝深さ0.6mm、溝幅0.6mmの溝きり(スパイラル状溝)ローラ。
また、露光方法としては、
(a)Co−Re スクリーン250lpi
(b)FM Staccato20
(c)Randot20
(d)ハイブリッドスクリーンFairdot
(e)AMスクリーン175lpi
を実施した。
ローラの洗い易さといった洗浄性についても調べた。
表3から判ることは、(1)凹部深さおよび凹部幅が0.1mmを下回らなければ、液だれは生じなく、したがってどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラは見られなかった(○)。
(2)しかし、凹部深さおよび凹部幅のどちらかが0.1mmを下回わる(比較例1は凹部深さ0.09mm、比較例2は凹部幅0.08mm)と、通版時に常に液だれが生じるというわけではないが、頻繁に生じ(△×)た。液だれが生じると、どの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラが若干見られた。
(3)また、凹凸のまったくない平滑ローラだと常に液だれが生じ、したがってどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラが見られた(×)。
(4)なお、従来の(e)のAMスクリーン175lpiでは、溝の有無に関係なく液だれは見られなかった(○)。ということは、高精細露光でない従来のAMスクリーン175lpi等では、液だれによる画像ムラは全く気にする必要がないということになる。この画像ムラは高精細露光で初めて発生する特有の現象であり、液だれは高精細露光で初めて解決しなければならない課題ということが判る。
(5)ローラの洗浄性については、平滑ローラが優れていることは当然であるが、凹凸部つきローラも許容できるものであった。溝きり(スパイラル状溝)ローラは最も洗浄し難かった。
(2)平版印刷版用原版LH−PDを使用:
(実施例4〜6、比較例4、5)
平版印刷版用原版LH−PD(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ重層版材)を、富士フイルム製LUXEL T9000HSにてビーム強度をフルパワーの70%、ドラム回転速度900rpmでFMスクリーンRandotX20およびハイブリットスクリーンFairdot、および比較としてAMスクリーンで1751piで50%平網を描画したあと、図1で詳細に記述した自現機で、初期投入現像液DT−2(富士写真フイルム(株)社製サーマルポジ用現像液)を1:8に水で希釈し投入した。現像液温を30度に保ち、現像時間12秒で現像処理を行った。水洗部には水を投入した。フィニッシング部には、富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFG−1(1:1で希釈したもの)を投入した。
Figure 2005301204
表4は、下ローラの凹凸部の凹部深さと凹部幅の状態と液だれの有無(したがって画像ムラの有無)の実験結果を示している。
下ローラの溝の状態としては、
(1)実施例4が、凹部深さ0.5mm、凹部幅0.5mmの凹凸部つきローラ。
(2)実施例5が、 〃 0.5mm、 〃 0.1mmの凹凸部つきローラ。
(3)実施例6が、 〃 0.1mm、 〃 0.1mmの凹凸部つきローラ。
(4)比較例4が、 〃 0.08mm、 〃 0.3mmの凹凸部つきローラ。
(5)比較例5が、 〃 0.4mm、 〃 0.09mmの凹凸部つきローラ。
また、露光方法としては、
(a)Co−Re スクリーン250lpi
(b)FM Staccato20
(c)Randot20
(d)ハイブリッドスクリーンFairdot
(e)AMスクリーン175lpi
を実施した。
表4から判ることは、(1)凹部深さおよび凹部幅が0.1mmを下回らなければ、液だれは生じなく、したがってどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラは見られなかった(○)。
(2)しかし、凹部深さおよび凹部幅のどちらかが0.1mmを下回わる(比較例4は凹部深さ0.08mm、比較例5は凹部幅0.09mm)と、液だれが生じ、したがってどの露光方法(a)〜(d)においても画像ムラが見られた(×)。
(3)凹部深さおよび凹部幅が共に0.1mm程度だと、パンチ穴を有する版の通版時には低頻度であるが画像ムラが発生した。しかしそのムラは許容できるレベルのものであった。
(4)なお、従来の(e)のAMスクリーン175lpiでは、溝の有無に関係なく液だれは見られなかった(○)。ということは、高精細露光でない従来のAMスクリーン175lpi等では、液だれによる画像ムラは全く気にする必要がないということになる。この画像ムラは高精細露光で初めて発生する特有の現象であり、液だれは高精細露光で初めて解決しなければならない課題ということが判る。
以上に説明したように、第2の実施の形態によれば、印刷版プロセッサーの水洗部入口ローラ対の下ローラに凹凸部つきローラを用いることで、水洗部入口ローラから版上への液だれを防止し、高精細画像製版時に問題となる画像ムラを防止することができる。また、この他、現像槽に水洗水が流入することもなくなる。本発明により、印刷版プロセッサーでは、平版印刷版の画像ムラを発生させることなく、処理を行なうことができる。
本発明の第1の実施形態に係る現像部を含む印刷版プロセッサーの全体構成図である。 水洗入口上下ローラの洗浄の様子を説明する概略正面図で、本発明に係る水洗入口上下ローラ(a)と従来装置の水洗入口上下ローラ(b)とを対比した図である。 本発明の第1の実施の形態に係る2種類の溝つきローラの斜視図で、(a)はリング状、(b)はラセン状である。 本発明でいう最小画素のサイズを説明する図で、(a)はハイライト側で見られる最小画素、(b)は中間調で見られる最小画素を示している。 本発明の第2の実施の形態に係るに凹凸部つきローラの1例の斜視図である。
符号の説明
10 印刷版プロセッサー
12 印刷版
14 現像部
16 水洗部
18 フィニッシング(不感脂化)処理部
20 乾燥部
22 処理タンク
24 現像槽
26 水洗槽
28 フィニッシング処理槽
30 外板パネル
32 挿入口
34 挿入部
36 挿入口側カバー
38 乾燥部側カバー
40 リエントリー用挿入口(副挿入口)
42、48、50、52 搬送ローラ対
60 搬送ローラ
62A 平滑ローラ
62B,62B2 凹凸部つきローラ
62B1 溝きりローラ
64 搬送ローラ対
66、68 スプレパイプ
M メニスカス
D1 凸部
B1〜B4 凹部

Claims (9)

  1. 少なくとも現像プロセス、水洗プロセスを順に有し、平版印刷版をこの順に処理する処理装置において、前記水洗プロセス入口には印刷版を挟持・搬送する一対の入口ローラを有し、前記一対の入口ローラの下ローラ上に凹凸部を設けたことを特徴とする平版印刷版処理装置。
  2. 前記凸部が周囲を凹部に囲まれた島状になっていることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版処理装置。
  3. 前記凹部がローラ周方向で前記凸部に分断されないことを特徴とする請求項1記載の平版印刷版処理装置。
  4. 前記凹部が溝であることを特徴とする請求項3記載の平版印刷版処理装置。
  5. 前記溝がリング状又はらせん状になっていることを特徴とする請求項4記載の平版印刷版処理装置。
  6. 前記溝の深さおよび溝の幅は100μm以上、溝の密度は1本以上/ローラ長さ方向100mmであることを特徴とする請求項4又は5記載の平版印刷版処理装置。
  7. 前記平版印刷版が、FMスクリーンまたは高精細AMスクリーンで画像形成する感光材料が塗設された材料であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の平版印刷版処理装置。
  8. 前記平版印刷版が光熱変換剤を含有し、レーザによりヒートモードで露光されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の平版印刷版処理装置。
  9. 250線以上である高精細AMスクリーンまたは網点を構成する最小画素のサイズが50μm以下である高精細FMスクリーンで、感光層又は感熱層を有する平版印刷版をレーザー露光し、該平版印刷版を現像液中に浸漬させながら搬送して現像し、水洗し、フィニッシングして成る平版印刷版処理方法であって、前記現像を終えた後、出口ローラから排出された平版印刷版を挟持・搬送する一対の入口ローラのうち下ローラに凹凸部を形成し、水洗液を当該溝内に入り込ませることを特徴とする平版印刷版処理方法。
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