JP2005301061A - トナー用粒子の製造方法 - Google Patents

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Abstract


【課題】 フィルミングの発生が少なく、耐久性および定着性に優れるトナーを提供すること。
【解決手段】 官能基を有する樹脂粒子および離型剤粒子の分散液を調製する工程;該官能基と反応し、樹脂粒子間でネットワークを形成し得るネットワーク形成剤を該分散液に配合する工程;および、該分散液を、離型剤粒子を構成する離型剤の融点よりも低い温度で噴霧乾燥する工程;を含むトナーの製造方法が提供される。離型剤粒子は酸価を有する離型剤で構成されることが好ましく、これによって、樹脂粒子と離型剤粒子とが架橋してネットワークを形成するため、耐久性にすぐれる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷などにおける静電潜像を現像し、熱定着により画像を形成するために用いられるトナーに関する。
一般に、静電画像形成用のトナーは、ポリエステル樹脂、スチレン/アクリル系共重合体樹脂などのトナー用樹脂(結着樹脂)に着色剤などを溶融混練し、粉砕、分級することにより、得られている。しかし、この粉砕法で得られるトナーは、球形度が低いため、球形度が高い(真球により近い)トナーに比べて流動性(円滑性)が悪く、転写性に劣る。さらに、近年、プリンターの高画質化が要求され、これに伴ってトナーを小粒子化する動きもあるが、粉砕法では、粉砕の問題、分級の問題などで、目的とする小粒子径のトナーが得られにくい。
このような問題を解決するために、重合法によるトナー(重合トナー)製造の試みがなされている。一般に重合トナーは、乳化重合、懸濁重合などの方法で樹脂の原料となる単量体をエマルジョン化し、エマルジョンの状態で重合させて一次粒子を作成し、これを加熱凝集し、乾燥させて得られる。この加熱・乾燥過程において、重合粒子は熱融着し、一部溶融するあるいは樹脂粒子どうしが熱融着するなど、樹脂粒子が結合された状態となる。しかし、この結合は弱いため、トナーは崩壊しやすく、そのため使用時の耐久性に劣り、保存時の安定性に欠けるという問題がある。
例えば、特許文献1には、酸性極性基または塩基性極性基を有する重合体の一次粒子を乳化重合により調製し、この一次粒子に着色剤粒子並びに帯電制御剤を添加して加熱することにより、着色された二次粒子を得、そして、この二次粒子をさらに会合させてトナー用粒子を得ることが記載されている。この会合粒子は、二次粒子間の接触部分の少なくとも一部が造膜融合しており、貯蔵、輸送、現像剤製造時に崩壊することがないことが記載されている。しかし、この熱融着している二次粒子の会合粒子からなるトナーが離型剤を含む場合、樹脂よりもガラス転移点が低い離型剤は溶融して二次粒子間に侵入し、二次粒子間の結合強度を弱めるため、トナーは崩壊しやすく、使用時の耐久性に欠ける。
特許文献2は、定着性に優れた小粒子径の重合トナーを開示している。この重合トナーは、重合性単量体と定着性向上剤とを含む単量体組成物をエマルジョン化し、これを重合して小粒径のトナーを得ている。このトナーの製造に際し、重合粒子の強度を高めるために架橋剤を添加して重合粒子を調製し、これを会合させることが記載されている。しかし、個々の重合粒子の強度は高くなるものの、重合粒子の結合強度が弱い上、特許文献1と同様、離型剤が溶融して重合粒子間に浸透するため、重合粒子間の結合強度が弱まる。そのため、崩壊しやすく、使用時の耐久性に欠け、定着性も悪くなる。
さらに、特許文献3は低温定着性の改良を目的としてカプセル構造(コア−シェル構造)を有するトナーを開示している。この方法では、まず、重合性単量体、着色剤などを含有する重合性組成物を懸濁重合あるいは乳化重合し、これを凝集させてコア粒子を得、ついで、このコア粒子の周囲に別の粒子を凝集させ、必要に応じて乾燥させて、カプセル構造を有するトナー粒子を得ている。このトナーは、低温定着性に優れているものの、凝集工程を2度行わなければならないという複雑さと、単なる凝集力により粒子が結合しているため、使用時の耐久性に劣る、保存安定性に欠けるという問題がある。
特開昭63−186253号公報 特開平5−66611号公報 特開平11−7156号公報
上記のように、従来の重合トナーは、低温定着性に優れている場合は耐久性に劣るという問題があり、他方、耐久性を向上させると低温定着性が低下するという問題がある。そこで、耐久性に優れ、かつ、低温定着性にも優れたトナーが求められている。本発明は、低温定着性に優れ、かつ、耐久性をも備えたトナーを提供することを目的とする。
本発明は、官能基を有する樹脂粒子および離型剤粒子の分散液を調製する工程;該官能基と反応し、樹脂粒子間でネットワークを形成し得るネットワーク形成剤を該分散液に配合する工程;および、該分散液を、該離型剤粒子を構成する離型剤の融点よりも低い温度で噴霧乾燥する工程;を含むトナーの製造方法を提供する。
好ましい実施態様においては、前記離型剤粒子を構成する離型剤が酸価を有している。
好ましい実施態様においては、前記樹脂粒子と離型剤粒子とが架橋してネットワークを形成している。
好ましい実施態様においては、前記樹脂粒子の粒径Aと離型剤粒子の粒径Bとが、0.5≦B/A≦2の関係を満たす。
好ましい実施態様においては、前記離型剤粒子が樹脂粒子100質量部に対して、0.5〜10質量部添加される。
本発明の製造方法によって得られるトナー用粒子は、離型剤の融点よりも低い温度で噴霧乾燥されるため、離型剤粒子が溶融することなく存在し、かつ、樹脂粒子および離型剤粒子とが表面で相互に結合し、ネットワークを形成している。このように樹脂粒子同士および樹脂粒子と離型剤粒子とが表面でのみ結合しているために、樹脂の溶融特性に変化を与えることなく、樹脂粒子間の結合強度を上げることができる。さらに、離型剤粒子が溶融せず、樹脂粒子内部に侵入しないため、樹脂粒子間の強度を弱めることがない。そのため、トナー用粒子の定着性を維持したまま、耐久性を向上させることができる。従ってフィルミングの発生が少なく、耐久性、低温定着性に優れたトナー用粒子が提供される。
本発明の方法で得られるトナー用粒子の構造を図1に示す。図1においては、酸価を有する離型剤を用いた場合を示す。図1aは、離型剤よりも融点が低い(軟化点が低い)樹脂粒子を用い、離型剤の融点より低く、樹脂粒子の軟化点よりも高い温度で噴霧乾燥した場合の構造の模式図である。図1aにおいて、トナー1は、単独の樹脂粒子11、3個の樹脂粒子が相互に溶融して一つの塊となった樹脂粒子塊12、2個の樹脂粒子が接触し境界面17を有したまま結合している樹脂粒子塊13、4個の樹脂粒子が相互に溶融して一つの塊となった樹脂粒子塊14、離型剤粒子15などが相互に架橋あるいは結合され、ネットワーク16を形成している。従って、上記「樹脂粒子の集合体でなる集合体粒子」には、樹脂粒子が相互に溶融して形成された集合体(図1における12、14の樹脂粒子塊)、樹脂粒子が境界面17を残しつつ接触(好ましくは結合)した集合体(図1における13の樹脂粒子塊)などが含まれる。
また、図1bは、樹脂粒子の軟化点および離型剤の融点よりも低い温度で噴霧乾燥させた場合のトナー用粒子の構造を示す。
図1aおよびbのいずれの場合においても、各樹脂粒子間および離型剤粒子と樹脂粒子とがネットワーク構造を有しているので、トナー用粒子の強度は高く、耐久性および定着性に優れている。
上記構造のトナー用粒子は、樹脂粒子11および離型剤粒子から生じるものであるので、以下、まず、本発明に用いられる材料である(i)樹脂粒子、(ii)この樹脂粒子を製造するための単量体、(iii)ネットワーク形成剤および(iv)離型剤について説明し、ついで、(v)本発明のトナーの製造方法について説明する。
(i)樹脂粒子
本発明のトナーは、樹脂粒子間、集合体間並びに樹脂粒子と集合体間(以下、これらを総称して、単に「粒子間」ということがある)が境界面で接しつつ相互間でネットワーク構造を形成し、この粒子間のネットワーク形成は、樹脂粒子および樹脂粒子の集合体に存在する官能基を用いて行われる。従って、樹脂粒子は官能基を有するように調製される。
樹脂粒子中に存在し得る官能基としては、例えば、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、スルホン酸基、窒素を含有する官能基(例えば、アンモニウム基、アミノ基、アミド基など)、酸無水物基、N−アルコキシメチル基、N−メチロール基などが挙げられるが、これらに制限されない。好ましくは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、スルホン酸基、窒素を含有する官能基、および酸無水物基であり、さらに好ましくは、カルボキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基である。樹脂粒子中の官能基の種類は1種でもよく、2種以上であってもよい。上記官能基を有する樹脂として、以下の樹脂が例示されるがこれらに限定されない。
カルボキシル基を有する樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、アクリル酸−ポリビニルアルコール共重合体などの(メタ)アクリル酸系重合体;メチルビニルエーテル−マレイン酸共重合体;スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体などのスチレン系重合体などが挙げられる。
ヒドロキシル基を有する樹脂としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのポリアルキレンオキサイド;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などのビニルアルコール系重合体;エーテル基などを有するポリオキシアルキレン−酢酸ビニル共重合体などのビニルエステル系重合体;ヒドロキシ含有(メタ)アクリレートを含む共重合体;(メタ)アクリル酸−ポリビニルアルコール共重合体;エチレン−無水マレイン酸共重合体;酢酸ビニル−アクリル酸メチル共重合体などが挙げられる。なお、以下の説明において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸およびメタクリル酸を総称し、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびメタアクリレートを総称する。
エポキシ基を含有する樹脂としては、ポリグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート−(メタ)アクリレート共重合体、スチレン−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−グリシジル(メタ)アクリレート共重合体などが挙げられる。
スルホン酸基を有する樹脂としては、ポリスチレンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸などのスチレン系重合体が挙げられる。
窒素を含有する官能基を有する樹脂としては、ポリビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライドなどの4級アンモニウム塩、ポリジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール、ポリエチレンイミン、ポリアミドポリアミン、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリジアセトン(メタ)アクリルアミド、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
酸無水物基を含有する樹脂としては、メチルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体などのアルキルビニルエーテル−無水マレイン酸共重合体;エチレン−無水マレイン酸共重合体:酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体;スチレン−無水マレイン酸共重合体;(メタ)アクリルレート−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。
N−アルコキシメチル基またはN−メチロール基を有する樹脂としては、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
さらに、上記官能基を有するポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などを用いてもよい。
ところで、低温定着性を目的とする場合、トナーに用いる樹脂のフロー軟化点(Tf1/2)は低いことが好ましく、保存性の観点からは、ガラス転移温度(Tg)は高いことが好ましい。トナー用粒子のフロー軟化点(Tf1/2)は低いことが好ましい。Tf1/2は、例えば、85〜150℃であることが好ましく、90〜130℃がより好ましく、100〜120℃であることがさらに好ましい。トナー用粒子のガラス転移温度(Tg)は、40〜150℃であることが好ましく、50〜90℃であることがさらに好ましい。
樹脂のフロー軟化点およびガラス転移温度を容易に調整できるという観点から、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリレート系の樹脂を主成分とすることが好ましく、ポリ(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレート共重合体、スチレン−官能基を有する(メタ)アクリレート共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリレート共重合体などが好ましく用いられる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
(ii)樹脂粒子を製造するための単量体
(ii-1)単量体の種類
上記の官能基を有する樹脂を製造には、官能基を有する単量体および官能基を有していない単量体のいずれもが用いられる。本発明に用いる樹脂粒子を調製するためには、官能基を有する単量体の少なくとも一種が含まれるようにする。
例えば、以下の単量体が例示される:(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、マレイン酸ハーフエステル、イタコン酸、イタコン酸ハーフエステル、フマル酸、フマル酸ハーフエステルなどのカルボキシル基含有単量体;エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ビニルアルコール系単量体、酢酸ビニル、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有単量体(反応によりヒドロキシル基を有するようになる単量体を含む);グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有単量体;スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸などのスルホン酸基含有単量体;ビニルベンジルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール、エチレンイミン、(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ビニルピロリドンなどの窒素含有官能基を含有する単量体;無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フマル酸などの酸無水物含有単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのN−メチロール基含有単量体;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのN−アルコキシメチル基含有単量体;スチレン系単量体(スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、クロロスチレンなど)、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル系単量体;エチレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどのオレフィン;(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;(メタ)アクリロニトリル;メチルビニルケトンなどのビニルケトン;メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル;クロトンアルデヒド;アリルアルコール;酢酸アリルなどのアリルエステル:など。
これらの単量体およびその他の公知の単量体の中から、官能基を有する単量体を選択し、官能基を有する単量体の重合体(ホモポリマー)、官能基を有する単量体の共重合体、あるいは官能基を有する単量体と官能基を有しない単量体との共重合体を調製することができる。なお、単量体について官能基というときには、α,β−エチレン性不飽和基のような、樹脂の形成に使用される重合性反応基は含まない。
なお、官能基を有する単量体は、官能基を有しない単量体100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部が、適切な重合粒子間の結合力を与える点で好ましい。
上記の通り、(メタ)アクリル酸および(メタ)アクリレート系の樹脂を主成分とするスチレン含有樹脂が好適であることから、以下、このような樹脂粒子を製造する際に用いる単量体((メタ)アクリレート系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体、およびスチレン系単量体)についてさらに詳しく説明する。なお、アクリル酸というときには、その無機塩(例えば、アンモニウム塩、あるいはナトリウム塩、カリウム塩などの金属塩)も含むものとする。その他の酸(例えばマレイン酸など)についても、同様にこれらの無機塩を含むものとする。
(ii-2)(メタ)アクリレート系単量体
(メタ)アクリレート系単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート;アミノ基を有する(メタ)アクリレート;グリシジル基を有する(メタ)アクリレート;多官能性(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
アミノ基を有する(メタ)アクリレートとしては、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
グリシジル基を有する(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能性(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなど挙げられる。
その他、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどのアリール(メタ)アクリレート、アラルキル(メタ)アクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレートなども使用できる。
(ii-3)(メタ)アクリル酸系単量体
(メタ)アクリル酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリル酸、エチル(メタ)アクリル酸、プロピル(メタ)アクリル酸、イソプロピル(メタ)アクリル酸、n−ブチル(メタ)アクリル酸、イソブチル(メタ)アクリル酸、t−ブチル(メタ)アクリル酸、ペンチル(メタ)アクリル酸、ヘキシル(メタ)アクリル酸、オクチル(メタ)アクリル酸、2−エチルヘキシル(メタ)アクリル酸、デシル(メタ)アクリル酸、ドデシル(メタ)アクリル酸、ステアリル(メタ)アクリル酸などが挙げられる。
また、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル酸、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリル酸、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリル酸、エチレングリコールジ(メタ)アクリル酸、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリル酸などの、カルボン酸に加えてカルボン酸と異なる官能基(例えばヒドロキシル基)を樹脂粒子中に提供し得る単量体が用いられる。
(ii-4)スチレン系単量体
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどが含まれる。スチレンが好ましく用いられる。スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸を用いてもよい。
樹脂粒子の調製に際しては、少なくとも官能基を有する単量体を含むように、1または2以上の単量体が選択される。例えば、スチレン−アクリレート系の共重合体を得たい場合、スチレン−アルキルアクリレート共重合体は樹脂粒子中に官能基を有していないため、スチレンの代わりにスチレンスルホン酸を使用する、あるいはアルキルアクリレートの代わりにグリシジルアクリレートを使用するなどの方法により、樹脂粒子中に官能基を導入する。あるいは、スチレン、アルキルアクリレートに加えて、上記(ii-3)の(メタ)アクリル酸系単量体または上記(ii-1)に例示された官能基を有する単量体を組合せて、樹脂粒子を製造する。
(iii)ネットワーク形成剤
本発明において、ネットワーク形成剤は粒子間の結合を生じさせる物質をいう。ネットワーク形成剤には、それぞれの樹脂粒子に存在する官能基間を架橋する架橋剤、あるいはそれぞれの樹脂粒子中の官能基同士を結合させる反応性単量体、反応性重合体、重合剤、重合助剤、重合開始剤などが含まれる。
本発明に用いるネットワーク形成剤は、エマルジョン状態で粒子間の架橋あるいは粒子表面同士の結合を行う観点から、水溶性であるか、水に易分散であるか、微量の水溶性溶媒に可溶か、界面活性剤で可溶化する性質を有することが好ましい。
(iii-1)架橋剤
架橋剤は、樹脂粒子あるいは集合体粒子に存在する官能基と反応し、粒子間に架橋を形成することができる化合物であれば、特に、制限はない。架橋剤は、単独で又は二種以上を組合せて使用できる。
(iii-1-1)官能基がカルボキシル基である場合、架橋剤としては、エポキシ基あるいはイソシアネート基を有する化合物、金属化合物などが好ましく使用される。
エポキシ基を有する化合物としては、2以上のエポキシ基を有する化合物、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、1,2−3,4−ジエポキシブタンなどが使用される。
イソシアネート基を有する化合物としては、ポリイソシアネート化合物、例えば、トリレンジイソシアネート、水素化トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソシアネート基を有するプレポリマー(含水酸基ポリエステル、含水酸基ポリエーテルなどのポリオールに上記ポリイソシアネートを過剰量反応させて得られる、末端にイソシアネート基を有するポリマー)などが使用される。
金属化合物としては、2価以上の原子価を有する水溶性の金属化合物が好ましく、ホウ素、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、クロム、ジルコニウムなどの金属のハロゲン化物、塩類(炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩など)、酸化物、又は水酸化物などが例示できる。特に、ホウ酸、硼砂、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、塩化ジルコニウム、鉄ミョウバンなどが好ましい。
(iii-1-2)官能基がヒドロキシル基である場合、架橋剤としては、カルボキシル基または酸無水物基を有する化合物、アルデヒド基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物、窒素含有化合物、アクリルアミド部分を有する化合物、イソシアネート基を有する化合物、金属化合物などが挙げられる。なかでも、カルボキシル基または酸無水物基を有する化合物(特に、多価カルボン酸又はその酸無水物)、および金属化合物が好ましい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ポリカルボン酸、脂環族ポリカルボン酸、芳香族ポリカルボン酸、オキシポリカルボン酸、複素環式多価カルボン酸などが挙げられる。
脂肪族ポリカルボン酸としては、C2〜10の脂肪族飽和ポリカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸など)、あるいは、C4〜6の脂肪族不飽和ポリカルボン酸(フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸など)などが挙げられる。
脂環族ポリカルボン酸としては、C8〜10の脂環族ポリカルボン酸(例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸など)が挙げられる。
芳香族ポリカルボン酸としては、C8〜12の芳香族ポリカルボン酸又はその酸無水物(例えば、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸など)が挙げられる。
オキシポリカルボン酸としては、C3〜6のオキシ多価カルボン酸(例えば、タルトロン酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸など)が挙げられる。
複素環式多価カルボン酸は、窒素、酸素および硫黄原子から選択された少なくとも一種のヘテロ原子を有する多価カルボン酸(例えば、ピリジンジカルボン酸、ピリジントリカルボン酸、ピリジンテトラカルボン酸、トロピン酸など)などが挙げられる。この複素環式多価カルボン酸中の多価カルボン酸としては、脂肪族、脂環族又は芳香族ポリカルボン酸(特にC3〜10のポリカルボン酸)が好ましく用いられる。
多価カルボン酸の塩あるいは部分塩もまた、好ましく用いられる。多価カルボン酸塩としては、アンモニウム塩、アルカリ金属塩(カリウム塩、ナトリウム塩など)などの無機塩、第3級アミンなどの有機塩などの塩が含まれる。多価カルボン酸としては、マレイン酸又はその酸無水物(無水マレイン酸)が特に好ましい。
アルデヒド基を有する化合物としては、複数のアルデヒド基を有する化合物、例えば、グリオキザール、マロンアルデヒド、グルタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、ジアルデヒドデンプン、アクロレイン共重合アクリル樹脂などが用いられる。
窒素含有化合物としては、例えば、メトキシメチルメラミンなどのC1-4 アルコキシメラミン、N−メチロールメラミン、N−メチロール尿素などのメチロール基含有化合物、アセトグアナミン、ベンゾグアナミンなどのグアナミン類、メラミン−ホルマリン樹脂、尿素−ホルマリン樹脂などが用いられる。
アクリルアミド基を有する化合物としては、メチレン−ビス(メタ)アクリルアミド、N,N′−ジメチロール−メチレン−ビスアクリルアミド、1,1−ビスアクリルアミド−エタンなどが例示できる。
エポキシ基あるいはイソシアネート基を有する化合物、金属化合物については、(iii-1-1)「官能基がカルボキシル基である場合」で説明した通りである。
(iii-1-3)官能基が、カルボキシル基およびヒドロキシル基以外の官能基の場合は、上記説明を考慮して、その官能基と反応し得る官能基を有する架橋剤を選択すればよい。例えば、官能基がアミド基の場合はジヒドロキシ化合物を用いればよい。
(iii-2)架橋剤以外のネットワーク形成剤
架橋剤以外のネットワーク形成剤としては、上述のように反応性単量体、反応性重合体、重合剤、重合助剤、重合開始剤などが挙げられる。反応性単量体および反応性重合体は、樹脂粒子中の官能基と反応して、各樹脂粒子間にネットワークを形成する。
(iii-2-1)反応性単量体
ネットワーク形成剤である反応性単量体は、重合可能な単量体をいう。反応性単量体としては、樹脂粒子中に存在する官能基と反応し得る基を分子内に有する単量体(官能基含有反応性単量体)および樹脂粒子中に存在する官能基と反応しない単量体(官能基非含有反応性単量体)のいずれもが用いられる。本発明のトナーを調製するためには、官能基含有反応性単量体の少なくとも一種が用いられる。官能基非含有反応性単量体は、官能基含有反応性単量体と組合わせて使用される。官能基含有反応性単量体としては、上記「(ii)樹脂粒子を製造するための単量体」で説明した各種の単量体を使用し得る。例えば、樹脂粒子の官能基がカルボキシル基である場合、エポキシ基を有する単量体(例えば、グリシジル(メタ)アクリレートなど)が用いられる。また、樹脂粒子の官能基がエポキシ基である場合はカルボキシル基を有する単量体(例えば、メタクリル酸など)が用いられる。官能基非含有反応性単量体には、(a)官能基を有しない単量体(例えば、スチレン、(メタ)アクリレート、オレフィンなど)、および(b)樹脂粒子中に存在する官能基と反応しない官能基を有する単量体が含まれる。この(b)に相当する単量体は、官能基含有反応性単量体の官能基を基準に、上記(iii-1-1)、(iii-1-2)の記載などを参考にして、当業者が容易に選択し得る。
(iii-2-2)反応性重合体
反応性重合体は、それ自体が重合可能な重合体であり、樹脂粒子中に存在する官能基と反応し得る基を分子内に有する重合体(官能基含有反応性重合体)と樹脂粒子中に存在する官能基と反応しない重合体(官能基非含有反応性重合体)のいずれもが用いられる。ここで、反応性重合体について官能基というときには、α,β−エチレン性不飽和基のような、重合性反応基は含まない。本発明のトナーを調製するためには、官能基含有反応性重合体の少なくとも一種が使用される。官能基非含有反応性重合体は、官能基含有反応性重合体と組合わせて使用される。官能基含有反応性重合体は、少なくとも官能基を有する反応性単量体を用いて得られる単独重合体あるいは共重合体をいう。官能基非含有反応性重合体には、(a)官能基を有しない単量体(例えば、スチレン、(メタ)アクリレート、オレフィンなど)、および(b)樹脂粒子中に存在する官能基と反応しない官能基を有する単量体のそれぞれの単独重合体、および(a)の単量体と(b)の単量体との共重合体が含まれる。この(b)に相当する単量体は、官能基含有反応性重合体の官能基を基準に、上記(iii-1-1)、(iii-1-2)の記載などを参考にして、当業者が容易に選択し得る。
反応性重合体には、2量体〜オリゴマーおよびポリマーが含まれる。ネットワーク形成という点からは低分子量であることが好ましい。そのため、2〜100量体程度が好ましく、2〜50量体程度がさらに好ましい。
上記反応性単量体および反応性重合体は、それぞれ、単独で用いてもよく、組合わせて用いてもよい。例えば、官能基含有反応性単量体−官能基非含有反応性単量体、官能基含有反応性単量体−官能基非含有反応性重合体、官能基含有反応性重合体−官能基非含有反応性重合体、官能基含有反応性重合体−官能基非含有反応性単量体などの組合わせも可能である。さらに、これらの反応性単量体、反応性重合体の重合に適した重合剤、重合開始剤および重合助剤を用いることが好ましい。
(iii-2-3)重合剤、重合開始剤および重合助剤
本明細書において、重合剤は重合に用いる触媒をいい、重合助剤は重合を促進する物質をいい、重合開始剤は、重合反応における連鎖反応開始剤をいう。これらの重合剤、重合開始剤および重合促進剤としては特に制限はなく、重合すべき単量体に応じて、当業者が通常用いる化合物が用いられる。重合剤、重合開始剤および重合助剤は、これらを単独であるいは組合わせて使用することができるが、一般には組合わせて使用することが好ましい。
これらの重合剤、重合開始剤および重合助剤は、反応性単量体あるいは反応性重合体が存在しなくても、樹脂粒子あるいは集合体粒子中の官能基同士を直接結合させることにより、粒子間を表面でのみ結合させることができる場合がある。例えば、樹脂粒子の表面にエポキシ基とカルボキシル基とが存在する場合、重合開始剤として過硫酸カリウムを使用し、加熱すると、樹脂粒子Aのエポキシ基と別の樹脂粒子Bのカルボキシル基との間の脱水反応により、この樹脂粒子Aと樹脂粒子Bとが表面で結合する。このようにして、樹脂粒子同士を表面でのみ結合することができる。
重合開始剤としては、例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過酸化水素;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤;クメンハイドロパーオキシド、t-ブチルハイドロパーオキシド等の有機過酸化物:等が用いられる。必要に応じて、過硫酸塩又は過酸化物と、鉄イオン等の金属イオン、ナトリウムスルホキシレート、ピロ亜硫酸ナトリウム、L-アスコルビン酸等の還元剤とを組合せて、レドックス開始剤として用いてもよい。
上記過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩を重合開始剤とする場合、重合助剤としては、例えばスルホン酸イオン(−SO )または硫酸エステルイオン(−SO )が好ましく用いられる。この場合、スルホン酸イオン又は硫酸エステルイオンを分子中に有する界面活性剤は、重合助剤として機能する。
スルホン酸イオンまたは硫酸エステルイオンを分子中に有する界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ナトリウムジオクチルスルホサクシネート、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム等が挙げられる。
(iv)離型剤
離型剤としては、パラフィン系ワックス、ポリオレフィン系ワックス、芳香族基を有する変性ワックス、脂環基を有する炭化水素化合物、天然ワックス、炭素数12以上の長鎖炭化水素鎖(CH(CH11またはCH(CH12以上の脂肪族炭素鎖)を有する長鎖カルボン酸およびそのエステル、長鎖脂肪酸金属塩(金属石鹸)、脂肪酸アミド、脂肪酸ビスアミド等が使用される。これらは、単独で用いてもよく、組合わせて用いてもよい。
具体的な離型剤としては、パラフィンワックス(日本石油(株)製)、パラフィンワックス(日本精蝋(株)製)、マイクロワックス(日本石油(株)製)、マイクロクリスタリンワックス(日本精蝋(株)製)、硬質パラフィンワックス(日本精蝋(株)製)、PE−130(ヘキスト製)、三井ハイワックス110P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス220P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス660P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス210P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス320P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス410P(三井石油化学(株)製)、三井ハイワックス420P(三井石油化学(株)製)、変性ワックスJC−1141(三井石油化学(株)製)、変性ワックスJC−2130(三井石油化学(株)製)、変性ワックスJC−4020(三井石油化学(株)製)、変性ワックスJC−1142(三井石油化学(株)製)、変性ワックスJC−5020(三井石油化学(株)製)、密ロウ、カルナバワックス、モンタンワックス等を挙げることができる。
長鎖脂肪酸金属塩(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛、パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸マグネシウム等が好ましく用いられる。
ポリオレフィン系ワックスとしては、例えば低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン、酸化型のポリプロピレン、酸化型のポリエチレン等が挙げられる。ポリオレフィン系ワックスの具体例としては、例えば、Hoechst Wax PE520、Hoechst Wax PE130、Hoechst Wax PE190(ヘキスト製)、三井ハイワックス200、三井ハイワックス210、三井ハイワックス210M、三井ハイワックス220、三井ハイワックス220M(三井石油化学工業(株)製)、サンワックス131−P、サンワックス151−P、サンワックス161−P(三洋化成工業(株)製)などのような非酸化型ポリエチレンワックス、Hoechst Wax PED121、Hoechst Wax PED153、Hoechst Wax PED521、Hoechst Wax PED522、同Ceridust 3620 、同Ceridust VP130、同Ceridust VP5905、同Ceridust VP9615A、同Ceridust TM9610F、同 Ceridust 3715 (ヘキスト製)、三井ハイワックス420M(三井石油化学工業(株)製)、サンワックスE−300、サンワックスE−250P(三洋化成工業(株)製)などのような酸化型ポリエチレンワックス、Hoechst Wachs PP230(ヘキスト製)、ビスコール330−P、ビスコール550−P、ビスコール660P(三洋化成工業(株)製)などのような非酸化型ポリプロピレンワックス、およびビスコールTS−200(三洋化成工業(株)製)などのような酸化型ポリプロピレンワックスが例示される。
樹脂粒子とネットワークを形成するためには、離型剤は官能基を有することが好ましい。従って、カルボン酸を有し、酸価を有する離型剤が好ましく用いられる。このような離型剤としては、上記の酸化型ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、カルナバワックス、モンタンワックスの他に、ライスワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、部分ケン化エステルワックスなどが用いられる。
上記ワックスのうち、酸価を有しないワックス成分(例えば、低分子量ポリプロピレン)に、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等のアクリル酸及びそのα−或いはβ−アルキル誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体または無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、無水アリルコハク酸、無水ナジック酸などのモノマーを単独で、あるいは混合して、反応させることにより所望の酸価および融点(軟化点)を有するワックスを得ることができる。
酸価は2〜20KOHmg/gであることが好ましく、5〜18KOHmg/gであることがより好ましい。酸価が2KOHmg/g未満では、噴霧乾燥時に離型剤と樹脂粒子との間のネットワーク形成が困難となり、離型剤粒子が遊離してしまう。その結果、フィルミングが発生しやすくなる。他方、酸価が20KOHmg/gより大きくなると、トナーが湿度の影響を受けやすくなり、帯電が不均一なって現像性が低下する。
低温定着性を考慮すると、軟化点が比較的低い離型剤を選択することが好ましい。例えば、セイコーインスツルメント(株)製「DSC120」で測定されるDSC吸熱曲線における吸熱メインピーク値である軟化点(融点)が40〜130℃、好ましくは50〜120℃のものが使用される。
酸価および軟化点などを考慮すると、上記離型剤のなかでも、カルナバワックス、モンタンワックスなどが好ましく用いられる。
これらの離型剤は、単独であるいは組合せて使用することができる。
離型剤粒子は、樹脂粒子100質量部に対して、0.5〜10質量部添加される。好ましくは、0.5〜5質量部、より好ましくは、1〜4質量部添加される。離型剤が0.5質量部より少ないと、トナー定着時にオフセットが発生する傾向にある。離型剤量が多くなると、定着性は良好になる傾向はあるが、10質量部を超えるとトナー表面への離型剤の染み出しが顕著に起り、トナーの転写効率が低下する。
(v)トナーの製造方法
本発明のトナーの製造方法は、官能基を有する樹脂粒子と、好ましくは酸価を有する離型剤粒子を、樹脂粒子100質量部あたり0.5〜10質量部混合し、ついで、これらの各樹脂粒子間および樹脂粒子と離型剤間でネットワークを形成させる方法である。本発明においては、樹脂粒子の粒径をAとし、離型剤粒子の粒径をBとした時に、0.33≦B/A≦3を満たすように樹脂粒子と離型剤粒子の大きさを調整することが好ましい。より好ましくは、0.5≦B/A≦2の関係を満たすように、それぞれの粒子径を調整する。B/Aが0.33未満であると、乳化剤が多量に必要となり、帯電性が低下するなどの問題が生じる。B/Aが3を超えると小粒径のトナー用粒子の作成が困難となる傾向にある。
本発明においては、まず、上記粒径の関係を満たす樹脂粒子のエマルジョンと離型剤粒子のエマルジョンを調製する。ついで、これらのエマルジョンを混合し、樹脂粒子間でネットワークを形成させる。樹脂粒子間および樹脂粒子と離型剤粒子との間にネットワークを形成する方法は、樹脂粒子中の官能基に応じて決定すればよい。樹脂粒子エマルジョンの分散媒(一般的には水)にネットワーク形成剤を添加して反応させる、あるいは予め樹脂粒子エマルジョンを形成するための分散媒に分散させておいてもよい。
樹脂粒子が1種類の官能基のみを有する場合、架橋剤、反応性単量体あるいは反応性重合体を、例えば樹脂粒子エマルジョンと離型剤粒子エマルジョンの混合分散媒に添加し、反応させる。樹脂粒子が2種類の官能基を有する場合は、この2種類の官能基と反応し得る2つの反応性基を有する架橋剤、反応性単量体あるいは反応性重合体を樹脂粒子エマルジョンと離型剤粒子エマルジョンの混合分散媒に添加し、反応させてもよい。しかし、樹脂粒子中の2種類の官能基を、相互に反応し得る組合わせ(例えばカルボキシル基とグリシジル基)に設定し、樹脂粒子エマルジョンと離型剤粒子エマルジョンの混合分散媒に重合剤、重合開始剤、重合助剤を添加して、噴霧乾燥してもよい。また、カルボキシル基のみを有する樹脂粒子エマルジョンおよび離型剤粒子エマルジョンの混合分散媒と、エポキシ基のみを有する樹脂粒子エマルジョンとを混合して、この分散媒に重合剤、重合開始剤、重合助剤を添加して、噴霧乾燥してもよい。このような反応により、樹脂粒子間にネットワークが形成される。
酸価を有する離型剤粒子を用いる場合、樹脂粒子と離型剤粒子の間でもネットワークが形成される。この場合、離型剤粒子の官能基はカルボキシル基であり、これを考慮して、樹脂粒子の官能基およびネットワーク形成方法を決定することができる。例えば、樹脂粒子の官能基をカルボキシル基とし、カルボキシル基を結合させるための架橋剤を添加すればよい。あるいは樹脂粒子の官能基をグリシジル基として、離型剤粒子のカルボキシル基と加熱・脱水反応させてもよい。
以下、具体的なトナーの製造方法について、スチレン−メタクリレート−アクリル酸共重合体樹脂の場合を挙げて概略を説明するが、本発明はこれに限定されることはなく、他の樹脂の製造においても、同様に用いられる。
(v-1)樹脂粒子の調製
トナー用粒子には、予め、着色剤、帯電制御剤などの内添剤が含まれていることが好ましい。従って、樹脂粒子の調製時に着色剤などの内添剤を添加しておくことが好ましい。
(v-1-1)着色剤
本発明に用いられる着色剤に制限はなく、有機顔料、無機顔料、および染料が使用できる。以下に示すような、種々の色を有する顔料などが挙げられる。
本発明に用いられる黒色着色料としては、カーボンブラック、酸化銅、四三酸化鉄、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭などが挙げられる。
本発明に用いられるイエロー着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合物などに代表される化合物が挙げられる。具体的には、例えば、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、168、174、176、180、181、191などが好適に用いられる。
本発明に用いられるマゼンダ着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物などに代表される化合物が挙げられる。具体的には、例えば、C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、166、169、177、184、185、202、206、220、221、254、269などを用いることが特に好ましい。
本発明に用いられるシアン着色剤としては、銅フタロシアニン化合物およびその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物などに代表される化合物が挙げられる。具体的には、例えば、C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62、66などが特に好適である。
これらの着色剤は、単独であるいは複数組合せて用いることができるが、トナー用粒子100質量部に対して、1〜20質量部、好ましくは2〜10質量部使用することが望ましい。20質量部より多いとトナーの定着性および透明性が低下し、一方、1質量部より少ないと所望の画像濃度が得られない虞れがある。
(v-1-2)樹脂粒子の調製−1
界面活性剤、乳化剤などの水溶液に、重合開始剤、着色剤、スチレン、メタクリレート、アクリル酸、および着色剤を含有するモノマー混合物を攪拌下、滴下し、ポリマー粒子を含むエマルジョンを調製する。必要に応じて、このエマルジョンにさらにメタクリレートおよびアクリル酸のモノマー混合物を攪拌下、滴下してもよい。得られる着色エマルジョンA中の樹脂粒子は、カルボキシル基を有している。
(v-1-3)樹脂粒子の調製−2
界面活性剤、乳化剤などの水溶液に、重合開始剤、着色剤、スチレン、メタクリレート、グリシジルメタクリレートおよび着色剤を含有するモノマー混合物を攪拌下、滴下し、ポリマー粒子を含むエマルジョンを調製する。必要に応じて、このエマルジョンにさらにメタクリレートおよびグリシジルメタクリレートのモノマー混合物を攪拌下、滴下してもよい。得られる着色エマルジョンB中の樹脂粒子は、エポキシ基を有している。
(v-2)離型剤粒子の調製
離型剤をエマルジョン化する方法としては、(好ましくはカルボキシル基を有する)離型剤を有機溶媒に溶解し、水中に分散する方法、あるいは水中に分散させた後、加熱してエマルジョン化する方法などが挙げられる。市販の離型剤エマルジョンも使用できる。離型剤粒子は、樹脂粒子の大きさ(粒径)に基づいて、上記関係となるような粒径に調製する。
(v-3)ネットワーク形成剤を含有する分散液(エマルジョン)
樹脂粒子の調製−1で得られた着色エマルジョンA(カルボキシル基含有)に、(v-2)の離型剤エマルジョンを、樹脂粒子100質量部あたり離型剤粒子が0.5〜10質量部となるように混合し、ついで、架橋剤(例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル)を添加し、ネットワーク形成剤を含有する分散液が調製される。
あるいは、樹脂粒子の調製−1で得られた着色エマルジョンA(カルボキシル基含有)および樹脂粒子の調製−2で得られた着色エマルジョンB(エポキシ基含有)、および離型剤のエマルジョンを分散媒に投入し、混合する。これらのエマルジョンの分散媒には、重合開始剤として過硫酸カリウムを、重合助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを溶解しておくことにより、ネットワーク形成剤を含有する分散液が調製される。
(v-4)噴霧乾燥
ネットワーク形成剤を含有する分散液は、ついで、噴霧乾燥される。噴霧乾燥方法に、特に制限はないが、スプレードライ方式、ピエゾ式吐出方式を有する噴霧乾燥機、あるいはサーマルジェット吐出方式を有する噴霧乾燥機などの乾燥装置が用いられる。中でも、スプレードライ方式、ピエゾ式吐出方式を有する噴霧乾燥機が好ましく用いられる。
ピエゾ式吐出方式は、分散液を加熱しつつ、ピエゾ素子を用いて電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、定量的に分散液を噴出する方式である。サーマルジェット吐出方式の代表的なものは、バブルジェット(登録商標)吐出方式であり、ノズル内に形成されたヒーターの発熱エネルギーを分散液に作用させて分散液を加熱し、その膨張エネルギーを利用して分散液を噴射する方式である。いずれの方式においても、分散液を定量的に加熱し、加熱により付着粒子を構成する樹脂粒子が溶解して互いに溶融し、ノズルから噴出することにより、均一な粒径のトナー用粒子が回収される。
この噴霧乾燥において、架橋剤中のエポキシ基と樹脂粒子中のカルボキシル基との間で脱水反応が起こり、樹脂粒子間が架橋される。これによって、樹脂粒子間のおよび樹脂粒子と離型剤粒子間にネットワークが形成されたトナー用粒子が得られる。
噴霧乾燥は、離型剤の融点以下の温度で行われる。離型剤の融点以下で噴霧乾燥を行うことで、離型剤粒子は固形のまま残留する。樹脂粒子間にネットワーク構造が形成されていることに加えて、トナー粒子内に空洞が生じることがないので、トナー粒子の耐久性が高められる。なお、樹脂粒子の軟化点よりも高い温度で、かつ離型剤の軟化点より低い温度で噴霧乾燥を行った場合、図1aに示すような粒子12、14が形成されると考えられる。
(v-5)トナーの調製
得られたトナー用粒子には、トナーの帯電性、流動性などを改善する目的で、外添剤が添加される。外添剤としては、負帯電性シリカ微粒子、酸化チタン、金属石鹸、正帯電性シリカ微粒子などが挙げられる。
負帯電性シリカ微粒子としては、一般に、平均粒子径が4〜120nm、好ましくは5〜50nm、さらに好ましくは平均粒子径が6〜40nmの負帯電性シリカ微粒子が用いられる。負帯電性シリカ微粒子は、トナーの流動性および帯電性向上の観点から、疎水化処理されていることが好ましい。疎水性負帯電性シリカ微粒子としては、市販の日本アエロジル(株)製のRX200(平均粒径12nm)、同RX50(平均粒径40nm)、キャボット(株)製のTG811F、同TG810G、同TG308Fなどが用いられる。平均粒子径の異なる負帯電性シリカ微粒子を組合せて用いてもよい。
負帯電性シリカ微粒子の添加量は、一般にトナー用粒子100質量部に対して0.5〜2.0質量部、好ましくは0.7〜1.5質量部である。なお、本明細書で、微粒子について平均粒子径というときは、特に断らない限り、体積平均粒子径を意味する。
酸化チタン微粒子はトナーの電荷調整などのために、必要に応じて用いられる。酸化チタン微粒子の大きさに特に制限はないが、粒径あるいは長軸の大きさが10〜30nmの大きさであることが好ましい。酸化チタン微粒子は、トナー用粒子100質量部に対して0.2〜2.0質量部、好ましくは0.3〜1.5質量部添加される。なお、酸化チタン微粒子と正帯電性シリカ微粒子とは、質量比で1:3〜3:1の範囲で添加されることが、トナーの電気抵抗の極端な低下を引き起こすことなく電荷の調整が行える点で、好ましい。
酸化チタン微粒子の表面が疎水性であることが、トナーの外部環境の変化に対する帯電性の変化を小さくし(すなわち、安定な帯電性を維持し)、かつトナーの流動性を良好にするために、好ましい。疎水性酸化チタン微粒子としては、チタン工業(株)製のSTT−30Sなどが用いられる。
金属石鹸は、トナーの流動性改善、外添剤の結着性の向上、トナー凝集防止などを目的として、必要に応じて添加される。例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。金属石鹸は、体積平均粒子径もしくは長軸の径が0.5〜10μmであることが好ましく、1〜5μmであることがより好ましい。金属石鹸は、トナー用粒子100質量部に対して0.1〜1.0質量部、好ましくは0.1〜0.5質量部添加される。
正帯電性シリカ微粒子は、トナーの電荷調整などのために、必要に応じて用いられる。本発明で用いられる正帯電性シリカ微粒子には、特に制限がない。正帯電性シリカ微粒子の体積平均粒子径は、流動性などを考慮して、10〜50nmであることが好ましく、15〜40nmであることがさらに好ましい。正帯電性シリカ微粒子は、帯電性の維持、流動性の向上などの観点から、疎水化処理されていることが好ましい。疎水性正帯電性シリカ微粒子としては、市販の日本アエロジル(株)製のNA50H、キャボット(株)製のTG820Fなどが用いられる。正帯電性シリカ微粒子は、必要に応じて、トナー用粒子100質量部に対して0.1〜1.0質量部、好ましくは0.2〜0.8質量部添加される。
その他、例えば、帯電性の制御、流動性の向上などを目的として添加する無機微粒子などの、上記以外の当業者が通常用いる外添剤も用いられる。
外添処理は、トナー用粒子に上記外添剤を所定量添加し、例えば、ヘンシェルミキサーを用いて、攪拌・混合処理を行うことにより、行われる。
本発明のトナーは、どのようなタイプの画像形成装置にも用いられる。1成分系のトナーを用いる画像形成装置でもよく、2成分系のトナーを用いる画像形成装置でもよい。また、接触現像方式の画像形成装置であってもよく、非接触式方式の画像形成装置であってもよい。本発明のトナーを用いることができる一成分系の接触式画像形成装置は、例えば、特開2002−202622号公報に詳細に説明されている。本発明の画像形成装置は、感光体で代表される静電潜像が形成される潜像担持体;この潜像担持体上の静電潜像を現像するためにトナーを潜像担持体に搬送する、現像ロールで代表されるトナー担持体;およびこのトナー担持体により潜像担持体へ搬送されるトナー量を規制するトナー規制部材を有する現像器を少なくとも備えている。本発明のトナーはトナー収容部に収容されており、トナー収容部から現像ロール(トナー担持体)に搬送され、現像ロール(トナー担持体)を介して感光体(潜像担持体)に供給され、転写されて画像を形成する。トナー規制部材は、現像ロール(トナー担持体)から感光体(潜像担持体)に過剰な供給がされないように、トナー供給量を調整する。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこの実施例に制限されることはない。
なお、樹脂粒子エマルジョンの粒子径は、日機装社製マイクロトラックUPA150を用いて測定した。ワックスエマルジョンの平均粒径は、レーザ回折/散乱粒度分布測定装置LA−700(堀場製作所)を用いて測定した。トナー用粒子およびトナーの粒子径は、マルチサイザーIII(コールター社製)で測定した。水分量はカールフィッシャー法(平沼産業製)で測定した。
(実施例1)
(1-1)着色エマルジョン1の調製
反応容器(容量3リットル;撹拌機、還流コンデンサ、滴下装置、および、温度計付き)に、蒸溜水1000質量部、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル(HLB=14)10質量部およびラウリル硫酸ナトリウム10質量部を仕込み、窒素雰囲気中、温度30〜40℃、40〜60rpmで攪拌し、内容物を溶解させ、80℃に昇温した。
内容物の温度を80℃に維持しながら、過硫酸カリウム3質量部を添加し、スチレン260質量部、n-ブチルアクリレート270質量部およびアクリル酸ナトリウム5質量部、C.I.ピグメントブルー15:3 34質量部からなるソフトモノマー混合物を2時間にわたって滴下した後、80℃で1時間保持して重合させ、軟質ポリマー粒子を含むエマルジョンを調製した。
次に、このエマルジョンに、メチルメタクリレート290質量部およびアクリル酸ナトリウム5質量部からなるハードモノマー混合物を2時間にわたって滴下した後、80℃で1時間保持した。その後、常温まで冷却し、中和剤として25%アンモニア水を添加し、pHを8〜9に調整し、着色エマルジョン1を得た。なお、ソフトモノマー混合物とハードモノマー混合物との割合は64:36(質量%)であった。着色エマルジョン1の固形分濃度は46質量%、平均粒子径150nmであった。
(1-2)ワックスエマルジョン1の調製
カルナウバワックス(融点82℃、酸価15)100質量部、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンSC)10質量部、およびイオン交換水1000質量部を、ホモジナイザーを用いて、100℃の加熱した状態で混合し、その後冷却することにより、ワックスエマルジョン1を得た。ワックスエマルジョン1の平均粒度は約200nmであった。
(1-3)トナー用粒子の調製
上記調製した着色エマルジョン1を100質量部とり、これに、ワックスエマルジョン1を3質量部、およびエチレングリコールグリシジルエーテル8質量部を添加し、70℃で噴霧乾燥し、イオン交換水洗浄を2回実施し、真空乾燥し、トナー用粒子1を得た。
トナー用粒子1への外添剤の付与は、20L型のヘンシェルミキサーを用いて行った。外添剤としては、トナー用粒子1の100質量部に対し、負帯電性小粒径シリカRX200(日本アエロジル社製 平均粒径12nm)を1質量部、負帯電性大粒径シリカRX50(日本アエロジル社製 平均粒径40nm)を0.5質量部、および酸化チタンSTT−30S(平均粒径20nm)を0.5質量部用いた。なお、負帯電性シリカ(負帯電性小粒径シリカ、負帯電性大粒径シリカ)として、ヘキサメチルジシラザンで表面処理(疎水化処理)を施したものを用いた。これにより、トナー1を得た。得られたトナー1の粒子径は、D50が5.5μm、水分量は0.2%であった。
(実施例2)
実施例1のカルナウバワックスの代わりにパラフィンワックス(融点:85℃、酸価なし)を用いたこと以外は実施例1と同様に処理して、ワックスエマルジョン2、トナー用粒子2およびトナー2を順次調製した。ワックスエマルジョン2の平均粒径は約250nmであった。また、トナー2の粒子径は、D50が6.0μm、水分量は0.3%であった。
(実施例3)
ネオゲンSCを20質量部用いた以外は実施例1と同様にして、ワックスエマルジョン3、トナー用粒子3およびトナー3を順次調製した。ワックスエマルジョン3の平均粒径は約50nmであった。また、トナー3の粒子径は、D50が4.8μm、水分量は0.4%であった。
(実施例4)
ネオゲンSCを2質量部用いたこと以外は実施例1と同様にして、ワックスエマルジョン4、トナー用粒子4およびトナー4を順次調製した。ワックスエマルジョン4の平均粒径は約400nmであった。また、トナー4の粒子径は、D50が6.5μm、水分量は0.4%であった。
(実施例5)
実施例1において、ワックスエマルジョン1を10質量部用いたこと以外は実施例1と同様にして、トナー用粒子5およびトナー5を順次調製した。トナー5の粒子径は、D50が6.0μm、水分量は0.4%であった。
(比較例1)
実施例1において、噴霧乾燥温度を120℃としたこと以外は実施例1と同様にして、トナー用粒子6およびトナー6を順次調製した。トナー6の粒子径は、D50が6.0μm、水分量は0.4%であった。
(トナーの評価)
得られたトナーについて、フィルミング性、定着性及び粒子強度を評価した。
(フィルミング性)
フィルミング性は、一成分現像方式を採用する市販のレーザープリンタ(IBM4019)の現像ユニットにトナーをセットし、感光体上に現像されないように調整した状態で1時間攪拌した。現像スリーブ上のトナーのフィルミング状態を目視観察することにより行った。フィルミングの発生状況により、以下のように評価した。
○:フィルミングの発生なし。
△:フィルミングの発生はあるが、実用上問題がない程度である。
×:フィルミングが顕著に発生し、実用上問題がある。
(定着性試験)
コニカ株式会社製 カラーレーザープリンタKL−2010を改造して使用し、画像の定着を行った。定着器(定着ユニット)は加熱ローラおよび加圧ローラからなる熱ローラ定着器である。ただし、この定着器(定着ユニット)は取り外し、外部駆動装置により独立して駆動可能とし、定着ニップ通過時間を調整できるように改造した。また、紙上のトナー画像に接する側のローラ(定着ローラ)の温度は100℃から250℃まで制御できるように改造した。この定着器を用いて、定着性評価用画像を、加熱ローラ側が未定着トナー付着面となるように通過させ、ニップ通過時間50msecの条件にて定着した。なお、定着性評価用画像は、セイコーエプソン(株)製カラーレーザープリンタLP−3000Cを使用し、以下のように調製した。まず、富士ゼロックスオフィスサプライ社製J紙を評価用紙とし、紙上に上記調製したトナーを均一に付着させたいわゆるベタ画像を形成し、そのベタ画像におけるトナー付着量が0.4mg/cm となるように画像形成条件を調整し、次に、紙先端から10mmの位置に20mm四方の領域にべた画像を形成し、この画像を定着性評価用画像とした。
定着ローラの表面温度を段階的に変化させながら、未定着の画像サンプルを通紙し、画像(の一部)が通紙時に定着ローラに転移した後、再度紙に移行しているか否かを目視で判定した。各温度におけるオフセットの有無を調べ、オフセットが生じる温度をオフセット温度として、以下のように評価した。
◎:230℃以上でもオフセットが発生しない。
○:210℃以上230℃未満でオフセットが発生する。
△:190℃以上210℃未満でオフセットが発生する。
×:190℃未満でオフセットが発生する。
(粒子強度試験)
トナー粒子の強度は、以下のように測定した。一成分現像方式を採用した市販のレーザープリンタ(IBM4019)の現像ユニットにトナーをセットし、感光体上に現像されないように調整した状態で1時間攪拌した。トナーを取り出し、フロー式粒子像解析装置(東亜医用電子社製、FPIA−2000)を用いてトナーの粒度分布を測定した。その際、以下の式より表される値を粒子強度指数とした。
Figure 2005301061
この粒子強度指数は、1μm以下の微粉の発生程度を示し、数値が小さい程、強度が高いことを示す。以下の基準で粒子強度を評価した。結果を表1に示す。
○:粒子強度指数が5未満(トナーの解砕はない)
△:粒子強度指数が5以上〜10未満(一部のトナーに解砕あるが、実用上は問題ない)
×:粒子強度指数が10以上(トナーの解砕が多い)
結果を表1に示す。なお、それぞれの評価方法および表1に示す記号は上記の通りである。
Figure 2005301061
実施例1、3〜5は、離型剤粒子が溶解せず、樹脂粒子間および離型剤粒子と樹脂粒子間でネットワークが形成されている。そのため、粒子の強度が高いことがわかる。実施例2は、離型剤粒子がネットワーク構造を有していないため、若干、粒子強度が低下したものと考えられるが、実用上問題がなかった。比較例1は、離型剤粒子が溶解して樹脂粒子と溶融しているため、フィルミングが発生したものと思われる。また、実施例3は、離型剤粒子と樹脂粒子との粒径比が好適な範囲の下限に近かったため、他のトナーに比べて、若干定着性の評価が劣るが、実用上問題がないレベルであった。実施例4は、離型剤粒子の粒径が大きいため、実用上問題がない程度に、フィルミングに影響を与えたものと思われる。
以上の結果から、本発明のトナーは、各樹脂粒子が樹脂粒子の表面同士で結合した、球形度の高いトナーであり、さらに、樹脂粒子間に離型剤粒子が保持されているか、離型剤粒子も樹脂粒子と結合されているので、従来の単なる凝集粒子と比べてフィルミングの発生が少なく、耐久性、定着性に優れており、製造方法も簡単であることがわかる。
本発明のトナーは、製造が容易であり、フィルミング性も良好で、耐久性および定着性にも優れているため、静電写真用のトナーとして汎用される。
本発明のトナー用粒子の構造を示す模式図である。
符号の説明
1 トナー用粒子
11 樹脂粒子
12、13、14 集合体
15 離型剤粒子
16 ネットワーク
17 境界面

Claims (5)

  1. 官能基を有する樹脂粒子および離型剤粒子の分散液を調製する工程;
    該官能基と反応し、樹脂粒子間でネットワークを形成し得るネットワーク形成剤を該分散液に配合する工程;および、
    該分散液を、離型剤粒子を構成する離型剤の融点よりも低い温度で噴霧乾燥する工程;を含む、トナーの製造方法。
  2. 前記離型剤粒子が酸価を有する離型剤で構成されている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記樹脂粒子と離型剤粒子とが架橋してネットワークを形成している、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記樹脂粒子の粒径Aと離型剤粒子の粒径Bとが、0.5≦B/A≦2の関係を満たす、請求項1から3のいずれかの項に記載の方法。
  5. 前記離型剤粒子が、樹脂粒子100質量部に対して、0.5〜5質量部添加される、請求項1から4のいずれかの項に記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7781139B2 (en) 2005-12-02 2010-08-24 Sharp Kabushiki Kaisha Toner manufacturing method
JP2015506493A (ja) * 2011-12-29 2015-03-02 レックスマーク・インターナショナル・インコーポレーテツドLexmark International,Inc ホウ砂カップリング剤を含むトナーの製造方法

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