JP2005298687A - ポリエステル樹脂用可塑剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリエステル樹脂に柔軟性を付与することができ、耐揮発性及び耐フォギング性に優れ、加工時の可塑剤の発煙を抑制することができるポリエステル樹脂用可塑剤、並びに柔軟性、耐ブリード性、耐揮発性及び耐フォギング性に優れたポリエステル樹脂組成物の提供。
【解決手段】 3価以上の脂肪族多価カルボン酸、3価以上の芳香族多価カルボン酸、縮合多環式芳香族カルボン酸、及び脂環族カルボン酸、又はそれらの無水物あるいはそれらの炭素数1〜3の低級アルキルエステルと、1価又は2価のアルコールのアルキレンオキサイド付加物とのエステルを含有するポリエステル樹脂用可塑剤、及びポリエステル樹脂とこの可塑剤とを含有するポリエステル樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂用可塑剤、並びに柔軟性、耐ブリード性、耐揮発性及び耐フォギング性に優れたポリエステル樹脂組成物に関する。
ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン等の石油を原料とする汎用樹脂は、軽量であることや、良好な加工性、物性及び耐久性等の性質から、日用雑貨、家電製品、自動車部品、建築材料あるいは食品包装等の様々な分野に使用されている。しかしながらこれらの樹脂製品は、役目を終えて廃棄する段階で良好な耐久性が欠点となり、自然界における分解性に劣るため、生態系に影響を及ぼす可能性がある。
このような問題を解決するために、熱可塑性樹脂で生分解性を有するポリマーとして、ポリ乳酸や、乳酸と他の脂肪族ヒドロキシカルボン酸とのコポリマー、脂肪族多価アルコールと脂肪族多価カルボン酸から誘導される脂肪族ポリエステル及びそれらのユニットを含むコポリマー等の生分解性ポリエステル樹脂が開発されている。
これらの生分解性を有するポリエステル樹脂は、土壌、海水中、あるいは動物の体内等に置かれた場合、自然に生息する微生物の産出する酵素の働きによって、数週間で分解が始まり、約1年から数年の間に消滅する。さらに分解物は、人体に無害な乳酸、二酸化炭素、水等になる。脂肪族ポリエステルの中でもポリ乳酸樹脂は、トウモロコシ、芋等からとれる糖分から、発酵法によりL−乳酸が大量に作られ安価になってきたこと、原料が自然農作物なので総二酸化炭素排出量が極めて少ないこと、また得られたポリマーの性能として剛性が強く透明性が良い等の特徴があるので、現在その利用が期待され、フラットヤーン、ネット、園芸資材、育苗用ポット等の農業土木資材分野、窓付き封筒、買い物袋、コンポストバッグ、文具、雑貨等に使用されている。しかしながら、ポリ乳酸樹脂の場合は、脆く、硬く、可撓性に欠ける特性のために、いずれも硬質成形品分野に限られ、フィルム等に成形した場合は、柔軟性が不足したり、折り曲げたとき白化等の問題があり、軟質又は半硬質分野に使用されていないのが現状である。
軟質、半硬質分野に応用する技術として可塑剤を添加する方法が種々提案されている。例えばアセチルクエン酸トリブチル等(特許文献1)、ジグリセリンテトラアセテート等(特許文献2)の可塑剤を添加する技術が開示されている。しかし、これらの可塑剤を使用した場合、成形加工時に激しく可塑剤が発煙して作業環境が悪化し、また、揮発・凝集した可塑剤が成形物に付着し、商品価値や歩留まりの低下が起こるため、生産性の低下、コストアップに繋がる問題があった。また、軟質分野の応用例として自動車のインスツルメントパネル、ドアトリムや、シート用レザー等の内装表皮材が考えられるが、自動車の場合、特に夏の炎天下で締め切った車内の温度はかなり高温になる。このような状況下で上記のような可塑剤を使用した内装表皮材は、添加した可塑剤が高温下で揮発・昇華し、フロントガラスや透明プラスチック部品を曇らせるフォギング現象を起こすため、この分野に応用が出来なかった。
特許第3105020号公報 特開2003−138118号公報
本発明の課題は、ポリエステル樹脂に柔軟性を付与することができ、耐揮発性及び耐フォギング性に優れ、加工時の可塑剤の発煙を抑制することができるポリエステル樹脂用可塑剤、並びに柔軟性、耐ブリード性、耐揮発性及び耐フォギング性に優れたポリエステル樹脂組成物を提供することにある。
本発明は、3価以上の脂肪族多価カルボン酸、3価以上の芳香族多価カルボン酸、縮合多環式芳香族カルボン酸、及び脂環族カルボン酸、又はそれらの無水物あるいはそれらの炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種の酸成分と、1価又は2価のアルコールのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種のアルコール成分とのエステル(以下本発明のエステルという)を含有するポリエステル樹脂用可塑剤、及びポリエステル樹脂と、この可塑剤とを含有するポリエステル樹脂組成物を提供する。
本発明の可塑剤は、ポリエステル樹脂に柔軟性を付与することができ、優れた耐揮発性及び耐フォギング性を付与することができ、加工時の可塑剤の発煙を抑制することができる。また、本発明のポリエステル樹脂組成物は、柔軟性、耐ブリード性、耐揮発性及び耐フォギング性に優れている。
[可塑剤]
本発明のエステルを構成する酸成分は、3価以上の脂肪族多価カルボン酸、3価以上の芳香族多価カルボン酸、縮合多環式芳香族カルボン酸、及び脂環族カルボン酸、又はそれらの無水物あるいはそれらの炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種である。尚、本発明でいう酸成分とは、酸無水物や酸の低級アルキルエステルを含むものとする。
3価以上の脂肪族多価カルボン酸としては、本発明の効果を発現する観点から、3〜6価の脂肪族多価カルボン酸が好ましく、3価又は4価の脂肪族多価カルボン酸がより好ましい。3価以上の脂肪族多価カルボン酸の炭素数は、本発明の効果を発現する観点から、6〜20が好ましく、8〜12がより好ましい。また、これらの脂肪族多価カルボン酸は、樹脂との相溶性、透明性及び耐ブリード性の観点から、カルボキシル基以外の置換基、例えば水酸基、アシル基等を持たないものが好ましい。これらの脂肪族多価カルボン酸の具体例としては、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸等が挙げられる。
3価以上の芳香族多価カルボン酸としては、3価又は4価の芳香族多価カルボン酸が好ましい。具体的には、トリメリット酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
縮合多環式芳香族カルボン酸としては、1分子中に1〜4個のカルボキシル基を有する縮合多環式芳香族カルボン酸、特にナフタレン環を有する縮合多環式芳香族カルボン酸が好ましい。具体的には、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸等が挙げられる。
脂環族カルボン酸としては、1分子中に1〜4個のカルボキシル基を有する脂環族カルボン酸、特に炭素数5〜7のシクロアルカン環を有する脂環族カルボン酸が好ましい。具体的には、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸等が挙げられる。
これら酸成分の中では、3価以上の脂肪族多価カルボン酸、3価以上の芳香族多価カルボン酸、又はそれらの無水物あるいはそれらの炭素数1〜3の低級アルキルエステルが好ましい。
本発明のエステルを構成するアルコール成分は、1価又は2価のアルコールのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種である。1価又は2価のアルコールとしては、炭素数1〜18のアルコールが好ましく、炭素数1〜12、特に炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖脂肪族1価アルコールが更に好ましい。アルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドが好ましく、エチレンオキサイドが更に好ましい。また、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、0.2〜20が好ましく、0.5〜10が更に好ましい。
本発明のエステルは、酸成分のカルボキシル基の全てがアルコール成分によりエステル化された飽和エステル、あるいはカルボキシル基の一部がエステル化された部分エステルのいずれでも良いが、耐ブリード性及び耐熱性の観点から、飽和エステルが好ましい。
本発明のエステルの数平均分子量は、耐ブリード性及び耐揮発性の観点から、450以上が好ましく、500〜1500が更に好ましい。
尚、本発明のエステルの数平均分子量は、以下の方法により測定した値である。
<数平均分子量の測定法>
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、下記条件で測定する。
カラム:TSK PWXL+G4000PWXL+G2500PWXL(いずれも東ソー(株)製)
カラム温度:40℃
検出器:RI又はUV(210nm)
溶離液:0.2mol/L リン酸緩衝液/アセトニトリル(9/1)
流速:1.0mL/min
注入量:0.1mL
標準:ポリエチレングリコール
本発明のエステルは、上記のような酸成分と、アルコール成分とのエステル化反応又はエステル交換反応によって得ることができ、その製造法は特に限定されない。
本発明の可塑剤は、本発明のエステル以外に、本発明のエステルの製造における未反応分や、本発明のエステル以外のエステルや可塑剤等を含有することができる。
本発明のエステル以外のエステルとしては、ジプロピレングリコールジベンゾエート、エチレングリコールジベンゾエート、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ポリオキシエチレンメチルエーテルアジピン酸ジエステル等が挙げられる。本発明のエステル以外の可塑剤としては、アセチル化モノグリセライド、アセチル化トリブチルサイトレート等が挙げられる。
本発明の可塑剤中の、本発明のエステルの含有量は、本発明の目的を達成する観点から、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは70重量%以上であり、さらに好ましくは90重量%以上である。
[ポリエステル樹脂]
本発明に係わるポリエステル樹脂としては、特に限定されないが、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、ジオール又はそのエステル形成性誘導体との縮合反応により得られるポリエステル、ヒドロキシカルボン酸の縮合反応により得られるポリエステル、これらのポリエステルの混合物、及び混合物のエステル交換反応物等が好適である。
ポリエステル樹脂の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリアルキレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリアルキレンナフタレートを含むポリアルキレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル樹脂;アジピン酸と1,4−ブタンジオールとのポリエステル等の脂肪族ポリエステル樹脂;ジオール成分の一部をポリエチレングリコール等のアルキレングリコールに置換したポリエーテルエステル樹脂;ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2−オキセタノン)等の生分解性脂肪族ポリエステル;ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート等の生分解性脂肪族芳香族コポリエステルが挙げられる。これらは単独でも複数種を併用することもできる。これらの中では、生態系への影響や、本発明の効果を発現する観点から、生分解性樹脂が好ましい。
本発明で使用される生分解性樹脂とは、JIS K6953(ISO14855)「制御された好気的コンポスト条件の好気的かつ究極的な生分解度及び崩壊度試験」に基づいた生分解性を有するポリエステル樹脂である。
本発明で使用される生分解性樹脂は、自然界において微生物が関与して低分子化合物に分解される生分解性を有していればよく、特に限定されるものではない。例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート/アジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリ乳酸樹脂、ポリリンゴ酸、ポリグリコール酸、ポリジオキサノン、ポリ(2−オキセタノン)等の脂肪族ポリエステル;ポリブチレンサクシネート/テレフタレート、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリテトラメチレンアジペート/テレフタレート等の脂肪族芳香族コポリエステル;デンプン、セルロース、キチン、キトサン、グルテン、ゼラチン、ゼイン、大豆タンパク、コラーゲン、ケラチン等の天然高分子と上記の脂肪族ポリエステルあるいは脂肪族芳香族コポリエステルとの混合物等が挙げられる。
これらのなかで加工性、経済性、大量に入手できることなどから、脂肪族ポリエステルが好ましく、物性の点からポリ乳酸樹脂がさらに好ましい。ここで、ポリ乳酸樹脂とは、ポリ乳酸、又は乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーである。ヒドロキシカルボン酸として、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘプタン酸等が挙げられ、グリコール酸、ヒドロキシカプロン酸が好ましい。好ましいポリ乳酸の分子構造は、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位20〜100モル%とそれぞれの対掌体の乳酸単位0〜20モル%からなるものである。また、乳酸とヒドロキシカルボン酸とのコポリマーは、L−乳酸又はD−乳酸いずれかの単位85〜100モル%とヒドロキシカルボン酸単位0〜15モル%からなるものである。これらのポリ乳酸樹脂は、L−乳酸、D−乳酸及びヒドロキシカルボン酸の中から必要とする構造のものを選んで原料とし、脱水重縮合することにより得ることができる。好ましくは、乳酸の環状二量体であるラクチド、グリコール酸の環状二量体であるグリコリド及びカプロラクトン等から必要とする構造のものを選んで開環重合することにより得ることができる。ラクチドにはL−乳酸の環状二量体であるL−ラクチド、D−乳酸の環状二量体であるD−ラクチド、D−乳酸とL−乳酸とが環状二量化したメソ−ラクチド及びD−ラクチドとL−ラクチドとのラセミ混合物であるDL−ラクチドがある。本発明ではいずれのラクチドも用いることができる。但し、主原料は、D−ラクチド又はL−ラクチドが好ましい。
市販されている生分解性樹脂としては、例えば、デュポン社製、商品名バイオマックス;BASF社製、商品名Ecoflex;EastmanChemicals社製、商品名EasterBio;昭和高分子(株)製、商品名ビオノーレ;日本合成化学工業(株)製、商品名マタービー;三井化学(株)製、商品名レイシア;日本触媒(株)製、商品名ルナーレ;チッソ(株)製、商品名ノボン;カーギル・ダウ・ポリマーズ社製、商品名Nature Works等が挙げられる。
これらの中では、好ましくはポリ乳酸樹脂(例えば三井化学(株)製、商品名レイシアH−100,H−280,H−400,H−440;カーギル・ダウ・ポリマーズ社製、商品名Nature Works)、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステル(例えば昭和高分子(株)製、商品名ビオノーレ)、ポリ(ブチレンサクシネート/テレフタレート)等の脂肪族芳香族コポリエステル(デュポン社製、商品名バイオマックス)が挙げられる。
耐熱性の観点では、L−乳酸純度が高い結晶性生分解性樹脂が好ましく、延伸により配向結晶化させることが好ましい。結晶性生分解性樹脂としては、三井化学(株)製、レイシアH−100、H−400、H−440等が挙げられる。
[ポリエステル樹脂組成物]
本発明のポリエステル樹脂組成物は、本発明の可塑剤とポリエステル樹脂とを含有する。本発明の可塑剤の含有量は、ポリエステル樹脂100重量部に対し、柔軟性、耐ブリード性、耐揮発性、耐フォギング性及び経済性の観点から、好ましくは1〜70重量部、更に好ましくは3〜50重量部、特に好ましくは5〜30重量部である。
本発明のポリエステル樹脂組成物中の、ポリエステル樹脂の含有量は、本発明の目的を達成する観点から、好ましくは50重量%以上であり、より好ましくは70重量%以上である。
本発明の組成物は、上記可塑剤以外に、滑剤等の他の成分を含有することができる。滑剤としては、例えば、ポリエチレンワックス等の炭化水素系ワックス類、ステアリン酸等の脂肪酸類、グリセロールエステル等の脂肪酸エステル類、ステアリン酸カルシウム等の金属石鹸類、モンタン酸ワックス等のエステルワックス類、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の芳香環を有するアニオン型界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等のアルキレンオキサイド付加部分を有するアニオン型界面活性剤等が挙げられる。これら滑剤の含有量は、ポリエステル樹脂100重量部に対し、0.05〜3重量部が好ましく、0.1〜2重量部が更に好ましい。
本発明の組成物は、上記以外の他の成分として、帯電防止剤、防曇剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、無機充填剤、防カビ剤、抗菌剤、発泡剤、難燃剤、上記本発明の可塑剤以外の可塑剤等を、本発明の目的達成を妨げない範囲で含有することができる。
本発明の組成物は、加工性が良好で、例えば160〜190℃等の低温で加工することができるため、カレンダー加工も可能であり、また可塑剤の分解も起こりにくい。本発明の組成物は、フィルムやシートに成形して、各種用途に用いることができる。
本発明は、3価以上の脂肪族多価カルボン酸、3価以上の芳香族多価カルボン酸、縮合多環式芳香族カルボン酸、及び脂環族カルボン酸、又はそれらの無水物あるいはそれらの炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種の酸成分と、1価又は2価のアルコールのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種のアルコール成分とのエステルを含有する可塑剤を使用することに特徴があり、この可塑剤を用いることにより、ポリエステル樹脂に柔軟性を付与し、優れた耐揮発性及び耐フォギング性を付与することができ、加工時の可塑剤の発煙を抑制することができる。本発明の効果が発現する理由は定かではないが、本発明の可塑剤がアルキレンオキサイド鎖を導入した構造である等によって、樹脂との相溶性及び可塑化効率が優れる結果に基づいて、樹脂を構成するポリマー分子間の相互作用を効率よく低減してポリマー分子鎖の運動(ミクロブラウン運動)が容易になるために本発明の効果が発現するものと考えられる。
合成例1
1,3,6−ヘキサントリカルボン酸(旭化成(株)製TCX−21)1モルに対し、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(日本乳化剤(株)製BDG)3.3モルと、酸化ジブチルスズを仕込みに対し0.1重量%添加し、200℃でエステル化反応を行った。酸価1以下で反応終了後、生成物を減圧下で水蒸気蒸留を行い、含有する未反応物を留去して、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸POE(2)ブチルエーテルトリエステルを得た。
合成例2
ジエチレングリコールモノブチルエーテルの代わりにジエチレングリコールモノヘキシルエーテルを3.3モル用いる以外は合成例1と同様にして、1,3,6−ヘキサントリカルボン酸POE(2)ヘキシルエーテルトリエステルを得た。
合成例3
無水トリメリット酸(和光純薬工業(株)製 試薬)1モルに対し、ポリエチレングリコール(EO=4.5)モノメチルエーテル(日本乳化剤(株)製MPG)3.3モルと、酸化ジブチルスズを仕込みに対し0.1重量%添加し、220℃でエステル化反応を行った。酸価1以下で反応終了後、生成物を減圧下で水蒸気蒸留を行い、含有する未反応物を留去して、トリメリット酸POE(4.5)メチルエーテルトリエステルを得た。
実施例1〜3及び比較例1〜3
ポリエステル樹脂として、ポリ乳酸樹脂(三井化学(株)製、レイシア(LACEA) H−280)100重量部、表1に示す種類と量の可塑剤からなる組成物を、130℃の4インチロールにて15分間混練し、160℃のプレス成形機にて厚さ0.5mmのテストピースを作成した。
得られたテストピースについて下記の方法で柔軟性、透明性、表面状態、耐揮発性及び耐フォギング性を評価した。また、このテストピースを手で108°折り曲げ、白化の有無を肉眼で観察した。これらの結果を表1に示す。
<柔軟性の評価法>
テストピースを3号ダンベルで打ち抜き、温度23℃、湿度50%RHの恒温室に24時間放置し、引張速度200mm/minで引張試験を行い、100%モジュラスで示した。
<透明性の評価法>
JIS−K7105規定の積分球式光線透過率測定装置(ヘイズメーター)を用い、テストピースのヘイズ値を測定した。数字の小さい方が透明性良好であることを示す。
<表面状態(ブリードの有無)>
テストピース(縦100mm×横100mm厚さ0.5mm)を40℃の恒温室に1週間放置し、その表面における可塑剤のブリードの有無を肉眼で観察した。
<耐揮発性(加熱残存量)の評価法>
アルミニウムパンに可塑剤を15mg秤量し、セイコー電子工業(株)製SSC−5000熱分析ユニットを用いて、窒素流量200ml/minの条件下、30℃から300℃を5℃/minで昇温を行い、250℃における加熱残存量で評価した。この値が大きいほど耐揮発性が良好である。
<耐フォギング性の評価法>
ISO−6452準拠のガラス曇り(フォギング)試験装置に50mm×100mm×0.5mmの板状試験片をセットし、加熱温度90℃、加熱時間20時間で処理した。得られた試験片をJIS−K7105規定の積分球式光線透過率測定装置(ヘイズメーター)を用い、ヘイズ値を測定した。この値が小さいほど耐フォギング性が良好である。
Figure 2005298687

Claims (5)

  1. 3価以上の脂肪族多価カルボン酸、3価以上の芳香族多価カルボン酸、縮合多環式芳香族カルボン酸、及び脂環族カルボン酸、又はそれらの無水物あるいはそれらの炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種の酸成分と、1価又は2価のアルコールのアルキレンオキサイド付加物から選ばれる少なくとも1種のアルコール成分とのエステル(以下本発明のエステルという)を含有するポリエステル樹脂用可塑剤。
  2. 酸成分が、3価以上の脂肪族多価カルボン酸、3価以上の芳香族多価カルボン酸、又はそれらの無水物あるいはそれらの炭素数1〜3の低級アルキルエステルから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のポリエステル樹脂用可塑剤。
  3. アルコール成分が、炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖脂肪族1価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイドの平均付加モル数0.5〜10)である請求項1又は2記載のポリエステル樹脂用可塑剤。
  4. ポリエステル樹脂が生分解性樹脂である請求項1〜3いずれかに記載の可塑剤。
  5. ポリエステル樹脂と、請求項1〜4いずれかに記載の可塑剤とを含有するポリエステル樹脂組成物。
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