JP2005298312A - ガラスの微細加工方法および微細加工ガラス - Google Patents

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和樹 森田
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Abstract


【課題】加工面に割れや欠けを生じることなく、かつ効率良くガラスに微細加工を施すためのガラスの機械的加工方法および該方法により形成された微細加工ガラスを提供する。
【解決手段】イオン交換処理などによって、ガラスの少なくとも一部分の組成を、他の部分の組成とは異なる組成に変化させた後、前記異なる組成部分に、切削、研削、および研磨のいずれか、またはこれらを組合せた機械的な手段により微細構造を形成することを特徴とするガラスの微細加工方法、および、前記方法により微細加工されたガラスであって、微細加工された表面が、割れや欠けが生じていない鏡面状表面である微細加工ガラス。
【選択図】 図1

Description

本発明は、ガラスの微細加工方法および微細加工ガラスに関する。
ガラスは化学的に安定で、熱膨張率が小さく、物理的または化学的に優れた特性を持つため、化学反応チップ、光学部品、電子部品の材料として好適に用いられる。しかし一方で、ガラスは脆性材料であるため、研削や切削といった機械的な除去加工によって、割れや欠けのない鏡面加工を行うことは難しい。ガラスの鏡面加工を行うためには、加工速度を落とす必要があり、また高度な加工技術が要求されるため、効率的に機械的な鏡面加工を行うことは困難である。特にミクロンレベルの微細な形状の加工を行う場合には、加工効率の低下が顕著となる。そのため、ガラスの鏡面加工を容易に、効率良く行う機械的微細加工方法の開発が求められていた。
ガラスを所定の形状に加工成形する方法としては、エッチングで化学的に加工する方法、ガラスを加熱してプレス成形する方法、そして研削や切削といった機械加工により成形する方法などがある。しかし、エッチング加工では、3次元形状にガラスを成形することが困難である。また、プレス成形の場合は、ガラスが軟化する高温度にて成形を行う必要があること、研磨による仕上げ加工が必要な場合が多いこと、プレス成形のための型を用意する必要があることなどの理由から、複雑な形状の微細加工方法として利用するためには問題が多く、加工コストも高くなる。
このため、ガラスの加工方法、特に微細加工方法では、3次元形状の成形や複雑な形状の加工が容易で、かつ加工コストの低い機械加工が好ましく用いられる。ガラスの機械加工方法として、例えば、特許文献1に記載されるようにエンドミルを用いる加工方法が提案されている。特許文献2には、加工時に静水圧を加えることにより被加工材料に加わる応力を制御し、加工単位(一度に加工可能な量)を増加させる加工方法が提案されている。また、特許文献3には、脆性材料であるセラミックの加工方法として、セラミックを化学的に腐食させて加工性を改善させた後に、加工を行う方法が提案されている。
特開平9−155617号公報 特開2000−153516号公報 特開2000−109385号公報
上述したようにガラスは脆性材料であるため、機械加工により容易に割れや欠けが生じてしまい、鏡面加工を行うことが困難である。ここで言う鏡面加工とは、加工後の加工面にミクロンオーダー以上の割れや欠けが生じていない加工のことをいう。
特に化学反応チップ、光学部品、電子部品などにおいては、割れや欠けの発生により部品の性能が大幅に低下する可能性があるため、割れや欠けを生じない加工を行うことが重要である。従来は、鏡面加工を行うために、加工単位を小さくして、亀裂の伝播が起こらないようにしていたため、微細加工において十分な加工効率を得ることができなかった。例えば、従来の方法では、切削加工により微細加工の鏡面加工を行う場合には、切込みの深さを1μm程度に抑えなければならなかった。
深い切込みを得るために、小さい切込み深さでの加工を数回行って、深い切込みを得る方法(多段カット)もあるが、単一カットに比べて多段カットのほうが割れや欠けを生じやすいという問題がある。従って、同じ深さの切込みを得ようとした場合、多段カットでは、単一カットの1/10の切込み深さで加工を行わなければならず、加工効率が下がってしまう。
特許文献1に記載のエンドミルを用いた加工方法においては、工具の送り速度を十分に小さく抑える必要があるため、加工効率が十分でないという問題がある。特許文献2に記載の加工時に静水圧を加える方法では、加工部を直接観察することができないため、特に微細加工においては、作業性が悪く、生産性が低下するという問題がある。また、圧力容器、高圧ポンプなどの特別な装置が必要となるため、加工装置が大型化してしまう。特許文献3に記載の方法は、被加工材料と腐食液との反応性によって、加工性が左右される。そのため、被加工材料毎に腐食条件および加工条件を適宜設定しなければならない。また切削加工のような熱の発生が少ない加工方法においては、被加工材料と腐食液の反応速度が小さくなってしまい、加工効率の向上が期待できない。
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、その目的は、ミクロンオーダーの割れや欠けなどが生じることのない鏡面加工を効率的に行うことができる機械的なガラス微細加工方法を提供すること、および前記方法で加工された高品質な微細構造を有する加工ガラスを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ガラスに微細構造を形成する微細加工方法であって、ガラスの少なくとも一部分の組成を、他の部分の組成とは異なる組成に変化させた後、前記異なる組成部分に、機械的な手段により微細構造を形成することを特徴とする。
このような処理を行うことにより、処理部分の熱的な物性や機械的な物性が変化し、被加工特性が変化する。このため、割れや欠けを生じることなく機械加工を行うことができるとともに、切込み量を大きくした加工も可能となり、加工効率が向上する。従って、高品質な微細加工ガラスを得ることができる上、加工時間を短縮することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記組成の変化は、イオン交換処理により行われることを特徴とする。
本発明の方法によれば、イオン交換処理により組成を変化させるので、表面の組成を均一に変化させることが可能である。また、イオン交換処理の時間や温度を制御することにより、組成を変化させる深さを制御することが可能である。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記イオン交換処理は、前記ガラス中の少なくとも一部のアルカリ金属イオンが、前記アルカリ金属イオンよりも大きいイオン半径を有するアルカリ金属イオンで置換されることにより行われることを特徴とする。
ガラス中に含まれるイオンよりもイオン半径の大きいイオンとイオン交換をすることにより、イオン交換部に大きな圧縮応力が生じ、ガラスの機械的特性が大きく変化するため、割れや欠けの発生を抑止する効果をもつ。このため、より高い効率で機械加工を行うことができるとともに、製品自体の強度も向上する。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の発明において、前記機械的な手段が、切削、研削、および研磨のいずれか、またはこれらの組合せであることを特徴とする。
ガラスの微細構造を加工する際に、特に切削または研削によって、複雑な形状を効率よく成形することができる。また、本発明によれば、研磨時間あたりの除去加工量を大きくすることができるため、加工効率をより向上させることができる。
請求項5に記載の発明は、微細加工ガラスであって、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の加工方法により加工されたことを特徴とする。
本発明の微細加工ガラスは、2次元的または3次元的に複雑な微細構造形状を有し、平滑な加工面を有する。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の微細加工ガラスであって、前記微細構造が形成された部分の圧縮応力が、前記微細構造が形成されていない部分の少なくとも一部分の圧縮応力よりも大きいことを特徴とする。
本発明によれば、微細構造が形成された部分の圧縮応力が、微細構造が形成されていない部分の少なくとも一部分の圧縮応力よりも大きいため、加工亀裂の伝播を生じさせずに、加工単位を大きくした微細加工を容易に行うことができる。更に、製品表面が強化された状態となるので、製品自体の強度が向上する。
請求項7に記載の発明は、少なくとも2つ以上の異なる組成部分を有する微細加工ガラスであって、前記ガラスは、機械的な手段により平滑な表面を有する微細構造の形成を容易にせしめる組成と、前記機械的な手段によっては、平滑な表面を有する微細構造を形成することができない組成とから形成され、前記ガラスには微細構造が形成されていることを特徴とする微細加工ガラスである。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の微細加工ガラスであって、イオン交換処理が施された微細加工ガラスであり、イオン交換処理が施された部分にのみ微細加工が施されていることを特徴とする。
本発明によれば、イオン交換処理によって組成が変化した部分にのみ微細加工が施されているため、欠けや割れのない微細加工ガラスとすることができる。
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の微細加工ガラスであって、軟化点が異なる部分を少なくとも2つ以上有する微細加工ガラスであり、相対的に軟化点が低い部分にのみ微細加工が施されていることを特徴とする。
本発明によれば、軟化点が低い部分にのみ微細加工が施されているため、欠けや割れのない微細加工ガラスとすることができる。
請求項10に記載の発明は、反応チップであって、請求項5乃至9のいずれか1項に記載の微細加工ガラスからなることを特徴とする。
本発明によれば、形状精度が良く、安価で、かつ多品種の反応チップを製作することができる。本発明によれば加工により除去される部分に限定してガラスの改質を行うことができるため、加工された反応チップの化学的安定性を損なうことなく、形状精度が良い反応チップを安価に製作することができる。
請求項11に記載の発明は、光学部品であって請求項5乃至9のいずれか1項に記載の微細加工ガラスからなることを特徴とする。
本発明によれば、欠けの少ない平坦な面の加工を効率的に行うことができる。
請求項12に記載の発明は、電子部品であって、請求項5乃至9のいずれか1項に記載の微細加工ガラスからなることを特徴とする。
本発明によれば、加工性の悪いガラスであっても、電子回路などをガラス基板に容易に成形することが可能である。例えば光通信素子などを形成することが可能である。
本発明によれば、加工表面に割れや欠けなどが生じることなく、容易にガラスの機械的な除去加工をすることができるため、従来に比べて高効率で高品質な微細加工を行うことが可能である。本発明の微細加工ガラスは、2次元的または3次元的に複雑な微細構造部を有し、かつ平滑な加工面を有する。
本発明の方法によれば、金型プレス加工やエッチング加工などの従来の方法に比べ、低コストで、かつ、より少ない工程で微細加工ガラスを製造することができる上、より品質の高い加工を行うことができる。また、従来は機械加工に適さないとされるガラスであっても、本発明の方法によれば機械加工を行うことが可能となる。更に、多段カットにおいても一度の切込み深さを大きくする加工が可能となるため、効率良く多段カットを行うことができ、加工の自由度が上がる。
本発明によれば機械加工により反応チップ、光学部品、電子部品を作製するため、多品種への対応が容易であり、かつ低コストで製造することが可能である。
以下、本発明の具体的な実施形態について説明する。
ガラスの加工容易性はガラスの物性によって変化する。どのような物性が加工容易性と相関を有するのかは不明であるが、発明者らは、ガラス軟化点が加工容易性と相関を持つ性質の1つであることを見出し、図1に示すようにガラス軟化点が低下するほど切削深さ(割れや欠けを生じることなく切削できる最大の深さ)が大きくなることを見出した。
ガラスの軟化点はガラスの組成に依存するため、軟化点を低くするためには切削部分の組成を変化させればよい。組成を変化させる方法としては、ガラスの物性(熱物性や機械物性など)を変化させる処理であればいかなる処理を用いてもよく、例えば公知の表面改質方法であるイオン交換、イオン注入、電子線照射などを行うこともできる。
なお、加工容易性と相関を持つ特性は軟化点以外にもあると考えられ、例えば熱膨張係数、弾性係数など、複数のパラメータの組合せによって加工容易性が決定されると考えられる。それらのパラメータを変化させるためには、組成を変化させることが必要であり、ガラスの一部の組成を変化させることによって、鏡面加工が困難なガラスであっても加工を容易にすることが可能となる。
加工前に被加工部分の熱的な物性や機械的な物性を変化させることによって、被加工特性が変化する。このため、割れや欠けを生じることなく機械加工を行うことができるとともに、切込み量を大きくした加工も可能となり、加工効率が向上する。従って、加工時間を短縮できるとともに高品質な微細加工ガラスを得ることができる。
ガラスの物性を変化させる前処理は、ガラス表面全体に行ってもよいし、微細加工を施す部分のみに行ってもよいが、少なくとも微細加工を行う部分には処理を行うことが必要である。例えば、表面のみに微細加工を施す場合や孔構造のようにガラスを貫通するような加工を行う場合など、形成しようとする微細構造によって適宜処理を施す範囲を決定すればよい。前処理は1つの処理を1回行ってもよいし、異なる処理を組合わせて複数回行ってもよい。例えば、イオン交換とイオン注入とを行ってもよいし、イオン交換の条件を変えて複数回処理を行ってもよい。イオン交換の場合は、処理部分と未処理部分の境界部分は、連続的に組成が変化する。
除去加工がなされる部分のみに前処理を行う場合には、組成の変化した部分は全て機械加工により除去されることになる。このため、除去加工後は、組成が変化した部分が残らず、均質な材質の加工物が得られる。このような方法は、一定のガラス特性が要求されるような製品(反応チップ、光学部品、電子部品など)を加工する場合に適用すると好ましい。
割れや欠けなどの脆性破壊は、引張り応力が最大となったところを起点として拡大伝搬するが、切削部などに圧縮応力(例えば静水圧)が加えられている状態では、材料は延性な性質を示す。従って、微細加工を実施する部分の圧縮応力が他の部分に比べて特に大きくなっているガラスにおいては、効率良く機械的な鏡面加工を行うことができる。
従って、微細構造を形成する部分の圧縮応力が、微細構造が形成されていない部分の少なくとも一部分の圧縮応力よりも大きくなるような前処理を行うと、静水圧などの力を外部から加えなくても、加工時に加工亀裂の伝播が生じることなく、加工単位を大きくした微細加工を容易に行うことができるので好ましい。また、製品表面が強化された状態となり、製品自体の強度が向上する。
微細加工を施す部分のガラス組成をイオン交換処理によって変化させる場合は、ガラスを溶融塩中に浸漬させ、ガラス中のイオンと溶融塩中のイオンを交換することによってガラス組成を変化させる。イオン交換処理により組成を変化させると、表面の組成を均一に変化させることが可能である。また、イオン交換処理の時間や温度を制御することにより、組成を変化させる深さを制御することが可能である。また、ガラス表面の一部にチタン膜などでマスクを施してからイオン交換処理を行えば、部分的に組成を変化させることも可能である。イオン交換を行うと、材料自体の物性が変化し、また、除去加工を行う際に被加工材に加わる応力の状態も変化する。そのため、加工亀裂の伝播を生じさせずに加工単位を増大させることができ、イオン交換処理を行った場合、イオン交換処理を行わなかった場合に較べて、加工表面が鏡面状となる総加工量、即ち切削除去体積または研削除去体積は10倍以上となる。イオン交換処理はガラスの処理として広く行われているため、組成を変化させるための方法として、容易に利用することができる。
ガラス基板は例えばアルミノシリケート、ソーダライム、アルミノボロシリケートなど、イオン交換可能なガラスであればいかなるガラスを用いてもよい。イオン交換は、例えばガラス基板中のLiをNaに交換するものであってもよいし、LiまたはNaをNaまたはKに、TlまたはNaをKに、NaまたはKをAgまたはTlに交換するものであってもよい。
ガラスに含まれるイオンよりもイオン半径の大きいイオンとイオン交換をすることにより、イオン交換部に大きな圧縮応力が生じる。この圧縮応力はガラスの機械的特性を大きく変化させ、加工時に脆性破壊が発生することを防ぎ、割れや欠けの発生を抑止する効果をもつ。このため、より切込み深さの大きい加工ができ、より高い効率で機械加工を行うことができるとともに、製品自体の強度も向上する。強度が必要な製品の製造には、ガラスに含まれるイオンよりもイオン半径の大きいイオンとイオン交換をすることが好ましい。
イオン交換処理を行う温度は、使用する溶融塩の融点以上であれば、ガラス基板の組成に合わせて適宜選択することができる。イオン交換処理を行う時間は、微細加工を施す深さに応じて決定すればよい。微細加工を深く施す場合は、より長時間イオン交換処理を行うことが好ましい。
ガラス基板の一部にのみイオン交換処理を施したい場合は、ガラス基板上に例えばチタン膜のマスクを塗布すれば、マスクの開口部のみにイオン交換処理を施すことができる。マスクは高温の溶融塩に対して十分な耐蝕性を持ち、ガラスとの接着性が良いものであればいかなる膜を用いてもよい。例えば、ITO膜(インジウム酸化物とスズ酸化物の混合膜)やスズ酸化物膜、アルミニウム膜、二酸化ケイ素膜などでもよい。前記膜はスパッタリング法、CVD法などで成膜することができる。マスクのパターニングは周知のフォトリソグラフィ技術を用いて所望のパターンの開口部を作ることができる。
前記イオン交換処理を行った後の基板にそのまま微細加工を施してもよいし、適宜洗浄を行って表面の塩およびチタン膜などのマスクを除去してもよい。洗浄は、ガラスに適した方法であればどのような洗浄を行ってもよい。
微細加工とは単位除去加工幅が10μm以下となるような加工をいう。微細加工は、機械的な加工であればどのような加工でもよいが、例えば切削加工、研削加工、研磨加工などを行うことができる。切削または研削加工は複雑な形状を効率よく成形することができる。研磨加工は、切削や研削に比べて容易に鏡面を得ることができる上、本発明の処理を施した場合は、研磨時間あたりの除去加工量を大きくすることができるため、加工効率を大幅に向上させることができる。
切削加工は、旋盤(レース)、ボール盤(ドリリング・マシン)、中ぐり盤(ボーリング・マシン)、フライス盤(ミリング・マシン)、平削り盤(プレーナ)、形削り盤(シェーパ)、立削り盤(スロッタ)、歯切り盤(ギヤ・カッティング・マシン)などを用いて行うことができる。切削具は適宜選択することができるが、特に脆性材料の微細加工に適するのは単結晶ダイヤモンド工具である。
研削加工は、円筒研削盤(シリンドリカル・グラインダ)、平面研削盤(サーフェイス・グラインダ)、内面研削盤(インターナル・グラインダ)、心なし研削盤(センタレス・グラインダ)、工具研削盤(ツール・グラインダ)、歯車研削盤(ギヤ・グラインダ)などを用いて行うことができる。研削具は適宜選択することができるが、特に脆性材料の微細加工に適するのはダイヤモンド工具である。
研磨加工をする場合は、バフ研磨、バレル研磨、ショットブラスト、サンドブラスト、ウォーターブラスト、ガラスビーズブラスト、ショットピーニング、工具研磨、刃物研磨などの研磨を行うことができる。研磨材、研磨パッドなどは、ガラスの種類や加工目的に合わせて適宜選択することができる。
加工方法は所望の加工形状に合わせて適宜選択すればよいが、例えばV字状の溝成形を行う場合は、切削加工が好ましく、基本的には例えば単結晶のダイヤモンドバイトを用いてプレーナによる切削を行えばよい。
底面が平坦で、断面形状が長方形となるような溝の成形を行う場合には、研削加工が好ましい。例えば外周面を平坦に成形した薄刃ブレードを用いて加工を行うことにより、細い幅で断面が長方形型の形をした溝の研削を行うことができる。
平坦面内に、浅くゆるやかな勾配を持つような窪みを成形する場合、具体的には例えばエンボス基板などの製作を行う場合には、研磨加工が好ましい。平面基板表面を例えばイオン交換により改質することにより、研磨による除去速度を大きくすることができる。そのため、所定の部分にイオン交換処理を施した後に平面全面を研磨することにより、目的箇所に窪みを有する基板を容易に成形することができる。研磨による除去加工速度は組成に影響されるため、イオン交換条件を制御することにより窪み深さを制御することができる。
前処理をしたガラス基板に溝加工を行うことによって、反応チップやマイクロチップを作製することができる。マイクロチップとは、ガラス基板上に幅10μm〜数100μm、深さ数μm〜数10μmの微細な流路が形成され、その流路内で混合、反応、分離、検出などを行う反応チップのことをいう。反応チップおよびマイクロチップは化学的に安定である必要があるため、材料としてガラスが好適に用いられる。ガラスは脆性材料であるため、効率的な機械加工が困難であるが、前処理を行うことにより、高品質な流路を効率良く形成することができる。精度の良い検出を行うために、マイクロチップの溝加工においては、加工面に脆性破壊部が生じないことが必要とされるが、前処理を行うことにより、表面粗さ(Ra)が20nm以下の脆性破壊が生じない溝を容易に形成することができる。
また、加工により除去される部分のみに前処理を行うことにより、チップの化学的安定性を損なうことのない反応チップを得ることができる。
以下、実施例によりさらに具体的に説明する。
アルカリイオンとしてナトリウムを含むアルミノボロシリケート系ガラス基板を溶融塩中に浸漬させ、ガラス中のナトリウムイオンと溶融塩中の銀イオンの交換処理を行った。イオン交換処理前に、ガラス基板に所定の開口部を持つようにスパッタリング法によりチタン膜のマスクを2μm成膜し、マスクの開口部のみでイオン交換が行われるように前処理を行った。イオン交換は硝酸銀50質量%と硝酸ナトリウム50質量%の割合で調合し、290℃にて溶融した溶融塩にガラス基板を30分浸漬させることにより行った。イオン交換後、過酸化水素水およびアンモニア水の混合液中に基板を浸漬させ、ガラス基板に付着した塩およびマスクの除去を行った。
前記イオン交換後の基板に対して単結晶のダイヤモンドバイトにてプレーナによる切削加工を行い、V字状の溝成形加工を行った。ここでV字のバイトの先端角度は90°、切削速度を毎秒10mm、切込み幅を8μmとし、切込み深さを0.2μmから6μmまでの範囲で変化させて切削テストを行った。
イオン交換が行われた部分を切削して、割れや欠けが生じていないか顕微鏡を用いて観察したところ、図2(a)に示すように切込み深さが4μm以上となるような切削を行った場合においても、切削部1の周囲や切削面に割れや欠けが生じることなく、鏡面状の加工表面となっていることを確認した。
(比較例1)
実施例1の方法において、マスクされていた部分(イオン交換処理をしていない部分)を切削した以外は、実施例1と同様の方法で、切削テストを行った。欠けや割れの生じない加工が可能な切込み深さは1μm程度であり、1μmを超えた切込み深さで加工を行ったところ、図2(b)に示すように、切削部1の周囲や切削面に割れや欠け部分2が生じた。鏡面加工可能な除去体積は、実施例1の1/10以下であった。
実施例1と同様の組成を有する縦32mm、横64mm、厚さ10mmのガラス基板を用いて、実施例1と同様の方法でイオン交換処理を行った。ただし、本実施例では保護膜によるマスクは行わなかった。次いで、超硬製ボールエンドミルを用いて、ガラス基板表面に幅100〜200μm、深さ50〜100μmのY字状およびU字状の溝を送り速度0.4mm/minで加工したところ、直線部分においても曲線部分においても割れや欠けのない鏡面状の溝を有するマイクロチャネル(流路)が得られた。成形面の粗さを測定したところ、Ra=10nmであった。
本発明に係る方法は、ガラスの微細加工に利用することができる。本発明に係る微細加工ガラスは、光学部品、反応チップ、電子部品などに利用することができる。
本発明は、複雑な流路を有するマイクロチップまたはマイクロ化学チップなどの反応チップの製造に特に適する。本発明は、特に、レンズや導波路といった、鏡面加工が求められる光学部品に好適に用いることができる。本発明によれば、より欠けの少ない平坦な面の加工を効率的に行うことができるため、高品質な光学部品、例えばピックアップレンズ、C−MOSレンズ、導光板、回折型光学デバイス、レンズ、マイクロレンズなどを効率良く製造することが可能である。また、本発明によれば、加工性の悪いガラスであっても、電子回路などをガラス基板に容易に成形することが可能であるため、例えば光通信素子などを成形することが可能である。
軟化点と切込み深さの関係を示したグラフである。 ガラスを切削したときの表面状態を示す顕微鏡写真である。
符号の説明
1 切削部
2 割れおよび欠け部分

Claims (12)

  1. ガラスに微細構造を形成する微細加工方法であって、ガラスの少なくとも一部分の組成を、他の部分の組成とは異なる組成に変化させた後、前記異なる組成部分に、機械的な手段により微細構造を形成することを特徴とするガラスの微細加工方法。
  2. 前記組成の変化は、イオン交換処理により行われることを特徴とする請求項1に記載のガラスの微細加工方法。
  3. 前記イオン交換処理は、前記ガラス中の少なくとも一部のアルカリ金属イオンが、前記アルカリ金属イオンよりも大きいイオン半径を有するアルカリ金属イオンで置換されることにより行われることを特徴とする請求項2に記載のガラスの微細加工方法。
  4. 前記機械的な手段が、切削、研削、および研磨のいずれか、またはこれらの組合せであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のガラスの微細加工方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の加工方法により加工された微細加工ガラス。
  6. 前記微細構造が形成された部分の圧縮応力が、前記微細構造が形成されていない部分の少なくとも一部分の圧縮応力よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の微細加工ガラス。
  7. 少なくとも2つ以上の異なる組成部分を有する微細加工ガラスであって、前記ガラスは、機械的な手段により平滑な表面を有する微細構造の形成を容易にせしめる組成と、前記機械的な手段によっては、平滑な表面を有する微細構造を形成することができない組成とから形成され、前記ガラスには微細構造が形成されていることを特徴とする微細加工ガラス。
  8. イオン交換処理が施された微細加工ガラスであって、イオン交換処理が施された部分にのみ微細加工が施されていることを特徴とする請求項7に記載の微細加工ガラス。
  9. 軟化点が異なる部分を少なくとも2つ以上有する微細加工ガラスであって、相対的に軟化点が低い部分にのみ微細加工が施されていることを特徴とする請求項7に記載の微細加工ガラス。
  10. 請求項5乃至9のいずれか1項に記載の微細加工ガラスからなる反応チップ。
  11. 請求項5乃至9のいずれか1項に記載の微細加工ガラスからなる光学部品。
  12. 請求項5乃至9のいずれか1項に記載の微細加工ガラスからなる電子部品。
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