以下、図面に基づき本発明を代表する実施の形態を説明する。
図1〜図24は、本発明の実施の形態に係る遊技機を示している。
本実施の形態に係る遊技機1は、遊技盤2上に遊技球(以下「球」とも称する。)を発射するゲームで、発射された遊技球が落下する過程で遊技盤2上にある各種役物や入賞口に入賞すると、遊技者に賞球を払い出すなど所定の利益を付与するものである。
先ず、遊技機1全体の概要を説明する。
図1に示すように、遊技機1は、遊技中に発生した特別遊技状態を点灯によって報知する遊技機状態ランプ422と、額縁状に形成され正面のガラスを固定するガラス枠11と、該ガラス枠11の開放を検出するためのガラス枠開放検出スイッチ132と、遊技者によって発射された遊技球が落下しつつ移動し、ゲームを進行させるための各種役物等が取り付けられて着脱自在な遊技盤2を有している。
ガラス枠11の下部表面には、貸球や賞球を貯留する上受け皿3と、該上受け皿3から溢れた球を貯留する下受け皿4と、前記上受け皿3に貯留した球を抜き出すための上受け皿球抜きレバー7と、前記下受け皿4に貯留した球を抜き出すための下受け皿球抜きレバー8と、遊技者が遊技球の発射操作を行うためのハンドル5とが設けられている。また、ハンドル5には、球の発射を停止するための発射停止スイッチ652が設けられている。なお、下受け皿4の傍らには、喫煙者用の灰皿6も設けられている。
図2は、遊技機1の背面図である。遊技機1の背面には各種機能別の制御基板と部品等が配設されている。ここで制御基板として、遊技全体の動作を管理し制御する主基板100と、該主基板100からの指示情報をパラレル通信により受信し賞球の払出動作の制御を行う払出制御基板200が設けられている。また制御基板として、球の発射を制御する発射制御基板600と、該発射制御基板600によって制御される発射モータ653と各基板に所定の電力を供給する電源基板700と、外部機器と接続し枠用外部情報(賞球信号、球切れ信号)を出力するための枠用外部端子板800も設けられている。
さらに、保護カバー93内には、ランプ制御基板400、音声制御基板500等が遊技盤2の背面側に取り付けられるようにして設けられている。それぞれの制御基板は専用のケースに納められ、外部からのゴミや他の設備機器からのこぼれ球、さらには静電気、電気ノイズからも保護されるようにしている。中でも主基板100のケースは、専用のネジを使用し所定の回数だけ開閉できる構造となっている。
次に、遊技球補給装置から受ける球の流路について説明する。
図2において、遊技球補給装置(図示せず)から補給された球は、遊技機上部のタンクユニット90に貯留され、賞球の払出動作が行われる度に、球はシュートユニット91、払出ユニット92を通過し上受け皿3へ送出される。
タンクユニット90は、遊技球補給装置から補給される球を貯留するものであり、該タンクユニット90の底面には、賞球タンク球有無スイッチ801と球ならし94が設けられている。賞球タンク球有無スイッチ801は、タンクユニット90に貯留される球の有無を検出するスイッチであり、貯留する球の重みによってスイッチが入力され、その検出信号は枠用外部端子板800を経由し外部へ出力される。
球ならし94は、シュートユニット91のレーンを流れる球が球圧により隆起しないように球を均すためのものである。タンクユニット90の底面は傾斜しており、シュートユニット91と接合する部分に球が集合し落下する構造になっている。シュートユニット91は、前記タンクユニット90から流下してくる球を2つのレーンに分けて整列させる。球が払出ユニット92に向かう途中では、前記球ならし94によって球圧による隆起が押さえられるが、さらに球ならし95によってより効果的に球を均すようにし、払出ユニット92へ送り込むように設定されている。
また、シュートユニット91の球通路上には、シュート球切れスイッチ131が設けられている。シュート球切れスイッチ131は、払出ユニット92までの球の有無を検出するスイッチであり、その検出信号は主基板100に入力され球の有無が監視される。このシュート球切れスイッチ131は、前記賞球タンク球有無スイッチ801と用途は類似するが、主基板100との接続有無が大きな違いとなる。
払出ユニット92は、前記上受け皿3までの球通路を形成すると共に、球通路上に、球を送り出すための払出モータ222と、球の流れ(落下)を抑制する払出停止ソレノイド223と、賞球を検出するための賞球検出スイッチ130等が設けられている。払出モータ222と払出停止ソレノイド223は、前記払出制御基板200と接続されて制御される。
主基板100から払出制御基板200に所定の球の払出要求があると、払出制御基板200は、払出モータ222と払出停止ソレノイド223によって球を上受け皿3へ送出する。なお、賞球検出スイッチ130は主基板100に接続され、払出制御基板200と同様に所定の球数のカウントを行い、より正確に払出が行われたことを確認できるようにしている。
前記上受け皿3からの溢れ球が下受け皿4へ流下するように形成された球通路上には、オーバーフロースイッチ133が設けられている。前記下受け皿4に貯留した球が一杯になり、該オーバーフロースイッチ133の設置位置まで球が達すると、その貯留した球の球圧によってスイッチが入力され、その検出信号は主基板100へ入力される。主基板100は前記オーバーフロースイッチ133の入力を検出すると、払出制御基板200に対して球の発射を停止するように指示情報を出力する。
図3は、遊技盤2の正面図である。遊技盤2の正面には、発射された球を遊技領域17へ導くための誘導レール16と、遊技領域17に導かれた遊技球の流れに変化を与えるための釘(図示せず)や風車15と、複数の始動口21a〜21cと、遊技球を受け入れやすい第1状態と受け入れにくい第2状態とに変動可能な可動部材152a,152bを有する変動入賞装置150と、この変動入賞装置150とは別に、大入賞口161を備えて成り該大入賞口161が開閉可能な大入賞装置160等が設けられている。
また、遊技盤2の最下部には、遊技球が遊技領域17内の各入賞口の何れにも入らず落下した球を、遊技機外に排出するためのアウト口29が設けられている。アウト口29に球が入った場合には、遊技者に何らの特典も与えられず、賞球の払い出しも行われない。
一方、遊技盤2の上部の角近くには、装飾ランプとして、サイドケースランプ423やサイドLED428等が設けられている。
前記入賞口としては、前記各始動口21a〜21cの他、右袖入賞口22a、左袖入賞口22b等が設けられている。遊技球が各入賞口に入賞すると、各入賞口に付設されたスイッチにより入賞球が検出され、入賞球が検出される度に各入賞口に割り当てられた所定の賞球が払い出される。
図4は、遊技盤2を示す背面図である。遊技盤2の背面には、既に図2で示したものと同様に、各種の制御基板やその関連部品等が組み付けられている。制御基板としては、前記装飾ランプの制御を行うランプ制御基板400、音声の制御を行う音声制御基板500、外部機器と接続し盤用外部情報を出力するための盤用外部端子板850等が設けられている。
各入賞口の入賞球を検出するためのスイッチとして、始動口スイッチ121a〜121c、右袖入賞口スイッチ122a、左袖入賞口スイッチ122b等が各入賞口付近に設置されている。各入賞口のスイッチは、それぞれの入賞口付近に設けているが、入賞球が遊技機外に排出されるまでの通路上に配置することもできる。
各入賞口に球が入賞すると、各入賞口スイッチにより検知され、検知される度に、各入賞口ごとに割り当てられた次の所定の賞球の払い出しが行われる。各始動口21a〜21cには5個、右袖入賞口22a、左袖入賞口22bには8個等と割り当てられている。また、後述する変動入賞装置150や大入賞装置160に球が入賞した場合には、球が入賞する度に15個の賞球が払い出されるように割り当てられている。なお、賞球数の割り当ては入賞口ごとに固定化しているが、遊技機1の機種の仕様に応じて任意に変更することもできる。
また、役物を作動(可変動作)させる関連装置には、変動入賞装置150が有する一対の可動部材152a,152bを、それぞれ別々に作動させるための変動入賞装置ソレノイド134a,134bや、大入賞装置160の一対の扉を開閉させるための大入賞装置ソレノイド162a,162b等が設けられている。なお、各始動口21a〜21cがそれぞれ有する一対の可動片を、普通電動役物ソレノイドによって開閉動作するように構成しても良い。
次に、遊技盤2上の主要な構成要素についてさらに詳細に説明する。
複数の始動口21a〜21cである、中央の始動口21a、右側の始動口21b、左側の始動口21cは、一般に始動チャッカーと称されるものであり、本実施の形態では合計3個設けられている。
3つの始動口21a〜21cの何れかに遊技球が入賞した場合には、後述する作動抽選手段2000による抽選で選択された変動入賞装置150と大入賞装置160の何れか一方が、各始動口21a〜21cごとに対応した態様で第1状態に作動するように設定されている。しかも、変動入賞装置150または大入賞装置160の作動中に始動口21a〜21cに遊技球が入賞した場合には、前記作動抽選手段2000による抽選結果が作動保留手段2100によって一旦保留されるようになっている。詳しい作動の態様については後述する。また、各始動口21a〜21cに遊技球が入賞することが、後述する特別遊技状態を発生させる「所定の条件」の最初の過程として定められている。
図5,図6に示すように、各始動口21a〜21cは、それぞれ遊技球の入賞を検知する始動口スイッチ121a〜121cを内部に備えている。各始動口スイッチ121a〜121cは入賞球を検知してONになると、それぞれ固有の検知信号を主基板100に出力するものである。なお、各始動口スイッチ121a〜121cは、具体的には例えば光センサ、近接センサ、あるいは磁気センサ等の各種センサにより構成すれば良い。
前記変動入賞装置150は機械式のメイン役物であり、遊技球を受け入れやすい第1状態と受け入れにくい第2状態とに変動可能な可動部材152a,152bと、該可動部材152a,152bが第1状態において受け入れた遊技球を普通の入賞とする一般入賞領域154および特別の入賞とする特別入賞領域155とを有する。図3に示すように、変動入賞装置150は、その上端側が受入口151として開口するケース状に形成されており、可動部材152a,152bは、前記受入口151の上側で水平方向に作動可能に一対設けられている。
図12に示すように、一対の可動部材152a,152bは、左右に離隔して前記受入口151を開放する第1状態と、左右に近接して前記受入口151を閉鎖する第2状態とに、それぞれ別々に水平方向に作動可能である。すなわち、各可動部材152a,152bは、双方が第1状態に維持される状態(図12(c)参照)と、双方が第2状態に維持される状態(図13(a)参照)と、何れか一方が第1状態に維持され他方が第2状態に維持される状態(図12(a),(b)参照)とに制御されるようになっている。
各可動部材152a,152bは、それぞれの裏側の遊技盤2上に配設された水平方向に延びるガイドレール(図示せず)に沿って、前記変動入賞装置ソレノイド134a,134bの駆動により水平方向に移動可能であり、通常は遊技球を受け入れにくい第2状態に維持されるが、変動入賞装置ソレノイド134a,134bに給電されると、遊技球を受け入れやすい第1状態に移動するようになっている。なお、第2状態とは、遊技球を受け入れにくい状態であるが、本実施の形態で図示したように遊技球を受け入れることが不可能な状態も含むものとする。
各可動部材152a,152bには、それぞれが遊技球を受け入れにくい第2状態に維持されている状態で、遊技球を一時的に貯留可能な貯留手段が設けられている。図13に示すように貯留手段は、遊技球を貯留できる切欠部153を前記可動部材152a,152bに設けて成る。詳しく言えば、各可動部材152a,152bは、それぞれ互いに対向する先端から外方に向かって下り勾配の形状を有しており、先端の上側に、互いに対接する際に両側から遊技球(図13中でP)を受け止める切欠部153が設けられている。
本実施の形態では、各可動部材152a,152bに設けられた切欠部153は、遊技球を1個だけ貯留できる大きさ・形状に設けられているが、他に例えば、2個あるいは3個以上と複数の遊技球を貯留できる大きさ・形状に、貯留手段としての切欠部を設けるようにしても良い。なお、貯留手段の具体的な構成は、切欠部に限られるものではなく、他に単数ないし複数の遊技球を貯留できる構造であれば足りる。
変動入賞装置150の内部には、前記可動部材152a,152bの少なくとも何れかが第1状態にある際に受け入れた遊技球を、普通の入賞とする一般入賞領域154と、特別の入賞とする特別入賞領域155とが設けられている。図5,図6に示すように、一般入賞領域154の内部には、一般入賞領域スイッチ127が設けられており、特別入賞領域155の内部には、特別入賞領域スイッチ128が設けられている。なお、一般入賞領域154は、特別入賞領域155を間にして左右に分かれているが、入賞球が通る通路は内部で1本に統合され、この1本の通路上に1つの一般入賞領域スイッチ127が配置される。
一般入賞領域スイッチ127や特別入賞領域スイッチ128は、入賞球を検知してONになると、それぞれ固有の検知信号を主基板100に出力するものである。なお、一般入賞領域スイッチ127や特別入賞領域スイッチ128は、具体的には例えば光センサ、近接センサ、あるいは磁気センサ等の各種センサにより構成すれば良い。
本実施の形態では、「所定の条件」として、遊技領域17に打ち出された遊技球が先ず始動口21a〜21cに入賞し、これに基づき変動入賞装置150の作動が選択されて可動部材152a,152bが第1状態に作動した際に、変動入賞装置150の内部に取り込まれた遊技球が、一般入賞領域154ではなく特別入賞領域155に入賞する条件が成立した場合に、可動部材152a,152bが第1状態に繰り返し作動する特別遊技状態が発生するように設定されている。
この特別遊技状態中において、変動入賞装置150が受け入れた遊技球が特別入賞領域155に入賞したことにより、特別遊技状態は所定のラウンド回数(例えば10ラウンド)を限度に繰り返し発生するようになっている。かかる特別遊技状態中において、変動入賞装置150は、特別入賞領域155への遊技球の入賞の有無に関わらず、一定数(例えば10個)の遊技球を受け入れ可能に設定されている。これについて詳しくは後述する。
また、各可動部材152a,152bの表面側には、遊技状態を報知する報知手段310a,310bが設けられている。報知手段310a,310bは、具体的には例えば、複数のLEDを密な状態に配置させたドットマトリクスから成り、複数のLEDを適宜発光させることにより表示内容を変化させることができるものである。かかる報知手段310a,310bの具体的な表示内容について詳しくは後述する。なお、報知手段310a,310bは、複数のLEDから成るドットマトリクスに限らず、他に液晶や有機ELや無機EL等の別の可変表示装置(表示デバイス)を用いて構成しても良い。
変動入賞装置150のケース下部には、後述する保留球数を表示するための表示部320が設けられている。表示部320は10個のLEDを有して成り、個々のLEDの点灯数によって保留球数を表示するように設定されている。本実施の形態では、表示可能な保留球数の上限値を、LEDの数である10個と一致させている。ただし、多色発光可能なLEDを用いて、1つのLEDでも異なる色の発光により、2以上の保留球数を表すように設定することも可能であり、保留球を記憶可能な上限値は必ずしもLEDの数に制約されるものではない。
また、表示部320も、前記報知手段310a,310bと同様に、複数のLEDから成るドットマトリクスに限らず、複数の電球や7セグメントLED、あるいは他に液晶や有機ELや無機EL等の別の可変表示装置(表示デバイス)を用いて構成しても良く、さらに、アナログ表示のみならず、数字をそのままデジタル表示するように設定しても良い。
前記大入賞装置160は、大入賞口161を備えて成り該大入賞口161が開閉可能であり、一般にアタッカーと称されるものであるが、本実施の形態では、大入賞口161が複数の入賞口161a,161bに分割されており、各入賞口161a,161bがそれぞれ開閉可能に構成されている。大入賞装置160が作動して開状態である際には、複数の入賞口161a,161bの何れかが順次開閉するようになっている。
図1,図3,図15(a)に示すように、本実施の形態では、大入賞装置160の大入賞口161は、2つの入賞口161a,161bに分割されているが、他に例えば、図15(b)に示すように、大入賞口161を3つの入賞口161a〜161cに分割したり、あるいは図15(c)に示すように、大入賞口161を6つの入賞口161a〜161fに分割しても良く、様々な数の入賞口に設定することができる。なお、大入賞口161は複数の入賞口に分割されているが、各入賞口同士が互いに隣接している必要はなく、距離をおいて分離されていても、各入賞口の集合が大入賞口161を形成することになる。
2つの入賞口161a,161bは同一構造を成しており、図5および図6に示すように、それぞれ遊技球が入賞し難い閉状態と入賞容易な開状態とに開閉する扉の駆動手段として大入賞装置ソレノイド162a,162bと、開状態の時に入賞した球を検知する大入賞装置スイッチ163a,163bとを備えている。各入賞口161a,161bを開閉するための扉は、それぞれ下端を揺動中心として前方に傾倒することで開くようになっている。
各入賞口161a,161bを開閉するための扉は、それぞれ裏側が大入賞装置ソレノイド162a,162bに連結されており、通常は球を受け入れ難い閉状態に維持されているが、大入賞装置ソレノイド162a,162bに給電されると、球を受け入れやすい開状態に開くようになっている。各入賞口161a,161bが閉状態であるとき、それぞれ扉は遊技領域17の盤面と略同一平面上に重なるため、大入賞装置160が遊技領域17における球の落下を妨げることはない。
大入賞装置スイッチ163a,163bは、それぞれ入賞球を検知してONになると、固有の検知信号を主基板100に出力するものである。大入賞装置スイッチ163a,163bは、具体的には例えば光センサ、近接センサ、あるいは磁気センサ等の各種センサにより構成すれば良い。なお、大入賞装置160の具体的な作動態様について詳しくは後述する。
次に、遊技機1の制御に用いられる各種制御基板について説明する。
図5および図6は、遊技機1の制御に用いられる各種制御基板およびそれに関連する構成要素を示すブロック図である。図5、図6には、制御基板として、主基板100、払出制御基板200、ランプ制御基板400、音声制御基板500、発射制御基板600、電源基板700が示されている。
ここで主基板100は、図16のブロック図に示すように、作動抽選手段2000、作動保留手段2100、上限値設定手段2300、遊技制御手段1100、保留球記憶手段1200、保留球上限値設定手段1400等を含む各種機能を実現する。また、主基板100およびランプ制御基板400は、報知手段310a,310bや表示部320の表示内容を制御する表示制御手段1500としての機能を実現する。
作動抽選手段2000は、前記3つの始動口21a〜21cの何れかに遊技球が入賞した場合に、前記変動入賞装置150と前記大入賞装置160の何れを作動させるか抽選により選択する制御を行うものである。ここでの抽選による選択は、例えば乱数を利用して無作為に行うようにすると良い。
作動抽選手段2000の抽選により、変動入賞装置150の作動が選択された場合には、その起因となる遊技球が入賞した各始動口21a〜21cごとに予め定められた態様で変動入賞装置150が作動し、また、大入賞装置160の作動が選択された場合には、その起因となる遊技球が入賞した各始動口21a〜21cの種類に関わらず一律に同じ態様で大入賞装置160が作動するように設定すると良い。
作動保留手段2100は、変動入賞装置150または大入賞装置160の作動中に3つの始動口21a〜21cの何れかに遊技球が入賞した場合に、かかる入賞に基づき前記作動抽選手段2000によって抽選で選択された抽選結果を一旦保留する制御を行うものである。ここで抽選結果は、「始動保留球」として後述する主基板100のRAM104(図6参照)に記憶されるように設定されている。
上限値設定手段2300は、前記作動保留手段2100が保留する抽選結果(始動保留球)の数に上限値を設定するものである。ここで始動保留球数の上限値は、例えば4個等と設定すれば良く、また始動保留球は、その種類が識別可能な状態で表示部を成す報知手段310a,310bに表示されるように設定されている。
遊技制御手段1100は、変動入賞装置150の可動部材152a,152bを第2状態から第1状態に作動させる駆動信号を出力する「可動部材開放手段1110」と、変動入賞装置150の可動部材152a,152bを第1状態から第2状態に作動させる駆動信号を出力する「可動部材閉鎖手段1120」と、大入賞装置160の入賞口161a,161b(の扉)を閉状態から開状態に作動させる駆動信号を出力する「大入賞口開放手段1191」と、大入賞装置160の入賞口161a,161b(の扉)を開状態から閉状態に作動させる駆動信号を出力する「大入賞口閉鎖手段1192」とを有している。
遊技制御手段1100は、前記3つの始動口21a〜21cの何れかに遊技球が入賞した場合に、前記作動抽選手段2000による抽選で選択された変動入賞装置150と大入賞装置160の何れか一方を作動させると共に、変動入賞装置150または大入賞装置160の作動が終了した後、前記作動保留手段2100により保留された抽選結果がある場合に、該抽選結果に応じて変動入賞装置150と大入賞装置160の何れか一方を作動させる制御を実行するものである。
詳しく言えば、可動部材開放手段1110は、前記作動抽選手段2000の抽選により変動入賞装置150の作動が選択された場合には駆動信号を出力し、該駆動信号に基づき変動入賞装置ソレノイド134a,134bは、可動部材152a,152bを第2状態から第1状態に作動させる。より詳細には、右側の始動口21bへの入賞に起因して変動入賞装置150が選択された場合(始動保留球の消化の場合も含む。)には、可動部材開放手段1110は、変動入賞装置ソレノイド134aに駆動信号を出力して、右側の可動部材152aを例えば0.5秒ほど第1状態に水平移動させる。
左側の始動口21cへの入賞に起因して変動入賞装置150が選択された場合(始動保留球の消化の場合も含む。)には、可動部材開放手段1110は、変動入賞装置ソレノイド134bに駆動信号を出力して、左側の可動部材152bを例えば0.5秒ほど第1状態に水平移動させる。中央の始動口21aへの入賞に起因して変動入賞装置150が選択された場合(始動保留球の消化の場合も含む。)には、可動部材開放手段1110は、変動入賞装置ソレノイド134a,134bに駆動信号を出力して、左右両方の可動部材152a,152bを例えば0.5秒ほど第1状態に水平移動させる。
一方、可動部材閉鎖手段1120は、前述したように可動部材152a,152bが第2状態から第1状態に作動してから所定時間(例えば0.5秒)が経過した時、前記可動部材開放手段1110に代わって、作動している可動部材152a,152bに対して駆動信号を出力し、該駆動信号に基づき変動入賞装置ソレノイド134a,134bは、それぞれ対応する可動部材152a,152bを第1状態から元の第2状態に水平移動させる。
また、大入賞口開放手段1191は、前記作動抽選手段2000の抽選により大入賞装置160の作動が選択された場合(始動保留球の消化の場合も含む。)には、駆動信号を出力し、該駆動信号に基づき大入賞装置ソレノイド162a,162bは、それぞれ入賞口161a,161b(の扉)を閉状態から開状態に作動させる。
ここで大入賞口開放手段1191により、前記抽選の起因となる遊技球が入賞した各始動口21a〜21cごとに異なる態様で大入賞装置160を作動させても良いが、本実施の形態では、各始動口21a〜21cの何れに遊技球が入賞した場合でも、前記抽選により大入賞装置160が選択された場合(始動保留球の消化の場合も含む。)には、一律に同じ態様で大入賞口161を成す2つの入賞口161a,162bに合わせて一定数の遊技球が入賞するまで、大入賞装置160の作動を継続するように設定すると良い。
一方、大入賞口閉鎖手段1192は、前記大入賞口161に一定数の遊技球が入賞した時点で、前記大入賞口開放手段1191に代わって駆動信号を出力し、該駆動信号に基づき大入賞装置ソレノイド162a,162bは、各入賞口161a,161b(の扉)を開状態から閉状態に戻して作動を停止させるようになっている。なお、一定数の遊技球とは例えば150個に設定すると良い。
このように大入賞装置160が作動する際、2つの入賞口161a,161bの何れかが順次開閉するように設定すると良い。ここで「2つの入賞口161a,161bの何れかが順次開閉する」とは、例えば、2つの入賞口161a,161bを交互に開閉させたり、あるいは2つの入賞口161a,161bを同期して開閉させたりする等、様々な開閉の形態が考えられる。もちろん、各始動口21a〜21cごとに対応させた何れかの入賞口161a,161bを開閉させるように制御しても良い。
さらにまた、遊技制御手段1100は、所定の条件が成立したことにより、前記変動入賞装置150の可動部材152a,152bを第1状態に作動させて特別遊技状態を発生させ、該特別遊技状態中において、変動入賞装置150が受け入れた遊技球が特別入賞領域155に入賞したことにより、前記特別遊技状態を繰り返し実行可能とし、特別遊技状態中において、変動入賞装置150が、特別入賞領域155への遊技球の入賞の有無に関わらず、一定数の遊技球を受け入れ可能に制御するものである。
詳しく言えば、所定の条件の最初の過程として、前記始動口21a〜21cへの遊技球の入賞に基づき、作動抽選手段2000によって変動入賞装置150が選択されて、前述したように変動入賞装置150の可動部材152a,152bが第1状態に作動した際に、変動入賞装置150の内部に取り込まれた遊技球が、一般入賞領域154ではなく特別入賞領域155に入賞すると、特別入賞領域スイッチ128からの検知信号に基づき、可動部材開放手段1110は、変動入賞装置ソレノイド134a,134bに駆動信号を出力して、左右両方の可動部材152a,152bを第1状態に作動させる特別遊技状態を発生させる。
特別遊技状態では、一対の可動部材152a,152bが繰り返し第1状態に作動するが、一定数の遊技球が入賞するまで継続して第1状態に維持するように設定しても良い。なお、特別入賞領域155への遊技球の入賞がなかった場合には、そのまま可動部材152a,152bは元の第2状態に戻されることになる。
このような特別遊技状態は、該特別遊技状態が繰り返し発生するための条件となる特別入賞領域155への遊技球の入賞の有無に関わらず、一定数(例えば10個)の遊技球を受け入れるまで継続される。すなわち、可動部材閉鎖手段1120は、特別遊技状態中において、可動部材152a,152bが第1状態に作動している際に、一般入賞領域154に入賞した遊技球の個数と特別入賞領域155に入賞した遊技球の個数との合計が一定数(例えば10個)に達した時点で駆動信号を出力し、該駆動信号に基づき変動入賞装置ソレノイド134a,134bは、前記可動部材152a,152bを第1状態から第2状態に作動させる。そのため、一定数の遊技球が入賞する前に特別入賞領域155に遊技球が入賞しても、特別遊技状態が途中で終了することはない。
次に、前記特別遊技状態中において、変動入賞装置150が受け入れた遊技球が特別入賞領域155に入賞したか否かを、特別入賞領域スイッチ128からの検知信号に基づき判断する。ここで特別入賞領域155に入賞していた場合には、今回の特別遊技状態が終了しても、続いて次のラウンドにかかる新たな特別遊技状態を発生させる。このように繰り返し実行可能な特別遊技状態は、後述する保留球数分のラウンド回数だけ実行される。なお、特別入賞領域155への遊技球の入賞がなかった場合には、今回の特別遊技状態の終了に伴って、変動入賞装置150の可動部材152a,152bは元の第2状態に戻されることになる。
保留球記憶手段1200は、前記特別遊技状態中において、変動入賞装置150が受け入れた一定数の遊技球のうち、特別入賞領域155に入賞した遊技球を保留球として記憶するものである。ここで保留球は、後述する主基板100のRAM104(図6参照)に記憶され、表示部320に表示されるように設定されている。
保留球上限値設定手段1400は、前記保留球記憶手段1200が記憶する保留球数に上限値を設定するものである。ここで保留球数の上限値は、表示部320を構成しているLEDの数である10個と設定されているが、もちろん、このような上限値はLEDの数等に限定されることなく、任意の値に設定することができるようになっている。
表示制御手段1500は、報知手段310a,310bや表示部320の表示制御を行う機能であり、前記報知手段310a,310bに所定の表示内容を表示させたり、前記保留球記憶手段1200からの信号に基づき、前記保留球に相当する数だけ表示部320のLEDを点灯表示したりする表示制御を行うものである。この表示制御手段1500により制御される報知手段310a,310bや表示部320の表示内容の一例について、詳しくは後述する。
さらにまた、主基板100には、賞球払出停止手段1800または賞球払出制御手段1900の何れかの機能も設けられている。ここで賞球払出停止手段1800は、特別遊技状態中に各始動口21a〜21cに遊技球が入賞した場合に、該始動口21a〜21cに入賞したことによる賞球の払い出しを停止させる機能である。また、賞球払出制御手段1900は、特別遊技状態中に各始動口21a〜21cに遊技球が入賞した場合に、該始動口21a〜21cに入賞したことにより一定数の賞球を払い出す機能である。なお、賞球払出停止手段1800や賞球払出制御手段1900の制御について詳しくは後述する。
図6は、主基板100の詳細を示している。主基板100は、主基板内部のクロック回路108が生成するクロックを基準に動作する。またクロック回路108が生成したクロックを内部タイマー107で分周して得た一定時間間隔の割込み信号をCPU102に入力することで、一定時間ごとに当該CPU102でタイマー割込み処理を実行する。CPU102は、タイマー設定時間の間隔よりも短い時間で終了するように分割した処理を割込みごとに実行することで一連の動作を遂行する。
各始動口スイッチ121a〜121c、右袖入賞口スイッチ122a、左袖入賞口スイッチ122b、一般入賞領域スイッチ127、特別入賞領域スイッチ128は、それぞれ遊技球の入賞を検知するためのスイッチであり、これらのスイッチからの入力信号は、ゲート回路110に供給される。また、大入賞装置スイッチ163a,163b、右賞球検出スイッチ130a、左賞球検出スイッチ130b、シュート球切れスイッチ131、ガラス枠開放検出スイッチ132、オーバーフロースイッチ133からの各入力信号は、ゲート回路111に供給される。
ゲート回路110,111のアドレスは、CPU102のアドレス空間にメモリマップドI/O方式で設定されている。CPU102が出力するアドレス信号およびライト/リードの制御信号を、CPU102が出力するシステムクロックに従って、アドレスデコード回路113でデコードすることによりチップセレクト信号を生成する。
このチップセレクト信号にてゲート回路110,111がセレクトされると、各始動口スイッチ121a〜121c等からの各入力信号がゲート回路110を通じてデータバスに出力される。データバス上の各入力信号は、一定時間ごとに発生する割込み信号によって、次にリセットされるまでの間に複数回検出されてチャタリング防止処理が行われた後、入力信号ごとに指定されたRAM領域に記憶される。
各始動口スイッチ121a〜121cからの入力信号は5個賞球の賞球信号として、また右袖入賞口スイッチ122a、左袖入賞口スイッチ122bからの入力信号は、それぞれ8個賞球の賞球信号として、さらに一般入賞領域スイッチ127、特別入賞領域スイッチ128、それに大入賞装置スイッチ163a,163bからの入力信号は、それぞれ15個賞球の賞球信号として扱われ、各スイッチで検出された入賞個数が指定されたRAM領域に記憶される。またこれと同時に、賞球総数がCPU102で演算処理され、指定のRAM領域に記憶される。
各制御基板への出力データは、データバスの途中に設けたバッファ114を通り、さらに出力データバスを通してラッチ回路112a〜112gに出力される。出力用のラッチ回路とCPU102とを結ぶデータバスの途中にバッファ114を配置することでバス信号が一方向の流れになり、不正防止の対策となる。
始動口スイッチ5個賞球RAM領域、左右袖入賞口スイッチ8個賞球RAM領域、一般入賞領域スイッチ、特別入賞領域スイッチ、大入賞装置スイッチ15個賞球RAM領域等にデータがあることにより、CPU102は、各賞球数に設定された8ビット賞球データを順次、データバス、出力データバスを通じてラッチ回路112aに出力する。これと同調するように払出制御基板200に対する割り込み信号、ストローブ信号の制御信号をデータバス、出力データバスを通じてラッチ回路112eに出力する。
メモリマップドI/Oで制御されたアドレスデコード回路113でデコードして得たチップセレクト信号がラッチ回路112a、ラッチ回路112eに順次出力されると、8ビット賞球データがラッチ回路112aに、割込み信号、ストローブ信号の制御信号がラッチ回路112eにそれぞれラッチされ、8ビットパラレル賞球出力信号と割り込み信号、ストローブ信号の2ビットの制御信号で構成された出力信号が、払出制御基板200に賞球データとして出力される。
賞球データが入力された払出制御基板200は、球排出機構を制御して、入力された賞球データに対応した数の賞球排出を行うものである。詳しくは後述する。排出した賞球の検出を、右賞球検出スイッチ130a、左賞球検出スイッチ130bで行い、ゲート回路111に入力されCPU102に取り込まれ、賞球数を管理する。またその検出信号は払出制御基板200にも出力されている。
これらの検出信号に基づいて、実際に払い出した賞球総数がCPU102で演算処理され、その値がRAM領域の記憶データから減算処理され、リアルタイムに賞球総数のデータが更新される。また排出賞球数の設定数ごとに出力信号がラッチ回路112fに出力され、アドレスデコード回路113のチップセレクト信号に同期して外部へパルス出力され、枠用外部出力端子板800を介して管理用コンピュータ等に出力される。
主基板100に電源が供給されると、電源基板700よりリセット信号が供給され主基板100の各デバイスはリセット状態になる。その後システムリセット信号が非能動状態となり、各デバイスは能動状態に遷移する。システムリセット信号が非能動状態に信号変化すると、クロック同期・遅延回路109による遅延処理により一定時間の経過後にワンチップマイコン101へのリセット信号が非能動となる。これによりワンチップマイコン101が稼動状態になり、主基板100の動作状態が保たれる。その後、ワンチップマイコン101の初期設定が行われる。
遊技機外部供給の電源が不安定な場合には、電源基板700から停電検出信号がワンチップマイコン101のNMI(ノンマスカブルインターラプト)105に供給され、ワンチップマイコン101において各記憶領域の退避動作が行われる。具体的には、一定時間にわたって賞球検出データの検知を行った後、RAM領域に停電処理判定のデータを保存し、RAM104の保護を行う。すなわち、電源電圧が低下することで、電源基板700からRAM104にバックアップ電源DC5VBBが供給され、RAM104の記憶状態が保持される。
電源が次に供給された時、停電処理判定のデータの有無に基づき停電処理のあったことを認識すると、ワンチップマイコン101は停電復旧処理を行う。初期設定の時、RAM初期化信号が能動状態であれば、CPU102はI/Oポート106のデータを検出してRAM領域の初期化を行う。
シュート球切れスイッチ131で球切れを検出した信号、およびオーバーフロースイッチ133で遊技盤面の下受け皿4にて賞球の球詰まりを検出した信号は、ゲート回路111に入力され、データバスを通じてワンチップマイコン101に取り込まれる。これらの信号は、データ変換後、ラッチ回路112aから賞球出力データと同じ構成にて払出制御基板200へ出力される。該ラッチ回路112a〜112gの出力は、一方向であり、不可逆性の出力形態をとる。
次に、図7に示す払出制御基盤200について説明する。
払出制御基板200は、主基板100からの受信のみの一方向通信を行い、8ビットパラレル賞球データ、割り込み信号、ストローブ信号で構成された通信データを受信する。割り込み信号が、ワンチップマイコン201のカウンタ回路202に入力されると、当該カウンタ回路202からCPU203に内部割り込み信号が出力される。CPU203は、主基板100からの賞球データを入力するための準備として割り込み処理を行う。これにより、ストローブ信号は、CPU203に対して賞球データの取り込みとするトリガー信号となる。
CPU203は、アドレスデコード回路213を通じてチップセレクト信号をゲート回路212、ゲート回路211に出力し、ゲート回路212、211に入力されている賞球データや各種の信号をゲート回路およびデータバスを介して取り込み、RAM205に保存する。そして、取り込んだ賞球データに対応する賞球数で順次、払出動作を行う。
CPU203は、賞球経路切換信号を、データバスを通じてラッチ回路215に出力し、これと同時にアドレスデコード回路213からチップセレクト信号を出力させる。これにより賞球経路切換信号が経路切換ソレノイド224に出力され、払出動作の賞球経路確保が行われる。その後、ラッチ回路214に払出停止ソレノイド信号の停止解除信号を出力し、払出モータ222に払出モータ制御信号1,2,3,4を順次出力し、チップセレクト信号の出力タイミングによりモータ回転の制御をしながら賞球払出動作を行う。
クロック回路209のクロックを基準に、内部タイマー208で一定時間間隔の割込み信号をCPU203に対して生成し、この割込みタイミングで賞球の検出信号をデータバスに取り込み、所定の賞球数を検出した時、払出停止ソレノイド223、払出モータ222の駆動を停止する。なお、賞球の検出は、賞球経路に設置された右賞球検出スイッチ130a、左賞球検出スイッチ130bで行われ、これらの検出信号はゲート回路211にチップセレクト信号を出力することでデータバスに取り込まれる。また、賞球検出信号は、前述したように主基板100に対しても入力され、より正確な賞球払出しを行っている。
その他、払出動作においては、主基板100から、賞球データにシュート球切れスイッチ131のシュート球切れ信号、および遊技機本体1の下受け皿4に設置されたオーバーフロースイッチ133のオーバーフロー信号が送信されると、払出制御基板200は払出動作を停止する。また、賞球データに各解除信号が送信されることにより払出動作を再開する。払出制御基板200に電源が供給されると、電源基板700よりシステムリセット信号が供給され、払出制御基板200の各デバイスはリセット状態になる。その後、リセット信号が非能動状態で、各デバイスは能動状態に遷移する。
クロック同期・遅延回路210の遅延処理により、ワンチップマイコン201へのリセット信号は、元のリセット信号が非能動状態に信号変化してから一定時間の経過後に非能動になる。こうして元のリセット信号が非能動状態になってから一定時間の経過後に、ワンチップマイコン201は稼動状態になり、払出制御基板200の動作状態が保たれる。その後、ワンチップマイコン201の初期設定が行われる。
遊技機外部供給の電源が不安定な場合には、電源基板700からワンチップマイコン201のNMI(ノンマスカブルインターラプト)206に停電検出信号が供給され、ワンチップマイコン201において各記憶領域の退避動作が行われる。具体的には、一定時間にわたって賞球検出データの検知を行った後、RAM領域に停電処理判定のデータを保存し、RAM205の保護を行う。
電源電圧が低下した場合や遮断された場合は、電源基板700からRAM205にバックアップ電源としてDC5VBBが供給され、RAM205の記憶状態が保持される。再度電源供給がされた時、停電処理判定のデータの存在を認識することで、ワンチップマイコン201は停電復旧処理を行う。初期設定の時、RAM初期化信号が能動状態であれば、CPU203はI/Oポート106のデータを検出して、RAM領域の初期化を行う。
次に、図8に示すランプ制御基板400について説明する。
ランプ制御基板400は、遊技機1の前面や遊技盤2上に設置された遊技機状態ランプ422、サイドケースランプ423、遊技枠状態LED424、それに報知手段310a,310bや表示部320等の点灯制御を行うものである。
ランプ制御基板400は、所定のランプ制御処理手順(プログラム)や制御データを記憶しているランプ制御ROM402と、所定のランプ制御処理手順を読み取り実行するランプ制御CPU401と、ランプ制御CPU401によってランプ制御処理手順を実行することで取得した情報を記憶するランプ制御RAM403と、主基板100からの指示情報やランプ制御基板400内の各制御回路等と入出力を行うための入出力インターフェース404と、ランプ制御CPU401によって入出力インターフェース404を介してランプ制御基板400と接続している各ランプ・LEDの点灯信号を、駆動させるためのドライバー回路405等で構成されている。
ランプ制御CPU401には、入出力インターフェース404を介して、主基板100からパラレル通信により指示情報が入力される。ランプ制御CPU401は、入力された指示情報の内容をランプ制御ROM402に記憶されているランプ制御処理手順に従って実行し、ランプ制御RAM403に情報を整理して格納しながら、ドライバー回路405を動作させ、接続されている各ランプ・LEDの点灯・消灯を行う。
電源基板700からのリセット信号は、遊技機1に電源が投入されると、電源基板700からランプ制御CPU401に入力される。そして、ランプ制御CPU401は、ランプ制御ROM402に記憶されている制御手順に従って、ランプ制御基板400内の各制御回路の初期化を行う。
次に、図9に示す音声制御基板500について説明する。
音声制御基板500は、遊技機1が遊技状態にある時、ゲーム演出による効果音や音声等の制御を行うものである。また、遊技状態でない場合は、遊技機1の異常状態を知らせるための警告音等の制御を行う。
音声制御基板500は、所定の音声処理手順(プログラム)や制御データを記憶している音声制御ROM502と、所定の音声制御手順を読み取り実行する音声制御CPU501と、音声制御CPU501により音声処理手順を実行して取得した情報を記憶する音声制御RAM503と、主基板100からの指示情報や音声制御基板500内の各制御IC等と入出力を行うための入出力インターフェース506と、音声制御CPU501により入出力インターフェース506を介し制御指示情報を取得して具体的な音声を生成する音声制御IC504と、音声制御IC504に管理され、多種多様な音声をデータ化し記憶している音声データROM505と、音声制御IC504から生成された音声信号を増幅するアンプ回路507から構成される。
音声制御CPU501は、入出力インターフェース506を介して、主基板100からのパラレル通信により指示情報が入力される。音声制御CPU501は、入力された指示情報の内容を音声制御ROM502に記憶されている音声制御手順に従って実行し、音声制御RAM503に情報を整理して格納しながら、音声制御IC504へ具体的な指示を行う。
音声制御IC504は、音声制御CPU501の指示に従い、音声データROM505を参照し、具体的な音声の信号を生成しアンプ回路507へ出力する。電源基板700からのリセット信号は、遊技機1に電源が投入されると、該電源基板700から音声制御CPU501に入力され、音声制御CPU501は音声制御ROM502に記憶されている音声制御手順に従い、音声制御基板500内の各制御回路の初期化を行う。
次に、図10に示す発射制御基板600について説明する。
発射制御基板600は、発射モータ653に使用されているパルスモータの回転数を、所定の回転数にするためのパルスを生成する回路である発振回路601と、分周回路602と、ハンドル部650内のタッチセンサ651からの信号、発射停止スイッチ652からの信号、電源基板700からのリセット信号、そして前記払出制御基板200からの発射許可信号を判断し、発射モータ駆動信号を生成するモータ駆動信号制御回路603と、発射モータ653の各コイルに励磁させるためのドライバー回路604等から構成されている。
前記ハンドル部650は、遊技者がハンドル5に触れているか否かを検出するタッチセンサ651、遊技者が任意に球の発射を停止できるようにする発射停止スイッチ652、球を発射させるためのパルスモータから成る発射モータ653等で構成されている。電源基板700からのリセット信号は、遊技機本体1に電源が投入されると、電源基板700からモータ駆動信号制御回路603へ入力され、発射制御基板600の各回路を初期化する。
ハンドル部650内のタッチセンサ651は、遊技者がハンドル5に触れている状態か触れていない状態かを検出し、検出した信号をモータ駆動信号制御回路603に出力し、モータ駆動信号制御回路603は、検出信号に基づいて発射制御を行う。遊技者がハンドル5に触れている状態の時は、球の発射が可能となり、触れていない時は、球の発射が不可能となるよう制御する。
発射停止スイッチ652は、遊技者が任意に球の発射を停止することができるように設けたスイッチであり、発射停止スイッチ信号は、モータ駆動信号制御回路603に入力され、モータ駆動信号制御回路603は、発射停止スイッチ信号に基づいて発射制御を行う。遊技者が発射停止スイッチ652を操作した場合、発射不可能となり、操作がない場合は、発射可能となる。
また、発射停止スイッチ652は、遊技者から何ら発射停止スイッチ652に対し操作がなく、ハンドル5を回転させた状態にない場合には、発射停止スイッチ652から入力がされた状態と同じ信号を出力する。すなわち、ハンドル5内部の構造上、ハンドル5の操作がない場合では、発射停止スイッチ652からの信号が入力されている状態となる。つまり、前述したタッチセンサ651が遊技者がハンドル5に触れていることを検出せず、かつハンドル5の操作がない場合は、遊技者がいないとみなし、発射停止制御を行っている。
次に、図11に示す電源基板700について説明する。
外部から供給されるAC24Vをダイオードブリッジ整流器で全波整流を行い、直流電源DC24Vを生成する。DC24V電源にダイオードを通してコンデンサーで平滑を行い、DC32V電源を生成する。DC24V、DC32Vは非安定電源である。
DC24Vを電源回路701に供給して、安定電源DC18V、DC12V、DC5Vの定電圧電源が生成され、前記主基板100、前記払出制御基板200、前記ランプ制御基板400、前記音声制御基板500、前記発射制御基板600に供給される。生成されたDC5Vの定電圧電源を、ダイオードを通してバックアップ回路702のコンデンサーに接続して、DC5VBBのバックアップ電源を生成し、DC5VBBが主基板100、前記払出制御基板200に供給される。
DC24V電源の電圧レベルを電圧検出回路708で検出して遅延回路707に出力する。遅延回路707は内部時定数500ミリsecの遅延時間をもち、電圧検出回路708の連続出力時間が遅延回路707の時定数より大きくないと遅延回路707は出力信号を出力しない。このため、DC24V電源の電圧レベルが遅延回路707の時定数より小さい時間の電圧作動および電源停止は無視され、停電検出信号は電源基板700より外部に出力されない。
遅延回路707に時定数より大きな入力信号があると、遅延回路707は停電検出信号を前記主基板100、前記払出制御基板200、シフトレジスタ704のシリアル入力端子に出力する。8ビットシフトレジスタ704は、クロック回路706より周期20ミリsecのクロックが常時入力されている。
ここで8ビットのデータ入力端子はゼロに固定している。このため、停電検出信号が8ビットシフトレジスタ704に入力すると、8クロック(約160ミリsec)後8ビットシフトレジスタ704からリセット信号が前記主基板100、前記払出制御基板200、前記発射制御基板600、前記ランプ制御基板400、前記音声制御基板500に出力される。
電源立ち上げ時および停電復帰後、周辺回路電源立ち上げ時より遅延回路707の時定数の時間、停電検出信号およびリセット信号は能動状態で出力している。遅延回路707の時定数の時間後、停電検出信号は非能動状態になり、リセット信号は、8ビットシフトレジスタ704の8クロック後非能動状態で出力される。RAM初期化信号は、RAM初期化スイッチ705を手動で押すことにより能動状態で前記主基板100、前記払出制御基板200に出力される。
次に、遊技機1の作用について説明する。
図1において、遊技者がハンドル5を回転操作すると、遊技球が1個ずつ遊技盤2上の遊技領域17に打ち込まれる。この遊技球が3つの始動口21a〜21cの何れかに入賞すると、それぞれの始動口スイッチ121a〜121cにより球が検出され、各始動口スイッチ121a〜121cから出力された検知信号は、図6に示すゲート回路110から主基板100に入力される。すると、先ず主基板100からの信号に基づく払出制御基板200の制御により、各始動口21a〜21cに割り当てられている5個の賞球が払い出される。
このような賞球の払い出しのほか、前記3つの始動口21a〜21cの何れかへの遊技球の入賞に基づいて、主基板100の作動抽選手段2000の制御により、変動入賞装置150と大入賞装置160の何れを作動させるかが抽選で選択され、続いて遊技制御手段1100の制御により、前記選択された変動入賞装置150と大入賞装置160の何れか一方が作動することになる。以下に、先ず変動入賞装置150が選択された場合の作動について説明し、次に大入賞装置160が選択された場合の作動について説明する。
右側の始動口21bへの遊技球の入賞に起因して(図17,S101でY)、作動抽選手段2000により抽選が実行される(図17,S102)。ここで変動入賞装置150または大入賞装置160が作動中ではなく(図17,S103でN)、前記抽選によって変動入賞装置150の作動が選択された場合(図17,S104でY)、これに基づき遊技制御手段1100の可動部材開放手段1110の制御により、変動入賞装置150の右側の可動部材152aを駆動する変動入賞装置ソレノイド134aに駆動信号が出力されて、図12(a)に示すように右側の可動部材152aが例えば0.5秒ほど第1状態に水平移動する(図17,S105)。
また、左側の始動口21cへの遊技球の入賞に起因して(図17,S108でY)、同じく作動抽選手段2000により抽選が実行される(図17,S109)。ここで変動入賞装置150または大入賞装置160が作動中ではなく(図17,S110でN)、前記抽選によって変動入賞装置150の作動が選択された場合(図17,S111でY)、これに基づき遊技制御手段1100の可動部材開放手段1110の制御により、変動入賞装置150の左側の可動部材152bを駆動する変動入賞装置ソレノイド134bに駆動信号が出力されて、図12(b)に示すように左側の可動部材152bが例えば0.5秒ほど第1状態に水平移動する(図17,S112)。
さらにまた、中央の始動口21aへの遊技球の入賞に起因して(図17,S113でY)、同じく作動抽選手段2000により抽選が実行される(図17,S114)。ここで変動入賞装置150または大入賞装置160が作動中ではなく(図17,S115でN)、前記抽選によって変動入賞装置150の作動が選択された場合(図17,S116でY)、これに基づき遊技制御手段1100の可動部材開放手段1110の制御により、前記2つの変動入賞装置ソレノイド134a,134bに駆動信号が同期して出力され、図12(c)に示すように左右両方の可動部材152a,152bが例えば0.5秒ほど第1状態に水平移動する(図17,S117)。
一方、各始動口21a〜21cの何れに遊技球が入賞した場合でも、作動抽選手段2000の抽選により変動入賞装置150ではなく大入賞装置160の作動が選択された場合には(図17,S104でN,S111でN,S116でN)、これに基づき遊技制御手段1100の大入賞口開放手段1191の制御により、大入賞装置160が通常の閉状態から開状態へ作動する。すなわち、大入賞口開放手段1191の制御により、大入賞装置ソレノイド162a,162bに駆動信号が同期して出力され、左右一対の入賞口161a,161b(の扉)が閉状態から開状態に作動する(図17,S124)。
ここで大入賞装置160を作動させる形態としては、2つの入賞口161a,161bの何れかが順次開閉するように制御すると良い。具体的には例えば、2つの入賞口161a,161bを交互に開閉させたり、あるいは2つの入賞口161a,161bを同期して開閉させたりする等、様々な開閉の形態が考えられる。もちろん、各始動口21a〜21cごとに対応させた何れか一方または両方の入賞口161a,161bを開閉させるように制御しても良い。これにより、いわゆる分離型大入賞装置の面白さが付与され、大入賞装置160の作動状態がいっそうと変化に富んだものとなる。
しかも、変動入賞装置150または大入賞装置160の作動(後述する特別遊技状態も含む。)中に始動口21a〜21cに遊技球が入賞した場合には(図17,S103でY,S110でY,S115でY)、前記作動抽選手段2000による抽選結果が作動保留手段2100によって一旦保留される(図17,S123)。このように作動保留手段2100により保留された抽選結果があれば(図17,S118でY)、変動入賞装置150または大入賞装置160が作動中でないことを条件に(図17,S119でN)、保留されている抽選結果に応じて変動入賞装置150および大入賞装置160の何れか一方が作動することになる。
詳しく言えば、右側の始動口21bへの遊技球の入賞に基づき(図17,S120でY)、変動入賞装置150の作動が選択された抽選結果であれば(図17,S104でY)、該抽選結果の消化によって、右側の可動部材152aが例えば0.5秒ほど第1状態に水平移動する(図17,S105)。また、左側の始動口21cへの遊技球の入賞に基づき(図17,S121でY)、変動入賞装置150の作動が選択された抽選結果であれば(図17,S111でY)、該抽選結果の消化によって、左側の可動部材152bが例えば0.5秒ほど第1状態に水平移動する(図17,S112)。さらに、中央の始動口21aへの遊技球の入賞に基づき(図17,S121でN)、変動入賞装置150の作動が選択された抽選結果であれば(図17,S116でY)、該抽選結果の消化によって、左右両方の可動部材152a,152bが例えば0.5秒ほど第1状態に水平移動する(図17,S117)。
一方、変動入賞装置150ではなく大入賞装置160の作動が選択された場合には、その起因となる遊技球が入賞した始動口21a〜21cの種類を問わず、一律の態様で大入賞装置160を作動する内容の権利が抽選結果として保留され(図17,S104でN,S111でN,S116でN)、該抽選結果の消化によって、左右一対の入賞口161a,161b(の扉)が閉状態から開状態に作動することになる(図17,S124)。なお、複数の抽選結果が保留されている場合には、それぞれを消化する順番は古いものを優先させれば良い。
ただし、主基板100にある上限値設定手段2300によって、前記作動保留手段2100が保留する抽選結果の数に上限値を設定することができる。このように抽選結果の保留数に上限値を定めることにより、変動入賞装置150または大入賞装置160の作動が際限なく繰り返し実行されるような事態を防止することができる。本実施の形態では、抽選結果の保留数の上限値は4個あるいはそれより多い値でも良く、例えば風営適正化法等の規約に応じて適宜設定することができる。
また、作動保留手段2100が保留した抽選結果を、表示制御手段1500による制御によって、表示部を成す報知手段310a,310bに、遊技者がその種類を容易に確認できる状態で表示すると良い。具体的には例えば、遊技者が目視で確認できるように夫々どの装置の作動に相当する抽選結果であるかを色分けして表示すると良い。それにより、遊技者は保留されている抽選結果の数や種類を、作動前に把握しておくことができる。
具体的には例えば、右側の始動口21bへの遊技球の入賞に基づき変動入賞装置150の作動が選択された抽選結果は青色、左側の始動口21cへの遊技球の入賞に基づき変動入賞装置150の作動が選択された抽選結果は緑色、中央の始動口21aへの遊技球の入賞に基づき変動入賞装置150の作動が選択された抽選結果は赤色、それに変動入賞装置150ではなく大入賞装置160の作動が選択された抽選結果は黄色等のように、それぞれ色分けして報知手段310a,310bの任意の位置に表示させると良い。
以上のように、3つの始動口21a〜21cの何れかに遊技球が入賞した場合には、変動入賞装置150および大入賞装置160のうち抽選で選択された方が作動し、これらの作動中に始動口21a〜21cに遊技球が入賞しても、かかる入賞が無駄になることなく保留され、この保留に基づき変動入賞装置150または大入賞装置160が順次作動するという相互に関連した特別な制御によって、斬新で興趣に富んだ遊技の実現が可能となる。そのため、遊技方法が従来一般の遊技機(羽根物)の定型化されたパターンに収まることなく、いっそう遊技性を高めることができ、遊技者をなおさら魅了することができる。
ところで、変動入賞装置150の作動は前述したように短時間で終了するが、大入賞装置160の作動を停止させるタイミングとしては、前述したように大入賞口161を成す2つの入賞口161a,162bに合わせて一定数の遊技球が入賞するまでと定めると良い。すなわち、前記作動抽選手段2000によって大入賞装置160が選択された時、該大入賞装置160を開状態に作動させて、大入賞口161に一定数(例えば、150個)の遊技球が入賞するまで大入賞装置160の開状態を継続させる。
かかる場合には、大入賞口161に一定数(例えば、150個)の遊技球が入賞した時点で、遊技制御手段1100にある大入賞口閉鎖手段1192は、大入賞装置ソレノイド162a,162bの駆動を停止させることになる。これにより、大入賞口161への一定数の遊技球の入賞による遊技者の利益は保証され、また遊技場側の過度の不利益を防止することにもなる。なお、保留された抽選権利に基づく作動の場合も同様とする。
また、別の制御の例として、前記作動抽選手段2000によって大入賞装置160が選択された時、該大入賞装置160を開状態に作動させて、大入賞口161への遊技球の入賞の有無に関わらず、大入賞装置160の開状態を一定時間(例えば、80秒)が経過するまで継続させるように制御しても良い。
すなわち、大入賞口161が作動してから一定時間(例えば、80秒)が経過した時点で、前記大入賞口閉鎖手段1192は、大入賞装置ソレノイド162a,162bの駆動を停止させることになる。これにより、大入賞口161の一定時間に亘る作動により遊技者の利益獲得の機会は保証され、また遊技場側の過度の不利益を防止することにもなる。なお、保留された抽選権利に基づく作動の場合も同様とする。
次に、特別遊技状態の詳細について説明する。各始動口21a〜21cへの遊技球の入賞に基づき、作動抽選手段2000により変動入賞装置150が選択された場合に、変動入賞装置150の一対の可動部材152a,152bのうち、少なくとも何れか一方が第1状態に水平移動している時、変動入賞装置150の受入口151から内部に取り込まれた遊技球が特別入賞領域155に入賞すると(図17,S106でY)、特別遊技状態を最初に発生させる「所定の条件」が成立したことになり、特別入賞領域スイッチ128からの検知信号に基づき、遊技制御手段1100の制御によって特別遊技状態が発生する(図17,S107)。
ここで、特別入賞領域155に遊技球が1個も入賞しなかった場合には(図17,S106でN)、「所定の条件」は成立せず特別遊技状態が発生することはない。また、変動入賞装置150または大入賞装置160が作動中に、前記各始動口21a〜21cに遊技球が入賞した場合(図17,S103でY,S110でY,S115でY)、前述したように作動抽選手段2000による抽選結果は、作動保留手段2100によって保留されることになる(図17,S123)。
特別遊技状態が一旦発生すると、先ずラウンド回数が0に初期化されてから(図18,S201)、変動入賞装置ソレノイド134a,134bに駆動信号が出力され、左右両方の可動部材152a,152bが繰り返し開閉する(図18,S202)。この特別遊技状態中において、変動入賞装置150が受け入れた遊技球が特別入賞領域155に入賞したか否かを、特別入賞領域スイッチ128からの検知信号に基づき判別する。
そして、特別入賞領域155に1個でも遊技球が入賞していた場合、これに基づき遊技制御手段1100の制御により、特別遊技状態は繰り返し実行されることになる。すなわち、今回の特別遊技状態が終了しても、このラウンド中に特別入賞領域155に遊技球が入賞することを条件として、次のラウンドにかかる新たな特別遊技状態が継続して発生することにより、遊技性が高められる。このように繰り返し実行可能な特別遊技状態は、後述する保留球数分のラウンド回数だけ実行されるようになっている。
詳しく言えば、特別遊技状態が発生してから特別入賞領域155に遊技球が入賞した場合(図18,S203でY)、これが特別入賞領域155に対する1個目(最初)の入賞であれば(図18,S204でY)、これに基づき主基板100の遊技制御手段1100の制御により、特別遊技状態を繰り返し発生させるためのラウンド継続フラグがセットされる(図18,S205)。
また、特別遊技状態が繰り返し実行される回数は、前述した特別遊技状態中において、変動入賞装置150が受け入れた一定数の遊技球のうち、特別入賞領域155に入賞した遊技球の数である保留球に基づき定められる。主基板100の保留球記憶手段1200により、特別遊技状態中に特別入賞領域155に入賞した2個目以降の遊技球は保留球として記憶される。
すなわち、特別遊技状態が繰り返し実行される条件は、変動入賞装置150が受け入れた一定数の遊技球のうち、少なくとも1個が特別入賞領域155に入賞すれば足りるが(図18,S203でY)、ここで一定数以内で2個以上の遊技球が特別入賞領域155に入賞した場合には(図18,S204でN)、かかる入賞を無駄にすることなく保留しておき(図18,S211)、この保留球数に応じて、特別遊技状態を繰り返し実行することにより、いっそうと遊技性を高めることができる。
特別遊技状態は、前記特別入賞領域155への遊技球の入賞の有無に関わらず(図18,S203)、各ラウンドごとに一定数の遊技球を受け入れるまで継続される(図18,S206)。特別遊技状態中に、変動入賞装置150が受け入れる一定数の遊技球のうち、一般入賞領域154と特別入賞領域155に対する入賞比率は、一般入賞領域154に入賞した遊技球の個数の方が特別入賞領域155に入賞した遊技球の個数より多い場合と、一般入賞領域154に入賞した遊技球の個数の方が特別入賞領域155に入賞した遊技球の個数より少ない場合と、前記一定数が偶数の場合に限り、一般入賞領域154に入賞した遊技球の個数と特別入賞領域155に入賞した遊技球の個数とが等しい場合の3通りが考えられる。
このような3通りの入賞比率のうち、何れの場合であっても特別遊技状態中において、一般入賞領域154に入賞した遊技球の個数と特別入賞領域155に入賞した遊技球の個数との合計が前記一定数に達した時点で(図18,S206でY)、遊技制御手段1100の可動部材閉鎖手段1120は駆動信号を出力し、該駆動信号に基づき変動入賞装置ソレノイド134a,134bは、前記可動部材152a,152bを第1状態から第2状態に変動させるので、特別遊技状態の1ラウンドは一旦終了する(図18,S207)。従って、特別遊技状態中においては、一般入賞領域154や特別入賞領域155への入賞比率の如何に関わらず、変動入賞装置150での一定数の遊技球の受け入れが確保されることになる。
それにより、従来一般の遊技機(羽根物)の仕様に準拠した複雑な制御を行うことなく、特別遊技状態中において、一定数の遊技球の入賞に基づく賞出により遊技者が得られる利益を保証することが可能になる。このように本遊技機1では、特別遊技状態中において、変動入賞装置150は、特別入賞領域155への遊技球の入賞の有無に関わらず、一定数の遊技球を受け入れるようになっているが、特別入賞領域155の内部に受け入れられた遊技球を、必ず特別入賞領域155へ入賞させるものではない。
すなわち、本遊技機1では、特別遊技状態において遊技者の利益を保証する一方、特別遊技状態における特別入賞領域155への遊技球の入賞に関しては別段制御することなく、偶然性にまかせている。それにより、変動入賞装置150に一定数まで受け入れられる遊技球のうち、ごく稀に1個も特別入賞領域155に入賞しなければ(図18,S203でN)、新たな特別遊技状態は継続しないので(図18,S208でN)、それだけ遊技におけるリスクも存在し、遊技者のスリルと興奮を十分に喚起することもできる。
さらに、繰り返し実行される各ラウンドごとの特別遊技状態中においても、変動入賞装置150が受け入れた一定数の遊技球のうち、特別入賞領域155に入賞した遊技球がある場合には、その数はさらに保留球として累積的に加算されて、保留球記憶手段1200により記憶されることになる。それにより、次述するラウンド回数の上限値を越えない範囲で(図18,S209でN)、特別遊技状態が繰り返し実行される回数を増大させることが可能となる(図18,S212)。
主基板100にある保留球上限値設定手段1400によって、前記保留球記憶手段1200が記憶する保留球数に上限値を設定することができる。このように保留球数の上限値を定めることにより、特別遊技状態が際限なく繰り返し実行されるような事態を防止することができる。本実施の形態では、保留球数の上限値が10個と定められており、特別遊技状態が繰り返し継続する最高ラウンド回数は10ラウンドまでとなる(図18,S209でY)。また、表示制御手段1500による制御によって、保留球数は表示部320の個々のLEDの点灯数によって目視可能に表示されるから、遊技者は保留球数を容易に確認することができ、特別遊技状態が繰り返し実行される回数も、事前に把握しておくことができる。
具体的には例えば、最初に特別遊技状態が発生した際、その1ラウンド中に変動入賞装置150が受け入れた10個(一定数)の遊技球のうち3個が特別入賞領域155に入賞した場合、保留球数は3個となり表示部320では3個のLEDが点灯表示される。この時点では、あと3ラウンドまで特別遊技状態が繰り返し実行されることになる。次に、3個の保留球のうち1個が消費されて特別遊技状態が発生し、この2ラウンド中に変動入賞装置150の特別入賞領域155に2個の遊技球が入賞した場合、保留球数は合計4個(3−1+2=4)となり、表示部320では4個のLEDが点灯表示される。
続いて、4個の保留球のうち1個が消費されて特別遊技状態が発生し、この3ラウンド中に変動入賞装置150が受け入れた10個(一定数)の遊技球のうち4個が特別入賞領域155に入賞した場合、保留球数は合計7個(4−1+4=7)となり、表示部320では7個のLEDが点灯表示される。このように、保留球数に応じて特別遊技状態は繰り返し実行され、最大で10ラウンドまで継続することになる。
特別遊技状態が上限値である10ラウンドまで継続して発生した場合、本実施の形態では、各ラウンドごとに変動入賞装置150に入賞可能な一定数である10個の遊技球に対して、それぞれ15個の賞球が割り当てられているので、10(ラウンド)×10(一定数)×15(賞球)=1500個の賞球の払い出しを受けることができる。ただし、前述したように、特別遊技状態が上限値である10ラウンドまで必ず継続するとは限らず、仮に5ラウンド目で特別入賞領域155に遊技球が1個も入賞せず保留球数も0個で、5ラウンドで特別遊技状態が終了した場合には、5(ラウンド)×10(一定数)×15(賞球)=750個の賞球の払い出しを受けることになる。
ここで、特別遊技状態の各ラウンドごとに変動入賞装置150に入賞可能な「一定数」、特別遊技状態の各ラウンドが継続可能な「上限値」、それに変動入賞装置150における入賞球1個当たりに割り当てられた「賞球数」は、必ずしも一律に固定化されるものではなく、遊技機1の機種の仕様に応じて任意に変更することができるものである。例えば、風営適正化法等の法規制により、特別遊技状態が発生してから継続が終了するまでの一連の期間内において、賞球数の払い出しが最高2500個までと上限規制されているような場合、この2500の上限値の範囲内で、前述した「一定数」、「上限値」、「賞球数」を適宜設定すれば良い。
すなわち、「一定数」、「上限値」、「賞球数」の積算値が、2500以内に収まるように設定すれば良く、例えば、「一定数」を、10個、15個、20個と予め3通り設定し、また、「賞球数」を、10個、15個と予め2通り設定した場合、これらの組み合わせにより、ラウンドの「上限値」は、次のように求められる。
a.2500(法規制)÷{10(一定値)×10(賞球数)}=25(上限値)
b.2500(法規制)÷{10(一定値)×15(賞球数)}=16.6(上限値)
c.2500(法規制)÷{15(一定値)×10(賞球数)}=16.6(上限値)
d.2500(法規制)÷{15(一定値)×15(賞球数)}=11.1(上限値)
e.2500(法規制)÷{20(一定値)×10(賞球数)}=12.5(上限値)
f.2500(法規制)÷{20(一定値)×15(賞球数)}=8.3(上限値)
このような一例のデータに基づき算出されたラウンドの「上限値」は、小数点以下2桁は切り捨てた値を示しているが、実際に設定されるラウンドの「上限値」は、小数点以下を切り捨てた値となる。すなわち、d.パターンによれば、実際のラウンドの「上限値」は11回に設定されることになる。前述したa.〜f.の各パターンのように、「一定数」、「上限値」、「賞球数」の値の組み合わせを予め何通りか設定しておき、この設定のパターンを任意に選定できるようにすれば良い。もちろん、最高2500個までという上限規制も、その時々の風営適正化法等の法改正に応じて、適宜変更され得る値であることは言うまでもない。
また前述したが、図12に示すように、変動入賞装置150の一対の可動部材152a,152bは、遊技球を受け入れやすい第1状態と、受け入れにくい第2状態とに、水平方向に作動するようになっている。このような可動部材152a,152bの水平方向への作動は、従来一般の遊技機(羽根物)における変動入賞装置にある一対の可動翼のように、一端側を回動中心とする揺動とは全く異なる動作であり、今までにない可動部材152a,152bの水平方向への作動によって、斬新で面白味のある変動入賞装置150の動作を演出することができる。
各可動部材152a,152bには、図13(a)に示すように、遊技球を受け入れにくい第2状態に維持されている状態で、遊技球を一時的に貯留可能な貯留手段である切欠部153があり、各可動部材152a,152bが第2状態から第1状態に作動する時に、図13(b)に示すように、貯留していた遊技球を変動入賞装置150の内部に受け入れることができる。それにより、各可動部材152a,152bが遊技者に不利な第2状態であっても、遊技球を貯留できることで遊技者の利益に貢献することが可能となる。
このような貯留手段としての切欠部153によれば、極めて簡易な構成で遊技球を貯留することができると共に、貯留した遊技球を変動入賞装置150の内部に確実に導くことができる。また、各可動部材152a,152bは、その先端から外方に向かって下り勾配の形状を有するため、前記切欠部153に貯留される遊技球を除き、可動部材152a,152b上に落下した遊技球を変動入賞装置150の外方に向けて再び落下するように導くことができる。
また、各可動部材152a,152bの表面側には、遊技状態を報知する報知手段310a,310bがあり、前記表示制御手段1500による表示制御によって遊技状態を報知することができる。例えば、前述した保留に係る抽選結果の表示とは別に、前記遊技制御手段1100からの信号に基づき、各可動部材152a,152bが第2状態から第1状態に作動する時、表示制御手段1500の信号に基づき、各可動部材152a,152bが水平方向に開く旨を、事前に報知手段310a,310bに図柄や記号あるいは文字で表示することで、可動部材の作動に対する遊技者の期待感を高めることができる。
具体的には図14に示すように、報知手段310a,310bは対応する各可動部材152a,152bの動作にかかる状態を顔図柄で表示する。すなわち、図14(a)に示すように、各可動部材152a,152bが通常の第2状態にある時は、何も表示されていないが、前記始動口21a〜21cに遊技球が入賞した時や前記特別遊技状態中に、可動部材152a,152bが第2状態から第1状態に作動する際には、図14(b),(c)に示すように、作動する可動部材152a,152bにある報知手段310a,310bに、例えば、顔の表情が明るいスマイル図柄が表示されることになる。もちろん、顔図柄の他に、キャラクタや記号、あるいは「閉じる」、「開く」等の文字を表示するようにしても良い。
さらに、前記特別遊技状態中に各始動口21a〜21cに遊技球が入賞した場合の処理として、主基板100により次の処理が実行される。すなわち、主基板100が賞球払出停止手段1800を有する場合には、該賞球払出停止手段1800の制御により、特別遊技状態中に遊技球が始動口21a〜21cに入賞した場合には、該始動口21a〜21cに入賞した遊技球を、どこにも入賞しないで回収されるアウト球と同じ扱いとする。このような処理により、遊技者に対する過剰なサービスを抑制することになる。
あるいは別の処理として、主基板100が、前記賞球払出停止手段1800ではなく、賞球払出制御手段1900を有する場合には、該賞球払出制御手段1900の制御により、特別遊技状態中に各始動口21a〜21cに遊技球が入賞した場合には、該始動口21a〜21cに入賞したことにより一定数の賞球が払い出される。
それにより、特別遊技状態中に遊技球が始動口21a〜21cに入賞した場合であっても、これに応じて遊技者は賞球の利益も受けることができる。ただし、ここでの賞球数は、前述したように通常の遊技状態に関して始動口21a〜21cに割り当てられた5個に限られるものではなく、賞球払出制御手段1900の制御により、1〜6個等と適宜設定することができるようになっている。なお、賞球払出停止手段1800や賞球払出制御手段1900による制御は、特別遊技状態中に限らず、大入賞装置160の作動中に各始動口21a〜21cに遊技球が入賞した場合にも適用することができる。
ところで、前記特別遊技状態中において、特別遊技状態が繰り返し実行される要件を満たさなかった場合には、特別遊技状態の新たなラウンドが繰り返されることはなく、特別遊技状態の継続は途中で終了するが、当該終了時までに繰り返し実行された継続(ラウンド)回数が少ないほど遊技者の利益は小さくなる。このように特別遊技状態が発生したにも関わらず、特別遊技状態が最後まで継続せずに途中で終了してしまった場合には、以下のように遊技者の利益を補填することが考えられる。
具体的には先ず第1の例として、図16に示すように、主基板100の各種機能として入賞個数判定手段2400および大入賞口作動追加手段3100も含めるように構成する。先ず入賞個数判定手段2400は、前記特別遊技状態中において、該特別遊技状態が繰り返し実行される要件を満たさず特別遊技状態の継続が途中で終了した際、当該要件を満たさなかった最後の特別遊技状態中に、左右一対ある一般入賞領域154,154のそれぞれに対する遊技球の入賞個数の割合を判定する機能である。
ここで、左右一対ある一般入賞領域154,154ごとに別々に入賞球を検知する必要があるが、例えば、左右に分離している各一般入賞領域154の入口に、一般入賞領域スイッチ127とは別にそれぞれ個別に入賞球を検知可能なスイッチを設ければ良い。入賞個数判定手段2400では、各一般入賞領域154ごとに対応したスイッチからの球検知信号をカウントし、各一般入賞領域154それぞれに対する遊技球の入賞個数の割合を判定することができる。
入賞個数の割合は、例えば各可動部材152a,152bにある報知手段310a,310bにより、左右の一般入賞領域154,154に入った球数として表示するようにすれば、遊技者が容易に入賞個数の割合を確認することができる。また、「特別遊技状態の継続が途中で終了した場合」とは、本実施の形態では、特別遊技状態の継続が、保留球上限値設定手段1400により予め定められた上限値まで到達することなく、その途中で終了した場合を意味する。
次に大入賞口作動追加手段3100は、前記入賞個数判定手段2400により判定された各一般入賞領域154,154に対する遊技球の入賞個数の割合に応じて、前記特別遊技状態の継続の終了に続けて前記大入賞装置160を所定の態様で作動させる機能である。大入賞口作動追加手段3100は、前述した大入賞口開放手段1191および大入賞口閉鎖手段1192に対して、大入賞装置160を所定の態様で作動させるための駆動信号を出力させるように設定されている。
このような第1の例に係る遊技機1において、大入賞装置160を所定の態様で作動させる動作を、図19(a)のフローチャートに沿って説明する。特別遊技状態中に、該特別遊技状態が繰り返し実行される要件を満たさず(特別入賞領域155に遊技球が1個も入賞せず、かつ保留球数が0個の場合)、特別遊技状態の継続が途中で終了した際(図19(a),S301)、入賞個数判定手段2400は、当該要件を満たさなかった最後の特別遊技状態中において、一対ある一般入賞領域154,154のそれぞれに対する遊技球の入賞個数の割合を判定する(図19(a),S302)。
最後のラウンドにおいては、左右一対の一般入賞領域154,154に合計して一定数(10個)の遊技球が入賞することになるが、このうち、例えば、左側の一般入賞領域154に入賞した遊技球の個数は7個で、右側の一般入賞領域154に入賞した遊技球の個数は3個である等と、各一般入賞領域154に対する遊技球の入賞個数の割合が判定される。この判定された入賞個数の割合に応じて、大入賞口作動追加手段3100は、前記特別遊技状態の継続の終了に続けて大入賞装置160を所定の態様で作動させることになる(図19(a),S303)。
ここで「所定の態様」とは、本実施の形態では、左右一対ある各一般入賞領域154と同様に、大入賞装置160の大入賞口161も左右一対の入賞口161a,161bに分かれているので、かかる構成を利用して、左右一対の一般入賞領域154のうち入賞個数の多い方に対応する左右何れかの入賞口161a,161bのみを開口させたり、左右一対の一般入賞領域154の入賞個数が等しければ、左右両方の入賞口161a,161bを開口させること等が考えられる。なお、大入賞装置160を開状態に維持する時間は、例えば、0.3秒ないし1秒等と適宜定めることができる設計事項である。
このように、特別遊技状態の継続が最後(上限値)まで継続せずに、途中で終了してしまったような場合には、最後の特別遊技状態における入賞状況に応じて、所定の態様で大入賞装置160を作動させることにより、遊技者の利益が補填されて遊技者に満足感を与えることができると共に、よりいっそう斬新で興趣に富んだ遊技を演出することができる。
また、別の第2の例として、次のような制御を実行するように構成しても良い。すなわち、特別遊技状態が繰り返し実行される要件を満たさず、特別遊技状態の継続が途中で終了した場合、前記入賞個数判定手段2400により、当該終了時までに繰り返し実行された特別遊技状態を通して、左右一対ある前記一般入賞領域154,154のそれぞれに対する遊技球の入賞個数の合計値の割合を判定するように設定する。そして、大入賞口作動追加手段3100により、前記入賞個数判定手段2400により判定された各一般入賞領域154に対する遊技球の入賞個数の合計値の割合に応じて、前記特別遊技状態の継続の終了に続けて大入賞装置160を所定の態様で作動させるように設定する。
このような第2の例に係る遊技機1においては、図19(b)のフローチャートに示すように、特別遊技状態中に該特別遊技状態が繰り返し実行される要件を満たさず(特別入賞領域155に遊技球が1個も入賞せず、かつ保留球数が0個の場合)、特別遊技状態の継続が途中で終了した際(図19(b),S401)、当該終了時までに繰り返し実行された特別遊技状態を通して、入賞個数判定手段2400は、一対ある一般入賞領域154,154のそれぞれに対する遊技球の入賞個数を累計した合計値の割合を判定する(図19(b),S402)。
特別遊技状態が一旦発生してから継続終了までの間に繰り返された一連の特別遊技状態においては、各特別遊技状態ごとに一定数の遊技球が変動入賞装置150に入賞しているが、そのうち左右一対の一般入賞領域154,154に入賞した遊技球の数を累計した合計値に関して、例えば、この合計値の6割が左側の一般入賞領域154に入賞し、残り4割が右側の一般入賞領域154に入賞した等と、前記合計値に関する入賞個数の割合が判定される。この判定された入賞個数の合計値の割合に応じて、大入賞口作動追加手段3100は、前記特別遊技状態の継続の終了に続けて大入賞装置160を所定の態様で作動させる(図19(b),S403)。
ここで「所定の態様」とは、前記同様に大入賞装置160の大入賞口161が左右一対の入賞口161a,161bに分かれていることを利用して、例えば、左側と右側の各一般入賞領域154への入賞個数の合計値の割合が3:1の比率であれば、これに応じて、左側の入賞口161bを3回開閉し、右側の入賞口161aを1回だけ開閉すること等が考えられる。
あるいは、合計値の多い方の一般入賞領域154に対応した左右の入賞口161a,161bの何れか一方のみを開くようにしても良い。もちろん、大入賞口161の各入賞口161a,161bを開閉する具体的な態様に関しては、これに限定されるものではなく、他に様々なバリエーションを考えることができる。なお、大入賞装置160を開状態に維持する時間は、例えば、0.3秒ないし1秒等と適宜定めることができる設計事項である。
このように、特別遊技状態の継続が最後(上限値)まで継続せずに、途中で終了してしまったような場合には、特別遊技状態が一旦発生してから継続終了までの一連の特別遊技状態における入賞状況に応じて、所定の態様で大入賞装置160を作動させることにより、前記第1の例とはまた異なる制御内容により、遊技者の利益が補填されて遊技者に満足感を与えることができると共に、よりいっそう斬新で興趣に富んだ遊技を演出することができる。
また、図20に示すように、変動入賞装置150の内部に入賞誘導手段156を設けても良い。入賞誘導手段156は、特別入賞領域155への遊技球の入賞確率に影響を与えるものであり、遊技球が特別入賞領域155へ入賞し易い遊技者にとって有利な誘導状態ないし通常の誘導状態に動作し、かかる動作は、入賞誘導手段156を傾動調整可能に支持する例えばロータリソレノイド等から成る入賞誘導手段ソレノイド(図示せず)によって行われる。
入賞誘導手段156は、具体的には例えば横長の誘導バー部材であって、左右に傾動動作が可能であり、左側あるいは右側に傾動した傾動姿勢(図20(b),(c)参照)と、傾動しない非傾動姿勢(図20(a)参照)とに傾動可能なものである。ただし、入賞誘導手段156は、このような構成や配置、動作に限定されるものではなく、特別入賞領域155への遊技球の入賞確率に影響を与える構成であれば別の構成であっても良い。
入賞誘導手段156は、非傾動姿勢にあるとき、その左右の端部から中央部に向かって下方にわずかに傾斜しており、入賞誘導手段156の中央部は、特別入賞領域155の上方に相当していて、中央口156aを有している。入賞誘導手段156が非傾動姿勢にあるとき、入賞誘導手段156の中央部に誘導された遊技球が中央口156aに入って下方の特別入賞領域155に向かって落下するようになっている。一方、入賞誘導手段156は傾動姿勢にあるとき、その左右の一方の端部から他方の端部に向かって大きく傾斜しており、一方の端部から他方の端部に向かって勢い良く遊技球が流下して、その勢いで中央口156aに入り難くなるように設定されている。
従って、特別入賞領域155に遊技球が入賞し易くなる有利な誘導状態とは、入賞誘導手段156が非傾動姿勢に維持されている状態や、非傾動姿勢になる回数が多い状態、あるいは非傾動姿勢になる時間が長い状態をいう。一方、特別入賞領域155に遊技球が入賞し難い通常の誘導状態とは、入賞誘導手段156が傾動姿勢に維持されている状態や、非傾動姿勢になる回数が少ない状態、あるいは非傾動姿勢になる時間が短い状態をいう。
また、図16に示すように、前記主基板100には、入賞誘導部材156の制御に関する遊技状態決定手段1130および入賞誘導手段制御手段1140を設けると良い。遊技状態決定手段1130は、複数の始動口21a〜21cへの遊技球の入賞に基づいて、可動部材152a,152bが第2状態から第1状態に変動している際に、入賞誘導手段156に係る状態を遊技者にとって有利な誘導状態にするか、あるいは通常の誘導状態にするかを、例えば乱数抽選等で決定するものである。
入賞誘導手段制御手段1140は、遊技状態決定手段1130の決定結果に基づき、入賞誘導手段156の入賞誘導手段ソレノイドに駆動信号を出力して、入賞誘導手段156の状態を制御するものである。もちろん、前記遊技状態決定手段1130を設けずに、入賞誘導手段制御手段1140だけを設けて、各始動口21a〜21cへの遊技球の入賞に基づき可動部材152a,152bが第2状態から第1状態に変動している際には、必ず入賞誘導手段156を遊技者にとって有利な誘導状態に調整するように設定しても良い。なお、入賞誘導手段156を、遊技者にとって有利な誘導状態に制御する際に、非傾動姿勢に維持する傾動角度や傾動時間はそれぞれ任意に設定するものとする。
前記変動入賞装置150では、特別入賞領域155へ遊技球を強制的に入賞させることはないが、特別入賞領域155に遊技球が入賞するか否かは、変動入賞装置150に設けられた入賞誘導手段156によって大きく左右される。この入賞誘導手段156が、特別入賞領域155への遊技球の入賞確率に影響を与えることにより、特別遊技状態が発生する可能性を高めることができる。
すなわち、主基板100の遊技状態決定手段1130により、入賞誘導手段156を遊技者にとって有利な誘導状態にすることが決定されると、同じく主基板100の入賞誘導手段制御手段1140は、入賞誘導手段156の入賞誘導手段ソレノイドに駆動信号を出力して、入賞誘導手段156を遊技者にとって有利な誘導状態に調整する。それにより、前記特別遊技状態が発生するための所定の条件が成立する可能性が高くなり、特別遊技状態に対する遊技者の期待感を盛り上げることができる。
入賞誘導手段156が遊技者に有利な誘導状態に制御されると、入賞誘導手段156が図20(a)に示す非傾動姿勢に維持されるか、非傾動姿勢になる回数や時間が長くなる。入賞誘導手段156が非傾動姿勢にあるとき、入賞誘導手段156の中央部に誘導された遊技球が中央口156aに入って下方の特別入賞領域155に向かって落下するようになっている。一方、入賞誘導手段156が通常の誘導状態にある場合は、入賞誘導手段156が図20(b),(c)に示す傾動姿勢に維持されるか、非傾動姿勢になる回数や時間が短くなる。
さらに、前記変動入賞装置150の入賞誘導手段156の別の構成例として、図21に示すように、前記誘導バー部材の中央部における前記中央口156a以外に、誘導バー部材上に載った遊技球を左右の端部に至る前に下方へ落下させる落下口156bを設けても良い。図21に示す例では、中央口156aの両側の離隔した位置に、それぞれ並ぶ一対の落下口156b,156bを設けている。各落下口156bは、中央口156aと同様に、遊技球を貫通させる穴として形成されている。
このような落下口156bを設けることにより、入賞誘導手段156である誘導バー部材の傾斜角度や傾動速度の如何によって、入賞誘導手段156上を転がる遊技球が中央口156aまで到達せずに、左右の落下口156bから下方へ落下するような場合も生じるため、遊技球のいっそうバリエーションに富む入賞形態を演出することができる。
さらに、前記入賞誘導手段156の別の構成例として、図22に示すように、前記誘導バー部材の中央部における前記中央口156a以外に、誘導バー部材上に載った遊技球が入り込み、前記非傾動姿勢にあるとき遊技球を保持する一方、前記傾動姿勢にあるとき遊技球が転がり出る受入溝156cを設けても良い。図22に示す例では、中央口156aの両側の離隔した位置に、それぞれ並ぶ一対の受入溝156c,156cを設けている。各受入溝156cは、中央口156aとは異なり、遊技球を受け入れる大きさであるが、貫通孔ではなく有底の溝状に形成されている。
このような受入溝156cを設けることにより、入賞誘導手段156である誘導バー部材の傾斜角度や傾動速度の如何によって、入賞誘導手段156上を転がる遊技球が、一旦受入溝156cにはまったり、さらに受入溝156cから転がり出て、左右の端部に至ったり、中央口156aから落下するような場合も生じるため、遊技球のいっそうバリエーションに富む入賞形態を演出することができる。
また、前記入賞誘導手段156の左右の傾動動作における振幅を調整可能とすれば良い。具体的には図23に示すように、入賞誘導手段156の傾動動作の振幅を、(a)小、(b)大の2段階に調整できるように設定する。これにより、変動入賞装置150が見た目の変化も相俟って、よりいっそう多様な形態に変化するから、変動入賞装置150におけるゲームがさらに興趣に富むものとなり、遊技者を惹き付けることができる。
また、前記入賞誘導手段156の左右の傾動動作における傾動速度を調整可能としても良い。具体的には例えば、入賞誘導手段156の傾動速度を、(a)遅い、(b)速い、の2段階に調整できるように設定する。これにより、前述した傾動動作における振幅の調整と同様に、変動入賞装置150が見た目の変化も相俟っていっそう多様な形態に変化するから、変動入賞装置150におけるゲームがさらに興趣に富むものとなり、遊技者を惹き付けることができる。
さらにまた、前記入賞誘導手段156を、左右の傾動動作とは別に上下方向における高さ位置も調整できるように構成すると良い。具体的には図24に示すように、入賞誘導手段156の高さ位置を、(a)低、(b)中、(c)高、の3段階に調整できるように設定する。具体的な構成としては、各可動部材152a,152bを水平方向に移動可能に支持する前記ガイドレール(図示せず)を、さらに上下方向に延びるガイドレール(図示せず)に沿ってラック及びピニオン等の駆動手段により上下方向に位置調整可能に支持すれば良い。
これにより、入賞誘導手段156の高さ位置を低くして前記特別入賞領域155からの距離を縮めるほど、特別入賞領域155に対する遊技球の入賞度合いは高くなる。ここで、入賞誘導手段156の高さ位置を複数段階に調整する起因としては、例えば、遊技機1の稼働状況に対応させることが考えられる。具体的には、通常の遊技時における特別遊技状態では、入賞誘導手段156の高さ位置を図24の(a)低に設定する。かかる(a)低は、前述した図20に示す入賞誘導手段156と同じ高さ位置である。
一方、所定の単位時間当たりの特別遊技状態の発生回数が多い場合や、始動口21への入賞回数が多い場合には、これに応じて、特別入賞領域155に対する遊技球の入賞度合いが低くなるように調整することが考えられる。すなわち、前述したように遊技者に有利な状況になるほど、入賞誘導手段156の高さ位置を順に高くすれば、特別入賞領域155に対する遊技球の入賞度合いも低くなり、遊技者に対する過度のサービスを抑制することにもなる。なお、入賞誘導手段156の高さ位置や、傾動動作の振幅、それに傾動速度を調整する起因は、前述した遊技機1の稼働状況に限定されるわけではない。
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成はこれらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。また、前述した実施の形態では、本発明に係る遊技機をパチンコ機に適用した場合について説明したが、遊技機はパチンコ機に限られず、プログラム制御されるスマートボールゲーム機、アレンジボールゲーム機といった他の遊技機にも同様に本発明を適用することができる。
また、前記実施の形態では、変動入賞装置150を図示したように構成したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、水平方向に作動可能な一対の可動部材152a,152bの代わりに、変動入賞装置150の可動部材を、受入口151の両側で回動可能な一対の可動翼として設けても良い。また、大入賞装置160として分離型大入賞口を採用したが、大入賞装置の構成は分離型大入賞口に限定されるものではなく、一枚の横長の扉(アタッカー)により開閉される1つの大入賞口を備えたものを採用してもかまわない。
また、前記実施の形態では、所定の条件の成立に関与する始動口21a〜21cが全部で3個設けられているが、始動口は複数あれば3個に限られるものではなく、例えば2個あるいは4個以上設けても良い。始動口が3個以外の場合も、各始動口ごとに対応した態様で変動入賞装置150の可動部材152a,152bと大入賞装置160を第1状態に作動させることになる。
また、前記報知手段310a,310bや前記表示部320は、LEDランプから成るものに限定されるものではなく、液晶ユニットやCRT表示器等の可変表示装置によって構成しても良い。かかる場合には、表示内容が豊富になり興趣に富む演出が可能となるが、前記ランプ制御基板400とは別に、可変表示装置の表示内容を制御するための表示器制御基板が別途必要となる。また、前記実施の形態では、保留球数を表示するための表示部320を変動入賞装置150のケース下部に設けたが、表示部320を設ける場所は変動入賞装置150に限られるわけではなく、遊技領域17の他の箇所に別途設けるようにしても良い。保留された抽選結果の表示に関しても同様である。
また、前記実施の形態で説明した特別遊技状態は、各ラウンドごとに変動入賞装置150に一定数の遊技球が入賞するまで、変動入賞装置150の一対の可動部材152a,152bが同期して繰り返し開閉するように設定したが、各々の可動部材152a,152bのうち少なくとも何れか一方のみを第1状態に作動させることで、特別遊技状態を演出するようにしても良い。
また、前記実施の形態では、遊技状態を報知する報知手段310a,310bには、保留された抽選結果を表示させたり、変動入賞装置150の各可動部材152a,152bの動作にかかる状態を顔図柄で表示するようにしたが、他に例えば、報知手段310a,310bに、特別遊技状態の各ラウンドごとに変動入賞装置150に入賞した遊技球の数をリアルタイムで表示するようにしても良い。それにより、遊技者は各可動部材152a,152bが第2状態になるまで、一定数のうちあと何個の遊技球が入賞すれば良いかを事前に明確に知ることができ、無駄な打球を発射させることがなくなり、持球の減りを少なくすることができる。
さらにまた、前記実施の形態では、主基板100に対して、ランプ制御基板400と音声制御基板500をそれぞれ別々の基板として構成したが、各種制御基板の構成として他に例えば、ランプ制御基板400と音声制御基板500の機能を同一基板上に設けて演出制御基板として構成しても良い。このように、前述した遊技制御手段1100等の各種機能を実現する具体的な構成は、図5および図6に具体的に示した各種制御基板に限定されるものではない。