JP2005295917A - 生活習慣病の疾患マーカー及びその利用 - Google Patents

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準二 市原
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浩司 林
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礼二 寺本
Toru Kimura
徹 木村
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Abstract

【課題】 生活習慣病の疾患マーカー、および該疾患マーカーを利用した生活習慣病の検出方法、該疾患の改善に有用な薬物のスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】 ALDH2遺伝子の塩基配列において、連続する少なくとも15塩基を有するポリヌクレオチド及び/またはそれに相補的なポリヌクレオチド、抗ALDH2抗体を、糖尿病などの生活習慣病の疾患マーカーとして利用する。
【選択図】 なし


Description

本発明は、生活習慣病の診断に有用な疾患マーカーに関する。より詳細には、本発明は生活習慣病、特に糖尿病の診断においてプライマーまたは検出プローブとして有効な疾患マーカー、及びかかる疾患マーカーを利用した生活習慣病の検出方法(診断方法)に関する。
また本発明は、上記疾患マーカーを利用して、生活習慣病の改善薬または治療薬として有効な物質をスクリーニングする方法、並びに該方法によって得られる上記物質を有効成分とする生活習慣病の改善薬または治療剤に関する。
近年、食生活の西洋化や社会的ストレスの増加等により、肥満や糖代謝異常(例えば、高血糖)を主因とする生活習慣病、特に2型糖尿病患者の増加が著しい。2型糖尿病の治療には、はじめに運動療法や食事療法が行われるが、本療法によっても体重コントロールが不十分な場合には薬物療法が行われる。この際摂食量と体重、血糖コントロールが良好で、かつ安全な治療薬が望まれている。
ヒトの肝臓、筋肉、脂肪において、糖代謝、脂質代謝はインスリン等の調節因子により制御されており、非常に重要な臓器である。特にヒトでは肝臓における糖新生をはじめとする機能が血糖値変化に与える影響は非常に大きなものであることが知られている。事実、2型糖尿病患者では肝臓におけるインスリン抵抗性が観察されており、肝臓からの糖放出は病態に大きく影響している。
上述のような観点から、肝臓におけるインスリン抵抗性の解除や糖代謝および糖新生、さらには脂質代謝の改善は糖尿病病態の改善効果に大きく貢献すると考えられるため、このような作用機序を有し、かつ安全性の高い薬剤の開発が望まれている。
なお、ALDH2は、アセトアルデヒドや他のアルデヒドを酸化する活性を有することが知られており、ALDH2の単離精製方法も活性測定法も公知であるが(非特許文献1、非特許文献2)、糖尿病などの肥満や糖代謝異常を主因とする生活習慣病と関連することについては、今まで何ら分かっておらず、かかる関連を示唆する報文も皆無である。
J. Biol. Chem. 271, 31172-31178 (1996) Biochem. Pharmacol. 55, 1099-1103 (1998)
本発明は、生活習慣病の診断や治療に有用な疾患マーカーを提供することを目的とする。より詳細には、生活習慣病を特異的に反映した疾患マーカーを提供することを目的とする。
さらに本発明は、該疾患マーカーを利用した生活習慣病の検出方法(遺伝子診断方法)、該疾患の改善または治療に有用な薬物をスクリーニングする方法、並びに該疾患の改善または治療に有用な薬物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を鑑みて鋭意研究を行っていたところ、複数種類の糖尿病モデルマウスの肝臓においてアルデヒドデヒドロゲナーゼ2遺伝子(ALDH2遺伝子: GenBank Accession No. NM_009656)の発現が減少していることを新たに見出した。このことから、本発明者らは、ALDH2遺伝子が生活習慣病の疾患マーカーとなる遺伝子であるとの知見を得た。
更に本発明者らは、糖尿病治療薬メトホルミン投与2時間後の糖尿病モデルマウスは、メトホルミン投与により糖尿病状態が改善され、肝臓におけるALDH2遺伝子の発現が減少していることを明らかにした。そのため、ALDH2遺伝子の発現抑制や、当該遺伝子によりコードされるタンパク質(ALDH2)の発現抑制や機能(活性)抑制を指標としたスクリーニング系は、新たなメカニズムに基づく生活習慣病の予防、改善または治療薬の探索に有効であるとの確信を得た。
本発明はかかる知見を基礎として完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、下記に掲げるものである:
(1)アルデヒドデヒドロゲナーゼ2(ALDH2)遺伝子の塩基配列において、連続する少なくとも15塩基を有するポリヌクレオチド及び/または該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドからなる、生活習慣病の疾患マーカー、
(2)生活習慣病が糖尿病である前記(1)に記載の疾患マーカー、
(3)下記の工程(a)、(b)及び(c)を含む、生活習慣病の検出方法:
(a) 被験者の生体試料から調製されたRNAまたはそれから転写された相補的ポリヌクレオチドと前記(1)または(2)に記載の疾患マーカーとを結合させる工程、
(b) 該疾患マーカーに結合した生体試料由来のRNAまたは該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドを、上記疾患マーカーを指標として測定する工程、
(c) 上記(b)の測定結果に基づいて、生活習慣病の罹患を判断する工程、
(4)ALDH2を認識する抗体を含有する、生活習慣病の疾患マーカー、
(5)生活習慣病が糖尿病である前記(4)に記載の疾患マーカー、
(6)下記の工程(a)、(b)及び(c)を含む、生活習慣病の検出方法:
(a) 被験者の生体試料から調製されたタンパク質と前記(4)または(5)に記載の疾患マーカーとを結合させる工程、
(b) 該疾患マーカーに結合した生体試料由来のタンパク質を、上記疾患マーカーを指標として測定する工程、
(c) 上記(b)の測定結果に基づいて、生活習慣病の罹患を判断する工程、
(7)生活習慣病が糖尿病である、前記(3)または(6)に記載の検出方法、
(8)下記の工程(a)、(b)及び(c)を含む、ALDH2遺伝子の発現を抑制する物質のスクリーニング方法:
(a) 被験物質とALDH2遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる工程、
(b) 被験物質を接触させた細胞におけるALDH2遺伝子の発現量を測定し、該発現量を被験物質を接触させない対照細胞における上記遺伝子の発現量と比較する工程、
(c) 上記(b)の比較結果に基づいて、ALDH2遺伝子の発現量を減少させる被験物質を選択する工程、
(9)下記の工程(a)、(b)及び(c)を含む、ALDH2の発現を抑制する物質のスクリーニング方法:
(a) 被験物質とALDH2を発現可能な細胞とを接触させる工程、
(b) 被験物質を接触させた細胞におけるALDH2の発現量を測定し、該発現量を被験物質を接触させない対照細胞における上記タンパク質の発現量と比較する工程、
(c) 上記(b)の比較結果に基づいて、ALDH2の発現量を減少させる被験物質を選択する工程、
(10)下記の工程(a)、(b)及び(c)を含む、ALDH2の機能(活性)を抑制する物質のスクリーニング方法:
(a) 被験物質を、ALDH2に接触させる工程、
(b) 上記(a)の工程に起因して生じるALDH2の機能(活性)を測定し、該機能(活性)を被験物質を接触させない場合のALDH2の機能(活性)と比較する工程、
(c) 上記(b)の比較結果に基づいて、ALDH2の機能(活性)の低下をもたらす被験物質を選択する工程、
(11)生活習慣病の改善または治療剤の有効成分を探索するための方法である、前記(8)乃至(10)のいずれかに記載のスクリーニング方法、
(12)生活習慣病が糖尿病である前記(11)に記載のスクリーニング方法、
(13)ALDH2遺伝子の発現を抑制する物質を有効成分とする生活習慣病の予防、改善または治療剤、
(14)ALDH2遺伝子の発現を抑制する物質が、前記(8)に記載のスクリーニング法により得られるものである、前記(13)に記載の生活習慣病の予防、改善または治療剤、
(15)ALDH2の発現量、機能または活性を抑制する物質を有効成分とする生活習慣病の予防、改善または治療剤、
(16)ALDH2の発現量、機能または活性を抑制する物質が、前記(9)または(10)に記載のスクリーニング法により得られるものである、前記(15)に記載の生活習慣病の予防、改善または治療剤、
(17)生活習慣病が糖尿病である、前記(13)乃至(16)のいずれかに記載の剤、
(18)ALDH2の塩基配列に相補的もしくは実質的に相補的な塩基配列またはその一部を含有するアンチセンスポリヌクレオチド。
上記のように、本発明によれば、生活習慣病の疾患マーカー、該疾患の検出系、ALDH2遺伝子の発現を抑制する物質のスクリーニング系、ALDH2の発現、機能(活性)を抑制する物質のスクリーニング系、およびこれらの物質を有効成分とする生活習慣病の予防、改善及び治療剤が提供される。
本発明は、前述するように、複数の種類の糖尿病モデルマウスの肝臓においてALDH2遺伝子の発現が減少していることを見出したことに基づくものである。従って、ALDH2遺伝子及びその発現産物〔タンパク質、(ポリ)(オリゴ)ペプチド〕は、生活習慣病の解明、診断、予防及び治療に有効に利用することができ、かかる利用によって医学並びに臨床学上、有用な情報や手段を得ることができる。更に、個体(生体組織)におけるALDH2遺伝子の発現またはその発現産物の検出、または該遺伝子の変異またはその発現不全の検出は、生活習慣病の解明や診断に有効に利用することができる。
また本発明は、糖尿病治療薬メトホルミン投与2時間後の糖尿病モデルマウスは、血中グルコース濃度が低下し、肝臓におけるALDH2遺伝子の発現が減少していることを見出したことに基づくものである。そのため、ALDH2遺伝子及びその発現産物並びにそれらからの派生物(例えば、遺伝子断片、抗体など)は、ALDH2遺伝子の発現を抑制する物質、及びALDH2の発現量、機能(活性)を抑制する物質のスクリーニングに有用であり、該スクリーニングによって得られる物質は生活習慣病の予防、改善及び治療薬として有効である。更に、これらの遺伝子のアンチセンスポリヌクレオチドは、生活習慣病の予防、改善及び治療薬として有用である。
以下、本明細書において、アミノ酸、(ポリ)ペプチド、(ポリ)ヌクレオチドなどの略号による表示は、IUPAC−IUBの規定〔IUPAC-IUB Communication on Biological Nomenclature, European Journal of Biochemistry, 138: 9 (1984)〕、「塩基配列又はアミノ酸配列を含む明細書等の作成のためのガイドライン」(日本国特許庁編)、および当該分野における慣用記号に従う。
本明細書において「遺伝子」または「ポリヌクレオチド」とは、特定の塩基配列(配列番号1、3)で示される「RNA」または「DNA」だけでなく、ヒト、マウス、ラットなどの生物種間で保存されるオーソログ遺伝子など、これらにコードされるタンパク質と生物学的機能が同等であるタンパク質(例えば同族体(ホモログやスプライスバリアントなど)、変異体及び誘導体)をコードする「遺伝子」または「ポリヌクレオチド」が含まれる。かかる同族体、変異体または誘導体をコードする「遺伝子」または「ポリヌクレオチド」としては、具体的には、後述の(1-1)項に記載のストリンジェントな条件下で、前記の配列番号1、3で示される特定塩基配列の相補配列とハイブリダイズする塩基配列を有する「遺伝子」または「ポリヌクレオチド」を挙げることができる。
本明細書において「DNA」とは、2本鎖DNAのみならず、それを構成するセンス鎖およびアンチセンス鎖といった各1本鎖DNAを包含する趣旨で用いられる。またその長さによって特に制限されるものではない。従って、本明細書においてDNAとは、特に言及しない限り、ヒトゲノムDNAを含む2本鎖DNAおよびcDNAを含む1本鎖DNA(正鎖)並びに該正鎖と相補的な配列を有する1本鎖DNA(相補鎖)、およびこれらの断片のいずれもが含まれる。なお、遺伝子またはDNAは、機能領域の別を問うものではなく、例えば発現制御領域、コード領域、エキソン、またはイントロンを含むことができる。
本明細書において「RNA」とは、1本鎖RNAのみならず、それに相補的な配列を有する1本鎖RNA、さらにはそれらから構成される2本鎖RNAを包含する趣旨で用いられる。またその長さによって特に制限されるものではない。
なお、上記DNAには、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAのいずれもが含まれ、上記RNAには、total RNA、mRNA、rRNA、及び合成のRNAのいずれもが含まれる。
例えばヒト由来のタンパク質のホモログをコードする遺伝子としては、当該タンパク質をコードするヒト遺伝子に対応するマウスやラットなど他生物種の遺伝子が例示でき、これらの遺伝子(ホモログ)は、HomoloGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/HomoloGene/)により同定することができる。具体的には、特定ヒト遺伝子名や塩基配列のアクセション番号をLocusLink(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/LocusLink/)の検索にかけて該当するヒト遺伝子データを見いだす。そのデータのリンクメニューにあるHomoloGeneにアクセスして表示された他生物種遺伝子とヒト遺伝子との遺伝子ホモログの相関を示したリストから、ヒト遺伝子に対応するマウスやラットなど他生物種の遺伝子を遺伝子(ホモログ)として選抜することができる。また、Incyte社のBioknowledgeデータベースでも該データベースの利用方法に従って遺伝子検索することで、ヒト遺伝子に対するマウスやラットホモログ遺伝子を調べ、見いだすことができる。
従って本明細書において「アルデヒドデヒドロゲナーゼ2遺伝子」「ALDH2遺伝子」といった用語を用いる場合、特に言及しない限り、特定塩基配列(配列番号1)で示されるヒトALDH2遺伝子(DNA)や、その同族体、変異体または誘導体などをコードする遺伝子を包含する趣旨で用いられる。具体的には、配列番号1に記載のヒトALDH2遺伝子(GenBank Accession No. NM_000690)や、そのマウスホモログである配列番号3に記載のマウスALDH2遺伝子(GenBank Accession No. NM_009656)などが包含される。
本明細書において「タンパク質」または「(ポリ)ペプチド」には、特定のアミノ酸配列(配列番号2、4)で示される「タンパク質」または「(ポリ)ペプチド」だけでなく、ヒト、マウス、ラットなどの生物種間で保存されるオーソログ遺伝子からの翻訳産物である「タンパク質」または「ポリペプチド」だけでなく、特定のアミノ酸配列(配列番号2、4)で示される「タンパク質」または「(ポリ)ペプチド」と生物学的機能が同等であることを限度として、その同族体(ホモログやスプライスバリアント)、変異体、誘導体、およびアミノ酸修飾体などが包含される。ここでホモログとしては、ヒトのタンパク質に対応するマウスやラットなど他生物種のタンパク質が例示でき、これらはHomoloGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/HomoloGene/)により同定された遺伝子の塩基配列から演繹的に同定することができる。また変異体には、天然に存在するアレル変異体、天然に存在しない変異体、および人為的に欠失、置換、付加および挿入されることによって改変されたアミノ酸配列を有する変異体が包含される。なお、上記変異体としては、変異のないタンパク質または(ポリ)ペプチドと、少なくとも70%、好ましくは80%、より好ましくは95%、さらにより好ましくは97%相同なものを挙げることができる。
従って本明細書において「ALDH2タンパク質」または単に「ALDH2」といった用語を用いる場合、特に言及しない限り、特定アミノ酸配列(配列番号2)で示されるヒトALDH2タンパクや、その同族体、変異体、誘導体およびアミノ酸修飾体(Mol.Cell.Biol.,20, 5010 - 5018 (2000)、J.Biol.Chem.,276, 993 - 998 (2001))などを包含する趣旨で用いられる。具体的には、配列番号2に記載のヒトALDH2(GenBank Accession No. NP_000681)や、そのマウスホモログである配列番号4に記載のマウスALDH2(GenBank Accession No. NP_033786)などが包含される。
また本明細書において「アルデヒドデヒドロゲナーゼ2活性」または「ALDH2活性」といった用語を用いる場合も、特に言及しない限り、ALDH2タンパクが保持する生物学的活性の範囲を限度として、その同族体、誘導体、および変異体が保持する生物学的活性などを包含する趣旨で用いられる。具体的には、配列番号2に記載のヒトALDH2や、そのマウスホモログである配列番号4に記載のマウスALDH2などが保持する生物学的活性が包含される。
本明細書でいう「抗体」には、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、またはFabフラグメントやFab発現ライブラリーによって生成されるフラグメントなどのように抗原結合性を有する上記抗体の一部が包含される。
本明細書において「生活習慣病」とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」を指し、糖尿病、肥満、高脂血症(家族性を除く)、高尿酸血症、循環器疾患(先天性を除く)、大腸癌(家族性を除く)、高血圧症、肺扁平上皮癌、慢性気管支炎、肺気腫、アルコール性肝障害、歯周病などが含まれる。また、肥満や糖代謝異常を主因とする生活習慣病とは、前述の疾患のうち、リスクファクターとしての肥満や糖代謝異常の影響が大きいとされる、糖尿病、高脂血症(家族性を除く)を主に指す。
さらに本明細書において「疾患マーカー」とは、生活習慣病の罹患の有無、罹患の程度若しくは改善の有無や改善の程度を診断するために、また生活習慣病の予防、改善または治療に有効な候補物質をスクリーニングするために、直接または間接的に利用されるものをいう。これには、生活習慣病の罹患に関連して生体内、特に肝臓において発現が変動する遺伝子またはタンパク質を特異的に認識し、また結合することのできる(ポリ)(オリ)ヌクレオチドまたは抗体が包含される。これらの(ポリ)(オリゴ)ヌクレオチドおよび抗体は、上記性質に基づいて、生体内、組織や細胞内などで発現した上記遺伝子及びタンパク質を検出するためのプローブとして、また(ポリ)ヌクレオチドは生体内で発現した上記遺伝子を増幅するためのプライマーとして有効に利用することができる。
本明細書において診断対象となる「生体組織」とは、生活習慣病に伴い、本発明のALDH2遺伝子が発現減少する組織を指す。具体的には、肝臓組織等を指す。
以下、ALDH2遺伝子(ポリヌクレオチド)、並びにこの発現産物(ALDH2)およびそれらの派生物について、具体的な用途を説明する。
(1)生活習慣病の疾患マーカー及びその応用
(1-1) ポリヌクレオチド
前述のように、ヒト由来のALDH2遺伝子およびマウス由来のALDH2遺伝子はいずれも公知の遺伝子であり、それらの取得方法についても、Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 82, 3771-3775(1985)、及びGene 148, 331-336 (1994)に記載されるように公知である。
本発明は、前述するように、複数種類の糖尿病モデルマウスの糖尿病病態の肝臓においてALDH2遺伝子の発現が減少している、という知見を発端に、ALDH2遺伝子の発現の有無や発現の程度を検出することによって生活習慣病の罹患の有無や罹患の程度が特異的に検出でき、該疾患の診断を正確に行うことができるという知見に基づくものである。
上記ポリヌクレオチドは、従って、被験者における上記遺伝子の発現の有無またはその程度を検出することによって、該被験者が生活習慣病に罹患しているか否かまたはその罹患の程度を診断することのできるツール(疾患マーカー)として有用である。特に糖尿病(2型糖尿病など)に罹患しているか否か、またはその罹患の程度を診断することのできるツール(疾患マーカー)として有用である。
また、上記ポリヌクレオチドは、後述の(3-1)項に記載するような生活習慣病の予防、改善または治療に有効な候補物質のスクリーニングにおいて、ALDH2遺伝子の発現変動を検出するためのスクリーニングツール(疾患マーカー)としても有用である。
本発明の疾患マーカーは、前記ALDH2遺伝子の塩基配列において、連続する少なくとも15塩基を有するポリヌクレオチド及び/またはそれに相補的なポリヌクレオチドからなることを特徴とするものである。
具体的には、本発明の疾患マーカーは、配列番号1若しくは配列番号3に記載のALDH2遺伝子の塩基配列において、連続する少なくとも15塩基を有するポリヌクレオチド及び/またはそれに相補的なポリヌクレオチドからなるものを挙げることができる。
ここで相補的なポリヌクレオチド(相補鎖、逆鎖)とは、前記ALDH2遺伝子の塩基配列からなるポリヌクレオチドの全長配列、または該塩基配列において少なくとも連続した15塩基長の塩基配列を有するその部分配列(ここでは便宜上、これらを「正鎖」ともいう)に対して、A:TおよびG:Cといった塩基対関係に基づいて、塩基的に相補的な関係にあるポリヌクレオチドを意味するものである。ただし、かかる相補鎖は、対象とする正鎖の塩基配列と完全に相補配列を形成する場合に限らず、対象とする正鎖とストリンジェントな条件でハイブリダイスすることができる程度の相補関係を有するものであってもよい。なお、ここでストリンジェントな条件は、Berger and Kimmel (1987, Guide to Molecular Cloning Techniques Methods in Enzymology, Vol. 152, Academic Press, San Diego CA) に教示されるように、複合体或いはプローブを結合する核酸の融解温度(Tm)に基づいて決定することができる。例えばハイブリダイズ後の洗浄条件として、通常「1×SSC、0.1%SDS、37℃」程度の条件を挙げることができる。相補鎖はかかる条件で洗浄しても対象とする正鎖とハイブリダイズ状態を維持するものであることが好ましい。特に制限されないが、より厳しいハイブリダイズ条件として「0.5×SSC、0.1%SDS、42℃」程度、さらに厳しいハイブリダイズ条件として「0.1×SSC、0.1%SDS、65℃」程度の洗浄条件を挙げることができる。具体的には、このような相補鎖として、対象の正鎖の塩基配列と完全に相補的な関係にある塩基配列からなる鎖、並びに該鎖と少なくとも90%、好ましくは95%の相同性を有する塩基配列からなる鎖を例示することができる。
ここで、正鎖側のポリヌクレオチドには、ALDH2遺伝子の塩基配列、またはその部分配列を有するものだけでなく、上記相補鎖の塩基配列に対してさらに相補的な関係にある塩基配列からなる鎖を含めることができる。
さらに上記正鎖のポリヌクレオチド及び相補鎖(逆鎖)のポリヌクレオチドは、各々一本鎖の形態で疾患マーカーとして使用されても、また二本鎖の形態で疾患マーカーとして使用されてもよい。
本発明の生活習慣病(糖尿病など)の疾患マーカーは、具体的には、ALDH2遺伝子の塩基配列(全長配列)からなるポリヌクレオチドであってもよいし、その相補配列からなるポリヌクレオチドであってもよい。また、ALDH2遺伝子もしくは該遺伝子に由来するポリヌクレオチドを選択的に(特異的に)認識するものであれば、上記全長配列またはその相補配列の部分配列からなるポリヌクレオチドであってもよい。この場合、部分配列としては、上記全長配列またはその相補配列の塩基配列から任意に選択される少なくとも15個の連続した塩基長を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。
なお、ここで「選択的に(特異的に)認識する」とは、例えばノーザンブロット法においては、ALDH2遺伝子またはこれに由来するポリヌクレオチドが特異的に検出できること、またRT-PCR法においてはALDH2遺伝子またはこれに由来するポリヌクレオチドが特異的に生成されることを意味するが、それに限定されることなく、当業者が上記検出物または生成物がALDH2遺伝子に由来するものであると判断できるものであればよい。
本発明の疾患マーカーは、例えば配列番号1若しくは配列番号3で示されるALDH2遺伝子の塩基配列をもとに、例えばprimer 3 (http://www.genome.wi.mit.edu/cgi-bin/primer/primer3.cgi)あるいはベクターNTI(Infomax社製)を利用して設計することができる。具体的には前記ALDH2遺伝子の塩基配列をprimer 3またはベクターNTIのソフトウエアにかけて得られる、プライマーまたはプローブの候補配列、若しくは少なくとも該配列を一部に含む配列をプライマーまたはプローブとして使用することができる。
本発明の疾患マーカーは、上述するように連続する少なくとも15塩基の長さを有するものであればよいが、具体的にはマーカーの用途に応じて、長さを適宜選択し設定することができる。
(1-2)プローブまたはプライマーとしてのポリヌクレオチド
本発明において生活習慣病の検出(診断)は、被験者の生体組織、特に肝臓組織等におけるALDH2遺伝子の発現の有無または発現レベル(発現量)を評価することによって行われる。この場合、上記本発明の疾患マーカーは、上記遺伝子の発現によって生じたRNAまたはそれに由来するポリヌクレオチドを特異的に認識し増幅するためのプライマーとして、または該RNAまたはそれに由来するポリヌクレオチドを特異的に検出するためのプローブとして利用することができる。
本発明疾患マーカーを生活習慣病の検出(遺伝子診断)においてプライマーとして用いる場合には、通常15bp〜100bp、好ましくは15bp〜50bp、より好ましくは15bp〜35bpの塩基長を有するものが例示できる。また検出プローブとして用いる場合には、通常15bp〜全配列の塩基数、好ましくは15bp〜1kb、より好ましくは100bp〜1kbの塩基長を有するものが例示できる。
本発明の疾患マーカーは、ノーザンブロット法、RT-PCR法、in situハイブリダーゼーション法などといった、特定遺伝子を特異的に検出する公知の方法において、常法に従ってプライマーまたはプローブとして利用することができる。該利用によって生活習慣病、特に糖尿病におけるALDH2遺伝子の発現の有無または発現レベル(発現量)を評価することができる。
測定対象試料としては、使用する検出方法の種類に応じて、被験者の肝臓組織の一部をバイオプシ等で採取するか、若しくは血液等を採取し、そこから常法に従って調製したtotal RNAを用いてもよいし、さらに該RNAをもとにして調製される各種のポリヌクレオチドを用いてもよい。
また、生体組織におけるALDH2遺伝子の遺伝子発現レベルは、DNAチップを利用して検出あるいは定量することができる。この場合、本発明の疾患マーカーは当該DNAチップのプローブとして使用することができる(例えば、アフィメトリックス社の Gene Chip Human Genome U95 A,B,C,D,Eの場合、25bpの長さのポリヌクレオチドプローブとして用いられる)。かかるDNAチップを、生体組織から採取したRNAをもとに調製される標識DNAまたはRNAとハイブリダイズさせ、該ハイブリダイズによって形成された上記プローブ(本発明疾患マーカー)と標識DNAまたはRNAとの複合体を、該標識DNAまたはRNAの標識を指標として検出することにより、生体組織中でのALDH2遺伝子の発現の有無または発現レベル(発現量)が評価できる。
上記DNAチップは、ALDH2遺伝子と結合し得る1種または2種以上の本発明疾患マーカーを含んでいれば良い。複数の疾患マーカーを含むDNAチップの利用によれば、ひとつの生体試料について、同時に複数の遺伝子の発現の有無または発現レベルの評価が可能である。
本発明の疾患マーカーは、生活習慣病の診断、検出(罹患の有無や罹患の程度の診断)に有用である。特に糖尿病の診断、検出(罹患の有無や罹患の程度の診断)に有用である。具体的には、該疾患マーカーを利用した生活習慣病の診断は、被験者の生体組織と正常者の生体組織におけるALDH2遺伝子の遺伝子発現レベルの違いを判定することによって行うことができる。この場合、遺伝子発現レベルの違いには、発現のある/なしの違いだけでなく、被験者の生体組織と正常者の生体組織の発現量の格差が1.1倍以上、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上の場合が含まれる。具体的にはALDH2遺伝子は糖尿病モデルマウスの肝臓において発現が減少しているので、被験者の生体組織で発現が減少または消失しており、該発現量が正常者の生体組織の発現量と比べて10%以上減少、好ましくは20%以上減少、より好ましくは50%以上減少していれば、被験者について生活習慣病の罹患が疑われる。
(1-3)抗体
本発明は、生活習慣病の疾患マーカーとして、ALDH2を特異的に認識することのできる抗体を提供する。
当該抗体として、具体的には、配列番号2若しくは配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するALDH2タンパク質を特異的に認識することのできる抗体を挙げることができる。
本発明は、前述するように、複数種類の糖尿病モデルマウスの肝臓においてALDH2遺伝子の発現が減少しているという知見を発端に、ALDH2タンパク質発現の有無や程度を検出することによって、上記生活習慣病の罹患の有無や罹患の程度が特異的に検出でき、該疾患の診断を正確に行うことができるという発想に基づくものである。
上記抗体は、従って、被験者における上記タンパク質の発現の有無またはその程度を検出することによって、該被験者が生活習慣病に罹患しているか否かまたはその罹患の程度を診断することのできるツール(疾患マーカー)として有用である。特に被験者が糖尿病に罹患しているか否かまたはその疾患の程度を診断することのできるツール(疾患マーカー)として有用である。
また上記抗体は、後述の(3-2)項に記載するような生活習慣病の予防、改善または治療に有用な候補物質のスクリーニングにおいて、ALDH2の発現変動を検出するためのスクリーニングツール(疾患マーカー)としても有用である。
前記のように、ヒト由来のALDH2やマウス由来のALDH2は公知のタンパク質であり、その取得方法についてもJ. Biol. Chem. 271, 31172-31178 (1996) あるいはMol. Pharmacol. 46, 88-96 (1994)に記載されるように公知である。
本発明の抗体は、その形態に特に制限はなく、ALDH2を免疫抗原とするポリクローナル抗体であっても、またそのモノクローナル抗体であってもよい。さらに当該ALDH2のアミノ酸配列のうち少なくとも連続する、通常8アミノ酸、好ましくは15アミノ酸、より好ましくは20アミノ酸からなるポリペプチドに対して抗原結合性を有する抗体も、本発明の抗体に含まれる。
これらの抗体の製造方法は、すでに周知であり、本発明の抗体もこれらの常法に従って製造することができる(Current protocols in Molecular Biology , Chapter 11.12〜11.13(2000))。具体的には、本発明の抗体がポリクローナル抗体の場合には、常法に従って大腸菌等で発現し精製したALDH2を用いて、あるいは常法に従って当該ALDH2の部分アミノ酸配列を有するオリゴペプチドを合成して、家兎等の非ヒト動物に免疫し、該免疫動物の血清から常法に従って得ることが可能である。一方、モノクローナル抗体の場合には、常法に従って大腸菌等で発現し精製したALDH2、あるいはタンパク質の部分アミノ酸配列を有するオリゴペプチドをマウス等の非ヒト動物に免疫し、得られた脾臓細胞と骨髄腫細胞とを細胞融合させて調製したハイブリドーマ細胞の中から得ることができる(Current protocols in Molecular Biology edit. Ausubel et al. (1987) Publish. John Wiley and Sons. Section 11.4〜11.11)。
抗体の作製に免疫抗原として使用されるALDH2タンパク質は、本発明により提供される遺伝子の配列情報(配列番号1または3)に基づいて、DNAクローニング、各プラスミドの構築、宿主へのトランスフェクション、形質転換体の培養および培養物からのタンパク質の回収の操作により得ることができる。これらの操作は、当業者に既知の方法、あるいは文献記載の方法(Molecular Cloning, T.Maniatis et al., CSH Laboratory (1983), DNA Cloning, DM. Glover, IRL PRESS (1985))などに準じて行うことができる。
具体的には、ALDH2をコードする遺伝子が所望の宿主細胞中で発現できる組み換えDNA(発現ベクター)を作製し、これを宿主細胞に導入して形質転換し、該形質転換体を培養して、得られる培養物から、目的タンパク質を回収することによって、本発明抗体の製造のための免疫抗原としてのタンパク質を得ることができる。またALDH2の部分ペプチドは、本発明により提供されるアミノ酸配列の情報(配列番号2、4)に従って、一般的な化学合成法(ペプチド合成)によって製造することもできる。
なお、本発明のALDH2には、配列番号2または配列番号4に示すアミノ酸配列に関わるタンパク質のみならず、その相同物も包含される。該相同物としては、上記配列番号2または配列番号4で示されるアミノ酸配列において、1若しくは複数のアミノ酸が欠失、置換または付加されたアミノ酸配列からなり、且つ配列番号2または配列番号4で示されるタンパク質と免疫学的に同等の活性を有するタンパク質を挙げることができる。
ここで同等の免疫学的活性を有するタンパク質としては、適当な動物あるいはその細胞において特定の免疫反応を誘発し、かつALDH2に対する抗体と特異的に結合する能力を有するタンパク質を挙げることができる。
なお、タンパク質におけるアミノ酸の変異数や変異部位は、その免疫学的活性が保持される限り制限はない。免疫学的活性を喪失することなくアミノ酸残基が、どのように、何個置換、挿入あるいは欠失されればよいかを決定する指標は、当業者に周知のコンピュータプログラム、例えばDNA Star softwareを用いて見出すことができる。例えば変異数は、典型的には、全アミノ酸の10%以内であり、好ましくは全アミノ酸の5%以内であり、さらに好ましくは全アミノ酸の1%以内である。また置換されるアミノ酸は、置換後に得られるタンパク質がALDH2と同等の免疫学的活性を保持している限り、特に制限されないが、タンパク質の構造保持の観点から、残基の極性、電荷、可溶性、疎水性、親水性並びに両親媒性など、置換前のアミノ酸と似た性質を有するアミノ酸であることが好ましい。例えば、Ala、Val、Leu、Ile、Pro、Met、Phe及びTrpは互いに非極性アミノ酸に分類されるアミノ酸であり、Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、Asn及びGlnは互いに非荷電性アミノ酸に分類されるアミノ酸であり、Asp及びGluは互いに酸性アミノ酸に分類されるアミノ酸であり、またLys、Arg及びHisは互いに塩基性アミノ酸に分類されるアミノ酸である。ゆえに、これらを指標として同群に属するアミノ酸を適宜選択することができる。
また本発明抗体は、ALDH2の部分アミノ酸配列を有するオリゴペプチドを用いて調製されるものであってよい。かかる抗体の製造のために用いられるオリゴ(ポリ)ペプチドは、機能的な生物活性を有することは要しないが、ALDH2と同様な免疫原特性を有するものであることが望ましい。好ましくはこの免疫原特性を有し、且つALDH2のアミノ酸配列において少なくとも連続する8アミノ酸、好ましくは15アミノ酸、より好ましくは20アミノ酸からなるオリゴ(ポリ)ペプチドを例示することができる。
かかるオリゴ(ポリ)ペプチドに対する抗体の製造は、宿主に応じて種々のアジュバントを用いて免疫学的反応を高めることによって行うこともできる。限定はされないが、そのようなアジュバントには、フロイントアジュバント、水酸化アルミニウムのようなミネラルゲル、並びにリゾレシチン、プルロニックポリオル、ポリアニオン、ペプチド、油乳剤、キーホールリンペットヘモシアニン及びジニトロフェノールのような表面活性物質、BCG(カルメット−ゲラン桿菌)やコリネバクテリウム-パルヴムなどのヒトアジュバントが含まれる。
本発明の抗体はALDH2に特異的に結合する性質を有することから、該抗体を利用することによって、被験者の組織内に発現したALDH2を特異的に検出することができる。即ち、当該抗体は被験者の組織内におけるALDH2のタンパク発現の有無を検出するためのプローブとして有用である。
具体的には、被験者の肝臓組織の一部をバイオプシ等で採取するか、もしくは血液などを採取し、そこから常法に従って調製した組織抽出物やタンパク質を用いて、例えばウェスタンブロット法、ELISA法など公知の検出方法において、本発明抗体を常法に従ってプローブとして使用することによって、ALDH2を検出することができる。
生活習慣病の診断に際しては、被験者の生体組織におけるALDH2と正常な生体組織におけるALDH2との量の違いを判定すればよい。この場合、タンパク量の違いには、タンパクのある/なし、あるいはタンパク量の違いが1.1倍以上、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上の場合が含まれる。具体的には、ALDH2遺伝子は糖尿病モデルマウスにおいて正常マウスと比較して発現が減少しているので、被験者の前記生体組織においてALDH2の発現量が、正常な生体組織でのALDH2量と比べて10%以上減少、好ましくは20%以上減少、より好ましくは50%以上減少していることが判定されれば、生活習慣病、特に糖尿病の罹患が疑われる。
(2)生活習慣病の検出方法(診断方法)
本発明は、前述した本発明疾患マーカーを利用した生活習慣病の検出方法(診断方法)を提供するものである。
具体的には、本発明の検出方法(診断方法)は、被験者の肝臓組織の一部をバイオプシ等で採取するか、もしくは血液などを採取し、そこに含まれる生活習慣病に関連するALDH2遺伝子の遺伝子発現レベル、およびこの遺伝子に由来するタンパク質(ALDH2)を検出し、その発現量またはそのタンパク質量を測定することにより、生活習慣病、特に糖尿病の罹患の有無またはその程度を検出(診断)するものである。また本発明の検出(診断)方法は、例えば生活習慣病患者において、該疾患の改善のために治療薬を投与した場合における、該疾患の改善の有無またはその程度を検出(診断)することもできる。
本発明の検出方法は次の(a)、(b)及び(c)の工程を含むものである:
(a) 被験者の生体試料と本発明の疾患マーカーを接触させる工程、
(b) 生体試料中のALDH2遺伝子の遺伝子発現レベル、またはALDH2のタンパク質の量を、上記疾患マーカーを指標として測定する工程、
(c) 上記(b)の結果をもとに、生活習慣病の罹患を判断する工程。
ここで用いられる生体試料としては、被験者の生体組織(肝臓組織及びその周辺組織など)から調製される試料を挙げることができる。具体的には、該組織から調製されるRNA含有試料、若しくはそれからさらに調製されるポリヌクレオチドを含む試料、または上記組織から調製されるタンパク質を含む試料を挙げることができる。かかるRNA、ポリヌクレオチドまたはタンパク質を含む試料は、被験者の肝臓組織の一部をバイオプシ等で採取するか、もしくは血液を採取し、そこから常法に従って調製することができる。
本発明の診断方法は、測定対象として用いる生体試料の種類に応じて、具体的には下記のようにして実施される。
(2-1) 測定対象の生体試料としてRNAを利用する場合
測定対象物としてRNAを利用する場合、生活習慣病の検出は、具体的には下記の工程(a)、(b)及び(c)を含む方法によって実施することができる:
(a)被験者の生体試料から調製されたRNAまたはそれから転写された相補的ポリヌクレオチドと、前記本発明の疾患マーカー(ALDH2遺伝子の塩基配列において連続する少なくとも15塩基を有するポリヌクレオチド及び/又は該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド)とを結合させる工程、
(b)該疾患マーカーに結合した生体試料由来のRNAまたは該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドを、上記疾患マーカーを指標として測定する工程、
(c)上記(b)の測定結果に基づいて、生活習慣病の罹患を判断する工程。
測定対象物としてRNAを利用する場合は、本発明の検出方法(診断方法)は、該RNA中のALDH2遺伝子の発現レベルを検出し、測定することによって実施される。具体的には、前述のポリヌクレオチドからなる本発明の疾患マーカー(ALDH2遺伝子の塩基配列において連続する少なくとも15塩基を有するポリヌクレオチド及び/又はその相補的なポリヌクレオチド)をプライマーまたはプローブとして用いて、ノーザンブロット法、RT-PCR法、DNAチップ解析法、in situハイブリダイゼーション解析法などの公知の方法を行うことにより実施できる。
ノーザンブロット法を利用する場合は、本発明の上記疾患マーカーをプローブとして用いることによって、RNA中のALDH2遺伝子の発現の有無やその発現レベルを検出、測定することができる。具体的には、本発明の疾患マーカー(相補鎖)を放射性同位元素(32P、33Pなど:RI)や蛍光物質などで標識し、それを、常法に従ってナイロンメンブレン等にトランスファーした被験者の生体組織由来のRNAとハイブリダイズさせた後、形成された疾患マーカー(DNA)とRNAとの二重鎖を、疾患マーカーの標識物(RI若しくは蛍光物質)に由来するシグナルを放射線検出器(BAS-1800II、富士フィルム社製)または蛍光検出器で検出、測定する方法を例示することができる。また、AlkPhos Direct Labelling and Detection System (Amersham Pharmacia Biotech社製)を用いて、該プロトコールに従って疾患マーカー(プローブDNA)を標識し、被験者の生体組織由来のRNAとハイブリダイズさせた後、疾患マーカーの標識物に由来するシグナルをマルチバイオイメージャーSTORM860(Amersham Pharmacia Biotech社製)で検出、測定する方法を使用することもできる。
RT-PCR法を利用する場合は、本発明の上記疾患マーカーをプライマーとして用いることによって、RNA中のALDH2遺伝子の発現の有無や発現レベルを検出、測定することができる。具体的には、被験者の生体組織由来のRNAから常法に従ってcDNAを調製して、これを鋳型として標的のALDH2遺伝子の領域が増幅できるように、本発明の疾患マーカーから調製した一対のプライマー(上記cDNA(−鎖)に結合する正鎖、+鎖に結合する逆鎖)をこれとハイブリダイズさせて、常法に従ってPCR法を行い、得られた増幅二本鎖DNAを検出する方法を例示することができる。なお、増幅された二本鎖DNAの検出は、上記PCRを予めRIや蛍光物質で標識しておいたプライマーを用いて行うことによって産生される標識二本鎖DNAを検出する方法、産生された二本鎖DNAを常法に従ってナイロンメンブレン等にトランスファーさせて、標識した疾患マーカーをプローブとして使用してこれとハイブリダイズさせて検出する方法などを用いることができる。なお、生成された標識二本鎖DNA産物はアジレント2100バイオアナライザ(横河アナリティカルシステムズ社製)などで測定することができる。また、SYBR Green RT-PCR Reagents (Applied Biosystems 社製)で該プロトコールに従ってRT-PCR反応液を調製し、ABI PRISM 7700 Sequence Detection System (Applied Biosystems 社製)で反応させて、該反応物を検出することもできる。
DNAチップ解析を利用する場合は、本発明の上記疾患マーカーをDNAプローブ(1本鎖または2本鎖)として貼り付けたDNAチップを用意し、これに被験者の生体組織由来のRNAから常法によって調製されたcRNAとハイブリダイズさせて、形成されたDNAとcRNAとの二本鎖を、本発明の疾患マーカーから調製される標識プローブと結合させて検出する方法を挙げることができる。また、上記DNAチップとして、ALDH2遺伝子の遺伝子発現レベルの検出、測定が可能なDNAチップを用いることもできる。かかるALDH2遺伝子の発現レベルを検出、測定することができるDNAチップとしては、アフィメトリクス社のGene Chip Human Genome U95 A, B, C, D, Eを挙げることができる。かかるDNAチップを用いた、被験者RNA中のALDH2遺伝子の遺伝子発現レベルの検出、測定については、実施例において詳細に説明する。
(2-2) 測定対象の生体試料としてタンパク質を用いる場合
測定対象物としてタンパク質を用いる場合は、本発明の生活習慣病の検出方法(診断方法)は、生体試料中のALDH2を検出し、その量を測定することによって実施される。具体的には下記の工程(a)、(b)及び(c)を含む方法によって実施することができる:
(a)被験者の生体試料から調製されたタンパク質と抗体に関する本発明の疾患マーカー(ALDH2を認識する抗体)とを結合させる工程、
(b)該疾患マーカーに結合した生体試料由来のタンパク質を、上記疾患マーカーを指標として測定する工程、
(c)上記(b)の測定結果に基づいて、生活習慣病の罹患を判断する工程。
より具体的には、抗体に関する本発明の疾患マーカーとして抗体(ALDH2を認識する抗体)を用いて、ウエスタンブロット法などの公知方法で、ALDH2を検出、定量する方法を挙げることができる。
ウエスタンブロット法は、一次抗体として本発明疾患マーカーを用いた後、二次抗体として125Iなどの放射性同位元素、蛍光物質、ホースラディッシュペルオキシターゼ(HRP)などの酵素等で標識した標識抗体(一次抗体に結合する抗体)を用い、得られる標識化合物の放射性同位元素、蛍光物質などに由来するシグナルを放射線測定器(BAS-1800II:富士フィルム社製など)、蛍光検出器などで検出し、測定することによって実施できる。また、一次抗体として本発明疾患マーカーを用いた後、ECL Plus Western Blotting Detction System (アマシャム ファルマシアバイオテク社製)を用いて、該プロトコールに従って検出し、マルチバイオイメージャーSTORM860(アマシャム ファルマシアバイオテク社製)で測定することもできる。
なお、上記において測定対象とするALDH2の機能または活性は、既に知られており、該タンパク質の量と機能乃至活性とは一定の相関関係を有している。従って、上記タンパク質の量の測定に代えて、該タンパク質の機能または活性の測定を行うことによっても、本発明の生活習慣病の検出(診断)を実施することができる。すなわち本発明は、ALDH2の公知の機能または活性を指標として、これを公知の方法(具体的には後述の(3-3)項を参照)に従って測定、評価することからなる、生活習慣病の検出(診断)方法、特に糖尿病の検出(診断)方法をも包含する。
(2-3)生活習慣病の診断
生活習慣病の診断は、被験者の生体組織(肝臓組織など)におけるALDH2遺伝子の遺伝子発現レベル、もしくはこの遺伝子の発現産物であるタンパク質(ALDH2)の量、機能若しくは活性(以下これらを合わせて「タンパク質レベル」ということがある)を、正常な生体組織(肝臓組織など)における当該遺伝子発現レベルまたは当該タンパク質レベルと比較し、両者の違いを判定することによって行うことができる。
この場合、正常な生体組織から採取調製した生体試料(RNAまたはタンパク質)が必要であるが、これらは生活習慣病に罹患していない人の生体組織(肝臓組織など)をバイオプシ等で採取することによって取得することができる。なお、ここでいう「生活習慣病に罹患していない人」とは、少なくとも生活習慣病の自覚症状がなく、好ましくは他の検査方法、例えば血糖値測定検査、中性脂肪測定検査などの結果、生活習慣病ではないと診断された人をいう。なお、当該「生活習慣病に罹患していない人」を以下、本明細書では単に正常者という場合もある。
被験者の生体組織と正常な生体組織(生活習慣病に罹患していない人の生体組織)との遺伝子発現レベルまたはタンパク質の量(レベル)の比較は、被験者の生体試料と正常者の生体試料を対象とした測定を並行して行うことで実施できる。並行して行わない場合は、複数(少なくとも2つ、好ましくは3以上、より好ましくは5以上)の正常な生体組織を用いて均一な測定条件で測定して得られたALDH2遺伝子の遺伝子発現レベル、若しくは遺伝子の発現産物であるタンパク質(ALDH2)の量(レベル)の平均値または統計的中間値を、正常者の遺伝子発現レベル若しくはタンパク質の量として、比較に用いることができる。
被験者が生活習慣病であるかどうかの判断は、該被験者の生体組織におけるALDH2遺伝子の遺伝子発現レベル、またはその発現産物であるALDH2のタンパク質レベルが、正常者のレベルと比較して10%以上減少、好ましくは20%以上減少、より好ましくは50%以上減少していることを指標として行うことができる。また、被験者のALDH2遺伝子の遺伝子発現レベルまたはタンパク質レベルが、正常者のレベルに比べて少なければ、該被験者は糖尿病などの生活習慣病であると判断できるか、該疾患の罹患が疑われる。
(3)候補薬のスクリーニング方法
(3-1) 遺伝子発現レベルを指標とするスクリーニング方法
本発明は、ALDH2遺伝子の発現を抑制する物質をスクリーニングする方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法は次の工程(a)、(b)及び(c)を含む:
(a) 被験物質とALDH2遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる工程、
(b) 被験物質を接触させた細胞におけるALDH2遺伝子の発現量を測定し、該発現量を被験物質を接触させない対照細胞における上記遺伝子の発現量と比較する工程、
(c) 上記(b)の比較結果に基づいて、ALDH2遺伝子の発現量を減少させる被験物質を選択する工程。
かかるスクリーニングに用いられる細胞としては、内在性及び外来性を問わず、ALDH2遺伝子を発現している細胞を挙げることができる。ALDH2遺伝子の発現は、公知のノーザンブロット法やRT-PCR法にて遺伝子発現を検出することにより、容易に確認することができる。ALDH2遺伝子を発現している細胞としては、具体的には、マウスやラット肝臓から調製される初代肝細胞や、マウスF9細胞などを挙げることができる。なお、ラット初代肝細胞はホクドー社から、マウスF9細胞は理化学研究所バイオリソースセンターから入手することができる。
本発明スクリーニング方法によってスクリーニングされる被験物質(候補物質)は、制限されないが、核酸(ALDH2遺伝子のアンチセンスポリヌクレオチドを含む)、ペプチド、タンパク質、有機化合物、無機化合物などであり、本発明スクリーニングは、具体的にはこれらの被験物質またはこれらを含む試料(被験試料)を上記組織および/または細胞と接触させることにより行われる。かかる被験試料としては、被験物質を含む細胞抽出液、遺伝子ライブラリーの発現産物、合成低分子化合物、合成ペプチド、天然化合物などが挙げられるが、これらに制限されない。
また、本発明スクリーニングに際して、被験物質と細胞とを接触させる条件は、特に制限されないが、該細胞が死なないように、その培養条件(温度、pH、培地組成など)を大きく変化させない条件を採用するのが好ましい。
実施例に示すように、糖尿病治療薬メトホルミン投与2時間後の糖尿病モデルマウスは、肝臓におけるALDH2遺伝子の発現量は減少しており、血中グルコースの濃度が低下している。この知見から、ALDH2遺伝子の発現減少と、糖尿病治療薬メトホルミンの投与による糖尿病状態の改善とは、因果関係があると考えられる。すなわち、本発明のスクリーニング方法は、ALDH2遺伝子の発現が生活習慣病と関連していることを利用したものである。よって、本発明のスクリーニング方法には、ALDH2遺伝子の発現レベルを指標として、その発現を抑制する物質を探索する方法が包含される。このスクリーニング方法によって、生活習慣病の緩和/抑制作用を有する(生活習慣病に対して改善/治療効果を発揮する)候補物質を提供することができる。
すなわち、本発明のスクリーニング方法は、ALDH2遺伝子の発現を抑制する物質を探索することによって、生活習慣病、特に糖尿病に対する改善薬または治療薬の有効成分となる候補物質を提供するものである。
候補物質の選別は、具体的にはALDH2遺伝子が発現している細胞を用いる場合は、被験物質(候補物質)を添加した細胞におけるALDH2遺伝子の発現レベルが、被験物質(候補物質)を添加しない細胞での発現レベルに比して低くなることをもって、行うことができる。
より具体的には、例えばF9細胞を用いて生活習慣病の改善薬または治療薬の有効成分となる候補物質をスクリーニングするには、被験物質を加えたF9細胞と、添加しないF9細胞(対照細胞)とでALDH2遺伝子の発現レベルを比較して、その発現レベルの低下を指標として候補物質を選別することができる。
このような本発明のスクリーニング方法における遺伝子発現レベルの検出及び定量は、前記細胞から調製したRNAまたは該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドと本発明の疾患マーカーを用いて、前記(2-1)項に記述したように、ノーザンブロット法、RT-PCR法など公知の方法、あるいはDNAチップなどを利用する方法に従って実施できる。指標とする遺伝子発現レベルの低下(減少、抑制)の程度は、被験物質(候補物質)を接触させた細胞におけるALDH2 遺伝子の発現が、被験物質(候補物質)を接触させない対照細胞における発現量と比較して10%以上、好ましくは20%以上、特に好ましくは50%以上の低下(減少、抑制)を例示することができる。
またALDH2遺伝子の発現レベルの検出及び定量は、ALDH2遺伝子の発現を制御する遺伝子領域(発現制御領域)に、例えばルシフェラーゼ遺伝子などのマーカー遺伝子をつないだ融合遺伝子を導入した細胞株を用いて、マーカー遺伝子由来のタンパク質の活性を測定することによっても実施できる。本発明のALDH2遺伝子の発現制御物質のスクリーニング方法には、かかるマーカー遺伝子の発現量を指標として標的物質を探索する方法も包含されるものであり、この意味において請求項8に記載する「ALDH2遺伝子」の概念には、ALDH2遺伝子の発現制御領域とマーカー遺伝子との融合遺伝子が含まれる。
なお、上記マーカー遺伝子としては、発光反応や呈色反応を触媒する酵素の構造遺伝子が好ましい。具体的には、上記のルシフェラーゼ遺伝子のほか、アルカリフォスファターゼ遺伝子、クロラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ遺伝子、βグルクロニダーゼ遺伝子、βガラクトシダーゼ遺伝子、及びエクオリン遺伝子などのレポーター遺伝子を例示できる。ここでALDH2遺伝子の発現制御領域としては、例えば該遺伝子の転写開始部位上流約1kb、好ましくは約2kbを用いることができる。融合遺伝子の作成、およびマーカー遺伝子由来の活性測定は公知の方法で行うことができる。
本発明のスクリーニング方法により選別される物質は、ALDH2遺伝子の遺伝子発現抑制剤として位置づけることができる。これらの物質は、ALDH2遺伝子の発現を抑制することによって、生活習慣病を緩和、抑制(改善、治療)する薬物、特に糖尿病を緩和、抑制(改善、治療)する薬物の有力な候補物質となる。
(3-2) タンパク質の発現量を指標とするスクリーニング方法
本発明は、ALDH2の発現を抑制する物質をスクリーニングする方法を提供する。
本発明スクリーニング方法は、次の工程(a)、(b)及び(c)を含む:
(a) 被験物質とALDH2を発現可能な細胞とを接触させる工程、
(b) 被験物質を接触させた細胞におけるALDH2の発現量を測定し、該発現量を被験物質を接触させない対照細胞における上記タンパク質の発現量と比較する工程、
(c) 上記(b)の比較結果に基づいて、ALDH2の発現量を減少させる被験物質を選択する工程。
本発明スクリーニングに用いられる細胞は、内在性及び外在性を問わず、ALDH2遺伝子を発現し、発現産物としてのALDH2タンパクを有する細胞を挙げることができる。ALDH2の発現は、遺伝子産物であるALDH2タンパク質を公知のウエスタン法にて検出することにより、容易に確認することができる。該細胞としては、具体的には、前記(3-1)項に記載したような、マウスやラット肝臓から調製される初代肝細胞や、マウスF9細胞などを挙げることができる。また当該細胞には、その細胞膜画分、細胞質画分、細胞核画分なども含まれる。
実施例に示すように、糖尿病治療薬メトホルミン投与2時間後の糖尿病モデルマウスは、肝臓におけるALDH2遺伝子の発現が減少しており、血中グルコース濃度が低下している。この知見から、ALDH2タンパクの発現減少と糖尿病治療薬メトホルミンの投与による糖尿病状態の改善、すなわち生活習慣病の改善とは因果関係があると考えられる。したがって、本発明のスクリーニング方法は、ALDH2タンパクの発現が生活習慣病と関連していることを利用したものである。よって、本発明のスクリーニング方法には、このALDH2のタンパク発現レベルを指標として、その発現量を低下させる物質を探索する方法が包含される。このスクリーニング方法によって、生活習慣病の緩和/抑制作用を有する(生活習慣病に対して改善/治療効果を発揮する)候補物質を提供することができる。特に糖尿病の緩和/抑制作用を有する(糖尿病に対して改善/治療効果を発揮する)候補物質を提供することができる。
すなわち、本発明のスクリーニング方法は、ALDH2のタンパク発現量を低下させる物質を探索することによって、生活習慣病、特に糖尿病の改善薬または治療薬の有効成分となる候補物質を提供するものである。
斯くして選抜取得される被験物質は、生活習慣病を緩和、抑制(改善、治療)する薬物の有力な候補物質となる。
候補物質の選別は、具体的にはALDH2を発現産生している細胞を用いる場合は、被験物質(候補物質)を添加した細胞におけるALDH2のタンパク量(レベル)が、被験物質(候補物質)を添加しない細胞のその量(レベル)に比して低くなることを指標として、行うことができる。
本発明のスクリーニング方法にかかるALDH2の発現量は、前述したように、例えば本発明疾患マーカーなどの抗体(例えばヒトALDH2タンパク質またはそのホモログを認識する抗体)を用いたウエスタンブロット法などの公知方法に従って定量できる。
ウエスタンブロット法は、一次抗体として本発明疾患マーカーを用いた後、二次抗体として125Iなどの放射性同位元素、蛍光物質、ホースラディッシュペルオキシターゼ(HRP)などの酵素等で標識した一次抗体に結合する抗体を用いて標識し、これら標識物質由来のシグナルを放射線測定器(BAS-1800II:富士フィルム社製など)、蛍光検出器などで測定することによって実施できる。また、一次抗体として本発明疾患マーカーを用いた後、ECL Plus Western Blotting Detction System (アマシャム ファルマシアバイオテク社製)を利用して、該プロトコールに従って検出し、マルチバイオイメージャーSTORM860(アマシャム ファルマシアバイオテク社製)で測定することもできる。
本発明スクリーニング方法によってスクリーニングされる被験物質(候補物質)は、制限されないが、核酸(ALDH2遺伝子のアンチセンスポリヌクレオチドを含む)、ペプチド、タンパク質、有機化合物、無機化合物などであり、本発明スクリーニングは、具体的にはこれらの被験物質またはこれらを含む試料(被験試料)を上記細胞または細胞画分と接触させることにより行われる。被験試料としては、被験物質を含む、細胞抽出液、遺伝子ライブラリーの発現産物、合成低分子化合物、合成ペプチド、天然化合物などが挙げられるが、これらに制限されない。
(3-3) タンパク質の機能(活性)を指標とするスクリーニング方法
本発明は、ALDH2の機能(活性)を抑制する物質をスクリーニングする方法を提供する。
本発明のスクリーニング方法は次の工程(a)、(b)及び(c)を含む:
(a) 被験物質をALDH2に接触させる工程、
(b) 上記(a)の工程に起因して生じるALDH2の機能(活性)を測定し、該機能(活性)を被験物質を接触させない場合のALDH2の機能(活性)と比較する工程、
(c) 上記(b)の比較結果に基づいて、ALDH2の機能(活性)の低下をもたらす被験物質を選択する工程。
本発明のスクリーニング方法においては、ALDH2の公知の機能・活性に基づく如何なる機能・活性測定方法をも利用することができる。すなわち、ALDH2の公知の機能・活性測定系に被験物質を添加し、当該ALDH2の公知の機能・活性を抑制・阻害する被験物質を、生活習慣病に対して改善・治療効果を有する候補物質として選択するスクリーニング方法であれば、本発明のスクリーニング方法の範疇に含まれる。
前記本発明のスクリーニングは、ALDH2を含む水溶液、細胞または該細胞から調製した細胞画分と、被験物質とを接触させることにより行うことができる。ここでALDH2を含む水溶液としては、例えばALDH2を含む通常の水溶液の他、ALDH2を含む細胞溶解液、細胞破砕液、核抽出液あるいは細胞の培養上清などを例示することができる。また細胞画分としては、かかる細胞に由来する各種の画分を意味するものであり、これには例えば細胞膜画分、細胞質画分、および細胞核画分などが含まれる。
また本発明のスクリーニング方法に用いられる細胞としては、内来性及び外来性を問わず、ALDH2遺伝子を発現しており、ALDH2タンパクを有する細胞を挙げることができる。該細胞としては、具体的には、前記(3-1)項に示されるような、マウスやラット肝臓から調製される初代肝細胞や、マウスF9細胞などを用いることができる。また、ALDH2遺伝子を含有する発現ベクターで形質転換された形質転換細胞も用いることができる。該形質転換に用いられる宿主細胞としては、COS、CHO、Sf9などの周知の細胞が挙げられる。
実施例に示すように、糖尿病治療薬メトホルミン投与2時間後の糖尿病モデルマウスは、肝臓におけるALDH2遺伝子の発現が減少しており、血中グルコース濃度が低下している。この知見から、ALDH2タンパクの発現減少と糖尿病治療薬メトホルミンの投与による糖尿病状態の改善、すなわち生活習慣病の改善とは因果関係があると考えられる。したがって、本発明のスクリーニング方法は、ALDH2タンパクの発現が生活習慣病と関連していることを利用したものである。よって、本発明のスクリーニング方法には、このALDH2の機能(活性)を指標として、該タンパク質の機能(活性)を抑制する物質を探索する方法が包含される。本発明スクリーニング方法によれば、ALDH2の機能(活性)を抑制する物質を探索でき、かくして生活習慣病の緩和/抑制作用を有する(生活習慣病に対して改善/治療効果を発揮する)候補物質が提供される。特に、糖尿病の緩和/抑制作用を有する(糖尿病に対して改善/治療効果を発揮する)候補物質が提供される。
すなわち、本発明のスクリーニング方法は、ALDH2の機能(活性)を抑制する物質を探索することによって、生活習慣病の改善薬または治療薬の有効成分となる候補物質を提供するものである。
本発明スクリーニング方法によってスクリーニングされる被験物質(候補物質)は、制限されないが、核酸、ペプチド、タンパク質(ALDH2に対する抗体を含む)、有機化合物、無機化合物などであり、本発明スクリーニングは、具体的にはこれらの被験物質またはこれらを含む試料(被験試料)を上記水溶液、細胞または細胞画分と接触させることにより行われる。かかる被験試料としては、被験物質を含む、細胞抽出液、遺伝子ライブラリーの発現産物、合成低分子化合物、合成ペプチド、天然化合物などが挙げられるが、これらに制限されない。
ところでALDH2は、アセトアルデヒドや他のアルデヒドを酸化する活性を有することが知られており、ALDH2の単離精製方法も活性測定法も公知である(J. Biol. Chem. 271, 31172-31178 (1996)、Biochem. Pharmacol. 55, 1099-1103 (1998) )。従って、この公知の性質に基づいて、ALDH2の機能(活性)を抑制する候補物質のスクリーニングは、ALDH2の有する酸化活性によって生じた酸化物の量の減少(低下)を指標にして行うことができる。この場合、候補物質は、具体的には例えば被験物質(候補物質)の存在下でALDH2とアセトアルデヒドとNADとを反応させて生じるNADH量が、被験物質(候補物質)の非存在下でALDH2とアセトアルデヒドとNADとを反応させて生じたNADH量に比して減少する(低下する)場合に、選択することができる。
すなわちALDH2の酸化活性に基づく本発明のスクリーニング方法としては、例えば次の工程(a)、(b)および(c)を含むものが例示される:
(a)被験物質の存在下で、ALDH2、基質およびNADを反応させる工程、
(b)上記反応の結果生じたNADH量を測定し、該NADH量を、被験物質の非存在下で上記(a)の反応を行って生じるNADH量と比較する工程、
(c)上記(b)の比較結果に基づいて、生成されるNADH量の減少をもたらす被験物質を選択する工程。
ここで用いられるALDH2としては、組換えALDH2が挙げられる。当該組換えALDH2は、例えば配列番号1に記載のヒトALDH2遺伝子の塩基配列に基づき、J. Biol. Chem. 271, 31172-31178 (1996)に記載の方法と同様に、常法の遺伝子組換え技術(Molecular Cloning, T. Maniatis et al., CSH Laboratory(1983), DNA Cloning, DM. Glover, IRL PRESS(1985))を用いて作製することができる。ALDH2としては、ALDH2を発現する形質転換培養細胞またはその細胞膜画分、あるいは精製ALDH2タンパクを用いることができる。
また基質としては、アセトアルデヒドやプロピオンアルデヒド、あるいは、その他のアルデヒド化合物を用いることができる。
候補物質は、被験物質(候補物質)の存在下でALDH2、基質およびNADを反応させて生じたNADH量が、被験物質(候補物質)の非存在下でALDH2、基質およびNADを反応させて生じたNADH量に比して減少する(低下する)場合に、選択することができる。産生されたNADH量は、反応溶液中のNADH量を反映した吸光度の違いから求めることができる。
斯くして選抜取得される被験物質は、生活習慣病を緩和、抑制(改善、治療)する薬物の有力な候補物質となる。
上記(3-1)〜(3-3)に記載する本発明のスクリーニング方法によって選別された候補物質は、さらに糖尿病モデル動物などの生活習慣病のモデル動物を用いた薬効試験、安全性試験、さらに該疾患患者への臨床試験に供してもよく、これらの試験を実施することによって、より実用的な生活習慣病の改善または治療薬を取得することができる。このようにして選別された物質は、さらにその構造解析結果に基づいて、化学的合成、生物学的合成(発酵)または遺伝子学的操作によって、工業的に製造することができる。
なお、上記(3-1)〜(3-3)に記載するスクリーニング方法は、生活習慣病の改善または治療薬の候補物質を選別するのみならず、該疾患の改善または治療薬(候補薬)が、ALDH2遺伝子の発現を抑制するか否か、あるいはALDH2の発現もしくは機能・活性を抑制するか否かを評価、確認するためにも用いることができる。すなわち本発明のスクリーニング方法の範疇には、候補物質の探索のみならず、このような評価あるいは確認を目的とするものも含まれる。
(4)本発明のアンチセンスポリヌクレオチド
本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、ALDH2遺伝子の塩基配列に相補的な、または実質的に相補的な塩基配列またはその一部を有するものであり、ALDH2遺伝子の発現を抑制し得る作用を有するものであれば、いずれのアンチセンスポリヌクレオチドであってもよく、アンチセンスRNA、アンチセンスDNAなどが含まれる。
ここで、実質的に相補的な塩基配列とは、例えば、ALDH2遺伝子の塩基配列に相補的な塩基配列と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列などが挙げられる。特に、ALDH2遺伝子の塩基配列のN末端部位をコードする部分の塩基配列(例えば、開始コドン付近の塩基配列など)の相補鎖と約70%以上、好ましくは約80%以上、より好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアンチセンスポリヌクレオチドが好適である。具体的には、配列番号1に記載の塩基配列に相補的な、もしくは実質的に相補的な配列、またはその一部分を有するアンチセンスポリヌクレオチドなどが挙げられる。
アンチセンスポリヌクレオチドは通常、10〜1000個程度、好ましくは15〜500個程度、更に好ましくは16〜30個程度の塩基から構成される。ヌクレアーゼなどの加水分解酵素による分解を防ぐために、アンチセンスDNAを構成する各ヌクレオチドのリン酸残基(ホスフェート)は、例えば、ホスホロチオエート、メチルホスホネート、ホスホロジチオネートなどの化学修飾リン酸残基に置換されていてもよい。これらのアンチセンスポリヌクレオチドは、公知のDNA合成装置などを用いて製造することができる。
かかるアンチセンスポリヌクレオチドは、ALDH2遺伝子のRNAとハイブリダイズすることができ、該RNAの合成または機能を阻害することができるか、あるいは該RNAとの相互作用を介してALDH2遺伝子の発現を調節・制御することができる。
本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、生体内および生体外で本発明のタンパク質遺伝子の発現を調節・制御するのに有用であり、また病気などの治療に有用である。タンパク質遺伝子の5’端ヘアピンループ、5’端6−ベースペア・リピート、5’端非翻訳領域、ポリペプチド翻訳開始コドン、タンパク質コード領域、ORF翻訳終止コドン、3’端非翻訳領域、3’端パリンドローム領域または3’端ヘアピンループなどは、好ましい対象領域として選択しうるが、タンパク質遺伝子内の如何なる領域も対象として選択しうる。目的核酸と、対象領域の少なくとも一部に相補的なポリヌクレオチドとの関係については、目的核酸が対象領域とハイブリダイズすることができる場合は、その目的核酸は、当該対象領域のポリヌクレオチドに対して「アンチセンス」であるということができる。
アンチセンスポリヌクレオチドは、2−デオキシ−D−リボースを含有しているポリヌクレオチド、D−リボースを含有しているポリヌクレオチド、プリンまたはピリミジン塩基のN−グリコシドであるその他のタイプのポリヌクレオチド、非ヌクレオチド骨格を有するその他のポリマー(例えば、市販のタンパク質核酸および合成配列特異的な核酸ポリマー)または特殊な結合を含有するその他のポリマー(但し、該ポリマーはDNAやRNA中に見出されるような塩基のペアリングや塩基の付着を許容する配置をもつヌクレオチドを含有する)などが挙げられる。それらは、2本鎖DNA、1本鎖DNA、2本鎖RNA、1本鎖RNA、DNA:RNAハイブリッドであってもよく、さらに非修飾ポリヌクレオチド(または非修飾オリゴヌクレオチド)、公知の修飾の付加されたもの、例えば当該分野で知られた標識のあるもの、キャップの付いたもの、メチル化されたもの、1個以上の天然のヌクレオチドを類縁物で置換したもの、分子内ヌクレオチド修飾のされたもの、例えば非荷電結合(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホルアミデート、カルバメートなど)を持つもの、電荷を有する結合または硫黄含有結合(例、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を持つもの、例えばタンパク質(例、ヌクレアーゼ、ヌクレアーゼ・インヒビター、トキシン、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジンなど)や糖(例、モノサッカライドなど)などの側鎖基を有しているもの、インターカレント化合物(例、アクリジン、ソラレンなど)を持つもの、キレート化合物(例えば、金属、放射活性をもつ金属、ホウ素、酸化性の金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、修飾された結合を持つもの(例えば、αアノマー型の核酸など)であってもよい。ここで「ヌクレオシド」、「ヌクレオチド」および「核酸」とは、プリンおよびピリミジン塩基を含有するのみでなく、修飾されたその他の複素環型塩基をもつようなものを含んでいて良い。このような修飾物は、メチル化されたプリンおよびピリミジン、アシル化されたプリンおよびピリミジン、あるいはその他の複素環を含むものであってよい。修飾されたヌクレオチドおよび修飾されたヌクレオチドはまた糖部分が修飾されていてよく、例えば、1個以上の水酸基がハロゲンとか、脂肪族基などで置換されていたり、またはエーテル、アミンなどの官能基に変換されていてよい。本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、RNA、DNAまたは修飾された核酸(RNA、DNA)である。修飾された核酸の具体例としては、核酸の硫黄誘導体、チオホスフェート誘導体、ポリヌクレオシドアミドやオリゴヌクレオシドアミドの分解に抵抗性のものなどが挙げられる。
本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、例えば、以下のように設計されうる。すなわち、細胞内でのアンチセンスポリヌクレオチドをより安定なものにする、アンチセンスポリヌクレオチドの細胞透過性をより高める、目標とするセンス鎖に対する親和性をより大きなものにする、また、もし毒性があるような場合はアンチセンスポリヌクレオチドの毒性をより小さなものにする。このような修飾は、例えばPharm Tech Japan, 8巻, 247頁または395頁, 1992年、Antisense Research and Applications, CRC Press, 1993年などで数多く報告されている。
本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、リポゾーム、ミクロスフェアのような特殊な形態で供与されたり、遺伝子治療により適合した、付加された形態で供与されてもよい。こうして付加形態で用いられるものとしては、リン酸基骨格の電荷を中和するように働くポリリジンのようなポリカチオン体、細胞膜との相互作用を高めたり、核酸の取込みを増大せしめるような脂質(例、ホスホリピド、コレステロールなど)などの疎水性のものが挙げられる。付加するに好ましい脂質としては、コレステロールやその誘導体(例、コレステリルクロロホルメート、コール酸など)が挙げられる。こうしたものは、核酸の3’端または5’端に付着させることができ、塩基、糖、分子内ヌクレオシド結合を介して付着させることができうる。その他の基としては、核酸の3’端または5’端に特異的に配置されたキャップ用の基で、エキソヌクレアーゼ、RNaseなどのヌクレアーゼによる分解を阻止するためのものが挙げられる。こうしたキャップ用の基としては、ポリエチレングリコール、テトラエチレングリコールなどのグリコールをはじめとした当該分野で知られた水酸基の保護基が挙げられるが、それに限定されるものではない。アンチセンスポリヌクレオチドの阻害活性は、本発明のスクリーニング方法を用いて調べることができる。
本発明のアンチセンスポリヌクレオチドは、前述のように2本鎖であってもよく、ALDH2をコードするRNAに結合し、該RNAを破壊またはその機能を抑制するものであればよい。すなわち、ALDH2をコードするRNAの一部とそれに相補的なRNAを含有する2本鎖RNA等も本発明のアンチセンスポリヌクレオチドに含まれる。
(5)生活習慣病の改善・治療剤
本発明は、生活習慣病の改善および治療剤を提供するものである。特に糖尿病の改善および治療剤を提供するものである。
本発明は、ALDH2遺伝子、およびこの遺伝子にコードされるALDH2タンパク質が、生活習慣病と関連しているという新たな知見から、ALDH2遺伝子の発現を抑制する物質、あるいはALDH2の発現若しくは機能(活性)を抑制する物質が、上記疾患の改善又は治療に有効であるという考えに基づくものである。すなわち、本発明の糖尿病などの生活習慣病の改善・治療剤はALDH2遺伝子の発現を抑制する物質、あるいはALDH2の発現若しくは機能(活性)を抑制する物質を有効成分とするものである。
当該有効成分となるALDH2遺伝子の発現抑制物質、あるいはALDH2の発現若しくは機能(活性)抑制物質は、上記の本発明スクリーニング方法を利用して選別されたもののみならず、選別された物質に関する情報に基づいて常法に従って化学・生化学的手法により、もしくは工業的に製造されたものであってもよい。
ALDH2遺伝子の発現抑制物質、あるいはALDH2の発現もしくは機能(活性)抑制物質は、そのままもしくは自体公知の薬学的に許容される担体(賦形剤、増量剤、結合剤、滑沢剤などが含まれる)や慣用の添加剤などと混合して医薬組成物として調製することができる。当該医薬組成物は、調製する形態(錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤などの経口投与剤;注射剤、点滴剤、外用剤、坐剤などの非経口投与剤)などに応じて経口投与または非経口投与することができる。また投与量は、有効成分の種類、投与経路、投与対象または患者の年齢、体重、症状などによって異なり一概に規定できないが、通常、1日投与用量として、数mg-2g程度、好ましくは数十mg程度を、1日1回〜数回に分けて投与することができる。
また、上記の有効成分物質がDNAによりコードされるものである場合は、該DNAを遺伝子治療用ベクターに組込み、遺伝子治療を行うことも考えられる。
更に、上記有効成分物質が本発明のアンチセンスポリヌクレオチドの場合は、そのままもしくは遺伝子治療用ベクターにこれを組込むことにより、遺伝子治療を行うこともできる。これらの場合も、遺伝子治療用組成物の投与量、投与方法は患者の体重、年齢、症状などにより変動し、当業者であれば適宜選択することが可能である。
上記アンチセンスポリヌクレオチドを利用する遺伝子治療につき詳述すれば、該遺伝子治療は、通常のこの種の遺伝子治療と同様にして、例えばアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその化学的修飾体を直接患者の体内に投与することにより目的遺伝子の発現を制御する方法、もしくはアンチセンスRNAを患者の標的細胞に導入することにより該細胞による目的遺伝子の発現を抑制する方法により実施できる。
アンチセンスポリヌクレオチドまたはその化学的修飾体は、細胞内でセンス鎖mRNAに結合して、目的遺伝子の発現、即ちALDH2の発現を抑制することができ、かくしてALDH2の機能(活性)を抑制することができる。
アンチセンスポリヌクレオチドまたはその化学的修飾体を直接生体内に投与する方法において、用いられるアンチセンスポリヌクレオチドまたはその化学修飾体は、好ましくは10〜1000塩基、さらに好ましくは15〜500塩基、最も好ましくは16〜30塩基の長さを有するものとすればよい。その投与に当たり、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその化学的修飾体は、通常慣用される安定化剤、緩衝液、溶媒などを用いて製剤化され得る。
アンチセンスRNAを患者の標的細胞に導入する方法において、用いられるアンチセンスRNAは、好ましくは10〜1000塩基、さらに好ましくは15〜500塩基、最も好ましくは16〜30塩基の長さを有するものとすればよい。また、この方法は、生体内の細胞にアンチセンス遺伝子を導入するin vivo法および一旦体外に取り出した細胞にアンチセンス遺伝子を導入し、該細胞を体内に戻すex vivo法を包含する(日経サイエンス, 1994年4月号, 20-45頁、月刊薬事, 36 (1), 23-48 (1994)、実験医学増刊, 12 (15), 全頁 (1994)など参照)。この内ではin vivo法が好ましく、これには、ウイルス的導入法(組換えウイルスを用いる方法)と非ウイルス的導入法がある(前記各文献参照)。
上記組換えウイルスを用いる方法としては、例えばレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、センダイウイルス、ワクシニアウイルス、ポリオウイルス、シンビスウイルスなどのウイルスゲノムに本発明のアンチセンスポリヌクレオチドを組込んで生体内に導入する方法が挙げられる。この中では、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ関連ウイルスなどを用いる方法が特に好ましい。非ウイルス的導入法としては、リポソーム法、リポフェクチン法などが挙げられ、特にリポソーム法が好ましい。他の非ウイルス的導入法としては、例えばマイクロインジェクション法、リン酸カルシウム法、エレクトロポレーション法なども挙げられる。
遺伝子治療用製剤組成物は、上述したアンチセンスポリヌクレオチドまたはその化学修飾体、これらを含む組換えウイルスおよびこれらウイルスが導入された感染細胞などを有効成分とするものである。該組成物の患者への投与形態、投与経路などは、治療目的とする疾患、症状などに応じて適宜決定できる。例えば注射剤などの適当な投与形態で、静脈、動脈、皮下、筋肉内などに投与することができ、また患者の疾患対象部位に直接投与、導入することもできる。in vivo法を採用する場合、遺伝子治療用組成物は、本発明のアンチセンスポリヌクレオチドを含む注射剤などの投与形態の他に、例えば本発明のアンチセンスポリヌクレオチドを含有するウイルスベクターをリポソームまたは膜融合リポソームに包埋した形態(センダイウイルス(HVJ)-リポソームなど)とすることができる。これらのリポソーム製剤形態には、懸濁剤、凍結剤、遠心分離濃縮凍結剤などが含まれる。また、遺伝子治療用組成物は、上記本発明のアンチセンスポリヌクレオチドを含有するベクターを導入されたウイルスで感染された細胞培養液の形態とすることもできる。これら各種形態の製剤中の有効成分の投与量は、治療目的である疾患の程度、患者の年齢、体重などにより適宜調節することができる。通常、ALDH2遺伝子に対するアンチセンスポリヌクレオチドの場合は、患者成人1人当たり約0.0001〜100mg、好ましくは約0.001〜10mgが数日ないし数カ月に1回投与される量とすればよい。アンチセンスポリヌクレオチドを含むレトロウイルスベクターの場合は、レトロウイルス力価として、1日患者体重1kg当たり約1×103pfu〜1×1015pfuとなる量範囲から選ぶことができる。アンチセンスポリヌクレオチドを導入した細胞の場合は、1×104細胞/body〜1×1015細胞/body程度を投与すればよい。
さらに、本発明は、(i)本発明のタンパク質をコードするRNAの一部とそれに相補的なRNAを含有する二重鎖RNA、(ii)前記二重鎖RNAを含有してなる医薬、(iii)本発明のタンパク質をコードするRNAの一部を含有するリボザイム、(iv)前記リボザイムを含有してなる医薬、(v)前記リボザイムをコードする遺伝子(DNA)を含有する発現ベクターなども提供する。上記アンチセンスポリヌクレオチドと同様に、二重鎖RNA、リボザイムなども、本発明のDNAから転写されるRNAを破壊またはその機能を抑制することができる。本発明のALDH2またはそれをコードするDNAの機能を抑制することができる二重鎖RNA、リボザイムなどは、生活習慣病、特に糖尿病の予防・治療剤などとして使用することができる。
二重鎖RNAは、公知の方法(例、Nature, 411巻, 494頁, 2001年)に準じて、本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。リボザイムは、公知の方法(例、TRENDS in Molecular Medicine, 7巻, 221頁, 2001年)に準じて、本発明のポリヌクレオチドの配列を基に設計して製造することができる。例えば、公知のリボザイムの配列の一部を本発明のタンパク質をコードするRNAの一部に置換することによって製造することができる。本発明のタンパク質をコードするRNAの一部としては、公知のリボザイムによって切断され得るコンセンサス配列NUX(式中、Nはすべての塩基を、XはG以外の塩基を示す)の近傍の配列などが挙げられる。上記の二重鎖RNAまたはリボザイムを上記予防・治療剤として使用する場合、アンチセンスポリヌクレオチドと同様にして製剤化し、投与することができる。また、前記(v)の発現ベクターは、公知の遺伝子治療法などと同様に用い、上記予防・治療剤として使用する。
次に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
糖尿病モデルマウスの肝臓と正常マウスの肝臓でのALDH2遺伝子発現量の比較
11〜12週齢のdb/dbマウス(C57BL/Ksj-db/db Jcl; 日本クレア社から入手)、高脂肪食負荷マウス(DIOマウス; 正常マウスC57BL/6j(日本クレア社から入手)に4週齢から高脂肪食を負荷して作製したマウス)、KKAyマウス(KKAy/Ta Jcl;日本クレア社から入手)の3種類の糖尿病モデルマウス各1個体から摘出した肝臓サンプルと、糖尿病病態を示さない11〜12週齢のC57BL/6マウス(正常マウス)2個体から摘出した肝臓サンプルからそれぞれtotal RNAを調製し、DNAチップ解析による遺伝子発現量の解析に用いた。
肝臓サンプルからのtotal RNAの調製は、TRIZOL Reagent(インビトロジェン社製)を用いて付属のプロトコールに従って行った。前記で得られたtotal RNAをRNeasy(キアゲン社製)を用いてさらに精製した後にDNAチップ解析に供した。
DNAチップ解析は、具体的には、total RNAからcDNAの調製、該cDNAからラベル化cRNAの調製、ラベル化cRNAのフラグメント化、フラグメント化cRNAとプローブアレイとのハイブリダイズ、プローブアレイの染色、プローブアレイのスキャン、及び遺伝子発現解析、の順に、J. Biol. Chem. 277, 41147-41156 (2002)に記載の方法と同様の方法で行った。なお、DNAチップ解析はAffymetrix社Gene Chip Murine Genome U74A ver.2を用いた。遺伝子の発現量はGeneChip Workstation System(Affymetrix社製)の解析ソフトウェアMicroarray Suite version 5.0によって解析した。解析で得られたそれぞれの細胞試料由来の遺伝子発現量(Signal)と発現の有無(Detection)のデータは必要に応じて、遺伝子発現量の比較解析に用いた。
DNAチップ解析から得られた3種各1個体の糖尿病モデルマウスと正常マウス2個体の肝臓でのALDH2遺伝子の発現量(Signal値)を表1に示す。db/dbマウス、高脂肪食負荷マウス(DIOマウス)、KKAyマウスの肝臓でのALDH2遺伝子(MG- U74A ver.2プローブセットID:96057_at及び96058_s_at)の発現量は、正常マウス肝臓における発現量よりいずれも小さかった。
Figure 2005295917
表1の結果からわかるように、ALDH2遺伝子は、正常な肝臓より、糖尿病モデルマウスの糖尿病病態の肝臓での発現が減少しているため、糖尿病に関するマーカー遺伝子として応用可能な遺伝子であると考えられた。
糖尿病治療薬メトホルミン投与による糖尿病モデルマウス肝臓でのALDH2遺伝子の発現変動
メトホルミン(1,1-Dimethylbiguanide hydrochloride; Sigma社製)400mg/kgを経口投与後2時間のdb/dbマウス(8週齢)の肝臓と、溶媒のみ投与した後2時間のdb/dbマウス(vehicle)の肝臓から実施例1と同様の方法で、total RNAの調製、DNAチップ解析による遺伝子発現量の解析を行った。
それぞれ5個体について解析した結果、ALDH2遺伝子(MG- U74A ver.2プローブセットID:96057_at及び96058_s_at)の肝臓における発現量(表2;5個体でのSignal値の平均値±標準偏差で示す)は、400mg/kgメトホルミン投与により明らかに減少していた。
メトホルミン投与後2時間のdb/dbマウスの血中グルコース濃度は、溶媒のみ投与した後2時間のdb/dbマウス(vehicle)に比べて有意に減少していた(表3)ことから、ALDH2遺伝子の発現減少は、生活習慣病(糖尿病)の改善と関連があると考えられた。よって、ALDH2遺伝子の発現減少を指標に生活習慣病(糖尿病)を緩和、抑制する治療薬の候補薬をスクリーニングすることが可能である。
Figure 2005295917
Figure 2005295917
ALDH2タンパクの活性抑制剤のスクリーニング
ALDH2の活性は、ヒトALDH2遺伝子を発現させた大腸菌から精製したALDH2タンパク5μg相当を、反応溶液(75mMリン酸ナトリウム(pH7.4)、2mM pyrazole、1mM NAD)に加えて37℃で保温後、基質であるアセトアルデヒドを終濃度1mMとなるよう加えて反応を開始し、時間あたりの(NADH産生による)340nm吸光度変化を測定することで行う。被験物質のスクリーニングでは、この活性測定反応液に予め終濃度10μMとなるよう被験物質を添加し、上記と同条件で活性測定を行う。ここで、被験物質を加えない場合(コントロール)のALDH2活性と被験物質を加えた場合のALDH2活性とを比べて、ALDH2活性を10%、好ましくは20%、特に好ましくは50%以上減少させる被験物質を生活習慣病(糖尿病)の緩和、抑制(改善、治療)する候補化合物として選択する。
本発明疾患マーカー(プローブ、プライマー)は、生活習慣病の診断、および該疾患の予防、改善または治療に有用な候補物質のスクリーニングに用いることができる。
従って、ALDH2遺伝子及びその発現産物〔タンパク質、(ポリ)(オリゴ)ペプチド〕は、生活習慣病の解明、診断、予防及び治療に有効に利用することができ、かかる利用によって医学並びに臨床学上、有用な情報や手段を得ることができる。また、これらの遺伝子及びその発現産物並びにそれらからの派生物(例えば、抗体など)は、上記生活習慣病、特に糖尿病の治療、並びに該治療に有効に用いられる薬剤の開発に好適に利用することができる。

Claims (12)

  1. アルデヒドデヒドロゲナーゼ2(ALDH2)遺伝子の塩基配列において、連続する少なくとも15塩基を有するポリヌクレオチド及び/または該ポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドからなる、生活習慣病の疾患マーカー。
  2. 生活習慣病が糖尿病である請求項1に記載の疾患マーカー。
  3. 下記の工程(a)、(b)及び(c)を含む、生活習慣病の検出方法:
    (a) 被験者の生体試料から調製されたRNAまたはそれから転写された相補的ポリヌクレオチドと請求項1または請求項2に記載の疾患マーカーとを結合させる工程、
    (b) 該疾患マーカーに結合した生体試料由来のRNAまたは該RNAから転写された相補的ポリヌクレオチドを、上記疾患マーカーを指標として測定する工程、
    (c) 上記(b)の測定結果に基づいて、生活習慣病の罹患を判断する工程。
  4. ALDH2を認識する抗体を含有する、生活習慣病の疾患マーカー。
  5. 生活習慣病が糖尿病である請求項4に記載の疾患マーカー。
  6. 下記の工程(a)、(b)及び(c)を含む、生活習慣病の検出方法:
    (a) 被験者の生体試料から調製されたタンパク質と請求項4または請求項5に記載の疾患マーカーとを結合させる工程、
    (b) 該疾患マーカーに結合した生体試料由来のタンパク質を、上記疾患マーカーを指標として測定する工程、
    (c) 上記(b)の測定結果に基づいて、生活習慣病の罹患を判断する工程。
  7. 生活習慣病が糖尿病である、請求項3または請求項6に記載の検出方法。
  8. 下記の工程(a)、(b)及び(c)を含む、ALDH2遺伝子の発現を抑制する物質のスクリーニング方法:
    (a) 被験物質とALDH2遺伝子を発現可能な細胞とを接触させる工程、
    (b) 被験物質を接触させた細胞におけるALDH2遺伝子の発現量を測定し、該発現量を被験物質を接触させない対照細胞における上記遺伝子の発現量と比較する工程、
    (c) 上記(b)の比較結果に基づいて、ALDH2遺伝子の発現量を減少させる被験物質を選択する工程。
  9. 下記の工程(a)、(b)及び(c)を含む、ALDH2の発現を抑制する物質のスクリーニング方法:
    (a) 被験物質とALDH2を発現可能な細胞とを接触させる工程、
    (b) 被験物質を接触させた細胞におけるALDH2の発現量を測定し、該発現量を被験物質を接触させない対照細胞における上記タンパク質の発現量と比較する工程、
    (c) 上記(b)の比較結果に基づいて、ALDH2の発現量を減少させる被験物質を選択する工程。
  10. 下記の工程(a)、(b)及び(c)を含む、ALDH2の機能(活性)を抑制する物質のスクリーニング方法:
    (a) 被験物質を、ALDH2に接触させる工程、
    (b) 上記(a)の工程に起因して生じるALDH2の機能(活性)を測定し、該機能(活性)を被験物質を接触させない場合のALDH2の機能(活性)と比較する工程、
    (c) 上記(b)の比較結果に基づいて、ALDH2の機能(活性)の低下をもたらす被験物質を選択する工程。
  11. 生活習慣病の改善または治療剤の有効成分を探索するための方法である、請求項8乃至10のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  12. 生活習慣病が糖尿病である請求項11に記載のスクリーニング方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2008084270A1 (en) * 2006-12-22 2008-07-17 Zadec Aps Hepatic marker proteins for insulin resistance

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