JP2005295878A - 花芽形成遅延植物体の生産方法、及びこれを用いて得られる植物体、並びにその利用 - Google Patents

花芽形成遅延植物体の生産方法、及びこれを用いて得られる植物体、並びにその利用 Download PDF

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知嗣 小山
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Abstract

【課題】 本発明の目的は、遺伝子の転写を抑制することによって、短期間で簡便に、花芽の形成が遅延する植物体(花芽形成遅延植物体)を生産する方法を提供することにある。
【解決手段】 植物において環境応答や形態形成を制御する転写因子群であるERF(EREBP/AP2)転写因子ファミリーのうち、ERL1、ERL2、ERL3なる転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質を植物体で生産させ、花芽形成に関与する遺伝子の発現を抑制することによって、花芽形成遅延植物体を生産することができる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、花芽形成遅延植物体の生産方法、及びこれを用いて得られる植物体、並びにその利用に関するものであり、特に遺伝子の転写を抑制することによる花芽の形成が遅延する植物体の生産方法、及びこれを用いて得られる植物体、並びにその利用に関するものである。
植物が栄養成長過程から生殖成長過程に移行すると、花芽が形成される。植物、特に野菜・果物等の農業作物においてかかる花芽が形成されると、その品質が著しく劣化することが知られている。したがってかかる花芽の形成を遅延することができれば、野菜や果物等の品質維持に有益であるといえる。また花芽形成は植物体の寿命にも関与しているため、植物体の延命にも効果があるといえる。そこでこれまでに花芽の形成を調整(抑制又は促進)する方法等について種々研究がなされてきている。例えば、特許文献8にはクエン酸合成酵素を阻害することによって花芽の形成を阻害する方法が開示されており、特許文献9には不飽和脂肪酸誘導体を有効成分とする花芽形成抑制剤が開示されており、特許文献10には、リンゴから発見した花芽形成抑制に関与するタンパク質及びその遺伝子について開示されている。
ところで、本発明者は、任意の転写因子を転写抑制因子に転換するペプチドを種々見出している(例えば、特許文献1〜7、非特許文献1及び2参照)。このペプチドは、Class II ERF(Ethylene Responsive Element Binding Factor)タンパク質や植物のジンクフィンガータンパク質(Zinc Finger Protein、例えばシロイヌナズナSUPERMANタンパク質等)から切り出されたもので、極めて単純な構造を有している。
さらに、本発明者は、種々の転写因子と上記ペプチドとを融合させた融合タンパク質(キメラタンパク質)をコードする遺伝子を植物体内に導入することを試みている。そして、これにより、転写因子が転写抑制因子に転換され、該転写因子が転写を促進する標的遺伝子の発現が抑制された植物体を生産することに成功している。
特開2001−269177号公報(平成13年(2001)10月2日公開) 特開2001−269178号公報(平成13年(2001)10月2日公開) 特開2001−292776号公報(平成13年(2001)10月2日公開) 特開2001−292777号公報(平成13年(2001)10月23日公開) 特開2001−269176号公報(平成13年(2001)10月2日公開) 特開2001−269179号公報(平成13年(2001)10月2日公開) 国際公開第WO03/055903号パンフレット(平成15年(2003)7月10日公開) 特表平9−509841号公報(平成9年(1997)10月7日公表) 特開2003−73209号公報(平成15年(2003)3月12日公開) 特開2004−16201号公報(平成16年(2004)1月22日公開) Ohta,M.,Matsui,K.,Hiratsu,K.,Shinshi,H. and Ohme-Takagi,M.,The Plant Cell, Vol.13,1959-1968,August,2001 Hiratsu,K.,Ohta,M.,Matsui,K.,Ohme-Takagi,M.,FEBS Letters 514(2002)351-354
しかしながら、これまで花芽形成に関与する遺伝子の転写因子を転写抑制因子に転換することによって花芽の形成を遅延させる技術については知られていなかった。またあらゆる植物において有効な花芽形成を遅延させる方法については知られていない。
本発明の目的は、遺伝子の転写を抑制することによって、短期間で簡便に、花芽の形成が遅延する植物体(以下、花芽形成遅延植物体と称する)を生産する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、植物において環境応答や形態形成を制御する転写因子群であるERF(EREBP/AP2)転写因子ファミリーのうち、ERL1、ERL2、ERL3なる転写因子を転写抑制因子に転換することによって、花芽形成遅延植物体を生産することができることを初めて明らかにし、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明にかかる花芽遅延植物体の生産方法は、花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質を植物体で生産させ、花芽形成に関与する遺伝子の発現を抑制することを特徴としている。
これにより得られる植物体では、花芽形成に関与する遺伝子の転写が抑制され、花芽形成遅延植物体を生産することができる。
また、本発明にかかる花芽形成遅延植物体の生産方法は、上記転写因子をコードする遺伝子と、上記機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとからなるキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクターを、植物細胞に導入する形質転換工程を含んでいてもよい。
さらに、上記生産方法は、上記組換え発現ベクターを構築する発現ベクター構築工程を含んでいてもよい。
これにより、形質転換された上記植物細胞内で、上記キメラタンパク質を発現させることができる。それゆえ、該キメラタンパク質が花芽形成に関与する遺伝子の転写を抑制し、花芽形成遅延植物体を生産することができるという効果を奏する。
また本発明にかかる花芽形成遅延植物体の生産方法は、上記転写因子が、以下の(a)又は(b)記載のタンパク質であることを特徴としている。(a)配列番号137、139又は141に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。(b)配列番号137、139又は141に示されるアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する機能を有するタンパク質。
これにより、花芽形成に関与する遺伝子の転写が抑制され、花芽形成遅延植物体が生産できるという効果を奏する。
また本発明にかかる花芽形成遅延植物体の生産方法は、上記転写因子をコードする遺伝子として、以下の(c)又は(d)記載の遺伝子が用いられることが好ましい。(c)配列番号138、140又は142に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム領域として有する遺伝子。(d)配列番号138、140又は142に示される塩基配列からなる遺伝子と相補的な塩基配列からなる遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つ、花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する機能を有する転写因子をコードする遺伝子。以下の(c)又は(d)記載の遺伝子が用いられることが好ましい。(c)配列番号138、140又は142に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム領域として有する遺伝子。
上記機能性ペプチドは、次に示す式(1)〜(4)
(1)X1−Leu−Asp−Leu−X2−Leu−X3
(但し、式中、X1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、X2はAsn又はGluを示し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(2)Y1−Phe−Asp−Leu−Asn−Y2−Y3
(但し、式中、Y1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、Y2はPhe又はIleを示し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(3)Z1−Asp−Leu−Z2−Leu−Arg−Leu−Z3
(但し、式中、Z1はLeu、Asp−Leu又はLeu−Asp−Leuを示し、Z2はGlu、Gln又はAspを示し、Z3は0〜10個のアミノ酸残基を示す。)
(4)Asp−Leu−Z4−Leu−Arg−Leu
(但し、式中、Z4はGlu、Gln又はAspを示す。)
のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するものであることが好ましい。
また、上記機能性ペプチドは、配列番号3〜19のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するペプチドであることが好ましい。
また、上記機能性ペプチドは、以下の(e)又は(f)記載のペプチドであってもよい。(e)配列番号20又は21に示されるアミノ酸配列を有するペプチド。(f)配列番号20又は21に示されるアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有するペプチド。
また、上記機能性ペプチドは、次に示す式(5)
(5)α1−Leu−β1−Leu−γ1−Leu
(但し、式中α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、Ser又はHisを示し、γ1は、Arg、Gln、Asn、Thr、Ser、His、Lys又はAspを示す。)
で表されるアミノ酸配列を有するものであってもよい。
また、上記機能性ペプチドは、次に示す式(6)〜(8)
(6)α1−Leu−β1−Leu−γ2−Leu
(7)α1−Leu−β2−Leu−Arg−Leu
(8)α2−Leu−β1−Leu−Arg−Leu
(但し、各式中α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、α2は、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、Ser又はHisを示し、β2はAsn、Arg、Thr、Ser又はHisを示し、γ2はGln、Asn、Thr、Ser、His、Lys又はAspを示す。)
のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するものであってもよい。
また、上記機能性ペプチドは、配列番号22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、133、59、又は60に示されるアミノ酸配列を有するペプチドであってもよい。
また、上記機能性ペプチドは、配列番号38又は39に示されるアミノ酸配列を有するペプチドであってもよい。
上記機能性ペプチドが、上記式のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するペプチド又は上記配列番号に示されるいずれかのペプチドであり、その多くは極めて短いペプチドであるため、合成が容易であり、花芽形成に関与する遺伝子の転写抑制を効率的に行なうことができる。また、上記機能性ペプチドは、機能的に重複(リダンダント)する他の転写因子の活性に優先して標的遺伝子の発現を抑制する機能を有している。それゆえ、花芽形成に関与する遺伝子の発現を効果的に抑制できるという効果を奏する。
一方、本発明にかかる花芽形成遅延植物体は、上記生産方法により生産されることを特徴としている。
また上記植物体には、成育した植物個体、植物細胞、植物組織、カルス、種子の少なくとも何れかが含まれることが好ましい。
一方、本発明にかかる花芽形成遅延植物体の生産キットは、上記の生産方法を行なうためのキットであって、花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する転写因子をコードする遺伝子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドと、プロモーターとを含む組換え発現ベクターを少なくとも含むことを特徴としている。
上記花芽形成遅延植物体の生産キットは、さらに、上記組換え発現ベクターを植物細胞に導入するための試薬群を含んでいてもよい。
一方、本発明にかかる植物体の延命方法は、上記生産方法を用いることを特徴としている。上記生産方法によって得られる植物体は、花芽形成遅延植物体である。既述のとおり植物体において花芽形成を遅延せしめることによって、植物体の寿命を延ばすことが可能である。それゆえ上記生産方法は、植物体の延命方法とすることができる。
さらに本発明にかかる延命植物体は、上記延命方法により得られた植物体である。
また上記植物体には、成育した植物個体、植物細胞、植物組織、カルス、種子の少なくとも何れかが含まれる。
一方、本発明にかかる植物体の延命キットは、上記植物体の延命方法を行なうためのキットであって、花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する転写因子をコードする遺伝子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドと、プロモーターとを含む組換え発現ベクターを少なくとも含むことを特徴としている。
さらに、本発明にかかる植物体の延命キットは、上記組換え発現ベクターを植物細胞に導入するための試薬群を含むことを特徴としている。
本発明にかかる花芽形成遅延植物体の生産方法は、以上のように、花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する転写因子を転写抑制因子に転換させることによって、花芽形成に関与する遺伝子の転写を抑制するという構成である。それゆえ本発明によれば、簡便且つ効率的に花芽形成遅延植物体を生産することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りである。なお、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明は、花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質を植物体で生産させ、花芽形成に関与する遺伝子の発現を抑制することを特徴とする花芽形成遅延植物体の生産技術に関するものである。
「花芽形成」とは、栄養成長から生殖成長に移行して、花芽が作られることを意味する。「花芽創始」→「花芽分化」→「花芽発達」が花芽形成の過程といわれている。ここで「花芽創始」とは、栄養成長から生殖成長に転換することを意味し、「花芽分化」とは花を構成する「がく片」,「花弁」,「雄ずい」,「雌ずい」の各原基が作られることを意味し、「花芽発達」とは、分化した花を構成する原基が発達することを意味する。本発明においては、上記花芽形成に関与する遺伝子の発現を抑制することによって花芽形成を遅延させる手段である。
「花芽形成に関与する遺伝子」とは、上記花芽形成過程に関与するものであれば特に限定されるものではなく、結果として花芽の形成に関与する遺伝子であればよい。例えば、栄養成長から生殖成長へのスイッチを担う遺伝子であってもよいし、花を構成する原基への細胞分化を促進するシグナルの発現に関与する遺伝子等であってもよい。本発明においては、上記遺伝子の発現を促進する転写因子を後述する機能性ペプチドを用いて転写抑制因子に転換し、該遺伝子の発現を抑制している。
より具体的には、上記転写因子と任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質を、植物体で生産させればよい。これによって得られる植物体では、花芽形成に関与する遺伝子の転写が抑制されるため、花芽形成遅延植物体を生産することができる。なお上記転写因子は、上記花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する転写因子であれば特に限定されるものではない。ターゲットとなる転写因子の一例については後述する。
上記キメラタンパク質を生産させる方法では、上記転写因子の活性は次のように抑制される。すなわち、上記キメラタンパク質における転写因子由来のDNA結合ドメインが、標的の花芽形成に関与する遺伝子に結合する。この時、転写因子は転写抑制因子に転換されており、標的遺伝子の転写が抑制される。その結果、得られる植物体の花芽形成は抑制され、遅延する。ここで本方法においては、転写因子を転写抑制因子に転換することによって、上記転写因子が標的とする花芽形成遺伝子の発現を抑制している。それゆえ標的となる花芽形成遺伝子の機能や染色体上の位置や構造まで特定されている必要がない。
以降の説明では、本発明にかかる花芽形成遅延植物体の生産方法に用いられるキメラタンパク質、本発明にかかる植物体の生産方法の一例、これにより得られる植物体とその有用性、並びにその利用についてそれぞれ説明する。
(I)本発明で用いられるキメラタンパク質
上述したように、本発明で用いられるキメラタンパク質は、花芽形成に関与する遺伝子の転写を促進する転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたものである。
また、本発明で用いられるキメラタンパク質は、内在性の遺伝子に対して、優性に作用するものである。すなわち、本発明にかかるキメラタンパク質は、植物が二倍体や複二倍体であったり、あるいは植物に機能重複遺伝子が存在したりしても、該当する転写因子が制御する、花芽形成に関わる遺伝子の発現を、一様に抑制できる。そのため、遺伝子導入可能なあらゆる植物について花芽の形成を遅延させることができる。
以下では、上記転写因子及び機能性ペプチドそれぞれについて説明する。
(I−1)花芽形成に関与する遺伝子の転写を促進する転写因子
本発明で用いられる転写因子は、花芽形成に関与する遺伝子の転写を促進する転写因子であれば特に限定されるものではない。かかる転写因子は多くの植物に保存されている。したがって、本発明で用いられる転写因子には、種々の植物に保存されている同様の機能を有するタンパク質が含まれる。
本発明で用いられる転写因子の代表的な一例としては、例えば、植物において環境応答や形態形成を制御する転写因子群であるERF(EREBP/AP2)転写因子ファミリー、特にERL1(ERF-related late flowering factor 1)、ERL2(ERF related late flowering factor 2)、ERL3(ERF related late flowering factor 3)なる転写因子(タンパク質)を挙げることができる。ERL1は配列番号137に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質であり、ERL2は配列番号139に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質であり、ERL3は配列番号141に示されるアミノ酸配列を有するタンパク質である。ERL1・ERL2・ERL3は花芽形成に関与する遺伝子の転写を促進する転写因子である。なお上記ERL1・ERL2・ERL3が花芽形成に関与する遺伝子の転写因子であるという事実は、本発明者等が見出した新規知見である。本発明者等は、ERL1・ERL2・ERL3各々と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質を植物体(シロイナズナ)で発現させた際に、花芽の形成が野生型に比して2倍以上遅延し、さらに花芽形成遅延の間にロゼット葉の枚数が野生型に比して2〜3倍増加するということを発見し、上記新規知見を得た。なおERL2は、植物のエチレン応答に関与する転写因子であると既に報告されているERF1と同一であった(Solano et al.Gones Dev. 12, 3703-3714 参照)。本発明では、かかるERL1・ERL2・ERL3と後述する機能性ペプチドを融合させることにより、転写因子であるERL1・ERL2・ERL3を転写抑制因子に転換させる。なお、本発明の説明において『ERL1・ERL2・ERL3』と表記した場合は、各々『ERL1タンパク質・ERL2タンパク質・ERL3タンパク質』を意味する。またERL1・ERL2・ERL3をコードする遺伝子(ポリヌクレオチド)を表記する時は、各々『ERL1遺伝子・ERL2遺伝子・ERL3遺伝子』と表す(他のタンパク質、遺伝子についても同様)。
本発明で用いられる転写因子としては、配列番号137に示されるアミノ酸配列を有するERL1、配列番号139に示されるアミノ酸配列を有するERL2、配列番号141に示されるアミノ酸配列を有するERL3に限定されるものではなく、花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する機能を有する転写因子であればよい。具体的には、配列番号137、配列番号139、配列番号141に示されるアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなるタンパク質であっても、上記機能を有していれば本発明にて用いることができる。なお、上記の「配列番号137、配列番号139、配列番号141に示されるアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列」における「1個又は数個」の範囲は特に限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1個から5個、特に好ましくは1個から3個を意味する。
また、本発明で用いられる、花芽形成に関わる遺伝子の転写を促進する転写因子のアミノ酸配列は、種の異なる数多くの植物間において、保存性が高いものと考えられる。そのため、花芽形成遅延植物体としたい個々の植物体において、花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する固有の転写因子やその遺伝子を、必ずしも単離する必要はない。すなわち、後述する実施例で示す、シロイヌナズナで構築したキメラタンパク質を、他の植物体内で生産させることで、さまざまな種の植物において簡便に花芽遅延植物体を生産できると考えられる。
本発明で用いられるキメラタンパク質を生産させる際には、後述するように、公知の遺伝子組換え技術を好適に用いることができる。そこで、本発明にかかる植物体の生産方法には、上記転写因子をコードする遺伝子も好適に用いることができる。
上記転写因子をコードする遺伝子としては特に限定されるものではないが、具体的な一例としては、例えば、転写因子としてERL1・ERL2・ERL3を用いる場合には、各々ERL1遺伝子・ERL2遺伝子・ERL3遺伝子を挙げることができる。ERL1遺伝子の具体例としては、配列番号138に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム(ORF)として含むポリヌクレオチドを挙げることができる。またERL2遺伝子の具体例としては、配列番号140に示される塩基配列をORFとして含むポリヌクレオチドを挙げることができる。またERL3遺伝子の具体例としては、配列番号142に示される塩基配列をORFとして含むポリヌクレオチドを挙げることができる。
もちろん、本発明で用いられるERL1遺伝子・ERL2遺伝子・ERL3遺伝子をコードする遺伝子としては、上記の例に限定されるものではなく、各々配列番号138・配列番号140・配列番号142に示される塩基配列と相同性を有する遺伝子であってもよい。具体的には、例えば、配列番号138・配列番号140・配列番号142に示される塩基配列からなる遺伝子と相補的な塩基配列からなる遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つ、上記転写因子をコードする遺伝子等を挙げることができる。なお、ここでストリンジェントな条件でハイブリダイズするとは、60℃において2×SSC洗浄条件下で結合することを意味する。
上記ハイブリダイゼーションは、J. Sambrook et al. Molecular Cloning, A Laboratory Manual,2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory(1989)に記載されている方法等、従来公知の方法で行なうことができる。通常、温度が高いほど、塩濃度が低いほどストリンジェンシーは高くなる(ハイブリダイズしがたくなる)。
上記転写因子をコードする遺伝子を取得する方法は特に限定されるものではなく、従来公知の方法により、多くの植物から単離することができる。例えば、既知の転写因子の塩基配列に基づき作製したプライマー対を用いることができる。このプライマー対を用いて、植物のcDNA又はゲノミックDNAを鋳型としてPCRを行なうこと等により上記遺伝子を得ることができる。また、上記転写因子をコードする遺伝子は、従来公知の方法により化学合成して得ることもできる。
上述したように、本発明で用いられるキメラタンパク質は、上記花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたものである。そこで、上記転写因子及び機能性ペプチドそれぞれについて説明する。
(I−2)任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチド
本発明で用いられる、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチド(説明の便宜上、転写抑制転換ペプチドと称する)としては、特に限定されるものではなく、転写因子と融合させたキメラタンパク質を形成させることにより、当該転写因子により制御される標的遺伝子の転写を抑制することができるペプチドであればよい。具体的には、例えば、本発明者によって見出された転写抑制転換ペプチド(特許文献1〜7、非特許文献1・2等参照)を挙げることができる。
本発明者は、Class II ERF遺伝子群の一つであるシロイヌナズナ由来のAtERF3タンパク質、AtERF4タンパク質、AtERF7タンパク質、AtERF8タンパク質を転写因子に結合させたタンパク質が、遺伝子の転写を顕著に抑制するとの知見を得た。そこで、上記タンパク質をそれぞれコードする遺伝子及びこれから切り出したDNAを含むエフェクタープラスミドを構築し、これを植物細胞に導入することにより、実際に遺伝子の転写を抑制することに成功した(例えば特許文献1〜4参照)。また、Class II ERF遺伝子群の一つであるタバコERF3タンパク質(例えば特許文献5参照)、イネOsERF3タンパク質(例えば特許文献6参照)をコードする遺伝子、及び、ジンクフィンガータンパク質の遺伝子群の一つであるシロイヌナズナZAT10、同ZAT11をコードする遺伝子についても上記と同様な試験を行なったところ、遺伝子の転写を抑制することを見出している。さらに本発明者は、これらタンパク質は、カルボキシル基末端領域に、アスパラギン酸−ロイシン−アスパラギン(DLN)を含む共通のモチーフを有することを明らかにした。そして、この共通モチーフを有するタンパク質について検討した結果、遺伝子の転写を抑制するタンパク質は極めて単純な構造のペプチドであってもよく、これら単純な構造を有するペプチドが、任意の転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有することを見出している。
また、本発明者は、シロイヌナズナSUPERMANタンパク質は、上記の共通のモチーフと一致しないモチーフを有するが、任意の転写因子を転写抑制因子に変換する機能を有すること、また該SUPERMANタンパク質をコードする遺伝子を、転写因子のDNA結合ドメイン又は転写因子をコードする遺伝子に結合させたキメラ遺伝子は、強力な転写抑制能を有するタンパク質を産生することも見出している。
したがって、本発明において用いられる転写抑制転換ペプチドの一例として、本実施の形態では、Class II ERFタンパク質であるシロイヌナズナ由来のAtERF3タンパク質、同AtERF4タンパク質、同AtERF7タンパク質、同AtERF8タンパク質、タバコERF3タンパク質、イネOsERF3タンパク質、ジンクフィンガータンパク質の一つであるシロイヌナズナZAT10タンパク質、同ZAT11タンパク質等のタンパク質、同SUPERMANタンパク質、これらから切り出したペプチドや、上記機能を有する合成ペプチド等を挙げることができる。
上記転写抑制転換ペプチドの一例の具体的な構造は、下記式(1)〜(4)の何れかで表されるアミノ酸配列となっている。
(1)X1−Leu−Asp−Leu−X2−Leu−X3
(但し、式中、X1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、X2はAsn又はGluを示し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(2)Y1−Phe−Asp−Leu−Asn−Y2−Y3
(但し、式中、Y1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、Y2はPhe又はIleを示し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
(3)Z1−Asp−Leu−Z2−Leu−Arg−Leu−Z3
(但し、式中、Z1はLeu、Asp−Leu又はLeu−Asp−Leuを示し、Z2はGlu、Gln又はAspを示し、Z3は0〜10個のアミノ酸残基を示す。)
(4)Asp−Leu−Z4−Leu−Arg−Leu
(但し、式中、Z4はGlu、Gln又はAspを示す。)
(I−2−1)式(1)の転写抑制転換ペプチド
上記式(1)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記X1で表されるアミノ酸残基の数は0〜10個の範囲内であればよい。また、X1で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。換言すれば、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドにおいては、N末端側には、1個の任意のアミノ酸又は2〜10個の任意のアミノ酸残基からなるオリゴマーが付加されていてもよいし、アミノ酸が何も付加されていなくてもよい。
このX1で表されるアミノ酸残基は、式(1)の転写抑制転換ペプチドを合成するときの容易さからみれば、できるだけ短い方がよい。具体的には、10個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましい。
同様に、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記X3で表されるアミノ酸残基の数は少なくとも6個であればよい。また、X3で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。換言すれば、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドにおいては、C末端側には、6個以上の任意のアミノ酸残基からなるオリゴマーが付加されていればよい。上記X3で表されるアミノ酸残基は、最低6個あれば上記機能を示すことができる。
上記式(1)の転写抑制転換ペプチドにおいて、X1及びX3を除いた5個のアミノ酸残基からなるペンタマー(5mer)の具体的な配列は、配列番号40、41に示す。なお、上記X2がAsnの場合のアミノ酸配列が配列番号40に示すアミノ酸配列であり、上記X2がGluの場合のアミノ酸配列が配列番号41に示すアミノ酸配列である。
(I−2−2)式(2)の転写抑制転換ペプチド
上記式(2)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドのX1と同様、上記Y1で表されるアミノ酸残基の数は0〜10個の範囲内であればよい。また、Y1で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。換言すれば、上記式(2)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドと同様、N末端側には、1個の任意のアミノ酸又は2〜10個の任意のアミノ酸残基からなるオリゴマーが付加されていてもよいし、アミノ酸が何も付加されていなくてもよい。
このY1で表されるアミノ酸残基は、式(2)の転写抑制転換ペプチドを合成するときの容易さからみれば、できるだけ短い方がよい。具体的には、10個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましい。
同様に、上記式(2)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドのX3と同様、上記Y3で表されるアミノ酸残基の数は少なくとも6個であればよい。また、Y3で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではく、どのようなものであってもよい。換言すれば、上記式(2)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドと同様、C末端側には、6個以上の任意のアミノ酸残基からなるオリゴマーが付加されていればよい。上記Y3で表されるアミノ酸残基は、最低6個あれば上記機能を示すことができる。
上記式(2)の転写抑制転換ペプチドにおいて、Y1及びY3を除いた5個のアミノ酸残基からなるペンタマー(5mer)の具体的な配列は、配列番号42、43に示す。なお、上記Y2がPheの場合のアミノ酸配列が配列番号42に示すアミノ酸配列であり、上記Y2がIleの場合のアミノ酸配列が配列番号43に示すアミノ酸配列である。また、Y2を除いた4個のアミノ酸残基からなるテトラマー(4mer)の具体的な配列は、配列番号44に示す。
(I−2−3)式(3)の転写抑制転換ペプチド
上記式(3)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記Z1で表されるアミノ酸残基は、1〜3個の範囲内でLeuを含むものとなっている。アミノ酸1個の場合は、Leuであり、アミノ酸2個の場合は、Asp−Leuとなっており、アミノ酸3個の場合はLeu−Asp−Leuとなっている。
一方、上記式(3)の転写抑制転換ペプチドにおいては、上記式(1)の転写抑制転換ペプチドのX1等と同様、上記Z3で表されるアミノ酸残基の数は0〜10個の範囲内であればよい。また、Z3で表されるアミノ酸残基を構成する具体的なアミノ酸の種類は特に限定されるものではなく、どのようなものであってもよい。換言すれば、上記式(3)の転写抑制転換ペプチドにおいては、C末端側には、1個の任意のアミノ酸又は2〜10個の任意のアミノ酸残基からなるオリゴマーが付加されていてもよいし、アミノ酸が何も付加されていなくてもよい。
このZ3で表されるアミノ酸残基は、式(3)の転写抑制転換ペプチドを合成するときに容易さからみれば、できるだけ短い方がよい。具体的には、10個以下であることが好ましく、5個以下であることがより好ましい。Z3で表されるアミノ酸残基の具体的な例としては、Gly、Gly−Phe−Phe、Gly−Phe−Ala、Gly−Tyr−Tyr、Ala−Ala−Ala等が挙げられるが、もちろんこれらに限定される物ではない。
また、この式(3)で表される転写抑制転換ペプチド全体のアミノ酸残基の数は、特に限定されるものではないが、合成するときに容易さからみれば、20アミノ酸以下であることが好ましい。
上記式(3)の転写抑制転換ペプチドにおいて、Z3を除いた7〜10個のアミノ酸残基からなるオリゴマーの具体的な配列は、配列番号45〜53に示す。なお、上記Z1がLeu且つZ2がGlu、Gln又はAspの場合のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号45、46又は47に示すアミノ酸配列であり、上記Z1がAsp−Leu且つZ2がGlu、Gln又はAspの場合のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号48、49又は50に示すアミノ酸配列であり、上記Z1がLeu−Asp−Leu且つZ2がGlu、Gln又はAspの場合のアミノ酸配列が、それぞれ配列番号51、52又は53に示すアミノ酸配列である。
(I−2−4)式(4)の転写抑制転換ペプチド
上記式(4)の転写抑制転換ペプチドは、6個のアミノ酸残基からなるヘキサマー(6mer)であり、その具体的な配列は、配列番号7、16、54に示す。なお、上記Z4がGluの場合のアミノ酸配列が配列番号7に示すアミノ酸配列であり、上記Z4がAspの場合のアミノ酸配列が配列番号16に示すアミノ酸配列であり、上記Z4がGlnの場合のアミノ酸配列が配列番号54に示すアミノ酸配列である。
特に、本発明において用いられる転写抑制転換ペプチドは、上記式(4)で表されるヘキサマーのような最小配列を有するペプチドであってもよい。例えば、配列番号7に示すアミノ酸配列は、シロイヌナズナSUPERMANタンパク質(SUPタンパク質)の196〜201番目のアミノ酸配列に相当し、上述したように、本発明者が新たに上記転写抑制転換ペプチドとして見出したものである。
(I−2−5)転写抑制転換ペプチドのより具体的な例
上述した各式で表される転写抑制転換ペプチドのより具体的な例としては、例えば、配列番号3〜19のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するペプチドを挙げることができる。これらオリゴペプチドは、本発明者が上記転写抑制転換ペプチドであることを見出したものである(例えば、特許文献7参照)。
さらに、上記転写抑制転換ペプチドの他の具体的な例として、次に示す(e)又は(f)記載のオリゴペプチドを挙げることができる。
(e)配列番号20又は21に示されるいずれかのアミノ酸配列からなるペプチド。
(f)配列番号20又は21に示されるいずれかのアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなるペプチド。
上記配列番号20に示されるアミノ酸配列からなるペプチドは、SUPタンパク質である。また、上記の「配列番号20又は21に示されるいずれかのアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列」における「1個又は数個」の範囲は特に限定されないが、例えば、1から20個、好ましくは1から10個、より好ましくは1から7個、さらに好ましくは1個から5個、特に好ましくは1個から3個を意味する。
上記アミノ酸の欠失、置換若しくは付加は、上記ペプチドをコードする塩基配列を、当該技術分野で公知の手法によって改変することによって行なうことができる。塩基配列に変異を導入するには、Kunkel法又はGapped duplex法等の公知手法又はこれに準ずる方法により行なうことができ、例えば部位特異的突然変異誘発法を利用した変異導入用キット(例えばMutant-KやMutant-G(何れも商品名、TAKARA社製))等を用いて、あるいはLA PCR in vitro Mutagenesisシリーズキット(商品名、TAKARA社製)を用いて異変が導入される。
また、上記機能性ペプチドは、配列番号20に示されるアミノ酸配列の全長配列を有するペプチドに限られず、その部分配列を有するペプチドであってもよい。
その部分配列を有するペプチドとしては、例えば、配列番号21に示されるアミノ酸配列(SUPタンパク質の175から204番目のアミノ酸配列)を有するペプチドが挙げられ、その部分配列を有するペプチドとしては、上記(3)で表されるペプチドが挙げられる。
(I−3)転写抑制転換ペプチドの他の例
本発明者は、さらに、上記モチーフの構造について検討した結果、新たに6つのアミノ酸からなるモチーフを見出した。このモチーフは、具体的には、次に示す一般式(5)で表されるアミノ酸配列を有するペプチドである。これらのペプチドも、上記転写抑制転換ペプチドに含まれる。
(5)α1−Leu−β1−Leu−γ1−Leu
但し、上記式(5)中α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、Ser又はHisを示し、γ1は、Arg、Gln、Asn、Thr、Ser、His、Lys又はAspを示す。
なお、上記一般式(5)で表されるペプチドを、便宜上、次に示す一般式(6)、(7)、(8)又は(9)で表されるアミノ酸配列を有しているペプチドに分類する。
(6)α1−Leu−β1−Leu−γ2−Leu
(7)α1−Leu−β2−Leu−Arg−Leu
(8)α2−Leu−β1−Leu−Arg−Leu
(9)Asp−Leu−β3−Leu−Arg−Leu
但し、上記各式中、α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、α2は、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示す。また、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、Ser又はHisを示し、β2はAsn、Arg、Thr、Ser又はHisを示し、β3は、Glu、Asp又はGlnを示す。さらに、γ2は、Gln、Asn、Thr、Ser、His、Lys又はAspを示す。
上記式(5)〜(9)で表されるアミノ酸配列を有する転写抑制転換ペプチドのより具体的な例としては、配列番号22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、133、59、又は60で表されるアミノ酸配列を有するペプチドを挙げることができる。このうち、配列番号29、30、32、34、133、59、又は60のペプチドは、一般式(6)に示されるペプチドに相当し、配列番号22、25、35、36又は37のペプチドは、一般式(7)に示されるペプチドに相当し、配列番号26、27、28、31、又は33のペプチドは、一般式(8)に示されるペプチドに相当し、配列番号23又は24のペプチドは、一般式(9)に示されるペプチドに相当する。
また、上記一般式(5)〜(9)に示されるペプチド以外にも配列番号38又は39で表されるアミノ酸配列を有する転写抑制転換ペプチドを用いることもできる。
(I−4)キメラタンパク質の生産方法
上記(I−2)及び(I−3)で説明した各種転写抑制転換ペプチドは、上記(I−1)で説明した転写因子と融合してキメラタンパク質とすることにより、当該転写因子を転写抑制因子とすることができる。したがって、本発明では、上記転写抑制転換ペプチドをコードするポリヌクレオチドを用いて、転写因子をコードする遺伝子とのキメラ遺伝子を得れば、キメラタンパク質を生産させることができる。
具体的には、上記転写抑制転換ペプチドをコードするポリヌクレオチド(説明の便宜上、転写抑制転換ポリヌクレオチドと称する)と上記転写因子をコードする遺伝子とを連結することによりキメラ遺伝子を構築して、植物細胞に導入する。これによりキメラタンパク質を生産させることができる。なお、キメラ遺伝子を植物細胞に導入する具体的な方法については、後述する(II)の項で詳細に説明する。
上記転写抑制転換ポリヌクレオチドの具体的な塩基配列は特に限定されるものではなく、遺伝暗号に基づいて、上記転写抑制転換ペプチドのアミノ酸配列に対応する塩基配列を含んでいればよい。また、必要に応じて、上記転写抑制転換ポリヌクレオチドは、転写因子遺伝子と連結するための連結部位となる塩基配列を含んでいてもよい。さらに、上記転写抑制転換ポリヌクレオチドのアミノ酸読み枠と転写因子遺伝子の読み枠とが一致しないような場合に、これらを一致させるための付加的な塩基配列を含んでいてもよい。
上記転写抑制転換ポリヌクレオチドの具体例としては、例えば、配列番号61、63、65、67、69、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93、97、99、101、103、105、107、109、111、113、115、117、119、121、123、125、127、129、131、1、55、又は57に示される塩基配列を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。また、配列番号62、64、66、68、70、72、74、76、78、80、82、84、86、88、90、92、94、98、100、102、104、106、108、110、112、114、116、118、120、122、124、126、128、130、132、2、56、又は58に示されるポリヌクレオチドは、それぞれ、上記例示されたポリヌクレオチドと相補的なポリヌクレオチドである。また、上記転写抑制転換ポリヌクレオチドの他の具体例としては、例えば、配列番号95、96に示されるポリヌクレオチドを挙げることができる。これらのポリヌクレオチドは、以下の表1に示すように配列番号3〜39、133、59、60に示されるアミノ酸配列に対応するものである。
Figure 2005295878
本発明で用いられるキメラタンパク質は、転写因子をコードする遺伝子と転写抑制転換ポリヌクレオチドとを連結した上記キメラ遺伝子から得ることができる。したがって、上記キメラタンパク質は、上記転写因子の部位と、上記転写抑制転換ペプチドの部位とが含まれていればよく、その構成は特に限定されるものではない。例えば、転写因子と転写抑制転換ペプチドとの間をつなぐためのリンカー機能を有するポリペプチドや、HisやMyc、Flag等のようにキメラタンパク質をエピトープ標識するためのポリペプチド等、各種の付加的なポリペプチドが含まれていてもよい。さらに上記キメラタンパク質には、必要に応じて、ポリペプチド以外の構造、例えば、糖鎖やイソプレノイド基等が含まれていてもよい。
(II)本発明にかかる植物体の生産方法の一例
本発明にかかる植物体の生産方法は、上記(I)で説明したキメラタンパク質を植物体に導入し、花芽の形成を遅延させる過程を含んでいれば特に限定されるものではないが、本発明にかかる植物体の生産方法を具体的な工程で示せば、例えば、発現ベクター構築工程、形質転換工程、選抜工程等の工程を含む生産方法として挙げることができる。このうち、本発明では、少なくとも形質転換工程が含まれていればよい。以下、各工程について具体的に説明する。
(II−1)発現ベクター構築工程
本発明において行われる発現ベクター構築工程は、上記(I−1)で説明した転写因子をコードする遺伝子と、上記(I−4)で説明した転写抑制転換ポリヌクレオチドと、プロモーターとを含む組換え発現ベクターを構築する工程であれば特に限定されるものではない。
上記組換え発現ベクターの母体となるベクターとしては、従来公知の種々のベクターを用いることができる。例えば、プラスミド、ファージ、又はコスミド等を用いることができ、導入される植物細胞や導入方法に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、pBR322、pBR325、pUC19、pUC119、pBluescript、pBluescriptSK、pBI系のベクター等を挙げることができる。特に、植物体へのベクターの導入法がアグロバクテリウムを用いる方法である場合には、pBI系のバイナリーベクターを用いることが好ましい。pBI系のバイナリーベクターとしては、具体的には、例えば、pBIG、pBIN19、pBI101、pBI121、pBI221等を挙げることができる。
上記プロモーターは、植物体内で遺伝子を発現させることが可能なプロモーターであれば特に限定されるものではなく、公知のプロモーターを好適に用いることができる。かかるプロモーターとしては、例えば、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(CaMV35S)、アクチンプロモーター、ノパリン合成酵素のプロモーター、タバコのPR1a遺伝子プロモーター、トマトのリブロース1,5−二リン酸カルボキシラーゼ・オキシダーゼ小サブユニットプロモーター等を挙げることができる。この中でも、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター又はアクチンプロモーターをより好ましく用いることができる。上記各プロモーターを用いれば、得られる組換え発現ベクターでは、植物細胞内に導入されたときに任意の遺伝子を強く発現させることが可能となる。
上記プロモーターは、転写因子をコードする遺伝子と転写抑制転換ポリヌクレオチドとを連結したキメラ遺伝子を発現しうるように連結され、ベクター内に導入されていればよく、組換え発現ベクターとしての具体的な構造は特に限定されるものではない。
上記組換え発現ベクターは、上記プロモーター及び上記キメラ遺伝子に加えて、さらに他のDNAセグメントを含んでいてもよい。当該他のDNAセグメントは特に限定されるものではないが、ターミネーター、選別マーカー、エンハンサー、翻訳効率を高めるための塩基配列等を挙げることができる。また、上記組換え発現ベクターは、さらにT−DNA領域を有していてもよい。T−DNA領域は特にアグロバクテリウムを用いて上記組換え発現ベクターを植物体に導入する場合に遺伝子導入の効率を高めることができる。
ターミネーターは転写終結部位としての機能を有していれば特に限定されるものではなく、公知のものであってもよい。例えば、具体的には、ノパリン合成酵素遺伝子の転写終結領域(Nosターミネーター)、カリフラワーモザイクウイルス35Sの転写終結領域(CaMV35Sターミネーター)等を好ましく用いることができる。この中でもNosターミネーターをより好ましく用いることできる。
上記形質転換ベクターにおいては、ターミネーターを適当な位置に配置することにより、植物細胞に導入された後に、不必要に長い転写物を合成したり、強力なプロモーターがプラスミドのコピー数の減少させたりするような現象の発生を防止することができる。
上記選別マーカーとしては、例えば薬剤耐性遺伝子を用いることができる。かかる薬剤耐性遺伝子の具体的な一例としては、例えば、ハイグロマイシン、ブレオマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、クロラムフェニコール等に対する薬剤耐性遺伝子を挙げることができる。これにより、上記抗生物質を含む培地中で生育する植物体を選択することによって、形質転換された植物体を容易に選別することができる。
上記翻訳効率を高めるための塩基配列としては、例えばタバコモザイクウイルス由来のomega配列を挙げることができる。このomega配列をプロモーターの非翻訳領域(5’UTR)に配置させることによって、上記キメラ遺伝子の翻訳効率を高めることができる。このように、上記形質転換ベクターには、その目的に応じて、さまざまなDNAセグメントを含ませることができる。
上記組換え発現ベクターの構築方法についても特に限定されるものではなく、適宜選択された母体となるベクターに、上記プロモーター、転写因子をコードする遺伝子、及び転写抑制転換ポリヌクレオチド、並びに必要に応じて上記他のDNAセグメントを所定の順序となるように導入すればよい。例えば、転写因子をコードする遺伝子と転写抑制転換ポリヌクレオチドとを連結してキメラ遺伝子を構築し、次に、このキメラ遺伝子とプロモーターと(必要に応じてターミネーター等)とを連結して発現カセットを構築し、これをベクターに導入すればよい。
キメラ遺伝子の構築及び発現カセットの構築では、例えば、各DNAセグメントの切断部位を互いに相補的な突出末端としておき、ライゲーション酵素で反応させることで、当該DNAセグメントの順序を規定することが可能となる。なお、発現カセットにターミネーターが含まれる場合には、上流から、プロモーター、上記キメラ遺伝子、ターミネーターの順となっていればよい。また、組換え発現ベクターを構築するための試薬類、すなわち制限酵素やライゲーション酵素等の種類についても特に限定されるものではなく、市販のものを適宜選択して用いればよい。
また、上記組換え発現ベクターの増殖方法(生産方法)も特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。一般的には大腸菌をホストとして当該大腸菌内で増殖させればよい。このとき、ベクターの種類に応じて、好ましい大腸菌の種類を選択してもよい。
(II−2)形質転換工程
本発明において行われる形質転換工程は、上記(II−1)で説明した組換え発現ベクターを植物細胞に導入して、上記(I)で説明したキメラタンパク質を生産させるようになっていればよい。
上記組換え発現ベクターを植物細胞に導入する方法(形質転換方法)は特に限定されるものではなく、植物細胞に応じた適切な従来公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、アグロバクテリウムを用いる方法や直接植物細胞に導入する方法を用いることができる。アグロバクテリウムを用いる方法としては、例えば、Transformation of Arabidopsis thaliana by vacuum infiltration(http://www.bch.msu.edu/pamgreen/protocol.htm)を用いることができる。
組換え発現ベクターを直接植物細胞に導入する方法としては、例えば、マイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法(電気穿孔法)、ポリエチレングリコール法、パーティクルガン法、プロトプラスト融合法、リン酸カルシウム法等を用いることができる。
上記組換え発現ベクターが導入される植物細胞としては、例えば、花、葉、根等の植物器官における各組織の細胞、カルス、懸濁培養細胞等を挙げることができる。
ここで、本発明にかかる植物体の生産方法においては、上記組換え発現ベクターは、生産しようとする種類の植物体に合わせて適切なものを適宜構築してもよいが、汎用的な組換え発現ベクターを予め構築しておき、それを植物細胞に導入してもよい。すなわち、本発明にかかる植物体の生産方法においては、上記(I−1)で説明した組換え発現ベクター構築工程が含まれていてもよいし、含まれていなくてもよい。
(II−3)その他の工程、その他の方法
本発明にかかる植物体の生産方法においては、上記形質転換工程が含まれていればよく、さらに上記組換え発現ベクター構築工程が含まれていてもよいが、さらに他の工程が含まれていてもよい。具体的には、形質転換後の植物体から適切な形質転換体を選抜する選抜工程等を挙げることができる。
選抜の方法は特に限定されるものではなく、例えば、ハイグロマイシン耐性等の薬剤耐性を指標として選抜してもよいし、形質転換体を育成した後に、植物体の花芽形成時期を指標に選抜してもよい。例えば、花芽の形成時期を指標とする選抜方法の例としては、形質転換体の花芽の形成時期を、形質転換していない植物体(野生型)のそれと比較する方法を挙げることができる(後述の実施例参照)。野生型のものに比して花芽形成が遅延する植物体を選抜すれば、形質転換体を選抜することができる。
本発明において「花芽形成遅延」とは、花芽の形成が野生型のものに比して相対的に遅延するものであれば特に限定されるものではない。但し、花芽形成に要する時間を考慮すれば、通常7日以上花芽の形成が遅延するものが花芽形成遅延植物体であると判断することが妥当である(koornneef et al. Mol. Gen. Genet. 229, 57-66 参照)。花芽形成遅延の評価は、花茎の伸長(花芽立ち)を指標にすればよい。より具体的には、例えば花茎が1cmに達するまでの期間を測定し、野生型のそれとを比較すればよい。また本発明者等は、本発明にかかる植物体の生産方法によって得られた花芽形成遅延植物体(シロイナズナ)は、花芽の形成が遅延するとともに、ロゼット葉が野生株に比して2〜3倍増加することを発見した。よって、タンポポ等の多年草や、シロイナズナ、ヒメムカシヨモギ、オオマツヨイグサ等のロゼット葉を形成する植物においては、ロゼット葉の枚数を指標として花芽形成遅延の評価を行なうことができる。
本発明にかかる植物体の生産方法では、上記キメラ遺伝子を植物体に導入するため、該植物体から、有性生殖又は無性生殖により単に含量が低減された子孫を得ることが可能となる。また、該植物体やその子孫から植物細胞や、種子、果実、株、カルス、塊茎、切穂、塊等の繁殖材料を得て、これらを基に該植物体を量産することも可能となる。したがって、本発明にかかる植物体の生産方法では、選抜後の植物体を繁殖させる繁殖工程(量産工程)が含まれていてもよい。
なお、本発明における植物体とは、成育した植物個体、植物細胞、植物組織、カルス、種子の少なくとも何れかが含まれる。つまり、本発明では、最終的に植物個体まで成育させることができる状態のものであれば、全て植物体と見なす。また、上記植物細胞には、種々の形態の植物細胞が含まれる。かかる植物細胞としては、例えば、懸濁培養細胞、プロトプラスト、葉の切片等が含まれる。これらの植物細胞を増殖・分化させることにより植物体を得ることができる。なお、植物細胞からの植物体の再生は、植物細胞の種類に応じて、従来公知の方法を用いて行なうことができる。したがって、本発明にかかる植物体の生産方法では、植物細胞から植物体を再生させる再生工程が含まれていてもよい。
(III)本発明により得られる植物体とその有用性、並びにその利用
本発明にかかる植物体の生産方法は、キメラタンパク質を植物体で発現させることによる。当該キメラタンパク質における転写因子由来のDNA結合ドメインが、標的遺伝子に結合する。転写因子は転写抑制因子に転換され、標的遺伝子の転写が抑制される。その結果、得られる植物体の花芽の形成が遅延させることができる。したがって、本発明には、上記植物体の生産方法により得られる植物体(花芽形成遅延植物体)も含まれる。
(III−1)本発明にかかる花芽形成遅延植物体の具体例
ここで、本発明にかかる花芽形成遅延植物体の具体的な種類は特に限定されるものではなく、花芽の形成遅延によりその有用性が高まる植物を挙げることができる。かかる植物は、被子植物であってもよいし裸子植物であってもよい。また、被子植物としては、単子葉植物であってもよいし、双子葉植物であってもよい。
より具体的には、花芽形成が遅延することによって品質の長期維持が可能となる果樹・樹木(食用)が挙げられる。かかる果樹・樹木(食用)としては、例えばアキグミ・アケビ・アセロラ・アテモヤ・アボカド・アロニア・アンコール・アンズ・イチジク・イチョウ・伊予柑・イワテヤマナシ・ウメ・温州ミカン・オウトウ・オオウラジロノキ・オリーブ・オレンジ・カエデ・カキ・カシワ・ガマズミ・カボス・カヤ・カーランツ・カリン・カンキツ・キイチゴ類・キウイフルーツ・紀州ミカン・キンカン・グアバ・クサボケ・クマヤナギ・グミ・クリ・クルミ・グレープフルーツ・クロマメノキ・クワ・ケンポナシ・コケモモ・ゴレンシ・サクラ・ザクロ・桜島小ミカン・サルナシ・サンカクヅル・サンショウ・シークワシャー・シバグリ・じゃばら・スグリ・スダチ・ストロベリー・スモモ・西洋ナシ・ダイダイ・タケ・タンカン・タンゴール・タンゼロ・チャ・チェリモヤ・ツクバネ・デコポン・テリハバンジロウ・トチノキ・ナシ・ナツハゼ・ナツメ・ナルト・ニホンナシ・パイナップル・ハシバミ・ハスカップ・パッションフルーツ・バナナ・パパイヤ・パパヤ・ハマナス・バレンシアオレンジ・ビワ・フェイジョア・福原オレンジ・ブドウ・ブナ・ブルーベリー・プルーン・ブンタン・ホワイトサポテ・マタタビ・マツブサ・マルメロ・マンゴー・マンゴウ・ミカン類・ミツバアケビ・ミラクルフルーツ・ムベ・モモ・ヤマブドウ・ヤマボウシ・ヤマモモ・ユコウ・ユズ・ライム・リュウガン・リンゴ・レイシ・レモン等が挙げられる。
また同じく花芽形成が遅延することによって品質の長期維持が可能となる野菜(果菜)・野菜(葉菜)・野菜(根茎菜)が挙げられる。野菜(果菜)の具体例としては、アールスメロン・イチゴ・インゲン・インゲンマメ・ウリ・エダマメ・エンドウ・オクラ・カボチャ・カラスウリ・キヌサヤエンドウ・キュウリ・クッキングトマト・ゴーヤ・シシトウ・ジャンボピーマン・シロウリ・スイートコーン・スイカ・ズッキーニ・ソラマメ・トウガラシ・トマト・ナス・ニガウリ・ピーマン・ホオズキ・マメ科・ミニトマト・メロン等が挙げられる。また、野菜(葉菜)の具体例としては、アサツキ・アシタバ・アスパラ・アスパラガス・アブラナ科・ウド・エシャロット・カイワレダイコン・カラシナ・カリフラワー・キャベツ・クレソン・コマツナ・シソ・シュンギク・せり・セルリー・セロリ・ソバモヤシ・チンゲンサイ・ニラ・ネギ・ハクサイ・パセリ・葉ネギ・フキ・フキノトウ・ブロッコリー・ホウレンソウ・ミズナ・ミツバ・モロヘイヤ・レタス・ワケギ等が挙げられる。また野菜(根茎菜)の具体例としては、カブ・コカブ・ゴボウ・ジネンジョ・ショウガ・ダイコン・タマネギ・ナガイモ・ニンジン・ニンニク・ヤーコン・ヤマトイモ・ラッキョウ・レンコン・ワサビ・ワサビダイコン等が挙げられる。
また同じく花芽形成が遅延することによって品質の長期維持が可能となる穀類・マメ類・イモ類・油脂作物が挙げられる。より具体的には、例えばアズキ・アマランサス・アワ・イネ・インゲンマメ・エゴマ・エンバク・オオムギ・カンショ・キノア・キビ・ゴマ・コムギ・コンニャク・サツマイモ・サトイモ・サトウキビ・シカクマメ・シコクビエ・ジャガイモ・ソバ・ソラマメ・ダイズ・トウモロコシ・ナタネ・ナタマメ・ハトムギ・バレイショ・ビールムギ・ヒエ・ヒマワリ・モロコシ・ヤーコン・ヤマノイモ・ライコムギ・ライムギ・ラッカセイ等が挙げられる。
さらには、花芽形成が遅延することによって寿命を延ばすことが可能な花卉・花木・緑化樹が挙げられる。かかる花卉・花木・緑化樹の具体例としては、アーティチョーク・アイフェイオン・アイリス・アオキ・アオバナフジバカマ・アカシア・アガパンサス・アカリファ・アキメネス・アキランサス・アキレア・アグラオネマ・アグロステンマ・アゲラタム・アサガオ・アザレア・アジサイ・アシダンテラ・アスクレピアス・アスター・アスチルベ・アスパラガス・アッツザクラ・アナナス類・アニゴザントス・アニスヒソップ・アネモネ・アフェランドラ・アブチロン・アマクリナム・アマリネ・アマリリス・アメリカナデシコ・アメリカンブルー・アララギ・アリウム類・アリッサム・アルケミラ・アルストロメリア・アルテルナンテラ・アルメリア・アレナリア・アロエ・アロエ類・アローカシア・アローカリア・アンスリウム・イエローエンジェル・イカダバルスカス・イキシア・イスメネ・イソトマ・イヌサフラン・イブキ・イベリス・イポメア・イングリッシュデージー・インパチェンス・ヴァロータ・ウインタ−コスモス・ウチョウラン・ウッドラフ・ウツボカズラ・ウメ・ウメモドキ・ウルセオリナ・エキザカム・エキナケア・エキナセア・エキノプス・エスキナンサス・エゾギク・エニシダ・エピスシア・エピデンドラム・エビネ・エボルブルス・エリカ類・エリゲロン・エリシマム・エリスロニウム・エリンギウム・エレムラス・オイランソウ・オーニソガラム・オキザリス・オキシペタルム・オジギソウ・オシロイバナ・オステオスペルマム・オタカンサス・オダマキ・オドントグロッサム・オミナエシ・オモト・オリエンタル・ハイブリッド・オリス・オリヅルラン・オレガノ類・オンシジウム・ガーデニア・カーネーション・ガーベラ・ガーリックバイン・カイドウ・ガウラ・カエデ・モミジ類・ガザニア・カスミソウ・カタナンケ・カヂイチゴ・カッコアザミ・カトレア・ガマ・カマシア・カメリア・カモミール類・カラー・カライトソウ・ガラキシア・カラジウム・カラテア・マコヤナ・カラミンサ・カランコエ・ガランサス・カランドリニア・カリシア・カリステモン・カルーナ・ブルガリス・カルセオラリア・カルミア・カレープラント・カロコルタス・カロライナジャスミン・カワラナデシコ・含羞草・カンナ・カンパニュラ・カンパニュラ・メジウム・カンムリキンバイ・キイチゴ・キカス・キキョウ・キク・キクイモモドキ・キセランセマム・キソケイ・ギヌラ・キバナセンダイハギ・キバナセンニチコウ・ギボウシ・キャットミント類・キャラボク・キャンディーリリー・キュウコンベゴニア・ギョリュウ・ギョリュウバイ・ギリア・カピタータ・ギリア・コロノピフォリア・ギリア・トリコロール・キルタンサス・キンギョソウ・ギンコウバイ・キンセンカ・ギンバイカ・キンバコデマリ・キンポウジュ・キンレンカ・クサキョウチクトウ・クジャクサボテン類・クチナシ・クフェア・クラ−キア・グラジオラス・クラスペディア・クリサンセマム・クリスマスローズ・クリナム・クリムソンクローバー・クルクマ・アリスマティフォリア・クレオメ・グレコマ・ヘデラケア・グレビレア・クレマチス・クレロデンドラム・クロウエア・クローブピンク・グローブフラワー・グロキシニア・クロサンドラ・クロッカス・グロッバ・クロトン・グロリオーサ・クンシラン・ゲイソリザ・ケイトウ・ケシ類・ゲッキツ・ゲットウ・ケマンソウ・ケローネ・ケントランツス・コウテングワ・コウホネ・コーヒーノキ・コキア・小ギク・ゴクラクチョウカ・コケサンゴ・コスモス・コチョウソウ・ゴデチア・コデマリ・コニファー・コボウズオトギリ・コムラサキ・ゴム類・コモンマロウ・コモンヤロウ・コリウス・コリンシア・コルジリーネ・コルチカム・コルムネア・コレオプシス・コンロンカ・サイネリア・サギソウ ・サクユリ・サクラギソウ・サクラ類・ザクロ・ササ・ササユリ・サザンカ・サザンクロス・サツキ・サツマイモ・サテンフラワー・サフラン・サボテン・サボテン類 ・サポナリア・サボリー・サラセニア・サルスベリ・サルビア・サルビア類・サンゴミズキ・サンシュユ・サンセベリア・サンダーソニア・サンタンカ・サントリナ類・シェフレラ・シオン・ジギタリス・シキミ・シクラメン・シザンサス・シダ類・シッサス・ジニア・シネラリア・シバザクラ・芝桜・シャクナゲ・シャクヤク・シャコバサボテン類・シャスターデージー・ジャスミン・ジャノヒゲ・シュウメイギク・シュッコンアスター・シュッコンアマ・シュッコンカスミソウ・シュッコンバーベナ・シュッコンフロックス・ショウブ・ジョチュウギク・シラー・シラン・シレネ・ブルガリス・シレネ・ペンジュラ・シロタエギク・シンゴニウム・ジンジャー・ジンチョウゲ・シンテッポウユリ・シンビジウム・スィートバイオレット・スイートピー・スイセン・スカエボラ・スカシユリ・スカビオサ・スギ類・スクテラリア・スターチス・シヌアータ・スターチス類・スタキス・ステビア・ステラ・ステルンベルギア・ステレオスペルマム・ストケシア・ストック・ストレプトカルプス・ストレリチア・レギネ・ストロベリーキャンドル・スノードロップ・スノーフレーク・スノーボール・スパティフィラム・スパラキシス・スピロキシネ・スプレーギク・スプレケリア・スモークツリー・西洋シャクナゲ・セイヨウノコギリソウ・セイヨウフウチョウソウ・セージ類・セキチク・セストラム・セネシオ・ゼフィランサス・セブリナ・ゼラニウム・セルフヒール・センダイハギ・センテッドゼラニウム類・セントウレア・セントポーリア・セントランサス・センニチコウ・センリョウ・ソテツ・ソラナム・ソリドアスター・ダールベリグデージー・ダイアンサス・タイム類・ダイモンジソウ・大文字撫子・ダイモンジナデシコ・タケ・タチアオイ・ダチュラ・タツタナデシコ・ダッチアイリス・タツナミソウ・タナシツツジ・タマシダ・タマツヅリ・ダリア・ダルマヒオウギ・ダンゴギク・タンジー・チェイランサス・チオノドクサ・チグリジャ・チ−ゼル・チトニア・チャイブ・チャラン・チューベローズ・チューリップ・チョウセンアザミ・チョウセンマキ・チョウダイアイリス・チョコレートコスモス・チリーアヤメ・チンシバイ・ツゲ・ツツジ類・ツバキ・ツバメスイセン・ツピダンサス・ツボサンゴ・ツルバギア・ツルバギア・フラグランス・ツンベルギア・ディソディア・ディフェンバキア・ディプラデニア・ディモルホセカ・ディル・デッドネットル・テッポウユリ・デュランタ・テランセラ・デルフィニウム・テロペア・デンドロビウム・ドイツアザミ・ドイツスズラン・トウガラシ類・ドゥランタ・トキワガマズミ・トキワマンサク・トクサ・ドクダミ・トケイソウ・トサミズキ・トックリラン・ドラセナ・トラチェリウム・トラディスカンティア・トラフアヤメ・トリカブト・トリトニア・トリトマ・トレニア・トロリウス・ナゴラン・ナスタチューム・ナデシコ・ナンテン・ニーレンベルギア・ニゲラ・ニコチアナ・ニシキギ・ニチニチソウ・ニューギニア・インパチェンス・ニューサイラン・ニワウメ・ニンニクカズラ・ネペンテス・ネマタンサス・ネメシア・ネモフィラ・ネリネ・ノウゼンカズラ・ノコギリソウ・ノバラ・ノボタン類・ハートカズラ・ハーバーティア・パープルコーンフラワー・バーバラ・バーベナ・バイカウツギ・ハイドランジア・パイナップルリリー・ハイビスカス・ハエマンサス・ハギ・パキスタキス・パキラ・ハクチョウソウ・ハゲイトウ・バコパ・ハゴロモジャスミン・バジル・ハゼリソウ・バタフライチューリップ・ハツユキカズラ・ハツユキソウ・ハナシノブ・ハナシュクシア・ハナショウブ・ハナズオウ・ハナタバコ・ハナツメクサ・ハナトラノオ・ハナナ・ハナニラ・ハナビシソウ・ハナミズキ・ハナモモ・バビアナ・パピルス・パフィオペディラム・ハブランサス・ハボタン・バラ・ハラン・バンクシア・パンクラチウム・パンジー・バンダ・パンダヌス・パンドレア・ヒアシンス・ヒイラギナンテン・ヒソップ・ビデンス・ヒバ類・ヒビスカス・ヒペリカム・ヒベルティア・ヒポシルタ・ヒマラヤユキノシタ・ヒマワリ・ヒメアガパンサス・ヒメキンギョソウ・ヒメサユリ・ヒメツルソバ・ヒメナデシコ・ヒメヒオウギ・ヒメヒオウギアヤメ・ヒメヒオウギズイセン・姫ヒマワリ・ヒメユリ・ビャクシン・ヒャクニチソウ・ヒュウガミズキ・ビヨウヤナギ・ピラカンサ・ピレア・ヒロハヒマワリ・ビンカ・ファセリア・ファトスヘデラ・ファレノプシス・フィーバーフュー・フィソステギア・フィットニア・フイリイボタ・フィロデンドロン・ブーゲンビレア・フウラン・フェイジョア・フェンネル・フクシア・フクジュソウ・フジ・フジバカマ・ブバルディア・ブプレウラム・ブライダルベール・ブラキカム・フリージア・フリティラリア・プリムラ類・ブルーキャッツアイ・ブルークローバー・ブルーデージー・ブルーファンフラワー・ブルーレースフラワー・フレンチタラゴン・プロスタンテラ・フロックス・プロテア・ブロディエア・ブロワリア・ヘイシソウ・ベゴニア・センパフローレンス・ベゴニア類・ヘスペランサ・ペチュニア・ベッセラ・ヘデラ・ベニシタン・ベニスモモ・ベニチョウジ・ベニナデシコ・ベニバスモモ・ベニバナ・ペペロミア・ペラルゴニウム類・ヘリオトロープ・ヘリクリサム・ヘリコニア・ベルガモット・ヘレニウム・ヘレボラス・ベロニカ・ペンステモン・ペンタス・ペンツィア・ポインセチア・ホウキギ・ホオズキ・ポーチュラカ・ボケ・ボサギク・ボタン・ポットマム・ポトス・ホトトギス・ホヤ・ポリキセナ・ボリジ・ポリスキアス・ホリホック・ポレモニウム・ボロニア・ホワイトレースフラワー・マーガレット・マーガレットコスモス・マーシュマロウ・マサキ・マスデバリア・マダガスカルジャスミン・マツバボタン・マツ類・マトリカリア・マニホット・マユハケオモト・マリーゴールド・マンサク・マンリョウ・ミケルマスデージー・ミシマサイコ・ミストフラワー・ミムラス・実もの・ミヤコワスレ・ミルトニア・ミントブッシュ・ミント類・ムクゲ・ムスカリ・ムッサエンダ・ムラサキオモト・ムラサキクンシラン・ムラサキセンダイハギ・メキシコヒマワリ・メランポディウム・モクレン類・モナルダ・モルセラ・モンステラ・モントブレティア・ヤグルマソウ・ヤシ類・ヤナギバヒマワリ・ヤナギ類・ヤマモモソウ・ヤマユリ・ユーカリ・ユウギリソウ・ユークロシア・ユーコミス・ユーストマ・ユウゼンギク・ユーチャリス・ユーパトリウム・ユーフォルビア・ユーフォルビア・フルゲンス・ユキヤナギ・ユッカ・ユリオプスデージー・ユリ類・ヨウシュオキナグサ・ヨウシュカタクリ・ヨウシュクモマグサ・ヨウシュコバンノキ・ラークスパー・ライラック・ラケナリア・ラデルマケラ・シンカ・ラナンキュラス・ラペイロージア・ラベンダー・ラミウム・ラムズイヤー・ラン・ランタナ・リアトリス・リオン・リカステ・リコリス・リシマキア・リナリア・リビングストン・デージー・リューココリーネ・リュウノヒゲ・輪ギク・リンショウバイ・リンドウ・ルスカス・ルドベッキア・ルナリア・ルバーブ・ルビーグラス・ルピナス類・ルリカラクサ・ルリタマアザミ・ルリトラノオ・レイコウ・レインリリー・レウカデンドロン・レオノチス・レケナウルティア・レッドジンジャー・レディースマントル・レモングラス・レモンバーベナ・レモンバーム・レンギョウ・ロウバイ・ローズヒップ・ローズマリー・ロードヒポキシス・ローレル・ロケア・ローダンセ・ロブラリア・ロベリア類・ロムレア・ワイルドストロベリー・ワスレナグサ・ワタ・ワックスフラワー・ワトソニア・ワレモコウ等が挙げられる。
(III−2)本発明の有用性
本発明では、花芽の形成を遅延させることができるが、本発明の有用性は特に限定されるものではなく、花芽の形成遅延により効果がある分野であればよい。かかる分野としては、例えば、果実・野菜等の品質の長期維持が可能であることから農業分野において有用である。また、観賞用の植物の寿命を延ばすことが可能なため園芸農業・緑化事業等においても有用である。また植物の延命と、既述のとおり本発明にかかる花芽形成遅延植物はロゼット葉が増加するため、二酸化炭素吸収効果の向上等、環境浄化に対して有用である。
(III−3)本発明の利用の一例
本発明の利用分野、利用方法は特に限定されるものではないが、一例として、本発明にかかる植物体の生産方法を行なうためのキット、すなわち花芽形成遅延植物体の生産キットを挙げることができる。
この花芽形成遅延植物体の生産キットの具体例としては、上記転写因子をコードする遺伝子と上記転写抑制転換ポリヌクレオチドとからなるキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクターを少なくとも含んでいればよく、上記組換え発現ベクターを植物細胞に導入するための試薬群を含んでいればより好ましい。上記試薬群としては、形質転換の種類に応じた酵素やバッファー等を挙げることができる。その他、必要に応じてマイクロ遠心チューブ等の実験用素材を添付してもよい。
また本発明にかかる花芽形成遅延植物体の生産方法は、植物体の延命方法とすることができ、その延命方法によって延命植物を取得することが可能となる。さらには、上記花芽形成遅延植物体の生産キットと同様の構成によって、植物体の延命キットとすることができる。なお、ここで「植物体の延命」とは、植物体が枯れるまでの期間を延ばすことのみならず、果実等の品質の劣化までの期間を延ばすことをも含む意味である。
以下、実施例及び図1に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
以下の実施例1においては、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターと、ノパリン合成酵素遺伝子の転写終止領域との間に、転写抑制転換ペプチドのひとつである12アミノ酸ペプチドLDLDLELRLGFA(SRDX)(配列番号19)をコードするポリヌクレオチドをERL1遺伝子の下流に結合したポリヌクレオチドを組み込んだ組換え発現ベクターを構築し、これをシロイヌナズナにアグロバクテリウム法を用いて導入することにより、シロイヌナズナを形質転換した。
(1)植物形質転換用ベクターpBIG2の構築
クローンテック社製(Clontech 社、USA)のプラスミドp35S−GFPを制限酵素HindIIIとBamHIで切断し、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターを含むDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離し回収した。
米国ミシガン州立大学より譲渡された植物形質転換用ベクターpBIG−HYG(Becker, D. 1990 Nucleic Acid Research, 18:203)を制限酵素HindIIIとSstIとで切断し、アガロースゲル電気泳動によってGUS遺伝子を除いたDNA断片を得た。
以下の配列を有するDNAを合成し、70℃で10分加温した後、自然冷却によりアニールさせて2本鎖DNAとした。このDNA断片は、5’末端から、BamHI制限酵素部位、翻訳効率を高めるタバコモザイクウイルス由来のomega配列、制限酵素部位SmaI、及び制限酵素部位SalIとSstIとをこの順に有する。
5'-GATCCACAATTACCAACAACAACAAACAACAAACAACATTACAATTACAGATCCCGGGGGTACCGTCGACGAGCT-3'(配列番号134)
5'-CGTCGACGGTACCCCCGGGATCTGTAATTGTAATGTTGTTTGTTGTTTGTTGTTGTTGGTAATTGTG-3'(配列番号135)
次に、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター領域を含むDNA断片と、合成した2本鎖DNAとを、GUS遺伝子を除いたpBIG−HYGのHindIII、SstI部位に挿入し、植物形質転換用ベクターpBIG2を得た。
(2)組換え発現ベクターpPAP1SRDXの構築
<ERL1cDNAの単離>
シロイヌナズナcDNAライブラリーより、以下のプライマーを用いて終止コドンを除くERL1のコード領域のみを含むDNA断片を、PCRを用いて増幅し、アガロース電気泳動により分離し回収した。PCRの条件は、変性反応94℃1分、アニール反応47℃2分、伸長反応74℃1分を1サイクルとして25サイクル行なった。
5'プライマー
5'-ATGTATTCATCTCCAAGTTCTTGG-3'(配列番号136)
3'プライマー
5'-ACATGAGCTCATAAGAAGTTGTTC-3'(配列番号143)
ERL1遺伝子(At2g31230)のcDNA及びコードするアミノ酸配列をそれぞれ配列番号138及び137に示す。
<転写抑制転換ペプチドLDLDLELRLGFA(SRDX)をコードするポリヌクレオチドの合成>
12アミノ酸ペプチドLDLDLELRLGFA(SRDX)をコードし、3’末端に終止コドンTAAを持つように設計した、以下の配列を有するDNAをそれぞれ合成し、70℃で10分加温した後、自然冷却によりアニールさせて2本鎖DNAとした。
5'-CTGGATCTGGATCTAGAACTCCGTTTGGGTTTCGCTTAAG-3'(配列番号144)
5'-CTTAAGCGAAACCCAAACGGAGTTCTAGATCCAGATCCAG-3'(配列場号145)
<組換え発現ベクターの構築>
上記で得たERL1遺伝子のタンパク質コード領域のみを含むDNA断片と転写抑制転換ペプチドSRDXのコード領域を含むDNA断片とを、制限酵素SmaIで切断した上記pBIG2に挿入し、順方向にクローニングされているものを単離し、組換え組換え発現ベクターであるプラスミドp35S::ERL1SRDXを得た。
(3)組換え発現ベクターp35S::ERL1SRDXにより形質転換した植物体の作製
p35S::ERL1SRDXによるシロイヌナズナ植物の形質転換は、Transformation of Arabidopsis thaliana by vacuum infiltration(http://www.bch.msu.edu/pamgreen/protocol.htm)に従った。ただし、感染させるのにバキュウムは用いないで、浸すだけにした。p35S::ERL1SRDXを、土壌細菌Agrobacterium tumefaciens strain GV3101 (C58C1Rifr) pMP90 (Gmr)(koncz and Schell 1986)株にエレクトロポレーション法で導入した。導入した菌を1リットルの、抗生物質(カナマイシン(Km)50μg/ml、ゲンタマイシン(Gm)25μg/ml、リファンピシリン(Rif)50μg/ml)を含むYEP培地でOD600が1になるまで培養した。次いで、培養液から菌体を回収し、1リットルの感染用培地(Infiltration medium、下表2)に懸濁した。
Figure 2005295878
この溶液に、14日間生育したシロイヌナズナを1分間浸し、感染させた後、再び生育させて結種させた。回収した種子を50%ブリーチ、0.02%Triton X-100溶液で7分間滅菌した後、滅菌水で3回リンスし、滅菌したハイグロマイシン選択培地(下表3)に蒔種した。
Figure 2005295878
上記ハイグロマイシンプレートで生育する形質転換植物体を選抜した。
〔実施例2〕
以下の実施例2においては、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターと、ノパリン合成酵素遺伝子の転写終止領域との間に、転写抑制転換ペプチドのひとつである12アミノ酸ペプチドLDLDLELRLGFA(SRDX)(配列番号19)をコードするポリヌクレオチドをERL2遺伝子の下流に結合したポリヌクレオチドを組み込んだ組換え発現ベクターを構築し、これをシロイヌナズナにアグロバクテリウム法を用いて導入することにより、シロイヌナズナを形質転換した。
なお、実験の手法はERL2遺伝子のクローニング方法以外は、実施例1に示す方法と同様にした。以下ERL2遺伝子のクローニング方法について説示する。
<ERL2cDNAの単離>
シロイヌナズナcDNAライブラリーより、以下のプライマーを用いて終止コドンを除くERL2のコード領域のみを含むDNA断片を、PCRを用いて増幅し、アガロース電気泳動により分離し回収した。PCRの条件は、変性反応94℃1分、アニール反応47℃2分、伸長反応74℃1分を1サイクルとして25サイクル行なった。
5'プライマー
5'-GGGGATGGATCCATTTTTAATTCAGTCCCCATTCTCCGG-3'(配列番号146)
3'プライマー
5'-CCAAGTCCCACTATTTTCAGAAG-3'(配列番号147)
ERL2遺伝子のcDNA及びコードするアミノ酸配列をそれぞれ配列番号140及び139に示す。なおERL2遺伝子と既述のとおり、植物のエチレン応答に関与するERF1(At3g23240)と同一の遺伝子である。
<組換え発現ベクターの構築>
上記で得たERL2遺伝子のタンパク質コード領域のみを含むDNA断片と転写抑制転換ペプチドSRDXのコード領域を含むDNA断片とを、制限酵素SmaIで切断した上記pBIG2に挿入し、順方向にクローニングされているものを単離し、組換え組換え発現ベクターであるプラスミドp35S::ERL2SRDXを得た。
実施例1と同様にして、p35S::ERL2SRDXを用いてシロイヌナズナ植物の形質転換を行ない、形質転換体を取得した。
〔実施例3〕
以下の実施例3においては、カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーターと、ノパリン合成酵素遺伝子の転写終止領域との間に、転写抑制転換ペプチドのひとつである12アミノ酸ペプチドLDLDLELRLGFA(SRDX)(配列番号19)をコードするポリヌクレオチドをERL3遺伝子の下流に結合したポリヌクレオチドを組み込んだ組換え発現ベクターを構築し、これをシロイヌナズナにアグロバクテリウム法を用いて導入することにより、シロイヌナズナを形質転換した。
なお、実験の手法はERL3遺伝子のクローニング方法以外は、実施例1に示す方法と同様にした。
<ERL3cDNAの単離>
シロイヌナズナcDNAライブラリーより、以下のプライマーを用いて終止コドンを除くERL3のコード領域のみを含むDNA断片を、PCRを用いて増幅し、アガロース電気泳動により分離し回収した。PCRの条件は、変性反応94℃1分、アニール反応47℃2分、伸長反応74℃1分を1サイクルとして25サイクル行なった。
5'プライマー
5'-ATGGCGAATTCAGGAAATTATGG-3'(配列番号148)
3'プライマー
5'-AAAACCAGAATTAGGAGGTGAAG-3'(配列番号149)
ERL3遺伝子(At5g07310)のcDNA及びコードするアミノ酸配列をそれぞれ配列番号142及び141に示す。
<組換え発現ベクターの構築>
上記で得たERL3遺伝子のタンパク質コード領域のみを含むDNA断片と転写抑制転換ペプチドSRDXのコード領域を含むDNA断片とを、制限酵素SmaIで切断した上記pBIG2に挿入し、順方向にクローニングされているものを単離し、組換え組換え発現ベクターであるプラスミドp35S::ERL3SRDXを得た。
実施例1と同様にして、p35S::ERL3SRDXを用いてシロイヌナズナ植物の形質転換を行ない、形質転換体を取得した。
〔花芽形成の評価〕
上記実施例1〜3において得られた形質転換体、及び野生型について花芽の形成までの期間を評価した。評価は発芽から花茎が1cmに達するまでの期間(花芽が立つまでの期間)を計測した。また同時に花茎が1cmに達した時のロゼット葉の枚数を計測し、比較した。なお各植物体の栽培は、人工気象器または専用の植物栽培室を用いて行ない、22℃一定、明期16時間・暗期8時間の条件で行なった。
図1に実施例1で得られた形質転換体、及び野生型の発芽後6週間目の様子を示した。図1は左端が野生型植物体の様子を示し、それ以外は実施例1で得られた形質転換体(2ライン)の様子を示す。図1によれば、形質転換体は野生型に比して明らかに花芽の形成が遅延していることがわかる。またロゼット葉についても明らかに形質転換体の方が多いことがうかがえる。図は省略するが、実施例2及び3において取得した形質転換体について同様の結果であった。花芽立ちまでの期間については、野生型が平均3.5週間であるのに対し、実施例1〜3で得られたいずれの形質転換体についても平均7週間であった。したがって、本発明にかかる花芽形成遅延植物体の生産方法によって生産された植物体の花芽形成までに要する期間は、野生型に比して2倍以上かかるということがわかった。
なお、実施例1で取得した形質転換体35ラインについて上記試験を実施したところ、20ラインについて明らかに花芽形成遅延が見られた。また実施例2で取得した形質転換体については、11ライン中、5ラインについて明らかな花芽形成遅延が見られ、実施例3で取得した形質転換体については、30ライン中、12ラインについて明らかな花芽形成遅延が見られた。かかる結果より、本発明にかかる花芽形成遅延植物体の生産方法を実施することによって、高い確率を持って花芽形成遅延植物体が取得できるということがわかる。
次に、この時のロゼット葉の枚数を比較した結果を表4に示す。
Figure 2005295878
表4は、各形質転換体及び野生型のロゼット葉の枚数の平均値を示している。野生型のロゼット葉が13枚であるのに対して、実施例1で得られた形質転換体のロゼット葉は28枚(2.2倍)であり、実施例2で得られた形質転換体のロゼット葉は32枚(2.5倍)であり、実施例3で得られた形質転換体のロゼット葉は26枚(2.0倍)であった。したがって、本発明にかかる花芽形成遅延植物体は、いずれもロゼット葉が増加するということが確認できた。
なお、データの詳細については省略するが、上記各形質転換体を短日条件下(明期8時間・暗期16時間)で栽培すると開花しないが、これを長日条件(明期16時間・暗期8時間)に戻して栽培すると開花することから、ERL1遺伝子・ERL2遺伝子・ERL3遺伝子は、長日・短日を感知し、日照時間に応じて栄養成長・生殖成長を切り換えるスイッチを担う遺伝子又は、該スイッチの制御因子をコードする遺伝子である可能性が示唆された。
以上説示したごとく、本発明にかかる花芽形成遅延植物体の生産方法は、花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する転写因子を転写抑制因子に転換させることによって、花芽形成に関与する遺伝子の転写を抑制し、花芽形成遅延植物体を簡便且つ効率的に生産するものである。
植物において花芽の形成が遅延すれば、例えば、果実・野菜等の品質の長期維持が可能となる。また、観賞用の植物の寿命を延ばすことが可能となる。それゆえ、本発明は、各種農業や林業、アグリビジネス、さらには農産物を加工する産業や食品産業等に利用可能であり、非常に有用であると考えられる。
さらには、既述のとおり本発明にかかる花芽形成遅延植物はロゼット葉が増加するため、バイオマスの増加・二酸化炭素吸収効果の向上等の効果が期待でき、緑化事業・環境事業においても非常に有用である。
実施例1で得られた形質転換体、及び野生型の発芽後6週間目の様子を示す写真図である。

Claims (21)

  1. 花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する転写因子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドとを融合させたキメラタンパク質を植物体で生産させ、花芽形成に関与する遺伝子の発現を抑制することを特徴とする花芽形成遅延植物体の生産方法。
  2. 上記転写因子をコードする遺伝子と、上記機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドとからなるキメラ遺伝子を含む組換え発現ベクターを、植物細胞に導入する形質転換工程を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の花芽形成遅延植物体の生産方法。
  3. さらに、上記組換え発現ベクターを構築する発現ベクター構築工程を含んでいることを特徴とする請求項2に記載の花芽形成遅延植物体の生産方法。
  4. 上記転写因子が、以下の(a)又は(b)記載のタンパク質であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の花芽形成遅延植物体の生産方法。
    (a)配列番号137、139又は141に示されるアミノ酸配列からなるタンパク質。
    (b)配列番号137、139又は141に示されるアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列からなり、且つ、花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する機能を有するタンパク質。
  5. 上記転写因子をコードする遺伝子として、以下の(c)又は(d)記載の遺伝子が用いられることを特徴とする請求項2又は3に記載の花芽形成遅延植物体の生産方法。
    (c)配列番号138、140又は142に示される塩基配列をオープンリーディングフレーム領域として有する遺伝子。
    (d)配列番号138、140又は142に示される塩基配列からなる遺伝子と相補的な塩基配列からなる遺伝子とストリンジェントな条件でハイブリダイズし、且つ、花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する機能を有する転写因子をコードする遺伝子。
  6. 上記機能性ペプチドが、次に示す式(1)〜(4)
    (1)X1−Leu−Asp−Leu−X2−Leu−X3
    (但し、式中、X1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、X2はAsn又はGluを示し、X3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
    (2)Y1−Phe−Asp−Leu−Asn−Y2−Y3
    (但し、式中、Y1は0〜10個のアミノ酸残基を示し、Y2はPhe又はIleを示し、Y3は少なくとも6個のアミノ酸残基を示す。)
    (3)Z1−Asp−Leu−Z2−Leu−Arg−Leu−Z3
    (但し、式中、Z1はLeu、Asp−Leu又はLeu−Asp−Leuを示し、Z2はGlu、Gln又はAspを示し、Z3は0〜10個のアミノ酸残基を示す。)
    (4)Asp−Leu−Z4−Leu−Arg−Leu
    (但し、式中、Z4はGlu、Gln又はAspを示す。)
    のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の花芽形成遅延植物体の生産方法。
  7. 上記機能性ペプチドが、配列番号3〜19のいずれかに示されるアミノ酸配列を有するペプチドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の花芽形成遅延植物体の生産方法。
  8. 上記機能性ペプチドが、以下の(e)又は(f)記載のペプチドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の花芽形成遅延植物体の生産方法。
    (e)配列番号20又は21に示されるアミノ酸配列を有するペプチド。
    (f)配列番号20又は21に示されるアミノ酸配列において、1個又は数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入、及び/又は付加されたアミノ酸配列を有するペプチド。
  9. 上記機能性ペプチドが、次に示す式(5)
    (5)α1−Leu−β1−Leu−γ1−Leu
    (但し、式中α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、Ser又はHisを示し、γ1は、Arg、Gln、Asn、Thr、Ser、His、Lys又はAspを示す。)
    で表されるアミノ酸配列を有するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の花芽形成遅延植物体の生産方法。
  10. 上記機能性ペプチドが、次に示す式(6)〜(8)
    (6)α1−Leu−β1−Leu−γ2−Leu
    (7)α1−Leu−β2−Leu−Arg−Leu
    (8)α2−Leu−β1−Leu−Arg−Leu
    (但し、各式中α1は、Asp、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、α2は、Asn、Glu、Gln、Thr又はSerを示し、β1は、Asp、Gln、Asn、Arg、Glu、Thr、Ser又はHisを示し、β2はAsn、Arg、Thr、Ser又はHisを示し、γ2はGln、Asn、Thr、Ser、His、Lys又はAspを示す。)
    のいずれかで表されるアミノ酸配列を有するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の花芽形成遅延植物体の生産方法。
  11. 上記機能性ペプチドが、配列番号22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、133、59、又は60に示されるアミノ酸配列を有するペプチドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の花芽形成遅延植物体の生産方法。
  12. 上記機能性ペプチドが、配列番号38又は39に示されるアミノ酸配列を有するペプチドであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の花芽形成遅延植物体の生産方法。
  13. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の生産方法により生産された、花芽形成遅延植物体。
  14. 植物体には、成育した植物個体、植物細胞、植物組織、カルス、種子の少なくとも何れかが含まれることを特徴とする請求項13に記載の花芽形成遅延植物体。
  15. 請求項1〜12のいずれか1項に記載の生産方法を行なうためのキットであって、
    花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する転写因子をコードする遺伝子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドと、プロモーターとを含む組換え発現ベクターを少なくとも含むことを特徴とする花芽形成遅延植物体の生産キット。
  16. さらに、上記組換え発現ベクターを植物細胞に導入するための試薬群を含むことを特徴とする請求項15に記載の花芽形成遅延植物体の生産キット。
  17. 請求項1〜12にいずれか1項に記載の生産方法を用いることを特徴とする植物体の延命方法。
  18. 請求項17に記載の延命方法により得られた延命植物体。
  19. 植物体には、成育した植物個体、植物細胞、植物組織、カルス、種子の少なくとも何れかが含まれることを特徴とする請求項18に記載の延命植物体。
  20. 請求項17に記載の植物体の延命方法を行なうためのキットであって、
    花芽形成に関与する遺伝子の発現を促進する転写因子をコードする遺伝子と、任意の転写因子を転写抑制因子に転換する機能性ペプチドをコードするポリヌクレオチドと、プロモーターとを含む組換え発現ベクターを少なくとも含むことを特徴とする植物体の延命キット。
  21. さらに、上記組換え発現ベクターを植物細胞に導入するための試薬群を含むことを特徴とする請求項20に記載の植物体の延命キット。
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