JP2005290522A - 薄膜形成方法及びそれに用いる装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 機能性膜の製膜時に、ピンホール故障等の原因となるパーティクルの発生を抑え、高機能な薄膜を高生産性で形成可能な薄膜形成装置を提供する。
【解決手段】 高周波電圧を対向する電極間に印加することにより放電プラズマを発生させ、薄膜形成ガスを含有するガスを励起して基材を晒すことにより当該基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置において、少なくとも前記励起ガスの存在領域での酸素濃度の制御手段を有する薄膜形成装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は薄膜形成装置に関し、詳しくは機能性薄膜の製膜時にピンホール故障等を招かない、大気圧プラズマ法を用いる薄膜形成装置に関する。
半導体デバイスや表示、記録、光電変換のための各種のデバイスには、基材上に高機能性の薄膜を設けた、例えば、電極膜、誘電体保護膜、半導体膜、透明導電膜、反射防止膜、光学干渉膜、ハードコート膜、下引き膜、バリア膜等の各種の材料が用いられている。
このような高機能性の薄膜形成においては、従来、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等の真空を用いた乾式製膜法が用いられてきた。
このような製膜方法は、真空設備を必要とする為、設備費用が高額となる、更に、連続生産が出来ず、製膜速度が低いことから、生産性が低いという課題を有していた。
これらの真空装置を用いることによる低生産性のデメリットを克服する方法として、大気圧下で放電プラズマを発生させ、該放電プラズマにより高い処理効果を得る大気圧プラズマ処理方法が提案されている。大気圧プラズマ処理方法は、基材の表面に、均一な組成、物性、分布で製膜することができる。また、大気圧又は大気圧近傍下で処理を行うことができることから、真空設備を必要とせず、設備費用を抑えることができ、連続生産にも対応でき、製膜速度を速くすることができる。また、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成することが提案されている(特許文献1、2等参照。以下、大気圧プラズマ法とも称する)。これら大気圧プラズマ法は、対向する電極間に、パルス化され、周波数が0.5〜100kHzであり、且つ、電界の強さが1〜100V/cmの電界を印加し、放電プラズマを発生させるというものである。
特開2000−185362号公報 特開2000−147209号公報
ところで、反射防止膜のような光学薄膜は極めて薄い膜である為、従来に比べ微少な、例えば1μm程度の直径の異物でも基材或いは薄膜上に付着すると、例えばピンホールといった品質異常を発生することが分かってきた。このピンホールは、例えば50μm以上のサイズのものが0.3個/m2程度存在すると、機能性膜として所期の性能が得られなくなってしまうといった不都合を招くものである。
大気圧プラズマ法は、活性化した未反応の製膜性ガスに高濃度の酸素が接触するとパーティクルが生成されやすいという特性を有し、光学薄膜等の製膜時にパーティクルが発生すると上記ピンホールの原因となる等の問題を生ずる。
製膜性ガスは、放電空間のみならず、実質放電が起こっていない放電空間周縁でも活性化しているため、酸素濃度を規制する必要があり、排気手段によって速やかに製膜性ガスを排気することも難しく、排気量を多くすると外気の吸引量も多くなることから外気の酸素の影響でパーティクルの発生を招く結果となってしまう。
またパーティクルの発生量が多いと、排気経路のフィルタの目詰まり等により排気ファンの動力負荷が増大する問題も生じ、装置のランニングコストや設備コストの増大に繋がってしまう。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、機能性膜の製膜時に、ピンホール故障等の原因となるパーティクルの発生を抑え、高機能な薄膜を高生産性で形成可能な薄膜形成装置を提供することである。
本発明の上記目的は、
1)高周波電圧を対向する電極間に印加することにより放電プラズマを発生させ、薄膜形成ガスを含有するガスを励起して基材を晒すことにより当該基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置において、
少なくとも前記励起ガスの存在領域での酸素濃度の制御手段を有する薄膜形成装置、
2)前記対向する電極の放電空間に晒される表面を長尺状被覆部材が覆う構成で、該被覆部材を当該表面に密着させながら搬送する搬送手段を有する1)の薄膜形成装置、
3)前記対向する電極の少なくとも一方の表面には薄膜形成ガスの直接接触を避ける構成である1)の薄膜形成装置、
4)前記励起ガスの存在領域での酸素濃度を12%以下とする1)〜3)の何れかの薄膜形成装置、
5)薄膜形成領域周縁を不活性ガス雰囲気とする手段を有する1)〜4)の何れかの薄膜形成装置、
6)排気手段を有し、薄膜形成領域から該排気手段に至るガス流路の酸素濃度が12%以下である4)又は5)の薄膜形成装置、
7)前記励起ガスの存在領域での酸素濃度の計測手段を有する1)〜6)の何れかの薄膜形成装置、
8)印加する高周波電圧が第1の高周波電圧と第2の高周波電圧を重畳したものである1)〜7)の何れかの薄膜形成装置、
9)大気圧又は大気圧近傍の圧力下で薄膜を形成する1)〜8)の何れかの薄膜形成装置、
10)高周波電圧を対向する電極間に印加することにより放電プラズマを発生させ、薄膜形成ガスを含有するガスを励起して基材を晒すことにより当該基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
少なくとも前記励起ガスの存在領域での酸素濃度を制御すること、
11)前記対向する電極の放電空間に晒される表面を長尺状被覆部材で覆い、該被覆部材を当該表面に密着させながら搬送する10)の薄膜形成方法、
12)前記対向する電極の少なくとも一方の表面には薄膜形成ガスの直接接触を避ける10)の薄膜形成方法、
13)前記励起ガスの存在領域での酸素濃度を12%以下とする10)〜12)の何れかの薄膜形成方法、
14)薄膜形成領域周縁を不活性ガス雰囲気とする10)〜13)の何れかの薄膜形成方法、
15)前記励起ガスの存在領域での酸素濃度を計測する10)〜14)の何れかの薄膜形成方法、
16)第1の高周波電圧と第2の高周波電圧を重畳した高周波電圧を対向する電極間に印加する10)〜15)の何れかの薄膜形成方法、
17)大気圧又は大気圧近傍の圧力下で薄膜を形成する10)〜16)の何れかの薄膜形成方法、
によって達成される。
即ち本発明者は、活性化した未反応の製膜性ガスに高濃度の酸素が接触するとパーティクルが生成されやすいという知見のもと、製膜性ガスの活性化領域で酸素濃度を規制し、当該濃度を12%以下とすれば、著しくパーティクルの発生を抑制できることを見出し、本発明に至った。
本発明の薄膜形成装置によれば、ピンホール等の異物欠陥を抑えて、高性能の機能性薄膜を得ることができる。
即ち薄膜形成に寄与しない薄膜形成ガスにより発生するパーティクル量を低減可能で、パーティクルによる薄膜の汚染や異物欠陥を抑えることができて、極めて高品質な機能性薄膜が得られ、またパーティクルによる排気経路のフィルタ目詰まりや排気装置の負荷を抑えて、設備コストの低減化など生産性向上が期待できる。
本発明は、高周波電圧を対向する電極間に印加することにより放電プラズマを発生させ、薄膜形成ガスを含有するガスを励起して基材を晒すことにより当該基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置、代表的には大気圧プラズマ法に用いる装置において、少なくとも前記励起ガスの存在領域での酸素濃度の制御手段を有することを特徴とする。酸素濃度は12%以下とするのが好ましい。
大気圧プラズマ法は、大気圧又は大気圧近傍の圧力下で、高周波電圧を対向する電極間に印加することにより放電プラズマを発生させるものであり、大気圧もしくはその近傍の圧力とは20kPa〜110kPa程度で、好ましくは93kPa〜104kPaである。
また本発明における、高周波とは、少なくとも0.5kHzの周波数を有するものを言う。好ましくは5kHz〜100MHz、更に好ましくは50kHz〜50MHzである。
本発明の薄膜形成装置は、少なくとも一方に誘電体を被覆した一対以上の対向する電極間に高周波電圧を印加して、当該対向電極の間で放電させ、該対向電極間に導入した少なくとも放電ガスと薄膜形成ガスをプラズマ状態とし、該対向電極間に静置あるいは移送される基板を該プラズマ状態のガスに晒すことによって、該基板の上に薄膜を形成させるものである(ダイレクト方式とも言う)。また他の方式として、上記同様の対向電極間で放電させ、該対向電極間に導入したガスを励起しまたはプラズマ状態とし、該対向電極外にジェット状に励起またはプラズマ状態のガスを吹き出し、該対向電極の近傍にある基板(静置していても移送されていてもよい)を晒すことによって該基板の上に薄膜を形成させるジェット方式の装置がある。更にジェット方式では、励起するガスが放電ガスのみの場合、吹き出された励起状態のガスに薄膜形成ガスを晒して当該ガスを活性化するものでも良い。
本発明の薄膜形成装置には、放電ガスと薄膜形成ガスとを供給するガス供給手段を備える。更に、電極の温度を制御する電極温度制御手段を有することが好ましい。
本発明において、供給するガスは、少なくとも、電界により励起する放電ガスと、そのエネルギーを受け取ってプラズマ状態あるいは励起状態になり薄膜を形成するガスを含んでいる。即ち、薄膜形成ガスとは、放電ガスからのエネルギーを受け取って、それ自身は励起して活性となり、基板上に化学的に堆積して薄膜を形成する原料のことである。また薄膜形成ガスの種類に応じて添加ガスを含有しても良い。
放電ガスとは、前記薄膜形成ガスが基板上に堆積可能な、放電面内で均一な放電を起こすことの出来るガスであり、それ自身がエネルギーを授受する媒体として働く。放電ガスとしては、窒素、希ガス、水素ガスなどがあり、これらを単独で放電ガスとして用いても、混合して用いてもかまわない。希ガスとしては、周期表の第18属元素であるヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が挙げられる。本発明において、放電ガスとして好ましいのはArと窒素であり、放電空間に導入するガスの50体積%以上がArガス及び/又はN2ガスであることが好ましい。放電ガスの量は、放電空間に供給する全ガス量に対し、90〜99.9体積%含有されることが好ましい。
薄膜形成ガスについて、放電プラズマ処理により基板上に均一に堆積させる観点から、混合ガス中の含有率は、0.01〜10体積%で有することが好ましいが、更に好ましくは、0.01〜1体積%である。また放電ガスに対しては、0.01〜50体積%で放電空間に供給することが好ましい。
薄膜を形成する基板は絶縁性、導電性、半導体性のいずれでも良く、例えば石英、ガラス、セラミックス、金属、シリコン基板などが使用できる。特にガラスは、ソーダライムガラスや低ソーダガラス、鉛アルカリケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラスなどの透明ガラス基板を用いることが望ましく、特に高歪点低ソーダガラスが好適である。また、セラミックとしてはアルミナ、ジルコニア、チタニア、窒化珪素、炭化珪素などが挙げられる。
また形成時の温度に対する耐熱性をみたすものであれば種々の樹脂を用いることができるが、ポリイミド、フッ素樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)やポリパラバン酸樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリレート樹脂、更にはエポキシ樹脂を用いることができる。中でもポリイミドは、好適に用いることができる。
また、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、四弗化エチレン樹脂(PTFE)、四弗化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)、四弗化エチレン−六弗化プロピレン共重合体(FEP)、高温ナイロン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、三弗化塩化エチレン樹脂(CTFP)、変性フェノール樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)等のセルロース系樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の樹脂にガラス繊維、ガラスビーズ、グラファイト、カーボン繊維、フッ素樹脂、二硫化モリブデン、酸化チタン等の充填材を加え、耐熱性と共に摺動性、耐摩耗性を確保した耐熱摺動樹脂が用いられる。例えば、グラファイト入りポリイミド樹脂、グラファイト入りナイロン樹脂、PTFE入りアセタール樹脂、PTFE入りフェノール樹脂等である。
また、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等のベース樹脂にガラス繊維、ガラスビーズ、グラファイト、カーボン繊維、フッ素樹脂、二硫化モリブデン、酸化チタン等の充填材を加えた耐熱樹脂も可能であり耐熱温度250℃以上である。また、フッ素系樹脂に上記の充填材を加えた耐熱樹脂も連続使用温度250℃以上である。
これらの樹脂基板、複合基板を板型、もしくはフィルム状として用いる。
本発明の、励起ガスの存在領域での酸素濃度の制御手段としては、薄膜形成領域周縁を不活性ガス雰囲気として酸素濃度を12%以下とする手段、つまり少なくとも薄膜形成工程を囲むチャンバー内を不活性ガスでパージする形態や、排気手段を有し、薄膜形成領域から該排気手段に至るガス流路の酸素濃度を12%以下とする手段、つまり供給されるパージガスにより過剰に正圧となるのを抑えるためのガス排出手段である排気手段を併用する形態が挙げられる。また励起ガスの存在領域での酸素濃度の計測手段を用いて、酸素濃度を計測しながら制御することが好ましい。酸素濃度計としては東レ社製等市販のものを用いることができる。
ここに、薄膜形成領域とは励起ガスの存在領域であって、且つ薄膜形成物質が堆積して薄膜が実際に形成される領域を言い、例えばダイレクト方式においては放電空間とほぼ同義である。また薄膜形成領域周縁とは前記薄膜形成領域を含んで励起ガスの存在領域を全て包含する領域を言う。
また、対向する電極の放電空間に晒される表面を長尺状被覆部材が覆う構成で、該被覆部材を当該表面に密着させながら搬送する搬送手段を有する、即ち本出願人が特願2003−095367で提案した様に、電極表面に汚れ防止フィルムなどをはわせることが好ましい。
電極の表面汚れを防止するために、対向する電極の少なくとも一方の表面には薄膜形成ガスの直接接触を避ける装置構成とすることも好ましい。即ち本出願人が特開2003−155571で提案した様に薄膜形成ガスと放電ガスを異なる流路から導入して基材付近まで供給し、基材側に薄膜形成ガス流が、電極側に放電ガス流が存在する様にして、薄膜形成ガスが電極に接触しない様にするものである。
ArガスやN2ガスの様に安価なガスを採用すると、薄膜形成のコストを低下できて好ましく、この様なガスで高エネルギーのプラズマを生成させるのは、対向する各電極に異なる周波数を印加する、即ち第1の高周波電圧と第2の高周波電圧を重畳した高周波電圧を対向する電極間に印加することで可能である。
具体的には、ダイレクト方式において、基材と接する側の電極に周波数ω1であって電圧V1である第1の高周波電圧を印加する第1電源を接続し、基材と対向する側の電極に周波数ω2であって電圧V2である第2の高周波電圧を印加する第2電源を接続する。
第1電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数
A1 神鋼電機 3kHz
A2 神鋼電機 5kHz
A3 春日電機 15kHz
A4 神鋼電機 50kHz
A5 ハイデン研究所 100kHz*
A6 パール工業 200kHz
等の市販のものを挙げることができ、何れも使用することができる。なお、*印はハイデン研究所インパルス高周波電源(連続モードで100kHz)である。
また、第2電源(高周波電源)としては、
印加電源記号 メーカー 周波数
B1 パール工業 800kHz
B2 パール工業 2MHz
B3 パール工業 13.56MHz
B4 パール工業 27MHz
B5 パール工業 150MHz
等の市販のものを挙げることができ、何れも好ましく使用できる。
対向する電極間に印加する高周波電圧が、第1の周波数ω1の電圧成分と、前記第1の周波数ω1より高い第2の周波数ω2の電圧成分とを重ね合わせた成分を少なくとも有することが好ましい。
ここで、第1電源の周波数としては、200kHz以下が好ましく、下限は1kHz程度が望ましい。一方、第2電源の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなる。上限は200MHz程度が望ましい。またこれらの電界波形としては、サイン波でもパルス波でもよいが好ましくはサイン波である。
第1電源の周波数ω1と、第1の周波数ω1より高い第2電源の周波数ω2をともにサイン波とすると、その波形は周波数ω1のサイン波上に、それより高い周波数ω2のサイン波が重畳されたω1のサイン波がギザギザしたような波形となる。なおサイン波の重畳に限られるものではなく、両方パルス波であっても、一方がサイン波でもう一方がパルス波であってもかまわない。また、更に第3の電圧成分を有していてもよい。
基材と接する側の電極と第1電源との間に、第1電源からの電流が基材と接する側の電極に向かって流れるように第1フィルターを設置し、第1電源からの電流を通過しにくくし、第2電源からの電流が通過し易くなるようにする。また、基材と対向する側の電極と第2電源との間に、第2電源からの電流が基材と対向する側の電極に向かって流れるように第2フィルターを設置し、第2電源からの電流を通過しにくくし、第1電源からの電流が通過し易くなるようする。第1フィルターとしては、第2電源の周波数に応じて数10〜数万pFのコンデンサー、もしくは数μH程度のコイルを用いることが出来る。第2フィルターとしては、第1電源の周波数に応じて10μH以上のコイルを用い、これらのコイルまたはコンデンサーを介してアース接地することでフィルターとして使用出来る。
電極間(放電空間)に導入する電圧の放電出力は、1W/cm2以上であることが好ましく、より好ましくは1〜50W/cm2である。
図1は、本発明の薄膜形成装置の一例をモデル的に示す示す断面図である。なお、本発明はこれに限定されるものではなく、また、以下の説明には用語等に対する断定的な表現が含まれている場合があるが、本発明における好ましい例を示すものであって、本発明の用語の意義や技術的な範囲を限定するものではない。
図1において、薄膜形成装置1には、シート状の基材2をその周面に密着させて搬送する第1電極10が回転自在に設けられている。
図2は、第1電極10の1例の斜視図であり、この第1電極10は、導電性の金属質母材11の表面に誘電体12が被覆されたロール状電極である。第1電極10の内部には、表面温度を調節するため、例えば、水やシリコンオイル等の温度調節用の媒体が循環できるようになっている。また、第1電極10には、フィルタ(図示せず)を介して第1電源(同)が接続されている。第1電極10の周縁には、基材2を第1電極10の周面に密着させて搬送するために基材用搬送機構15と、基材2上に薄膜を形成するための複数の薄膜形成ユニット20が設けられている。
基材用搬送機構15には、基材2を第1電極10の周面に案内する第1ガイドローラ16及びニップローラ17と、前記周面に密着した基材2を剥がして、次行程まで案内する第2ガイドローラ18と、第1ガイドローラ16、第2ガイドローラ18及び第1電極10を連動するように回転させる駆動源(図示せず)とが設けられている。
図3は薄膜形成ユニット20の側面図である。薄膜形成ユニット20には、第1電極10の周面に対向し、第1電極10よりも幅の大きい一対の第2電極21A、21Bが、間隔aを空けて配置されている。当該間隔aが放電空間Aであり、放電空間Aを成す第1電極10及び第2電極21の対向する面をそれぞれ放電面10a、21aとする。また、一対の第2電極21の間には、隙間bが設けられている。図4は、第2電極21を表す斜視図であり、第2電極21は導電性の金属質母材211の表面に誘電体212が被覆された棒状電極である。第2電極21は内部が中空となっており、この中空部分213に温度調節用の媒体を流すことにより、電極表面の温度調節ができるようになっている。また、第2電極21の角部(連結角部)215は円弧状に形成されている。つまり、第2電極21の四面は角部215を介して連続していることから、放電面10a及び放電面10a以外の表面も連続することになる。そして、各薄膜形成ユニット20の第2電極21には、第2フィルタ(図示せず)を介して第2電源(同)が接続されている。
また、薄膜形成ユニット20には、一対の第2電極21の隙間bに向けてガスを噴出するガス供給部24が、前記隙間bに対向するように配置されている。これにより隙間bは、放電空間Aにガスを供給する流路Bとなる。ガス供給部24には、内部にガス流路が形成されたノズル本体部25と、ノズル本体部25から流路Bに向けて突出し、ガス流路に連通してガスを噴出するガス噴出部26とが設けられている。
また、薄膜形成ユニット20には、第2電極21の汚れを防止するクリーニングフィルム27を、第2電極21に密着させながら、連続的若しくは間欠的に搬送するフィルム用搬送機構30が各第2電極21毎に設けられている。このフィルム用搬送機構30には、ガス供給部24の近傍で、クリーニングフィルム27を案内する第1フィルム用ガイドローラ31が設けられている。この第1フィルム用ガイドローラ31の上流側には、図示しないクリーニングフィルム27の巻き出しローラ若しくはクリーニングフィルム27の元巻が設けられている。
また、ガス供給部24に対して、第1フィルム用ガイドローラ31よりも遠方には、第2フィルム用ガイドローラ32を介してクリーニングフィルム27を巻き取る巻取部(図示省略)が設けられている。第1フィルム用ガイドローラ31、第2フィルム用ガイドローラ32及びクリーニングフィルム27の全幅は、第1電極10の全幅よりも長く設定されている。具体的には、クリーニングフィルム27の全幅長は、両端が第1電極10の両端から1〜100mmではみ出すように設定されていることが好ましい。これにより、クリーニングフィルム27が放電空間Aよりも大きくなる。つまり第2電極21は、クリーニングフィルム27に覆われることにより、放電プラズマに晒されなくなり、第2電極21に対する汚れを防止できる。また、クリーニングフィルム27のエッジが放電空間A内に侵入しないために、放電集中によるアーク放電を防止できる。
このフィルム用搬送機構30によってクリーニングフィルム27は、巻出ローラから引き出された後、第1フィルム用ガイドローラ31に案内されて、ガス供給部24のノズル本体部25の周縁に接触した後に、第2電極21の流路Bを形成する表面21bに密着してから、角部215を介して放電面21aに密着し、第2フィルム用ガイドローラ32に案内されて、巻取部で巻き取られるようになっている。この際、角部215が円弧状に形成されているので、クリーニングフィルム27が前記放電面21a以外の表面21bから放電面21aまで移動する際に引っかかることを防止でき、スムーズに搬送させることができる。なお第2電極21の放電面21aを、第1電極10の放電面10aに向かって凸となる曲面に形成してもよい。こうした場合、小電極21の放電面21aとクリーニングフィルム27との密着性をさらに高めることができる。さらに、流路Bを形成する第2電極21の表面を流路Bの中央に向けて凸となる曲面に形成してもよい。これにより、クリーニングフィルム27を流路B内でも小電極21に密着させながらスムーズに搬送させることができ、皺やツレの発生を抑制することができる。
そして、上記のように、クリーニングフィルム27とノズル本体部25とが接触しているので、ガス供給部24から流路Bまでの空間は、クリーニングフィルム27によって仕切られることになって、ガスが流路B外に流れることを防止できる。
上述の各電極において、金属質母材としては、例えば、銀、白金、チタン、チタン合金、ステンレス、アルミニウム、鉄等の金属等が挙げられるが、加工の観点からステンレス、チタン、チタン合金であることが好ましい。
誘電体は、比誘電率が6〜45の無機化合物であることが好ましく、また、このような誘電体としては、アルミナ、窒化珪素等のセラミックス、あるいは、ケイ酸塩系ガラス、ホウ酸塩系ガラス等のガラスライニング材等がある。この中では、アルミナを溶射して設けた誘電体が好ましい。また必要に応じて封孔処理を行うことが好ましい。
対向する電極間の距離(電極間隙)は、導電性の金属質母材に設けた誘電体の厚さ、基板の厚み、印加電圧の大きさ、プラズマを利用する目的等を考慮して決定されるが、電極の一方に誘電体を設けた場合の誘電体表面と導電性の金属質母材表面の最短距離、上記電極の双方に誘電体を設けた場合の誘電体表面同士の距離としては、いずれの場合も均一な放電を行う観点から0.1〜20mmが好ましく、特に好ましくは0.5〜2mmである。
薄膜形成装置1は全体をチャンバ40で囲まれており、基材2の入口部及び出口部は入口側ニップロール41と出口側ニップロール42により外気と遮断されている。なお基材の入口部及び出口部は完全に密閉する必要は無いが、この様な外気遮断手段を設けるのが好ましい。チャンバー壁部には不活性ガス等のパージガスを供給するパージガス供給口43a〜43fが設けられ、ここからパージガスを供給して励起ガスの存在領域での酸素濃度を12%以下とする。44a、44bは排気口だが、薄膜形成ガスや薄膜形成時に発生するパーティクルを排出する電極近傍のノズル(図示せず)が有るので、有ってもなくても良い。またパージガス供給口43及び排気口44の配置や設置個数に特に制限はない。
なお図示していない電源やフィルタ、駆動源、電極の温度調整用冷却ポンプ等はチャンバの外部にあり、電圧印加には銅板やケーブルを用い、温度調整は配管を用いる形で行う。
図5は、本発明の薄膜形成装置の他の実施形態をモデル的に示す図である。
この実施形態においては、パージガス供給口43がチャンバ40内部に導入される供給管43a’〜43d’により構成される。
以下、実施例にて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1
厚さ80μm、幅約1300mmのトリアセテートフィルムに下記組成のハードコート層塗布組成物を3μmの膜厚となるように押出しコーターでコーティングし、ついで80℃で1分間乾燥した後、120mW/cm2で紫外線照射することにより形成した基材に、図1に示す装置を用い、パージガスの供給条件を変えて放電空間近傍の酸素濃度を変化させ、以下に示す条件でて膜厚100nmのTiO2膜の形成を行った。
(クリアハードコート層塗布組成物)
ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60質量部
ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20質量部
ジぺンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20質量部
ジメトキシベンゾフェノン 4質量部
酢酸エチル 50質量部
メチルエチルケトン 50質量部
イソプロピルアルコール 50質量部
(電極条件)
第1電極10は、チタン合金T64製、直径1000mmのロール形状で、大気プラズマ法により高密度、高密着性のアルミナ溶射膜を被覆後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥し、紫外線照射により硬化して封孔処理された誘電体で被覆され、誘電体表面はRmax5μmとなるように研磨処理されている。
第2電極21は、チタン合金T64製、40mm×40mmの略角柱形状で、同様の誘電体で被覆されている。またクリーニングフィルム27としては、三菱化学ポリエステルフィルム社製のポリエチレンテレフタレートを用いた。
(ガス条件)
放電ガス :N2 99.4体積%
添加ガス :H2 0.5体積%
薄膜形成ガス:テトライソプロポキシチタン 0.1体積%
(リンテック社製気化器にてアルゴンガスに混合して気化させた)
(印加条件)
第1電極10の電源:100kHz、6W/cm2
第2電極21の電源:13.56MHz、6W/cm2
薄膜形成した基材を搬送方向に直交して1mの短冊にスライスし、任意に選んだ数カ所のサンプルをトータルで10m2として評価サンプルとし、1500ルクス以上の照度条件で、100倍の顕微鏡にて観察し、以下の評価基準でピンホール等の異物の有無を観察して膜面故障の評価を行った。
膜面故障評価基準
◎:評価サンプル中に欠陥となる異物が観察されない
○:50μm以上の異物が0.1個/m2未満である
△:50μm以上の異物が0.1個/m2以上存在する
×:100μm以上の異物が1個/m2以上存在する
以上の結果を表1に示す。
Figure 2005290522
これにより、本発明の薄膜形成装置を用い、酸素濃度を12%以下とすれば、著しくパーティクルの発生を抑制できることが解る。
本発明の薄膜形成装置の一例をモデル的に示す断面図である。 第1電極の1例の斜視図である。 薄膜形成ユニットの1例の側面図である。 第2電極の1例の斜視図である。 本発明の薄膜形成装置の他の例をモデル的に示す図である。
符号の説明
1 薄膜形成装置
2 基材
10 第1電極
15 基材用搬送機構
20 薄膜形成ユニット
21 第2電極
24 ガス供給部
27 クリーニングフィルム
30 フィルム用搬送機構
40 チャンバ
43 パージガス供給口
44 排気口

Claims (17)

  1. 高周波電圧を対向する電極間に印加することにより放電プラズマを発生させ、薄膜形成ガスを含有するガスを励起して基材を晒すことにより当該基材上に薄膜を形成する薄膜形成装置において、
    少なくとも前記励起ガスの存在領域での酸素濃度の制御手段を有することを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 前記対向する電極の放電空間に晒される表面を長尺状被覆部材が覆う構成で、該被覆部材を当該表面に密着させながら搬送する搬送手段を有することを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
  3. 前記対向する電極の少なくとも一方の表面には薄膜形成ガスの直接接触を避ける構成であることを特徴とする請求項1に記載の薄膜形成装置。
  4. 前記励起ガスの存在領域での酸素濃度を12%以下とすることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の薄膜形成装置。
  5. 薄膜形成領域周縁を不活性ガス雰囲気とする手段を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の薄膜形成装置。
  6. 排気手段を有し、薄膜形成領域から該排気手段に至るガス流路の酸素濃度が12%以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載の薄膜形成装置。
  7. 前記励起ガスの存在領域での酸素濃度の計測手段を有することを特徴とする請求項1乃至6の何れか1項に記載の薄膜形成装置。
  8. 印加する高周波電圧が第1の高周波電圧と第2の高周波電圧を重畳したものであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の薄膜形成装置。
  9. 大気圧又は大気圧近傍の圧力下で薄膜を形成することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の薄膜形成装置。
  10. 高周波電圧を対向する電極間に印加することにより放電プラズマを発生させ、薄膜形成ガスを含有するガスを励起して基材を晒すことにより当該基材上に薄膜を形成する薄膜形成方法において、
    少なくとも前記励起ガスの存在領域での酸素濃度を制御することを特徴とする薄膜形成方法。
  11. 前記対向する電極の放電空間に晒される表面を長尺状被覆部材で覆い、該被覆部材を当該表面に密着させながら搬送することを特徴とする請求項10に記載の薄膜形成方法。
  12. 前記対向する電極の少なくとも一方の表面には薄膜形成ガスの直接接触を避けることを特徴とする請求項10に記載の薄膜形成方法。
  13. 前記励起ガスの存在領域での酸素濃度を12%以下とすることを特徴とする請求項10乃至12の何れか1項に記載の薄膜形成方法。
  14. 薄膜形成領域周縁を不活性ガス雰囲気とすることを特徴とする請求項10乃至13の何れか1項に記載の薄膜形成方法。
  15. 前記励起ガスの存在領域での酸素濃度を計測することを特徴とする請求項10乃至14の何れか1項に記載の薄膜形成方法。
  16. 第1の高周波電圧と第2の高周波電圧を重畳した高周波電圧を対向する電極間に印加することを特徴とする請求項10乃至15の何れか1項に記載の薄膜形成方法。
  17. 大気圧又は大気圧近傍の圧力下で薄膜を形成することを特徴とする請求項10乃至16の何れか1項に記載の薄膜形成方法。
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