JP2005289929A - 花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体 - Google Patents

花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体 Download PDF

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【課題】 種々の花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体を提供すると共に、該抗体を細胞外に継続して安定的に分泌することができるハイブリドーマを作製すること。
【解決手段】 花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体、花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体を分泌するマウス−ヒトハイブリドーマ、及び、前記抗体を用いることを特徴とする花粉アレルゲンの検出方法並びに検出用キット。
【選択図】 なし

Description

本発明は、花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体に関し、詳しくは、花粉症を引き起こす種々の花粉アレルゲン蛋白質に対するヒトモノクローナル抗体、該抗体を永続的に分泌するマウス−ヒトハイブリドーマに関する。
花粉アレルギーの研究には、花粉アレルギーの患者血清、あるいは花粉アレルゲンで免疫した動物血清、さらにはマウスモノクローナル抗体が用いられてきた(非特許文献1〜4参照)。
マウスモノクローナル抗体は、一般に、該抗体を生産するハイブリドーマを作製し、これに抗体を生産させることにより製造される。例えば細胞融合法によれば(非特許文献5参照)、増殖のできないマウス脾臓細胞と、永続的に増殖可能なマウス骨髄腫細胞(融合パートナー)とを細胞融合し、抗体分泌能力は脾臓細胞から、増殖能力は骨髄腫細胞からの双方の性質をもった融合細胞=ハイブリドーマを作製することができる。尚、細胞融合には当初、センダイウィルスが用いられたが、その後ポリエチレングリコールによる細胞融合が普及し、電気穿孔法による細胞融合も行われている。
また、ヒトリンパ球を適当なヒト骨髄腫細胞と細胞融合することによってヒト−ヒトハイブリドーマを作製し、該ハイブリドーマにヒトモノクローナル抗体を生産させることができると考えられた(非特許文献6参照)が、汎用性の高いヒト骨髄腫細胞株は、樹立されていない。
そこで、ヒトBリンパ芽球様細胞株を融合パートナーとする方法が考えられ、いくつかのヒト−ヒトハイブリドーマが樹立されている(非特許文献7参照)。しかしながら、ヒトBリンパ芽球様細胞株の多くは、それ自身が抗体を分泌することから、得られたハイブリドーマが2種類の抗体を分泌する不都合があった。
このように、花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体を安定的に生産し、これを花粉アレルゲンの解析や、花粉症の予防、治療等に応用した例は、これまでにはなかった。
Sakaguchiら,Allergy,45(4),309-312(1990) Ganboら,Auris Nasus Larynx,22(3),158-164(1995) Suzukiら,Acta Otolaryngol.(Suppl.)525,85-89(1996) Sakaguchiら,Clin.Exp.Allergy,29(12),1692-1695(1999) Kohlerら,Nature,256,495-497(1975) Olssonら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,77,5427-5431(1980) Kozborら,Immunology Today,4,72-79(1983)
本発明の目的は、種々の花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体を提供すると共に、該抗体を細胞外に継続して安定的に分泌することができるハイブリドーマを作製することにある。
そこで本発明者らは、花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体を生産するハイブリドーマの作製を試みた。
本発明者は、これまでに、ヒト末梢血リンパ球をヘルペスウィルスの1種であるエプスタイン−バールウィルス(EBV)で形質転換させて培養し、目的の抗体分泌細胞をオリゴクローンの状態で維持し、さらにこのオリゴクローンとマウス骨髄腫細胞を異種細胞融合することによって、安定的にヒトモノクローナル抗体を分泌するマウス−ヒトハイブリドーマの作出に成功した(特開平2−113896号公報,特開平3−127994号公報及び特開平3−228692号公報参照)。
しかし、これらの手法では、抗体分泌細胞を低い確率でしか得られなかったため、結果的に、マウス−ヒトハイブリドーマの効率良い作出を実現することができなかった。
そこで、本発明者は、上記手法を改良し、健常人から採取した末梢血リンパ球に代えて、花粉症を明らかに発症している花粉症患者から採取した末梢血リンパ球を用いて、花粉アレルゲンに対するモノクローナル抗体を高い確率で生産できるマウス−ヒトハイブリドーマの作出を試みた。
すなわち、花粉アレルギー(花粉症)患者から分離した末梢血リンパ球にエプスタイン−バールウィルスを感染させ培養して、培養後の培養上清に分泌される抗花粉抗体を調べたところ、抗花粉抗体を分泌する抗体陽性細胞を高い確率で得ることができたので、該細胞を選択してSP2/O3などのマウス骨髄腫細胞と細胞融合させた。
その結果、安定的にヒト抗花粉モノクローナル抗体を分泌するマウス−ヒトハイブリドーマを効率良く得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、請求項1記載の本発明は、花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体である。
請求項2記載の本発明は、花粉アレルゲンがスギ花粉アレルゲンである請求項1記載のヒトモノクローナル抗体である。
請求項3記載の本発明は、花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体を分泌するマウス−ヒトハイブリドーマである。
請求項4記載の本発明は、花粉アレルゲンがスギ花粉アレルゲンである請求項3記載のマウス−ヒトハイブリドーマである。
請求項5記載の本発明は、マウス−ヒトハイブリドーマNF4602(FERM BP−08620)である。
請求項6記載の本発明は、マウス−ヒトハイブリドーマNF4701(FERM BP−08621)である。
請求項7記載の本発明は、マウス−ヒトハイブリドーマNF4601(FERM BP−08619)である。
請求項8記載の本発明は、請求項3〜7のいずれかに記載のマウス−ヒトハイブリドーマを培養することを特徴とする請求項1又は2記載のヒトモノクローナル抗体の製造方法である。
請求項9記載の本発明は、請求項1又は2記載のヒトモノクローナル抗体を用いることを特徴とする花粉アレルゲンの検出方法である。
請求項10記載の本発明は、請求項1又は2記載のヒトモノクローナル抗体を含むことを特徴とする花粉アレルゲンの検出用キットである。
本発明のヒトモノクローナル抗体は、花粉アレルゲンに対し特異的に結合するので、花粉アレルゲンの検出に使用することができる。
また、本発明のハイブリドーマは、該抗体を細胞外に半永久的に継続して安定的に分泌することができる。
従って、本発明は、花粉症患者の花粉アレルゲンの解析や、花粉症の予防、治療等並びにそれらの研究に有用である。
本発明が対象とする花粉アレルゲンとしては、スギ、ヒノキ、ブタクサ、セイタカアワダチソウ、カモガヤ、ハルガヤ、シラカバ、ハンノキ等の植物の花粉に含まれる花粉蛋白質アレルゲンであるり、例えば、スギ花粉粗アレルゲンやCry j1、Cry j2等のスギ花粉アレルゲンを挙げることができる。
本発明の花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体を分泌するマウス−ヒトハイブリドーマは、花粉症アレルゲンに対する特異的な抗体を分泌するヒトリンパ球を分離し、マウス骨髄腫細胞と細胞融合することによって得ることができる。
花粉症アレルゲンに対する特異的な抗体を分泌するヒトリンパ球は、花粉症患者の末梢血や脾臓、扁桃などから分離して入手することができる。本発明においては、このように、花粉症患者、特に、明らかに花粉症を発症しており、花粉症の原因植物が明らかで、且つ、血清中の抗花粉IgE抗体の濃度が高い患者から採取した末梢血リンパ球を用いることにより、抗花粉抗体を分泌する抗体陽性細胞を高い確率で得ることができるので、結果的に、安定的にヒト抗花粉モノクローナル抗体を分泌するマウス−ヒトハイブリドーマを効率良く得ることができる。
花粉症のヒトの末梢血からのリンパ球の分離には、例えば、フィコールパックを使用した遠心分離法等を利用することができる。
分離されたヒトリンパ球は、花粉症アレルゲンに対する特異的な抗体を分泌することを、所望の花粉アレルゲンを抗原として利用した酵素免疫測定法(ELISA)等を利用して確認した上でそのまま使用してもよいが、確認する前にEBVを感染させてB細胞を形質転換し、培養して増殖させてやると、抗体分泌細胞数が増えるので都合がよい。
EBVは、マーモセットB95−8株の培養上清に含まれるものを用いることができる。
ヒトリンパ球にEBVを感染させてB細胞を形質転換するには、例えば、5〜10%の牛胎児血清をを含むRPMI1640培地でマーモセットB95−8株を継代培養して得られる培養上清を必要に応じてろ過して得られるEBV含有培地に、サイクロスポリンAを0.5〜2μg/ml添加して培養することにより行うことができる。
ここで、EBV形質転換B細胞は長期間培養するとクライシスを起こすので、培養は短期間とすることが好ましく、一般には、連続培養は3ヶ月以内、好ましくは1ヶ月以内にとどめることが好ましい(Counterら,J.Virol.,68,3410-3414(1994))。
次に、上記のようにして得られたヒトリンパ球とマウス骨髄腫細胞との細胞融合を行う。マウス骨髄腫細胞としては、従来細胞株として確立された様々なものの中から、適宜選択して用いることができる。
細胞融合は、常法に従って行うことができ、例えばポリエチレングリコール法に従い必要に応じてセンダイウィルス、ポリエチレングリコール等の融合促進剤を添加して行うこともできるし、電気穿孔法により行うこともできる。ヒトリンパ球とマウス骨髄腫細胞との混合割合は、一般に1:10〜10:1、好ましくは1:2〜5:1、特に好ましくは同数ずつとすることができる。
融合した細胞の分離選択は、適当な選択薬剤を用いた薬剤選択培養によって選択することができる。
例えばまず、薬剤による馴化培養や、薬剤耐性遺伝子を細胞に導入して薬剤耐性を付与する。続いて、形質転換B細胞を殺す薬剤とマウス骨髄腫細胞を死滅させる薬剤を添加し、融合した細胞のみが増殖するような薬剤デザインを行うか、或いは形質転換B細胞の蛋白質合成を不可逆的に阻害させておいて、マウス骨髄腫細胞だけを薬剤で死滅させる。
例えば、選択薬剤としてヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(HAT)を用いた薬剤選択培養によることができる。ただし、ヒトリンパ球として上述したEBV形質転換B細胞を用いる場合は、HAT培地中でも選択するため、HATの他にも選択薬剤、例えばウアバインを利用することが必要となる。
HAT感受性で且つウアバイン耐性のマウス骨髄腫細胞としては、SP2/Oをウアバインに馴化して得られたSP2/O3株を好ましく用いることができる。
HAT感受性で且つウアバイン耐性のマウス骨髄腫細胞を用いる場合、選択培地としては、一般的なHAT培地に0.1〜5μモル/Lのウアバインを添加したO−HAT培地を用いて培養することとなる。
尚、融合した細胞の選択は、フローサイトメーターによって細胞の大きさで行うこともでき、また、マーカー色素の蛍光分析によっても分離することもできる。
上記細胞融合後、目的の抗体を分泌するハイブリドーマのスクリーニングは、花粉アレルゲンを利用した酵素免疫測定法(ELISA)、ラジオイムノアッセイ、ドットブロット分析、ウェスタンブロット分析などの免疫学的検査法を用いて行うことができる。
続いて、スクリーニングされた目的の抗体を分泌するマウス−ヒトハイブリドーマを、更に単一クローンにするために、限界希釈法、パンニング法、フローサイトメトリー法などによってクローニングする。得られたマウス−ヒトハイブリドーマクローンは、液体窒素保存容器あるいは超低温冷凍庫の中で半永久的に保存することができる。
このようして、本発明のマウス−ヒトハイブリドーマを得ることができる。本発明のマウス−ヒトハイブリドーマのうち、NF4602及びNF4701は、スギ花粉アレルゲンCry j1に対し特異的なヒトモノクローナル抗体を分泌し、NF4601は、未同定のスギ花粉アレルゲンに対し特異的なヒトモノクローナル抗体を分泌する。
NF4602、NF4701及びNF4601は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されており、その受託番号はそれぞれFERM BP−08620、FERM BP−08621及びFERM BP−08619である。
本発明の花粉アレルギーに対するヒトモノクローナル抗体は、上記した本発明のマウス−ヒトハイブリドーマを常法により培養して得られる上清中に分泌される。マウス−ヒトハイブリドーマの培養は、一般的な動物細胞培養液を用いて行うことができ、例えば、牛胎児血清、子牛血清などの動物血清を適宜加えるか、増殖ホルモンなどを加えた無血清培地、あるいは蛋白質をまったく含まない無蛋白質培地を用いることができる。
本発明のヒトモノクローナル抗体は、花粉アレルゲンに結合するので、花粉アレルゲンの検出に用いることができる。抗体と花粉アレルゲンとの結合は、花粉そのものへの結合、或いは花粉から抽出した花粉アレルゲンを固定化した固相への抗体の結合として検出することができる。
従って、例えば、検体を96穴プレートや適当なメンブレンに直接固定化するか、あるいは試料をポリアクリルアミドゲル電気泳動後にメンブレンに転写するなどしたものに、花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体を反応させ、酵素免疫測定法(ELISA)等を利用して、検体の中に花粉アレルゲンが含まれているか否かを検出することができる。
また、本発明の花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体は、花粉アレルゲンに結合するので、検出方法に応じて必要な試薬等と共に花粉アレルゲンの検出用キットとして利用することもできる。
以下、本発明を実施例をもとに詳細に述べるが、本発明は以下の実施例に例示された試薬、細胞、花粉、ウィルス株にのみ限局されるものではない。
実施例1[スギ花粉症患者末梢血B細胞の形質転換]
1)末梢血リンパ球の分離
スギおよび通年性花粉症患者6人から、ヘパリン採血により無菌的に末梢血を得た。血液は、等量のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で希釈し、あらかじめ遠心管に分注しておいたフィコールパック溶液(アマシャム社製)の上に重層した。これを1,500回転/分で40分間遠心し、フィコールパック溶液と血漿の界面に分布する単球画分を採取して末梢血リンパ球とした。
尚、スギおよび通年性花粉症患者については、いずれも花粉症の自覚症状があり、AlaStat(株式会社ダイアヤトロン製)によって測定した血清中の抗スギ花粉IgE抗体がクラス4以上(17.5国際単位/ml以上)の値を示していた。
末梢血リンパ球は、培地(RPMI1640培地,シグマ社)に懸濁させ、1,000回転/分で10分間遠心し、上清を除くことによって洗浄した。3回洗浄した末梢血リンパ球を、10%牛胎児血清を含む培地に懸濁し、細胞密度を1.1x10細胞/mlに調製した。
2) エプスタイン−バールウィルス含有培地の調製
マーモセットB95−8株の培養上清に含まれるエプスタイン−バールウィルスを用いた。B95−8株を、10%牛胎児血清を含むRPMI1640培地で継代培養し、細胞が十分増殖した培養上清を0.45μmのフィルターを通した後、使用まで−80℃に凍結保存した。
3)末梢血リンパ球へのエプスタイン−バールウィルスの感染と形質転換細胞の培養
末梢血リンパ球浮遊液の10分の1容量のエプスタイン−バールウィルス含有培地を加え、サイクロスポリンA(シグマ社)を終濃度2μg/mlとなるように加え、96穴プレートに100μLずつ分注した。プレートは37℃、5%炭酸ガス雰囲気下、湿度90%以上で培養した。途中、培地を追加し、さらに培地の半量ずつを適宜交換して、形質転換細胞を培養した。
その結果、培養した2,298穴すべてに形質転換細胞が増殖した。
4)酵素免疫測定法による培養上清中の抗花粉抗体の検出
0.05mol/Lの炭酸水素ナトリウム溶液に溶解したスギ花粉抽出物(1μg/ml)をポリスチレン製96穴アッセイプレートに50μLずつ分注し、4℃で1晩静置して、抗原をプレートに吸着させた。抗原を捨て、ブロックエース(大日本製薬)でプレートをブロッキングした後、0.05%ツイン20を含むPBSでプレートを3回洗浄した。ここに形質転換細胞の培養上清50μLを加え室温で1時間静置した。
上清を捨て、プレートを3回洗浄後、1万倍希釈したペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgM抗体溶液(バイオソース社)50μLを加えさらに1時間静置した。プレートに結合したペルオキシダーゼ活性を、2,2’-azino-di-(3-ethylbenzthiazolin sulfonic acid)を基質として測定した。
その結果、2,298穴から得られた培養上清のうち、30穴のものにスギ花粉抗原と反応するものが検出された。これらの抗体を分泌する細胞を、液体窒素中に凍結保存した。
また、同様の方法で、培養上清のうち18穴のものにイネ科雑草であるカモガヤ花粉抗原と反応するものも検出された。
実施例2[花粉特異的抗体分泌マウス−ヒトハイブリドーマの作製]
1)細胞株
スギ花粉に対する抗体を分泌する形質転換B細胞として、BLC4501、BLC4601、BLC4602、BLC4603、およびBLC4701を用いた。マウスミエローマ細胞として、SP2/Oをウアバインに馴化させたSP2/O3株を用いた。
2)細胞融合とマウス−ヒトハイブリドーマの選択培養
培地で3回洗浄した形質転換B細胞2x10個とSP2/O3の同数を、50mlコニカル遠心管中で混合し、1,500回転/分で10分間遠心した。上清を除去後、50%ポリエチレングリコール(シグマ社)1mlを1分間かけて添加し、細胞融合した。融合した細胞を牛胎児血清を含まない培地10mlで希釈後、遠心してポリエチレングリコールを吸引除去した。融合細胞を30mlのFCSを含む培地に懸濁し、この150μLを96穴プレートに分注し、培養した。
培養翌日に、ウアバイン2μモル/L、ヒポキサンチン0.1mモル/L、アミノプテリン0.4μモル/L、チミジン16μモル/Lを含む選択培地(O−HAT培地)を添加し、以降2〜3日ごとに半量ずつ選択培地を交換した。
その結果、2〜3週間後にすべての穴でハイブリドーマが増殖した。
3)ハイブリドーマのクローニング
培養上清の抗スギ花粉抗原抗体を酵素免疫測定法で測定し、陽性となった培養穴の細胞を限界希釈法でクローニングした。
それぞれの形質転換B細胞から、最終的にマウス−ヒトハイブリドーマクローンNF4501、NF4601、NF4602、NF4603およびNF4701が得られた。
実施例3[酵素免疫測定法によるアレルゲンの同定]
スギ花粉粗アレルゲン、スギ花粉アレルゲンCry j1およびCry j2を、前述の実施例1の4)に記載した方法に従って96穴ELISAプレートにコートし、実施例2で得られたマウス−ヒトハイブリドーマクローンの培養上清と反応させ、プレートに結合した2次抗体、すなわちペルオキシダーゼ標識抗ヒトIgM抗体の酵素活性を測定した。
表1に各アレルゲンに対するマウス−ヒトハイブリドーマクローンの反応の有無を示す。尚、表1中、対照(スギアレルゲンをコートしないウェル)における反応の有無は、「非特異的」として示した。
Figure 2005289929
表1に示すように、NF4501およびNF4603はスギアレルゲンをコートしないウェルとも反応したことから、非特異的結合抗体であることが明らかとなった。
一方、NF4601はスギ花粉粗アレルゲンとのみ反応した。また、NF4602はスギ花粉粗アレルゲンとCry j1と、NF4701はCry j1とのみ反応した。これらは、NF4602およびNF4701がスギ花粉アレルゲン蛋白質Cry j1に対する抗体であり、NF4601はスギ花粉粗アレルゲンに含まれるCry j1およびCry j2以外のアレルゲン蛋白質に対する抗体であることを示すものと考えられる。
以上より、マウス−ヒトハイブリドーマクローンNF4602あるいはNF4701を用いることにより、スギ花粉アレルゲンCry j1を、NF4601を用いることによって未同定のスギ花粉アレルゲンを検出できることが明らかとなった。
本発明のヒトモノクローナル抗体は、花粉アレルゲンに対し特異的に結合するので、花粉アレルゲンの検出に使用することができる。
また、本発明のハイブリドーマは、該抗体を細胞外に半永久的に継続して安定的に分泌することができる。
従って、本発明は、花粉症患者の花粉アレルゲンの解析や、花粉症の予防、治療等並びにそれらの研究に有用である。

Claims (10)

  1. 花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体。
  2. 花粉アレルゲンがスギ花粉アレルゲンである請求項1記載のヒトモノクローナル抗体。
  3. 花粉アレルゲンに対するヒトモノクローナル抗体を分泌するマウス−ヒトハイブリドーマ。
  4. 花粉アレルゲンがスギ花粉アレルゲンである請求項3記載のマウス−ヒトハイブリドーマ。
  5. マウス−ヒトハイブリドーマNF4602(FERM BP−08620)。
  6. マウス−ヒトハイブリドーマNF4701(FERM BP−08621)。
  7. マウス−ヒトハイブリドーマNF4601(FERM BP−08619)。
  8. 請求項3〜7のいずれかに記載のマウス−ヒトハイブリドーマを培養することを特徴とする請求項1又は2記載のヒトモノクローナル抗体の製造方法。
  9. 請求項1又は2記載のヒトモノクローナル抗体を用いることを特徴とする花粉アレルゲンの検出方法。
  10. 請求項1又は2記載のヒトモノクローナル抗体を含むことを特徴とする花粉アレルゲンの検出用キット。
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