JP2005285592A - 積層体の製造方法、有機el装置、有機半導体装置、ならびに電子機器 - Google Patents

積層体の製造方法、有機el装置、有機半導体装置、ならびに電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】 液相プロセスで形成された機能性有機物層、例えば正孔注入層、有機発光層などを高い密着性で形成できる積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】 積層体の製造方法は、基体の上方に機能性有機物層を、液相プロセスによって成膜して、積層体400,500を形成する工程と、前記機能性有機物層と超臨界流体300とを接触させる工程と、を含む。前記超臨界流体は、二酸化炭素であることができる。
【選択図】 図6

Description

本発明は、液相プロセスを用いた積層体の製造方法、有機EL装置、有機半導体装置、ならびに電子機器に関する。
一般に、有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置を構成する有機EL素子は、陽極と陰極との間に有機発光材料からなる有機発光層を有し、両電極から注入された電子と正孔とが発光層内で再結合し、励起したエネルギーが光として放出される。このような有機EL装置は、各電極と発光層との間の電荷注入障壁が高いため、通常は陽極バッファ層となる正孔注入層(「正孔輸送層」ともいわれる)、および陰極バッファ層となる電子注入層(「電子輸送層」ともいわれる)をそれぞれ設けた積層構造となっている。
ところで、現在、有機EL装置に用いられる有機発光材料は、低分子系と高分子系とに大別されている。低分子系有機発光材料を用いた有機発光層は、通常、真空蒸着法などの気相プロセスを用いて形成され、マスクを用いてパターニングされる(例えば、非特許文献1参照)。これに対し、高分子系有機発光材料は、溶剤に溶かすことができるため、塗布法による成膜が可能であり、例えばインクジェット法等の液滴吐出法を用いたパターニングが可能である(例えば、非特許文献2参照)。そして、このような液滴吐出法を用いた有機EL装置の製造方法も知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、陽極バッファ層としての正孔注入層についても、塗布法で成膜することのできる材料が開発されていることにより、液相プロセスで成膜が可能となっている(例えば、非特許文献3参照)。
また、陰極バッファ層としての電子注入層の形成については、主に真空蒸着法が用いられるため、エネルギーコスト・材料コストともに高価となり、しかも今後ディスプレイとして実用化される際に基板の大型化を妨げる一因になると考えられている。また、気相プロセスを用いた場合には、下地となる有機物層や基板が高熱の環境に晒されることから、耐熱性に乏しい材料の場合には発光特性の劣化や基板の変形といった問題が起こることが懸念される。
そこで、陰極バッファ層(電子注入層または電子輸送層)についても液相プロセスで形成する例として、電子輸送性高分子(繰り返し単位中にアルキル基またはアルコキシル基を1〜5個含む)を溶解または分散して湿式法で形成する方法(例えば、特許文献2参照)や、テトラヒドロアルミン酸塩を溶解または分散させた溶液もしくは分散液を用い、湿式法で電子注入層を形成する方法(例えば、特許文献3参照)が知られている。
このように、液相プロセスは、低エネルギープロセスとして期待されている。しかしながら、液相プロセスを用いて形成されたデバイスにおいては、特性、特に信頼性の点で課題を有する。そのひとつとして、成膜材料が溶媒を用いた液状物であることから、膜の溶媒を完全に除去することが難しく、膜内に溶媒が残留する点がある。膜から溶媒を除去する方法としては、加熱や減圧、あるいはこれらを組み合わせた方法がある。しかしながら、加熱によって膜から溶媒を除去する場合には、熱によって膜を構成する材料が影響を受けることがある。特に、膜が有機物である場合には、熱による悪影響が懸念される。また、減圧による場合には、溶媒を膜から完全に除去することはかなり難しい。特に、高沸点溶媒を用いる液相プロセス、例えば液滴吐出法のひとつであるインクジェットプロセスでは、このような問題は顕著となる。
また、液相プロセスを用いた成膜での問題として、残留溶媒が一つの大きな要因であるが、通常、膜の密着性が気相プロセスに比べて低いことが挙げられる。このような膜の密着性は電気的特性などに影響を与える。
特開平10−12377号公報 特開2000−252076号公報 特開2000−252079号公報 Appl.Phys.Lett.,51,(1997),p.34 Appl.Phys.Lett.,71,(1997),p.34 Nature 357,477 (1992)
本発明の目的は、溶媒などの不純物を確実に除去でき、密着性に優れた積層体の製造方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、本発明にかかる製造方法によって得られた有機EL装置および有機半導体装置を提供することにある。
さらに、本発明の目的は、本発明にかかる有機EL装置または有機半導体装置を含む電子機器を提供することにある。
本発明にかかる積層体の製造方法は、
基体の上方に機能性有機物層を、液相プロセスによって成膜して、積層体を形成する工程と、
前記機能性有機物層と超臨界流体とを接触させる工程と、
を含む。
本発明にかかる積層体の製造方法によれば、機能性有機物層と超臨界流体とを接触させることにより、機能性有機物層に含まれる溶媒などの不純物が超臨界流体によって除去される。かかる積層体の製造方法は、後述する有機EL装置および有機半導体装置をはじめとし、液相プロセスで形成された機能性有機物層を有する各種のデバイスの製造方法に適用できる。
本発明において、「超臨界流体」とは、状態図で、温度、圧力、エントロピー線図の臨界図より上の温度、圧力下のある状態の流体を意味する。
なお、本発明において、「A」の上方に「B」を形成するとは、「A」の上に直接「B」を形成する場合、もしくは「A」の上に「A」および「B」と異なる他の部材を介して「B」を形成する場合を含む。
本発明にかかる製造方法において、前記超臨界流体は、二酸化炭素であることができる。二酸化炭素は、他の物質の超臨界流体に比較して、低温度および低圧力で生成できる点で有利である。また、二酸化炭素は、機能性有機物層を構成する材料に対して化学的に安定で、該機能性有機物層を変質させにくく、さらに一般的に機能性有機物の二酸化炭素に対する溶解度は低く、溶媒などの不純物のみを除去できる。
本発明にかかる製造方法において、前記機能性有機物層は、有機EL装置を構成する有機発光層、正孔注入層および電子注入層の少なくとも1層であることができる。
本発明にかかる製造方法において、前記機能性有機物層は、有機半導体層であることができる。
本発明にかかる製造方法において、前記機能性有機物層と前記超臨界流体とを接触させる工程は、密閉可能な容器に該機能性有機物層が形成された積層体と該超臨界流体と入れることにより行われることができる。
本発明にかかる製造方法において、前記機能性有機物層は、有機材料を含む溶液あるいは分散液を用いた液相プロセスで形成されることができる。このような液相プロセスを用いると、気相プロセスに比べ、簡易な方法によって各層を形成できる。かかる液相プロセスは、スピンコート法、ディップ法、または液滴吐出法であることができる。
本発明にかかる有機EL装置は、本発明にかかる積層体の製造方法によって得られたものである。
本発明にかかる有機半導体装置は、本発明にかかる積層体の製造方法によって得られたものである。
本発明にかかる電子機器は、本発明にかかる有機EL装置または有機半導体装置を含む。
1.有機EL装置
本実施形態では、本発明にかかる積層体の製造方法を有機EL装置に適用した例について述べる。この例では、機能性有機物層は、有機発光層、正孔注入層および電子注入層から選択される少なくともひとつの層に相当する。
本実施形態にかかる有機EL装置の一例を図1,図2を参照して説明する。図1は、有機EL装置1を模式的に示す平面図、図2は、図1のA−A線に沿った断面構造を模式的に示す断面図である。
有機EL装置1は、図1に示すように、R(赤)、G(緑)、B(青)の光をそれぞれ発光するドットをその実表示領域4に有し、これによりフルカラー表示を行うことができる。
図2に示すように、本実施形態の有機EL装置1は、ボトムエミッション型として構成されている。したがって基板20側から光を取り出す構成であるので、基板20としては、透明あるいは半透明のものが採用され、例えば、ガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等が用いられる。
なお、有機EL装置がいわゆるトップエミッション型である場合には、前記基板20の対向側である封止基板(図示略)側から光を取り出す構成となるので、基板20としては、透明基板および不透明基板のいずれも用いることができる。不透明基板としては、例えば、アルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、あるいは熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。
本実施形態では、基体100上に有機EL素子が設けられている。基体100は、基板20と、基板20上に形成された回路部11とを有する。
回路部11は、基板20上に形成された例えば酸化シリコン層からなる保護層12と、保護層上に形成された駆動用TFT123と、第1層間絶縁層15と、第2層間絶縁層18とを有する。駆動用TFT123は、シリコンからなる半導体層13と、半導体層13上に形成されたゲート絶縁層14と、ゲート絶縁層14上に形成されたゲート電極19と、ソース電極16と、ドレイン電極17とを有する。
回路部11上に有機EL素子が設けられている。有機EL素子は、陽極として機能する画素電極23と、この画素電極23上に形成され、画素電極23からの正孔を注入/輸送する正孔注入層70と、この正孔注入層70上に形成され、発光機能を有する有機発光層60と、この有機発光層60上に形成された陰極50と、を含む。図示の例では記載されていないが、必要に応じて、有機発光層60と陰極50との間に、陰極50からの電子を注入/輸送する電子注入層を設けることができる。
このような構成の有機EL素子1は、その有機発光層60において、正孔注入層70から注入された正孔と陰極50からの電子とが結合することにより、光を発生する。
陽極として機能する画素電極23は、本実施形態ではボトムエミッション型であることから透明導電材料によって形成されている。透明導電材料としてはITO(Indium Tin Oxide)を用いることができるが、これ以外にも、例えば酸化インジウム・酸化亜鉛系アモルファス材料(Indium Zinc Oxide:IZO/アイ・ゼット・オー)(登録商標),(出光興産社製)等を用いることができる。
画素電極23の膜厚については、特に限定されず、たとえば50〜200nmとすることができる。また、画素電極23の表面には酸素プラズマ処理が施されることにより、これに親液性が付与されているとともに、電極表面の洗浄、および仕事関数の調整がなされている。酸素プラズマ処理については、例えば、プラズマパワー100〜800kW、酸素ガス流量50〜100ml/min、基板搬送速度0.5〜10mm/sec、基板温度70〜90℃の条件で行うことができる。
正孔注入層70は、正孔輸送材料として、例えばトリフェニルアミンを骨格として有する高分子材料を用いることができる。かかる高分子としては、化合物1として示すADS社製「ADS254BE」を採用することができる。トリフェニルアミンを骨格として有する高分子は、正孔注入層70を形成する際に用いられる超臨界流体、例えば二酸化炭素の超臨界流体に対して安定であり、超臨界流体による処理に適している。
トリフェニルアミン骨格を有する高分子は、トリフェニルアミン自身が正孔輸送性を有することから正孔輸送層としての機能が期待でき、さらには現在主流であるPEDOT:PSS(ポリエチレンジオキシチオフェン:ポリスチレンスルフォン酸)のような分散系ではないことから、不純物イオンの軽減を図ることができ、信頼性に対して有効であると考えられる。
Figure 2005285592
有機発光層60を構成する発光材料としては、以下に化合物2〜6として示す、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレン系高分子誘導体、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、あるいは上記高分子に有機EL材料をドープしたものを使用することができる。ドープする物質としては、例えば、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等が挙げられる。
Figure 2005285592
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さらに、赤色発光材料としては例えばMEH−PPV(poly Methoxy(2ethyl)hexyloxy paraphenylene vinylene)を、青色発光材料としては例えばポリジオクチルフルオレンを、緑色発光材料としては例えばPPV(poly(para-phenylene vinylene))を用いることができる。
これらの発光材料は、有機発光層60を形成する際に用いられる超臨界流体、例えば二酸化炭素の超臨界流体に対して安定であり、超臨界流体による処理に適している。
電子注入層(図示せず)を構成する電子注入性材料としては、アルカリ金属のハロゲン化物を用いることができる。
陰極50は、有機発光層60および有機バンク層221を覆うように形成されている。
陰極50を形成するための材料としては、有機発光層60側(下部側)に仕事関数が小さい材料を形成することが望ましく、例えばカルシウム,マグネシウムなどを用いることができる。また、上部側(封止側)には有機発光層60側よりも仕事関数が高い材料、例えばアルミニウムを用いることができる。このアルミニウムは、有機発光層60からの発光光を反射する反射層としても機能することができる。陰極50の膜厚については、特に限定されないが、たとえば100〜1000nmとすることもでき、より好ましくは200〜500nmである。なお、本実施形態はボトムエミッション型であることから、この陰極50は特に光透過性である必要はない。
画素電極23が形成された第2層間絶縁層18の表面は、画素電極23と、例えば酸化シリコンなどの親液性材料を主体とする親液性制御層25と、アクリル樹脂やポリイミドなどからなる有機バンク層221とによって覆われている。そして、画素電極23には親液性制御層25に設けられた開口部25a、および有機バンク層221に設けられた開口部221aの内部に、正孔注入層70と、有機発光層60とが画素電極23側からこの順で積層されている。なお、本実施形態における親液性制御層25の「親液性」とは、少なくとも有機バンク層221を構成するアクリル樹脂、ポリイミドなどの材料と比べて親液性が高いことを意味する。
本実施形態の有機EL装置1は、前述したようにカラー表示を行うことができる。各有機発光層60は、その発光波長帯域が光の三原色にそれぞれ対応して形成されている。例えば、有機発光層60として、発光波長帯域が赤色に対応した赤色用有機発光層60、緑色に対応した緑色用有機発光層60、青色に対応した青色用有機EL層60とをそれぞれに対応する表示領域R、G、Bに設け、これら表示領域R、G、Bをもってカラー表示を行う1画素が構成されている。また、各色表示領域の境界には、金属クロムをスパッタリングなどにて成膜した図示しないBM(ブラックマトリクス層)が、有機バンク層221と親液性制御層25との間に位置して形成されている。
2.有機EL装置の製造方法
次に、本実施形態にかかる有機EL装置1の製造方法の一例を、図3(a)〜(c)、図4(a)、(b)を参照して説明する。なお、図3、図4に示す各断面図は、図1中のA−A線の断面図の部分に対応した図である。
(1)まず、図3(a)に示すように、公知の手法によって基板20の表面に、図2に示した回路部11までを形成し、基体100を得る。続いて、基体100の最上層(第2層間絶縁層18)の全面を覆うように画素電極23となる透明導電層を形成する。そして、この透明導電層をパターニングすることにより、画素電極23を形成する。
(2)次いで、図3(b)に示すように、画素電極23および第2層間絶縁層18上に絶縁層からなる親液性制御層25を形成する。続いて、親液性制御層25において、異なる2つの画素電極23の間に位置して形成された凹状部にブラックマトリクス層(図示せず)を形成する。ブラックマトリクス層は、具体的には、親液性制御層25の前記凹状部に対して、たとえば金属クロムを用いスパッタリング法にて成膜することができる。
(3)次いで、図3(c)に示すように、親液性制御層25の所定位置、具体的には前記ブラックマトリクス層を覆うように有機バンク層221を形成する。有機バンク層の形成方法としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などのレジストを溶媒に溶解したものを、スピンコート法、ディップコート法などの各種塗布法により塗布して有機質層を形成する。この、有機質層の構成材料は、後述する液状材料の溶媒に溶解せず、しかもエッチングなどによってパターニングし易いものであればどのようなものでもよい。次いで、有機質層をフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いてパターニングし、有機質層に開口部221aを形成することにより、有機バンク層221を形成する。
次いで、プラズマ処理によって親液性を示す領域と、撥液性を示す領域とを形成する。具体的には、該プラズマ処理は、予備加熱工程と、有機バンク層221の上面および開口部221aの壁面ならびに画素電極23の電極面23c、親液性制御層25の上面をそれぞれ親液性にする親液化工程と、有機バンク層221の上面および開口部221aの壁面を撥液性にする撥液化工程と、冷却工程とで構成される。
すなわち、被処理体(基体100上に画素電極23、有機バンク層221などが積層された積層体)を所定温度、例えば70〜80℃程度に加熱し、次いで親液化工程として、大気雰囲気中で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(酸素プラズマ処理)を行う。次いで、撥液化工程として、大気雰囲気中で4フッ化メタンを反応ガスとするプラズマ処理(CFプラズマ処理)を行い、その後、プラズマ処理のために加熱された被処理体を室温まで冷却することにより、親液性および撥液性を所定箇所に付与することができる。
なお、このCFプラズマ処理では、画素電極23の電極面23cおよび親液性制御層25についても多少の影響を受けるが、画素電極23の材料であるITOおよび親液性制御層25の構成材料である酸化シリコン、酸化チタンなどはフッ素に対する親和性に乏しいため、親液化工程で付与された水酸基がフッ素基で置換されることがなく、親液性が保持される。
(4)次いで、図3(c)に示すように、正孔注入層70の形成を行う。この正孔注入層70の形成では、液相プロセスによって数nm〜数百nmの薄膜を作製する方法が採用される。液相プロセスとは、成膜したい材料を溶解もしくは分散させることで液状体とし、この液状体を用いてスピンコート法、ディップ法、あるいは液滴吐出法(インクジェット法)等により、薄膜を作製する方法である。スピンコート法やディップ法は全面塗布に適しているのに対し、液滴吐出法は任意の箇所に薄膜をパターニングすることができる。このような液相プロセスは、以下に述べる有機発光層、電子注入層、陰極などの成膜工程で液相プロセスを用いる場合にも同様である。
この正孔注入層の形成工程においては、液滴吐出法によって正孔輸送層形成材料を電極面23c上に塗布することにより、エッチングなどによるパターニングを必要とせずに所定の位置に正孔注入層70を形成することができる。
液滴吐出法(インクジェット法)で正孔注入層の形成材料を選択的に塗布する場合、まず、液滴吐出ヘッド(図示略)に正孔注入層の形成材料を充填し、液滴吐出ヘッドの吐出ノズルを親液性制御層25に形成された前記開口部25a内に位置する電極面23cに対向させ、液滴吐出ヘッドと基材とを相対的に移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御された液滴を電極面23cに吐出する。
吐出ノズルから吐出された液滴は、親液性処理がなされた電極面23c上にて広がり、親液性制御層25の開口部25a内に満たされる。その一方で、撥液(インク)処理された有機バンク層221の上面では、液滴がはじかれて付着しない。したがって、液滴が所定の吐出位置からはずれて有機バンク層221の上面に吐出されたとしても、該上面が液滴で濡れることがなく、弾かれた液滴が親液性制御層25の開口部25a内に転がり込む。このようにして、液滴は容易かつ正確に所定位置に供給される。
その後、乾燥処理を行い、正孔注入層の形成材料に含まれる分散媒や溶媒をある程度蒸発させることにより、電極面23c上に正孔注入層70を例えば数nm〜数百nmの膜厚で形成できる。この乾燥処理は、例えば室温による自然乾燥で行うことができる。
正孔注入層70は、前述したように、正孔輸送材料として、例えばトリフェニルアミンを骨格として有する高分子材料を用いることができる。かかる高分子としては、前記化合物1として示すADS社製「ADS254BE」を採用することができる。トリフェニルアミンを骨格として有する高分子は、正孔注入層70を形成する際に用いられる超臨界流体、例えば二酸化炭素の超臨界流体に対して安定であり、超臨界流体による処理に適している。
正孔輸送材料を溶解させる溶媒としては、キシレンを採用することが好ましい。なお、キシレン以外の溶媒を採用してもよく、例えば、シクロへキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を用いることができる。
(5)次いで、正孔注入層70に対して超臨界流体による処理を行う。この工程は、上記(4)で形成された積層体400(図3(c)参照)と超臨界流体とを共存させることによって行われる。具体的には、積層体400と超臨界流体とを共存させるには、図6に示すように、積層体400を密閉可能な容器200に入れ、該容器200に該超臨界流体300を入れることにより行われる。
図6に示すように、容器200には、超臨界流体を供給するための供給管路210および超臨界流体を排出するための排出管路220が接続されている。また、容器200には、ガス、例えば窒素などの不活性ガスを供給するためのガス供給管路230および不活性ガスを排出するためのガス排出管路240が接続されている。そして、各管路210〜240には、それぞれ流量調整弁250が設けられている。また、容器200は、供給管路210を介してポンプ260に接続されている。ポンプ260は、さらに超臨界流体の原料液体が収納されたボンベ270に接続されている。ポンプ260によって、ボンベ270から供給された原料液体は、所望の圧力に調整されて容器200に供給される。
容器200は、誘導コイルやヒータからなる温度制御手段(図示せず)によって温度調節ができるようになっている。また、容器200は、さらに密閉可能な外部容器(図示せず)内に収容されることができる。外部容器は、その内部の気圧や温度が調節できるように構成される。
この工程では、積層体400を容器200内に入れて、容器200を密閉した後、供給管路210を介して容器200内に超臨界流体300を入れる。この状態で、容器200内を所定の圧力および温度にし、所定の時間、超臨界流体300と積層体400とを接触させる。このときの温度および圧力は、超臨界流体が安定して存在することができる条件に設定される。例えば、超臨界流体として二酸化炭素を用いる場合には、容器200内の温度を35℃、圧力を8MPaとすることができる。
超臨界流体としては、二酸化炭素、エチルアルコール、メチルアルコールなどが使用できるが、好ましくは、低温度、低圧力で生成でき、しかも処理される機能性有機物層(この場合、電子注入層)に対して化学的に安定な二酸化炭素を用いることができる。
この超臨界流体による処理によって、有機物層への浸透性の高い超臨界流体が有機発光層60内に浸透する。その後、有機発光層60から超臨界流体を除去することにより、有機発光層60内の溶媒を超臨界流体と共に除去することができる。有機発光層60から超臨界流体を除去するためには、排出管路220を介して超臨界流体300を容器200から排除した後、ガス供給管路230を介して窒素などの不活性ガスを容器200内に入れながら、さらにガス排出管路240を介して不活性ガスを排出することによって行われる。
(6)次いで、図4(a)に示すように、正孔注入層70上に有機発光層60を形成する。この有機発光層60の形成工程では、発光層形成材料として赤色光を発光するもの、緑色光を発光するもの、青色光を発光するものをそれぞれ用意しておき、各発光層形成材料をそれぞれ混合した3種類の液状材料を用意しておく。
そして、これらの液状材料を、例えば液滴吐出法によってそれぞれ所定の箇所の正孔輸送層70上に吐出し、その後、乾燥処理を行うことにより、有機バンク層221に形成された開口部221a内に有機発光層60を形成する。ここで、乾燥処理としては、液滴吐出法で塗布を行った場合、ホットプレート上にて200℃以下で加熱し、乾燥蒸発させるといった方法が好適に採用される。また、スピンコート法またはディップ法によって塗布を行った場合には、基板に窒素を吹き付けるか、あるいは基板を回転させて基板表面に気流を発生させることで乾燥させることができる。また、自然乾燥により乾燥処理を行うこともできる。
有機発光層60を構成する発光材料としては、前述したように、前記化合物2〜6として示す、ポリビニルカルバゾール、ポリフルオレン系高分子誘導体、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリチオフェン誘導体、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素、あるいは上記高分子に有機EL材料をドープしたものを使用することができる。ドープする物質としては、例えば、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等が挙げられる。
さらに、赤色発光材料としては例えばMEH−PPV(poly Methoxy(2ethyl)hexyloxy paraphenylene vinylene)を、青色発光材料としては例えばポリジオクチルフルオレンを、緑色発光材料としては例えばPPV(paraphenylene vinylene)を用いることができる。
これらの発光材料は、有機発光層60を形成する際に用いられる超臨界流体、例えば二酸化炭素の超臨界流体に対して安定であり、超臨界流体による処理に適している。
有機発光材料を溶解させる溶媒もしくは分散媒としては、正孔注入材料を溶解するのに用いられる溶媒と同様のものを用いることができる。例えば、かかる溶媒としては、キシレン、シクロへキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等を用いることができる。
(7)次いで、有機発光層60に対して、正孔注入層70に対して行ったと同様の超臨界流体による処理を行う。この工程は、上記(6)で形成された積層体500(図4(a)参照)と超臨界流体とを共存させることによって行われる。具体的には、積層体500と超臨界流体とを共存させるには、図6に示すように、積層体500を密閉可能な容器200に入れ、該容器200に該超臨界流体を入れることにより行われる。
この工程では、上述した工程(5)と同様に、積層体500を容器200内に入れて、容器200を密閉した後、供給管路210を介して容器200内に超臨界流体300を入れる。この状態で、容器200内を所定の圧力および温度にし、所定の時間、超臨界流体300と積層体400とを接触させる。このときの温度および圧力は、超臨界流体が安定して存在することができる条件に設定される。例えば、超臨界流体として二酸化炭素を用いる場合には、容器200内の温度を35℃、圧力を8MPaとすることができる。
超臨界流体としては、二酸化炭素、エチルアルコール、メチルアルコールなどが使用できるが、好ましくは、低温度、低圧力で生成でき、しかも処理される機能性有機物層(この場合、電子注入層)に対して化学的に安定な二酸化炭素を用いることができる。
この超臨界流体による処理によって、有機物層への浸透性の高い超臨界流体が有機発光層60内に浸透する。その後、有機発光層60から超臨界流体を除去することにより、有機発光層60内の溶媒を超臨界流体と共に除去することができる。有機発光層60から超臨界流体を除去するためには、排出管路220を介して超臨界流体と電子注入材料との混合物300を容器200から排除した後、ガス供給管路230を介して窒素などの不活性ガスを容器200内に入れながら、さらにガス排出管路240を介して不活性ガスを排出することによって行われる。
このようにして、基体100上に、少なくとも、陽極(画素電極)23と、正孔注入層70と、有機発光層60とが形成された積層体500を得ることができる。
(8)次いで、必要に応じて、図示しない電子注入層を形成する。この電子注入層の形成工程においては、液滴吐出法によって電子注入層形成材料を有機発光層60上に塗布することにより形成することができる。
次いで、上述した工程(5)および(7)で行われた超臨界流体処理と同様の処理を行うことによって、電子注入層中の溶媒を除去することができる。すなわち、この超臨界流体による処理によって、有機物層への浸透性の高い超臨界流体が電子注入層内に浸透し、その後電子注入層から超臨界流体を除去することにより、電子注入層内の溶媒を超臨界流体と共に除去することができる。
(9)次いで、図4(b)に示すように、有機発光層60上に陰極50を形成する。この陰極50の形成工程では、例えば蒸着法やスパッタ法等によってアルミニウム等の陰極材料を成膜する。
その後、封止工程によって封止基板30の形成を行う。この封止工程では、作製した有機EL素子の内部に水や酸素が浸入するのを防ぐため、封止基板30の内側に乾燥機能を有する膜45を貼着し、さらに該封止基板30と基板20とを封止樹脂(図示略)にて封止する。封止樹脂としては、熱硬化樹脂や紫外線硬化樹脂が用いられる。なお、この封止工程は、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うのが好ましい。
以上の工程を経て作製された有機EL装置1は、両電極間にたとえば10V以下の電圧を印加することにより、画素電極23側から特に光を良好に取り出すことができる。
なお、上述した実施形態では、陰極50を蒸着法やスパッタ法等の気相プロセスで形成したが、これに代えて、導電性材料を含有してなる溶液あるいは分散液を用いた液相プロセスで形成してもよい。
すなわち、例えば陰極50を、有機発光層60に接する主陰極と、この主陰極に積層される補助陰極とで構成し、主陰極、補助陰極を共に導電性材料で形成することができる。そして、このような主陰極、補助陰極を、いずれも液滴吐出法等の液相プロセスで形成する。
前記主陰極を形成するための導電性材料としては、例えばエチレンジオキシチオフェンを含む高分子化合物からなる導電性高分子材料が用いられる。具体的には、導電性高分子材料としては、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸の分散液が使用できる。また、主陰極50を構成する導電性材料として、前記の導電性高分子に代えて金属微粒子を用いてもよく、さらに導電性高分子とともにこの金属微粒子を用いるようにしてもよい。特に、導電性高分子と金属微粒子との混合材料によって主陰極を形成した場合には、比較的低温で主陰極を焼成しつつ、主陰極50の導電性を確保することが可能になる。金属微粒子として、具体的には金や銀、アルミニウム等を使用することができる。なお、金、銀等の金属微粒子の他に、カーボンペーストを採用することも可能である。
前記補助陰極は、陰極50全体の導電性を高めるために主陰極に積層される。補助陰極は、主陰極を覆うことで酸素や水分などからこれを保護する機能も備えたものであり、導電性を有する金属微粒子によって形成することができる。この金属微粒子として、化学的に安定な導電性材料であれば特に限定されることなく、任意のもの、例えば金属や合金などが使用可能であり、具体的にはアルミニウムや金、銀などを用いることができる。
このように、陰極50を液相プロセスで形成するようにすれば、気相プロセスの場合の真空条件が不要となり、したがって有機発光層60の形成に連続して陰極50の形成を行うことができ、これにより製造が容易になって生産性が向上する。また、画素電極(陽極)についても液相プロセスで形成するようにすれば、陽極、機能層(正孔注入層、発光層)、陰極からなる有機EL素子を全て一貫して液相プロセスで形成することができ、したがって製造がより容易になって生産性が一層向上する。
なお、前記の実施形態においては、ボトムエミッション型を例にして説明したが、本実施形態はこれに限定されることなく、トップエミッション型にも、また、ボトムおよびトップの両側に光を出射するタイプのものにも適用することができる。
本実施形態にかかる製造方法によれば、機能性有機物層、例えば、正孔注入層、有機発光層および電子注入層の全てを液相プロセスによって形成しているので、気相プロセスを用いた場合に比べて各層を容易に形成することができる。そして、各機能性有機物層は、超臨界流体処理によって該機能性有機物層に含まれる溶媒が確実に除去されるため、機能性、特に密着性のよい膜を形成できる。
上記実施形態では、液相プロセスによる成膜および超臨界流体処理は、機能性有機物層、例えば、正孔注入層、有機発光層および電子注入層の全てに適用されたが、これらの機能性有機物層のうちの少なくともひとつの層に適用されることができる。
3.実施例
以下に、液相プロセスによって形成された機能性有機物層について超臨界流体を用いて処理を行った例について述べる。
この実施例では、機能性有機物層として正孔注入層および有機発光層を用いた。
サンプルは以下のようにして形成された。正孔注入材料としては、トリフェニルアミンを骨格として有する高分子(ADS社製「ADS254BE」)を用いた。この高分子「ADS254BE」をクロロホルムに溶解して塗布用溶液を調製した。この塗布用溶液をスピンコートによりガラス基板上に塗布し、塗膜を自然乾燥した。このようにして、基板上に正孔注入層が形成された積層体1のサンプルを得た。塗膜の膜厚は30nmであった。
次いで、このサンプルについて二酸化炭素(CO)を用いた超臨界流体処理を行った。超臨界流体処理は、以下のようにして行った。
超臨界流体処理装置としては、日立サイエンスシステムズ製「SRD2020」を使用した。この装置により液体COを8MPa、35℃に昇圧、昇温した。CO超臨界状態への臨界点は7.39MPa、31℃である。
装置の上部にあるサンプル室(図6の容器200に相当)にサンプルをセットし、サンプル室を閉じた。その後は、本装置内蔵の自動プログラムにより処理し、液体COをサンプル室に投入した。液体COは、装置に内蔵されたポンプにより6MPaから8MPaに昇圧された。サンプル室の温度は35℃であった。このようにしてサンプル室内で、サンプルと超臨界流体とを共存させた。超臨界状態を所望の時間(この場合は10分)維持した後30分間かけて少しずつ8Mpaから6Mpaまで降圧し、その後サンプル室を18℃まで降温した。その後、液体COを30分間で少しづつとり除いてやることによって、サンプルの正孔注入層から超臨界流体と溶媒とが除去された。
さらに、積層体1の正孔注入層上に有機発光層を形成し、積層体2のサンプルを得た。有機発光層は、有機発光材料として、ポリフルオレン系高分子誘導体を用い、これをキシレンに溶解して塗布用溶液を調製した。この塗布用溶液をスピンコートにより積層体1の正孔注入層上に塗布し、塗膜を自然乾燥した。さらに、上述したと同様の方法によって超臨界流体処理を行った。
このようにして超臨界流体処理された積層体1,2のサンプルについて、密着性を調べた。密着性は、サンプルの機能性有機物層をニードルで引っかくことにより剥離された破片の幅を測定して判断した。
その結果、実施例にかかる積層体1のサンプルは、超臨界流体処理を行わない比較用サンプルに比べて、剥離した破片の幅が平均で約1/2であった。このことから実施例のサンプルは、比較用サンプルに比べて、機能性有機物層(正孔注入層)の密着性が格段によくなったことが確認された。なお、比較用サンプルは、実施例にかかるサンプルと超臨界流体処理を行わない点で相違する。
また、積層体2のサンプルついて同様にして密着性を調べた。その結果、超臨界流体処理を行わない比較用サンプルでは、有機発光層と正孔注入層との界面で剥離した。これに対して、超臨界流体処理を行った積層体2のサンプルでは、有機発光層と正孔注入層との界面での剥離がなく、さらに剥離幅も格段に小さかった。このことから、実施例のサンプルでは、正孔注入層と基板とが剥離しにくく、さらには正孔注入層と有機発光層との膜同士の界面でも剥離しにくく、全体として膜相互が高い密着力を有することが確認された。
このように実施例において機能性有機物層の密着性が高くなった原因の一つとしては、溶媒が機能性有機物層内からほぼ完全に除去できたためと考えられる。
4.有機半導体装置およびその製造方法
本実施形態では、本発明にかかる積層体の製造方法を有機半導体装置に適用した例について述べる。この例では、機能性有機物層は、有機半導体層に相当する。
本実施形態にかかる有機半導体装置の一例を図7を参照して説明する。図7は、有機半導体装置2を模式的に示す断面図である。
有機半導体装置2は、基板40と、基板40上に形成されたゲート電極42と、ゲート絶縁層44と、有機半導体層48と、ソース電極49と、ドレイン電極50とを有する。有機半導体層48は、絶縁層46によって囲まれている。
有機半導体層48に用いられる有機半導体材料としては、その骨格が共役二重結合から構成されるπ電子共役系の高分子材料が望ましい。具体的には、有機半導体材料としては、ポリチオフェン、ポリ(3−アルキルチオフェン)、ポリチオフェン誘導体等の高分子材料を用いることができる。
また、有機半導体材料としては、可溶性の前駆体を成膜した後で処理することにより有機半導体層を形成することができる材料を用いることができる。このような前駆体を経由する有機半導体材料としては、ポリチエニレンビニレン、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)、ポリアセチレン、ポリアセチレン誘導体、ポリアリレンビニレン等がある。
なお、前駆体を有機半導体に変換する際には、加熱処理だけではなく塩化水素ガスなどの反応触媒を添加することある。
上述した有機半導体材料を溶解させる代表的な溶媒としては、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、アニソール、クロロホルム、ジクロロメタン、γブチルラクトン、ブチルセルソルブ、シクロヘキサン、NMP(N−メチル−2−ピロリドン)、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド(DMF)または、THF(テトラヒドロフラン)等が挙げられる。
次に、本実施形態にかかる有機半導体装置2の製造方法について述べる。
まず、図8に示すように、基板40上に形成された導電層をパターニングすることによりゲート電極42が形成される。基板40としては、特に限定されず、ガラス基板、石英基板、セラミック基板などを用いることができる。また、基板40としては、シリコン基板、金属基板またはステンレス基板の表面に絶縁層を形成したもの、あるいは、プロセスの処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。ゲート電極42の材質は特に限定されず、例えば、W、Mo、Ti、Taから選ばれた一種または複数種からなる導電性材料で形成することができる。
次いで、図8に示すように、ゲート電極42を形成した後、ゲート絶縁層44を形成する。ゲート絶縁層44は、酸化珪素、酸窒化珪素などの絶縁物からなり、プラズマCVD法やスパッタ法により形成できる。ゲート絶縁層44は、50〜150nmの厚さで形成する。
次に、図9に示すように、ゲート絶縁層44上に絶縁層46を形成する。具体的には、ゲート絶縁層44上に全面的に絶縁層を形成した後、所望のパターンのレジストマスク(図示せず)を形成し、リソグラフィおよびエッチングを行うことにより、ゲート電極42上に開口部を有する絶縁層46を形成することができる。
絶縁層46の材質としては、酸化珪素、窒化珪素、酸化窒化珪素などの無機材料、あるいは、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミドおよびBCB(ベンゾシクロブテン)などの有機材料を用いることができる。また、絶縁層46は、複数の絶縁層を組み合わせた積層構造を有することもできる。絶縁層46が無機材料の場合には、成膜方法としてプラズマCVD法、スパッタリング法または蒸着法を用いることができる。絶縁層46が有機材料の場合には、その成膜方法として、スピンコート法、印刷法または液滴吐出法などの液相プロセスを用いることができる。絶縁層46の膜厚は、例えば10〜500nmである。
次に、図10に示すように、ゲート絶縁層44および絶縁層46上に有機半導体層48を形成する。具体的には、絶縁層46よりも厚い有機半導体層を形成した後、絶縁層46より上に形成された有機半導体層を除去することにより、絶縁層46の上面と同じ高さの上面を有する有機半導体層48が形成される。すなわち、有機半導体層の上部を絶縁層46表面が露出するまで除去することにより、ゲート電極42の上方の開口部内に有機半導体層48を残すようにする。
有機半導体層の部分的な除去の手法としては、ポリッシング法(化学的方法、機械的方法、CMP法)の他アッシング法を用いることができる。
さらに、図7に示すように、有機半導体層48および絶縁層46上にソース電極49およびドレイン電極50を形成する。これらの電極49,50は、例えば、蒸着法を用いて導電層を成膜した後、この導電層をリソグラフィおよびエッチングによりパターニングして形成できる。
以上のプロセスにおいて、液相プロセスを用いて形成することができる有機半導体層48は、電極49,50を形成する前に、超臨界流体による処理を行うことにより、該有機半導体層48中の溶媒を除去することができる。超臨界流体による処理については、有機EL装置の製造方法(2.の工程(5)、(7))で述べたと同様であるので、その詳細な説明を省略する。また、以上のプロセスにおいて、液相プロセスで成膜できる絶縁層46についても同様の超臨界流体処理を適用できる。
以上のようにして、図7に示すような有機半導体層48が分離された構造を有する有機TFTを形成することができる。このような有機半導体装置の製造方法では、キャリアの移動度が高いにもかかわらずパターニングが困難であった高分子材料を用いて微細構造のパターンを形成することが可能になった。その結果、有機半導体装置のサイズ(特にチャネル幅)を小さくすることができるため、集積密度を向上させることができる。
さらに、本実施形態にかかる製造方法によれば、機能性有機物層、例えば、有機半導体層を液相プロセスによって形成しているので、気相プロセスを用いた場合に比べて容易に形成することができる。そして、有機半導体層は、超臨界流体処理によって該有機半導体層に含まれる溶媒が確実に除去されるため、機能性、特に密着性のよい膜を形成できる。
5.電子機器
次に、本発明の電子機器の例を説明する。本発明の電子機器は、前述した有機EL装置1を表示部として有したものであり、具体的には、例えば図5に示すような携帯電話が挙げられる。
図5において符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は本発明の有機EL装置1を用いた表示部を示している。図5に示した携帯電話は、本発明の有機EL装置からなる表示部1001を備えているので、表示特性に優れたものとなる。
なお、本実施形態の電子機器としては、このような携帯電話以外にも、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置や、腕時計型電子機器、フラットパネルディスプレイ(例えばテレビ)などにも適用可能である。
本発明の有機EL装置の構成を模式的に示す平面図。 図1のA−A線での要部拡大断面図。 (a)〜(c)は、有機EL装置の製造方法を工程順に説明する断面図。 (a)および(b)は、図3(c)に続く工程を説明するための断面図。 本発明の電子機器を示す斜視図。 本発明の有機EL装置を形成する工程を示す断面図。 本発明の有機半導体装置の構成を模式的に示す断面図。 本発明の有機半導体装置の製造方法を示す断面図。 本発明の有機半導体装置の製造方法を示す断面図。 本発明の有機半導体装置の製造方法を示す断面図。
符号の説明
1 有機EL装置、11 回路部、20 基板、23 画素電極(陽極)、50 陰極、60 有機発光層、70 正孔注入層、100 基体、200 容器、400,500 積層体、2 有機半導体装置、42 基板、44 ゲート絶縁層、46 絶縁層、48 有機半導体層、49,50 電極

Claims (13)

  1. 基体の上方に機能性有機物層を、液相プロセスによって成膜して、積層体を形成する工程と、
    前記機能性有機物層と超臨界流体とを接触させる工程と、
    を含む、積層体の製造方法。
  2. 請求項1において、
    前記超臨界流体は、二酸化炭素である、積層体の製造方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記機能性有機物層は、有機EL装置を構成する有機発光層、正孔注入層および電子注入層の少なくとも1層である、積層体の製造方法。
  4. 請求項3において、
    前記機能性有機物層は、正孔注入層である、積層体の製造方法。
  5. 請求項4において、
    前記正孔注入層は、トリフェニルアミン系高分子からなる、積層体の製造方法。
  6. 請求項1または2において、
    前記機能性有機物層は、有機半導体層である、積層体の製造方法。
  7. 請求項1ないし6のいずれかにおいて、
    前記機能性有機物層と前記超臨界流体とを接触させる工程は、密閉可能な容器に、該機能性有機物層が形成された前記積層体と該超臨界流体と入れることにより行われる、積層体の製造方法。
  8. 請求項1ないし7のいずれかにおいて、
    前記機能性有機物層は、有機材料を含む溶液あるいは分散液を用いた液相プロセスで形成される、積層体の製造方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれかにおいて、
    前記液相プロセスは、スピンコート法、ディップ法、または液滴吐出法である、積層体の製造方法。
  10. 請求項1ないし5,7ないし9のいずれかに記載の積層体の製造方法によって得られた、有機EL装置。
  11. 請求項1,2,6ないし9のいずれかに記載の積層体の製造方法によって得られた、有機半導体装置。
  12. 請求項10に記載の有機EL装置を含む、電子機器。
  13. 請求項11に記載の有機半導体装置を含む、電子機器。
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JP2012243856A (ja) * 2011-05-17 2012-12-10 Murata Mfg Co Ltd 固体電解コンデンサの製造方法

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