JP2005283111A - 冷凍装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 冷媒や冷凍機油と相溶性を有し、冷凍回路の材料や冷凍機油と反応を起こさない付臭剤を添加した冷媒を提供すること、さらに前記冷媒が冷凍回路を循環する冷凍装置を提供すること。
【解決手段】 炭素数1ないし4の炭化水素または前記炭化水素の水素原子の一部がフッ素原子で置換された可燃性フッ素化炭化水素を主成分とし、付臭剤としてテトラヒドロチオフェンを含む冷媒を提供すること、また、圧縮機、放熱器、膨張機構および蒸発器を含む冷凍回路に、前記冷媒を循環させることを特徴とする冷凍装置。
【選択図】 図1
【解決手段】 炭素数1ないし4の炭化水素または前記炭化水素の水素原子の一部がフッ素原子で置換された可燃性フッ素化炭化水素を主成分とし、付臭剤としてテトラヒドロチオフェンを含む冷媒を提供すること、また、圧縮機、放熱器、膨張機構および蒸発器を含む冷凍回路に、前記冷媒を循環させることを特徴とする冷凍装置。
【選択図】 図1
Description
この発明は、可燃性冷媒を用いる冷凍装置に関する。
冷蔵庫、自動販売機及びショーケース用の冷凍機は従来冷媒としてジクロロジフルオロメタン(CFC−12)などのクロロフルオロカーボン系冷媒やクロロジフルオロメタン(HCFC−22)などのハイドロクロロフルオロカーボン系冷媒が多用されていた。これらの冷媒は、大気中に放出されて地球上空のオゾン層に到達すると、オゾン層を破壊する問題があることから、これまで冷凍機に使用されてきた冷媒であるクロロフルオロカーボン系フロンやハイドロクロロフルオロカーボン系フロンが使用禁止または規制されつつある。
そのため、上記冷媒の代替フロンとして、CH2FCF3(HFC−134a)等のハイドロフルオロカーボン系のものが使用されるようになってきた。しかし、HFC冷媒であっても、地球環境問題のもう一つの課題である地球温暖化に対する影響が、従来のHCFC冷媒のHCFC−22(CHClF2)と同程度に近いという問題点がある。
これらの問題点を回避するため、最近では、冷凍装置の冷媒にハイドロカーボン系冷媒(HC)、たとえばプロパンやイソブタン等を用いることが実用化されている。しかし、HC冷媒は可燃性であるため、冷凍回路から漏出したとき、発火あるいは爆発の危険がある。特に家庭用冷蔵庫の場合往々にして近くに種々の熱源があるので、可燃性冷媒の漏出は重大事故につながる危険性がある。
この問題に鑑み、可燃性ガス冷媒を用いる冷凍装置において、冷媒に付臭剤を加え、冷媒ガスの漏出を検知することが提案されている。たとえば、特許文献1には、HC冷媒に硫黄含有有機物質からなる付臭剤としてメチルメルカプタンを添加することが示されているが、メチルメルカプタンは冷凍回路に用いる材料である銅との反応性が大きく銅表面を変成(腐食)させその寿命を短くする。また、メチルメルカプタンは冷凍機油との反応性も大きく冷媒または冷凍機油に不溶の反応生成物が生じ、長期間運転すると前記不溶性反応生成物が冷凍回路のキャピラリーチューブなどを詰まらせる危険がある。
また、特許文献2には、可燃性HFC冷媒に、メルカプタン(メチルメルカプタン、エチルメルカプタン)の他に、ジメチルサルファイドを付臭剤として添加することが開示されている。しかし、ジメチルサルファイドは、特にきわだった異臭を有しているとはいえず(玉ねぎ様の臭い)、これ単独では可燃性冷媒の付臭剤としては十分ではないため、他の付臭剤たとえばメルカプタン類と併用するのが普通である。
このように、付臭剤を添加した可燃性冷媒であって、冷凍回路の材料である銅や冷凍機油と反応しない付臭剤を含有する冷媒は未だ得られていない。
付臭剤は一般に、非日常的な異臭を放つこと、化学的に安定であること、人間に対し無毒・無害であること等の特性が要求されるが、また、付臭剤が添加される対象により、さまざまな特性が要求される。したがって、付臭剤として知られているものであっても、直ちに他の用途に転用することは一般に困難である。
たとえば都市ガスのごとき燃焼ガスに付臭剤としてテトラヒドロチオフェン(THT)を添加することは既に実用化されている(「香料」 No.146 1985年6月)。燃焼ガスに加えられる付臭剤には、付臭剤に要求される前記のごとき特性に加え、安全に燃えて燃焼後は無臭、無害であること、臭いがガスに保持されガス管や、メーター類に吸着されないこと等の燃焼ガスに対するものとして特有の特性が要求される。そして、燃焼ガスに前記のTHTを添加することと、冷凍回路に用いる冷媒に添加することは別の次元の問題であり、冷媒にTHTを用いることは全く着目されていなかった。
特開平8−14675号公報
特開平8−245952号公報
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、冷媒や冷凍機油と相溶性を有し、冷凍回路の材料や冷凍機油と反応を起こさない付臭剤を添加した冷媒を提供すること、さらに前記冷媒が冷凍回路を循環する冷凍装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の冷凍装置を提供することにより解決される。
圧縮機、放熱器、膨張機構および蒸発器を含む冷凍回路に、炭素数1ないし4の炭化水素の水素原子の一部がフッ素原子で置換され、純度が99.0容量%以上の可燃性フッ素化炭化水素と、40℃における粘度が5〜300cSt、体積固有抵抗が1010Ω・cm以上の冷凍機油と、10重量ppmないし0.5重量%のテトラヒドロチオフェンと、冷凍機油に対し0.1〜2重量%の極圧添加剤を備えたことを特徴とする。
上記のように、本発明の冷媒は、付臭剤としてテトラヒドロチオフェンを含有させたため、その臭いによって冷凍装置から冷媒がリークしていることを容易に検知することができ、かつ、冷媒および冷凍機油との相溶性が良好である。特に冷凍回路の材料である銅と反応して表面を腐食させることがなく、また冷凍機油との反応性もないため、長期間運転後でも不溶性の反応生成物が生じず冷凍回路を詰まらせる危険はない。
本発明の冷媒は、炭素数1ないし4の炭化水素または炭化水素の水素原子の一部がフッ素原子で置換された可燃性フッ素化炭化水素を主成分とする。これらはいわゆる可燃性冷媒である。炭素数1ないし4の炭化水素にはプロパン、イソブタン等が挙げられ、また、可燃性フッ素化炭化水素としては、特に炭素数が1ないし3の炭化水素の一部がフッ素原子で置換されたものである、ジフルオロメタン、ジフルオロエタン(1,1-または1,2-ジフルオロエタン)、トリフルオロエタン(1,1,1-または1,1,2-トリフルオロエタン)、テトラフルオロエタン(1,1,1,2-または1,1,2,2-テトラフルオロエタン)、ペンタフルオロエタン、ペンタフルオロプロパン(1,1,2,2,3-または1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン等)、ヘキサフルオロプロパン(1,1,2,2,3,3-または1,1,1,2,3,3-ヘキサフルオロプロパン等)、ヘプタフルオロプロパン(1,1,1,2,2,3,3-または1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン等)等が挙げられる。
前記炭化水素は純度が99.0容量%以上であり、不飽和炭化水素分が0.01重量%以下であり、かつ硫黄含有量が0.1重量ppm以下であることが好ましい。炭化水素または可燃性フッ素化炭化水素の純度が99.0容量%より低いと不純物の影響が出る場合がある。また、不飽和炭化水素分が0.01重量%を超えると不飽和炭化水素分が冷凍回路内の冷凍機油や材料と反応して劣化の原因となりやすい。さらに、全硫黄分が0.1重量ppmを超えると、配管である銅との反応が許容量を超えるため好ましくない。
次に、本発明で用いる付臭剤について説明する。冷媒のための付臭剤は、非日常的な異臭を放つこと、安定であること、人間に対し無毒・無害であることなどの一般的に付臭剤として必要な特性に加え、さらに、冷凍回路の材料、特に銅と反応を起こさないこと、冷媒と相溶性を有すること、冷媒と混じり合って冷凍回路を循環する冷凍機油とも相溶性を有しかつ冷凍機油と反応しないことが必要である。また、これらの特性の他に、適度な沸点と凝固点を有する必要がある。沸点が余りに高いと蒸発しないため付臭剤としての機能を果たさず、一方、凝固点が高すぎると冷媒の中で凝固し、冷凍回路を詰まらせる原因となる。
本発明の冷媒に用いる付臭剤はテトラヒドロチオフェン(以下において、「THT」ということがある。)であることを特徴とする。THTは特有な異臭を有し(石炭ガス臭)、沸点が122℃、凝固点が−96℃の常温で液体の物質である。したがって、冷媒がリークした場合に付臭剤として十分機能を発揮し、また冷媒とともに使用した場合でも凝固しないので、冷凍回路を詰まらせるなどの問題は生じない。またTHTは、前記炭化水素あるいは可燃性フッ素化炭化水素と相溶性がよく、また後述の冷凍機油とも相溶性が良好である。さらに重要な点として、THTは、冷凍回路の材料、特に銅あるいは銅合金と反応せず、したがって、冷凍回路の銅配管や熱交換部等を腐食させることがない。また、THTは冷凍機油とも反応することがないので、長期間運転した場合でも不溶性反応生成物により冷凍回路が詰まるなどの危険は生じない。
冷媒における付臭剤の含有量は、10重量ppmないし0.5重量%の範囲にあることが適切である。10重量ppmより低いと、冷媒がリークした場合に検知しにくく、また0.5重量%を超えると、必要以上に臭気が強くなり、冷凍回路への冷媒を充填する際や冷媒の回収時など、取り扱い上の困難が生ずるので、前記範囲が適切である。
本発明は、また、圧縮機、放熱器、膨張機構および蒸発器を含む冷凍回路に前記冷媒を循環させる冷凍装置にも関する。
図1は、本発明の冷凍装置における冷凍回路の一例を説明する概念図である。図1中、100は圧縮機、120は放熱器、140は膨張機構(キャピラリーチューブ)、160は冷却器、180は四方弁、200は乾燥装置をそれぞれ示す。また矢印は冷媒が流れる方向を示し、実線は通常の冷却を行う場合を、破線は除霜を行う場合を示す。乾燥装置200は、図1では膨張機構140と放熱器120の間に設けている例を示しているが、この位置だけでなく、低圧の位置に設けてもよい。
例えば、庫内を冷却する場合、圧縮機100で圧縮された高温高圧の冷媒ガスは、四方弁180を通り放熱器120で冷却され、低温高圧の冷媒液となる。この冷媒液は膨張機構140(例えば、キャピラリーチューブ、温度式膨張弁など)で減圧され、僅かにガスを含む低温低圧液となって冷却器160に至り、室内の空気から熱を得て蒸発し、再び四方弁180を通って圧縮機100に至り庫内を冷却する。冷却器を除霜する場合は、四方弁180によって冷媒の流れは逆方向に変えられ、冷媒の凝縮器を利用して冷却器の霜を溶かす。なお、放熱器を室外側熱交換器、また冷却器を室内側熱交換器とすると、冷暖型の空気調和機にも適用できるものである。
圧縮機に用いる冷凍機油は、圧縮機のなかに封入される潤滑油であり、冷凍回路を冷媒および少量の冷凍機油の混合物がその系全体にわたって循環することになるので、冷媒に添加される付臭剤も冷凍機油と接触する。したがって、前記のように、付臭剤は冷凍機油と相溶性を有しかつ冷凍機油とは反応しないことを要する。
また、冷凍機油の低温特性および冷媒に対する混和性は、この冷却系の性能に対して重要な要素となる。冷媒および冷凍機油の混合物は、冷凍装置における作動温度において安定(たとえば耐加水分解性)でなければならず、しかも圧縮機をはじめとする冷凍回路において使用する材料に対して、有害な作用(たとえば腐食性、絶縁性低下)を及ぼしてはならない。
また、冷凍機油の一部は、圧縮された冷媒ガスに混入し、冷媒と共に冷凍機の冷凍回路内を循環して、毛細管あるいは膨張弁などの膨張機構を経て蒸発器に流入する。冷凍回路における低温部分では圧縮機から移動した冷凍機油は流動性を失いやすく、そのままそこに留まりやすい。冷凍機油が蒸発器から圧縮機に戻らないと、圧縮機において油面低下が起こり、かじりや焼きつきが発生する。
したがって、冷凍機油の40℃における粘度は5〜300cStであることが好ましい。粘度が300cSt以上であると流動性が十分でなく特に低温下では流動性を失い易い。また、5cStより小さいと、潤滑面における油膜強度不足や圧縮機構におけるシール効果不足となりやすい。
さらに、本発明の冷凍装置における冷凍機油の体積固有抵抗は1010Ω・cm以上であることが好ましい。
本発明の冷凍装置に用いられる冷凍機油としては、一般的な鉱油系油、エーテル系合成油、エステル系合成油、フッ素系合成油などが使用される。鉱油系油としては、パラフィン油、ナフテン油などが用いられる。また、エーテル系合成油としてはポリビニルエーテル、ポリアルキレングリコールが用いられる。エステル系合成油としては、たとえばポリオールエステル油、カーボネートエステル等が用いられる。
前記エステル系合成油としては、多価アルコールと多価カルボン酸からのポリエステルが好ましく用いられ、中でもペンタエリスリトール(PET)、トリメチロールプロパン(TMP)、ネオペンチルグリコール(NPG)から選ばれる多価アルコールと脂肪酸とから合成されるポリオールエステル系油が好ましく使用される。
冷媒が炭化水素を用いる場合前記の冷凍機油としては鉱物油が、また冷媒が可燃性フッ素化炭化水素の場合にはポリビニルエーテル等のエーテル系合成油が好ましく使用される。また、前記冷凍機油としては1種あるいは2種以上の冷凍機油を混合してもよい。
前記冷凍機油には、消泡剤、酸化防止剤、水分および/または酸捕捉剤、極圧添加剤若しくは耐摩耗性向上剤、金属不活性化剤、特に銅不活性化剤等の、添加剤を添加することにより、冷凍機油の変性(分解、酸化劣化、スラッジ生成等)や冷凍回路の材料の変性(腐食)を防止することが好ましい。この他に耐熱性向上剤、腐食防止剤、防錆剤等を適宜添加してもよい。
冷凍機油に対する添加剤は、冷凍機油自身に特定の効果を発現させるのみならず、結果的にコンプレッサの摺動部、絶縁材や配管金属に対しても効果を発揮するものである。これらの添加剤は1種または2種以上を配合することも可能である。また、前記のように冷凍回路の中を冷媒と少量の冷凍機油の混合物が循環するため、前記添加剤を添加した冷凍機油が冷凍回路で使用する材料に有害な作用を及ぼさないようにすることも必要である。
消泡剤としては、ジメチルポリシロキサン油、トリフルオロプロピルメチルシリコーン油、フェニルメチルシリコーン油等が好ましく使用される。
消泡剤の添加量は冷凍機油に対し1〜50重量ppmが好ましい。1重量ppmより少ないと消泡剤としての効果が十分でなく、また50重量ppmを超えて添加しても消泡剤としての効果が増加しないので、前記範囲が好ましい。
消泡剤を添加することにより、冷媒封入前に冷媒圧縮機と回路内の空気を脱気する際、冷凍機油から発生する泡量を低減し、脱気装置への泡混入を防止することができる他、冷凍機油に溶存している気体を脱気する際の泡立ちを防止するなどが可能である。
また、前記酸化防止剤としてはジターシャリーブチルパラクレゾール(DBPC)、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4′−メレチンビス(2,6−ジ−ブチルフェノール)、2,2′−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等のヒンダードフェノール系酸化防止剤、p,p′−ジオクチルジフェニルアミン、3,7−ジオクチルフェノチアジン、フェニルーα−ナフチルアミン、ジ(アルキルフェニル)アミン(アルキル基は炭素数4〜20)、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルジフェニルアミン(アルキル基は炭素数4〜20)、N−ニトロソジフェニルアミン、フェノチアジン、N、N’−ジナフチル−p−フェニレンジアミン、アクリジン、N−メチルフェノチアジン、N−エチルフェノチアジン、ジビルジルアミン、ジフェニルアミン、フェノールアミン、2,6−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノパラクレゾール等のアミン系酸化防止剤、アルキルジサルファイド等の硫黄系などが使用できる。
中でも特にDBPCが好ましく使用される。酸化防止剤の添加量は冷凍機油に対し0.1〜0.5重量%が好ましい。0.1重量%より少ないと酸化防止剤としての効果が十分でなく、また0.5重量%を超えて添加しても酸化防止剤としての効果がそれ以上得られないので前記範囲が好ましい。
中でも特にDBPCが好ましく使用される。酸化防止剤の添加量は冷凍機油に対し0.1〜0.5重量%が好ましい。0.1重量%より少ないと酸化防止剤としての効果が十分でなく、また0.5重量%を超えて添加しても酸化防止剤としての効果がそれ以上得られないので前記範囲が好ましい。
冷凍回路における残留酸素は冷凍回路内容積に対し0.1容量%以下であることが好ましい。
冷凍機油には水分および/または酸捕捉剤を添加することが好ましい。水および酸性物質は圧縮機の中で使用される金属を腐食させる原因となる他、冷凍機油としてエステル系油を用いた場合加水分解を起こし、脂肪酸成分を遊離させ、これがまた腐食や金属石鹸の生成による閉塞現象などを起こすこと、さらに、エステル系絶縁材の加水分解を引き起こすことなどが危惧される。
水分および/または酸捕捉剤としては、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物等が用いられる。また、エポキシ化合物はラジカルを捕捉することもできる。前記エポキシ系化合物としては、グリシジルエステル、グリシジルエーテル等が例示される。たとえばフェニルグリシジルエーテル型エポキシ化合物およびエポキシ化脂肪酸モノエステル等を使用することができる。例えば、フェニルグリシジルエーテル、アルキルフェニルグリシジルエーテルを用いることができ、アルキルフェニルグリシジルエーテルとしては、炭素数1〜13のアルキル基を1〜3個有するものであり、エポキシ化脂肪酸モノエステルとしては、例えば、エポキシ化された炭素数12〜20の脂肪酸と炭素数1〜8のアルコールまたはフェノール、アルキルフェノールとのエステルを挙げることができる。特に、エポキシステアリン酸のブチル、ヘキシル、ベンジル、シクロヘキシル、メトキシエチル、オクチルおよびフェニル等が好ましい。
水分および/または酸捕捉剤の添加量は冷凍機油に対し0.1〜0.5重量%が好ましい。0.1重量%より少ないと捕捉剤としての効果が十分でなく、また0.5重量%を超えると重合物を生成しやすくなるので前記範囲が好ましい。
残留水分は、冷媒と冷凍機油の合計に対し500重量ppm以下とすることが好ましく、200重量ppm以下とすることがさらに好ましい。上記のように水分捕捉剤を用いることにより下記式で示す冷凍回路内の平衡水分を運転初期状態において200重量ppm以下とすることができる。前記水分量が500重量ppmを超えるとキャピラリ−チュ−ブ内での氷結となりやすく、また、前記冷凍機油としてポリエステル系油を用いた場合に生ずる加水分解、またそれに伴う金属セッケンスラッジの生成等を抑制することができる。
式1
[(冷凍回路内の残留水分量)/(充填オイル量+充填冷媒量)]×106重量PPM
前記極圧添加剤としては、例えば、熱的に安定なトリフェニルホスフェート(TPP)やトリクレジルホスフェート(TCP)等の第三級ホスフェート系のリン化合物が用いられる。中でも特にTCPが好ましく使用される。
[(冷凍回路内の残留水分量)/(充填オイル量+充填冷媒量)]×106重量PPM
前記極圧添加剤としては、例えば、熱的に安定なトリフェニルホスフェート(TPP)やトリクレジルホスフェート(TCP)等の第三級ホスフェート系のリン化合物が用いられる。中でも特にTCPが好ましく使用される。
極圧添加剤の添加量は冷凍機油に対し0.1〜2重量%が好ましい。0.1重量%より少ないと極圧剤としての効果が十分でない。く、また2重量%を超えて添加しても効果が増加しないので前記範囲が好ましい。
前記金属不活性化剤、特に銅不活性化剤としては、例えばベンゾトリアゾール(BTA)、トリアゾール、トリアゾール誘導体、チアジアゾール、チアジアゾール誘導体、ジチオカルパメート、アリザニン、キニザリン等が用いられるが、中でもBTAが好ましく使用される。
金属不活性化剤の添加量は冷凍機油に対し1〜100重量ppmが好ましい。1重量ppmより少ないと金属不活性化剤としての効果が十分でなく、また100重量ppmを超えて添加してもそれ以上の効果が得られないので前記範囲が好ましい。
乾燥剤としては合成ゼオライト等が好ましく使用され、中でもナトリウムA型合成ゼオライト、カリウムA型合成ゼオライトが好ましい。また、ゼオライトの粒径(有効径)は、冷媒回路中の水分を有効に捕捉するために、有効径が3〜6Åの範囲内にあることが好ましい。
冷凍装置で使用する乾燥装置としては、容器内に乾燥剤を収容しこれを冷媒回路に配管で接続すればよい。
以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1
図1に示す冷凍回路を用い、以下のような材料を用いて冷凍装置を組み立てた。
冷媒:イソブタン(純度99.7容量%、不飽和炭化水素0.001重量%、
硫黄含有量0.05重量ppm)
付臭剤:テトラヒドロチオフェン(冷媒に対する添加量は0.1重量%)
冷凍機油:パラフィン系鉱油
粘度(40℃)15cSt、 体積固有抵抗1015Ω・cm、
冷凍機油添加剤(添加量は冷凍機油に対する重量割合)
消泡剤:シリコーン系消泡剤(10ppm)
酸化防止剤:DBPC(0.3%)
水分および/または酸捕捉剤:エポキシ化合物(0.25%)
極圧添加剤:TCP(1%)
銅不活性化剤:BTA(5ppm)
乾燥剤:合成ゼオライト(有効径3Å)
上記冷媒は、特異な臭い(石炭ガス臭)を有し、少量の冷媒がリークした場合でも容易に検知することができた。また前記冷凍機を2000時間運転の後、冷凍回路の銅配管内面やキャピラリーチューブの内面の表面状態を点検したところ、表面の腐食は観察されなかった。
実施例1
図1に示す冷凍回路を用い、以下のような材料を用いて冷凍装置を組み立てた。
冷媒:イソブタン(純度99.7容量%、不飽和炭化水素0.001重量%、
硫黄含有量0.05重量ppm)
付臭剤:テトラヒドロチオフェン(冷媒に対する添加量は0.1重量%)
冷凍機油:パラフィン系鉱油
粘度(40℃)15cSt、 体積固有抵抗1015Ω・cm、
冷凍機油添加剤(添加量は冷凍機油に対する重量割合)
消泡剤:シリコーン系消泡剤(10ppm)
酸化防止剤:DBPC(0.3%)
水分および/または酸捕捉剤:エポキシ化合物(0.25%)
極圧添加剤:TCP(1%)
銅不活性化剤:BTA(5ppm)
乾燥剤:合成ゼオライト(有効径3Å)
上記冷媒は、特異な臭い(石炭ガス臭)を有し、少量の冷媒がリークした場合でも容易に検知することができた。また前記冷凍機を2000時間運転の後、冷凍回路の銅配管内面やキャピラリーチューブの内面の表面状態を点検したところ、表面の腐食は観察されなかった。
100 圧縮機
120 放熱器
140 膨張機構(キャピラリーチューブ)
160 冷却器
200 乾燥装置
120 放熱器
140 膨張機構(キャピラリーチューブ)
160 冷却器
200 乾燥装置
Claims (1)
- 圧縮機、放熱器、膨張機構および蒸発器を含む冷凍回路に、炭素数1ないし4の炭化水素の水素原子の一部がフッ素原子で置換され、純度が99.0容量%以上の可燃性フッ素化炭化水素と、40℃における粘度が5〜300cSt、体積固有抵抗が1010Ω・cm以上の冷凍機油と、10重量ppmないし0.5重量%のテトラヒドロチオフェンと、冷凍機油に対し0.1〜2重量%の極圧添加剤を備えたことを特徴とする冷凍装置。
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