JP2005281382A - ブロック共重合体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ポリプロピレン、ポリエチレンなどの非極性の重合体からなる成形体と、塗料や極性を有する重合体からなる成形体との密着性を著しく向上できる、新規なブロック共重合体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 少なくともひとつの、重量平均分子量が1,000〜500,000の芳香族ビニル重合体ブロックと、少なくともひとつの共役ジエン重合体環化物ブロックと、からなるブロック共重合体。前記のブロック共重合体を有効成分とするポリマー成形材料用改質剤。
【選択図】 無し

Description

本発明は、ブロック共重合体およびその製造方法に関し、さらに詳しくは、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの非極性の重合体からなる成形体と、塗料や極性を有する重合体からなる成形体との密着性を著しく向上できる、新規なブロック共重合体およびその製造方法に関する。
ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンからなる成形体は、美粧性および耐久性などを向上させるために、その表面を塗料で塗装して使用されることが多い。しかしながら、ポリオレフィンは極性が低く、そのままでは塗料との密着性に劣るため、塗膜が剥離しやすいという問題がある。
ポリイソプレンなどの共役ジエン重合体の環化物を含有する塗料がポリオレフィンによく密着することは知られており(特許文献1)、さらに密着性を改良するために、シス−1,4結合量70%以上の低分子量の共役ジエン重合体に無水マレイン酸を付加させた後、環化反応を行って得られる変性共役ジエン重合体環化物を用いることが提案されている(特許文献2)。
しかしながら、上記のような共役ジエン重合体環化物を使用することで、ポリオレフィン成形体への密着性をある程度改良した塗料が得られるものの、その改良度合いは不十分であった。
一方、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンからなるフィルムは、比較的安価であるので、種々の用途で汎用されているが、特に食品包装フィルムの分野においては、耐油脂性やガス透過性を改善する目的で、ポリアミドやエチレン−ビニルアルコール共重合体などの極性を有する重合体を積層した多層フィルムとして使用される場合が多い。しかしながら、非極性の重合体と極性を有する重合体とは接着し難いので、通常、中間層に該重合体同士の接着性を向上させる接着剤層を設けることが行われている。
例えば、特許文献3には、塩素含量が35重量%以下の塩素化ポリプロピレン、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体および/またはスチレン−エチレン・ブチレン−スチレンブロック共重合体、並びにテルペン系樹脂および/または脂環族炭化水素樹脂からなる接着剤組成物を用いることが提案されている。
また、特許文献4には、メタロセン重合触媒を用いて得られたポリエチレンの酸付加物と、エチレン−酢酸ビニル共重合体および/またはエチレン−アルキルアクリレートと、からなる接着剤組成物が提案されている。
しかしながら、上述したような接着剤組成物を用いても、非極性の重合体と極性を有する重合体との接着強度が不十分であったり、それぞれの重合体の組み合わせによっては、十分な接着強度を呈さなかったりする場合があった。
特開昭51−12827号公報 特開昭57−145103号公報 特公平6−94207号公報 特表2002−501108号公報 特開2003−192725号公報 特開2003−231211号公報
本発明の目的は、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの非極性の重合体からなる成形体と、塗料や極性を有する重合体からなる成形体との密着性を著しく向上できる、新規なブロック共重合体およびその製造方法を提供することにある。
本発明者は、既に、環化率が30〜95%の共役ジエン重合体環化物に、エチレン性不飽和ジカルボン酸無水物を付加反応させて得られた変性環化重合体からなり、該ジカルボン酸無水物の付加量が0.1〜10重量%であり、かつ付加された酸無水物基の割合が60重量%以上である変性環化重合体であることを特徴とするバインダー樹脂を提案している(特許文献5)。
また、本発明者は、既に、環化率が30〜95%の共役ジエン重合体環化物にエチレン性不飽和カルボン酸を付加反応させて得られた変性環化重合体からなり、該カルボン酸の付加量が0.1〜20重量%である変性環化重合体を主成分とする接着剤層を介して、非極性の重合体からなる成形体と極性を有する重合体からなる成形体とが接着されてなる複合成形体を提案している(特許文献6)。
本発明者は、非極性の重合体からなる成形体と、塗料や極性を有する重合体からなる成形体との密着性をさらに改善すべく、鋭意検討を重ねた。その結果、本発明者は、少なくともひとつの、特定範囲の重量平均分子量を有する芳香族ビニル重合体ブロックと、少なくともひとつの共役ジエン重合体環化物ブロックと、からなるブロック共重合体が新規のものであり、このブロック共重合体を用いることにより、本発明の目的を達成できることを見出し、この知見に基づき、本発明を完成した。
かくして、本発明によれば、以下の発明(1)〜(15)が提供される。
(1) 少なくともひとつの、重量平均分子量が1,000〜500,000の芳香族ビニル重合体ブロックと、少なくともひとつの共役ジエン重合体環化物ブロックと、からなるブロック共重合体。
(2) ただひとつの芳香族ビニル重合体ブロックとただひとつの共役ジエン重合体環化物ブロックとからなる前記のブロック共重合体。
(3) 共役ジエン重合体環化物ブロックの環化率が10%以上である前記のブロック共重合体。
(4) 重量平均分子量が10,000〜1,000,000である前記のブロック共重合体。
(5) 芳香族ビニル単量体単位含量が1〜90重量%である前記のブロック共重合体。
(6) 極性基を有する前記のブロック共重合体。
(7) 極性基の含有量が0.1〜200ミリモル/100gである前記のブロック共重合体。
(8) 芳香族ビニル単量体および共役ジエン単量体を、有機活性金属触媒を用いて重合して、少なくともひとつの、重量平均分子量が1,000〜500,000の芳香族ビニル重合体ブロックと、少なくともひとつの共役ジエン重合体ブロックとからなる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を形成する工程と、
前記ブロック重合体を、環化触媒を用いて、該ブロック重合体中の共役ジエン重合体ブロックを環化させて、共役ジエン重合体環化物ブロックを形成する工程と、
からなるブロック共重合体の製造方法。
(9) 共役ジエン重合体環化物ブロックを形成する工程の後に、該共役ジエン重合体環化物ブロックに、極性基含有化合物を付加反応させて、該化合物に由来する極性基を導入する工程を設ける前記の製造方法。
(10) 共役ジエン重合体環化物ブロックを形成する工程の前に、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の共役ジエン重合体ブロックに、極性基含有化合物を付加反応させて、該化合物に由来する極性基を導入する工程を設ける前記の製造方法。
(11) 前記のブロック共重合体を有効成分とするポリマー成形材料用改質剤。
(12) ポリマー成形材料に前記のポリマー成形材料用改質剤を配合してなるポリマー組成物。
(13) 前記のブロック共重合体を含有してなるコーティング剤。
(14) 前記のブロック共重合体を含有する粉末粒子。
(15) さらに着色剤を含有する前記の粉末粒子。
本発明によれば、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの非極性の重合体からなる成形体と、塗料や極性を有する重合体からなる成形体との密着性を著しく向上できる、新規なブロック共重合体およびその製造方法が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
(ブロック共重合体)
本発明のブロック共重合体は、少なくともひとつの、重量平均分子量が1,000〜500,000の芳香族ビニル重合体ブロックと、少なくともひとつの共役ジエン重合体環化物ブロックと、からなる。
芳香族ビニル重合体ブロックは、芳香族ビニル単量体を重合して得られる重合体のブロックセグメントである。
芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−イソプロピルスチレン、p−フェニルスチレン、p−メトキシスチレン、p−メトキシメチルスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、クロロメチルスチレン、2−フルオロスチレン、3−フルオロスチレン、ペンタフルオロスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどが挙げられる。なかでも、スチレンおよびα−メチルスチレンが好ましく、スチレンがより好ましく使用できる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
芳香族ビニル重合体ブロックは、芳香族ビニル単量体単位のみからなるものが特に好ましいが、本発明の効果を本質的に阻害しない範囲であれば、芳香族ビニル単量体単位以外の他の単量体単位を含んでいてもよい。このような他の単量体単位としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン単量体に由来する単量体単位が挙げられる。芳香族ビニル重合体ブロック中の芳香族ビニル単量体単位以外の他の単量体単位の含有量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。
芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子量は、1,000〜500,000、好ましくは3,000〜300,000、より好ましくは5,000〜100,000、特に好ましくは8,000〜50,000である。この重量平均分子量が低いと、非極性の重合体からなる成形体と塗料や極性を有する重合体からなる成形体との密着性に劣り、逆に高いと、ブロック共重合体の製造時やその使用時に取り扱い難くなったり、非極性の重合体からなる成形体と塗料や極性を有する重合体からなる成形体との密着性に劣ったりする。
なお、本発明においては、重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーを用いて測定される、標準ポリスチレン換算の値である。
共役ジエン重合体環化物ブロックは、そのブロックセグメント中に、少なくとも2つの共役ジエン単量体単位に由来する、少なくとも1つの6員環構造を含有するものである。
共役ジエン重合体環化物ブロックは、通常、環化触媒を用いて、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の共役ジエン重合体ブロック部分を環化させることにより、形成される。
共役ジエン重合体ブロックを形成するのに用いる共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエンなどが挙げられる。なかでも、本発明の効果が発現し易い点で、1,3−ブタジエンおよびイソプレンが好ましく、イソプレンがより好ましく使用できる。これらの単量体は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
共役ジエン重合体ブロックは、共役ジエン単量体単位のみからなるものが特に好ましいが、本発明の効果を本質的に阻害しない範囲であれば、共役ジエン単量体単位以外の他の単量体単位を含んでいてもよい。このような他の単量体単位としては、例えば、α−メチルスチレン、スチレンなどの芳香族ビニル単量体に由来する単量体単位が挙げられる。共役ジエン重合体ブロック中の共役ジエン単量体単位以外の他の単量体単位の含有量は、好ましくは10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。この含有量が多すぎると、ブロック共重合体の環化率を好ましい範囲に調節するのが困難になる傾向がある。
共役ジエン重合体環化物ブロックの環化率は、特に限定されないが、通常、10%以上、好ましくは40〜95%、より好ましくは60〜90%、特に好ましくは70〜85%である。環化率が低すぎると、非極性の重合体からなる成形体と塗料や極性を有する重合体からなる成形体との密着性に劣る傾向があり、逆に、環化率が高い共役ジエン重合体環化物ブロックを有するブロック共重合体を製造することは困難になると共に、ゲル化が進行しやすく、ブロック共重合体溶液の塗布工程で不具合を生じる場合がある。
なお、環化率は以下のように求めることができる。
(1)1H−NMR分析により、原料として用いた芳香族ビニル−共役ジエンブロック重合体の共役ジエン重合体ブロック部分の二重結合由来のプロトンのピーク面積(A)を求める。
(2)1H−NMR分析により、環化反応後のブロック共重合体の共役ジエン重合体環化物ブロック部分の二重結合由来のプロトンのピーク面積(B)を求める。
(3)以下の計算式により環化率を求める。
(A)−(B)
環化率(%)= ―――――――― ×100
(A)
また、共役ジエン重合体環化物ブロックにおける環化度(n)、すなわち環のつながり程度は、通常、n=1〜3の範囲である。
共役ジエン重合体環化物ブロックの重量平均分子量は、好ましく5,000〜500,000、より好ましくは10,000〜400,000、特に好ましくは20,000〜300,000である。この重量平均分子量が低すぎると、非極性の重合体からなる成形体と塗料や極性を有する重合体からなる成形体との密着性に劣る傾向があり、逆に高いと、ブロック共重合体の製造時やその使用時に取り扱い難くなる傾向がある。
本発明のブロック共重合体の結合様式は、特に限定されないが、芳香族ビニル重合体ブロックをA、共役ジエン重合体環化物ブロックをBとすると、例えば、以下のような一般式(1)〜(5)で示すことができる。
(A−B)n 一般式(1)
A−(B−A)m 一般式(2)
B−(A−B)p 一般式(3)
(A−B)qX 一般式(4)
(B−A)rY 一般式(5)
(なお、上記一般式において、n、m、p、qおよびrは1以上の整数であり、XおよびYは、少なくとも2つのカップリング部位を有するカップリング剤の残基である。)
なかでも、ただひとつの芳香族ビニル重合体ブロックとただひとつの共役ジエン重合体環化物ブロックとからなるブロック共重合体が、その製造の容易さ、効果の発現性の点で好ましい。
本発明のブロック共重合体の重量平均分子量は、好ましくは10,000〜1,000,000、より好ましくは50,000〜500,000、特に好ましくは70,000〜350,000である。この重量平均分子量が低すぎると、非極性の重合体からなる成形体と塗料や極性を有する重合体からなる成形体との密着性に劣る傾向があり、逆に高いと、ブロック共重合体の製造時やその使用時に取り扱い難くなる傾向がある。
本発明のブロック共重合体の芳香族ビニル単量体単位含量は、特に限定されないが、通常、1〜90重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%である。この含量が少なすぎても、多すぎても、本発明の効果を発現し難くなる傾向がある。
本発明のブロック共重合体のゲル量は、特に限定されないが、通常、10重量%以下、好ましくは5重量%以下であるが、実質的にゲルを有しないものであることが特に好ましい。ゲル量が多いと、ブロック共重合体溶液の塗布工程に問題が生じる場合がある。
本発明のブロック共重合体は、極性基を有するものであることが好ましい。極性基を有していると、非極性の重合体からなる成形体と塗料や極性を有する重合体からなる成形体との密着性をより向上することができる。
極性基としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、珪素原子、ハロゲン原子などの炭素原子および水素原子以外の原子を、その基の中に有する基が挙げられる。極性基としては、例えば、酸無水物基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、エステル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シアノ基、シリル基およびハロゲン原子などが挙げられる。
極性基としては、密着性の改良効果に優れる点で、酸無水物基、カルボキシル基、水酸基、エステル基、エポキシ基およびアミノ基が好ましく、酸無水物基、カルボキシル基および水酸基がより好ましく、酸無水物基およびカルボキシル基が特に好ましい。
極性基の含有量は、ブロック共重合体100g当たり、好ましくは1〜200ミリモル、より好ましくは1〜100ミリモル、特に好ましくは5〜50ミリモルの範囲である。極性基の含有量が上記範囲にあると、非極性の重合体からなる成形体と塗料や極性を有する重合体からなる成形体との密着性をより向上することができる。
(ブロック共重合体の製造方法)
本発明のブロック共重合体の製造方法は、芳香族ビニル単量体および共役ジエン単量体を、有機活性金属触媒を用いて重合して、少なくともひとつの、重量平均分子量が1,000〜500,000の芳香族ビニル重合体ブロックと、少なくともひとつの共役ジエン重合体ブロックとからなる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を形成する工程(1)と、
前記ブロック重合体を、環化触媒を用いて、該ブロック重合体中の共役ジエン重合体ブロックを環化させて、共役ジエン重合体環化物ブロックを形成する工程(2)と、からなる。
(工程(1))
工程(1)では、芳香族ビニル単量体および共役ジエン単量体を、有機活性金属触媒を用いて重合して、少なくともひとつの、重量平均分子量が1,000〜500,000の芳香族ビニル重合体ブロックと、少なくともひとつの共役ジエン重合体ブロックとからなる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を形成する。
上記の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の芳香族ビニル重合体ブロックは、次の工程(2)を経た後においても保持される。
芳香族ビニル単量体および共役ジエン単量体としては、前記したものを用いることができる。各単量体の使用割合は、所望のブロック共重合体に合わせて調整すればよい。
有機活性金属触媒としては、前記の単量体をリビング的に重合できる触媒であれば特に限定されない。有機活性金属触媒としては、例えば、有機アルカリ金属化合物、有機アルカリ土類金属化合物などが挙げられる。なかでも、有機アルカリ金属化合物が好ましく使用できる。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、ヘキシルリチウム、フェニルリチウム、スチルベンリチウムなどの有機モノリチウム化合物;ジリチオメタン、1,4−ジリチオブタン、1,4−ジリチオ−2−エチルシクロヘキサン、1,3,5−トリリチオベンゼンなどの有機多価リチウム化合物;ナトリウムナフタレン、カリウムナフタレンなどが挙げられる。これらの中でも、有機リチウム化合物が好ましく、有機モノリチウム化合物がより好ましく使用できる。
有機アルカリ金属化合物は、前記の有機アルカリ金属化合物に2級アミンを反応させて得られる有機アルカリ金属アミド化合物として使用することもできる。
2級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、メチルエチルアミン、メチルプロピルアミン、メチルブチルアミン、メチルアミルアミン、アミルヘキシルアミン、ジエチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、エチルヘキシルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、プロピルブチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、メチルシクロペンチルアミン、エチルシクロペンチルアミン、メチルシクロヘキシルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂肪族2級アミン;ジフェニルアミン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジベンジルアミン、N−メチルベンジルアミン、N−エチルフェネチルアミンなどの芳香族2級アミン;アジリジン、アセチジン、ピロリジン、ピペリジン、2−メチルピペリジン、3−メチルピペリジン、4−メチルピペリジン、3,5−ジメチルピペリジン、2−エチルピペリジン、ヘキサメチレンイミン、ヘプタメチレンイミン、ドデカメチレンイミン、コニイン、モルホリン、オキサジン、ピロリン、ピロール、アゼピンなどの環状イミンが挙げられる。これらの2級アミンは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いられる。
2級アミンの使用量は、有機アルカリ金属化合物中の金属に対して、通常、0.5〜2当量、好ましくは0.8〜1.5当量、より好ましくは1〜1.2当量である。
有機アルカリ土類金属化合物としては、例えば、特開昭51−115590号公報、特開昭52−9090号公報、特開昭52−17591号公報、特開昭52−30543号公報、特開昭52−48910号公報、特開昭52−98077号公報、特開昭56−112916号公報、特開昭57−100146号公報等報に開示されているバリウム、ストロンチウム、カルシウム等の金属を有する化合物が例示される。具体例としては、例えば、n−ブチルマグネシウムブロミド、n−ヘキシルマグネシウムブロミド、エトキシカルシウム、t−ブトキシストロンチウム、エトキシバリウム、イソプロポキシバリウム、エチルメルカプトバリウム、t−ブトキシバリウム、フェノキシバリウム、ジエチルアミノバリウム、エチルバリウムなどが挙げられる。
上記の有機活性金属触媒は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。その使用量は、上記触媒の種類に応じて、芳香族ビニル重合体ブロックの重量平均分子量が所望の範囲になるように適宜選択すればよいが、単量体100g当り、通常、0.01〜100ミリモル、好ましくは0.05〜20ミリモル、より好ましくは0.1〜10ミリモルの範囲である。
芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を形成するには、従来公知の方法を採用することができ、通常、芳香族ビニル単量体および共役ジエン単量体を、逐次的に反応系に添加して、重合すればよい。
まず、芳香族ビニル単量体を重合して、芳香族ビニル重合体ブロックを形成し、次いで、共役ジエン単量体を重合して、共役ジエン重合体ブロックを形成してもよいし、その逆の順番で逐次重合を行ってもよい。
また、芳香族ビニル単量体の一部を重合して、芳香族ビニル重合体ブロックを形成し、次いで、共役ジエン単量体を重合して、共役ジエン重合体ブロックを形成し、さらに、残部の芳香族ビニル単量体を重合して、芳香族ビニル重合体ブロックを形成してもよい。
上記触媒を用いた重合は、通常、重合溶媒中で行われる。重合溶媒としては、重合を阻害しないものであれば特に限定されない。
重合溶媒としては、例えば、n−ブタン、n−ペンタン、iso−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、iso−オクタンなどの脂肪族飽和炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環式飽和炭化水素;ベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素;等が挙げられる。これらの中でも、n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエンなどが好ましい。また、必要に応じて、1−ブテン、シス−2−ブテン、2−ヘキセンなどの重合性が極めて低い不飽和炭化水素を併用することもできる。これらの重合溶媒は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
重合溶媒の使用量は、特に限定されないが、重合に使用する単量体の濃度が、通常、1〜50重量%、好ましくは10〜40重量%の範囲となる量である。
重合反応に際し、共役ジエン単量体単位の結合構造を調整するために、極性化合物を用いることができる。極性化合物としては、有機活性金属触媒を用いた通常のアニオン重合で使用されるものであれば、特に限定されない。
極性化合物としては、例えば、ジブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル化合物;テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジンなどの3級アミン;カリウム−t−アミルオキシド、カリウム−t−ブチルオキシドなどのアルカリ金属アルコキシド;トリフェニルホスフィンなどのホスフィン誘導体;などが挙げられる。これらの中でも、3級アミンおよびエーテル化合物が好ましく、3級アミンがより好ましく、テトラメチルエチレンジアミンが特に好ましく使用できる。これらの極性化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
極性化合物を使用する場合、その使用量は、有機活性金属触媒1モルに対して、通常、200モル以下、好ましくは0.1〜100モル、より好ましくは0.5〜50モル、特に好ましくは0.8〜20モルである。
重合反応は、通常、−78〜150℃の範囲で、回分式または連続式などの重合様式で行われる。
重合時間は、特に限定されないが、重合に用いた単量体がほぼ定量的に反応するまで重合反応を行なうことが好ましい。
上記のように得られた芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体の重合末端が活性を保持している状態においては、少なくとも2つの、該末端と反応しうるカップリング部位を有するカップリング剤を添加して、カップリング体を形成することができる。
カップリング剤としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、2官能性カップリング剤、3官能性カップリング剤、4官能性カップリング剤、5官能性以上のカップリング剤などが挙げられる。
2官能性カップリング剤としては、例えば、ジクロロシラン、モノメチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシランなどの2官能性ハロゲン化シラン;ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどの2官能性アルコキシシラン;ジクロロエタン、ジブロモエタン、メチレンクロライド、ジブロモメタンなどの2官能性ハロゲン化アルカン;ジクロロスズ、モノメチルジクロロスズ、ジメチルジクロロスズ、モノエチルジクロロスズ、ジエチルジクロロスズ、モノブチルジクロロスズ、ジブチルジクロロスズなどの2官能性ハロゲン化スズ;ジブロモベンゼン、安息香酸、CO、2―クロロプロペンなどが挙げられる。
3官能性カップリング剤としては、例えば、トリクロロエタン、トリクロロプロパンなどの3官能性ハロゲン化アルカン;メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシランなどの3官能性ハロゲン化シラン;メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシランなどの3官能性アルコキシシラン;などが挙げられる。
4官能性カップリング剤としては、例えば、四塩化炭素、四臭化炭素、テトラクロロエタンなどの4官能性ハロゲン化アルカン;テトラクロロシラン、テトラブロモシランなどの4官能性ハロゲン化シラン;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの4官能性アルコキシシラン;テトラクロロスズ、テトラブロモスズなどの4官能性ハロゲン化スズ;などが挙げられる。
5官能性以上のカップリング剤としては、例えば、1,1,1,2,2−ペンタクロロエタン,パークロロエタン、ペンタクロロベンゼン、パークロロベンゼン、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテルなどが挙げられる。
カップリング剤の使用量は、各カップリング体の組成比が、所望の範囲になるよう適宜選択する。
前記の活性重合体とカップリング剤との反応(以下、「カップリング反応」ともいう。)の際の反応温度は、通常、室温〜120℃、好ましくは40〜100℃であり、反応時間は、通常、1分間〜数時間、好ましくは10分間〜2時間である。この範囲であれば、反応が十分進行し、かつ、副反応によるゲル化などの不具合も発生しにくい。
その後、必要に応じて、重合停止剤を添加して、重合反応を停止する。
重合停止剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールなどのアルコール類;フェノール、メチルフェノール、2,6−tert−ブチル−ヒドロキシトルエンなどのフェノール類;水が挙げられる。なかでも、アルコール類や水が好ましく、水がより好ましく使用できる。その使用量は、重合に使用した有機活性金属触媒中の金属に対して、通常、1〜100当量、好ましくは1〜50当量、より好ましくは1〜10当量の範囲である。
重合停止剤として水を使用する時は、その重合溶液中への分散を助長する目的で、β−ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩等のアニオン界面活性剤を添加することができる。
(工程(2))
工程(2)では、工程(1)で得られた芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を、環化触媒を用いて、該ブロック共重合体中の共役ジエン重合体ブロックを環化させて、共役ジエン重合体環化物ブロックを形成する。
環化触媒としては、ポリイソプレンやポリブタジエンなどの共役ジエン重合体の環化触媒として従来公知のものが使用できる。
環化触媒としては、例えば、硫酸;モノフルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、炭素数2〜18のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸などの有機スルホン酸およびこれらの無水物またはアルキルエステルなどの有機スルホン酸化合物;三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、四塩化スズ、四塩化チタン、塩化アルミニウム、ジエチルアルミニウムモノクロリド、臭化アルミニウム、五塩化アンチモン、六塩化タングステン、塩化鉄などの金属ハロゲン化物;が挙げられる。これらの環化触媒は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの環化触媒の中でも、有機スルホン酸化合物が好ましく、p−トルエンスルホン酸やキシレンスルホン酸がより好ましく使用できる。
環化触媒の使用量は、環化触媒の種類や要求される環化率に応じて適宜選択されるが、前記の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体100重量部に対して、通常、0.05〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部、より好ましくは0.3〜2重量部である。
環化反応は、前記の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体と環化触媒とを接触させれば進行するが、通常、不活性溶媒中で行なわれる。不活性溶媒としては、環化反応を阻害しないものであれば、特に限定されない。
不活性溶媒としては、重合溶媒として前記したものが使用できる。なかでも、沸点が70℃以上のものが好ましく使用できる。
不活性溶媒の使用量は、特に限定されないが、ブロック共重合体の濃度が好ましくは5〜60重量%、より好ましくは20〜40重量%となる量である。
環化反応における反応温度、通常、50〜150℃、好ましくは75〜100℃であり、反応時間は、通常、0.5〜10時間、好ましくは2〜5時間である。
以上のようにして、前記の芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の共役ジエン重合体ブロックを環化させて、共役ジエン重合体環化物ブロックを形成して、芳香族ビニル重合体ブロックと共役ジエン重合体環化物ブロックとからなる本発明のブロック共重合体が得られる。
得られたブロック共重合体は、通常、常法により、環化触媒を不活性化した後、環化触媒残渣を除去し、不活性溶媒を除去して、固形物として取得する。
極性基を含有する本発明のブロック共重合体を得るには、前記工程(2)の後に、工程(2)で得られたブロック共重合体中の共役ジエン重合体環化物ブロックに、極性基含有化合物を付加反応させて、該化合物に由来する極性基を導入する工程(3)を設ける。
極性基含有化合物は、工程(2)で得られたブロック重合体に極性基を導入することができる化合物であれば特に限定されるものではなく、例えば、酸無水物基、カルボキシル基、水酸基、チオール基、エステル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基、シアノ基、シリル基、ハロゲンなどの極性基を有するエチレン性不飽和化合物が好ましく挙げられる。
酸無水物基またはカルボキシル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水アコニット酸、ノルボルネンジカルボン酸無水物、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸などのエチレン性不飽和化合物が挙げられ、なかでも、無水マレイン酸が反応性および経済性の点で好ましく使用できる。
水酸基を含有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの不飽和酸のヒドロキシアルキルエステル類;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなどのヒドロキシル基を有する不飽和酸アミド類;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノ(メタ)クリレートなどの不飽和酸のポリアルキレングリコールモノエステル類;グリセロールモノ(メタ)アクリレートなどの不飽和酸の多価アルコールモノエステル類;などが挙げられ、これらの中でも、不飽和酸のヒドロキシアルキルエステル類が好ましく、特にアクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
その他の極性基を含有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルなどが挙げられる。
共役ジエン重合体環化物ブロックに、極性基含有化合物を付加反応させて、該化合物に由来する極性基を導入する方法は特に限定されないが、エチレン性不飽和化合物を付加反応させる場合には、一般にエン付加反応またはグラフト重合反応と呼ばれる公知の反応に従えばよい。
この付加反応は、芳香族ビニル重合体ブロックおよび共役ジエン重合体環化物ブロックを有するブロック共重合体と極性基含有化合物とを、必要に応じて、ラジカル発生剤の存在下に、接触反応させることによって行われる。
ラジカル発生剤としては、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド,tert−ブチルパーオキシドベンゾエート,メチルエチルケトンパーオキシドのようなパーオキシド類;アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾニトリル類;などが挙げられる。
付加反応は、固相状態で行なっても、溶液状態で行なってもよいが、反応制御がし易い点で、溶液状態で行なうことが好ましい。使用される反応溶媒としては、例えば、前述したような環化反応における不活性溶媒と同様のものが挙げられる。
極性基含有化合物の使用量は、反応条件によっても変化するが、導入された極性基の含有量が、前記した好ましい範囲になるよう適宜選択される。
極性基を導入する反応は、加圧、減圧または大気圧いずれの圧力下でも行うことができるが、操作の簡便性の点から大気圧下で行うことが望ましく、なかでも乾燥気流下、とくに乾燥窒素や乾燥アルゴンの雰囲気下で行うと水分由来の副反応を抑えることができる。
また反応温度や反応温度は常法に従えばよく、反応温度は、通常、30〜250℃、好ましくは60〜200℃であり、反応時間は、通常、0.5〜5時間、好ましくは1〜3時間である。
反応後、所望により、反応溶媒や未反応の極性基含有化合物を除去して、極性基を含有する本発明のブロック共重合体が得られる。
極性基を含有する本発明のブロック共重合体は、共役ジエン重合体環化物ブロックを形成する前記工程(2)の前に、前記工程(1)で得られた芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の共役ジエン重合体ブロックに、極性基含有化合物を付加反応させて、該化合物に由来する極性基を導入する工程(4)を設けることによっても製造できる。この工程(4)は、前記工程(3)に準じて行うことができる。
本発明のブロック共重合体には、必要に応じて、顔料、染料などの着色剤;老化防止剤、充填剤、軟化剤、ワックスなどの配合剤を添加することができる。配合剤は一般に使用されているものであればよい。
老化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−t−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンなどのフェノール系老化防止剤;フェニル−α−ナフチルアミン、ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N−1,3−ジメチルブチル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミンなどのアミン系老化防止剤;トリス(ノニルフェニル)ホスファイトなどのリン系老化防止剤などが挙げられる。
充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸マグネシウム、珪酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、シリカ、カーボンブラック、タルク、クレー、二酸化チタン、酸化亜鉛、ガラス繊維、炭素繊維などが挙げられる。
配合剤の使用量は、配合の目的、配合剤の種類によって適宜選択することができる。
ブロック共重合体の形状は、用途に応じて適宜選択できるが、通常はペレットまたは粉末状である。粉末状とするには、固形状のブロック共重合体を、冷却しながら、バンタムミル、ジェットミル、ディスクミル、ボールミル、コロイドミルなどの粉砕機を用いて粉砕すればよい。
粉末粒子の平均粒子径は、通常、1μm〜200μm、好ましくは3μm〜100μm、さらに好ましくは5μm〜50μmである。この平均粒子径は、レーザー回折・散乱法によって測定される、粒子径に対する個数基準積分曲線における、50%個数基準積算値に対応する粒子径である。
上記粉末粒子中のブロック共重合体の含有量は、通常、5重量%以上、好ましくは10重量%、より好ましくは20重量%以上、特に好ましくは30重量%以上である。
粉末粒子の形状としては、特に限定されず、例えば、球状や不定形状が挙げられる。
本発明のブロック共重合体を含有する粉末粒子は、例えば、ポリオレフィン樹脂や金属に対する優れた密着性を生かして、粉体塗料として用いることができる。粉体塗料とする場合には、着色剤を配合し、必要に応じて老化防止剤、充填剤、軟化剤、ワックスなどが常法に従って適宜配合される。
顔料を着色剤として用いる場合、イエロー着色にはベンジジン系、アゾ系、イソインドリン系顔料が、マゼンタ着色にはアゾレ−キ系、ロ−ダミンレーキ系、キナクリドン系、ナフトール系、ジケトピロロピロール系顔料が、シアン着色にはフタロシアニン系顔料、インダンスレン系顔料が好ましく用いられる。黒色着色には、カ−ボンブラックが通常使用される。カ−ボンブラックとしては、サ−マルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファ−ネスブラック、ランプブラック等が挙げられる。
染料を着色剤として用いる場合、イエロ−着色にはアゾ系、ニトロ系、キノリン系、キノフタロン系、メチン系染料が、マゼンタ着色にはアントラキノン系、アゾ系、キサンテン系染料が、シアン着色にはアントラキノン系、フタロシアニン系、インドアニリン系染料が好ましく用いられる。
着色剤の使用量は、求める色合い、濃さなどによって適宜選択すればよく、ブロック共重合体100重量部に対して、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは1〜20重量部である。
粉体塗料は、通常、ブロック共重合体と着色剤及び必要に応じて含有される添加剤とを混合し、それを粉砕し、分級することによって得ることができる。
混合方法は、特に限定されず、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ミキシングロール、一軸または二軸押出機等の混練機を用いて溶融混合する方法がある。
粉砕方法としては、前述の方法に従えばよい。
分級の方法としては、例えば、風力分級、遠心分級、篩分級などの方法が挙げられる。
また、本発明のブロック共重合体は、ポリマー成形材料用改質剤として、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマーなどからなる各種ポリマー成形材料に配合することにより、ポリマー成形体と塗料やインキとの接着性、異種ポリマーフィルム同士のラミネート接着性を改善するのに好適である。さらに、ポリマー成形材料を構成する異種ポリマー同士の分散性やポリマー成形材料における充填剤、顔料などのごとき配合剤のポリマーへの分散性を改善するためのポリマー成形材料用改質剤としても有用である。
改質の対象となるポリマー成形材料に用いるポリマーとしては、以下のようなものが挙げられる。
1.炭化水素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポイアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルブチラート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、フッ素系樹脂などのような熱可塑性樹脂。
2.フェノール樹脂、クレゾール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂などのような熱硬化性樹脂。
3.天然ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴムなどの加硫ゴム;オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系熱可塑性エラストマーなどのエラストマー。
これらのなかでも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリペンテン−1などの鎖状オレフィン系樹脂;エチレンとノルボルネン類との付加共重合体、ノルボルネン類の開環重合体水素化物など環状オレフィン系樹脂;などの炭化水素系熱可塑性樹脂に配合すると、ブロック共重合体による改質効果が大きい。
上記のポリマーは単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用することもでき、必要に応じて、顔料、染料などの着色剤;老化防止剤、充填剤、軟化剤、ワックス、帯電防止剤、安定剤、潤滑剤、架橋剤、ブロッキング防止剤、着色剤、光線遮断剤、紫外線吸収剤などの配合剤を適宜配合することもできる。
改質剤としての配合量は、ポリマー成形材料の種類や要求される性能に応じて適宜選択されるが、ポリマー成形材料中のポリマー100重量部当たり、通常、0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、より好ましくは1〜20重量部、特に好ましくは2〜10重量部である。
さらに、本発明のブロック共重合体は、前述のポリマー成形材料用のプライマーや塗料などのコーティング剤における、プライマー用ビヒクル成分や塗料用バインダー成分などの接着性成分として用いることにより、該ポリマー成形材料と塗料との接着性を著しく改善できる。この場合、プライマーや塗料などのコーティング剤中の全固形分に対して、ブロック共重合体を2重量%以上、好ましくは5重量%以上、より好ましくは10重量%以上含有することが好ましい。
コーティング剤として使用する場合には、ブロック共重合体に、必要に応じて、他の接着成分および各種の添加剤を配合して用いられる。
他の接着成分としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、塩素化オレフィン系樹脂、シリコーン系ゴムなどが挙げられる。
他の接着成分を配合する場合の比率は、その種類や配合目的に応じて適宜選択されるが、環化エラストマーと他の接着成分との重量比率で、通常、100:0〜5:95、好ましくは80:20〜30:70、より好ましくは70:30〜50:50である。
また、添加剤としては、改質剤の項で前述したような、ポリマーに配合する場合と同様なものが例示される。
ブロック共重合体を含有してなるコーティング剤は、通常、ブロック共重合体またはブロック共重合体とその他の成分との混合物を、溶媒に溶解または分散させることによって得られる。使用される溶媒は適宜選択すればよく、例えば脂肪族系溶媒、脂環族系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ケトン系溶媒、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒、ハロゲン系溶媒、水系溶媒などが挙げられる。溶媒の使用量は、コーティング剤の固形分濃度が、通常、5〜95重量%、好ましくは15〜60重量%となるような範囲である。
本発明のブロック共重合体を含有してなるコーティング剤を、各種の充填剤や顔料などの分散材料の表面処理剤として使用することもできる。分散材料を該コーティング剤で表面処理すると、各種のポリマーに対する分散材料の分散性が改良される。
表面処理の対象となる充填剤や顔料としては、前述のものが使用できる。ブロック共重合体の使用量は、分散材料の種類やそれを分散させるポリマーの種類に応じて適宜選択されるが、分散材料100重量部当たり、通常、0.1〜100重量部、好ましくは5〜20重量部の割合で用いられる。
本発明のブロック共重合体は、電気・電子部品、情報記録媒体、光学部品、機械部品、自動車部品、包装部材、土木・建築部材などの広範な分野の接着剤、プライマー及び成型部品の表面改質剤として使用でき、中でも、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイなどの電気部品;回路基板、半導体素子、コネクターなどの電子部品;光ディスク、磁気ディスク、ハードディスクなどの情報記録媒体;光学レンズ、光学プリズム、光ファイバーなどの光学部品;車両用灯具、車両用表示板、車両用外装・内装材などの自動車部品;医薬品容器、食品容器、化粧品容器、食器、包装フィルム、包装シート、包装パックなどの包装部材;防水シート、遮水シート、配管材料などの土木、建築部材などに好適に使用することができる。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の記載における「部」及び「%」は、特に断りのない限り重量基準である。
(1)重合体の重量平均分子量
重合体の重量平均分子量は、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィーを用いて、標準ポリスチレン換算の値として求めた。
(2)環化率
1H−NMR分析により、原料として用いた芳香族ビニル−共役ジエンブロック重合体の共役ジエン重合体ブロック部分の二重結合由来のプロトンのピーク面積(A)を求める。次いで、1H−NMR分析により、環化反応後のブロック共重合体の共役ジエン重合体環化物ブロック部分の二重結合由来のプロトンのピーク面積(B)を求める。前記(A)および(B)から、以下の計算式により環化率(%)を求める。
(A)−(B)
環化率(%)= ―――――――― ×100
(A)

共役ジエン重合体環化物の場合は、1H−NMR分析により、原料として用いた共役ジエン重合体の二重結合由来のプロトンのピーク面積(A)およびその環化物中の二重結合由来プロトンのピーク面積(B)を求め、上記の計算式により、環化率(%)を求める。
(3)スチレン単位含量
重合体のスチレン単位含量(%)は、1H−NMR分析により求める。
(4)重合体中の極性基の含有量
フーリエ変換赤外吸収スペクトル分析により、酸無水物基のピーク強度(1760〜1780cm−1)を測定して、検量線法により酸無水物基の含有量を求めた。同様にカルボキシル基のピーク強度(1700cm−1)を測定して、検量線法によりカルボキシル基の含有量を測定した。
(5)塗膜の剥離強度
塗料が被覆されたポリマー成形体の表面に、カッター刃を用いて、ポリマー基材に刃先が達する切れ目を1cm幅で2本入れる。塗膜の端部を剥離させた後、その剥離した塗膜の端部を、50mm/minの引張速度で180°の方向に塗膜が剥離するまで、引っ張って剥離強度(単位:kgf/cm)を測定する。
(実施例1)
攪拌機付きオートクレーブに、シクロヘキサン8000g、スチレン320g、n−ブチルリチウム(1.56モル/リットル濃度のヘキサン溶液)19.9ミリモルを仕込み、内温を60℃に昇温して30分間重合させた。スチレンの重合転化率は、ほぼ100%であった。重合溶液の一部を採取し、得られたポリスチレンの重量平均分子量を測定したところ、14,800であった。
次いで、内温が75℃を超えないように制御しながら、イソプレン1840gを、60分間に亘り、連続的に添加した。添加終了後、70℃で、さらに1時間反応させた。この時点の重合転化率は、ほぼ100%であった。
上記の重合溶液に、β−ナフタレンスルホン酸−ホルマリン縮合物のナトリウム塩の1%水溶液0.362g添加して、重合反応を停止して、ポリスチレンブロックとポリイソプレンブロックとからなるジブロック構造のブロック共重合体aを得た。この一部を採取し、重量平均分子量を測定したところ、178,000であった。
引き続き、上記の重合体溶液に、キシレンスルホン酸18.4gを添加し、80℃で、4時間環化反応を行った。その後、炭酸ナトリウム6.2gを含む炭酸ナトリウム25%水溶液を添加して、環化反応を停止し、80℃で30分間攪拌した。得られた重合体溶液を、孔径1μmのガラス繊維フィルターを用いて、ろ過して環化触媒残渣を除去し、ブロック共重合体Aを含有する溶液を得た。
この溶液1000部に対して、老化防止剤としてイルガノックス565(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.21部を添加した後、120℃で、攪拌しながら溶剤を留去し、固形分濃度が85重量%になった時点で、160℃に昇温し、さらに減圧下で、溶剤を完全に除去して、ブロック共重合体Aを得た。
ブロック共重合体Aのスチレン単位含量、環化率および重量平均分子量を測定し、その結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1で得たブロック共重合体Aを含有する溶液1000部を攪拌しながら、120℃で、固形分濃度が80重量%になるまで、溶剤を留去した。次いで、この溶液に、無水マレイン酸4.41部を添加し、160℃で、1時間付加反応を行った。その後、160℃で、未反応の無水マレイン酸と溶剤を除去し、老化防止剤としてイルガノックス565(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.42部を添加した後、それを、四弗化エチレン樹脂被覆を施した容器に流延した。75℃で、減圧乾燥して、無水マレイン酸を付加させたブロック共重合体Bを得た。
ブロック共重合体Bのスチレン単位含量、環化率、極性基含有量および重量平均分子量を測定し、その結果を表1に示す。
(実施例3)
攪拌機付きオートクレーブに、トルエン1700g、スチレン192g、n−ブチルリチウム(1.56モル/リットル濃度のヘキサン溶液)19.5ミリモルを仕込み、内温を60℃に昇温し、60分間重合させた。スチレンの重合転化率は、ほぼ100%であった。重合溶液の一部を採取し、得られたポリスチレンの重量平均分子量を測定したところ、9,500であった。
次いで、内温が75℃を超えないように制御しながら、イソプレン537gを、60分間に亘り、連続的に添加した。添加終了後、60℃で1時間、さらに反応させた。この時点の重合転化率は、ほぼ100%であった。
さらに、p−ジブロモベンゼン9.6ミリモルを添加して、180分間カップリング反応を行い、スチレン−イソプレン−スチレンのトリブロック構造を有するブロック共重合体cを得た。
得られた重合体溶液の一部を採取し、ブロック共重合体cの重量平均分子量を測定したところ、105,000であった。
引き続き、上記の重合体溶液に、p−トルエンスルホン酸4.3gを添加し、80℃で、3時間環化反応を行った。その後、炭酸ナトリウム1.6gを含む炭酸ナトリウム25%水溶液を添加して、環化反応を停止し、80℃で30分間攪拌した。得られた重合体溶液を、孔径1μmのガラス繊維フィルターを用いて、ろ過して環化触媒残渣を除去し、ブロック共重合体cの環化物を含有する溶液を得た。
この溶液を攪拌しながら、160℃で、固形分濃度が80%になるまで、トルエンを留去した。次いで、この溶液に、無水マレイン酸13.43gを添加し、160℃で、1時間付加反応を行った。その後、160℃で、未反応の無水マレイン酸と溶剤を除去し、老化防止剤としてイルガノックス565(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)1.46gを添加した後、それを、四弗化エチレン樹脂被覆を施した容器に流延した。75℃で、減圧乾燥して、無水マレイン酸を付加させたブロック共重合体Cを得た。
ブロック共重合体Cのスチレン単位含量、環化率、極性基含有量および重量平均分子量を測定し、その結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1で得たブロック共重合体aの溶液1000部(固形分濃度=20.9%)を攪拌しながら、120℃で、固形分濃度が80重量%になるまで、溶剤を留去した。これに、無水マレイン酸4.41部を添加し、160℃で、1時間付加反応を行った。その後、160℃で、未反応の無水マレイン酸と溶剤を除去し、老化防止剤としてイルガノックス565(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.42部を添加した後、それを、四弗化エチレン樹脂被覆を施した容器に流延した。75℃で、減圧乾燥して、無水マレイン酸を付加させたブロック共重合体Dを得た。
ブロック共重合体Dのスチレン単位含量、環化率、極性基含有量および重量平均分子量を測定し、その結果を表1に示す。
(比較例2)
特開2003−192725号公報の実施例2に準じて、以下のように行った。
攪拌機、温度計、還流冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ポリイソプレン(シス−1,4−構造イソプレン単位73%、トランス−1,4−構造イソプレン単位22%、3,4−構造イソプレン単位5%、重量平均分子量=107,000)100部を10mm角に裁断し、トルエン1570部とともに仕込んだ。フラスコ内を窒素置換した後、オイルバスで85℃に加温、攪拌してポリイソプレンをトルエンに溶解した。完全に溶解した後、p−トルエンスルホン酸3.6部を添加し、溶液を85℃に保ったまま攪拌を続けて環化反応を行った。5時間後、イオン交換水400部を投入して環化反応を停止した。
30分間静置後、油層を分取し、この油層を400部のイオン交換水で3回洗浄した後、回転数300rpmで遠心分離して水分を除去した。さらに油層を130℃に加熱して水分を完全に除去した。
このようにして得られた環化物を含むトルエン溶液を撹拌しながら、無水マレイン酸2部を5分かけて等速度で投入した。反応温度160℃で4時間、付加反応した後、該反応液を2,6−ジ−tert−ブチルフェノール1%含有アセトン溶液3000部に注入して析出物を回収した。これを減圧乾燥して無水マレイン酸を付加したポリイソプレン環化物を得た。
このポリイソプレン環化物の環化率、極性基含有量および重量平均分子量を測定し、その結果を表1に示す。
なお、上記実験で得られたブロック共重合体A〜Dおよびポリイソプレン環化物は、いずれも、トルエンに不溶であるゲルを実質的に含有しないものであった。
(実施例4および比較例3):プライマーの調製およびその評価
ブロック共重合体Aおよびポリイソプレン環化物をバインダー樹脂として用い、表2に示すプライマー処方に従い、高速攪拌機(ディスパー)で10分間混合した後、流動性を流下時間で13〜14秒になるようにトルエンで希釈し、2種類のプライマーを調製した。
なお、上記流下時間は、JIS K 5400に規定されたフォードカップN
o.4法に準じて、20℃で測定される時間である。
表3に示す樹脂材料を用いて、射出成形により3種類の樹脂成形板X〜Z(厚さ3mm×幅50mm×長さ80mm)を作成した。
作成した成形板X〜Zを水でよく洗浄して乾燥した。口径1.0mm、スプレー圧3.5〜5.0MPaのスプレーガンを用いて、成形板上に膜厚10μmになるように、表2の各プライマーをスプレー塗装した。5分間乾燥した後、該プライマー層上に、二液硬化型ウレタン系メタリック塗料(日本ビーケミカル社製、商品名RB−212(ベース塗料)および商品名RB−288(クリアー塗料))を、膜厚が70μmになるように上記と同じスプレーガンを用いて2コート塗装した。15分間、23℃で乾燥した後、80℃で30分間、非循環式乾燥器にて乾燥した。3日間室温で静置した後、塗膜の剥離強度を測定した。結果を表2に示す。
表2から、本発明のブロック共重合体をプライマーのバインダー成分として用いると、各種のポリマー基材と塗膜との密着性を向上できることがわかる。
(実施例5、比較例4および比較例5):樹脂組成物の調製および評価
表4に示すポリプロピレン樹脂組成物をヘンシェルミキサーで混合し、その後二軸押出機(35mmφ)に投入して、200℃、200rpmで混練し、各組成物のペレットを得た。次に、このペレットを射出成形して、試験成形片(厚さ3mm×幅50mm×長さ80mm)を得た。
この試験片の表面に、二液硬化型ウレタン系メタリック塗料(日本ビーケミカル社製、商品名RB−212(ベース塗料)および商品名RB−288(クリアー塗料))を、膜厚が50μmになるように上記と同じスプレーガンを用いて2コート塗装した。15分間、23℃で乾燥した後、80℃で30分間、非循環式乾燥器にて乾燥した。3日間室温で静置した後、塗膜の剥離強度を測定した。その結果を表4に示す。
表4から、本発明のブロック共重合体を配合した樹脂成形品は、その表面に塗布された塗膜との密着性に優れていることがわかる。
(実施例6および7、並びに、比較例6および7):異種フィルムのラミネート接着
二軸延伸ポリプロピレンフィルム(サンオリエントPB−260(厚み25μm):二村化学工業社製)に、表5に示す重合体の10%トルエン溶液を、乾燥後の厚みが1〜2μmになるように、ワイヤーバーを用いて、塗布した。その後、熱風乾燥器でトルエンを乾燥させた。
得られたフィルムと、表5に示すフィルムとを、120℃に設定したホットロールラミネーター(EXCELAM II 355Q:Education Products Services Ltd.社製)を用いて、ラミネート接着させた。1時間放置した後、得られた多層フィルムを15mm幅の短冊状に切断して、接着強度(g/15mm)を測定した。
なお、この接着強度は、被接着フィルム同士を、50mm/minの引張速度で引っ張った際の最大応力で示す。
表5から、本発明のブロック共重合体を用いると、異種フィルム同士のラミネート接着強度が向上していることがわかる。
(実施例8):粉体塗料の調製とその評価
ブロック共重合体A100部と銅フタロシアニン系シアン顔料(ヘリオゲンブルーS7084:BASF社製)6部をプラストミルで溶融混練し、次いで、その固化物を、ジェットミルを用いて粉砕した。粉砕物を風力分級して、平均粒子径が30μmのシアン色の粉体塗料を得た。
なお、粉体粒子の平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布測定器(LMS−300:(株)セイシン企業製)を用いて測定した。この測定において、粒子径に対する個数基準積分曲線における、50%個数基準積算値に対応する粒子径を平均粒子径として示す。
得られた粉体塗料を、リン酸亜鉛処理鋼板上に膜厚が50〜60μmとなるように塗装し、200℃のオーブン中で、20分間加熱して、焼き付けた。
得られた塗膜表面は平滑であり、この塗膜の密着性を、碁盤目試験により測定したところ、100/100であり、密着性に優れていた。
なお、碁盤目試験は以下のように行った。
塗装した試験片の塗装面上に、カッターを用いて、2mm間隔で素地に達する切れ目を11本作り、次いで、それと直角に交わるように同様の切れ目を11本作り、2mm四方の碁盤目を100個作成した。その碁盤目上にセロファン粘着テープを密着させた後、手前45°方向に引き剥がし、塗装面が残存する碁盤目の個数を調べた。
以上の結果から、本発明のブロック共重合体および着色剤を含有する粉末粒子は、粉体塗料として用いると、基材への密着性に優れた塗膜を与えることがわかる。

Claims (15)

  1. 少なくともひとつの、重量平均分子量が1,000〜500,000の芳香族ビニル重合体ブロックと、少なくともひとつの共役ジエン重合体環化物ブロックと、からなるブロック共重合体。
  2. ただひとつの芳香族ビニル重合体ブロックとただひとつの
    共役ジエン重合体環化物ブロックとからなる請求項1に記載のブロック共重合体。
  3. 共役ジエン重合体環化物ブロックの環化率が10%以上である請求項1または2に記載のブロック共重合体。
  4. 重量平均分子量が10,000〜1,000,000である請求項1〜3のいずれか一に記載のブロック共重合体。
  5. 芳香族ビニル単量体単位含量が1〜90重量%である請求項1〜4のいずれか一に記載のブロック共重合体。
  6. 極性基を有する請求項1〜5のいずれか一に記載のブロック共重合体。
  7. 極性基の含有量が0.1〜200ミリモル/100gである請求項6記載のブロック共重合体。
  8. 芳香族ビニル単量体および共役ジエン単量体を、有機活性金属触媒を用いて重合して、少なくともひとつの、重量平均分子量が1,000〜500,000の芳香族ビニル重合体ブロックと、少なくともひとつの共役ジエン重合体ブロックとからなる芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体を形成する工程と、
    前記ブロック重合体を、環化触媒を用いて、該ブロック重合体中の共役ジエン重合体ブロックを環化させて、共役ジエン重合体環化物ブロックを形成する工程と、
    からなるブロック共重合体の製造方法。
  9. 共役ジエン重合体環化物ブロックを形成する工程の後に、該共役ジエン重合体環化物ブロックに、極性基含有化合物を付加反応させて、該化合物に由来する極性基を導入する工程を設ける請求項8記載の製造方法。
  10. 共役ジエン重合体環化物ブロックを形成する工程の前に、芳香族ビニル−共役ジエンブロック共重合体中の共役ジエン重合体ブロックに、極性基含有化合物を付加反応させて、該化合物に由来する極性基を導入する工程を設ける請求項8記載の製造方法。
  11. 請求項1〜7のいずれか一に記載のブロック共重合体を有効成分とするポリマー成形材料用改質剤。
  12. ポリマー成形材料に請求項11記載のポリマー成形材料用改質剤を配合してなるポリマー組成物。
  13. 請求項1〜7のいずれか一に記載のブロック共重合体を含有してなるコーティング剤。
  14. 請求項1〜7のいずれか一に記載のブロック共重合体を含有する粉末粒子。
  15. さらに着色剤を含有する請求項14記載の粉末粒子。

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