JP2005279445A - 原生動物を用いる廃液処理方法及び処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 重金属イオンを含有する廃液は産業廃棄物溶出埋立基準に規定されている六価クロム溶出量以下になる様に処理した後に、地中に埋設しているのが現状である。
【解決手段】 色素体を有し、光照射によって増殖(光合成)可能なミドリゾウリムシ等の原生動物の培養槽1中に、重金属イオンを含有する廃液を供給し、該原生動物に重金属イオンを吸収させる廃液処理方法である。処理装置としては、光照射可能な原生動物の培養槽1と、廃液タンク2とを備えておけばよい。
【選択図】 図1

Description

本発明は、メッキ廃液等の重金属イオンを含有する廃液の原生動物を用いる処理方法及び処理装置に関するものである。
鉄鋼等の耐蝕性向上のためのCr(クロム),Ni(ニッケル)等のメッキ処理やクロメート処理、或いは半導体製造工程のNiメッキ処理等々の各種メッキ処理工程から排出されるメッキ廃液は、有害な重金属イオンを高濃度に含有する廃液である。
また、近年急速に普及している写真のDPE工程からも、その種類によっては現像処理廃液中にCrイオンを含有する有害な廃液が排出される場合がある。これらの廃液は、重金属イオン等の有害物質を各種の処理法によって環境基準として定められた規制値以下に減少させた上で河川等に放出されている。
これらの廃液処理方法のうち、メッキ工場において実施されているCrメッキ廃液の処理法の代表的な方法としては、次の処理方法がある。即ち、第1の方法は、メッキ廃液中の六価クロムを還元剤を用いて三価クロムに還元した後、アルカリ溶液で処理して水酸化クロムとなし、これを固液分離して液相分を処理排水として流出管理を行いつつ放流する方法である。第2の方法は、Crイオンを含む廃液を、遊離塩基型強塩基アニオン交換樹脂を用いてイオン交換し、三価のクロム酸として回収する方法である。このイオン交換手段におけるクロム廃液の処理に当り、クロム酸濃度の上限管理や強塩基アニオン交換樹脂の再生が必要であり、pHを調整して六価クロムを三価クロムに還元し、その後にアルカリ水で処理して水酸化クロムとなした後、固液分離して脱クロム排水を処理排水として放流するものである。
化学ニッケルメッキ廃液の処理方法としては、主として水酸化カルシウム等を添加する中和凝集処理により、廃液から金属イオン(Niイオン)や亜燐酸イオンを除去する方法が行われている。しかしながら、この方法では、廃液中の次亜燐酸イオンが除去されず、又、COD,BODや全燐濃度が問題となっていたので、この解決策として、次亜燐酸イオンのみを選択的に酸化して亜燐酸とし、これに水酸化カルシウム等を添加して凝集処理を行う事によって、金属イオンと全燐を除去する方法が採用されている。
一方、最近では、上記した従来の化学的処理法ではなく、微生物を用いて廃液等の処理を行う方法が提案されている(例えば特許文献1)。この特許文献1に記載の方法は、好気性微生物群と嫌気性微生物群と少なくとも1種のヒタタケ科の担子菌類と光合成菌類が共生し、且つこれらの代謝物由来の酵素を含む微生物培養液に炭素分解酵素を含有させた微生物培養液を担体に保持させ、これを、メッキ廃液、染料廃液或いは下水道水中に投入して有害物質の除去を行うものであるが、重金属の除去機構については、不明であるとされている。
WO99/57243号公報(請求項3,4,8,51,56、明細書第30頁の(光合成菌群:任意成分)の項、明細書第35頁の5.重金属除去作用の項、明細書第58頁の実施例10(OMによる焼却灰中の鉛の除去)、及び明細書第60頁の実施例18(めっき廃液)参照)
上記した従来の処理方法のうち、化学的処理法によって水酸化クロムを生成させる方法においては、水酸化クロム自体が有害な物質であるので、産業廃棄物溶出埋立基準に規定されている六価クロム溶出量が1.5mg/リットル以下となる様に処理した後に、地中に埋設しているのが現状であるが、現状では、六価クロム溶出量を、この溶出埋立基準程度にしか低減できないという問題がある。加えて、水酸化物クロムは微細粒子となり、固液分離が極めて困難である点も、処理技術面での問題の1つとなっている。
更に、還元処理や中和処理のための設備費や処理用薬剤費及び生成スラッジの処理費等の諸経費も高価であり、更に、運転管理にも高度な技術を要するため、中小企業にとっては経営を圧迫する要因にもなっている。
また、Niメッキ廃液の処理においては、次亜燐酸の選択酸化剤として、廃液の処理剤としては一般性の低い銅塩や過硫酸塩を使用するため、処理コストが高くなるのみならず、銅塩自体が有害物質である等の問題を抱えている。
一方、上記特許文献1に記載の微生物を用いる処理方法では、その実施例によると、生物活性材に、好気性微生物供給源としての腐葉土と、担子菌供給源としてのヒラタケとタモギタケに由来するきのこ抽出液を加えて30日間曝気培養させたものに、嫌気性微生物供給源としての下水道由来の汚泥を混合して30日間培養し、これに光合成菌群を添加して30日間培養し、この培養液(OM液)に炭素源としての炭素微粉を添加して更に60日間培養し、これを前記OM液で希釈した希釈液(OME液)を製造する。続いて、このOME液の水希釈液に植物由来の炭素を浸漬すると、3〜7日で該炭素材がドロドロに溶けた状態のDCPスラリーが得られる。続いて該DCPスラリーを乾燥させてDCP粉末となし、これをメッキ廃液等に投入して処理する方法である。この方法では、処理材であるDCP粉末を製造するまでに、単純合計で約170日程度の期間を要する事になり、しかも管理された状態での培養が必要となるので、町場の中小のメッキ工場等で直ちに実施できるものではない。又、この特許文献1における光合成菌の添加の意義は、還元力の向上とのみ記載されている。
本発明は、上述した従来の重金属イオンを含有する廃液処理技術における還元処理や中和処理及びスラッジ処理のための設備や薬剤を全く必要とせず、これらに起因する問題点を悉く解決する共に、簡便な設備で直ちに誰にでも容易に実施することのできる新規な廃液の処理方法及び処理装置を提供するものである。
本発明は、上記した問題点を解決するために成されたものであって、その最大の特徴とするところは、ミドリゾウリムシ(Paramecium bursaria)に代表される色素体を体内に有して光照射により増殖可能な原生動物を用いて重金属イオンを含有する廃液を処理する点にある。即ち、本発明は、色素体を体内に有し光照射により増殖可能な原生動物(以下、単に『原生動物』と略記する)が、高濃度の重金属イオン存在下でも生存し続けると共に、重金属イオンを体内に吸収するとの新たな知見に基づくものであって、かかる原生動物を用いる廃液の処理方法としては、該原生動物の培養槽中に、重金属イオンを含有する廃液を供給し、該原生動物に前記重金属イオンを吸収させることを特徴とする廃液処理方法であり、メッキ廃液や半導体処理廃液、或いは写真の現像プリント廃液等の処理に好適な方法である。
尚、前記培養槽中に光を照射すると共に、その光照射量を調整することによって、該培養槽中の原生動物の増殖を制御するのが望ましく、廃液中の重金属イオン濃度は、前記原生動物の増殖率の高い0.1モル/リットル以下に調整するのが好ましい。
次に、本発明の廃液の処理装置としては、
色素体を有し光照射により増殖可能な原生動物を培養するための原生動物培養槽と、
重金属イオンを含有する廃液用の廃液貯蔵タンクと、
該廃液貯蔵タンクから前記原生動物培養槽内に廃液を供給する廃液供給ラインと、
前記原生動物培養槽内に光を照射すると共に、その光照射量を調整可能にしてなる光源と、
前記原生動物培養槽に付設され且つ該培養槽からの前記原生動物の流出を抑制する原生動物流出防止装置と、を有しており、
前記培養槽内において、前記原生動物によって前記廃液中の重金属イオンを吸収保持させることを特徴とするものである。
尚、前記原生動物としては、容易に入手可能なミドリゾウリムシが好適であり、又、前記原生動物流出防止装置としては、前記培養槽の頂部近傍に形成された溢流部にフィルタを配置したものが好ましく、該フィルタとしては、前記ミドリゾウリムシの大きさよりも小さな平均孔径が40μm以下のものが好ましい。
本発明によれば、ミドリゾウリムシ等の色素体を有して光照射により増殖可能な原生動物を用いて、メッキ廃液等の重金属イオン含有廃液の処理を行うことが可能となるので、設備面では、単に光照射可能な原生動物の培養槽を設置し、これにメッキ廃液等を供給するのみで廃液処理を行うことが可能となる。従って、従来の如く多数の機器や薬品類の使用が不要となり、簡便な廃液処理装置となると共にランニングコストが大幅に低減されることになる。このため、小規模事業所においても導入の容易な廃液処理技術となり、メッキ廃液の処理に伴う環境汚染に直結する社会問題の低減にも大きく寄与することが期待される。
更に、廃液中の重金属イオンは、原生動物の体内に吸収されるため、これを遠心分離機等で分離回収して燃焼すれば、前記体内の重金属は、Cr酸化物等の安定な重金属酸化物となるので、従来の慣習に従ってこのまま埋め立て場に廃棄することも可能であるが、これを回収して重金属の原料として再利用することも可能である。特に、分離回収した原生動物を焼却すると、従来のメッキ廃液処理に見られる様な含水率の高いスラッジ状態の廃棄物とはならず、ドライな粉末(焼却灰)となるので、廃棄物の減容化にも大きく寄与することになる。
以下に図面を用いて本発明を詳細に説明する。本発明は、ミドリゾウリムシの如く色素体を体内に有し、光照射により増殖可能な原生動物が高濃度の重金属イオン存在下でも生存し続けると共に、重金属イオンを体内に吸収するとの新たな知見に基づくものである。図1は、かかる原生動物を用いた廃液処理装置の概念図であって、培養槽1は、前記原生動物の培養槽である。この原生動物としては、体内に色素体としてのクロロフィルを保有するミドリゾウリムシやミドリラッパムシ(Stentor polymorphus),ミドリユープロテス(Euplotes diadaleous)等の繊毛中類が代表的な生物であり、クロロフィルに吸収された光エネルギを利用して、二酸化炭素と水から炭水化物,脂肪酸,アルコール等のエネルギ源としての有機化合物を自ら合成して増殖する機能を有している。前記色素体としては、クロロフィルの他、カロチノイドやバクテリオクロロフィル等があり、原生動物の体内に自らが保有している場合と、光合成作用を有する色素体を保持した植物体と共生している鞭毛虫類があるが、本明細書において『原生動物』とは、両者を含むものとする。
次に、前記培養槽1の外周壁面には光源4が配置されており、光合成に有効な可視光線を該培養槽1内に照射される様になっている。そして、その照射強度は、制御装置7によって可変となっている。
次に、メッキ廃液等の重金属イオンを含む廃液は、廃液タンク2内に貯蔵されており、廃液供給ラインL1からポンプ3,ラインL2を経て前記培養槽1の底部から該培養槽1内に供給される様になっている。
前記培養槽1内では、後述する実施例において詳細に説明する様に、前記原生動物が光源4からの光照射によって増殖すると共に、その増殖過程で、前記廃液中に含有されているクロム,ニッケル等の有害な重金属イオンは該原生動物の体内に吸収され、廃液は無害な処理水となって前記培養槽1の頂部から溢流して排出ラインL3から装置外に排出されることになる。
ここで、前記培養槽1の頂部には、廃液が溢流する溢流部5が形成され、該溢流部5には、培養槽1内の原生動物が溢流水と共に流出しない様に、原生動物流出防止装置6が配置されている。この原生動物流出防止装置6は、原生動物の代表例であるミドリゾウリムシの平均的な大きさ(縦80μm,横40μm)を考慮して平均孔径が40μm以下の微細孔径を有する多孔質フィルタを用いるのが好ましく、特に20〜30μmに調整されたものが好ましい。該多孔質フィルタの材質としては、セラッミクス,プラスチック又は金属の焼結体やプラスチックスの多孔質フィルム或いは天然素材が上げられるが、生産性,均一性,耐久性及びコストの観点からは、プラスチック製品が好ましい。
次に、ラインL3から排出される処理液中の重金属イオン濃度や培養槽1中の原生動物の濃度等を適宜のセンサで検出し、その検出信号を制御装置7に入力して前記光源からの光照射量や前記ポンプ3による廃液供給量を制御する様になすのが好ましい。
次に、色素体を有する繊毛中類の代表例であるミドリゾウリムシによる重金属イオンの吸収例について、ミゾリゾウリムシの調整と該調整したミドリゾウリムシを用いたCrイオンの吸収試験と共に説明する。
(ミドリゾウリムシの調整)
先ず、試験に使用したミドリゾウリムシの調整について説明する。本実施例に使用したミドリゾウリムシ(株名:KSK−103)は、広島県府中市の河川から採集したものであり、このミドリゾウリムシをキムワイプ(ワイパーS−200,Kimberly-Clark)で濾過してミドリゾウリムシを回収し、手回し遠心分離機でミドリゾウリムシを濃縮しながら後述するレタス浸出液で3回洗浄した。得られたミドリゾウリムシ懸濁液をディプレッションスライド上に10μl(マイクロリットル)をサンプリングして、実体顕微鏡下で全てのセル数(細胞数:ミドリゾウリムシの数)を計数した。この計数を3回繰り返して、その平均値を10μl中の細胞数とした。このミドリゾウリムシを、該ミドリゾウリムシの培養に最適なレタス侵出液で後述する要領で培養し、得られたミドリゾウリムシを試験に使用した。尚、前記レタス浸出液の製法は次の通りである。
(レタス浸出液の製法)
レタスの外側の緑色をした葉を水洗し、変色した部分や葉脈の硬い部分を取り除いて1分間茹でた後、冷却,水切りをして濾紙の上に広げて葉の表面に付着している水分をガーゼで拭き取り、しかる後に、80℃のオーブン中で完全に乾燥させた。この乾燥レタスの葉をビニール袋内で手で揉んで粉砕した後、乳鉢で擦って微粉末にした。この微粉末0.5gを700ccのイオン交換した蒸留水に加え、100℃で5分間煮沸し、煮沸浸出液を冷却後濾過し、前記イオン交換蒸留水を加えて全量を1000ccとし、これに炭酸カルシウムを少量加えてオートクレーブ内で121℃で10分間煮沸殺菌した。
(ミドリゾウリムシの培養)
上記レタス抽出液と、有機栄養源となるバクテリア(Klebsiella Pneumoniae)を接種したレタス抽出液とを9:1の割合で混合した培養液100ccを12cmのシャーレに入れて初期密度20セル/ccでミドリゾウリムシの培養を開始した。培養は、12時間の照明期(明期)と12時間の非照明期(暗期)との繰り返しを23±2℃で行った。
(Crイオン溶液の調整)
重クロム酸カリウム(K2 Cr27 )0.294gを100ccの蒸留水に溶解して10mMCr/l(ミリモルCr/リットル)のCr水溶液を調整した。これ重金属イオン含有原水とし、これを1000倍に希釈して10μMCr/l(マイクロモルCr/リットル)に調整して試験水とした。
(Crイオン吸収試験)
前記培養液で培養したミドリゾウリムシを含む培養液に、前記10μMCr/lのCr水溶液を添加して、ミドリゾウリムシが1000固体/ccの試料Bを製作した。比較のため、Crイオンを添加しないミドリゾウリムシが1000固体/ccの試料Aも併せて調整した。これらの試料A,Bを夫々6サンプル製作し、23±2℃の温度で、12時間の明期と12時間の暗期とを交互に7日間繰り返してミドリゾウリムシの培養を行ってCrイオンの吸収試験を行った。7日間経過後に培養液を遠心分離機にて分離してミドリゾウリムシを培養液から分離し、そのセル数(個体数)を計数してミドリゾウリムシの平均セル数を計数した。培養液中の平均Crイオン濃度は、分光光度計により540nmの吸収スペクトルによって計測した。その結果を、表1に示す。
Figure 2005279445
表1において、試料Bの7日間経過後の540nm吸光量は0.581±0.008であり、当初の値(0.717±0.007)との差から計算されたCrイオンの吸収量は27.76%にも達している。尚、ミドリゾウリムシの増殖率は、Crイオンを含有していない試料Aの方が明らかに高い値を示している。この事実から、ミドリゾウリムシは、10μMCr/lのCr水溶液内でも増殖が可能であるのみならず、Crを溶液から吸収して除去する機能を有している事が分かる。
次に、ミドリゾウリムシが、如何なる濃度のCr水溶液中で生存し且つ増殖し得るかについて検討した。その試験結果について説明する。
前記実施例1で培養したミドリゾウリムシを、各種濃度のCr水溶液と混合して、混合後のミドリゾウリムシの個体数が100セル/ccの試料を調整し、これを実施例1と同様に、12時間明期と12時間暗期との繰り返しを、23±2℃で6日間行った。6日間経過後の試料中のミドリゾウリムシを実施例1と同様の要領で計測し、その結果を表2に示す。
Figure 2005279445
表2から分かる様に、1.5mM/l(0.0015M/l)以下のCrイオン濃度においては、初期のミドリゾウリムシの個体数の1.65倍から4.4倍に増殖しており、0.15M/l以上のCrイオン濃度においては、初期の個体数よりも減少している。しかしながら、0.15M/lや1.5M/lという高濃度領域においても、増殖能力が低下して全個体数は減少傾向にあると雖も、ミドリゾウリムシが生存し続けていることは、驚異的な発見である。
又、上記試験結果から、Crイオン濃度が0.01M/l以下であればミドリゾウリムシの増殖を行いつつCrイオンの除去を行うことが可能であるが、それ以上の場合には、培養槽にミドリゾウリムシの補充をしつつCrイオンの除去を行う事が必要になるものと推定される。従って、被処理廃液中のCrイオン濃度を事前に測定しておき、その濃度に応じてミドリゾウリムシの補給の要否を考慮すれば良い事になるが、実際の操業において、Crイオン濃度の高い廃液を処理する場合には、事前に0.01M/l以下に希釈して培養槽に供給するのが好ましい方策である。
以上の説明においては、原生動物としてミドリゾウリムシを用い、重金属イオンとしてCrイオンを用いた例についての説明であるが、Ni,Cdその他の重金属イオンについても同様と考えられる。
また、ミドリゾウリムシ以外の他の色素体を有し光照射によって増殖可能な(光合成能力を有する)繊毛虫類等の原生動物も、同様の機能を有するものと判断される。
以上の説明から明らかな様に、本発明方法によって重金属イオンを含有する廃液から重金属イオンを除去するに当り、適宜の培養液中でミドリゾウリムシ等の色素体を有し光照射によって増殖可能な原生動物を培養している培養槽内に、メッキ廃液等の重金属イオンを含有する廃液を少量づつ流入させて該重金属イオンを原生動物に吸収させると共に、廃液の培養槽内での滞留時間は、重金属イオンの廃液中の初期濃度と吸収させるべき量と該培養液中の原生動物濃度等の諸条件を考慮して適宜設計される事になる。
本発明によれば、ミドリゾウリムシ等の色素体を有し光照射によって増殖可能な原生動物を用いてメッキ廃液等の重金属イオン含有廃液の処理を行う事が可能となるので、小規模のメッキ工場や町中の写真のDPE工場における環境対策として極めて有用である。
本発明に係る廃液処理装置の構成を示す概念図である。
符号の説明
1 培養槽
2 廃液タンク
3 ポンプ
4 光源
5 溢流部
6 原生動物流出防止装置
7 制御装置

Claims (10)

  1. 重金属イオンを含有する廃液を処理する方法であって、
    色素体を有し光照射によって増殖可能な原生動物の培養槽中に、前記重金属イオンを含有する廃液を供給し、前記原生動物に前記重金属イオンを吸収させる事を特徴とする原生動物を用いる廃液処理方法。
  2. 前記原生動物がミドリゾウリムシであることを特徴とする請求項1に記載の原生動物を用いる廃液処理方法。
  3. 前記培養槽中に光源から光を照射すると共に、その光照射量を調整する事によって該培養槽中の前記原生動物の増殖を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の原生動物を用いる廃液処理方法。
  4. 前記重金属イオンを含有する廃液が、メッキ廃液,半導体処理廃液,写真の現像プリント廃液の群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の原生動物を用いる廃液処理方法。
  5. 前記重金属イオンを含有する廃液中の重金属イオン濃度が、0.1モル/リットル以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の原生動物を用いる廃液処理方法。
  6. 重金属イオンを含有する廃液の処理装置であって、
    色素体を有し光照射により増殖可能な原生動物を培養するための原生動物培養槽と、
    前記重金属イオンを含有する廃液用の廃液貯蔵タンクと、
    該廃液貯蔵タンクから前記原生動物培養槽内に前記廃液を供給する廃液供給ラインと、
    前記原生動物培養槽内に光を照射すると共に、その光照射量を調整可能にしてなる光源と、
    前記原生動物培養槽に付設され、且つ該培養槽からの前記原生動物の流出を抑制する原生動物流出防止装置とを有しており、
    前記培養槽内において、前記原生動物によって前記廃液中の重金属イオンを吸収保持させることを特徴とする重金属イオンを含有する原生動物を用いる廃液の処理装置。
  7. 前記原生動物流出防止装置が、前記培養槽の頂部近傍に形成された溢流部に配置されたフィルタであることを特徴とする請求項6に記載の重金属イオンを含有する原生動物を用いる廃液の処理装置。
  8. 前記原生動物がミドリゾウリムシであることを特徴とする請求項6又は7に記載の原生動物を用いる廃液の処理装置。
  9. 前記フィルタの平均孔径が40μm以下であることを特徴とする請求項7又は8に記載の原生動物を用いる廃液の処理装置。
  10. 前記重金属イオンを含有する廃液が、メッキ廃液,半導体処理廃液,写真の現像プリント廃液の群から選択された1種以上であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の原生動物を用いる廃液の処理装置。
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