JP2005277321A - ポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生する方法およびシステム - Google Patents

ポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生する方法およびシステム Download PDF

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Abstract

【課題】
有機塩素系化合物を含有する電気絶縁油を使用した電気機器の電気絶縁油を、該電気機器の設置されている現地において、かつ電気機器を組み立てたままで、有機塩素系化合物を無害化し、電気機器を無害化するとともに電気機器を継続使用可能に再生する。
【解決手段】
電気機器の略下端の電気絶縁油の導出口3から、有機塩素系化合物を含有する電気絶縁油を無害化処理装置1へ注入し、有機塩素系化合物を脱塩素化、水素化し無害化した処理済電気絶縁油を貯油槽23へ一時的に蓄え、貯油槽23と電気機器の導入口を着脱可能に連接する配管26によって処理済電気絶縁油6bを電気機器に環流することを無害化達成まで必要回数行ない、電気機器の無害化を達した後に処理済電気絶縁油を抜き取り、新たな電気絶縁油に交換する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、変圧器や遮断器等の電気機器において、該電気機器が組み立てられ、かつ現地に据え付けられた状態のまま、電気機器の絶縁媒体として使用されている電気絶縁油中に含まれるポリ塩化ビフェニル(以下、PCBという)を脱塩素化、水素化して無害化するPCBを含有する電気絶縁油の無害化処理装置を用い、PCBを含有する電気絶縁油を使用した電気機器を無害化処理し、継続使用可能に再生する方法とシステムに関する。
有機塩素化合物であるPCBの有害性が指摘され、生産が中止されてから久しい。
しかし、長期間にわたってPCBの処理が進まず、PCB、あるいはPCBが混入した電気絶縁油を使用した電気機器は、今なお実系統でたくさん使用されている。また、大量の使用をやめた、PCB、あるいはPCBが混入した電気絶縁油を使用した電気機器、及び単独の状態のPCBが混入した電気絶縁油が、その保有者によって保管され続けている。
近年にいたり、化学的にPCBを無害化する技術が開発され、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)」(以下、廃掃法という)にもとづくPCBの無害化処理に関する公的認証(以下、公的認証という)も制度化されて、一部の保有者においてPCB、あるいはPCBが混入した電気絶縁油を使用した電気機器や、PCBが混入した電気絶縁油の処理が始まっている。
ところで処理を要するPCBの大部分は、変圧器や遮断器等の受変電機器に絶縁媒体として使用されているものである。絶縁媒体には、「PCBそのもの、もしくは主要成分としてPCBを使用している場合」(以下、高濃度PCBという)と、「何らかの原因でごく微量のPCBが混入した電気絶縁油」(以下、低濃度PCBという)がある。低濃度PCBのPCB濃度は、ほとんどが10ppm以下で、高くても100ppm程度であることが社団法人日本電機工業会の調査で判明している。この調査においてサンプリングされた報告事例の最も高い濃度が2,110ppmであったことから、最高濃度は10,000ppm(=10,000mg/kg=(1%))程度と想定することが適当であろう。(PCBの濃度表記は、例えば、法令に関する記述ではmg/kgであり、原典によってまちまちの表記がされているので、mg/kg=ppmとして扱い、10,000ppmを1%とする。原則として原典の表記に従う。)本発明は、0.5mg/kg超から10,000mg/kg以下の低濃度PCBの無害化に関するものである。
低濃度PCBは、これまで、電気絶縁油を再生する際にPCBが混入したものと考えられてきており、再生電気絶縁油は、主に柱上変圧器に使用されていることが判明している。しかし、至近にいたり、PCBが入っていないと思われてきた電気絶縁油の新油を使用した電気機器からPCBが検出される事例が多数報告され、PCB汚染が電気絶縁油を使用するあらゆる電気機器に広がっていることが判明した。電気絶縁油の生産工程や、輸送、貯蔵、各種の作業工程、及び取り扱い器具、メンテナンス等、PCBが混入し得る機会は多々あり、これらの何れか、あるいは複合的に要因が重なって混入が広まったものと考えられる。
さて、これまでに発表されている低濃度PCBの無害化処理技術は、何れもPCBを含む絶縁油を無害化するだけで、電気絶縁油、及び電気絶縁油を使用している電気機器本体の再使用を意図してはいない。つまり、積極的に廃棄することを前提としてはいないまでも、リサイクルを含む廃棄、又は結果としてリサイクルを含む廃棄を前提としている。ここで云うリサイクルとは、無害化した電気絶縁油を燃料に転用したり、電気機器の金属製部材をもとの金属に戻したりすることを指す。
前記のように、低濃度PCBは、極めて少量のPCBが電気絶縁油に含まれているだけなのに無害化して廃棄するものと考えられてきたため、大量に存在する電気機器そのものも廃棄するものとして扱われてきたと云える。PCBの適正な処理を進めるための法律である「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成十三年法律第六十五号)」や、この法律の原点といえる前記の「廃掃法」などが、何れも「廃棄」の文言を冠した法律名となっていることが、この間の事情を端的に物語っている。
低濃度PCBが混入した電気機器、なかんずく大形電気機器は、電気機器を更新する場合、電気機器そのものが高価であることはもちろん、無害化処理には多額の費用が必要で、かつ電気系統から分離して据付場所から移動するにも多くの費用を要する。また、費用の問題だけに留まらず、電力需要量の稠密な、特に都心部や都心の地下に設置されている電気機器は、運び出したり運搬することが難しい場合もある。つまり、電気機器にはPCBが含まれているため、分割や分解することが出来ない部位がある。一方、運び出すためには電気機器を分割、あるいは分解しなければならない。という背反する条件によって自己撞着に陥る可能性がある。
さらには、電気機器を運び出すことが出来る場合であっても、電気機器そのものを無害化することが難しいという、もっと本質的な問題がある。すなわち、低濃度PCBの無害化に関しては、たくさんの化学的処理法が、前記の廃掃法にもとづく公的審査に合格、認証されているが、変圧器には絶縁紙を被覆した電線で構成されたコイルがあり、コイルの内部深くにも低濃度PCBが染み込んでいる。また、プレスボードのような紙質の集成材や木質材も大量に使用され、当該材にも低濃度PCBが染み込んでいる。しかも、大形電気機器の部材は、長大、高重量品も含め、さまざまな形状や大きさをしている。すなわち、有害物であるPCBが含まれ、かつ大きく、重く、形状がさまざまであることから、無害化処理のために取り扱うこと自体が容易ではない。
少なくとも、本発明の特許出願時点においては、このような大形電気機器そのものを無害化処理することは行われておらず、そのようなことを実現する何らの情報もない。
つまり、低濃度PCBを使用した大形の電気機器は、従来の技術では無害化処理することが出来ない。その結果、電気機器の更新が出来ないので、信頼性の低下に対応した電気機器の更新や増容量などの措置が行えず、社会インフラ上重要である電力系統の正常な運用に、今後特に大きな障害要因になってくる懸念は極めて大きい。
本発明は、このような状況に対して、絶縁紙等に捕捉されている電気絶縁油も含め、電気機器内にある電気絶縁油に含まれる低濃度PCBを無害化処理することで、電気機器そのものを無害化し、さらに、新しい電気絶縁油に入れ替えることで、電気機器を継続して使用可能に再生するものである。
なお、本発明は、大形の電気機器に適用した場合に特に大きな効果を発揮するが、以下に説明するように、電気機器を組み立てたまま、かつ電気機器を継続的に使用可能なようにPCBを無害化処理することは、小形の電気機器に適用しても十分効果が期待できるものである。
請求項1の発明のポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生する方法は、0.5mg/kg超から10,000mg/kg以下のポリ塩化ビフェニルを含有する電気絶縁油を使用した電気機器と、ポリ塩化ビフェニルを脱塩素化、水素化し無害化する電気絶縁油の無害化処理装置を連接し、前記の電気機器から無害化処理装置へ前記の電気絶縁油を注入し、前記の無害化処理装置内で無害化が進展した処理済電気絶縁油を無害化処理装置から貯油槽へ蓄え、前記の電気機器内に滴下する電気絶縁油の残留分をさらに回収し、無害化処理装置へ注入し、無害化が進展した処理済電気絶縁油を貯油槽に加え、貯油槽に蓄えた処理済電気絶縁油を前記電気機器に還流し、電気機器内部に捕捉された電気絶縁油中のポリ塩化ビフェニルを分配の法則を利用して処理済絶縁油に滲出させ、処理済電気絶縁油と電気機器内部に捕捉された電気絶縁油のポリ塩化ビフェニル濃度を平衡させ、平衡後の電気絶縁油中のポリ塩化ビフェニル濃度が法令に定められた無害化処理基準以下となった場合には、次いで、無害化が完了した該電気機器内の処理済電気絶縁油を電気機器から回収油槽へ抜き取り、電気機器には新たな電気絶縁油を注入することでポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生する方法。
請求項2の発明のポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生する方法は、請求項1の発明において、処理済電気絶縁油と電気機器内部に捕捉された電気絶縁油のポリ塩化ビフェニル濃度を平衡させ、平衡後の電気絶縁油中のポリ塩化ビフェニル濃度が法令に定められた無害化処理基準以下とならない場合には、前記の電気絶縁油の無害化処理による処理済電気絶縁油の環流と処理済電気絶縁油への滲出による平衡を行なうことを、前記無害化処理基準以下になるまで必要回数繰り返し行ない、平衡後のポリ塩化ビフェニル濃度が、前記無害化処理基準以下となった場合には、次いで、無害化が完了した該電気機器内の処理済電気絶縁油を電気機器から回収油槽へ抜き取り、電気機器には新たな電気絶縁油を注入することでポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生する方法。
請求項3の発明のポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステムは、0.5mg/kg超から10,000mg/kg以下のポリ塩化ビフェニルを含有する電気絶縁油を使用した電気機器と、水素ガス雰囲気中において、ゼオライト・ニッケル、又はニッケル・モリブデン、ニッケル・白金等を骨格とするニッケル系の触媒下でポリ塩化ビフェニルを脱塩素化、水素化して無害化する電気絶縁油の無害化処理装置と、電気機器の略上端、又は下端の導出口から前記電気絶縁油の無害化処理装置の注入口を着脱可能に連接する第1の配管と、水素ガス雰囲気中の前記触媒の間を通過する過程で発生する、触媒の脱塩素化、水素化反応を利用してポリ塩化ビフェニルを無害化し、処理済電気絶縁油を収容する貯油槽と、前記電気絶縁油の無害化処理装置の排出口から処理済電気絶縁油を収容する貯油槽を着脱可能に連接する第2の配管と、前記処理済電気絶縁油を収納する貯油槽から前記電気機器の前記導出口と略反対端の導入口を着脱可能に連接する第3の配管によって構成されるポリ塩化ビフェニルを含む電気絶縁油の無害化処理システムと、電気機器を無害化処理した後の電気絶縁油を抜き取り収容する回収油槽と、新しい電気絶縁油を電気機器に注入する装置で構成され、前記電気機器から前記無害化処理装置の注入口へ前記ポリ塩化ビフェニルを含有する電気絶縁油を注入し、水素ガス雰囲気中の前記触媒の間を通過する過程で発生する脱塩素化、水素化反応を利用してポリ塩化ビフェニルを無害化処理し、無害化処理装置の注入口とは反対端の排出口から、処理済電気絶縁油を貯油槽へ移送し、貯油槽と電気機器の前記導出口とは略反対端の導入口を着脱可能に連接する第3の配管によって、処理済電気絶縁油を[電気機器→電気機器の導出口→第1の配管→無害化処理装置の注入口→水素ガス雰囲気下の触媒→無害化処理装置の排出口→第2の配管→貯油槽→第3の配管→電気機器の導入口→電気機器] の循環系によって、ポリ塩化ビフェニルを含有する電気絶縁油からポリ塩化ビフェニルを除去し、電気機器内部に捕捉された電気絶縁油中のポリ塩化ビフェニルを分配の法則を利用して処理済絶縁油に滲出させ、処理済電気絶縁油と電気機器内部に捕捉された電気絶縁油のポリ塩化ビフェニル濃度を平衡させ、平衡後の電気絶縁油中のポリ塩化ビフェニル濃度が前記無害化処理基準以下となった場合には、次いで、無害化が完了した該電気機器内の処理済電気絶縁油を電気機器から回収油槽へ抜き取り、電気機器には新たな電気絶縁油を注入することでポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステム。
請求項4の発明のポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステムは、請求項3の発明において、処理済電気絶縁油と電気機器内部に捕捉された電気絶縁油のポリ塩化ビフェニル濃度を平衡させ、平衡後の電気絶縁油中のポリ塩化ビフェニル濃度が法令に定められた無害化処理基準以下とならない場合には、前記の電気絶縁油の無害化処理による処理済電気絶縁油の環流と処理済電気絶縁油への滲出による平衡を行なうことを、前記無害化処理基準以下になるまで必要回数繰り返し行ない、平衡後のポリ塩化ビフェニル濃度が前記無害化処理基準以下となった場合には、次いで、無害化が完了した該電気機器内の処理済電気絶縁油を電気機器から回収油槽へ抜き取り、電気機器には新たな電気絶縁油を注入することでポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステム。
請求項5の発明のポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステムは、請求項3、請求項4の発明において、無害化処理装置の排出口から貯油槽へ処理済電気絶縁油を移送する第2の配管から、再び無害化処理装置の注入口へ循環させる第4の配管を分岐し、第2の配管、及び第4の配管にそれぞれストップバルブを配設し、ストップバルブの開閉操作によって、前記排出口から第4の配管によって、無害化処理装置へ精製途次の電気絶縁油を、又は第2の配管によって、貯油槽へ精製を終了した電気絶縁油を、選択して流通せしめるように構成したことを特徴とし、前記電気機器内で平衡後のポリ塩化ビフェニル濃度が前記無害化処理基準以下となった場合には、次いで、無害化が完了した該電気機器内の電気絶縁油を電気機器から回収油槽へ抜き取り、電気機器には新たな電気絶縁油を注入することでポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステム。
請求項6の発明のポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステムは、請求項3、請求項4および請求項5の発明において、電気絶縁油の無害化処理装置を車載形で構成し、電気機器の据付場所に移動してポリ塩化ビフェニルを含有する電気絶縁油を使用した電気機器、及び貯油槽と現地で連接して電気絶縁油を無害化処理し、ポリ塩化ビフェニルを含有する電気絶縁油および電気機器そのものの無害化処理後は、無害化処理装置を電気機器、及び貯油槽から分離し、該電気機器とは別の場所に移動できるように構成したことを特徴とし、次いで、無害化が完了した該電気機器内の電気絶縁油を電気機器から回収油槽へ抜き取り、電気機器には新たな電気絶縁油を注入することでポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステム。
請求項7の発明のポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステムは、貯油槽及び/または回収油槽にタンクローリ車を適用したことを特徴とする、請求項3から請求項6記載のポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステム。
本発明は、PCBが変質しにくく、通常の使用環境では他の物質と化学的反応が起きないという高い安定性を利用した、いわば逆転の発想にもとづいている。
すなわち、PCBが混入した電気絶縁油を使用した電気機器は、電気絶縁油にPCBが含まれていることだけが問題なのであって、電気機器本体にはPCBが付着したり構成部材に染み込んでいるが、低濃度PCBを除く電気機器本体が有害なものに変質しているわけではない。したがって、低濃度PCBに含まれているPCBを除去、あるいは無害化すれば、電気絶縁油を含む電気機器は無害となる。本発明の重要な着目点である。
つまり、本発明の重要なポイントは、従来の、低濃度PCBと低濃度PCBを使用した電気機器本体を別々の扱いにしたうえ、「PCBは無害化したうえで廃棄するもの」、また、「PCBに汚染された電気機器本体も、付着、及び染み込んだPCBを無害化したうえで廃棄するもの」という考え方から、「電気機器そのものを組み立てた状態のまま無害化してしまう」という、これまでPCBの処理に関する法令においてすら全く想定していなかった方向に、処理の仕組みを変えてしまうことにある。
本発明の特許出願人である一社は、PCBの無害化を推進するべく、経済的で、二次公害のおそれのないゼオライト・ニッケル、又はニッケル・モリブデン、ニッケル・白金等を骨格とするニッケル系の触媒(以下、触媒という)下でPCBを無害化する方法を特許出願し、特許文献1として登録された。また、本発明者の一人は、特許文献1の発明の原理を適用した電気絶縁油の精製装置に関して、平成12年に特許文献2を出願した。特許文献1の原理と、当該原理を適用した特許文献2の無害化処理装置の発明は、[難分解性有機化合物処理技術検討・評価委員会]の審査を経て実用性が認められ、PCBの無害化処理方法である脱塩素化法の中の触媒水素還元法として、平成13年5月に前記の公的認証を得ている。さらに、前記の本発明者の一人は、平成15年に、特許文献2の発明の無害化処理能力を飛躍的に高める発明として、特許文献3を出願した。
特許第1982066号(特公平7−10995号公報) 特開2001−279290号公報 特願2003−351420号
特許文献2は特許文献1の発明のPCBの無害化処理原理を適用したPCBの精製装置の発明、特許文献3は特許文献2の発明のPCBの精製能力を、さらに改良した発明で、低濃度PCBを精製装置内に循環させて連続的に無害化する処理装置である。
その無害化の仕組みをごく簡単に云えば、PCBの毒性の由来となっている塩素Clを水素Hに置換し無害なビフェニル化合物に転換するとともに、分離された塩素を食塩水の形にして除去するものである。
さて、低濃度PCBは、PCBが混入した鉱油系の電気絶縁油を指しているが、鉱油系の電気絶縁油には、「JIS C 2320 電気絶縁油」 に定められているように、鉱油を主な成分とする第1種と、鉱油とアルキルベンゼンを主な成分とする第7種がある。
第7種の電気絶縁油は、5〜10%程度のアルキルベンゼンを含むものが実用に供されている。
したがって、PCBの無害化処理によって鉱油、及び/又は、鉱油とアルキルベンゼンが受ける影響をする必要がある。
例えば、脱塩素・水素化反応による無害化処理で、前記の公的認証を得ている触媒水素還元法では、低濃度PCBの主要成分である鉱油、アルキルベンゼン、及びPCBの無害化処理による影響は次のようである。
水素還元法は、鉱油の製造過程に適用される精製法であり、水素化された鉱油には有害な変性はない。
むしろ、経年等による酸化など、PCBを含む電気絶縁油の劣化が進んでいる場合は、水素還元によってPCBの無害化とともに鉱油が精製されることになる。
PCBは、ごく微量であり、かつ鉱油よりも絶縁特性がよいといえる物質で、水素化されたとしても鉱油の構成成分に近づく程度であることが期待される。実際に鉱油とPCBの混合物である低濃度PCBの無害化処理後に電気絶縁特性を実験した結果、処理済電気絶縁油は、前記の電気絶縁油のJIS規格を満足していることが確認できた。本発明者が発明し、出願中の特許文献4にその結果が示してあるので、詳細は省略する。
特願2004−019498号
アルキルベンゼンも、電気絶縁油の絶縁性能の改良材として使用されている物質であり、電気絶縁油中には5〜10%程度しか使用されていないことから、水素化による影響は大きくないことが期待できる。実際に、触媒水素還元法により実験した結果、アルキルベンゼンの水素化が確認できた。ここにおいて、触媒水素化反応の強みは、アルキルベンゼンの化学反応においても、水素化反応しか起こらないので、アルキルベンゼン由来の生成物が、炭化水素化合物を主体とする電気絶縁油の構成成分と近似な物質となっていることである。
しかし、無害化処理を実施すると、水素化によりアルキルベンゼンそのものは減少することになるので、当初の電気絶縁油から特性の変化がありうる。アルキルベンゼンは種類が多く、また構成割合も特定されていないことから電気機器への影響の度合いを確定するのは容易ではなく、結局、低濃度PCBを使用している変圧器個別に検証を要するような状況に立ちいたらざるを得ない。
すなわち、先に出願した特許文献3の装置、すなわち、無害化処理だけで、電気機器自身を継続的に使用可能に再生できる場合には限りがある。
無害化処理後の電気絶縁油成分を分析し、不足するアルキルベンゼンを補充する考え方もあるが、電気絶縁油の成分分析に費用および日数がかかることと、電気絶縁油メーカがアルキルベンゼンの種類、配合割合を公表していないことから、これは現実的ではない。
そこで、本発明では、無害化処理後に処理済電気絶縁油を抜き取り、別に用意したPCBを含有しない電気絶縁油(以下新油と記述することがある。)に交換する手法を採る。
後述するように、絶縁油を交換しても絶縁紙等に5%程度の処理済電気絶縁油が残留しており、新油と混合するが、アルキルベンゼンに由来する変性品は、もはや5〜10%の5%程度、すなわち電気絶縁油中の構成割合は0.25〜0.5%となって、影響を懸念する必要がなくなる。
ただし、このような対応が可能であるのは、低濃度PCBの無害化処理に際して、水素化以外の反応が起きない特定の化学反応を利用した場合に限られる。その点で、触媒水素還元法はアルキルベンゼンを含む低濃度PCBの無害化処理にきわめて適した方法といえる。
本発明によれば、低濃度PCBを使用している電気機器を、電気機器が据え付けられている現場で、電気機器を組み立てたまま無害化することができる。しかも、電気機器の無害化処理後に新たな電気絶縁油に入れ替えることで、該電気機器を継続的に使用することが可能である。
すなわち、本発明は次のような効果をもたらすものであると云える。
1)電気機器をそのまま使い続けることが出来るので、代わりの電気機器を新たに製作 する必要がない。
2)電気絶縁油と、電気機器本体を別々に無害化処理する従来の方法に比べ、格段に経 済的にPCBを無害化処理できる。
3)電気機器を系統から切り離す必要、及び代わりの電気機器に繋ぎ代える作業が生じ ないので、作業に要する費用、及び時間が不要。
4)電気機器を現地から運び出す費用と時間、及び代わりの電気機器を搬入して据え付 ける費用、及び時間が生じない。
上記に示す効果、すなわち経済的、及び時間的効果は膨大で、計り知れないほどであることが期待できる。
しかし、何よりも大きな効果は、大形の電気機器を無害化できるようになることにともなう基幹的社会インフラとしての電力の安定供給に貢献できることである。
以下に、本発明の具体的内容を、実施例により詳細に説明する。
本発明では、低濃度PCBおよび電気機器の無害化処理と、電気機器を継続して使用できるようにする再生の2つの工程で行われる。
図1は特許文献3の発明を応用した低濃度PCBの無害化処理装置1と変圧器2、及び処理済電気絶縁油6bを蓄える貯油槽23を組み合わせて構成した電気絶縁油の精製システムにより、変圧器2そのものを無害化し、無害化処理後に電気機器から抜き取る処理済電気絶縁油の回収油槽29と、新油の電気絶縁油注入装置31により、処理済電気絶縁油を抜き取り、新油に交換することで、電気機器を継続使用可能に再生することを説明するための、本発明の具体的な構成を説明する図である。無害化処理装置1は、変圧器2、及び貯油槽23を除く低濃度PCB6aの精製装置全体を意味しており、回収油槽29、新たな電気絶縁油30、および電気絶縁油注入装置31と組み合わせることで、電気機器を継続使用可能に再生するシステムを構成する。
なお、変圧器2は、電気機器一般を代表しており、低濃度PCB6aを使用している電気機器であれば、機種を問わず、どういう電気機器であってもよい。また、無害化処理装置1は前記の公的認証を受けた無害化処理法による精製装置であるが、低濃度PCB6aを無害化するとともに、電気絶縁油として使用できるようにするものであれば、無害化処理方法は、触媒水素還元法に限定されない。
第1の工程となる無害化処理は次のとおりである。
変圧器2の略下端の導出口3と連接し、変圧器2とは着脱可能な第1の配管4を介してポンプ5によって低濃度PCB6aを変圧器2から導出する。第1の配管4には苛性ソーダ7の投入口8が配設されており、低濃度PCB6aと苛性ソーダ7は、第1の配管4中を流通する過程やポンプ5で撹拌されて混合される。低濃度PCB6aと苛性ソーダ7の混合は、第1の配管4の途中に図示しない攪拌機を配設して行ってもよい。
次に、塩素を分離、水素化する化学反応が速やかに進展するように、加熱器9により低濃度PCB6aを150〜250℃に加熱した後、精製装置本体10の容器11の上端に設けた注入口12から低濃度PCB6aを注入する。
さて、容器11中には、触媒13があらかじめ封入してあり、精製装置本体10に注入された低濃度PCB6aは、触媒13に接触しつつ容器11内を精製装置本体10の下部に設けた貯留部14に向かって移動する。このとき、容器11の水素ガス供給口15から水素ガス16を送り込み、低濃度PCB6aに含まれているPCBから、触媒13の表面で塩素を離脱させ塩化水素に変化させる。生成した塩化水素は、低濃度PCB6aに混ぜられている苛性ソーダ7によりただちに中和されて食塩(NaCl)+水(HO)=食塩水に変化する。
貯留部14にはPCBの測定装置17が設置してあり、PCBの無害化の進展をチェック出来るようになっている。
貯留部14の排出口18は、食塩分離フィルタ19、油水分離器20、ポンプ21が配設された、着脱可能な第2の配管22によって貯油槽23と連接されており、測定装置17によって、低濃度PCB6aの無害化の進展状況を測定し、無害化が達成されている場合は、低濃度PCB6aが無害化された処理済電気絶縁油6bは、第2の配管22から貯油槽23に移送される。
PCBから分離された塩素と余剰の苛性ソーダ7、及び水素ガス16が化学反応して生じた食塩と水は何れも変圧器2にとって不都合なので、変圧器2を継続して使用する場合には、処理済電気絶縁油6bが変圧器2に還流する前に除去しておかなければならない。
無害化処理装置1の低濃度PCB6aの処理能力は、変圧器2に使用されている低濃度PCB6aの全量を一度に無害化処理する能力を有している必要はない。無害化処理装置1の精製能力に見あった分量づつ低濃度PCB6aは無害化され、処理済電気絶縁油6bとなって順次、貯油槽23に送られてくる。
変圧器2では、低濃度PCB6aの抜き取りを行なう間にも、前記絶縁油浸透性材からの滴下により、低濃度PCB6aの回収が進む。
貯油槽23は、変圧器2の低濃度PCB6aのほぼ全量を収納する容量を有しており、変圧器2の低濃度PCB6aの「ほぼ全て」が無害化されるまで貯油される。ただし、この段階でPCBが無害化されるのは、変圧器2に使用されている低濃度PCB6aの「ほぼ全て」であって、「全量」ではない。すなわち、前記のごとく、変圧器2に使用されている低濃度PCB6aには、変圧器2の容器に付着したり、絶縁紙等に捕捉されている分があり、ポンプ5によって変圧器2から排出できる低濃度PCB6aには限りがある。
変圧器2から抜き取り無害化した処理済電気絶縁油6bは、貯油槽23と着脱可能な第3の配管26を介して、変圧器2の導出口3とは略略反対側にある導入口27から変圧器2に還流される。
低濃度PCB6aを無害化するに際して、一旦150〜250℃に加熱したが、変圧器2の電気絶縁油の許容温度は、概ね100℃程度に設計されていることから、この温度のままで処理済電気絶縁油6bを戻すわけにはいかない。しかし、無害化処理装置1の後段に貯油槽23がある場合、貯油槽23に投入、あるいは貯留されている間に冷めてしまうので、変圧器2に還流する前に温度確認が必要ではあるものの、処理済電気絶縁油6bを貯油槽23に一旦留置することは好都合である。
第2の配管22の途中には、加熱器9を介して精製装置本体10の注入口12と連通する着脱可能な第4の配管24が分岐して配設してあり、第4の配管24と第2の配管22には、それぞれストップバルブ25aとストップバルブ25bが装着してある。低濃度PCB6aのPCB濃度が高いなどの理由で、測定装置17によって低濃度PCB6aの無害化が不十分と判定された場合、精製途次にある低濃度PCB6aは、第2の配管22の途中から第4の配管24を通って加熱器9を介して精製装置本体10に環流させ無害化処理を継続できるようになっている。
精製装置1が、この環流系を有すること、すなわち低濃度PCB6aを循環させて所望の無害化水準を達成出来るようにしてあることは、特許文献3に詳しく説明してある。
第2の配管22から貯油槽23に移送するか、加熱器9を介して精製装置本体10に循環させるかは、ストップバルブ25aとストップバルブ25bの開閉装置操作によって制御される。すなわち、無害化処理を継続している間はストップバルブ25aを開、ストップバルブ25bを閉とし、精製装置本体10から排出された無害化が進行中の低濃度PCB6aを第2の配管22から第4の配管24を介して精製装置本体10に必要回数だけ循環させる。PCBの無害化反応が終了したらストップバルブ25aを閉、ストップバルブ25bを開とし、第2の配管22から処理済電気絶縁油6bを貯油槽23に導出する。
なお、第4の配管24は、第2の配管22から分岐するのではなく、貯留部14に第2の配管22と併設してもよい。
本発明の具体的な構成を説明した図1では、低濃度PCB6aの導出口3を変圧器2の下端、処理済電気絶縁油6bの導入口27を変圧器2の上端に配置してあるが、上下は逆であってもよい。変圧器2を通常に運転している場合には、もともと通電等によって温度が高くなった絶縁油が上部に上がって来やすいことから、低濃度PCB6aの導出口3を変圧器2の上端側、処理済電気絶縁油6bの導入口27を変圧器2の下端側とすることが適切な場合もある。何れとするかは、この電気絶縁油の無害化処理システムの運用方法に応じて決めればよい。
また、PCBの測定装置17を貯留部14に設置する場合について説明したが、測定装置17のコストや、分析に要する時間によっては、測定装置17は精製装置本体10に付加しないで、例えば別に用意した分析装置や既存の分析装置を使用してもよい。
そのほか、精製装置本体10の大きさや製作費によっては、貯留部14を精製装置本体10から分離し、第2の配管22の途中に設置してもよい。
窒素ガス28は、精製装置本体10内に空気が侵入して水素ガス16と反応するのを防止するための保安用である。
なお、この電気絶縁油の精製システムは、有害性がいわれているPCBを扱い、かつ変圧器2の据付場所で化学処理を行うものであることから、変圧器2を含めクローズドシステムとして構成することが必要である。
本発明は、前記のとおり、主に大形の変圧器等の電気機器そのものを無害化することをねらいとしているが、一口に大形変圧器といっても、その容量には、比較的小形の10MVA級品から300MVAを超えるような大きな電気機器があり、電気絶縁油の使用量には数十倍の差がある製品群がある。無害化する対象変圧器2の大きさに見あって精製装置1を適宜の精製能力を付与することが適当な場合もあろうが、精製能力の比較的小さい精製装置1によって、いろいろな容量の変圧器2に適用することは、経済性の観点から重要で、本発明を適用する変圧器2の容量や、無害化処理をする数量、処理期間等を考慮して精製装置1の精製能力を決めることが必要がある。
さて、変圧器2には、変圧器2の構成部材である絶縁紙やプレスボード、木質材等の電気絶縁油浸透性材に、電気絶縁油とともにPCBが染み込んでいる。これらのPCBも無害化しなければ変圧器2を無害化したことにはならない。
本発明の重要な点は、変圧器2の低濃度PCB6aを無害化処理装置1の処理能力に応じて、無害化を行ないながら、前記の絶縁油浸透性材等から変圧器2内に滴下して溜まる低濃度PCB6aを更に変圧器2から抜き取ること、無害化処理を行なって貯油槽23へ蓄えた処理済電気絶縁油6bを変圧器2に還流し、変圧器2に残留する低濃度PCB6aを処理済電気絶縁油6b中に滲出、溶解させ、十分低濃度化した処理済電気絶縁油6b中のPCB濃度と平衡させることで、無害化に関する、いわゆる卒業基準を達成させる手法を採っていることである。
自然滴下と、溶解平衡をもたらす分配の法則の最適な活用について説明する。
自然滴下について説明する。
変圧器の容器壁面等に付着した電気絶縁油、及び絶縁紙等の絶縁油浸透性材に捕捉された電気絶縁油に対し、重力による自然滴下による付着量、及び捕捉量の減少について実験した結果を図2、及び図3に示す。
図2は、電気絶縁油の入った小形変圧器の容器から電気絶縁油を抜き取ったあと、該容器を逆さにした場合の、容器の壁面に付着した電気絶縁油の減少状況を実験した結果である。付着電気絶縁油の減少量は、容器の重量変化から換算した。図2によれば約1分で使用電気絶縁油の0.1%が容器壁面等に留まっているだけになる。つまり、短時間でほとんどの電気絶縁油は滴下してしまう。したがって、実際にPCBの無害化処理を行う場合は、低濃度PCB6aを変圧器2から無害化処理装置1に移送する間に、変圧器2の容器の壁面等に付着しているだけの低濃度PCB6aは、変圧器2の底部に滴下してしまい回収できるので、特に気を配る必要はない。
図3は、変圧器の中身をつり上げた状態で、絶縁紙等に捕捉された電気絶縁油を自然滴下させた場合の、捕捉されている電気絶縁油の減少状況を実験した結果である。この場合も、変圧器の中身の重量変化から電気絶縁油の捕捉量を換算して求めた。
変圧器の中身の場合は、中身をつり上げ、自然滴下を開始してから12時間後も電気絶縁油全量の約6%が捕捉されている。図3の捕捉量には、変圧器の中身に単に付着しているだけの電気絶縁油も含まれているが、単に付着しているだけの電気絶縁油は、前記のとおり、ほとんどが速やかに滴下してしまうことから、前記6%の電気絶縁油は、絶縁油浸透性材に染み込み捕捉された分であると云って差し支えない。
なお、自然滴下を開始してから12時間経過後までには、絶縁紙等に捕捉されている低濃度PCB6aのうち、重力によって自然滴下する分が相当量あり、変圧器2から低濃度PCB6aを抜き取り、無害化処理を行ないながら貯油槽23へ処理済電気絶縁油6bを貯留してゆく間にも、自然滴下分の回収が進む。また、抜き取り後に変圧器2の底に溜まる低濃度PCB6aについても、適宜の時間間隔で変圧器2から低濃度PCB6aを回収して貯油槽23に移送することが実用的に重要である。
溶解平衡について説明する。
濃度の高いPCBを含む電気絶縁油が染み込んだ絶縁紙等を、PCBを含まないか、濃度の低いPCBを含む電気絶縁油に浸漬すると、絶縁紙等に捕捉されているPCB濃度の高い電気絶縁油からPCBが、PCBを含まないか濃度の低いPCBを含む電気絶縁油中に滲み出してくる。これを分配の法則といい、PCB以外でも起こる普遍的な物理現象である。絶縁紙等に捕捉されている電気絶縁油中のPCB濃度と、単独の液状で存在する電気絶縁油中のPCB濃度が平衡(等しくなる)に達すれば、PCBの滲み出しは停止する。
分配の法則とPCBの関わりについては、例えば非特許文献1にPCBが生物に蓄積される過程で、生体内に蓄積される濃度が、分配の法則の作用による周囲環境との平衡によって決まってくる事例が説明されている。本発明では、この法則を高濃度化ではなく、PCBの低濃度化に利用している。
「環境汚染物質シリーズ PCB」、社団法人 日本化学会編、昭和55年、p.23〜p.25
図4に約20ppmの低濃度PCBが混入した小形変圧器から電気絶縁油を抜き取り、PCBを含まない新油である電気絶縁油に入れ換えた場合の、変圧器本体から新油中へのPCBの滲出、溶解状況を測定した実験結果を示す。絶縁紙等に捕捉されたPCBは、電気絶縁油を交換した直後から新油中へ溶解を始め、新油中のPCB濃度が上昇するにしたがい滲出速度が低下する。この実験では、約25日で新油中のPCB濃度が飽和に達した。このときの新油中のPCB濃度は、絶縁紙等に捕捉され変圧器中に残留したPCBの総量から計算した平衡時の濃度に合致することが確認された。絶縁紙等から電気絶縁油中へのPCBの滲出、溶解速度、すなわち電気絶縁油中と絶縁紙等に捕捉されている電気絶縁油中のPCB濃度が平衡するまでの時間は、PCB濃度や絶縁紙などの絶縁油浸透性材の種類、量等によって異なるが、前記のとおり、小形の変圧器でも1ヶ月程度を要する。構造が複雑で、使用されている絶縁紙等の量の多い大形電気機器ではさらに長期間を要すると考えられる。実際の低濃度PCB6aの処理に際しては実態に即して日程計画を立てなければならない。
さて、大形の変圧器2では、通電によって温度が上昇した電気絶縁油が変圧器2の上部に滞留しないよう、送油自冷形や送油風冷形と呼ばれるように、電気絶縁油を変圧器2内部で循環させて、変圧器本体、及び電気絶縁油の冷却を行っている。つまり、変圧器2には、電気絶縁油の循環経路が意図的に設計されているので、変圧器2に使用されている低濃度PCB6aは、効率的に無害化処理装置1に導出され無害化反応が進んで、処理済電気絶縁油6bとなって、変圧器2に環流されてくる。この過程で、変圧器2の構成部材である絶縁紙等に浸透している低濃度PCB6aから、前記の分配の法則にしたがってPCB濃度の薄まった処理済電気絶縁油6b中にPCBが滲出、溶解し、やがて絶縁油浸透性材中のPCB濃度と処理済電気絶縁油6b中のPCB濃度は平衡する。
PCBの無害化処理は、電気絶縁油中のPCBの濃度が0.5mg/kg(=0.5ppm)。以下になれば、いわゆる卒業基準に達し、特定有害産業廃棄物とする必要がなくなることが廃掃法で定められている。上記で説明した方法によって、変圧器2内の絶縁紙等に残存しているPCBが、無害化が進展した処理済電気絶縁油6b中に抽出され、絶縁紙等に捕捉されているPCBと処理済電気絶縁油6b中のPCBの両者のPCB濃度が平衡状態に達したときに卒業基準を満たすようにすれば、低濃度PCB6aは無害な処理済電気絶縁油6bになって変圧器2そのものが無害な機器となる。
アルキルベンゼンについては、無害化処理の前、又は後に、蒸留などのよく知られた方法によって分離し、低濃度PCB6aから除去するとともに、無害化処理の後に不足となる分を補充することによって機能回復を図ってもよいが、本発明のような小規模な設備で確実に分離、補充をすることは容易ではない。それよりは、無害化した絶縁油は抜き取り、燃料油等のリサイクルに回し、電気絶縁油メーカがアルキルベンゼンを配合している新しい電気絶縁油に交換した方が速やかな処理が出来、かつ経済的にも有利であることは明らかである。
さて、変圧器2の低濃度PCB6aを処理するには、無害化処理装置1の後ろに貯油槽23を設けず、変圧器2と無害化処理装置1を直接に連接し、電気絶縁油の循環を行なう方法も考えられ、本発明者は特許文献5を出願しているが、無害化処理装置1と変圧器2を直接に連接し、貯油槽23を設けずに循環を行なう方法では、前述の温度の上がった処理済電気絶縁油6bを変圧器2に戻すために冷却器を必要とするが、貯油槽23を設けると、前記のようにこの冷却器は不要とできる。
また、特許文献5の貯油槽23を設けない方法では、変圧器2の低濃度PCB6aを一旦抜き取ることは無く、処理済電気絶縁油6bが変圧器2へ逐次戻り、低濃度PCB6aと混じることから、変圧器2の電気絶縁油中のPCB濃度は逐次低下してゆくので、無害化処理装置1の処理能力、すなわち電気絶縁油の循環流量が一定の場合、PCBを計画濃度まで除去するためには、電気絶縁油の循環量が増えることになり、PCBの除去が効率的ではない。
他方、貯油槽23を設け、低濃度PCB6aを無害化処理し、処理済電気絶縁油6bを一時的に蓄えるこの方式では、変圧器2の低濃度PCB6aを一旦抜き取ることになり、変圧器2内部での自然滴下が利用でき、低濃度PCB6aの回収が進む。低濃度PCB6aの「ほぼ全て」を無害化処理して貯油槽23へ、無害化処理の1回分として貯留したのち、処理済電気絶縁油6bを変圧器2へ環流できるので、PCB除去が効率的である。変圧器2の初期PCB濃度が低い場合には、前記の無害化処理と環流と平衡を1回行なえば、電気絶縁油中のPCB濃度は、法に定める無害化処理基準以下を達する場合もある。
無害化処理と環流と平衡を繰り返し行なう必要のある場合でも、低濃度PCB6aの無害化処理が1回分づつ行なえるというのは、低濃度PCB6aが無害化処理の為に高温となる回数が減ると言うことであり、電気絶縁油を高温にさらすことによる劣化を最小限とすることができるなど、特許文献5の方法に比べ、貯油槽23を設ける方法は優れている。
特願2004−019490号
次ぎに、第2の工程である。
第2の工程は簡単である。すなわち、低濃度PCB6aを無害化処理した処理済電気絶縁油6bを変圧器2から抜き取り、新油である電気絶縁油に交換する。交換する電気絶縁油は、変圧器2に最初に使用されていた電気絶縁油と同種、又は、技術進歩に適応して最適油種を選定するのがよい。
なお、この処理によっても、変圧器2に捕捉され、無害化反応の影響を受けたアルキルベンゼンを含む処理済電気絶縁油6bが5%程度残留するが、これまでの説明で明らかなように、鉱油成分は変成を受けず、むしろ精製される。残留するアルキルベンゼンに起因する変性物は微量であり、かつ、もともと電気絶縁油の構成成分と近似な物質であり、電気絶縁性能に大きな影響を及ぼす懸念はない。
以上、本発明を具体的に説明したが、その要するところの第1は、低濃度PCB6aを使用した変圧器2と無害化処理装置1を連接して、低濃度PCB6aを変圧器2から、無害化処理装置1へ送り、低濃度PCB6aの塩素を分離して無害化した処理済電気絶縁油6bを貯油槽23へ一時的に蓄えることで、変圧器2内部の絶縁油浸透性材等からの滴下分を更に回収し、その後、処理済電気絶縁油6bを貯油槽23から変圧器2へと循環させ、変圧器2の構成部材である絶縁紙等に含まれている低濃度PCB6aから分配の法則を利用して、無害化が進展してPCB濃度が低下した無害化処理途次の低濃度PCB中にPCBを滲出させて溶解させる。この循環を、低濃度PCB6aに含まれるPCBの濃度を、いわゆる卒業基準に到達するまで遂行する。また、第2は、無害となった変圧器2から処理済電気絶縁油を抜き取り、新しい電気絶縁油に交換して、新油を使用した機器と同様にしてしまうものである。
変圧器そのものを継続的使用可能に再生できるという、これまでにない特徴を有する低濃度PCBの無害化処理方法であるにもかかわらず、きわめて簡潔な処理方法であり、電気絶縁油に不都合となる化学変化をともなわない脱塩素、水素化により無害化する処理装置と変圧器を、変圧器が据え付けられている現地で連接し、分配の法則を最適に活用して無害化するところが本発明の大きな特徴である。
ここまで、本発明を、変圧器2が据え付けられている現地で無害化処理を行う場合について説明したが、現地から移動できる変圧器2が多数ある場合には、固定的な無害化処理施設を設置して無害化処理装置1を据付け、変圧器2を無害化処理施設に運んで無害化処理してもよい。小形の変圧器に本発明を適用する場合は、そのようにした方が経済的で、かつ効率的である。
変圧器2の据付現場に無害化処理装置1を運んで無害化処理を行うか、固定的な無害化処理施設に無害化処理装置1を据付け、変圧器2を無害化処理施設に運んで無害化処理するかは、経済性、効率性、所要期間等、実情に応じて決めればよい。
なお、変圧器2の無害化処理を行なう場合、無害化処理装置1は、低濃度PCB6aの無害化処理が済んだら、変圧器2から分離し、次の変圧器2の無害化処理を行えるようにすることが経済的で望ましい。そのためには、無害化処理装置1は、車載形や可搬形で構成するのがよい。特に車載形とすれば迅速な移動が可能で、速やかにPCBを無害化処理するという社会的要請に沿うものとなる。図5は、車載形の無害化処理装置1を使用した変圧器2を無害化処理し継続使用可能に再生するシステムである。
また、上記では無害化処理装置1を車載形とし、図5では、貯油槽23、および回収油槽29を独立した容器のように説明しているが、貯油槽23は、可搬形であることが望ましく、タンクローリ車のような市販車をそのまま利用してもよい。低濃度PCB6a、または処理済電気絶縁油6bの収容量に制約があるが複数の車輌を連接すれば対処でき、再利用に向いている。また、無害化処理装置1を車載型に構成した場合は、貯油槽23となるタンクローリ車33、回収油槽29となるタンクローリ車34と同期して運用することが容易となって、一層利用効率が高まり、迅速で、かつ経済的に低濃度PCB6aを無害化処理することが可能である。他の実施例として、貯油槽23にタンクローリ車33を、回収油槽29にタンクローリ車34を、新たな電気絶縁油30の供給にタンクローリ車35を適用した場合について図6に示す。
本発明における低濃度PCBに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステムの一実施例を示す図である。 変圧器の容器に付着した電気絶縁油が、重力による自然滴下によって減少していく実験結果を示す図である。 変圧器の中身の絶縁紙等に捕捉された電気絶縁油が、重力による自然滴下によって減少していく実験結果を示す図である。 PCBの絶縁油中への滲出、溶解状況を測定した実験結果を示す図である。 本発明における低濃度PCBに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステムの他の実施例を示す図である。 本発明における低濃度PCBに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステムの他の実施例を示す図である。
符号の説明
1 無害化処理装置
2 変圧器
3 導出口
4 第1の配管
5 ポンプ
6a 低濃度PCB
6b 処理済電気絶縁油
7 苛性ソーダ
8 投入口
9 加熱器
10 精製装置本体
11 容器
12 注入口
13 触媒
14 貯留部
15 水素ガス供給口
16 水素ガス
17 測定装置
18 排出口
19 食塩分離フィルタ
20 油水分離器
21 ポンプ
22 第2の配管
23 貯油槽
24 第4の配管
25a ストップバルブ
25b ストップバルブ
26 第3の配管
27 導入口
28 窒素ガス
29 回収油槽
30 新たな電気絶縁油
31 電気絶縁油注入装置
32 車
33 タンクローリ車(貯油槽用)
34 タンクローリ車(回収油槽用)
35 タンクローリ車(新油用)

Claims (7)

  1. 0.5mg/kg超から10,000mg/kg以下のポリ塩化ビフェニルを含有する電気絶縁油を使用した電気機器と、ポリ塩化ビフェニルを脱塩素化、水素化し無害化する電気絶縁油の無害化処理装置を連接し、前記の電気機器から無害化処理装置へ前記の電気絶縁油を注入し、前記の無害化処理装置内で無害化が進展した処理済電気絶縁油を無害化処理装置から貯油槽へ蓄え、前記の電気機器内に滴下する電気絶縁油の残留分をさらに回収し、無害化処理装置へ注入し、無害化が進展した処理済電気絶縁油を貯油槽に加え、貯油槽に蓄えた処理済電気絶縁油を前記電気機器に還流し、電気機器内部に捕捉された電気絶縁油中のポリ塩化ビフェニルを分配の法則を利用して処理済絶縁油に滲出させ、処理済電気絶縁油と電気機器内部に捕捉された電気絶縁油のポリ塩化ビフェニル濃度を平衡させ、平衡後の電気絶縁油中のポリ塩化ビフェニル濃度が法令に定められた無害化処理基準以下となった場合には、次いで、無害化が完了した該電気機器内の処理済電気絶縁油を電気機器から回収油槽へ抜き取り、電気機器には新たな電気絶縁油を注入することでポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生する方法。
  2. 請求項1の発明において、処理済電気絶縁油と電気機器内部に捕捉された電気絶縁油のポリ塩化ビフェニル濃度を平衡させ、平衡後の電気絶縁油中のポリ塩化ビフェニル濃度が法令に定められた無害化処理基準以下とならない場合には、前記の電気絶縁油の無害化処理による処理済電気絶縁油の環流と処理済電気絶縁油への滲出による平衡を行なうことを、前記無害化処理基準以下になるまで必要回数繰り返し行ない、平衡後のポリ塩化ビフェニル濃度が、前記無害化処理基準以下となった場合には、次いで、無害化が完了した該電気機器内の処理済電気絶縁油を電気機器から回収油槽へ抜き取り、電気機器には新たな電気絶縁油を注入することでポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生する方法。
  3. 0.5mg/kg超から10,000mg/kg以下のポリ塩化ビフェニルを含有する電気絶縁油を使用した電気機器と、水素ガス雰囲気中において、ゼオライト・ニッケル、又はニッケル・モリブデン、ニッケル・白金等を骨格とするニッケル系の触媒下でポリ塩化ビフェニルを脱塩素化、水素化して無害化する電気絶縁油の無害化処理装置と、電気機器の略上端、又は下端の導出口から前記電気絶縁油の無害化処理装置の注入口を着脱可能に連接する第1の配管と、水素ガス雰囲気中の前記触媒の間を通過する過程で発生する、触媒の脱塩素化、水素化反応を利用してポリ塩化ビフェニルを無害化し、処理済電気絶縁油を収容する貯油槽と、前記電気絶縁油の無害化処理装置の排出口から処理済電気絶縁油を収容する貯油槽を着脱可能に連接する第2の配管と、前記処理済電気絶縁油を収納する貯油槽から前記電気機器の前記導出口と略反対端の導入口を着脱可能に連接する第3の配管によって構成されるポリ塩化ビフェニルを含む電気絶縁油の無害化処理システムと、電気機器を無害化処理した後の電気絶縁油を抜き取り収容する回収油槽と、新しい電気絶縁油を電気機器に注入する装置で構成され、前記電気機器から前記無害化処理装置の注入口へ前記ポリ塩化ビフェニルを含有する電気絶縁油を注入し、水素ガス雰囲気中の前記触媒の間を通過する過程で発生する脱塩素化、水素化反応を利用してポリ塩化ビフェニルを無害化処理し、無害化処理装置の注入口とは反対端の排出口から、処理済電気絶縁油を貯油槽へ移送し、貯油槽と電気機器の前記導出口とは略反対端の導入口を着脱可能に連接する第3の配管によって、処理済電気絶縁油を[電気機器→電気機器の導出口→第1の配管→無害化処理装置の注入口→水素ガス雰囲気下の触媒→無害化処理装置の排出口→第2の配管→貯油槽→第3の配管→電気機器の導入口→電気機器] の循環系によって、ポリ塩化ビフェニルを含有する電気絶縁油からポリ塩化ビフェニルを除去し、電気機器内部に捕捉された電気絶縁油中のポリ塩化ビフェニルを分配の法則を利用して処理済絶縁油に滲出させ、処理済電気絶縁油と電気機器内部に捕捉された電気絶縁油のポリ塩化ビフェニル濃度を平衡させ、平衡後の電気絶縁油中のポリ塩化ビフェニル濃度が前記無害化処理基準以下となった場合には、次いで、無害化が完了した該電気機器内の処理済電気絶縁油を電気機器から回収油槽へ抜き取り、電気機器には新たな電気絶縁油を注入することでポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステム。
  4. 請求項3の発明において、処理済電気絶縁油と電気機器内部に捕捉された電気絶縁油のポリ塩化ビフェニル濃度を平衡させ、平衡後の電気絶縁油中のポリ塩化ビフェニル濃度が法令に定められた無害化処理基準以下とならない場合には、前記の電気絶縁油の無害化処理による処理済電気絶縁油の環流と処理済電気絶縁油への滲出による平衡を行なうことを、前記無害化処理基準以下になるまで必要回数繰り返し行ない、平衡後のポリ塩化ビフェニル濃度が前記無害化処理基準以下となった場合には、次いで、無害化が完了した該電気機器内の処理済電気絶縁油を電気機器から回収油槽へ抜き取り、電気機器には新たな電気絶縁油を注入することでポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステム。
  5. 請求項3、請求項4の発明において、無害化処理装置の排出口から貯油槽へ処理済電気絶縁油を移送する第2の配管から、再び無害化処理装置の注入口へ循環させる第4の配管を分岐し、第2の配管、及び第4の配管にそれぞれストップバルブを配設し、ストップバルブの開閉操作によって、前記排出口から第4の配管によって、無害化処理装置へ精製途次の電気絶縁油を、又は第2の配管によって、貯油槽へ精製を終了した電気絶縁油を、選択して流通せしめるように構成したことを特徴とし、前記電気機器内で平衡後のポリ塩化ビフェニル濃度が前記無害化処理基準以下となった場合には、次いで、無害化が完了した該電気機器内の電気絶縁油を電気機器から回収油槽へ抜き取り、電気機器には新たな電気絶縁油を注入することでポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステム。
  6. 請求項3、請求項4および請求項5の発明において、電気絶縁油の無害化処理装置を車載形で構成し、電気機器の据付場所に移動してポリ塩化ビフェニルを含有する電気絶縁油を使用した電気機器、及び貯油槽と現地で連接して電気絶縁油を無害化処理し、ポリ塩化ビフェニルを含有する電気絶縁油および電気機器そのものの無害化処理後は、無害化処理装置を電気機器、及び貯油槽から分離し、該電気機器とは別の場所に移動できるように構成したことを特徴とし、次いで、無害化が完了した該電気機器内の電気絶縁油を電気機器から回収油槽へ抜き取り、電気機器には新たな電気絶縁油を注入することでポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステム。
  7. 貯油槽及び/または回収油槽にタンクローリ車を適用したことを特徴とする、請求項3から請求項6記載のポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生するシステム。
JP2004092055A 2004-03-26 2004-03-26 ポリ塩化ビフェニルに汚染された電気機器を継続使用可能に再生する方法およびシステム Pending JP2005277321A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013214678A (ja) * 2012-04-04 2013-10-17 Dowa Eco-System Co Ltd 移動式pcb液抜き方法および移動式pcb液抜き装置

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