JP2005276680A - マンガン酸リチウム系正極活物質及び全固体リチウム二次電池 - Google Patents

マンガン酸リチウム系正極活物質及び全固体リチウム二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】高容量でかつ容量の劣化が抑制され、充放電サイクル特性に優れた全固体リチウム二次電池用に適したマンガン酸リチウム系正極活物質を提供すること。
【解決手段】立方晶スピネル型構造を有し、組成式
Li1+x(Mn2-yy2-x4 (I)
(式中、MはAl、Mg、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu又はZnを示す。xは、MがMnである場合は、0<x<0.33の範囲の数であり、MがMn以外である場合は、0≦x<0.33の範囲の数である。yは、0≦y≦1の範囲の数である。)で表され、且つ1μm以下の粒子の存在比が40重量%以下であるマンガン酸リチウム系正極活物質。
【選択図】なし

Description

本発明は、無機固体電解質を電解質として用いる全固体リチウム二次電池用に適するマンガン酸リチウム系正極活物質及び該活物質を含む正極を用いた全固体リチウム二次電池に関する。
最近の国内における携帯電話、PDA、ノートパソコンなどのモバイル機器の急速な普及および高機能化に伴い、その電源としての二次電池の高性能化、低コスト化、安全性向上の要求は厳しさを増している。
かかる要求に応え得る二次電池として、現状の二次電池の中で最大のエネルギー密度を有するリチウム二次電池の生産量が急速に伸びてきている。リチウム二次電池は、通常、コバルト酸リチウム等のリチウム−遷移金属複合酸化物を用いた正極、有機電解液及び炭素負極より構成されている。
上記リチウム二次電池の構成部材の内、特に正極は電池電圧および容量を概ね決定づける重要な構成部材の一つである。現在、正極活物質として汎用されているコバルト酸リチウムは、高作動電圧かつ高容量で信頼性が高い反面、コバルト資源が希少でかつ偏在していることから原料コスト高を招いており低コスト化のための安価な正極活物質の開発が求められている。
コバルト酸リチウム系の正極活物質に代わり得る材料として、マンガン酸リチウム(LiMn24)系の材料が提案されている。その理由は、マンガン酸リチウム系材料は、コバルト酸リチウム系材料と類似した充放電特性を有し、かつコバルト化合物に比べ資源的に豊富で安価なマンガン化合物を原料として用いることができるからである。
一方、安全性向上の面からは、現状の有機電解液に比べて化学的に安定でかつ漏液の心配がない無機固体電解質を電解質として用いた全固体リチウム二次電池が提案されており盛んに研究開発が行われている。
例えば、コバルト酸リチウム又はニッケル酸リチウムを正極活物質として用い、且つ硫化物系固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池は、有機電解液を用いたリチウム二次電池に匹敵する優れた充放電特性を有することが明らかにされている(特許文献1参照)。また、マンガン酸リチウムを正極および負極の活物質として用い、リチウムイオン伝導性を有する結晶質酸化物からなる固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池も提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、これらの全固体リチウム二次電池において、有機電解質を用いるリチウム二次電池と同等以上の充放電サイクル特性を得るために、充放電サイクル特性に密接に関係する正極活物質−固体電解質接触界面でのリチウムイオン移動を考慮して、該二次電池用のマンガン酸リチウム正極活物質において、いかなる素材特性を有することが必要であるのかは未だ明らかにされていない。
従って、かかる素材特性の解明なしでは、良好な充放電サイクル特性を有する低コスト全固体リチウム二次電池の開発は困難である。
特開平8−162151号公報 特開2001−210374号公報
本発明は、高容量でかつ容量の劣化が抑制され、充放電サイクル特性に優れた全固体リチウム二次電池用に適したマンガン酸リチウム系正極活物質を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、立方晶スピネル型構造を有するマンガン酸リチウムの化学組成及び粒度分布を精密に制御することにより、優れた電池特性を有する全固体リチウム二次電池に適した正極活物質が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下のマンガン酸リチウム系正極活物質、これを含む正極及び全固体リチウム二次電池を提供するものである。
1.立方晶スピネル型構造を有し、組成式
Li1+x(Mn2-yy2-x4 (I)
(式中、MはAl、Mg、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu又はZnを示す。xは、MがMnである場合は、0<x<0.33の範囲の数であり、MがMn以外である場合は、0≦x<0.33の範囲の数である。yは、0≦y≦1の範囲の数である。)で表され、且つ1μm以下の粒子の存在比が40重量%以下であるマンガン酸リチウム系正極活物質。
2.上記項1に記載された正極活物質を含む全固体リチウム二次電池用正極。
3.上記項2に記載された正極を用い、且つ無機固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池。
4.無機固体電解質が、硫化物系無機固体電解質である上記項3に記載の全固体リチウム二次電池。
本発明のマンガン酸リチウム系正極活物質は、高容量でかつ容量の劣化が抑制されており、充放電サイクル特性に優れた全固体リチウム二次電池用として好適に利用できる。
従って、本発明のマンガン酸リチウム系正極活物質を用いた全固体リチウム二次電池は、該リチウム二次電池の低コスト化等に貢献し得る。
マンガン酸リチウム系正極活物質
本発明のマンガン酸リチウム系正極活物質は、Li/Mn比に着目した特定の化学組成を有し、且つ特定の粒度分布即ち1μm以下(サブミクロン)の粒子をできる限り低減した粉体特性を有することにより、特徴付けられる。
化学組成
本発明のマンガン酸リチウム系正極活物質は立方晶スピネル型構造を有し、組成式
Li1+x(Mn2-yy2-x4 (I)
(式中、MはAl、Mg、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu又はZnを示す。xは、MがMnである場合は、0<x<0.33の範囲の数であり、MがMn以外である場合は
、0≦x<0.33の範囲の数である。yは、0≦y≦1の範囲の数である。)で表される。
組成式(I)において、MがMnである場合、即ち異種金属イオンを含まないマンガン酸リチウムの場合は、過剰リチウム量x=0(LiMn24)でないことが望ましい。これは、LiMn24の組成を作製しようとすると、以前の報告(T. Nakamura and A. Kajiyama, Solid State Ionics, 133, 195-202, (2000)及びR. Kanno, M. Yonemura, T. Kohigashi, Y. Kawamoto, M. Tabuchi and T. Kamiyama, J. Power Sources, 97-98, 423-426, (2001))に記載されているように、酸素欠損相LiMn24-d(0<d<0.03)が生
じやすく、立方晶構造が不安定となり結果としてx>0の試料に比べて著しい充放電容量のサイクル劣化を導くことが報告されているためである。
また、x=0.33となると、Li1.33Mn1.674組成となりマンガンの形式電荷は
3.99となりほぼ4価に近くなる。マンガン酸リチウムの場合3価のマンガンが充電により4価に変化することによってリチウム脱離が可能となり充電容量が得られること、現在用いられているリチウム二次電池はリチウムイオンを構造中に有しない炭素材料が用いられ、充電しないと電池として使用できないことを考慮すると、4価のマンガン価数を有するLi1.33Mn1.674組成においては充電不可能なのでリチウム二次電池の正極活物
質として用いることができない。従ってx値はM=Mnの場合0<x<0.33に位置していることが望ましい。
一方、組成式(I)において、MがMn以外の金属である場合、即ちMn以外の異種金属を含む場合、例えば、LiNi0.5Mn1.54、LiCrMnO4、LiCoMnO4
においては、Mnイオンはすべて4価であるが、Niイオン、Coイオンが充放電可能元素として働くためx=0であっても問題はない。このような化合物は、Mnイオンの酸化還元電位である4Vに比べて高い5V領域にて充放電を行うため、有機電解液に比べ化学的安定性に優れた無機固体電解質を用いる全固体リチウム二次電池用正極活物質として好適に用いることができる。
y値に関しては、用いる金属種の価数や充放電時の作動電圧によって0から1の間で変化できる。これは、組成式中のマンガン価数(3価から4価の間でのみ変化)によって規定されているためである。上記のようにNiイオンを固溶させる場合、Niイオンは2価で入るため、組成式(I)においてマンガンがすべて4価になる組成までしか固溶させることができないので、y=0.5が固溶限界である。一方、CoやCrイオンは3価で固溶するためマンガンがすべて4価になるのはy=1までである。
粒度分布
本発明のマンガン酸リチウム系正極活物質は、1μm以下の粒子の存在比が40重量%以下と規定している。その理由は、次の通りである。
全固体リチウム二次電池において正極活物質は、充放電時に粉末表面においてリチウムイオンおよび電子のやりとりを固体電解質、集電体との間で行っているため、粉体の比表面積が大きければ大きい(粒子径が小さい)ほど容易に上記界面でのイオン、電子のやりとりが行えることが期待できる。しかしながら、粒径の小さな粒子は、充填性に乏しく電極内に空隙が多く含まれるため、結果として固体電解質や集電体との界面接触面積が小さくなってしまい充放電サイクル特性が向上しないことが考えられる。そのため1μm以下(サブミクロン)の微粒子量はできる限り低減する必要がある。
従って、本発明におけるマンガン酸リチウム系正極活物質は、1μm以下の粒子の存在比即ち含有量が40重量%以下であることが必要である。また、当該物質の1μm以下の
粒子存在比は、35重量%以下であることが好ましい。
本発明のマンガン酸リチウム系正極活物質の平均粒径は、通常、10μm以下である。かかる粉末試料内のサブミクロン粒子含有量を見積もる方法としては、特に限定されないが、通常の粒度分布計、走査型電子顕微鏡観察による方法等を採用できる。例えば、レーザー回折・散乱式粒度分布計を用いて、試料を0.2重量%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液などに分散させた後、0.03μmから280μmまでの範囲で粒度分布測定を行い1μm以下の粒子含有量を算出できる。
マンガン酸リチウム系正極活物質の製造方法
本発明の特定の化学組成及び特定の粒度分布を有するマンガン酸リチウム系正極活物質の製造方法は、特に限定されない。
例えば、リチウム源、マンガン源及び異種金属源を、所定モル比で、乾式混合又は湿式混合し、大気中、還元雰囲気中、酸化雰囲気中等で、500〜1,200℃程度の温度範囲で焼成し、必要に応じて、分級することにより、調製することができる。
上記製造方法において、800℃以上の焼成温度域では、Liの揮発が顕著になるため目的組成より過剰のリチウム源を加えて焼成しても良い。また、得られた試料をふるい等を用いて分級することによって、サブミクロン粒子量を更に低減しても良い。
リチウム源としては、例えば、水酸化リチウム、炭酸リチウム、酢酸リチウム、硝酸リチウム、塩化リチウムなどの無水物、水和物等を使用することができる。マンガン源としては、例えば、水酸化マンガン、酸化水酸化マンガン、シュウ酸マンガン、マンガン酸化物、炭酸マンガン、酢酸マンガン、硝酸マンガン、塩化マンガンなどの無水物、水和物等を使用することができる。異種金属源としては、例えば、Al、Mg、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn等の金属の水酸化物、酸化物、酸化水酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、酢酸塩、塩化物などの無水物、水和物等を使用することができる。
得られたマンガン酸リチウム系正極活物質は、できる限りマンガン酸リチウム相単相であることが望ましいが、充放電特性に重大な劣化を引き起こさない限り、炭酸リチウム、水酸化リチウム、他のリチウムマンガン酸化物(Li2MnO3、LiMnO2等)、マンガン酸化物、異種金属酸化物などが含まれていても良い。
得られた本発明のマンガン酸リチウム系正極活物質は、正極活物質として高い機能を有するものであり、必要に応じて、導電材、バインダー樹脂等を加え、常法に従って、正極を作製することができる。
全固体リチウム二次電池
上記本発明マンガン酸リチウム系正極活物質を用いて作製した正極、固体電解質、負極等を構成部材として、充放電サイクル特性等に優れた全固体リチウム二次電池を調製することができる。
電池構成部材は、上記正極を用いること、電解質として無機固体電解質を用いること以外は、特に限定されない。無機固体電解質としては、例えば、硫化物系固体電解質、酸素酸塩系固体電解質等を用いることができる。その中でも硫化物系固体電解質は室温で高いイオン導電性を示すこと、粒界抵抗が低いため電池作製が容易であることから特に好ましい。
硫化物系固体電解質としては、例えば、Li2S−P25、Li2S−B23、Li2
−SiS2系などのガラス系電解質、Li4-xGe1-xx4(0.2≦0x≦0.8)な
どの結晶系電解質を使用することができる。また、酸素酸塩系固体電解質としては、例えば、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO43、Li1.4Al0.4Ge1.6(PO43などを使用することができる。
上記固体電解質は単体でも混合物でも用いることができ、正極と負極の間に介在させるだけでなくマンガン酸リチウム系正極活物質との界面接触面積を多く取るため正極側に混合させても良い。その混合方法も通常の乾式混合ばかりでなくアセトニトリルなどの溶媒を用いた湿式混合を必要に応じて使い分けることが出来る。また、その正極側に入れる固体電解質と正極−負極を隔てる電解質の種類は、充放電特性に重大な影響を及ぼさない限り一致させる必要はない。
負極としては、リチウム二次電池に用いられる炭素材料に加えて、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミニウム、チタン酸リチウムなどを用いることができる。
本発明の全固体リチウム二次電池は、例えば、次のようにして作製することができる。即ち、マンガン酸リチウム系正極活物質粉末と硫化物系固体電解質粉末を、グローブボックス中で、重量比7:3の割合で秤量後、試薬瓶に入れアセトニトリル溶媒およびジルコニアボールを加えよく振盪させた後、大気にさらすことなく65℃で1時間程度真空乾燥することにより溶媒を除去して、正極合材粉末を得る。ポリエチレンテレフタレート(PET)管中に、硫化物固体電解質粉末を入れ、上下より金属押し棒に挟んだ後185MPaにてプレスし、固体電解質層を形成する。その一方に作製した正極合材粉末を入れ同様に370MPaにてプレスし、その後集電体であるチタンメッシュ及びチタン箔を正極合材の上に入れ、再度555MPaにてプレスする。
図1に、全固体リチウム二次電池の一例の断面図を示す。図1のリチウム二次電池に、上記正極および電解質層を含むPET管を組み込み、正極と反対側に負極としてインジウム金属箔を入れ、再度上部よりプレスすることにより全固体リチウム二次電池が作製できる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより一層具体的に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
なお、各例で得られた生成相は粉末X線回折測定により確認し、マンガン酸リチウム系粉末の形状は走査型電子顕微鏡(SEM)観察した。また、マンガン酸リチウム系粉末の粒度分布は、レーザー回折・散乱式粒度分析計を用いて、測定した。
実施例1
シュウ酸マンガン2水和物0.1mol(17.90g)を秤量し、電気炉にて大気中400℃、5時間熱分解して、0.05molのMn23微粉末を作製した。得られた粉末に対し水酸化リチウム1水和物をLi/Mn比0.54(0.0135mol)になる量(0.566g)を加え、乾式法にて十分に混合した。混合物を500kg/cm2
錠剤成形後、電気炉に入れ、大気中850℃、10時間焼成した。得られた粉末を加熱可能な圧力容器に入れ、酸素ガスを5atmまで導入後、400℃、20時間熱処理し、室温まで冷却後圧力容器より取り出し、目的とするマンガン酸リチウム系粉末(Li1.05Mn1.954)を得た。
得られた試料のX線回折図形より、すべてのピークが
で表されるマンガン酸リチウムの単位胞で指数付けできた。得られたマンガン酸リチウムの格子定数は8.227Åであり、前記文献(J. Power Sources, 97-98, 423-426, (2001))に記載されているマンガン酸リチウムの格子定数8.23634(13)Åに近く、マンガン酸リチウム粉末が得られたことがわかる。
図2に、得られた粉末のSEM写真を示す。このSEM観察により、この粉末は、粒子径0.5〜2μm程度の粒子からなっていることがわかった。
図3(b)に、得られた粉末の粒度分布の測定結果を示す。図中、縦棒が各粒径での分率、黒丸が累積分布を示す。測定は、粉末試料を、0.2重量%のヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液に分散させた後、0.03μmから280μmまでの範囲で粒度分布測定を行った。図3(b)より、平均粒径2.4μm(図中の累積粒度分布が50%の累積度数と交差する点)で、1μm以下の粒子の存在比は17重量%と見積もられ、サブミクロン粒子量の少ないマンガン酸リチウム系粉末が得られていることがわかる。
得られた粉末210mgをグローブボックス中で秤量し、粉砕した硫化物ガラス粉末(0.01Li3PO4−0.63Li2S−0.36SiS2組成)90mgとともに試料瓶に入れた。この試料瓶に、ジルコニアビーズおよびアセトニトリル5mlを加え、ふたをして10分間振盪した。振盪後、試料瓶を大気にさらすことなく真空乾燥器に入れ65℃、1時間程度真空乾燥してアセトニトリルを蒸散させた。得られた正極合材を室温まで冷却後、電池試験用に用いた。
粉砕した硫化物ガラス粉末(0.01Li3PO4−0.63Li2S−0.36SiS2組成)70mgと上記正極合材20mgをグローブボックス中で秤量した。
図1中の内径10mmのPET管と金属押し棒を用いて、PET管内に硫化物ガラス粉末を充填し、185MPaにて乾式プレスし固体電解質層を形成した。プレス後、金属押し棒の片側を開け、正極合材を充填し370MPaにて乾式プレスし正極合材層を固体電解質層上に形成させた。プレス後、金属押し棒の正極合材充填側を開け、10mm径の金属チタニウムメッシュを入れ、555MPaにて乾式プレスし正極合材内にメッシュを充填した。プレス後、正極と反対側の金属押し棒をはずし、固体電解質層のひび割れ、剥離などの問題がないことを確認後、厚み0.3mm、直径10mmの金属インジウム箔を入れて図1のような電気化学セル内に導入し、押し棒上部よりさらに締め付けて試験用セルを作製した。
図4に、上記試験用セルを電位範囲2.3〜3.9V、電流量0.064mA/cm2
にて、充電より充放電試験を10サイクルまで行って得られた充放電曲線を示す。初期充電容量は55mAh/g、初期放電容量は43mAh/gであり、10サイクル後の充電容量は41mAh/gで放電容量は39mAh/gであった。これら充放電特性データより、得られたマンガン酸リチウム系正極活物質は、全固体リチウム二次電池において良好な充放電特性を示すことが明らかである。
実施例2
炭酸マンガンを、大気中550℃、5時間熱処理することによって得たMn23を0.05mol(7.89g)秤量し、Li/Mn比0.60に相当する0.015molの水酸化リチウム1水和物0.629gを加え、乾式法にて十分に混合後、実施例1と同様に錠剤成形し、電気炉を用いて酸素気流中900℃、20時間焼成後、室温まで炉冷する
ことにより、目的とするマンガン酸リチウム系粉末(Li1.13Mn1.874)を得た。
得られた試料のX線回折図形より、すべてのピークが
で表されるマンガン酸リチウムの単位胞で指数付けできた。得られたマンガン酸リチウムの格子定数は8.238Åであり、前記文献(J. Power Sources, 97-98, 423-426, (2001))に記載されているマンガン酸リチウムの格子定数8.23634(13)Åに近く、マンガン酸リチウム粉末が得られたことがわかる。
図3(c)に、得られた粉末の粒度分布を、実施例1と同様にして測定した結果を示す。図中、縦棒が各粒径での分率、黒丸が累積分布を示す。図3(c)より、平均粒径6.6μm、サブミクロン粒子存在比6重量%のマンガン酸リチウム系正極活物質であることがわかった。
図4に、実施例1と同様に正極合材、全固体リチウム二次電池を作製し充放電試験を行った結果を示す。図4から明らかな通り、初期充電容量は52mAh/g、初期放電容量は42mAh/gであり、10サイクル後の充電容量は39mAh/gで放電容量は38mAh/gであった。これら充放電特性データより、得られたマンガン酸リチウム系正極活物質は全固体リチウム二次電池において良好な充放電特性を示すことが明らかである。
比較例
実施例1と同様にシュウ酸マンガン2水和物0.1mol(17.90g)を秤量し、電気炉にて大気中400℃、5時間熱分解して、0.05molのMn23微粉末を作製した。得られた粉末に対し、水酸化リチウム1水和物を、Li/Mn比0.50(0.0125mol)になる量(0.525g)加え、乾式法にて十分に混合した。混合物を500kg/cm2で錠剤成形後、電気炉に入れ、大気中850℃、10時間焼成し、目的
とするマンガン酸リチウム系粉末(Li1.00Mn2.004)を得た。
得られた試料のX線回折図形より、すべてのピークが
で表されるマンガン酸リチウムの単位胞で指数付けできた。得られたマンガン酸リチウムの格子定数は8.243Åであり、前記文献(J. Power Sources, 97-98, 423-426, (2001))に記載されているマンガン酸リチウムの格子定数8.23634(13)Åに近く、マンガン酸リチウム粉末が得られたことがわかる。
図2に、この比較例で得られた粉末のSEM写真を示す。このSEM観察により、この粉末は、実施例1に比して、粒子径3μm以上の粗大粒子が認められるものの、1μm以下のサブミクロン粒子がかなり存在していることが確認できた。
図3(a)に、得られた粉末の粒度分布を、実施例1と同様にして測定した結果を示す。図中、縦棒が各粒径での分率、黒丸が累積分布を示す。図3(a)より、平均粒径1.1μm、サブミクロン粒子存在比42重量%と見積もられ、多量のサブミクロン粒子が存在していることが確認でき、正極としたときに充填性が不十分なため電解質との界面接触面積が小さくなることが予想される。
図4に、実施例1と同様に正極合材、全固体リチウム二次電池を作製し充放電試験を行った結果を示す。図4から明らかな通り、初期充電容量は37mAh/g、初期放電容量は19mAh/gであり、10サイクル後の充電容量は14mAh/gで放電容量は13mAh/gであった。これは上記の実施例1及び2と比較して、正極の重量当たり挿入・脱離できるLi量が多いにもかかわらず低容量しか得られておらず、得られたマンガン酸リチウム系正極活物質は、全固体リチウム二次電池において良好な充放電特性を示していないことが明らかである。
全固体リチウム二次電池の一例の断面図である。 実施例1及び比較例で得られたマンガン酸リチウム系粉末の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1、2及び比較例で得られたマンガン酸リチウム系粉末の粒度分布の測定結果である。(a)は比較例の結果を、(b)は実施例1の結果を、(c)は実施例2の結果を、それぞれ示す。 実施例1、2及び比較例で得られたマンガン酸リチウム系粉末を用いて作製した全固体リチウム二次電池の充放電試験を行った結果である。

Claims (4)

  1. 立方晶スピネル型構造を有し、組成式
    Li1+x(Mn2-yy2-x4 (I)
    (式中、MはAl、Mg、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu又はZnを示す。xは、MがMnである場合は、0<x<0.33の範囲の数であり、MがMn以外である場合は、0≦x<0.33の範囲の数である。yは、0≦y≦1の範囲の数である。)で表され、且つ1μm以下の粒子の存在比が40重量%以下であるマンガン酸リチウム系正極活物質。
  2. 請求項1に記載された正極活物質を含む全固体リチウム二次電池用正極。
  3. 請求項2に記載された正極を用い、且つ無機固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池。
  4. 無機固体電解質が、硫化物系無機固体電解質である請求項3に記載の全固体リチウム二次電池。
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