JP2005270461A - 体内情報取得装置及び体内情報取得装置システム - Google Patents

体内情報取得装置及び体内情報取得装置システム Download PDF

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Abstract

【課題】 体腔内に挿入され、体内情報を取得する体内情報取得装置において、体腔内の異なる複数の検査目的部位で、ほぼ同時に精度の高い体内情報の検出を行う。
【解決手段】 検査目的部位において体腔内の検体を採取する検体採取部42と、前記検体採取部が採取した前記検体を評価して評価結果を出力する検体評価部52と、固有の識別情報を有する標識手段と、外部から送信された信号を受信し、前記検体評価部52が出力した前記評価結果を外部へ送信する通信手段54と、電力を供給する電力供給部56とを備える体内情報取得装置4を提供する。
【選択図】 図6

Description

本発明は体腔内に挿入され、体内情報を取得する体内情報取得装置及び体内情報取得装置システムに関する。
被検者(患者)が自分の健康状態を確認する方法として、カプセル型医療装置による検査方法が知られている。この方法では、被検者がカプセル状に形成された医療装置を飲み込み、医療装置が体腔内の血液又は消化器疾患等の検査を非侵襲で行う。これにより、容易に健康状態の検査を行なえるようになっている。このようなカプセル型医療装置は、例えば、特開平5−200015号公報に開示されている。特開平5−200015号公報には、カプセル本体内に体液を吸引する吸引通路と、カプセル本体内に吸引した体液を採取する体液採取手段と、採取された体液を検査する体液検査手段と、体液検査手段からの検査結果を体外に送信する送信手段を備えた医療用カプセル装置が開示されている。
この医療用カプセル装置(以下、カプセルと略す)は、体腔内の検査目的部位まで移動(推進)させて、検査時にマイクロポンプを駆動することにより、吸引通路を介して体液をカプセル内に吸引し、体液中に含まれる血液の有無の検出を血液センサを用いて行っている。この血液センサと吸引通路は、検査時以外ではカプセル内に貯留される生理食塩水が供給される状態になっている。これにより、カプセルが体腔内の所定の検査目的部位に到達する前に、検査目的部位以外の体液が血液センサによって検査されることを防止して、複数の検査目的部位での検査において体内情報の検出精度を高めている。
特開平5−200015号公報
しかしながら、前記カプセルでは、カプセルを推進させることにより異なる検査目的部位において体内情報を検出する構成となっていたため、異なる検査目的部位での検査のたびに、生理食塩水を供給してカプセル内に設けられた体液の通過経路全てを洗浄する必要があった。また、体腔内の異なる複数の検査目的部位において、ほぼ同時に検査を行うことができなかった。このため、複数の検査目的部位を同時に検査するには複数のカプセルを体内に挿入する必要があった。
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、体腔内の異なる複数の検査目的部位においてほぼ同時に精度の高い体内情報の検出ができる体内情報取得装置、及び複数の体内情報取得装置を一度に患者に導入することが可能な体内情報取得装置システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、検査目的部位において体腔内の検体を採取する検体採取部と、前記検体採取部が採取した前記検体を評価して評価結果を出力する検体評価部と、固有の識別情報を有する標識手段と、外部から送信された信号を受信し、前記検体評価部が出力した前記評価結果を外部へ送信する通信手段と、電力を供給する電力供給部とを備える体内情報取得装置を提供する。
上記の構成によれば、体腔内に導入された体内情報取得装置が体液等の検体を評価し、出力された体内情報を、通信手段を介して体外に送信することが可能となる。このとき、体内情報取得装置が標識手段を備えているので、体腔内に導入された複数の体内情報取得装置から送信された評価結果を、体外において識別することができる。また、体腔内に導入された複数の体内情報取得装置に対して、体外から通信手段を介して同時に反応を開始させる信号を送信することが可能となる。
上記発明の体内情報取得装置においては、前記標識手段が、無線通信を用いて前記識別情報を送信する標識タグであることが好ましい。
上記の構成によれば、体外から体内に向けて電磁波を照射し、照射された体内情報取得装置に設けられた標識タグから発せられた信号を体外で受信することにより、体外において複数の体内情報取得装置を非接触でほぼ同時に識別することが可能となる。
さらに、上記発明の体内情報取得装置においては、前記標識タグが、RF−IDであることが好ましい。
RF−IDは、複数の対象物に固有の識別コード等の各種情報の保存と、該情報を送信する機能とを有し、電磁波を用いることにより複数の対象物を非接触で一度に識別可能にするタグ状媒体である。RF−IDを用いることにより、体内情報取得装置から体外への体内情報の送信等における通信制御の処理を簡易にすることが可能となる。
また、上記発明の体内情報取得装置においては、前記体内情報取得装置が、前記通信手段が外部から送信された前記信号を受信した時に、前記信号を処理し、前記電力供給部が前記検体採取部、前記検体評価部、及び前記標識手段のいずれかに電力供給を開始するように制御する電力供給制御手段を備えることが好ましい。
上記の構成によれば、必要な時にのみ外部から信号を送信することで体内情報取得装置の各構成に電力供給を行えるので、電力供給部の容量を小さくすることができ、体内情報取得装置を小型化することが可能となる。
また、上記発明の体内情報取得装置においては、前記体内情報取得装置が、体腔内の組織表面に固定する留置部を有することが好ましい。
上記の構成によれば、体内情報取得装置を長時間にわたり体腔内に留置させることができ、所望の時間に所定の位置における体内情報を取得することが可能となる。
また、上記発明の体内情報取得装置においては、前記体内情報取得装置が、生体適合性接着剤を貯留する接着剤容器と、前記生体適合性接着剤を外部に放出する接着剤放出手段とを備えることが好ましい。
上記の構成によれば、体内情報取得装置が生体適合性接着剤を外部に放出することにより、体内情報取得装置の外表面と体腔内の組織表面とを長時間にわたり密着させることができ、体腔内の所望の位置における体内情報を取得することが可能となる。
また、上記発明の体内情報取得装置においては、前記電力供給部が、前記体内情報取得装置の外部からの充電が可能な蓄電部であり、体外からエネルギーを無線伝送することにより前記蓄電部に電力を供給することが好ましい。
上記の構成によれば、必要に応じて体内情報取得装置の外部から蓄電部に電力を供給することにより、電力供給部を小型化することが可能となる。
さらに、上記発明の体内情報取得装置においては、前記蓄電部が電気二重層コンデンサであることが好ましい。
電気二重層コンデンサを体内情報取得装置の蓄電部として用いることにより、蓄電部を小型化することができる。
上記発明の体内情報取得装置においては、前記検体評価部が、血液の有無を検出する血液センサ、特定のタンパクを検出するタンパク質センサ、特定の酵素を検出する酵素センサ、特定の遺伝子を検出する遺伝子センサのいずれかを有することが好ましい。
上記の構成によれば、体液等の検体が血液を含む場合、検体評価部が体液中の血液の有無や血液の濃度等を評価し、この評価結果を出力することができる。同様にして、体液中に酵素、タンパク質、又は遺伝子が含まれる場合、検体評価部が体液等の検体中からこれらの検査目的物質を検出することが可能となる。
また、上記発明の体内情報取得装置においては、前記体内情報取得装置が体腔内を撮像する撮像手段を有することが好ましい。
上記の構成によれば、体内情報取得装置の放出された部位における体腔内の画像を取得することができる。
また、本発明は、請求項1から請求項13のいずれかに記載の体内情報取得装置と、前記体内情報取得装置を格納する格納部を有すると共に、検査目的部位において前記体内情報取得装置を放出する放出機構を有するカプセル型医療装置と、体外に配置されて前記体内情報取得装置との間で信号の送受信を行う体外アンテナと、前記体内情報取得装置が送信した信号を前記体外アンテナから取得すると共に、前記標識手段が有する識別情報を識別する識別手段を設けた体外装置とを備え、前記体外装置が、複数の前記体内情報取得装置に対して共通の制御信号を送信する体外制御部を備えることを特徴とする体内情報取得装置システムを提供する。
上記の構成によれば、体内情報取得装置をカプセル型医療装置に格納することにより、体腔内に導入してから所望の検査目的部位に達するまで、体内情報取得装置を搬送することが可能となる。また、体内情報取得装置が送信した評価結果を、体外アンテナを用いて受信することにより、体外において該評価結果を体内情報として取得することが可能となる。さらに、体内情報取得装置に設けられた標識手段から発せられた識別情報を体外装置で取得して、これら複数の識別情報を識別手段を用いて識別することにより、複数の体内情報取得装置から送信された評価結果の発信元を、非接触で特定することが可能となる。
また、体外装置に備えられた体外制御部が、体腔内の複数の体内情報取得装置に対して共通の制御信号を送信することにより、体外制御部が一度に複数の体内情報取得装置を制御することが可能となる。
また、上記発明の体内情報取得装置システムにおいては、前記体外制御部が、前記通信手段を制御する通信制御部であることが好ましい。
上記の構成によれば、体外装置に備えられた通信制御部が、体腔内の複数の体内情報取得装置に対して、通信手段を制御する共通の制御信号を送信することにより、通信制御部が一度に複数の通信手段を制御して、評価結果及び識別情報を体外へ送信させることが可能となる。
また、上記発明の体内情報取得装置システムにおいては、前記体外制御部が、前記検体評価部を制御する検体評価制御部であることが好ましい。
上記の構成によれば、体外装置に備えられた検体評価制御部が、体腔内の複数の体内情報取得装置に対して、検体評価部を制御する共通の制御信号を送信することにより、検体評価制御部が一度に複数の検体評価部を制御して、検体の評価をほぼ同時に開始させることが可能となる。
本発明の体内情報取得装置及び体内情報取得装置システムによれば、被検体内の体内情報を検出可能な体内情報取得装置を体腔内に複数導入させることにより、複数の部位における消化器疾患等の体内情報を高精度に検出して取得することが可能となる。
第1の実施形態
以下、本発明の第1の実施形態に係る体内情報取得装置システムについて、図1から図9の図面を参照して説明する。
体内情報取得装置システム1は、図1に示すように、カプセル型医療装置3と、検出セル4(体内情報取得装置)と、体外アンテナ5及び体外装置6を有している。
ここで、カプセル型医療装置3は、複数の検出セル4を格納して患者2の体腔内に挿入される。そして、このカプセル型医療装置3は、該検出セル4を検査目的部位まで搬送して、体腔内へ放出する。また、検出セル4(体内情報取得装置)は、体腔内の検査目的部位において体内情報を取得し、得られた情報を体外へ送信する。体外アンテナ5は、検出セル4を制御する信号の送信、及び検出セル4により取得した体内情報等の信号の受信を行う。また、体外装置6は、患者2の体外に配置され、体外アンテナ5を介して検出セル4の制御、及び取得した体内情報の記録等を行う。
カプセル型医療装置3は、図2に示すように、カプセル状に形成された筐体11を有し、該筐体11の内部には、格納容器12、放出手段13、制御基板14、タイマー15、及び電池16を有している。
ここで、格納容器12は、一端が開口した構造を有し、複数の検出セル4を一列に整列させて格納している。また、放出手段13は、検出セル4を格納容器12の開口側から順次外部へ放出する機構を有している。制御基板14は、カプセル型医療装置3の内部の各構成に対して電気的な制御処理等を行う、図示しない制御回路を有している。タイマー15は、筐体11の一端(左側)に配置されて、放出手段13により各検出セル4を放出する際の時間を計測している。電池16は、タイマー15と制御基板14との間に配置されて、カプセル型医療装置3の内部の電気系に動作用の電力を供給している。
図2に示すように、格納容器12は、その開口した一方の端部に、内部が中空で大きな径を有するカム容器17を接続している。該カム容器17には、格納容器12に格納されている検出セル4を、筐体11の外周面の略中央に位置した放出口18を介して外部へ押圧する放出装置19が設けられている。この放出装置19は、放出手段13を構成しているものである。また、格納容器12の他方の端部20には、検出セル4を該カム容器17の方向に押圧する弾性部材21が設けられている。
放出装置19は、カム容器17の内部に配置された略円盤状のカム24と、制御基板14上に固定されたモーター25と、カム容器17の壁面に取り付けられた変速機26とを有している。ここで、カム24は、切欠部22及び突出部23を備え、カム容器17内部で該検出セル4(4a、4b、…)を放出口18側に一つずつ送り出すように機能する。また、モーター25は制御基板14からの制御信号により動作制御され、カム24を回転させる。変速機26は、カム24とモーター25との間に接続されて、該カム24の回転速度を制御する。また、変速機26は、フレキシブル基板27を介して制御基板14に電気的に接続されることにより、制御基板14からの制御信号により回転速度が動作制御されるようになっている。
カム容器17の中空な内部は、カム24の外径寸法と略同一の内径寸法を有する略円柱状の空間が形成されている。また、カム容器17の内部において、カム24の切欠部22及び突出部23と対向する平面の内、格納容器12と放出口18との間には放出溝28が形成されている。この放出溝28は、検出セル4を外部へ放出する際に、該検出セル4を放出口18へ案内するものである。なお、格納容器12とカム容器17とは偏心するようになっているため、格納容器12の開口が筐体11の放出口18側に近くなっている。従って、検出セル4を外部へ放出する際の検出セル4の移動量が少なくなっている。
図3(A)〜(C)は、放出装置19近傍の拡大断面を示す図であり、図3(A)、(B)はカプセル型医療装置3の長手方向の断面図であり、図3(C)は図2のカプセル型医療装置3のA−A’において切断した断面図である。また、図4(A)〜(C)は、格納容器12の側から見たときのカム24の正面図と、該カム24により検出セル4を放出するときのカム24の回転動作を示す説明図である。
図3(A)、(C)に示すように、カム24を回転させて突出部23を放出溝28に対向させたとき、突出部23の上面と放出溝28の底面との間隔Dは、検出セル4の厚さtより小さくなるように設定されている。また、放出溝28の両側面間の幅Wは、検出セル4の外形寸法よりわずかに大きくなるよう設定されている。また、放出口18は、放出溝28の幅Wと等しい幅を有している。そして、この放出口18には、筐体11内への体液の流入を阻止し、放出された検出セル4の逆入を防ぐ逆止弁29が設けられている。この逆止弁29は、検出セル4が放出されるときには筐体11の外側に向けて開口し、検出セル4の放出後には閉口する1対の弾性膜状部材からなっている。
突出部23を放出溝28に対向させたときは、図3(A)に示すように、検出セル4aは突出部23の上面により止められて、放出溝28に移動することができないように設定されているので、格納容器12に留まっている。また、切欠部22を放出溝28と対向させたときは、図3(B)に示すように、切欠部22の上面と放出溝28の底面との間隔が、検出セル4の厚さtよりわずかに大きくなるよう設定されている。よって、検出セル4aは、弾性部材21の押圧により切欠部22内に移動し、さらに放出溝28に移動することが可能となっている。
また、図4に示すように、カム24の突出部23と切欠部22の境界で形成されるカム面30の形状は、緩やかなS字状の曲線になっている。図4(A)は、突出部23が放出溝28に対向したときに、検出セル4aは格納容器内に留まっている状態を示す。図4(B)は切欠部22が放出溝28と対向したときに、検出セル4aが切欠部22に導かれた状態を示す。図4(C)は、カム面30が検出セル4aを放出口18の方向へ押圧している状態を示す。この状態は、図4(B)の状態において、カム24を回転させることで実現できる。
すなわち、検出セル4を格納容器12に格納している通常の状態では、突出部23を放出溝28に対向させ、検出セル4が放出溝28に移動することを防いでいる。一方、検出セル4を格納容器12から放出口18を介して外部へ放出する際には、モーター25を駆動してカム24を回転させることにより、切欠部22を放出溝28と対向させる。そして、検出セル4を切欠部22に導き、カム面30が切欠部22に収められた検出セル4aを押圧して放出口18に押し出している。
検出セル4aを放出口18から放出した直後の状態では、カム24の突出部23の一部が放出溝28に対向しているため、次に放出される検出セル4bは格納容器12内に留まっている。この検出セル4bは、カム24が一回転した後、弾性部材21の押圧によりカム24の切欠部22に導かれる。そして、切欠部22に導かれた検出セル4bは、検出セル4aの放出と同様の動作により放出口28に押し出される。上述の一連の動作により、複数の検出セル4は、格納容器12から外部に一つずつ放出される。
電池16は、図2に示すように、例えばボタン型の2つの電池であり、カプセル型医療装置3の内蔵電源として用いられている。これら電池16は、筐体11の軸方向に積層するようにして配置され、電源基板31に電気的に接続されている。電源基板31は、フレキシブル基板33aを介して制御基板14に接続されているので、電池16の動作電力が各構成内の回路に供給されるようになっている。また、電源基板31には、電池16から供給される動作電力のオンオフを行うように、例えばバイアス磁石とリードスイッチとから形成される内部スイッチ32が設けられている。
タイマ15は、フレキシブル基板33bを介して制御基板14に接続されたタイマ基板35に固定されている。該タイマ15は、制御基板14からの制御信号により時間の計測動作を開始し、時間情報をフレキシブル基板33bを介して制御基板14に送るようになっている。
また、制御基板14にはメモリ34が固定されている。メモリ34には、放出装置19を動作させるための予め設定された時刻が記憶されており、タイマ15から送られた時間情報を含む信号とともに、所定の時間においてモーター25及び変速機26に、動作信号を制御基板14を介して送ることができるようになっている。
すなわち、制御基板14には、フレキシブル基板33a、33b、及び各構成の回路が電気的に接続されている。そして、制御基板14を介して、電池16から電源基板31を介した動作電力の供給や、モーター25、変速機26、及びメモリ34等の構成への制御が可能となっている。また、メモリ34とタイマ15とを組合わせて用いることにより、所定の時間において必要な個数の検出セル4を筐体11の内部から外部に向けて放出することが可能となっている。
図5は、検出セル4の外観を示した図であり、図5(A)は、検出セル4の斜視図、図5(B)、(C)は、検出セル4の正面図である。なお、図5(B)は、検出セル4を体腔内に留置する前の状態を示し、図5(C)は、検出セル4を体腔内に留置した状態を示す。
検出セル4は、図5(A)に示すように、ポリサルフォンやポリウレタンなどの合成樹脂製のセル外装41で内部を密閉するように形成されている。このセル外装41は、例えば直径が3mm、厚さが0.5mmの小型の円盤形状であるため、カプセル型医療装置3の格納容器12内に複数個格納することができるようになっている。セル外装41の表面には体液等の検体を内部に取り込むように略矩形に形成された採取口(検体採取部)42と、該採取口42をセル外装41の内側から塞ぐように設けられたシャッタ43とを有している。セル外装41の周縁部44は、丸みを帯びた形状になっているため、カプセル型医療装置3からの放出がスムーズに行われるようになっている。
また、セル外装41の側面には、図5(B)、(C)に示すように、板バネ(留置部)45a、45bが取り付けられている。この板バネ45a、45bの一端46a、46bは、セル外装41の側面において互いに隣接するように、接着剤等で固定されている。また、板バネ45a、45bを覆うように、オブラート等の水溶性可撓膜47が設けられている。水溶性可撓膜47は、板バネ45a、45bの他端48a、48bと接着剤で密着されている。なお、図5(A)では、見易くするために留置部を省略している。
検出セル4がカプセル型医療装置3の格納容器12に格納されている時は、板バネ45a、45bが水溶性可撓膜47により検出セル4の側面に固定された状態になっている。検出セル4がカプセル型医療装置3から体腔内に放出されると、板バネ45a、45bを固定していた水溶性可撓膜47が体腔内の体液により溶け出す。このとき、図5(C)に示すように、板バネ45a、45bがそれ自身の弾力により体腔の内壁を挟むようになっている。なお、上記の構成では水溶性可撓膜47としてオブラートを用いることとしたが、水分を含む液体に速やかに溶ける材質のものであれば適宜使用可能である。また、板バネ45a、45bに代えて、弾力を有する部材を適宜使用しても構わない。
図6は、検出セル4の各部分での断面図を示した図であり、図6(A)は検出セル4の一断面を示した図、図6(B)は図6(A)の検出セル4のA−A’において切断した断面図、図6(C)は図6(A)の検出セル4のB−B’において切断した断面図である。なお、図6(A)は、図6(B)のC−C’において切断した断面図に相当する。
検出セル4は、図6に示すように、円盤状のセル外装41を有し、該セル外装41の内部には、反応部51と、反応検出部(検体評価部)52と、信号処理基板53と、セル内アンテナ(通信手段)54と、メモリ55と、電源(電力供給部)56とを有している。
ここで、反応部51は、体腔内から採取された体液等の検体を他の物質と反応させる反応槽57等からなっている。また、反応検出部52は、反応部51の近傍に配置されて該反応部51での検体の反応結果を検出する。信号処理基板53は、検出セル4内の各構成に対する制御処理と反応検出部52からの反応結果の処理等を行う信号処理回路を有する。セル内アンテナ54は、信号処理基板53の下方側に配置されて、体外アンテナ5との間で、検出セル4の制御信号及び体内情報等の信号の送受信を行う。メモリ55は、信号処理基板53の下面側に取り付けられて、反応検出部52において取得された体内情報、体外装置6による検査時の反応条件等の設定情報、及び複数の検出セルそれぞれに固有の識別コード(標識手段)を記憶する。電源56は、信号処理基板53の上面側に取り付けられて、検出セル4内部の電気系に動作用の電力を供給する。
反応部51は、図6に示すように、反応槽57と、吸引通路58と、試薬容器59と、マイクロポンプ61とを有している。ここで、反応槽57は、吸引通路58により採取口42と接続され、採取口42から採取した体液等の検体を他の物質と反応させる。試薬容器59は、採取した検体に含まれる腫瘍マーカや血液成分等の抗原と特異的に反応する抗体、又は標識となる試薬を貯留する。マイクロポンプ61は、該試薬容器59から抗体又は試薬(以下、単に抗体等と略記)を試薬供給路60を介して反応槽57へ吸引する。
反応槽57はポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)などの光透過性の優れた合成樹脂で形成されている。反応槽57の内部は、体腔に対して負圧の状態にしてあり、シャッタ43を開くと同時に体液等の検体が採取口42から反応槽57に流れ込むようになっている。
シャッタ43の一端は、例えばイオン伝導性アクチュエータ62の一方の端63に接続され、他方の端64は駆動基板65に固定されている。イオン伝導性アクチュエータ62は、電圧を付加すると歪みが生じる性質を有するため、他方の端64をセル外装41に固定して電圧を付加することにより、該一方の端63に接続されたシャッタ43をスライドさせることができる。また、マイクロポンプ61は、駆動用フレキシブル基板66により信号処理基板53に接続された駆動基板65に固定されている。すなわち、マイクロポンプ61及びイオン伝導性アクチュエータ62は、信号処理基板53から駆動基板65に送られる制御信号により動作されるようになっている。
採取した検体と抗体等との反応を開始する際には、イオン伝導性アクチュエータ62に電圧を付加してシャッタ43を開き、採取口42から体腔内の体液等の検体を反応槽57に導入した後、駆動基板65の駆動回路からの制御信号によりマイクロポンプ61を動作させ、試薬容器59に貯留された抗体等を反応槽57へ吸引するようにしている。
反応検出部52は、図6に示すように、反応槽57を挟んだ状態で信号処理基板53上に設けられた照明素子67と受光素子68とから構成されている。照明素子67は、例えば白色LEDであり、反応槽57の一方の面69に対向するように配設され、反応槽57に照明光を照射している。また、受光素子68は、例えばPINフォトダイオードであり、照明素子67の光軸上で反応槽57の他方の面70に対向するように配置され、反応槽57を透過した光を検出するようにしている。また、照明素子67には、照明素子67の発光部を間欠的にフラッシュ発光させるように駆動する図示しないLED駆動回路が電気的に接続されている。
採取した検体と抗体等との反応開始前において、照明素子67は予め反応槽57に体液等の検体がない状態で照明光を反応槽57に照射する。そして、反応槽57を透過した光は参照光として受光素子68で受光される。受光素子68で受光された参照光は、その光強度に応じた電流信号に変換され、信号処理基板53に送られてメモリ55に一時的に記憶される。このメモリ55に記憶された参照光のデータは、参照データとして用いられるものである。
次に、反応槽57における検体と抗体等との反応中又は反応後において、照明素子67は照明光を反応物質で満たされた反応槽57に再び照射する。そして、反応槽57を透過した光は測定光として受光素子68で受光される。受光素子68において取得された測定光は、前述したように光強度に応じた電流信号に変換されて信号処理基板53に送られ、測定データとしてメモリ55に記憶される。メモリ55に記憶された測定データ及び参照データは、信号処理基板53の信号処理回路において差分演算等の演算処理に用いられる。この演算処理によって出力された評価結果は、検査データとしてメモリ55に再び記憶されるようになっている。
セル内アンテナ54は、通信基板71に電気的に接続されている。通信基板71には、このセル内アンテナ54で受信した体外アンテナ5からの電磁波を選択的に抽出し、検波等を行って体外装置6からの制御信号を復調して各構成内の回路等へ出力する通信回路が設けられている。また、該通信回路は、検査データや識別コード等の信号を所定の周波数の搬送波で変調し、セル内アンテナ54から体内情報として体外アンテナ5へ電磁波を発信する機能を有している。
メモリ55は、測定データ及び参照データを記憶する機能の他に、複数の検出セルそれぞれに固有の識別コードを保存する機能、及びセル内アンテナ54から体外に信号を送信する際の制御を行う通信プロトコルを記憶する機能を有する。また、メモリ55には、信号処理基板53の信号処理回路において、測定データ及び参照データ等に対して演算処理を行う際の計算プログラムを保存する機能を有する。
電源56は、図6に示すように、例えば蓄電池72であり、検出セル4内部の電気系に動作用の電力を供給している。この蓄電池72は、切換スイッチ73を介して信号処理基板53に接続されているので、蓄電池72の動作電力は信号処理基板53を介して、各構成内の回路に供給されるようになっている。また、切換スイッチ73と通信基板71との間には、蓄電池72と信号処理基板53と通信基板71との間において信号の伝送が行えるように、通信用フレキシブル基板74が接続されている。例えば、体外アンテナ5から体内に向けて照射した電磁波をセル内アンテナ54で受信し、受信により得られた電気信号を通信用フレキシブル基板74を介して蓄電池72に伝送することで、蓄電池72の充電を行うことが可能である。各構成内の回路への電力供給とセル内アンテナ54を介した充電との切り換えは、切換スイッチ73により行なっている。
信号処理基板53は、セル外装41の内面に設けられた複数本の支柱75により固定され、駆動用フレキシブル基板66、メモリ55等の各構成内の回路が電気的に接続されている。この信号処理基板53は、電源56から駆動用フレキシブル基板66を介した駆動基板65への動作電力の供給や、検出セル4内の各構成に対する制御、及び取得したデータの処理を行う機能を有する。例えば、前述のように、受光素子68において取得した測定データ及び参照データのメモリ55への保存、及びメモリ55に記憶されたこれらのデータの読み出し、演算処理等が信号処理基板53において行われる。また、信号処理基板53は、セル内アンテナ54を介して体外アンテナ5との間で信号を送受信する際の指示を行う制御機能を有している。
患者2の体外に配置される体外アンテナ5は、図1に示すように、円環状部材81の内部に、ループ状に巻回されたコイル(図示省略)と、該コイルの端部が接続されたコンデンサ(図示省略)とを有している。円環状部材81には、手で持つ等により体外の任意の位置に体外アンテナ5を配置できるように、柄部82が接続されている。円環状部材81の寸法は特に制限されるものではないが、円環状部材81の外径が、患者2の体幅とほぼ同等であることが好ましい。こうすることで、体外アンテナ5を頻繁に動かすことなく、体内の各部に留置された検出セル4から確実に体内情報を取り出せるようになる。
また、柄部82には、体外アンテナ5のオンオフを行うスイッチ83が設けられ、USBケーブル等の通信を行う通信ケーブル84が着脱自在に接続されている。この体外アンテナ5は、検出セル4から送信された電磁波を受信して、通信ケーブル84を介して体外装置6に検査データ及び識別コード等の信号を転送する機能と、体外装置6から送られた制御信号を電磁波に変換して検出セル4に送信する機能とを有している。
体外装置6は、例えば図1に示すように、パーソナルコンピュータ(以下、パソコンと略記)85であり、このパソコン85には、体外アンテナ5から転送された検査データを保存するための、図示しないハードディスクが内蔵されている。パソコン85には、該ハードディスクに保存された検査データを、検査中或いは検査終了後に表示する表示部86と、データ入力操作等を行う操作盤としての例えばキーボード87が接続されている。
パソコン85の内部には、複数の検出セル4がそれぞれ体外に送信した識別コードを識別する識別手段を有している。この識別手段は、体外アンテナ5が受信した該識別コードを解析することにより、複数の検出セル4を非接触で短時間に識別している。また、パソコン85は、複数の検出セル4に対して共通の制御信号を送信する体外制御部(不図示)を有している。
体外装置6が複数の検出セル4から検査データを読み出す際は、図7に示すように、患者2又は医師等が体外アンテナ5を検査目的部位近傍の体外に配置し、体外アンテナ5から体内の広い範囲に向けて電磁波を用いて体内情報を読み出す指示信号を照射する。電磁波の照射領域に存在する複数の検出セル4は、該指示信号をそれぞれセル内アンテナ54で受信し、通信基板71を介して信号処理基板53に電気信号として送る。このとき、信号処理基板53は、メモリ55に記憶されている検査データを読み出し、通信プロトコルに従って通信基板71に送る。そして、通信基板71に送られた検査データは、セル内アンテナ54から電磁波として体外に送信される。
体外では、体外アンテナ5が、体腔内の検出セル4から送信された検査データの信号を受信する。そして、体外装置6は、体外アンテナ5から転送された検査データを、パソコン85のハードディスクに保存するようにしている。
また、カプセル型医療装置3の患者2への導入前には、カプセル型医療装置3のタイマ15に設定された検出セル4の放出時間のデータが、体外装置6を構成するパソコン85のハードディスクに保存されるようにしている。
次に本実施形態の作用を説明する。
カプセル型医療装置3が、タイマ15の時間情報を基にメモリ34に設定された時間に達したと判断すると、制御基板14からの制御信号により、放出装置19が検出セル4を格納容器12から体腔に向けて放出する。このとき、前述したように放出装置19を構成するカム24の構造により、検出セル4をひとつずつ放出しているため、体腔内の検出対象物質や検査目的部位に応じて、放出する検出セル4の個数を調節することができる。例えば、小腸疾患を主に検査する場合は、小腸内では検出セル4を多く放出し、大腸等の他の部位では少なく放出する、又は放出しない等の調節が可能である。また、これに限らず全ての検査目的部位において、それぞれ同数の検出セル4を放出してもよい。
体腔内の検査目的部位に放出された検出セル4は、シャッタ43を閉じた状態で板バネ51a、51bにより体腔内の内壁に固定される。そして、体外装置6は体内に向けて、参照データの取得を指示する第1の信号を体外アンテナ5を介して送信する。このとき、体腔内の異なる箇所に複数留置された検出セル4は、それぞれセル内アンテナ54により該第1の信号を受信する。そして、検出セル4はそれぞれ照明素子67から反応槽57に照明光を一定時間照射し、反応槽57を透過した参照光を受光素子68で受光して、得られた結果を参照データとしてメモリ55に記憶させる。
次いで、体外装置6が体内に向けて、採取する検体と抗体等との反応開始を指示する第2の信号を体外アンテナ5を介して送信する。体腔内の異なる箇所に複数留置された検出セル4は、それぞれセル内アンテナ54により該第2の信号を受信する。該第2の信号は、体腔内に放出された全ての検出セル4が認識可能なようになっている。検出セル4は、該第2の信号を受信すると、信号処理基板53からの制御信号によりシャッタ43を開け、反応槽57に体液等の検体を導入させる。そして、該検出セル4は、反応槽57が検体で満たされるとシャッタ43を閉じ、試薬容器59から反応槽57へ抗体を吸引させて、検体と該抗体等とを混合して抗原抗体反応を行う。
反応中又は反応後において、体外装置6は体外アンテナ5を介して体内に向けて、該抗原抗体反応における反応結果の検出を指示する第3の信号を送信する。検出セル4は該第3の信号を受信すると、照明素子67から反応槽57に照明光を再び照射し、反応槽57を透過した測定光を受光素子68で受光して、得られた結果を測定データとしてメモリ55に記憶させる。メモリ55に記憶された参照データ及び測定データは、信号処理基板53の信号処理回路により演算処理に用いられる。この演算処理によって出力された評価結果は、検査データとして再びメモリ55に記憶される。
上述の抗原抗体反応において、反応部51及び反応検出部52が有する機能としては、血液成分抗体を用いて検体中に含まれる血液を検出する血液センサとしての機能、又は食道癌マーカ抗体、胃がんマーカ抗体、大腸癌マーカ抗体等を備えた腫瘍センサとしての機能等が挙げられる。
ここで、血液成分抗体としては、例えば抗ヒトヘモグロビン・マウスモノクローナル抗体を金コロイド粒子に結合させた抗結合コロイド、又はクロモゲン等が挙げられる。該抗結合コロイドは赤紫色を呈しており、検体中のヒトヘモグロビンと反応して凝集することにより、薄い赤紫色又は灰色に変色する。また、食道癌マーカとしては、SCC、シフラ等が挙げられる。また、胃癌マーカとしては、CEA、CA72−4、CA19−9、STN等が挙げられる。
また、抗原の検出時に試薬を用いる場合には、抗体に加えて予め標識となる試薬を試薬容器59に封入することとしてもよい。この場合には、反応中又は反応後に試薬容器59から標識となる試薬を吸引し、抗体と検体中の抗原により生成した抗原抗体複合体に該試薬を混合するようにしている。
すなわち、これらの抗体等は検体との反応開始時において試薬容器59から反応槽57へ導入され、反応槽57において検体中の抗原と反応することにより、光透過率の変化、又は発色、変色、発光、蛍光等の光学的変化を生じさせている。そして、該光学的変化を受光素子68を用いて測定することにより、出血又は腫瘍等の有無が検出される。例えば、光透過率の変化を検出する場合、検出セル4は受光素子68により参照光と測定光を検出し、それぞれの光強度の情報を有する参照データと測定データとを信号処理基板53に送る。そして、検出セル4が、これらのデータを信号処理基板53の信号処理回路において比較することにより、反応前の光強度に対する反応後の光の減衰量を算出すればよい。
なお、抗原抗体反応において発光を伴うものにおいては、照明素子67を用いて照明光を照射せずに、発光を受光素子68により検出することとしても良い。
体腔内の複数箇所全ての検出セル4が、上述した一連の反応検出過程を終えて、評価結果が検査データとしてメモリ55に記憶されると、体外装置6から体内に向けて識別コードの読み出しを指示する指示信号、すなわち第4の信号が送られる。該第4の信号は、体腔内に放出された全ての検出セル4が認識可能なようになっている。体腔内の複数の検出セル4は該第4の信号を受信すると、メモリ55に記憶した識別コードをセル内アンテナ54を介して体外に送信する。この識別コードは情報量が小さいので、体腔内の全ての検出セル4が同時に識別コードを送信しても、体外装置6の識別手段は全ての識別コードを短時間で識別することができるようになっている。
体外装置6が全ての識別コードを識別して、体腔内に存在する検出セル4の個数を把握すると、体外装置6は全ての検出セル4に対して、検査データの送信を指示する第5の信号を順次送信する。検出セル4は該第5の信号を受信すると、メモリ55に記憶した検査データを、通信プロトコルに従って体外に向けて送信する。このとき、通信プロトコルにより、複数の検出セル4が一つずつ、順次に検査データを送信するようになっている。送信された検査データ及び識別コードは体外アンテナ5により受信され、体外装置6に転送された後、パソコン85においてデータの処理及び保存等が行われる。体内の各部における体内情報を表示する場合には、保存した検査データ等を表示部86により表示するようにしている。
なお、前記第1、第2、及び第3の信号の送信は、体外装置6に設けられた検体評価制御部(不図示)により行われる。また、前記第4の信号の送信は、体外装置6に設けられた通信制御部(不図示)により行われる。
さらに、上述した一連の反応検出過程において、必要があれば体外装置6が体外アンテナ5を介して電磁波(エネルギー)を体内に向けて送信することにより、検出セル4内の蓄電池72に充電できるようになっている。
以上説明したように、本実施形態に係る体内情報取得装置システム1によれば、検出セル4をカプセル型医療装置3に複数個格納して体腔内に搬送することにより、複数の検査目的部位において検出セル4を必要な個数放出して体腔内に留置させることができる。体腔内に留置された検出セル4は、反応開始の信号を受信してからシャッタ43を開いて検体を反応槽57の内部へ導入するため、反応開始時までは検査目的部位以外からの異物が反応槽57に付着することを防ぐことができる。その結果、体腔内の複数の部位において、体液等の検体に含まれる血液(ヘモグロビン)、腫瘍マーカ等の検出を高精度に行えるようになり、信頼性の高い体内情報を提供することができる。
また、検出セル4を複数種類に分け、それぞれに異なる抗体を封入して、これら複数種類の検出セル4を連続的に体腔内に放出することにより、同一の検査目的部位において、検体に含まれる検出対象となる複数種類の物質や抗原を検出することが可能である。
また、該第2及び第4の信号は、体腔内に放出された全ての検出セル4が認識可能なようになっているため、体外装置6からの一度の制御により、複数の検出セル4がそれぞれほぼ同時に検体の反応開始及び識別コードの送信を行うことができる。この結果、ほぼ同時刻に複数の検査目的部位において、体腔内の検体と抗体等との反応を開始させることが可能である。
さらに、検出セル4全てにおいて、固有の識別コードがメモリ55に記憶され、検出セル4全てが識別コード等の各種情報を送信するセル内アンテナ54を有しているため、体腔内の複数箇所に散在している検出セル4を非接触で一度に識別できる。この結果、カプセル型医療装置3が格納した検出セル4の個数の情報がなくても、体腔内に放出された通信可能な検出セル4の個数を、短時間で特定することができる。
また、メモリ55に記憶された通信プロトコルに従って、検出セル4が体外アンテナ5へ検査データを送信するようにしているので、複数のデータの混信を防ぐことができる。
また、体外装置6には、カプセル型医療装置3のタイマ15に設定された検出セル4の放出時間のデータと、検出セル4が有する識別コードとが保存されるので、該放出の時間と識別コードとを対応づけることにより、検出セル4それぞれの体腔内における位置を推定することができる。この結果、検出セル4が送信した検査データと、検出セル4の推定位置とを対応させることにより、体腔内において出血又は腫瘍の存在が確認された部位を特定しやすくなるので、診断性能を向上させることができる。
本実施形態においては、検出セル4の反応部51において、マイクロポンプ61の動作により試薬容器59に貯留された抗体等を反応槽57へ吸引する構成としたが、これに限られるものではなく、図8に示すように、弾性試薬容器91と、マイクロアクチュエータ92を有する構成としても良い。ここで、弾性試薬容器91は拡張及び収縮可能であり、試薬容器59の代わりに抗体等を貯留する。マイクロアクチュエータ92は駆動基板65に接続され、信号処理基板53からの制御信号により該弾性試薬容器91を押圧する。また、反応槽57と弾性試薬容器91との間には、仕切り弁93が設けられている。この仕切り弁93は、ある一定以上の圧力が加わったときにのみ開き、弾性試薬容器91と反応槽57との間で抗体等の流体が移動できるようになっている。
ここでは、マイクロアクチュエータ92の一例として、図8に示すように、セル外装41の内側の凹形状の取付部94に設けられたソレノイド型アクチュエータを用いるようにしている。ソレノイド型アクチュエータは、中央部分に略円筒状の押圧部材95を有し、該押圧部材95の外周部分にはコイル96が巻回されている。また、セル外装41の内側の取付部94には、永久磁石97が設けられている。該ソレノイド型アクチュエータは、信号処理基板53からコイル96に電流を流すことにより、押圧部材95が反応槽57に対して接近離間する方向(図中における左右方向)に移動されるようにしている。
この構成において、検出セル4は、検体と抗体等との反応開始時に反応槽57に体液等の検体を導入させてシャッタ43を閉じた後、制御信号によりマイクロアクチュエータ92を駆動する。このとき、マイクロアクチュエータ92が弾性試薬容器91を押圧して、弾性試薬容器91に貯留された抗体等を反応槽57へ流入させることにより、検体と該抗体等とを混合して抗原抗体反応が行われるようになっている。
こうすることで、反応槽57へ抗体等を導入させる機構を簡素にし、複雑な構造を減らすことで検出セル4を小型化することができる。
なお、この図においては、マイクロアクチュエータ92を簡略化して示しているが、その構成は適宜選択が可能である。すなわち、図8のようにソレノイド型のアクチュエータとしてもよいし、一般的な直流モータや交流モータとしてもよく、また、リニアモータや圧電型モータとしてもよい。
また、本実施形態においては、板バネ45a、45bを留置部として用いたが、これに代えて、セル外装41の採取口42の裏面に相当する底面101近傍に留置部102を設ける構成にしてもよい。
留置部102は、図9(A)、(B)に示すように、電磁石103、磁石104、及び屈伸可能な2本のアーム105a、105bを有している。ここで、電磁石103は、セル外装41の底面101の近傍の略中央部分に設けられ、前記信号処理基板53に電気的に接続されたコイルを有している。また、磁石104は略矩形の形状を有し、電磁石103に対して隙間を空けて対向するように配置されている。この磁石104の両端には、それぞれアーム105a、105bの一端が取り付けられている。また、該アーム105a、105bの他端は、それぞれセル外装41の底面101に設けられたアーム取付部106a、106bに固定されている。
電磁石103は、磁石104に対して磁気的な引力又は反発力を作用させるようになっている。また、磁石104は2本のアーム105a、105bの屈伸により、電磁石103と近接離間する方向に移動することが可能である。信号処理基板53は、電磁石103のコイルを流れる電流の向きを反転させる等して、該コイルが生成する磁界の向きを制御している。すなわち、信号処理基板53が電磁石103の磁界を制御することにより、磁石104が2本のアーム105a、105bの屈伸と共に、電磁石103に対して近接離間する方向へ移動するようになっている。これにより、検出セル4は、2本のアーム105a、105bの内部に生じた空間に体腔の内壁を挟むことができるようになっている。
検出セル4がカプセル型医療装置3の格納容器12内に格納されている時は、図9(A)のように、アーム105a、105bが折りたたまれている。そして、検出セル4がカプセル型医療装置3から体腔内に放出されると、図9(B)に示すように、検出セル4は電磁石103を制御して磁石104に反発力を作用させる。このとき、アーム105a、105bが伸展するので、2本のアーム105a、105bの内部に生じた空間に体腔の内壁が導入される。次いで、検出セル4は、電磁石103を制御して磁石104に引力を作用させて、アーム105a、105bを再び折りたたむ。これにより、該体腔の内壁がアーム105a、105bにより挟まれることになる。
上記の留置部102を用いる構成によれば、検出セル4は、信号処理基板53の制御により体腔内への留置を能動的に行うことが可能となる。
また、図9(A)において、アーム105a、105bがセル外装41の底面101外部で折りたたまれる状態を示したが、これに限られず、該底面101にアーム105a、105bを収納する溝を設けても良い。この溝は、例えばアーム105a、105bが折りたたまれた状態において、底面101とアーム105a、105bの最外面とが略同一平面上に並ぶような深さを有する。これにより、カプセル型医療装置3から検出セル4が体腔内へ放出される際の動作が、スムーズに行われるようになる。さらに、留置部102は、上記の構成に代えて、アーム105a、105bが底面101に対して平行な方向に屈伸するとしても構わない。
第2の実施形態
次に、本発明の第2の実施形態に係る体内情報取得装置システムについて、特に検出セル110に関して、図10(A)〜(C)を参照して説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同一の構成要素については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、説明の都合上、一部の構成を図1、図5及び図9を参照して説明する。
本実施形態に係る検出セル110は、反応槽に代えて、体液等の検体を抗体等と反応させる反応面(以下、単に反応面と記す)が形成されたフィルム112を備え、セル内アンテナに代えてRF−ID114を備えている点で、第1の実施形態に係る検出セル4と相違している。
図10は、本発明の第2の実施形態に係る検出セル110の構成を示した図である。図10(A)は、検出セル110の一表面図、図10(B)は、図10(A)の検出セル110のA−A’において切断した断面図、図10(C)は、図10(A)の検出セル110のB−B’において切断した断面図である。
検出セル110は、円盤状のセル外装111を有し、該セル外装111の内部には、フィルム112と、反応検出部(検体評価部)113と、信号処理基板53と、メモリ55と、RF−ID(標識手段、通信手段)114と、コンデンサ(電力供給部)115とを有している。
ここで、フィルム112は、体腔内から採取した体液等の検体に含まれる検出対象物質の反応検出に用いられる反応面が形成されている。また、反応検出部113は、フィルム112の近傍に配置されて該フィルム112における検体の反応結果を検出する。信号処理基板53は、検出セル110内の各構成に対する制御処理と反応検出部113からの反応結果の処理等を行う信号処理回路を有する。メモリ55は、反応検出部113において取得された体内情報、及び体外装置6による検査時の反応条件等の設定情報を記憶する。RF−ID114は、信号処理基板53の下方側に配置されて、体外アンテナ5との間で、検出セル110の制御信号及び体内情報等の信号の送受信を行い、複数の検出セルに対し固有の識別コードを保存する機能を有する。コンデンサ115は、信号処理基板53の上面側に取り付けられて、検出セル110内部の電気系に動作用の電力を供給する。
セル外装111は、図5に示した板バネ51a、51b、又は図9に示したアーム105a、105b等の留置部を有している。また、セル外装111の表面には、図10に示すように、体液等の検体を内部に取り込むよう略矩形に形成された開口115(検体採取部)が設けられ、該開口115をセル外装111の内側から塞ぐように2枚の両開きのシャッタ43a、43bが取り付けられている。該シャッタ43a、43bは、それぞれ駆動基板65a、65bに接続されたリニアアクチュエータ116a、116bにより開閉の駆動がなされるようになっている。駆動基板65a、65bは、それぞれ駆動用フレキシブル基板66a、66bにより信号処理基板53に接続されている。
シャッタ43a、43bの内側には、検体中の検出対象物質の反応検出に用いられる反応面が形成された略矩形のフィルム112が配置されている。該反応面は数種類の層を形成しており、例えばフィルム112側から順に、検出対象物質と特異的に反応する試薬又はプローブ等(以下、単に試薬等と記す)が乾燥状態で保存された試薬層117と、検体を濾過する多孔性部材等を有する濾過層118とを配置している。また、フィルム112の両端縁は保持部材119により支持されて、信号処理基板53から隙間を開けて固定されている。
検出セル110における反応検出部113は、信号処理基板53上にフィルム112側に向けて離隔して設けられた1対の照明素子120と受光素子121とにより構成されている。この照明素子120は、例えばDFB(Distributed Feedback)レーザ等の波長可変光源であり、フィルム112に照明光を照射する。受光素子121は、例えばPINフォトダイオードであり、フィルム112により散乱又は反射した光を検出する。照明素子120の光軸は、フィルム112に対して略直交するように設定され、受光素子121の光軸は、フィルム112に対して斜めになるよう設定されている。また、照明素子120には、照明素子120の発光部を間欠的にフラッシュ発光させるように駆動する図示しない光源駆動回路が電気的に接続されている。
RF−ID114は、体腔内の複数箇所に散在された検出セル110を識別する標識タグとして用いられている。RF−ID114は、複数の検出セル110に固有の識別コードを保存して、電磁波を用いることにより複数の検出セル110を非接触で一度に識別可能にするタグ状媒体であり、図10(B)、(C)に示すように、セル外装111の外表面近傍に埋め込まれている。このRF−ID114の内部には、固有の識別コード及び通信プロトコルを記憶させた図示しない標識回路とメモリとを有するチップ122と、体外アンテナ5との間で検出セル110の制御信号及び体内情報等の信号を送受信する小型アンテナ123とを有している。また、RF−ID114は通信用フレキシブル基板74と切換スイッチ73を介して、コンデンサ115と信号処理基板53に接続されている。これにより、RF−ID114内のチップ122及び小型アンテナ123が、コンデンサ115及び信号処理基板53と電気的に接続されるようになっている。
RF−ID114には、この小型アンテナ123で受信した体外アンテナ5からの電磁波を選択的に抽出し、検波等を行って体外装置6からの制御信号を復調して各構成内の回路等へ出力する通信回路が設けられている。また、該通信回路は各構成内の回路等からの、例えば検査データや識別コードの信号を所定の周波数の搬送波で変調し、小型アンテナ123から体内情報として体外アンテナ5へ電磁波を発信する機能を有している。ここで、該通信回路は、チップ122内のメモリに予め記憶された通信プロトコルを用いて、複数の検出セル110からの検査データの送信を制御している。
複数の検出セル110から検査データを読み出す際は、体外アンテナ5から体内の広い範囲に向けて電磁波を用いて体内情報を読み出す指示信号を照射する。電磁波の照射領域に存在する複数の検出セル110は、それぞれ小型アンテナ123で該指示信号を受信する。小型アンテナ123で受信した指示信号は、RF−ID114の通信回路を介してチップ122に電気信号として送られる。このとき、RF−ID114は、チップ122内のメモリに記憶されている識別コード及び検査データを読み出し、通信プロトコルに従って小型アンテナ123に送る。そして、識別コード及び検査データは小型アンテナ123から電磁波として体外に送信されるようになっている。体外では、体外アンテナ5と体外装置6を用いて、複数の小型アンテナ123から送信された識別コードを読み出して解析することにより、複数の検出セル110を非接触で短時間に識別している。
コンデンサ115は、検出セル110内部の電気系に動作用の電力を供給する電源として用いられている。該コンデンサ115は、図10に示すように、切換スイッチ73を介して信号処理基板53に接続されているので、コンデンサ115の動作電力は信号処理基板53を介して、各構成内の回路に供給されるようになっている。また、切換スイッチ73とRF−ID114との間には、コンデンサ115と信号処理基板53とRF−ID114との間において信号の伝送が行えるように、通信用フレキシブル基板74が接続されている。例えば、体外アンテナ5から体内に向けて照射した電磁波をRF−ID114で受信し、受信により得られた電気信号を通信用フレキシブル基板74を介してコンデンサ115に伝送することで、コンデンサ115の充電を行うことが可能である。各構成内の回路への電力供給とRF−ID114を介した充電の切り替えは、切換スイッチ73により行なっている。
コンデンサ115としては、例えば電気二重層コンデンサが用いられる。この電気二重層コンデンサは小型で電気容量の大きいコンデンサであり、電力供給量を減らすことなくコンデンサ115を小型化することができる。
次に本実施形態の作用を説明する。
カプセル型医療装置3により体腔内の検査目的部位に放出された検出セル110は、シャッタ43a、43bを閉じた状態で、板バネ51a、51b、又はアーム105a、105b等の留置部により体腔内の内壁に固定される。そして、体外装置6は体内に向けて、参照データの取得を指示する第1の信号を体外アンテナ5を介して送信する。このとき、体腔内の異なる箇所に複数留置された検出セル110は、それぞれRF−ID114により該第1の信号を受信する。そして、検出セル110はそれぞれ照明素子120からフィルム112に照明光を一定時間照射し、フィルム112において反射又は散乱してきた参照光を受光素子121で受光して、得られた結果を参照データとしてメモリ55に記憶させる。
次いで、体外装置6が体内に向けて、採取する検体と抗体等との反応開始を指示する第2の信号をRF−ID114を介して送信する。体腔内の異なる箇所に複数留置された検出セル110は、それぞれRF−ID114により該第2の信号を受信する。該第2の信号は、体腔内に放出された全ての検出セル110が認識可能なようになっている。検出セル110は、該第2の信号を受信すると、信号処理基板53からの制御信号によりシャッタ43a、43bを開け、フィルム112に体液等の検体を導入させる。そして、該検出セル110は、フィルム112の試薬層117に保存された試薬等と接触させて検出反応を行う。
反応中又は反応後において、体外装置6はRF−ID114を介して体内に向けて該抗原抗体反応の検出を指示する第3の信号を送信する。検出セル110は該第3の信号を受信すると、照明素子120からフィルム112に照明光を再び照射し、フィルム112において反射又は散乱してきた測定光を受光素子121で受光して、得られた結果を測定データとしてメモリ55に記憶させる。メモリ55に記憶された参照データ及び測定データは、信号処理基板53の信号処理回路により演算処理に用いられる。この演算処理によって出力された評価結果は、RF−ID114に実装されたチップ122内のメモリに検査データとして記憶される。
上述の検出反応において、フィルム112が有する機能としては、特定のタンパク質を検出するタンパク質センサとしての機能、特定の酵素を検出する酵素センサとしての機能、又は特定のDNAを識別するDNAセンサとしての機能等が挙げられる。
タンパク質を検出する場合は、試薬層117に特定のタンパク質と反応して光学的変化を生じる試薬を乾燥状態で保存し、該試薬層117において検体中のタンパク質と接触させることにより、該光学的変化を受光素子121で検出している。特に、酵素を検出する場合は、特定の酵素と特異的に結合する受容体(レセプター)を用いて、検体中の酵素と結合させればよい。そして、フィルム112に照明素子120から照明光を照射すると、酵素の重量が増加してブラウン運動が緩やかになるため、酵素の運動による散乱光の周波数、位相等の変調の度合いが変化する。この散乱光の変調を、受容体の結合前及び結合後において受光素子121で測定し、散乱光の変調の変化を算出することにより、酵素を検出している。
DNAの識別を行う場合は、試薬層117に蛍光色素で標識した固体状のDNAプローブを保存している。検体中に検出対象となるDNAが存在すると、検体が試薬層117と接触した際に、該DNAプローブと検出対象のDNAとが結合して蛍光を発するので、受光素子121において蛍光を測定することにより、DNAを検出している。DNAプローブは一種類のみ試薬層117に保存されるとしても良いが、試薬層117をアレイ状に形成し、それぞれの区画に異なるDNAプローブを保存するとしても良い。こうすることで、1回の測定で多種類のDNAの検出を行うことができる。
また、フィルム112に対して、上記のDNAセンサと同様に、核酸、又はRNAを識別する機能を持たせることもできる。
体腔内の複数箇所全ての検出セル110が、上述した一連の反応検出過程を終えて、評価結果がRF−ID114に実装されたチップ122内のメモリに検査データとして記憶されると、体外装置6から体内に向けて識別コードの読み出しを指示する指示信号、すなわち第4の信号が送られる。該第4の信号は、体腔内に放出された全ての検出セル110が認識可能なようになっている。体腔内の複数の検出セル110は該第4の信号を受信すると、該チップ122内のメモリに記憶した識別コードをRF−ID114を介して体外に送信する。この識別コードは情報量が小さいので、体腔内の全ての検出セル4が同時に識別コードを送信しても、体外装置6は全ての識別コードを認識することができる。
体外装置6が全ての識別コードを認識して、体腔内に存在する検出セル110の個数を把握すると、体外装置6は全ての検出セル110に対して、検査データの送信を指示する第5の信号を順次送信する。検出セル110は該第5の信号を受信すると、該チップ122内のメモリに記憶した検査データを、通信プロトコルに従って体外に向けて送信する。このとき、通信プロトコルにより、複数の検出セル110が一つずつ、順次に検査データを送信するようになっている。送信された検査データ及び識別コードは体外アンテナ5により受信され、体外装置6に転送された後、パソコン85においてデータの処理及び保存等が行われる。
なお、上述した一連の反応検出過程において、必要があれば体外装置6が体外アンテナ5を介して電磁波(エネルギー)を体内に向けて送信することにより、検出セル110内のコンデンサ115に充電できるようになっている。
このように構成された本実施形態に係る体内情報取得装置システムによれば、検体に含まれる抗原と反応させる抗体が乾燥状態で保存された反応面を有するフィルム112を用いることにより、複雑な機構を必要とすることなく抗原抗体反応を行うことができる。その結果、検出セル110を小型化することができるようになり、カプセル型医療装置3により多くの検出セルを格納することが可能である。さらに、フィルム112が開口115に近接した位置に配置されているので、検体が粘性の高い流体であっても確実にフィルム112に検体を導入させ、検出反応を行うことができる。
また、検出セル110全てにおいて、固有の識別コードがRF−ID114のチップ122に記憶され、検出セル110全てが識別コード等の各種情報を送信する小型アンテナ123を有しているため、体腔内の複数箇所に散在している検出セル110を非接触で一度に識別できる。この結果、カプセル型医療装置3が格納した検出セル110の個数の情報がなくても、体腔内に放出された通信可能な検出セル110の個数を、短時間で特定することができる。また、検査データ及び通信プロトコルがチップ122に保存されるようにしているので、検出セル110から体外への検査データの送信は全てRF−ID114において制御可能で、通信制御の処理を簡易にすることができる。さらに、RF−ID114は既存の識別タグであるため、安価で小型の検出セルを提供することができる。
本実施形態においては、図11に示すように検出セル110内に撮像手段131を備えて、体腔内の画像を取得することとしても良い。すなわち、セル外装111の表面一部に設けた撮像用開口132に透明カバー133を水密的に接続固定し、その密閉した検出セル110の内部で該透明カバー133に対向する位置に、体腔内を照明する照明素子を有する一対の照明光学系134と、対物レンズ等により構成される結像光学系135とを設けている。また、信号処理基板53には撮像ユニット136が設けられ、該撮像ユニット136が有する撮像素子が結像光学系135の結像面に位置するように配置されている。該撮像素子は、例えばCMOS( Complementary Metal-Oxide Semiconductor )イメージャであり、CMOSイメージャは信号処理基板53と電気的に接続されている。すなわち、信号処理基板53は、照明素子の駆動制御と、CMOSイメージャから出力される撮像信号に対する信号処理及び制御処理とを行っている。
これにより、検体からの検査目的物質の検出の他に、体腔内の画像情報を取得することができるので、より詳細に体内情報を提供することができ、より精度の高い診断を行うことができる。
また、本実施形態においては、照明素子120としてDFBレーザ等の波長可変光源を用いたが、これに代えて、例えばR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色を順次発光する狭帯域光源ユニットを用いても良い。
また、検出セル110を体腔内に留置する手段として、板バネ45a、45b、又はアーム105a、105bを用いる構成に代えて、生体適合性接着剤(以下、単に接着剤と記す)を用いる構成としても良い。この場合、図12に示すように、セル外装111の開口115の裏面に相当する底面141の外部に、水溶性の可撓性部材からなる接着剤容器142を取り付け、該接着剤容器142の内部に接着剤を貯留するようにしている。
検出セル110がカプセル型医療装置3から体腔内に放出されると、接着剤容器142が体腔内の体液により溶け出し、接着剤容器142に貯留された接着剤が流出する。このとき、セル外装111の底面141と体腔内の組織表面との間に該接着剤が介在することにより、検出セル110を体腔内に留置させることができるようになっている。
上記の構成では、セル外装111の外部に接着剤容器142を備えることとしたが、これに限らず、セル外装111の底面141近傍の内部に、接着剤を貯留する容器を備えることとしても良い。この場合、該容器に貯留された接着剤をアクチュエータ等により検出セル110の外部に放出する。このとき、セル外装111の底面141と体腔内の組織表面との間に接着剤が介在することにより、検出セル110を体腔内に留置させることができる。
なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において上述した各実施形態を部分的に組み合わせる等して種々変形実施が可能である。例えば、第1の実施形態において撮像手段を有する構成としても良く、タンパク質、酵素、DNAを検査目的物質として、これらに特異的に反応する試薬又はプローブを用いることとしても良い。また、第2の実施形態において、血液成分抗体、腫瘍マーカ抗体等を用いて血液(ヘモグロビン)、腫瘍マーカ等の検出を行っても良い。
なお、食道癌マーカとしては、SCC、シフラ等、胃癌マーカとしては、CEA、CA72−4、CA19−9、STNを使用できるが、これらの腫瘍マーカに限らず、AFP、CA125、NCC−ST−439、DuPan−2等を用いることとしてもよい。
本発明の第1の実施形態に係る体内情報取得装置システムの全体構成を示す 概略図。 図1の体内情報取得装置システムにおけるカプセル型医療装置の内部構成を 示す図。 図2のカプセル型医療装置の放出装置を示す側面図。 検出セルの放出時におけるカムの動作を示す正面図。 図1の体内情報取得装置システムにおける検出セルの外観を示す概略図。 図5の検出セルの内部構成を示す図。 複数の検出セルから体内情報を読み出す状態を示す図。 図6の検出セルの変形例に係る検出セルの内部構成を示す図。 図5の検出セルの変形例に係る留置部を示す図。 本発明の第2の実施形態に係る検出セルの内部構成を示す図。 図10の検出セルの変形例に係る検出セルの内部構成を示す図。 図10の検出セルの変形例に係る留置部を示す図。
符号の説明
1…体内情報取得装置システム
2…患者
3…カプセル型医療装置
4、110…検出セル(体内情報取得装置)
5…体外アンテナ
6…体外装置
12…格納容器
13…放出手段
15…タイマ
16…電池
19…放出装置
24…カム
51…反応部
52…反応検出部
54…セル内アンテナ
57…反応槽
59…試薬容器
61…マイクロポンプ
67、120…照明素子
68、121…受光素子
72…蓄電池
91…弾性試薬容器
92…マイクロアクチュエータ
112…フィルム
114…RF−ID
115…コンデンサ
117…試薬層
123…小型アンテナ
131…撮像手段


Claims (16)

  1. 検査目的部位において体腔内の検体を採取する検体採取部と、前記検体採取部が採取した前記検体を評価して評価結果を出力する検体評価部と、前記体内情報取得装置に固有の識別情報を有する標識手段と、外部から送信された信号を受信し、前記検体評価部が出力した前記評価結果を外部へ送信する通信手段と、電力を供給する電力供給部とを備えることを特徴とする体内情報取得装置。
  2. 前記標識手段が、無線通信を用いて前記識別情報を送信する標識タグであることを特徴とする請求項1に記載の体内情報取得装置。
  3. 前記標識タグが、RF−IDであることを特徴とする請求項2に記載の体内情報取得装置。
  4. 前記体内情報取得装置が、前記通信手段が外部から送信された前記信号を受信した時に、前記信号を処理し、前記電力供給部が前記検体採取部、前記検体評価部、及び前記標識手段のいずれかに電力供給を開始するように制御する電力供給制御手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の体内情報取得装置。
  5. 前記体内情報取得装置が、体腔内の組織表面に固定する留置部を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の体内情報取得装置。
  6. 前記体内情報取得装置が、生体適合性接着剤を貯留する接着剤容器と、前記生体適合性接着剤を外部に放出する接着剤放出手段とを備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の体内情報取得装置。
  7. 前記電力供給部が、外部からの充電が可能な蓄電部であり、体外からエネルギーを無線伝送することにより前記蓄電部に電力を供給することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の体内情報取得装置。
  8. 前記蓄電部が電気二重層コンデンサであることを特徴とする請求項7に記載の体内情報取得装置。
  9. 前記検体評価部が、血液の有無を検出する血液センサを有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の体内情報取得装置。
  10. 前記検体評価部が、特定のタンパクを検出するタンパク質センサを有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の体内情報取得装置。
  11. 前記検体評価部が、特定の酵素を検出する酵素センサを有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の体内情報取得装置。
  12. 前記検体評価部が、特定の遺伝子を検出する遺伝子センサを有することを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかに記載の体内情報取得装置。
  13. 前記体内情報取得装置が、体腔内を撮像する撮像手段を有することを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の体内情報取得装置。
  14. 請求項1から請求項13のいずれかに記載の体内情報取得装置と、前記体内情報取得装置を格納する格納部を有すると共に、検査目的部位において前記体内情報取得装置を放出する放出機構を有するカプセル型医療装置と、体外に配置されて前記体内情報取得装置との間で信号の送受信を行う体外アンテナと、前記体内情報取得装置が送信した信号を前記体外アンテナから取得すると共に、前記標識手段が有する識別情報を識別する識別手段を設けた体外装置とを備え、前記体外装置が、複数の前記体内情報取得装置に対して共通の制御信号を送信する体外制御部を備えることを特徴とする体内情報取得装置システム。
  15. 前記体外制御部が、前記通信手段を制御する通信制御部であることを特徴とする請求項14に記載の体内情報取得装置システム。
  16. 前記体外制御部が、前記検体評価部を制御する検体評価制御部であることを特徴とする請求項14に記載の体内情報取得装置システム。
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