本発明は、間欠光による画像表示を行って動画尾引き(動きボケ妨害)を改善しつつ、持続光によってフリッカ妨害を抑制するものであり、具体的には、以下の実施形態に示すような表示光によって画像を形成することでトレードオフの関係にある両画質妨害の発生を低減することを可能にしたものである。以下、本発明の実施形態を添付図面に基づき説明する。
〔実施形態1〕
図1は、本発明の一実施形態に係る映像表示装置1の構成を示す図である。映像表示装置1は、図1に示すように、表示パネル(映像表示手段)2、ビデオデコーダ3、カラムドライバ4、ロウドライバ5、カラム電極6、ロウ電極7、および入力端子9により構成される。
入力端子9からは、たとえばNTSCビデオ信号のような映像信号が入力される。ビデオデコーダ3は、入力映像信号に対応した復調処理を行うものであり、カラムドライバ4に映像データを、ロウドライバ5に同期タイミング信号を出力するものである。
カラムドライバ4は、複数のカラム電極6に映像データを供給するものである。ロウドライバ5は、同期タイミング信号に合わせて複数のロウ電極7を順次選択するものである。たとえば、あるロウ電極に注目した場合、ロウ電極の選択時間は、同期タイミング信号周期が1/60秒、ロウ電極数が525本であれば、32マイクロ秒(=1/60/525)である。
また、カラム電極6とロウ電極7との交点には。画素8が規定される。画素8の平均発光輝度は、ロウ電極7の選択期間に、カラム電極6に供給された映像データに従い変調、更新される。一方、映像データに従い平均発光輝度が変調される選択期間以外の時間は、画素8は、更新された平均発光輝度を保持する。さらに、この画素8の平均発光輝度の保持動作は、次にその画素8に対応するロウ電極が選択される選択期間まで継続される。
これらの一連の動作が映像信号の垂直同期信号単位で繰り返される。そして、これらの動作で変調、更新された画素の集合によって、映像表示がなされる。
図2は、ある画素に注目した場合の、瞬時発光輝度の時間応答を示す波形である。Tは映像信号の垂直周期であり、単位は時間である。たとえばNTSCでは、Tは1/60秒である。本実施形態の映像表示装置の画素は、周期Tに対して発光時間がD%、1垂直周期における画素の平均発光輝度に対してS%の強度で発光する第1の発光成分と、発光時間が(100−D)%で、1垂直周期における画素の平均発光輝度に対して(100−S)%の強度で発光する第2の発光成分とからなる光により、表示映像を形成する。
ここで、ある時間における画素発光を、ピーク発光値、発光のピーク値、瞬時発光輝度、瞬時発光強度、瞬時発光ピーク、もしくは単に輝度と呼ぶ。厳密には、一般的に輝度といわれるものは瞬時発光輝度であり、単位は[nit](ニット)、あるいは、[cd/m2](カンデラパースクエアメーター)である。人間の目が感じるのは、瞬時発光輝度を目が積分化、平滑化したものであり、これを平均輝度、平均画面輝度、画面輝度、平均強度、平均輝度レベルと呼ぶ。厳密には、単位はnitではないが、等価的にnitの単位が使用される場合が多い。たとえば液晶テレビでは、白を表示した際の平均輝度をカタログスペックに使用している。図2に示すSのように、瞬時発光輝度と時間比(または時間)をかけたものを、発光強度比(または発光強度)、発光成分、発光量と呼ぶ。図2において、発光波形の縦軸および横軸で囲まれる面積が発光強度に相当する。
つまり、第1の発光成分は、図2中の左下がりの斜線を付したエリアにて示される。また、第2の発光成分は、図2中で右下がりの斜線を付したエリアにて示される。さらに、第1の発光成分の瞬時発光強度は、第2の発光成分の瞬時発光強度よりも大きい。
視聴者は、このように図2にて示される波形を目で平均化(積分)し、ある画面の輝度として認識する。また、通常の映像表示装置の画面輝度は、白を表示した際の画面の輝度で定義される。たとえばテレビ(TV)用途の映像表示装置であれば、画面輝度は250nit(nitは輝度の単位)として設定され、画面を明るく調整した場合、画面輝度は500nitに設定される。
図3(a)および図3(b)は、本実施形態における画素の発光波形の一例を示す図である。なお、これらの図面においては、一垂直周期分の発光波形を示している。なお、図3(a)は画面輝度が450nitに設定されている場合における、ある画素の発光波形を示す図面である。第1の発光成分は、瞬時発光強度が900nit、デューティー比が30%に設定されており、第2の発光成分は、瞬時発光強度が260nit、デューティー比が70%に設定されている。
したがって、第1の発光成分と第2の発光成分との発光強度の比は、
900×0.3:260×0.7=6:4となる。
そして、人間の目が感じる輝度は、第1の発光成分と第2の発光成分との発光強度の平均値であるので、900×0.3+260×0.7=450nitと求められる。さらに、輝度が450nitである画素の集合が画面輝度とすれば、画素の輝度と画面の輝度とは等しくなり、画面輝度も450nitとなる。
図3(b)は画面輝度が200nitに設定されている場合における、画素の発光波形を示す図面である。第1の発光成分は、瞬時発光強度が800nit、デューティー比が20%に設定されており、第2の発光成分は、瞬時発光強度が50nit、デューティー比が80%に設定されている。
したがって、第1の発光成分と第2の発光成分との発光強度の比は、
800×0.2:50×0.8=8:2となる。
このように、本実施形態の映像表示装置は、画素更新の繰り返し単位(垂直周期)において、第1の発光成分と第2の発光成分とからなる画像表示光を生成することを特徴としている。そして、この特徴的構成により、以下に説明するように、尾引き改善とフリッカ妨害低減とを両立させることができるようになる。
図4は、本実施形態の映像表示装置の効果を定性的に説明するための図である。具体的には、これらの図面は、表示パネルに、背景が黒色のなかに縦の長さが3画素分、横の長さが任意の大きさの白色の物体が表示されており、その物体が画面下方向に、1フレームあたり1画素の速度で等速に移動する状態を示している。
図4の(a)部分は、ある画素に注目した場合の、瞬時発光強度の時間変化を示す図であり、縦軸は瞬時発光強度比を示しており、横軸は時間を示している。なお、図4の(a)部分においては、第1の発光成分に対応する発光強度に縦縞を付しており、第2の発光成分に対応する発光強度にクロスハッチを付している。
図4の(b)部分は、表示パネル2に表示される物体の、ある瞬間における輪郭を示すものであり、横軸が画素、縦軸が相対レベルを示している。なお、相対レベル0%が黒を、100%が白を意味する。また、図4の(c)部分は、図4の(b)部分に示す物体が移動する様子(横軸は時間、縦軸は空間)を示すものである。
また、本来、表示パネル2の表示画面は2次元の平面であるが、図4の(c)部分では、2つの空間座標軸のうち、片方の水平軸座標の記載は省略している。図4の(c)部分に示すように、時間の経過とともに表示される物体が移動し、その移動と図4の(a)部分の発光波形との関係から、物体の輝度は2種類の強度にて表現される。
つまり、図4の(a)部分に示すように、第1の発光成分が発光している期間は瞬時発光強度が強くなるので、図4の(c)部分にて縦縞部分で示すように、瞬時の発光強度も大きくなる。
そして、観察者が矢印2にそって物体を目線で追った場合、この2種類の発光状態の積算(積分)により、観察者の網膜には、該物体が図4の(d)部分に示すような状態で映る。図4の(e)部分に、(d)部分に示す物体の瞬時輝度の変化を示す。なお、図4の(e)部分においては、横軸が空間、縦軸が輝度比を示している。
図4の(e)部分に示すように、本実施形態の映像表示装置1によれば、観察者が認識する物体の輝度輪郭は、3種類の傾斜、すなわち図4の(e)部分の傾斜1、傾斜2、および傾斜3を有する。ここで重要なことは、図4の(e)部分に示す傾斜1および傾斜3は緩やかである一方、傾斜2は切り立ち、急峻な勾配であるということである。
そして、緩やかな傾斜1および傾斜3に対応する輝度変化は、人の目では認識されにくい。なぜなら、一般的に移動する物体に対する観察者のコントラスト識別能力は、通常の静止物体のそれに対して劣るからである。つまり、移動している物体においてコントラスト比の低い部分に対しては、そのコントラスト変化を人の目は認識できない。したがって、動画に関しては、画像の細部に至るまで正確にコントラストを表示する必要はない。
よって、観察者が認識する物体の輝度輪郭は傾斜2のみとなるので、図61の(e)部分で示した、一定の輝度にて画素が発光(ホールド型表示)したときの動画尾引きに対して、尾引き改善を十分に達成することができる。
図5(a)〜図5(i)は、本実施形態の映像表示装置による効果を定量的に説明するための図であり、3種類の発光パターン別に、画素の輝度の時間応答波形、尾引き量、およびフリッカ量の特性を示している。
ここで、図5(a)〜図5(c)は、デューティー比が25%の従来型インパルス型の発光パターンを用いた場合における、発光輝度の波形、尾引き量、およびフリッカ量の特性を示すものである。また、図5(d)〜図5(f)は、デューティー比が40%のインパルス型の発光パターンを用いた場合における、発光輝度の波形、尾引き量、およびフリッカ量の特性を示すものである。
また、図5(g)〜図5(i)は、本実施形態の映像表示装置を用いた場合における、発光輝度の波形、尾引き量、およびフリッカ量の特性を示すものである。なお、本実施形態の映像表示装置における第1の発光成分のデューティー比Dは20%に設定し、全体の発光輝度に対する第1の発光成分の強度比Sを80%に設定した。
そして、図5(a)、図5(d)、および図5(g)は各パターンに対する発光輝度の波形を示している。また、図5(b)、図5(e)、図5(h)は各パターンに対して、図4を用いて説明した尾引きモデルを当てはめて尾引き改善のための発光処理を実施したときの、尾引き量である。
なお、尾引きの空間に対する波形の輝度比が15%から85%まで変化する際の、空間的な長さを尾引き量と定義する。この15%および85%と定義されたしきい値は、移動する物体のコントラストに対しては人間の目の感度が低くなるという仮定において、主観評価実験によって求めたものである。なお、図5(b)、図5(e)、図5(h)において矢印で示された範囲が、この尾引き量に該当する。
図5(c)、図5(f)、図5(i)は、各パターンについてのフリッカ量を示しており、図5(a)、図5(d)、図5(g)に示す輝度の時間応答波形を各々フーリエ変換で周波数変換したものの、0次直流成分(平均値)と1次高調波成分との比を示している。たとえば垂直同期信号が60HzのNTSCビデオ信号の場合、1次高調波は60Hzである。また、0次直流成分に対する1次高調波の成分が大きいほどフリッカ妨害が大きくなる。
ここで、各発光パターンについては、図5(a)、図5(d)、および図5(g)に示された発光輝度の時間分布の積分値(つまり平均輝度)が同一となるように設定されている。このように平均輝度を同一にしているため、図5(c)、図5(f)、および図5(i)の各平均値成分(0次直流成分)のエネルギー量は、各発光パターンにおいて同一となるので、1次高調波成分量を発光パターンごとに比較することが可能となる。
図6は、図5の各発光パターンの特性をまとめて示すものである。図6において、第1列の第1の発光成分のデューティー比Dは、垂直周期に対する第1の発光成分の点灯時間の比率を示している。また、第2列の第1の発光の発光強度比Sは、全体の発光輝度に対する第1の発光成分の発光強度の比である。なお、ここでいう「発光強度」は、瞬時発光強度を時間で積分した値のことである。
図5(a)および図5(d)の発光波形に示したように、従来技術の発光パターンは単純なパルス発光成分を用いるものであり、本実施形態の映像表示装置に置き換えれば第1の発光成分の強度比Sが100%であるといえる。なお、上述したとおり、第1の発光成分と第2の発光成分とによって発光を行うのは、本実施形態の映像表示装置の特徴点である。
また、図6の第3列に示す尾引き量は、図5(b)、図5(e)、図5(h)に示す矢印線の長さ、つまり図4で定義したモデルによって算出される尾引きの空間的な長さである。また、図6の第4列に示すフリッカ量とは、平均値(第0次直流成分)に対する60Hz成分(第1次高調波)の比である。また、図6の第1行〜第3行のそれぞれは、図5の発光パターン1〜3に該当する。
図61を用いて説明したような、尾引き対策をしない発光の場合、尾引き量(画素単位の尾引きの長さ)は0.7である。一方で図6の第1行に示す従来例は、デューティー比が25%であり、尾引き量が0.18まで改善されている。すなわち、尾引き対策をしない場合に比べて、75%の尾引き量が低減されたこととなる。しかし、図6の第1行に示す従来例では、フリッカの主原因である60Hz高調波成分が90%の割合で発生する。
また、第2行の従来例では、フリッカ量を低減するためにデューティー比が40%に増加されている。これにより、フリッカの主原因となる60Hz成分が75%まで低減されているが、尾引き量が0.28まで増加している。すなわち、第2行の従来例のインパルス型発光では、尾引き対策をしない場合に比べて60%しか尾引き量が低減されていない。
これに対して第3行は、第1の発光成分のデューティー比Dを20%、発光強度比Sを80%とした場合における、尾引き量とフリッカ量とを示している。
図6からわかるように、本実施形態の映像表示装置によれば、第1行の従来例と比較して、フリッカ量を90%から70%まで減衰させることが可能となり、かつ、尾引き量は0.18となっており、第1行の従来例と同程度にまで改善されている。このように、本実施形態では、十分に尾引き改善をしながらフリッカ妨害を大幅に低減でき、視聴者に最適な品位の映像を提供することが可能となる。
図7は、図5の各発光パターンの特性を示すものであり、横軸は尾引き量で、数値が小さいほうが高画質である。縦軸はフリッカ量であり、数値が小さいほうが、フリッカが少なく高画質である。従来の技術による画像表示では、デューティー比Dの変更により、フリッカ量および尾引き量の値が図7中の軌跡上を移動し、白抜き矢印で示す理想の改善方向には移動しない。すなわち、フリッカ量と尾引き量とはトレードオフの関係であり、双方を同時に改善することはできない。しかしながら、図7中の丸印にて示す本実施形態の映像表示装置の発光表示特性は、従来技術に比べて、尾引き量、フリッカ量とも改善されていることが分かる。
図8(a)〜図8(c)は、本実施形態の映像表示装置において、発光強度比Sを70%または90%で固定した場合の、デューティー比Dと尾引き量とフリッカ量の関係を示すものである。なお、デューティー比Dが発光強度比Sに等しい場合、発光波形が直流となってしまうため、図8(a)〜図8(c)から除外している。また、デューティー比D>発光強度比Sの場合、第1の発光成分の瞬時発光強度が、第2の発光成分の瞬時発光強度より小さくなってしまい、この場合も本実施形態の効果を説明するところではないため除外している。
図8(a)〜図8(c)に示すように、デューティー比D<発光強度比S、かつ発光強度比を70%または90%で固定するとともに、取り得るデューティー比Dを用いて、図4のモデルで示した尾引き量と、図5で示したフリッカ量とを算出すると、その特性はすべてのデューティー比Dに対して、従来技術の特性から左下に移動しており(図8(a)参照)、本実施形態の映像表示装置により尾引き量とフリッカ量とが同時に低減されていることがわかる。
図9(a)〜図9(c)は、本実施形態の映像表示装置において、デューティー比Dを10%または70%で固定した場合の、第1の発光成分の発光強度比Sと尾引き量とフリッカ量との関係を示すものである。図9(a)〜図9(c)から明らかなように、デューティー比D<発光強度比S、かつデューティー比Dを10%または70%で固定した場合、ある発光強度比(ここでは70%)から100%未満までの発光強度比Sに対して、図4のモデルで示した尾引き量と図5で示したフリッカ量とを算出すると、尾引き量とフリッカ量とが同時に低減されていることがわかる(図9(a)参照)。
なお、図9(b)および図9(c)において、発光強度比Sを70%までとしたのは、特定の発光強度比Sとデューティー比Dの組み合わせにて、尾引き量とフリッカ量の同時改善効果がなくなる場合があるからである。つまり、図4の(e)部分に示す傾斜1,2,3のうち、発光強度比Sとデューティー比Dの組み合わせによっては傾斜1,3の傾きが大きくなり、尾引き量が大きくなるためである。よって、本実施形態においては、発光強度比S=40%という場合は除外する。
図10(a)〜図10(b)は、本実施形態の映像表示装置において、発光強度比Sを40%で固定した場合の、デューティー比Dと尾引き量とフリッカ量の関係を示すものである。図10(a)に示すとおり、この条件では尾引き量とフリッカ量が同時に低減されていないことがわかる。
図11(a)および図11(b)は、発光強度比Sを60%で固定した場合の、デューティー比Dと尾引き量とフリッカ量の関係を示すものである。この条件では、デューティー比Dによって効果がある場合と効果がない場合がある。
図8から図11の特性をまとめると、本実施形態の映像表示装置の効果を得ることができるデューティー比Dと発光強度比Sの条件は、図12のように示される。図12のグラフにおいて、横軸はデューティー比D、縦軸は発光強度比Sである。本実施形態の映像表示装置の効果を得ることができるデューティー比Dと発光強度比Sとは、62%≦S%<100%かつ0%<D%<100%かつD%<S%である条件Aか、もしくは48%<S%<62%かつD≦(S−48)/0.23である条件Bを満たす。なお、図12においては、条件Aを満たす領域に網点を付し、条件Bを満たす領域に斜線を付している。
また、Sを100%に設定することは、従来技術の間欠発光(インパルス型表示)を用いることを意味するため、条件Aおよび条件Bには含まれていない。さらに、S=Dと設定することは、第1の発光成分の瞬時発光強度と第2の発光成分の瞬時発光強度が等しい場合を意味するため、条件Aおよび条件Bには含まれていない。さらに、S=0%またはD=0%と設定することは、第1の発光成分を生成しないことを意味するため、条件Aおよび条件Bには含まれていない。さらに、D=100%は、第2の発光成分を生成しないことを意味するため、条件Aおよび条件Bには含まれていない。
条件Aを満たす発光強度比Sについては、図8(a)〜図8(c)で説明したように、取り得るすべてのデューティー比Dについて尾引き量とフリッカ量との同時低減効果を得ることができる。なお、条件Aおよび条件Bに含まれない範囲は、図10(a)で説明したように尾引き量とフリッカ量との同時低減効果はない。
また、図11(a)および図11(b)で説明したように、条件Bで示す発光強度比Sの範囲は、あるデューティー比Dの場合のみ、尾引き量とフリッカ量との同時低減効果を得ることができる。
図13(a)および図13(b)は、発光強度比S=62%の場合の尾引き量とフリッカ量との関係を示すものである。この場合、図13(b)に示すように、取り得るデューティー比Dに対して、尾引き量とフリッカ量との同時低減効果があることがわかる。
図14(a)および図14(b)は、発光強度比S=48%の場合の尾引き量とフリッカ量との関係を示すものである。この場合、図14(a)および図14(b)に示すように、尾引き量とフリッカ量との同時低減効果が得られるデューティー比Dは存在しない。このように、図11、図13、および図14から、条件Bを満たす発光強度比Sが、48<S%<62であることが分かる。
また、図15(b)は、48<S%<62の範囲において、尾引き量とフリッカ量との同時低減効果が得られるデューティー比Dの上限を、尾引きモデルとフリッカ解析によって算出したものである。
つまり、尾引きモデルから算出されるデューティー比Dおよび発光強度比Sは、図15(b)に示す値となる。この値は、図15(a)のグラフにおいて、同図中◆印にて示すようにプロットされる。そして、この◆印にて示される特性は、およそS=0.23D+48の直線に近似できる。この近似直線にて示されるデューティー比より小さなデューティー比であれば、尾引き量とフリッカ量との同時低減効果が得られるため、条件BとしてはD≦(S−48)/0.23が設定される。
図16(a)〜図16(c)は、条件Aまたは条件Bを満たす発光強度比Sおよびデューティー比Dについて、代表点を6点抽出した場合の、尾引きとフリッカとの改善度合いを説明するための図である。つまり、図16(a)にて、条件Aまたは条件Bを満たすものとしてP1〜P6のポイントを抽出した。なお、各ポイントにおけるDおよびSの値は、図16(b)に示す。
そして、図4で示したモデルを基に尾引き量とフリッカ量を求め、尾引き量−フリッカ量のグラフにプロットしたものが図16(c)である。図16(c)に示すように、P1〜P6における尾引き量およびフリッカ量の値は、従来技術の間欠点灯(インパルス型表示)のラインから左下方向に移動している。よって、条件Aまたは条件Bを満たすようにD、Sを設定すれば、尾引きとフリッカとの両画質妨害が同時に改善されているといえる。
また、第1の発光成分および第2の発光成分の、デューティー比Dと発光強度比Sの関係が、上述の条件Aおよび条件Bのいずれかを満たしていれば、その発光波形は、図3(a)や図3(b)に示したようなものに限定されず、どのようなものであっても構わない。
そのような発光波形の一例を図17(a)および図17(b)に示す。図17(a)および図17(b)における横軸は時間、縦軸は瞬時発光強度であり、一垂直周期分の発光波形が示されている。図17(a)は、映像表示装置の調光機能(画面全体の明るさをユーザーが切り替える機能)や、映像表示装置の制御方式のため、約2.4KHz(16.7ミリ秒の間に40回振動する)ののこぎり波が重畳している場合を示している。このような発光波形であっても、人間の目が2.4KHzの繰り返し周波数に追従しないため、図17(b)に示す発光波形と等価となり、本実施形態の効果である、尾引きとフリッカを同時に改善する効果が得られる。
本実施形態における画素の発光の時間応答波形について、図2、図3などでは説明を簡便にするために、第1の発光成分、第2の発光成分の波形を矩形波で記述している。しかし、本発明は、この矩形波に限定されるものではない。図4で説明したとおり、ホールド型の表示装置においては、人間の目が本来の積分方向とずれた方向で画素の発光を積分することに問題がある。この積分方向、積分路のずれは、動物体を目で追うために発生する。従来のインパルス型の表示装置は、発光を一部抑制することで、尾引き妨害を減らしているが、本実施形態は尾引き量を減らしながらフリッカ量も同時に改善するものである。本実施形態の発光波形は、デューティー比Dで規定する時間に、発光強度比Sの発光強度、いわゆる発光エネルギーを集中することで達成するものである。よって、純粋な矩形波でなくても効果が減じることがないのはいうまでもない。
また、尾引きとフリッカを同時に改善する効果を得ることができる発光波形の別の例を図18(a)および図18(b)に示す。図18(a)および図18(b)に示すように、第2の発光成分が細かいパルスからなるものであってもよい。なお、図18(a)および図18(b)においては、横軸として時間、縦軸として瞬時発光強度が示されており、一垂直周期分の発光波形が示されている。
図18(a)および図18(b)に示す発光波形を用いた場合でも、図17(a)に示す発光波形と同様、人間の目は第2の発光成分の周波数に追従しないため、第2の発光成分の発光波形は、破線で示す発光波形と等価となり、尾引きとフリッカを両立した改善が可能である。なお、第2の発光成分の発光強度比(100−S)%を調整する場合、図18(a)のように、パルスの点灯時間T0を調整してもよいし、図18(b)に示すように、パルスの強度L0を変更しても良い。
第2の発光成分の繰り返しの周波数は、人間の目が追従しない値を選定すればよい。たとえば図17(a)ののこぎり波の周波数のような数キロHzでもよいし、150Hz程度の、映像垂直周波数の数倍程度でもよい。また、映像表示装置の表示映像の特性や視聴環境によっては、80Hzの周波数でも良い場合があり、また100Hzでよい場合もある。たとえば画面輝度が250nit程度の映像表示装置では、120Hz程度、つまりNTSCビデオ信号の2倍の周波数でも、人間の目が連続光として認識する場合もある。たとえば画面輝度が500nitの映像表示装置では、120Hzではちらつきを感じる場合もあり、300Hz以上の周波数でなければ連続光として認識しない場合もある。映像表示装置が表示する映像が、静止画が多い場合、わずかな画面の輝度変化が妨害として見えてしまう場合もあり、動画表示が多い場合は、ある程度の画面変動が気にならない場合もある。要は、映像表示装置のシステム構成にあった周波数を適宜選定すればよい。
さらに、尾引きとフリッカとを同時に改善する効果を得ることができる発光波形の別の例を図19に示す。図19に示すように、第1の発光成分および第2の発光成分の発光波形は、三角波であってもよい。なお図19においては、横軸は時間、縦軸は瞬時発光強度であり、一垂直周期分の発光波形が示されている。このような三角形の波形の場合も、破線で示す発光応答と等価と見なせる。つまり、図19に示すような三角形の発光波形を図4で示したモデルに当てはめた場合、図4の(e)部分の傾斜1,3が直線ではなく曲線を描くものの、傾斜1および傾斜3に対する傾斜2は、第1の発光成分と第2の発光成分のデューティー比Dと発光強度比Sで決まるため、DとSの値を上述した条件Aまたは条件Bを満たすようにすれば、尾引きとフリッカとの両画質妨害を同時に改善することが可能である。
また、図20は、第1の発光成分および第2の発光成分の発光波形が指数関数状となる場合であるが、このような発光波形も図19と同様に、破線で示す発光特性と等価となり、本実施形態の効果が得られる。
なお、図2の説明として、第1の発光成分の瞬時発光強度は、第2の発光成分の瞬時発光強度よりも大きいと述べたが、これは、たとえば図18(a)または図18(b)の第2の発光成分の瞬時発光強度が第1の発光成分の瞬時発光強度を超えないという意味ではない。図18(a)および図18(b)において、第2の発光成分を、人間の目の特性を考慮して等価的に点線に置き換えた、その点線が第1の発光成分の瞬時発光強度より小さいという意味である。
また、上記の説明では、尾引き量の定義を15%から85%の輝度変化の範囲としていた。ここで、たとえば映像表示装置の画面輝度が600nitといった明るい値に設定されている場合や、視聴環境が暗い場合においては、図4の(e)部分で説明した傾斜1,3の傾きが比較的大きくなるデューティー比Dと発光強度比Sの条件では、観察者がこの傾斜1,3を視認してしまい、尾引き改善効果が減少してしまう場合がある。そのような場合は、図21に示すデューティー比D、発光強度比Sの条件を満たす範囲で発光応答波形を設定すればよい。
図21は、人間の目が応答する尾引きの輝度レベル範囲が、10%から90%(図5参照)であると仮定した場合の、本実施形態で最良のデューティー比Dと発光強度比Sを示したものである。
この場合、DとSは、79%≦S%<100%かつ0%<D%<100%かつD%<S%である条件A1、または69%<S%<79%かつD≦(S−69)/0.127である条件B1を満たす。図21において、網点で示す部分が条件A1、斜線で示す部分が条件B1である。
図22(a)〜図22(c)は、発光強度比S=69%の場合、およびS=79%の場合の尾引き量とフリッカ量との関係を示すものである。なお、図21に示すDとSの条件を設定する際と同様に、人間の目が応答する尾引きの輝度レベル範囲が、10%から90%であると仮定している。
この場合、図22(a)に示すように、S=79%の場合は取り得るデューティー比Dに対して、尾引き量とフリッカ量の同時低減効果があることがわかる。また、同図に示すように、S=69%の場合は、尾引き量とフリッカ量の同時低減効果が得られるデューティー比Dは存在しない。このように、図22(a)から、条件B1を満たす発光強度比Sが、69%<S%<79%であることが分かる。
また、図23(a)および図23(b)は、人間の目が応答する尾引きの輝度レベル範囲を10%から90%であると仮定した場合における、69%<S%<79%の範囲において、尾引き量とフリッカ量の同時低減効果が得られるデューティー比Dの上限を、尾引きモデルとフリッカ解析によって算出したものである。
つまり、尾引きモデルから算出されるデューティー比Dおよび発光強度比Sは、図23(b)に示す値となる。この値は、図23(a)のグラフにおいて、同図中◆印にて示すようにプロットされる。そして、この◆印にて示される特性は、およそS=0.127D+69の直線に近似できる。この近似直線にて示されるデューティー比より小さなデューティー比であれば、尾引き量とフリッカ量の同時低減効果が得られるため、条件B1としてはD≦(S−69)/0.127が設定される。
図24は、本実施形態の映像表示装置によるフリッカ低減効果を主観評価の結果によって説明するための図である。映像表示装置の画面輝度に関しては、白色輝度(画面に白を表示した際の画面輝度)を450nitに設定した。なお、450nitは、テレビジョン(TV)受像機として充分明るいレベルであり、nit(ニット、ニト)は輝度の単位である。なお、評価画像としては、APL(Average Picture Level;平均輝度レベル)の異なる3種類の画像A,B,Cを使用した。これらの画像は、静止画である。
より具体的には、画像Aは、たとえば夜景などの全体的に暗い画像であり、APLは20%であり、平均の画面輝度はおよそ100nitとなる。また、画像Bは、APLが50%の主に中間階調からなる画像であり、平均画面輝度は250nitである。画像Cは、たとえば青空などの明るい画像であり、APLは80%であり、平均画面輝度は350nitである。
これらの画像A,B,Cを映像表示装置にて表示し、従来技術での発光波形である図5(a)と、本実施形態での発光波形である図5(g)とで切り替えて駆動し、画像フリッカを知覚できるかどうか、知覚できる場合は、画像フリッカが邪魔に感じられるかどうか実験した。なお、主観評価の尺度は5段階とした。尺度が大きいほど高画質であるといえる。
図24に示すように、本実施形態の映像表示装置に関しての主観評価は、従来技術よりも総じて高評価を得ている。従来技術では、画面輝度が明るくなるに従いフリッカ妨害が顕著になってくる。しかし、本実施形態の映像表示装置によるフリッカ低減効果は、観察者が許容できる水準に達していることがわかる。このフリッカ低減効果は、3種類のAPL、つまり3種類の明るさの画像に関して同様に見られる。
そして、上述したように、本実施形態の映像表示装置は、移動する物体のコントラストに対する人間の目の感度の低さを利用して尾引き改善を行っている。したがって、第2の発光成分によりもたらされる画面の輝度が、ある瞬間において人間の目に見えたとしても、それが尾引き改善性能に影響を及ぼすものではない。
以上のように、本実施形態では、第1の発光成分および第2の発光成分からなる発光応答波形により、動物体の尾引きを抑えてくっきりした輪郭を表示しながら、同時にフリッカ妨害を抑えて高品位な画像表示を実現することができる。そして、動画の尾引き改善には、動画像のコントラストに対する人間の目の感度の低さを利用している。
また、映像表示装置の画面輝度が上がれば、フリッカは知覚されやすくなる(Ferry-Porterの法則)。よって、従来の間欠点灯方式で高輝度にて画像を表示すると、フリッカ妨害が発生しやすくなる。また、人間の目は視細胞の錐体より杆体の方が、つまり視野の中心より周辺の方が明滅に敏感であるため、映像表示装置における表示パネルを大型化すると、フリッカ妨害が認識されやすくなる。したがって、本実施形態における映像表示装置は、高輝度化、あるいは大画面化された映像表示装置の表示品位を改善するために特に有効である。
また、図12で説明したデューティー比Dと発光強度比Sの条件は、尾引き量とフリッカ量とを簡易的なモデルに置き換えて計算したものである。映像表示装置の画質は観察者の主観によるところが大きく、また視聴環境にも左右されるため厳密な数値化は困難であるが、発明者らは求めた条件を基にした主観評価実験(図24参照)において、モデルにより求めた条件と評価結果に大きな差がないことを確認している。
また、図12で説明したデューティー比Dと発光強度比Sの条件は、尾引き量とフリッカ量とを簡易的なモデルに置き換えて計算したものであり、その簡易モデルの条件として、白い物体が動いたときの場合の尾引き量と、白を表示した場合のフリッカ量を仮定している。一方で、通常視聴する映像は100%の白信号はほとんど存在しない。よって、画面輝度500nitの映像表示装置に対して、実際に表示する映像の平均輝度レベルが50%程度であれば、たとえば映像表示装置の画面輝度を等価的に250nit(=500/2)と置き換えて、最適なデューティー比Dと発光強度比Sの値を求める手法などが有効である。
その場合、表示する映像のヒストグラム(映像データの分布)等の情報からD、Sの値を決定するようにしてもよい。または、入力映像信号から自動的に輝度のヒストグラムや平均輝度レベルなどの映像特徴量を検出して、画素の発光特性を自動的に切替可能な構成にしてもよい。
さらに、フリッカ量は、第1次高調波である60Hzの成分にて判断している。実際には60Hzの整数倍の高調波成分が発生するが、発明者らは実験によって、60Hzの成分のみに注目して、これを抑制すればよいことを確認している。たとえば大画面化や高輝度化などの理由で120Hzの高調波も妨害として認識される場合が発生するかもしれないが、その場合も本実施形態で説明したように、発光波形をフーリエ変換し、60Hzと120Hzの両成分の量に注目しながらデューティー比Dと発光強度比Sの条件を求めればよい。
なお、本実施形態では映像信号をNTSCとして説明したが、たとえばパソコンのビデオ信号を表示する場合についても本実施形態の映像表示装置は好適である。たとえば映像表示装置の垂直周波数が75Hzなどである場合は、60Hzに比べれば人間の目の感度が低い分、観察者が感じるフリッカ量は小さくなるが、画面輝度などの条件によっては、やはりフリッカは妨害となって観察される。この場合も、75Hzの成分に注目して、本実施形態のようにデューティー比Dと発光強度比Sの条件を求めればよい。
本実施形態のデューティー比D、発光強度比Sの関係に関し、尾引きを輝度変化の15%、85%のしきい値で定義した場合について、図12を用いて説明した。また、10%、90%のしきい値で定義した場合について、図21を用いて説明した。しかしながら、絶対的なしきい値の値というものは、決して一意には決まらない。それは、映像表示装置の画質が観察者の主観に左右されるからである。または、周囲の照度や視聴距離などの視聴環境でも変化する。さらに、表示する画像が静止画か動画かという点でも変化する。要は、映像表示装置の多種のアプリケーションのなかで、その都度最適値を定めて、本実施形態にて説明した手法で定性的、定量的に評価を行い、最終的に主観評価で詰めを行えばよい。
また、表示画像の平均輝度レベルを検出して、デューティー比D、発光強度比S、第1の発光の発光位相などのパラメータを動的に、または適応的に制御してもよい。これらのパラメータの制御は、画像のヒストグラムを基に行っても良い。フレーム間差分などの動き情報を使用してもよい。映像表示装置の周囲の照度を測定する照度センサーなどから照度情報を得て制御してもよい。さらに、それらの時間変動の情報を使用してもよい。表示する映像に含まれる輝度の最大値、最小値を使用してもよい。画像の動きをベクトルとして検出して、その情報をもとに制御してもよい。視聴者が画面輝度を切り替える機能と連動して、その都度異なるパラメータで制御してもよい。映像表示装置全体の消費電力量を検出して、低消費電力化のためにパラメータを制御してもよい。電源投入からの連続運転時間を検出して、長時間点灯した場合は画面輝度を落とすようなパラメータの制御をしてもよい。
さらに、本実施形態における画素の発光波形は、第1の発光成分および第2の発光成分という2種類の発光成分により説明したが、特に2種類に限定されるものではない。画素の変調手段によっては、別途第3の発光成分を定義して個別に制御することで、最適な特性が得られる場合もある。第4の発光成分、第5の発光成分を定義することもあり得る。
その場合は、図4で説明したモデルにおいて、図4の(a)部分に、複数分割した発光による波形を設定し、図4の(b)部分に、表示する映像情報を設定し、図4の(c)部分の鉛直方向に係る輝度変化の情報を算出し、矢印2の方向に積分演算を行えば、該当する尾引きの輝度変化波形が得られる。3種類以上の発光の場合でも、本実施形態のモデルを用いれば解析が可能であり、その解析結果から最適な動作条件を導出することが可能である。
また、画素の発光を行う素子が時間的に有限の応答時間を持つのであれば、その時間応答の情報を図4の(a)部分または(b)部分に投入すればよい。それらは、上述の本実施形態において説明した事項から解析が可能であり、最適な動作条件の導出が可能である。
そしてまた、本実施形態においては、フリッカ量を、フーリエ変換結果におけるDCと1次高調波の比で定義した。ここに、絶対値を導入して、その絶対値ごとに、高調波の比の重み付けを行っても良い。この絶対値とは、たとえば映像表示装置の平均画面輝度が該当する。画面輝度が明るければ、許容されるフリッカ量は小さくなる(厳しい条件になる)など、平均画面輝度によって変化する。よって、DCと1次高調波の比を画面輝度の関数として扱えば、さらにフリッカ量の精度が向上する。また、2次高調波まで含めてフリッカ量を定義しても良い。
〔実施形態2〕
本発明のさらに他の本実施形態に係る映像表示装置について、図25から図31を用いて説明する。図25は、本実施形態に係る映像表示装置の断面図である。図25に示すように、本実施形態の映像表示装置10は、光源(光源体)11、表示パネル(映像表示手段)12、拡散板13、およびシャーシ14から構成されている。なお、画素(図示せず)は、表示パネル12上に規定される。
上記構成の映像表示装置10において、拡散板13とシャーシ14との間には空間が形成されており、光源11はその空間の下側に配置されている。この光源11は、拡散板13の下面に向かって照明光を出射する。
また、表示パネル12は、たとえば透過型の液晶パネルであり、拡散板13を通過した照明光を変調して透過する。なお、照明光の変調は、表示する映像信号に応じてなされるとともに、映像信号の垂直同期信号にしたがって繰り返し行われる。また、表示パネル12から上面に出射される光は、光源11の光が表示パネル12で変調されたものであり、観察者は画素ごとに変調された光の集合を表示映像として認識する。
図26は、ある画素に注目した場合の、その画素の変調波形(画素の変調率の時間変化)と、光源11の発光波形の関係を示している。すなわち、図26の(a)部分に示す垂直タイミング信号がHighの期間にデータの書き込みがなされ、画素変調率は、図26の(b)部分に示すように表示する映像に従い、それぞれD0、D1、D2と変更される。たとえばNTSCビデオ信号ではT=約1/60秒ごとに、この画素の変調動作が繰り返される。
ここでは、画素の応答時間特性は理想的なものであり、書き込み時間内に応答が終了する場合を仮定している。垂直タイミング信号がLowの期間は、他の画素が選択されている時間であり、注目画素は書き込まれたデータを保持している。
そして、光源11は、垂直タイミング信号に合わせて少なくとも2種類の点灯モードを繰り返す。つまり、図26の(c)部分において縦縞で示す部分は、デューティー比D%、全体の発光強度に対するS%の発光強度をもつ第1の発光成分である。また、クロスハッチで示す部分は、デューティー比(100−D)%、全体の発光強度に対する(100−S)%の発光強度をもつ第2の発光成分である。
本実施形態は、図26の(c)部分に示す発光波形により、液晶表示装置に代表されるホールド型表示装置において原理的に発生する尾引き(動画ぼけ)を改善し、かつ尾引きを改善した場合に弊害として発生するフリッカ妨害も併せて減少させるものである。
尾引きとフリッカ妨害とを同時に改善できる理由について、図27を用いて説明する。図27は、図4と同じモデルであり、背景が黒色のなかに縦の長さが3画素分、横の長さが任意の大きさの白色の物体が表示されており、その物体が画面下方向に、1フレームあたり1画素の速度で等速に移動する状態を示している。
図27の(a)部分は、光源11の発光波形の時間変化を示す図である。縦軸は瞬時発光強度比を示しており、横軸は時間を示している。なお、図27の(a)部分においては、第1の発光成分に対応する発光強度比を縦縞で示しており、第2の発光成分に対応する発光強度比をクロスハッチで示している。
図27の(b)部分は、ある画素に注目した場合の、画素の透過率の空間応答であり、横軸が画素、縦軸が透過率を示している。また、図27の(c)部分は、図27の(b)部分に示す物体が移動する様子(横軸は時間、縦軸は空間)を示すものである。
なお、表示パネル12の表示画面は2次元の平面であるが、図27の(c)部分では、2つの空間座標軸のうち、片方の水平軸座標の記載は省略している。また、画素から出てくる光は、光源の発光と透過率の積となる。すなわち、図27の(c)部分に示すように、時間の経過とともに表示される物体が移動し、その移動と図27の(a)部分の発光波形との関係から、物体の輝度は2種類の強度にて表現される。
つまり、図27の(a)部分に示すように、第1の発光成分が点灯している期間は発光強度が強くなるので、図27の(c)部分にて縦縞部分で示すように、瞬時の発光強度も大きくなる。
本実施形態は、図27の(e)部分に示すように、本実施形態の映像表示装置10によれば、観察者が認識する物体の輝度輪郭は、3種類の傾斜、すなわち図27の(e)部分の傾斜1、傾斜2、および傾斜3を有する。ここで重要なことは、図27の(e)部分に示す傾斜1および傾斜3は、なだらかである一方、傾斜2は切り立ち、急峻な勾配であるということである。
そして、緩やかな傾斜1および傾斜3に対応する輝度変化は、人の目では認識されにくい。なぜなら、一般的に移動する物体に対する観察者のコントラスト識別能力は、通常の静止物体のそれに対して劣るからである。つまり、移動している物体においてコントラスト比の低い部分に対しては、そのコントラスト変化を人の目は認識できない。したがって、動画に関しては、画像の細部に至るまで正確にコントラストを表示する必要はない。
よって、観察者が認識する物体の輝度輪郭は傾斜2のみとなるので、図61の(a)部分で示した、一定の発光強度にて発光する光源で表示パネルを照明したときの動画尾引きに対して、尾引き妨害の改善を十分に達成することができる。
ここで、液晶の応答特性の時定数のパラメータを、尾引きモデルに入れて考える。液晶は、通常ミリ秒オーダーの時定数にて応答し、瞬時に変化できない。図27では、この液晶の時定数を0秒と仮定して計算していた。
ここで、液晶の応答を、指数関数に近似し、
y=A0*(1−exp(−t/τ)) (ただしyは透過率、A0は任意の定数)
とする。τは時定数であり、応答開始から最終値の約63%に応答するまでの時間である。目標の透過率の90%まで到達する時間は、時定数の約2.3倍である。ここで、時定数が2ミリ秒から5ミリ秒程度の液晶を仮定する。時定数が10ミリ秒や、それ以上の応答の遅い液晶も世の中には存在するが、ここでは除外する。本実施形態は、尾引き量の改善が目的である。尾引き量の改善の前提として、ホールド型の表示特性の改善と、液晶応答時間の改善の双方を合わせることが必要である。応答が遅い液晶に対してホールド型発光の改善を行って、インパルス型発光の光を照射すると、エッジが割れるなどの妨害が発生する。よって、ここでは液晶の時定数の仮定の上限を5ミリ秒とする。
たとえば時定数τ=2.2ミリ秒である場合(90%に到達する時間が5ミリ秒)を考えると、3画素の長さの物体が動いている状態で、ある画素に注目した場合の透過率の変化は、図28(a)のようになる。
また、図27の(c)部分における輝度変化は、紙面に対して鉛直方向の軸にて表される値に相当する。空間−時間に対する輝度変化の計算、つまり画素から透過する光の瞬時発光強度の計算は、図27の(a)部分に示す光源の瞬時発光強度比と、図27の(b)部分に示す画素の透過率と、図28(a)に示す画素の時間応答の積となる。
このように図28(a)の応答特性を含めた演算を行い、図27の(c)部分に示す矢印2の方向に積分演算を行うと、空間に対する尾引きの輝度変化は図28(b)および図28(c)に示すようになる。なお、図28(b)は、物体の移動に対して進行方向のエッジに発生する輝度変化を示している。また、図28(c)は、物体の移動に対して後ろ側のエッジに発生する輝度変化を示している。
ここで、図27の(a)部分に示す光源11の発光波形においては、デューティー比D=30%、発光強度比S=70%としている。図28(b)および図28(c)と、図27の(e)部分とを比較すると明らかなように、液晶の時定数を考慮した尾引き演算では、傾き1,3の部分が直線ではなくなる。
しかし、この部分の傾斜は、傾き2に対してなだらかであるので、本発明の実施形態1で説明した効果、すなわち尾引きとフリッカとの同時改善効果を減衰させるものではない。具体的には、図28(b)および図28(c)中の尾引き量は0.32、フリッカ量は0.49となる。この値を図65にプロットすれば、従来の間欠発光に対して、尾引き量とフリッカ量との双方の改善が可能であることが分かる。
また、ここで液晶の応答に対する第1の発光成分の位相は、図29に示すようになる。図29の横軸は、映像表示の垂直周期を1単位とした時間であり、NTSCビデオ信号であれば、垂直周期は16.7ミリ秒である。また、T1は、画素が選択されて応答が開始してから、光源の第1の発光成分が発光するまでの時刻であり、ここでは8.1ミリ秒である。また、T2は、画素が選択されてから第1の発光が発光を終了するまでの時間であり、約13.1ミリ秒である。
従来の間欠点灯では、一般的に液晶の応答を待ってから間欠成分が点灯される。よって、従来の間欠点灯を図29のように表したとすれば、たとえばT1=11.7ミリ秒、T2=16.7ミリ秒となる。
しかし、本実施形態では、図27の(e)部分に示すように、傾き1,3と傾き2のバランスを適正にして尾引きを目立たなくすることが目的である。よって、画素の書き込み動作に対する第1の発光成分の発光位相は、液晶の時定数によって定められ、その位相は、液晶の応答波形(リフレッシュ(書き換え)動作の繰り返しタイミング)に対しておよそ中心から後半となるように設定されることが好ましい。
また、図30(a)〜図30(c)および図31は、デューティー比D=30%、発光強度比S=70%の発光パターンにおける、本実施形態の効果を説明するものである。ここでは、図30(a)に示すように、時定数τ=3.5ミリ秒である場合(90%に到達する時間が8ミリ秒)としている。この条件にて、図27で示したモデルで計算を行う。この場合、第1の発光成分の位相は、図31に示すように、T1=10.5ミリ秒、T2=15.6ミリ秒の場合において、尾引き量が最小となり、その値が約0.37画素となる。
このときの空間に対する尾引き波形を、図30(b)および図30(c)に示す。また、このときのフリッカ量は、画素の発光の時間応答波形のフーリエ変換によって、0.49となる。図8(a)に、この尾引き量0.37、フリッカ量0.49をプロットすると、従来技術と比較して尾引き量とフリッカ量とが同時に改善されていることがわかる。
なお、本実施形態では表示パネル12として透過型の表示パネルを想定したが、反射型の表示パネルであってもよい。この場合、光源11を、表示パネル12の表示面と同一側に配置すればよい。
また、本実施形態では光源11を表示パネル12の直下に配置した直下型バックライトについて説明したが、一般的にサイドエッジ方式のバックライトに用いても好適である。つまり、アクリルなどからなる導光板を介して、該導光板の側端面に対向するように配置された光源11からの照明光を表示パネル12に導光して、表示パネル12を照明するようにしてもよい。
以上述べたように、本実施形態では、光源によって第1の発光成分と第2の発光成分に相当する発光時間応答特性を実現することで、尾引きとフリッカとの両画質妨害を改善することができる。ここで、光源11としては、発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子や冷陰極管蛍光灯(CCFL)などを用いることができる。
〔実施形態3〕
本実施形態は、本発明の映像表示装置における表示パネルが、たとえば自発光のアクティブマトリクス型有機ELパネルである場合について説明するものである。
本実施形態の映像表示装置に設けられる有機ELパネルの画素20は、図32に示すように、各画素を選択するための選択TFT21と、コンデンサ22と、EL素子23と、EL素子23に電流を流すためのEL駆動TFT24と、輝度切替TFT25とから構成される。
選択TFT21のドレインに接続されたコンデンサ22には、画素の選択期間に、表示する映像に相当する電圧(または電荷)が外部電源から供給される。また、選択TFT21のドレインは、EL駆動TFT24のゲートに接続され、非選択期間には、コンデンサ22にチャージされた電圧によって定まる電流が、EL駆動TFT24のソース−ドレイン間に流れる。
EL駆動TFT24のドレインはEL素子23に接続されており、EL駆動TFT24のドレイン電流がEL素子23に流れることにより、EL素子23が電流に対応する発光強度で発光する。
また、輝度切替TFT25のドレイン−ソースは、EL駆動TFT24のゲートと、グランドとの間に挿入される。輝度切替TFT25のゲートには、スキャン電極26が接続されている。同様に、選択TFT21のゲートには、スキャン電極27が接続されている。
図33に、図32に示した画素を有する有機ELの動作に関するタイミングチャートを示す。図33に示すように、スキャン電極27のパルスに対して、スキャン電極26のパルスは、位相がデューティー比Dだけシフトしている。そして、D%の時間遅延のタイミングで輝度切替TFT25をオンすることにより、EL駆動TFT24のゲートが接地され、選択TFT21がオンのときに、コンデンサ22にチャージしたコンデンサの電荷が抜かれる。
よって、EL駆動TFT24のゲート電位がその分低下し、EL素子23に流れる電流が変化する。その結果、EL発光強度が変化し、図33の(c)部分に示すような発光波形となる。ここで、図33(c)の縦軸は瞬時発光強度である。この波形は、図2で説明したものと同じであることから、有機ELを表示パネルとして用いる場合であっても、フリッカと尾引き量との双方の改善が可能となる。
また、発光強度比Sは、たとえばスキャン電極26のパルスのHigh期間の時間によってコンデンサ22のチャージ量を調整して、所望の発光強度比になるように制御することができる。または、EL駆動TFT24のゲート−輝度切替TFT25のソース−ドレイン−接地に至る経路に電流制限素子を設けることで、コンデンサ22から流出する電荷量を調整して所望の発光強度比になるよう、コンデンサ22の電圧を調整してもよい。
輝度切替TFT25のドレインは接地されているが、たとえば負電源に接続しても良い。これにより、コンデンサ22の電荷を抜く場合に、電荷の移動速度を向上させることが可能となる。
また、輝度切替TFT25のドレイン−ソースをコンデンサ22の両端に接続し、スキャン電極26がHighの期間コンデンサの両端をショートさせてチャージ量を調整するような構成でもよい。
また、上記は表示パネルが有機ELパネルである場合を説明したが、たとえば非発光透過型の液晶パネルにおいて、画素に書き込むデータを制御して、光源からの照明光を変調することにより、本発明の実施形態1で説明した画素の発光波形を実現してもよい。液晶パネルの場合、画素が画素選択TFTとコンデンサとから構成されるが、図32と同様に輝度切替TFTを挿入することによりコンデンサの電荷を制御して、液晶の透過率を変更し、画素の輝度を設定するようにしてもよいし、輝度切替TFTを追加せずに、画素選択TFTのアクセスを1フレーム(フレームは画面を構成する単位)期間に2回以上行うことで、異なる輝度に相当するデータを書き込むようにしてもよい。
〔実施形態4〕
本発明のさらに他の実施形態に係る映像表示装置について、図34から図36を用いて説明する。図34に示すように、本実施形態の映像表示装置30は、表示パネル(映像表示手段)31、コントローラ32、カラムドライバ33、ロウドライバ34、光源コントローラ35、ランプ(光源体、第3光源体)36、シャッタ(光制御手段、シャッタ手段)37、導光板(光混合手段)38、シャッタコントローラ39とから構成されている。
なお、図34では表示パネル31と導光板38との位置をずらして記載しているが、実際はこれらを重ねて使用する。線状の光源、あるいは線状に配置した点状の光源を導光板38の側端面から入力し、導光板38がこの入力光を面発光に変換して表示パネル31を照明するようなバックライト光源の構成を、サイドエッジ型と呼ぶ。
表示パネル31は、たとえば透過型の液晶パネルであり、表示パネル31上においては、入力映像信号に応じて光透過率が変調される、複数の非発光型画素(図示せず)がマトリクス状に形成されている。
また、コントローラ32は、カラムドライバ33に映像信号を出力し、画素はこの映像信号により変調される。さらに、コントローラ32は、ロウドライバ34に表示タイミング信号を出力し、シャッタコントローラ39に垂直同期信号41を出力する。さらに、シャッタコントローラ39は、制御信号42を出力して、シャッタ37を制御する。
本実施形態の特徴点は、シャッタ37を用いて表示パネル31を照明する光を制御することにより、本発明の実施形態1、2で説明したように尾引き量とフリッカ量とを同時に改善する点にある。すなわち、シャッタ37は、ランプ36の出力を光学的に制御するものである。シャッタ37は、第1の発光成分により表示パネル31を照明する時間において、ランプ36の照明光を100%か、100%に近い割合で透過する。
一方、シャッタ37は、第2の発光成分により表示パネル31を照明する時間において、ランプ36の照明光を半透過する。半透過する場合の透過率は、図2を用いて説明するならば、(100−S)/S*D/(100−D)となる。
図35は、図34に示した映像表示装置30の動作を説明するためのタイムチャートである。図35の(a)部分は垂直同期信号41の信号波形、図35の(b)部分は制御信号42により制御されたシャッタ37の透過率の時間変化波形、図35の(c)部分は、瞬時発光強度比を縦軸にとったランプ36の発光波形、図35の(d)部分は、瞬時発光強度比を縦軸にとったシャッタ37を通過した照明光の時間応答波形である。図35の(d)部分の照明光は、導光板38を経由して画素を照明する。ランプ36は、図35の(c)に部分に示すように、ある一定輝度で発光する。または、ランプ36の発光波形は、図17で説明したような、人間の目が応答しない周波数で変動する波形、すなわち人間の目の特性により一定輝度と認識されるような波形であってもよい。
図35の(b)部分に示すように制御信号42でシャッタの透過/半透過を制御することにより、画素を照明する照明光が、図35の(c)部分に示すものから図35の(d)部分へ示すものと変換される。ここでは半透過時の透過率がおよそ30%であり、図35の(d)部分の波形は、第一の発光成分のデューティー比Dが約33%、発光強度比Sが約60%である場合に相当する。図35の(d)部分による効果は、実施形態1で説明したとおりである。すなわち、図35の(d)部分に示すように、本実施形態の映像表示装置30においても第1の発光成分および第2の発光成分により映像を表示するので、尾引きとフリッカとを同時に改善することができる。
また、シャッタ37は、たとえばスタティック駆動の液晶パネルで実現可能である。なお、光学シャッタに関しては、透過率0%、つまり全く光を遮断する特性を持たせることは困難であるが、本実施形態のシャッタ37では完全に光を遮断できなくても照明光を半透過させるシャッタを用いればよいので、光学シャッタだけでなく種々のシャッタを用いることができる。
また、本実施形態では、ランプ36を一定輝度で発光させればよく、点灯/消灯を繰り返す必要がない。したがって、たとえばCCFLのような消灯動作によって寿命が短くなる光源体をランプとして用いることができる。また、ランプ36を一定輝度で発光させるので、輝度ムラが発生しにくく、導光板38も容易に設計することができる。
さらに、ランプ36が常時点灯するので、光源コントローラ35に電気的なストレスがかかりにくく、ヒューズが誤動作して溶断してしまうといった不具合が発生しにくい。また、光源コントローラ35内部の電解コンデンサ(図示せず)に流れるリプル電流が低減するので、光源コントローラ35の信頼性が向上する。
また、本実施形態の映像表示装置は、シャッタ37が、ランプ36と導光板38との間に搭載されているものとして説明したが、シャッタ37の搭載位置は必ずしもこのようにしなくてもよい。たとえば、導光板38と表示パネル31との間にシャッタ37を搭載しても構わないことはいうまでもない。
また、シャッタ37はすべての照明光に対して作用するが、たとえば一部の照明光がシャッタを通過しないで導光板38に入射してしまう場合でも、その光は照明光として利用できるので、厳密には、シャッタ37をすべての照明光に対して作用させる必要はない。
また、シャッタ37を、ランプ36と導光板38との間に配置し、光源の照明光に対して作用させる場合について説明したが、たとえば信号処理によって、表示する映像信号に対してシャッタに相当する処理を行ってもよい。
たとえば映像処理回路に乗算回路を設けて、間欠発光に相当する期間は映像信号に係数1.0を乗算する。つまり映像信号をそのまま通過させる。一方、持続発光に相当する期間は映像信号に係数0.3を乗算する。つまり映像信号の階調輝度レベルを圧縮して出力する。この場合、光源は一定の持続発光で照明する。このような動作により、表示される映像の画面輝度は図35の(d)部分と同等となる。
さらに、本実施形態の映像表示装置は、図36に示す構成でも実現可能である。図34と同一の部分には同一符号を付している。図36に示すように、シャッタ(光制御手段、シャッタ手段)43は、ランプ36からの照明光を部分的に遮るように設けられている。すなわち、ランプ36からの照明光の一部は、シャッタ43により遮断も透過もされることなく、直接導光板38に導かれる。
なお、シャッタ43は、閉じたときは0%、開いたときは100%の割合で、ランプ36の光を透過させる。さらに、シャッタ43は図35の(b)部分で示す波形にて透過/遮断を繰り返し、ランプ36は図35の(c)部分に示すように、一定の輝度で発光する。
このようにシャッタ43が間欠的に透過/遮断を繰り返して、ランプ36の照明光の一部分に作用することにより、ランプ36からの照明光が、図35の(d)部分に示す波形となる。なお、ランプ36の照明光の一部を遮断/透過するようにシャッタ43を設ければよく、シャッタ43として大型のものを用いなくてもよいので、大型の表示装置に対してシャッタの機械的強度を向上できる。なお、図36においては、ランプ36を構成する個別光源とシャッタ43とを、あたかも1対1の関係で設けるように記載されているが、必ずしもこのように設ける必要はない。複数の個別光源毎にシャッタが1つ設けられている構成でもよい。
さらに、本実施形態の映像表示装置30は、ランプ36を点滅させないので、信頼性や寿命の点から間欠点灯動作が困難なCCFLを光源として用いることができる。もちろん、LEDを光源として用いてもかまわない。
さらに、シャッタ43の遮断特性は0%であると説明したが、たとえば3%程度の遮断特性であっても構わない。なぜなら、シャッタ43を透過した光を、照明光として利用することができるからである。よって、遮断特性が厳密に0%である必要はない。
以上のように、本実施形態においては、シャッタ37あるいは43を用いて第1の発光成分と第2の発光成分に相当する時間応答の照明光を生成する。よって、本実施形態の映像表示装置はランプ36を直接制御するものではないので、ランプや電源に負担がかからない。さらに、本実施形態の映像表示装置は、上記本発明の実施形態1の映像表示装置と同様に、尾引きを抑えてくっきりした輪郭で移動する物体を表示しながら、フリッカ妨害を低減することができる。
〔実施形態5〕
本発明のさらに他の実施形態に係る映像表示装置について、以下に説明する。本実施形態の映像表示装置50は、図37に示すように、表示パネル(映像表示手段)51と、間欠発光装置(光源体)52と、持続発光装置(光源体)53と、タイミング発生装置54とから構成されている。
表示パネル51は、自ら発光せず、かつ光源からの照明光を透過して変調する非発光透過型の液晶ディスプレイなどにより構成され、映像信号55が入力されるものである。
また、表示パネル51上には、映像信号55に応じて変調される複数の画素(図示せず)が、マトリクス状に形成されている。この変調動作は、映像信号55の垂直同期信号に同期して行われる。たとえば映像信号55がNTSCビデオ信号である場合、フレーム周期(垂直同期信号の繰返し周期)は60Hzである。
また、タイミング発生装置54は、映像信号55の垂直同期信号に同期した垂直タイミング信号56を生成して、間欠発光装置52に出力するものである。間欠発光装置52は、垂直タイミング信号56に同期した発光動作を行い、表示パネル51を照明する照明光として間欠発光光58を表示パネル51に向けて出射する光源である。なお、間欠発光光58は、垂直タイミング信号56と同期して、点灯状態の発光強度と消灯状態の発光強度とが矩形パルス状の波形により示される間欠光である。
持続発光装置53は、表示パネル51を照明する照明光として持続発光光(持続光)57を表示パネル51に出力する光源である。持続発光光57の強度は、垂直タイミング信号56とは無関係に一定であるか、または垂直タイミング信号56の繰り返し周波数のたとえば150Hz以上の周波数で変動する。
なお、観察者の目は、150Hz程度の周波数で繰り返し点滅する光に対しては非常に感度が鈍く、300Hz程度を超える周波数で繰り返し点滅する光に対してはほとんど反応しない。したがって、持続発光光57は、厳密にはある周期で変動、点滅している光であっても、人間の目には一定の強度で発光する光として認識される。
そして、表示パネル51上の画素は、間欠発光装置52または持続発光装置53からの照明光を、映像信号55に応じて変調する。このようにして変調された照明光は、表示パネル51の表示画面から発せられ、観察者に表示映像として認識される。
図38は、図37の映像表示装置50の動作を説明するためのタイミングチャートであり、各経路を伝わる信号や光の発光強度の時間変化を表している。なお、図38において、横軸は時間を示しており、映像信号55のフレーム単位で記載されている。
図38の(a)部分は、映像信号55の垂直同期信号の信号波形を示している。図38の(a)部分に示すように、映像信号55の垂直同期信号として、1フレーム毎に矩形波が出力されている。また、図38の(b)部分は、タイミング発生装置54により出力される垂直タイミング信号56の信号波形を示すものである。図38の(b)部分に示すように、垂直タイミング信号56は、垂直同期信号と同期してon/offを繰り返すようになっている。
また、図38の(c)部分は、縦軸は瞬時発光強度であり、持続発光装置53により出力される持続発光光57に関し、瞬時発光強度の時間的変化を示すものである。図38の(c)部分に示すように、持続発光光57は、垂直同期信号とは無関係に発光している。
また、図38の(d)部分は、縦軸は瞬時発光強度であり、間欠発光装置52により出力される間欠発光光58の瞬時発光強度を示すものである。図38の(d)部分に示すように、間欠発光装置52は垂直同期信号と同期して間欠発光光58を点滅させている。すなわち、間欠発光光58の瞬時発光強度は、点灯状態の瞬時発光強度(0.7程度)と消灯状態の瞬時発光強度(0)とが映像信号に同期して繰り返されるようになっており、立ち上がりおよび立ち下がりが急峻な矩形パルスを呈している。
図38の(e)部分は、映像信号55から定まる任意の画素の透過率を示すものであり、縦軸は透過率を表している。図38の(e)部分に示すように、表示パネル51の画素には、あるフレーム期間(たとえば1番目の垂直期間から3番目の垂直期間の間)に白い映像が入力されており、その他のフレーム期間(たとえば0番目の期間および4番目の期間)は、黒の映像が入力されている。
図38の(c)部分に示す持続発光光57の瞬時発光強度と、図38の(d)部分に示す間欠発光光58の瞬時発光強度との和を、図38の(e)部分に示す画素の透過率に掛け合わせた積が、図38の(f)部分に示す表示画像の輝度となる。
このように、本実施形態の映像表示装置50の特徴は、図38の(f)部分に示すように、間欠発光光58と持続発光光57という特性の異なる照明光にて表示パネル51を照明することにある。その効果は、上記本発明の実施形態1で説明したとおり、尾引き改善とフリッカ妨害低減とを両立させることにある。
すなわち、上記本発明の実施形態1で説明した第1の発光成分および第2の発光成分の定義と、本実施形態で説明した間欠発光成分(図38(f)の縦縞部分)、持続発光成分(図38(f)のクロスハッチ部分)の定義とは異なるが、これらは図39(a)および図39(b)を用いて以下に説明する換算を行うことができる。なお、図39(a)は、実施形態1における第1の発光成分および第2の発光成分を示すものであり、図39(b)は、持続発光光57と間欠発光光58とを混合した光の強度を1垂直周期分示すものである。なお、図39(a)および図39(b)におけるa、b、cは、輝度(瞬時発光強度)を示している。
図39(b)に示すように、S1=c*D=(a−b)*D%である。また、図39(a)に示すように、a=S/D、b=(100−S)/(100−D)である。よって、S1={S/D−(100−S)/(100−D)}*Dとなる。したがって、実施形態1で説明したデューティー比D、発光強度比Sの条件をこの式で換算すれば、S1が求められる。デューティー比Dは実施形態1と同一である。
このように、持続発光光57と間欠発光光58とを混合した光は、第1の発光成分および第2の発光成分を混合した光と実質的に同一の光であるといえる。そして、本実施形態の映像表示装置50は、光源からの光が持続発光光57と間欠発光光58という2つの成分からなり、それぞれの成分が各々異なる特性で発光駆動されている。これにより、持続発光専用または間欠発光専用に駆動回路や駆動電源を設けることができ、回路構成を簡略化してコストダウンを図ることができる。さらに、それぞれの発光を別々の回路により制御できるので、回路の信頼性を向上させることもできる。
また、たとえば光源にLEDを採用する場合を仮定する。市販されているLEDの中には、連続点灯時の絶対最大定格電流が低いもの、パルス点灯時の瞬間最大定格電流が低いものが存在する。本実施形態の映像表示装置50では、このようなLEDの電気的特性によって、持続発光用と間欠発光用のLEDを使い分けることもできる。
また、間欠発光用にLEDを採用し、持続発光用に冷陰極管(CCFL)を採用することも可能である。なお、LEDは発光応答が高速であり、冷陰極管は連続点灯に向く光源である。このような光源の特性を考慮して光源を選択し映像表示装置に実装すればよい。
以上のように、本実施形態では、持続発光装置53および間欠発光装置52からの発光を混合して表示パネル51を照射することにより、動物体の尾引きを抑えてくっきりした輪郭を表示しながら、併せてフリッカ妨害を抑えた画像表示を実現することができる。つまり、連続発光に向く特性を持つ光源と、間欠発光に向く特性を持つ光源を使用することで、図2に示した発光特性を容易に実現することが可能である。
なお、表示パネル51の輝度が上がれば、フリッカは知覚されやすくなる(Ferry-Porterの法則)。よって、高輝度にて画像が表示されるようにすると、フリッカ妨害が発生しやすくなる。また、人間の目は視細胞の錐体より杆体の方が、つまり視野の中心より周辺の方が明滅に敏感であるため、映像表示装置における表示パネルを大型化すると、フリッカ妨害が認識されやすくなる。したがって、本実施形態における映像表示装置50は、高輝度化、あるいは大画面化された映像表示装置の表示品位を改善するために特に有効である。
なお、持続発光光57の発光強度比である(100−S1)%の成分は、容易に視認できるレベルであってもよい。従来技術のインパルス型の発光においては、デューティー比を絞って同一画面輝度を得る場合、瞬時発光輝度を高くする必要がある。瞬時発光輝度を大きく取れない光源の場合、使用する個数を増加させねばならず、コストアップにつながる。個数の増大をしなければ、平均画面輝度が落ちる。
本実施形態では、持続発光光57が視認できる場合でも、尾引き量とフリッカ量との同時改善は可能であり、よって間欠発光光58の瞬時発光輝度を低く抑えることができる。例えば図3(a)においては、持続発光成分の瞬時発光輝度は260nitである。図3(b)においては、持続発光成分の瞬時発光輝度は50nitである。250nitや50nitという輝度は、人間の目には充分知覚できるレベルである。
また、図3(a)の発光において持続発光成分の発光強度比(100−S1)%は58%であり、図3(a)では画面輝度を450nitと仮定しているので、(100−S1)=260の発光強度となる。この強度は容易に視認することができる。図3(b)では、(100−S1)=25%であり、図3(b)では平均画面輝度を200nitと想定しているので、(100−S1)=50の発光強度となる。50の発光強度は、ぼんやり発光している明るさであるが、視認は可能である。
また、本実施形態では、図37の表示パネル51は非発光透過型であるものとして説明したが、光源からの照射光を反射することで変調する非発光反射型の表示パネルについても、本実施形態の映像表示装置50と同様の照明方法を適用することが可能である。
また、有機ELなどの自発光型のホールド駆動ディスプレイに対しても、たとえばTFT(薄膜トランジスタ)などにより、図37の間欠発光装置52および持続発光装置53と同様の作用を、表示パネル51上に実現することができる。
さらに、本実施形態では、映像信号の垂直同期信号が60HzのNTSCビデオ信号である場合について説明したが、たとえばパソコンのRGBビデオ信号のような75Hz映像信号に対しても、本実施形態の間欠発光装置52および持続発光装置53による照明方法を適用することが可能である。
また、本実施形態では、持続発光装置53により発光される発光を、垂直タイミング信号56とは無関係に一定であると述べたが、この発光が垂直タイミング信号56とは無関係に変動する場合でも本実施形態に適用することが可能である。光源の調光(明るさ調整)を、たとえば500HzのPWM(パルス幅変調)で実施する光源制御回路が存在する場合、このような光源とその制御回路についても、本実施形態の持続発光装置53として採用することが可能である。これは、500Hzという周波数は人間の目が追従せず、あたかも一定の発光強度で発光しているように見えるからである。
また、本実施形態では、図38に示すように、各フレーム期間において、図38の(a)部分に示す映像信号55の垂直同期信号の中心と、図38の(d)部分に示す間欠発光光58の発光位相の中心とが一致している。このように、映像信号のリフレッシュ(書き換え)動作の繰り返しタイミングに対して中心となる位相で、間欠発光光58が発光することが好ましい。すなわち、図38の(a)部分と(d)部分のそれぞれが示す位相関係は、映像信号の先頭ラインに対して、つまり図38の(a)部分の垂直同期信号の立ち上がり付近の映像に対して好ましい状態であるといえる。
従来では、映像信号のリフレッシュ動作(表示データの更新動作)の繰り返しタイミングに対する発光タイミングは、たとえば液晶材料のような画素を構成する材料が時定数を持つ指数関数応答をするため、リフレッシュ動作の終了期間に一致させるとよいとされていた。
しかし、本実施形態においては、図4の(e)部分に示す傾斜1、傾斜2、および傾斜3のうち、観察者の目に関しては動的コントラスト応答が低いことを利用して傾斜1および傾斜3が認識されないようにする。
そして、これらの傾斜1および傾斜3の傾きは、間欠発光光58の、映像信号のリフレッシュ動作に対する位相で決まる。したがって、傾斜1および傾斜3をバランスよく発生させて観察者に認識させないために、映像信号の書き換え繰り返し動作に対して、間欠発光光58の位相が中心に位置するようにするのである。つまり、映像信号のパルスに対して、間欠発光光58の発光強度のパルス波形が中心に位置するようにすればよい。
〔実施形態6〕
本発明のさらに他の実施形態に係る映像表示装置を、図40から図46を用いて説明する。
図40は、本発明のさらに他の実施形態に係る映像表示装置の構成を示すブロック図であり、同図に示すように映像表示装置60は、表示パネル(映像表示手段)61、映像コントローラ62、データドライバ63、スキャンドライバ64、列電極65、行電極66、ランプ駆動回路(第1光源体駆動手段)67、ランプ駆動回路(第2光源体駆動手段)68、ランプ(第1光源体)69、ランプ(第2光源体)70、シーンチェンジ検出回路(シーンチェンジ検出手段)77から構成されている。
表示パネル61上には、列(カラム)状に並ぶ列電極65と、行(ロウ)状に並ぶ行電極66が配置されている。なお、表示パネル61は、光源からの照明光を透過して変調する透過型のものである。列電極65と行電極66の交点には、複数の画素(図示せず)がマトリクス状に形成されている。
データドライバ63は、データ信号72をもとに画素を駆動して、画素の透過率をデータ信号72によって定まる状態に設定する。スキャン信号73は、映像信号71の水平同期信号と垂直同期信号の情報を持つ。水平同期信号は、表示画面の列方向(水平方向)の表示単位である。垂直同期信号は、画面の行方向(垂直方向)の表示単位である。垂直同期信号の周波数は、たとえばNTSCビデオ信号では60Hzである。
スキャンドライバ64は、スキャン信号73の水平同期信号のタイミングをもとに、行電極66を画面の上から下に順次選択して走査する。また、スキャン信号73の垂直同期信号のタイミングをもとに、選択する行電極66を画面上部にリセットする。
表示パネル61上の、ある画素に注目した場合、その画素が選択される周期は、垂直同期信号の周波数が60Hzなら16.7ミリ秒である。映像コントローラ62は、映像信号71の垂直同期信号をもとに、ランプ制御信号74を生成して、ランプ駆動回路67に出力する。そして、ランプ駆動回路67は、ランプ制御信号74に基づきランプ69を制御する。ランプ69の発光出力は、ランプ制御信号74によって制御された間欠発光光(間欠発光成分)75である。ランプ69は、たとえば単一もしくは複数のLED(発光ダイオード)で実現することができる。さらに、間欠発光光75は、表示パネル61を照明するものである。
ランプ駆動回路68は、ランプ70を制御する。ランプ70の発光出力は持続発光光(持続発光成分)76である。ランプ70は、たとえば単一もしくは複数のCCFL(冷陰極管)のような蛍光ランプで実現できる。または、ランプ69と同様、ランプ70はLEDで実現できる。持続発光光76も間欠発光光75と同様に、表示パネル61を照明するものである。なお、間欠発光光75と持続発光光76は、ランプ69、70から表示パネル61に至る空間で混合される。
シーンチェンジ検出回路77は、映像信号71を基に、表示映像のシーンチェンジ(変化)の度合い、すなわちシーンチェンジ量(変化量)を判断するものである。検出したシーンチェンジ信号78を、ランプ駆動回路67、ランプ駆動回路68に出力する。
図41は、図40に示した映像表示装置60の動作を説明するためのタイミングチャートであり、各経路を伝わる信号や光の発光波形の時間変化を表している。横軸は時間であり、時間軸は映像信号71のフレーム単位で記述している。ここで、フレームとは、映像信号71の表示画面の単位であり、垂直同期によって定まる。
図41の(a)部分は、映像信号71の垂直同期信号の信号波形である。図41の(b)部分は間欠発光光75の発光波形であり、垂直同期信号と同期して間欠発光している。なお、図41の(b)部分において縦軸は瞬時発光強度である。
図41の(c)部分は、持続発光光76の発光波形であり、垂直同期信号とは無関係に発光している。図41(c)の縦軸は瞬時発光強度である。図41の(d)部分は混合照明光の波形であり、図41の(c)の間欠発光光75と、図41の(d)の持続発光光76が、表示パネル61に至る導光空間において混合された光の波形を示すものである。
ここで、本実施形態の映像表示装置60の特徴は、シーンチェンジ検出回路77を用いて、ランプ駆動回路67、68を制御することにある。シーンチェンジとは、表示する映像の画面単位の時間的変化であり、画面の全体的な動き量である。厳密なシーンの切り替わりではなくても、画面がパーンする場合や、固定された画面のなかで大きな物体が移動する場合、画面の中の大きなエリアで映像が変化する場合などが該当する。
図42(a)および図42(b)は、シーンチェンジ検出回路77の一例である。なお、図42(a)および図42(b)において、信号ラインにスラッシュと数値で書き込んでいるのは、デジタル信号のビット幅を示す。
図42(a)に示すシーンチェンジ検出回路77では、F(フレーム)メモリ80を用いて映像信号71の画素ごとのフレーム間差、すなわち、ある画素の現信号と、1フレーム遅延した信号との差分が減算器81でとられることにより、シーンチェンジ、または画面間の変化、動きが判断される。
減算器81からの信号をABS(絶対値)回路82を通した後、コンパレータ83でしきい値84と比較することで、ここでは1ビットの検出信号を得ている。この信号を、システムクロックで動作するラッチ回路85と加算器86とからなる巡回加算構成を用いて、画素おきに加算していく。
このようにして生成される巡回加算信号を、ランプ制御信号74でラッチ動作するラッチ回路87にてラッチして確定する。このラッチ動作は、垂直動作信号毎に行われる。つまり、この回路構成では、1画面単位において画素のフレーム間差分があるしきい値以上になった回数をカウントしている。
IIR(巡回型)フィルタ88は、垂直同期信号に同期したランプ制御信号74をサンプリングクロックとする。ラッチ回路87の出力をIIR(巡回型)フィルタ88に通すことで、時間軸方向にフィルタをかける。IIRフィルタ88は、このようにして生成されるシーンチェンジ信号78を出力する。
たとえば、シーンチェンジ信号78を3bit幅とし、フレーム間差が大きい映像信号が連続した場合にレベル7、フレーム間差が小さい映像信号が連続した場合にレベル0の値をとると仮定すると、シーンチェンジ信号は、フレーム間差が頻繁に発生した場合に大きな値をとることとなる。
ここで、映像信号71を8bitと仮定しているが、コンパレータ83で1bitにしていることから、Fメモリ80に入力する段階で4bit程度にすれば、メモリ容量を削減できる。たとえばインタレース信号をプログレッシブ信号に変換する場合、一般的な動き検出を行う為には高い精度にてフレーム間差を検出することが要求されるが、本実施形態の映像表示装置60の場合、画面の全体あるいは一部のエリアを照明する光源の発光量を制御するためにフレーム間差を検出しているので、それほど高い精度が要求されることは少ない。
また、映像信号71のすべてのデータに対してフレーム間差分を検出する必要はなく、たとえば1画素おきに処理を行っても良い。この場合、Fメモリ80のメモリ容量を削減することができる。また、検出回路の動作速度(システムクロック周波数)を下げることができる。巡回型フィルタであるIIRの定数αを調整することにより、シーンチェンジの度合いの変化の時間応答に対して、急峻な変化に追従する光源制御応答を実現することも可能であり、また緩やかに応答させることも可能である。定数αは、画面輝度等の条件や映像表示装置の使用用途によって調整すればよい。
たとえば、図42(a)の構成では、α=0.5であれば、フィルタリングによる過渡応答時間(IIRフィルタの入力信号が変化した時刻から、変化後の入力信号の90%の値が出力されるまでの時間)は、およそ5画面分の時間(つまり1/60*5=1/12秒)である、α=0.95であれば、過渡応答時間は、およそ1秒となる。
図42(b)は、画面単位(垂直同期単位)のAPL(平均輝度レベル)のフレーム間差をもとに、シーンチェンジの量や度合いを判断する場合のシーンチェンジ検出回路77における構成を示すブロック図である。APL検出回路89は、映像信号71のデータを順次加算した後に除算(平均算出)するものである。ランプ制御信号74でラッチされるD−FF(フリップフロップ)90で、APL検出回路89により算出されるAPLを垂直周期ごとにラッチし、その差分を減算器91で取る。
ABS(絶対値)回路92での処理の後、ノイズ対策用のコアリング処理をコアリング回路93で行い、シーンチェンジ信号78が出力される。コアリングとは、4bit信号で0〜15の値が表現されるのであれば、微小の値、たとえば0,1,2を強制的に0にするなどのフィルタをかけるものである。
このようにしてコアリング回路93からシーンチェンジ検出信号が出力される。シーンチェンジ信号は、たとえばフレーム間においてAPLの差が大きい場合に、シーンが大きく変化したと判断して、レベル15の信号を出力する。一方、APLの変動が小さい場合はレベル0を出力する。図42(b)の構成であれば、シーンチェンジ検出回路77から図42(a)のようなフレームメモリを省略できる。
図43は、表示パネル61を照明する照明光に関して、1垂直周期分の発光波形を模式的に示す図である。これは、間欠発光光75と、持続発光光76が、たとえば表示パネル61に至る導光空間において混合されたものである。間欠発光光75は、発光時間D%、瞬時発光強度のピーク値がa(nit)、発光強度比S2%である。なお、図43では間欠発光光に対応する発光強度に縦縞を付している。また、持続発光光76は、発光時間T秒、瞬時発光強度のピーク値がb(nit)、発光強度比(100−S2)%である。図43では持続発光光に対応する発光強度に斜線を付している。
なお、「発光強度比」の文言は、1垂直周期内での画素全体の平均発光輝度に対する、持続発光光または間欠発光光の発光強度の比である。なお、間欠発光光の発光強度は、持続発光光の瞬時発光強度のピーク値aと持続発光光の瞬時発光強度のピーク値bとの差分(a−b)の値をデューティー比D%の時間で積分している。また、「発光強度」は、瞬時発光強度を時間で積分した値のことである。
本実施形態の映像表示装置60は、上記本発明の実施形態1と同様に、尾引き量とフリッカ量との同時改善を目的とするものである。この目的を達成するため、本実施形態の映像表示装置60は、図43の波形の照明光で表示パネル61を照明する。実施形態1で説明した発光強度比Sと、図43の発光強度比S2は定義が異なるが、ここで、S2={S/D−(100−S)/(100−D)}*Dの変換式を用いて発光強度比S2を発光強度Sに変換し、変換された発光強度Sについて図12で示す条件A、条件Bに適合するようにすればよい。
図44(a)〜図44(c)は、シーンチェンジ検出信号を用いて、表示パネル61を照明する照明光を制御する手順の例を説明する図である。照明光を制御するためには、ランプ駆動回路67、68をシーンチェンジ量で適応的に制御する。
ここで、シーンチェンジ量が大きいほど、シーンチェンジの度合いが大きいと仮定する。また、間欠発光光75の発光強度比S2を80%に固定して、デューティー比Dの設定を、シーンチェンジ検出信号によって適応制御する場合を示している。具体的には、図44(a)に示すように、シーンチェンジ検出量が大きくなるに従い、デューティー比Dを絞るように制御する。
図44(b)は、図44(a)のようにデューティー比を制御した場合の、尾引き量とフリッカ量の特性を示す図である。図44(c)は、図44(b)の特性を求めるためのデータである。また、図44(a)と図44(b)に示す、丸で囲むエリアと、四角で囲むエリアは対応している。
本実施形態では、シーンチェンジ量が大きい場合、画面に動きが多い、または大きい、あるいは動きが多発すると判断するので、図44(a)において丸で囲むエリアのデューティー比を使用する。丸で囲むエリアのデューティー比を用いると、図44(b)に示すように、四角で囲むエリアに対して尾引き量は減少するが、フリッカ量は増大する。
画面輝度、画面サイズ、視聴の周囲照度などの環境条件を決めた場合、視聴者が認識可能なフリッカ量が定まるが、このフリッカ量は、表示している画面が動画か静止画かで変化する傾向がある。たとえばパソコン用途の映像表示装置の場合、静止画が中心であり、許容限界フリッカ量は小さくなる。つまり、わずかなフリッカでも目立ちやすい。逆に動画の場合、ある程度のフリッカ量は観察者に認識されにくくなり、フリッカは目立ちにくい。この特性を利用して、フリッカ量を大きくしながら尾引き量を小さくすることで、理想的に尾引き量を改善する。
また、図44(b)に示すように、本実施形態の映像表示装置60における尾引き量とフリッカ量との間における特性は、従来技術の特性よりも左下側に入っているため、尾引き量とフリッカ量とが同時に改善されているといえる。
ここで、図44(b)の特性を算出する際には、発光強度比S2を固定しているので、デューティー比Dによって画面輝度が変動することはない。しかし、たとえば瞬時発光強度のピーク値a,b(図43参照)を固定値として、S2を固定値とせずにデューティー比Dの制御を行ってもよい。
この場合、デューティー比Dの制御によって画面輝度が変動するが、デューティー比Dの切り替えをシーンチェンジに対応させて行うことにより、画面の切り替わり目で輝度が変動しても目立たないようにできる。さらに、画面が動いた場合やシーンチェンジが発生した場合に、デューティー比Dを下げると、画面輝度は下がる。よって、フリッカはより目立たない方向に制御されることになり、フリッカ妨害を改善するのにより有利となる。
また、たとえばS2を固定値とせず、ピーク値aをデューティー比Dと連動して変更する制御としてもよい。たとえば、ピーク値bを固定値として、デューティー比Dが70%のときにピーク値aを200nit(つまり間欠発光光75の発光強度が140nit相当)、D=50%のときに400nit(間欠発光光75の発光強度が200nit相当)、D=30%のときに900nit(間欠発光光75の発光強度が270nit相当)というように、ピーク値aの制御を行う。
このようにピーク値aを制御すると、動きが発生してデューティー比Dを絞った場合、S2が増大する。一方で、静止画や動きの少ない画像の場合、輝度が高い画面を長時間視聴すると目の疲労につながる。よって、画面が動いた場合や動きが多い画像の場合にのみ、輝度を上昇してメリハリをつけることで、鮮明な動画表示を実現できる。また、ピーク値bをデューティー比Dと連動して変更してもよい。さらに、ピーク値aとピーク値bを同時にデューティー比Dに対して連動して変更してもよい。
図45(a)〜図45(d)は、シーンチェンジ検出信号を用いて、発光強度比S2を制御する場合を示している。ここでは、デューティー比Dを、20%または40%に固定とした場合を仮定している。また、ピーク値aまたはピーク値bの変更によって発光強度比S2を変更する。なお、持続発光光76の発光強度比は(100−S2)であるため、間欠発光光75の発光強度比S2の制御によって連動して変化し、画面輝度は一定に保たれる。
図45(b)は、図45(a)の特性を使用して場合の、尾引き量とフリッカ量の関係を示す図である。図45(c)および図45(d)は、図45(b)の特性を求めるためのデータである。なお、図45(a)および図45(b)において、丸で囲むエリアと四角で囲むエリアとは、互いの図面において対応している。
画面に動きが少ない場合は、S2を小さくすることで、尾引き量を大きく、フリッカ量を小さくする方向に制御する。たとえば、パソコンで資料を作成する場合のように、表示映像が静止画中心である場合、フリッカは目立ちやすくなる。よって、S2を小さくすることで、フリッカ量を減らすことができる。
なお、静止画中心の場合でも、ウィンドウをスクロールする場合などは動きが発生する。このような場合でも、本実施形態の映像表示装置によれば、従来技術の特性よりもフリッカ量と尾引き量とを抑制した特性で、映像表示を行うことができる。
また、デューティー比D、ピーク値a、およびピーク値bを固定して画面輝度が変化するように制御してもよいし、発光強度比S2と、ピーク値aおよびピーク値bのいずれか、もしくは双方を連動させ、画面輝度を変化させながら制御してもよい。
さらに、静止画を表示する場合に対して、動画を表示する場合に画面輝度を上げれば、動画のメリハリがついて鮮鋭度が上がり、静止画を視聴する場合の目の疲労を回避できる。逆に、動画の輝度を下げれば、フリッカが目立ちにくくなり、尾引き量の改善度を上げることができる。
これらの制御は、映像表示装置の用途(たとえばテレビ用、パソコン用)によって最適な場合を選べばよい。または、実装において選択したランプ69、70の特性に応じて最適な制御を選択すればよい。たとえばLED光源は瞬時発光強度のピーク値の制御が容易であるが、冷陰極管は周囲温度との関係で、瞬時発光強度のピーク値の制御が困難なことがある。よって、ランプ69にはLED光源を採用して、デューティー比Dおよびピーク値aのいずれか、または双方を制御することが好ましい。また、ランプ70には冷陰極管光源を採用して、ピークb値を固定値としてその他のパラメータを制御することが好ましい。
また、図44(a)〜図44(c)、図45(a)〜図45(d)は、デューティー比D、発光強度比Sを各々独立に制御した場合を説明したが、デューティー比Dと発光強度比S2を同時に変更することで、尾引き量とフリッカ量の同時低減効果を得ることも可能である。
図46(a)および図46(b)は、図42(b)に示す構成のシーンチェンジ検出回路77から得られるAPLの情報と、シーンチェンジ量とを併用して、デューティー比Dまたは発光強度比S2を制御する場合を示している。
たとえばAPLが低く、かつ動き量が大きい場合には、図46(a)に示すようにデューティー比Dを減少させるとよい。または、図46(b)に示すように、発光強度比S2を増大させてもよい。なお、デューティー比Dと発光強度比S2を同時に変更してもよい。これにより、たとえば暗い夜空に打ち上げられる花火の輝点を、尾引き量を改善しながらより高い輝度で発光させて強調して表示することができる。
APLが高い場合は、APLが低い場合と比較してフリッカが目立ちやすくなる。そこで、図46(a)に示すように、APLが低い場合に比べて、デューティー比Dの減少割合が小さくなるようにするとよい。または、図46(b)に示すように、APLが低い場合に比べて、発光強度比S2の増加割合が大きくなるようにするとよい。
特に、図46(b)に示すように、発光強度比S2に注目して、シーンチェンジ量が大きい場合に、発光強度比S2をAPLが低い場合により大きく増大させれば、観察者のAPLに対するフリッカ妨害を感じる限界の特性を利用しながら、尾引き量とフリッカ量の改善が可能となる。なお、発光強度比S2とデューティー比Dは、それぞれ独立で制御するものであってもよいし、2つの特性をあわせて、デューティー比Dと発光強度比S2を同時に制御してもよい。
また、本実施形態において、デューティー比Dと、発光強度比S2から換算される発光強度比Sの関係は、基本的に実施形態1の図12で説明した条件のもとで制御されるものであるが、例えば表示する映像に動きが少ない場合、つまり図42(a)、(b)で説明したシーンチェンジ信号が小さい場合に、S=40%など、図12の条件から外れる値を採用してもよい。その理由は以下のとおりである。
図12では、尾引き量の輝度変化のしきい値を15%、85%とした。また、図21では、10%、90%であるとした。しかしながら、絶対的なしきい値の値というものは、決して一意には決まらない。それは、映像表示装置の画質が観察者の主観に左右されるからである。または、周囲の照度や視聴距離などの視聴環境でも変化する。画面輝度の絶対値によっても変化する。さらに、表示する画像が静止画か動画かという点でも変化する。図4で説明した尾引きモデルでは、モデルの簡便化のために、物体の動き量を1画素の等速度と仮定している。つまり、尾引き量を動速度で正規化している。
しかし、実際は物体の動速度が速ければ、尾引き量の絶対値も大きくなる。表示映像に動きが少なければ、尾引き量のしきい値を大きくしても表示品位として問題ない場合がある。よって、尾引き量のしきい値を、動き量の関数として見た場合、図12や図21の条件から外れたD、Sの値でも、表示品位が最適となる場合が存在するのである。要は、図4で説明した尾引きモデルによるシミュレーションと、実際の表示画像の主観評価から、動き量によるD、Sの最適値を導出すればよい。
なお、本実施形態の映像表示装置60では、光源がLEDもしくはCCFLに限定されるものではなく、間欠発光、持続発光に適した光源を適宜採用すればよい。さらに、本実施形態では、図40の表示パネル61を透過型であると述べたが、光源からの照射光を反射することで変調する反射型の表示パネルであってもよい。
以上説明したように、本実施形態の映像表示装置60では、シーンチェンジ検出回路77によって、表示映像の画面単位の時間変化、つまり動き量を検出することで、尾引き量とフリッカ量との改善の精度を向上させることができる。
〔実施形態7〕
本発明のさらに他の実施形態に係る映像表示装置を、図47を用いて説明する。図47に示すように、本実施形態の映像表示装置100は、光源(光源体)101、光源(光源体)102、表示パネル(映像表示手段)103、拡散板104、およびシャーシ105から構成されている。
上記構成の映像表示装置100において、拡散板104とシャーシ105との間には空間が形成されており、光源101および光源102はその空間の下側に配置されている。
これらの光源101、102は、たとえばLEDにより構成されるが、その他の発光素子により構成されていてもよい。また、光源101、102は、拡散板104の下面に向かって照明光を出射する。そして、光源101は間欠発光を行うものであり、破線で示す間欠発光光106を照射する。
一方で、光源102は持続発光を行うものであり、実線で示す持続発光光107を照射する。また、表示パネル103は、透過型のものであり、拡散板104を通過した照明光を透過して変調する。また、表示パネル103は、自身の上面に観察者が見る映像を表示する。
図47に示すように、光源101および光源102から出射される性質の異なる2つの照射光は、光源の指向特性で決まる広がりにて拡散しながら、拡散板104とシャーシ105との間の空間を通過する間に混合される。
したがって、表示パネル103は、間欠発光光106と持続発光光107との双方の照射光が合成された光で照明されることになる。これらの光を混合することにより、第1の発光成分および第2の発光成分からなる光(図2参照)と同様の効果が得られることは、実施形態5にて説明したとおりである。したがって、本実施形態の表示パネル103は、実施形態1の映像表示装置1における表示パネル2と同一の動作を行う。したがって、本実施形態の表示パネル103は、移動する物体を表示する際に、尾引き量を低減してくっきりした輪郭で該物体を表示することができるとともに、フリッカ妨害を抑えることもできる。
以上のように、本実施形態の映像表示装置100においては、異なる特性を持つ照明光が、光源から表示パネルに至るまでの空間において混合される。たとえば非発光型の映像表示装置であるLCD(液晶表示装置)は、その光源として直下型と呼ばれる背面照明装置(バックライト)を備えている。その構成は、図47で示したものと同一である。よって、本実施形態の映像表示装置100は、直下型バックライトを持つLCDに容易に適用することができる。
そして、一般に、LCDにおいて直下型バックライトは、画面の対角が20型以上である場合に用いられる。大型のLCDでは、上述したとおり、観察者は尾引き妨害を視認しやすくなり、また従来のインパルス型発光を大型LCDに採用すると、フリッカ妨害も観察者に視認されやすくなる。したがって、本実施形態の映像表示装置100を、大型LCDに適用すれば、鮮明な動画表示でフリッカ妨害のない、最適な表示映像を提供することができる。
また、投射型液晶プロジェクタのような、表示映像をスクリーン等に投影する映像表示装置においても、間欠発光光106を出力する光源および持続発光光107を出力する光源を用意して、両光源の照射光で液晶パネルを照射すれば、両光源の照射光は液晶パネルに到達する間に混合されるため、本実施形態の効果が得られる。
また、本実施形態では透過型の表示パネルを想定したが、反射型である場合でも適用可能である。すなわち、反射型に本実施形態の液晶パネルを適用する場合は、光源を、反射型表示パネルの表示面と同一側に配置する。そして、間欠発光光106を出力する光源および持続発光光107を出力する光源を用意して、両光源の照射光で液晶パネルを照射すれば、両光源の照射光は液晶パネルに到達する間に混合されるため、本実施形態の映像表示装置による画質改善効果が得られる。
〔実施形態8〕
本発明の他の実施形態に係る液晶表示装置(LCD)について、図48および図49を用いて説明する。図48に示すように、本実施形態のLCD110は、液晶パネル(映像表示手段)111、コントローラ112、カラムドライバ(ソースドライバ)113、ロウドライバ(ゲートドライバ)114、電源回路(第1光源体駆動手段、第2光源体駆動手段)115、ランプ(第2光源体)116、ランプ(第1光源体)117、導光板(光混合手段)118、タイミング発生回路(第1光源体駆動手段)119、およびスイッチ(第1光源体駆動手段)120とから構成されている。
そして、ランプ116、ランプ117、および導光板118をまとめてバックライトと称する。また、図48に示すような線状の光源、あるいは線状に配置した点光源を導光板118の側端面に対向するように配置し、この光源からの出射光を導光板118が面発光に変換して表示パネルを照明するような光源構成を、サイドエッジ型と呼ぶ。なお、ランプ116およびランプ117は、たとえばLEDにより構成することが可能であるが、他の発光素子により構成しても構わない。
また、液晶パネル111上では、入力映像信号に応じて光透過率が変調される、複数の非発光型画素(図示せず)がマトリクス状に形成されている。コントローラ112は、カラムドライバ113に映像信号を出力し、ロウドライバ114に表示タイミング信号を出力し、タイミング発生回路119に垂直同期信号121を出力する。タイミング発生回路119は、スイッチ120を介して制御信号122を出力する。
そして、本実施形態のLCD110の特徴は、導光板118を用いることにより、異なる発光特性の照明光を混合している点にある。すなわち、本実施形態のLCD110の特徴は、光源がランプ116とランプ117とからなる2つのグループから構成されている点にある。
ランプ116には、電力線123を介して電源回路115から直接電力が供給される。このため、ランプ116は、制御信号122の状態に無関係に発光する。一方、ランプ117には、電源回路115から電力線124およびスイッチ120を介して電力が供給される。なお、スイッチ120は制御信号122にて制御される。
そして、これらのランプ116およびランプ117からの照明光は、導光板118の側端面から入射される。そして、導光板118は、両照明光を混合しつつ導光する。具体的には、導光板118は、照明光を拡散させるためのパターン(図示せず)が印刷されており、照明光を拡散して液晶パネル111に光を導光する。
さらに、液晶パネル111は、画素の透過率を変化させて導光板118からの照明光を変調し、表示面から出力する。観察者は、この表示面の発光を表示映像として観察する。
図49は、図48のLCD110の動作を表すタイムチャートである。図49の(a)部分は、垂直同期信号121の信号波形を示している。また、図49の(b)部分は、制御信号122の信号波形を示している。
また、図49の(c)部分は、電力線123から供給される電力の波形を示しており、ランプ116はこの波形に従って持続光を発光する。また、図49の(d)部分は、電力線124から供給される電力の波形を示しており、ランプ117はこの波形に従い間欠光を発光する。さらに、図49の(e)部分は、導光板118から出力される光の波形を示しており、ランプ116から出力される光と、ランプ117から出力される光とを合成した光である。
そして、本実施形態のLCD110の特徴は、異なる駆動原理により制御される複数の光源(ランプ116およびランプ117)を持ち、両光源からの照射光を導光板118で混合している点にある。
なお、異なる駆動原理とは、垂直同期信号にて制御される閃光成分を発生させるためのパルス駆動と、垂直同期信号にて制御されない持続成分を発生させるためのリニア駆動とを意味している。そして、持続光を発光するランプ116は、リニア駆動により制御されており、間欠光を発光するランプ117は、パルス駆動により制御されている。
本実施形態のLCD110では、図49の(e)部分に示すように、間欠光と持続光とが混合された光で液晶パネル111を照明するので、上記本発明の実施形態1で説明した画質改善効果を得ることができる。
また、本実施形態では、非発光型画素の種類は問わない。すなわち、導光板118が液晶パネルの表示面と同一側に配置され、導光板118から出力される照明光を液晶パネルにより反射する構成であっても、本実施形態のLCD110と同様の効果が得られる。
本実施形態のLCD110は、図48においてランプ116とランプ117とが一直線に並ぶように構成したが、必ずしも一直線に並べる必要はない。
以上のように、本実施形態のLCD110は、導光板118により、互いに特性の異なる間欠光と持続光とを混合し、液晶パネル111の照明光とする。したがって、本実施形態のLCD110の照明光は、持続発光成分と間欠発光成分とが含まれているので、混合された照明光で照明された映像表示装置は、動物体の尾引きを抑えてくっきりした輪郭を表示できるとともに、フリッカ妨害を低減することもできるので、高品位な表示映像を実現することができる。
また、本実施形態のLCD110は、光源が2つのグループに分割され、各々異なる特性で発光駆動されている。これにより、持続発光専用または間欠発光専用に駆動回路や駆動電源を設けることができ、回路構成を簡略化してコストダウンを図ることができる。さらに、それぞれの発光を別々の回路により制御できるので、回路の信頼性を向上させることもできる。
また、市販されているLEDの中には、連続点灯時の絶対最大定格電流が低いもの、パルス点灯時の瞬間最大定格電流が低いものが存在する。本実施形態のLCD110では、このようなLEDの電気的特性によって、持続発光用と間欠発光用のLEDを使い分けることもできる。
〔実施形態9〕
本発明のさらに他の実施形態について、図50を用いて説明する。なお、図50において図48のLCDと同一の機能を有する部材に関しては、同一の参照符号を付している。
図50に示すように、本実施形態の映像表示装置200は、電源回路(第1光源体駆動手段)201、電源回路(第2光源体駆動手段)202、ランプ(第1光源体)205、およびランプ(第2光源体)206から構成されている。
そして、本実施形態の映像表示装置200は、2系統の電源回路201、202を持ち、2系統のランプ205、206は分離されて実装されている。すなわち、ランプ206は、電力線204を介して電源回路202から電力を供給されることにより、持続光を発光する。一方で、電源回路201の出力はスイッチ120でスイッチングされ、スイッチングされた後の出力は電力線203を介してランプ205に供給される。これにより、ランプ205は間欠光を発光する。
そして、本実施形態の映像表示装置200における特徴点は、異なる発光原理により発光するランプ205およびランプ206を使用している点にある。具体的には、ランプ205は、図38の(d)部分にて示す波形により発光を行う。一方、ランプ206は、図38の(c)部分にて示す波形により発光を行う。
したがって、ランプ206に電源を供給する電源回路202は、常に一定の電力を該ランプに供給しているので、負荷変動によるストレスが全くかからない。一方、ランプ205に電源を供給する電源回路201は、スイッチ120により供給電力のon/offが繰り返されるので、負荷の変動が発生する。よって、電源回路201および電源回路202のそれぞれについて、供給電力の負荷の特性に合わせた最適化が可能となる。具体的には、電源供給効率や回路の信頼性を改善できる。
また、ランプ206は、たとえばCCFL(Cold Cathode fluorescent Light:冷陰極管蛍光灯)により構成することができる。なお、CCFLは、点灯する瞬間に、過大電流が流れ、放電電極が劣化して寿命が縮むため、間欠発光には向かない。しかしながら、ランプ206は常時点灯するので、CCFLなど、点灯と消灯を頻繁に繰り返す動作に向かない発光素子の採用が可能である。
そして、たとえばランプ206にCCFL、ランプ205を採用するというように、発光原理の異なる光源をランプ205、206として採用する場合、両者の外形や実装形態、駆動電圧が全く異なる。したがって、図50に示すように各々の光源を独立のブロックとして機構的に分離して映像表示装置に搭載すれば、機構設計や絶縁設計が容易で、放熱の点でも有利である。
また、本実施形態の映像表示装置200においても、間欠光と持続光とを混合した光を照明光としているので、上記本発明の実施形態1で説明した映像表示装置と同様の効果を得ることができる。すなわち、本実施形態の映像表示装置200によれば、移動する物体を表示する際に発生する尾引きを抑え、くっきりした輪郭により該物体を表示しながら、フリッカ妨害も低減することができる。
なお、本実施形態の映像表示装置200は、導光板118を使用したサイドエッジ型のバックライトを用いたものとして説明しているが、上記本発明の実施形態2で説明した直下型バックライトを用いた映像表示装置であっても、本実施形態の映像表示装置200と同様の照明方法を適用することができる。
また、本実施形態の映像表示装置200は、図50においてランプ205とランプ206とを、それぞれ導光板118において対向する端面に配置したが、必ずしもこのようにランプ205、206を配置する必要はない。
以上のように、本実施形態の映像表示装置200によれば、発光原理の異なる光源を使用して、それらの光源からの光を混合して表示パネルを照射することで、移動する物体を表示する際に発生する尾引きを抑えてくっきりした輪郭により動物体を表示しつつ、フリッカ妨害も低減することができる。
また、本実施形態の映像表示装置200は、発光原理の異なる光源を使用しているので、電源回路の最適化が容易となる。また、従来技術のインパルス型発光ではCCFLの採用は、信頼性や寿命の点で困難であったが、本実施形態の映像表示装置200では、持続光を発光する光源として、CCFLを用いることができる。
〔実施形態10〕
本発明のさらに他の実施形態に係る液晶表示装置(LCD)について、図51および図52を用いて説明する。なお、図51において、図48と同様の機能を有する部材には、同一の参照符号を付している。図51に示すように、本実施形態のLCD400は、電源回路401、ランプ(光源体)402、タイミング発生回路(間欠光信号発生手段)403、基準電圧発生回路(持続光信号発生手段)404、加算回路405、および電力増幅回路406から構成されている。基準電圧発生回路404は、たとえば分圧抵抗器と電圧バッファとからなる。
そして、本実施形態のLCD400は、ランプの制御スイッチを備えておらず、1種類の光源によりランプ402を構成し、電気的に間欠発光成分と持続発光成分とに相当する信号を混合してランプ402を駆動している点が特徴である。
図52は、本実施形態のLCD400の動作を説明するためのタイムチャートである。図52の(a)部分は垂直同期信号121の波形、図52の(b)部分は制御信号(間欠光信号)407の波形、図52の(c)部分は制御信号(持続光信号)408の波形、図52の(d)部分は制御信号(照明光信号)409の波形、図52の(e)部分はランプ402を発光させる電力の波形を示している。
また、図51のタイミング発生回路403が出力する制御信号407は、単にスイッチのon/offを制御する2値論理信号ではない。すなわち、制御信号407は、複数の中間状態を表せるデジタル多値信号、あるいは、連続的な中間状態を表せるアナログ信号である。
基準電圧発生回路404は、垂直同期信号121とは無関係に、基準電圧である制御信号408を出力する。これもデジタル多値信号、またはアナログ信号である。また、加算回路405は、制御信号407と制御信号408との和を求める。両者の和は、ランプ402の発光輝度を示す制御信号409として、電力増幅回路406に出力される。電力増幅回路406は、制御信号409に応じて、電源回路401から供給された電力の一部を発光電力としてランプ402に出力する。
そして、本実施形態のLCD400の特徴は、持続発光成分と間欠発光成分とに相当する各々の電気信号を電気的に合成してランプ402を駆動する点にある。したがって、図51のランプ402は、すべて同じ条件で点灯される。よって、実施形態8や実施形態9で説明した映像表示装置と比較して、本実施形態のLCD400は、輝度ムラが発生しにくいという利点がある。
また、本実施形態のLCD400の光源は、サイドエッジ型であるものとして説明したが、実施形態7で述べた直下型の光源にも本実施形態のLCD400と同様の照明方法を適用することができる。さらに、本実施形態では、ランプは1種類の光源で構成されるものとして説明したが、複数の異なる種類の光源を、電気的に混合した信号で駆動してもよい。
また、本実施形態の持続発光成分に相当する電気信号は、間欠発光成分に相当する電気信号より振幅が小さく、かつ連続である場合について説明したが、必ずしもこうでなくてもよい。すなわち、持続発光成分に相当する電気信号は、間欠発光成分に相当する電気信号と振幅が同じで、間欠発光成分に相当する電気信号と同様にon/offを繰り返すものであってもよい。
そして、持続光発光成分に相当する信号のon/off動作は、映像信号と同期するものであるか、または非同期のいずれかで、その繰り返し周波数が垂直同期信号のおよそ3倍(たとえば150Hz)以上であり、その持続光の点灯時間が間欠発光成分の発光時間に対しておよそ1/10以下のきわめて短い時間であるような信号でも実現可能である。
つまり、細くて数の多いパルス信号を、持続発光成分を得るための信号としてもよい。このような信号によって制御されるランプの照明光は、細くて数の多いパルスが平均化されて、人間の目にはあたかも低輝度の連続点灯のように見えるからである。この場合、間欠発光と持続発光との双方に相当する電気信号の振幅が同一であるため、間欠光を発光するための回路と持続光を発光するための回路の一部を共用することができる。
以上のように、本実施形態では、互いに異なる特性の照明光を制御する信号を、電気回路的に合成することにより、異なる特性の照明光が混合された光と同一の照明光により液晶パネル111を照明する。したがって、本実施形態のLCD400による画質改善の効果は、上記本発明の実施形態1の映像表示装置と同様である。すなわち、本実施形態のLCD400によれば、物体の尾引きを抑えてくっきりした輪郭を表示しながら、フリッカ妨害も低減することができる。
また、本実施形態のLCD400によれば、1種類の光源によりランプを構成するので、光学系をシンプルに構成し、容易に設計することが可能となる。さらに、本実施形態のLCD400は、同一種類の光源により液晶パネル111を照明するので、表示画面の輝度ムラ、色ムラなどが発生しにくい。
〔実施形態11〕
図53から図55を用いて、2種類の周波数のパルスを用いた発光波形による、尾引き量とフリッカ量の同時改善効果について説明する。
図53の(a)部分は、本発明の映像表示装置の画素に適用可能な発光波形を示すものである。斜線で示すパルスAが、第1の発光成分(図2参照)に相当し、デューティー比がD%、発光強度比S3%である。
そして、本実施形態の特徴は、第2の発光成分に相当する発光波形が、網点で示すパルスBの集合になっていることにある。パルスBの周波数(図中のt0の逆数)は表示する映像信号の周波数より高い周波数、たとえば150Hzであり、人間の目に追従しないため、図53の(a)部分に示す発光波形は、等価的に図53の(b)部分に示す発光波形と等しくなる。
また、図53の(a)部分では(100−D)%の時間に4回のパルスBが発生しているので、ひとつのパルスBの発光強度は、(100−S3)/4%である。また、パルスAは、映像信号の垂直同期信号と同期しているが、パルスBは、垂直同期信号と同期していてもよいし、していなくてもよい。
図54は、図53の(a)部分に示す発光波形を用いた場合の尾引き量の低減効果を説明する図である。図54は、たとえば液晶パネルのような非発光透過型の表示パネルを採用し、光源の発光波形を図53の(a)部分で示したものにすることで、尾引き改善を行うことを想定している。
なお、図54は、図4で説明したモデルと同様であり、3画素の長さの物体が画面の一方向に1フレームあたり1画素の等速度で移動している様子である。図54の(a)部分に示す光源の発光波形と、図54の(b)部分に示す画素の透過率との積が図54の(c)部分に示す移動物体の輝度となる。この状態で、図中黒矢印の方向が人間の目の積分方向に対応すると仮定し、黒矢印方向に積分演算を行う。その結果が図54の(d)部分および(e)部分である。
図54の(e)部分に示すように、移動する物体の輝度波形は、段差1,3と傾斜2とからなる。段差1,3は、人の動体視力では識別困難であるので、人間の目は主に傾斜2を物体の尾引きと認識する。なお、物体が静止すれば、段差1と段差3は消滅するので、静止視力でも段差は知覚されない。よって、物体が停止した後も、停止前と同じ発光波形でバックライトを点灯し続けて構わない。
図55は、図54の(a)部分に示す発光波形と、従来技術の発光波形とのフーリエ級数の計算結果を示すものである。図55(a)および図55(b)において、双方の発光輝度が同一となるように設定している。輝度が同一であれば、フーリエ変換した場合のDC直流成分が同一となり、高調波の比較が可能となる。
図55(c)に示すとおり、本実施形態および従来例の発光波形の1次高調波は、それぞれ0.82および1.28である。本実施形態は従来例に比べて、フリッカが低減されていることを意味する。
本実施形態を光源の発光制御によって実現する場合、たとえばLEDのような光源を採用すればよい。LEDはパルス状にスイッチされた電流に対して高速に発光が応答するため、図53の(a)部分に示す電流波形をLEDに供給すれば、電流波形と同様の波形にてLEDを発光させることができる。なお、電流スイッチは、デジタル回路で容易に実現可能である。
以上説明したように、図53の(a)部分に示す発光波形によっても、動画の輪郭への妨害を抑制しつつ、フリッカを低減することが可能になる。
〔実施の形態12〕
本発明の他の実施形態に係る映像表示装置を、図56から図59を用いて説明する。本実施形態の映像表示装置において、表示パネルはアクティブマトリクス型駆動で自発光のEL(エレクトロルミネッセンス)である。画素ごとに配置されたEL素子に画像情報に応じた電流を流すことで、発光の明暗を制御し、表示画像を生成する。
図56は、本実施形態のELの画素の構成を示す図である。EL画素601は、スキャン電極602、信号電極603、TFT604、コンデンサ605、TFT606、TFT607、TFT608、EL素子609、電源610、スキャン電極611から構成される。スキャン電極602は、たとえばNTSCビデオ信号の場合、表示パネルに525本存在する。NTSCビデオ信号は垂直周波数が60Hz、走査線が525本であるため、スキャン電極602は約32マイクロ秒(=1/60/525)おきに選択される。スキャン電極は、表示パネルの水平方向に並ぶ、他の画素と共通である。
信号電極603からは、表示する画像情報が供給される。たとえばNTSCビデオ信号であれば、信号電極603は、表示パネルに640本、または720本存在する。信号電極603は、表示パネルの垂直方向に並ぶ、他の画素と共通である。注目画素のスキャン電極602が選択されてパルスが供給されると、TFT604がオンする。このタイミングにあわせて信号電極603に画像情報が供給されるので、この情報を電圧(もしくは電荷)の形でコンデンサ605にメモリする。
注目画素が非選択期間になると、TFT604はオフとなり、コンデンサ605の電圧は保持される。EL素子609は、このコンデンサ605に保持された電圧によって定まる電流を電源610から流すことで、所望の輝度で発光する。ここで、本実施形態のEL画素601は、EL素子609に電流を供給する系統が2系統存在する。TFT606を介する系と、TFT607を介する系である。また、TFT607は、スキャン電極611によって制御されるTFT608によってオン/オフが制御される。
図57は、EL画素601の動作を説明するための図である。図57の(a)部分は、スキャン電極602に供給されるパルス信号の波形を示すものである。繰り返し周期Tは、NTSCビデオ信号では16.7ミリ秒(=1/60)である。図57の(b)部分は、スキャン電極611のパルス信号の波形を示すものである。図57の(c)部分は、TFT606のドレインに流れる電流の波形を示すものである。この電流は、電源610から供給されて、TFT606のソース−ドレインを通り、EL素子に流れる。この電流は、スキャン電極602がHighの期間にTFT604をオンして、コンデンサ605の端子間電圧を更新することで変化する。EL素子の応答はたとえば一般的な液晶の応答と比較すると高速であり、スキャン電極602がHighの期間に所望の電流に変化するものと仮定している。
図57の(c)部分に示すように、ある周期に比較的大きい電流I1が設定されて、画素は明るく発光する。次の周期で小さい電流I2が流れて、EL素子609は暗く発光する。もう一方の系は、TFT607を介して電源610から供給される電流である。この電流の振幅は、TFT606の系と同様、コンデンサ605の電圧によって定まる。よって、図57の(c)部分および(d)部分において、I1=I3、I2=I4である。
ただし、TFT607はスキャン電極611によって制御される点が異なる。スキャン電極611のパルスがHighの期間は、TFT608がオンとなる。この場合、TFT607のゲート、ソース間電圧が0となるため、TFT607はオフである。スキャン電極611がLowの期間はTFT608がオフとなり、この場合、TFT607はコンデンサ605の端子間電圧によって制御され、図57の(d)部分に示すように電流を流す。
EL素子609に流れる電流の波形は、図57の(e)部分に示すようになり、これは図57の(c)部分に示す波形と、(d)部分に示す波形との和である。つまり、I5=I1、I6=I1+I3、I7=I2、I8=I2+I4である。
図57の(e)部分の電流波形に応じてEL素子609が発光する。発光波形は、EL素子の電流−発光特性によるが、ここで特性が比例関係にあるとすれば、発光波形は図38の(f)部分と同等となる。この波形で発光することで、上記本発明の実施形態1として図7とともに説明した、尾引き量とフリッカ量とを同時に改善する効果が得られる。
以上説明したとおり、本実施形態の映像表示装置は、たとえばアクティブマトリクス駆動の自発光ELである。映像情報を記憶したコンデンサ605で制御するTFTを2つ持ち、各々異なるタイミングで電流を流すことで、間欠発光と持続発光に対応する発光波形を生成する。つまり、画素の発光が、図2とともに説明した、第1の発光成分と第2の発光成分から構成される。または、画素の発光が、間欠発光成分と持続発光成分とから構成される。
間欠発光位相Pは、スキャン電極611のパルスの位相管理で制御を行う。なお、間欠発光位相Pとは、垂直周期が開始してから、第1の発光成分または間欠光成分の発光波形の中心までの時間の周期に対する割合を意味している。第1の発光成分の位相は、スキャン電極611の位相によって制御すればよい。また、デューティー比Dもスキャン電極611のLow期間によって制御が可能である。間欠発光成分もしくは第1の発光成分の発光エネルギー(つまり発光強度)を大きくしたい場合は、デューティー比Dを増大させればよい。
スキャン電極602の選択動作は、従来のホールド型発光のEL装置と同様1/60秒でよいため、スキャン電極ドライバ(図示せず)や信号電極ドライバ(図示せず)を高速化する必要がなく、外部に映像信号を記憶するフレームメモリなどを使用してクロックレート変換等を行う必要がない。コンデンサも、従来のホールド型発光のEL装置と同様、1つでよい。
図58は、EL画素の他の構成例を説明するための図である。図58において、図56と均等なものには同一符号を付している。図58におけるEL画素701は、コンデンサ702、コンデンサ703、TFT704、TFT705、TFT706、スキャン電極707、スキャン電極708で構成されている。画素選択時にTFT604がオンして、映像情報に対応した電圧がコンデンサに書き込まれるのであるが、この電圧はコンデンサ702とコンデンサ703の直列接続に対して書き込まれる。
TFT705とTFT706は交互にオン/オフを繰り返し、TFT704のソース−ゲート電圧を切り替える。TFT705がオンの期間は、コンデンサ703の電圧が、TFT706がオンの期間は、コンデンサ703とコンデンサ702の端子間電圧の和が、TFT704のソース−ゲート電圧となる。この2つのゲート電圧によって、EL素子609の電流が切り替えられる。TFT706はスキャン電極707によって制御される。TFT705はスキャン電極708によって制御される。画素内にインバータを持ち、たとえばスキャン電極707の論理を反転した信号をTFT705のゲートに入力してもよい。
図59は、EL画素701の動作を説明するための図である。図59の(a)部分は、スキャン電極602に供給されるパルス信号の振幅を示すものである。図59の(b)部分は、スキャン電極705のパルス信号の振幅を示すものであり、図59の(c)部分は、スキャン電極706のパルス信号の振幅を示すものである。図59の(d)部分は、TFT705で制御されるEL素子609の電流の振幅を示すものである。スキャン電極708がHighの期間、TFT705がオンし、TFT704のゲート−ソース間電圧がコンデンサ703の両端電圧で規定される。
この電圧は、画素選択時に書き込まれた電圧を、コンデンサ703とコンデンサ702で分圧したものである。選択時の書き込み電圧をV、コンデンサ702、コンデンサ703の静電容量を各々C1、C2とすれば、コンデンサ703の両端電圧V2は、
V2=V*(C1*C2/C1+C2)
となる。
図59の(e)部分は、TFT706で制御されるEL素子609の電流の振幅を示すものである。スキャン電極707がHighの期間にTFT706がオンになり、TFT704のゲート−ソース間電圧は、画素選択時に書き込んだ電圧Vとなる。VとV2は、V2<Vであり、TFT704のゲート−ソース間電圧と、TFT704のドレイン電流が比例すると仮定すれば、図59の(d)部分に示す電流I11、I12と、図59の(e)部分に示す電流I13、I14は、
I11=I13*(C1*C2/C1+C2)
I12=I14*(C1*C2/C1+C2)
の関係となる。
図59の(f)部分は、実際にEL素子609に流れる電流の波形を示すものであり、図59の(d)部分の波形と(e)部分の波形との和となる。EL素子609の電流−発光輝度特性が線形であれば、EL素子609の発光輝度波形は図59の(f)部分に示す波形となる。つまり、画素の発光が、図2で説明した、第1の発光成分と第2の発光成分から構成される。または、間欠発光成分と持続発光成分とから構成されるのである。この波形により、実施形態1で説明した、尾引き量とフリッカ量との双方の改善が可能となる。第1の発光成分の発光位相やデューティー比Dは、スキャン電極707、708のパルスの位相管理で制御を行う。第1の発光成分の発光エネルギー(つまり発光強度)を大きくしたい場合は、コンデンサ702、703の容量比で制御可能である。もしくは、スキャン電極707のLow期間を増大させて、スキャン電極708のHigh期間を減少させればよい。
以上のように図58および図59を用いて説明したとおり、本実施形態の他の実施例に係る映像表示装置は、コンデンサに記憶した映像情報を分圧して使用する。スキャン電極602の選択動作は、従来のホールド型発光のEL装置と同様1/60秒でよいため、スキャン電極ドライバ(図示せず)や信号電極ドライバ(図示せず)を高速化する必要がなく、外部に映像信号を記憶するフレームメモリなどを使用してクロックレート変換等を行う必要がない。
〔実施形態13〕
本発明のさらに他の実施形態に係る映像表示装置を、図60を用いて説明する。本実施形態の映像表示装置において、表示パネルはアクティブマトリクス型駆動で自発光のEL(エレクトロルミネッセンス)パネルであるか、またはアクティブマトリクス型駆動で非発光の液晶パネルである。そして、本実施形態では、画素ごとに配置されたEL素子もしくは液晶素子に画像情報に応じた電圧を供給することで、発光の明暗を制御し、画像を生成する。
図60は、本実施形態の映像表示装置の動作のタイミングを説明する図である。なお、説明を簡単にするために、表示パネルは走査線が5本であると仮定している。図60の(a)部分は、垂直同期信号の波形を示すものであり、画面の繰り返しの基準である。NTSCビデオ信号であれば、垂直同期信号の周波数は60Hzである。図60の(b)部分は水平同期信号の波形を示すものである。走査線を5ラインと仮定しており、1垂直周期にH11からH15の5回のパルスが発生する。図60の(c)部分はデータ信号の波形を示すものであり、表示パネルの水平方向に並ぶ複数のデータ電極の1本に供給される信号である。
ここで、本実施形態の映像表示装置は、別途映像信号をフレーム単位で記憶するフレームメモリを有しており、このフレームメモリに記憶した画像データにアクセスすることで、データの時間軸方向への並び替えを行う。ここで、画面の最上部に位置する画素を画素1、その下にある画素を画素2というように、同一データ電極上に位置する画素に対して、垂直方向の並び順に1から5の番号を振る。そして、画素1に表示する映像データをD1、画素2に表示する映像データをD2とする。D11、D12、D13は、D1を3つに分割して、時間方向に並び替えた映像データを意味する。
図60の(c)部分に示すように、たとえば画素1用のデータであれば、H11期間の先頭にD11、H13の2番目にD12、H14の3番目にD13が発生するよう、データの並び替えを行う。あるフレームでのD1には白の100%レベル(8bitで255レベル)が、1/60秒後の次のフレームにはグレーの60%レベル(8bitで150レベル)が入力されると仮定する。
画像データの分割は、デューティー比D、発光強度比Sによって定まる。例えばデューティー比D=50%、発光強度比S=80%であると仮定する。また、映像表示装置の画素が発光可能な瞬時ピーク輝度が1000nitであるとする。D1=100%の白信号であれば、図2で説明した第1の発光の瞬時発光輝度(第1の発光の縦軸の高さ)は100%であり、1000nitである。第2の発光は発光強度比Sが20%であり、図2の瞬時発光輝度(第2の発光の縦軸の高さ)は25%である250nitとなる。計算は、250nit=1000nit*50%/80%*20%で算出される。50%、80%、20%の数値は、各々図2のD、S、(100−S)に相当する。
このように、D11、D12、D13はデューティー比Dと発光強度比Sで定まる計算でD1から定まる。100%の白信号は、D11=25%、D12=100%、D13=25%の瞬時発光輝度で発光するように、映像データを分割設定する。映像データと発光輝度が比例すると仮定すると、8bit幅の映像データで言い換えると、255レベルの白信号の分割は、D11=64レベル、D12=255レベル、D13=64レベルである。これら瞬時発光輝度とデューティー比50%から、平均画面輝度は、1000*0.5+250*0.5=625nitとなる。
D1=60%のグレー階調の場合は、白信号で説明したものの60%の値となる。つまりD1=60%であれば、D11=15%、D12=60%、D13=15%である。D11、D12、D13の各々対応する輝度をL11、L12、L13とすると、100%の瞬時発光輝度が1000nitであれば、L11=150nit、L12=600nit、L13=150nitである。
図60の(d)部分は、画素1をスキャンするスキャン電極に印加するパルス信号の波形を示すものである。画素1は、画面上部に位置するものと仮定している。なお、走査線を5本と仮定しており、同一のデータ電極上に5つの画素が存在すると仮定する。上記の映像信号D1は、この画素1に表示される映像データであると仮定する。
また、スキャン信号は、1垂直周期に3回パルスを発生する。このパルスは、水平周期のおよそ1/3の時間である。また、1垂直周期に3回発生されるパルスは、水平同期信号に対して各々位相がシフトしている。時間方向に分割して並び替えた映像データD11、D12、D13の位相と、画素1のスキャン信号のHigh期間の位相が対応している。つまり、時間方向に並び替えた画素1の映像データを、スキャン信号で画素1に取り込むことで、画素1の発光を規定する。
図60の(d)部分の波形において、左から1番目のパルスは水平同期信号の前半に位置しており、2番目のパルスは真ん中に位置しており、3番目のパルスは後半に位置している。図60の(e)部分は、画素1の発光波形である。縦軸は輝度である。D1=100%(255レベル)の白信号であると仮定する。スキャン信号の1番目のHighの期間に画素1がD11で定まる発光状態(発光輝度)であるL11に設定される。このときの瞬時発光輝度は、上述の例では250nitである。スキャン信号がLowに落ちた時点で、このD11のデータを保持するので、画素1は250nitで発光を続ける。次に2番目のHigh期間にて、画素1の画素データはD12が書き込まれる。上述の例ではL12=1000nitである。
そして、スキャン信号は再度Lowに落ちるため、D12が保持され、画素1は1000nitで発光を続ける。同様に、3番目のスキャンパルスでD13に相当するL13=250nitが書き込まれて保持される。つまり、本実施形態では、図60の(d)部分のスキャン信号がHighのタイミングに合わせて、図60の(c)部分のデータ信号の映像データに相当する発光輝度を設定する。
たとえばEL素子であれば、映像データをコンデンサの電圧として保持して、その電圧に相当する電流をEL素子に流してEL素子を発光する。また、液晶素子であれば、映像データを電荷として保持して、その電荷に見合う透過率になるよう液晶を変調する。
図60の(c)部分のL11、L12、L13は、たとえばL11=L13で、かつL12>L11である。この波形で発光することで、実施形態1の図7で説明した、尾引き量とフリッカ量を同時に改善する効果が得られる。図2で説明した第1の発光成分のデューティー比Dは、データ信号の並び替えと、対応するスキャン信号のパルス位相によって定まる。発光強度比Sは、D11、D12、D13の映像データ分割の分割方法(比率)によって定まる。
図60の(f)部分および(g)部分は、他の画素である画素3に注目した場合を示す。画素3に書き込んで表示する映像データD3を分割した映像データをD31、D32、D33と表記する。そして各々のデータに対応する発光輝度を、L31、L32、L33とする。
なお、画素3は画面中央に存在する。この画素における動作タイミングは、基本的に画素1のタイミングと同じであり、位相が2ライン分シフトしている。よって、各画素のスキャン信号が同時にHighになることはない。
このように、本実施形態の映像表示装置は、あらかじめデータ電極に印加するデータを並び替え、1水平周期当りに3つのデータが配置されるよう加工されている。また、垂直方向の選択を行うスキャン信号は、1垂直同期信号あたり3回、High信号を出力する。さらに、複数のスキャン信号が同時にHighになることはない。
このようなタイミングでデータを書き込むことで、本実施形態の映像表示装置からは、図60の(e)部分に示すような発光波形が得られる。この波形は、図2で示したような、第1の発光成分と第2の発光成分とからなっている。または、間欠発光成分と持続発光成分とからなっている。この波形で画素が発光することで、尾引き量とフリッカ量との理想的な改善が行われる。
本実施形態では、外部にメモリを設けてデータを並び替えることで発光波形を制御するため、表示パネルの画素構造を、例えばスキャン電極を追加する等の、1垂直同期信号あたり1回データを更新するような一般的な構成のものから変更する必要がなく、既存の表示パネルの流用が可能である。
また、間欠発光成分のデューティー比Dは、データ信号の並び替えの管理で制御が可能である。間欠発光成分の発光位相も、同様にデータ信号の並び替えの管理で制御が可能である。
〔補足〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれることはいうまでもない。
また、本発明の映像表示装置は、映像信号に基づき光を変調する映像表示手段と、上記映像表示手段を照明する光源体とを備えている映像表示装置において、上記光源体は、上記映像信号と同期した矩形パルス状の発光強度の波形を示す間欠光と、常に一定の発光強度を示す持続光とを混合して得られる照明光により、上記映像表示手段を照明するものであってもよい。
上記構成によれば、本発明の光源体は、間欠光と持続光とを混合した光を照明光とする。したがって、本発明の光源体により得られる照明光は、持続光により一定の発光強度が保たれつつ、間欠光が発せられる時間においては間欠的に発光強度がアップするものとなる。
よって、本発明の映像表示手段により移動する物体を表示する際、該物体の輪郭は、持続光および間欠光の2種類の発光強度に対応する発光強度にて照明される。これにより、移動する物体の輪郭は、持続光のみに対応して輝度が変化する部分と、間欠光および持続光に対応して輝度が変化する部分とからなる2種類の輝度変化により表示されることになる。
その結果、移動する物体の輪郭を表示した映像において、観察者は、持続光のみに対応して輝度が変化する部分はコントラストを識別することができず、間欠光および持続光に対応して輝度が変化する部分のコントラストだけを識別するようになる。これにより、移動する物体を表示する際に発生する動画尾引きを改善することができる。
また、本発明者らは、本発明の光源体により得られる照明光において、間欠光のデューティー比を調整すれば、フリッカ量を低減することができる点を確認した。たとえば、間欠光のデューティー比を20%に設定し、照明光の輝度に対する持続光の輝度を20%に設定すれば、従来90%であったフリッカ量を75%にまで低減できることを確認した。
以上のように、本発明の映像表示装置は、間欠光と持続光とを混合した光を照明光としているので、動画尾引きおよびフリッカ妨害を同時に改善することができる。
さらに、上記間欠光および上記持続光の発光強度は、人間の目に知覚できるレベルに設定されていることが好ましい。
上記構成によれば、間欠光および持続光がともに人間の目に知覚できるレベル(たとえば90nit)に設定されているので、これらの光により映像表示手段に表示される物体も、観察者の目に容易に視認されることになる。よって、映像表示手段により表示される物体の視認性を向上することができる。
さらに、本発明の映像表示装置において、上記光源体は、上記映像表示手段から離間して配置されており、上記間欠光および上記持続光は、上記光源体と上記映像表示手段との間に形成される空間において混合される構成であってもよい。
つまり、映像表示装置の一例である非発光型のLCDは、映像表示手段としての液晶パネルの背面に、いわゆる直下型のバックライトを光源として備えている。したがって、非発光型のLCDでは、映像表示手段と光源体との間に空間が形成されることになる。
上記構成では、このように形成される空間を利用して間欠光と持続光とを混合するので、直下型バックライトを光源として用いる映像表示装置において、動画尾引きおよびフリッカ妨害を低減することが可能となる。
また、本発明の映像表示装置は、上記間欠光と上記持続光とを混合する光混合手段を備えている構成であってもよい。
上記構成によれば、本発明の映像表示装置は光混合手段を備えているので、間欠光と持続光とを確実に混合することができる。したがって、間欠光と持続光とを混合することにより得られる動画尾引き改善効果およびフリッカ妨害改善効果を、より確実に得ることができる。
さらに、上記構成の映像表示装置は、上記光混合手段が導光板であり、上記光源体が、上記導光板の同一端面に沿うように配置されており、上記導光板が、上記間欠光と上記持続光とを混合した光を、上記光源体が配置されている側の端面から、上記映像表示手段と対向する側の端面にまで導き、上記映像表示手段に出力する構成であってもよい。
すなわち、映像表示装置の一例であるLCDでは、映像表示手段としての液晶パネルの背面に導光板を設け、該導光板により光源の照明光を導くことにより液晶パネルを照明する、いわゆるサイドエッジ型の光源を用いるものがある。
本発明では、このような導光板を用いて、光源体により発せられる持続光と間欠光とを混合して映像表示手段を照明するので、サイドエッジ型の光源を用いる映像表示装置において、動画尾引きおよびフリッカ妨害を低減することが可能となる。
さらに、上記構成の映像表示装置は、上記光源体が、上記間欠光を発する第1光源体と、上記持続光を発する第2光源体とを備え、上記第1光源体の点灯/消灯を制御する第1光源体駆動手段と、上記第2光源体の点灯/消灯を制御する第2光源体駆動手段とを備えている構成であってもよい。
上記構成によれば、間欠光および持続光のそれぞれが、第1光源体および第2光源体のうち対応する光源により発せられる。さらに、これらの第1光源体および第2光源体は、第1光源体駆動手段および第2光源体駆動手段のそれぞれにより独立して制御される。
したがって、間欠光の発光状態を最適化するためには、第1光源体および第1光源体駆動手段の回路構成を最適化すればよく、持続光の発光状態を最適化するためには、第2光源体および第2光源体駆動手段の回路構成を最適化すればよい。このように、間欠光および持続光のそれぞれの発光状態を独立して最適化することができるので、回路構成を簡略化することによりコストダウンを実現したり、回路の信頼性を向上させたりすることが容易となる。
さらに、上記第1光源体駆動手段は、上記第1光源体に供給する電力、電流、および電圧のうち少なくとも1つを、上記映像信号に同期してスイッチングするものであることが好ましい。
すなわち、間欠光は、映像信号と同期した矩形パルス状の発光強度の波形を示す光である。したがって、光源体に供給する電力等を、映像信号に同期してオン/オフするようにスイッチングすれば、容易に間欠光を発生させることができる。
本発明では、第1光源体駆動手段が第1光源体に供給する電力等を、映像信号に同期してスイッチングするように構成されているので、容易に間欠光を生成することができる。したがって、本発明による動画尾引きの改善効果およびフリッカ妨害の低減効果を、より簡易な回路構成で得ることができる。
さらに、上記第2光源体駆動手段は、上記第2光源体に、電力、電流、および電圧のうち少なくとも1つを一定の値にて供給するものであることが好ましい。
すなわち、持続光は、常に一定の発光強度を示す光である。したがって、光源体に一定電力等を供給することにより、容易に持続光を発生させることができる。
本発明では、第2光源体駆動手段が第2光源体に一定の電力等を供給するように構成されているので、容易に持続光を生成することができる。したがって、本発明による動画尾引きの改善効果およびフリッカ妨害の低減効果を、より簡易な回路構成で得ることができる。
また、上記第2光源体駆動手段は、上記第2光源体に供給する電力、電流、および電圧のうち少なくとも1つを、上記映像信号の周波数の3倍以上の周波数にて制御するものであってもよい。
すなわち、人間の目は、150Hz程度の周波数で繰り返し点滅する光に対しては非常に感度が鈍く、300Hz程度を超える周波数で繰り返し点滅する光に対してはほとんど反応しない。したがって、厳密には繰り返し点滅している光であっても、人間の目には持続光として観察される場合がある。
したがって、映像信号の周波数がたとえば60Hzに設定されている場合において、第2光源体への供給電力を60Hzの3倍以上の周波数で制御すれば、容易に第2光源体により実質的な持続光を発することができる。これにより、本発明による動画尾引きの改善効果およびフリッカ妨害の低減効果を、より簡易な回路構成で得ることができる。
なお、第1光源体および第2光源体としては、半導体発光素子、たとえば発光ダイオードを用いることができる。
また、第2光源体は、第1光源体とは異なる発光原理により持続光を発するものであってもよい。
上記構成によれば、第2光源体として、第1光源体と異なる発光原理にて持続光を発するものを用いるので、持続光の発光に適している発光素子、たとえば冷陰極管蛍光灯を用いることができる。よって、第2光源体の長寿命化を実現できるとともに、耐久性も向上させることができる。
さらに、本発明の映像表示装置は、映像信号に同期してオン/オフ状態を繰り返す間欠光信号を発生する間欠光信号発生手段と、常にオン状態である持続光信号を発生する持続光信号発生手段とを備え、上記光源体は、上記間欠光信号および上記持続光信号が合成された照明光信号に基づき、上記照明光を発するものであってもよい。
上記構成によれば、間欠光信号に基づき間欠光を光源体にて生成することができ、持続光信号に基づき持続光を光源体にて生成することができる。したがって、間欠光信号と持続光信号とが合成された照明光信号に基づけば、1つの光源体から間欠光と持続光とが混合された照明光を得ることができる。したがって、光学系の設定をシンプルにすることができるとともに、映像表示手段において発生し得る輝度ムラや色ムラを低減することができる。
さらに、上記持続光信号の周波数は、上記映像信号の周波数の3倍以上の周波数であってもよい。
上記構成によれば、映像信号の周波数がたとえば60Hzに設定されている場合において、人間の目に実質的に持続光として認識される光を容易に光源体により発することができる。これにより、本発明による動画尾引きの改善効果およびフリッカ妨害の低減効果を、より簡易な回路構成で得ることができる。
なお、上記光源体としては、半導体発光素子、たとえば発光ダイオードを用いることができる。
さらに、本発明の映像表示装置は、上記光源体が、常に一定強度にて発光する第3光源体と、該第3光源体により発光される光の強度を上記映像信号に同期して制御するシャッタ手段とを備えている構成であってもよい。
すなわち、上述したように、間欠光と持続光とを混合して得られる照明光の発光強度は、持続光により一定の発光強度が保たれつつ、間欠的に発光強度がアップするように設定される。したがって、第3光源体により発光される光の強度を、一定の発光強度が保たれつつ間欠的に発光強度がアップするようにシャッタ手段により制御すれば、間欠光と持続光とが混合された照明光と同様の照明強度を第3光源体により発生される光から得ることができる。
このように、第3光源体のみから間欠光と持続光とが混合された照明光を得ることができるので、上述の動画尾引きおよびフリッカ妨害の改善効果を同時に得ることができる。しかも、第3光源体は一定の強度にて発光しさえすればよいので、第3光源体にかかる負担を低減することが可能となる。
また、上記シャッタ手段は、映像信号に同期して上記第3光源体により発光される光を全透過または半透過するものであってもよいし、上記第3光源体により発光される光を全透過または遮断するものであってもよい。なお、「光を半透過する」とは、第3光源体の発光する光を、0%ではない、ある割合で透過させることを意味している。また、「光を遮断する」とは、透過率が0%であることを意味している。
さらに、第3光源体としては、半導体発光素子、たとえば発光ダイオードを用いることができる。また、第3光源体として冷陰極管蛍光灯を用いても構わない。
さらに、本発明の映像表示装置により得られる動画尾引きおよびフリッカ妨害の改善効果は、映像表示手段が液晶パネルである場合、つまり本発明の映像表示装置をLCDに適用した場合にも好適に得ることができる。したがって、近年、装置が大型化されつつあるLCDにおいて、動画尾引きおよびフリッカ妨害を効果的に低減することができる。
また、本発明の映像表示装置は、表示パネルとしてアクティブマトリクス駆動の自発光素子を用いた場合にも適用することができ、例えば有機ELを用いることが可能である。有機ELにおいては、画素ごとに発光素子を持ち、発光素子ごとに画像情報をメモリするコンデンサを有するが、このコンデンサに、垂直周期内で複数回アクセスすることで、画素の発光を、第1の発光成分と第2の発光成分とから形成することが可能である。または、コンデンサを分割することで、画素の発光を、第1の発光成分と第2の発光成分とから形成することが可能である。
また、表示パネルにはあらかじめ時間軸に対して並び替えた映像データが供給され、映像の垂直周期に対して同一画素を3回選択することで、第1の発光成分と第2の発光成分とから形成される画素の発光とすることが可能となる。
本発明の映像表示装置は、持続光と間欠光とを混合した照明光で映像表示手段を照明するので、動画尾引きの改善とフリッカ妨害の低減との両立が実現可能となる。フリッカは、単にユーザに不快感を与えるだけでなく、注意力や作業効率の低下を招いたり、目の疲労など健康に悪影響を及ぼすが、本発明は、それらの悪影響を防ぐことができる。さらに、フリッカを低減することは、高輝度化・大画面化された映像表示装置における表示品位を向上するために不可欠である。このように、本発明によれば、観察者に最適な表示品位を提供することが可能となる。
なお、本発明の映像表示装置は、映像信号に応じて光を変調する映像表示手段と、映像表示手段を照明するための光源体とを備え、上記光源体は、フリッカレスである持続光と、映像信号と同期した間欠光とからなる照明光により、上記映像表示手段を照明する構成であってもよい。
さらに、上記構成の発明において、さらに第1光源体駆動手段と、第2光源体駆動手段とを備える構成であってもよい。なお、光源体は、第1光源群と第2光源群とからなるものとし、間欠光を出力するために第1光源群を第1光源体駆動手段で制御し、持続光を出力するために第2光源群を第2光源体駆動手段で制御する。
さらに、第1光源体駆動手段は、電圧や電流を映像信号に同期してスイッチングすることで、第1光源群を制御するように構成してもよい。第2光源体駆動手段は、電圧や電流を安定に供給するか、もしくは映像信号と非同期に変動させることで、上記第2光源群を制御するようにしてもよい。さらに、上記光源体を、発光原理の異なる第1光源体と第2光源体とからなる構成としてもよい。
さらに、本発明の映像表示装置は、光源を発光させるための電気信号を発生する制御信号発生手段を複数持ち、複数の制御信号発生手段の出力である電気信号を合成して光源に供給する光源制御手段を備えている構成としてもよい。
上記構成において、間欠発光成分を得るためには、複数の制御信号発生手段のひとつを映像信号に同期したオンとオフの繰り返し信号を発生するものとすればよい。また、持続発光成分を得るためには、複数の制御信号発生手段のひとつを、一定の振幅で常にオンである信号であるか、あるいは映像信号と非同期に変動する信号を発生するものとすればよい。
さらに、本発明の映像表示装置は、さらに光源体からの照明光を制御するシャッタ手段を備えている構成であってもよい。なお、シャッタ手段は、映像信号と同期して光源からの照明光の光強度を制御するものである。
そして、シャッタ手段は、すべての、あるいはほとんどの照明光に対して作用するように構成するとよい。この場合、シャッタ手段による光強度制御は、光を100%通過させる透過制御と、光を0%ではない所定割合で通過させる半透過制御とを繰り返すものとすればよい。
また、シャッタ手段は、一部の照明光に対して作用するように構成してもよい。この場合、シャッタ手段の光強度制御は、光を100%通過させる透過制御と、光を100%遮断する遮断制御とを繰り返すようにする。
また、本発明の映像表示装置は、映像信号に基づき画素の輝度を変調することで映像を表示する映像表示装置において、上記映像信号の垂直周期のD%の時間を占めるとともに、該垂直周期内で表示される画素の発光強度のS%の発光強度を有する第1の発光成分と、上記垂直周期の(100−D)%の時間を占めるとともに、該垂直周期内で表示される画素の発光強度の(100−S)%の発光強度を有する第2の発光成分とを発し、
上記DおよびSの値が、
条件A:62≦S<100かつ0<D<100かつD<S、または
条件B:48<S<62かつD≦(S−48)/0.23
を満たすことを特徴としている。
上記構成においては、第1の発光成分と第2の発光成分のデューティー比がDで示され、発光強度比がSで示される。本発明者らは、デューティー比Dと発光強度比Sを変更して得られる尾引き量およびフリッカ量を検討し、その結果、デューティー比Dおよび発光強度比Sを条件Aまたは条件Bを満たすように設定することにより、尾引き量およびフリッカ量が同時に改善されるという知見を得た。よって、上記構成の映像表示装置によれば、尾引き量およびフリッカ量を同時に改善することができる。
さらに、上記構成の映像表示装置においては、上記映像信号に基づき画素の透過率を設定する映像表示手段と、上記映像表示手段を照明する光源体とを備え、上記第1の発光成分および上記第2の発光成分のそれぞれにおける発光強度の制御が、上記光源体によって行われることが好ましい。
さらに、上記光源体は半導体発光素子、たとえば発光ダイオードであることが好ましい。光源体を冷陰極管蛍光灯としてもよい。
または、上記構成の映像表示装置は、上記映像信号に基づき画素の透過率を設定する映像表示手段を備え、上記第1の発光成分および上記第2の発光成分のそれぞれにおける発光強度の制御が、上記映像表示手段によって行われることが好ましい。
なお、上記映像表示手段は、有機ELパネルであってもよいし、液晶パネルであってもよい。
また、表示パネルはアクティブマトリクス駆動の自発光素子である。例えば有機ELである。画素ごとに発光素子を持つ。発光素子ごとに画像情報をメモリするコンデンサを有するが、このコンデンサに、垂直周期内で複数回アクセスすることで、画素の発光を、第1の発光成分と第2の発光成分としてもよい。または、コンデンサを分割することで、画素の発光を、第1の発光成分と第2の発光成分としてもよい。
また、表示パネルにはあらかじめ時間軸に対して並び替えた映像データが供給され、映像の垂直周期に対して同一画素を3回選択することで、第1の発光成分と第2の発光成分からなる画素の発光としてもよい。
また、上記構成の映像表示装置は、上記映像信号に基づき画素の透過率を設定する映像表示手段と、上記映像表示手段を照明する光源体とを備え、上記映像表示手段と上記光源体との間に形成される光路間に配置され、上記光源体の照明光の強度を制御して、上記第1の発光成分および上記第2の発光成分のそれぞれにおける発光強度の制御を行う光制御手段を備えていてもよい。
上記構成によれば、光源体の照明光の強度を光制御手段を用いて制御することにより、第1の発光成分および第2の発光成分における輝度制御を容易に行うことができる。しかも、光源体を一定の強度にて発光しさえすればよいので、光源体にかかる負担を低減することが可能となる。
また、光制御手段は、光源体の照明光を全透過または半透過するものであってもよいし、全透過または遮断するものであってもよい。なお、「光を半透過する」とは、光源体の発光する光を、0%ではない、ある割合で透過させることを意味している。また、「光を遮断する」とは、透過率が0%であることを意味している。
さらに、光源体としては、半導体発光素子、たとえば発光ダイオードを用いることができる。また、光源体として冷陰極管蛍光灯を用いても構わない。
また、本発明の映像表示装置は、上記構成の映像表示装置において、上記映像信号に基づき透過率を設定する映像表示手段と、上記映像表示手段を照明する光源体とを備え、上記光源体は、上記映像信号と同期したパルス状の発光強度の波形を示す間欠光と、一定の発光強度を示す持続光とを混合して得られる照明光により、上記映像表示手段を照明し、上記第1の発光成分および上記第2の発光成分のそれぞれにおける画素の発光強度が、上記間欠光および上記持続光によりもたらされる構成であってもよい。
上記構成によれば、間欠光および持続光により映像表示手段が照明される。この間欠光および持続光を混合した光により、第1の発光成分と第2の発光成分とを混合した光と実質的に同等の光を得ることができる。
したがって、上記構成の映像表示装置によっても、尾引き量とフリッカ量の同時改善効果を得ることができる。
また、上記間欠光および上記持続光の発光強度は、人間の目に知覚できるレベルに設定されていることが好ましい。
上記構成によれば、上記垂直周期内で表示される画素の輝度が人間の目に知覚できるレベル(たとえば90nit)に設定されているので、本発明の映像表示装置に表示される物体も、観察者の目に容易に視認されることになる。よって、本発明の映像表示装置により表示される物体の視認性を向上することができる。
さらに、本発明の映像表示装置は、上記映像信号に基づき、上記映像のシーンチェンジ量を検出するシーンチェンジ検出手段を備え、上記シーンチェンジ量に応じて、上記SまたはDの値を変更することが好ましい。
上記構成によれば、シーンチェンジ量にて表される映像の動きに応じて、デューティー比Sまたは発光強度比Dが変更されるので、映像の動きに応じて尾引き量およびフリッカ量を調整できる。したがって、映像表示装置にて表示する映像が、静止画であるか動画であるか否かに応じて、フリッカ量と尾引き量を改善することができる。
さらに、映像信号に基づき、上記映像の平均輝度レベルを検出するシーンチェンジ検出手段を備え、映像の平均輝度レベルに応じて、上記SまたはDの値を変更してもよい。なぜなら、映像のフリッカ量は、映像の平均輝度レベルの高低に応じて変化する。つまり、平均輝度レベルが高くなるにつれ、フリッカ量は増大する傾向にある。上記構成では、平均輝度レベルに応じてデューティー比Sまたは発光強度比Dを変更するので、平均輝度レベルに応じて最適なSおよびDの値を選択し、フリッカ量と尾引き量を同時に改善することができる。
また、本発明の映像表示装置は、上記構成の映像表示装置において、上記映像信号に基づき画素の透過率を設定する映像表示手段と、上記映像表示手段を照明する光源体とを備え、上記光源体は、上記映像表示手段から離間して配置されており、上記第1の発光成分および上記第2の発光成分は、上記光源体と上記映像表示手段との間に形成される空間において混合されることが好ましい。
つまり、映像表示装置の一例である非発光型のLCDは、映像表示手段としての液晶パネルの背面に、いわゆる直下型のバックライトを光源として備えている。したがって、非発光型のLCDでは、映像表示手段と光源体との間に空間が形成されることになる。
上記構成では、このように形成される空間を利用して第1の発光成分と第2の発光成分とを混合するので、直下型バックライトを光源として用いる映像表示装置において、動画尾引きおよびフリッカ妨害を低減することが可能となる。
さらに、本発明の映像表示装置は、上記構成の映像表示装置において、上記映像信号に基づき画素の透過率を設定する映像表示手段と、上記第1の発光成分および上記第2の発光成分を発して上記映像表示手段を照明する光源体と、上記第1の発光成分および上記第2の発光成分を混合する光混合手段とを備えていることが好ましい。
上記構成によれば、本発明の映像表示装置は光混合手段を備えているので、第1の発光成分と第2の発光成分とを確実に混合することができる。したがって第1の発光成分と第2の発光成分とにより得られる動画尾引き改善効果およびフリッカ妨害改善効果を、より確実に得ることができる。
さらに、上記構成の映像表示装置において、上記光混合手段は、導光板であり、上記光源体は、上記導光板の同一端面に沿うように配置されており、上記導光板は、上記第1の発光成分と上記第2の発光成分とを混合した光を、上記光源体が配置されている側の端面から、上記映像表示手段と対向する側の端面にまで導き、上記映像表示手段に出力することが好ましい。
すなわち、映像表示装置の一例であるLCDでは、映像表示手段としての液晶パネルの背面に導光板を設け、該導光板により光源の照明光を導くことにより液晶パネルを照明する、いわゆるサイドエッジ型の光源を用いるものがある。
本発明では、このような導光板を用いて、光源体により発せられる第1の発光成分と第2の発光成分とを混合して映像表示手段を照明するので、サイドエッジ型の光源を用いる映像表示装置において、動画尾引きおよびフリッカ妨害を低減することが可能となる。
さらに、本発明の映像表示装置は、上記構成の映像表示装置において、さらに、上記映像信号に基づき画素の透過率を設定する映像表示手段と、上記映像表示手段を照明する光源体とを備え、上記光源体は、上記間欠光を発する第1光源体と、上記持続光を発する第2光源体とを備え、上記第1光源体の点灯/消灯を制御する第1光源体駆動手段と、上記第2光源体の点灯/消灯を制御する第2光源体駆動手段とを備えていることが好ましい。
上記構成によれば、第1の発光成分および第2の発光成分のそれぞれが、第1光源体および第2光源体のうち対応する光源により発せられる。さらに、これらの第1光源体および第2光源体は、第1光源体駆動手段および第2光源体駆動手段のそれぞれにより独立して制御される。
したがって、第1の発光成分の発光状態を最適化するためには、第1光源体および第1光源体駆動手段の回路構成を最適化すればよく、第2の発光成分の発光状態を最適化するためには、第2光源体および第2光源体駆動手段の回路構成を最適化すればよい。このように、第1の発光成分および第2の発光成分のそれぞれの発光状態を独立して最適化することができるので、回路構成を簡略化することによりコストダウンを実現したり、回路の信頼性を向上させたりすることが容易となる。
さらに、上記第1光源体駆動手段は、上記第1光源体に供給する電力、電流、および電圧のうち少なくとも1つを、上記映像信号に同期してスイッチングするものであることが好ましい。
すなわち、第1の発光成分は、映像信号と同期した矩形パルス状の発光強度の波形を示す間欠光により実現可能である。したがって、光源体に供給する電力等を、映像信号に同期してオン/オフするようにスイッチングすれば、容易に間欠光を発生させることができる。
本発明では、第1光源体駆動手段が第1光源体に供給する電力等を、映像信号に同期してスイッチングするように構成されているので、容易に間欠光を生成することができる。したがって、本発明による動画尾引きの改善効果およびフリッカ妨害の低減効果を、より簡易な回路構成で得ることができる。
また、上記第2光源体駆動手段は、上記第2光源体に、電力、電流、および電圧のうち少なくとも1つを一定の値にて供給するものであることが好ましい。
すなわち、第2の発光成分は、常に一定の発光強度を示す持続光により実現可能である。したがって、光源体に一定電力等を供給することにより、容易に持続光を発生させることができる。
本発明では、第2光源体駆動手段が第2光源体に一定の電力等を供給するように構成されているので、容易に持続光を生成することができる。したがって、本発明による動画尾引きの改善効果およびフリッカ妨害の低減効果を、より簡易な回路構成で得ることができる。
また、上記第2光源体駆動手段は、上記第2光源体に供給する電力、電流、および電圧のうち少なくとも1つを、上記映像信号の垂直周波数の3倍以上の周波数(たとえば150Hz)にて制御するものであることが好ましい。
すなわち、人間の目は、150Hz程度の周波数で繰り返し点滅する光に対しては非常に感度が鈍く、300Hz程度を超える周波数で繰り返し点滅する光に対してはほとんど反応しない。したがって、厳密には繰り返し点滅している光であっても、人間の目には第2の発光成分として観察される場合がある。
したがって、映像信号の周波数がたとえば60Hzに設定されている場合において、第2光源体への供給電力を60Hzの3倍以上の周波数で制御すれば、容易に第2光源体により実質的な第2の発光成分を発することができる。これにより、本発明による動画尾引きの改善効果およびフリッカ妨害の低減効果を、より簡易な回路構成で得ることができる。
なお、第1光源体および第2光源体としては、半導体発光素子、たとえば発光ダイオードを用いることができる。
また、上記第2光源体は、上記第1光源体とは異なる発光原理により上記第2の発光成分を発するものであることが好ましい。
上記構成によれば、第2光源体として、第1光源体と異なる発光原理にて持続光を発するものを用いるので、第2の発光成分の発光に適している発光素子、たとえば冷陰極管蛍光灯を用いることができる。よって、第2光源体の長寿命化を実現できるとともに、耐久性も向上させることができる。
さらに、本発明の映像表示装置は、上記構成の映像表示装置において、映像信号に同期してオン/オフ状態を繰り返す間欠光信号を発生する間欠光信号発生手段と、常にオン状態である持続光信号を発生する持続光信号発生手段とを備え、上記間欠光信号および上記持続光信号が合成された照明光信号に基づき、上記第1の発光成分および上記第2の発光成分が発せられることが好ましい。
上記構成によれば、間欠光信号に基づき第1の発光成分を光源体にて生成することができ、持続光信号に基づき第2の発光成分を光源体にて生成することができる。したがって、間欠光信号と持続光信号とが合成された照明光信号に基づけば、1つの光源体から第1の発光成分と第2の発光成分とが混合された照明光を得ることができる。したがって、光学系の設定をシンプルにすることができるとともに、映像表示手段において発生し得る輝度ムラや色ムラを低減することができる。
また、上記持続光信号の周波数は、上記映像信号の垂直周波数の3倍以上の周波数(たとえば150Hz)であることが好ましい。
上記構成によれば、映像信号の周波数がたとえば60Hzに設定されている場合において、人間の目に実質的に第2の発光成分として認識される光を容易に光源体により発することができる。これにより、本発明による動画尾引きの改善効果およびフリッカ妨害の低減効果を、より簡易な回路構成で得ることができる。
なお、上記第1の発光成分および上記第2の発光成分は、半導体発光素子、たとえば発光ダイオードにより発せられる。
また、第2の発光成分は、映像信号の垂直周波数より高い周波数を有するパルス成分の集合により形成されてもよい。なお、このパルス成分の周波数は、映像信号の垂直周波数の3倍以上の周波数、たとえば150Hz以上であることが好ましい。
また、本発明の映像表示装置は、映像信号に基づき画素の輝度を変調することで映像を表示する映像表示装置において、上記映像信号に基づき画素の透過率を設定する映像表示手段と、上記映像信号と同期したパルス状の発光強度の波形を示す間欠光を発する第1光源体と、一定の発光強度を示す持続光とを発する第2光源体とを備え、上記間欠光と上記持続光とを混合して得られる照明光により、上記映像表示手段を照明する構成であってもよい。
上記構成によれば、第1光源体が発する間欠光と、第2光源体が発する持続光とを混合した光を照明光とする。したがって、本発明の光源体により得られる照明光は、持続光により一定の発光強度が保たれつつ、間欠光が発せられる時間においては間欠的に発光強度がアップするものとなる。
よって、本発明の映像表示手段により移動する物体を表示する際、該物体の輪郭は、持続光および間欠光の2種類の発光強度に対応する発光強度にて照明される。これにより、移動する物体の輪郭は、持続光のみに対応して輝度が変化する部分と、間欠光および持続光に対応して輝度が変化する部分とからなる2種類の輝度変化により表示されることになる。
その結果、移動する物体の輪郭を表示した映像において、観察者は、持続光のみに対応して輝度が変化する部分はコントラストを識別することができず、間欠光および持続光に対応して輝度が変化する部分のコントラストだけを識別するようになる。これにより、移動する物体を表示する際に発生する動画尾引きを改善することができる。
また、本発明者らは、本発明の光源体により得られる照明光において、間欠光のデューティー比を調整すれば、フリッカ量を低減することができる点を確認した。たとえば、間欠光のデューティー比を20%に設定し、照明光の輝度に対する持続光の輝度を20%に設定すれば、従来90%であったフリッカ量を75%にまで低減できることを確認した。
以上のように、本発明の映像表示装置は、間欠光と持続光とを混合した光を照明光としているので、動画尾引きおよびフリッカ妨害を同時に改善することができる。
特に、間欠光および持続光のそれぞれが、第1光源体および第2光源体のうち対応する光源により発せられる。
したがって、間欠光の発光状態を最適化するためには、第1光源体を最適化すればよく、持続光の発光状態を最適化するためには、第2光源体を最適化すればよい。このように、間欠光および持続光のそれぞれの発光状態を独立して最適化することができるので、回路構成を簡略化することによりコストダウンを実現したり、回路の信頼性を向上させたりすることが容易となる。
さらに、上記構成の映像表示装置は、上記第1光源体の点灯/消灯を制御する第1光源体駆動手段と、上記第2光源体の点灯/消灯を制御する第2光源体駆動手段とを備えていることが好ましい。
上記構成によれば、間欠光の発光状態を最適化するためには、第1光源体駆動手段の回路構成を最適化すればよく、持続光の発光状態を最適化するためには、第2光源体駆動手段の回路構成を最適化すればよい。このように、間欠光および持続光のそれぞれの発光状態を独立して最適化することができるので、回路構成を簡略化することによりコストダウンを実現したり、回路の信頼性を向上させたりすることが容易となる。
さらに、上記第1光源体駆動手段は、上記第1光源体に供給する電力、電流、および電圧のうち少なくとも1つを、上記映像信号に同期してスイッチングするものであることが好ましい。
すなわち、間欠光は、映像信号と同期したパルス状の発光強度の波形を示す光である。したがって、光源体に供給する電力等を、映像信号に同期してオン/オフするようにスイッチングすれば、容易に間欠光を発生させることができる。
本発明では、第1光源体駆動手段が第1光源体に供給する電力等を、映像信号に同期してスイッチングするように構成されているので、容易に間欠光を生成することができる。したがって、本発明による動画尾引きの改善効果およびフリッカ妨害の低減効果を、より簡易な回路構成で得ることができる。
さらに、上記第2光源体駆動手段は、上記第2光源体に、電力、電流、および電圧のうち少なくとも1つを一定の値にて供給するものであることが好ましい。
すなわち、持続光は、一定の発光強度を示す光である。したがって、光源体に一定電力等を供給することにより、容易に持続光を発生させることができる。
上記構成では、第2光源体駆動手段が第2光源体に一定の電力等を供給するように構成されているので、容易に持続光を生成することができる。したがって、本発明による動画尾引きの改善効果およびフリッカ妨害の低減効果を、より簡易な回路構成で得ることができる。
さらに、上記第2光源体駆動手段は、上記第2光源体に供給する電力、電流、および電圧のうち少なくとも1つを、上記映像信号の垂直周波数の3倍以上の周波数(たとえば150Hz)にて制御するものであってもよい。
すなわち、人間の目は、150Hz程度の周波数で繰り返し点滅する光に対しては非常に感度が鈍く、300Hz程度を超える周波数で繰り返し点滅する光に対してはほとんど反応しない。したがって、厳密には繰り返し点滅している光であっても、人間の目には持続光として観察される場合がある。
したがって、映像信号の周波数がたとえば60Hzに設定されている場合において、第2光源体への供給電力を60Hzの3倍以上の周波数で制御すれば、容易に第2光源体により実質的な持続光を発することができる。これにより、本発明による動画尾引きの改善効果およびフリッカ妨害の低減効果を、より簡易な回路構成で得ることができる。
なお、第1光源体および第2光源体は、半導体発光素子、たとえば発光ダイオードを用いることができる。
また、第2光源体は、上記第1光源体とは異なる発光原理により上記持続光を発するものであってもよい。
上記構成によれば、第2光源体として、第1光源体と異なる発光原理にて持続光を発するものを用いるので、持続光の発光に適している発光素子、たとえば冷陰極管蛍光灯を用いることができる。よって、第2光源体の長寿命化を実現できるとともに、耐久性も向上させることができる。
また、本発明の映像表示装置は、映像信号に基づき画素の輝度を変調することで映像を表示する映像表示装置において、上記映像信号の垂直周期のD%の時間を占めるとともに、該垂直周期内で表示される画素の発光強度のS%の発光強度を有する第1の発光成分と、上記垂直周期の(100−D)%の時間を占めるとともに、該垂直周期内で表示される画素の発光強度の(100−S)%の発光強度を有する第2の発光成分とを発し、上記映像信号に基づき、上記映像のシーンチェンジ量を検出するシーンチェンジ検出手段を備え、上記シーンチェンジ量に応じて、上記SまたはDの値を変更する構成であってもよい。
さらに、上記シーンチェンジ検出手段は、上記映像信号をメモリを用いてフレーム期間遅延し、前記遅延した信号との差分量に基づきシーンチェンジ量を算出することが好ましい。また、上記シーンチェンジ検出手段は、上記映像の平均輝度レベルを算出し、上記平均輝度レベルのフレーム間の差分量に基づきシーンチェンジ量を算出する構成であってもよい。
このように算出されたシーンチェンジ量は、映像信号の画面単位の動き量である。シーンチェンジ量によって発光強度比S、デューティー比Dを制御することで、最適な尾引き量とフリッカ量の改善が可能となる。
また、本発明の映像表示装置は、映像信号に基づき画素の輝度を変調することで映像を表示する映像表示装置において、上記映像信号の垂直周期のD%の時間を占めるとともに、該垂直周期内で表示される画素の発光強度のS%の発光強度を有する第1の発光成分と、上記垂直周期の(100−D)%の時間を占めるとともに、該垂直周期内で表示される画素の発光強度の(100−S)%の発光強度を有する第2の発光成分とを発し、上記映像信号に基づき、上記映像の平均輝度レベルを検出する平均輝度検出手段を備え、上記平均輝度レベルに応じて、上記SまたはDの値を変更する構成であってもよい。
また、本発明の映像表示装置は、映像信号に基づき画素の輝度を変調することで映像を表示する映像表示装置において、上記映像信号の垂直周期のD%の時間を占めるとともに、該垂直周期内で表示される画素の発光強度のS%の発光強度を有する第1の発光成分と、上記垂直周期の(100−D)%の時間を占めるとともに、該垂直周期内で表示される画素の発光強度の(100−S)%の発光強度を有する第2の発光成分とを発し、上記映像信号に基づき、上記映像のヒストグラムを検出するヒストグラム検出手段を備え、上記ヒストグラムに応じて、上記SまたはDの値を変更する構成であってもよい。
すなわち、表示する映像の動き量(平均輝度レベルのフレーム間差分)のみならず、平均輝度レベルの絶対値や、輝度分布(ヒストグラム)から、画面が明るい、暗いという情報を得ることで、最適な尾引き量、フリッカ量の改善を実現することが可能となる。