JP2005266711A - 反射型エレクトロクロミック表示素子及び反射層形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 EC表示装置において、良好な白色特性をもつ反射層を低コストで作製する反射層形成方法、および、この反射層を用いた反射型エレクトロクロミック表示素子を提供する。
【解決手段】 表示電極と対向電極に設けた反射層とに表示層が狭持され、反射層が白色半導体粒子と樹脂とを含んで成ることを特徴とする。
【選択図】 図2

Description

本発明は、反射型ディスプレイ、電子ペーパー等の反射型表示素子に関し、詳しくは、エレクトロクロミック表示素子を用いたディスプレイにおいて、低コストで高い白反射率を実現するための反射層を有する反射型エレクトロクロミック表示素子及び反射層形成方法に関する。
近年、紙に替わる電子媒体として電子ペーパーの開発が盛んに行われている。電子ペーパーとして必要な特性としては、反射型の表示素子であること、表示にメモリ効果があること、低電圧で駆動できること、薄くて軽いこと、安価であることなどが挙げられる。反射型エレクトクロミック表示素子の反射層として、対向電極に鏡面構造の反射層を形成し、加えて、表示電極の前面に光透過性の拡散板を形成する。
電圧を印加すると可逆的に電界酸化または電界還元反応が起こり可逆的に着色する現象をエレクトロクロミズムという。このような現象を起こすエレクトロクロミック(以下、ECという)化合物は、電気的に発色消色を繰り返す反射型の表示素子であること、メモリ効果があること、および低電圧で駆動できることから、電子ペーパーの候補として材料開発からデバイス設計まで広く研究開発されている。
反射型EC表示素子の構成例を図1に示す。表示電極1と対向電極2が所定間隔を有して対向しており、その間がシール材によって封止されたセル構造である。このセル内にEC化合物を電解物質とともに充填する、もしくは電極表面にEC化合物層を形成し、電解物質を充填することで表示素子が構成される。ここで、EC化合物は無色状態と着色状態をとるため、表示電極が透明であり、かつ、表示電極と対向電極の間に白色反射層が必要である。すなわち反射型EC表示素子の白色表示は反射層の色そのものになる。紙の代替として期待される電子ペーパーでは、紙と同様な白色表示が求められ、従って、反射層の白色特性(反射・散乱特性)は大変重要である。
これまで一般的に報告されている反射層としては、図1の例に示すように表示電極1と対向電極2の間に反射板3を設ける方法である。この場合、表示素子を構成する部品数が多くなり素子構成が複雑になる、反射板を挿入するためにセルギャップを広めにしなければならず、応答速度や駆動電圧が悪くなるという欠点がある。
その他に報告されている反射層形成法としては、図2に示すように対向電極2の表面に反射層3を設ける方法がある。この場合の反射層は、感光性樹脂で表面に凹凸構造を形成し、この上にアルミニウムや銀などの金属薄膜を蒸着法などによって成膜することで作製するものである。
しかしながら、この方法では反射・散乱特性の制御が難しく、紙と同様な白色を表現するのが困難である。また、作製工程が多く、コスト高の原因となる。従来では、反射・散乱特性の向上のため対向電極の反射層を鏡面構造にし、加えて、表示電極の前面に光透過性の拡散板を配置した構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2002−23201号公報
しかしながら、上記特許文献1記載の方法では反射・散乱特性の向上は認められるもののコストがさらに増大してしまうという不具合がある。
本発明は、上述した実情を考慮してなされたものであり、良好な白色特性をもつ反射層を低コストで作製する方法を提供し、さらに、この反射層を用いた反射型エレクトロクロミック表示素子および反射層形成方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、表示電極と、対向電極に設けた反射層とに表示層が狭持され、反射層が白色半導体粒子と樹脂とを含んで成ることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、反射層内に透明な導電性粒子を含むことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、白色半導体粒子が酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛のいずれかであることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1から3のいずれか1項に記載の発明において、白色半導体粒子の粒径が0.1ミクロン以上であることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項に記載の発明において、反射層の厚さが2ミクロン以上50ミクロン以下であることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項1から5のいずれか1項に記載の発明において、表示層が有機エレクトロクロミック化合物を担持した導電性微粒子または半導体微粒子から成ることを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1から6のいずれか1項に記載の発明において、表示層が還元発色型エレクトロクロミック化合物から成り、かつ、対向電極が金属板から成ることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項1から7のいずれか1項に記載の発明における反射層形成方法において、白色半導体粒子と樹脂を揮発性溶媒に混合し、対向電極に塗布することを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、白色半導体粒子と樹脂とを揮発性溶媒に混合し、対向電極にドクターブレード法によって塗布することを特徴とする。
請求項9記載の発明は、請求項8記載の発明において、塗布は、スピンコート法によって塗布することを特徴とする。
本発明によれば、EC表示素子の反射層に白色導電性粒子と樹脂を使用することにより、簡便な方法で紙と同等の高い白反射率が表示でき、安価な反射型エレクトロクロミック表示素子を提供することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
本発明の反射型EC表示素子は図2に示す構成と同様である。しかるに、本発明の反射型EC表示素子の特徴は、表示電極と、対向電極に設けた反射層とに表示層が狭持され、前記反射層が白色半導体粒子と樹脂から形成されていることである。
紙と同様な白色を表示するには、光を鏡面反射するのではなく拡散反射する必要がある。このとき、白色粒子を層状に形成することは有効な手段であり、高い白反射率を得ることができる。また、EC表示素子は素子内に電界を印加することで駆動するため、反射層が絶縁性の媒体では駆動できない。そこで、本発明者らが実験・評価を重ね、白色半導体粒子を樹脂とともに分散液に分散させて塗布することで成膜して作製した反射層が、最も簡便な方法で作製でき、かつ、高い白反射率と電界駆動性能をもつことが分かり本発明に至った。
白色半導体粒子としては、一般的な金属酸化物からなる粒子が適応でき、酸化チタン、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化亜鉛、酸化ケイ素、酸化セシウム、酸化イットリウムなどが挙げられる。これらは、どのようなものでも構わないが、特に酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛は安価に入手できることから好ましい。白色半導体粒子を成膜する方法としては、本発明の白色半導体粒子を樹脂とともに分散液に分散させて塗布する方法以外にも白色半導体粒子を分散液に分散させて塗布した後に500℃程度の高温で焼結する方法が考えられるが、作製に要する時間とエネルギーが多くかかること、高温にするため対向電極の基板にプラスチックを使用できないこと、白色半導体粒子は樹脂と混合した方が均一に分散され白色度が増すことから、明らかに樹脂とともに分散液に分散させて塗布したほうがよい。
本発明で用いられる白色半導体粒子の粒径は、0.1ミクロン以上であることが好ましい。粒径が0.1ミクロン以下である超微粒子体は光を拡散反射せずに透過する現象が起き、白色反射率の低下に繋がる。現在、塗料用途なので多量に使われている酸化チタン粒子は、粒径が0.3ミクロン程度のものであり、これらをそのまま用いることで安価な材料を手に入れることができる。
本発明で用いられる樹脂は、透明性のものであればどのようなものを用いても構わない。代表的なものとしては、アクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂あるいはウレタン樹脂などが挙げられる。
本発明で用いられる反射層には白色半導体粒子と樹脂に加えて、透明な導電性粒子を含むことができる。この導電性粒子を加えることにより、反射層内の導電性が向上するので、より低電流でEC化合物を発消色することができる。透明な導電性粒子としては、酸化インジウム(ITO)、酸化スズなどの粒子が挙げられる。
本発明の特徴は、反射層の厚さを2ミクロン以上50ミクロン以下にすることである。反射層は、薄すぎると十分な白色度が得られない。また、厚すぎると導電性が悪くなり、素子を駆動する電圧・電流を大きくしてしまう。検討の結果、2ミクロン以上あれば十分に白色度が得られた。また、50ミクロン以上にするとEC化合物がほとんど発色しなくなった。反射層の厚さは2ミクロン程度でできるだけ薄い方が望ましい。
本発明の反射層の作製方法としては、白色半導体粒子と樹脂を揮発性溶媒に混合し、対向電極に塗布することが最も簡便である。用いる揮発性溶媒としては、トルエン、トリクロルエタン、シクロメチルヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、エタノール、メタノールなどが挙げられる。これらの溶媒は必要に応じて使い分ければよいし、また混合して用いても構わない。混合比は、溶媒に対して白色半導体粒子を40〜50%程度、樹脂を10%程度含むようにするのが最もよい。
塗布方法としては、様々な方法があるが、特にドクターブレード法、あるいはスピンコート法は簡便であり、かつ、膜厚の均一な反射層を作製することができる。ドクターブレード法は均一に大面積を塗布することができる利点がある。また、スピンコート法はより均一な塗布ができ条件設定をしておけば、全く同じ品質のものを作製することができる。
本発明の表示部はEC化合物を用いて発消色する方法であれば、どのような材料、構成でも構わない。例えば、EC化合物としては、無機系としては酸化タングステン、酸化モリブデン、酸化イリジウムなどがある。また有機系としてはビオロゲン、希土類フタロシアニン、スチリルなどがある。また導電性高分子であるポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどもEC化合物である。ただし、高速応答性、繰り返し耐久性の点から、有機EC化合物を導電性微粒子または半導体微粒子に担持した構造を表示層に有する表示電極が最もよい。具体的には、電極表面に粒径5nm〜50nm程度の超微粒子を焼結し、その超微粒子の表面に水酸基やカルボキシル基などの極性基を有する有機EC化合物を吸着した構造である。本構造は、超微粒子の大きな表面効果を利用して、効率よく有機EC化合物に電子が注入されるため、従来のEC表示素子と比較して高速応答することが報告されている(J.Phys.Chem. B 2000, 104, 11449-11459など)。従って、この構造と、本発明の反射層を組み合わせることで、高い白反射率をもち、かつ、高速応答が可能なEC表示素子を簡便に作製することができる。
本発明の対向電極は、導電性であればどのようなものでも構わない。ここで、亜鉛や銅、白金などの金属は、電解質中で通電するとそれ自身が正イオン化する。従って、還元発色型のEC化合物を表示電極側に形成し、対向電極を金属板にすると、エレクトロクロミズム反応が良好に進行する。本発明では反射層を対向電極に塗布するので、対向電極の基板の色や材質もどのようなものでも構わない。従って、対向電極として金属板を使用するのは、EC表示素子の低電流駆動に有効な手段である。
白色半導体粒子として粒径0.3ミクロンの酸化チタン(テイカ株式会社、JR−301)を用い、樹脂としてポリエチレンを用い、揮発性溶媒としてメチルシクロヘキサノンを用いた。メチルシクロヘキサノン10mlに対して、ポリエチレンを1g溶解させ、さらに酸化チタン5gを分散させた。
表示電極は以下のように作製した。酸化スズ透明電極付のガラス基板に一次粒径6nmの酸化チタン(テイカ株式会社製、AM−100)の水分散液をスピンコートし、450℃で1時間焼結した。これにより、基板上に約2ミクロンの酸化チタン透明膜を作製した。
この基板をビス(2−ホスホノエチル)−4、4‘−ビピリジニウムジクロライドの0.02M水溶液に24時間浸透させ、酸化チタン超微粒子表面にビス(2−ホスホノエチル)−4、4‘−ビピリジニウムジクロライドを吸着させた。
対向電極は以下のように作製した。厚さ0.2ミリの亜鉛版に実施例1で調製した分散液をスピンコート法(回転数3000rpm、回転時間30秒)で塗布した。膜厚は約5ミクロンであり、紙と同様な白色を示した。
表示電極と対向電極を50ミクロンのスペーサーを介して貼り合わせ、セルを作製した。過塩素酸クロライドをγ―ブチロラクトンに0.2M溶解させた電解液を調製し、このセル内に封入することでEC表示素子を作製した。
電界を印加しない状態(EC化合物の消色状態)で白反射率を測定したところ、約60%と高い値を示した。なお、この測定には、分光測色計(ミノルタ株式会社製、CM−3730d)を用いて拡散光を照射することでおこなった。
表示電極を負極に、対向電極を正極に繋ぎ、1.0Vの電界を印加したところ、応答速度100ミリ秒以下で青色に発色した。また、−3・0Vを印加することで再び消色し、白色になった。消色状態と発色状態の反射スペクトルを図3に示す。
以上、本発明の各実施例によれば、EC表示素子の反射層に白色導電性粒子と樹脂を使用することにより、簡便な方法で紙と同等の高い白反射率が表示でき、安価な反射型エレクトロクロミック表示素子を提供することが可能となる。
また、反射層に透明な導電性微粒子を含ませることで、反射層の導電性が向上し、低電流で表示素子を駆動することが可能となる。
また、白色導電性粒子に酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛のいずれか汎用性粒子を使用することで安価な反射型エレクトロクロミック表示素子を提供することが可能となる。
また、白色半導体粒子の粒径を0.1ミクロン以上にすることで、高い白反射率を実現できる。
また、反射層の厚さを2ミクロン以上50ミクロン以下にすることで、高い白反射率と低電流駆動を両立することができる。
また、反射層をドクターブレード法によって塗布・形成することで、大きな面積を均一な膜を作製することができる。
また、反射層をスピンコート法によって塗布・形成することで、品質の良い膜を大量に作製することができる。
さらに、表示層を、有機エレクトロクロミック化合物を担持した導電性微粒子または半導体微粒子にすることで、また、表示層を還元発色型エレクトロクロミック化合物で形成し、かつ、対向電極を金属板で形成することで、高い白反射率をもち、かつ、高速応答ができる安価な反射型エレクトロクロミック表示素子を安価に作製することができる。
従来の反射型EC表示素子の例を示す概略断面図である。 本発明に使用する反射型EC表示素子の概略断面図である。 本発明の表示素子の消色、発色状態の反射スペクトルの説明図である。
符号の説明
1 表示電極
2 対向電極
3 反射板

Claims (10)

  1. 表示電極と、対向電極に設けた反射層とに表示層が狭持され、前記反射層が白色半導体粒子と樹脂とを含んで成ることを特徴とする反射型エレクトロクロミック表示素子。
  2. 前記反射層内に透明な導電性粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載の反射型エレクトロクロミック表示素子。
  3. 前記白色半導体粒子が酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の反射型エレクトロクロミック表示素子。
  4. 前記白色半導体粒子の粒径が0.1ミクロン以上であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の反射型エレクトロクロミック表示素子。
  5. 前記反射層の厚さが2ミクロン以上50ミクロン以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の反射型エレクトロクロミック表示素子。
  6. 前記表示層が有機エレクトロクロミック化合物を担持した導電性微粒子または半導体微粒子から成ることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の反射型エレクトロクロミック表示素子。
  7. 前記表示層が還元発色型エレクトロクロミック化合物から成り、かつ、前記対向電極が金属板から成ることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の反射型エレクトロクロミック表示素子。
  8. 請求項1から7のいずれか1項に記載の反射型エレクトロクロミック表示素子における反射層形成方法において、
    白色半導体粒子と樹脂を揮発性溶媒に混合し、対向電極に塗布することを特徴とする反射層形成方法。
  9. 前記白色半導体粒子と前記樹脂とを前記揮発性溶媒に混合し、前記対向電極にドクターブレード法によって塗布することを特徴とする請求項8に記載の反射層形成方法。
  10. 前記塗布において、スピンコート法によって塗布することを特徴とする請求項8記載の反射層形成方法。
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US8791896B2 (en) 2010-12-17 2014-07-29 Samsung Display Co., Ltd. Electrophoretic display apparatus

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