JP2005266218A - 光変調素子の応答特性調整方法、光変調素子及び光変調素子アレイ並びに画像形成装置 - Google Patents

光変調素子の応答特性調整方法、光変調素子及び光変調素子アレイ並びに画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 誤動作を起こさずに早期の書込みが可能となる光変調素子の応答特性調整方法、光変調素子及び光変調素子アレイ並びに画像形成装置を得、駆動サイクルを短縮する。
【解決手段】 弾性変位可能に中空63に支持されて少なくとも一部に可動電極を備えた可動部と、可動部に対峙して配置された固定電極とを有し、可動電極と固定電極へ印加する電圧に応じて発生する静電気力によって可動部を変位させ、可動部に入射された光を変調する微小電気機械方式の光変調素子の応答特性調整方法であって、少なくとも可動部を気密性封止部材53により覆い、この気密性封止部材53の内部の圧力を制御して可動部の変位の応答特性を調整する。
【選択図】図1

Description

本発明は、マイクロミラーを変位させて入射光を変調する光変調素子の応答特性調整方法、光変調素子及び光変調素子アレイ並びに画像形成装置に関し、特に、次データの早期書込みを可能にする改良技術に関する。
近年、空間光変調器(SLM)の一つに、マイクロメカニクス技術に基づきマイクロミラーを作製し、このマイクロミラーを傾けて光の偏向を図るデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)が注目を浴びている。このDMDは、光学的な情報処理の分野において、投射ディスプレイ、ビデオ・モニター、グラフィック・モニター、テレビ及び電子写真プリントなど多数の用途がある。DMDに関する技術は、下記特許文献1、2、3等が、出願人テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッドによって出願公開されている。
DMDは、シリコン基板上に形成されたCMOS SRAM上に約16μm×16μmのマイクロミラーが17μmピッチで複数設けられており、それぞれのマイクロミラーがスクリーンの画素に対応している。図8は光変調素子アレイの1つの光変調素子(画素)1を示す分解斜視図である。3はマイクロミラーであり、マイクロミラー支持ポスト5によりヨーク7の支持ポスト接続部9に接続されている。ヨーク7はヒンジ11に保持されている。またヒンジ11はポストキャップ13に保持されている。ポストキャップ13はヒンジ支持ポスト15によってバイアスバス17のヒンジ支持ポスト接続部19に接続されている。つまり、マイクロミラー3は、ヒンジ11、ポストキャップ13及びヒンジ支持ポスト15を介してバイアスバス17に接続されている。マイクロミラー3には、バイアスバス17を介してバイアス電圧が供給される。バイアスバス17は着地サイト21を有している。着地サイト21は絶縁性を有しているか、マイクロミラー3と同じ電位に保たれている。
23aは一方の固定電極(第1アドレス電極)であり、23bは他方の固定電極(第2アドレス電極)である。第1アドレス電極23aは電極支持ポスト25によって、第1アドレス電極パッド27aの電極支持ポスト接続部29に接続されている。また第2アドレス電極23bも電極支持ポスト25によって、第2アドレス電極パッド27bの電極支持ポスト接続部29に接続されている。
第1接続部31aから第1アドレス電極パッド27aに入力されるデジタル信号は、第1アドレス電極23aに入力される。第2接続部31bから第2アドレス電極パッド27bに入力されるデジタル信号は、第2アドレス電極23bに入力される。第1アドレス電極23aと第2アドレス電極23bにデジタル信号が入力されることによって、マイクロミラー3が傾き、白表示または黒表示が選択される。マイクロミラー3が傾くことで、ヨーク片33の一部が着地サイト21に接触しても良い。
次に、上記のように構成される光変調素子の駆動シーケンスを説明する。
図9は図8に示した光変調素子を模式的に表した断面図、図10は図9に示した光変調素子の駆動シーケンスの説明図である。
光変調素子1は、初期状態において例えばマイクロミラー3が左側(図9の左側)に傾斜している。このとき、バイアスバス17には図10に示すように、一定のバイアス電圧Vbが印加されている。一方、第1アドレス電極23aに印加されるアドレス電圧Va1は、第2アドレス電極23bに印加されるアドレス電圧Va2より小さく設定されている(Va1<Va2)。したがって、マイクロミラー3の左側の電位差(|Vb−Va1|)が、右側の電位差(|Vb−Va2|)より大きくなり、マイクロミラー3は静電気力によって左側へ傾く。
この状態から例えばマイクロミラー3を右傾斜へ遷移させる駆動シーケンスでは、まず、第1アドレス電極23aと第2アドレス電極23bとに印加される電圧が反転される(Va1>Va2)。このように、アドレス電極が反転されても、マイクロミラー3は依然左傾斜のままを維持する。これは、マイクロミラー3の右端と第2アドレス電極23bとが十分に離間しているため、傾斜に至らしめるだけの静電気力が作用しないためである。この作用によって、傾斜させたまま(表示させたまま)を保持して図10に示す次の書込みTwを効率的に可能とする所謂ラッチ機能を実現させている。
次いで、第1アドレス電極23a、第2アドレス電極23bへのアドレス電圧はそのままにして図10に示すように、バイアス電圧Vbのみを下げる。すると、マイクロミラー3の左側での静電気力が消失し、右側では僅かな静電気力が働き、これにヒンジ11の弾性復元力が加わって、マイクロミラー3の左側が浮上し、左傾斜の保持が解除された状態となる。
次いで、バイアス電圧Vbを元の一定値に戻すと、マイクロミラー3の右側の静電気力が強く働き、マイクロミラー3が右傾斜へと遷移する。マイクロミラー3は、右傾斜へ遷移すると、第2アドレス電極23bとの距離が短くなることで、静電気力が相乗的に大きくなり、今度は右側が着地サイト21に着地した状態に保持される。バイアス電圧Vbの減少からマイクロミラー3の右側の着地までが、図10に示すスイッチ時間Trとなる。
ここで、マイクロミラー3は、右側が着地した直後、着地サイト21からの反力を受けることで振動が生じる。そのため、次の書込みは、スイッチ時間Trの経過の後、さらに振動鎮静化時間(response settling)Tsを待った後行われる。バイアス電圧Vbの減少から次の書込みまでの時間(Td=Tr+Ts)は、光変調素子1に依存する固有の時間となる。また、図10中、Tbは、前の書込みが終って次の書込みが始まる時間を示す。したがって、従来の光変調素子アレイの駆動方法では、図11に示すように、書込み時間Twと、前の書込みが終って次の書込みが始まる時間Tbとの総和時間(駆動サイクル)Tc=Tw+Tbが繰り返されることで、1ブロック分(1行分)BL[1]の書込みが行われ、これが所定の複数(M)ブロック分(複数行分)BL[M]行われることで、全画素表示が行われていた。
特開平6−124341号公報 特開平8−334709号公報 特開平9−238106号公報
上記した光変調素子1を用いて、高速に感光材露光を行う場合や、より高画素数のプロジェクタを表示させたい場合、駆動サイクルTcを高速化する必要がある。ここで、駆動サイクルTcを高速化するには、Tw(書込み時間)の短縮と、Tb(前の書込みが終って次の書込みが始まる時間)の短縮が考えられる。Twの短縮は、Tw=(全画素数)/(書込みクロック周波数)の関係から、全画素数の低減、或いは書込みクロック周波数の高速化が有効手段となるが、前者は高画素数の要請に反し、後者はクロックデバイス開発技術に依存するところとなる。これに対し、Tbの短縮は、図12に示すように、Ts(振動鎮静化時間)中に書込みを行うこと(図12中の変位の破線部参照)で達成可能となる。
しかしながら、振動鎮静化時間Ts中に書込みを行うと(アドレス電圧を反転させると)、その振動状態によっては誤動作を起こす危険性があった。図13は振動鎮静化時間中に書込みを実行したときに正常動作となる場合を(1)、誤動作となる場合を(2)に示した説明図である。すなわち、図13(1)に示すように、振動鎮静化時間中であってもマイクロミラー3の例えば右側が接触している場合には、図13(1)A)の電極間電圧ΔV1=15v、ΔV2=20vから、図13(1)B)の電極間電圧ΔV1=20v、ΔV2=15vとなるようにアドレス電圧が反転されても、マイクロミラー3が右傾斜のままを維持する。一方、図13(2)に示すように、振動鎮静化時間中であってもマイクロミラー3の例えば右側が振動によって着地サイト21から僅かに離反していると、図13(2)A)の電極間電圧ΔV1=15v、ΔV2=20vから、図13(2)B)の電極間電圧ΔV1=20v、ΔV2=15vとなるようにアドレス電圧が反転されると、マイクロミラー3の右側が浮上している分、右側の分静電気力が小さくなり、アドレス電圧の反転の際に右側の静電気力が左側の静電気力に負け、その結果、右傾斜に保持されなければならないマイクロミラー3が左傾斜となる誤動作を起こした。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、誤動作を起こさずに早期の書込みが可能となる光変調素子の応答特性調整方法、光変調素子及び光変調素子アレイ並びに画像形成装置を提供し、もって、駆動サイクルの短縮を図ることを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る請求項1記載の光変調素子の応答特性調整方法は、弾性変位可能に中空に支持されて少なくとも一部に可動電極を備えた可動部と、該可動部に対峙して配置された固定電極とを有し、前記可動電極と前記固定電極へ印加する電圧に応じて発生する静電気力によって前記可動部を変位させ、該可動部に入射された光を変調する微小電気機械方式の光変調素子の応答特性調整方法であって、少なくとも前記可動部を気密性封止部材により覆い、この気密性封止部材の内部の圧力を制御して前記可動部の変位の応答特性を調整することを特徴とする。
この光変調素子の応答特性調整方法では、可動部の加速が抑えられ、すなわち、振動が気密性封止部材の内部圧力で抑制可能となる。つまり、所定の圧力となった所定密度の封入気体が振動吸収手段として作用するようになる。これにより、複雑な駆動制御等による可動部の制振制御によらず、可動部が制振可能となる。したがって、従来のように振動のおさまるのを待つ必要がなく、かつ誤動作を起こさずにアドレス電圧の早期書込みが可能となる。
請求項2記載の光変調素子は、弾性変位可能に中空に支持されて少なくとも一部に可動電極を備えた可動部と、該可動部に対峙して配置された固定電極とを有し、前記可動電極と前記固定電極へ印加する電圧に応じて発生する静電気力によって前記可動部を変位させ、該可動部に入射された光を変調する微小電気機械方式の光変調素子であって、少なくとも前記可動部を覆う気密性封止部材を備え、この気密性封止部材の内部の圧力が1/10〜1気圧の範囲に調整されていることを特徴とする。
この光変調素子では、気体密度が高まることによる流体抵抗によって、可動部の過剰な加速が抑制可能となり、素子自体の物理的な特性によって、可動部の制振が可能となる。したがって、従来のように振動のおさまるのを待つ必要がなく、かつ誤動作を起こさずにアドレス電圧の早期書込みが可能となる。
請求項3記載の光変調素子は、前記気密性封止部材の内部が、不活性ガスで充填されていることを特徴とする。
この光変調素子では、可動部を制振するための流体に不活性ガス(例えば、アルゴン、窒素等)が用いられることで、可動部に対する防塵性能はもとより、酸化等による劣化も抑止され、光変調素子の動作信頼性、耐久性が高められる。
請求項4記載の光変調素子は、前記気密性封止部材の内部が、乾燥ガスで充填されていることを特徴とする。
この光変調素子では、水分による可動部や電極等の金属膜の劣化、貼り付き不具合がなくなり、光変調素子の耐久性、動作信頼性が高められる。
請求項5記載の光変調素子は、前記光変調素子が、ヒンジによって弾性変位可能に支持され少なくとも一部に可動電極を備えたミラー部を有することを特徴とする。
この光変調素子では、ミラー部が弾性変位することで、このミラー部に照射される光が偏向されて光変調が行われる。
請求項6記載の光変調素子アレイは、請求項2〜請求項5のいずれか1項記載の光変調素子が、1次元又は2次元状に複数配列されていることを特徴とする。
この光変調素子アレイでは、光変調素子が一つの光変調デバイスとして機能するようになり、ミラー密度によって高精細かつ高速な画像表示、デジタルマルチ露光、或いは投影が可能となる。
請求項7記載の画像形成装置は、光源と、請求項6記載の光変調アレイ素子と、前記光源からの光を前記光変調アレイ素子に照射する照明光学系と、前記光変調アレイ素子から出射される光を画像形成面に投影する投影光学系とを備えたことを特徴とする。
この画像形成装置では、請求項6記載の光変調素子アレイが構成の要部に備えられることで、誤動作を起こさずにアドレス電圧の早期書込みが可能となり、従来装置に比べ、駆動サイクルが短縮される。これにより、高速な感光材露光や、より高画素数のプロジェクタ表示が可能となる。また、特に露光光のオン・オフで階調制御がなされる画像形成装置(露光装置)では、オン・オフ時間の短縮が可能となることで、より高階調の実現が可能となる。
本発明に係る光変調素子の応答特性調整方法によれば、少なくとも可動部を気密性封止部材により覆い、この気密性封止部材の内部の圧力を制御して可動部の変位の応答特性を調整するので、可動部の加速が抑えられ、振動が気密性封止部材の内部圧力で抑制可能となり、複雑な駆動制御等によらず、可動部の制振を可能にできる。したがって、従来のように振動のおさまるのを待つ必要がなく、かつ誤動作を起こさずにアドレス電圧を書込むことができる。この結果、早期の書込みが可能となり、駆動サイクルを短縮することができる。
本発明に係る光変調素子によれば、少なくとも可動部を覆う気密性封止部材を備え、この気密性封止部材の内部の圧力が1/10〜1気圧の範囲に調整されているので、気体密度が高まることによる流体抵抗によって、可動部の過剰な加速が抑制可能となり、素子自体の物理的な特性によって、可動部の制振を可能にできる。したがって、従来のように振動のおさまるのを待つ必要がなく、かつ誤動作を起こさずにアドレス電圧を書込むことができる。この結果、早期の書込みが可能となり、駆動サイクルを短縮することができる。
本発明に係る光変調素子アレイによれば、光変調素子が、1次元又は2次元状に複数配列されるので、一つの光変調デバイスとして機能するようになり、ミラー密度によって高精細な画像表示を可能にすることができる。また、平面表示装置の他、露光装置やプロジェクタなどへの応用が可能となり、露光装置に使用した場合には、デジタルマルチ露光が可能となるので、特に露光により作像を行う画像形成装置(例えばプリンタ、印刷機等)に用いて高画質を高速に記録でき、プロジェクタに使用した場合には、高画素数を高速表示することができる。
本発明に係る画像形成装置によれば、光源と、請求項5記載の光変調素子アレイと、光源からの光を光変調素子アレイに照射する照明光学系と、光変調素子アレイから出射される光を投影する投影光学系とを備えたので、従来装置に比べ、駆動サイクルを短縮することができる。この結果、高速な感光材露光や、より高画素数のプロジェクタを高速表示させることができる。
以下、本発明に係る光変調素子の応答特性調整方法、光変調素子及び光変調素子アレイ並びに画像形成装置の好適な実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る光変調素子アレイの断面図、図2は図1に示した光変調素子アレイ中の一つの光変調素子を模式的に表した断面図である。なお、図10〜図13に示した部位と同一の部位には同一の符号を付して重複する説明は省略するものとする。
光変調素子アレイ100は、個別にアドレス可能なマイクロ機械素子の図2に示す光変調素子200を有している。光変調素子アレイ100は、この微小電気機械方式の光変調素子200が一次元又は二次元に配列されてなる。光変調素子アレイ100は、それぞれの光変調素子200に設けられたマイクロミラー3から光を反射させて作動する。すなわち、各光変調素子200は、像の1画素を表わす。この種のDMDデバイスの一例としてはテキサスインスツルメンツ社製DMDデバイスを挙げることができる。
光変調素子200は、可変形ミラーデバイス(DMD)であり、ヒンジ11によって弾性変位可能に支持され少なくとも一部に可動電極を備えた可動部(マイクロミラー3)を有している。光変調素子200は、メモリセルとしての駆動回路51に付設される。駆動回路51は、オン/オフ位置に関するデータを記憶する。
マイクロミラー3は、傾斜運動により変位する。光変調素子200は、マイクロミラー3に対峙して配置された固定電極23を有する。この固定電極23は、駆動回路51からの素子変位信号を書き込む第1アドレス電極23aと、第2アドレス電極23bとからなる。光変調素子200は、この第1アドレス電極23aと、第2アドレス電極23bによりアドレスされ、マイクロミラー3をバイアスして第1の位置(図2の左傾斜位置)、第2の位置(図2の右傾斜位置)に安定変位させる。
すなわち、光変調素子200は、マイクロミラー3と固定電極23との間への電圧印加により発生する静電気力によってマイクロミラー3を変位させ、マイクロミラー3に入射された光を変調する。本実施の形態では、マイクロミラー3が、バイアス電圧Vbを印加する可動電極となる。つまり、マイクロミラー3は、可動電極と兼用される。なお、図2中、21は停止部材である着地サイト(パッド)を表し、67は回路基板を表す。
ところで、光変調素子アレイ100は、図1に示すように、少なくともマイクロミラー3の形成面が気密性封止部材53により覆われている。気密性封止部材53は、基台部55と、開口57を有したパッケージ部59と、開口57を塞ぐ透明なカバーパネル61とからなる。カバーパネル61と基台部55との間には中空(収容空間)63が形成され、この中に一次元又は二次元に配列された複数の光変調素子200がアレイ状となって固着されている。つまり、光変調素子200は、外部から気密状態で収容空間63に封止されている。
そして、光変調素子200は、気密性封止部材53の内部の圧力を制御して、マイクロミラー3の変位の応答特性を調整している。すなわち、内部の圧力は、マイクロミラー3の加速度、振動が抑制される範囲に設定されている。これにより、所定の圧力となった所定密度の封入気体が振動吸収手段として作用するようになっている。
封入気体の圧力は、1/10〜1気圧の範囲に調整されることが好ましい。すなわち、真空よりも高く、大気圧より低く設定される。また、封入気体は、不活性ガス(例えば、アルゴン、窒素等)であることが好ましい。このように、マイクロミラー3を制振するための流体に不活性ガスが用いられることで、マイクロミラー3に対する防塵性能はもとより、酸化等による劣化も抑止され、光変調素子200の動作信頼性、耐久性が高められる。
さらに、封入気体は乾燥ガスであることが好ましい。収容空間63が乾燥ガスで充填されることにより、水分による可動部や電極等の金属膜の劣化、貼り付き不具合がなくなり、光変調素子200の耐久性、動作信頼性が高められる。
図3は可動部の一例を表す可撓薄膜の斜視図、図4は図3に示した可動部の応答時間と素子環境圧力との相関を表したグラフ、図5は本発明に係る光変調素子アレイを用いた駆動シーケンスの説明図である。
ここで、実際の可動部を、異なる素子環境圧力で動作させた際の応答速度について説明する。動作させた可動部(可撓薄膜69)は、幅W=20μm、長さL=160μm、ギャップG=0.25μmとした。また、ギャップGを挟んだ対向面側の図示しない固定電極と可動部(電極機能有り)の間に、15Vの駆動電圧を10mS(1パルス)で印加した。
その結果、図4に示すように、素子環境圧力が1/10〜1atmに高まるにしたがって、可撓薄膜69は弾性復帰動作における応答速度が略0〜20μSに低下した。また、静電吸着動作も、略0〜2.5μSに低下した。このような測定結果から、素子環境圧力は、可撓薄膜69の応答速度に影響を及ぼし、さらにその増大に伴って、減速効果も増大することが分った。このことから、素子環境圧力は、可撓薄膜69の振動吸収効果(ダンパー効果)を有することが知見できた。
このような光変調素子200の応答特性調整方法では、可撓薄膜69の加速度、すなわち、振動が気密性封止部材53の内部圧力で抑制可能となり、所定の圧力となった所定密度の封入気体が振動吸収手段(ダンパー)として作用するようになる。これにより、複雑な駆動制御による可撓薄膜69の制振制御によらず、可撓薄膜69が制振可能となる。
上記の例では、可動部として可撓薄膜69を測定した場合を説明したが、封入気体の充填された収容空間63で揺動されるマイクロミラー3の場合においても、上記同様の振動吸収効果が得られることは言うまでもない。
したがって、上記の光変調素子200の応答特性調整方法によれば、マイクロミラー3を気密性封止部材53によって覆い、この気密性封止部材53の内部の圧力を制御してマイクロミラー3の変位の応答特性を調整するので、マイクロミラー3の加速度、すなわち、振動が気密性封止部材53の内部圧力で抑制可能となり、複雑な駆動制御等によるマイクロミラー3の制振制御によらず、マイクロミラー3の制振を可能にできる。したがって、図5の変位状況の説明図に示すように、マイクロミラー3が着地サイト21に接触した際に振動が生じず、従来のように振動のおさまるのを待つ必要がなくなり、かつ誤動作を起こさずにアドレス電圧を書込むことができるようになる。この結果、従来に比べ、マイクロミラー3の着地から書込みまでの時間Tkを大幅に短くして、早期の書込みが可能となり、駆動サイクルTcを短縮することができる。
また、上記の光変調素子200によれば、少なくともマイクロミラー3を覆う気密性封止部材53を備え、この気密性封止部材53の内部の圧力が1/10〜1気圧の範囲に調整されているので、気体密度が高まることによる流体抵抗によって、マイクロミラー3の過剰な加速が抑制可能となり、素子自体の物理的な特性によって、マイクロミラー3の制振が可能となる。したがって、従来のように振動のおさまるのを待つ必要がなく、かつ誤動作を起こさずにアドレス電圧を書込むことができる。この結果、早期の書込みが可能となり、駆動サイクルTcを短縮することができる。
そして、光変調素子アレイ100によれば、光変調素子200が1次元又は2次元状に複数配列されているので、光変調素子200が一つの光変調デバイスとして機能するようになり、ミラー密度によって高精細な画像表示を可能にすることができる。また、平面表示装置の他、露光装置やプロジェクタなどへの応用が可能となり、露光装置に使用した場合には、デジタルマルチ露光が可能となるので、特に露光により作像を行う画像形成装置(例えばプリンタ、印刷機等)に用いて高画質を高速に記録でき、プロジェクタに使用した場合には、高画素数を高速表示することができる。
次に、上記光変調素子アレイ100を用いて構成した画像形成装置について説明する。ここでは、画像形成装置の例として、まず、露光装置300について説明する。図6は本発明の光変調素子アレイを用いて構成した露光装置の概略構成を示す図である。露光装置300は、照明光源71と、照明光学系73と、上述した実施の形態の光変調素子200を同一平面状で2次元状に複数配列した光変調素子アレイ100と、投影光学系75とを備える。
照明光源71は、レーザ、高圧水銀ランプ、及びショートアークランプ等の光源である。照明光学系73は、例えば、照明光源71から出射された面状の光を平行光化するコリメートレンズである。コリメートレンズを透過した平行光は光変調素子アレイ100の各光変調素子に垂直に入射する。照明光源71から出射された面状の光を平行光化する手段としては、コリメートレンズ以外にも、マイクロレンズを2つ直列に配置する方法等がある。また、照明光源71としてショートアークランプ等の発光点が小さいものを使用することで、照明光源71を点光源とみなし、光変調素子アレイ100に平行光を入射するようにしても良い。また、照明光源71として光変調素子アレイ100の各光変調素子に対応するLEDを有するLEDアレイを使用し、LEDアレイと光変調素子アレイ100とを近接させて光を発光させることで、光変調素子アレイ100の各光変調素子に平行光を入射するようにしても良い。なお、照明光源71としてレーザを用いた場合には、照明光学系73は省略しても良い。
投影光学系75は、画像形成面である記録媒体77に対して光を投影するためのものであり、例えば、光変調素子アレイ100の各光変調素子に対応したマイクロレンズを有するマイクロレンズアレイ等である。
以下、露光装置300の動作を説明する。
照明光源71から出射された面状の光が照明光学系73に入射し、ここで平行光された光が光変調素子アレイ100に入射する。光変調素子アレイ100の各光変調素子200に入射される光は、画像信号に応じてその反射が制御される。光変調素子アレイ100から出射された光は、投影光学系75により記録媒体77の画像形成面に撮影露光される。撮影光は記録媒体77に対して相対的に走査方向に移動しながら投影露光され、広い面積を高解像度で露光することができる。このように、コリメートレンズを光変調素子アレイ100の光の入射面側に設けることで、各変調素子の平面基板に入射する光を平行光化することができる。なお、図中79はオフ光を導入する光アブソーバーを表す。
この露光装置300は、照明光学系73としてコリメートレンズを用いることに限らず、マイクロレンズアレイを用いて構成することができる。この場合、マイクロレンズアレイの各マイクロレンズは、光変調素子アレイ100の各光変調素子200に対応し、マイクロレンズの光軸と焦点面が各光変調素子の中心に合うように設計、調整される。
この場合、照明光源71からの入射光は、マイクロレンズアレイにより、光変調素子200の一素子よりも面積が小さい領域に集光され、光変調素子アレイ100に入射する。光変調素子アレイ100の各光変調素子200に入射される光は、入力される画像信号に応じて反射が制御される。光変調素子アレイ100から出射された光は、投影光学系75により記録媒体77の画像形成面に投影露光される。投影光は記録媒体77に対して相対的に走査方向に移動しながら投影露光され、広い面積を高解像度で、露光することができる。このように、マイクロレンズアレイによって照明光源71からの光を集光することができるため、光利用効率を向上させた露光装置を実現することができる。
なお、マイクロレンズのレンズ面形状は、球面、半球面など、特に形状は限定されず、凸曲面であっても凹曲面であってもよい。さらに、屈折率分布を有する平坦形状なマイクロレンズアレイであってもよく、フレネルレンズやバイナリーオプティクスなどによる回折型レンズがアレイされたものであってもよい。マイクロレンズの材質としては、例えば、透明なガラスや樹脂である。量産性の観点では樹脂が優れており、寿命、信頼牲の観点からはガラスが優れている。光学的な観点上、ガラスとしては石英ガラス、溶融シリカ、無アルカリガラス等が好ましく、樹脂としてはアクリル系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリカーボネイト系、スチレン系、塩化ビニル系等が好ましい。なお、樹脂としては、光硬化型、熱可塑型などがあり、マイクロレンズの製法に応じて適宜選択することが好ましい。
次に、画像形成装置の他の例として、投影装置について説明する。
図7は本発明の光変調素子アレイを用いて構成した投影装置の概略構成を示す図である。図6と同様の構成には同一符号を付し、その説明は省略するものとする。投影装置としてのプロジェクタ400は、照明光源71と、照明光学系73と、光変調素子アレイ100と、投影光学系81とを備える。投影光学系81は、画像形成面であるスクリーン83に対して光を投影するための投影装置用の光学系である。照明光学系73は、前述したコリメータレンズであってもよく、マイクロレンズアレイであってもよい。
次に、プロジェクタ400の動作を説明する。
照明光源71からの入射光は、例えばマイクロレンズアレイにより、光変調素子200の一素子よりも面積が小さい領域に集光され、光変調素子アレイ100に入射する。光変調素子アレイ100の各光変調素子200に入射される光は、画像信号に応じてその反射が制御される。光変調素子アレイ100から出射された光は、投影光学系81によりスクリーン83の画像形成面に投影露光される。このように、光変調素子アレイ100は、投影装置にも利用することができ、さらには、表示装置にも適用可能である。
したがって、露光装置300やプロジェクタ400等の画像形成装置では、上記の光変調素子アレイ100が構成の要部に備えられることで、誤動作を起こさずにアドレス電圧の早期書込みが可能となり、従来装置に比べ、駆動サイクルTcが短縮される。これにより、高速な感光材露光や、より高画素数のプロジェクタの表示が可能となる。また、露光光のオン・オフで階調制御がなされる画像形成装置(露光装置300)では、オン・オフ時間の短縮が可能となることで、より高階調の実現が可能となる。
なお、上記の実施の形態では、可動部であるマイクロミラー3が左右方向(双方向)に揺動される光変調素子200の構成を例に説明したが、本発明は、可動部が可撓薄膜(ダイヤフラム)からなり、基板67に対して空隙を介して配置された当該可撓薄膜が静電気力及び弾性復元力によって基板67に対して接近離反する単方向の光変調素子に適用しても、上記と同様の効果を奏するものである。
本発明に係る光変調素子アレイの断面図である。 図1に示した光変調素子アレイ中の一つの光変調素子を模式的に表した断面図である。 可動部の一例を表す可撓薄膜の斜視図である。 図3に示した可動部の応答時間と素子環境圧力との相関を表したグラフである。 本発明に係る光変調素子アレイを用いた駆動シーケンスの説明図である。 本発明の光変調素子アレイを用いて構成した露光装置の概略構成を示す図である。 本発明の光変調素子アレイを用いて構成した投影装置の概略構成を示す図である。 光変調素子アレイの一つの画素を示す分解斜視図である。 図8に示した光変調素子を模式的に表した断面図である。 図9に示した光変調素子の駆動シーケンスの説明図である。 従来の全画素表示の動作説明図である。 振動鎮静化時間中に書込みを行った場合の駆動シーケンスの説明図である。 振動鎮静化時間中の書込みによって生じる誤動作の説明図である。
符号の説明
3 可動電極、マイクロミラー(可動部)
23 固定電極
23a 第1アドレス電極(固定電極)
23b 第2アドレス電極(固定電極)
53 気密性封止部材
63 収容空間(中空)
71 光源
73 照明光学系
75 投影光学系
77 記録媒体(画像形成面)
100 光変調素子アレイ
200 光変調素子
300 露光装置(画像形成装置)
400 プロジェクタ(画像形成装置)

Claims (7)

  1. 弾性変位可能に中空に支持されて少なくとも一部に可動電極を備えた可動部と、該可動部に対峙して配置された固定電極とを有し、前記可動電極と前記固定電極へ印加する電圧に応じて発生する静電気力によって前記可動部を変位させ、該可動部に入射された光を変調する微小電気機械方式の光変調素子の応答特性調整方法であって、
    少なくとも前記可動部を気密性封止部材により覆い、この気密性封止部材の内部の圧力を制御して前記可動部の変位の応答特性を調整することを特徴とする光変調素子の応答特性調整方法。
  2. 弾性変位可能に中空に支持されて少なくとも一部に可動電極を備えた可動部と、該可動部に対峙して配置された固定電極とを有し、前記可動電極と前記固定電極へ印加する電圧に応じて発生する静電気力によって前記可動部を変位させ、該可動部に入射された光を変調する微小電気機械方式の光変調素子であって、
    少なくとも前記可動部を覆う気密性封止部材を備え、この気密性封止部材の内部の圧力が1/10〜1気圧の範囲に調整されていることを特徴とする光変調素子。
  3. 前記気密性封止部材の内部が、不活性ガスで充填されていることを特徴とする請求項2記載の光変調素子。
  4. 前記気密性封止部材の内部が、乾燥ガスで充填されていることを特徴とする請求項2記載の光変調素子。
  5. 前記光変調素子が、ヒンジによって弾性変位可能に支持され少なくとも一部に可動電極を備えたミラー部を有することを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれか1項記載の光変調素子。
  6. 請求項2〜請求項5のいずれか1項記載の光変調素子が、1次元又は2次元状に複数配列されていることを特徴とする光変調アレイ素子。
  7. 光源と、
    請求項6記載の光変調アレイ素子と、
    前記光源からの光を前記光変調アレイ素子に照射する照明光学系と、
    前記光変調アレイ素子から出射される光を画像形成面に投影する投影光学系とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
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