JP2005262199A - マイクロ流路を用いた分子分離方法及び装置 - Google Patents

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健一 山下
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佳子 山口
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Abstract

【課題】 マイクロ流路中における非乱流状態すなわち層流状態の流れにおいて生じる分子の特異的な挙動の差を利用して、熱力学的な作用を促進させることにより簡単かつ効率よく物質を分離する方法を提供する。
【解決手段】 たがいに分子量若しくは分子形状又はその両方を異にする少なくとも2種類の溶質分子を含有する1種類の溶液、或いはそれぞれの溶質分子を別々に含有する少なくとも2種類の溶液を、非乱流状態を形成させながらマイクロ流路中に流すことで各溶質分子の熱力学的運動性を利用可能な状態にするとともに、マイクロ流路中の任意の地点においてその流れ状態を変えることによって、その変化した流れ状態を利用するとともに、各溶質分子に対し物理的作用を加え、これらによって異種溶質分子間に挙動の差を生じさせ、それを利用してその中の特定の種類の分子種のみを流路内の特定領域に偏在させ、分離する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、2種又はそれ以上の分子の混合物から分子種ごとに分子又は細胞のような分子集合体を分離するための新規な方法、さらに詳しくいえば、マイクロ流路中に生じる流れの非乱流状態を変化させ、それによってもたらされる溶液内に含ませた2種又はそれ以上の溶質分子ごとの挙動の差を利用して異なった分子種を分離する新規な方法並びにそれを実現する装置に関するものである。
化学物質を製造するに際し、多くの場合、最終工程において生成物を分離し、精製することは欠かせない操作である。また、連続的に反応を行わせて、所要の化学物質を製造する際も、その中間段階において、中間生成物を分離し、精製することは、反応を迅速化、効率化するために必要な処理となっている。
このような分離や精製手段としては、これまで溶剤を用いた抽出法、溶液からの沈殿法、濾剤を通す濾過法、透過性膜を用いる透析法、沸点差を利用する蒸留法、単結晶の精製に好適な帯融解法、電気泳動法、クロマトグラフィーなど多種多様のものが知られ、それぞれその分離目的に応じ、適宜選択、使用されている。
しかしながら、これらの方法は、いずれも比較的量の多いものを取り扱うための方法であって、分子単位の微量の物質を取り扱うには必ずしも適しているとはいえない。
他方、微量の物質を取り扱う方法として、例えばガラス基板のような固体基板上に刻設したマイクロ流路を用いて、相関分子輸送を行って溶媒抽出する方法(特許文献1参照)、マイクロ流路内で液−液界面を形成する2層流において、少なくとも一方の溶液流れを組成の異なった複数の溶液セグメントとし、他方の溶液流れに含有されている成分を選択的に抽出分離する方法(特許文献2参照)、不活性材料からなる固体表面に設けたマイクロ流路の壁面に触媒能を有する有機分子を固定させ、このマイクロ流路に分子種を導入し、化学反応を行わせる方法(特許文献3参照)、ゲル電極を備えた複数の分岐路を有するマイクロ流路中に血液を通して、赤血球と白血球及び白血球との分離及び白血球とT細胞、B細胞との分離を行う方法(特許文献4参照)、検体分子含有溶液と複合体形成用分子含有溶液とを層流を形成させながらマイクロ流路に流し、両者の間で形成される複合体の拡散度の変化を解析する分析方法(特許文献5参照)、マイクロ流路内において、被抽出物を水相と逆ミセル有機相界面を通しての分子輸送を行って逆ミセル抽出する方法(特許文献6参照)、反応体分子を流体に担持させて、マイクロ流路に供給し、マイクロ流路の分子構造、分子配向又は溶液中における分子の分布状態を変化させる作用を利用して化学反応を行わせる方法(特許文献7参照)などマイクロ流路を利用する方法が知られている。
しかしながら、これらの方法は、いずれもマイクロ流路内の層流中における分子の熱力学的性質に基づく自然拡散状態に依存するものであり、流れ状態を変えて二次流れなど流路方向の方向と直行する方向の流れ若しくは溶質分子への慣性力を積極的に印加して作用を促進させるものではない。
特開2000−298079号公報(特許請求の範囲その他) 特開2002−277478号公報(特許請求の範囲その他) 特開2003−260361号公報(特許請求の範囲その他) 特開2004−113223号公報(特許請求の範囲その他) 特開2004−53417号公報(特許請求の範囲その他) 特開2004−101493号公報(特許請求の範囲その他) 特開2004−113874号公報(特許請求の範囲その他)
本発明は、マイクロ流路中における非乱流状態すなわち層流状態の流れにおいて生じる分子の特異的な挙動の差を利用して、熱力学的な作用を促進させることにより簡単かつ効率よく物質を分離する方法を提供することを目的としてなされたものである。
本発明者らは、マイクロ流路中における流れの非乱流状態とその中に存在する物質分子との関係について種々研究を重ねた結果、乱流状態や静置状態にある溶液中では溶質分子の自然拡散による溶液中での移動が溶液全体の対流などの動きと同一方向であるが、非乱流状態すなわち層流状態では溶液全体の動きすなわち流れ方向と溶質分子の自然拡散方向のたがいに直交する方向に分離することができること、並びに流れの非乱流状態が変化するとそれに伴って非乱流状態の溶液中に存在する溶質分子に特異的な作用力が加わること、これら自然拡散並びに作用力は、分子の質量すなわち分子量や分子の形状すなわち分子構造により異なること、したがってこれらの相違点を利用すれば異なった分子量又は分子形状を有する2種又はそれ以上の分子を簡単に分離し、精製しうることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明は、たがいに分子量若しくは分子形状又はその両方を異にする少なくとも2種類の溶質分子を含有する1種類の溶液、或いはそれぞれの溶質分子を別々に含有する少なくとも2種類の溶液を、非乱流状態を形成させながらマイクロ流路中に流すことで各溶質分子の熱力学的運動性を利用可能な状態にするとともに、マイクロ流路中の任意の地点においてその流れ状態を変えることによって、その変化した流れ状態を利用するとともに、各溶質分子に対し物理的作用を加え、これらによって異種溶質分子間に挙動の差を生じさせ、それを利用してその中の特定の種類の分子種のみを流路内の特定領域に偏在させ、分離することを特徴とする分子分離方法及びその方法を実施するのに好適な分子分離装置を提供するものである。
ここで「非乱流状態」とは、マイクロ流路内において乱流を生じることなく、流れの方向が送液方向に一致している、層流という状態である。
また「多層流」とは、2種以上の異なる溶液が1つのマイクロ流路内において、界面を形成しながら並走している状態である。
本発明方法で用いるマイクロ流路は、流通する溶液に対して不活性な材料製のキャピラリーチューブで構成されていてもよいし、また不活性材料製の基板上に溝状に形成されていてもよい。この不活性材料とは、溶媒、溶質及び反応で生成する化合物に対して反応性を持たない材料であり、例えば、ガラス、石英又はシリカ、マグネシア、ジルコニア、アルミナ、アパタイト、窒化ケイ素及びケイ素、チタン、アルミニウム、イットリウム、タングステンのような金属の酸化物、炭化物、窒化物、ホウ化物、ケイ化物などのセラミックスを挙げることができる。
このほか、不活性材料である限り、金属、プラスチックなども用いることができる。そして、この基板形状は、平板状が普通であるが、所望であれば弧状体、球体、粒体などのものを用いることができる。
このマイクロ流路は、幅、深さともに1〜1000μm、好ましくは50〜500μmの大きさの溝として刻設されるか、同等の大きさのキャピラリーチューブとして形成される。この大きさは、レイノルズ数などの流体力学的変数などを考慮して、溶液の粘性や流速によって適宜選択するのが望ましい。このマイクロ流路の長さには特に制限はなく、分離しようとする溶質分子の種類や条件に対応して選ばれるが、通常100〜1000mmの範囲である。
このようなマイクロ流路は、市販のキャピラリーチューブをそのまま用いるか、又は不活性材料基板上にマイクロドリルのような工作機により機械的手段にて刻設するか、あるいは半導体集積回路製造などに用いる光リソグラフィーにより刻設した後、別の基板を接着することにより製造することができる。
このような極細のマイクロ流路に液体のような流体を流すと、液体は非乱流状態で一定方向すなわち流路方向にまっすぐ流れていく。また、このような極細の流路では、溶質分子の拡散距離が短い、壁面との接触面積が相対的に大きい、流れの速度勾配が大きい、などの特徴を有している。
マイクロ流路を液体のような流体が流れる際、レイノルズ数などの流体力学的変数などを考慮した条件に設定することにより、その流れを非乱流状態すなわち層流という状態にすることができる。乱流状態や溶液を静置した状態においては、溶媒分子や溶質分子は、ブラウン運動や自然拡散などの熱力学的運動性、対流やその他の熱的要因により、完全に等方的すなわちあらゆる方向に移動する。それに対し非乱流状態すなわち層流状態においては、溶媒分子や溶質分子はきわめて遅い自然拡散を除き、流れの方向にのみ移動する。
一般に自然拡散は層流の流れに対して極めて遅いため、層流の流れと同一方向の自然拡散の影響は無視することができる。また同時に生じる層流の流れと直交する方向の自然拡散は、層流の流れとは分離して取り扱うことができるようになる。
このため、直線型マイクロ流路を流れる流体に直交する方向すなわち流路断面方向の溶質分子の拡散の大きさは、電場や磁場などの外的要因が加わらない限り、その分子の分子量並びに分子構造並びに時間にのみ依存すると考えることができる。
マイクロ流路に湾曲部などの直線でない部分があると、非乱流状態は維持されるが、その中に存在する溶媒分子や溶質分子には、そのマイクロ流路の形状、流れの速さ、分子の立体構造や分子量などの差異により、湾曲部分では遠心力や慣性力、屈曲部分では遠心力や慣性力若しくは壁面への衝突と跳ね返りなどの物理的作用が加わる。また、これらの作用によって、流路内溶液の二次流れ、すなわち流路方向と直行する方向の流れが生じる。
本発明においては、これらの作用の1つ又は複数を利用することによって得られる分子分離効果により目的物質の分離が行われる。上記の、流路断面方向の自然拡散、遠心力、慣性力、二次流れ等の複数の物理的作用のうち、どの作用がどの程度影響するかは、分離対象とする分子の種類に依存する。
例えば、非乱流状態すなわち層流状態においてマイクロ流路の直線部分では、溶質分子の流路断面内での移動はその分子が持つ固有の拡散係数に基づく自然拡散のみを考えればよく、溶液全体の移動は無視できる。このとき、溶質分子の流路断面内方向での移動距離は、送液の速度並びに温度などの外的要因が一定の下においては、その溶質分子の分子量並びに分子の形状すなわち分子構造にのみ依存する。このことを利用すれば、混合物の状態から、特定の分子種のみを、例えば選択的に並走する溶媒へと移行させることにより、分離することができる。
また、流路の湾曲部においては、上記の拡散と同時に慣性力が作用し、質量の大きい分子ほど外側へ引っ張られる。そして、その力の大きさは、物質分子の質量やカーブの曲率、流れの速さに依存するので、この物理法則を利用して、目的の溶質分子の分離を行うことができる。さらに溶液中の溶質分子に対して常に溶媒分子が衝突しているが、その衝突頻度は溶質分子の形状に依存する。したがって、分子量や湾曲部の曲率に加え、溶質分子の形状もまた、分離を行う際の重要な因子となるので、溶質分子の形状に基づく分離も行うことができる。
さらに、流路の湾曲部のような直線でない部分を溶液が流れる際、そこで生じる溶媒分子に対する慣性力により、流路内において二次流れを生じる。したがって、この現象と、上記の溶質分子に作用する力を併用すれば、さらに高性能な分離が可能となる。
このように、本発明方法によれば、マイクロ流路を利用した分子ふるい効果により、特にタンパク質などの巨大分子を、その分子量や立体構造を基に効果的に偏在化させることができるので、簡便かつ迅速なタンパク質の機能解析を安価に行うことができる。
本発明方法によると、従来、同じ目的で慣用されているゲル電気泳動などに比べて格段に短時間で簡便に目的を達成することができる。しかも、タンパク質などの目的物質のみを選択的に取り出すことができるという利点もある。さらに、連続的に溶液を供給することができるので、大量の試料を処理することも可能である。
本発明方法によると、流路内の一部に偏在した溶質分子の量を測定することにより、定量などの分析手段としても利用することができる。
本発明方法において、マイクロ流路に異なる2種又はそれ以上の分子を含む溶液を流すか、或いは異なる分子を別個に含む2種又はそれ以上の溶液をたがいに接するように流すと、溶液は溶質分子が偏在化した流れを形成し、或いはそれらの溶液が混ざり合うことなく、界面を形成しながら接した状態で並走するように流れていく。そして、後者の場合、この界面において、これら溶液の溶質分子の間に特異的な親和性があると複合体を形成し、例えば、塩基配列に相補性がある場合のDNAの2本鎖形成や特異的相互作用がある場合の酵素と基質など複合体形成に伴い、分子量や分子の形状が変化する。これによって、形成された複合体のみを選択的にマイクロ流路内の特定部分に偏在させ、それを分離することやこれを利用して分析することもできる。
本発明方法により、溶液中に存在する異なった溶質分子の分離を行う際には、層流の流れと直交する方向すなわちマイクロ流路断面方向の自然拡散、及びマイクロ流路の直線でない部分すなわち湾曲部や屈曲部などにおける溶質分子に対する慣性力及び溶液全体の二次流れ、の2つの作用を考慮する必要がある。
溶質分子の層流の流れと直交する方向すなわちマイクロ流路断面方向の拡散挙動は次式により示される。
p(x,t)=[exp(−x2/4Dt)]/√4πDt (I)
ここで、tは時間、Dは拡散係数、xは層流の流れと直交する方向すなわちマイクロ流路断面方向における位置を示す座標である。p(x,t)は時間t、位置xにおける溶質分子の存在量分布を示す。
溶質分子がマイクロ流路の湾曲部を通過する際、そこで受ける慣性力や、溶液全体の二次流れによるマイクロ流路断面方向の移動が生じる。加えて自然拡散も伴うため、各湾曲部の通過後における存在量分布は変化する。すなわち存在量分布は、下記の式により一般化できる。
0(x,z)≠p1(x,z)≠p2(x,z)≠…≠pN(x,z) (II)
ここでNは通過した湾曲部の数、zは流路の深さ方向の座標を示す。
また、マイクロ流路を流れる2つの並走する溶液の界面において複合体が形成される場合、マイクロ流路を先に進むほど、すなわち2つの並走する溶液時間の接触時間が長いほど界面における複合体形成量は多くなる。その複合体形成量は下記式により一般化される。
Figure 2005262199
ここでQは蓄積された複合体の総量を示す。
顕微鏡型分光分析装置のような、マイクロ流路上方より観察・分析を行うような装置を用いてマイクロ流路内の溶質分子の分布を測定する場合、マイクロ流路上面から底面まですなわち各zにおける複合体形成量の総和Rにより情報を得ることになる。
Figure 2005262199
さらに、顕微鏡型分光光度計を用い、マイクロ流路内の溶質分子の分布状態を基にした分析を行う際には、例えば蛍光法による場合、励起光の照射範囲は点ではなく一定の広がりを持つ。その範囲における溶質分子の存在量の総和Sは次式により得ることができる。
Figure 2005262199
この式を用いれば、顕微鏡型分光光度計を用いた分析手法への応用を行った際の結果を予測することができるだけでなく、特定の範囲における着目溶質分子の存在量を知ることができる。
また、本発明方法を用いた分離操作を行うに当り、上記の計算式を用いれば、分離対象となる分子の拡散係数とマイクロ流路の形状や流れの条件から分離状況を予測することができる。
図1は、本発明方法で用いるのに好適な顕微鏡型分光光度計の1例の説明図であり、これはマイクロ流路内の任意の位置に励起光であるレーザー光を照射し、その場所における蛍光の強度を測定するものである。
すなわち、マイクロ流路1の任意の位置Aにおいて、検体流路側とプローブ流路側のそれぞれにアルゴンガスレーザーのような光線Bを照射する。光線Bは、ハーフミラー2で90度屈折されたのち、対物レンズ3を通って、マイクロ流路の任意の点Aに達し、それにより流路中の溶液は蛍光を発する。この蛍光はハーフミラー2を通過後、ロングパスフィルター4を経て、蛍光検出器5に捕捉され測定される。このときの検体流路側の強度とプローブ流路側の蛍光の強度の比を求めることにより溶質分子の大きさを知ることができる。
なお、図1における点線は顕微鏡内に配置されていることを示す。
本発明方法において、マイクロ流路に溶液を送液するには、例えば注射器を接続し、手動で行うことも可能であるが、シリンジポンプなどの機械的手段により送液速度、送液圧力などを制御しながら行うのが有利である。
本発明は、化学物質の分離操作一般に適応可能であるが、大きな分子量の物質、例えば高分子やDNA、タンパク質などの分離に特に好適である。
本発明方法は、マイクロ流路に溶液を流すだけという簡単な操作で、目的分子の分離を行うことができ、従来の分子ふるい効果を利用した分離方法に比べ、著しく短時間で分離することができ、しかも流す条件を変更することで多様な分離ができるという汎用性の高い分離方法である上に、流路設計により多段階分離などの高機能な分離や温度制御による高精度分離も可能になるという利点がある。
次に、実施例により本発明を実施するための最良の形態を説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
下記の2種類のDNA断片が2本鎖を組んだ場合と、組まなかった場合すなわち1本鎖のままである場合をモデルに検討を行った。すなわち、各DNA断片を含有したそれぞれの水溶液を、マイクロ流路に2層流を形成させながら流した際、その2つの溶液の界面で形成される2本鎖の分離を行った。
(5´)−配列表配列番号1−(3´)
(5´)−配列表配列番号2−(3´)
なお、これらのDNA断片の水中における拡散係数を実測したところ、1本鎖の状態では1.2×10-102/s、2本鎖形成の状態では0.89×10-102/sであった。
次に、前記式(IV)に2つの拡散係数を代入して、1本鎖の場合と2本鎖の場合の両方について計算を行い、2本鎖の場合、計算値から1本鎖の場合の計算値を減じた値をグラフとして図2に示す。
この図より、マイクロ流路上の任意の位置における溶質分子の分布を計算により知ることができることが分る。
また、前記式(V)において、xの範囲が0〜50μmの範囲にあると仮定して、SNを計算した結果を図3に示す。この図より本発明方法によると、顕微鏡型分光光度計を用いた分析が可能であるばかりでなく、特定の範囲における所定溶質分子の存在量を知ることが可能であることが分る。
この実施例は、マイクロ流路を流れる2つの溶液の界面で複合体が形成されることにより、その複合体が形成される前よりも重くなり、形状が変化することによって生じる分子ふるい効果を利用した、分離と分析の例を示すためのものである。
先ず、下記の(イ)〜(ヘ)の6種類のDNA断片の溶液を調製した。
(イ)フルオレセイン−(5´)−配列表配列番号1−(3´)(プローブDNA)。
(ロ)(5´)−配列表配列番号3−(3´)(以下、検体1と称する)。
(ハ)(5´)−配列表配列番号4−(3´)(以下、検体2と称する)。
(ニ)(5´)−配列表配列番号2−(3´)(以下、検体3と称する)。
(ホ)(5´)−配列表配列番号5−(3´)(以下、検体4と称する)。
(ヘ)(5´)−配列表配列番号6−(3´)(以下、検体5と称する)。
これらの溶液は、500fmol/μlDNA、5mMリン酸緩衝液(pH7.0)、5mM塩化ナトリウムの溶液組成である。次いでこれらをマイクロ流路にプローブDNA溶液とともにそれぞれ送液した。送液速度は40μl/min、温度は35℃であった。
図4は、この際用いた、8回湾曲させたマイクロ流路の平面図である。この流路断面の形状は、幅300μm、深さ200μmである。単結晶シリコン板上に、乾式エッチング法によりマイクロ流路を刻設し、ガラス板を陽極接合法により接着することにより作製した。
次いで、図1に示す構造の装置を用い、図4のCの位置における、マイクロ流路のAの場所における検体流路側とプローブ流路側それぞれにアルゴンガスレーザーの発する488nmの光を照射し、蛍光を発光させ、その強度を測定した。その評価はその2つの蛍光の強度の比、すなわち検体流路側の蛍光強度をプローブ流路側のそれで除した値で行った。その結果を棒グラフとして図5に示す。これらの値は、10回測定した蛍光強度比の平均値であり、標準偏差の範囲をエラーバーで示した。この図から分るように、検出対象とした検体DNA断片の長さに応じた応答を得ているとともに、プローブの配列と相補性を持たないDNA断片は検出されない。このようにして、マイクロ流路内での測定場所を変えることにより、それによってそれぞれの場所における溶質分子の大きさを知ることができる。この場合、プローブDNAに配列相補的な検体DNAのみを分析対象とすることができることから、配列選択的な試料DNAの分析への応用も可能なことが分る。
この実施例は、2つの異なる溶質分子を含んだ溶液の界面で形成される複合体の分離についての例である。図6に示す全体形状に、幅300μm、深さ200μmのマイクロ流路をアクリル樹脂板に刻設し、その上にもう1枚のアクリル樹脂板を加熱溶着することにより製造した装置を用いて以下の実験を行った。
すなわち、このマイクロ流路に対し、プローブDNAと実施例2で用いた検体2とを含む溶液とプローブDNAと検体5を含む溶液とを温度25℃、送液速度40μl/minで送液した。この際の溶液としては、500fmol/μlDNA、5mMリン酸緩衝液(pH7.0)及び50mM塩化ナトリウムの組成のものを用いた。
次に、2液の界面で形成された2本鎖を、検体流路側へと偏在化させ、検体流路側出口から回収し、マイクロ流路から検体流路側出口へと流れ込む溶液の蛍光強度に基づき、その中に含まれる2本鎖DNAの量を定量した。この結果を棒グラフとして図7に示す。
この図から分るように、検体3すなわちマイクロ流路内で2液の界面にて2本鎖が形成される場合の蛍光強度が、検体5すなわち2本鎖を形成しない場合に比べて大きくなっている。そして、この2つの場合の差分が、検体流路側に偏在させられた2本鎖DNAの量を示す。なお、検体5の場合でも蛍光応答を示しているのは、2本鎖を形成しなかったプローブDNAが、1本鎖状態のままで検体流路側へと自然拡散するためである。この結果により、本発明方法を用いて、特定の分子量や形状を有するものを分離可能であることが分る。
本発明を用いると、異なった分子種を含む混合物から、それぞれ3成分分子を分離かつ定量することができるので、バイオテクノロジーにおける分離、精製や、分析手段として有用である。
本発明で用いる顕微鏡型分光分析装置の説明図 マイクロ流路断面内での溶質分子の分布状態を計算した結果を示す図。 xの範囲が0から50μmと仮定した場合の溶質分子の存在量の総和を計算した結果を示す図。 実施例2で使用したマイクロ流路の平面図 実施例2の結果を示す図。 実施例3で使用したマイクロ流路を示す平面図。 実施例3の結果を示す図。
符号の説明
1 マイクロ流路
2 ハーフミラー
3 対物レンズ
4 ロングパスフィルター
5 蛍光検出器

Claims (4)

  1. たがいに分子量若しくは分子形状又はその両方を異にする少なくとも2種類の溶質分子を含有する1種類の溶液、或いはそれぞれの溶質分子を別々に含有する少なくとも2種類の溶液を、非乱流状態を形成させながらマイクロ流路中に流すことで各溶質分子の熱力学的運動性を利用可能な状態にするとともに、マイクロ流路中の任意の地点においてその流れ状態を変えることによって、その変化した流れ状態を利用するとともに、各溶質分子に対し物理的作用を加え、これらによって異種溶質分子間に挙動の差を生じさせ、それを利用してその中の特定の種類の分子種のみを流路内の特定領域に偏在させ、分離することを特徴とする分子分離方法。
  2. 物理的作用が慣性力、熱力学的運動性がマイクロ流路の流れ方向と直行する方向に生じる拡散、変化した流れ状態が二次流れを含むマイクロ流路内の流れである請求項1記載の分子分離方法。
  3. 非乱流状態かつ多層流状態で流れる各溶液の界面に沿って分離しようとする分子の複合体を形成させることにより異種溶質分子間の分子量又は分子形状の差を増大させる請求項1記載の分子分離方法。
  4. 送液する溶液の種類数に対応した個数の試料取り入れ口、並びに流路途中又は終端に1個又は複数の試料取り出し口を有し、かつこの取り入れ口と取り出し口との間に少なくとも1個の湾曲部を有するマイクロ流路を刻設した基板からなる分子分離装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009162643A (ja) * 2008-01-08 2009-07-23 Sony Corp 微小粒子の送流方法及び分析方法、並びに微小粒子分析用基板

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