JP2005257441A - 原子炉発電施設のプールの清掃方法及び装置 - Google Patents

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勇 中原
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和訓 神山
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Abstract

【課題】 安全に作業でき、単純でトラブル、故障がなく、万一のトラブルに対し安全側に作用し、イニシャル・ランニングコストが安価な圧力抑制室プールの清掃方法及び装置を提供する。
【解決手段】 原子炉発電施設における水を貯留するためのプールの清掃方法において、該プール水中で、該プールの底部に堆積した沈殿物を吸引し、該吸引された沈殿物を吸引された水から分離し、該分離された水を前記プール水中に放出することとしたものであり、前記沈殿物11の吸引は、手動による吸引装置、又は、遠隔操作9により水中で自走可能なロボット1により吸引して行い、前記自走可能なロボット1は、吸引した沈殿物と水から沈殿物を分離する浄化装置3、4と流路2、5で接続することができる。
【選択図】 図2

Description

本発明は、原子炉発電施設のプールの清掃方法及び装置に係り、特に、原子力発電施設におけるサプレッションプールや燃料プール等の浄化された水を貯留するためのプールの清掃方法及び装置に関する。
沸騰水型原子炉における圧力抑制型原子炉格納容器は、原子炉及び再循環回路を格納しているドライウェル、ドーナツ状又は円筒状の圧力抑制室、前記ドライウェルと圧力抑制室とを接続する多数のベント管等から構成されており、圧力抑制室内は冷却水を貯留した圧力制御室プールとなっている。
この圧力制御室プールの冷却水は、格納容器内の圧力が上昇した際に水蒸気を逃がす場所になるほか、原子炉内の冷却水が流出した場合に作動する非常用炉心冷却装置(ECCS)の予備水源にもなる。
この圧力制御室プールは、プラント停止時、及び起動時の運転等により残留熱除去系から放射性クラッド等が持込まれ、それらがやがて圧力制御室プールの底部に沈殿、堆積する。
この沈殿物は、圧力制御室プールの周辺、特に底部においては、放射線源となり周囲で作業する作業員の被ばくの原因となり、確実に除去する必要がある。
また、この圧力制御室プールは、非常用炉心冷却系の水源として水を貯蔵する役割もになっており、内部点検、検査が容易にできるように、清浄に保つ必要がある。
従来、このような圧力制御室プールの沈殿物吸引清掃にあたっては、仮設の吸引ポンプの吸込み側に、吸込みホースを介して取付けられた底部沈殿物吸引用の吸引口を、作業員が圧力抑制室作業ステージ上より操作ポール等で操作し、プール沈殿物を吸引し、ポンプ出口水を仮設の耐圧ホース、配管等で原子炉格納容器外に設置したフィルタユニットに送水し、沈殿物をろ過、捕集後、再度原子炉格納容器圧力制御室に戻す循環ループを構成して除去している。
又は、圧力制御室プール沈殿物の除去にあたっては、プール水を全量排出し、その後、人力により清掃除去している場合もある。
しかしながら、いずれの場合も設備量が大掛かりでコスト高となり、且つ、放射性クラッドを含むプール水を、一且圧力抑制室外に配管、ホース等で送水するため、万一の漏洩によるエリア汚染、作業被ばく等の問題が生じる恐れがある。
また、除去回収した放射性クラッドの処理にも時間がかかり、また、作業時の作業員の被ばくが比較的大きくなることが避けがたかった。
特開昭58−144791号公報
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、誰もが使いやすい操作で安全に作業でき、単純でトラブル、故障がなく、且つ、万一のトラブルに対し安全側に作用し、イニシャル・ランニングコストが安価に底部堆積クラッドを除去できる原子炉発電施設のプールの清掃方法及び装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明では、原子炉発電施設における水を貯留するためのプールの清掃方法において、該プール水中で、該プールの底部に堆積した沈殿物を吸引し、該吸引された沈殿物を吸引された水から分離し、該分離された水を前記プール水中に放出することを特徴とするプールの清掃方法としたものである。
前記清掃方法において、前記沈殿物の吸引は、水中ポンプに接続された吸引装置を直接操作して行うか、又は、水中ポンプに接続された水中で自走可能なロボットを遠隔操作して行うことができ、前記吸引した沈殿物と水の分離は、水中に設置されたろ過装置により行うことができる。
また、本発明では、原子炉発電施設における水を貯留するためのプールの清掃装置において、該プール水中に配備されたプールの底部に堆積した沈殿物を吸引する吸引装置と、該吸引装置に接続した水中ポンプと、該吸引された沈殿物と水とを分離し、分離された水を前記プール水中に放出する分離装置とを有することを特徴とするプールの清掃装置としたものである。
前記清掃装置において、吸引装置は、先端に吸引口を有し、手動で操作できるハンドルを有するか、又は、先端に吸引口を有し、水中で自走可能なロボットからなり、該先端の吸引口には、水中ポンプ保護用ストレーナを配備するのがよく、該水中ポンプは、吸引側が前記吸引装置とホースで接続されると共に、吐出側が前記分離装置と配管で接続され、また、該分離装置は、ハウジングの不要なプリーツ式ろ過装置とするのがよく、該ろ過装置は、縦方向の圧縮により1/3に減容可能に構成させることができ、さらに、前記水中ポンプ又は前記ロボットと水中ポンプは、遠隔操作により制御される制御機構が組込まれるのがよい。
このような、本発明の構成によれば、作業者が、自身で水中に潜るか、又は自走可能な吸引ロボットを操作して、浄化装置である水中ポンプとろ過装置を圧力抑制室サプレッションプール水中に吊下げ、吸引浄化運転するだけでサプレッションプール底部堆積クラッドを安全に効率的に除去することができる。
また、吸引浄化運転後に発生する廃棄物は、フィルタエレメントのみであり、該フィルタエレメントもプリーツ式として1/3に減容可能に構成することにより、従来法に比べ廃棄物量の低減を図ることができる。
それによって、本発明によれば、誰もが使いやすい操作で安全に作業でき、単純でトラブル、故障も少なく、且つ、万一のトラブルに対しては、同一プール内での使用のため、漏洩等に対しては安全側に作用し、イニシャル・ランニングコストが安価な装置が提供できる。
本発明は、作業者が自身で水中に潜るか、自走可能な吸引ロボットを操作し、浄化装置を原子炉発電施設のプール水中に吊下げて、該プール底部沈殿物を安全に効率的に除去できる沸騰水型原子炉の格納容器内圧力抑制室プール等の底部の沈殿物除去方法とその装置である。
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照にして説明する。図1は、手作業による吸引清掃装置全体を示すシステム構成図であり、図2は、吸引ロボットを用いた吸引清掃装置全体を示すシステム構成図であり、図3は、手作業で用いる吸引装置の拡大構成図で、(a)は側面図、(b)は底部平面図であり、図4は、吸引ロボットの外観図であり、図5は、浄化装置の正面断面図であり、図6は、処理後のフィルタを処理するフィルタ圧縮装置の概略構成図であり、図7は、吸引清掃作業の実施要領図である。
図1では、圧力抑制室プールの底部をダイバー10が自在に操作して沈殿物11を吸引し得る吸引装置1、該吸引装置1と吸引ホース2を介して沈殿物11を圧力抑制室プール水と共に吸引する水中ポンプ3、水中ポンプ3と吐出配管5とバルブユニット13とヘッダー管14とを介して接続され、吸引された沈殿物を水から分離して捕集する複数のフィルタ4、水中ポンプ3とフィルタ4とをそれぞれ圧力抑制室プール内に吊下げる昇降機7とワイヤ8、及び、水中ポンプを運転する操作盤9を備えた作業ステージ6を有している。
吸引装置は、吸引ホース2を介して水中ポンプ3に接続されており、ダイバー10が直接吸引装置を操作することにより、圧力抑制室プール内水中の底部の沈殿物を容易に吸引できるものである。また、水中ポンプ3の出口には、吐出配管5、バルブユニット13及びヘッダー管14を介してフィルタ4が接続されており、吸引された沈殿物11は、フィルタ4でろ過・捕集され、処理水はプール水中に排出される。
バルブユニット13は、フィルタ4の交換作業用のものであり、図1では、作業ステージ6上に配備されているが、水中に配備してもよいし、また、これを設けずに、運転を停止して交換することもできる。
フィルタの交換時期は、水中ポンプ3の吸引側の圧力と吐出側の圧力を圧力計15によって測定し、その圧力差が所定の値以上になった場合である。具体的には、フィルタの最高使用圧力が0.25MPaであることから、安全率を考慮して、運転初期圧力より0.1MPa高くなった場合である。
図3に、図1で用いる吸引装置1の拡大図を示す。図3において、吸引装置1の先端には、円盤20上に、水中ポンプ保護用フィルタ18と、プール底部を移動するためのボールキャスター16と、底部を掃除するためのナイロンブラシ17が設置され、また、吸引装置1の上部には、ダイバーが操作するためのハンドル19が設けられている。
次に、図1の手動の吸引装置1に代えて、吸引ロボット1’を用いる図2について説明する。図2では、圧力抑制室プールの底部を、操作員が水中カメラの画像を見ながら作業する遠隔操作により自在に操作して沈殿物11を吸引し得る吸引ロボット1’、吸引ホース2を介して沈殿物を圧力制御室プール水と共に吸引する水中ポンプ3、吸引された沈殿物を水から分離して捕集するフィルタ4、水中ポンプ3とフィルタ4からなる浄化装置を圧力制御室プール内に吊下げる昇降機7とワイヤ8、及び、吸引ロボット1と水中ポンプ3を運転操作する操作盤9を備えている。
吸引ロボット1’は、図4に示されるように、作業員の指示により自在に動かすための駆動用キャタピラ21と、吸引ポンプ3に吸引ホース2で接続される吸引接続口22と、吸引ロボット1’の動く方向を指示するための水中カメラ23を備えている。
吸引ロボット1’に組込まれている吸引口24は、吸引ホース2を介して浄化装置の水中ポンプ3に接続されており、作業員が作業ステージ上から吸引ロボット1を操作することにより圧力抑制室プール底部の沈殿物11を容易に吸引できるものである。
また、浄化装置には、水中ポンプ3の出口に吐出配管5を介して直接フィルタ4が接続されており、吸引された沈殿物は、フィルタ4でろ過、捕集され、処理水はプール水中に排出される。
図5に、水中ポンプ3とフィルタ4とを一体化した浄化装置の正面断面図を示し、中央に水中ポンプ3を配して、その周りにフィルタ4を複数個配しており、水中ポンプ3によって吸引ホース2から吸引されたプール水は、吐出配管5とヘッダ管14を介して各フィルタ4に導入され、吸引された沈殿物がろ過、捕集される。
図6は、処理後のフィルタ4を圧縮処理するフィルタ圧縮装置の概略構成図であり、(a)は正面断面図、(b)はプレス先端治具の平面図である。図6において、使用済みのフィルタを受けプレート27上に設置し、水飛散防止カバー26によりフィルタをカバーし、油圧ポンプ30の操作により、専用のプレス先端治具28を取付けた油圧シリンダー29を降下させてプレス圧縮する。受けプレート27には、ドレン座31を設け、フィルタ圧縮時にフィルタから漏れる水を回収するプレス先端治具28は、中央に凹部を設け、フィルタ圧縮時に横方向への広がりを最小限に抑えることを可能とした。
この圧縮処理は、原子力発電所の場合、発電所内の放射性廃棄物の保管スペースが限られており、作業に伴い発生する廃棄物(焼却処理できないもの)を極力少なくする必要があり、作業に伴って発生する廃棄物を減容化することは、放射性廃棄物の保管に極めて有効なためである。
特に、フィルタの場合、通常フィルタエレメントをステンレス製のハウジングに装着して使用しており、廃棄する場合、ハウジングと一体物で廃棄しており、本発明のように、圧縮減容により使用済みフィルタの容積を1/2にすれば、放射性廃棄物発生量も1/2になるためである。
図7は、吸引清掃作業の実施要領図であり、原子炉格納容器の圧力制御室プール内の水中に、本発明の吸引ロボット1’を走行させて、プール水中の懸濁物を水中ポンプ3により吸引して、フィルタ4によりろ過・捕集して処理水を該プール水中に排出している。
作業員が作業ステージ6上で操作盤9を操作して行っている。
本発明によれば、吸引装置又は吸引ロボットに接続した水中ポンプ、フィルタを圧力制御室プール水中に吊下げ、ダイバーによる吸引装置の操作、又は、吸引ロットを操作し、水中ポンプを運転するだけで、圧力制御室プールの底部に堆積した沈殿物を効果的に吸引、ろ過、捕集することができる。
また、沈殿物を捕集したフィルタの処理も、プール水の通水方向が、フィルタ内部より流入して水中懸濁物を捕集し、プール水側に流出する構造であり、捕集した懸濁物はフィルタ内側に保持されるので、フィルタハウジング、配管等余分な付属物がなく、ワンタッチ接続継手12の取外しだけで浄化装置から取外せ、また、取扱いにおける作業被ばくもなく、廃棄物量の低減を図ることができる。
本発明の一例である手作業による清掃装置全体を示すシステム構成図。 本発明の他の例である吸引ロボットによる清掃装置全体を示すシステム構成図。 手作業による吸引装置の拡大構成図で、(a)側面図、(b)底部平面図。 本発明で用いる吸引ロボットの一例を示す外観図。 本発明で用いる浄化装置の一例を示す平面断面図。 処理後のフィルタを処理するフィルタ圧縮装置の概略構成図で、(a)正面断面図、(b)先端治具の平面図。 吸引清掃作業の実施要領図。
符号の説明
1:吸引装置、1’:吸引ロボット、2:吸引ホース、3:水中ポンプ、4:フィルタ、5:吐出配管、6:作業ステージ、7:昇降機、8:ワイヤ、9:操作盤、10:ダイバー、11:沈殿物、12:ワンタッチ接続継手13:バルブユニット、14:ヘッダー管、15:圧力計、16:ボールキャスター、17:ナイロンブラシ、18:フィルタ、19:ハンドル、20:円盤、21:駆動用キャタピラ、22:吸引接続口、23:水中カメラ、24:吸引口

Claims (10)

  1. 原子炉発電施設における水を貯留するためのプールの清掃方法において、該プール水中で、該プールの底部に堆積した沈殿物を吸引し、該吸引された沈殿物を吸引された水から分離し、該分離された水を前記プール水中に放出することを特徴とするプールの清掃方法。
  2. 前記沈殿物の吸引は、水中ポンプに接続された吸引装置を直接操作して行うか、又は、水中ポンプに接続された水中で自走可能なロボットを遠隔操作して行うことを特徴とする請求項1記載のプールの清掃方法。
  3. 前記吸引した沈殿物と水の分離は、水中に設置されたろ過装置により行うことを特徴とする請求項2記載のプールの清掃方法。
  4. 原子炉発電施設における水を貯留するためのプールの清掃装置において、該プール水中に配備されたプールの底部に堆積した沈殿物を吸引する吸引装置と、該吸引装置に接続した水中ポンプと、該吸引された沈殿物と水とを分離し、分離された水を前記プール水中に放出する分離装置とを有することを特徴とするプールの清掃装置。
  5. 前記吸引装置は、先端に吸引口を有し、手動で操作できるハンドルを有するか、又は、先端に吸引口を有する水中で自走可能なロボットからなることを特徴とする請求項4記載のプールの清掃装置。
  6. 前記水中ポンプは、吸引側が前記吸引装置とホースで接続され、吐出側が前記分離装置と配管で接続されていることを特徴とする請求項4又は5記載のプールの清掃装置。
  7. 前記分離装置は、ハウジングの不要なプリーツ式ろ過装置からなることを特徴とする請求項4、5又は6記載のプールの清掃装置。
  8. 前記ろ過装置は、縦方向の圧縮により1/3に減容可能に構成されることを特徴とする請求項7記載のプールの清掃装置。
  9. 前記水中ポンプ又は前記ロボットと水中ポンプは、遠隔操作により制御される制御機構が組込まれていることを特徴とする請求項4又は5記載のプールの清掃装置。
  10. 前記吸引装置には、先端の吸引口に水中ポンプ保護用ストレーナが配備されていることを特徴とする請求項4又は5記載のプールの清掃装置。
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