JP2005255677A - シクロスポリン製剤 - Google Patents
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Abstract
簡易かつ安価な製造が可能な上、安定性に優れ、水に接触した際の自己乳化速度が向上され、溶解性並びに薬効のバラツキが減少したシクロスポリン製剤の提供。
【解決手段】
油性成分を実質的に含有せず、(a)シクロスポリン類の少なくとも1種、(b)天然又は水素化ヒマシ油とエチレンオキサイドの反応物、及び(c)医薬的に許容される炭素数1〜4のアルコールを、(a)〜 (c)3成分の全量を100としてそれぞれ、重量比で(a)6〜40%、(b)20〜70%、(c)10〜60%含有する医薬組成物。
【選択図】 なし
Description
該文献には、一例として、シクロスポリン、1,2−プロピレングリコール、ミグリオール812(中鎖脂肪酸トリグリセライド)、クレモフォーRH40(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40)、グリセリンモノオレートからなる組成物を水中油型のミクロエマルジョン前濃縮物として用いることにより、シクロスポリンの吸収性が改善されている。
また、同文献に示されている医薬組成物のうち、いくつかの製剤には、主として配合される油性成分に由来する不快な臭いがするものもある。シクロスポリン製剤を用いる治療行為が比較的長期に渡る場合も多いことから、このことは患者にとって大きな負担になりうることも予想するに容易であり、患者が子どもの場合はこの負担は更に大きなものとなるであろう。
(1)油性成分を実質的に含有せず、(a)シクロスポリン類の少なくとも1種、(b)天然又は水素化ヒマシ油とエチレンオキシドの反応物、及び(c)医薬的に許容される炭素数1〜4のアルコールを、(a)〜(c)3成分の全量を100としてそれぞれ、重量比で(a)6〜40%、(b)20〜70%、(c)10〜60%含有する医薬組成物。
(2)(d)平均分子量200〜1000のポリエチレングリコールを、(a)〜(c)成分の全量に対して重量比で0.01倍〜1.2倍量含有する上記(1)に記載の医薬組成物。
(3)医薬的に許容される炭素数1〜4のアルコールが、エタノール、プロピレングリコール及びグリセロールから選択される1種、又は2ないし3種の混合物である上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物。
(4)コハク化ゼラチンからなるカプセル被膜に上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の医薬組成物を充填したカプセル製剤。
(5)内容物容量が100〜300mg である、上記(4)に記載のカプセル製剤。
本発明において、成分(a)は有効成分としてシクロスポリン類から選択される少なくとも1種のシクロスポリンである。ただし、本発明中の「シクロスポリン類」とは、現在知られているA〜Zタイプに限定されるものではなく、これらのシクロスポリン類の構造類似体や誘導体等であってもよい。
本発明における油性成分とは、油又は油の混合物のHLB(親水性−疎水性バランス、川上法)が3以下、好ましくは5以下である天然又は合成油を意味する。具体例としては、HLBが3以下、好ましくは5以下である中鎖及び長鎖脂肪酸及びそのトリグリセライド又はエステル、HLB3以下、好ましくは5以下である綿実油、ごま油、紅花油、大豆油、とうもろこし油、オリーブ油、ヒマワリ油、仁油、パーム油、へん桃油、ピーナッツ油、ココナッツ油、アメリカホドイモ油等の天然油及びそれらとポリアルキレンポリオールとのエステル交換生成物、等が挙げられる。
カプセル皮膜としてはアルカリ法ゼラチン、酸性法ゼラチン等を含むゼラチン類、コハク化ゼラチン、酸性骨ゼラチン、水可溶性ゼラチン、グリセリン、D−ソルビトールのいずれか又はこれらの混合物を用いることができるが、製剤の水中崩壊性をより高めるため、コハク化ゼラチンを用いることが好ましい。
ゼラチンをカプセル皮膜として利用する場合は、長期的な保管時においてゼラチンの凝集性のために著しいカプセル皮膜の性質変化が誘起されやすく、それがカプセル崩壊の遅延をもたらし、更には製剤のバイオアベイラビリティーに対して著しい影響を与え得ることが予測される。しかし、コハク化ゼラチンを用いることによって、水への崩壊・溶解性を飛躍的に向上させ、なおかつ長期保存におけるカプセル崩壊遅延を抑制することが出来る。本発明におけるカプセル皮膜中のゼラチン成分のうち、コハク化ゼラチンの割合は特限定されないが、好ましくは20〜100重量%である。
これに対し、従来技術、例えば、前述の特許文献1に記載の組成物はシクロスポリン含量を1カプセルあたり50mgとした場合、カプセルの内容量が400〜500mg以上の大きさとなる可能性があり、服用時に困難を伴うことが十分に予測される。
本発明の医薬組成物を充填したカプセル製剤は、アルミシール、あるいはPTP包装等の任意の包装形態として製品とする。
実施例及び比較例に記載の組成物の製造に使用した化合物の製品名及び化学名は、表1のとおりである。
実施例1〜7の製剤の組成を表2に示す。
実施例8〜14の製剤の組成を表3に示す。
(比較例1〜5)
・ シクロスポリン溶解性、保存安定性、水と接触した際の分散性
○:良好、△:微析出、×:析出
・ 自己乳化速度
シクロスポリンAが2.5mg/mLとなるように製剤をイオン交換水に加え、手振とう(上下転倒2回/秒)を行い、完全に均一になるのに要した時間で評価した。
S:30秒以内、A:30秒〜1分、B:1〜3分、C:3〜5分、D:5〜10分、E:10分以上
・ 平均粒径
製剤の自己乳化物を、レーザー回折式粒度分布測定装置の適した濃度範囲内となるようイオン交換水を用いて濃度を調節し、平均粒径を測定した。
コハク化ゼラチン、グリセリン、酸化チタン、エチルパラベン、プロピルパラベン等を水に溶解し、カプセル被膜とし、実施例 1のシクロスポリン医薬組成物250 mg をカプセル充填機にて充填する常法に従いカプセル製剤1とした。
油性成分を含有する下記のシクロスポリン製剤処方をゼラチン被膜に充填してカプセル製剤2とした。
(カプセル製剤2)
内容物構成成分:シクロスポリンA(50mg)、エタノール(36mg)、トリグリセリド(130mg)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(180mg)、トコフェロール(0.15mg)、プロピレングリコール(4mg)
日本薬局方「崩壊試験法」記載方法に従い、水中におけるカプセル及び内容物の崩壊性について検討した。
崩壊試験機:TMB-8(富山産業)
21分間必要であった。 本データによりカプセル製剤1が油性成分を含有する先行技術によるカプセル製剤2よりも溶解性に優れることを確認した。
日本薬局方「溶出試験法」記載方法のうちパドル法を適用し、日局記載方法に従い、カプセル製剤中のシクロスポリンAが水に溶出する状態を経時的にモニタリングした。
検出方法:HPLC によるモニタリング
HPLC システム: Shimadzu Class VP
検出波長: 220nm
移動相溶媒: 水 43.9%、アセトニトリル52.9%
t-ブチルメチルエーテル 3.0%、リン酸 2.0%
カラム: TOSO ODS-120T (トーソー)
移動相流速: 1.5 ml/min
溶出試験機: NTR-6100A(富山産業)
使用動物及び頭数:ラット5〜8頭
投与薬剤量:ラット体重に換算してシクロスポリンAが5mg/kg となるように投与する。投与方法:水に懸濁後、ゾンデにて胃内投与する。
採血方法:投与後30分、1、2、4、8、24時間後に約1ml 尾静脈から採血する。
検出方法:二抗体 RIA 法によってシクロスポリンAを定量する。
実施例6とカプセル製剤2内容物の経時的なシクロスポリン血中濃度の推移を図1に示す。両者は全体的にほぼ同程度の数値を示したが、実施例6の方が血中濃度のバラツキが小さい傾向にあった。両者の AUC を算出したところ、実施例6は6100.5±1130.9ng/ml・h であり、カプセル製剤2内容物は5793.9±2609.4ng/ml・h であった。実施例6の SD(AUC変動係数) はカプセル製剤2内容物のそれと比して約40%であり、吸収のバラツキが明確に少なくなっていることを示している。
また、実施例2とカプセル製剤2内容物の比較を行った場合、実施例2の血中濃度はカプセル製剤2内容物のそれよりもやや高く、AUC はカプセル製剤2内容物の約120% であり、明瞭な吸収率の向上を認めた。
さらに、実施例14とカプセル製剤2内容物の比較試験において、両者のAUCを算出したとき、実施例14のAUC変動係数が37.0%であるのに対し、カプセル製剤2内容物のAUC変動係数は91.2%であった。このことから実施例14は明らかに吸収のバラツキが小さくなっていることを示している。
これらの結果から、本発明の医薬組成物は、油性成分を含有する従来技術の製剤に比較して、シクロスポリン類の血中濃度に変動が少なく安定に推移することが明らかとなった。このことは、特に、長期投与や副作用との関係上、薬剤レベルの注意深い管理を必要とする免疫抑制剤としての使用において、投薬管理上重要な意義を有する。
Claims (5)
- 油性成分を実質的に含有せず、(a)シクロスポリン類の少なくとも1種、(b)天然又は水素化ヒマシ油とエチレンオキシドの反応物、及び(c)医薬的に許容される炭素数1〜4のアルコールを、(a)〜 (c)3成分の全量を100としてそれぞれ、重量比で(a)6〜40%、(b)20〜70%、(c)10〜60%含有する医薬組成物。
- (d)平均分子量200〜1000のポリエチレングリコールを、 (a)〜(c)成分の全量に対して重量比で0.01倍〜1.2倍量含有する請求項1に記載の医薬組成物。
- 医薬的に許容される炭素数1〜4のアルコールが、エタノール、プロピレングリコール及びグリセロールから選択される1種、又は2ないし3種の混合物である請求項1又は2に記載の医薬組成物。
- コハク化ゼラチンを含むカプセル被膜に請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物を充填したカプセル製剤。
- 内容物容量が50〜300mg である、請求項4に記載のカプセル製剤。
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