JP2005255677A - シクロスポリン製剤 - Google Patents

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信雄 福田
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Abstract

【課題】
簡易かつ安価な製造が可能な上、安定性に優れ、水に接触した際の自己乳化速度が向上され、溶解性並びに薬効のバラツキが減少したシクロスポリン製剤の提供。
【解決手段】
油性成分を実質的に含有せず、(a)シクロスポリン類の少なくとも1種、(b)天然又は水素化ヒマシ油とエチレンオキサイドの反応物、及び(c)医薬的に許容される炭素数1〜4のアルコールを、(a)〜 (c)3成分の全量を100としてそれぞれ、重量比で(a)6〜40%、(b)20〜70%、(c)10〜60%含有する医薬組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、有効成分としてシクロスポリンを含有する製剤に関するものである。
シクロスポリン類は、白癬菌由来の環状ポリ-N-メチル化エンデカペプチドであり、薬理活性として主に免疫抑制、抗炎症、抗寄生虫活性を有する。シクロスポリン類としては最初にシクロスポリンAが単離されたが、現在、A〜Zまでの類縁体が得られている。
シクロスポリンに関する臨床研究の主領域は、免疫抑制剤としての応用であり、特に臓器移植、例えば心臓、肺、心肺同時、肝臓、腎臓、すい臓、骨髄、皮膚及び角膜移植の受容者に対して適用されている。また同時に、様々な自己免疫疾患及び炎症状態、特に自己免疫要素を含む病因による炎症状態、例えばアトピー性皮膚炎、シェーグレン症候群、悪性貧血、関節炎及びリューマチ疾患、乾せん等に対するシクロスポリンの適用性は非常に高く、インビトロ、動物モデル及び臨床試験における報告及び結果は文献に広く記載されている。
シクロスポリンは、高い疎水性を特徴としており、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル等の有機溶媒には良く溶けるが、水にはほとんど溶けない。そのため結晶状態のシクロスポリンを固形製剤の形で経口投与しても消化管からほとんど吸収されず、生体利用率は非常に低い。
シクロスポリンは生体内で幅広い生理機能に関与しているカルシニューリンの阻害剤であり、多量の投与によって予期せぬ作用が認められるなど比較的安全域の狭い薬剤である。また、長期的な多量投与によって起こりうる副作用としては深刻な腎毒性がよく知られている。従って、患者によっては投与量を細かく制限すること、あるいは血中濃度のモニタリングを行ったうえでの臨床使用を余儀なくされることも容易に想定される。このような薬物において投与後の吸収に大きなバラツキが生じることは望ましいことではなく、吸収性や作用効果のバラツキの大きな製剤は臨床使用において重篤な症状を誘起する可能性を否定できない。従って、経口投与における吸収率が良く、なおかつ吸収及び薬効のバラツキが少ないシクロスポリン製剤に対する期待と需要は大きい。
シクロスポリンの経口投与による消化管吸収及び生体利用率を高める製剤として、ミクロエマルジョン前濃縮物が知られている(特許文献1)。この前濃縮物は、界面活性剤を含む油性の液状媒体にシクロスポリンを溶解したものであり、水と接触して、あるいは消化管内で水ないし体液と接触して透明なコロイド状分散液であるo/w型ミクロエマルジョンを形成しシクロスポリンの吸収を向上させるものである。
該文献には、一例として、シクロスポリン、1,2−プロピレングリコール、ミグリオール812(中鎖脂肪酸トリグリセライド)、クレモフォーRH40(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40)、グリセリンモノオレートからなる組成物を水中油型のミクロエマルジョン前濃縮物として用いることにより、シクロスポリンの吸収性が改善されている。
しかしながら、この製剤は組成中の大部分が油性成分及び界面活性剤であるため製剤の粘性が高く、胃内でミクロエマルジョンを形成するのに時間を要し、また胃内の水量あるいは内容物量によりミクロエマルジョン形成に影響を受けやすい。すなわち、個人差や服用時の状況の違いにより、製剤の乳化性、分散性にバラツキが出やすく、そのため、安定な吸収性が得られにくいという問題点がある。
また、同文献に示されている医薬組成物のうち、いくつかの製剤には、主として配合される油性成分に由来する不快な臭いがするものもある。シクロスポリン製剤を用いる治療行為が比較的長期に渡る場合も多いことから、このことは患者にとって大きな負担になりうることも予想するに容易であり、患者が子どもの場合はこの負担は更に大きなものとなるであろう。
また、親油相及び界面活性剤を含有し親水相を含有しない二成分系の製剤、例えば、シクロスポリンA、クレモフォーEL(ポリオキシル35ヒマシ油)、CAPMUL MCM(モノ及びジグリセリルカプリレート/カプレート)、ミグリオール812からなる組成物、とすることにより(特許文献2)、さらには、低HLB油成分及び約10〜20のHLBを有する界面活性剤を含有し親水性溶媒を実質的に含まない自己乳化性プレ濃縮物、例えば、Tween80、クレモフォーRH40、Labrafil M1944CS(Oleoylmacrogol-6 glycerides)にシクロスポリンAを加えた組成物とすることにより、シクロスポリンの吸収性を改善する技術が知られている。
しかしながら、これらの製剤はシクロスポリンの溶解度が高い親水性溶媒を用いていないため、製造時にシクロスポリンを溶解するのに時間、加温等の手間がかかる点、また、シクロスポリンを高濃度で溶解させることができないため製剤自体のボリュームが大きく、経口で服用しにくいので、ノンコンプライアンスの点で問題となる。また、吸収性に関しても、親水性溶媒を用いていないことから自己乳化に時間を要し、組成によってはシクロスポリンが析出してしまうことから、やはり吸収にバラツキを生じやすい。
つまり、バラツキが小さく安定した吸収性を得るためには、水と接触した際に速やかに自己乳化する必要があり、そのためにはシクロスポリンの溶解性が高く製剤の粘性を低下する親水性の有機溶媒が必須であると考えられる。
特公平7−25690号公報 特表2001−515491号公報 特表2002−513750号公報
本発明が解決しようとする課題は、高い安定性を有し、水と接触した際の自己乳化速度が向上した、崩壊性の高いソフトカプセル医薬組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、油性成分を用いず、(a)シクロスポリン、(b)天然又は水素化ヒマシ油とエチレンオキシドの反応物、(c)シクロスポリン溶解性の高いアルコールの組成比を調整することにより、簡易かつ安価な製造が可能な上、従来の製剤と同等以上の安定性を有し、自己乳化速度の向上した組成物が得られること、また、該組成物をカプセルに充填することによって水中で速やかに崩壊するソフトカプセル医薬組成物が得られることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
(1)油性成分を実質的に含有せず、(a)シクロスポリン類の少なくとも1種、(b)天然又は水素化ヒマシ油とエチレンオキシドの反応物、及び(c)医薬的に許容される炭素数1〜4のアルコールを、(a)〜(c)3成分の全量を100としてそれぞれ、重量比で(a)6〜40%、(b)20〜70%、(c)10〜60%含有する医薬組成物。
(2)(d)平均分子量200〜1000のポリエチレングリコールを、(a)〜(c)成分の全量に対して重量比で0.01倍〜1.2倍量含有する上記(1)に記載の医薬組成物。
(3)医薬的に許容される炭素数1〜4のアルコールが、エタノール、プロピレングリコール及びグリセロールから選択される1種、又は2ないし3種の混合物である上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物。
(4)コハク化ゼラチンからなるカプセル被膜に上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の医薬組成物を充填したカプセル製剤。
(5)内容物容量が100〜300mg である、上記(4)に記載のカプセル製剤。
本発明のシクロスポリンを含有する医薬組成物は、優れた安定性を有し、かつ、水に接触した際に速やかに自己乳化し、安定した吸収性を示す。また、本発明の医薬組成物は簡便かつ安価な製造が可能であり、粘性が低いため、製造時のハンドリングの点でも優れている。また、シクロスポリンを高濃度で含有させることができるため、服用の容易な、サイズの小さいカプセル製剤とすることも可能である。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明において、成分(a)は有効成分としてシクロスポリン類から選択される少なくとも1種のシクロスポリンである。ただし、本発明中の「シクロスポリン類」とは、現在知られているA〜Zタイプに限定されるものではなく、これらのシクロスポリン類の構造類似体や誘導体等であってもよい。
成分(b)は天然又は水素化ヒマシ油とエチレンオキシドの反応物であり、好ましくは1分子あたりのエチレンオキシド平均付加モル数が10〜100の天然又は水素化ヒマシ油から選択される1種あるいは2種以上の混合物である。
これらのものの具体的な化合物としては、医薬品添加物規格に収載されている、ポリオキシル(35)ヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油20、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油100、等が挙げられる。
成分(c)は医薬的に許容される炭素数1〜4のアルコールであり、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、t−ブチルアルコール等の1価アルコールやプロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセロール等の多価アルコールから選択される1種、あるいはこれらの混合物が挙げられるが、エタノール、プロピレングリコール、グリセロールが、溶解性、取り扱いの容易性、安全性、あるいは無味、低刺激性等の点で好ましい。
成分(d)は平均分子量200〜1000のポリエチレングリコールであり、具体的には、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール1000等から選択される1種あるいは2種以上の混合物が挙げられるが、取り扱いの容易性、安全性等の点から、常温で液体であり、日本薬局方あるいは医薬品添加物規格等の公定書に収蔵されているポリエチレングリコール200(マクロゴール200)、ポリエチレングリコール300(マクロゴール300)、ポリエチレングリコール400(マクロゴール400)、ポリエチレングリコール600(マクロゴール600)が好ましい。
本発明において最も重要な点は、(a)シクロスポリン類、(b)天然又は水素化ヒマシ油とエチレンオキシドの反応物及び(c)炭素数1〜4のアルコール、及び(d)平均分子量200〜1000のポリエチレングリコールの配合組成比を特定範囲に調整することにより、製剤中のシクロスポリン類が析出することなく、水と接触した際には速やかに自己乳化する、すなわち、従来では成し得なかった製剤の安定性と自己乳化速度を両立した組成物を得たことにある。
本発明の医薬組成物において、(a)、(b)、及び(c)成分の各組成比は、(a)〜 (c)3成分の全量を100としてそれぞれ、重量比で(a)6〜40%、(b)20〜70%、(c)10〜60%であればよく、 (a)8〜35%、(b)30〜65%、(c)20〜55%程度が好ましく、(a)8〜30%、(b) 38〜60%、(c) 24〜50%程度がさらに好ましい。
(a)成分及び(c)成分が該範囲内であっても、(b)成分が、3成分全体の20%未満の場合、水との接触時にシクロスポリン類が析出する傾向があり、70%より大きいと水と接触時の分散速度が非常に遅くなる。
同様に、(a)成分及び(b)成分が本発明の規定範囲内であっても、(c)成分が重量比で3成分全体の10%未満の場合、シクロスポリン類を溶解できないか、あるいは溶解のために加温や超音波撹拌等、手間や時間を要し、また製剤の粘性が非常に高くなるため実用的でなく、60%より大きいと水との接触時にシクロスポリン類が析出する傾向があり好ましくない。
また、(b)天然又は水素化ヒマシ油とエチレンオキサイドの反応物の代わりに親水性界面活性剤である(b’)ポリソルベート80(Tween80)を用いた場合、重量比が(a) 6〜40%、(b') 20〜70%、(c) 10〜60%であっても、水との接触時にシクロスポリン類が析出する傾向が認められた。
すなわち、乳化剤は(b)天然又は水素化ヒマシ油とエチレンオキシドの反応物であることが重要であり、かつ、(a)シクロスポリン類、(b)天然又は水素化ヒマシ油とエチレンオキシドの反応物、(c)医薬的に許容される炭素数1〜4のアルコールの組成比が(a)〜 (c)3成分の全量を100としてそれぞれ、重量比で(a)6〜40%、(b)20〜70%、(c)10〜60%、 好ましくは(a)8〜35%、(b)30〜65%、(c)20〜55%、さらに好ましくは (a)8〜30%、(b) 38〜60%、(c) 24〜50%の範囲内において、最適な安定性や自己乳化性を有する組成物が得られる。
本発明の医薬組成物には、(a)〜 (c)成分の全量に対して重量比で0.01倍〜1.2倍量の(d)平均分子量200〜1000のポリエチレングリコールを含有させることにより、さらに自己乳化性の優れた組成物が得られる。
さらに、本発明における製剤の安定性や自己乳化性を損なわない範囲で、薬学的に許容される他の添加剤、例えば、希釈剤、酸化防止剤、抗菌剤、矯味矯臭剤、(b)成分以外の界面活性剤等、さらには、他の免疫抑制剤、抗炎症剤、ビタミン剤等の医薬成分を含有させることができる。
本発明の組成物は、通常エマルジョンを形成するのに必須と考えられる親油相・油性成分を実質的に含有することなくエマルジョンの形成が可能となったため、製剤の粘性を低く抑えることができ、水への接触時の分散をより速やかにすることができる。
本発明における油性成分とは、油又は油の混合物のHLB(親水性−疎水性バランス、川上法)が3以下、好ましくは5以下である天然又は合成油を意味する。具体例としては、HLBが3以下、好ましくは5以下である中鎖及び長鎖脂肪酸及びそのトリグリセライド又はエステル、HLB3以下、好ましくは5以下である綿実油、ごま油、紅花油、大豆油、とうもろこし油、オリーブ油、ヒマワリ油、仁油、パーム油、へん桃油、ピーナッツ油、ココナッツ油、アメリカホドイモ油等の天然油及びそれらとポリアルキレンポリオールとのエステル交換生成物、等が挙げられる。
本発明の組成物は、水と接触した際に速やかに自己乳化するが、その多くは平均粒径(メジアン径)0.1〜1.0μm、特に、0.2〜0.6μmで比較的シャープな正規分布を示す。
腸管吸収性に関して、平均粒径が0.1μmより小さいミクロエマルジョンの場合吸収率は高いが自己乳化速度が遅くバラツキも大きいため、吸収性にもバラツキが生じやすい。また、平均粒径が1.0μmを超えるエマルジョンになると、自己乳化は速やかに起こりやすいが、吸収効率は低下してしまう。すなわち、本発明に記載の組成物は、粒径と自己乳化速度のバランスが良く、吸収の効率と安定性の両面において非常に優れていると言える。
本発明の組成物は、シクロスポリン類の溶解性が高いアルコールを用いることにより、簡便かつ短時間での調製が可能であり、また特別高価な基材を必要としないため非常に安価な製造が可能である。また、組成物の粘性が低いため、ハンドリングの点でも優れている。加えて、本発明による医薬組成物は概ね無臭かあるいは特異な不快臭を有しておらず、投与時において患者に精神的・肉体的負担を与えることは殆どない。
また、本発明の組成物は経口投与用のカプセル製剤として用いることを主目的としている。
カプセル皮膜としてはアルカリ法ゼラチン、酸性法ゼラチン等を含むゼラチン類、コハク化ゼラチン、酸性骨ゼラチン、水可溶性ゼラチン、グリセリン、D−ソルビトールのいずれか又はこれらの混合物を用いることができるが、製剤の水中崩壊性をより高めるため、コハク化ゼラチンを用いることが好ましい。
ゼラチンをカプセル皮膜として利用する場合は、長期的な保管時においてゼラチンの凝集性のために著しいカプセル皮膜の性質変化が誘起されやすく、それがカプセル崩壊の遅延をもたらし、更には製剤のバイオアベイラビリティーに対して著しい影響を与え得ることが予測される。しかし、コハク化ゼラチンを用いることによって、水への崩壊・溶解性を飛躍的に向上させ、なおかつ長期保存におけるカプセル崩壊遅延を抑制することが出来る。本発明におけるカプセル皮膜中のゼラチン成分のうち、コハク化ゼラチンの割合は特限定されないが、好ましくは20〜100重量%である。
カプセル皮膜は通常の方法によって調製し、カプセル内に、5〜100mg、好ましくは10〜70mgのシクロスポリン類を含有する医薬組成物を、常套方法によって充填して本発明のカプセル製剤とする。
本発明の組成物はシクロスポリン類を高濃度で溶解することができるため、単位投与量として必要十分なシクロスポリン類量を含有しながら、しかも、服用のし易いサイズのカプセル製剤とすることができる。すなわち、一般に、カプセル剤としては、製造時の作業性あるいは患者の服用の容易性の点から、1カプセルあたりの内容物が50〜300mg、好ましくは100〜300 mg、より好ましくは200〜250 mg 程度の大きさが最適とされているが、本発明においては、例えば、シクロスポリンを50mg含有する組成物であっても、内容量200〜250mg程度のカプセル製剤として調製することができる。
これに対し、従来技術、例えば、前述の特許文献1に記載の組成物はシクロスポリン含量を1カプセルあたり50mgとした場合、カプセルの内容量が400〜500mg以上の大きさとなる可能性があり、服用時に困難を伴うことが十分に予測される。
単位投与量を含有する本発明のカプセル製剤は、対象とする疾病の種類、年令、体重、病態、投与方法などによって異なるが、1回当たり1ないし数個を、1日1〜5回投与する。
本発明の医薬組成物を充填したカプセル製剤は、アルミシール、あるいはPTP包装等の任意の包装形態として製品とする。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例に記載の組成物の製造に使用した化合物の製品名及び化学名は、表1のとおりである。
Figure 2005255677
(実施例1〜7)
実施例1〜7の製剤の組成を表2に示す。
Figure 2005255677
(実施例8〜14)
実施例8〜14の製剤の組成を表3に示す。
Figure 2005255677
実施例1の組成物は成分(a)に成分(c)を加えて攪拌し、完全に溶解させ、その溶解液に成分(b)を加え、十分混合して均一にすることにより製造される。実施例2〜13の組成物も同様の方法で製造される。この組成物を常法に従い、ゼラチン皮膜、好ましくはコハク化ゼラチン皮膜に充填することにより、カプセル製剤を得る。
表4及び表5に比較例の製剤の組成を示す。
(比較例1〜5)
Figure 2005255677
(比較例6〜10)
Figure 2005255677
比較例1の組成物は成分(a)に成分(c)を加えて攪拌し、完全に溶解させ、その溶解液に成分(b)を加え、十分混合して均一にすることにより製造される。比較例2〜4の組成物も同様の方法で製造される。比較例5の組成物は成分(a)に成分(c)を加えて攪拌し、完全に溶解させ、その溶解液に成分(b’)を加え、十分混合して均一にすることにより製造される。比較例6の組成物はシクロスポリンAにプロピレングリコールを加えて約50℃水浴中で攪拌しながら完全に溶解させ、その溶解液にユニオックスHC-40、パナセート875、NOFABLE GO-851Sを加え、十分混合して均一にすることにより製造される。比較例7の組成物はシクロスポリンAにトランスクトールPを加えて攪拌し、完全に溶解させ、その溶解液にユニオックスHC-40とラブラフィルM1944CSを加え、十分混合し、最後にコリドン30を加えて十分混合することにより製造される。比較例8の組成物はシクロスポリンAにポリソルベート80を加えて約50℃水浴中で攪拌しながら完全に溶解させ、その溶解液にユニオックスHC-40、ラブラフィルM1944CSを加え、十分混合して均一にすることにより製造される。比較例9の組成物はシクロスポリンAにパナセート875を加えて約50℃水浴中で攪拌しながら完全に溶解させ、その溶解液にNOFABLE GO-851S、クレモフォーELを加え、十分混合して均一にすることにより製造される。比較例10の組成物はシクロスポリンAにトランスクトールPを加え、必要に応じて加温し、撹拌して完全に溶解させ、その溶解液にユニオックスHC−40を加え、十分混合して均一にすることにより製造される。
実施例1〜14の組成物に関して、シクロスポリン溶解性、保存安定性、水と接触した際の分散性ならびに自己乳化速度、分散後のエマルジョンの平均粒径の点から性能を評価した結果を表6及び表7に示す。
<評価方法>
・ シクロスポリン溶解性、保存安定性、水と接触した際の分散性
○:良好、△:微析出、×:析出
・ 自己乳化速度
シクロスポリンAが2.5mg/mLとなるように製剤をイオン交換水に加え、手振とう(上下転倒2回/秒)を行い、完全に均一になるのに要した時間で評価した。
S:30秒以内、A:30秒〜1分、B:1〜3分、C:3〜5分、D:5〜10分、E:10分以上
・ 平均粒径
製剤の自己乳化物を、レーザー回折式粒度分布測定装置の適した濃度範囲内となるようイオン交換水を用いて濃度を調節し、平均粒径を測定した。
Figure 2005255677
Figure 2005255677
比較例1〜10の組成物に関して、実施例と同様に性能の評価を行った。結果を表8及び表9に示す。
Figure 2005255677
Figure 2005255677
比較例1〜4、及び6は(a)〜 (c)成分の組成比が本発明の範囲外にあり、比較例5は(b)成分を、また比較例7〜10は(c)成分を含有せず、かつ、比較例6〜9は油性成分を含有する製剤であるから、これらの実験結果によって、本発明における各成分の組み合わせ及びその組成比が、製剤の保存安定性、分散性、及び自己乳化速度の全てを充足するうえで極めて有効であることが明らかとなった。
(実施例15)
コハク化ゼラチン、グリセリン、酸化チタン、エチルパラベン、プロピルパラベン等を水に溶解し、カプセル被膜とし、実施例 1のシクロスポリン医薬組成物250 mg をカプセル充填機にて充填する常法に従いカプセル製剤1とした。
(比較例11)
油性成分を含有する下記のシクロスポリン製剤処方をゼラチン被膜に充填してカプセル製剤2とした。
(カプセル製剤2)
内容物構成成分:シクロスポリンA(50mg)、エタノール(36mg)、トリグリセリド(130mg)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40(180mg)、トコフェロール(0.15mg)、プロピレングリコール(4mg)
カプセル製剤1とカプセル製剤2についてカプセル崩壊性の評価を行った。
(試験方法)
日本薬局方「崩壊試験法」記載方法に従い、水中におけるカプセル及び内容物の崩壊性について検討した。
崩壊試験機:TMB-8(富山産業)
37℃ の水中において、カプセル製剤1及び2は経時的なカプセル崩壊及び内容物の分散を認め、最終的に水に溶解して均一な懸濁液となった。カプセル製剤1は約8分間で完全に溶解したが、カプセル製剤2のカプセル内容物・皮膜全てが水に溶解するのには約
21分間必要であった。 本データによりカプセル製剤1が油性成分を含有する先行技術によるカプセル製剤2よりも溶解性に優れることを確認した。
次に、カプセル製剤1及びカプセル製剤2を対象として、カプセル内容物の水への移行度合いについて精査した。
(試験方法)
日本薬局方「溶出試験法」記載方法のうちパドル法を適用し、日局記載方法に従い、カプセル製剤中のシクロスポリンAが水に溶出する状態を経時的にモニタリングした。
検出方法:HPLC によるモニタリング
HPLC システム: Shimadzu Class VP
検出波長: 220nm
移動相溶媒: 水 43.9%、アセトニトリル52.9%
t-ブチルメチルエーテル 3.0%、リン酸 2.0%
カラム: TOSO ODS-120T (トーソー)
移動相流速: 1.5 ml/min
溶出試験機: NTR-6100A(富山産業)
溶出試験開始後15分及び60分後のシクロスポリン溶出率を表10に示す。カプセル製剤1及び2は共に試験開始後15分程度でカプセルからのシクロスポリン溶出を認め、経時的に溶出量が増加し、約30分後には定常状態に近くなる傾向を示した。初期溶出時(開始後約15分)におけるカプセル製剤1及び2の溶出率は、両者間で近い値を示しているが、カプセル製剤2のバラツキは極めて大きく、臨床応用時における効果のバラツキに影響する可能性を強く示唆している。シクロスポリン溶出が最大量付近に達する開始後約60分の溶出率は、カプセル製剤1が約99%と高値を示しているのに対して、カプセル製剤2は約80%と有意に低い値であった。本試験において認められたカプセル製剤1の利点は、カプセル製剤2と比較してカプセル製剤1の水への分散性が高いことと、カプセル皮膜にコハク化ゼラチンを利用してカプセル溶解性を飛躍的に向上させたことに起因するものと考えられる。
Figure 2005255677
次に、実施例2、6、14、及び比較例11のカプセル製剤2の内容物について、一定量をラットに胃内投与した後の血中シクロスポリン濃度について精査した。
(試験方法)
使用動物及び頭数:ラット5〜8頭
投与薬剤量:ラット体重に換算してシクロスポリンAが5mg/kg となるように投与する。投与方法:水に懸濁後、ゾンデにて胃内投与する。
採血方法:投与後30分、1、2、4、8、24時間後に約1ml 尾静脈から採血する。
検出方法:二抗体 RIA 法によってシクロスポリンAを定量する。
いずれの場合においても投与後約30分程度で最高血中濃度に達し、以後は経時的な濃度減少を認めた。
実施例6とカプセル製剤2内容物の経時的なシクロスポリン血中濃度の推移を図1に示す。両者は全体的にほぼ同程度の数値を示したが、実施例6の方が血中濃度のバラツキが小さい傾向にあった。両者の AUC を算出したところ、実施例6は6100.5±1130.9ng/ml・h であり、カプセル製剤2内容物は5793.9±2609.4ng/ml・h であった。実施例6の SD(AUC変動係数) はカプセル製剤2内容物のそれと比して約40%であり、吸収のバラツキが明確に少なくなっていることを示している。
また、実施例2とカプセル製剤2内容物の比較を行った場合、実施例2の血中濃度はカプセル製剤2内容物のそれよりもやや高く、AUC はカプセル製剤2内容物の約120% であり、明瞭な吸収率の向上を認めた。
さらに、実施例14とカプセル製剤2内容物の比較試験において、両者のAUCを算出したとき、実施例14のAUC変動係数が37.0%であるのに対し、カプセル製剤2内容物のAUC変動係数は91.2%であった。このことから実施例14は明らかに吸収のバラツキが小さくなっていることを示している。
これらの結果から、本発明の医薬組成物は、油性成分を含有する従来技術の製剤に比較して、シクロスポリン類の血中濃度に変動が少なく安定に推移することが明らかとなった。このことは、特に、長期投与や副作用との関係上、薬剤レベルの注意深い管理を必要とする免疫抑制剤としての使用において、投薬管理上重要な意義を有する。
実施例6と比較例11のカプセル製剤2内容物をラットに投与したときの、シクロスポリン血中濃度の経時的な推移を示す。

Claims (5)

  1. 油性成分を実質的に含有せず、(a)シクロスポリン類の少なくとも1種、(b)天然又は水素化ヒマシ油とエチレンオキシドの反応物、及び(c)医薬的に許容される炭素数1〜4のアルコールを、(a)〜 (c)3成分の全量を100としてそれぞれ、重量比で(a)6〜40%、(b)20〜70%、(c)10〜60%含有する医薬組成物。
  2. (d)平均分子量200〜1000のポリエチレングリコールを、 (a)〜(c)成分の全量に対して重量比で0.01倍〜1.2倍量含有する請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 医薬的に許容される炭素数1〜4のアルコールが、エタノール、プロピレングリコール及びグリセロールから選択される1種、又は2ないし3種の混合物である請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. コハク化ゼラチンを含むカプセル被膜に請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物を充填したカプセル製剤。
  5. 内容物容量が50〜300mg である、請求項4に記載のカプセル製剤。
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