JP2005253400A - チューリップ条斑ウイルスタンパク質をコードする核酸およびその利用 - Google Patents

チューリップ条斑ウイルスタンパク質をコードする核酸およびその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】チューリップ条斑ウイルスタンパク質、該タンパク質をコードする核酸、該核酸の相補鎖である核酸を提供する。
【解決手段】純化したチューリップ条斑ウイルスからその外被タンパク質を精製し、その部分アミノ酸配列を決定した。決定したアミノ酸配列の情報を基に設計したプライマーを用いた逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によりチューリップ条斑ウイルス外被タンパク質をコードするDNAを増幅し、これをクローニングしてその一次構造を決定した。得られた配列情報を基に設計したプライマーを用いたRACE法を実施することにより、チューリップ条斑ウイルス外被タンパク質をコードするDNAを単離するとともに、その一次構造を決定することに成功した。これを利用してチューリップ条斑ウイルス抵抗性植物の作出およびチューリップ条斑ウイルスの感染の診断を行うことが可能である。
【選択図】なし

Description

本発明は、チューリップ条斑ウイルスタンパク質をコードする核酸および該核酸によりコードされるタンパク質、並びにそれらの製造および用途に関する。
チューリップ条斑ウイルス(TuSV)は、全く新しい種類のウイルスである。本ウイルスはチューリップ条斑病の病原ウイルスであり、日本各地のチューリップ産地で発生して大きな問題となっている。本ウイルスの遺伝子情報は明らかとされておらず、的確な遺伝子診断法が確立されていない。
本ウイルス病に対する抵抗性品種は数品種あるがその抵抗性は完全ではない。また,圃場に作付けされる輪作作物等の根でも増殖して圃場の汚染が継続する。そこで、本ウイルスに対する強度抵抗性のチューリップや輪作植物を作出するには、ウイルス遺伝子をチューリップや輪作植物に導入する方法が有用である。そのためにはウイルスの遺伝子配列を決定する必要がある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、チューリップ条斑ウイルスタンパク質、該タンパク質をコードする核酸、該核酸の相補鎖である核酸を提供することにある。また、本発明は、植物におけるチューリップ条斑ウイルスタンパク質の産生または機能の抑制を通じて、植物にチューリップ条斑ウイルスに対する抵抗性を付与することを目的とする。さらに、本発明は、チューリップ条斑ウイルスRNAまたはチューリップ条斑ウイルスタンパク質を検出することによるチューリップ条斑ウイルスの感染を診断する方法を提供することも目的とする。
チューリップ条斑ウイルスはRNAウイルスであり、該ウイルスのタンパク質をコードするDNAまたはそのアンチセンスDNAを植物体内で発現させれば、転写レベルあるいは翻訳レベルでチューリップ条斑ウイルスタンパク質の産生や機能を阻害することができると考えられる(P. F. Tennant, (1994), Phytopathology 84, 1359-1366、C. C. Huntley & T. C. Hall, (1993), Virology 192, 290-297、D. C. Baulcombe, (1996), The Plant Cell, 8, 1833-1844)。
本発明者等は、このような発想に着目してチューリップ条斑ウイルスに対する抵抗性植物を作製するため、チューリップ条斑ウイルスタンパク質をコードする遺伝子の単離を行った。
具体的には、本発明者らは、まず、チューリップ条斑ウイルスを純化し、これをSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に付し、該ウイルスを構成する外被タンパク質を検出した。この検出された外被タンパク質を精製し、ペプチドに分解後エドマン法によりその部分のアミノ酸配列を決定した。さらに、決定したアミノ酸配列の情報を基に設計したプライマーを用いた逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)によりチューリップ条斑ウイルス外被タンパク質をコードするDNAを増幅し、これをクローニングしてその一次構造を決定した。
次いで、チューリップ条斑ウイルスの全外被タンパク質をコードする遺伝子を決定するために、純化ウイルスおよび該ウイルスが感染し明瞭な感染症状を示した葉からRNAを調製し、このRNA分子を用いてRACE法を実施した。その結果、チューリップ条斑ウイルス外被タンパク質をコードする複数のDNA分子を単離するとともに、その一次構造を決定することに成功した。
単離したDNA分子またはそのアンチセンス分子は、その発現により植物体にチューリップ条斑ウイルス抵抗性を付与することが可能である。また、単離したDNA分子の配列情報を基にチューリップ条斑ウイルス特異的プライマーを設計し、これを利用することによりチューリップ条斑ウイルスの遺伝子診断を行うことも可能である。また、得られた配列情報を基に、チューリップ条斑ウイルス外被タンパク質に結合する抗血清を作製して、これをチューリップ条斑ウイルスの血清学的診断法に利用することも可能である。
本発明は、チューリップ条斑ウイルスの遺伝子構造に関する世界で初めての知見を基に完成されたものであり、チューリップ条斑ウイルスタンパク質および該タンパク質をコードする核酸、並びにそれらの製造および用途を提供するものである。
より詳しくは、本発明は、以下の発明を提供するものである。
[1] チューリップ条斑ウイルスの外被タンパク質をコードする下記(a)または(b)のDNA
(a)配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
(b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA
[2] チューリップ条斑ウイルスの外被タンパク質をコードする下記(a)または(b)のRNA
(a)配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするRNA
(b)配列番号:2に記載の塩基配列のコード領域を含むRNA
[3] [2]に記載のRNAの相補鎖であるRNA
[4] [2]または[3]に記載のRNAに相補的なRNAをコードするDNA
[5] [2]または[3]に記載のRNAを特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA
[6] [1]に記載のDNAを含むベクター
[7] [6]に記載のベクターを保持する形質転換細胞
[8] [1]に記載のDNAによりコードされるタンパク質
[9] [8]に記載のタンパク質に結合する抗体
[10] [7]に記載の形質転換細胞を培養し、該形質転換細胞またはその培養上清から発現させたタンパク質を回収する工程を含む、[8]に記載のタンパク質の製造方法
[11] [4]または[5]に記載のDNAを含むベクター
[12] [6]または[11]に記載のベクターを保持する形質転換植物細胞
[13] [12]に記載の形質転換植物細胞を含む形質転換植物体
[14] [13]に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体
[15] [13]または[14]に記載の形質転換植物体の繁殖材料
[16] チューリップ条斑ウイルスの感染を診断する方法であって、植物細胞または土壌における、[2]または[3]に記載のRNA、または[8]に記載のタンパク質を検出することを特徴とする方法
本研究ではTuSV抵抗性の形質転換植物を作出するために、TuSVの外被タンパク質の遺伝子およびその近傍の遺伝子を決定した。本遺伝情報を基にしてTuSV外被タンパク質の遺伝子やその近傍の遺伝子の発現を抑制する分子を構築し、植物に導入することにより、TuSV抵抗性形質転換植物の開発が可能となる。本遺伝情報を基にして設計したTuSV特異的プライマーを利用すれば、TuSVの遺伝診断も可能である。また、得られたTuSV外被タンパク質のアミノ酸配列を基にした合成ペプチドに対する抗血清、あるいは大腸菌で発現させたTuSVの外被タンパクに対する抗血清を作製し、血清学的診断法にも利用できる。
本発明者らにより単離されたチューリップ条斑ウイルスの外被タンパク質をコードするcDNAの塩基配列を配列番号:1に、チューリップ条斑ウイルスの外被タンパク質をコードするRNAの塩基配列を配列番号:2に、該cDNAおよびRNAがコードするタンパク質のアミノ酸配列を配列番号:3に示した。単離したcDNAは907bpの塩基配列からなり、259アミノ酸をコードしていた。これはチューリップ条斑ウイルスの遺伝子およびタンパク質の一次構造を示した初めての例である。
本発明のチューリップ条斑ウイルスの外被タンパク質をコードする核酸には、DNAおよびRNAが含まれる。このDNAにはcDNAおよび化学合成DNAが含まれ、また、RNAにはプラス鎖RNA、mRNA、合成RNAが含まれる。また、本発明のRNAには、プラス鎖RNAの相補鎖であるマイナス鎖RNAが含まれる。
本発明の核酸は、当業者にとって常套手段を利用して調製することが可能である。具体的には、純化ウイルスをSDS-フェノール法などの方法で除タンパク質して調製したRNA、あるいはCTAB法などでウイルス感染葉から抽出した全核酸を鋳型として、本発明の核酸の配列から設計したプライマーあるいはランダムプライマーを用いて逆転写反応を行うことで第一鎖DNAを合成できる。この方法で作製した第一鎖DNAから、Gubler & Hoffman法(U. Gulber & B. J. Hoffman, (1983), Gene 25, 263)により第二鎖DNAを合成し、市販の数々のプラスミドあるいはファージミドベクターにクローニングできる。あるいは、第一鎖DNAを鋳型とし、本発明の核酸の配列から設計したプライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応により本ウイルスのRNAをコードするDNAを増幅し、pGEMR-Tベクターなどを用いたTAクローニング、あるいはプライマーに制限酵素サイトを付けることにより市販の数々のプラスミドベクターにクローニングできる。
本発明の核酸は、組換えタンパク質の調製やチューリップ条斑ウイルス抵抗性植物の作出に利用することもできる。
組換えタンパク質を調製する場合には、通常、本発明のタンパク質をコードするDNAを適当な発現ベクターに挿入し、該ベクターを適当な細胞に導入し、形質転換細胞を培養して発現させたタンパク質を精製する。組換えタンパク質は、精製を容易にするなどの目的で、他のタンパク質との融合タンパク質として発現させることも可能である。例えば、大腸菌を宿主としてマルトース結合タンパク質との融合タンパク質として調製する方法(米国New England BioLabs社発売のベクターpMALシリーズ)、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として調製する方法(Amersham Pharmacia Biotech社発売のベクターpGEXシリーズ)、ヒスチジンタグを付加して調製する方法(Novagen社のpETシリーズ)などを利用することが可能である。宿主細胞としては、組換えタンパク質の発現に適した細胞であれば特に制限はなく、上記の大腸菌の他、発現ベクターを変えることにより、例えば、酵母、種々の動植物細胞、昆虫細胞などを用いることが可能である。宿主細胞へのベクターの導入には、当業者に公知の種々の方法を用いることが可能である。例えば、大腸菌への導入には、カルシウムイオンを利用した導入方法(M. Mandel, & A. Higa, (1970), Journal of Molecular Biology, 53, 158-162、D. Hanahan, (1983), Journal of Molecular Biology, 166, 557-580)を用いることができる。宿主細胞内で発現させた組換えタンパク質は、該宿主細胞またはその培養上清から、当業者に公知の方法により精製し、回収することができる。組換えタンパク質を上記したマルトース結合タンパク質などとの融合タンパク質として発現させた場合には、容易にアフィニティー精製を行うことが可能である。
得られた組換えタンパク質を用いれば、これに結合する抗体を調製することができる。例えば、ポリクローナル抗体は、精製した本発明のタンパク質若しくはその一部のペプチドをウサギなどの免疫動物に免疫し、一定期間の後に血液を採取し、血ぺいを除去した血清より調製することが可能である。また、モノクローナル抗体は、上記タンパク質若しくはペプチドで免疫した動物の抗体産生細胞と骨腫瘍細胞とを融合させ、目的とする抗体を産生する単一クローンの細胞(ハイブリドーマ)を単離し、該細胞から抗体を得ることにより調製することができる。これにより得られた抗体は、本発明のタンパク質の精製や検出などに利用することが可能である。本発明の抗体には、抗血清、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、およびこれら抗体の断片が含まれる。
チューリップ条斑ウイルス抵抗性植物を作出する場合には、チューリップ条斑ウイルスタンパク質の産生や機能を抑制するDNAを植物細胞に導入し、これにより得られた形質転換細胞を植物体に再生させればよい。
チューリップ条斑ウイルスタンパク質の産生や機能を抑制するDNAとしては、チューリップ条斑ウイルスタンパク質をコードするプラス鎖RNAまたはその相補鎖であるマイナス鎖RNAのいずれかにハイブリダイズするRNAをコードするDNAを用いることができる。
ウイルスゲノムのプラス鎖RNAにハイブリダイズするRNAをコードするDNAとしては、本発明者らにより単離された配列番号:3に記載の外被タンパク質をコードするRNA(好ましくは配列番号:2に記載のRNA)に相補的なアンチセンスRNAをコードするDNAが挙げられる。
ウイルスゲノムのマイナス鎖にハイブリダイズするRNAをコードするDNAとしては、本発明者らにより単離された配列番号:3に記載の外被タンパク質をコードするRNA(好ましくは配列番号:2に記載のRNA)の相補鎖に相補的なセンスRNAをコードするDNAを用いることができる。このようなDNAには、上記プラス鎖RNAまたはマイナス鎖RNAに対する、アンチセンスRNA、dsRNA、あるいはマイクロRNAをコードするDNAを例示することができる。
ここで「相補的」とは、チューリップ条斑ウイルスタンパク質の産生を有効に阻害できる限り、完全に相補的でない場合も含まれる。転写されたRNAは、標的とするチューリップ条斑ウイルスのプラス鎖RNAまたはマイナス鎖RNAに対して好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上(96,97,98,99%以上)の相補性を有する。ここで「相補性」とは、2つの配列の対応する領域を、相補的塩基対の数が最大となるように整列させた場合における、該領域における全塩基数に対する相補的塩基対を形成した塩基数の%である。
効果的に標的遺伝子の発現を阻害するには、上記アンチセンスRNAやセンスRNAの長さは、少なくとも15塩基以上であり、好ましくは20塩基以上であり、通常、1kbよりも短い。
また、チューリップ条斑ウイルスタンパク質の産生を抑制するDNAとしては、チューリップ条斑ウイルスのプラス鎖RNAまたはマイナス鎖RNAの少なくとも一方の鎖を切断するリボザイムをコードするDNAを用いることも可能であると考えられる。
リボザイムとは触媒活性を有するRNA分子のことをいう。リボザイムには種々の活性を有するものがあるが、中でもRNAを切断する酵素としてのリボザイムの研究により、RNAの部位特異的な切断を目的とするリボザイムの設計が可能となった。リボザイムには、グループIイントロン型や、RNasePに含まれるM1RNAのように400ヌクレオチド以上の大きさのものもあるが、ハンマーヘッド型やヘアピン型と呼ばれる40ヌクレオチド程度の活性ドメインを有するものもある(小泉誠および大塚栄子, (1990), 蛋白質核酸酵素, 35:2191)。
例えば、ハンマーヘッド型リボザイムの自己切断ドメインは、G13U14C15のC15の3'側を切断するが、活性にはU14が9位のAと塩基対を形成することが重要とされ、15位の塩基はCの他にAまたはUでも切断されることが示されている(M. Koizumi et al.,(1988), FEBS Lett.228:225)。リボザイムの基質結合部を標的部位近傍のRNA配列と相補的になるように設計すれば、標的RNA中のUC、UUまたはUAという配列を認識する制限酵素的なRNA切断リボザイムを作出することが可能である(M.Koizumi et al.,(1988), FEBS Lett. 239:285、小泉誠および大塚栄子,(1990), 蛋白質核酸酵素, 35:2191、 M. Koizumi et al., (1989), Nucleic Acids Res. 17:7059)。例えば、本発明のRNA(配列番号:2のプラス鎖RNAまたはその相補鎖であるマイナス鎖RNA)中には標的となりうる部位が複数存在する。
また、ヘアピン型リボザイムも、本発明の目的のために有用である。ヘアピン型リボザイムは、例えばタバコリングスポットウイルスのサテライトRNAのマイナス鎖に見出される(J.M.Buzayan, Nature, 323:349,1986)。このリボザイムも、標的特異的なRNA切断を起こすように設計できることが示されている(Y.Kikuchi & N.Sasaki, (1992), Nucleic Acids Res. 19:6751、 菊池洋, (1992) 化学と生物 30:112)。
標的を切断できるよう設計されたリボザイムは、植物細胞中で転写されるようにカリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーターなどのプロモーターおよび転写終結配列に連結される。しかし、その際、転写されたRNAの5'末端や3'末端に余分な配列が付加されていると、リボザイムの活性が失われてしまうことがある。このようなとき、転写されたリボザイムを含むRNAからリボザイム部分だけを正確に切り出すために、リボザイム部分の5'側や3'側に、トリミングを行うためのシスに働く別のトリミングリボザイムを配置させることも可能である(K.Taira et al., (1990), Protein Eng. 3:733、A.M.Dzianott & J.J.Bujarski, (1989), Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 86:4823、 C.A.Grosshans & R.T.Cech, (1991), Nucleic Acids Res. 19:3875、 K.Taira et al., (1991), Nucleic Acids Res. 19:5125)。また、このような構成単位をタンデムに並べ、標的遺伝子内の複数の部位を切断できるようにして、より効果を高めることもできる(N.Yuyama et al., (1992), Biochem.Biophys.Res.Commun.186:1271)。このようなリボザイムを用いて本発明で標的となる遺伝子の転写産物を特異的に切断し、該遺伝子の発現を抑制することができる。
植物細胞の形質転換に用いられるベクターとしては、該細胞内で挿入されたDNAを発現させることが可能なものであれば特に制限はない。例えば、植物細胞内での恒常的な遺伝子発現を行うためのプロモーター(例えば、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター)を有するベクターや、外的な刺激により誘導的に活性化されるプロモーターを有するベクターを用いることも可能である。好適なベクターとしては、例えば、pBIバイナリーベクターが挙げられる。ベクターの導入される「植物細胞」には、種々の形態の細胞、例えば、懸濁培養細胞、プロトプラスト、球根や葉の切片、カルスなどが含まれる。
植物細胞へのベクターの導入は、ポリエチレングリコール法、ポリカチオン法、電気穿孔法(エレクトロポーレーション)、アグロバクテリウムを介する方法、パーティクルガン法など当業者に公知の種々の方法を用いることができる。例えば、文献(S. Z. Pang et al., (1996), The Plant Journal 9: 899-909)に記載の方法は好適な方法の一例である。
形質転換植物細胞からの植物体の再生は、細胞の種類に応じて当業者に公知の方法で行うことが可能である。好適な再生の方法としては、例えば、文献(S. Enomoto, et al., (1990), Plant Cell Reports 9:6-9)に記載の方法が挙げられる。
一旦、ゲノム内に本発明のDNAが導入された形質転換植物体が得られれば、該植物体から有性生殖により子孫を得ることが可能である。また、該植物体やその子孫あるいはクローンから繁殖材料(例えば、種子、球根、株、カルス、プロトプラスト等)を得て、それらを基に該植物体を量産することも可能である。本発明には、本発明のDNAが導入された植物細胞、該細胞を含む植物体、該植物体の子孫およびクローン、並びに該植物体、その子孫、およびクローンの繁殖材料が含まれる。
また、本発明は、チューリップ条斑ウイルスの感染を診断する方法を提供する。本発明の診断方法の一つの態様は、プライマーあるいはプローブを利用したチューリップ条斑ウイルスのプラス鎖RNAまたはマイナス鎖RNAを検出することを特徴とする方法である。このようなプローブやプライマーとしては、配列番号:2に記載のチューリップ条斑ウイルスタンパク質をコードするRNAまたはその相補鎖であるRNAに相補的な少なくとも15ヌクレオチドからなる核酸を用いることができる。該核酸は、好ましくは配列番号:2に記載のチューリップ条斑ウイルスタンパク質をコードするRNAに特異的にハイブリダイズするDNAである。
プライマーやプローブは必要に応じて標識されていてもよい。標識としては、例えば、放射標識が挙げられる。
この診断においては、例えば、チューリップ条斑ウイルスに感染したことが疑われる植物、本ウイルスを含む土壌から被検試料を調製し、該試料に対し、上記のプライマーを用いた逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)法あるいは上記のプローブを利用したノーザンブロッティング法を実施すればよい。
本発明の診断方法の他の一つの態様は、抗体を利用したチューリップ条斑ウイルスタンパク質を検出することを特徴とする方法である。この診断に用いる抗体の調製は、例えば、得られたアミノ酸配列(配列番号:3)から抗原領域を推定してペプチドを合成し、KLHあるいはBSAなどのキャリアタンパクに結合させ、これをウサギに免疫することにより調製することができる。また、QIAexpress Type IVKit (QIAGEN社)を用いて、大腸菌で発現させたチューリップ条斑ウイルスの外被タンパク質をヒスチジンでタッギングし、得られたタンパク質をウサギに免疫することにより調製することもできる。抗体は、必要に応じて標識されていてもよい。標識としては、例えば、酵素標識が挙げられる。また、抗体自体を直接標識しなくとも、抗体に結合する物質、例えば、プロテインAなどを介して標識して、目的のタンパク質を検出してもよい。
この診断においては、例えば、チューリップ条斑ウイルスに感染したことが疑われる植物、本ウイルスを含む土壌から被検試料を調製し、該試料に対し、上記の抗体を用いてELISA法あるいはウエスタンブロット法を実施すればよい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
[実施例1] チューリップ条斑ウイルスの外被タンパク質遺伝子のクローニング
2000年に富山県のチューリップ圃場より採集した発病株をタバコに汁液接種し、増殖したウイルスをタバコでさらに増殖させてウイルス純化材料とした。本ウイルスは極めて不安定で、粗汁液中の感染性が急速に低下するが、これに還元剤である亜硫酸ナトリウムを添加して氷水上で維持することによって、汁液接種によるタバコ上でのウイルス継代と増殖が可能になる。タバコ感染葉をリン酸緩衝液中で磨砕し、IGEPAL CA-630処理を行った後、ショ糖クッション遠心およびCs2SO4の密度勾配遠心し、ウイルス画分を得た。得られるウイルス量はタバコ感染葉1kgあたり5〜50μgであり、一般の植物ウイルスに比べてはるかに微量なことから、非常に純化が困難なウイルスであると言える。本純化法で得られた純化ウイルスをSDS-ポリアクリルアミドゲルで電気泳動すると、31kDaの一本のバンドが検出される。純化したウイルス粒子または精製したウイルスタンパク質をウサギに免疫して、ウイルス抗血清を得た。この抗血清は、ウエスタンブロット法またはELISA法により、ウイルス感染植物と特異的に反応した。
ウイルス核酸の抽出は、純化ウイルスをフェノール/クロロホルム処理後、エタノール沈殿で行った。1stcDNAの作製にはランダムプライマーを用い、First-strand cDNA Synthesis Kit (amersham pharmacia biotech)によって作製した。
ペプチドマップ作成によるTuSV外被タンパク質の内部アミノ酸配列の決定は以下のようにして行った。純化TuSVを13% SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動後クマジー染色し、31kDaの目的のバンドを切り出し、トリプシンでゲル内消化した。処理後、逆相HPLCによるペプチドマッピングにより得たパターンのうち数パターンについてアミノ酸の配列を決定した。
得られた数種のアミノ酸配列のうち、TAESIISRを基に3F-1プライマー(5’-ACNTGGGARTCNATHATH-3’/配列番号:4)、FAELAYRを基に2R-1プライマー(5’-CGRTANGCNAGYTCNGCRAA-3’/配列番号:5)を設計した。これらのプライマーを混合して、KOD-DashあるいはKOD-Plus DNA Polymerase(TOYOBO)を用いてPCRを行い、得られた約360bpのPCR産物をpUC19プラスミドのSmaI部位に挿入し、大腸菌DH5αに導入し、形質転換した大腸菌からPCR産物を含むプラスミドを抽出精製してシーケンスした。これにより得られた塩基配列は、先に決定したアミノ酸配列をコードしていたことから、外被タンパク質をコードする配列の一部であることが判明した。
次に、得られた配列を基に外被タンパク質遺伝子の全配列を決定するために、RACE法(Rapid Amplification of cDNA Ends)に用いるプライマーを設計した。まず外被タンパクのN末端方向を5’RACE法で決めるため、5R-2プライマー(5’-GCTAAGGAGCCAACTACGTCC-3’/配列番号:6)を作り、感染葉あるいは純化試料から抽出RNAを鋳型として用い、5R-2プライマーを用いて5’Race System(Invitorogen)によって、約420bpのPCR産物を得た。得られたPCR産物は前述のようにクローニングし、塩基配列を決定した。
さらに、外被タンパクのC末端方向では外被タンパク質のmRNAにポリAが付加されていることが予想されたので、oligo dTプライマーで感染葉から抽出したRNAを鋳型としてcDNA合成を行った。次に、3R-2プライマー(5’-GCTGCATGGATGAGGTGGG-3’/配列番号:7)と、oligo dTにSmaI部位を付加したdT/SmaIプライマー(5’-CTCGATATCCCGGGTTTTTTTTTTTTTTTTTT-3’/配列番号:8)を作り、cDNAから約500bpのPCR産物を得た。
以上の方法により、配列番号:1に示した907bpの塩基配列を決定した。本遺伝子は54塩基より翻訳がスタートし、配列番号:3に示した259残基のアミノ酸をコードしていた。

Claims (16)

  1. チューリップ条斑ウイルスの外被タンパク質をコードする下記(a)または(b)のDNA。
    (a)配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするDNA
    (b)配列番号:1に記載の塩基配列のコード領域を含むDNA
  2. チューリップ条斑ウイルスの外被タンパク質をコードする下記(a)または(b)のRNA。
    (a)配列番号:3に記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするRNA
    (b)配列番号:2に記載の塩基配列のコード領域を含むRNA
  3. 請求項2に記載のRNAの相補鎖であるRNA。
  4. 請求項2または3に記載のRNAに相補的なRNAをコードするDNA。
  5. 請求項2または3に記載のRNAを特異的に開裂するリボザイム活性を有するRNAをコードするDNA。
  6. 請求項1に記載のDNAを含むベクター。
  7. 請求項6に記載のベクターを保持する形質転換細胞。
  8. 請求項1に記載のDNAによりコードされるタンパク質。
  9. 請求項8に記載のタンパク質に結合する抗体。
  10. 請求項7に記載の形質転換細胞を培養し、該形質転換細胞またはその培養上清から発現させたタンパク質を回収する工程を含む、請求項8に記載のタンパク質の製造方法。
  11. 請求項4または5に記載のDNAを含むベクター。
  12. 請求項6または11に記載のベクターを保持する形質転換植物細胞。
  13. 請求項12に記載の形質転換植物細胞を含む形質転換植物体。
  14. 請求項13に記載の形質転換植物体の子孫またはクローンである、形質転換植物体。
  15. 請求項13または14に記載の形質転換植物体の繁殖材料。
  16. チューリップ条斑ウイルスの感染を診断する方法であって、植物細胞または土壌における、請求項2または3に記載のRNA、または請求項8に記載のタンパク質を検出することを特徴とする方法。
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