JP2005249753A - ナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析法およびその装置 - Google Patents

ナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析法およびその装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005249753A
JP2005249753A JP2004064725A JP2004064725A JP2005249753A JP 2005249753 A JP2005249753 A JP 2005249753A JP 2004064725 A JP2004064725 A JP 2004064725A JP 2004064725 A JP2004064725 A JP 2004064725A JP 2005249753 A JP2005249753 A JP 2005249753A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lens
fine particles
flat plate
gap
fine
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004064725A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4068581B2 (ja
Inventor
Hitoshi Watarai
渡會  仁
Hideaki Monjushiro
秀昭 文珠四郎
Masahiro Hatta
政宏 八田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Agency
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Agency filed Critical Japan Science and Technology Agency
Priority to JP2004064725A priority Critical patent/JP4068581B2/ja
Publication of JP2005249753A publication Critical patent/JP2005249753A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4068581B2 publication Critical patent/JP4068581B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Sampling And Sample Adjustment (AREA)

Abstract

【課題】 本発明は、簡便な装置で、高分子からDNA、タンパク質、細胞などの広範囲の微粒子、特に生体微粒子のサイズの測定・サイズによる分離・粒子数の測定が可能な測定方法、分離方法、及びそのための装置を提供する。
【解決手段】 本発明は、レンズと平板の間に形成される空隙を利用して微粒子をそのサイズにより分離・分析法であって、レンズと平板の間に形成される両者の距離が連続的に小さくなる空隙部分に微粒子を含む溶液を注入し、当該微粒子を含む溶液中の微粒子をレンズの中心方向に向かって移動させ、当該微粒子がその大きさに応じた空隙の部分にトラップされることを利用して、微粒子をサイズによって分離し、微粒子がトラップされた位置の空隙間の距離を前記レンズと平板の間の光の干渉によって生じるニュートンリングによって測定することを特徴とする微粒子のサイズの分離・分析法、及びそのためのサイズ分離分析装置に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、レンズと平板の間に形成される両者の距離が連続的に小さくなる空隙部分を利用して微粒子のサイズによる分離・分析を行う方法、及びそのための装置に関するものである。より詳細には、本発明は、レンズと平板の間に形成される空隙を利用して微粒子をそのサイズにより分離・分析する方法であって、レンズと平板の間に形成される両者の距離が連続的に小さくなる空隙部分に微粒子を含む溶液を注入し、当該微粒子を含む溶液中の微粒子をレンズの中心方向に向かって移動させ、当該微粒子がその大きさに応じた空隙の部分にトラップされることを利用して、微粒子をサイズによって分離し、微粒子がトラップされた位置の空隙間の距離を前記レンズと平板の間の光の干渉によって生じるニュートンリングによって測定することを特徴とする微粒子のサイズ分離・分析法、及びそのためのサイズ分離分析装置に関する。
生物分析の分野では、ゲノム解析計画の進展とともに、DNAの塩基配列決定に加え、種々のDNAの分析技術が開発され、遺伝子の機能を解明し医薬品開発や病気治療に役立てようとする動きが活発化してきている。分析対象はゲノムに関する長いDNAに加えて、遺伝子診断や遺伝子発現プロフィル分析を目的とした比較的短いDNAに広がっている。これに対応して、計測手段も蛍光検出ゲル電気泳動に加えて、質量分析、DNAプローブアレー(DNAチップ)による計測などが用いられるようになった。DNA分析の原理としては、ゲル電気泳動のように分子篩い効果を利用してサイズ分離をするもの、長さを直接計測するもの、重さを測定するもの、あるいはDNAの相補鎖形成機能を利用するものなどがある。しかし、DNA分析で現在主流であるゲル電気泳動(非特許文献1参照)では、40kbpを超えるような大きなDNAを分離することは非常に困難である。また、大きなDNAにも適用可能なパルスフィールドゲル電気泳動(非特許文献2参照)においては、測定時間が数十時間以上かかるという欠点がある。また、それらの方法はDNAのみにしか適用ができず、未知の微粒子試料には利用できない。光散乱による微粒子のサイズ測定(非特許文献3参照)が行われているが、試料の分離は不可能である。また、最近ではマイクロチップを用いて、DNAを中心とした微粒子のサイズ測定やサイズ分離も試みられているが(非特許文献4参照)、まだ実用には至っていない。
DNA分子をSTM(Scanning Tunneling Microscope)、AFM(Atomic Force Microscope)やLFM(Lateral Force Microscope)などで直接測定することも提案されているが、塩基を識別できる程度の分解能が得られず、せいぜい塩基中の二環性のプリン環と単環性のピリミジン環を識別できる程度である。このような技術の改良法としては、塩基対の解離の際に生じる振動を検出して塩基対を識別する方法も提案されている(特許文献1参照)。また、DNA分子の両端に蛍光マーカーを付してアガロースゲル中で泳動させて両端のマーカーを測定してDNA分子の長さを測定する方法も提案されている(特許文献2参照)。
また、本発明者らは、微小物体の分離方法としては、電場と磁場を垂直方向にかけて微小物体を泳動させる方法を提案してきた(特許文献3参照)。
また、微小な空間の距離や、面の微小な形状を測定する装置として干渉計が用いられてきている。この方法は、17世紀にニュートンにより見出された光の干渉によるものであり、ニュートンはこれによりレンズの曲率半径を測定したといわれている(ニュートンリング)。現在では、レーザー光を用いたレーザー干渉計により微小な空間の距離や、面の微小な形状を測定する装置が実用化されている。
ニュートンリングを応用した技術としては、磁気ヘッドの変位を計測する方法(特許文献4参照)や、レンズの偏心を計測する方法(特許文献5参照)などが提案されている。
このようにニュートンリングを応用した技術としては、微小な空間の距離や、面の微小な形状を測定する方法は提案されているが、分子や粒子を測定する方法に応用した例は見あたらない。
特開平10−85000号 特開平5−322899号 特開2000−105218号 特開昭62−195712号 特開平9−269277号 Jann Noolandi, Jean Rousseau, Gary W. Slater, Phys. Rev. Lett. 1987, 58, 2428-2431 H J S DAWKINS, J. Chromatogr. 1989, 492, 615-639 R. Todorov, K. Starchev, S. P. Stoylov, Electrophoresis 2001, 22 , 39-42 M. Foquet, J. Korlach, W. Zipfel, W. W. Webb, H. G. Craighead, Anal. Chem. 2002, 74, 1415-1422
本発明は、簡便な装置で、単一微粒子レベルで、高分子からDNA、タンパク質、細胞などの広範囲の微粒子、特に生体微粒子(マイクロメータからナノメータレベル)のサイズの測定・サイズによる分離・粒子数の測定が可能な測定方法、分離方法、及びそのための装置を提供するものである。
本発明者らは、簡便な方法で、かつ精度よくμmオーダーからnmオーダーまでの幅広い範囲の微粒子(高分子分子を含む)を分離し、分析できる方法について鋭意検討してきた。この検討の過程で、干渉計などに使用されているニュートンリングの応用に着目することにし、これを利用して微粒子の分離・分析できるか否かを実験したところ、極めて精度良く分離・分析できることを見出し本発明に至った。
即ち、本発明は、レンズと平板の間に形成される空隙を利用して微粒子をそのサイズにより分離・分析法であって、レンズと平板の間に形成される両者の距離が連続的に小さくなる空隙部分に微粒子を含む溶液を注入し、当該微粒子を含む溶液中の微粒子をレンズの中心方向に向かって移動させ、当該微粒子がその大きさに応じた空隙の部分にトラップされることを利用して、微粒子をサイズによって分離し、微粒子がトラップされた位置の空隙間の距離を前記レンズと平板の間の光の干渉によって生じるニュートンリングによって測定することを特徴とする微粒子のサイズの分離・分析法に関する。
また、本発明は、前記した本発明の方法を行うための微粒子のサイズ分離分析装置であって、レンズと平板の間に形成される空隙の距離を制御できる手段、レンズと平板の間の当該空隙部分に微粒子を含む溶液を注入する手段、当該微粒子を含む溶液中の微粒子をレンズの中心方向に向かって移動させる手段、及び当該微粒子がトラップされた位置の空隙間の距離を前記レンズと平板の間の光の干渉によって生じるニュートンリングによって測定する手段を含む微粒子のサイズ分離分析装置に関する。
本発明の微粒子のサイズによる分離・分析法は、レンズと平板の間に形成される空隙、さらに必要に応じてこれを制御して適当な間隔を有する空隙とし、これに微粒子を含む溶液を注入し、当該微粒子をレンズの中心方向に移動させるのであるが、前記微粒子を含む溶液を乾燥させる、即ち溶媒を室温又は加熱により留去させることによって、溶媒、例えば水の乾燥に伴う表面張力を利用して微粒子を移動させることができ、レンズの中心部へ移動するにつれてレンズと平板の間の距離が小さくなり、微粒子はそのサイズに応じた距離の箇所で移動できなくり、レンズと平板に間にトラップされることになる。即ち、微粒子のサイズに応じた位置で微粒子の移動が停止されるので、微粒子の大きさそのものを用いることによってサイズによる分離・分析を行うことができ、微粒子の分離効率、分離速度を顕著に向上させることができる。
また、微粒子を移動させる手段としては、これに限定されるものではなく、使用微粒子の物性や、サイズにより、電場や磁場をかけて移動させてもよい。
さらに、本発明の方法は、平板として透明ガラスを用いた場合には、前記レンズとガラス平板間のナノ空隙間の前記微粒子を顕微鏡(光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、光の吸収・散乱を測定する顕微鏡システムなど)を用いて検出し、記録することができる。
本発明によれば、肉眼では観察不可能なナノメートルオーダーの微粒子の動きを観察することができるため、溶媒、例えば水の蒸発にともなって移動する微粒子がレンズとガラス平板間にトラップされる様子などを観察したりできるため、より詳細に微粒子の挙動を把握してより効率よく迅速に微粒子を分離することが可能となる。
本発明の方法における、前記レンズの形状は、円形平凸レンズ、あるいは半円柱平凸レンズがあげられるが、これに限定されるものではない。レンズと平板のような2種類の科学的に安定な物質からなる材料で、表面が滑らかで、両者により両者の距離が連続的に小さくなる空隙を形成できる材料であれば、特に制限はない。本明細書においてはレンズと表現しているが、必ずしも光学的な意味でのレンズである必要はなく、連続的に距離を変化させることができる材料であれば、本明細書で言うレンズに該当するものである。このような材料は、光の干渉縞を観測できるものでなければならないことから、少なくとも一方は透明である必要があるが、他方は、本明細書では平板と言うが、必ずしも透明である必要はない。しかしながら、顕微鏡などで、可視光線での観察を意図する場合には両者とも透明であることが望ましい。材質としては、ガラスが透明性、科学的安定性、光学特性などの点で好ましいが、プラスチックや金属酸化物などであってもよい。
また、レンズの形状が、例えば、円形平凸レンズを使用する場合は、微粒子がレンズとガラス平板間に円形にトラップされる。また、半円柱平凸レンズを使用する場合は、微粒子がレンズとガラス平板間に直線状にトラップされる。このように、レンズは微粒子の回収のしやすさなどを考慮して形状や材質の様々なものを使用し得る。
本発明の微粒子のサイズによる分離分析装置は、前記した本発明の方法を実施できるものであれば特に制限はないが、例えば、
レンズと、
ガラス平板と、
ピエゾ素子と、
前記ピエゾ素子に電圧をかける手段と、
前記レンズ、ガラス平板、ピエゾ素子を固定するための手段と、
前記レンズとガラス平板間のナノ空隙に微粒子を含む溶液を流す手段と、
前記溶液を乾燥させることによって前記微粒子を移動させる手段と、
前記微粒子をレンズとガラス平板間のナノ空隙にトラップさせる手段と、
を含むものが挙げられる。
また、本発明の微粒子のサイズによる分離分析装置は、
さらに、前記レンズとガラス平板間のナノ空隙の前記微粒子を検出する顕微鏡、
とを含むこともできる。
また、本発明の装置におけるレンズの形状としては前記してきたものが使用できる。
本発明の分離・分析方法の原理は、レンズと平板により形成される空隙、さらに必要によりこれを制御して空隙をつくり、その中へ微粒子を含む溶液を注入し、溶液のみを乾燥させることによって微粒子を中心に向かって移動させ、大きな粒子はより外側でレンズとガラス平板間のナノ空隙にトラップされるが、小さな粒子はより内側までトラップされないということを利用して微粒子のサイズ分離分析を行うものである。さらに、その微粒子のサイズ測定を、光の干渉によって生じるニュートンリングを用いることによって測定する。即ち、本発明は、レンズとガラス平板を用いて制御可能な空隙をつくり、それを用いて粒子のサイズ自身を利用してサイズ分離分析を行う新しい方法・装置を開発したものである。本発明によれば、通常の方法では分離不可能な環境微粒子や生体微粒子の単一粒子レベルでも分離が可能となる。
以下、本発明の実施態様に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
本発明により実現されるレンズとガラス平板間のナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析法とは、レンズとガラス平板を接触、または近づけることによって狭い空隙をつくり、その中で溶媒に分散させた微粒子をコントロールすることによって粒子のサイズ分離を行う。図1にこの概要を示す。図1の下側がレンズであり、上側が平板のカバーガラスを示している。図1はこの両者の間の空隙に、微粒子を含有する溶液が注入された状態を模式的に示すものである。
図1のように微粒子を外側から中心に向かって移動させると、大きな粒子はより外側でレンズ-カバーガラス間にトラップされるが小さい粒子はより内側でトラップされる。このときの粒子のトラップされる位置の違いによって分離が可能かつレンズ-カバーガラス間の距離の測定によって粒子のサイズ測定が可能となる。粒子を中心に向かって移動させる力としては、電気泳動、誘電泳動などのさまざまな外力が考えられるが、今回は溶媒の蒸発に伴うキャピラリーフォースを用いた。レンズとガラス平板間における溶媒(水)の蒸発は中心に向かって、メニスカスを形成しながら進んでいく。このとき、水のような粘度の高い溶媒では粒子を取り込みながら進んでいく。この現象を利用して微粒子を中心に向かって移動させる。
図2は、図1に例示したレンズとカバーガラス間の距離を光の干渉を用いて測定を行う概念図である。レンズとカバーガラスを用いた干渉はニュートンリングとして観測される。カバーガラスを上、レンズを下に配置し、上から光を照射すると、カバーガラスの下の面での反射光(自由端反射)とレンズの上の面での反射光(固定端反射)が強め合えば明線、弱め合えば暗線として観測される。一般に、光路差(下式では2hで示される。)が波長の整数倍の場合には明るい線として観察され、光路差が波長の整数倍+波長/2の場合には暗い線として観察される。ニュートンリングの場合の光路差(2h)と、観測される明るい線と暗い線の関係は以下の式で示される。
ここで、hはレンズ−カバーガラス間距離、rは中心からの距離、Rはレンズの曲率半径、λは光の波長である。
図3は、本発明によるレンズとガラス平板間のナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析装置で用いるデバイスを示す概略図である。図3の左側の上段は図1に示す装置を顕微鏡に設置したときの横から見た様子を示し、左側に下段は、これを上から見た様子を示す。図3の右側は、図1に示すセットにピエゾ素子を設置した様子の拡大図を示している。レンズとピエゾ素子は接着剤で固定されている。
図4は、本発明によるレンズとガラス平板間のナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析装置の全体像の例を示す概略図である。図4の上側はCCDカメラが設置されたモニター及び記録用のビデオを示し、得られた画像記録からのデータを処理するためのコンピューター(パソコン(PC))を示す。図4の左側の中段には光源としての水銀ランプが示され、この光源からの光は、フィルターを通してミラーにより反射され、本発明のレンズと平板のセットに照射される。この反射光は、対物レンズを通して、前記CCDカメラにより記録される。本発明のレンズと平板のセットにはこの空隙を制御するための空隙制御デバイスが取り付けられている。レンズに接着されているピエゾ素子は図4の下側のピエゾドライバーにより制御される。
本発明によるレンズとガラス平板間のナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析装置を用いて、その性能および効果を確認するために、1種類および4種類の粒径が異なる微粒子を含む溶液を用いてサイズの測定および分離の実験を行った。
試料液としては、粒径6μm、3μm、1μm、0.5μmの4種類のポリスチレン粒子を、水に分散させたものを使用した。
本実験では、本発明によるレンズとガラス平板間のナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析装置に直径3mm、曲率半径7.78mmの平凸レンズを用いた。また、ガラス平板としては顕微鏡のカバーガラスを使用した。また、レンズとガラス平板間はレンズの凸部分の中心がちょうど接触した状態で測定を行った。また、試料溶液注入後、水は自然に乾燥させた。
この測定結果を図5及び図6に図面に代わる写真で示す。図5は、粒径3μmのポリスチレン粒子のみの、図6は粒径6μm、3μm、1μm、0.5μmの4種類のポリスチレン粒子混合試料の測定後の様子である。図5では、レンズの周辺部の丁度3μmの箇所に微粒子がきれいにトラップされている様子を確認することができる。光の干渉による測定から得られた値が2.84±0.09μmであり、実際のポリスチレンの粒径2.836±0.136μmに非常に近い値を示した。また、図6でも同様に、4種類がほぼ分離されている様子が確認できる。
このように本発明の方法、装置によれば、微粒子のサイズによってこれらをきれいに分離し、分析することができ、しかもニュートンリングによりこれらをトラップされた位置における距離、即ち微粒子のサイズを測定することが可能となる。
即ち、本発明は、レンズと平板の間に形成される空隙を利用して微粒子をそのサイズにより分離・分析法であって、レンズと平板の間に形成される両者の距離が連続的に小さくなる空隙部分に微粒子を含む溶液を注入し、当該微粒子を含む溶液中の微粒子をレンズの中心方向に向かって移動させ、当該微粒子がその大きさに応じた空隙の部分にトラップされることを利用して、微粒子をサイズによって分離し、微粒子がトラップされた位置の空隙間の距離を前記レンズと平板の間の光の干渉によって生じるニュートンリングによって測定することを特徴とする微粒子のサイズの分離・分析法を提供するものである。
また、本発明は、前記した本発明の分離・分析方法を行うための微粒子のサイズ分離分析装置であって、レンズと平板の間に形成される空隙の距離を制御できる手段、レンズと平板の間の当該空隙部分に微粒子を含む溶液を注入する手段、当該微粒子を含む溶液中の微粒子をレンズの中心方向に向かって移動させる手段、及び当該微粒子がトラップされた位置の空隙間の距離を前記レンズと平板の間の光の干渉によって生じるニュートンリングによって測定する手段を含む微粒子のサイズ分離分析装置を提供するものである。
本発明における、平板としては、平面が滑らかで光を反射できるものであればよいが、顕微鏡のカバーガラスのような透明ガラスが好ましい。
本発明の微粒子を含む溶液中の微粒子をレンズの中心方向に向かって移動させる方法としては、電場や磁場による力による方法も可能であるが、溶媒の蒸発による方法が簡便で好ましい。溶媒が室温で蒸発する場合には、特に加熱は必要無いが、必要により加熱装置を設けることもできる。溶媒としては水が簡便で好ましいが、これに限定されるものではない。また、微粒子を含む溶液としては、溶液状であっても懸濁状であってもよい。さらに必要により増粘剤のような添加剤を添加することもできる。
本発明におけるレンズと平板の間の空隙における微粒子の状況を観察するための手段として、顕微鏡を使用することができる。顕微鏡としては微粒子の状況を観察し、可視化できるものであれば特に制限はない。また、本発明のレンズと平板の間の空隙における微粒子がトラップされた位置を光の干渉により測定することができ、このための手段を備えることもできる。このための光源としては単一波長の光源であれば、特に制限はないが、好ましくはレーザー光が挙げられる。市販の干渉計を適用することもできる。
本発明のレンズとしては、平板との間に連続的に両者の距離を変化させることができる曲率を有するものであればよく、その形状としても特に制限はないが、円形平凸レンズ、あるいは半円柱平凸レンズなどの各種の形状のものを採用することができる。さらに、分離する微粒子の量に応じて、各種の大きさのものを使用することができるが、一般的には顕微鏡で測定可能な大きさが好ましい。
また、本発明においては、必要に応じてレンズと平板の間の空隙にトラップされ、サイズに応じて分離された微粒子を、分取する手段を設けることもできる。分取する手段としては、微粒子の性質によるが、平板又はレンズに分離された位置に微粒子が固着されるようにすることにより、固着された微粒子を固着箇所から回収して分取することもできる。
本発明のレンズと平板の間の空隙は、レンズと平板により形成されるものであるが、分離・分析する微粒子のサイズによりこの距離を調節することもでき、これを調節するための制御手段を有することもできる。この制御は、微粒子のサイズによるが、一般的には、ナノメーターの精度で制御できることが好ましい。
本発明の装置には、必要に応じて微粒子が分離された状態を記録できる手段を設けることができる。このような記録手段としては、CCDカメラによる方法や写真撮影などが挙げられる。また、ビデオなどにより微粒子の挙動を連続的に記録することもできる。さらに、記録された状況を分析し、データ化してコンピューターにより処理することも可能である。
本発明による装置や方法は、微粒子の分離法や分離装置として、環境および保健分野、機能性素材の製造分野、食品・衛生分野などで広く利用され得るものである。
本明細書では、様々な実施様態で本発明の原理を説明してきたが、本発明は本明細書に記載した実施例や実施態様に限定されず幾多の変形および修正を施すことが可能であり、これら変形および修正されたものも本発明に含まれることを理解されたい。
本発明の方法は、分子篩い機能を利用することによって、単一微粒子レベルで、高分子からDNA、タンパク質、細胞などの広範囲の生体微粒子(マイクロメータからナノメータレベル)のサイズの測定・サイズによる分離・粒子数の測定などを、簡便な装置で、しかも短時間で、さらにサイズの大きさを光路差により極めて正確に測定可能となる。
また、本発明の方法は、微粒子のサイズに応じてレンズ状ガラス半球体とガラス基板の距離をナノメータレベルの精度で制御することにより、微粒子のサイズに応じた分離・分析をすることも可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
試料
試料液としては、粒径6μm、3μm、1μm、0.5μmの4種類のポリスチレン粒子を、水に分散させたものを使用した。
測定
本実験では、本発明によるレンズとガラス平板間のナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析装置に直径3mm、曲率半径7.78mmの平凸レンズを用いた。また、ガラス平板としてはカバーガラスを使用した。また、レンズとガラス平板間はレンズの中心部がちょうど接触した状態で測定を行った。また、試料溶液注入後、水は自然に乾燥させた。
測定結果
図5は、粒径3μmのポリスチレン粒子のみの、図6は粒径6μm、3μm、1μm、0.5μmの4種類のポリスチレン粒子混合試料の測定後の様子である。図5ではきれいにトラップされている様子が確認でき、光の干渉による測定から得られた値も2.84±0.09μmと、実際のポリスチレンの粒径2.836±0.136μmに非常に近い値を示した。また、図6では4種類がほぼ分離されている様子が確認できる。
本発明は、高分子やDNA、タンパク質、細胞などの広範囲の生体微粒子などの微粒子をそのサイズに応じて簡便に分離・分析できる方法及び装置を提供するものであり、しかも、従来は分析が困難であるとされていた大きな微粒子についても同様に分離・分析を行うことができる方法及び装置を提供するものであり、微粒子の分離・分析分野において産業上極めて有用なものである。
図1は、レンズとガラス平板間の空隙とその空隙に注入された微粒子を含む溶液の概念図である。 図2は、レンズとガラス平板間での光の干渉が起こるときの概念図である。 図3は、本発明によるレンズとガラス平板間のナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析装置で用いるデバイスを示す概略図である。 図4は、本発明によるレンズとガラス平板間のナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析装置の全体を示す概略図である。 図5は、本発明によるレンズとガラス平板間のナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析装置を用いて粒径3μmのポリスチレン粒子のみの測定を行ったときの結果を示す図面に代わる写真である。 図6は、本発明によるレンズとガラス平板間のナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析装置を用いて粒径6μm、3μm、1μm、0.5μmの4種類のポリスチレン粒子混合試料の測定を行ったときの結果を示す図面に代わる写真である。

Claims (18)

  1. レンズと平板の間に形成される空隙を利用して微粒子をそのサイズにより分離・分析する方法であって、レンズと平板の間に形成される両者の距離が連続的に小さくなる空隙部分に微粒子を含む溶液を注入し、当該微粒子を含む溶液中の微粒子をレンズの中心方向に向かって移動させ、当該微粒子がその大きさに応じた空隙の部分にトラップされることを利用して、微粒子をサイズによって分離し、微粒子がトラップされた位置の空隙間の距離を前記レンズと平板の間の光の干渉によって生じるニュートンリングによって測定することを特徴とする微粒子のサイズの分離・分析法。
  2. 平板が、透明ガラスである請求項1に記載の方法。
  3. 微粒子を含む溶液中の微粒子をレンズの中心方向に向かって移動させる方法が、溶媒の蒸発による方法である請求項1又は2に記載の方法。
  4. レンズと平板の間の空隙の微粒子を顕微鏡を用いて検出する請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. レンズの形状が、円形平凸レンズ、あるいは半円柱平凸レンズである請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. レンズと平板の間の空隙にトラップされ、サイズに応じて分離された微粒子を、分取する方法を含む請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. レンズと平板の間の空隙が、ナノメーターの精度で制御されている請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の方法を行うための微粒子のサイズ分離分析装置であって、レンズと平板の間に形成される空隙の距離を制御できる手段、レンズと平板の間の当該空隙部分に微粒子を含む溶液を注入する手段、当該微粒子を含む溶液中の微粒子をレンズの中心方向に向かって移動させる手段、及び当該微粒子がトラップされた位置の空隙間の距離を前記レンズと平板の間の光の干渉によって生じるニュートンリングによって測定する手段を含む微粒子のサイズ分離分析装置。
  9. 平板が、透明ガラスである請求項8に記載の装置。
  10. 微粒子を含む溶液中の微粒子をレンズの中心方向に向かって移動させる手段が、加熱又は室温による溶媒の蒸発による手段である請求項8又は9に記載の装置。
  11. レンズと平板の間の空隙の微粒子を観察することができる手段を有する請求項8〜10のいずれかに記載の装置。
  12. 微粒子を観察することができる手段が、顕微鏡である請求項11に記載の装置。
  13. レンズの形状が、円形平凸レンズ、あるいは半円柱平凸レンズである請求項8〜12のいずれかに記載の装置。
  14. レンズと平板の間の空隙にトラップされ、サイズに応じて分離された微粒子を、分取する手段を含む請求項8〜13のいずれかに記載の装置。
  15. レンズと平板の間の空隙の距離を制御できる手段が、ナノメーターの精度で制御可能である手段である請求項8〜14のいずれかに記載の装置。
  16. 微粒子が分離された状態を記録できる手段を含む請求項8〜15のいずれかに記載の装置。
  17. 記録できる手段が、写真撮影である請求項16に記載の装置。
  18. 微粒子がトラップされた位置の空隙間の距離を前記レンズと平板の間の光の干渉によって生じるニュートンリングによって測定する手段に使用する光源が、レーザー光である請求項8〜17のいずれかに記載の装置。

JP2004064725A 2004-03-08 2004-03-08 ナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析法およびその装置 Expired - Fee Related JP4068581B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004064725A JP4068581B2 (ja) 2004-03-08 2004-03-08 ナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析法およびその装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004064725A JP4068581B2 (ja) 2004-03-08 2004-03-08 ナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析法およびその装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005249753A true JP2005249753A (ja) 2005-09-15
JP4068581B2 JP4068581B2 (ja) 2008-03-26

Family

ID=35030342

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004064725A Expired - Fee Related JP4068581B2 (ja) 2004-03-08 2004-03-08 ナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析法およびその装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4068581B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010537203A (ja) * 2007-08-24 2010-12-02 アドヴァンスト リキッド ロジック インコーポレイテッド 液滴アクチュエータでのビーズ操作
US9869658B2 (en) 2014-07-22 2018-01-16 International Business Machines Corporation Electronic label free detection of DNA complexes using nanogap
CN111272709A (zh) * 2020-02-25 2020-06-12 中国矿业大学 一种矿物与气泡或油滴间液膜薄化装置
CN112280649A (zh) * 2020-10-16 2021-01-29 南开大学 一种基于倾斜光纤光栅光镊的细胞分选仪

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6245667B2 (ja) 2014-01-28 2017-12-13 国立大学法人大阪大学 観察装置、及び測定方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010537203A (ja) * 2007-08-24 2010-12-02 アドヴァンスト リキッド ロジック インコーポレイテッド 液滴アクチュエータでのビーズ操作
US9869658B2 (en) 2014-07-22 2018-01-16 International Business Machines Corporation Electronic label free detection of DNA complexes using nanogap
US10753903B2 (en) 2014-07-22 2020-08-25 International Business Machines Corporation Electronic label free detection of DNA complexes using nanogap
CN111272709A (zh) * 2020-02-25 2020-06-12 中国矿业大学 一种矿物与气泡或油滴间液膜薄化装置
CN112280649A (zh) * 2020-10-16 2021-01-29 南开大学 一种基于倾斜光纤光栅光镊的细胞分选仪
CN112280649B (zh) * 2020-10-16 2022-05-10 南开大学 一种基于倾斜光纤光栅光镊的细胞分选仪

Also Published As

Publication number Publication date
JP4068581B2 (ja) 2008-03-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220341872A1 (en) Method and apparatus for detecting particles, like biological macromolecules or nanoparticles
Shi et al. Active delivery of single DNA molecules into a plasmonic nanopore for label-free optical sensing
Henry et al. Correlated structure and optical property studies of plasmonic nanoparticles
EP3789753B1 (en) Method and device for measuring thermo-optical characteristics of fluorescently marked particles in a solution
Lincoln et al. Deformability‐based flow cytometry
Leslie et al. Convex lens-induced confinement for imaging single molecules
Lesser-Rojas et al. Low-copy number protein detection by electrode nanogap-enabled dielectrophoretic trapping for surface-enhanced Raman spectroscopy and electronic measurements
US10048193B2 (en) Convex lens-induced confinement for measuring distributions of molecular size
Olof et al. Measuring nanoscale forces with living probes
Chen et al. Charge-gated transport of proteins in nanostructured optical films of mesoporous silica
US20110036719A1 (en) Determination of particle properties
Nakano et al. Temporal and spatial temperature measurement in insulator-based dielectrophoretic devices
Park et al. Biaxial dielectrophoresis force spectroscopy: A stoichiometric approach for examining intermolecular weak binding interactions
JP2022525916A (ja) 散乱顕微鏡による検査
JP4068581B2 (ja) ナノ空隙制御による微粒子のサイズ分離分析法およびその装置
Gadd et al. Sizing subcellular organelles and nanoparticles confined within aqueous droplets
Huang et al. Multiplexed spectral signature detection for microfluidic color-coded bioparticle flow
US10379114B2 (en) Nondegenerate two-wave mixing for identifying and separating macromolecules
Ajiri et al. Silica Nanopillar arrays for monitoring diffraction-based label-free biomolecule separation
Croop et al. Recent advancement of light‐based single‐molecule approaches for studying biomolecules
Yue et al. Easy method to determine refractive indices of microspheres and in micro-regions of inhomogeneous media
Meng et al. Sensing force and charge at the nanoscale with a single-molecule tether
Kirmani et al. Dielectrophoretic spectroscopy using a microscopic electrode array
Leslie et al. Fields, and Adam E
EP3523629B1 (en) Nondegenerate two-wave mixing for identifying and separating macromolecules

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061128

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071221

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080108

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080110

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110118

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120118

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130118

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140118

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees