JP2005246610A - 記録媒体および記録媒体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 短波長のレーザが照射されることで、データの書き込みまたは読み込みがなされる記録媒体であって、基板11と、基板11に高純度の鉄が成膜されてなり、アモルファスの鉄を主成分とする記録層12と、記録層12を保護する保護層13を備えた記録媒体10Aおよび記録媒体10Aの製造方法である。
【選択図】 図1
Description
また、特許文献2には、TeFeCo(希土類、遷移金属合金膜)や、GeSbTe、AgInSbTe等を含む記録層を有する記録媒体が提案されている。
さらにまた、特許文献1および特許文献2に記載のGe、Sb、Te等の元素は、希少である上、有害性を有しているため取扱いが困難であった。
このような記録媒体によれば、高純度の鉄を成膜してなり、アモルファスの鉄を主成分とするを主成分とする記録層を備えたことで、レーザが照射された記録層の部分がFe2O3に変化することで、データが書き込まれる。つまり、レーザが照射された記録層は、局所的に化学変化する。したがって、記憶媒体の温度が上昇しても、書き込まれたデータは消失しにくくなり、データ読み取り時の誤作動も少なくなり、安定してデータの読み取りが可能となる。
また、稀少元素でなく有害でない鉄を使用するため、記録媒体の取扱いは容易となる上、その処分も容易となり環境にも優しくなる。さらに、記録層は、高純度の鉄を成膜してなるため、表面粗さが小さくなり、データの書き込み、読み込み時における誤作動が少なくなり安定する。
第1実施形態に係る記録媒体について、図1および図2を参照して説明する。図1は、第1実施形態に係る記録媒体の構造を示す断面図である。図2(a)から図2(f)は、第1実施形態に係る記録媒体の製造方法において使用する高純度鉄の一製造工程を段階的に示す工程図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る記録媒体10Aは、基板11と、この基板11の片面に順に形成された記録層12と、保護層13とを備えて構成されている。
基板11は、本発明においては特に限定されないが、一般にはポリカーボネイト(PC)によって形成される。
記録層12は、アモルファス(非結晶状態)の鉄を主成分として、基板11の上側片面に薄層状で形成されている。記録層12には、前記アモルファスの鉄以外に、Fe3O4などが含まれている。記録層12は、後記する製造方法によって、純度99.99%以上の高純度鉄が、スパッタリング法等によって、基板11に成膜することで形成される。そして、記録層12に後記書き込みレーザが照射されると、記録層12は局所的に主成分であるアモルファスの鉄からFe2O3に化学変化(組成変化)し、データを書き込み可能となっている。そして、このように化学的に組成変化することで、記録媒体10Aの温度が上昇してもデータが消失しにくく、誤作動を防止可能となっている。
さらに、後記するように記録層12は、稀少元素でなく有害でない鉄を使用して形成されるため、記録媒体10Aの取扱いおよびその処分も容易となり、環境にも優しくなる。
保護層13は、記録層12を保護するための層であり、記録層12の上側に薄層状で形成されている。したがって、保護層13により、記録層12は物理的な衝撃等から保護されると共に、保護層13によって記録層12は外気中の酸素と直接的に接触しないため、記録層12の主成分であるアモルファスの鉄の酸化が防止されている。すなわち、保護層13によって、記録層12の組成変化が防止されている。このような保護層13は、例えばZnO−SiO2、ZnO、In2O3、Al2O3、Ga2O3などよって形成することができる。
続いて、第1実施形態に係る記録媒体10Aの作用効果について、記録媒体10Aにデータを書き込むデータ書き込み時と、データを読み込むデータ読み込み時に分けて説明する。
図1に示すように、記録媒体10Aの基板11側から書き込みレーザが照射されると、書き込みレーザが照射された部分において、記録層12が、主成分であるアモスファスの鉄から局所的にFe2O3に組成変化(化学変化)し、データが書き込まれる。また、このデータの書き込みにおいて、記録層表面12aの表面粗さRaは2.00nm以下であるため、書き込みレーザはいたずらに錯乱しにくくなり、安定して記録層12にデータが書き込まれる。なお、書き込みレーザは、後記読み込みレーザに対して高出力であり、例えば、5〜10mWである。
データが書き込まれた記録媒体10Aに、図1に示すように、基板11側からデータ読み込み用レーザ(以下、読み込みレーザという)が照射されると、記録層12においてアモルファスの鉄とFe2O3との組成の違いによる結晶構造の違いに基づいて、読み込みレーザが散乱する。この散乱に対応して、記録層12にて反射する反射光の出力が変化する。そして、この透過光を、ビームスプリッタ、レンズ等を介して集光し、適宜な検出器(図示しない)で検出することで、記録媒体10Aに書き込まれたデータを読み込むことができる。
次に、第1実施形態に係る記録媒体10Aの製造方法について説明する。まず、記録媒体10Aの製造方法において使用する高純度鉄の製造方法の一例を説明した後、記録媒体10Aの製造方法について説明する。
高純度鉄の一製造方法について、図2を参照して説明する。高純度鉄の製造方法は、硫酸第1鉄(FeSO4)を主成分とする第1電解液を用い第1の高純度鉄を第1カソード上に析出させる第A工程と、第1の高純度鉄と第1カソードを分離させる分離工程と、塩化第1鉄(FeCl2)を主成分とする第2電解液を用い第2の高純度鉄を第2カソード上に析出させる第B工程を有している。
図2(a)に示すように、電解槽30に硫酸第1鉄(FeSO4)を主成分とする第1電解液ES1(硫酸酸性浴、硫酸浴とも呼ばれる)を所定量満たし、この第1電解液ES1中に、第1アノード21と第1カソード22を所定間隔で、所定高さ位置に保持する。ここではわかりやすくするため、1対の第1アノード21と第1カソード22について説明する。
第1アノード21、第1カソード22は、天井に設けられた移動式クレーン等により吊り下げられ、鉛直方向、水平方向に移動自在となっている。そして、第1アノード21、第1カソード22は、外部電源(図示しない)と接続しており、第1アノード21、第1電解液ES1、第1カソード22を経由する電気的回路が構成されている。
また、第1アノード21は、純鉄、粗鋼等からなり鉄を主成分として形成されている。一方、第1カソード22は、耐液性および後記第1の高純度鉄23の剥離性を考慮し、ステンレス製であることが好ましい。
したがって、第A工程により、コバルト(Co)、銅(Cu)の含有量の少ない第1の高純度鉄23を製造することができる。
次に、分離工程について説明する。
所定時間経過後、通電を停止し、図2(c)に示すように、第1アノード21と第1の高純度鉄23が析出した第1カソード22を、第1電解液ES1から引き上げる。そして、例えば、第1カソード22に衝撃等を与え、第1カソード22と第1の高純度鉄23とを分離させる。すなわち、第1の高純度鉄23を第1カソード22から剥離する。
次に、第B工程について説明する。
図2(d)に示すように、前記した第1カソード22から分離した第1の高純度鉄23を第2アノード24として使用する。そして、第2アノード24と、第2カソード25とを、電解槽31に貯溜された塩化第1鉄(FeCl2)を主成分とする第2電解液ES2(塩酸酸性浴、塩酸浴とも呼ばれる)中に、所定間隔で所定高さ位置に設置する。第2カソード25は、第1カソード22と同様、ステンレス製である。
また、第B工程では、第2電解液ES2中に硫黄(S)は含まれないため、第2電解液ES2が第2の高純度鉄26に巻き込まれても、第2の高純度鉄26中に硫黄(S)が含有されることはない。
さらに、塩化第1鉄(FeCl2)を主成分とする第2電解液ES2では、第2カソード25上に析出する第2の高純度鉄26の表面は平滑となり易いため、第2電解液の巻き込みが少なくなる。したがって、第2の高純度鉄26中の不純物の量が少なくなる。
次に、このような高純度鉄を使用する記録媒体10Aの製造方法について、図1を参照して説明する。
第1実施形態に係る記録媒体10Aの製造方法は、基板11に高純度鉄を成膜して記録層12を形成する第1工程と、記録層12の上面に保護層13を形成する第2A工程とを有している。
以下、各工程について説明する。
PC等から形成された基板11に、スパッタリング法によって、純度99.99%以上の高純度鉄を蒸着させることで成膜し、アモルファスの鉄を主成分とする記録層12を形成する。これにより、記録層12にも不純物はほとんど含まれず、不純物が核となって結晶が成長し、記録層12の記録層表面12aに露出することもない。すなわち、記録層12の主成分であるアモルファスの鉄内に、微量の異元素が入り込むこともなく、歪みも生じにくくなる。その結果として、記録層表面12aが平滑となり、平均粗さRaが2.0nm以下となる。また、鉄の融点は1540℃と高く、Fe2O3は強固に結合するため、記録層表面12aは平滑となる。なお、記録層12の厚さは、スパッタリング法において使用するスパッタリングガスの流量と、スパッタリングを行う時間とによって、容易に調整可能である。
次いで、スパッタリング法によって、記録層12の上面にZnS−SiO2などを蒸着させて、保護層13を形成する。なお、保護層13の厚さは、前記した記録層12の厚さと同様、スパッタリングガスの流量と、時間とによって、容易に調整可能である。
続いて、第2実施形態に係る記録媒体について、図3を参照して説明する。図3は、第2実施形態に係る記録媒体の構造を示す断面図である。
図3に示すように、第2実施形態に係る記録媒体10Bは、第1実施形態に係る保護層13に代えて、レーザが反射しやすい反射層14を備えたことを特徴とする。この反射層14によって、レーザの反射量は増加するため、安定してデータを読み込むことができる。
反射層14は、記録層12の上面に薄層状で形成されている。反射層14は、例えば銀(Ag)、アルミニウム(Al)、金(Au)、白金(Pt)などから形成することができる。
次に、記録媒体10Bの作用効果について説明する。
図3に示すように、記録媒体10Bへのデータの書き込み時においては、書き込みレーザが、記録媒体10Bの基板側から入射すると、第1実施形態と同様に、記録層12において局所的にFe2O3に化学変化することによって、データが書き込まれる。
記録媒体10Bの製造方法は、第1実施形態に係る記録媒体10Aの製造方法における保護層13を形成する第2A工程に代えて、反射層14を形成する第2B工程を有する。
記録層12が形成された基板11を対象として、スパッタリング法により、銀(Ag)をターゲットとして、記録層12の上面に所定厚さで蒸着し、保護層13を形成することで、記録媒体10Bを製造することができる。
(1−1)記録媒体の製造
まず、実施例1に係る記録媒体の製造方法について説明する。基板としてガラス製の基板(つまり、ガラス板)を使用し、このガラス製基板の片面にRFマグネトロンスパッタリング装置((株)トクダ社製、CFE−8EP)を使用して、表1に示す条件にて、ターゲットとなる高純度鉄を蒸着し、これを実施例1(蒸着直後)とした。すなわち、実施例1は、照射される書き込みレーザの熱により、記録媒体が受ける影響を擬似的に測定するため、一般に使用されるPC製の基板に代えてガラス基板を使用し、このガラス基板の片面に記録層を形成した記録媒体である。
(1−2−1)アニーリング処理(熱処理)
電気炉を使用し、実施例1を540℃、10分間にて、アニーリング処理を行った。ここで、このアニーリング処理は、レーザによる記録媒体の記録層への書き込みを想定して行う処理である。なぜなら、PC製の基板に記録層が形成された一般の記録媒体にレーザが照射されたとき、このレーザによりデータが記録される部分は非常に小さなスポットであるため、スポットにおける透過率を測定することが極めて困難であり、レーザの照射により、透過率がどの程度変化するか測定できないからである。
実施例1(蒸着直後)と、実施例1(アニーリング処理後)について、それぞれ記録層の表面粗さを、AFMにて測定した。また、XRD測定により、記録層の結晶構造を測定した。
また、実施例1(蒸着直後)と、実施例1(アニーリング処理後)について、基板側からレーザを照射し、通過した透過光を所定の検出器で検出することによって(光透過方式)、アニーリング処理前後における透過率の測定を行った。なお、レーザの波長は300から700nmに変化させた。透過率の測定結果を図4に示し、図5にアニーリング処理前後における透過率の差を示す。
(2−1)記録媒体の製造
次に、実施例2に係る記録媒体の製造方法について説明する。実施例2に係る記録媒体の製造方法は、PC(ポリカーボネイト)製の基板を使用し、記録層の厚さを30nmとした以外は、実施例1に係る記録媒体の製造方法と同じである。
実施例3に係る記録媒体の製造方法は、記録層の厚さを40nmとした以外は、実施例2に係る記録媒体の製造方法と同じである。
続いて、実施例2および実施例3について、CNR測定器((株)シバソク社製、LM330A)を使用して、書き込みレーザの書き込み出力0〜8(mW)に変化させ、次の表2に示す条件にて、CNRを測定した。測定結果を図6に示す。なお、CNRは、一般に測定値が小さいほどノイズが高く、逆に測定値が大きいほどノイズが小さいとされ、記録媒体ではCNRが45dB以上であることが好ましいとされている。
(3−1)記録媒体の製造
次に、実施例4に係る記録媒体の製造方法は、実施例2に係る製造方法の後、記録層の表面に、スパッタリング法によりZnS−SiO2を蒸着させ、厚さ50nmの保護層を形成し、これを実施例4とした。
実施例5は、実施例4と比較して保護層を100nmとし、実施例6は保護層の厚さを150nmとした。
続いて、実施例4から実施例6について、実施例2および実施例3と同様に、CNR測定器を利用して、CNRを測定した。なお、書き込みレーザの書き込み出力は0〜10mWとした。
ここで、実施例1から実施例6について、主たる測定結果と合わせて、次の表3にまとめて示す。
(4−1)実施例1の評価結果
(4−1−1)表面粗さ測定結果、XRD測定結果
AFMによって測定された実施例1(蒸着直後)の記録層表面の表面粗さRaは、0.97nmであり、実施例1(アニーリング処理後)の記録層表面の表面粗さRaは1.33nmであった。これは、アニーリング処理を行うことによって、記録層を形成する粒子径が大きくなったためと考えられる。そして、実際のメディア(PC製基板の記録媒体)においても、レーザが照射されたとき、粒子径が大きくなると予想されるが、これまでの知見により、レーザを照射したときに生成する粒子径(一般にピット径という)は、約0.26μmである。
また、XRD測定によって、実施例1(蒸着直後)はアモルファス鉄を主成分とし、実施例1(アニーリング処理後)はFe2O3を主成分とすることが確認された。
図4より、アニーリング処理を施すことによって、透過率が低下したことが分かる。また、図5より、レーザの波長を405nmとした場合の透過率差が19.6%となり、一般に好適レベルとされる15%を大きく超えることが分かった。
図6より、実施例2および実施例3のいずれにおいても、一般に良好とされるCNRが45dB以上となる範囲を有することが分かった。また、記録層の厚さによって、CNRのピークはずれており、厚さの薄い実施例2(30nm)の方が、実施例3(40nm)より低い書き込み出力で書き込み可能であることがわかる。なお、低い書き込み出力で書き込み可能であると、記録媒体にデータを書き込む書き込み装置を小型化したり、書き込み装置の省エネルギー化、高価なブルーレーザを長寿命化することができる。
図7より、記録媒体が保護層を備えることで、一般に好適レベルとされるCNRが45dB以上となる範囲がさらに拡がることが分かった。詳細には、保護層が厚くなるにつれて、CNRが45dB以上となる書き込み出力の範囲が、プラス側に拡がることが分かった。すなわち、書き込み出力の範囲がプラス側に拡がることで、大きい書き込み出力であっても、記録層が破壊せずに書き込み可能となる。
11 基板
12 記録層
13 保護層
14 反射層
Claims (7)
- 短波長のレーザが照射されることで、データの書き込みまたは読み込みがなされる記録媒体であって、
基板と、
当該基板に高純度の鉄が成膜されてなり、アモルファスの鉄を主成分とする記録層と、
を備え、
前記レーザが照射された前記記録層の部分がFe2O3に変化することで、データが書き込まれることを特徴とする記録媒体。 - 前記高純度の鉄は、純度99.99%以上であることを特徴とする請求項1に記載の記録媒体。
- 前記記録層の表面粗さRaは、2nm以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の記録媒体。
- 前記記録層を保護する保護層を、さらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の記録媒体。
- 前記レーザを反射させる反射層を、さらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の記録媒体。
- 短波長のレーザが照射されることで、データの書き込みまたは読み込みがなされる記録媒体の製造方法であって、
基板に高純度の鉄を成膜し、アモルファスの鉄を主成分とする記録層を形成する工程を有することを特徴とする記録媒体の製造方法。 - 前記高純度の鉄は、純度99.99%以上であることを特徴とする請求項6に記載の記録媒体の製造方法。
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JP2004055746A JP2005246610A (ja) | 2004-03-01 | 2004-03-01 | 記録媒体および記録媒体の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010262688A (ja) * | 2009-04-30 | 2010-11-18 | Jx Nippon Oil & Energy Corp | 光学フィルター及びそれを用いた光記録媒体 |
-
2004
- 2004-03-01 JP JP2004055746A patent/JP2005246610A/ja active Pending
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