JP2005245403A - アポトーシス調節活性を測定する方法、及びアポトーシス調節活性を有する化合物のスクリーニング方法 - Google Patents

アポトーシス調節活性を測定する方法、及びアポトーシス調節活性を有する化合物のスクリーニング方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005245403A
JP2005245403A JP2004064670A JP2004064670A JP2005245403A JP 2005245403 A JP2005245403 A JP 2005245403A JP 2004064670 A JP2004064670 A JP 2004064670A JP 2004064670 A JP2004064670 A JP 2004064670A JP 2005245403 A JP2005245403 A JP 2005245403A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
plk3
substrate
phosphorylation
phosphorylated
antibody
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004064670A
Other languages
English (en)
Inventor
Akiko Fukuzawa
章子 福澤
Katsuyuki Tamai
克之 玉井
Toshiaki Miyazaki
敏昭 宮崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
CycLex Co Ltd
Original Assignee
CycLex Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by CycLex Co Ltd filed Critical CycLex Co Ltd
Priority to JP2004064670A priority Critical patent/JP2005245403A/ja
Publication of JP2005245403A publication Critical patent/JP2005245403A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】 p53依存性アポトーシスの調節に関与するリン酸化酵素の簡便な活性測定方法を提供する。また、p53依存性アポトーシスの制御に有用な化合物のスクリーニング方法を提供する。
【解決手段】 Plk3のリン酸作用を受ける基質と試料とを、Plk3のリン酸化反応に必要な条件下で接触させ(ステップa)、基質のリン酸化レベルの変化を検出する(ステップb)ことによって、試料のアポトーシス調節活性を測定する。一方、ステップaを被験化合物の存在下で行うこととし、Plk3のリン酸化を受ける基質とPlk3とを被験化合物の非存在下で接触させた場合の基質のリン酸化レベルの変化と、ステップbで検出したリン酸化レベルの変化とを比較する(ステップc)ことによって、被験化合物のリン酸化調節能を判定し、p53依存性アポトーシスの制御に有用な化合物を選択する。
【選択図】 なし

Description

本発明はp53依存性アポトーシスに関与するリン酸化酵素の活性測定方法、及びp53依存性アポトーシスを調節し得る化合物のスクリーニング方法に関する。
p53により誘導されるアポトーシスに関して、p53の46位セリン残基(p53-Ser46)におけるリン酸化が必須であることが証明されている(Oda, K., Arakawa, H., Tanaka, T., Matsuda, K., Tanikawa, C., Mori, T., Nishimori, H., Tamai, K., Tokino, T., Nakamura, Y. and Taya, Y. (2000) p53AIP1, a potential mediator of p53-dependent apoptosis, and its regulation by Ser-46-phosphorylated p53. Cell 102, 849-862)。このSer46残基のリン酸化に関して、p53DINP1(p53-dependent Damage-Inducible Nuclear Protein 1)が重要な役割を果たしていることが報告されているが(Okamura S, Arakawa H, Tanaka T, Nakanishi H, Ng CC, Taya Y, Monden M, Nakamura Y. (2001) p53DINP1, a p53-inducible gene, regulates p53-dependent apoptosis. Mol Cell. 8, 85-94;特開2003-24080)、肝心のp53DINP1と共役して働く、Ser46残基をリン酸化するリン酸化酵素は明らかにされていなかった。さらに、MCF7細胞に紫外線照射した際は、γ線照射やアドリアマイシン処理等の場合と異なり、p53DINP1アンチセンスオリゴヌクレオチドの処理によってp53DINP1の発現量を抑制しても、なおp53-Ser46のリン酸化が顕著に誘導されることが示された。この結果よりp53-Ser46のリン酸化には少なくとも二つの経路、すなわち一つはγ線照射やアドリアマイシン処理等などによるDNA二重鎖切断に関与する経路、もう一つは紫外線などによるDNA損傷が関与する経路が存在することが示唆され、このうち、前者にp53DINP1が関与する可能性が示された。その後、2つのグループから紫外線照射の際、HIPK2 (Homeodomain-interacting protein kinase-2)がp53-Ser46をリン酸化し、アポトーシスに導くことが報告された(D'Orazi G, Cecchinelli B, Bruno T, Manni I, Higashimoto Y, Saito S, Gostissa M, Coen S, Marchetti A, Del Sal G, Piaggio G, Fanciulli M, Appella E, Soddu S. (2002) Homeodomain-interacting protein kinase-2 phosphorylates p53 at Ser 46 and mediates apoptosis. Nat Cell Biol. 4, 11-9. Hofmann TG, Moller A, Sirma H, Zentgraf H, Taya Y, Droge W, Will H, Schmitz ML. (2002) Regulation of p53 activity by its interaction with homeodomain-interacting protein kinase-2. Nat Cell Biol. 4, 1-10)。一方で、p53DINP(TP53INP)はHIPK2とp53に結合して複合体を形成し、p53の転写活性を高めるとの報告があり(Tomasini R, Samir AA, Carrier A, Isnardon D, Cecchinelli B, Soddu S, Malissen B, Dagorn JC, Iovanna JL, Dusetti NJ. (2003) TP53INP1s and homeodomain-interacting protein kinase-2 (HIPK2) are partners in regulating p53 activity. J Biol Chem. 278, 37722-9)、アドリアマイシン処理などによるDNA二重鎖切断の際に働くと報告されたp53DINP1と紫外線照射の際働くと報告されたリン酸化酵素HIPK2とが輻輳して、p53の機能を調節していることが示唆されている。しかしながら、DNA二重鎖切断時に働くp53-Ser46リン酸化酵素の実態はいまだ明らかにされていない。
一方、G2/M期の進行に必要なCyclin B-Cdc2複合体はCdc25CプロテインフォスファターゼによりThr14残基とTyr15残基のリン酸基が脱リン酸化されて活性化される(Paul Nurse .Cell Vol 91,p865,1997)。Plk3はChk1やChk2と同様に、このCdc25Cプロテインフォスファターゼと結合して、Ser216残基をリン酸化することにより (Ouyang B, Li W, Pan H, Meadows J, Hoffmann I, Dai W. The physical association and phosphorylation of Cdc25C protein phosphatase by Prk. Oncogene. 18(44):6029-36, 1999)、不活性化する。その結果、リン酸化したCdc25Cに14-3-3σが結合して核外移行させることによりCdc25Cを機能しなくさせる。結果として、細胞はG2/M期で停止する。細胞は紫外線照射、電離放射線照射、薬剤などによりDNAが損傷や酸化ストレスを受けると、その損傷を修復するために、哺乳動物細胞は通常G1期、S期またはG2/M期で停止するチェックポイントという機構を備えている。このなかでPlk3はG2/Mチェックポイントに関与していることが報告されている (Bahassi el M, Conn CW, Myer DL, Hennigan RF, McGowan CH, Sanchez Y, Stambrook PJ. Mammalian Polo-like kinase 3 (Plk3) is a multifunctional protein involved in stress response pathways. Oncogene. 21(43):6633-40, 2002)。更に、Plk3はp53の経路を経て、DNAが損傷による細胞周期の停止やアポトーシスに関与しており (Xie S, Wu H, Wang Q, Cogswell JP, Husain I, Conn C, Stambrook P, Jhanwar-Uniyal M, Dai W. Plk3 functionally links DNA damage to cell cycle arrest and apoptosis at least in part via the p53 pathway J Biol Chem. 276(46):43305-12. 2001)、活性化酸素処理の際、Plk3はp53のSer20残基をリン酸化することが示されている (Xie S, Wang Q, Wu H, Cogswell J, Lu L, Jhanwar-Uniyal M, Dai W. Reactive oxygen species-induced phosphorylation of p53 on serine 20 is mediated in part by polo-like kinase-3. J Biol Chem. 276(39):36194-9. 2001)。p53のSer20残基のリン酸化はp53の分解を阻害したり、活性化する方向に導くことが知られており、現在までに、Chk1 とChk2がin vivoおよびin vitroにおいてリン酸化することが報告されている。
特開2003-24080 Oda, K., Arakawa, H., Tanaka, T., Matsuda, K., Tanikawa, C., Mori, T., Nishimori, H., Tamai, K., Tokino, T., Nakamura, Y. and Taya, Y. (2000) p53AIP1, a potential mediator of p53-dependent apoptosis, and its regulation by Ser-46-phosphorylated p53. Cell 102, 849-862 Okamura S, Arakawa H, Tanaka T, Nakanishi H, Ng CC, Taya Y, Monden M, Nakamura Y. (2001) p53DINP1, a p53-inducible gene, regulates p53-dependent apoptosis. Mol Cell. 8, 85-94 D'Orazi G, Cecchinelli B, Bruno T, Manni I, Higashimoto Y, Saito S, Gostissa M, Coen S, Marchetti A, Del Sal G, Piaggio G, Fanciulli M, Appella E, Soddu S. (2002) Homeodomain-interacting protein kinase-2 phosphorylates p53 at Ser 46 and mediates apoptosis. Nat Cell Biol. 4, 11-9. Hofmann TG, Moller A, Sirma H, Zentgraf H, Taya Y, Droge W, Will H, Schmitz ML. (2002) Regulation of p53 activity by its interaction with homeodomain-interacting protein kinase-2. Nat Cell Biol. 4, 1-10 Tomasini R, Samir AA, Carrier A, Isnardon D, Cecchinelli B, Soddu S, Malissen B, Dagorn JC, Iovanna JL, Dusetti NJ. (2003) TP53INP1s and homeodomain-interacting protein kinase-2 (HIPK2) are partners in regulating p53 activity. J Biol Chem. 278, 37722-9 Ouyang B, Li W, Pan H, Meadows J, Hoffmann I, Dai W. The physical association and phosphorylation of Cdc25C protein phosphatase by Prk. Oncogene. 18(44):6029-36, 1999 Bahassi el M, Conn CW, Myer DL, Hennigan RF, McGowan CH, Sanchez Y, Stambrook PJ. Mammalian Polo-like kinase 3 (Plk3) is a multifunctional protein involved in stress response pathways. Oncogene. 21(43):6633-40, 2002 Xie S, Wu H, Wang Q, Cogswell JP, Husain I, Conn C, Stambrook P, Jhanwar-Uniyal M, Dai W. Plk3 functionally links DNA damage to cell cycle arrest and apoptosis at least in part via the p53 pathway J Biol Chem. 276(46):43305-12. 2001 Xie S, Wang Q, Wu H, Cogswell J, Lu L, Jhanwar-Uniyal M, Dai W. Reactive oxygen species-induced phosphorylation of p53 on serine 20 is mediated in part by polo-like kinase-3. J Biol Chem. 276(39):36194-9. 2001
以上の背景の下、本発明は、p53のSer46残基(p53-Ser46)のリン酸化を担うリン酸化酵素を明らかにし、当該酵素の簡便な活性測定方法、及びアポトーシスの制御に有用な化合物のスクリーニング方法を提供することを課題とする。
本願発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。具体的にはPlk3(Polo-like kinase 3、別名PRK, CNK, FNK)に注目し、これがp53-Ser46のリン酸化に関与しているとの予想の下、様々な実験を行った。その結果、Plk3がp53-Ser46のリン酸化に直接関与することが判明した。これによって、p53依存性アポトーシスを制御する上でPlk3のリン酸化活性の測定が重要であり、またPlk3によるリン酸化反応を促進又は抑制(阻害)できれば、p53依存性アポトーシスの制御ないし調節が可能になるとの知見に至った。
上述のように、Plk3の酵素学的性質として、Cdc25CのSer216残基とp53のSer20残基をリン酸化することから、リン酸化できる基質の嗜好性はChk1およびChk2と非常によく類似していることが知られている。しかしながら、本発明者らが見出したp53のSer46残基周辺の配列は、Chk1やChk2がリン酸化するコンセンサス配列とは全く異なるものであった。
本発明は以上の知見に基づくものであって、以下の構成を提供する。
[1]以下のステップを含む、試料のアポトーシス調節活性を測定する方法:
(a)Plk3のリン酸作用を受ける基質と試料とを、Plk3のリン酸化反応に必要な条件下で接触させるステップ;
(b)前記基質のリン酸化レベルの変化を検出するステップ。
[2]以下のステップを含む、試料のアポトーシス調節活性を測定する方法:
(a)リン酸化された状態にある、Plk3のリン酸化作用を受ける基質と試料とを、脱リン酸化反応に必要な条件下で接触させるステップ;
(b)前記基質のリン酸化レベルの変化を検出するステップ。
[3]前記基質が、p53、p53の修飾体、p53の第2転写活性化ドメイン上に存在する46位セリンを含む部分ペプチド、又は該部分ペプチドの修飾体である、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]ステップbにおけるリン酸化レベルの変化の検出が、リン酸化された状態又はリン酸化されていない状態の前記基質に特異的に結合する抗体を用いて実施される、[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5]前記抗体は、前記基質においてPlk3が作用する部位を識別し、該部位がリン酸化された状態又はリン酸化されていない状態の前記基質に特異的に結合する、[4]に記載の方法。
[6]前記抗体は、p53の以下の配列部分のリン酸化状態を識別できる、[4]又は[5]に記載の方法:
MDDLMLSPDDIEQ:配列番号1(下線を付したSはp53の46位セリンである)。
[7]以下のステップを含む、アポトーシス調節活性を有する化合物のスクリーニング方法:
(a)Plk3のリン酸化作用を受ける基質とPlk3とを、被験化合物の存在下且つPlk3のリン酸化反応に必要な条件下で接触させるステップ。
(b)前記基質のリン酸化レベルの変化を検出するステップ。
[8]以下のステップを更に含む、[7]に記載のスクリーニング方法:
(c)Plk3のリン酸化を受ける基質とPlk3とを前記被験化合物の非存在下で接触させた場合の前記基質のリン酸化レベルの変化と、ステップbで検出したリン酸化レベルの変化とを比較することによって、前記被験化合物のリン酸化調節能を判定するステップ。
[9]以下のステップを含む、アポトーシス調節活性を有する化合物のスクリーニング方法:
(a)リン酸化された状態にある、Plk3のリン酸化作用を受ける基質と脱リン酸化酵素とを、被験化合物の存在下且つ脱リン酸化反応に必要な条件下で接触させるステップ;
(b)前記基質のリン酸化レベルの変化を検出するステップ。
[10]以下のステップを更に含む、[9]に記載のスクリーニング方法:
(c)リン酸化された状態にある、Plk3のリン酸化を受ける基質と脱リン酸化酵素とを前記被験化合物の非存在下で接触させた場合の前記基質のリン酸化レベルの変化と、ステップbで検出したリン酸化レベルの変化とを比較することによって、前記被験化合物のリン酸化調節能を判定するステップ。
[11]ステップbにおけるリン酸化レベルの変化の検出が、リン酸化された状態又はリン酸化されていない状態の前記基質に特異的に結合する抗体を用いて実施される、[7]〜[10]のいずれかに記載のスクリーニング方法。
[12]前記抗体は、前記基質においてPlk3が作用する部位を識別し、該部位がリン酸化された状態又はリン酸化されていない状態の前記基質に特異的に結合する、[11]に記載のスクリーニング方法。
[13]前記抗体は、p53の以下の配列部分のリン酸化状態を識別できる、[11]又は[12]に記載のスクリーニング方法:
MDDLMLSPDDIEQ:配列番号1(下線を付したSはp53の46位セリンである)。
[14]
Plk3のリン酸化作用を受ける基質と、リン酸化された状態又はリン酸化されていない状態の前記基質に特異的に結合する抗体とを含む、アポトーシス調節活性測定用又はアポトーシ調節活性を有する化合物のスクリーニング用キット。
「Plk3(Polo-like kinase 3)」は、別名PPK、CNK、又はFNKとも呼ばれ、その配列が同定されている。Plk3のアミノ酸配列及び遺伝子配列はそれぞれGenBank Accession No.: AAH13899(配列番号5)、及びGenBank Accession No.: AJ293866 or BC013899(配列番号6)で登録されている。Plk3は、その配列情報を利用してRT-PCRを用いて常法で調製することができる。
「アポトーシス調製活性」とは、アポトーシスの促進又は抑制をする能力をいう。ここでの「アポトーシス調節活性」は、p53のSer46に対するリン酸化(又は脱リン酸化)によって発揮される。
p53は細胞周期の制御において中心的役割を果たしており、その遺伝子は第17染色体短腕上(17p13)に座位する。p53はアポトーシスの制御に関与し、p53遺伝子が変異するとアポトーシスが抑制されることが知られている。
特に記載のない限り、本明細書における遺伝子工学的操作は、例えばMolecular Cloning(Third Edition, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York)或いはCurrent protocols in molecular biology(edited by Frederick M. Ausubel et al., 1987)を参考にして行うことができる。
本発明の第1の局面は、試料のアポトーシス調節活性を測定する方法に関し、以下のステップa及びbを含むことを特徴とする。
(a)Plk3のリン酸作用を受ける基質と試料とを、Plk3のリン酸化反応に必要な条件下で接触させるステップ。
(b)前記基質のリン酸化レベルの変化を検出するステップ。
ステップaでは、Plk3のリン酸化作用を受ける基質(以下、省略して「Plk3基質」という)と試料との接触が実施される。例えばPlk3基質を含む溶液に試料を添加することによって両者を接触させる。Plk3基質が支持体に固定化された状態であってもよい。例えば、予めPlk3基質を固相化したプレート等を用意し、これに試料を含む溶液を滴下する。支持体としてはポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、ナイロン樹脂等の樹脂や、ガラス等の水に不溶性の物質が用いられる。尚、支持体に対してPlk3基質が直接結合されていても、他の物質(例えば抗体)を介して結合されていてもよい。
Plk3基質と試料との接触は、Plk3のリン酸化反応に必要な条件下で実施される。このような条件では、試料中に存在すると予想されるPlk3がPlk3基質をリン酸化できる環境において、Plk3基質と試料とが接触する。その結果、試料中にPlk3が存在すれば、Plk3基質のリン酸化レベルに変化が生ずる。従って、Plk3基質のリン酸化レベルの変化を指標として、試料中にPlk3が存在するか否か、及びPlk3が存在する場合にはその活性量を測定することが可能となる。ここで、「Plk3のリン酸化反応に必要な反応条件」としては、10-1000 μM ATP, 1-40 mM MgCl2, 0.1-2 mMのDTT(ジチオスレイトール)を含む10-100 mMのグッドの緩衝液, pH6.5-8.5を反応液として用いて、25-37℃, 20‐90分間、リン酸化反応を例示することができる。好ましい条件としては例えば50 μM ATP, 5 mM MgCl2, 1 mMのDTTを含む20 mM Hepes-KOH緩衝液, pH7.5, 30℃, 30分間である。
ステップbではPlk3基質のリン酸化レベルの変化が検出される。そして検出結果に基づいて、Plk3が存在するか否か、及び/又はPlk3の活性量を判定する。Plk3基質のリン酸化レベルの上昇が認められれば、試料中にPlk3の存在、即ちアポトーシス調節活性の存在を確認できる。また、リン酸化レベルの上昇量を指標として、試料中に存在するPlk3の活性量、即ちアポトーシス調節活性量を判定できる。
本発明の方法に供される試料に特に制限はない。例えば、細胞破砕液、細胞抽出液、天然又は合成化合物を試料として本発明の方法を実施することができる。
以上の方法では、Plk3基質のリン酸化レベルの上昇を指標として試料のアポトーシス調節活性を測定するが、これとは逆にPlk3基質のリン酸化レベルの低下を指標として同様に測定することもできる。この態様では次のステップa及びbが実施される。
(a)リン酸化された状態にある、Plk3のリン酸化作用を受ける基質と試料とを、脱リン酸化反応に必要な条件下で接触させるステップ。
(b)前記基質のリン酸化レベルの変化を検出するステップ。
ここでのステップaにおける「脱リン酸化反応に必要な反応条件」として、1-40 mM MgCl2, 0.1-2 mMのDTT(ジチオスレイトール)を含む10-100 mMのグッドの緩衝液, pH6.5-9.0を反応液として用いて、20-37℃, 20-90分間、脱リン酸化反応を例示することができる。好ましい条件としては例えば、2 mM MgCl2, 1 mMのDTTを含む20 mM MOPS-NaOH緩衝液, pH7.0, 30℃, 60分間である。ステップbの結果、Plk3基質のリン酸化レベルの低下が認められれば、試料中にリン酸化p53-Ser46脱リン酸化酵素の存在、即ちアポトーシス調節活性の存在を確認できる。また、リン酸化レベルの低下量を指標として、試料中に存在するリン酸化p53-Ser46脱リン酸化酵素の活性量、即ちアポトーシス調節活性量を判定できる。
本発明の他の局面はアポトーシス調節活性を有する化合物のスクリーニング方法を提供する。本発明のスクリーニング方法は次のステップを含む。
(a)Plk3のリン酸化作用を受ける基質とPlk3とを、被験化合物の存在下且つPlk3のリン酸化反応に必要な条件下で接触させるステップ。
(b)前記基質のリン酸化レベルの変化を検出するステップ。
ステップaでは、Plk3基質とPlk3との接触が実施される。例えばPlk3基質を含む溶液にPlk3を添加することによって両者を接触させる。Plk3基質が支持体に固定化された状態であってもよい。Plk3基質とPlk3の接触は被験化合物の存在下で実施される。例えば、Plk3基質を含む溶液にPlk3と被験化合物とを添加することによってこのような環境が作られる。好ましくは、Plk3基質と被験化合物とが共存する状態とした後にPlk3を添加する。具体的には例えば、Plk3基質と被験化合物を含む溶液を調製し、当該溶液にPlk3を添加する。或いは、Plk3基質を含む溶液と、被験化合物を含む溶液をそれぞれ調製し、両者を混合した後にPlk3を添加する。Plk3基質を含む溶液に被験化合物とPlk3とを同時に添加するなどして、Plk3の添加と同時に被験化合物が共存する環境をつくるようにしてもよい。
Plk3基質とPlk3との接触は、以上の条件に加えて、Plk3のリン酸化反応に必要な条件下で実施される。このような条件とすることによって、Plk3がPlk3基質をリン酸化できる環境となる。その結果、被験化合物がPlk3の当該リン酸化反応を促進又は抑制(阻害)する活性を有するか否か、またその活性の強さ(活性量)を調べることが可能となる。
ステップbではPlk3基質のリン酸化レベルの変化が検出される。検出結果を用いて、Plk3のリン酸化反応を促進又は阻害(抑制)する活性を被験化合物が有するか否か、及び活性を有する場合にはその強さ(活性量)が求められる。具体的には、被験化合物の非存在下でPlk3基質とPlk3を接触させた場合の基質のリン酸化レベルの変化と、上記のように求めたリン酸化レベルの変化とを比較する。両者の間に相違が認められれば、Plk3のリン酸化反応を促進又は阻害(抑制)する活性を被験化合物が有すると判定できる。被験化合物の存在によって、Plk3基質のリン酸化レベルがより上昇するようであれば、Plk3のリン酸化反応を促進する活性を被験化合物が有すると判定でき、これとは逆にPlk3基質のリン酸化レベルの上昇が抑えられるようであれば、Plk3のリン酸化反応を阻害する活性を被験化合物が有すると判定できる。
被験化合物の非存在下の条件でのPlk3基質のリン酸化レベルの変化を基準値として予め求めておき、被験化合物について求めたPlk3基質のリン酸化レベルの変化をこの基準値と比較することで被験化合物のリン酸化調節活性を測定してもよい。もちろんのこと、被験化合物の存在下でのPlk3基質のリン酸化レベルの変化を調べることに並行して、被験化合物の非存在下でのPlk3基質のリン酸化レベルの変化を調べることにしてもよい。
以上の方法では、Plk3基質のリン酸化レベルの上昇を指標として被験化合物のアポトーシス調節活性の有無などを判定するが、これとは逆にPlk3基質のリン酸化レベルの低下を指標として同様に判定することもできる。この態様では次のステップa及びbが実施される。
(a)リン酸化された状態にある、Plk3のリン酸化作用を受ける基質と脱リン酸化酵素とを、被験化合物の存在下且つ脱リン酸化反応に必要な条件下で接触させるステップ;
(b)前記基質のリン酸化レベルの変化を検出するステップ。
ここでの脱リン酸化酵素としては例えば、protein phosphatase (PP1C)、protein phosphatase 2A (PP2A)、Wip1、PTENを使用することができる。
被験化合物の存在によって、Plk3基質のリン酸化レベルがより低下するようであれば、Plk3基質を脱リン酸化する反応を促進する活性を被験化合物が有すると判定でき、これとは逆にPlk3基質のリン酸化レベルの低下が抑えられるようであれば、Plk3基質を脱リン酸化する反応を阻害する活性を被験化合物が有すると判定できる。
本発明のスクリーニング方法における被験化合物としては様々な分子サイズの有機化合物(核酸、ペプチド、タンパク質、脂質(単純脂質、複合脂質(ホスホグリセリド、スフィンゴ脂質、グリコシルグリセリド、セレブロシド等)、プロスタグランジン、イソプレノイド、テルペン、ステロイド等))又は無機化合物を用いることができる。被験化合物は天然物由来であっても、或いは合成によるものであってもよい。後者の場合には例えばコンビナトリアル合成の手法を利用して効率的なスクリーニング系を構築することができる。尚、細胞抽出液、培養上清などを被験物質として用いてもよい。
本発明のスクリーニング方法を実施し、リン酸化調節能を有すると判定された被験化合物はアポトーシス調節作用を有する候補化合物となる。当該化合物はそのまま又は適宜修飾を加えた後に、P53依存性アポトーシスを調節することが有効な疾患、症状を軽減する薬剤(予防用又は治療用)の有効成分として利用され得る。例えば、アポトーシスを抑制する化合物であれば抗がん剤の副作用を低減する薬剤、心筋梗塞や脳卒中などによる神経細胞死を低減する薬剤として、他方、アポトーシスを促進する化合物は放射線治療の際に放射線感受性を高める薬剤、抗がん剤の作用を高める薬剤としてその適用が考えられる。
本発明の方法(アポトーシス調節活性を測定する方法、又はアポトーシス調節活性を有する化合物のスクリーニング方法)におけるPlk3基質としてはp53、又はp53の修飾体を使用することができる。ここでの「p53の修飾体」とは、それと天然のp53とを比較した場合にアミノ酸配列やその他の性状に相違が認められるものをいう。具体的には例えば、p53の一部(例えばN末端側又はC末端側の1以上のアミノ酸)が欠失(欠損)しているもの、p53に1又は複数個のアミノ酸が付加されているものが該当する。但し、p53のSer46対するPlk3のリン酸化作用が保持される(即ち、修飾体においてp53のSer46に対応するアミノ酸残基がPlk3によってリン酸化され得る)限りにおいて、このような修飾が許容される。このような条件を満たせば、p53の部分ペプチド(或いはその修飾体)であっても、本発明におけるPlk3基質として用いることができる。以上のようなPlk3基質は生体からの抽出、精製などによって、或いは遺伝子工学的手法によって調製することができる。後者によれば、大量且つ高品位のPlk3基質を得ることが比較的容易である。尚、以降の説明では、Plk3基質においてPlk3のリン酸化作用を受ける部位(p53のSer46部位又はそれに相当する部位)のことを「ターゲット部位」という。
Plk3基質のリン酸化レベルは、32P-gamma ATPを用いて、基質に取り込まれた放射能を測定する方法、リン酸化セリンおよびリン酸化スレオニンと特異的に結合する抗体を用いる方法、ペプチド中のリン酸化セリンおよびリン酸化スレオニンと特異的に結合する3価金属イオン錯体を用いる方法、反応液中の消費されたATP量を測定する方法、リン酸化の結果、ある種のプロテアーゼによる分解に耐性になる原理を応用した方法等を利用して検出できるが、好ましくは抗体を使用する。抗体を用いることによって簡便且つ高精度の測定が可能となる。具体的には、リン酸化された状態のPlk3基質、又はリン酸化されていない状態のPlk3基質を特異的に認識して結合する抗体(以下の説明において前者を「抗リン酸化基質抗体」、後者を「抗非リン酸化基質抗体」という)を利用すれば、抗体の結合量を指標に基質のリン酸化状態(リン酸化量を含む)を測定することが可能となる。測定方法としては、例えば、ELISA法、FP(蛍光偏向)法、FRET(時間分解蛍光エネルギー転移)法、ラジオイムノアッセイ、FACS、免疫沈降法、イムノブロッティング等の定性的又は定量的な方法が挙げられる。
Plk3基質に対する上記特異性を備える限り、抗リン酸化基質抗体(抗非リン酸化基質抗体)の種類や由来などは特に問わない。抗リン酸化基質抗体(抗非リン酸化基質抗体)は、ポリクローナル抗体、オリゴクローナル抗体(数種〜数十種の抗体の混合物)、及びモノクローナル抗体のいずれでもよい。ポリクローナル抗体又はオリゴクローナル抗体としては、動物免疫して得た抗血清由来のIgG画分のほか、抗原によるアフィニティー精製抗体を使用できる。抗リン酸化基質抗体又は抗非リン酸化基質抗体が、Fab、Fab'、F(ab')2、scFv、dsFv抗体などの抗体断片であってもよい。
抗リン酸化基質抗体(抗非リン酸化基質抗体)は、免疫学的手法、ファージディスプレイ法、リボソームディスプレイ法などを利用して調製することができる。
免疫学的手法によるポリクローナル抗体の調製は次の手順で行うことができる。抗原(リン酸化された状態のPlk3基質、又はリン酸化されていない状態のPlk3基質)を調製し、これを用いてマウス等の動物に免疫を施す。低分子量のために有効な免疫惹起作用を期待できない場合には、キャリアタンパク質を結合させた抗原を用いることが好ましい。キャリアタンパク質としてはKLM(Keyhole Light Hemocyanin)、BSA(Bovine Serum Albumin)、OVA(Ovalbumin)などが使用される。また、キャリアタンパク質の結合にはカルボジイミド法、グルタルアルデヒド法、ジアゾ縮合法、MBS(マレイミドベンゾイルオキシコハク酸イミド)法などを使用できる。
必要に応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で採血し、遠心処理などによって血清を得る。得られた抗血清をアフィニティー精製する。一方、モノクローナル抗体については次の手順で調製することができる。まず、上記と同様の手順で免疫操作を実施する。必要に応じて免疫を繰り返し、十分に抗体価が上昇した時点で免疫動物から抗体産生細胞を摘出する。次に、得られた抗体産生細胞と骨髄腫細胞とを融合してハイブリドーマを得る。続いて、このハイブリドーマをモノクローナル化した後、目的タンパク質に対して高い特異性を有する抗体を産生するクローンを選択する。選択されたクローンの培養液を精製することによって目的の抗体が得られる。一方、ハイブリドーマを所望数以上に増殖させた後、これを動物(例えばマウス)の腹腔内に移植し、腹水内で増殖させて腹水を精製することにより目的の抗体を取得することもできる。上記培養液の精製又は腹水の精製には、プロテインG、プロテインA等を用いたアフィニティークロマトグラフィーが好適に用いられる。また、抗原を固相化したアフィニティークロマトグラフィーを用いることもできる。更には、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、硫安分画、及び遠心分離等の方法を用いることもできる。これらの方法は単独ないし任意に組み合わされて用いられる。
尚、本発明者らは、Taya Y, Nakajima K, Yoshizawa-Kumagaye, K and Tamai K : Generation and Application of Phospho-specific Antibodies for p53 and pRB : Mehtods in Molecular Biology Vol. 223, 17-26, 2003: Tumor Suppressor Genes: Regulation and Function, and Medical Applicationsに記載の方法に従い、MDDLMLSPDDIEQ:配列番号1(下線を付したSはp53の46位セリンである)とKLH(キーホールリンペットヘモシアニン)との結合物をBalb/cマウスに免疫し、リン酸化p53-Ser46モノクローナル抗体(4E8)を産生するハイブリドーマを得ている。
本発明の方法に使用する抗体として、Plk3基質のターゲット部位を識別できる抗体を採用することが好ましい。ここで、「ターゲット部位を識別できる」とは、他の部位からターゲット部位を区別して認識できることをいう。従ってこの態様での抗体は、Plk3基質においてターゲット部位以外のリン酸化状態に影響を受けることなく、ターゲット部位のリン酸化状態を認識してPlk3基質に結合する(使用する抗体がポリクローナルの場合、ターゲット部位以外のリン酸化状態の影響を受ける抗体が含まれない)。この態様では、ターゲット部位のリン酸化レベルのみを、他の部位のリン酸化状態の影響を受けることなく検出することが可能となる。従って例えばターゲット部位以外のリン酸化に関与するリン酸化酵素が試料中に混在する場合においても、ターゲット部位のリン酸化レベルを正確に検出することができる。
本発明に使用される抗体の具体例としてp53の以下の配列部分のリン酸化状態を識別できるものを挙げることができる。
MDDLMLSPDDIEQ:配列番号1(下線を付したSはp53の46位セリンである)。
予め標識化した抗リン酸化基質抗体又は抗非リン酸化基質抗体を使用してもよい。このような態様では、標識物質を指標とした検出ないし測定を行うことができる。抗体の標識化に使用することができる標識物質としては例えば、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、オレゴングリーン等の蛍光色素、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、マイクロペルオキシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、β−D−ガラクトシダーゼ等の酵素、ルミノール、アクリジン色素等の化学又は生物発光化合物、32P、131I、125I等の放射性同位体、及びビオチンを挙げることができる。特定の物質に結合性を有する標識(例えばヒスチジンタグ)を結合させた抗体を使用してもよい。
本発明は更に、上記の方法を実施するためのキットを提供する。本発明のキットを用いることによって、上記方法をより簡便に且つより短時間で実施することが可能となる。本発明のキットには、Plk3のリン酸化を受ける基質と、当該基質のリン酸化レベルを検出可能な試薬が含まれる。ここでの試薬としては例えば上記の抗体(抗リン酸化基質抗体又は抗非リン酸化基質抗体)、ペプチド中のリン酸化セリンおよびリン酸化スレオニンと特異的に結合する3価金属イオン錯体などを採用できる。好ましくは抗体を使用し、免疫反応を利用するキット(例えばELISA用キット)とする。具体的には例えば、基質を固相化したプレートと抗体とを組み合わせてキットを構築する。抗体の方を固相化してもよい。通常、本発明のキットには反応用試薬及び取り扱い説明書が添付される。尚、スクリーニング方法用のキットの場合には、Plk3を更に含めてキットを構築することが好ましい。
細胞にネオカルスノスタチン処理を行い、DNA二重鎖切断を生じさせた際のp53-Ser46のリン酸化を担うリン酸化酵素を同定するために、以下の実験を行った。
野生型p53タンパク質を保持しているMCF7細胞(約2 x 106個、ATCC (American Type Culture Collection)を10cmφシャーレにプレートした。プレートした翌日、ネオカルチノスタチンを終濃度5μMとなるよう添加した。12時間培養後、細胞抽出液を調製し、Ser46がリン酸化されたp53と特異的に反応する抗リン酸化p53-Ser46モノクローナル抗体(4E8)を用いて、免疫沈降を行った。免疫沈降物をSDS-PAGEで展開後、ウエスタンブロッティングを行った。以下に示す種々のリン酸化酵素に対する抗体を用いて、Ser46がリン酸化されたp53と結合しているリン酸化酵素の同定を試みた。Chk1、Chk2、casein kinase II、Plk3、ATM、ATR、JNK1、p38に対する抗体(それぞれMBL社製、Upstate Biotechnology社製、Santa Cruz Biotechnology社製、Pharmingen社製、Santa Cruz Biotechnology社製、Santa Cruz Biotechnology社製、Cell Signaling社製、Cell Signaling社製)を用いた結果を図1に示す。抗Plk3抗体を用いたときのみにバンドが検出された。免疫沈降に用いる抗p53-Ser46モノクローナル抗体の代わりに陰性コントロールとしてアイソタイプコントロール(マウスIgG1)を用いたときにはPlk3のバンドが検出されなかったことから、Plk3はSer46がリン酸化したp53と特異的に結合していることが明らかになった。
p53およびPlk3の過剰発現によってp53-Ser46のリン酸化およびアポトーシスによる細胞死が亢進するか否かを調べるために、以下の実験を行った。
p53を発現していないSaos-2細胞(2 x 106)を10cmφシャーレにプレートした。プレートした翌日、この細胞に野生型p53発現ベクターおよびPlk3発現ベクターの組合せ(pcDNA3-p53/Plk3-flag)、野生型p53発現ベクターおよびPlk3K52R(Plk3のリン酸化酵素活性の非活性型でありドミナントネガティブ型)の組合せ(pcDNA3-p53/Plk3K52R-flag)、又は野生型p53発現ベクターとPlk3を担持していないベクターとの組合せ(pcDNA3-p53/pcDNA3-flag)をLipofectamineTMトランスフェクション試薬(Invitrogen社)を用い、添付プロトコールに従って導入した。37℃で18時間インキュベートした後、p53を活性化するために細胞をネオカルチノスタチン(5 μM)を添加しDNA損傷を加えた。24時間後、損傷細胞を回収し、ウエスタンブロッティング及びTUNEL方法により解析した。なお、in situにおけるTUNEL(terminal transferase-mediated dUTP nick end-labeling)分析は、MEBSTAIN Apoptosis Kit Direct (MBL社製)を用い、添付のプロトコールに従って行い、最終的にヨウ化プロピオジウムで染色した。免疫蛍光の観察にはAxiophoto-2 microscope(Zeiss)を用いた。
図2にウエスタンブロッティング解析の結果を示す。Plk3ドミナントネガティブ型であるPlk3K52Rおよびp53を過剰発現させたときには、p53のみを過剰発現させたときに比較してp53-Ser46のリン酸化の程度は極度に減弱した。一方Plk3およびp53の過剰発現はp53-Ser46のリン酸化の誘導を促進させた。また、二重鎖切断を誘導するネオカルチノスタチン (10 μM) 添加後24時間目でTUNEL解析(結果を図3に示す)及びFACS解析(結果を図4に示す)を行った結果、アポトーシス細胞の割合は、Plk3およびp53の過剰発現により顕著に上昇した。一方、Plk3K52Rおよびp53を過剰発現させたときには、p53のみを過剰発現させたときに較べ、アポトーシス細胞の割合は顕著に減少した。
哺乳動物細胞内に強制発現させたPlk3がin vitroにおいて、p53-Ser46キナーゼとして働くことを明らかにするために以下の実験を実施した。
Plk3-flagまたはPlk3K52R-flag(リン酸化酵素活性の非活性型)を強制発現させた293T細胞(ATCC (American Type Culture Collection))をネオカルチノスタチン(5 μM)処理した。12時間後、各細胞抽出液を抗flagモノクローナル抗体M2(Sigma社製)で免疫沈降した。これによって得られたPlk3-flagおよびPlk3K52R-flagを用いてin vitroにおけるGST-p53のリン酸化活性を調べた。p53-Ser46のリン酸化の検出には、抗リン酸化p53-Ser46モノクローナル抗体(4E8)を用いたウエスタンブロッティング法を採用した。
図5に示す通り、Plk3-flagを強制発現させた細胞抽出液から得られた免疫沈降物において、強いSer46のリン酸化が観察された。一方、Plk3K52R-flagを強制発現させた細胞抽出液から得られた免疫沈降物においては、陰性コントロールのpcDNA3-flagをトランスフェクトした場合(データ示さず)と同様に、有意なリン酸化は観察されなかった。なお、抗flagモノクローナル抗体M2を用いたウエスタンブロッティングにより、Plk3-flagとPlk3K52R-flagの発現量がほぼ等しいことを確認している(図示せず)。
哺乳動物細胞にDNA二重鎖切断をひきおこした際、内在性のPlk3がin vitroにおいてp53-Ser46キナーゼとして働くことを明らかにするために以下の実験を実施した。MCF7細胞をネオカルチノスタチン処理(10 μM、8時間)し、その細胞抽出液を抗Plk3モノクローナル抗体(Pharmingen社製)で免疫沈降させた。これによって得られたPlk3を用いてin vitroにおけるGST-p53に対するリン酸化活性を調べた。
図6に示す通り、ネオカルチノスタチン (10 μM) 処理した細胞抽出液から得られた免疫沈降物において、強いSer46のリン酸化が観察された。一方、ネオカルチノスタチン未処理の細胞抽出液から得られた免疫沈降産物においても弱いながらもSer46のリン酸化が観察された。陰性コントロールとして、アイソタイプコントロール(マウスIgG1)を用いた場合、非常に弱いリン酸化のみが観察された。
哺乳動物細胞において、Plk3と複合体を形成する他のタンパク質リン酸化酵素がp53-Ser46をリン酸化するのではなく、Plk3自体がp53-Ser46キナーゼとして作用することを明らかにするために、以下の実験を行った。GST融合タンパク質またはヒスチジジンタグ結合タンパク質としてPlk3およびPlk3K52Rを大腸菌で発現させた。これらの融合タンパク質を精製後、GST-p53を基質としてリン酸化反応を行った。その結果、図7A及びBに示すように、Plk3ではSer46のリン酸化が観察されたが、非活性型であるPlk3K52Rでは全くリン酸化は観察されなかった。このことより、Plk3が直接p53-Ser46をリン酸化することが証明された。
DNA二重鎖切断により誘導されるアポトーシスにおけるPlk3の関与を明らかにするために、細胞損傷実験にsiRNAを組み合わせた以下の実験を行った。内在性のPlk3の発現を阻害するために、Plk3遺伝子配列に従って、siRNA: siRNA-Plk3-1 (GCAGGUUCACUACACGCUGTT:配列番号2)およびsiRNA-Plk3-2(CAGAAAGACUGUGCACUACTT:配列番号3)を、また陰性コントロールとしてルシフェラーゼsiRNA-Luciferase(CUUACGCUGAGUACUUCGATT:配列番号4)をそれぞれ調製した。
上記調製されたsiRNAを細胞に導入するためにMCF7細胞(2 x 106)を10cmφシャーレにプレートした。翌日、siRNA-Plk3-1、siRNA-Plk3-2またはsiRNA-Luciferase (1μM)をRNAiFect Trasfection試薬(キアゲン社)を用いてMCF7細胞に導入した。37℃、24時間インキュベートした後、ネオカルチノスタチン(3 μM)を6時間暴露して細胞に損傷を加えた。上記DNA二重鎖切断誘導薬剤の添加後、損傷を受けた細胞を種々のタイミングで回収し、細胞内Plk3をウエスタンンブロット解析により調べた。また、抗リン酸化p53-Ser46モノクローナル抗体(4E8)を用いたウエスタンブロッティング法によりp53-Ser46のリン酸化の検出を行った。
図8Aにウエスタンブロッティングの結果を示す。左欄に示されるように、陰性コントロールのsiRNA-Luciferaseを導入した場合、DNA損傷(薬剤による二重鎖切断)から12時間以降にMCF7細胞内でのPlk3タンパク質の発現が観察されたが、siRNA-Plk3-1又はsiRNA-Plk3-2を導入したときはPlk3タンパク質の発現が明らかに抑制された。一方右欄に示されるように、siRNA-Plk3-1又はsiRNA-Plk3-2を導入したときには、siRNA-Luciferaseを導入したときと比較して、p53-Ser46のリン酸化は顕著に抑制されていた。
次に、siRNAによるPlk3の発現抑制が、薬剤による二重鎖切断に続くアポト−シスに影響をもたらすか否かを次の通り調べた。対数増殖期のMCF7細胞にsiRNA-Plk3-1、siRNA-Plk3-2またはsiRNA-Luciferaseを導入し、24時間インキュベートした。その後、細胞にネオカルチノスタチン(10 μM)を添加した。4時間インキュベートした後、速やかにトリプシンを用いて細胞を回収した。回収した損傷細胞を1 x 106細胞懸濁液まで希釈し、新鮮な培地を含む6cmφシャーレ内で維持した。DNA損傷後48時間目で細胞を回収し、0.4%トリパンブルーで細胞染色を行い、染色結果を用いて細胞の生存率を評価した。
その結果、図8Bに示す通り、損傷後48時間目において、siRNA-Luciferaseの導入では25.3までに生存率が低下したが、siRNA-Plk3-1及びsiRNA-Plk3-2処理により生存率がそれぞれ60.2 %及び72.7 %に上昇した。すなわち、Plk3のsiRNAの導入はDNA損傷後の細胞死を抑制することが示され、これによりPlk3がアポトーシスを誘導する役割を有することが示唆された。
ネオカルチノスタチン(5 μM)処理後の細胞をFACS解析した結果を図8cに示す。尚、ネオカルチノスタチン同様に、DNA二重鎖切断誘導作用を有するアドリアマイシンで処理した結果も併せて同図に示す。ネオカルチノスタチン処理後72時間目の死細胞割合(subG0/G1)はsiRNA-Luciferase処理では44.7 %であったのに対し、siRNA-Plk3-1、siRNA-Plk3-2処理ではそれぞれ18.5%および14.8 %にまで抑制された。また、アドリアマイシン処理後72時間目における死細胞割合も、同様にsiRNA-Luciferase処理では31.4 %と高い値を示したが、siRNA-Plk3-1、siRNA-Plk3-2処理によりそれぞれ14.3%および12.5%まで抑制された。一方、紫外線照射処理による細胞死の誘導には、上記siRNA-Plk3-1、siRNA-Plk3-2処理は、効果を示さなかった(データ図示せず)。これら結果より、Plk3は二重鎖切断に起因して生じるアポトーシスのp53依存的なシグナルに関与することが示唆された。
Plk3のリン酸化酵素活性を簡便に測定する系を構築するために、以下の実験を行った。大腸菌で発現させたGST融合タンパク質またはヒスチジジンタグ結合タンパク質としてPlk3およびPlk3K52Rを精製し、GST-p53を基質としてリン酸化反応を行い、ホースラディシュペルオキシダーゼ標識・抗リン酸化p53-Ser46モノクローナル抗体(4E8を用いて、GST-p53-Ser46残基のリン酸化の程度を測定した。具体的には、以下の手順でPlk3の活性測定用ELISA法の構築を行った。
1.GST-p53感作プレートの作製
GST-p53を20 μg/mlになるようにPBSに溶かし、ELISA法用マイクロタイタープレートに1ウェルあたり50μlずつ分注して、4℃で一晩感作した。感作後、GST-p53溶液を除き、1% BSA、0.1% Tween 20、PBSを1ウェルあたり200μlずつ分注して、室温で1時間以上ブロッキングした。
2. リコンビナントPlk3の活性測定手順
リコンビナントタンパク質GST-p53を固相化したウェル中でタンパク質リン酸化反応を行った後、同じウェルで連続してELISA法を行った。リコンビナントPlk3を含む1 X Plk3反応用バッファーを調製し、50μlずつGST-p53感作プレートのウェルに添加した(タンパク質リン酸化反応)。30℃で一定時間保温した後、各ウェルをPBSで4回以上十分に洗浄して、反応を停止した。ホースラディシュペルオキシダーゼ標識・抗リン酸化p53-Ser46モノクローナル抗体(4E8)を0.5 μg/mlとなるよう抗体希釈用バッファー(1% BSA、PBS)で希釈し、洗浄後の各ウェルに100 μlずつ添加して室温で1時間静置した(抗体反応)。抗体反応後、同様にPBSで洗浄した。PBSで洗浄後、各ウェルにホースラディシュペルオキシダーゼ基質液を100 μlずつ添加し、室温で発色させた。1.5N H3PO4を100 μlずつ加え発色反応を停止させ、マイクロタイタープレートリーダーを用いて、450 nmにおける吸光度を測定した。このELISA法を用いた時のPlk3用量依存性を図9に示す。
本発明は、p53依存性アポトーシスに直接関与するPlk3のリン酸化活性を測定する方法を提供する。本発明の方法は例えばp53依存性アポトーシスの機構をさらに解明するための手段として有用である。また、本発明の測定方法を利用すればp53依存性アポトーシスの制御に関わる化合物のスクリーニングが可能となる。当該スクリーニングによって選択された化合物はアポトーシス関連疾患に対する薬剤(予防薬又は治療薬)として有望である。このように、本発明はアポトーシス関連疾患の治療法の確立に多大な貢献をする。
この発明は、上記発明の実施の形態及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、及び特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
図1は、抗リン酸化p53-Ser46モノクローナル抗体(4E8)による免疫沈降物を用いたウエスタンブロット法の結果を示す。各レーンは、免疫沈降に使用した抗体が異なる。レーン1:陰性コントロール(マウスIgG1)、レーン2:抗Plk3抗体、レーン3:抗Chk1抗体、レーン4:抗Chk2抗体、レーン5:抗casein kinase II抗体、レーン6:抗ATM抗体、レーン7:抗ATR抗体、レーン8:抗JNK1抗体、レーン9:抗p38抗体。 図2は、p53欠失細胞Saos-2にp53及びPlk3のコンストラクトを強制発現させたときのp53-Ser46に対するリン酸化の増強を調べた結果(ウエスタンブロット法の結果)を示す。ウエスタンブロットに使用した抗体は、レーン1〜3では抗リン酸化p53-Ser46モノクローナル抗体(4E8)、レーン4〜6では抗p53(DO-1)抗体である。一方、トランスフェクションに使用したコンストラクト(発現ベクター)は、レーン1及び4ではpcDNA3-p53とpcDNA3-flagの組み合わせ、レーン2及び5ではpcDNA3-p53とPlk3K52R-flagの組み合わせ、レーン3及び6ではpcDNA3-p53とPlk3-flagの組み合わせである。 図3は、p53欠失細胞Saos-2にp53及びPlk3のコンストラクトを強制発現させたときのアポトーシスの増強を調べた結果(TUNEL法の結果)を示す。NC-はネオカルチノスタチンを添加しない群、NC+はネオカルチノスタチンを添加した群を表す。 図4は、p53欠失細胞Saos-2にp53及びPlk3のコンストラクトを強制発現させたときのアポトーシスの増強を調べた結果(FACS解析の結果)を示す。 図5は、Plk3を強制発現させた細胞抽出液から調製したflag抗体免疫沈降物のp53-Ser46に対するin vitroにおけるリン酸化活性を測定した結果を示す。 図6は、DNA二重鎖切断を誘導する薬剤処理をした細胞抽出液から調製した抗Plk3免疫沈降物のp53-Ser46に対するin vitroにおけるリン酸化活性を測定した結果を示す。 図7Aは、大腸菌を用いて発現・精製したPlk3のp53-Ser46及びSer20に対するin vitroにおけるリン酸化活性を測定した結果(ウエスタンブロット法の結果)を示す。 図7Bは、大腸菌を用いて発現・精製したPlk3のp53-Ser46及びSer20に対するin vitroにおけるリン酸化活性を測定した結果(ELISA法)を示す。 図8Aは、DNA二重鎖切断誘導剤処理により誘導される、Plk3の発現とP53-Ser46のリン酸化に対するPlk3 siRNAの影響を調べた結果(ウエスタンブロット法の結果)を示す。 図8Bは、DNA二重鎖切断誘導剤処理48時間後の生細胞の割合に対するPlk3 siRNAの影響を調べた結果(トリパンブルー排除法の結果)を示す。 図8Cは、二種のDNA二重鎖切断誘導剤について処理72時間後におけるSubG0/G1(死細胞)の割合に対するPlk3 siRNAの影響を調べた結果(FACS解析の結果)を示す。ADはアドリアマイシン処理群、NCはネオカルチノスタチン処理群を表す。 図9は、リン酸化p53-Ser46モノクローナル抗体を用いたELISA法でPlk3のリン酸化活性を測定した結果を示す。GST-Plk3に関して良好な用量依存性が認められる。

Claims (14)

  1. 以下のステップを含む、試料のアポトーシス調節活性を測定する方法:
    (a)Plk3のリン酸作用を受ける基質と試料とを、Plk3のリン酸化反応に必要な条件下で接触させるステップ;
    (b)前記基質のリン酸化レベルの変化を検出するステップ。
  2. 以下のステップを含む、試料のアポトーシス調節活性を測定する方法:
    (a)リン酸化された状態にある、Plk3のリン酸化作用を受ける基質と試料とを、脱リン酸化反応に必要な条件下で接触させるステップ;
    (b)前記基質のリン酸化レベルの変化を検出するステップ。
  3. 前記基質が、p53、p53の修飾体、p53の第2転写活性化ドメイン上に存在する46位セリンを含む部分ペプチド、又は該部分ペプチドの修飾体である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. ステップbにおけるリン酸化レベルの変化の検出が、リン酸化された状態又はリン酸化されていない状態の前記基質に特異的に結合する抗体を用いて実施される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記抗体は、前記基質においてPlk3が作用する部位を識別し、該部位がリン酸化された状態又はリン酸化されていない状態の前記基質に特異的に結合する、請求項4に記載の方法。
  6. 前記抗体は、p53の以下の配列部分のリン酸化状態を識別できる、請求項4又は5に記載の方法:
    MDDLMLSPDDIEQ:配列番号1(下線を付したSはp53の46位セリンである)。
  7. 以下のステップを含む、アポトーシス調節活性を有する化合物のスクリーニング方法:
    (a)Plk3のリン酸化作用を受ける基質とPlk3とを、被験化合物の存在下且つPlk3のリン酸化反応に必要な条件下で接触させるステップ。
    (b)前記基質のリン酸化レベルの変化を検出するステップ。
  8. 以下のステップを更に含む、請求項7に記載のスクリーニング方法:
    (c)Plk3のリン酸化を受ける基質とPlk3とを前記被験化合物の非存在下で接触させた場合の前記基質のリン酸化レベルの変化と、ステップbで検出したリン酸化レベルの変化とを比較することによって、前記被験化合物のリン酸化調節能を判定するステップ。
  9. 以下のステップを含む、アポトーシス調節活性を有する化合物のスクリーニング方法:
    (a)リン酸化された状態にある、Plk3のリン酸化作用を受ける基質と脱リン酸化酵素とを、被験化合物の存在下且つ脱リン酸化反応に必要な条件下で接触させるステップ;
    (b)前記基質のリン酸化レベルの変化を検出するステップ。
  10. 以下のステップを更に含む、請求項9に記載のスクリーニング方法:
    (c)リン酸化された状態にある、Plk3のリン酸化を受ける基質と脱リン酸化酵素とを前記被験化合物の非存在下で接触させた場合の前記基質のリン酸化レベルの変化と、ステップbで検出したリン酸化レベルの変化とを比較することによって、前記被験化合物のリン酸化調節能を判定するステップ。
  11. ステップbにおけるリン酸化レベルの変化の検出が、リン酸化された状態又はリン酸化されていない状態の前記基質に特異的に結合する抗体を用いて実施される、請求項7〜10のいずれかに記載のスクリーニング方法。
  12. 前記抗体は、前記基質においてPlk3が作用する部位を識別し、該部位がリン酸化された状態又はリン酸化されていない状態の前記基質に特異的に結合する、請求項11に記載のスクリーニング方法。
  13. 前記抗体は、p53の以下の配列部分のリン酸化状態を識別できる、請求項11又は12に記載のスクリーニング方法:
    MDDLMLSPDDIEQ:配列番号1(下線を付したSはp53の46位セリンである)。
  14. Plk3のリン酸化作用を受ける基質と、リン酸化された状態又はリン酸化されていない状態の前記基質に特異的に結合する抗体とを含む、アポトーシス調節活性測定用又はアポトーシ調節活性を有する化合物のスクリーニング用キット。
JP2004064670A 2004-03-08 2004-03-08 アポトーシス調節活性を測定する方法、及びアポトーシス調節活性を有する化合物のスクリーニング方法 Pending JP2005245403A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004064670A JP2005245403A (ja) 2004-03-08 2004-03-08 アポトーシス調節活性を測定する方法、及びアポトーシス調節活性を有する化合物のスクリーニング方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004064670A JP2005245403A (ja) 2004-03-08 2004-03-08 アポトーシス調節活性を測定する方法、及びアポトーシス調節活性を有する化合物のスクリーニング方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005245403A true JP2005245403A (ja) 2005-09-15

Family

ID=35026492

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004064670A Pending JP2005245403A (ja) 2004-03-08 2004-03-08 アポトーシス調節活性を測定する方法、及びアポトーシス調節活性を有する化合物のスクリーニング方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005245403A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Lamphere et al. Interaction between Cdc37 and Cdk4 in human cells
JP3462498B2 (ja) レセプターチロシンキナーゼ標的タンパク質のcDNAクローニング方法及びhGRBタンパク質
Yamashiro et al. Myosin phosphatase-targeting subunit 1 regulates mitosis by antagonizing polo-like kinase 1
JP5881270B2 (ja) Nfatの制御因子
US20110008347A1 (en) Cancer-related protein kinases
EP1184665A1 (en) Method for measuring protein kinase activity
US20060141529A1 (en) Compositions, kits and assays containing reagents directed to cortactin and an ARG/ABL protein kinase
WO2016040824A2 (en) METHODS OF IDENTIFYING MODULATORS OF SESTRIN-GATOR2 INTERACTION AND USE OF SAME TO MODULATE mTORC1
AU2011214254B2 (en) Dual activity kinase domains and uses thereof
AU2001265947B2 (en) Enzymatic assays for screening anti-cancer agents
AU9223198A (en) Mammalian chk1 effector cell-cycle checkpoint protein kinase materials and methods
JP4828752B2 (ja) サイクリン/cdk複合体のリン酸化酵素活性測定方法
JP2006515159A (ja) Mk2相互作用タンパク質
US20100129815A1 (en) Identification of cardiac specific myosin light chain kinase
US7097996B2 (en) Methods of screening test compounds using GADD34L, an eIF2α-specific phosphatase subunit
JP2005245403A (ja) アポトーシス調節活性を測定する方法、及びアポトーシス調節活性を有する化合物のスクリーニング方法
EP1688435A1 (en) Methods for determining the activity of Plk1 in human cells
US20060052582A1 (en) Identification of inhibitors of mitosis
US7026148B1 (en) DAP-kinase related protein
JP2004537291A (ja) 新規混合系統キナーゼ(7)(mlk7)ポリペプチド、それをコードするポリヌクレオチド、およびそれらの使用方法
US8476025B2 (en) ATM-dependent phosphorylation of Sp1 is involved in the cellular response to DNA damage and enhances cellular survival after DNA damage
JP2003512047A (ja) 新規胚中心キナーゼ細胞周期タンパク質、組成物および使用法
US20030129638A1 (en) Reagents for antagonizing the protein-protein interaction between Raf-1 and apoptosis signal-regulating kinase and uses therefor
Clarke et al. The function of phosphatidylinositol 5-phosphate 4-kinase ɣ (PI5P4Kɣ) explored using a specific inhibitor that targets the PI5P-binding site.
Watkins Regulation of PP2Ac stability–discovery of a novel α4 monoubiquitination-dependent mechanism that is altered in Alzheimer’s disease