JP2005245303A - エキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子、該遺伝子を含むベクター及び形質転換体 - Google Patents

エキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子、該遺伝子を含むベクター及び形質転換体 Download PDF

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Abstract

【課題】 プロテオグリカンからの糖鎖遊離などに有用なエキソ−1,3−ガラクタナーゼの活用を図るため、該酵素の遺伝的情報を解明し、これを活用して該酵素の工業的な生産に寄与する。
【解決手段】 特定の塩基配列からなるエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子、該遺伝子を含むプラスミド、及び該プラスミドで形質転換された大腸菌(FERM BP−08652、FERM BP−08651、FERM BP−08649、FERM BP−08650)を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子、該遺伝子を含むプラスミドベクター及び形質転換体に関する。
エキソ−1,3−ガラクタナーゼは、ガラクトースがβ−1,3−結合で繋がった多糖である1,3−ガラクタンの非還元末端から順にガラクトースを遊離するエキソ型の酵素であり、正式な名称はガラクタン1,3−β−ガラクトシダーゼ(E.C.3.2.1.145)である。本酵素は高等植物の細胞表層プロテオグリカンであるアラビノガラクタン−プロテインの糖鎖部分に作用する。
アラビノガラクタン−プロテインは、高等植物の細胞表層に存在するプロテオグリカンで、ヒドロキシプロリンを多く含むタンパク部分とアラビノース、ガラクトースを主成分とする糖鎖(アラビノ1,3−、1,6−ガラクタン)とで構成されている。このアラビノガラクタン−プロテインは、時期、器官特異的に発現することが知られ、植物の生長や分化と深く関わると考えられている(非特許文献1の総説参照)。増粘剤として食品に使われているアカシアの樹液由来のガムアラビックは、アラビノガラクタン−タンパク質の一種である。
アラビノガラクタン−プロテインを分解する酵素としては、α−L−アラビノフラノシダーゼ(E.C.3.2.1.55)、β−ガラクトシダーゼ(E.C.3.2.1.22)、エンド−β−1,6−ガラクタナーゼ(EC番号なし)、及びエキソ−1,3−ガラクタナーゼ(E.C.3.2.1.145)が知られている。
エキソ−1,3−ガラクタナーゼは、これまで2種類の起源のもの、すなわち、イルペックス(Irpex)属微生物及びアスペルギルス(Aspergillus)属微生物のそれぞれの培養液である市販の酵素製剤から精製されたとの報告がある(非特許文献2及び非特許文献3参照)。しかしながら、両文献ともアミノ酸配列の情報はもちろん、遺伝的情報に関して全く記載されていない。
様々なグリコシダーゼがその特異性を利用して多糖やオリゴ糖などの構造解析に広く利用されている。その中で、エキソ−1,3−ガラクタナーゼは、側鎖が結合しているガラクトースの結合を加水分解するバイパス反応を触媒するという性質を有することから、非常にヘテロで複雑な構造を持つアラビノガラクタン−プロテインの糖鎖構造の解析に有用である。
しかしながら、上記の通りエキソ−1,3−ガラクタナーゼに関する遺伝的情報は全く知られていなかったため、アラビノガラクタン−プロテインの糖鎖構造の解析は進展せず、その用途の開発も進んでいなかった。
Y.Gasparら,Plant Mol.Biol.47巻,161−176頁,2001年 Y.Tsumurayaら,J.Biol.Chem.265巻,7207−7215頁,1990年 P.Pellerinら,Carbohydrate Res.264巻,281−291頁,1994年
本発明は、エキソ−1,3−ガラクタナーゼの活用を図るため、該酵素の遺伝的情報を解明し、これを活用して該酵素の工業的な生産に寄与することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、その結果、種々の生物のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子を解明するに至った。
すなわち、ファネロキーテ属微生物由来cDNAをイルペックス属微生物のエキソ−1,3−ガラクタナーゼの部分アミノ酸配列を基に設計したプライマーを用いたPCRにより増幅して部分塩基配列を得て、得られたPCR産物の前後の塩基配列をRACE−PCRにより更に増幅することにより、第一のエキソ−1,3−ガラクタナーゼをコードする遺伝子の全長をクローニングすることに成功した。
また、クロストリディウム属微生物のゲノムDNAを鋳型とし、目的とするDNA全長を得るべくデザインしたプライマーを用いてPCRを行い、第二のエキソ−1,3−ガラクタナーゼをコードする遺伝子の全長をクローニングすることにも成功した。
更にアラビドプシス属植物由来cDNAを鋳型とし、目的とするそれぞれのDNA全長を得るべくデザインしたプライマーを用いてPCRを行い、第三及び第四のエキソ−1,3−ガラクタナーゼをコードする遺伝子の全長をクローニングすることにも成功した。
本発明は、係る知見に基づくものである。
請求項1記載の本発明は、配列表の配列番号1記載の塩基配列からなるエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子である。
請求項2記載の本発明は、請求項1記載のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子を含むプラスミドである。
請求項3記載の本発明は、請求項2記載のプラスミドで形質転換された大腸菌(FERM BP−08652)である。
請求項4記載の本発明は、配列表の配列番号3記載の塩基配列からなるエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子である。
請求項5記載の本発明は、請求項4記載のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子を含むプラスミドである。
請求項6記載の本発明は、請求項5記載のプラスミドで形質転換された大腸菌(FERM BP−08651)である。
請求項7記載の本発明は、配列表の配列番号5記載の塩基配列からなるエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子である。
請求項8記載の本発明は、請求項7記載のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子を含むプラスミドである。
請求項9記載の本発明は、請求項8記載のプラスミドで形質転換された大腸菌(FERM BP−08649)である。
請求項10記載の本発明は、配列表の配列番号7記載の塩基配列からなるエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子である。
請求項11記載の本発明は、請求項10記載のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子を含むプラスミドである。
請求項12記載の本発明は、請求項11記載のプラスミドで形質転換された大腸菌(FERM BP−08650)である。
本発明によれば、エキソ−1,3−ガラクタナーゼの遺伝的情報が提供されるので、エキソ−1,3−ガラクタナーゼの工業的な生産が可能となる。
エキソ−1,3−ガラクタナーゼは、アラビノガラクタン−プロテインに作用することから、本発明は、アラビノガラクタン−プロテインの糖鎖構造解析用の試薬として、該糖タンパク質の構造解析の進展に寄与するものである。また、アラビノガラクタン−プロテインの物性を改変し、増粘剤としての用途を切り開くことも可能である。
更に、エキソ−1,3−ガラクタナーゼは、動物のプロテオグリカンにも作用する可能性があることから、本発明は、動物のプロテオグリカン糖鎖遊離用酵素としても利用が期待される。
本発明は、第一に、配列表の配列番号1記載の塩基配列からなるエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子を提供するものであり、第二に、配列表の配列番号3記載の塩基配列からなるエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子を提供するものであり、第三に、配列表の配列番号5記載の塩基配列からなるエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子を提供するものであり、第四に、配列表の配列番号7記載の塩基配列からなるエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子を提供するものである。
まず、第一の本発明について説明する。
第一の本発明のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子は、配列表の配列番号1記載の塩基配列からなるものであり、配列表の配列番号2記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするものである。
この本発明の遺伝子の入手方法について、特に限定はないが、ファネロキーテ属微生物から得ることが好ましい。
ファネロキーテ属微生物からの入手方法の一例としては、ファネロキーテ属微生物由来cDNAをイルペックス属微生物のエキソ−1,3−ガラクタナーゼの部分アミノ酸配列を基に設計したプライマーを用いたPCRにより増幅して部分塩基配列を得て、得られた部分配列の前後の塩基配列をRACE−PCRにより更に増幅し、得られる塩基配列をつなぎ合わせる方法を挙げることができる。
すなわち、まず、エキソ−1,3−ガラクタナーゼをイルペックス属微生物から高度に精製し、得られる精製酵素のN末端のアミノ酸配列を決定する(配列表の配列番号9参照)。また、この精製酵素をV8プロテアーゼで消化し、得られる断片のN末端アミノ酸配列(すなわち、精製酵素の内部アミノ酸配列)についても解読する(配列表の配列番号10参照)。
一方、ファネロキーテ属微生物から全RNAを抽出後、3´RACEアダプタープライマーを用いる逆転写反応を行って一本鎖cDNAを得る。
次に、上記N末端アミノ酸配列及び内部アミノ酸配列を基に、1対のプライマー(それぞれ配列表の配列番号11及び12記載の塩基配列からなる。)を作成し、このプライマーを用いて、ファネロキーテ属微生物から調製したcDNAを鋳型としたポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)を行なう。その結果得られるPCR産物は、エキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子の一部を構成する504bpのDNA断片(配列表の配列番号13記載の塩基配列からなる。)である。
次に、RACE−PCR法により、エキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子の全長を構成する塩基配列を決定する。
先に得られたエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子の部分配列(PCR産物)を基に、2対のプライマーを新たに作成し(それぞれ、配列表の配列番号14及び15記載の塩基配列からなるプライマー、配列番号16及び17記載の塩基配列からなるプライマー)、これらを用いて上記ファネロキーテ属微生物から調製したcDNAを鋳型とした5´−RACE、及び3´−RACE PCRを行い、それぞれ1050bp、622bpのPCR産物を得る。
得られたPCR産物の塩基配列を解読し(配列表の配列番号18及び19参照)、これらをつなぎ合わせて、ファネロキーテ属微生物由来のエキソ−1,3−ガラクタナーゼの全長をコードする遺伝子(配列表の配列番号1記載の塩基配列からなる。)を得ることができる。
本発明の第一の遺伝子をファネロキーテ属微生物から得る場合の方法は、上記例に限定されず、例えば、ファネロキーテ属微生物のcDNAを適当なファージベクターにパッケージングし、これを適当なファージに感染させcDNAライブラリーを得て、続いて、配列表の配列番号1に記載の塩基配列に基づいて作製したプローブをプラークハイブリダイゼーションさせて、目的とするDNAを特定し、回収して取得することもできる。
また、本発明の第一の遺伝子は、配列表の配列番号1記載の塩基配列からなるものであれば、ファネロキーテ属微生物以外の他の生物から得ることもできる。更に、DNA自動合成機等を利用して配列表の配列番号1記載の塩基配列を合成しても良い。
このような、第一の本発明のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子は、pGEM−T Easy(プロメガ)等の適当なプラスミドベクターに含ませることにより、プラスミドとすることができ、更に、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.“Molecular Cloning,A Laboratory Manual 第2版”1.74章、Vol.1(1989)に記載された方法等に従い、該プラスミドで大腸菌を形質転換することにより、形質転換大腸菌を得ることができる。
本発明の第一の遺伝子を含むプラスミドpGEM−T Easy/Pc1,3−Galを用いて形質転換して得られた形質転換大腸菌は、日本国茨城県つくば市東1−1−1中央第6の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されており、その受託番号はFERM BP−08652である。
次に、第二の本発明について説明する。
第二の本発明のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子は、配列表の配列番号3記載の塩基配列からなるものであり、配列表の配列番号4記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするものである。
この本発明の遺伝子の入手方法について、特に限定はないが、クロストリディウム属微生物から得ることが好ましい。クロストリディウム属微生物としては、後述の実施例2で用いるクロストリディウム サーモセラム(ATCC 27405株)を例示することができる。
クロストリディウム属微生物からの入手方法の一例としては、クロストリディウム属微生物のゲノムDNAを鋳型とし、目的とするDNA全長を得るべくデザインしたプライマー(配列表の配列番号20及び21参照)を用いてPCRを行い、第二のエキソ−1,3−ガラクタナーゼをコードする遺伝子の全長をクローニングする方法を挙げることができる。
本発明の第二の遺伝子をクロストリディウム属微生物から得る場合の方法は、上記例に限定されず、例えば、クロストリディウム属微生物のゲノム又はcDNAを適当なファージベクターにパッケージングし、これを適当なファージに感染させDNAライブラリーを得て、続いて、配列表の配列番号3に記載の塩基配列に基づいて作製したプローブをプラークハイブリダイゼーションさせて、目的とするDNAを特定し、回収して取得することもできる。
また、本発明の第二の遺伝子は、配列表の配列番号3記載の塩基配列からなるものであれば、クロストリディウム属微生物以外の他の生物から得ることもできる。更に、DNA自動合成機等を利用して配列表の配列番号3記載の塩基配列を合成しても良い。
このような、第二の本発明のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子は、pGEM−T Easy(プロメガ)等の適当なプラスミドベクターに含ませることにより、プラスミドとすることができ、更に、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.“Molecular Cloning,A Laboratory Manual 第2版”1.74章、Vol.1(1989)に記載された方法等に従い、該プラスミドで大腸菌を形質転換することにより、形質転換大腸菌を得ることができる。
本発明の第二の遺伝子を含むプラスミドpGEM−T Easy/Ct1,3−Galを用いて形質転換して得られた形質転換大腸菌は、日本国茨城県つくば市東1−1−1中央第6の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されており、その受託番号はFERM BP−08651である。
更に、第三の本発明及び第四の本発明について説明する。
第三の本発明のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子は、配列表の配列番号5記載の塩基配列からなるものであり、配列表の配列番号6記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするものである。また、第四の本発明のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子は、配列表の配列番号7記載の塩基配列からなるものであり、それぞれ、配列表の配列番号8記載のアミノ酸配列からなるタンパク質をコードするものである。
これらの本発明の遺伝子の入手方法について、特に限定はないが、アラビドプシス属植物から得ることが好ましい。アラビドプシス属植物としては、後述の実施例3で用いるシロイヌナズナを例示することができる。
アラビドプシス属植物からの入手方法の一例としては、アラビドプシス属植物由来cDNAを鋳型とし、目的とするそれぞれのDNA全長を得るべくデザインしたプライマー(それぞれ、配列表の配列番号22及び24記載の塩基配列からなるプライマー、配列番号26及び28記載の塩基配列からなるプライマー。)を用いてPCRを行い、第三及び第四のエキソ−1,3−ガラクタナーゼをコードする遺伝子の全長をクローニングする方法を挙げることができる。
本発明の第三及び第四の遺伝子をアラビドプシス属植物から得る場合の方法は、上記例に限定されず、例えば、アラビドプシス属植物のcDNAを適当なファージベクターにパッケージングし、これを適当なファージに感染させcDNAライブラリーを得て、続いて、配列表の配列番号5及び7に記載の塩基配列に基づいて作製したプローブをプラークハイブリダイゼーションさせて、目的とするDNAを特定し、回収して取得することもできる。
また、本発明の第三及び第四の遺伝子は、それぞれ配列表の配列番号5及び7記載の塩基配列からなるものであれば、アラビドプシス属植物以外の他の生物から得ることもできる。更に、DNA自動合成機等を利用して配列表の配列番号5及び7のそれぞれに記載の塩基配列を合成しても良い。
このような、第三の本発明及び第四の本発明のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子は、pGEM−T Easy(プロメガ)等の適当なプラスミドベクターに含ませることにより、プラスミドとすることができ、更に、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.“Molecular Cloning,A Laboratory Manual 第2版”1.74章、Vol.1(1989)に記載された方法等に従い、該プラスミドで大腸菌を形質転換することにより、形質転換大腸菌を得ることができる。
本発明の第三及び第四の遺伝子をそれぞれ含むプラスミドpGEM−T Easy/At1,3−Gal1及びpGEM−T Easy/At1,3−Gal2を用いて形質転換して得られた形質転換大腸菌は、日本国茨城県つくば市東1−1−1中央第6の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されており、その受託番号は、それぞれFERM BP−08649、FERM BP−08650である。
実施例1
イルペックス ラクテウス(Irpex lacteus)の培養液であるドリセラーゼ(協和発酵)より、イオン交換クロマトグラフィー(DEAE−cellulose(Whatman)、CM−Toyopearl(Tosoh)及びHydroxylapatite(Bio−rad))を活用して高度に精製し、エキソ−1,3−ガラクタナーゼを得た。この精製酵素のN末端のアミノ酸配列を、プロテインシークエンサーG1005A型(ヒューレットパッカード)を用いて決定したところ、配列表の配列番号9に記載するアミノ酸配列からなることが分かった。
また、「遺伝子クローニングのためのタンパク質構造解析」平野 久 著、東京化学同人、に記載の方法に従い、上記精製酵素を、V8プロテアーゼ(V8 protease from Staphylococcus aureus(和光純薬工業))により、SDS−PAGEゲル中で室温、15分の条件下で部分分解した。この分解産物のN末端アミノ酸配列(すなわち、精製酵素の内部アミノ酸配列)を、上記の同様に決定したところ、配列表の配列番号10に記載するアミノ酸配列からなることが分かった。
一方、ファネロキーテ クライソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium:P.chrysosporium)を、セルロース2%、2,2−ジメチルスクシネート0.22%、(NHHPO0.26%、KHPO0.11%、MgSO・7水和物0.05%、CaCl・2水和物0.0074%、FeSO・7水和物0.001%、MnSO・7水和物0.0005%、ZnSO・7水和物0.0005%、CoCl・6水和物0.0001%、チアミン−HCl0.00001%、及び尿素0.00006%を含む培地で3日間培養した。得られた菌体から全RNAを抽出した後、このうちのmRNAを鋳型にして、3´RACE アダプタープライマー(Invitrogen)を用いて逆転写反応を行い、一本鎖cDNA(P.chrysosporium cDNA)を合成した。逆転写反応は、Ready−To−Go You−Prime First−strand Beads(Amersham Biosciences)を用い、予め65℃で10分間インキュベートして高次構造を崩した後、37℃で1時間インキュベートして行った。
次いで、すでに公開されているP.chrysosporiumのゲノム情報に対して、上記N末端アミノ酸配列を用いたBLAST検索を行い、得られた情報を基にフォワードプライマー(配列表の配列番号11に記載する塩基配列からなる。)を設計した。また、P.chrysosporiumのゲノム情報に対して、上記内部アミノ酸配列を用いたBLAST検索を行い、得られた情報を基に、上記フォワードプライマーに対応するリバースプライマー(配列表の配列番号12に記載する塩基配列からなる。)を設計した。
これらのプライマーを用いて、上述したP.chrysosporium cDNAを鋳型としたPCR反応を行った。PCRの条件は、Ex Taq(TaKaRa)を使い、95℃・30秒、60℃・30秒,72℃・1分を30サイクルとした。
こうして得られたPCR産物をアガロース電気泳動にかけた結果、504bpの明瞭なバンドを得た。また、このPCR産物をpGEM−T Easy Vector Systems(PROMEGA)を用いてクローニングし(尚、ライゲーションは16℃、30分の反応で行った。)、DNAシークエンサーで分析して、塩基配列を決定したところ、配列表の配列番号17記載の塩基配列からなることが明らかとなった。
更に、この塩基配列をアミノ酸に翻訳して、得られたアミノ酸配列を用いてホモロジー検索を行ったところ、先に得られたN末端のアミノ酸配列(配列表の配列番号9及び10参照)と高い相同性が見出された。このことから、該PCR産物は、エキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子の一部であると判断した。
そこで、RACE−PCR法により、エキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子の全長を構成する塩基配列の決定を試みた。
まず、P.chrysosporiumのゲノム情報に対して、先に得られたエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子の部分配列(PCR産物)を用いたBLAST検索を行い、該PCR産物の5´上流に位置するようにフォワードプライマー(配列表の配列番号14記載の塩基配列からなる。)を設計すると共に、先に得られたエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子の部分配列からリバースプライマー(配列表の配列番号15記載の塩基配列からなる。)を設計した。
これらを用いてP.chrysosporium cDNAを鋳型とした5´RACE PCRを行った。PCRの条件は、Ex Taq(TaKaRa)を使い、95℃・30秒、60℃・30秒、72℃・1分30秒を30サイクルとした。
こうして得られたPCR産物をアガロース電気泳動にかけた結果、1050bpの明瞭なバンドを得た。また、このPCR産物をpGEM−T Easy Vector Systems(PROMEGA)を用いてクローニングし(尚、ライゲーションは16℃、30分の反応で行った。)、DNAシークエンサーで分析して、塩基配列を決定したところ、配列表の配列番号18記載の塩基配列からなることが明らかとなった。
一方、先に得られたエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子の部分配列(PCR産物)からフォワードプライマー(配列表の配列番号16記載の塩基配列からなる。)を新しく設計した。また、前記の3´RACEアダプタープライマー(Invitrogen)部分に相補的な配列を持つプライマー(配列表の配列番号17記載の塩基配列からなる。)を設計した。PCRの条件は、Ex Taq(TaKaRa)を使い、95℃・30秒、55℃・30秒,72℃・1分30秒を30サイクルとした。
これらを用いてP.chrysosporium cDNAを鋳型とした3´RACEを行った。
こうして得られたPCR産物をアガロース電気泳動にかけた結果、622bpの明瞭なバンドを得た。また、このPCR産物をpGEM−T Easy Vector Systems(PROMEGA)を用いてクローニングし(尚、ライゲーションは16℃、30分の反応で行った。)、DNAシークエンサーで分析して、塩基配列を決定したところ、配列表の配列番号19記載の塩基配列からなることが明らかとなった。
RACE−PCRの結果得られた塩基配列の情報(配列表の配列番号18及び19参照)をつなぎ合わせて、配列表の配列番号1記載の塩基配列からなるDNAが得られた。
この塩基配列をアミノ酸に翻訳したところ、そのアミノ酸配列は配列表の配列番号2に示す通りであり、分子量45,632のタンパク質を構成することが明らかとなった。また、該タンパク質は、N型糖鎖付加可能サイトを3カ所(配列表の配列番号2記載のアミノ酸配列の79番目、194番目及び389番目のアスパラギン)有するため、一般的に言われている糖鎖の分子量約2,000が3つ付加された場合の分子量は51,000〜52,000であるものと推定された。これは、ファネロキーテ属微生物の培養上清から得られた活性型エキソ−1,3−ガラクタナーゼの分子量が約51,000であるのと良く一致していた。
このことから、得られた塩基配列は、ファネロキーテ属微生物由来のエキソ−1,3−ガラクタナーゼの全長をコードする遺伝子である可能性が高いことが明らかとなった。
次に、このようにして得られたファネロキーテ属微生物由来のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子を、PCRにより増幅した。PCRの条件は、Ex Taq(TaKaRa)を使い、98℃・10秒、60℃・1分,72℃・2分を25サイクルとした。
こうして得られたPCR産物をプラスミドpGEM−T Easy(PROMEGA)にTAクローニングして、プラスミドpGEM−T Easy/Pc1,3−Galを調製した。
次に、ファネロキーテ属微生物のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子の発現を行った。
すなわち、シグナル配列部分(配列表の配列番号2の1〜20番目のアミノ酸部分)を除いた部分をPCRにより増幅し、制限酵素EcoRIとNotIで分解したpPICZαA(Invitrogen)に導入し、プラスミドpPICZαA/Pc1,3−Galを調製した。pPICZαA/Pc1,3−Galは酵母菌ピキア・パストリス(Pichia pastoris)KM71H株に形質転換した。形質転換体は、100μg/mlの濃度でゼオシンを含むYPG培地(1%酵母エキス、2%ペプトン、1%グリセロール)で30℃、3日間培養した後、遠心により菌体を回収し、YPM培地(1%酵母エキス、2%ペプトン、1%メタノール)に懸濁し、更に2日間培養することでタンパクの発現を行った。
続いて、発現させたタンパク質の性質について調べた。
(1)分子量
まず、発現させたタンパク質の分子量について調べた。
SDS電気泳動により発現させたタンパク質の分子量をSDS電気泳動により調べたところ、約51,000であり、前述したファネロキーテ属微生物の培養上清から得られた活性型エキソ−1,3−ガラクタナーゼの分子量とほぼ同じであった。
そこで、発現させたタンパク質を1,3−ガラクタンに対して実際に作用させたところ、非還元末端からガラクトースを遊離するエキソ−1,3−ガラクタナーゼとしての作用が確認されたことから、得られた遺伝子はエキソ−1,3−ガラクタナーゼをコードするものであることが実際に確認された。
(2)至適pHおよびpH安定性
次に、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼの作用における至適pH及びpH安定性を確認した。
すなわち、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼを、37℃においてpHを変えて1,3−ガラクタンに対して作用させたところ、エキソ−1,3−ガラクタナーゼ作用はpH4.5近傍でピークに達した。
また、30℃で1時間放置した後に1,3−ガラクタンに対してpHを変えて作用させたところ、pH3.0〜6.0の範囲で安定に作用した。
これらの結果から、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼの至適pHはpH4.5近傍にあると共にpH3.0〜6.0の範囲で安定であることが分かった。
(3)至適温度および温度安定性
更に、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼの作用における至適温度及びpH安定性を確認した。
一方、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼタンパク質を、pH4.5で15分間1,3−ガラクタンに対して作用させたところ、エキソ−1,3−ガラクタナーゼの作用は、50℃近傍でピークに達した。
また、pH4.5で1時間放置した後に1,3−ガラクタンに対して作用させたところ、55℃以下で安定に作用した。
これらの結果から、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼの至適温度は50℃近傍にあると共に、55℃以下で安定であることが分かった。
(4)基質特異性
発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼを、種々の多糖類(基質)に対して作用させ、基質特異性を調べた。
すなわち、10mg/ml基質50μl及びマクイルバイン(McIlvaine)緩衝液(pH4.5)40μlに、酵素液10μlを加えて37℃で24時間反応させた。Somogyi−Nelson法にて還元力を測定し、分解率(%)に換算した。
各基質の反応液における濃度、及び分解率(%)を、表1に示した。
Figure 2005245303
続いて、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼを、種々のp−ニトロフェニル基質に対して作用させ、p−ニトロフェニル基質に対する特異性を調べた。
すなわち、2mM基質(表2参照)25μl及びマクイルバイン緩衝液(pH4.5)20μlに、酵素液5μlを加えて37℃で10分間反応させた。0.2M炭酸ナトリウム100μlを加えることにより反応を停止し、400nmの吸光度を測定して、分解率(%)に換算した。
各基質の分解率(%)を、表2に示した。
Figure 2005245303
表1及び表2に示すように、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼは、β−1,3−ガラクタンのみを100%分解したことから、β−1,3−ガラクタンに対し基質特異性を有することが確認された。
さらに、このプラスミドpGEM−T Easy/Pc1,3−Galを用いて、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.“Molecular Cloning,A Laboratory Manual 第2版”1.74章Vol.1(1989)に記載された方法に従い、大腸菌を形質転換した。こうして得られた形質転換大腸菌は、日本国茨城県つくば市東1−1−1 中央第6の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されており、その受託番号はFERM BP−08652である。
実施例2
前記実施例1において得られたファネロキーテ属微生物のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子のアミノ酸配列を用いてホモロジー検索を行ったところ、クロストリディウム サーモセラム(Clostridium thermocellum:ATCC 27405株)の機能未知な配列と約30.7%の相同性が見出された。
そこで、この機能未知な配列を基に一対のプライマー(配列表の配列番号20及び21に記載する塩基配列からなる。)を化学合成した。
一方、クロストリディウム サーモセラムから、K.Sakkaらの方法(Agric.Biol.Chem.(日本農芸化学会欧文誌)53巻905−910頁,1989年)に従い、ゲノムDNAを調製した。
これらのゲノムDNAを鋳型として、上述のプライマーを用いたPCR反応を行った。PCRの条件は、Ex Taq(TaKaRa)を加え、98℃、3分の前処理でDNAを変性させた後、98℃・10秒、57℃・1分、72℃・2分で25サイクル行った後、さらに72℃で5分間の伸長反応を行うものとした。
こうして得られたPCR産物をアガロース電気泳動にかけた結果、1716bpの明瞭なバンドを得た。また、このPCR産物をpGEM−T Easy Vector Systems(PROMEGA)を用いてクローニングし(尚、ライゲーションは16℃、1時間の反応で行った。)、DNAシークエンサーで分析して、塩基配列を決定したところ、配列表の配列番号3記載の塩基配列からなることが明らかとなった。
この塩基配列をアミノ酸に翻訳したところ、分子量63,894のタンパク質を構成し、そのアミノ酸配列は配列表の配列番号4に示す通りであった。分泌シグナル配列(配列番号4記載のアミノ酸配列のうち、1〜30番目の部分)を除いた成熟タンパクの分子量は60,994であることが明らかとなった。
次に、このようにして得られたDNAを、実施例1と同様にしてプラスミドpGEM−T Easy(PROMEGA)にTAクローニングして、プラスミドpGEM−T Easy/Ct1,3−Galを調製した。
さらに、このプラスミドpGEM−T Easy/Ct1,3−Galを用いて、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.“Molecular Cloning,A Laboratory Manual 第2版”1.74章、Vol.1(1989)に記載された方法に従い、大腸菌を形質転換した。こうして得られた形質転換大腸菌は、日本国茨城県つくば市東1−1−1 中央第6の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されており、その受託番号はFERM BP−08651である。
このクロストリディウム属微生物のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子を大腸菌で発現させた。
すなわち、シグナル配列部分(配列表の配列番号4の1〜30番目のアミノ酸部分)を除いた部分をPCRにより増幅し、制限酵素MscIとXhoIで分解し、同様に制限酵素MscIとXhoIで分解したpET27b(Novagen)に導入し、プラスミドpET27/Ct1,3−Galを調製した。pET27/Ct1,3−Galは大腸菌Rosetta(DE3)株に形質転換した。形質転換体は、50μg/mlの濃度のカナマイシンおよび34μg/mlの濃度のクロラムフェニコールを含むLB培地で37℃、16時間前培養した。培養液5mlを、同じく50μg/mlの濃度のカナマイシンおよび34μg/mlの濃度のクロラムフェニコールを含むLB培地100mlに移し、500mlのフラスコで37℃でOD600が0.5になるまで培養した後、終濃度1mMになるようにIPTGを加え、更に25℃で24時間培養することでタンパクの発現を行った。
続いて、発現させたタンパク質の性質について調べた。
(1)分子量
まず、発現させたタンパク質の分子量について調べた。
SDS電気泳動により発現させたタンパク質の分子量をSDS電気泳動により調べたところ、約65,000であり、これは前記成熟タンパクの分子量と良く一致していた。
そこで、発現させたタンパク質を1,3−ガラクタンに対して実際に作用させたところ、非還元末端からガラクトースを遊離するエキソ−1,3−ガラクタナーゼとしての作用が確認されたことから、得られた遺伝子はエキソ−1,3−ガラクタナーゼをコードするものであることが実際に確認された。
(2)至適pHおよびpH安定性
次に、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼの作用における至適pH及びpH安定性を確認した。
すなわち、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼを、37℃においてpHを変えて1,3−ガラクタンに対して作用させたところ、エキソ−1,3−ガラクタナーゼ作用はpH6.0近傍でピークに達した。
また、30℃で1時間放置した後に1,3−ガラクタンに対してpHを変えて作用させたところ、pH2.0〜10.0の範囲で安定に作用した。
これらの結果から、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼの至適pHはpH6.0近傍にあると共にpH2.0〜10.0の範囲で安定であることが分かった。
(3)至適温度および温度安定性
更に、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼの作用における至適温度及びpH安定性を確認した。
一方、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼを、pH6.0で10分間1,3−ガラクタンに対して作用させたところ、エキソ−1,3−ガラクタナーゼの作用は、50℃近傍でピークに達した。
また、pH6.0で1時間放置した後に1,3−ガラクタンに対して作用させたところ、70℃以下で安定に作用した。
これらの結果から、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼの至適温度は50℃近傍にあると共に、70℃以下で安定であることが分かった。
(4)基質特異性
発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼを、種々の多糖類(基質)に対して作用させ、基質特異性を調べた。
すなわち、10mg/ml基質50μl及びマクイルバイン緩衝液(pH6.0)40μlに、酵素液10μlを加えて37℃で24時間反応させた。Somogyi−Nelson法にて還元力を測定し、分解率(%)に換算した。
各基質の反応液における濃度、及び分解率(%)を、表3に示した。
Figure 2005245303
続いて、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼを、種々のp−ニトロフェニル基質に対して作用させ、p−ニトロフェニル基質に対する特異性を調べた。
すなわち、2mM基質(表4参照)50μl及びマクイルバイン緩衝液(pH4.5)20μlに、酵素液5μlを加えて37℃で10分間反応させた。0.2M炭酸ナトリウム100μlを加えることにより反応を停止し、400nmの吸光度を測定して、分解率(%)に換算した。
各基質の分解率(%)を、表4に示した。
Figure 2005245303
表3及び表4に示すように、発現させたエキソ−1,3−ガラクタナーゼは、β−1,3−ガラクタンのみを100%分解したことから、β−1,3−ガラクタンに対し基質特異性を有することが確認された。
実施例3
前記実施例1において得られたファネロキーテ属微生物のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子のアミノ酸配列を用いてホモロジー検索を行ったところ、アラビドプシス タリアナ(Arabidopsis thaliana)の2種類の機能未知な配列とそれぞれ約37.9%、約38.6%の相同性が見いだされた。
そこで、これらの機能未知な配列を基に、それぞれについて一対のプライマー(配列表の22と24及び26と28に記載する塩基配列からなる。)を化学合成した。
一方、アラビドプシス属植物から、全RNAを抽出した後、このRNAを鋳型にしてReverTra Dash(TOYOBO)を用い、42℃で1時間反応させcDNAを調製した。
このcDNAを鋳型として、上述のプライマーを用いたPCR反応を行った。PCRの条件は、LA Taq(TaKaRa)を用い、98℃・1分、65℃・1分、72℃・2分のサイクルのサイクルを25サイクルとした。
こうして得られたPCR産物をアガロース電気泳動にかけた結果、それぞれ1413bp、1428bpの明瞭なバンドを得た。また、このPCR産物をpGEM−T Easy Vector Systems(PROMEGA)を用いてTAクローニングし、プラスミドpGEM−T Easy/At1,3−Gal1及びpGEM−T Easy/At1,3−Gal2を調製した。DNAシークエンサーで分析して、それぞれの塩基配列を決定したところ、配列表の配列番号5及び7記載の塩基配列からなることが明らかとなった。
この塩基配列をアミノ酸に翻訳したところ、分子量53,250及び53,785のタンパク質を構成し、そのアミノ酸配列は配列表の配列番号6及び8に示す通りであった。また、該アミノ酸配列のN末端領域には、いずれも膜結合領域(配列表の配列番号6記載のアミノ酸配列の15〜37番目、及び配列表の配列番号8記載のアミノ酸配列の23〜45番目)が観察されたことから、該アミノ酸配列は、膜結合タンパク質をコードするものであることが示唆された。
次に、このようにして得られたDNAを、実施例1と同様にしてプラスミドpGEM−T Easy(PROMEGA)にTAクローニングして、プラスミドpGEM−T Easy/1,3−Galを調製した。
このようにして得られたアラビドプシス属植物のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子の発現を行った。
すなわち、得られたpGEM−T Easy/At1,3−Gal1及びpGEM−T Easy/At1,3−Gal2をそれぞれ鋳型とし、配列表の配列番号23及び24記載の塩基配列からなるプライマー、及び配列番号27及び28記載の塩基配列からなるプライマーをそれぞれ用いてPCRを行い、膜結合領域を含まない部分のみをそれぞれ増幅した。
各PCR産物(それぞれ配列表の配列番号25及び29記載の塩基配列からなる。)を、制限酵素EcoRIとKpnIで分解し、同様に制限酵素EcoRIとKpnIで分解したpPICZαA(Invitrogen)に導入し、プラスミドpPICZαA/At1,3−Gal1及びpPICZαA/At1,3−Gal2を調製した。pPICZαA/At1,3−Gal1及びpPICZαA/At1,3−Gal2は、それぞれ酵母菌ピキア・パストリス KM71H株に形質転換した。形質転換体は、100μg/mlの濃度でゼオシンを含むYPG培地(1%酵母エキス、2%ペプトン、1%グリセロール)で30℃、3日間培養した後、遠心により菌体を回収し、YPM培地(1%酵母エキス、2%ペプトン、1%メタノール)に懸濁し、更に2日間培養することでタンパクの発現を行った。
発現タンパクを1,3−ガラクタンに作用させたところガラクトースを遊離した。このことから、得られた塩基配列は、シロイヌナズナ由来のエキソ−1,3−ガラクタナーゼの全長をコードする遺伝子であることが明らかとなった。
さらに、このプラスミドpGEM−T Easy/At1,3−Gal1及びpGEM−T Easy/At1,3−Gal2を用いて、実施例1と同様にしてSambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T.“Molecular Cloning,A Laboratory Manual 第2版”1.74章、Vol.1(1989)に記載された方法に従い、大腸菌を形質転換した。こうして得られた形質転換大腸菌は、日本国茨城県つくば市東1−1−1 中央第6の独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されており、その受託番号は、それぞれFERM BP−08649、FERM BP−08650である。
本発明によれば、エキソ−1,3−ガラクタナーゼの遺伝的情報が提供されるので、エキソ−1,3−ガラクタナーゼの工業的な生産が可能となる。
エキソ−1,3−ガラクタナーゼは、アラビノガラクタン−プロテインに作用することから、本発明は、アラビノガラクタン−プロテインの糖鎖構造解析用の試薬として、該糖タンパク質の構造解析の進展に寄与するものである。また、アラビノガラクタン−プロテインの物性を改変し、増粘剤としての用途を切り開くことも可能である。
更に、エキソ−1,3−ガラクタナーゼは、動物のプロテオグリカンにも作用する可能性があることから、本発明は、動物のプロテオグリカン糖鎖遊離用酵素としても利用が期待される。

Claims (12)

  1. 配列表の配列番号1記載の塩基配列からなるエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子。
  2. 請求項1記載のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子を含むプラスミド。
  3. 請求項2記載のプラスミドで形質転換された大腸菌(FERM BP−08652)。
  4. 配列表の配列番号3記載の塩基配列からなるエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子。
  5. 請求項4記載のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子を含むプラスミド。
  6. 請求項5記載のプラスミドで形質転換された大腸菌(FERM BP−08651)。
  7. 配列表の配列番号5記載の塩基配列からなるエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子。
  8. 請求項7記載のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子を含むプラスミド。
  9. 請求項8記載のプラスミドで形質転換された大腸菌(FERM BP−08649)。
  10. 配列表の配列番号7記載の塩基配列からなるエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子。
  11. 請求項10記載のエキソ−1,3−ガラクタナーゼ遺伝子を含むプラスミド。
  12. 請求項11記載のプラスミドで形質転換された大腸菌(FERM BP−08650)。

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