JP2005238551A - 液体吐出ヘッドおよび液体吐出ヘッドの作製方法 - Google Patents

液体吐出ヘッドおよび液体吐出ヘッドの作製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低電圧駆動で、安定してインク液滴を吐出・飛翔させ、高画質な記録画像を高速で形成することができる液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】ヘッド基板の表面に先端部分が先鋭な形状を有する金属で作製された溶液ガイドと、溶液ガイドの周囲を囲うように吐出電極を設け、吐出電極に電圧を印加するための配線部をヘッド基板の裏面側に設けることによって上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、帯電粒子が分散された溶液に静電気力を作用させることで液滴を吐出させる液体吐出ヘッドおよび液体吐出ヘッドの作製方法に関するものである。
今日、液体吐出ヘッドとしては、インクを加熱してインクに発生した気泡の膨張力でインク液滴を吐出させるサーマルタイプのインクジェットヘッドや、圧電素子によりインクに圧力を与えてインク液滴を吐出させるピエゾタイプのインクジェットヘッドが提案されている。しかしながら、サーマルタイプのインクジェットヘッドでは、インクを部分的に300℃以上に加熱するため、インクの材質が限定されるという問題があり、ピエゾタイプのインクジェットヘッドでは、構造が複雑でコストが高いといった問題がある。
これらの問題を解決する液体吐出ヘッドとして、帯電した微粒子成分を含むインクを用い、画像データに応じて、インクジェットヘッドの制御電極に所定の電圧を印加することにより、静電気力を利用してインクの吐出を制御し、画像データに対応した画像を記録媒体上に記録する方式が提案されている。
この静電式インクジェット記録方式を採用する記録装置としては、種々のインクジェット記録装置が知られている。(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4および特許文献5)
図10は、特許文献1に開示のインクジェット記録装置のインクジェットヘッドの概略構成の一例を模式的に表す概念図である。同図に示すインクジェットヘッド200は、上記特許文献1に開示のインクジェットヘッドのインク吐出位置となる1つのインクガイド周辺を概念的に表したものであり、ヘッド基板202と、インクガイド204と、絶縁性基板206と、制御電極208と、記録媒体Pを支持する対向電極210と、バイアス電圧源212と、信号電圧源214とを備えている。
インクガイド204は、所定幅だけ切り欠かれたインク案内溝220を備えた凸状の先端部分204aを備え、ヘッド基板202上に配置され、絶縁性基板206には、インクガイド204の配置に対応する位置に貫通孔218(吐出口)が開口されている。インクガイド204は、この貫通孔218を通過し、絶縁性基板206の記録媒体P側の表面よりも上部に突出している。また、ヘッド基板202と絶縁性基板206とは所定の間隔を離して配置されており、両者の間にはインクQの流路216が形成されている。
制御電極208は、貫通孔218毎に、絶縁性基板206の記録媒体P側の面の表面に、貫通孔218の周囲を囲むようにリング状に設けられている。また、制御電極208は、画像データに応じてパルス電圧を発生する信号電圧源214に接続され、この信号電圧源214はバイアス電圧源212を介して接地されている。
また、対向電極210は、インクガイド204の先端部分204aに対向する位置に配置され、接地されている。記録媒体Pは、対向電極210のインクガイド204側の面の表面に配置されている。すなわち、対向電極210は、記録媒体Pを支持するプラテンとして機能する。
記録時には、図示していないインクの循環機構により、制御電極208に印加される電圧と同極性に帯電した色材粒子を含むインクQが、インク流路216内を図中右側から左側へ向かって循環される。また、バイアス電圧源212によって、例えば1.5kVの高電圧が制御電極208に印加される。この時、インク流路216内のインクQの一部は、毛管現象、表面張力、表面の濡れ等によってインク案内溝220の中を通り先端部分204aに供給されている。
ここで、制御電極208にはバイアス電圧源212から常時バイアスとして、例えば直流1.5kVの電圧が与えられ、これに信号電圧源214から画像信号に応じた信号電圧として、例えば500Vのパルス電圧が制御電極208に印加されると、インクガイド先端部分204aから色剤成分を中心とするインク滴が飛び出す。飛び出したインク滴は、対抗電極210に引っ張られて、記録媒体Pに付着して画像を形成する。
このようなインクジェットヘッドの作製方法として、特許文献1では、インクガイドをプラスティック成型によって作製すると開示されている。
また、特許文献2は、インクガイドを設けず、インク供給路から流出するインクの圧力とインクの表面張力によってインク流出口に略半球状のメニスカスを形成し、静電力を利用してインク液滴を吐出するインクジェットヘッドが開示されている。
また、特許文献3には、帯電した色材粒子を絶縁性液体中に分散して成る記録液を収容する収容手段と、開口を有するとともに、この開口を被画像形成媒体から所定距離離間した位置に配置し、記録液を流通させるインク流路と、上記インク流路内に設けられた第1の電極と、インク流路内に上記第1電極と対向して設けられ、上記開口と略同じ高さまで伸びた先端を有する第2電極と、収容手段内に収容された記録液を上記開口へ供給する供給手段と、所定の画像信号に従って上記第1および第2電極に電圧を印加することにより、上記開口付近に供給された記録液中の色材粒子を凝集させ、この凝集された色剤粒子を上記絶縁性液体から分離吐出させて上記被画像形成媒体上に画像を形成する電圧印加手段とを備えている方式により高速描画が可能な画像形成装置が開示されている。
特許文献4に開示されているインクジェットヘッドも、特許文献3と同様に、インクガイド部材である突起部に沿ってインクを流し、突起板の突起にメニスカスを形成している。この突起は、成型したアルミナ製電極ベースを、研磨によって先端を尖らせたものである。
さらに、特許文献5には、その図17に、根元が太く先端に行くほど細い形状のコーン状の突起を備え、その突起の表面が、個別電極に連続した導電性の物質で覆われている吐出ヘッドが開示されている。また、その図24には、コーン状の突起の作製方法として、Siや導電性のSiを半導体プロセスで加工すると開示されている。
特開10−230608 特開9−309208 特開10−76664 特開11−105293 特開8−149253
ここで、静電式の液体吐出ヘッドでは、安定して、高画質な画像を高速かつ低電圧で記録することが要求される。また、安定して、高画質な画像を高速かつ低電圧で記録するためには、液滴吐出位置となるインクガイド部材の先端に設けられる先鋭部を高密度高精細に形成する必要がある。
しかしながら、特許文献1のインクジェットヘッドでは、毛細管現象によってインクを先鋭部に上昇させる。このためインクの供給に時間がかかり、安定した大きさおよび色剤粒子濃度のインク滴を高い吐出周波数で連続して吐出することができないといった問題があった。
このように、インク液滴の吐出周波数を高くすることができないため、高速描画ができないという欠点がある。
また、特許文献2のインクジェットヘッドは、吐出口の目詰まりを生じない穴径とする必要があるので、微小な液滴を飛翔させるのが困難であり、かつ飛翔させるには高電圧が必要となるという問題があった。
また、特許文献3および特許文献4のインクジェットヘッドは、そのヘッドの構造として、2次元アレイ化をするのが困難であるため、吐出部を高密度に配置することができず、高速で高画質な記録を行うことが困難であるという問題があった。さらに、特許文献4のインクジェットヘッドでは、高密度にノズルを形成する必要があるラインヘッドでは、ノズル間の干渉が生じ、インク液滴の径を制御できないため、高画質な記録を行うことが困難であるという問題もあった。
さらに、特許文献5のインクジェットヘッドでは、配線が流路中にあるため、電界干渉が生じ、チャンネル間の吐出濃度を制御するのが難しいという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題点を解決し、低電圧駆動で、安定してインク液滴を吐出・飛翔させ、高画質な記録画像を高速で形成することができる液体吐出ヘッドと、この液体吐出ヘッドを高精度、かつ高い生産性で作製することのできる液体吐出ヘッドの作製方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、帯電粒子が分散された溶液に静電力を作用させて液滴を吐出させる液体吐出ヘッドであって、前記液滴を吐出する貫通孔が開孔された絶縁性貫通孔基板と、前記絶縁性貫通孔基板と所定の間隔を離間して配置され、前記絶縁性貫通孔基板との間に前記溶液の流路を形成する絶縁性ヘッド基板と、前記絶縁性ヘッド基板の前記絶縁性貫通孔基板側の表面の、前記貫通孔に対応する位置に取り付けられ、その先端部分が前記貫通孔を通過して、突出し、先端に向かうに従って次第に細くなっていく先鋭な先端部分を有する金属の溶液ガイドと、前記絶縁性ヘッド基板の前記表面に、その中心を前記溶液ガイドと略一致させて設けられる、前記静電力を作用させるための制御電極と、前記制御電極に接続され、前記絶縁性ヘッド基板の前記表面からその裏面側に貫通して設けられた電極取出部と、前記絶縁性ヘッド基板の前記絶縁性貫通孔基板側と反対側の面に設けられ、前記電極取出部と前記制御電極に電圧を印加する電圧印加手段とを接続させる配線部と、を備えることを特徴とする液体吐出ヘッドを提供する。
前記溶液ガイドは、絶縁されていることが好ましい。
また、前記溶液ガイドの先端部分の先端角が120°以下、および、曲率半径が4μm以下の少なくとも一方を満たすことが好ましい。
また、前記制御電極は、前記溶液が供給される前記流路の上流側の一部が除去されていることが好ましい。
さらに、前記絶縁性貫通孔基板には、シールド電極が設けられていることが好ましい。
また、前記絶縁性貫通孔基板の前記絶縁性ヘッド基板側と反対側の表面が、撥液性であることが好ましい。
また、前記ヘッド基板は、前記溶液ガイドの外側に流路堰を配置することが好ましい。
また、前記電極取出部は、前記溶液ガイドの、溶液供給側と反対側である前記流路の下流側に設けられていることが好ましい。
また、帯電粒子が分散された溶液に静電力を作用させて液滴を吐出させる液体吐出ヘッドの作製方法であって、絶縁性基板の第1面に金属膜を形成してパターニングし、配線部を形成する工程と、前記絶縁性基板の第2面に金属膜を形成してパターニングし、前記静電力を作用させるための制御電極を前記配線部に対応させて形成する工程と、前記配線部および前記制御電極の一部がその内壁の一部を形成するように前記絶縁性基板を前記第1面から前記第2面に貫通する貫通孔を形成する工程と、前記貫通孔の側面に金属膜を形成し、前記貫通孔を金属で埋め、前記配線部と前記制御電極とを接続する電極取出部を形成する工程と、単結晶基板の表面に開口を持つマスクを形成し、異方性エッチングを行い、中心に向かって次第に深くなる凹部を形成する工程と、前記凹部に金属を充填し、溶液ガイドとなる金属部を形成する工程と、前記単結晶基板の前記金属部の表面に絶縁層を形成する工程と、前記単結晶基板の前記絶縁層の表面に金属層を形成する工程と、前記単結晶基板の前記金属層の中心が前記絶縁性基板の前記制御電極の中心と略一致するように、前記単結晶基板の前記金属層の表面と前記絶縁性基板の前記第2面とを接合する工程と、前記単結晶基板を除去し、前記絶縁性基板の前記第2面に前記溶液ガイドを形成する工程とを有することを特徴とする液体吐出ヘッドの作製方法を提供する。
本発明によれば、ヘッド基板上に設けた先端が先鋭な金属製のインクガイドと制御電極との組み合わせにより、溶液ガイドの先端部分に電界を集中させることができるので、吐出に必要なパルス電圧を低下させることができ、より低耐圧で安価なIC(制御回路)を使用することが可能となる。これにより、液体吐出ヘッドを小型化・安定化することが可能となる。
また、本発明によれば、溶液ガイドの先端部分の近傍まで帯電粒子を供給することができ、高速描画が可能となり、電極間の電界干渉もないので、飛翔するインク液滴の大きさも安定する。
また、本発明によれば、溶液ガイドの先端部分と制御電極との距離を一定にできるので、各吐出部の溶液ガイドの先端部分で形成される電界を均一にし、吐出を安定化することができる。
さらに、本発明によれば、配線部をヘッド基板の裏面に設けることによって、吐出部に形成される電界が均一に形成され、液滴が好適に吐出される。
また、本発明の作製方法によれば、信頼が高く、高精度なインクガイドを備える液体吐出ヘッドを低コストで作製することが可能となる。
以下、本発明の液体吐出ヘッドおよび液体吐出ヘッドの作製方法について、添付の図面に示される好適実施形態を基に、詳細に説明する。
図1は、本発明の液体吐出ヘッドの一例であるインクジェットヘッドを有するインクジェット記録装置の模式図であり、図2は、図1に示したインクジェットヘッドの斜視図である。また、図3は、図1に示した吐出電極の配置を示す模式図である。
図1に示すように、インクジェット記録装置10は、インクジェットヘッド12と、インク循環手段14と、電圧印加手段16と、インクジェットヘッド12の対向する位置に配置されている記録媒体支持手段18とを有する。
インクジェットヘッド12は、ヘッド基板30と、貫通孔基板32と、インクガイド34と、吐出電極(制御電極)36と、シールド電極44と、立体障壁46とを有する。
貫通孔基板32のヘッド基板30側にはシールド電極44が、記録媒体支持手段18側には立体障壁46が配置され、貫通孔基板32とシールド電極44には、貫通孔42が開孔されている。
ヘッド基板30は、貫通孔基板32と所定間隔離間して配置されており、その空間はインク流路48となっている。ヘッド基板30の貫通孔基板32側の表面の貫通孔42に対応する位置には、金属層38が設けられ、その金属層38の表面には絶縁層36が設けられている。さらに、絶縁層36の表面には、その先端が貫通孔42よりも記録媒体支持手段18側に突出した金属製のインクガイド34が設けられている。
吐出電極40は、ヘッド基板30上の金属製インクガイド34の周りに、インクガイド34を囲む様にリング状に設けられている。また、吐出電極40は、電極取出部50と、配線部52とを介して電圧印加手段16と接続している。ここで、電極取出部50は、ヘッド基板30を貫通し、吐出電極40と接続するように設置され、配線部52は、ヘッド基板30のインク流路48側と反対側の面に設けられている。
インク循環手段14は、インクジェットヘッド12にインクを循環させるインク還流機構60と、インク供給流路62と、インク回収流路64とを有する。
インク還流機構60は、インク供給流路62およびインク回収流路64を介して、インクジェットヘッド12に接続されている。
電圧印加手段16は、画像データや印字データ等の吐出データ(吐出信号)に応じた所定電位の駆動電圧(例えば、パルス電圧)を後述する吐出電極40に印加する信号電圧源70と、吐出電極40に常に一定の所定電圧を印加するバイアス電圧源72とを有する。
信号電圧源70の正側の端子は配線部52と接続され、信号電圧源70の負側の端子はバイアス電圧源72の正側の端子と接続され、バイアス電圧源72の負側の端子は接地されている。
インクジェットヘッド12に対向する位置には、記録媒体Pを支持する記録媒体保持手段18が配置されている。この記録媒体保持手段18は、対向電極80と、対向電極80に負の高電圧を印加するバイアス電圧源82とを有する。
対向電極80は、インクジェットヘッド12のインク液滴の吐出面と対面するように配置され、バイアス電圧源82の負側の端子は対向電極80に接続され、その正側の端子は接地されている。また、記録媒体Pは、対抗電極70のインクジェットヘッド12のインク液滴の吐出面側に支持されている。
ここで、図3に示すように、インクジェットヘッド12は、より高密度な画像記録を行うためには、インクガイド34と、吐出電極40と、貫通孔42とで構成される吐出部が2次元的に配列されたマルチチャンネル構造を有することが好ましい。
なお、本発明のインクジェットヘッド12において、吐出電極40の個数や物理的な配置等は、自由に選択することができる。例えば図示例のようなマルチチャンネル構造のみならず、吐出部の列を1列有するものであってもよい。また、記録媒体Pの全域に対応する吐出部の列を有するいわゆるフルラインヘッドでもよく、あるいは、ノズル列の方向と略直交する方向に走査されるいわゆるシリアルヘッド(シャトルタイプ)であってもよい。また、本発明のインクジェットヘッドは、モノクロおよびカラーのどちらの記録装置も対応可能である。
以下、インクジェットヘッド10の各部について詳細に説明する。
図1に示すように、ヘッド基板30の貫通孔基板32側の表面、すなわち上表面には、各吐出部毎に上表面から金属層38と、絶縁層36とが積層され、積層された金属層38と絶縁層36上にインクガイド34が設けられている。さらに、ヘッド基板30上の各吐出部毎にインクガイド34を囲うように、吐出電極40が設けられている。ヘッド基板30は、絶縁性部材、例えばガラス、SiO2 等によって形成されている。
ここで、ヘッド基板30と貫通孔基板32とは、所定間隔離間して配置されており、所定間隔を離間した空間は、インク流路48となっている。このインク流路48は、インク供給流路62およびインク回収流路64と接続されており、各吐出部にインクを供給するためのインクリザーバ(インク室)として機能する。また、画像記録時に、インク流路48には、インク還流機構60により、インクが所定方向(図1では、図中右方向から左方向)へ向かって、所定速度(例えば、200mm/sのインク流)で循環される。また、本実施形態で使用されるインクは、正に帯電した帯電性粒子(インク粒子)を帯電制御剤やバインダーなどともに、108 Ωcm以上の抵抗率を持つ絶縁性溶媒中に分散させた溶液である。
このように、絶縁層36上に金属製インクガイド34を設けることにより、インクガイド34が金属製であっても、絶縁状態となる。絶縁層36上に金属製インクガイドが設けられるので、制御電極50と短絡することはない。また、金属層38をヘッド基板30と絶縁層36との間に設けることにより絶縁層36とヘッド基板30を好適に接合することができる。
ここで、本実施形態では、絶縁層36および金属層38を設けたが、本発明では必ずしも必要ではなく、インクガイド34を絶縁状態とすることができれば絶縁層38はなくてもよく、また、金属層38もインクガイド34とヘッド基板30とが接合されていればなくてもよい。
ヘッド基板30上に金属層38および絶縁層36を介して設けられた金属製インクガイド34は、例えば、Au、Cu、Ni、Al等の金属で形成され、先端が先鋭な凸状の多角錐形状を有する。このインクガイド34の先端部分と貫通孔42との間には、インクのメニスカスが形成され、インクはインクガイド34の先端部分に濃縮される。さらに、吐出電極40に所定電圧が印加されるとインクガイド34の先端部分からインク液滴が吐出される。
本実施形態では、インクガイド34の形状を多角錐としているが、本発明はこれに限定されず、少なくともインクガイド34の先端部分が先鋭化された形状であればよく、例えば、円柱、または多角柱に先端が先鋭な円錐、または多角錐が載置されている形状でもよい。
本発明では、インクガイド34の先端部分を先鋭な形状とすることで、インクガイド34の先端部分に電界を集中させることができる。これにより、従来よりも低い電圧でインク液滴を安定して吐出することができ、さらに、吐出される液滴も微小な液滴を吐出することができる。
また、インクガイド34を絶縁された金属部とすることで、誘電率が実質的に大きくなり、強電界を生じさせやすくなり、インク液滴の吐出性を向上させることができる。
本実施形態では、インクガイド34の先端部分の先端角を120°以下、および/または、先端部分の曲率半径を4μm以下とするのがよい。本発明においては、所望の吐出電圧において、インクガイド先端から安定して液滴を吐出させることができれば、インクガイド34の先端をこのように高い先鋭度に形成する必要はないが、より低い吐出電圧でより安定的にインクを吐出させためには、インクガイドの先端部分は、先端角を120°以下、および/または、先端部分の曲率半径を4μm以下にするのが好ましい。
吐出電極40は、ヘッド基板30の上面(貫通孔基板32と対向する側の面)に、インクガイド34と絶縁層36と金属層38とヘッド基板30との接続部分の周囲を囲むようなリング状の円形電極として配置されている。また、吐出電極40とインクガイド34と貫通孔42とは、それらが略同軸になる、すなわち、それらの中心が略一致するように配置されている。ここでは、吐出電極40を、ヘッド基板30の表面上に形成して、インク流路に露出するように構成したが、これに限らず、ヘッド基板30の内部に、吐出口38と略同軸になるような位置関係に形成されてもよい。
従来のインクジェットヘッド、例えば図10に示すインクジェットヘッドのように、吐出電極が吐出口基板(貫通孔基板)に設けられていると、吐出電極に駆動電圧が印加されたときには、吐出電極の上面からのみならず、吐出電極の下面からも電界が発生することになる。すなわち、インク流路を循環するインクに、貫通孔からヘッド基板に向かう方向の電界が作用することになる。この吐出電極の下面からヘッド基板面に垂直な方向に発生する電界は、インク流路を循環するインクに含まれるインク粒子が貫通孔に向かうことを妨げるように作用する。このため、吐出電極に駆動電圧を印加すると、吐出口(貫通孔)にインク粒子の濃縮が妨げられ、貫通孔にインク粒子が十分濃縮されるまでに一定の時間が必要となる。
また、貫通孔基板に吐出電極を設ける構成では、貫通孔基板に反りが生じ、吐出部間でインクガイド先端部分と吐出電極との距離にずれが生じてしまう。この吐出部間で発生するずれによって吐出されるインク液滴が不均一になってしまう。
これに対し、本発明のインクジェットヘッド12は、吐出電極40をヘッド基板30に設けているので、吐出電極40の上面側から発生する電界だけをインク粒子に作用させることができる。すなわち、貫通孔42にインク粒子の濃縮を妨げるような電界が存在しないので、貫通孔42に速やかにインク粒子を濃縮させることができる。
また、複数のインクガイド34および吐出電極40がヘッド基板30に一体に形成されることで、インクガイド34と吐出電極40の距離が一定となる。このため、個々の吐出部において吐出に必要な駆動電圧がばらつくことなく、全体的に低い駆動電圧で安定して、複数のインク液滴を高周波で吐出することができる。
ここで、吐出電極40は、例えば、図4に示すように、円形電極のインク供給側(インクの流れる流路の上流側)の一部を除去した形状にすることで好ましい。このように、吐出電極80のインク流路のインク供給側の一部を除去することにより、記録時に吐出電極80に駆動電圧が印加されることで発生するインク粒子での反発力がインク供給側で低減される。これにより、記録時もインクガイド34へインク粒子を効率よく供給することができる。
また、吐出電極は、リング状の円形電極に限定されず、例えば、インクガイドの形状に沿った四角形の電極等、種々の形状の電極を用いることができる。
電極取出部50は、導電性材料、例えば金属等で形成され、ヘッド基板30のインク流路48側の表面が吐出電極40と重なる位置に、ヘッド基板30を貫通して設けられている。この電極取出部50のヘッド基板30の裏面(インク流路48側と反対側の面)は、配線部52と接しており、電極取出部50は、吐出電極40と配線部52を電気的に接続している。
電極取出部50は、吐出電極40と配線部52を電気的に接続すれば、その形状、配置位置に限定はない。例えば、電極取出部50のインク流路48側の表面が全て吐出電極40の一部に含まれるようにしてもよい。
また、電極取出部50は、インクの流れる流路の下流側の吐出電極40の一部と重なるように設けることが好ましい。
このように吐出電極40の下流側に電極取出部50を形成することで、インクガイド34へのインクの濃縮を妨げる方向の電界は生じないので、インクガイド34へのインクが効率よく濃縮される。
配線部52は、ヘッド基板30の裏面(吐出電極40の配置されている面と反対側の面の表面)に設けられ、電圧印加手段16と電極取出部50と接続している。
このように、バイアス電圧源60から吐出電極40に電圧を印加するための配線部52をヘッド基板30の裏面に設けることにより、インク流路48内のインクに影響を与えることなく各吐出部毎のインクの濃縮を均一にすることができ、また、吐出部に形成される電界も均一に形成することができるので、各吐出部毎にインク液滴の吐出を安定して行うことができる。
貫通孔基板32は、絶縁性材料、例えば、Al23 あるいはZrO2 などのセラミックス、あるいはポリイミドなどの樹脂で形成されている。また、上述のように、貫通孔基板32には、インクガイド34の先端部分にインクを供給し、インクガイド34との間にメニスカスを形成する貫通孔42が形成されている
本発明では、吐出電極40を、貫通孔基板32ではなく、ヘッド基板30に設けているので、貫通孔基板32の厚みを従来よりも薄くすることができる。このため、貫通孔42の長さを従来よりも短くでき、インクと貫通孔42の内壁との間の抵抗が低減され、貫通孔42から速やかにインクを吐出することが可能となる。更には、インク流の速度によって、インクが貫通孔42の中で滞留してしまうことも防止される。
また、貫通孔42の形状は、吐出電極40の形状に関係なく、インクガイド34の先端部分へのインクの供給効率の向上、メニスカスの安定等の目的に応じて、円形、楕円形、四角形等種々の形状にすることができる。
さらに、貫通孔基板32は、その記録媒体P側の表面を撥インク性処理することが好ましい。貫通孔基板32の表面を撥インク性処理することにより、メニスカスが安定して形成され、インク液滴の吐出が安定する。ここで、撥インク性とは、インクが水性の場合は撥水性を、インクが油性の場合は撥油性であることをいう。
貫通孔基板32のヘッド基板30側に配置されているシールド電極44は、吐出電極40よりも記録媒体Pに近い位置に設けられている。シールド電極44は、吐出部の対応している吐出電極40からインクガイド34の先端部分に向かって発生している電気力線は遮蔽せず、吐出部の対応していない他の吐出電極40からインクガイド34の先端部分に向かって発生している電気力線を遮蔽するように配置されている。
本実施形態では、シールド電極44は、金属板等の各吐出部に共通なシート状の電極であり、2次元的に配列されている各貫通孔42に対向する開口部が穿孔されている。シールド電極44は、所定電位に保持され(接地による0Vを含む)、本実施形態では、接地されて0Vとされている。
ここで、シールド電極44は必ずしも必要としない。しかし、対応していない吐出電極40から発生する電気力線を遮蔽し、各吐出部で安定した電界を形成させる点から、シールド電極44を設けるのが好ましい。
シールド電極44は、吐出電極40とインクガイド34の先端部分の間に配置されていればよく、その配置位置は、貫通孔基板32のヘッド基板30側に限定されず、貫通孔基板32の記録媒体P側でも、貫通孔基板32内でもよい。
また、シールド電極44の形状をシート状の電極としたが、これに限定されず、対応していない吐出電極40からの電気力線を遮蔽できれば、どのようなものでもよい。
また、本実施形態では、シールド電極44を貫通孔基板32のインク流路48に設けたが、貫通孔基板の対向電極側の表面をフッ素ポリマーと金属との共析めっきをすることによって、シールド電極と撥インク処理の両方の機能を満たすことができる。
立体障壁46は、貫通孔基板30の記録媒体P側に、各貫通孔42を囲うように設けられている。立体障壁46が配置されていることにより、隣接するインクガイド34に形成されるメニスカス同士が繋がることなく分離されている。
ここで、立体障壁46は、本発明では、必ずしも必要としない。しかし、隣接するインクガイド34に形成されたメニスカスを分離し、隣接するインクガイド34からインク液滴が吐出するときのメニスカスの変動の影響を受けることなく、個々のインクガイド34に形成された個々のメニスカスを安定して維持する点から立体障壁46を設けるのが好ましい。
本実施形態では、立体障壁46を格子状にしたが、これに限定されず、各インクガイド34に形成されたメニスカス同士が繋がることなく分離している形状であればよく、例えば各貫通孔を囲う立体障壁を個別に設けてもよい。
また、立体障壁46の壁面へのインクの這い上がりを防止し、隣接するインクガイド34に形成されたメニスカスをより確実に分離するために、立体障壁46の少なくとも表面は、撥インク性を有することが好ましい。
インク還流機構60は、図示しないインクタンクと、インクポンプとを有しており、インクタンク内には、インクが所定量入れられている。インクタンク内では、図示しない濃度調整機構により、インクの絶縁性溶媒中の帯電性粒子、帯電制御剤およびバインダーなどの濃度が所定の濃度範囲に入るように常に調整されている。インクタンク内で図示しない濃度調整機構により濃度調整されたインクは、インク還流機構60のインクポンプから所定の圧力でインク供給流路62を介してインクジェットヘッド12のインク流路48へ供給されている。インク流路48内は、インクで満たされ、個々の貫通孔42を通り、インクガイド34へインクが供給される。また、インクジェットヘッド12で使用されたインクは、インク回収流路64を介してインク還流機構60に回収される。
吐出電極40は、電極取出部50、配線部52を介して、電圧印加手段16の信号電圧源70およびバイアス電圧源72と接続されている。信号電圧源70は、画像データや印字データ等の吐出データ(吐出信号)に応じた所定電位の駆動電圧(例えば、パルス電圧)を吐出電極40に印加し、バイアス電圧源72は、記録時に常に一定電圧を吐出電極40に印加する。
このように、バイアス電圧源72が吐出電極40に一定電圧を印加することにより、信号電圧源70が吐出電極40に印加する駆動電圧を低電圧にすることが可能となり、消費電力を低減することができる。
対向電極80は、インクジェットヘッド12のインク液滴の吐出面と対面するように配置される。また、バイアス電圧源82の負側の端子は対向電極80に接続され、その正側の端子は接地されている。
記録時には、記録媒体Pは、対向電極80の図中下側の表面に、例えば静電吸着によって支持されており、対向電極80は、記録媒体Pのプラテンとして機能する。さらに、対向電極80には、バイアス電圧源82から所定の電圧が印加される。
次に、インクジェット記録装置10のインク液滴の吐出動作について説明する。
インクジェットヘッド12には、前述のように一定濃度の帯電性粒子を含むインクが循環しており、インクガイド34の表面には、少なくとも先端部分を覆うメニスカスが形成されている。この状態では、電圧印加手段16のバイアス電圧源72から吐出電極40に100Vの電圧が印加され、バイアス電圧源82から対向電極80に−1kVの電圧が常時印加されているので、吐出電極40と対向電極80との間に電位差1.1kV分の電界が形成されている。
ここで、信号電圧源70から駆動電圧200Vが吐出電極40に重畳すると、計300Vの電圧が印加される。この吐出電極40に印加される300Vと対向電極80に印加される−1kVによって、吐出電極40と対向電極80との間に形成される電界は、電位差1.3kVの電界に強められ、この強められた電界によって、メニスカスからインク液滴が静電気力により対向電極80に向けて吐出し、記録媒体Pに付着する。
このように、先端が先鋭なインクガイドと吐出電極をヘッド基板上に備えることで、低電圧駆動で、高速に安定してインク液滴を吐出させることができ、高画質な記録を低コストで形成することができる。
また、インク液滴の飛翔位置は、インクガイド36の先端部中央に決まり、インク液滴が飛翔時に主走査方向に逃げることもない。
図5は、本発明のインクジェット記録装置の第2の実施形態の概略構成を示す模式図であり、図6は、図5に示したインクジェット記録装置の吐出電極の配置を示す模式図である。図5、図6に示したインクジェット記録装置100は、一部を除いて、図1、図2、図3に示す第1の実施形態の静電式インクジェット記録装置10と同じ構成のものである。従って、両者で同一な構成要素には同一の符号を付してその説明を省略し、以下インクジェット記録装置100に特有の点を重点的に説明する。
本実施形態のヘッド基板104は、インクの流れる流路(図5中では右側から左側、図6中では下から上)に対して直交する方向に、隣接する吐出部に共通の凸部106が設けられている。これにより、インクガイド34および吐出電極110は凸部106上に設置され、吐出電極110の外側のインクの流れる流路に対して直交する方向には、所定深さを備えた凹部108が形成される。すなわち、インクの流れる流路に対して直交する方向に隣接する吐出部は共通の凸部106上に形成され、インクの流れる方向に隣接する吐出部の間には凹部96が形成されている。
また、本実施形態の吐出電極110は、図4に示した吐出電極90と同様にインク供給側の一部を除去した形状である。
これにより、凸部106が誘導堰となり、インクをインクガイド34の先端方向に誘導することができ、インクを効率よくインクガイド34の先端部分に供給することができる。
また、凹部108を備えることにより、インク流路48を拡大することができる。これにより、インク流路48内を流れるインクの量が増加し、インクを効率よくインクガイド34の先端部分に供給することができる。
本実施形態では、凹部をインクの流れる流路に対して直交する方向に形成したが、これに限定されず、さらにインクの流れる流路に対して平行に凹部を形成した、すなわち、個々の吐出部を個々の凸部上に配置した形状でもよい。このように、インクの流れる流路に対して平行に凹部を設けることによって、インク流路がより拡大し、インク流路内にインクをより多くの供給することができる。
また、凸部の形状も、特に限定されず、凸部の側面が傾斜を有する形状等、種々の形状にしてもよい。
さらに、本実施形態では、吐出部を格子状に配置し、凸部をインクの流れる流路に対して直交する方向に直線状に形成したが、吐出部を千鳥格子状に配置し、各吐出部に対応して凸部を千鳥状に設置することで、吐出部へのインクをより効率よく供給させることもできる。
ここで、上記実施形態では、溶液中の帯電性粒子を正に帯電させたインクを用いて説明したが、帯電粒子を負に帯電させたインクを使用してもよく、この場合には、上述の対向電極、吐出電極に印加する印加電圧極性を上述の例と逆にすればよい。
なお、本発明の液体吐出ヘッドは、帯電性粒子を含むインクの吐出に限定されず、溶媒に分散させた帯電粒子を含む溶液を吐出するヘッドであればよく、溶液の種類は限定されない。
以下、本発明の液体吐出ヘッドの作製方法について説明する。
図7(a)〜(d)は、本発明の液体吐出ヘッドのインクガイドとなる金属部の作製方法の一例を示す模式図であり、図8は、Si基板に形成される凹部の形状を模式的に示した斜視図である、
まず、〈100〉面を表面にもつ単結晶基板であるSi基板120の〈100〉面の表面に絶縁膜122を形成する。その後、図7(a)に示すように、例えばリソグラフィ法により、インクガイドの配置にあわせて、Si基板120の結晶面の〈110〉〈1−10〉方位を辺とする正方形状の開口部124を絶縁膜122に作製する。
次に、Si基板120に、開口部124を有する絶縁膜122をエッチングマスクとして、例えば34wt%のKOH水溶液を70℃に加熱した液により異方性エッチングを行う。これにより、図7(b)および図8に示すように、Si基板120にその断面が略四角錐形状となる凹部126が形成される。このようにして形成された凹部126は、その底部の角度が約120°以下および/または曲率半径4μm以下の尖った端部を有するように作製することができる。
次に、図7(c)に示すように、絶縁膜122を除去し、再びSi基板120の凹部126が形成されている面に絶縁膜127を形成する。これにより、凹部126内面にも絶縁膜127が形成される。
次に、図7(d)Si基板120の凹部126の形成されている面に、例えばめっき等を用いて、金属部128を形成する。これにより、凹部126には金属が充填される。ここで、金属部128の形成はめっきに限定されず、例えば半田等で形成してもよい。
次に、金属部128の凹部126に充填された部分、すなわち金属部128の四角錐形状(以下、金属部128aとする)を除く金属部128を除去する。そして、例えばCVD(chemical vapor deposition)等で、Si基板120の凹部126が形成されている面に絶縁膜を形成し、金属部128aの表面をリソグラフィ法によってマスクし、形成したマスクをエッチングマスクとし、金属部128aの表面を除く部分の絶縁膜をエッチングにすることで、金属部128aの表面上に絶縁層130を形成する。
さらに、Si基板120の凹部126が形成されている面に金属膜を蒸着等によって形成し、金属部128a上に形成された金属膜を除く部分を、例えばリソグラフィー法およびエッチングを用いて除去することで、絶縁層130上に金属層132を形成する。
このようにして、図7(e)に示すように、Si基板120のインクガイドの配置に対応する位置に、インクガイドとなる凸状の金属部128aを形成し、その金属部128aの表面(インクガイドの底面となる面)に絶縁層130が形成され、さらにその絶縁層130の表面に金属層132が形成される。
ここで、本実施形態では、インクガイドを形成するための凹部をSi基板によって作製したが、これに限定されず異方性エッチングすることができる単結晶基板であればどのような単結晶基板でもよい。
以下、図9(a)〜(g)を参照して、本発明の液体吐出ヘッドの作製方法の一例として、インクジェットヘッドの作製方法について説明する。
ここで、図9には1つの吐出部のみを図示しているが、本実施形態の作成方法によって、2次元配列された吐出部を同時に作製することができることはいうまでもない。
また、本実施形態では、ヘッド基板となる絶縁性を有する基板の一例として、ガラス基板140を用いる。
まず、ガラス基板140上に金属膜を蒸着し、配線部の電極パターンに応じたマスクを、例えばリソグラフィ法で金属膜上に形成し、形成したマスクをエッチングマスクとして金属膜をエッチングすることによって、図9(a)に示すように、ガラス基板140に配線部となる電極142を形成する。ここで、金属膜を蒸着する方法としては、スパッタリング、CVD等、従来公知の技術によって金属膜を蒸着すればよい。
ガラス基板140の電極142を形成した面と反対側の面に金属膜を、例えばスパッタリング等で蒸着し、その後、例えばリソグラフィ法によって、マスクを作製する。ここで、本実施形態のマスクは、吐出電極となる部分以外が露出したリング状の形状となる。このマスクをエッチングマスクとして、金属膜をエッチングすることにより、図9(b)に示すような吐出電極となるリング状の電極144を形成する。
ここで、マスクをリング状の一部を除去した形状とし、このマスクをエッチングマスクとして、金属膜をエッチングすることで、図4に示すような、電極の一部を除去した電極を形成することもできる。
次に、図9(c)に示すように、電極142とリング状の電極144とがその内壁面の一部を形成するようにガラス基板140にスルーホール146を形成する。このようにスルーホール146を形成することで、スルーホール146の側面に電極142および電極144の一部が露出する。
スルーホール146は、サンドブラスト、レーザー加工等の従来公知の技術で形成すればよい。また、スルーホール146は、電極142が形成されている面に向かうにしたがって次第に細くなるテーパーを有する形状に形成することが好ましい。
次に、ガラス基板140の両面の電極142と電極144とが導通するように、スルーホール146の側面に、金属膜を蒸着し、図9(d)に示すように、スルーホール146側面に電極148を形成する。この際、スルーホール146の側面以外に金属膜が蒸着しないように、金属膜を蒸着しない部分にマスクとなるレジスト層を形成してもよい。
さらに、めっき、例えば電気めっきを行い、スルーホール146およびガラス基板140の電極144が形成されている面のインクガイドの配置に対応した位置に、金属を充填、付着させる。これにより、図9(e)に示すように、スルーホール146には、取り出し部となるめっき部150が埋設され、インクガイドの配置に対応した位置に金属層152が形成される。ここで、めっきに使用する金属は、種々の金属を使用することができ、特に、インクと接しても腐食しない金属、例えば、Au、Cu、Ni等を用いることが好ましい。
この際も、スルーホール146およびガラス基板140の電極144が形成されている面のインクガイドの配置に対応した位置以外にめっきが行われないように、めっきを行わない部分にマスクとなるレジスト層を形成してもよいのはもちろんである。
また、インクガイドの配置に対応した位置に行うめっきと、スルーホールへ行うめっきは同時に行う必要はなく、別々に行ってもよい。
次に、図9(f)に示すように、ガラス基板140の金属膜152と、図7(e)に示したSi基板120の金属層132とを拡散接合し、金属層154を形成する。ここで、拡散接合に、例えば金属層にSn等を含んだ金属を用いることで、300℃以下で接合することができる。
なお、Si基板120の金属層132と、ガラス基板140の金属膜152との接合方法は、拡散接合に限定されず、半田接合等の従来公知の技術を用いることが可能である。
次に、KOH水溶液等のエッチング液を用いてSi基板120を除去し、続いて絶縁膜127を除去することで、図9(g)に示すような、その先端部分の先端角が120°以下および/または曲率半径が4μm以下のインクガイドとなる金属部128aをガラス基板140上を作製することができる。
このような方法で、金属で作製された先端が先鋭なインクガイドと、インクガイドの周囲を囲うようにヘッド基板上に設けられた吐出電極と、吐出電極に電圧を印加する電圧印加手段と接続するための電極取出部と、ヘッド基板の吐出電極が配置された面と反対側の面に設けられた配線部とを備えたヘッド基板を作製することができる。
さらにこのヘッド基板と所定間隔離間した位置に吐出部に対応した位置に貫通孔を備えた貫通孔基板を設置することで、インクジェットヘッドを作製することができる。
このように液体吐出ヘッドを、半導体の製造方法のリソグラフィ法およびエッチング等を用いて製造することで、信頼性が高く、高精度な金属のインクガイド、および吐出電極を作製することが可能なため、低コストでインクジェットヘッドを作製することが可能となる。
また、上記のようにインクガイドを作製することによって、先端が先鋭なインクガイドを金属で高精度に作製することができる。
本実施形態のように、インクガイドを作成することで、高次な多面体の斜面を備えるインクガイドに限定されず、様々な形状のインクガイドを作製することが可能となる。
また、インクジェットヘッドを作製する際には、単結晶基板、ガラス基板、金属層等の所定位置にアライメントマークを形成し、位置あわせを行うことが好ましい。アライメントマークを用いて位置あわせを行うことで、位置ずれすることなくヘッド基板上にインクガイドを形成することができる。
以上、本発明の液体吐出ヘッド、および液体吐出ヘッドの作製方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更や改良をしてもよいのはもちろんである。
本発明の液体吐出ヘッドの第1の実施形態のインクジェットヘッドの概略構成を示す模式図である。 図1に示したインクジェットヘッドの概略斜視図である。 図1に示したインクジェットヘッドの吐出電極の配置を示す模式図である。 図1に示したインクジェットヘッドの吐出電極の他の一例を示す模式図である。 本発明の液体吐出ヘッドの第2の実施形態のインクジェットヘッドの概略構成を示す模式図である。 図5に示した液体吐出ヘッドの吐出電極の配置を示す模式図である。 本発明の液体吐出ヘッドの溶液ガイドの作製方法の一例を示す概略図である。 図7(b)に示した単結晶基板を異方性エッチングして形成される凹部の形状を示す概略斜視図である。 液体吐出ヘッドの作製方法の一例を説明する模式図である。 従来の液体吐出ヘッドの一例を示す模式図である。
符号の説明
10、100 インクジェット記録装置
12、102、200 インクジェットヘッド
14 インク循環手段
16 電圧印加手段
18 記録媒体保持手段
30、104、202 ヘッド基板
32 貫通孔基板
34、204 インクガイド
36 130 絶縁層
38、132、154 金属層
40、90、110 吐出電極
42、218 貫通孔
44 シールド電極
46 立体障壁
48、216 インク流路
50 取り出し部
52 配線部
60 インク還流機構
62 インク供給流路
64 インク回収流路
70、214 信号電圧源
72、82、212 バイアス電圧源
80、210 対向電極
106 凸部
108 凹部
120 単結晶基板
122、127 絶縁膜
124 開口部
126 凹部
128 金属部
140 ガラス基板
142、144、148 電極
146 スルーホール
150 めっき部
152 金属膜
206 絶縁性基板
208 制御電極
220 インク案内溝

Claims (9)

  1. 帯電粒子が分散された溶液に静電力を作用させて液滴を吐出させる液体吐出ヘッドであって、
    前記液滴を吐出する貫通孔が開孔された絶縁性貫通孔基板と、
    前記絶縁性貫通孔基板と所定の間隔を離間して配置され、前記絶縁性貫通孔基板との間に前記溶液の流路を形成する絶縁性ヘッド基板と、
    前記絶縁性ヘッド基板の前記絶縁性貫通孔基板側の表面の、前記貫通孔に対応する位置に取り付けられ、その先端部分が前記貫通孔を通過して、突出し、先端に向かうに従って次第に細くなっていく先鋭な先端部分を有する金属の溶液ガイドと、
    前記絶縁性ヘッド基板の前記表面に、その中心を前記溶液ガイドと略一致させて設けられる、前記静電力を作用させるための制御電極と、
    前記制御電極に接続され、前記絶縁性ヘッド基板の前記表面からその裏面側に貫通して設けられた電極取出部と、
    前記絶縁性ヘッド基板の前記絶縁性貫通孔基板側と反対側の面に設けられ、前記電極取出部と前記制御電極に電圧を印加する電圧印加手段とを接続させる配線部と、を備えることを特徴とする液体吐出ヘッド。
  2. 前記溶液ガイドは、絶縁されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
  3. 前記溶液ガイドの先端部分の先端角が120°以下、および、曲率半径が4μm以下の少なくとも一方を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の液体吐出ヘッド。
  4. 前記制御電極は、前記溶液が供給される前記流路の上流側の一部が除去されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  5. さらに、前記絶縁性貫通孔基板には、シールド電極が設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  6. 前記絶縁性貫通孔基板の前記絶縁性ヘッド基板側と反対側の表面が、撥液性であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  7. 前記ヘッド基板は、前記溶液ガイドの外側に流路堰を配置することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  8. 前記電極取出部は、前記溶液ガイドの、溶液供給側と反対側である前記流路の下流側に設けられていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
  9. 帯電粒子が分散された溶液に静電力を作用させて液滴を吐出させる液体吐出ヘッドの作製方法であって、
    絶縁性基板の第1面に金属膜を形成してパターニングし、配線部を形成する工程と、
    前記絶縁性基板の第2面に金属膜を形成してパターニングし、前記静電力を作用させるための制御電極を前記配線部に対応させて形成する工程と、
    前記配線部および前記制御電極の一部がその内壁の一部を形成するように前記絶縁性基板を前記第1面から前記第2面に貫通する貫通孔を形成する工程と、
    前記貫通孔の側面に金属膜を形成し、前記貫通孔を金属で埋め、前記配線部と前記制御電極とを接続する電極取出部を形成する工程と、
    単結晶基板の表面に開口を持つマスクを形成し、異方性エッチングを行い、中心に向かって次第に深くなる凹部を形成する工程と、
    前記凹部に金属を充填し、溶液ガイドとなる金属部を形成する工程と、
    前記単結晶基板の前記金属部の表面に絶縁層を形成する工程と、
    前記単結晶基板の前記絶縁層の表面に金属層を形成する工程と、
    前記単結晶基板の前記金属層の中心が前記絶縁性基板の前記制御電極の中心と略一致するように、前記単結晶基板の前記金属層の表面と前記絶縁性基板の前記第2面とを接合する工程と、
    前記単結晶基板を除去し、前記絶縁性基板の前記第2面に前記溶液ガイドを形成する工程とを有することを特徴とする液体吐出ヘッドの作製方法。
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