JP2005237926A - 歩行距離と時刻を記録する機能付の靴 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の歩数計では歩数しか管理できないため、実際に歩行した距離を正確に求めることができないという課題がある。また通常は1日で歩数をリセットするために、例えば数ヶ月というような期間にわたっての歩行の運動履歴を記録することは煩雑であり、長期間にわたる運動継続の動機付けが困難であるという課題がある。
【解決手段】加速度センサにより一歩毎の歩幅を計算し、一歩毎の時刻と歩幅を記録することによって、歩数だけではなく距離を記録することができる。また、記録した運動情報を通信手段によりパソコン等に転送し、長期的に運動履歴を表示し管理することによって、歩行運動の管理を容易にし運動に対する継続性を高めることができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、加速度センサにより歩行時の一歩毎の移動距離すなわち歩幅を計算し、歩行距離と時刻を記録する機能を持った靴に関するものである。
本発明に関連する特許は、以下の特許文献1に示されている。
特願2003−103402
加速度センサを使用して、移動距離を計算する従来技術は、下記の特許文献2に示されている。
特許公開平10−332418
この従来技術においては、加速度から速度を計算し、さらに速度から移動距離を計算する点においては本発明と同一であるが、加速度がある時間範囲では一定として扱っている点が本発明とは異なっている。また、加速度から速度を計算する場合および速度から距離を計算する場合の詳細が記載されていないという点においても、本発明とは異なっている。本発明は、加速度の一歩の間の時間的な変化が複雑である場合においても、正確に歩幅を計算することができるという特徴を持っている。また、歩行運動による靴の運動の特徴を考慮した計算を行うことにより、誤差を少なくできるという特徴も持っている。
健康のために歩行運動が良いことは周知の事実であるが、歩行運動を行った場合に歩行距離を正確に求めることは容易ではない。本発明は歩行運動の歩行距離の情報を正確に記録し管理することによって、歩行運動の管理を容易にし、また歩行運動の継続性を高める。
2軸の加速度センサを、靴のつま先に配置し、移動方向と平行な方向に一方の軸(本発明ではこれをX軸とする)を向け、もう一方の軸を鉛直上方(本発明ではこれをY軸とする)に向け、靴の運動に関する情報を加速度センサから得る手段を設け、マイコン等により加速度から速度を計算し、さらに速度から移動距離を計算し、靴が着地するときの加速度の変化から着地したことを判断し、一歩の歩幅を求めて一歩毎の移動距離と時刻をメモリに格納するように構成する。
本発明の加速度センサの軸の定義は便宜的なものであり、例えばX軸とY軸を入れ替えた場合においても、同様の考えかたにより移動距離の計算を実施することができる。
さらにその記録した情報を外部のパソコン等に転送する手段も備える。この転送手段やパソコン等での制御に関しては、特許文献1に詳細が記載されているので、本明細書ではこの点の詳細な記述は省略する。
本発明によれば、一歩毎の歩幅を加速度センサからの情報から計算により求めることができ、実際に歩行した距離と時刻を記録することによって、歩行運動の状況を容易に管理することができ、従来の歩幅を入力し、歩数の情報から歩行距離を計算する場合に比較し、正確な運動情報をより容易に得ることができ、歩行運動の管理が容易になり運動の動機付けを行うことができる。
図1に本発明の運動情報を記録する機能を持つ靴の構成を示す。図において、120は2軸の加速度センサ、110は制御のためのマイコン、130は時刻を保持するための時計、140は情報を記録するためのメモリ、150は赤外線通信等の外部装置との通信手段である。
図2に本発明の靴の一歩の間の運動を示す。図において、靴のつま先に加速度センサが配置されており、2個の矢印は加速度センサの2つの軸(X軸とY軸)の方向を示している。X軸は進行方向、Y軸は鉛直上方となるように配置されている。
歩行運動の最初の期間においては、靴がつま先を下げた状態になるため移動方向はX軸とY軸の中間の方向となり、加速度はX軸成分とY軸成分の両方を持つ。靴が水平な状態になった後の運動では、加速度はほぼX軸方向のみとなる。
図2において、加速度センサの移動方向つまり加速度の方向を破線の矢印により表している。
一歩の運動の最後の運動状態は、靴が水平に移動する状態とは異なり、つま先が上から下に運動する状態となる。このため、本発明においては便宜的に靴の踵が着地してから靴底全体が着地するまでの期間を着地フェーズと定義する。
着地フェーズにおいては、つま先の運動が上下方向の運動であるという特徴があり、また着地して静止する場合に上下方向に大きな加速度の変化があるという特徴がある。
図3に歩行運動における、加速度および速度および距離の時間変化のグラフをX軸とY軸に関して示す。図において加速度は重力加速度を1としてそれに対する比例係数で示す。また、速度は1秒間に移動する距離が何メートルとなるか、つまりメートル毎秒(m/秒)で示す。また、距離はメートル(m)で示す。
図3において、加速度等は0.05秒毎に情報を更新している。つまり、以下の説明における時間差は、図3の例では0.05秒となる
図4に本発明の靴の着地フェーズにおける運動状態を示す。図において速度の方向を破線の矢印で示す。着地フェーズにおいては、速度はY軸のマイナスの方向となる。
また図5に着地フェーズの運動における、加速度、速度、距離の時間変化のグラフをX軸とY軸に関して示す。図において加速度は図3と同様重力加速度との比で示す。また、速度はメートル毎秒(m/秒)で示すが、距離(高さ)はcmで示している。
加速度等の情報更新の時間差は、0.025秒である。
本発明においては、着地フェーズでのY軸方向の加速度が大きく変化するという特徴を利用して、歩行運動と車両による移動運動の差を判断するという特徴を持つ。また、着地フェーズにおいては水平方向の移動が少ないことを利用して、Y軸の速度成分がマイナスになった場合には移動距離に合計することをやめることにより、移動距離の計算誤差を少なくするように制御するという特徴を持っている。
図6に本発明の靴の運動状態と、つま先および足の甲の部分の軌跡を示す。つま先の軌跡の方が、位置が低く足の甲に比較して移動距離との差が小さい。本発明では、このことを利用して加速度センサをつま先に設置することにより、加速度センサから計算した移動距離と実際の移動距離の誤差を小さくしている。
加速度センサからの情報により、移動距離を計算するための手順は以下のようになる。
この手順はマイコンのプログラムにより実行される。
以下の計算では、X軸方向の移動に関して計算する例を示す。
加速度から速度を計算するために以下の式を使用する。
数1
(N)=V(N−1)+時間差×平均加速度 (1)
ここでV(N−1)は現在の時点より時間差分だけ前の速度の値であり、V(N)は現時点での速度の値である。
また、平均加速度を現時点での加速度A(N)と、現時点より時間差分だけ前の加速度のA(N−1)を用いて表すと以下の式となる。
数2
(N)=V(N−1)+時間差×(A(N)+A(N−1))/2 (2)
同様にして、速度から位置を計算するために以下の式を使用する。
数3
(N)=X(N−1)+時間差×平均速度 (3)
ここでX(N−1)は現在の時点より時間差分だけ前の位置の値であり、X(N)は現時点での位置の値である。
また、平均速度を現時点での速度V(N)と現時点より時間差分だけ前の速度のV(N−1)を用いて表すと以下の式となる。
数4
(N)=X(N−1)+時間差×(V(N)+V(N−1))/2 (4)
式(2)により現時点での速度を計算し、式(4)により現時点での位置を計算することにより、時間差の間に移動した距離を求めることができる。
さらに、移動の方向がX軸方向だけではなく、図2の移動例で靴が地面から離れた直後のようにY軸の方向の移動成分を持つような場合には、以下の式で移動距離を計算する。
Figure 2005237926
Figure 2005237926
図7にマイコンにより一歩の歩幅を計算する処理のフローチャートを示す。最初にステップ(S1)で加速度が0かどうかを判断する。加速度が0の場合は靴が移動していないので、最初に戻り加速度が0以外になるまで同じ処理を繰り返す。
加速度が0でない場合には、判断処理(S2)で加速度0でない時間が2秒以上であるかどうかを判断し、2秒以上の場合は歩行以外による靴の移動であると認識し歩幅の計算をクリアする。
2秒以下の場合は歩行による靴の移動である可能性があるので、移動距離を計算するステップ(S3)に進む。最初にステップ(S3)において、加速度センサから加速度の値を読み込む。加速度から距離を計算するステップ(S4)では、
数2
の式を使用する。ステップ(S5)では、Y軸の速度がマイナスであるかどうかを判定して、マイナスの場合には着地フェーズであるので、距離の計算をスキップしてステップ(S9)に進む。
Y軸速度がマイナスでない場合には、靴が前方に移動しているので一歩の歩幅を計算するために次のステップ(S6)に進む。
速度から距離を計算するステップ(S6)では、
数4
の式でX軸方向の距離とY方向の距離を計算し、ステップ(S7)では
数5
の式により実際の移動距離を計算する。ステップ(S8)では、時間差毎の移動距離を足し合わせてその時点までの靴の移動距離を求める。
次に、着地したかどうかをY軸の加速度から(S9)で判断し、着地していない場合には時間待ちを行い、処理(S2)に戻り、距離計算の積算を行う。
着地した場合には、ステップ(S10)で一歩の歩幅とその時点の時刻を記録する。
また着地した後では、速度が0となるはずなので速度を0とする。
これにより、計算の誤差による速度の誤差の修正を行うことができる。
本発明の運動情報記録機構の構成図である。 本発明の靴の運動状態の図である。 加速度と速度と距離の時間変化の図である。 本発明の靴の着地フェーズの運動状態の図である。 着地フェーズの加速度と速度と距離の時間変化の図である。 靴のつま先と甲の軌跡の図である。 本発明の制御フローの図である。
符号の説明
100:本発明の運動情報記録機構
110:マイコン
120:加速度センサ
130:時計
140:メモリ
150:赤外線あるいは無線等の通信手段
200:ノートパソコン等

Claims (5)

  1. 2軸の加速度センサであって、移動方向と平行な方向に一方の軸を向け、もう一方の軸を鉛直な方向に向けるように配置した加速度センサを備え、歩行による加速度の変化から速度を計算し、さらに速度から移動距離を計算し、一歩の間に移動した距離を合計することにより一歩の距離を計算する手段と、一歩毎の時刻と歩幅を記録する手段と、記録した情報を外部に転送する手段を備え、運動情報を正確に記録する機能をもったことを特徴とする運動情報の記録機能を持った靴。
  2. 加速度センサを靴のつま先に付けることによって、加速度センサの運動の軌跡と直線的な移動距離の差を小さくすることにより、靴の動きから計算した移動距離と、実際の移動距離の誤差を少なくしたことを特徴とする請求項1の靴。
  3. 足が着地する時の靴のつま先の上から下への運動つまりY軸速度がマイナスとなる運動は、水平方向の移動がほとんど無いことを利用して、この上下運動の移動距離は一歩の歩幅に含めないようにすることにより、靴の動きから計算した移動距離と、実際の移動距離の誤差を少なくしたことを特徴とする請求項1の靴。
  4. 靴が着地する時には上下方向の加速度が大きく変化することを利用して、着地したことを判断し、着地した直後では靴の速度が0となることを利用して、加速度の積分による速度の誤差をなくすように構成したことを特徴とする請求項1の靴。
  5. 電車あるいは自動車等に乗車した場合の加速度の連続的な変化と、歩行による加速度の1秒程度の周期で繰り返す加速度の変化の時間的な変動パターンの違いを判断し、数秒以内に速度が0とならない場合には、歩行以外による靴の移動であると認識することによって、歩行時のみの記録を残すように制御し、実際の歩行情報のみを記録できるように構成したことを特徴とする請求項1の靴。
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