JP2005237235A - 果実掛袋及び果実育成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 果実掛袋を果実から除袋する際に短時間で効率よく剥ぎ取りできると共に、果実に傷を付けたり、落下させないようにできる果実掛袋。
【解決手段】
果実掛袋1の横方向ほぼ中央部に果実掛袋1を縦方向に引き裂く縦方向ミシン目13を形成する。このミシン目13と連続して果実掛袋1を横方向に引き裂く横方向ミシン目14を形成する。これにより、果実掛袋1の下側両部分を両手で持ち左右に引っ張ることで、縦方向ミシン目及び横方向ミシン目13,14を引き裂くことで梗あ部近傍を除く果実Aのほぼ全体から、除袋することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】
果実掛袋1の横方向ほぼ中央部に果実掛袋1を縦方向に引き裂く縦方向ミシン目13を形成する。このミシン目13と連続して果実掛袋1を横方向に引き裂く横方向ミシン目14を形成する。これにより、果実掛袋1の下側両部分を両手で持ち左右に引っ張ることで、縦方向ミシン目及び横方向ミシン目13,14を引き裂くことで梗あ部近傍を除く果実Aのほぼ全体から、除袋することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、木の枝に生っている果実に被袋される果実掛袋に関し、特に、桃やネクタリンなどの成長に伴って大玉果になり、枝が食い込んでしまった果実に被袋されている果実掛袋を、果実を落下させずに効率良く容易に除袋することが可能である果実掛袋及び果実育成方法に関する。
一般的に、果実である桃、ネクタリンなどは、その果実が小さいうちに果実に果実掛袋を掛け、果実の実が大きく成長するまで被袋し、果実が所望の大きさにまで成長すると、果実に太陽光を浴びせ着色させるために、収穫の5〜10日前頃に果実から果実掛袋を除袋する必要がある。そして、このような成長前の果実に被袋する果実掛袋に係る特許文献1には、簡単に外袋を剥ぎ取ることができると共に、内袋に収納された果実に満遍なく直射日光を浴びせて果実の着色等を促す果実掛袋が開示されている。
また、特許文献2には、上部袋体と下部袋体を接着して構成した果実掛袋において、育成中は下部袋体が脱落しにくく除袋後は、傘となる上部袋体の周縁を補強できるようにした果実掛袋が開示されている。
登録実用新案第3005228号公報
特開2003−219738号公報
ところで、桃、ネクタリンなどは、その柄である果梗部が他の果実に比べ極端に短く、果実が、木に生っている状態で成長することに伴い、果梗部上部の枝が桃の上部に食い込んでしまうことが多々ある。
そのため、木の枝が食い込んでしまった桃と枝との間に、被袋した果実掛袋が挟まった状態において、果実を着色させるために果実掛袋を除袋する際には、桃から果実掛袋を時間を掛け丁寧に取り外さなければ、果実掛袋を引っ張ったと同時に桃が一緒に引っ張られてしまい、桃が除袋と同時に地面に落下して傷ついてしまうことが多々あった。しかも、桃などの表面が柔らかく傷の付き易い果物は、その除袋時期を逸してしまうと、着色不良や過熟等によって、桃の商品価値が著しく落ちてしまうことから、除袋作業は短期間で行う必要性がある。
さらに、桃やネクタリンなどの果実には上部に梗あ部と呼ばれるへこみがあるため、被袋している間は果実掛袋により風雨から保護されているが、除袋後に雨が降ったりすると、梗あ部に雨水が溜まってしまい、桃などの果実の腐りの原因にもなる。
本発明は、上述した背景技術を鑑みてなされたものであり、桃やネクタリンなどの傷の付き易い果物に果実掛袋を被袋することにより風雨等から果実の表面である果面を保護できると共に、被袋されている果実掛袋を短時間で効率よく除袋作業をすることが可能であり、さらに、除袋後の梗あ部に雨水が溜まることを防止できる果実掛袋及び果実育成方法を提供することをその目的とする。
本発明の請求項1の果実掛袋は、遮光性の果実掛袋であって、該果実掛袋の上縁開口部に切欠部を形成することによって、該切欠部の両方に結束片を形成し、前記切欠部に果樹の枝を挿入して前記両方の結束片を枝と共に束ねることで果実を被袋するようにした果実掛袋において、除袋時に前記束ねた両方の結束片を枝と共に残して除袋するように、前記切欠部の下淵から所定距離を離して前記果実掛袋を横方向に引き裂くための横方向引き裂き誘導部を所定長さ形成したことを特徴とする。
請求項1の構成によれば、木の枝に生っている果実が、幼果期である際に、果実掛袋の開口部を開いて果実掛袋の内部に果実を収納し、果実掛袋の切欠部の縁部に枝を当接させ、枝の上部に果実掛袋の開口部をすぼめ切欠部の両端に形成された結束片を枝と共に束ねることで果実を被袋する。一定期間を経過すると、果実掛袋の果実は生育し、果実の肥大化により果実掛袋も拡大する。ここで、幼果期から成熟期に至る大半の期間を果実掛袋で被袋され遮光された状態となっているので、害虫や風雨などによる果実への影響を回避することができる。そして、果実が成育するにつれて果実と枝との間隔は狭まっていき、枝が果実に食い込んだ状態において、果実掛袋を左右方向に引っ張ることで、横方向引き裂き誘導部から果実掛袋が引き裂かれて果実掛袋の横方向引き裂き誘導部から下方部分が取り除かれる。これにより、梗あ部近傍を除く果実のほぼ全体から、除袋されることになり、より多くの果面に直射日光を浴びせしめることが可能となるとともに、梗あ部を覆うことで果実収穫までの間は、梗あ部へ雨水が溜るのを防止することが可能となる。
請求項2に係る果実掛袋は、請求項1記載の果実掛袋において、下縁閉口部のほぼ中央部に該果実掛袋を縦方向に引き裂くための縦方向引き裂き誘導部を所定長さ形成したことを特徴とする。
請求項2の構成により、除袋する際、果実掛袋の下方両端を手で左右に引っ張ることで、まず、縦方向引き裂き誘導部に沿って果実掛袋が縦方向に引き裂かれ、次いで果実掛袋は横方向引き裂き誘導部に沿って横方向に引き裂かれて果実掛袋の横方向引き裂き誘導部から下方部分が取り除かれる。
請求項3に係る果実掛袋は、請求項1又は2記載の果実掛袋において、前記果実掛袋を横方向或いは縦方向に引き裂くための引き裂き誘導部は、所定長さのミシン目或いは切り込みであることを特徴とする。
請求項3の構成により、引き裂き誘導部は、所定長さのミシン目或いは切り込みで形成することにより、果実掛袋を引き裂く際に、ミシン目或いは切り込みに沿って果実掛袋が切り離され、容易に果実掛袋を除袋することができる。
請求項4に係る果実掛袋は、請求項3に記載の果実掛袋において、前記切欠部をV字又はU字の形状にし、そのV字又はU字切欠部の最下端より5〜20mm下方に前記横方向ミシン目或いは切り込みを形成したことを特徴とする。
請求項4の構成により、切欠部をV字又はU字の形状にしたことにより枝と果実との間に隙間ができないようにして該切欠部の両方に形成した結束片を枝と共に束ねることができる。また、横方向ミシン目或いは切り込みが前記切欠部から5〜20mm離して設けてあることにより、除袋の際に縦方向に設けたミシン目或いは切り込みを引き裂いていき、横方向のミシン目或いは切り込みに接したときに果実掛袋が横方向に引き裂かれ、容易に果実掛袋を除袋することができる。この時、横方向ミシン目或いは切り込みは切欠部の最下端より5〜20mm離して設けられているから、除袋の際に残る果実掛袋の傘型部分をより少なくして梗あ部を覆うことができ、より多くの果面に直射日光を浴びせしめることが可能となる。
請求項5に係る果実掛袋は、請求項3又は4に記載の果実掛袋において、前記縦方向ミシン目或いは切り込みの上端部が前記横方向ミシン目或いは切り込みに接していることを特徴とする。
請求項5の構成により、縦方向のミシン目或いは切り込みが横方向のミシン目或いは切り込みに接していることにより果実掛袋を引き裂いて除袋する際に、縦方向に設けたミシン目或いは切り込みを引き裂き終えると同時に、次いで、横方向に接しているミシン目或いは切り込みに引き裂き箇所がスムーズに切り替わり容易に除袋することができる。
請求項6に係る果実掛袋は、請求項3乃至5のうちのいずれか1項に記載の果実掛袋において、前記横方向ミシン目或いは切り込みが前記開口部上縁に設けた切欠部にほぼ沿うように形成されていることを特徴とする。
請求項6の構成により、除袋の際に枝に残る果実掛袋の上部の部分をより少なくすることができることから、果面の広範囲に太陽光を照射することができ、より赤く着色良好な果実にすることができる。
請求項7に係る果実育成方法は、遮光性の果実掛袋の上縁開口部に形成された切欠部と該切欠部の両方に形成された結束片を用い、前記切欠部に果樹の枝を挿入して前記両方の結束片を枝と共に束ねて果実を被袋して育成する果実育成方法において、除袋時に果実を被袋した果実掛袋を下縁閉口部のほぼ中央部から引き裂き、前記切欠部の下淵から所定距離を離して前記果実掛袋を横方向に引き裂くための横方向引き裂き誘導部を用いて果実掛袋を横方向に引き裂くことによって、前記束ねた両方の結束片を枝と共に残して除袋し、果実収穫までの間は、梗あ部へ雨水が溜るのを防止するようにしたことを特徴とする。
請求項7の構成により、幼果期において木の枝に生っている果実は、幼果期から成熟期に至る大半の期間を果実掛袋で被袋され遮光された状態となっているので、果実の葉緑素生成を抑制しながら害虫や風雨などによる果実への影響を回避することができる。そして、果実が成育するにつれて果実と枝との間隔は狭まっていき、枝が果実に食い込んだ状態において、横方向引き裂き誘導部を用いて果実掛袋を横方向に引き裂くことによって、前記束ねた両方の結束片を枝と共に残して除袋することによって、果実収穫までの間は、除袋の際に残る果実掛袋の傘型部分をより少なくして梗あ部を覆うことができ、より多くの果面に直射日光を浴びせしめることが可能となるとともに、梗あ部へ雨水が溜るのを防止することができるので、より鮮やかに着色した、高品質の果実を収穫できる。
請求項1の果実掛袋によれば、遮光性の果実掛袋であって、該果実掛袋の上縁開口部に切欠部を形成することによって、該切欠部の両方に結束片を形成し、前記切欠部に果樹の枝を挿入して前記両方の結束片を枝と共に束ねることで果実を被袋するようにした果実掛袋において、除袋時に前記束ねた両方の結束片を枝と共に残して除袋するように、前記切欠部の下淵から所定距離を離して前記果実掛袋を横方向に引き裂くための横方向引き裂き誘導部を所定長さ形成したので、果実掛袋を除袋する際に前記横方向引き裂き誘導部により短時間で効率よく除袋作業をすることができる。さらに、果実に触ることなく横方向引き裂き誘導部に沿ってスムーズに果実から果実掛袋を除袋できることから、特に大玉の果実に傷を付けずに落下させないように短時間で効率よく除袋作業することが可能となる。
請求項2の果実掛袋によれば、前記果実掛袋の下縁閉口部のほぼ中央部に該果実掛袋を縦方向に引き裂くための縦方向引き裂き誘導部を所定長さ形成したことにより、果実掛袋の両端を持ち、左右に引っ張るだけで、果実に触れることなく縦方向引き裂き誘導部に沿ってスムーズに果実掛袋が左右に引き裂かれていき、特に大玉の果実に傷を付けずに落下させないように短時間で効率よく除袋作業することが可能となる。
請求項3の果実掛袋によれば、前記果実掛袋を横方向或いは縦方向に引き裂くための引き裂き誘導部は、所定長さのミシン目或いは切り込みで形成することにより、果実掛袋を引き裂く際に、ミシン目或いは切り込みに沿って果実掛袋が引き裂かれていき、容易に果実掛袋を取り除き、果実掛袋を果実から除袋することが可能となる。
請求項4の果実掛袋によれば、前記切欠部をV字又はU字の形状にし、そのV字又はU字切欠部の最下端より前記横方向ミシン目或いは切り込みを5〜20mm下方に形成したことにより、木の枝が食い込んでしまった桃と枝との間に、被袋した果実掛袋が挟まった部分を残し、効率よく除袋作業をすることが可能となる。さらに、枝と果実との間に隙間ができないようにして果実掛袋の上縁開口部を束ねることができるから、隙間から雨などが入り果実が痛むことを回避することが可能となる。
請求項5の果実掛袋によれば、前記縦方向ミシン目或いは切り込みの上端部が前記横方向ミシン目或いは切り込みに接していることにより、果実掛袋を引き裂く力の方向が縦から横方向にスムーズに切り替わることができ、無理な力がかからずに、短時間で効率よく除袋作業をすることが可能となる。
請求項6の果実掛袋によれば、前記横方向ミシン目が前記開口部上縁に設けた切欠部にほぼ沿うように形成されていることにより、除袋の際に残る果実掛袋をより少なくすることができ、より多くの果面に直射日光を浴びせることが可能となり、着色良好なより高品質の果実を収穫できる。
請求項7の果実育成方法によれば、果実掛袋の上縁開口部に形成された切欠部と該切欠部の両方に形成された結束片を用い、前記両方の結束片を枝と共に束ねて果実を被袋して育成する果実育成方法において、除袋時に前記束ねた両方の結束片を枝と共に残して除袋し、果実収穫までの間は、除袋時に残した結束片が傘のような役割をして、梗あ部へ雨水が溜るのを防止することが可能となる。
以下添付図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態としての実施例を説明する。但し、以下に説明する実施例は、本発明を限定するためのものではなく、発明の技術的思想の範囲内での適宜な変更は可能なものであることは当然なことである。
本発明の実施例1を図1及至図5を参照しながら説明する。果実掛袋1はこの果実掛袋1の開口部2のほぼ中央部にV字切欠部12を設けてある。このV字切欠部12は、図2及び図3に示すように果実Aの袋がけの際、果樹の枝Bを包み込んで果実Aを挿入するためのものである。すなわち、果実掛袋1の開口部2のほぼ中央部にV字切欠部12を形成することにより、V字切欠部12の両側に結束片18、19が形成され、この結束片18、19を枝Bと共に束ねることで果実Aを被袋するように構成している。なお、本実施例の果実Aは、完熟状態において表面が柔らかくなる桃として説明するものである。
果実掛袋1は、その全体が縦方向に並んだ繊維によりなる紙製のものであり、図1に示すように果実掛袋1にはその正面側及び背面側に、果実掛袋1のほぼ中央に位置して縦方向に延びる縦方向引き裂き誘導部としての縦方向ミシン目13を紙の繊維の縦目に沿って設けている。
なお、縦方向ミシン目13の下部5〜10mmには、縦方向引き裂き誘導部としての切り込み17が設けてあり、この切り込み17は、縦方向ミシン目13の下部であり、且つ、果実掛袋の下端部から上方に向けて5〜10mm設けられているもので、前述した縦方向ミシン目13と連続されていることにより、果実掛袋1の両端を持ち、左右に引っ張ることにより、果実掛袋1は切り込み17の位置から左右に引き裂かれ始め、スムーズに縦方向ミシン目13につながるようにして引き裂きが誘導される。
上述したように、縦方向ミシン目13は、果実掛袋1の紙の繊維の縦目に沿って形成してあり、果実掛袋1を引き裂く際の誘導部となるように縦方向ミシン目13下部に切り込み17を設けることにより、引き裂きの開始が容易になり、縦方向ミシン目13に沿って果実掛袋1を容易に引き裂くことが可能である。
この縦方向ミシン目13は、後述する横方向に設けられた横方向引き裂き誘導部としての横方向ミシン目14に到達する位置まで果実掛袋1の下端より上方に向かって伸びている。
また、横方向ミシン目14は、V字切欠部12の底部よりさらに5〜20mm下方に位置して果実掛袋1の横方向に沿って設けてある。ここで、横方向とは、必ずしも袋の上下方向に対して直角な左右方向に限るものではなく、袋の紙の繊維に沿わない方向、つまり斜めの方向をも含み得るものである。なお、縦方向ミシン目13及び横方向ミシン目14は、袋の正面側と背面側の両面の対向する位置に形成されており、ルーレットなどにより切込みが断続的に形成されるものである。また、本実施例においては、横方向ミシン目14は、果実掛袋1を横方向ミシン目14から完全に切り離すように、果実掛袋1の全周に渡って形成されるとともに、縦方向ミシン目13の上端部が横方向ミシン目14まで達し、これら縦方向ミシン目13及び横方向ミシン目14は、全体としてT字型に形成されている。
また、前記果実掛袋1は1枚の矩形の原紙を二つ折りにし、胴部貼代15、及び果実掛袋1の下部の重なる内面部分を概ね5〜15mmの範囲で接着剤などで接着することにより袋状に形成したものであり、遮光性を有すると共に適度に通気性を持った紙で形成されている。また果実掛袋1の胴部貼代15の上部である果実掛袋1の上方には、果実Aに果実掛袋1を被袋した際に、この果実掛袋1を固定するための例えば金属製の線材などの結縛用留め金16が封止されている。
次に、果実掛袋1の使用方法について説明する。
図2に示すように、横方向の枝の下方向に生っている果実Aが、幼果期である際に、果実掛袋1の開口部2を開き果実掛袋1の上方の開口部2より果実Aを果実掛袋1の内部に収納し、果実掛袋1のV字切欠部12の縁部に枝Bを当接させ、枝Bの上部に果実掛袋1の開口部2をすぼめ、V字切欠部12の両端に形成された結束片18、19を折り重ねて、この折り重ねた箇所を結縛用留め金16を折り曲げて固定することにより、果実Aへの果実掛袋1の被袋作業を行う。
そして、一定期間を経過すると、果実掛袋1内の果実Aは生育し、果実Aの肥大化により果実掛袋1も拡大する。尚、幼果期から成熟期に至る大半の期間を果実掛袋1で被袋され遮光された状態となっているので、害虫や風雨などによる果実Aへの影響を回避することができる。
また、果実Aが成育するにつれて果実Aと枝Bとの間隔Lは狭まっていき、枝Bが果実Aに食い込んだ状態において、果実掛袋1を除袋する際は、該枝B上で果実掛袋1の開口部2の結束片18、19が結縛用留め金16で結縛されていることにより、図4に示すように、果実掛袋1の下側両部分を両手で持ち左右に引っ張ることで、縦方向ミシン目13の下部にある切り込み17から上方に向かって縦方向ミシン目を引き裂いていき、次いで、横方向ミシン目が引き裂き終えると、果実掛袋1の横方向ミシン目14の下方部分が、果実Aから取り除かれる。このように、果実掛袋1に横方向ミシン目14が形成されていることにより、果実掛袋1の横方向ミシン目14の下方部分、すなわち、梗あ部C近傍を除く果実Aのほぼ全体から、除袋することができる。
さらに、果実Aに枝Bが食い込んでいる場合には、枝Bに果実掛袋1の開口部2の結束片18、19が結縛用留め金16で結縛されていることにより、従来の果実掛袋の除袋作業のように、被袋された果実Aを手で保持した状態でゆっくりと除袋作業をせずに、図4に示すように、単に、果実掛袋1の下方両端を手で左右に引っ張ることで、縦方向ミシン目13の下部にある切り込み17から上方に向け引き裂き、さらに、V字切欠部12の底部より5〜20mm下方に横方向ミシン目14が設けてあることにより、縦方向ミシン目13の引き裂かれた箇所が横方向ミシン目14に接すると、果実掛袋1を引き裂く力の方向が縦から横方向にスムーズに切り替わる。すなわち、縦方向ミシン目13を引き裂き終えると同時に、次に、横方向ミシン目14が切り取られていく。このような除袋作業時においては、果実Aに、無理な力を掛けずに、時間を掛け丁寧に除袋作業をしなくても果実Aを傷付けたり落下させることなく除袋作業をすることができる。
また、上述した作業を終えた後は、図5に示すように、結束された結束片18、19が果実Aの上部に傘のように残る。これにより、傘のような役割として果実Aの窪みである梗あ部Cに雨水などが溜まり、果実Aに傷が付いたり腐ることを防ぐことができる。
そして、果実Aが収穫時期になると、図5の状態から果実掛袋1の残った部分は除袋する必要はなく、果実Aを効率よく収穫することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明においては、果実掛袋の紙の繊維方向が縦方向であることから、この果実掛袋は横方向に引き裂きにくいために、横方向の引き裂き誘導部である横方向ミシン目が最も主要な構成要件であることが理解できる。従って、縦方向の引き裂き誘導部は、紙等の性質によっては、場合により省略することもできる。もちろん、縦方向の引き裂き誘導部を適宜設けることで、果実掛袋の除袋がより容易になることは言うまでもない。
図6は本発明の実施例2を示したものであり、前記実施例1と同一部分には同一符号を付しその詳細な説明を省略する。図1で示したように実施例1の果実掛袋1には、果実掛袋1の全周に渡って横方向ミシン目14が設けてあるがこの横方向ミシン目14は道筋としての役割であり、本実施例においては、図6で示すように、横方向ミシン目24は、果実掛袋1の両側縁に達することなく、切込みの導入部となる袋のほぼ中央に形成する縦方向ミシン目13との交点を中心として横方向に20〜30mm程度の幅であれば、除袋の際に、縦方向に設けた縦方向ミシン目13を引き裂くことにともなって、縦方向ミシン目13に沿った引き裂きが横方向の横方向ミシン目24に達した時に、横方向の引き裂きが横方向ミシン目24によって誘発され、スムーズかつ容易に果実掛袋1を除袋することができる。
図7は本発明の実施例3を示したものであり、前記実施例1と同一部分には同一符号を付しその詳細な説明を省略する。図1で示したように実施例1の果実掛袋1には、横方向ミシン目14に達する縦方向ミシン目13が設けてあるがこの縦方向ミシン目13は引き裂きを導く道筋としての役割であり、本実施例においては、図7で示す果実掛袋1のように切込みの導入部となる果実掛袋1の下端部に切り込み17が設けてあり、紙の繊維の縦目に沿った縦方向ミシン目33があれば図1の縦方向ミシン目13のように果実掛袋1の下縁から横方向ミシン目14の交点まで縦方向ミシン目を形成しなくても果実掛袋1を引き裂いて除袋することができる。すなわち、果実掛袋1に設けてある縦方向ミシン目33は縦方向ミシン目13の下縁より20〜30mmほどあれば果実掛袋1を引き裂くきっかけに十分である。同様に図1で示す実施例1の果実掛袋1には、果実掛袋1の全周に渡って横方向ミシン目14が設けてあるがこの横方向ミシン目14は道筋としての役割であり、図7で示す果実掛袋1ように切込みの導入部となる袋のほぼ中央に位置して、縦方向ミシン目33の延長線上の交点に位置する横方向ミシン目34があれば図1の横方向ミシン目14のように果実掛袋1の両端までなくても果実掛袋1は引き裂かれていく。また、前記果実掛袋1に設けてある横方向ミシン目34は果実掛袋1の切込みの導入部となる果実掛袋1のほぼ中央に位置して、縦方向ミシン目33の延長線上の交点に20〜30mmほどあれば、除袋の際に縦方向に設けた縦方向ミシン目33を引き裂いて行き、横方向の横方向ミシン目34に接した時にスムーズに果実掛袋1が横方向に引き裂かれ、果実掛袋1を引き裂くきっかけに十分である。
また、図8は本発明の第4実施例を示したものであり、前記実施例1と同一部分には同一符号を付しその詳細な説明を省略する。果実掛袋1はその正面側及び背面側に果実掛袋1の横方向ほぼ中央部に果実掛袋1の縦方向、紙の繊維の縦目に沿って縦方向ミシン目13が設けてある。この縦方向ミシン目13は、後述する横方向ミシン目44a、bの接点にほぼ到達する位置まで果実掛袋1の下端より上方に向かって伸びている。さらに果実掛袋1のV字切欠部12にほぼ沿うように、横方向ミシン目44a、bが形成されている。これにより、図1で示す果実掛袋1の横方向に向かって伸びる横方向ミシン目14の位置と開口部2の上縁に果梗部又は果樹の枝を挿入するためのV字切欠部12の間の空間に斜め上方に向かって伸びる横方向ミシン目44を設けることにより、除袋の際に残る果実掛袋1の傘型部分をより少なくして梗あ部Cを覆うことができ、より多くの果面に直射日光を浴びせしめることが可能となる。
以上、本発明の実施例について詳述したが本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。例えば果実掛袋の開口部にあるV字切欠部の形状は、V字型に限定するものではなく、U字型、台形型、円弧形などとすることも可能であり、この場合も、上述した効果を得ることができる。
1 果実掛袋
2 開口部
12 V字切欠部(切欠部)
13,33 縦方向ミシン目(縦方向引き裂き誘導部)
14,24,34,44 横方向ミシン目(横方向引き裂き誘導部)
15 胴部貼代
16 結束用留め金
17 切り込み(縦方向引き裂き誘導部)
18,19 結束片
A 果実
B 枝
C 梗あ部
2 開口部
12 V字切欠部(切欠部)
13,33 縦方向ミシン目(縦方向引き裂き誘導部)
14,24,34,44 横方向ミシン目(横方向引き裂き誘導部)
15 胴部貼代
16 結束用留め金
17 切り込み(縦方向引き裂き誘導部)
18,19 結束片
A 果実
B 枝
C 梗あ部
Claims (7)
- 遮光性の果実掛袋であって、該果実掛袋の上縁開口部に切欠部を形成することによって、該切欠部の両方に結束片を形成し、前記切欠部に果樹の枝を挿入して前記両方の結束片を枝と共に束ねることで果実を被袋するようにした果実掛袋において、除袋時に前記束ねた両方の結束片を枝と共に残して除袋するように、前記切欠部の下淵から所定距離を離して前記果実掛袋を横方向に引き裂くための横方向引き裂き誘導部を所定長さ形成したことを特徴とする果実掛袋。
- 前記果実掛袋の下縁閉口部のほぼ中央部に該果実掛袋を縦方向に引き裂くための縦方向引き裂き誘導部を所定長さ形成したことを特徴とする請求項1記載の果実掛袋。
- 前記果実掛袋を横方向或いは縦方向に引き裂くための引き裂き誘導部は、所定長さのミシン目或いは切り込みであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の果実掛袋。
- 前記切欠部をV字又はU字の形状にし、そのV字又はU字切欠部の最下端より5〜20mm下方に前記横方向ミシン目或いは切り込みを形成したことを特徴とする上記請求項3に記載の果実掛袋。
- 前記縦方向ミシン目或いは切り込みの上端部が前記横方向ミシン目或いは切り込みに接していることを特徴とする上記請求項3又は4記載の果実掛袋。
- 前記横方向ミシン目或いは切り込みが前記開口部上縁に設けた切欠部にほぼ沿うように形成されていることを特徴とする請求項3〜5の内の1つの請求項に記載の果実掛袋。
- 遮光性の果実掛袋の上縁開口部に形成された切欠部と該切欠部の両方に形成された結束片を用い、前記切欠部に果樹の枝を挿入して前記両方の結束片を枝と共に束ねて果実を被袋して育成する果実育成方法において、除袋時に果実を被袋した果実掛袋を下縁閉口部のほぼ中央部から引き裂き、前記切欠部の下淵から所定距離を離して前記果実掛袋を横方向に引き裂くための横方向引き裂き誘導部を用いて果実掛袋を横方向に引き裂くことによって、前記束ねた両方の結束片を枝と共に残して除袋し、果実収穫までの間は、梗あ部へ雨水が溜るのを防止するようにしたことを特徴とする果実育成方法。
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JP2004049288A JP2005237235A (ja) | 2004-02-25 | 2004-02-25 | 果実掛袋及び果実育成方法 |
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KR200459211Y1 (ko) * | 2009-10-01 | 2012-03-22 | (주)농협아그로 | 과일 재배용 자동개방 봉지 |
JP2013192527A (ja) * | 2012-03-22 | 2013-09-30 | Mitsuko Furue | かんたん果実袋 |
JP2014003955A (ja) * | 2012-06-26 | 2014-01-16 | Shibataya Kakoshi Kk | 果実袋 |
-
2004
- 2004-02-25 JP JP2004049288A patent/JP2005237235A/ja active Pending
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