JP2005234147A - 微小周期分極反転構造形成方法及び微小周期分極反転構造 - Google Patents

微小周期分極反転構造形成方法及び微小周期分極反転構造 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の矩形型電極を用いた周期分極反転法の欠点を克服した、微小周期分極反転構造技術を提供する。
【解決手段】強誘電体非線形光学結晶基板11の一表面上に設けられた第一の電極23と、この第一の電極と対向するように前記強誘電体非線形光学結晶基板の他の表面に設けられた第二の電極24との間に電圧を印加することにより、前記強誘電体非線形光学結晶基板内に微小周期分極反転構造12を形成する方法であって、前記第一の電極23が、前記基板11のy−z断面において前記基板11と点接触とすることを特徴とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、強誘電体非線形光学結晶基板の微小周期分極反転構造の形成方法、及びその方法によって形成された微小周期分極反転構造及びその微小周期分極反転構造が設けられた光導波路素子に関する。
強誘電体非線形光学結晶材料を用いた擬似位相整合(Quasi-Phase-Matching:QPM)第二高調波発生(Second Harmonic Generation:SHG)デバイスは、波長変換デバイスの高効率化に最も適していることから、内外の主要研究機関で精力的に研究が行われてきた。
近年、強誘電体非線形光学結晶であるLiNbO3 (Lithium Niobate:LN)結晶やLiTaO3(Lithium Tantalate:LT)結晶を用いたQPM-SHG青色光源デバイスの応用は広がりをみせており、高輝度3原色レーザ光発生を用いたスキャン型レーザディスプレイ、紫外レーザ光加工技術、中赤外域から紫外域にわたる多機能な応用光計測として重要視されていることから、10W級の高出力化が望まれている。
このようなQPM-SHGデバイスを実現するためには、図11に示すように、非線形光学結晶100内にコヒーレント長(lc)の周期を有する周期分極反転構造110を素子内に形成し、光導波路120を形成し、入射光(ポンプ光)130を変換し、青色光源としての出射光114を創出していた。このような周期分極反転構造を形成する方法としては、いわゆる電圧印加法が知られている。この電界印加法における最も重要なプロセスの一つに「周期電極」の作製があり、従来、「周期電極」として矩形電極形状のリフトオフ法およびFCE法を用いた分極反転法が用いられていた。
リフトオフ(lift-off)法とは、金属を周期レジストパターンを含む基板全面に蒸着し、有機溶媒をジレストパターンに浸透させレジストを溶解させ、溶解したレジストパターンとともに金属を取り除き、直接基板と接触した部分だけを残すプロセスをいう。しかしながら、分極反転用の電極として十分に働くリフトオフ電極作製は、周期が2μm 程度以下と小さくなるにつれて作製がより困難になる。
QPM-SHG 青色光源を実現するためには、 LN結晶あるいはLT結晶におけるコヒーレント長(lc)は1〜2μm程度となるので、分極反転層の周期、即ち Line and Space 幅(以下 L & S と略す)は2〜4μm程度となる。さらに共振器となる DBR(distributed Bragg reflector)をつけることを考えると0.3〜0.6μm の L & S 幅の周期分極反転が必要となる。特にリフトオフ法を用いて以上のようなデバイスを作る場合、極微細な周期電極の作製は困難である。
これらを克服する方法として、結晶基板上に形成したレジストパターンを液体あるいは金属電極で覆い、電界印加による分極反転の提案がある(非特許文献1及び2参照)。以下、この方法をFCE (Full Cover Electrode Method)法と呼ぶ。
FCE法とは、Full-Cover Electrode Methodの略であり、結晶基板上に形成したレジストパターンを液体あるいは金属電極で覆い、電界印加による分極反転を行う方法のことである。この FCE 法は様々な断面のレジストパターン形状およびそれらの間隔、周期、レジストの厚さ、レジストの誘電率の大きさ等媒介変数が多いので、リフトオフ法には存在しない設計の自由度がある。
しかし、上述の報告では各々一点の実験データしか示されておらず、最良の状態を実現しているかどうかは不明である。また、どの程度まで微細な分極反転構造を作製することができるのかも不明である。このように、全貌は全く不明であり、高アスペクト比(結晶厚d/分極反転層の幅lc)を有するQPM-SHGデバイスに不可欠な微小周期分極反転の技術は、未だ確立できていないのが現状である。
L. E. Myers, R. C. Eckardt, M. M. Fejer, R. L. Byer, W. R. Bosenberg, and J. W. Pierce, "Quasi-phase-matched optical parametric oscillators in bulk periodically poled LiNbO3", J. Opt. Soc. Am. B, 12 (1995), 2102. Kenji Kinatak, Masatoshi Fujimura, Toshiaki Suhara, and Hiroshi Nishihara, "High-efficiency LiNbO3 waveguide second-harmonic generation devices with ferroelectric-domain-inverted gratings fabricated by applyin voltage", IEEE J. Lightwave Technol., 14 (1996), 462.
リフトオフ法またはFCE法のいずれの方法を用いて分極反転を行うにせよ、「周期電極」として矩形電極形状の電極が用いられる限り、矩形型電極では、電極端に最も強い電界が存在するために、電極部とレジスト部との電界強度の比(電界強度比=E/ER)の値を大きくするにも限界があること、また、反転核は電極端よりも外側の非電極部に発生していることから微小周期分極反転の作製には困難であるという問題がある。
そこで、本発明は、強誘電体非線形光学結晶における新たな微小周期分極反転形成法を提案するものであり、従来の矩形型電極を用いた周期分極反転法の欠点を克服し、容易で汎用性をもった分極反転技術を提供するものである。この課題を解決するためには、極微小周期分極反転構造をより大きな結晶中に深く全体に亘って均一に作製する(高アスペクト比を実現する)必要がある。
また、本発明の他の課題は、高アスペクト比(d/lc)を有する高出力デバイスを実現するための微小周期分極反転形成法を提供することを目的とする。
本発明の微小周期分極反転構造形成方法によれば、強誘電体非線形光学結晶基板内に極めて微小の周期を有する分極反転構造を形成することができる。例えば、厚さ500μmのLN結晶において、周期2μm以下の分極反転構造を形成することができる。
さらに、高アスペクト比(d/lc)を有する微小周期分極反転構造を有する光導波路素子を形成できる。
請求項1に記載の強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造形成方法は、強誘電体非線形光学結晶基板の一表面上に設けられた第一の電極と、この第一の電極と対向するように前記強誘電体非線形光学結晶基板の他の表面に設けられた第二の電極との間に電圧を印加することにより、前記強誘電体非線形光学結晶基板内に微小周期分極反転構造を形成する方法であって、前記第一の電極が、前記基板のy−z断面において前記基板と点接触していることを特徴とする。
請求項2に記載の強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造形成方法は、請求項1において第一の電極が三角形状であることを特徴とする。
請求項3に記載の強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造形成方法は、請求項1において第一の電極が鈍角三角形状であることを特徴とする。
請求項4に記載の強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造形成方法は、請求項1において、第一の電極が円形状であることを特徴とする。
請求項5に記載の強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造形成方法は、第一の電極が、前記基板のy−z断面において前記基板と複数の接触点を有することを特徴とする、のいずれかに記載の強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造形成方法。
請求項6に記載の強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造形成方法は、第一の電極が、基板と、基板のx軸方向に線状の連続した接触点を有することを特徴とする。
請求項7に記載の第一の電極は、請求項1〜6のいずれかの請求項に記載の方法において、強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造を実現するための電極であることを特徴とする。
請求項8に記載の強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造は、請求項1〜6のいずれかの請求項に記載の方法によって形成されたことを特徴とする。
請求項9に記載の強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造は、請求項1〜6のいずれかの請求項に記載の方法によって形成された微小周期分極反転構造であって、反転領域が非反転領域よりも狭いことを特徴とする。
請求項10に記載の光導波路素子は、光導波路を備えている光導波路素子であって、前記光導波路内に、請求項8記載の周期分極反転構造が設けられていることを特徴とする。
請求項11に記載の光導波路素子は、請求項9記載において、疑似位相整合方式の波長変換素子として機能することを特徴とする。
以下、図面を用いて本発明を詳細に説明する。図1は、本発明の方法によって形成される微小周期分極反転構造を有する光導波路素子の概略斜視図である。図1において、強誘電体非線形光学結晶基板11に形成された光導波路素子10には、位相整合をとるためにコヒーレント長(lc)毎に微小分極反転構造12が形成されている。微小分極反転構造12は、青紫色光源を得るためには、2μm程度の非常に狭い周期の分極反転が望ましい。
なお、本発明で用いる基板11に用いる結晶としては、強誘電体非線形光学結晶を用いるが、LN結晶およびLT結晶は三方晶系に属する一軸性結晶で大きな非線形光学定数を有し、光学用大型結晶が容易に得られるという利点を持つために、QPM-SHGデバイスに広く利用されている。LN結晶は直径5インチの大型ウェハが容易に得られこと、また、紫外領域付近まで吸収がない材料の中では現在最も非線形光学定数が大きいことから、非線形光学材料として有望な結晶である。しかし、この結晶には光損傷の問題があり高出力を得るにためには加熱をするなどの工夫が必要である。
LTは非線形光学定数はLNに比べるとやや小さいが、光損傷に強い結晶であるといわれており、また、短波長側の吸収端が280nmにあるので紫外までの変換が可能であるために、LN結晶と同様にLTも有望な結晶であると考えられている。
LN結晶、LT結晶は180ドメイン構造を有しており、自発分極の向きを反転させることにより周期分極反転層を作製できるため、QPM法で位相整合を達成することが可能である。高効率化QPM-SHGデバイスの作製には、周期分極反転構造をもつLN(Periodically-Poled-Lithium-Niobate:PPLN)およびLT(Periodically-Poled-Lithium-Tantalate:PPLT)が必要となる。高効率QPM-SHGデバイスの作製には、LN結晶および LT 結晶が適した材料であると言える。
以下に本発明の微小周期分極反転構造の形成方法を順を追って詳しく説明する。
(電子ビーム描画装置を用いた周期レジストパターンの作製)
QPM - SHG デバイス作製において最も重要なことの一つは、周期分極反転構造の形成である。強誘電体非線形光学結晶基板に微小周期分極反転構造を形成するには、周期電極作製の基となる“微小周期レジストパターンの作製”を行う必要があり、まず、電子ビーム描画装置を用いた微小周期レジストパターンの作製について述べる。
図2に、本発明における微小周期レジストパターンの作製手順を示す。LN 結晶ウェハーの厚さ 500 mmの z−cut 基板21上に、FCE法により波形レジストパターンを次に手順で形成する。まず、レジストを塗布する強誘電体非線形光学結晶基板11を洗浄する。結晶基板11を洗浄後、レジスト22を塗布(1.3μm厚)、二光束干渉露光によりsin状の光強度を露光する。二光束干渉露光は、Ar+レーザ(波長:488nm、1mmφ)をビームスプリッターで二つに分けられたビームを用いた。それぞれの照射光強度は1.2mWとし、露光時間は15〜60秒で行った。レーザ光の入射角度は、周期 2μm となるようにq=14°で干渉させた。その後、現像を行い、その上から蒸着法によって、第一の電極23であるAl 電極(FCE)を作製した。-z面には、+z 面の電極のサイズを全てカバーできる第二の電極24である円形電極をスパッタリング法で作製した。
次に、室温Si オイル中で、第一及び第二の電極間に、高圧パルス発生器とバイアス電圧として直流高圧電源を直列につなぎ、分極反転のための高電圧パルスを適当な数だけ印加した。用いた結晶の分極反転閾値は Vth = 10.7kV (反転閾値電界21.4kV/mm)であるので、結晶に印加する電位差としては11.1kV(22.0kV/mm)、パルス幅 1ms とした。電界印加中に分極反転が起こり、電流が流れる様子をX-Yレコーダで確認した。電界印加後、電極は王水エッチングで取り除き、フッ硝酸混合比液でエッチングを行った。混合比はLNではHF:HNO3 =1:2、液温60℃、エッチング時間 2 分で行った。LN 結晶の -z 面は選択的にエッチングされ、+z面はエッチングされない。したがって、分極反転が行われた領域では+z面は凹状になり、-z面は凸状になる。形成されたエッチングパターンを電子顕微鏡(SEM)で観察した。
図3に、2μm周期分極反転形状のSEM観察像を示す。y−z断面形状において点接触している付近(図2のLine B)でのエッチング形状において、反転領域幅および非反転領域幅は、それぞれ 0.84μm および 1.16μm であり、反転領域が非反転領域よりも狭いエッチング形状が得られた。本発明では、y−z断面形状において点接触状の電極による分極反転を行うので、このように非常に微小反転領域幅が得られるが、この理由を以下のいて述べる。
従来の電界印加法を用いた静電界分布を考慮に入れた分極反転の成長過程のモデルでは、分極反転は電界の最も集中している電極端に発生した反転核から -z 面まで垂直方向に貫くように成長し、その反転領域を基に電界の強い横方向へ進行すると考えられてきた。また、強い電界は、電極幅よりも外側に漏れだしているために、分極反転領域は電極幅よりも拡がってしまうと考えられてきた。しかしながら、本発明者の実験では、必ずしもそのとおりではなかった。本発明の反転構造の形成方法の優位性を実証するため、図4に示すように、極めて小さい領域の反転領域(反転核)が電界印加時間と共に拡がって行く成長過程を詳細に調べた。
まず、 LT 結晶、500μm厚、調和組成 z-cut 基板を使用して、EB(Electron Beam)描画により結晶の +z 面上に 12μm周期 (電極部幅:レジスト部 = 1:1) のレジストパターンを x 軸に平行となるように作製した。EBレジスト膜厚は 0.69μmとした。
次に、+z 面には作製した EB レジストパターン全面を覆う Al 電極(FCE法)43を、-z 面には +z 面と同サイズの Au 電極44を作製した。分極反転のための高電圧パルスは、Siオイル中、室温で印加した。電極間に印加したパルス電圧は、10.6〜11.1kV(直流バイアス電圧(7.5kV〜8.0kV)+パルス電圧(-3.1kV))、パルス間隔を5 secとして適当な数だけ印加した。パルス幅は、100μs〜1msとした。
分極反転電流を確認した後、断面研磨を行い、フッ硝酸混合液(HF:HNO3=2:1)でエッチング(液温60℃、エッチング時間15分)を行った。
同様の手法で、印加パルスの数を少しずつ増やした試料を複数個作製し、+z面および断面観察を行った。エッチング形状は、光学顕微鏡(OM)および電子顕微鏡(SEM)で観察した。
その結果、短パルス電界印加を行い、積分電流値を増加させたときの断面のエッチング形状は、反転核41の中心位置は第一の電極43の端部より外側に0.7μm位はみ出た場所に発生し、深さは 290nm で三角形の形状が観察された(図4(a)参照)。次に、その反転核は斜下(電極内)方向に成長した(図4(b)参照)。これらの途中で+z面から深さ30〜150μm付近に結晶表面の分極反転とは独立に反転領域が現れ、反転形状は-z面方向に成長していくことが観察された(図4(c)、(d)参照)。この反転領域は、電極43の端部直下を避けて、電極中央部の+z面に達した反転形状が得られた(図4(e)参照)。これらの反転領域はさらに全体的に成長し、+z面の反転形状が均一になったときの反転寸法は11.4μmであり、電極幅よりも拡がった分極反転領域が観察された(図4(f)参照)。
これらの様子を模式的に示すと、図5に示すように、反転核の発生位置は、結晶基板表面からみた積分電界値が急激に変化している領域を避けた非電極部に生じている。
すなわち、分極反転は積分電流密度が反転閾値を超えた領域から分極反転が進行しており、分極反転は反転電流密度の大きな場所から生じることが認められる。このように、従来の矩形型電極を用いた電圧印加法による分極反転おいては、反転核の発生位置は、電極端よりも外側であり、その結果、反転領域は電極の幅よりも拡がってしまうということが判明し、矩形型電極を用いた分極反転は、微小周期分極反転には不利であることが明らかになった。
これに対し、本発明の微小周期分極反転構造の形成方法について以下に述べる。図6は、電極形状に対する等高線(電解強度が変化する境界線)の依存性を示す説明図である。図6に示すように、本発明の点接触の電極(第一電極)を用いた分極反転は、電極端直下から分極反転が始まっており、反転領域幅は非反転領域幅よりも狭い形状が得られる。この理由を本発明の第1の実施の形態を用いて説明する。
(第1の実施形態)
(円形状電極における印加電界分布)
図7は、本発明の形成方法の第1の実施形態を示し、波形形状のレジストパターン上に FCE を作製した場合の z 方向の電界分布の測定結果である。レジストの誘電率は3.0の場合である。図7(a)は、第一の電極の波形形状の円の直径が大きい(接触点での電極の曲率半径が大きい)場合に相当した印加電界分布の測定結果である。第一の電極の電極部の電界強度は、8(8.36)、レジスト部は0(0.92)となり、E/ERの値は 9.08 となった。この値は、LN 結晶のリフトオフのE/ERの値に比べて1.7 倍の値である。
ここで、電界強度比(E/ER)とは、結晶基板表面のレジスト直下の中央部の電界強度のz成分をERとし、電極直下中央部の電界強度をEとしたときに、レジスト高さhと周期幅Wの比(h/W)に対する電極部とレジスト部との電界強度の比をいう。分極反転は電界強度の大きいところで生じ、小さいところでは生じない。分極反転に閾値が存在しており、(E/ER)の差が大きい程、微小周期の分極反転の形成が容易である考えられる。その理由は、本発明者が別途、リフトオフ電極とFCE法で構成されたLT結晶12μm周期における反転形成をOMで観察し、電極構成に対応するz成分の電界分布を調査した結果から次のことが言えるからである。すなわち、E/ERが3.46と小さい場合、反転領域と非反転領域の幅は、それぞれ11.4μmと0.6μmであり、ほとんどの領域が反転していた。一方、E/ERが7.96と大きい場合、反転領域と非反転領域の幅は、それぞれ9.0μmと3.0μmであり、非反転領域が明瞭に現れていた。
図7(a)、(b)、(c)は、第一の電極の波形形状の円の直径(接触点での電極の曲率半径)が、それぞれおよそ4μm、2μm1μmの直径を持った場合に相当した印加電界分布の測定結果である。直径が 2μmおよび 1μmの場合、E/ERの値は 16.2 および 23.0 となった。この値は、LN結晶のリフトオフの E/ER の値に比べて それぞれ3.1 倍および4.4倍の値である。このように、接触点での第一の電極の接触円の直径を小さくすると、E/ERの値が大きくなる。
図8は、基板y−z断面において、光学結晶基板と接触する接触点の第一の電極円の直径を変化させた場合の電解分布を示す説明図である。図8において、印加電界分布の中央の結晶部とレジスト部の境界領域を拡大し、縦横比を1 としたときの測定結果を示す。円の直径が小さい場合を1とした時、中と大はそれぞれ約 2 と 4 である。直径が 1 から 4のいずれの場合においても最も強い電界(図において*で示してある)は、レジスト部に存在している。また、直径が 1 の場合に存在していた結晶基板表面の強い電界は、2 から 4 へと直径を大きくするに従ってレジスト部へ少しずつ漏れだしていき、E/ERの値は小さくなった。また、結晶基板表面の電極部とレジスト部の境界の電界の差は、直径が大きくなるに従って、小さくなった。
このように、第一の電極の形状を円形状とすることで、結晶基板表面の強い電界が結晶中に存在しなくなり、レジスト部に最大電界を存在させることができ、圧電効果の影響を軽減させ、結晶基板表面の強い電界領域から反転核が発生させることができるのである。すなわち、分極反転を反転電流密度の大きな第一の電極直下から生じさせることができる。
なお、本実施形態において、結晶基板と接触する第一の電極の円直径を1〜4μmで述べたが、本発明では、断面形状において点接触であれば、これ以下の直径のもの、これ以上の直径のものを含むことは明らかである。
(第2の実施形態)
(三角形状電極における印加電界分布)
図9は、本発明の形成方法の第2の実施形態を示し、三角形状のレジストパター上に FCE を作製した場合の z 方向の電界分布の測定結果である。レジストの誘電率は 3.0 とした。すなわち、第一の電極を三角形状としたときの、基板y−z断面において、基板と接触する点での第一の電極の角度を変化させた場合の電解分布を示す説明図である。結晶中と空気中のそれぞれの電界強度は、スケールおよび 数字で示している。また、Ez 成分の相対的な大きさは最大強度 Ezmaxを 10 として 11 段階の数字で示している(最大値 10 )。
図9(a)は、三角形角度(電極接触角度)が150°の場合の印加電界分布の測定結果である。電極部の電界強度は、8(8.37)、レジスト部は0(0.48)となり、E/ERの値は17.4となった。この値は、LN結晶のリフトオフのE/ERの値(5.22)に比べて3.3倍の値である。結晶基板表面に接触している電極部の最大電界は 8 であり、結晶内部の電界は 1 で均一であった。図9(b)、(c)および(d)は、電極接触角度がそれぞれ120°、90°、および40°の場合の印加電界分布の測定結果である。120°、90°、40°の電界強度比 E/ERの値はそれぞれ26.9、 37.8、および 48.2 であった。特に、40°の場合は、LN 結晶のリフトオフのE/ERの値に比べて 9.2 倍と高い値であった。結晶基板と接触する第一の電極と接触点での電極接触角度が小さい程、電界強度比 E/ER の値は∞ではないにしても、極めて大きな値になった。接触点での電極接触角度がいずれの場合においても、点接触している結晶基板表面の電界強度は大きく現れており、電界が集中していた。また、この強い電界の領域は、結晶基板表面付近のみに存在しており、結晶内部の電界強度は急激に1へと落ち込み、ほとんど電界の差がなく均一な値であった。
角度が緩やかになる(電極接触角度が大きくなる)につれて、結晶基板表面に存在していた最も強い電界はレジスト部へと少しずつ漏れだしていくことが分かった。また、結晶基板表面の電極部とレジスト部の境界の電界の差は、角度が緩やかになるに従って小さくなった。このように、第一の電極の形状を三角形状とすることで、結晶基板表面の強い電界が結晶中に存在しなくなり、分極反転を反転電流密度の大きな第一の電極直下から生じさせることができる。
(電界分布のレジスト形状依存性)
図10は、第一の電極の形状を三角形状としたときの角度依存性を示す説明図である。すなわち、図9で示した印加電界分布の中央の結晶部とレジスト部(e = 3.0)の境界領域を拡大し、縦横比を1としたときの測定結果を示す。図10は、印加電界分布の三角形状電極(第一の電極)の角度に対する依存性であり、それぞれの角度は40°、90°、120°、および、150° の場合である。電極接触角度が40°および90°の場合、最も強い電界は電極が結晶基板に接触している箇所のみに存在している。電極接触角度を120°とした場合、最も強い電界はレジスト部と結晶部に現れ、150°の場合では、結晶に存在していた最も強い電界はレジスト部へと移っている。角度が緩やかになるにつれて、結晶基板表面に存在していた最も強い電界はレジスト部へと少しずつ漏れだしていき、E/ERの値は、小さくなった。また、結晶基板表面の電極部とレジスト部の境界の電界の差は、角度が緩やかになるに従って小さくなることが分かる。
なお、本実施形態において、結晶基板と接触する第一の電極を三角形状と述べたが、本発明では、断面形状において結晶基板と点接触の状態になればよく、三角形状に拘泥するものではない広い概念である。
なお、前記実施の形態では、y−z断面において点接触の場合を例にとって説明したが、図2に示すように、第一の電極は、前記基板と、基板のx軸方向に線状の連続した接触点を有するものとすることもできる。
本発明によれば、従来の矩形電極形状を用いた分極反転法では困難であった微小周期分極反転構造が容易に形成できる。また、本発明は、FCE法を拡張し微小周期分極反転作製に必要な新しい方法を提供する。すなわち従来用いられていた矩形電極を、点接触となる三角形状電極および円形状電極にすることにより、電界強度比E/ERの値をより大きくすることが可能であり、かつ、圧電効果を抑制することができる印加電界分布を有する微小周期分極反転構造を得ることができる。
本発明の方法によって形成される微小周期分極反転構造を有する光導波路素子の概略斜視図である。 本発明における微小周期レジストパターンの作製手順である。 2μm周期分極反転形状のSEM観察像を示す。 極めて小さい領域の反転領域(反転核)が電界印加時間と共に拡がって行く成長過程を示す。 反転核の発生位置が、結晶基板表面からみた積分電界値が急激に変化している領域を避けた非電極部に生じている様子を模式的に示す図である。 電極形状に対する等高線(電解強度が変化する境界線)の依存性を示す説明図である。 本発明の形成方法の第1の実施形態を示し、波形形状のレジストパター上に FCE を作製した場合の z 方向の電界分布の測定結果である。 基板y−z断面において、光学結晶基板と接触する接触点の第一の電極円の直径を変化させた場合の電解分布を示す説明図である。 本発明の形成方法の第2の実施形態を示し、三角形状のレジストパター上に FCE を作製した場合の z 方向の電界分布の測定結果である。 第一の電極の形状を三角形状としたときの角度依存性を示す説明図である。 従来の非線形光学結晶を示す概略斜視図である。
符号の説明
10:光導波路素子
11:強誘電体非線形光学結晶基板
12:微小分極反転構造
21:z−cut 基板
22:レジスト
23:第一の電極
24:第二の電極
43:Al 電極
44:Au 電極
100:非線形光学結晶
110:周期分極反転構造
120:光導波路
130:入射光(ポンプ光)

Claims (11)

  1. 強誘電体非線形光学結晶基板の一表面上に設けられた第一の電極と、
    この第一の電極と対向するように前記強誘電体非線形光学結晶基板の他の表面に設けられた第二の電極との間に電圧を印加することにより、
    前記強誘電体非線形光学結晶基板内に微小周期分極反転構造を形成する方法であって、
    前記第一の電極が、
    前記基板のy−z断面において前記基板と点接触していることを特徴とする、
    強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造形成方法。
  2. 前記第一の電極が三角形状であることを特徴とする、請求項1に記載の強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造形成方法。
  3. 前記第一の電極が鈍角三角形状であることを特徴とする、請求項1に記載の強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造形成方法。
  4. 前記第一の電極が円形状であることを特徴とする、請求項1に記載の強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造形成方法。
  5. 前記第一の電極が、前記基板のy−z断面において前記基板と複数の接触点を有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造形成方法。
  6. 前記第一の電極が、前記基板と、前記基板のx軸方向に線状の連続した接触点を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造形成方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかの請求項に記載の方法を実現するための第一の電極。
  8. 請求項1〜6のいずれかの請求項に記載の方法によって形成されたことを特徴とする、強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造。
  9. 請求項1〜6のいずれかの請求項に記載の方法によって形成された微小周期分極反転構造であって、
    反転領域が非反転領域よりも狭いことを特徴とする、強誘電体非線形光学結晶における微小周期分極反転構造。
  10. 光導波路を備えている光導波路素子であって、前記光導波路内に、請求項8記載の周期分極反転構造が設けられていることを特徴とする、光導波路素子。
  11. 疑似位相整合方式の波長変換素子として機能することを特徴とする、請求項9記載の光導波路素子。
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