JP2005233432A - Mechanical continuously variable transmission - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、入力軸側からの回転と力(回転トルク)を、出力軸側へ無段的に伝えるようにした無段変速機に関し、特に空転状態(ニュートラル)から正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することのできる無断変速機に関するものである。 The present invention relates to a continuously variable transmission that continuously transmits rotation and force (rotational torque) from an input shaft side to an output shaft side, and in particular, from an idling state (neutral) to a forward or reverse rotation direction. The present invention also relates to a continuously variable transmission that can shift continuously.
例えば、自動車のエンジンが作り出した変速的な回転トルクを、さらに変速して車輪側への出力軸に伝達する装置としては、大きく分けて流体の介在する流体変速機と、遊星歯車等を使用した機械的な変速機とがある。この機械的変速機は、歯車等を使用して段階的に回転数を伝えるものと、無段のものとに分けられる。 For example, as a device that further shifts the rotational torque produced by the engine of an automobile and transmits it to the output shaft to the wheel side, a fluid transmission with a fluid intervening and a planetary gear are used. There is a mechanical transmission. This mechanical transmission can be divided into those that transmit gears in stages using gears and the like and those that are continuously variable.
そして、この機械的無段変速機については、IPCのF16H(伝動装置)15/00に、「回転部材間の摩擦による可変変速比をもった回転伝達用または逆転用伝動装置」も分類されていて、「摩擦」を利用した機械的無段変速機も存在している。勿論、このIPCのF16H 15/00は、さらに細かく分類されていることから、この種の摩擦を利用した機械的無段変速機は種々な提案がなされていることが分る。
As for this mechanical continuously variable transmission, IPC F16H (transmission device) 15/00 is also classified as “transmission device for rotation transmission or reverse rotation having a variable gear ratio by friction between rotating members”. There are also mechanical continuously variable transmissions that utilize "friction". Of course, since the
近年の機械的無段変速機としては、特にトラクション(traction)ドライブ式のものであって、トロイダル(toroidal)CVT(Continuously Variable Transmission)が脚光を浴びてきている。このトロイダルCVTは、Charies W. Huntが特許文献1で初めて提案したものであるが、次のような基本的特徴を有したものであった。
As a mechanical continuously variable transmission in recent years, in particular, a traction drive type, a toroidal CVT (Continuously Variable Transmission) has been in the spotlight. This toroidal CVT is a Charlies W. Hunt first proposed in
この特許文献1に記載されたHunt特許の内容は、図32に示すように、互いに対向するディスクB、D(これらのディスクの内面がトロイダル、つまりドーナツ状になっているのである)に摺動するホイールE(以下ではパワーロールとも言う)を配置し、このホイールEの角度を変えることにより、ディスクB側に対するホイールEの摺接半径と、ディスクDに対するホイールEの摺接半径とを相対的に変えるようにしたことである。これにより、ディスクBの回転トルクがディスクDに伝えられるに際して、両ディスクB、D間の回転数が変えられるのである。
As shown in FIG. 32, the contents of the Hunt patent described in this
以上のように、このHunt特許に係るトロイダルCVTは、両ディスクB、Dの内表面の全体形状はドーナツのような円環状、つまりトロイダルなものであり、その後、このHunt特許のような形式を有する機械的無段変速機は、トロイダルCVTと呼ばれるようになったのである。 As described above, the toroidal CVT according to this Hunt patent has a circular shape like a donut, that is, the toroidal shape of the inner surfaces of both disks B and D. The mechanical continuously variable transmission has come to be called toroidal CVT.
Hunt特許に係るトロイダルCVTは、図32に示したような基本構造を有していることから、非常にシンプルであり、工業的利用に大きな期待が寄せられた。特に、自動車の出現に対応してこれへの適用が1920年代になされ、種々な試作や販売そのものもなされたが、何故か大量な実用化はされなかった。 Since the toroidal CVT according to the Hunt patent has a basic structure as shown in FIG. 32, the toroidal CVT is very simple and has high expectations for industrial use. In particular, in response to the advent of automobiles, application to this was made in the 1920s, and various prototypes and sales were made, but for some reason they were not put into practical use in large quantities.
その後も種々な改良がなされてきたが、最近のトロイダルCVTは、図33に示した「フルトロイダル」と、図34に示した「ハーフトロイダル」に大きく形式が分かれるようになってきている。 Various improvements have been made since then, but the type of recent toroidal CVT has been largely divided into “full toroid” shown in FIG. 33 and “half toroid” shown in FIG.
フルトロイダルCVTの特徴は、基本的にはHunt特許と同じであり、図33に示したように、パワーロール(図32ではホイールEに該当するもの)の中心(入出力両ディスクとの接点O、O’を結ぶ直線の中心)が、両ディスク内面が作るトロイダルキャビティの中心を通ることである。これにより、入出力両ディスク間での動力伝達を行うために、掛けられた両ディスク間での押圧力は、相対的にパワーロールを回動させるための支持軸上には作用しないから、パワーロールの角度変更は、円滑に行えることになる。その反面、各接触点O、O’に引いた2本の接線が互いに平行となるから、各接触点O、O’でのスピンが大きくなるものである。 The characteristics of the full toroidal CVT are basically the same as those of the Hunt patent. As shown in FIG. 33, as shown in FIG. 33, the center of the power roll (corresponding to the wheel E in FIG. 32) , O ′) passes through the center of the toroidal cavity formed by the inner surfaces of both disks. Thereby, in order to transmit power between the input and output disks, the pressing force between the applied disks does not act on the support shaft for relatively rotating the power roll. The roll angle can be changed smoothly. On the other hand, since the two tangent lines drawn to the contact points O and O 'are parallel to each other, the spin at each contact point O and O' increases.
これに対して、図34に示したハーフトロイダルCVTでは、各接触点O、O’からの2本の接線が平行ではなくて、交点Eを有している。この交点Eが回転軸I上にあるとき、各接触点O、O’でのスピンはなくなり、効率のよいCVTとなるのである。 On the other hand, in the half toroidal CVT shown in FIG. 34, the two tangents from the contact points O and O ′ are not parallel but have an intersection E. When the intersection point E is on the rotation axis I, the spins at the contact points O and O ′ are eliminated and the CVT becomes efficient.
いずれにしても、トロイダルCVTでは、強い押圧力によって互いに押し付けられた状態の金属同士が、図35中の黒く塗りつぶした部分のような点に近い接触部分で接触することになる。(田中裕久著;トロイダルCVT、2000年7月コロナ社発行)このような点に近い小さな接触部分で金属同士が接触し合えば、当然摩擦熱が発生することになる。 In any case, in the toroidal CVT, metals pressed against each other by a strong pressing force come into contact with each other at a contact portion close to a point such as a blackened portion in FIG. (Hiraku Tanaka; Toroidal CVT, issued by Corona in July 2000) If the metals come into contact with each other at a small contact portion close to such a point, naturally frictional heat is generated.
この摩擦熱を放置しておけば、金属同士が焼き付いてしまうので、その接触部分にオイルを介在させなければならない。しかも、トロイダルCVTでは、両金属(ディスクまたはロール)間を非常に強い押圧力で押しつけなければならないから、介在させるべきオイルの圧力も相当高くなければならない。そうなると、この種のトロイダルCVTを自動車に適用する場合、エンジンの力を利用してオイル圧を高めなければならないから、結果的に所謂「燃費」が悪くなることになる。 If this frictional heat is left undisturbed, the metals will be burned together, so oil must be interposed at the contact portion. In addition, in the toroidal CVT, since the two metals (disk or roll) must be pressed with a very strong pressing force, the pressure of the oil to be interposed must also be considerably high. In this case, when this type of toroidal CVT is applied to an automobile, the oil pressure must be increased by using the power of the engine, so that the so-called “fuel consumption” is deteriorated.
また、従来のCVTでは、「逆転」させる場合の変速は全く行うことができないものであり、空転状態(ニュートラル)から正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することのできる無断変速機の開発が待たれているところである。
そこで、本発明者は、近年のトロイダルCVT、つまり無段変速機における上記実状を改善するにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、従来のトロイダルCVTを自動車に適用した場合の燃費の増大は、金属同士が限られた部分で点接触する構造に最大の原因があることに気付き、本発明を完成したのである。 Therefore, the present inventor has conducted various studies on recent toroidal CVT, that is, how to improve the above-described actual condition in a continuously variable transmission, and as a result, the conventional toroidal CVT is applied to an automobile. The increase in fuel consumption was found to have the greatest cause in the structure in which metals contact each other at a limited portion, and the present invention was completed.
すなわち、本発明の目的とするところは、この種の機械的無段変速機における金属製構成部材について、従来の「限られた点接触」から「線接触に近い接触」が行えるようにすることができ、その結果、作用維持のための他のエネルギーを小さくすることができて、例えば自動車に適用した場合にはその燃費を少なくすることにある。 That is, an object of the present invention is to enable a “contact close to a line contact” from a conventional “limited point contact” for a metal component in this type of mechanical continuously variable transmission. As a result, other energy for maintaining the action can be reduced, and for example, when applied to an automobile, the fuel consumption is reduced.
以上の目的を達成するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良の形態の説明中において使用する符号を付して説明すると、
「入力軸11側につながる回転軸22によって回転するパワーロール20と、このパワーロール20が接触して回転することにより従動的に回転されて、出力軸12につながる複数のカウンターロール30とを備えた機械的無段変速機100であって、
各カウンターロール30の表面に、その回転中心軸を通る面で切断したとき円弧を形成するロール面31を形成するとともに、これら複数のカウンターロール30を、出力軸12につながるディスク40の同一円周上に互いに隣接し合った状態で回転自在に組み付けることにより、各ロール面31の各円弧が略連続した1つの円を形成するようにし、
パワーロール20として同一形状のものを複数用意し、これらのパワーロール20〜20を入力軸11側からの回転力によって同一方向に同時に回転されるようにするとともに、これらのパワーロール20〜20の各表面に球面状のロール面21を形成して、このロール面21において、当該パワーロール20が各カウンターロール30に接触するようにし、
かつ、ディスク40に対してパワーロール20の回転軸22を無段階的に傾斜させ得るようにしたことを特徴とする正逆回転可能な機械的無段変速機100」
である。
In order to achieve the above object, first, the means taken by the invention according to
“A
The surface of each
A plurality of
In addition, the mechanical continuously
It is.
すなわち、この請求項1に係る機械的無段変速機100は、図1及び図2に示すように、入力軸11側につながる回転軸22によって回転するパワーロール20と、このパワーロール20が接触して回転することにより従動的に回転されて、出力軸12につながる複数のカウンターロール30とを備えたものであるが、パワーロール20として同一形状のものを、図12〜図15に示すように複数用意したものである。
That is, in the mechanical continuously
ここで、いきなり同一形状のパワーロール20を複数用意した場合を説明すると説明が複雑になるので、一個のパワーロール20を用意した場合について説明していくこととする。
Here, since the description will be complicated if a plurality of
一個のパワーロール20を用意した機械式無段変速機100は、例えば図1及び図2に示すように、入力軸11からの回転力により回転されるパワーロール20のロール面21を、ディスク40に円環状に配列して組付けた複数のカウンターロール30の各ロール面31に接触させるようにしたものである。そのために、本発明の機械式無段変速機100では、まず入力軸11により回転されるパワーロール20のロール面21の表面形状については、「球」を例えば2つの平行な面で切断したときにできる表面形状と略同じになるようにしてあり、これに対して、各カウンターロール30のロール面31の表面形状については、図3に示すように、パワーロール20側のロール面21の形状に対応する凹状としたものである。つまり、各カウンターロール30のロール面31は、その中心軸で切断したときに、完全な「円弧」として現れるものである。
As shown in FIGS. 1 and 2, for example, the mechanical continuously
従って、各カウンターロール30のロール面31の、回転軸32の中心で切ったときに現れる線は、これら複数のカウンターロール30を円環状に配列したときに、それぞれ互いにつらなって、ほぼ完全な「円」を形成するものである。この円には、ニュートラル時の1つまたは複数のパワーロール20のロール面21が円として接触し、またパワーロール20が傾斜された場合にも、この円の円弧部分に接触することになる。勿論、各カウンターロール30は、その回転軸32によってディスク40に回転自在に組付けたものであり、駆動側のパワーロール20に対して「転がり接触」することになるものである。
Accordingly, the lines appearing when the
ここで、パワーロール20側のロール面21が形成する円と複数のカウンターロール30を連ねたことによって円環を構成する各ロール面31が形成する円との直径の関係をみてみると、次の通りである。
Here, when the relationship between the diameters of the circle formed by the
まず、パワーロール20側のロール面21についてであるが、図1及び図2に示した例の場合、図3に示すように、球の中心Oを通る円C0を最大部分として有し、このC0より直径の小さい円を最小部分とするものである。なお、このパワーロール20側のロール面21が形成する円の最大部分は、必ずしも図3に示した円C0である必要はなく、また最小円にあっては半径が0(ゼロ)であってもよい。
First, regarding the
また、このパワーロール20は、例えば図10の(A)にも示すように、各カウンターロール30によって形成されてた円環内に嵌合されることもあって抜け止めがなされなければならないから、各カウンターロール30による円環の内径はこのパワーロール20の外径より小さくなければならない。このことは、パワーロール20を1個だけ使用する場合も、本発明として以下に説明する複数使用する場合も言えることである。
Further, as shown in FIG. 10A, for example, the
さて、この機械式無段変速機100を構成しているパワーロール20は、そのロール面21を各カウンターロール30に接触させたままの状態を維持しながら、その回転軸22の軸心方向をディスク40が形成している平面に対して傾斜させなければならない。そのためには、回転軸22に変速レバーまたはハンドル13を連結するとともに、後述する最良の形態が採用しているベベル歯車列等を利用して、この回転軸22と入力軸11とを接続するようにするのである。勿論、このパワーロール20のロール面21と各カウンターロール30のロール面31とは互いに圧接状態を維持するようになければならないから、各パワーロール20やディスク40等の位置をケーシング10によって維持する他、例えば図4の(B)に示すような板バネ50を利用するようにするものである。
Now, the
これに対して、各カウンターロール30については、その回転軸32の方向を変える必要は全くないが、その各ロール面31のディスク40に対する同一位置によって、円弧状であるパワーロール20側のロール面21が滑らかに当接する円環状の接触面を形成しなければならない。各カウンターロール30は、そのロール面31が完全円の内の部分円しか形成できないから、その複数を、図1及び図2に示すようにディスク40に回転自在となるように組付けなければならない。各カウンターロール30を、図1に示したように、ディスク40に完全に組付けてしまえば、各カウンターロール30のロール面31によって、その内側中心に略連続した円環面が形成できるのである。
On the other hand, for each
以上のようにパワーロール20や複数のカウンターロール30を組み合わせることによって、入力軸11からの回転を、ディスク40に設けられた出力軸12に対し、以下のようにして変速しながら伝えることができる。
By combining the
まず、図5には、所謂「ニュートラル状態」が示してある。つまり、この場合は、図5の(B)にも示すように、パワーロール20のロール面21は各カウンターロール30が形成してる円環面と同一位置にあるため、図5の(A)に示すように、パワーロール20のロール面21は、その図示上下の各面において、それぞれ3個のカウンターロール30に当接している。このニュートラルの場合、3個のカウンターロール30の中央のものは、パワーロール20の回転軸22に直交する中心線と中心を同一にしているものであり、図示上方の例でみてみると、左右の各カウンターロール30はパワーロール20の中心線に対して線対称位置にある。
First, FIG. 5 shows a so-called “neutral state”. That is, in this case, as shown in FIG. 5B, the
ここで、図5中の矢印にて示した方向にパワーロール20が回転されると、これに接触している各カウンターロール30は、ディスク40に回転自在に軸支されていること、及びパワーロール20との転がり接触していることとによって回転することになる。このとき重要なことは、パワーロール20と各カウンターロール30とは常に「接触」した状態にあることであるが、それは、パワーロール20のロール面21が球表面の一部と同じ形状にしてあって、かつこれに対応した凹状のロール面31がカウンターロール30に形成してあるからである。
Here, when the
この回転している1つのパワーロール20については、図5の(A)にて示したように、図示上下それぞれにおいて各3個のカウンターロール30に接触していて、これを単に回転させているだけである。従って、この場合(具体的にはディスク40が作る平面に対して、パワーロール20側の回転軸22が直交している場合)には、ディスク40に回転させるための力が加えられることはないため、ディスク40、従って出力軸12は回転することはない。
As shown in FIG. 5A, the rotating one
次に、入力軸11からの回転力を出力軸12側に変速して伝達していく場合を考えるために、パワーロール20の回転軸22を、図6の(B)に示す状態、つまりディスク40が形成する平面に対して左に30°まで傾斜させる状態を想定してみる。回転軸22、つまりパワーロール20を傾斜させていくと、そのロール面21は、今まで接触していたカウンターロール30に隣接している別のカウンターロール30に次々と移動しながら線接触を続けていく。何故なら、パワーロール20のロール面21は球面の一部であって、各カウンターロール30のロール面31もロール面21の球面に対応する凹状面であったし、各カウンターロール30は円環状となるようにディスク40に組付けてあって、その各ロール面31は略連続したものとなっていたからである。パワーロール20がディスク40に対して30°まで回転される間も、当該機械式無段変速機100は変速を行っているのであるが、その様子は次の30°まで回転されたときの状態をもとに説明することとする。
Next, in order to consider the case where the rotational force from the
入力軸11によって回転されているパワーロール20がディスク40に対して、図6の(B)に示すような30°の位置まで傾斜されると、このパワーロール20のロール面21は、各カウンターロール30のロール面31に接触したままの状態にあるから、図6の(A)中に示した小さい矢印方向に各カウンターロール30を動かそうとする。つまり、パワーロール20に接触している1個のカウンターロール30についてみてみると、このカウンターロール30のロール面31には、パワーロール20側のロール面21が30°の傾斜で転がり摩擦力が加わっているから、その内の一部は当該カウンターロール30の回転軸32を中心とした回転力に使われ、残りは図6の(A)中に示した小さい矢印に示した方向への回転力に使われることになる。
When the
パワーロール20が当接する各カウンターロール30に点線矢印にて示した方向の力が加わることによって、結果的にディスク40は回転されることになるが、この30°傾斜の場合、パワーロール20の回転数に対してディスク40はその半分となるのであり、結果としてこのディスク40に接続されている出力軸12は変速回転されることになるのである。勿論、この30°傾斜に至るまでの間の変速は順次連続的になされるのである。
When a force in the direction indicated by the dotted line arrow is applied to each
このパワーロール20の傾斜をさらに大きくして、図7の(B)に示すように、90°まで傾斜されたときには、パワーロール20の回転力の全ては各カウンターロール30を図7の(A)中の外側矢印で示した方向への回転力に使われることになり、各カウンターロール30はディスク40に対しては回転しない。つまり、パワーロール20の回転数とディスク40の回転数は同じになるのであり、この90°傾斜の場合は変速されないことになる。
When the inclination of the
勿論、前述した30°傾斜からこの90°傾斜に至るまでの間も、各カウンターロール30の回転軸32を中心とする回転量は順次小さくなっていくのであり、かつディスク40の回転量は順次大きくなっていくのである。この結果、当該機械式無段変速機100による変速は、パワーロール20の傾斜量に応じて順次連続的になされるのであり、「無段変速」となるのである。
Of course, the rotation amount around the rotation shaft 32 of each
そして、当該機械式無段変速機100で重要なことは、図8に示すように、パワーロール20を、図6の(B)に示した傾斜とは反対側への傾斜をさせた場合には、「逆転」も加わった変速がなされることである。つまり、本発明に係る機械式無段変速機100では、空転状態(ニュートラル)から正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することができるものとなっているのである。
And what is important in the mechanical continuously
以上の説明においては、各パワーロール20及びカウンターロール30が金属を材料として形成した場合を想定していたが、これらのパワーロール20及びカウンターロール30は、少なくとものそのロール面21・31を合成樹脂やセラミックスを材料として形成して実施してもよいことは当然である。
In the above description, it is assumed that each
従って、一個のパワーロール20を採用する機械式無段変速機100は、各パワーロール20とカウンターロール30とを常に接触させながら無段変速が行えるのであり、この接触が「線接触」に近いことからヘルツ(Helz)接触に基づくロール面21・31の変形を極力抑えることができて、各パワーロール20とカウンターロール30とを金属材料によって形成したとしても発熱量が抑えられるのであり、ニュートラルから正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することができるものとなっているのである。
Therefore, the mechanical continuously
以上の機械式無段変速機100では、本発明を説明する前段階の説明を行うために、入力軸11からの回転力を伝えるためのパワーロール20は1個であったが、このパワーロール20はこれを複数にすることも可能であり、これが請求項1の本発明に係る機械式無段変速機100となるのである。
In the mechanical continuously
すなわち、請求項1の機械式無段変速機100は、上述したパワーロール20が1個の機械式無段変速機100について、前述した通り、
「パワーロール20として同一形状のものを複数用意し、これらのパワーロール20〜20を入力軸11側からの回転力によって同一方向に同時に回転されるようにしたこと」
を特徴とするものである。
That is, in the mechanical continuously
“A plurality of power rolls 20 having the same shape are prepared, and these power rolls 20 to 20 are simultaneously rotated in the same direction by the rotational force from the
It is characterized by.
複数として2個の場合を挙げてみると、図12〜図15に示すような例が考えられる。図12に示したものは、図1に示した1個のパワーロール20を2個に分割して、これらを同一方向に同時に回転させ得るようにするために別のケーシング等で一体化するようにしたものである。図13に示した機械式無段変速機100では、2つのパワーロール20を斜め内側から当接するようにしたものであり、図14では全くの側面に、また図15の機械式無段変速機100では2つのパワーロール20を外側面に当接させるようにしたものである。
Taking the case of two as a plurality, examples as shown in FIGS. 12 to 15 can be considered. The one shown in FIG. 12 divides one
この請求項1の機械式無段変速機100では、パワーロール20を複数のものに分割するのであるから、ディスク40内あるいはその近傍にいろんな部品の組付け空間を確保でき、しかも各パワーロール20のカウンターロール30に対する当接方向を種々変更できるというメリットがあり、機械式無段変速機100全体を製造のための組み付けを行い易くするものである。
In the mechanical continuously
以上のようにパワーロール20を複数に分割すれば、ディスク40のあらゆる方向からこのパワーロール20の当接を、小さなケーシング10内に可能になるのである。
If the
以上のようにパワーロール20を複数にしたとき、ディスク40からの各カウンターロール30の露出方向を変更してやらなければならない。これが請求項2の機械式無段変速機100であり、その採った手段は、上記請求項1の機械式無段変速機100について、
「ディスク40からの各カウンターロール30の露出方向を変えることにより、各パワーロール20の各カウンターロール30に対する当接位置を任意にし得るようにしたこと」
である。
As described above, when a plurality of power rolls 20 are used, the exposure direction of each counter roll 30 from the
“By changing the exposure direction of each counter roll 30 from the
It is.
この請求項2の機械式無段変速機100は、複数に分割したパワーロール20の当接位置を任意に決定し得るものとなっているのである。
The mechanical continuously
以上の請求項1及び請求項2の機械式無段変速機100では、パワーロール20を複数のものに分割するのであるから、ディスク40内あるいはその近傍にいろんな部品の組付け空間を確保でき、しかも各パワーロール20のカウンターロール30に対する当接方向を種々変更できるというメリットがあり、機械式無段変速機100全体を製造のための組み付けを行い易くするものである。
In the mechanical continuously
なお、本発明に係る機械式無段変速機100については、各パワーロール20のロール面21の球直径が、各カウンターロール30によって内側に形成される円環面の直径より大となるようにして、このパワーロール20をディスク40側に押圧するようにすることも可能である。
In the mechanical continuously
すなわち、この機械式無段変速機100では、パワーロール20について、図9の(B)、図10、及び図11に例示しているように、そのロール面21の最大直径部分(換言すれば、当該ロール面21を形成している球の直径)が各カウンターロール30によって形成される内側円環面の直径より大きくして、例えば図9の(B)に示したように、各カウンターロール30を組付けたディスク40側に当該パワーロール20を押圧させたときに、ディスク40の反対側へ抜けてしまわないようにしたものである。このため、当該パワーロール20のディスク40側への押圧ができて、パワーロール20と各カウンターロール30との線接触を確実にすることは勿論、その押圧状態のまま、パワーロール20を傾斜させ得るのである。なお、図9の(A)に示したものは、前述した図7の(B)のものと同じであり、図9の(B)に示しているものとの比較のために記載したものである。
That is, in this mechanical continuously
図10の(A)及び図11の(A)に示した機械式無段変速機100は、図34に示した「ハーフトロイダル」形式のものに対応するもので、パワーロール20中にロール面21の形状を規定している球の中心がないものであり、これに対して図10の(B)及び図11の(B)に示した機械式無段変速機100は、見かけ上2つのパワーロール20を有してはいるが実質上1つのものとなっている場合であるが、これらのパワーロール20中に球の中心を有するものである。
The mechanical continuously
さて、前述したように、パワーロール20と、複数のカウンターロール30を組み付けたディスク40とが互いに押圧するようにして、パワーロール20のロール面21が各カウンターロール30のロール面31に常に接触するようにしなければならない。そのための手段としては、押圧力を流体圧により発生させたり、カムを利用した機械的構成により発生させるようにしてもよいが、後述する最良形態では、請求項3または請求項4に係る機械式無段変速機100のようにすることもできる。
As described above, the
すなわち、請求項3に係る機械式無段変速機100は、上記請求項1〜請求項2のいずれかの機械式無段変速機100について、
「各カウンターロール30とパワーロール20との間の押圧は、各カウンターロール30の支持軸31とこれを支持しているディスク40との間に介在させた板バネ50によって行うようにしたこと」
である。
That is, the mechanical continuously
“Pressing between each
It is.
例えば、図1に示した機械式無段変速機100の場合、複数のカウンターロール30によって形成された円環内の中央に1個ののパワーロール20を配置するものであるから、このパワーロール20の周囲に位置する各カウンターロール30がパワーロール20に向けて常に付勢されていれば、パワーロール20のディスク40に対する押圧ができることになる。各カウンターロール30はその回転軸32によってディスク40に支持されているから、これをパワーロール20側に付勢するには、図4に示すように、ディスク40と各回転軸32との間に板バネ50があればよい。
For example, in the case of the mechanical continuously
この板バネ50としては、図4の(B)に示すような、ベルビルスプリング(bellville spring)であってもよいし、波形状となった皿バネであってもよいものである。いずれにしても、この板バネ50は、その板の厚さ方向への付勢力を発生させるもので、非常に狭い空間内にも組み込めるものであり、通常は複数枚重ねて使用される。
The
つまり、各カウンターロール30とディスク40との間にはそれ程自由になる空間がないのであるから、付勢力を付与するスプリングとしては「板バネ」が最も効果的となるのである。もともと、パワーロール20と各カウンターロール30とは互いに密接し合った状態に設計されるのであるから、押圧のための空間は小さくてもよい。そのような条件の中で、各ディスク40がパワーロール20に押圧するようにするには、板バネ50が最も効果的なのである。
That is, since there is not so much free space between each
他の押圧の方法としては、図16〜図25に示した第1実施例におけるようなものがあり、これが請求項4に係る発明である。 As another pressing method, there is one as in the first embodiment shown in FIGS. 16 to 25, and this is the invention according to claim 4.
すなわち、請求項4の機械式無段変速機100が採った手段は、上記請求項1〜請求項3のいずれかの機械式無段変速機100について、
「各カウンターロール30とパワーロール20との間の押圧は、ディスク40とこれを支持しているケーシング11との間に介在させた板バネ50によって行うようにしたこと」
である。
That is, the means taken by the mechanical continuously
“Pressing between each
It is.
この請求項4の機械式無段変速機100は、図16に示すように、入力軸11に連結されるべきパワーロール20はケーシング10に対して完全に組付けておくものであるが、つまりパワーロール20のロール面21を規定している球の中心が全く動かないように組付けておくのである。このようなパワーロール20に対して、各カウンターロール30の方が押圧されれば、パワーロール20とカウンターロール30との密接は十分行えるから、カウンターロール30側、つまりこれらを支持しているディスク40側をパワーロール20に向けて付勢するようにすればよいことになる。
In the mechanical continuously
図16に示した例では、出力軸12がケーシング10に対して回転自在ではあるが図示左右方向には移動しないように、ベアリングを使用して抜け止めしてある。この出力軸12の内端部にはスプラインが形成してあって、これにディスク40側のアームが嵌合してある。つまり、ディスク40は、出力軸12の内端部に対してその軸方向への移動は行えるが、出力軸12に対して回転不能に組付けてある。
In the example shown in FIG. 16, the
そして、この図16に示した機械式無段変速機100では、ケーシング10に組込んだベアリングのインナーレースの内端面とディスク40のアームの外端面との間に板バネ50が複数組付けてある。これらの板バネ50は、図示左右方向に湾曲しているものであり、これにより、ディスク40をパワーロール20側に僅かではあるが付勢することになるものである。
In the mechanical continuously
従って、この請求項4の機械式無段変速機100は、板バネ50という全く小さな部品によって、複数のカウンターロール30を組み込んだディスク40を、位置を固定的にしたパワーロール20に対して付勢することができるのであり、パワーロール20と各カウンターロール30との線接触を安定した状態に維持するのである。
Therefore, in the mechanical continuously
さて、図16に示した機械式無段変速機100は、出力軸12の内端部にはスプラインが形成してあって、これにディスク40側のアームが嵌合してあった。つまり、このアームを板バネ50の付勢方向とは逆方向に移動させる手段があれば、パワーロール20と各カウンターロール30との接触を解除することができて、トルク伝達が行われないようすること、つまり「クラッチ操作」ができることになる。このようなクラッチ操作を行えるようにしたのが請求項5に係る機械式無段変速機100である。
In the mechanical continuously
すなわち、請求項6に係る発明の採った手段は、上記請求項1〜請求項4のいずれかに記載の機械式無段変速機100について、
「パワーロール20または各カウンターロール30をその押圧方向とは反対側に移動可能とし、これらのパワーロール20または各カウンターロール30をその押圧方向とは反対側に移動させることにより、パワーロール20と各カウンターロール30との間の押圧による摩擦接触を解除して、両者間の力の伝達をなくすクラッチ機能を備えたものとしたこと」
である。
That is, the means taken by the invention according to
“The
It is.
本発明は、機械的無段変速機において、従来の「点接触」から「線接触に近い接触」が行えるようにすることを目的としてなされたものであり、線接触に近い接触を可能にすることで金属製構成部材の互いの押圧力を小さくすることができ、作用維持のための他のエネルギーを小さくすることができる機械的無段変速機100とするために、
「入力軸11側につながる回転軸22によって回転するパワーロール20と、このパワーロール20が接触して回転することにより従動的に回転されて、出力軸12につながる複数のカウンターロール30とを備えた機械的無段変速機100であって、
各カウンターロール30の表面に、その回転中心軸を通る面で切断したとき円弧を形成するロール面31を形成するとともに、これら複数のカウンターロール30を、出力軸12につながるディスク40の同一円周上に互いに隣接し合った状態で回転自在に組み付けることにより、各ロール面31の各円弧が略連続した1つの円を形成するようにし、
パワーロール20として同一形状のものを複数用意し、これらのパワーロール20〜20を入力軸11側からの回転力によって同一方向に同時に回転されるようにするとともに、これらのパワーロール20〜20の各表面に球面状のロール面21を形成して、このロール面21において、当該パワーロール20が各カウンターロール30に接触するようにし、
かつ、ディスク40に対してパワーロール20の回転軸22を無段階的に傾斜させ得るようにした」
ものである。
The present invention has been made for the purpose of enabling "contact close to line contact" from conventional "point contact" in a mechanical continuously variable transmission, and enables contact close to line contact. In order to obtain a mechanical continuously
“A
The surface of each
A plurality of power rolls 20 having the same shape are prepared, and these power rolls 20 to 20 are simultaneously rotated in the same direction by the rotational force from the
In addition, the rotating
Is.
次に、上記のように構成した各請求項の発明を、図面に示した最良の形態である機械式無段変速機100について説明するが、本発明に係る機械式無段変速機100は図12〜図15に示してある。そして、これらの図12〜図15以外の図では、本発明に係る機械式無段変速機100を説明するために必要な、一個のパワーロール20を有した機械式無段変速機100が示してある。
Next, the invention of each claim configured as described above will be described with respect to the mechanical continuously
そして、図16〜図25には、本発明に関連する機械式無段変速機100の第1実施例が、また図26〜図31には、同機械式無段変速機100の第2実施例が示してある。また、各発明は、これら最良の形態である機械式無段変速機100中に全て含まれているため、以下では、この最良形態の機械式無段変速機100を、第1実施例と第2実施例に分けて説明する。
(第1実施例)
図16には、本発明に係る機械式無段変速機100の横断平面図が示してあり、この機械式無段変速機100は、ケーシング10の図示右側に突出する入力軸11にて受けた回転力を無段変速しながら、ケーシング10の図示左側に突出する出力軸12に伝達するようにしているもので、その大部分の構成部材は1つのケーシング10内に組み込まれている。この第1実施例に係る機械式無段変速機100は、1つのパワーロール20を、ディスク40に多数組付けたカウンターロール30によって形成された円環内に嵌入されるタイプのものであり、前述の図1及び図2に示したものに該当するものである。
16 to 25 show a first embodiment of the mechanical continuously
(First embodiment)
FIG. 16 shows a cross-sectional plan view of a mechanical continuously
さて、ケーシング10に対しては、図16に示したように、1個で半球状のパワーロール20が、その回転軸22を中心に回転され、かつ後述する回動軸73を中心に傾動されるように組付けてある。そして、このパワーロール20の、入力軸11からの回転力による回転は、図16中に示した回転力伝達機構60によりなされるものであり、回転軸22の傾動は、変速レバーまたはハンドル13の操作を伝達する傾斜機構70によりなされるものである。
Now, as shown in FIG. 16, the single
勿論、このパワーロール20のロール面21は、球の部分表面と同じ形状のものであるが、このパワーロール20の大径側は、図16にも示したように、回転力伝達機構60や傾斜機構70の部分が組み込めるようにするために、大きく開口させてある。またパワーロール20内は空洞としてあって、この中に傾斜機構70を構成しているベース71が組み込んである。
Of course, the
パワーロール20の回転を行う回転力伝達機構60は、図19及び図20にも示したように、入力軸11からの回転力が図示したベベルギアを介して伝達される中間軸61と、この中間軸61からの回転力を、傾斜機構70側の回動軸73を避けてパワーロール20側の固定ベベルギア63に伝達するフリーベベルギア62と、固定ベベルギア63をパワーロール20に固定的に連結する中心軸64とからなっている。勿論、中間軸61は、その両端に入力軸11側に固定してあるベベルギアに噛合するベベルギアと、フリーベベルギア62に噛合するベベルギアとをそれぞれ有していて、ディスク40や回動軸73の動きに干渉しないようにするために、図16に示したように、入力軸11の軸芯方向に対して所定各傾斜させてある。
As shown in FIGS. 19 and 20, the rotational
このような回転力伝達機構60によれば、図16〜図21に示したように、入力軸11からの回転力はまずベベルギアを介して中間軸61に伝達され、この中間軸61の回転はベベルギアを介してフリーベベルギア62に介して伝達される。ここで重要なことは、このフリーベベルギア62は、パワーロール20の傾動を行うことになる回動軸73をその中心に位置させて、この回動軸73に対して自由に回転できるようにしてあることである。これにより、後述する変速レバーまたはハンドル13の操作によるパワーロール20の傾動とは全く無関係に、入力軸11側の回転力をパワーロール20側の固定ベベルギア63に伝達できるのである。
According to such a rotational
回動軸73上を自由に回転し得るフリーベベルギア62には、固定ベベルギア63を介して中心軸64が連なっていて、この中心軸64やフリーベベルギア62はベアリング72を介して傾斜機構70側のベース71に対して回動自在になっている。
A
以上の結果、このパワーロール20は、図19に示したように、後述する傾斜機構70による傾動作動とは全く独立し、入力軸11からの回転力により回転するものであり、当該パワーロール20が、図22〜図25に示したような位置に傾動していても、入力軸11により安定的に回転駆動されることになるのである。
As a result, as shown in FIG. 19, the
次に、パワーロール20の傾動操作を行うための傾斜機構70であるが、この傾斜機構70は、図16〜図21に示したように、パワーロール20内にベアリング72を介して収納したベース71と、このベース71に、図19及び図21に示したように橋架されて、前述した回転力伝達機構60を構成しているフリーベベルギア62の中心を貫通する回動軸73と、この回動軸73の一端に固定的に取付けたウオーム74と、このウオーム74に噛合して、図20に示したように、ケーシング10から突出している変速レバーまたはハンドル13のな内端に設けたウオームホイール75とを備えているものである。
Next, the
このような傾斜機構70によれば、まず図20に示したように、変速レバーまたはハンドル13の回転調整によってウオーム74が回転され、これに噛合しているウオームホイール75は、ウオーム74の回転量及び方向に応じた回転をすることになる。ここで重要なことは、変速レバーまたはハンドル13側にウオーム74を、回動軸73側にウオームホイール75を設けるようにしたことである。何故なら、回動軸73側には、当該機械式無段変速機100を作動させたとき反力を受けることになるが、上述したようにすることによって、この反力によっては変速レバーまたはハンドル13側に力が加わらないようにでき、変速レバーまたはハンドル13の回転調整を安定的に行えるからである。
According to such a
さて、変速レバーまたはハンドル13の回転調整に応じて回転したウオームホイール75は、図19に示したように、ベース71に橋架されている回動軸73と一体的であったから、この回動軸73の軸心を中心に、つまり図20にも中の断面で示してある回動軸73を中心にベース71の傾動がなされるのである。勿論、この傾斜機構70によって傾動されているパワーロール20は、この傾斜機構70とは全く別系統の回転力伝達機構60によって回転駆動もされているものである。
Now, as shown in FIG. 19, the
このパワーロール20の傾動状態は、図22〜図25を代表させて示してあるが、本機械式無段変速機100は無段変速を行うものであるから、これらの図22〜図25へは、連続して変化するものであることはいうまでもない。また、図22〜図25では、(A)としてウオームホイール75の概略平面図を示し、その状態におけるパワーロール20と各カウンターロール30との関係を、(B)の縦断側面図で示すようにしている。
The tilting state of the
上記のような回転と傾動を行うパワーロール20が接触しているカウンターロール30であるが、本実施例の機械式無段変速機100では、このカウンターロール30の多数を、図16〜図21に示したように、1つのディスク40に、円環状となるように組付けるようにしている。勿論、各カウンターロール30のロール面31は、図17及び図18に示したように、球の外面に接触し得るような凹状にしてあり、各端部は連続的に連なるように、一枚のディスク40に支持してある。このカウンターロール30のディスク40への支持は、図1でも説明したように、回転軸32をベアリング33によって支持することにより、ディスク40に対して自由に回転できる状態にして行ってある。
The
ディスク40は、パワーロール20の回転により各カウンターロール30が受けた反力をまとめて出力軸12側に取り出すためのものであるから、図16に示したように、複数の脚41を介して出力軸12にスプライン結合させてある。このディスク40が出力軸12に対してスプライン結合させてあるのは、このディスク40は、回転力を出力軸12側に確実に伝達はするが、板バネ50からの付勢力によって図16の図示右方向、つまりパワーロール20に対して弾発的に接触するようにするためである。
Since the
このため、この実施例1の機械式無段変速機100においては、ディスク40の各脚41と、ケーシング10に対して出力軸12を回転自在に支持しているベアリング14のインナーレースとの間に複数の板バネ50が組込んであるのである。つまり、これらの板バネ50は、多数のカウンターロール30を組付けたディスク40を、ケーシング10に支持したパワーロール20に対して弾発的に押し付けるように作用するものである。
(第2実施例)
図26〜図31には、本発明に係る機械式無段変速機100の第2実施例が示してあるが、この機械式無段変速機100の概略構成は、図11の(B)に示したものと類似するものである。そして、この第2実施例の機械式無段変速機100では、入力軸11からの回転力伝達と、変速レバーまたはハンドル13によるパワーロール20の傾動とを、パワーロール20内に組込んだ各部材によって行うようにして、全体をコンパクト化したものである。
Therefore, in the mechanical continuously
(Second embodiment)
26 to 31 show a second embodiment of the mechanical continuously
すなわち、この第2実施例に係る機械式無段変速機100では、そのパワーロール20を、図26及び図27に示したように、球の部分形状となるロール面21を有した二つの同一形状のものより構成するとともに、これら2つのパワーロール20を中心となる回転軸22によって一体的に連結したものである。これにより、パワーロール20は、球の上下のそれぞれ1/4程度ずづを切り落した形状で、球の中心を通る部分に、図27に示したような開口23が全周に存在する形状のものとなる。この開口23内には、図26にも示したように、図示右方から入力軸11が、また図示左方からは変速レバーまたはハンドル13によって回動される傾斜軸15が挿入されることになるのである。
That is, in the mechanical continuously
パワーロール20内に挿入された入力軸11の内端は、ベベルギアを介して内の内面側に噛合させてあるため、この入力軸11の回転力によって、当該パワーロール20全体は回転軸22を中心に回転されることになる。つまり、このパワーロール20は、入力軸11によって、図26に示した回転軸22を回転軸として、図示左右方向に回転することになるのである。勿論、このパワーロール20には、図27に示したように、入力軸11が通過し得る開口23が全周に形成してあったから、パワーロール20は、入力軸11や次に述べる傾斜軸15に干渉することなく回転するのである。
Since the inner end of the
これに対して、入力軸11とは反対側からパワーロール20内に挿入されている傾斜軸15の内端は、パワーロール20側の回転軸22の外周に嵌合してあるスリーブ16に連結してある。このスリーブ16は、種々なベアリングを介してパワーロール20内に組込むとともに、パワーロール20側の回転軸22に対して自由に回転できるものとしてある。換言すれば、入力軸11によってパワーロール20が回転されたとしても、このスリーブ16は回転しないものであり、その結果、傾斜軸15の内端の固定が行えるのである。
On the other hand, the inner end of the
さて、このスリーブ16には傾斜軸15の内端が固定的に連結してあったから、変速レバーまたはハンドル13を所定方向に回動させれば、パワーロール20は、図29及び図30に示したような種々な傾斜状態に連続的に変更できるのであり、かつその間は勿論、変更後においてもパワーロール20の入力軸11による回転を阻外されることはないのである。
Now, since the inner end of the
以上のようにして、パワーロール20は、入力軸11による回転と変速レバーまたはハンドル13による傾斜がなされるのであるが、このパワーロール20は、ケーシング10内に配置した多数のカウンターロール30に接触しているため、パワーロール20の回転力は、その傾斜状態に応じた変速がなされるから、各カウンターロール30を支持しているディスク40に伝達される。このディスク40には、図26等に示したように出力軸12が連結してあるから、結果として、入力軸11の回転は変速されてこの出力軸12から出力されるのである。
As described above, the
この第2実施例では、図26に示したように、ケーシング10とディスク40との間に複数の板バネ50が介装してあるから、これらの板バネ50の付勢力によって、ディスク40はパワーロール20側に向けて常に押圧されているものである。
In the second embodiment, as shown in FIG. 26, a plurality of
また、ディスク40に組付けた多数のカウンターロール30は、図28に示したように、その各ロール面31の内端によって円環状のものに形成されているから、パワーロール20がどのような状態に傾斜したとしても、パワーロール20のロール面21と各カウンターロール30のロール面31とが接触することになることは、前述した通りである。さらに、パワーロール20は、各カウンターロール30によって形成された円環状のロール面に常に当接していなければならないから、パワーロール20の各カウンターロール30による円環に対する大きさは、図28に示したように、前述の図11の(B)に示した関係になるものである。
In addition, as shown in FIG. 28, the many counter rolls 30 assembled to the
この第2実施例に係る機械式無段変速機100による変速の状況は、図31に示したグラフの通りである。このグラフでは、横軸にパワーロール20の傾斜角度をとり、横軸に変速比をとっている。なお、マイナスは、入力軸11の回転方向とは反対側への回転をすることを意味している。
The state of shifting by the mechanical continuously
以上詳述した通り、本発明の機械式無段変速機100によれば、パワーロール20のロール面21と、複数のカウンターロール30のロール面31とを接触させて変速を行うことができるのであり、その結果、入力軸11側からの回転力を効率よく出力軸12側に伝えることができ、エネルギーロスを抑えることができるのである。
As described above in detail, according to the mechanical continuously
また、パワーロール20と各カウンターロール30とは接触するのであるから、両者を大きく押圧しなくても動力伝達が行えるのである。その結果、発熱を抑えるためのオイルの供給を行わなくてもよくなり、仮に供給したとしてもそのオイル圧力を高くする必要はない。
In addition, since the
さらに、本発明の機械式無段変速機100によれば、パワーロール20の傾斜角度を変えるだけで、空転状態(ニュートラル)から正逆いずれの回転方向へも無段階的に変速することができるものである。
Furthermore, according to the mechanical continuously
従って、本発明の機械式無段変速機100は、これを工作機械や自動車の構成部品としたときには、逆転(リバース)も含む無段変速ができるだけでなく、その作動のためのエネルギーロスを極力抑えることができて、産業上非常に有用なものとなるのである。
Therefore, when the mechanical continuously
100…機械式無段変速機、
10…ケーシング、
11…入力軸、
12…出力軸、
13…変速レバーまたはハンドル、
14…ベアリング、
15…傾斜軸、
16…スリーブ、
20…パワーロール、
21…ロール面、
22…回転軸、
23…開口、
30…カウンターロール、
31…ロール面、
32…回転軸、
33…ベアリング、
34…ベース、
40…ディスク、
50…板バネ、
60…回転力伝達機構、
61…中間軸、
62…フリーベベルギア、
63…固定ベベルギア、
64…中心軸、
70…傾斜機構、
71…ベース、
72…ベアリング、
73…回動軸、
74…ウオーム、
75…ウオームホイール
100 ... Mechanical continuously variable transmission,
10 ... casing,
11 ... Input shaft,
12 ... Output shaft,
13 ... shift lever or handle,
14 ... bearings,
15 ... Inclined axis,
16 ... Sleeve,
20 ... Power roll,
21 ... roll surface,
22 Rotating shaft,
23 ... Opening,
30 ... Counter roll,
31 ... roll surface,
32 ... rotating shaft,
33 ... Bearing,
34 ... Base,
40 ... disc,
50 ... leaf spring,
60 ... rotational force transmission mechanism,
61 ... Intermediate shaft,
62 ... Free bevel gear,
63 ... fixed bevel gear,
64 ... central axis,
70 ... tilting mechanism,
71 ... Base,
72 ... bearings,
73 ... rotating shaft,
74 ... Worm,
75 ... Worm wheel
Claims (5)
各カウンターロール(30)の表面に、その回転中心軸を通る面で切断したとき円弧を形成する凹状ロール面(31)を形成するとともに、これら複数のカウンターロール(30)を、出力軸(12)につながるディスク(40)の同一円周上に互いに隣接し合った状態で回転自在に組み付けることにより、各凹状ロール面(31)の各円弧が略連続した1つの塩を形成するようにし、
パワーロール(20)として同一形状のものを複数用意し、これらのパワーロール(20)〜(20)を入力軸(11)側からの回転力によって同一方向に同時に回転されるようにするとともに、これらのパワーロール(20)〜(20)の各表面に球面状のロール面(21)を形成して、このロール面(21)において、当該パワーロール(20)が各カウンターロール(30)に接触するようにし、
かつ、ディスク(40)に対してパワーロール(20)の回転軸(22)を無段階的に傾斜させ得るようにしたことを特徴とする正逆回転可能な機械的無段変速機(100)。 The power roll (20) rotated by the rotating shaft (22) connected to the input shaft (11) side and the power roll (20) are rotated by contact and rotated to be output to the output shaft (12). A mechanical continuously variable transmission (100) comprising a plurality of connected counter rolls (30),
On the surface of each counter roll (30), a concave roll surface (31) that forms an arc when cut by a plane passing through the rotation center axis is formed, and the plurality of counter rolls (30) are connected to the output shaft (12). ) In a state where the disks (40) are connected to each other on the same circumference so as to be freely rotatable so that each arc of each concave roll surface (31) forms a substantially continuous salt,
A plurality of power rolls (20) having the same shape are prepared, and these power rolls (20) to (20) are simultaneously rotated in the same direction by the rotational force from the input shaft (11) side, A spherical roll surface (21) is formed on each surface of the power rolls (20) to (20), and the power roll (20) is attached to each counter roll (30) on the roll surface (21). Make contact,
A mechanical continuously variable transmission (100) capable of forward and reverse rotation characterized in that the rotating shaft (22) of the power roll (20) can be tilted steplessly with respect to the disk (40). .
The power roll (20) or each counter roll (30) can be moved to the side opposite to the pressing direction, and the power roll (20) or each counter roll (30) is moved to the side opposite to the pressing direction. Thus, a frictional contact caused by pressing between the power roll (20) and each counter roll (30) is released, and a clutch function for eliminating transmission of force between the two is provided. The mechanical continuously variable transmission (100) according to any one of claims 1 to 4.
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JP2011068161A (en) * | 2009-09-22 | 2011-04-07 | Honda Motor Co Ltd | Friction type drive device and inverted pendulum type moving body having the same |
-
2005
- 2005-05-19 JP JP2005146900A patent/JP2005233432A/en active Pending
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