JP2005231252A - 防食性金属材料及び金属の防食処理方法 - Google Patents

防食性金属材料及び金属の防食処理方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005231252A
JP2005231252A JP2004045024A JP2004045024A JP2005231252A JP 2005231252 A JP2005231252 A JP 2005231252A JP 2004045024 A JP2004045024 A JP 2004045024A JP 2004045024 A JP2004045024 A JP 2004045024A JP 2005231252 A JP2005231252 A JP 2005231252A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
metal material
metal
treatment method
resistance
anticorrosive
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004045024A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4475975B2 (ja
Inventor
Kyoichi Fujimoto
恭一 藤本
Kozo Hayashi
宏三 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
GRANDEX CO Ltd
Original Assignee
GRANDEX CO Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by GRANDEX CO Ltd filed Critical GRANDEX CO Ltd
Priority to JP2004045024A priority Critical patent/JP4475975B2/ja
Publication of JP2005231252A publication Critical patent/JP2005231252A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4475975B2 publication Critical patent/JP4475975B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

【課題】 防食性金属材料において、簡単な工程でより過酷な腐食条件下に曝される部材にも適用できる著しく高い耐食性及び耐摩耗性が得られること。
【解決手段】 5〜20μmの球状ジルコン粒子をショット粒子とし、ショット粒子の速度を100m/sec以上としてショットピーニング処理を行うとアルミ合金板表面から2μm〜5μmの深さまでが結晶粒100nm以下のナノ結晶となって、硬度及び耐食性が向上した。このアルミ合金板に、実際のアルミ合金パネルの塗装と同様のメタリック塗装(コロイダルシリカとポリイソシアネートの反応塗料)を施し、170℃で40分間加熱硬化させた。得られた試料について硬さ、付着性、耐水性、耐アルカリ変色性、耐酸変色性、耐水変色性、耐揮発油性、塩水噴霧試験、キャス試験、複合サイクル試験、促進耐候性、耐候性について試験を行ったところ全て基準を満たし、極めて優れた耐食性を有することが明らかになった。
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属表面をナノ結晶化させて防食性・表面硬度を上げた後さらに防錆処理を行う防食性金属材料及び金属の防食処理方法に関するものである。
近年、地球環境保護の観点からクロムフリーの考え方が広まり、毒性を有する6価クロムを含む材料に対して厳しい規制が課せられるようになってきた。このため、従来亜鉛メッキ鋼板、アルミニウム合金、マグネシウム合金等の一時防錆・塗装下地として広く用いられてきたクロメート処理に代わる無公害の表面処理技術が要求されている。
そこで、特許文献1においては、クロムフリーの表面処理方法として、ポリビニルアセタール類とアルキルシリケートまたはアリルシリケートとを酸水溶液触媒下で50℃以上に加熱することによって得られるシリカ複合体の5〜30重量%(固形分)溶液を金属表面に塗布する金属の防錆処理方法について開示している。かかるシリカ複合体溶液を溶融亜鉛メッキ鋼板、冷間圧延鋼板、アルミニウム板、アルミニウム合金板等に塗布して乾燥硬化させ、塩水噴霧試験(JIS−Z−2371)或いはキャス試験(JIS−H−8601)によって耐食性を検査したところ、いずれも一定の耐食性を示した。
特公昭54−37005号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術においては、塩水噴霧試験及びキャス試験のいずれについても著しく高い耐食性を示しているものではなく、台所用品、車両外装、土木・建築部材(屋外)、船舶用品等の過酷な腐食条件下に曝される部材については、未だ耐食性が不足している。また、陰極電解脱脂やアルカリ脱脂を行っているが、これらの表面処理は単にシリカ複合体の金属表面への付着性を高めるためのものであり、そのためだけに余分な工程を必要としている。さらに、表面硬度が不足しており、耐摩耗性に劣るという問題点があった。
そこで、本発明は、簡単な工程でより過酷な腐食条件下に曝される部材にも適用できる著しく高い耐食性及び耐摩耗性が得られる防食性金属材料及び金属の防食処理方法を提供することを課題とするものである。
請求項1の発明にかかる防食性金属材料は、ナノ結晶化させた金属材料の表面にインヒビターを含有しない防錆塗料を塗布したものである。
請求項2の発明にかかる金属の防食処理方法は、金属材料の表面をナノ結晶化させた後に前記表面にインヒビターを含有しない防錆塗料を塗布するものである。
請求項3の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法は、請求項1または請求項2の構成において、前記防錆塗料の塗布厚さは乾燥後で約40μm以下であるものである。
請求項4の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法は、請求項1乃至請求項3のいずれか1つの構成において、前記金属材料の表面はエア式ショットピーニング処理によってナノ結晶化させるものである。
請求項5の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法は、請求項4の構成において、前記エア式ショットピーニング処理には約40μm以下の粒子径を有する比重が3.0以上の粒子を用いて、噴き付け速度を約100m/sec以上としたものである。
請求項6の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法は、請求項4または請求項5の構成において、前記エア式ショットピーニング処理には約40μm以下の粒子径を有する球状ジルコン粒子を用いたものである。
請求項7の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法は、請求項1乃至請求項6のいずれか1つの構成において、前記防錆塗料はコロイダルシリカとポリイソシアネートの反応塗料であるものである。
請求項8の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法は、請求項7の構成において、前記コロイダルシリカとポリイソシアネートの反応塗料は、シラノール基を表面に有するコロイダルシリカと、前記コロイダルシリカの表面のシラノール基と相互に反応し結合して硬化皮膜を形成する低分子ポリイソシアネートと、これらの成分を分散または溶解する有機溶剤とからなり、前記低分子ポリイソシアネートのイソシアネート基が150℃以上で分離するブロック剤でブロックされているものである。
請求項9の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法は、請求項7または請求項8の構成において、前記コロイダルシリカのシリカゾルの粒子径が約10nm〜約20nmであり、固形分重量比でシリカゾル/ポリイソシアネートの比が1.6〜3.0であるものである。
請求項10の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法は、請求項1乃至請求項9のいずれか1つの構成において、前記金属材料はアルミニウムまたはアルミニウム合金であるものである。
請求項1の発明にかかる防食性金属材料は、ナノ結晶化させた金属材料の表面にインヒビターを含有しない防錆塗料を塗布したものである。ここで、「ナノ結晶」とは、結晶粒径がナノメートルサイズの多結晶体をいい、本明細書中においては主として金属材料の表面に存在する100nm以下の結晶粒の層を意味する。ナノ結晶化させた金属材料の表面は硬度が極めて高くなるとともに、耐食性も向上する。具体的な例として、スパッタ法で作製した粒径25nmのステンレス鋼においては孔食電位が1.15Vになり、通常の粒径(30μm)の0.3Vよりも0.85V高くなって耐食性が大きく向上することが報告されている(A.B.Inturi and Z.Szklarska-Smialowska : Corrosion,1992,398)。
そこで、ナノ結晶化させた金属材料の表面にさらに防錆塗料を塗布することによって、表面硬度が高くかつ極めて耐食性に優れた金属材料が得られる。かかる金属材料は、ナノ結晶化工程と防錆塗料の塗布工程・乾燥工程の僅か3工程で作製することができる。また、「インヒビター」とは、クロム(Cr),セリウム(Ce),亜鉛(Zn)等の環境に有害な物質をいい、かかる物質を含まないことは、クロメート処理を用いない立場から当然のことである。
このようにして、簡単な工程でより過酷な腐食条件下に曝される部材にも適用できる著しく高い耐食性及び耐摩耗性が得られる防食性金属材料となる。
請求項2の発明にかかる金属の防食処理方法は、金属材料の表面をナノ結晶化させた後にインヒビターを含有しない防錆塗料を塗布するものである。上述の如く、金属材料の表面をナノ結晶化させることによって表面硬度が高くなるとともに孔食電位が高くなり、耐食性が大きく向上するので、その上にさらに防錆塗料を塗布することによって、極めて耐食性に優れた金属材料が得られる。
このようにして、簡単な工程でより過酷な腐食条件下に曝される部材にも適用できる著しく高い耐食性及び耐摩耗性が得られる金属の防食処理方法となる。
請求項3の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法においては、金属材料の表面をナノ結晶化させた後の防錆塗料の塗布厚さを乾燥後で約40μm以下、好ましくは約10μm以下、さらに好ましくは約0.5μm〜約1.5μmの範囲内としている。防錆塗膜をこのような薄膜とすることによって、金属材料の加工(溶接、曲げ加工等)に支障が出ることがなく、加工性にも優れた防食性金属材料となる。
このようにして、金属材料の加工性を損なうことなく、簡単な工程でより過酷な腐食条件下に曝される部材にも適用できる著しく高い耐食性及び耐摩耗性が得られる防食性金属材料または金属の防食処理方法となる。
請求項4の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法は、金属材料の表面をエア式ショットピーニング処理によってナノ結晶化させるものである。エア式ショットピーニング処理は、エアブラスト装置を用いて行われるためエアブラスト処理とも呼ばれ、微細なショット粒を高圧ガス(空気)で加速して材料表面に噴き付ける表面処理方法である。エア式ショットピーニング処理自体は、酸化膜の除去等の目的で広く使われており、噴き付け速度等のパラメータが一定の条件を満たすと金属材料表面をナノ結晶化させることができる。このように、金属表面の塗装の前処理としても広く使われてきたエア式ショットピーニング処理によって金属材料の表面をナノ結晶化させることで、防錆塗料の付着性もより向上して強固な防錆塗膜となり、通常の塗装ラインをそのまま用いて金属の防食処理を行うことができる。
このようにして、通常の塗装ラインをそのまま用いてより過酷な腐食条件下に曝される部材にも適用できる著しく高い耐食性及び耐摩耗性が得られる防食性金属材料または金属の防食処理方法となる。
請求項5の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法は、エア式ショットピーニング処理には約40μm以下の粒子径を有する比重が3.0以上の粒子を用いて、噴き付け速度を約100m/sec以上としたものである。発明者らは、鋭意研究の結果、かかる条件においてエア式ショットピーニング処理を行うことによって、金属材料表面に100nm以下の結晶粒を有するナノ結晶の層(厚さ約2μm〜約10μm)が形成されることを見出し、この知見に基いて本発明を完成したものである。
このようにして、確実に金属表面をナノ結晶化させることができ、簡単な工程でより過酷な腐食条件下に曝される部材にも適用できる著しく高い耐食性及び耐摩耗性が得られる防食性金属材料または金属の防食処理方法となる。
請求項6の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法は、エア式ショットピーニング処理には約40μm以下の粒子径を有する球状ジルコン(ZrSiO4 )粒子を用いたものである。ジルコン粒子は球状であるため金属表面に付着せず、したがって処理後の表面清掃も不要であり、直ちに防錆塗料の塗装工程に移行することができる。
このようにして、確実に金属表面をナノ結晶化させることができ、直ちに防錆塗料の塗装による防錆塗膜を形成でき、簡単な工程でより過酷な腐食条件下に曝される部材にも適用できる著しく高い耐食性及び耐摩耗性が得られる防食性金属材料または金属の防食処理方法となる。
請求項7の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法においては、防錆塗料はコロイダルシリカとポリイソシアネートの反応塗料である。これによって、イソシアネートにより、ナノ結晶化された金属表面とシリカ表面を反応結合させることで高い密着性を得ることができ、耐食性に優れた金属表面を得ることができる。また、シリカの微粒子がポリイソシアネートによって架橋結合された形態の強固な複合皮膜が形成される。
このようにして、簡単な工程でシリカ粒子が緻密に積層した密着性・強度・硬度の高い塗膜が形成され、より過酷な腐食条件下に曝される部材にも適用できる著しく高い耐食性及び耐摩耗性が得られる防食性金属材料または金属の防食処理方法となる。
請求項8の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法は、コロイダルシリカとポリイソシアネートの反応塗料が、シラノール基を表面に有するコロイダルシリカと、コロイダルシリカの表面のシラノール基と相互に反応し結合して硬化皮膜を形成する低分子ポリイソシアネートと、これらの成分を分散または溶解する有機溶剤とからなり、低分子ポリイソシアネートのイソシアネート基が150℃以上で分離するブロック剤でブロックされている。
かかる塗料をナノ結晶化された金属表面の塗装に用いるのは、コロイダルシリカの表面のシラノール基(水酸基−OH)とポリイソシアネートのイソシアネート基(−NCO)とが相互に反応してウレタン結合(−NHCOO−)により結合され、シリカの微粒子がポリイソシアネートによって架橋結合された形態の強固な複合皮膜が形成されるからである。ナノ結晶化された金属表面との反応は、ブロック剤は150℃以上でイソシアネート基から分離するが(例えば、ε−カプロラクタムをブロック剤とした場合は140〜160℃)、コロイダルシリカの最初の熱減量点が150℃であるため、150℃以上でブロック剤を分離させると、シリカ粒子の高い凝集力と同時にイソシアネート基との反応が得られ、シリカの高密度積層皮膜を形成させることができる。
ナノ結晶化された金属表面に最初に吸着された水分や油分は100℃以上から脱離し始めポリイソシアネートと置換する。コロイダルシリカとポリイソシアネートの反応皮膜はシリカ粒子の積層した密度の高い層が得られるために、皮膜の欠陥のない塗装膜が形成される。
このようにして、簡単な工程でシリカ粒子が緻密に積層した密着性・強度・硬度の高い塗膜が形成され、より過酷な腐食条件下に曝される部材にも適用できる著しく高い耐食性及び耐摩耗性が得られる防食性金属材料または金属の防食処理方法となる。
請求項9の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法は、コロイダルシリカとポリイソシアネートの反応塗料において、コロイダルシリカのシリカゾルの粒子径が約10nm〜約20nmであり、固形分重量比でシリカゾル/ポリイソシアネートの比が1.6〜3.0であるものである。
コロイダルシリカのシリカゾルの粒子径が約10nm〜約20nmと微細であることによって、電気二重層が形成され、水中で安定分散する。本発明にかかる反応塗料は有機溶剤分散型であるために、例えば溶剤がキシロール(キシレン)の場合はn−ブタノールを添加して安定分散させている。そして、固形分重量比でシリカゾル/ポリイソシアネートの比が1.6〜3.0であるときに、非常に高い密度のシリカ粒子の皮膜が形成される。ポリイソシアネートがこれより多い場合はシリカ同士の密度が低下して皮膜の強度と硬度が低下し、これより少ない場合はシリカ同士の結合力が低下して皮膜の曲げ強度が低下する。
このようにして、簡単な工程でシリカ粒子が緻密に積層した密着性・強度・硬度の高い塗膜が形成され、より過酷な腐食条件下に曝される部材にも適用できる著しく高い耐食性及び耐摩耗性が得られる防食性金属材料または金属の防食処理方法となる。
請求項10の発明にかかる防食性金属材料または金属の防食処理方法は、金属材料がアルミニウムまたはアルミニウム合金であるものである。アルミニウムまたはその合金は軟らかく加工性に優れかつ軽量であるため、構造部品の軽量化のために鉄鋼材料の代替品として種々の分野で応用が検討されているが、表面硬度と耐食性の不足が問題となる。そこで、本発明にかかる表面のナノ結晶化と防錆塗料の塗布で表面硬度と耐食性を大幅に向上させることによって、種々の分野における構造部品等として実用化が可能となる。
このようにして、簡単な工程でシリカ粒子が緻密に積層した密着性・強度・硬度の高い塗膜が形成され、より過酷な腐食条件下に曝される部材にも適用できる著しく高い耐食性及び耐摩耗性が得られる防食性アルミニウム材料またはアルミニウム材料の防食処理方法となる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本実施の形態においては、本発明にかかる金属の防食処理方法をアルミニウム合金パネルに応用する場合を想定して、防食化の対象となる金属としてアルミニウム合金(以下、「アルミ合金」と略する。)を選んだ。アルミ合金表面のナノ結晶化方法としてはエア式ショットピーニングによるものとし、ショット粒子としては、実施例1としてアルミナ(Al23)粒子、実施例2として球状ジルコン(ZrSiO4 )粒子(ジルコンビーズ)を用いた。
供試体としては150mm×70mm×6.5mmのアルミ合金板を用いて、このアルミ合金板の表面に対して、平均粒径40μmのアルミナ(Al23 ,比重4.0)粒子をショット粒子としてエアブラスト装置を用いてノズル径10mmφ、エア圧力6kg/cm2 の条件下で20秒間ショットピーニング処理を行った。この条件下では、ショット粒子の速度は100m/sec以上となり、アルミ合金板表面から2μm〜5μmの深さまでが結晶粒100nm以下のナノ結晶となる。処理後のアルミ合金板の表面硬度は2GPa以上となり、孔食電位は標準電位の2倍以上となって、硬度及び耐食性が向上した。
このアルミ合金板に、実際のアルミ合金パネルの塗装と同様の塗装を施した。塗装条件を表1に示す。
Figure 2005231252
表1に示す塗装条件で、コロイダルシリカとポリイソシアネートの反応塗料を塗装した。粒子径5nm〜20nmの溶媒に安定に分散したシリカ粒子と、HDI系のポリイソシアネートを反応させると強度に優れた皮膜を得ることができ、特にイソシアネート基をカプロラクタム等でブロックさせて塗装後に加熱硬化させると高密度な皮膜を形成することができる。このとき、コロイダルシリカの熱減量点である150℃以上でブロックを解離させると、シリカ粒子の高い凝集力と同時にイソシアネート基との反応が得られ、シリカの高密度積層皮膜とすることができる。
本実施の形態においては40μmの厚さの皮膜を形成するが、工程によっては1μm以下の厚さの皮膜を形成する場合がある。コロイダルシリカとイソシアネートを用いて1μm以下の厚さの皮膜を形成すると、コロイダルシリカの凝集による皮膜の構造欠陥が生じる可能性がある。皮膜の構造欠陥を防止するためには、コロイダルシリカ粒子とポリイソシアネートが溶媒中で或いは塗布後の皮膜で完全に溶解しており、塗装乾燥時の溶媒揮発に伴ってコロイダルシリカの凝集が起こらないことが重要である。そのためには、2成分の混合と事前の反応は溶液に高い剪断を与えながら行わなければならない。このための装置としては、フィルミックス、ナノマイザー等がある。
本実施の形態においては、フィルミックスを用いて、溶液に高い剪断を与えながらコロイダルシリカとポリイソシアネートの混合及び事前の反応を行わせた。容器の内壁を旋回する液体の持つ遠心力は、次式(1)で与えられる。
v=26.27√p ………(1)
ここで、v:旋回する液体の流速(m/sec)、p:遠心力により内壁に押し付けられる圧力(kgf/cm2 G)、である。従来の高速ミキサーのキャビテーション限界は25m/secであるが、フィルミックスでは液体の流速v=40m/sec〜100m/secで使用できるために高い剪断下での混合反応が可能である。
そこで、シリカ粒子径が10nm〜20nmのコロイダルシリカとHDI系ポリイソシアネート(ε−カプロラクタムブロックタイプ)を、固形分重量比でシリカゾル/ポリイソシアネートの比を1.6〜3.0として、有機溶媒としての乾燥キシロール(キシレン)とともにフィルミックス装置中に入れて、流速v=40m/secで溶液に高い剪断を与えながら混合反応させた。こうして得られた反応塗料を上記ショットピーニング処理後、付着したアルミナ粒子を不活性ガスである窒素ガスを吹付けて除去した後、直ちに処理表面にエアスプレー塗装した。ショットピーニング処理によって露出されたアルミ合金の活性表面は反応性が高いので、空気によって酸化される前に極力早く塗装する必要がある。
そして、塗膜を170℃で40分間加熱して乾燥・加熱硬化させる。これによって、コロイダルシリカの表面のシラノール基(水酸基−OH)とポリイソシアネートのイソシアネート基(−NCO)とが相互に反応してウレタン結合(−NHCOO−)により結合され、シリカの微粒子がポリイソシアネートによって架橋結合された形態の強固な複合皮膜が形成される。アルミニウム表面との反応は、ブロック剤としてのε−カプロラクタムは約140℃以上でイソシアネート基からの分離を開始し、約160℃で勢い良く分離するが、コロイダルシリカの最初の熱減量点が150℃であるため、150℃以上でブロック剤を分離させると、シリカ粒子の高い凝集力と同時にイソシアネート基との反応が得られ、シリカの高密度積層皮膜を形成させることができる。
アルミニウム表面に最初に吸着された水分や油分は100℃以上から脱離し始めポリイソシアネートと置換する。加熱によってアルミニウム表面の吸着物質を除去してイソシアネート基が反応するのはアルミニウム表面の水酸基であると思われる。したがって、イソシアネート基と水酸基による強固なウレタン結合が得られることとなる。コロイダルシリカとポリイソシアネートの反応皮膜はシリカ粒子の積層した密度の高い層が得られるために、皮膜の欠陥のない塗装膜が形成される。
このようにして得られた試料について、一連の耐食性試験を行った。結果を表2にまとめて示す。
Figure 2005231252
表2に示されるように、硬さ、付着性、耐水性、耐アルカリ変色性、耐酸変色性、耐水変色性、耐揮発油性、塩水噴霧試験、キャス試験、複合サイクル試験、促進耐候性、耐候性の全ての項目で判定基準を上回っており、極めて優れた耐食性を有することが明らかになった。
供試体としては、実施例1と同様に150mm×70mm×6.5mmのアルミ合金板を用いて、このアルミ合金板の表面に対して、球状ジルコン粒子(ジルコンビーズ)をショット粒子としてショットピーニング処理を行った。ジルコンビーズは2500℃以上の電気溶解プロセスによって作製され、シリカ相に囲まれた結晶ジルコニア粒子は高強度で平滑な表面を有する。比重は3.8、モース硬度は7、破砕強度は径2mmのビーズで700Nであり、摩耗し難く分離も容易である。
このような特性を有する球状ジルコン粒子を5〜20μmの範囲内の粒子径を有するものに分級してショット粒子とし、エアブラスト装置を用いてノズル径10mmφ、エア圧力6kg/cm2 の条件下で20秒間ショットピーニング処理を行った。この条件下では、ショット粒子の速度は100m/sec以上となり、アルミ合金板表面から2μm〜5μmの深さまでが結晶粒100nm以下のナノ結晶となる。処理後のアルミ合金板の表面硬度は2GPa以上となり、孔食電位は標準電位の2倍以上となって、硬度及び耐食性が向上した。
このアルミ合金板に、実際のアルミ合金パネルの塗装と同様の塗装を施した。塗装条件は実施例1と同様で、上記表1に示される通りである。得られた試料について、実施例1と同じく硬さ、付着性、耐水性、耐アルカリ変色性、耐酸変色性、耐水変色性、耐揮発油性、塩水噴霧試験、キャス試験、複合サイクル試験、促進耐候性、耐候性について試験を行ったところ、実施例1と同等以上の試験結果が得られ、極めて優れた耐食性を有することが明らかになった。
このようにして、本実施の形態にかかる防食性金属材料及び金属の防食処理方法においては、簡単な工程でより過酷な腐食条件下に曝される部材にも適用できる著しく高い耐食性及び耐摩耗性が得られる。
本実施の形態においては、アルミ合金を対象にして防食処理を行って防食性アルミ合金材料を得た例について説明したが、他の金属についても本発明の金属の防食処理方法によって、防食性金属材料を得ることができる。
また、本実施の形態においては、エア式ショットピーニングによってアルミ合金表面をナノ結晶化させているが、その他の方法でナノ結晶化させても良い。
さらに、本実施の形態においては、防錆塗料としてコロイダルシリカとポリイソシアネートの反応塗料を用いたが、インヒビターを含有せず、密着性の良い緻密な防錆皮膜が得られる防錆塗料であれば、その他の防錆塗料を用いても良い。
本発明を実施するに際しては、防食性金属材料のその他の部分の構成、形状、数量、材質、大きさ、接続関係等についても、また金属の防食処理方法のその他の工程についても、本実施の形態に限定されるものではない。

Claims (10)

  1. ナノ結晶化させた金属材料の表面に、インヒビターを含有しない防錆塗料を塗布してなることを特徴とする防食性金属材料。
  2. 金属材料の表面をナノ結晶化させた後に、前記表面にインヒビターを含有しない防錆塗料を塗布することを特徴とする金属の防食処理方法。
  3. 前記防錆塗料の塗布厚さは、乾燥後で約40μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の防食性金属材料または請求項2に記載の金属の防食処理方法。
  4. 前記金属材料の表面は、エア式ショットピーニング処理によってナノ結晶化させることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載の防食性金属材料または金属の防食処理方法。
  5. 前記エア式ショットピーニング処理には、約40μm以下の粒子径を有する比重が3.0以上の粒子を用いて、噴き付け速度を約100m/sec以上としたことを特徴とする請求項4に記載の防食性金属材料または金属の防食処理方法。
  6. 前記エア式ショットピーニング処理には、約40μm以下の粒子径を有する球状ジルコン粒子を用いたことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の防食性金属材料または金属の防食処理方法。
  7. 前記防錆塗料は、コロイダルシリカとポリイソシアネートの反応塗料であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載の防食性金属材料または金属の防食処理方法。
  8. 前記コロイダルシリカとポリイソシアネートの反応塗料は、シラノール基を表面に有するコロイダルシリカと、前記コロイダルシリカの表面のシラノール基と相互に反応し結合して硬化皮膜を形成する低分子ポリイソシアネートと、これらの成分を分散または溶解する有機溶剤とからなり、前記低分子ポリイソシアネートのイソシアネート基が150℃以上で分離するブロック剤でブロックされていることを特徴とする請求項7に記載の防食性金属材料または金属の防食処理方法。
  9. 前記コロイダルシリカのシリカゾルの粒子径が約10nm〜約20nmであり、固形分重量比でシリカゾル/ポリイソシアネートの比が1.6〜3.0であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の防食性金属材料または金属の防食処理方法。
  10. 前記金属材料はアルミニウムまたはアルミニウム合金であることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1つに記載の防食性金属材料または金属の防食処理方法。
JP2004045024A 2004-02-20 2004-02-20 防食性金属材料及び金属の防食処理方法 Expired - Lifetime JP4475975B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004045024A JP4475975B2 (ja) 2004-02-20 2004-02-20 防食性金属材料及び金属の防食処理方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004045024A JP4475975B2 (ja) 2004-02-20 2004-02-20 防食性金属材料及び金属の防食処理方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005231252A true JP2005231252A (ja) 2005-09-02
JP4475975B2 JP4475975B2 (ja) 2010-06-09

Family

ID=35014678

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004045024A Expired - Lifetime JP4475975B2 (ja) 2004-02-20 2004-02-20 防食性金属材料及び金属の防食処理方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4475975B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011052322A (ja) * 2009-08-05 2011-03-17 Kanagawa Prefecture 表面改質アルミニウム系金属部材

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011052322A (ja) * 2009-08-05 2011-03-17 Kanagawa Prefecture 表面改質アルミニウム系金属部材

Also Published As

Publication number Publication date
JP4475975B2 (ja) 2010-06-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI236968B (en) Plated steel material, plated steel sheet and coated steel sheet excellent in corrosion resistance, and a method of producing the same
EP1021488B1 (en) Water based primer compositions
US7993438B2 (en) High temperature resistant coating compositions
KR100910983B1 (ko) 철재 및 강구조물의 친환경 방식도장 공법
CN101925659A (zh) 防锈涂料组合物及具有使用该组合物的防锈涂膜的部件的制造方法
JP2007515550A (ja) マグネシウム豊富被覆剤および被覆系
US7312255B2 (en) Water-based coating mixture, method for application of corrosion protection layer with said mixture, substrates coated thus and use thereof
JP5698122B2 (ja) 導電性金属塗料及び導電性金属塗料による防食方法並びに防食補修方法
JP4416167B2 (ja) 防食被覆鋼材用化成下地処理剤、防食被覆鋼材用化成下地処理方法及び防食被覆鋼材
WO2022028411A1 (en) Chromium-free anticorrosive coating composition and article made therefrom
KR102298842B1 (ko) 유성 도막과 친화력이 우수한 수용성 도장재를 이용한 도장 공법 및 이로부터 제조된 친환경 중방식 도막
CN107523209B (zh) 一种水性非晶合金防腐漆及其制备方法
JP4475975B2 (ja) 防食性金属材料及び金属の防食処理方法
JP2022511032A (ja) 粒子およびドーパントでコブラストされた付着ドーパントを有するコーティングされた基材
CN114481012A (zh) 一种钢铁构件用多元素合金共渗剂及其防腐工艺
JP5640960B2 (ja) 重防食被覆鋼管
KR101963448B1 (ko) 크롬­프리 아연­알루미늄 복합 무기질 코팅제,그 제조 방법 및 코팅 방법
JP2022511031A (ja) 処理された粒子および基材
JP2006213991A (ja) アルミニウム材料の鍛造防食処理方法及び鍛造防食アルミニウム材料
CN116355489B (zh) 无铬防腐涂料组合物以及由其制成的制品
WO2022232815A1 (en) Methods of making inorganic coating layers and substrates having same coating layers
CN111621211B (zh) 防蚀涂料组合物
JP2002225185A (ja) 塗覆装鋼材
JPS5838378B2 (ja) 鋼構造物用ポリマ−セメント混和組成物
CN110408286A (zh) 一种非晶合金及其水性工业防腐涂料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070501

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090520

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090602

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090713

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091020

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20100302

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20100309

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4475975

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130319

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130319

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150319

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term