JP2005229387A - 光伝送装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】光信号を一意に識別できるようにし、これにより装置内部におけるパスの接続経路を確実に監視できるようにした光伝送装置を低コストで提供すること。
【解決手段】例えば矩形波や正弦波のような周波数繰り返し列やID情報などの特定の変調パターンに基づいて、光信号の入方路に設けられる光ファイバ増幅器202により各チャネルの光信号に強度変調を施す。そして、モニタ回路204において上記強度変調成分を抽出し、モニタ側チャネル選択スイッチ209で所望の光信号の強度変調信号だけを選択して周波数識別回路210にて変調成分を識別する。さらに、モニタ側チャネル選択スイッチ209により対象とするチャネルを順次切り換えることで、周波数発振源207と周波数識別回路210とを全てのチャネルで共用するようにする。
【選択図】 図4
【解決手段】例えば矩形波や正弦波のような周波数繰り返し列やID情報などの特定の変調パターンに基づいて、光信号の入方路に設けられる光ファイバ増幅器202により各チャネルの光信号に強度変調を施す。そして、モニタ回路204において上記強度変調成分を抽出し、モニタ側チャネル選択スイッチ209で所望の光信号の強度変調信号だけを選択して周波数識別回路210にて変調成分を識別する。さらに、モニタ側チャネル選択スイッチ209により対象とするチャネルを順次切り換えることで、周波数発振源207と周波数識別回路210とを全てのチャネルで共用するようにする。
【選択図】 図4
Description
本発明は、波長多重伝送システムなどに用いられ、装置内部で光信号がトランスペアレントに伝達される光伝送装置に関する。
インターネットの爆発的な普及に代表されるように、昨今の通信需要の増大は著しい。これを受けて光基幹通信網においても、DWDM(Dense Wavelength Division Multiplex)技術などを用いて網の太束化が推し進められている。このような状況にあって、光伝送装置のボトルネック化が顕著になってきている。既存の光伝送装置は自装置内で光信号を電気信号に変換し、電気信号でルーティング処理を行うからである。
このような背景から、装置内部で光-電気-光変換(O-E-O変換)を行わず、光信号のままノード処理を実施する全光伝送装置が開発され、実用に供されようとしている。全光伝送装置は装置内部でO-E-O変換を実施しないことから、プロトコルフリーかつビットレートフリーな光ネットワークを構築できると期待されている。この種の装置には、OADM(Optical Add Drop Multiplexer)装置や光クロスコネクト(Optical Cross Connect)装置などがある。
ところで、この種の装置は、光信号の経路を切り替えるための光スイッチや、光信号を増幅する光増幅器などの、種々の光学ユニットを備える。これらのユニットを健全な状態に保つためには、何らかの故障や、あるいは人為的に発生し得るミスコネクトなどが生じた場合にこれを確実に検知する必要がある。
装置内ユニットの不具合を検出するためには、装置内の各光信号をそれぞれ一意に認識し、どの光信号がどの部分を流れているかを追跡することが必要である。しかしながら、全光伝送装置は光信号を電気信号に変換しないことから、伝送信号の時分割多重したオーバヘッド情報などを手掛かりとして個々の光信号を区別することができない。既存の装置では各ユニットの入力部において光信号の入力パワーを監視することにより光信号の導通状態を確認できるようになっているが、個々の光信号の流れる経路を追跡できるまでには至っていない。
光信号を一意に識別するためには、個々の光信号の波長をモニタする方法が考えられる。しかしながら波長変換機能を備える装置では、装置内部において全ての光信号が同じ波長で伝達されることも有る。このような場合には波長によって光信号を区別することができない。
なお、関連する技術が下記特許文献1〜3に開示される。特許文献1には、装置内で設定した光信号の経路を、サービス信号に影響を及ぼすことなく監視することが可能な光クロスコネクト装置が開示される。特許文献2には、パイロット信号のレベル検出を用いた光空間スイッチの接続監視機能と、光パス個別の監視情報の伝送を同時に実現できるようにした光パス監視装置が開示される。特許文献3には、主信号光が伝送される光伝送路と同一光伝送路で監視情報を転送でき、また、光中継器を多段に接続する場合にも各光中継器の監視情報を同一光伝送路で伝送することができる光中継器の監視信号転送装置が開示される。
特開2000−358261号公報(段落番号[0037]〜[0046]、図1)
特開平10−336108号公報(段落番号[0020]〜[0034]、図1)
特開平3−214936号公報(第7図など)
以上述べたように全光伝送装置においては、光信号が装置内部でトランスペアレントに伝達されるため、何らかの手法により光信号を一意に識別できるようにしなければ、装置内部におけるパスの接続経路を確実に監視することができない。従来の光入力パワーを監視する手法や、光信号の波長をモニタするといった手法によっては光信号を確実に識別できるとは言い難い。よって既存の光伝送装置はパスの接続経路を確実に監視することが困難であり、このため装置内の光学ユニットの健全性をモニタすることが難しいといった不具合を有する。
本発明は上記事情によりなされたもので、その目的は、光信号を一意に識別できるようにし、これにより装置内部におけるパスの接続経路を確実に監視できるようにした光伝送装置を低コストで提供することにある。
上記目的を達成するために、本願発明の一態様によれば、与えられるルーティング情報に基づいて複数のチャネルの光信号をトランスペアレントにルーティングする光学部品(例えば光学部品203)と、特定の信号波形を生成する波形生成手段(例えば周波数発振源207)と、前記複数のチャネルごとに設けられ、前記複数チャネルの光信号を前記信号波形に基づいて前記光学部品への入力前にそれぞれ強度変調する複数の強度変調手段(例えば光ファイバ増幅器202)と、前記複数のチャネルごとに設けられ、前記光学部品を通過後の光信号から前記信号波形を抽出する複数の抽出手段(例えばモニタ回路204)と、前記ルーティング情報に基づいて、同じチャネルに対応する強度変調手段と抽出手段とを各チャネルごとに順次時分割的に駆動するシーケンス制御手段(例えば変調側チャネル選択スイッチ208、モニタ側チャネル選択スイッチ209およびシーケンス制御回路211)と、このシーケンス制御手段により駆動される抽出手段において抽出される信号波形から前記光信号のチャネルごとの接続経路を監視する監視手段(例えば周波数識別回路210)とを具備することを特徴とする光伝送装置が提供される。
このような手段を講じることにより、各チャネルの光信号は、特定の信号波形に基づいて強度変調される。この信号波形が抽出手段により正常に抽出されたことを識別することにより、光信号のチャネルごとの接続経路を監視することができる。すなわち、光学部品の入方路および出方路において、光信号への強度変調の有無がルーティング情報に対応するか否かを識別することにより、光信号のチャネルごとの接続経路を監視することができる。またシーケンス制御手段により、接続経路の監視は各チャネルごとに時分割的に順次実施される。これにより波形生成手段と監視手段とをチャネル間で共用することが可能となり、従って低コスト化および構成の簡易化を促すことが可能になる。
本発明によれば、光信号を一意に識別することができ、これにより装置内部におけるパスの接続経路を確実に監視できるようにした光伝送装置を低コストで提供することが可能となる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、波長多重光伝送システムに使用される全光伝送装置の構成を示すブロック図である。図1において光ファイバWLを介して到達した波長多重光は、光一括増幅器107により所定レベルに増幅されて光分波器101に入力され、個々の波長を有する光信号に分波される。各光信号はそれぞれ光増幅器105を介して光アドドロップ用光スイッチ102に導入され、その一部が光クロスコネクト用光スイッチ103に向け出力される。
図1は、波長多重光伝送システムに使用される全光伝送装置の構成を示すブロック図である。図1において光ファイバWLを介して到達した波長多重光は、光一括増幅器107により所定レベルに増幅されて光分波器101に入力され、個々の波長を有する光信号に分波される。各光信号はそれぞれ光増幅器105を介して光アドドロップ用光スイッチ102に導入され、その一部が光クロスコネクト用光スイッチ103に向け出力される。
光クロスコネクト用光スイッチ103は、光アドドロップ用光スイッチ102においてドロップされた光信号を、必要に応じて経路変更したのち低次群側(Tributary)に出力する。これらの光信号は、光増幅器106を介して図示しない交換機などの低次群装置に伝送される。
また低次群側から、光増幅器105および光クロスコネクト用光スイッチ103を介して、任意の光信号が光アドドロップ用光スイッチ102に導入される。これらの光信号は、光アドドロップ用光スイッチ102においてドロップされなかった光信号とともに経路変更され、光増幅器106を介して光合波器104に出力される。光合波器104は、入力された複数の光信号を波長多重し、光一括増幅器107を介して光ファイバELに送出する。
図1に示される光伝送装置においては、光信号が装置内部をトランスペアレントに伝達される。よって、隣接する他の光伝送装置や光中継器との間の光伝送路、あるいは光分波器101などで生じる光損失を補償するために、装置への光信号の入口に光増幅器105が設けられる。また、装置内部の光部品(例えば光アドドロップ用光スイッチ102など)において生じる光損失を補償するために、装置からの信号の出口にも光増幅器106が設けられる。
図2は、図1に示される光伝送装置において障害が発生した状態の一例を示す図である。図中、発生した障害を(×印)で示す。図2において、光信号108に何らかの障害が発生して光信号パワーが著しく低下したとする。そうすると、まず光アドドロップ用光スイッチ102が入力断を検出し、次に光クロスコネクト用光スイッチ103が入力断を検出し、最後に、光増幅器106の後段に接続される光受信機110が入力断を検出することで、光信号108の障害が検出される。
また、光アドドロップ用光スイッチ102に何らかの障害が発生し、光アドドロップ用光スイッチ102の出力ポートから光信号が出力されなくなると、光クロスコネクト用光スイッチ103、および光受信機110が入力断を検出する。これにより光アドドロップ用光スイッチ102の故障が検出される。
なお、障害の影響を受けていない光信号109は、光アドドロップ用光スイッチ102、および光クロスコネクト用光スイッチ103を経由してTributary側の光受信機111に接続される。
図3は、図2と異なる形態の障害が発生した状態を示す図である。図3においては、光アドドロップ用光スイッチ102にミスコネクトが発生し、本来であれば光信号108が出力されるべき出力ポートP1に光信号109が接続されたとする。このような場合、各ユニット入力部で光信号の入力パワーを監視する従来の手法では、光クロスコネクト用光スイッチ103、および光受信機110はいずれも光信号108の入力断を検出することができない。また光受信機110に光信号109が出力されることから、光受信機110は信号断を検出できず、従って光アドドロップ用光スイッチ102でのミスコネクトを検出することができないことになる。以下に、上記のような不具合を解消することの可能な、本発明の実施の形態を説明する。
図4は、本発明に係わる光伝送装置の主要部構成を示すブロック図である。図4において、光ファイバWLを介して到来した光信号は光分波器201で分波され、光ファイバ増幅器202で増幅されたのち光スイッチなどの光学部品203に入力される。
各光ファイバ増幅器202には、周波数(ID:identification)発振源207で発生される各チャネル光ごとの固有の変調周波数fが、変調側チャネル選択スイッチ208を介して与えられる。各光ファイバ増幅器202は、与えられる変調周波数fに応じてチャネル光を強度変調し、これにより各チャネル光には、識別可能な固有の変調特性が付加される。
変調側チャネル選択スイッチ208は、ルーティング情報に基づくシーケンス制御回路211の制御により動作し、ルーティング情報に則した変調周波数fを光ファイバ増幅器202に切り替え出力する。これにより各チャネル光に付すべき識別特性が、光学部品203のルーティング設定に応じて切り替えられる。
シーケンス制御回路211は、所望のチャネル情報と、そのチャネルの光信号が光学部品203をどのように経由して出力されているかを示すスイッチング情報(すなわちルーティング情報)を基に変調側チャネル選択スイッチ208とモニタ側チャネル選択スイッチ209とを制御し、所望の光信号のみを出力させる。
光学部品203における入方路および出方路には、各チャネル光ごとにモニタ回路204が設けられる。モニタ回路204は各チャネル光に付与された変調周波数を読み取り、その結果をモニタ側チャネル選択スイッチ209に与える。モニタ側チャネル選択スイッチ209は、シーケンス制御回路211から与えられる制御信号に応じて切替動作し、ルーティング情報に応じた入出力経路の組み合わせで、各モニタ回路204の出力を周波数識別回路210に与える。
周波数識別回路210は、モニタ回路204で取得された変調周波数fを識別する。光学部品203から出力される波長光は、装置内誤接続の有無に拘わらず光ファイバ増幅器205に入射される。光ファイバ増幅器205はALC(Automatic Level Control:自動レベル一定制御)駆動され、光学部品203から出力された各チャネル光をレベル補償するとともにその強度変調成分を除去する。その後各チャネル光は光合波器206に入射され、波長多重されて光ファイバELに送出される。
変調側チャネル選択スイッチ208は、シーケンス制御回路211の制御の基づいて出力チャネルを選択する。選択された光ファイバ増幅器202には、周波数fの変調信号が出力される。選択された光ファイバ増幅器202は、この周波数fに基づいて光信号に強度変調を与える。なおこの時、その他の光信号チャネルに関しては出力一定モード(通常運用モード)で光ファイバ増幅器202が駆動され、出力も一定となる。
モニタ回路204は光信号の一部を分岐し、分岐光をフォトダイオード(図示せず)に照射して光電変換する。フォトダイオードの出力信号は、モニタ側チャネル選択スイッチ209に出力される。モニタ側チャネル選択スイッチ209は、シーケンス制御回路211の制御により所望の光信号の出力チャネルのみを選択し、周波数識別回路210に出力する。周波数識別回路210は所望のチャネルの周波数を識別する。これにより、所望のチャネルの接続性を監視することが可能となる。
上記構成において光ファイバ増幅器202および光ファイバ増幅器205を設けることは、装置内部の光損失などを補償するために、特に全光伝送装置においては既知の構成である。本発明において特徴的である点は、光ファイバ増幅器202および光ファイバ増幅器205の、その使用法にある。
すなわち既存の手法では、両増幅器は光信号の強度レベルを一定に保つために使用されることが多い。特に、装置入口に設けられる光ファイバ増幅器202は、信号伝送路(光ファイバなど)の状況によりダイナミックに変動する入力光信号のレベルを補償するためにALC駆動される。同様に、装置出口に設けられる光ファイバ増幅器205は、光部品による損失を補償したり、光信号のパス切替によって損失がダイナミックに変動しても出力レベルを一定に保つためにALC駆動される。
これに対し本実施形態においては、光学部品203の入力側に設けられる光ファイバ増幅器202の増幅率を時間的に変化させ、光信号に強度変調を与えるための手段として使用する。また、光学部品203の出力側に設けられる光ファイバ増幅器205を、光損失を補償する手段として、および強度変調成分を取り除く手段として使用する。そして、各モニタ回路204においては、光信号に含まれる強度変調成分を抽出することにより、個々の光信号を一意に識別し、その結果をもとにパスの接続状態を監視するようにする。このような構成により、光伝送装置内において光信号のパス接続を、光信号の伝送品質に影響を与えることなく監視することが可能になる。
図5は、図4に示される光ファイバ増幅器202の構成を示すブロック図である。本実施形態において、光ファイバ増幅器202は光信号に強度変調を与えるための手段として用いられる。
図5において、図4の光ファイバWLおよび光分波器201から入力端子601を介して入力される光信号は、励起用LD(レーザダイオード)603で発生された励起光とともに光合波器602で合波され、希土類元素ドープ光ファイバ604に入射される。そうして、希土類元素ドープ光ファイバ604のポンプ作用により光信号は増幅される。
増幅された光信号は、レベル低下を無視できる程度に光分岐器605で分岐されたのち、出力端子606から出力される。分岐して取り出された光信号はフォトダイオード607で受光され、モニタ回路608で光電変換される。そして、モニタ電圧609が半導体レーザ駆動回路610に入力される。半導体レーザ駆動回路610は、モニタ電圧609と出力設定電圧611とを比較し、モニタ電圧609が出力設定電圧611に一致するように励起用LD603の駆動電流を制御する。
出力設定電圧611は、制御部612から半導体レーザ駆動回路610に与えられる。制御部612には、通常運用時出力設定電圧613、強度変調時出力設定電圧614、および外部信号(周波数f)617が与えられており、制御部612はこれらのうちいずれかを、選択的に半導体レーザ駆動回路610に与える。
通常運用時出力設定電圧613は、一定値の電圧である。強度変調時出力設定電圧614は、通常運用時出力設定電圧613と、外部信号(周波数f)617からの信号をもとに、強度変調出力電圧生成回路615において生成される。本実施形態においては、外部信号(周波数f)617は、周波数(ID)発振源207により生成された信号である。また、本実施形態においては、外部信号(周波数f)617からの入力変調信号の変調周波数を、希土類元素ドープ光ファイバ604の反転分布の応答周波数よりも低い周波数とすることに注意を要する。
図6は、強度変調出力電圧生成回路615において生成される強度変調時出力設定電圧614の例を示す図である。外部信号(周波数f)617は、図6(a)〜(c)に示されるように、それぞれ矩形波、正弦波、または三角波などの繰り返し波形列であり、強度変調出力電圧生成回路615に入力する。この波形列の周波数は、本実施形態においては全ての光信号(パス)に対して共通の周波数となる。
このほか強度変調出力電圧生成回路615は、個々の光信号のID(Identification)情報が重畳された外部信号(周波数f)617を取得する場合もある。例えば図6(d)には光信号IDとして8ビットの“01001011”が、図6(e)には“11010010”が示される。
さて、図5に示される構成では、2つの動作モードが実現される。すなわち通常運用モードと、強度変調用モードである。通常運用モードにおいては一定値の出力設定電圧611が半導体レーザ駆動回路610に与えられるため、励起用LD603からは一定強度の励起光が出力される。
これに対し所望光信号チャネルのパス接続正常性を監視する強度変調運用モードでは、矩形波、正弦波、または三角波などの繰り返し波形列が外部信号(周波数f)617により強度変調出力電圧生成回路615に入力され、出力設定電圧611として制御部612から半導体レーザ駆動回路610に与えられる。そうすると、半導体レーザ駆動回路610は強度変調時出力設定電圧614を目標値として制御される。これにより励起用LD603から出力される励起光が強度変調され、従って出力端子606から出力される光ファイバ増幅器202の出力光が強度変調される。なお、強度変調出力電圧生成回路615において、強度変調時出力設定電圧614の変調度を可変するようにしても良い。
上記構成においては、出力端子606から出力される出力光の変調度につき注意を要する。本実施形態においては、光信号の変調度を、光信号をCW(連続発振光)で出力した場合の光強度に対する強度変調成分の全振幅強度の割合と定義する。
既に知られているように、希土類元素ドープ光ファイバを用いる光ファイバ増幅器においては、入力光レベルが著しく低下した状態から復旧した場合に光サージを生じる場合がある。光サージを生じると、後段に接続される光受信機などが損傷する虞がある。光サージを防止するためには、光ファイバ増幅器への入力信号がない場合(例えば入力断が検出された場合)には光ファイバ増幅器の励起LDの駆動電流を停止するという手法がある。または、光ファイバ増幅器の前に可変光減衰器を配置し、光信号が入力断状態から急激に回復したときにはこの可変光減衰器により入力光信号の立ち上がりをなまらせるようにするという手法がある。いずれにせよ特別な工夫を要することから、なるべく光サージを生じないようにするのが望ましい。そこで本実施形態においては、後段に接続される光ファイバ増幅器205において光サージが発生しない程度に、出力端子606からの出力光の変調度を抑圧するようにする。
図7は、図4に示されるモニタ回路204の構成例を示す回路ブロック図である。モニタ回路204は、入力端子701と出力端子703との間に光分岐器702を備える。識別すべき光信号の一部が光分岐器702において分岐され、フォトダイオード704において受光される。分岐光のパワーは、出力端子703からの出力光のパワーと比較して十分に小さくしておく。受光された光信号はモニタ回路705において光電変換され、その出力電圧は図4に示されるモニタ側チャネル選択スイッチ209に接続されたのち、周波数検出回路708に与えられる。そして、周波数識別回路210(図4)により所望のチャネルの周波数(ID)が識別され、パス接続正常性が確認される。
図8は、図4に示される周波数識別回路210の構成例を示す回路ブロック図である。図4のモニタ回路204(入方路側)の出力電圧は、モニタ側チャネル選択スイッチ209に接続される。一方、シーケンス制御回路211は、変調側チャネル選択スイッチ208およびモニタ側チャネル選択スイッチ209を制御して所望のチャネルを選択する。そして、所望のチャネルのモニタ電圧の周波数が周波数識別回路210に入力され、周波数検出回路708によりチャネル周波数が検出される。
図4に示すモニタ回路204(入方路側)の出力電圧は、モニタ側チャネル選択スイッチ209に接続される。所望のチャネルのモニタ電圧はコンパレータ706に入力され、強度変調成分が取り出される。この強度変調成分はADコンバータ707に与えられ、A/D(アナログ/ディジタル)変換される。なおコンパレータ706はADコンバータ707に内蔵されていることもある。
ADコンバータ707の出力は周波数検出回路708に与えられ、その周波数がディジタル的に検出される。また図6の(d)や(e)のように、強度変調成分に光信号のIDや何らかの情報が重畳されている場合には、ADコンバータ707の出力はI/O(Input/Output)装置を介して図示しない外部装置に入力され、重畳されているIDやその他の情報が解読される。このようにしても、個々の光信号を一意に解読することが可能になる。
図9は、図4に示される光ファイバ増幅器205の構成を示す図である。本実施形態において光ファイバ増幅器205は、光学部品で生じた光損失を補償するためだけではなく、強度変調された光信号から強度変調成分を取り除くための手段として使用される。
強度変調された光信号から強度変調成分を取り除くためには、希土類元素ドープ光ファイバを用いる光ファイバ増幅器に自動レベル一定制御(ALC)を適用することにより、上記希土類元素ドープ光ファイバの反転分布の応答周波数よりも低い変調周波数成分を取り除くことが可能である。
一般的に、光ファイバ増幅器の励起光に対する増幅利得の周波数特性は、その遮断周波数が2kHz程度である。よって、この遮断周波数より遅い例えば1kHzの周波数で強度変調された光信号であれば、希土類元素ドープ光ファイバはこの光信号の変動に十分追従することができる。従って光ファイバ増幅器をALCで用いた場合、変動周波数成分を取り除くことが可能になる。
図9において、図示しない光学部品により光損失が生じて光レベルが小さくなった強度変調光は、入力端子901を介して光ファイバ増幅器205に導入される。強度変調光は光合波器902において励起用LD(半導体レーザ)903からの励起光と合波され、希土類元素ドープ光ファイバ904に入射される。
強度変調光は希土類元素ドープ光ファイバ904のポンプ作用により増幅され、光分岐器905でその一部が分岐されたのち出力端子906から出力される。この分岐光はフォトダイオード907で受光されモニタ回路908で光電変換されたのち、得られたモニタ電圧909が半導体レーザ駆動回路910に入力される。
半導体レーザ駆動回路910は、上記モニタ電圧909と出力設定電圧911とを比較し、モニタ電圧909が出力設定電圧911に一致するように励起用LD903の駆動電流を制御する。出力設定電圧911には、一定の値の電圧が用いられる。
このような構成において、回路の応答特性を希土類元素ドープ光ファイバ904の反転分布の応答周波数と同等レベルにすることにより、希土類元素ドープ光ファイバ904の反転分布の応答周波数以下の入力光レベル変動に対して、出力端子906から出射される出力光のレベルを一定に保つことが可能である。
図10は、図4に示される光伝送装置の各部における光信号波形を示す図である。図10(A)は、図4の光ファイバ増幅器202に入力される光信号波形を示す。光信号(A)は光ファイバ増幅器202により強度変調され、光信号(B)となる。先述の通り本実施形態では、希土類元素ドープ光ファイバの反転分布の応答速度より低い変調周波数で、かつ強度変調成分を取り除く際に光サージが発生しない程度の変調度で、光信号を強度変調するようにする。なお図10において”0レベル”とは光信号の無い状態に相当する。
光信号(B)は各光部品を経由することにより損失を受け、減衰して光信号(C)となる。光信号(C)は光ファイバ増幅器205に入力され、強度変調成分が取り除かれて光信号(D)となる。すなわち装置出口に設置される光ファイバ増幅器205を自動レベル一定制御(ALC)で用いることにより、適切に変調された被変調光の強度変調成分を取り除くことが可能になる。
光部品による損失の補償だけではなく、光信号のパス切替によって損失がダイナミックに変動しても出力レベルを一定に保つため、ALC駆動される光ファイバ増幅器を装置出口に設けることは従来から行われている。本実施形態では既存の光ファイバ増幅器を利用するが、光信号の変調周波数および変調度を新規な発想のもとで適切に設定することにより、装置出口に設けられる光ファイバ増幅器205を強度変調成分を取り除く手段として使用するようにしている。
図11は、図4のシーケンス制御回路211の動作を説明するためのシーケンス図である。図11において横軸は時間の経過を示し、縦軸は電圧または光強度を示す。シーケンス制御回路211は、所望のチャネル情報とルーティング情報とを基に、変調側チャネル選択スイッチ208とモニタ側チャネル選択スイッチ209とに、出力イネーブル(Enable)信号ENを発出する。これにより、変調側チャネル選択スイッチ208とモニタ側チャネル選択スイッチ209とが各チャネルごとに時分割的にオンされる。
出力イネーブル信号ENは、チャネル1からチャネルNへと順番に、または、或る決められた順序で全ての光信号チャネルに対して或る一定のイネーブル時間tEだけ発出される。イネーブル時間tEは、モニタ回路204において周波数成分を観測するのに充分に長く、かつ周波数fに応じて充分に長い時間を確保するのが好ましい。
図11において、まず、チャネル1に対するイネーブル信号がイネーブル時間tEだけ発出される(符号301)。そうすると、チャネル1に対する変調側チャネル選択スイッチ208とモニタ側チャネル選択スイッチ209とが時間tEの期間だけオンになる。よって、光ファイバ増幅器202によりチャネル1の光信号が強度変調され(符号304)、モニタ回路204によりチャネル1の強度変調信号がモニタされる。その結果は周波数識別回路210に与えられてチャネル1のパスの接続経路正常性が確認される。
チャネル1に対するイネーブル時間tEが過ぎるとチャネル2(符号302)、チャネル3、…の出力イネーブル信号ENが順次オンとなり、各チャネルのパスの接続経路正常性が順次確認される。最後にチャネルN(303)の出力イネーブル時間が過ぎると再びチャネル1に戻り、パス接続経路正常性の監視がチャネル1から繰り返される。
このようにシーケンス制御を実施することにより、単一の周波数発振源207、および単一の周波数識別回路210を用いて、複数のチャネルのパスの接続正常性をほぼ同時に監視することが可能となる。すなわち、周波数発振源207および周波数識別回路210をチャネルごとに設けて光信号ごとにパスの接続経路を個別に監視するのに比べ、装置構成を格段にシンプルにすることができる。従って低コスト化や小型化などのメリットを得ることが可能になる。
以上のように本実施形態では、例えば矩形波や正弦波のような周波数繰り返し列やID情報などの特定の変調パターンに基づいて、光信号の入方路に設けられる光ファイバ増幅器202により各チャネルの光信号に強度変調を施す。そして、モニタ回路204において上記強度変調成分を抽出し、モニタ側チャネル選択スイッチ209で所望の光信号の強度変調信号だけを選択して周波数識別回路210にて変調成分を識別する。さらに、モニタ側チャネル選択スイッチ209により対象とするチャネルを順次切り換えることで、周波数発振源207と周波数識別回路210とを全てのチャネルで共用するようにする。
このようにしたので、所望の光信号を一意に識別することが可能になる。従って、所望の光信号の導通を順次モニタすることにより、装置内部におけるパスの接続経路を確実に監視することが可能になる。しかも周波数発振源207と周波数識別回路210とがただ一つだけで済むことから、シンプルかつ低コストな構成で光信号を識別することが可能となる。
また本実施形態では光信号を強度変調する際に、その変調周波数を希土類元素ドープ光ファイバの反転分布の応答周波数より低い周波数とし、かつ光サージが発生しない程度に抑圧された変調度で光信号を強度変調するようにしている。このようにしたので、光信号の出方路においてALC駆動される光ファイバ増幅器205により、強度変調成分を取り除くことが可能になる。このようなことから、光伝送装置内において、光信号の伝送品質に影響を与えることなく、光信号のパス接続を監視することが可能になる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
WL,EL…光ファイバ、604,904…希土類元素ドープ光ファイバ、101…光分波器、102…光アドドロップ用光スイッチ、103…光クロスコネクト用光スイッチ、104…光合波器、105,106…光増幅器、107…光一括増幅器、110,111…光受信機、201…光分波器、202…光ファイバ増幅器、203…光学部品、204…モニタ回路、205…光ファイバ増幅器、206…光合波器、207…周波数発振源、208…変調側チャネル選択スイッチ、209…モニタ側チャネル選択スイッチ、210…周波数識別回路、211…シーケンス制御回路、601…入力端子、602…光合波器、603…励起用LD、605…光分岐器、606…出力端子、607…フォトダイオード、608…モニタ回路、609…モニタ電圧、610…半導体レーザ駆動回路、611…出力設定電圧、612…制御部、613…通常運用時出力設定電圧、614…強度変調時出力設定電圧、615…強度変調出力電圧生成回路、701…入力端子、702…光分岐器、703…出力端子、704…フォトダイオード、705…モニタ回路、706…コンパレータ、707…ADコンバータ、708…周波数検出回路、901…入力端子、902…光合波器、903…励起用LD、905…光分岐器、906…出力端子、907…フォトダイオード、908…モニタ回路、909…モニタ電圧、910…半導体レーザ駆動回路、911…出力設定電圧
Claims (4)
- 与えられるルーティング情報に基づいて複数のチャネルの光信号をトランスペアレントにルーティングする光学部品と、
特定の信号波形を生成する波形生成手段と、
前記複数のチャネルごとに設けられ、前記複数チャネルの光信号を前記信号波形に基づいて前記光学部品への入力前にそれぞれ強度変調する複数の強度変調手段と、
前記複数のチャネルごとに設けられ、前記光学部品を通過後の光信号から前記信号波形を抽出する複数の抽出手段と、
前記ルーティング情報に基づいて、同じチャネルに対応する強度変調手段と抽出手段とを各チャネルごとに順次時分割的に駆動するシーケンス制御手段と、
このシーケンス制御手段により駆動される抽出手段において抽出される信号波形から前記光信号のチャネルごとの接続経路を監視する監視手段とを具備することを特徴とする光伝送装置。 - 前記複数の強度変調手段のそれぞれは、前記信号波形に基づいて、希土類元素ドープ光ファイバの反転分布の応答周波数より低い変調周波数で、かつ規定値以下に抑圧された変調度で前記光信号を強度変調することを特徴とする請求項1に記載の光伝送装置。
- さらに、前記光学部品から出力される光信号から前記強度変調成分を除去する除去手段を具備することを特徴とする請求項1に記載の光伝送装置。
- 前記除去手段は、希土類元素ドープ光ファイバを備え、自動レベル一定制御のもとで駆動される光ファイバ増幅器であることを特徴とする請求項3に記載の光伝送装置。
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2004
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